JP2017063001A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ストラップ直下の耳群長A、A´が、上部極板群長B、B´より小さい鉛蓄電池において、耐浸透短絡性能を向上する。
【解決手段】 正極板と負極板とをセパレータを介して積層した極板群と、電解液と、前記極板群を収納した電槽を備えた鉛蓄電池であって、前記負極板の耳を接続する負極ストラップ直下の両端の耳の外端間の長さA、及び前記正極板の耳を接続する正極ストラップ直下の両端の耳の外端間の長さA´が、それぞれ、前記各ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板における上部枠骨部の積層方向外端間の長さB、B´より小さく、前記セパレータは、前記正極板の上部と向かい合う領域及び前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを有することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

この発明は、鉛蓄電池に関し、特に浸透短絡を抑制する鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池を、不完全な充電状態(PSOC(Partial state of charge)で使用する用途が多くなっている。
例えば、アイドリングストップ車(IS)では、停車の都度エンジンを停止させることにより燃料消費量を小さくし、発進時に蓄電池からの電力でエンジンを起動している。このため蓄電池は、充電不足の状態で使用される。IS用途に限らず、エネルギー効率を向上させるために、蓄電池への充電を避け、しかも蓄電池から取り出す電力が増加しているので、蓄電池は充電不足な状態に置かれることが多い。
充電量が少なく放電量が多い電池では、硫酸の消費が進み、電解液が低比重化する。比重が低下すると、硫酸鉛の溶解度が高くなり、電解液中の鉛イオン量が増える。この鉛イオンが、充電時に負極で還元・析出し、セパレータ内に鉛が浸透していくことにより、浸透短絡が起こりやすくなる。
特許文献1には、「極板に対して適度な群圧を維持し、高性能を発揮する鉛蓄電池を提供することを目的とする」(第1頁)ものであって、「正極と負極とを弾力性および可撓性を有するセパレータを介して積層した極板群を備える鉛蓄電池において、前記セパレータの正極対向面および負極対向面にそれぞれ位置をずらして複数の縦方向のリブを設けたことを特徴とする鉛蓄電池。」(実用新案登録請求の範囲)の発明が記載されている。
このリブについて、「極板表面に電解液を確保する空隙ができるばかりでなく、ガス抜けを良くすることができる。」(第4頁)と記載されている。
特許文献2には、「極板群内での電解液の拡散力を向上させ、濃厚な硫酸によって負極活物質が充放電に寄与しない結晶性の高い硫酸鉛に変化することを防止して充放電サイクル寿命特性に優れた鉛蓄電池を提供する」(段落[0016])ことを目的とするものであって、「正極板と、アンチモンを含まない鉛合金からなる格子体を用いた負極板と、合成樹脂製の袋状セパレータとからなる極板群を備え、前記袋状セパレータは、その表裏両面に背中合わせに縦に平行な複数本のリブが設けられているとともに、その内部に負極板を位置させていて、負極板に接する裏面のリブの高さは、表面のリブの高さよりも高い鉛蓄電池。」(請求項1)の発明が記載されている。
この発明によると、「極板、とくに負極板と、セパレータとの間の電解液の供給、拡散を良好にし、活物質が濃厚な硫酸によって充放電に寄与しない硫酸鉛に変化することを防止して電池の充放電サイクル寿命を向上させることができる。」(段落[0037])と記載されている。
また、特許文献3には、「部分充電状態(PSOC)で使用するための電池に適しており、なかでも、アイドリングストップ車用として好適に用いられる」(段落[0029])液式鉛蓄電池に係る発明が開示され、「セパレータに縦リブを形成して、正極板とセパレータとの間に形成される空間を細かく分割することにより、電解液中に含まれる硫酸イオンや水の移動時の抵抗を効果的に増大させうることを見出し、本発明を完成するに至った。」(段落[0007])と記載され、この本発明によれば、「電解液の成層化を良好に抑制し、寿命性能の向上を図ることができる」(段落[0015])ことが記載されている。
さらに、「一般社団法人電池工業会規格 SBA S 0101:2006に規定されたQ−55形のアイドリングストップ車用鉛蓄電池に、それぞれ異なるセパレータを適用したものを供試電池として用い、SBA S 0101:2006に準拠して、アイドリングストップ寿命試験を行った。」と記載されている。
実開昭57−17062号全文明細書 特開平7−105929号公報 特開2015−22921号公報
鉛蓄電池の製法手段として、COS方式によるストラップ形成を行う場合がある。COS方式は、ストラップと同形状の凹部を彫り込んだ鋳型の該凹部に鉛又は鉛合金を溶融させた溶鉛を流し込み、該溶鉛中に同極性の極板耳先端を該溶鉛へ浸漬して該溶鉛の熱で前記耳を溶かした後、冷却凝固させて前記耳と一体化するものである。
COS方式において耳とストラップの溶着を確実にするためには、同極板の両端の耳の外側に溶鉛が流れ込む隙間が必要であるから、図1に示す負極ストラップについてみると、ストラップの下面に接する両端の耳の外端間の長さA(以下、「ストラップ直下の耳群長A」又は「耳群長A」といい、単に「長さA」又は「A」ともいう。)は、前記鋳型の凹部の長さ、すなわちストラップの長さより小さい。
また、COS方式においては、鋳型の形状を変更しない場合、電極板を厚くするなどして積層方向における極板群の厚さ寸法が相当に長くなったときは、図1に示す極板群の上部における積層方向の寸法B、より正確には、ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板の集電体における上部枠骨部の積層方向外端間の長さB(以下、「上部極板群長B」といい、単に「長さB」又は「B」ともいう。)が、ストラップ直下の耳群長Aとくらべて長くなる。正極ストラップ直下の耳群長をA´、正極ストラップに接続された正極板のうち両端に位置する極板における上部枠骨部の積層方向外端間の長さ(上部極板群長B´)とすると、A´とB´も同様の関係となる(A´、B´は図示していない。)。以下、AとB、及びA´とB´の大小関係について、AとBとで代表して述べる。
本発明者は、上述した浸透短絡の発生する場所が、極板群の上部の中でもとくに上部枠骨部に近い上端付近で頻度が高いという現象を見つけ、さらに、耳群長Aと上部極板群長Bの大小関係について検討した結果、A<Bであると、前記現象が顕著となることを見出した。また、そのようなことに加えて、本発明者は、A<Bであると、耐浸透短絡性能は低下するが、低温高率放電特性が向上することも見出した。A≧Bであると、A<Bとする場合と比べて浸透短絡は抑制される。しかし、A≧Bとするためには、A<Bとする場合と比べてストラップを大形化する必要が有り、その結果、たとえば、材料コストが高くなる、鋳型を更新する必要がある、あるいはJISD5301に規定されているような所定寸法の電槽内に収納することが困難になる、と言ったことが起こりうる。
特許文献1、2に記載された発明は、いずれも、セパレータが正極対向面、及び負極対向面にリブを有する鉛蓄電池に関するものであって、適度な群圧と電解液を確保したり(特許文献1)、電解液の供給、拡散を容易に行ったりする(特許文献2)ことを目的としている。
しかし、COS方式によってストラップを形成することは記載されていないし、ストラップ直下の耳群長Aと、上部極板群長Bの大小関係については、何も示唆するところがない。また、低温高率放電性能やPSOC寿命性能についての知見もない。
特許文献3には、PSOC寿命性能について記載されているが、COS方式によってストラップを形成することは記載されていない。また、セパレータは正極対向面にリブを有することが示されているだけであり、耐浸透短絡性能や低温高率放電性能についての知見はない。
本発明は、A<Bである鉛蓄電池において、耐浸透短絡性能を向上することを解決すべき課題とする。
本発明は、前記の課題を解決するために、以下の手段を有する。
本第一発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層した極板群と、電解液と、前記極板群を収納した電槽を備えた鉛蓄電池であって、
前記負極板の耳を接続する負極ストラップ直下における両端の耳の外端間の長さA、及び前記正極板の耳を接続する正極ストラップ直下における両端の耳の外端間の長さA´が、それぞれ、前記各ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板における上部枠骨部の外端面間の長さB、B´より小さく、
前記セパレータは、前記正極板の上部と向かい合う領域及び前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを有することを特徴とする。
本第二発明は、前記第一発明において、前記セパレータは、一方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域又は前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを有し、他方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部と向かい合う領域のみにリブを有することを特徴とする。
本第三発明は、前記第二発明において、前記セパレータは、前記他方の面において、前記正極板の上部50%以下の領域と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部50%以下の領域と向かい合う領域のみにリブを有することを特徴とする。
本第四発明は、前記第二又は第三発明において、前記セパレータは、前記他方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部と向かい合う領域のみにドット状のリブを有することを特徴とする。
本第五発明は、前記第一乃至第四発明において、前記セパレータは、ポリエチレンを主成分とすることを特徴とする。
本第六発明は、前記第一乃至第五発明において、前記セパレータは、一方の極板と向かい合う面において、当該極板の下部の一部又は全部と向かい合う領域において前記リブが切り欠かれた構造となっていることを特徴とする。
本第七発明は、前記第一乃至第六発明において、前記鉛蓄電池がアイドリングストップ車用の鉛蓄電池であることを特徴とする。
本第一発明によれば、浸透短絡が抑制された鉛蓄電池を提供することができる。
本第二乃至第六発明によれば、浸透短絡の抑制に加え、PSOC寿命性能が向上した鉛蓄電池を提供することができる。
本第七発明によれば、浸透短絡が抑制され、かつ、十分なPSOC寿命性能を備えたアイドリングストップ車用鉛蓄電池を提供することができる。
ストラップ直下の耳群長Aと上部極板群長Bの説明図 セパレータのベースとリブとの位置関係を説明するための横断面図 エキスパンドタイプの集電体の説明図 鋳造タイプの集電体の説明図 本発明で使用できるリブ形状を示す模式図 PSOC寿命試験のサイクルパターンの説明図 リブ面積とPSOC寿命との関係を示すグラフ
本発明の鉛蓄電池は、セパレータが正極板の上部と向かい合う領域及び負極板と向かい合う領域にリブを有し、前記負極板の耳を接続する負極ストラップの下面における耳群長A、及び前記正極板の耳を接続する正極ストラップの下面における耳群長A´が、それぞれ、前記各ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板間の、上部枠骨部における距離B、B´より小さいことを特徴とする。
以下に、本発明の実施形態を示す。本発明の実施に際しては、当業者の常識及び先行技術の開示に従い、実施形態を適宜に変更できる。なお、以下、負極電極材料を負極活物質と呼び、正極電極材料を正極活物質と呼ぶ。また負極板は、負極集電体と負極活物質(負極電極材料)とから成り、正極板は、正極集電体と正極活物質(正極電極材料)とから成り、集電体以外の固形成分は活物質(電極材料)に属するものとする。
本発明に係る鉛蓄電池は、例えば、鉛を活物質とする負極板と、二酸化鉛を活物質とする正極板と、これら極板の間に介在する多孔性のセパレータとからなる極板群を備えたものであり、当該極板群が電槽内に収納され、希硫酸を主成分とする流動可能な電解液に浸漬されてなるものである。
前記負極板及び正極板は、Pb−Sb系合金やPb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金等からなる集電体の格子部にペースト状の活物質を充填して形成されたものである。これらの各構成部材は、目的・用途に応じて適宜公知のものから選択して用いることができる。
前記集電体は、図3に示すエキスパンドタイプの場合、活物質が充填される格子部、格子部の縁に連設された上部枠骨部、下部枠骨部、及び上部枠骨部から突出する耳を備える。図4に示す鋳造タイプである場合、さらに横枠骨部と下部枠骨部から突出する足を備える。
本発明で用いるセパレータは、ポリオレフィンを主成分とし、微孔を有し、平板状のシートが主体のものであって、そのシートの一方の面の上部に正極板と当接する突起部を有し、他方の面に負極板の上部と当接する突起部を有するものである。これらの突起部が本発明におけるリブである。従来の一般的なセパレータのリブは、正極板から発生する酸素によるセパレータの酸化損耗を防ぐために、正極板と向かい合う面の上下方向に沿って一様に設けられるライン状の突起部であり(例えば、特許文献3参照)、そして、本発明のリブは、前記正極板の上部と向かい合う領域又は前記負極板の上部と向かい合う領域に形成される突起部である。
本明細書において、正極板と向かい合う領域に形成されるリブを「正極リブ」という。負極板と向かい合う領域に形成されるリブを「負極リブ」という。
セパレータの平板状の部分(以下、「ベース」又は「ベース部」という。)の厚さを「ベース厚」という。セパレータの正極リブ形成箇所における「ベース厚」を含めたリブの高さを「正極リブ高さ」又は「リブ高さ」という。セパレータの負極リブ形成箇所における「ベース厚」を含めたリブの高さを「負極リブ高さ」という。
正極リブ形成箇所、又は正極リブ及び負極リブ形成箇所におけるセパレータの厚さを「セパレータ総厚」又は「総厚」という。
ライン状のリブ(以下、「ラインリブ」ということもある。)であって、セパレータの一端から他端まで連続したリブ、又は、ドット状のリブ(以下、「ドットリブ」ということもある。)であって、セパレータの一端から他端まで一様に分布したリブを「全リブ」という。
ライン状のリブであって、セパレータの上部の一端から下部方向に所定距離のみ連続したリブ、若しくはセパレータの上部の一端から下部方向の他端まで断続的なリブ、又は、ドット状のリブであって、セパレータの上部のみを含んで分布したリブを「部分リブ」という。
なお、本発明においては、セパレータの総厚を上記のように定義したから、セパレータの横断面(セパレータの上下方向に対して直角方向にカットした断面)で見た場合、図2に示すように、正極リブ形成箇所及び負極リブ形成箇所には重複する箇所が存在する。
上記のポリオレフィンとしては、たとえばポリエチレンを用いることができる。本発明のセパレータは袋状であってもよいし、平板状であってもよい。袋状の場合、この袋内に正極板、負極板のいずれを収納してもよい。
本発明においてセパレータに設けられるリブは、ベースが、極板の表面及びその近傍の領域に接触することを防止する機能を有する。なお、当該近傍の目安は、極板の表面から概ね0.1mmの距離にある領域である。ベース厚は0.15〜0.3mmが好ましく、0.25mm程度がより好ましい。
本発明で用いるセパレータは、ベースとリブの合計厚さ(セパレータ総厚)は、0.5mm以上1.0mm以下が好ましく、後述する実施例によると、0.5mm以上0.9mm以下がより好ましい。正極側のリブ高さ及び幅は、上記の機能が発揮できる寸法を用いることができる。
本発明で用いるセパレータの厚さに関する定義を図2を用いて説明する。セパレータのベース部の厚さ(ベース厚)はTで示した寸法とする。セパレータ総厚は、両面にリブがある場合はTで示した寸法とし、片面にのみリブがある場合はTで示した寸法とする。リブの高さはベース部の厚さを含むこととし、例えば正極側に突出するリブの高さ(正極リブ高さ)は、Hで示した寸法とする。
本発明で用いるリブの形状は、図5の左図に示すように、ライン状でもよいし、図5右図に示すドット状でもよい。ライン状のリブは、図5左図のようにライン幅Wを有し、セパレータの一端から他端まで連続した全リブであってよく、図示していないが、上部一端から下部方向に所定距離のみ連続した部分リブであってよく、上部の一端から下部方向の他端まで断続的な部分リブであってもよい。ライン状のリブの断面は、図2のように長方形又は正方形、あるいは台形などを用いることができる。他方、ドット状のリブも、セパレータの一端から他端まで一様に分布した全リブであってよく、上部のみを含んで分布した部分リブであってよい。ドット状のリブは、たとえば、図5の右図に示すように、所定の直径Rを有する円形の領域が突出した構造のものをいう。突出した部分の形状は、円柱状に突出した構造でもよいし、半球状に突出したものでもよい。
本発明において、正極板と負極板とはセパレータを介して積層されており、同極板の耳が接続されて一体となっている。複数の極板の耳を接続してなる部分がストラップであり、ストラップには、電槽内に複数のセル室が存在する場合、隣り合う電池セル間を接続するセル間接続部と、電池の端子と接続される極柱とがそれぞれ連設されている。電槽が単セル構造である場合は、ストラップに極柱が連接されている。
ストラップ、セル間接続部、及び極柱は、例えば、Pb−Sn系合金や、Pb−Sb系合金などを用いて形成される。
本発明の鉛蓄電池は、負極ストラップ及び正極ストラップのそれぞれの直下における両端の耳の外端間の長さA及びA´が、同極のストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板における上部枠骨部の積層方向外端間の長さB及びB´よりそれぞれ小さい。以下、AとBとの定義及びA´とB´との定義について、AとBとで代表して述べると、長さAは、図1に示すように、両端の耳の外端間の長さであって、ストラップの下面に接する部分における長さであり、長さBは、図1に示すように、ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板の集電体の上部枠骨部の積層方向の外端間の長さである。なお、長さA及び長さBは、極板群が電槽に収納され、かつ、化成された後であり、かつ、満充電の状態の寸法とする。この寸法の測定は、極板群の積層方向の寸法を電槽収納時の寸法とほぼ同じにしさえすれば、極板群を電槽から出した状態で行うことができる。
本発明においては、A<B及びA´<B´とすることによってストラップを小形化することが可能となる。その結果、たとえば、材料コストを低減し、極板群のサイズが変わっても鋳型を変更することを不要とし、あるいは、より多くの活物質を充填することにより積層方向に長くなった極板群をJISD5301に規定されているような所定寸法の電槽内に収納することが可能になる、といった効果がある。また、本発明においては、長さAと長さBとの差及び長さA´と長さB´との差は、1mm以上とすることができ、本発明の効果が顕著であることから3mm以上とすることが好ましい。
この極板群を例えばポリプロピレン等の合成樹脂製の電槽に収納し、硫酸を加え、電槽化成を施して液式鉛蓄電池を作製する。
本発明が耐浸透短絡性能を向上させる作用・機序は、以下のように推察される。
PSOCで使用される鉛蓄電池においては、過放電状態になりやすく、極板の表面付近で放電反応により硫酸が消費され、電解液の低比重領域となっている。COS方式を採用した鉛蓄電池のストラップ直下の耳群長Aと上部極板群長BがA<Bであると、極板上部において極間が狭くなりがちであるから、セパレータを極板の表面あるいは表面近傍に形成されると推定される低比重領域から離すことができない。低比重の電解液中では鉛イオンの濃度が高いので、この鉛イオンが充電時に負極で還元・析出してデンドライトが成長し、セパレータのベース部に鉛が浸透する浸透短絡が加速すると考えられる(後述の比較例:A1電池)。
本発明は、A<B及びA´<B´の電池であって、セパレータが、負極板及び正極板のそれぞれの上部に向かい合う領域にリブを有する。なお、負極板の上部とは、集電体の下部枠骨部から上部枠骨部へ向かう方向を上方向としたときに、負極板の主平面のうち比較的上方向に位置する領域のことである。正極板の上部も同様である。
本発明では、セパレータが負極板及び正極板のそれぞれの上部に向かい合う領域にリブを有することにより、浸透短絡の発生を抑制する効果が得られる。この効果は、上部におけるセパレータと両極板との間に距離を設け、セパレータを極板表面付近に存在すると推定される低比重領域から離すことができたため、セパレータ表面及び内部の鉛イオン濃度が上がりにくく、浸透短絡の発生を抑制することができたことに起因すると推察される。また、リブが両面に設けられていることによって、片面に設けられている場合と比べて、浸透短絡が大幅に抑制されることとなる。なぜなら、リブ突出方向と反対側のベース面が負極板に接触する場合、浸透短絡の起点となりやすい性状があるからである。すなわち、図2の左側のように正極側だけにリブが配置されている場合、正極板の表面が正極側のリブを圧迫することによって、そのリブの反対側のベース部が負極に押し付けられることとなる。このような状況となった場合、理由は明らかでないが、浸透短絡が顕著に発生することとなる。したがって、リブをセパレータの両面に配置することによって、そのような状況を避けることができ、その結果として、浸透短絡が大幅に抑制されることとなる。
さらに、リブ高さを極間距離を下部にかけて小さくなる設計とすることにより、低温高率放電性能とともにPSOC寿命性能を向上する効果が得られる。この効果は、下部での反応を起こりやすくしてサルフェーションを抑制するとともに、上部での反応を緩和して正極板上部の活物質の劣化を抑制すること起因するものと推察される。
さらに、本発明では、A<B及びA´<B´という構成によって、きわめて特異的に浸透短絡を抑制する効果が得られる。具体的には、電極板の上部付近、とくに上部枠骨部に近い領域で生じる浸透短絡が抑制され、他の領域での浸透短絡も含めた浸透短絡が顕著に抑制されるという効果が得られる。この効果は、A<B及びA´<B´という構成になっているときに初めて認識されるものである。なぜなら、A≧B及びA´≧B´という構成の場合は、極板の上部において選択的に浸透短絡が生じるという現象が実際に起こっていないか、あるいは、明確に認識できる程度に起こっていないからである。そして、A<B及びA´<B´の場合に、そのような特異的な領域での浸透短絡が、他の領域で生じるものと比べて明確に区別できる程度の頻繁で発生することとなるので、その領域にリブを設けることの意義は、A=B及びA´=B´やA>B及びA´>B´の場合と比べて大きいこととなる。
また、A<B及びA´<B´という構成にすることよって、浸透短絡抑制効果に加えて、上述のとおり、ストラップを小形化することができるという効果を得ることができる。さらに、後述するように、A<B及びA´<B´の場合、A=B及びA´=B´やA>B及びA´>B´の場合と比べて、低温高率放電性能が優れるという効果も得られる。
本発明は、一方の極板と向かい合う面において、上部のみにリブ(部分リブ)を有している実施態様を含む(実施例:A2〜A7電池参照)。この発明では、両方の極板と向かい合う面全体にリブを有する電池(実施例:A8電池参照)より、PSOC寿命が優れている。これは、リブが、極板に当接する部分のイオン移動を妨げる作用を有するため、一方の面の上部のみにリブを有し、下部にリブを有しないことで、下部の反応抵抗を小さくし、反応の均一化をより向上し、サルフェーションを抑制し、上部における正極活物質の劣化、脱落を防止するためと考えられる。
また、本発明は、部分リブが存在する割合を電極群の上部50%以下とする実施態様を含む(実施例A2〜A6電池参照)。上記と同様の理由により、反応抵抗が大きくなるリブ領域を小さくすることで、PSOC寿命性能をより向上することができると推察される。
前記極板の上部30%以下の領域と向かい合う領域のみにリブを有することが好ましい。
本発明は、リブがドット形状である実施態様を含む(後述の実施例:B1〜B3電池)。ドットリブは、ラインリブより少ない総面積の設置で極板との距離を保つことができるから、反応抵抗の増加をより抑制することができるとともに、半球状のリブ側面を液やガスの通路とすることにより、液やガスの拡散性が向上し、成層化をより抑制することができるから、PSOC寿命性能や低温高率放電性能を向上することができると推察される。
また、本発明は、一方の極板と向かい合う面において、当該極板の下部の一部又は全部と向かい合う領域においてリブが切り欠かれた構造とする実施態様を含む。たとえば、リブがライン状のリブである場合、少なくとも一条のリブのうち電極板の下部の一部又は全部に向かい合う領域において、当該リブが切り欠かれた構造とすることが好ましい。切り欠かれた構造とは、ベース部からの突出部が無い状態か、あるいは、上部にあるリブ高さよりも低いリブとされていることを意味する。以上のような構成とすることによって、切欠きを設けない構造と比べて、PSOC寿命が向上する。これは、リブが、極板に当接する部分のイオン移動を妨げる作用を有するため、一方の面の上部のみにリブを有し、下部にリブを有しないことで、下部の反応抵抗を小さくし、反応の均一化をより向上し、サルフェーションを抑制し、上部における正極活物質の劣化、脱落を防止するためと考えられる。なお、ここでの「下部」は電極板の下端から所定高さまでの領域を意味し、この所定高さは、極板の高さの50%以上とすることができ、さらに高い効果が得られることから、極板の高さの70%以上とすることが好ましい。なお、電極板の下端は下部枠骨部の下端であり、電極板の高さは、下部枠骨部の下端から上部枠骨部の上端までの最短距離である。
本発明は、アイドリングストップ車用の鉛蓄電池に適用することが好ましい。
なぜなら、アイドリングストップ車用の鉛蓄電池は、PSOC条件下で使用されるので他の用途の電池と比べて浸透短絡が生じる確率が高く、その結果として、本発明を適用する意義が大きいからである。
また、本発明をアイドリングストップ車用の鉛蓄電池に適用することで初めて得られる効果もある。アイドリングストップ車用の鉛蓄電池は、非アイドリングストップ車用途のものと比べて、高い充電受入れ性能を達成するため多くの活物質が必要であり、その結果として、極板群の積層方向の寸法(たとえば長さB)は大きくなりがちである。このような極板群を用いた電池を製造する場合、A=B及びA´=B´あるいはA>B及びA´>B´としたときは、ストラップが大形化することとなるので、電槽に収納するのが困難となることがある。とくに、JISD5301に規定されている型式の電池は、電槽サイズに上限が設定されているため、ストラップが長すぎると実質的に電池を製造できなくなることもある。これに対して、A<B及びA´<B´としたときは、ストラップを大形化する必要がないので、極板群の積層方向の寸法を大きくした場合でも、電槽に収納するのが困難という問題は解決可能となる。したがって、本発明においては、セパレータの両面にリブを設け、そのリブを電極板の上部に向かい合う領域に配置することとし、A<B及びA´<B´という構成とし、さらにアイドリングストップ車用の鉛蓄電池として用いることによって、極板上部における浸透短絡を抑制する効果と、ストラップを小形化できる効果と、アイドリングストップ車用途に適した電極群を、規格により上限が定められた電槽内の空間に収納できる設計が可能となる効果とを同時に得ることができる。すなわち、本発明を採用して初めて、極板上部における浸透短絡が抑制され、かつ、十分なPSOC条件下での寿命性能を備えたアイドリングストップ車用鉛蓄電池が製造可能となるのである。
以下、本発明の具体的な実施例、比較例、及び従来例について示す。
(正極活物質)
ボールミル法による鉛酸化物、補強材である合成樹脂繊維、水及び硫酸を混合することによって正極ペーストを調製した。このペーストをアンチモンフリーのPb−Ca−Sn系合金から成るエキスパンドタイプの格子状の正極集電体に充填し、熟成、乾燥を施して、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.6mmの未化成の正極板を作製した。
(負極活物質)
ボールミル法による鉛酸化物、鱗片状グラファイト、硫酸バリウム、リグニン、及び補強材の合成樹脂繊維、水及び硫酸を混合することによって負極ペーストを調製した。このペーストをアンチモンフリーのPb−Ca−Sn系合金から成るエキスパンドタイプの負極格子に充填し、熟成、乾燥を施して、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.3mの未化成の負極板を作製した。鱗片状グラファイト、硫酸バリウム、リグニン及び合成樹脂繊維の混合量は、化成後でかつ満充電の状態で測定した時に、それぞれ、2mass%、0.6mass%、0.2mass%及び0.1mass%になるように調節した。
(セパレータ)
ポリエチレンを基材とする合成樹脂製であって、後述するリブをそれぞれ有する袋状セパレータとした。セパレータ総厚は、以下の電池すべて0.70mmで一定である。
(電池構成)
前記袋状セパレータに前記負極板を収納し、前記負極板7枚と、前記正極板6枚とを、負極板が外側になるように交互に積層した。
前記正極板同士の耳、及び前記負極板同士の耳をそれぞれCOS方式により正極ストラップ、負極ストラップで溶接して極板群を作製し、この極板群をポリプロピレン製の電槽に収納し、硫酸を加え、電槽化成を施して、化成後の電解液比重が1.285、5hR容量が30Ahの液式鉛蓄電池を作製した。なお、電槽内では6個の極板群が直列に接続されている。また、寸法を確認するための電池を別途作成し、電槽化成のあと、さらに満充電したあと、蓋を取り外して正極側及び負極側のストラップ群長A、A´、上部極板群長B及びB´をそれぞれ測定した。A<B及びA´<B´となっているものについては以下の表では「A<B」と表記した。A=B及びA´=B´になっているものについては以下の表では「A=B」と表記した。A>B及びA´>B´となっているものについては以下の表では「A>B」と表記した。
<比較例:A1電池>
図2の従来例に示すセパレータであって、負極リブを有さず、正極板全面と向かい合う領域に正極リブを有し、ベース厚Tが0.25mm、リブ高さ(正極リブ高さ)Hが総厚Tと等しい0.70mmのセパレータを用い、ストラップ直下の耳群長A、A´がそれぞれ上部極板群長B、B´より小さい比較例1に係るA1電池を作製した。
なお、A1〜A9電池におけるリブは、全て図5の左図に示すようなラインリブである。ライン幅Wは1mmとした。また、ラインリブとラインリブの間隔は、9mmとした。また、AとB、及びA´とB´との大小関係は同じにしているので、以下、AとBとの関係を代表して述べる。
<従来例1:X電池>
比較例1と同じセパレータを用い、ストラップ直下の耳群長Aがそれぞれ上部極板群長Bより大きい従来例1に係るX電池を作製した。
<従来例2:Y電池>
比較例1と同じセパレータを用い、ストラップ直下の耳群長Aがそれぞれ上部極板群長Bと同じである従来例2に係るY電池を作製した。
(低温高率放電性能試験)
満充電が完了した上記のA1、X、Y電池を16時間以上−15℃±1℃の冷却室に置いた後、150Aの放電電流で端子電圧が6Vに低下するまでの放電時間を記録した(JIS D5301の高率放電特性試験に準拠)。
(浸透短絡試験)
低温高率放電性能試験を行ったものとは別に新たに液式鉛蓄電池を、25℃の恒温水槽中で、表1に示す工程1〜5を実行した後に電池を解体して短絡の有無を調べた。各実施例及び比較例について、それぞれ20個の鉛蓄電池を試験し、浸透短絡の発生率を評価した。
以下の表2に、A1、X、Y電池の結果を示す。
上記の結果をみると、A>B及びA=Bである従来例のX、Y電池での浸透短絡は、A<Bの場合と比べて発生率が相当小さい。このことは、A<Bとした場合にのみ、浸透短絡が発生するという問題が顕著に認められることを意味している。なお、観察の結果、A<Bの場合の浸透短絡は、電極板の上部付近、とくに上部枠骨に近い付近で発生しているケースが大半であったが、A=Bの場合は、上部枠骨に近い付近で発生しているケースがとくに多いということは明確には認められなかった。
また、A<BであるA1電池は、X,Y電池と同等以上の低温高率放電性能を有することも分かった。
<実施例:A2電池>
A1電池のセパレータに代えて、図2に示す、ベース厚Tが0.25mm、正極リブ高さHが0.50mm、負極リブ高さHが0.45mmのリブを有し、総厚Tが0.70mmであって、負極リブを負極板の格子部の上部20%の領域と向かい合う領域のみに有し、正極リブを正極板全面と向かい合う領域に有するセパレータを用いた以外は、比較例1と同様にして実施例に係るA2電池を作製した。
<実施例:A3〜A8電池>
負極板の上部30%、50%、70%の領域と向かい合う領域のみ、又は負極板全面に向かい合う領域に負極リブを有し、正極板全面と向かい合う領域に正極リブを有するセパレータを用いた以外は、A2電池と同様にして実施例に係るA3、A5、A7、及びA8電池を作製した。
また、正極板の上部30%、50%の領域と向かい合う領域のみに正極リブを有し、負極板全面に向かい合う領域に負極リブを有するセパレータを用いた以外は、実施例A2と同様にして実施例に係るA4、A6電池を作製した。
<比較例2:A9電池>
負極板の下部50%の領域と向かい合う領域のみに負極リブを有し、正極板全面に向かい合う領域に正極リブを有するセパレータを用いた以外は、A2電池と同様にして比較例に係るA9電池を作製した。
<実施例:B1〜B3電池>
A2、A3、及びA5電池で用いたセパレータの負極リブを、図5の右図に示すような半球状のドットリブ(円の直径Rは1mm)に変更した以外はA2電池と同様にして、実施例に係るB1〜B3電池を作製した。
上記のA1〜A9、B1〜B3電池について、上記の低温高率放電性能試験、浸透短絡試験を行い、さらに、以下のPSOC寿命試験を行った。
(PSOC寿命試験)
40℃の恒温漕内で、表3、及び図6に示す寿命試験パターンを繰り返し、端子電圧が7.2Vに到達するまでのサイクル数を記録した。サイクル数は、工程1から5までを1回行ったことを1サイクルとして数えることとした。
以下の表4に、鉛蓄電池A1〜A9、B1〜B3の上記の試験結果を示し、図7に、上部のリブ面積(極板面積比)とPSOC寿命との関係を示す。
なお、「極板面積比」は、極板の格子部の面積100%に対してリブが向かい合う領域の面積比を示し、「PSOC寿命」は、A1電池のサイクル数を100%とした比を示し、「低温HR性能」は、A1電池の放電時間を100%とした比を示し、浸透短絡発生率は5%刻みで示す。
表4に示す結果から、正極板の上部と向かい合う領域及び前記負極板の上部と向かい合う領域にラインリブを有するセパレータを用いるA2〜A8電池は、極板上部と向かい合う領域の一方にリブを有さないセパレータを用いる比較例のA1電池に対して、PSOC寿命、低温高率放電性能、耐浸透短絡性能のいずれにおいても、優れていることがわかった。極板上部と向かい合う領域にリブを有さず、極板下部と向かい合う領域にラインリブを有するセパレータを用いる比較例2のA9電池は、比較例1のA1電池より、PSOC寿命、及び耐浸透短絡性能が低下していた。これは、下部が広がったことにより、反応の不均一化が助長され、成層化とデンドライト成長が加速されたことによると推測される。
リブがドット状であるセパレータを用いたB1〜B3電池は、リブがライン状である以外はそれぞれ同条件であるA2、A3、A5電池を上回るPSOC寿命、低温高率放電性能、及び同等以上の耐浸透短絡性能を示した。これは、内部抵抗の増加が抑制され、液やガスの拡散性が向上したことによると推測される。
また、上記の結果から、本発明の電池をアイドリングストップ車用の始動用鉛蓄電池として用いたときの効果に関して次のようなことがいえる。表3の充放電試験はアイドリングストップ車に搭載したときの代表的な充放電パターンであり、この試験を行うことによって、アイドリングストップ車用の鉛蓄電池としての寿命性能(いわゆるPSOC条件下での寿命性能)を評価することができる。上記試験の結果、実施例の電池のサイクル数は、ライン状のリブの場合、比較例のそれと比べて約3%〜10%程度多い値であった。この結果から、正極板の上部と向かい合う領域及び前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを備えたセパレータを用い、かつ、A<Bとの構成とした鉛蓄電池をアイドリングストップ車用の鉛蓄電池として用いた場合、極板上部における浸透短絡を抑制する効果と、ストラップを小形化できる効果と、アイドリングストップ車用に求められる水準のPSOC寿命性能を達成できる効果とを同時に得ることができるといえる。
なお、ストラップを小形化することなしに、所定水準のPSOC寿命性能を達成する極板群をJIS等により上限寸法が設定された電槽に収納する場合、セパレータのリブの配置個所を片面のみにして層厚さを薄くし、その分の活物質量を増量させる方法や、活物質の増量以外にPSOC寿命性能を向上させる方法を採用することも可能であるが、前者の方法では極板上部の浸透短絡を抑制する効果は得られず、後者の方法では、今のところ活物質の増量と同程度の効果のある技術はないため十分な性能向上がはかれない可能性が高い。
さらになお、A=BやA>Bの場合、ストラップの小形化が図れないので、規定の大きさの電槽に収納するためには極板群の寸法を制限せざるを得ない。そのため、PSOC条件下での寿命性能に影響が大きい活物質の使用量を十分に多くできないこととなり、その結果として、アイドリングストップ車用に求められる水準のPSOC寿命性能を達成できないこととなる可能性が高い。
本発明により、ストラップ直下の耳群長A、A´が上部極板群長B、B´より小さい鉛蓄電池において、浸透短絡を抑制することができるから、PSOCで使用される機会の多いIS用途の鉛蓄電池等への適用が期待される。
A ストラップ直下の耳群長
B 極同極の極板の両端に位置する極板間の上部枠骨部における距離(上部極板群長)

Claims (7)

  1. 正極板と負極板とをセパレータを介して積層した極板群と、電解液と、前記極板群を収納した電槽を備えた鉛蓄電池であって、
    前記負極板の耳を接続する負極ストラップ直下の両端の耳の外端間の長さA、及び前記正極板の耳を接続する正極ストラップ直下の両端の耳の外端間の長さA´が、それぞれ、前記各ストラップに接続された極板のうち両端に位置する極板における上部枠骨部の積層方向外端間の長さB、B´より小さく、
    前記セパレータは、前記正極板の上部と向かい合う領域及び前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを有することを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 前記セパレータは、一方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域又は前記負極板の上部と向かい合う領域にリブを有し、他方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部と向かい合う領域のみにリブを有することを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記セパレータは、前記他方の面において、前記正極板の上部50%以下の領域と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部50%以下の領域と向かい合う領域のみにリブを有することを特徴とする請求項2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記セパレータは、前記他方の面において、前記正極板の上部と向かい合う領域のみ、又は前記負極板の上部と向かい合う領域のみにドット状のリブを有することを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の鉛蓄電池。
  5. 前記セパレータは、ポリエチレンを主成分とすることを特徴とする請求項1〜4の少なくともいずれか一つに記載の鉛蓄電池。
  6. 前記セパレータは、一方の極板と向かい合う面において、当該極板の下部の一部又は全部と向かい合う領域において前記リブが切り欠かれた構造となっていることを特徴とする請求項1〜5の少なくともいずれか一つに記載の鉛蓄電池。
  7. アイドリングストップ車用の鉛蓄電池であることを特徴とする請求項1〜6の少なくともいずれか一つに記載の鉛蓄電池。
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