JP6628070B2 - 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法 - Google Patents

制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP6628070B2
JP6628070B2 JP2015040954A JP2015040954A JP6628070B2 JP 6628070 B2 JP6628070 B2 JP 6628070B2 JP 2015040954 A JP2015040954 A JP 2015040954A JP 2015040954 A JP2015040954 A JP 2015040954A JP 6628070 B2 JP6628070 B2 JP 6628070B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
active material
electrode plate
lead
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015040954A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016162612A (ja
Inventor
鈴木 啓太
啓太 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2015040954A priority Critical patent/JP6628070B2/ja
Publication of JP2016162612A publication Critical patent/JP2016162612A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6628070B2 publication Critical patent/JP6628070B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、制御弁式鉛蓄電池に関し、特に制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法に関する。
鉛蓄電池は、コストや安全性及び信頼性に優れた二次電池であり、様々な用途に用いられている。
近年では地球環境の保護や温暖化を抑制するために、二酸化炭素の排出量を削減する試みが各種産業界において重要視されている。
自動車産業界では、交通信号や鉄道踏切などで車両が停止している場合に、エンジンを一旦ストップさせ、アクセルを踏み込んで発進させようとした場合にエンジンを再起動する方式、いわゆるアイドル・ストップ・アンド・スタート方式が一部車種に搭載されている。
また、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーを利用して発電し、発電したエネルギーを一時的に鉛蓄電池に蓄えて、自然エネルギーの発電変動を抑制して商用電源へ供給する検討も行われている。
このようなサイクル用途での運用は正極活物質の劣化が激しく正極活物質の泥状化と呼ばれる活物質の軟化によって活物質同士の結合力が低下し、放電性能が徐々に失われ放電容量が低下して、鉛蓄電池は寿命となる。
そこで、サイクル用途の正極活物質には活物質密度の高い高耐久の活物質を用いて正極活物質の泥状化を防止する方法や、熟成中の温度を上げて四塩基性硫酸鉛を成長させ活物質の耐久性を上げるといった方法がとられているが活物質利用率が低下する問題がある。
この問題を解決するために、活物質ペースト中の水分量を上げ、一酸化鉛を主成分とする鉛粉にグラファイトなどの炭素材料を添加し、希硫酸とともに混練したペースト状活物質を集電体に充填して正極板とする方法が開示されている。(特許文献1)
特開2001−155735
しかしながら、特許文献1に開示される方法は、多孔度が高く活物質の利用率が高くなるので蓄電池の容量を大きくすることはできるが、活物質の水分量を高くしたときと同様に活物質強度が低く、充放電の繰り返しにより活物質の脱落が起こり易くなる。そのため、充電と放電のサイクルが頻繁に行われ、活物質の劣化速度が速いサイクル用途では長期間の使用ができず、バックアップ電源等のトリクル用途のように、常に充電状態で使用される使用方法に制限されていた。
本発明の目的は、化成後正極板の活物質の多孔度と二酸化鉛の二次粒子の大きさを制御して、高容量で長寿命の制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法を提供することにある。
本発明に係る制御弁式鉛蓄電池用の正極板は、次のようにして製造することができる。
すなわち、一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して0.1〜0.5質量部の範囲にある鱗片状黒鉛を配合した正極活物質ペーストを調製する。この正極活物質ペーストを集電体に充填して熟成、乾燥した後に得られる化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を11〜14質量%の範囲に調整する。そして、前記化成前正極板を化成して得られる化成後正極板の活物質の多孔度を45〜50%の範囲とし、かつ、化成後正極板の活物質には、四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛に長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子が含まれないようにする。
本発明によって得られる効果を説明すれば以下のとおりである。
上記のように、化成後正極板の活物質の多孔度が45〜50%の範囲に調整されると初期放電容量を高めることができ、サイクル用途において長寿命の鉛蓄電池用正極板の実現が可能となる。また、化成後正極板の活物質には、四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛に長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子を含まないことにより、初期放電容量をさらに高める事ができる。
上記の正極活物質ペーストに配合された燐片状黒鉛は、正極活物質ペーストの調製時に硫酸と反応し、硫酸イオンが燐片状黒鉛の層間へインターカレーションして膨張する。膨張した燐片状黒鉛は、化成時に酸化されCO2となって消滅するので、その跡が空孔となって、化成後正極板の活物質の多孔度を高くすることができ、放電容量を高めることができる。しかし、空孔が多くなりすぎると活物質の導電パスが減少する結果、活物質中の導電性が低くなり放電容量が低下する。
また、燐片状黒鉛は導電性である為、化成時に活物質粒子間の導電性を良好にすることができるので、化成効率が向上する。そのため、化成効率を向上させる目的で正極活物質ペースト調製時に添加する鉛丹の量を、鱗片状黒鉛を添加しないときよりも減らすことが可能となる。
さらに、正極活物質ペースト中に、一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して鱗片状黒鉛を0.2〜0.4質量部配合し、前記活物質ペーストを熟成、乾燥した後に得られる化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を、13〜14質量%の範囲に調整すると、化成後正極板の活物質は、初期容量が高く、蓄電池の寿命を保つ効果が一層顕著になる。前記硫酸鉛は、化成によってβ−PbOへ変化する。β−PbOは、反応性が高い一方で粒子間の結合力が弱い。従って、化成後正極板の活物質中にβ−PbOの量が増えると放電容量の増加につながるが、β−PbOの量が過度になると活物質粒子間の導電パスが失われ蓄電池の寿命低下につながる。化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を13〜14質量%の範囲に調整することにより、蓄電池の放電容量の確保と寿命維持のバランスを図ることができる。ここで、化成後正極板の活物質の多孔度を46〜49%の範囲に調整すると、サイクル用途において初期放電容量を高くして、長寿命の蓄電池とする効果がより一層大きくなる。
制御弁式鉛蓄電池の部材構成を示す斜視図である。
<制御弁式鉛蓄電池の作製>
本発明に係る制御弁式鉛蓄電池用の正極板は、化成後正極板の活物質の多孔度が45〜50%の範囲にあり、かつ、化成後正極板の活物質には、四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛に長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子が含まれないことを特徴としている。このような正極板は、例えば、正極板の製造工程における添加剤の選択、正極活物質ペーストを調製する際の添加剤の配合量、水及び希硫酸の添加量、極板の熟成・乾燥条件等各種のパラメータを調整することにより製造することができるが、製造方法は、これに限られるものではない。
以下の実施の形態では、化成後正極板の活物質の多孔度と、化成後正極板の活物質層を厚さ方向に切断した断面に現れる四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛二次粒子の生成を、次のようにして調整している。
すなわち、一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して0.1〜0.5質量部の範囲にある鱗片状黒鉛を配合した正極活物質ペーストを調製し、前記正極活物質ペーストを集電体に充填して熟成、乾燥した後に得られる化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を11〜14質量%の範囲に調整する。そして、前記化成前正極板を化成して得られる化成後正極板の活物質の多孔度を45〜50%の範囲とし、かつ、前記化成後正極板の活物質には、四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛に長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子が含まれないようにする。詳細を以下に説明する。
<鱗片状黒鉛>
本発明にて述べる鱗片状黒鉛は、炭素から成る元素鉱物である。黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛とがあり、本発明では、その何れを用いてもよいが、黒鉛の形状は鱗片状のものに限る。
<四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛二次粒子>
本発明にて述べる四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛の二次粒子とは、正極活物質ペーストを集電体に充填し、所定の熟成、乾燥条件で処理することにより生成した四塩基性硫酸鉛が、化成工程を経て直方体状の四塩基性硫酸鉛の骨格を残したまま二酸化鉛に変化したものである。
本発明で述べる四塩基性硫酸鉛由来の長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子の有無は、化成後正極板の活物質層を厚さ方向に切断した切断面の任意位置の面積40mm中の任意の10箇所を測定して確認した。
化成後正極板の活物質層の断面観察用試料の作製方法は次のとおりである。化成後正極板の活物質層を厚さ方向に切断し、任意の位置から採取した前記切断面が現れている正極活物質採取片を任意の容器に移し、エポキシ樹脂と硬化剤を4:1の質量比で混合して容器に流し込み、水冷下で放置して硬化させることにより、採取片をエポキシ樹脂硬化物中に埋め込む。
このエポキシ樹脂硬化物をダイヤモンドカッターで切断し、物質層の断面を観察できるように切断面をバフで研磨して、当該断面に現れる四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛二次粒子の長辺の長さを、マイクロスコープを用いて観察した。
<化成後正極板の活物質の多孔度>
本発明にて述べる化成後正極板の活物質の多孔度は、活物質と見掛けの空孔の比率であり、水置換法によって算出した。
算出方法は、まず、化成後正極板を乾燥し乾燥後質量(W3)を測定する。この正極板を水中に没して減圧下で吸引脱気し、活物質中の空孔に含まれる空気と水を置換する。その後、水中で正極板質量(W4)を測定し、正極板を空気中に取り出した後表面の水気を切り、活物質中の空孔を水置換した正極板質量(W5)を測定する。正極板を乾燥した後活物質を除去し、集電体のみの質量(W6)を測定する。水中で集電体のみの質量(W7)を測定し、多孔度は(式1)により求められる。
Figure 0006628070
<正極活物質ペーストの調製>
正極活物質ペーストは、一酸化鉛を主成分とする鉛粉に、鱗片状黒鉛、鉛丹、カットファイバー等の添加剤を加えて混合し、更に当該混合物に水と希硫酸を加え、混練して調製した。
<負極活物質ペーストの調製>
負極活物質ペーストは、一酸化鉛を主成分とする鉛粉に、カーボン、リグニン、硫酸バリウム、カットファイバー等の添加剤を加えて混合し、更に当該混合物に水と希硫酸を加え、混練して調製した。
<化成前正極板、化成前負極板>
本発明にて述べる化成前正極板、化成前負極板は、前述したそれぞれの活物質ペーストを集電体に充填して熟成、乾燥させたものである。集電体としては、エキスパンド方式の格子体、鋳造方式の格子体、打ち抜き方式の格子体等を用いることができる。
前記格子体の材質は、鉛を主成分としてスズ、カルシウム、アンチモン、銀、ビスマス等を添加することができ、スズ及びカルシウムを添加するのが好ましい。カルシウムを添加することにより、格子体の強度を保つことができると共に、自己放電を減少させることができる。一方、カルシウムを添加した際の課題である、格子体の骨の腐食をスズの添加により抑制することができる。
<鉛蓄電池>
本発明にて述べる鉛蓄電池は、例えば、図1に示すように、正極板2及び負極板3を、セパレータ4を介して交互に積層し、積層した同極性極板の耳同士をストラップで接続して極板群を構成する。この極板群を電槽5に収容し、蓋体6により閉塞して鉛蓄電池を組み立て、所定量の電解液を注入して電槽化成を行い作製する。
電槽に複数のセル室を設けるときは、各セル室内に極板群が収容され、隣接するセル室内に収容された極板群の間は反対極性の極柱間を接続することにより、所定の定格電圧と定格容量を持つ鉛蓄電池が構成される。また、単セル電槽のときは、複数の鉛蓄電池の端子間を、導電板を用いて並列あるいは直列に接続し、所定の電圧、容量の電池を構成することができる。
電槽5の材質は、特に制限されるものではなく、具体的には、ポリプロピレン、ABS、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)等を用いることができる。
鉛蓄電池が制御弁式鉛蓄電池である場合は、充電時に正極で発生する酸素ガスのうち、負極のガス吸収反応で吸収しきれなかった過剰ガスを、電槽外へ排出するための制御弁を取り付ける。制御弁の材質は、耐薬品性(耐酸性、耐シリコンオイル)、耐磨耗性、耐熱性に優れた材質、具体的には、フッ素ゴムを用いることが好ましい。
以下、本発明の詳細な実施例を説明する。
以下の実施例と比較例では、次に説明する負極板を共通して用いた。
鉛−カルシウム−スズ合金(カルシウム含有量:0.1質量%、スズ含有量:0.2質量%)を溶融し、鋳造方式によって、縦:116.0mm、横:58.0mm、厚み:2.5mmの格子体を作製した。
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、PET繊維を0.03質量部、硫酸バリウムを1.0質量部及びカーボンブラックを0.3質量部加えて混合し、水を10質量部、水にリグニンスルホン酸塩を溶解させた10質量%濃度水溶液0.2質量部、比重1.280の希硫酸を10質量部加えた後、混練して負極活物質ペーストを調製し、この負極活物質ペーストを前記格子体に充填した。
負極活物質ペーストを格子体に充填した後、以下の条件
熟成条件:温度:40℃、湿度:98%、時間:40時間
乾燥条件:温度:60℃、時間:24時間
で熟成、乾燥を行い、化成前負極板を作製した。
(実施例1)
鉛−カルシウム−スズ合金(カルシウム含有量:0.08質量%、スズ含有量:1.6質量%)を溶融し、鋳造方式によって、縦:116.0mm、横:58.0mm、厚み:4.05mmの格子体を作製した。
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鉛丹を6.0質量部、鱗片状黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製、商品名:ACB50、平均粒径D50:500μm)を0.1質量部、PET繊維を0.15質量部、水を10質量部、比重1.280の希硫酸を11質量部加えた後、混練して得られた正極活物質ペーストを調製し、この正極活物質ペーストを前記格子体に充填した。
正極活物質ペーストを格子体に充填した後、以下の条件
熟成条件:温度:40℃、湿度:98%、時間:40時間
乾燥条件:温度:60℃、時間:24時間
で熟成、乾燥を行い、化成前正極板を作製した。
(実施例2〜5)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.2質量部(実施例2)、同0.3質量部(実施例3)、同0.4質量部(実施例4)、同0.5質量部(実施例5)とする以外は、実施例1と同様にして化成前正極板を作製した。
(実施例6〜8)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を12質量部(実施例6)、一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を13質量部(実施例7)、一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を14質量部(実施例8)とする以外は、実施例1と同様にして化成前正極板を作製した。
(比較例1、2)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛を添加しない(比較例1)、鱗片状黒鉛の添加量を0.6質量部(比較例2)とする以外は、実施例1と同様にして化成前正極板を作製した。
(比較例3、4)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を10質量部(比較例3)、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を15質量部(比較例4)とする以外は、実施例1と同様にして化成前正極板を作製した。
(比較例5)
一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して、鱗片状黒鉛の添加量を0.3質量部、希硫酸の添加量を13質量部とし、混練して得られた正極活物質ペーストを格子体に充填した。
格子体に正極活物質ペーストを充填した後、以下の工程順に熟成条件1から3と、乾燥条件
熟成条件1:温度:80℃、湿度:98%、時間:10時間
熟成条件2:温度:65℃、湿度:75%、時間:13時間
熟成条件3:温度:40℃、湿度:65%、時間:40時間
乾燥条件:温度:60℃、時間:24時間
を経て化成前正極板を作製した。
実施例1〜8及び比較例1〜5の化成前正極板と、上述した化成前負極板を用いて作製した極板群を、各々電槽へ挿入し、正極端子及び負極端子を極板群に溶接した後、電槽に蓋を装着する。次に排気栓口から希硫酸を主成分とする電解液を注入し、電槽化成を行って、制御弁を取り付け、制御弁式鉛蓄電池を作製した。
前述した実施例、比較例の鱗片状黒鉛添加量、希硫酸添加量及び化成前正極板の活物質中の硫酸鉛量と、化成後正極板の活物質多孔度及び四塩基性硫酸鉛由来の長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子の有無とを表1に示す。
Figure 0006628070
<電池容量測定方法>
電池容量の測定は、5時間率放電を実施した。すなわち、電槽化成後の満充電状態の制御弁式鉛蓄電池を、雰囲気温度25℃中に24時間放置した後、5時間率放電(0.2CA、終止電圧1.7V)を行い、そのときの放電容量を測定して初期容量とした。その後、雰囲気温度25℃中で、放電量に対して105%まで定電流充電を行った後、24時間休止して充放電サイクル試験の実施に入った。
充放電サイクル試験条件は、表2に示すとおりである。
各実施例、比較例の電池共、比較例1の電池の初期容量を基準にしたDOD50%までの定電流放電を行って放電量の105%の課電量で充電した後1.0時間休止して1サイクルとした。充放電サイクル試験を通して、放電条件における放電量は、比較例1(鱗片状黒鉛を添加していない)の初期容量を基準にしたDOD50%までの放電量とした。ここで、DODとは「Depth Of Discharge」の略で電池容量に対する放電深度を表す。
表2の条件で充放電試験を100サイクル繰り返す毎に、上述した条件で各電池の5時間率放電容量を測定してそのサイクル時点の各電池の容量とした。
Figure 0006628070
<試験結果>
作製した制御弁式鉛蓄電池を用いて初期容量測定及び充放電サイクル試験を実施した結果を表3に示す。ここで、初期容量は、比較例1(鱗片状黒鉛を添加していない)の初期容量を100としたときの各電池の初期容量を示す。充放電サイクル寿命は、充放電サイクル試験を100サイクル繰り返す毎に測定する各電池の放電容量が、各電池の初期容量に対して80%を下回ったときのサイクル数を示す。
実施例1〜5及び比較例1、2の対比より、鱗片状黒鉛の添加量が増えるに従い初期容量は大きくなるが、サイクル寿命は鱗片状黒鉛の添加量が0.5質量部より多くなると短くなる。
これは、鱗片状黒鉛の添加量が増えるに従い化成後正極板の活物質の多孔度が大きくなり、活物質利用率が向上し、初期容量が大きくなると考えられる。しかし、鱗片状黒鉛の添加量が0.5質量部より多くなるとサイクル寿命が短くなる(比較例2)。鱗片状黒鉛の添加量が0.5質量部より多くなると化成後正極板の活物質中の空孔が多くなり、充放電サイクルを経るにつれ活物質の結合が脆弱になり、導電パスが失われて放電容量が低下してサイクル寿命が短くなったと考えられる。
実施例3、6〜8及び比較例3、4の対比より、化成前正極板の活物質中の硫酸鉛量が増えるに従い初期容量は大きくなる。比較例4については、初期容量は大きくなったがサイクル寿命は短くなった。これは、化成前正極板の活物質中の硫酸鉛量が多くなると化成後正極板の活物質の多孔度が増加するため、活物質利用率が向上し、初期容量が大きくなると考えられる。しかし、化成前正極板の活物質中の硫酸鉛量が14質量%より多くなると活物質の多孔度が大きくなって、活物質の結合が脆弱となり、活物質同士の導電性が維持できなくなり放電容量が低くなって、サイクル寿命が低下したと考えられる。
実施例7と比較例5を比較して、四塩基性硫酸鉛由来の長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子を含まない実施例7が、初期容量が大きく、サイクル寿命が長くなることが判る。これは、四塩基性硫酸鉛に由来する長辺が40μm以上である二酸化鉛の二次粒子は硫酸(電解液)との化学反応性が低いため初期容量が低く、サイクル寿命が短くなると考えられる。
Figure 0006628070
ピークカット、ピークシフト等の電力貯蔵用途、自然エネルギーを利用して発電するときの電力変動を抑制する用途等のサイクル利用する制御弁式鉛蓄電池として利用可能である。
1…制御弁式鉛蓄電池
2…正極板
3…負極板
4…セパレータ
5…電槽
6…蓋体

Claims (2)

  1. 一酸化鉛を主成分とする鉛粉100質量部に対して0.1〜0.5質量部の範囲にある鱗片状黒鉛を配合した正極活物質ペーストを調製し、
    前記正極活物質ペーストを集電体に充填して熟成、乾燥した後に得られる化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を11〜14質量%の範囲に調整し、
    前記化成前正極板を化成して得られる化成後正極板の活物質の多孔度を45〜50%の範囲とし、
    かつ、前記化成後正極板の活物質には、四塩基性硫酸鉛由来の二酸化鉛に長辺が40μm以上である二酸化鉛二次粒子が含まれないようにする
    ことを特徴とする制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法。
  2. 前記鱗片状黒鉛の配合量を0.2〜0.3質量部の範囲とし、
    前記化成前正極板の活物質中に含まれる硫酸鉛を13〜14質量%の範囲に調整し、
    前記化成後正極板の活物質の多孔度を46〜49%の範囲とする
    ことを特徴とする請求項記載の制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法。
JP2015040954A 2015-03-03 2015-03-03 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法 Active JP6628070B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015040954A JP6628070B2 (ja) 2015-03-03 2015-03-03 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015040954A JP6628070B2 (ja) 2015-03-03 2015-03-03 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016162612A JP2016162612A (ja) 2016-09-05
JP6628070B2 true JP6628070B2 (ja) 2020-01-08

Family

ID=56847198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015040954A Active JP6628070B2 (ja) 2015-03-03 2015-03-03 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6628070B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6725386B2 (ja) * 2016-09-28 2020-07-15 古河電池株式会社 鉛蓄電池用正極板及び鉛蓄電池
JP6950365B2 (ja) * 2017-08-30 2021-10-13 昭和電工マテリアルズ株式会社 負極材ペースト、負極及び鉛蓄電池、並びにそれらの製造方法
JP7285206B2 (ja) * 2019-12-18 2023-06-01 エナジーウィズ株式会社 電極性能の判定方法、鉛蓄電池及びその製造方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58169870A (ja) * 1982-03-31 1983-10-06 Furukawa Battery Co Ltd:The 鉛蓄電池用極板の製造方法
JPH0562669A (ja) * 1991-08-29 1993-03-12 Shin Kobe Electric Mach Co Ltd 鉛蓄電池用陽極板
JP5407271B2 (ja) * 2008-10-23 2014-02-05 パナソニック株式会社 鉛蓄電池用正極板の製造方法、鉛蓄電池の製造方法および鉛蓄電池
JP6143066B2 (ja) * 2013-03-14 2017-06-07 日立化成株式会社 鉛蓄電池用正極板及びこの正極板を用いた制御弁式鉛蓄電池。
JP2014207198A (ja) * 2013-04-16 2014-10-30 新神戸電機株式会社 制御弁式鉛蓄電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016162612A (ja) 2016-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4364460B2 (ja) 鉛蓄電池用負極
JP6660072B2 (ja) 鉛蓄電池用正極板及び該正極板を用いた鉛蓄電池及び該鉛蓄電池用正極板の製造方法
JP5748091B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2017063001A (ja) 鉛蓄電池
JPWO2018229875A1 (ja) 液式鉛蓄電池
JP6628070B2 (ja) 制御弁式鉛蓄電池用の正極板の製造法
TWI545831B (zh) Control valve type leaded battery
JP2015191768A (ja) 二次電池
JP2010192257A (ja) 鉛蓄電池および鉛蓄電池用ペースト式負極板の製造方法
JP2014207198A (ja) 制御弁式鉛蓄電池
JP6525167B2 (ja) 鉛蓄電池
JP3936157B2 (ja) シール型鉛蓄電池の製造法
JP2013134957A (ja) 鉛蓄電池の製造方法と鉛蓄電池
JP4635325B2 (ja) 制御弁式鉛蓄電池
JP5396216B2 (ja) 鉛蓄電池
JP5545975B2 (ja) 鉛蓄電池用正極活物質及びそれを充填して成る鉛蓄電池用正極板
JP6143066B2 (ja) 鉛蓄電池用正極板及びこの正極板を用いた制御弁式鉛蓄電池。
JP5089176B2 (ja) 制御弁式鉛蓄電池の製造方法
CN111295779A (zh) 铅蓄电池用隔板以及铅蓄电池
JP7128482B2 (ja) 鉛蓄電池
JP2004327299A (ja) 密閉型鉛蓄電池
JP5283429B2 (ja) 密閉式鉛蓄電池
JP6582636B2 (ja) 鉛蓄電池
JP6447866B2 (ja) 制御弁式鉛蓄電池の製造方法
JP2003086178A (ja) 密閉型鉛蓄電池及び該製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190227

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190307

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191120

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6628070

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250