JP6625989B2 - 重合性単量体、重合性単量体の製造方法、硬化性組成物および樹脂部材 - Google Patents

重合性単量体、重合性単量体の製造方法、硬化性組成物および樹脂部材 Download PDF

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Description

本発明は、重合性単量体、重合性単量体の製造方法、硬化性組成物および樹脂部材に関するものである。
(メタ)アクリレート系重合性単量体は、歯科用硬化性組成物あるいは歯科用接着剤といった歯科材料、光学材料、印刷製版、フォトレジスト材料、塗料、接着剤、インク、光造形樹脂等の幅広い分野で利用可能である(例えば、特許文献1〜4)。特に、機械的強度に優れた硬化物が得られる(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、特許文献2、3に例示されるビスフェノールAジグリシジルジ(メタ)アクリレート(Bis−GMA)に代表されるビスフェノールA骨格を有する重合性単量体や、特許文献4、5に例示されるビフェニル骨格を有する重合性単量体が知られている。
特表2008−534256号公報 特開2007−126417号公報 特開平9−157124号公報 特開平5−170705号公報 特開昭63−297344号公報
一方、重合性単量体の取り扱い性を容易とする観点では、重合性単量体は室温環境下において低粘度の液体あるいは液状物質であることが有利である。たとえば、一般的に多くの場合、重合性単量体は、単独で用いるよりも、種々の使用用途に応じて他の成分と混合した混合組成物として用いられることが多い。このような場合に、重合性単量体が低粘度の液体あるいは液状物質であれば、他の成分とのブレンドも極めて容易である。
しかしながら、特許文献2,3に例示されるBis−GMAは室温環境下において極めて高粘度であり、特許文献4に例示される重合性単量体に至っては、室温環境下において固体である上、機械的強度に劣る。また、特許文献5に例示される重合性単量体は比較的低粘度であるものの、やはり機械的強度に劣る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硬化物の機械的強度に優れると共に、室温環境下においても低粘度で取扱い性に優れた重合性単量体、その製造方法、これを用いた硬化性組成物および樹脂部材を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
本発明の重合性単量体は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
一般式(1
〔一般式(1)中、ArおよびArは、各々、2価または3価から選択されるいずれかの価数を持つ芳香族基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、LおよびLは、各々、主鎖の原子数が2〜10の範囲内であり、かつ、少なくとも1つの水酸基を含む2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表す。また、m1およびm2は、各々、1または2である。〕
本発明の重合性単量体の一実施形態は、下記一般式(2)で示されることが好ましい。
〔一般式(2)中、RおよびRは、一般式(1)中に示すものと同様である。〕
本発明の重合性単量体の他の実施形態は、下記一般式(3)で示されることが好ましい。
一般式(3
〔一般式(3)中、ArおよびArは、価数が2価のみを取りえることを除いて一般式(1)中に示すものと同様であり、L およびLは、各々、主鎖の原子数が1〜8の範囲内の2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表し、左側の括弧内に示す基および右側の括弧内に示す基は、中央に示す基;−Ar −Ar −の2つの結合手のいずれに対しても結合可能であり、j、kの値に応じて、(a)左側の括弧内に示す基が中央に示す基の両側に結合していてもよく、(b)右側の括弧内に示す基が中央に示す基の両側に結合していてもよく、(c)一般式(3’)そのものとして示されるように、中央に示す基の一方側に左側の括弧内に示す基が結合し、他方側に右側の括弧内に示す基が結合していてもよいものである。また、jは0、1または2であり、kは0、1または2であり、j+k=2である。〕
本発明の重合性単量体の他の実施形態は、一般式(3)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)が、(1、1)および(0、2)からなる群より選択されるいずれかであることが好ましい。
本発明の重合性単量体の他の実施形態は、一般式(3)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)が、(2、0)、(1、1)および(0、2)からなる群より選択されるいずれか2種類以上の構造異性体を含むことが好ましい。
本発明の重合性単量体の他の実施形態は、全ての重合性単量体分子における値kの平均値が0.05以上2.0未満であることが好ましい。
本発明の重合性単量体の製造方法は、下記一般式(4)に示す化合物と、下記一般式(5)に示す化合物とを反応させる反応工程を少なくとも経て、下記一般式(6)〜(8)に示す化合物からなる群より選択される2種類以上の構造異性体を含む重合性単量体を製造することを特徴とする。
一般式(4
一般式(6
一般式(7
一般式(8
〔一般式(4、(5)、(6’)〜(8)中、ArおよびArは、各々、2価の芳香族基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、Lは主鎖の原子数が1〜7の2価の炭化水素基を表す。また、qは0または1である。〕
本発明の硬化性組成物は、本発明の重合性単量体と、重合開始剤と、を含むことを特徴とする。
本発明の樹脂部材は、本発明の重合性単量体を含む組成物を用いて得られた硬化物を含むことを特徴とする。
本発明によれば、硬化物の機械的強度に優れると共に、室温環境下においても低粘度で取扱い性に優れた重合性単量体、その製造方法、これを用いた硬化性組成物および樹脂部材を提供することができる。
本実施形態の重合性単量体は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。
ここで、一般式(1)中、ArおよびArは、各々、2価〜4価から選択されるいずれかの価数を持つ芳香族基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、LおよびLは、各々、主鎖の原子数が2〜10の範囲内であり、かつ、少なくとも1つの水酸基を含む2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表す。また、qは0または1であり、m1およびm2は、各々、1または2である。なお、一般式(1)に示される重合性単量体は、2種類以上の異性体を含む異性体混合物であってもよい。
本実施形態の重合性単量体は、硬化物の機械的強度に優れると共に、室温環境下においても低粘度であるため取扱い性に優れる。このような効果が得られる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推定している。まず、硬化物の機械的強度に優れる理由は、分子の中心部分に、剛直性の高い芳香族基を含む構造(Ar、または、Ar−Ar)を有するためであると考えられる。更に、後述するように、分子内に二つ以上の水酸基が含まれるため、これらの水酸基による分子間の緩やか且つ密な水素結合ネットワークの形成も硬化物の機械的強度の維持に寄与していると考えられる。
また、一般的に、分子内に複数の水酸基を有する化合物は、分子間水素結合を形成し、結果として粘度が上昇し易い。しかし、分子内に複数の水酸基を有する本実施形態の重合性単量体が室温環境下においても低粘度を示す理由は、2価の基L、Lを構成する水酸基の水素が、下記に例示される構造式に示すように芳香族基Ar、Arに直接結合するエステル結合を構成するカルボニル基の酸素との間で分子内水素結合を形成し易いためと考えられる。なお、下記に例示される構造式は、一般式(1)中において、Ar、Ar=フェニレン基、L、L=−CHCH(OH)CH−、R、R=メチル基、q=1、m1およびm2=1とした例である。
すなわち、分子内水素結合が形成された場合、分子間水素結合の形成が抑制されることになり、粘度が低下する。これに加えて、分子内水素結合が形成されない状態を基準とした場合と比べて、分子内水素結合が形成された場合では、芳香族基Ar、Arを構成するベンゼン環とこれに直接結合するエステル結合とからなるベンゾエート構造に歪みが生じて、分子中心部分の分子構造の対称性が低下する。このため、分子の結晶性が低下して、液化のみならず低粘度化も促進されると考えられる。なお、分子内水素結合の形成は、分子間の結合を弱めるため、硬化物の機械的強度の低下を招くおそれもある。しかし、本実施形態の重合性単量体では、水酸基は、より正確には、分子間水素結合よりも分子内水素結合に寄与する度合いが相対的により高くなっていると考えられ、分子間の緩やかな水素結合ネットワークの形成にも寄与していると考えられる。これに加えて、本実施形態の重合性単量体では、分子内に複数の水酸基が含まれるため、分子間で密度の高い水素結合ネットワークを形成し易くなる。すなわち、分子内に含まれる水酸基が1つの場合と比べて、本実施形態の重合性単量体のように分子内に複数の水酸基を有する場合では硬化物の機械的強度を維持しやすいと考えられる。
なお、上述した知見は、本発明者らが、特許文献2,3に例示するBis−GMAは室温下で高粘性の液体であることや、特許文献4に例示する重合性単量体が室温下で固体状態を示すことと、これら重合性単量体の分子構造との比較から見出したものである。すなわち、分子の中心部分に剛直性の高いビスフェノールA構造を有するBis−GMAが高い粘性を示す理由については、Bis−GMA分子中に含まれる水酸基の水素が、分子内よりも分子間で水素結合を形成するためであり、特許文献4に例示する重合性単量体が固体状態を示す理由については、分子の中心部分を構成する剛直性の高いジベンゾエート構造(ビフェニルの両端にエステル結合を接続した構造)の対称性が高く結晶化し易いためであると、本発明者らは考えた。そして、これらのことからは、硬化物の優れた機械的強度を確保しつつも低粘度の重合性単量体を得るためには、(1)分子間水素結合を抑制することや、(2)分子中心部分を占める芳香族基を主体とした分子構造の対称性を低下させて、結晶性を低下させることが重要であると考えられる。
そこで、本発明者らは、上記(1)および(2)を複合的かつ相乗的に実現できる分子構造を持つ重合性単量体として、分子中心部にベンゾエート構造を有し、かつ、このベンゾエート構造の対称性を分子内水素結合により低下させると同時に分子間水素結合には寄与し難い水酸基も有する一般式(1)に示す重合性単量体を見出した。
次に、一般式(1)に示す重合性単量体についてより詳細に説明に説明する。まず、一般式(1)中、ArおよびArは、各々、2価〜4価から選択されるいずれかの価数を持つ芳香族基を表し、具体例としては、下記構造式Ar−a1〜Ar−a3に示す2価〜4価のベンゼン、下記構造式Ar−a4〜Ar−a6に示す2価〜4価のナフタレン、あるいは、下記構造式Ar−a7〜Ar−a9に示す2価〜4価のアントセランが挙げられる。なお、これら構造式中、結合手は、芳香族基Ar、Arを構成するベンゼン環の任意の炭素(但し、ベンゼン環とベンゼン環との縮合部を形成する炭素を除く)に設けることができる。たとえば、構造式Ar−a1(2価のベンゼン)であれば、2本の結合手は、オルト位、メタ位、あるいは、パラ位のいずれかに設けることができる。
ここで、q=0の場合(Arが存在しない場合)は、Arの全ての結合手は、エステル結合の炭素と結合する。また、q=1の場合は、ArとArとはσ結合により結合されることで“Ar−Ar”なる構造を構成すると共に、σ結合の形成に関与しないArおよびArの残りの結合手は、エステル結合の炭素と結合する。
なお、(q、m1、m2)=(1、1、1)の場合は、ArおよびArの結合手は2つであり、(q、m1、m2)=(1、2、1)の場合は、Arの結合手は3つで、Arの結合手は2つであり、(q、m1、m2)=(1、1、2)の場合は、Arの結合手は2つで、Arの結合手は3つであり、(q、m1、m2)=(1、2、2)の場合は、ArおよびArの結合手は3つとなる。
また、(q、m1、m2)=(0、1、1)の場合は、Arの結合手は2つであり、(q、m1、m2)=(0、1、2)または(0、2、1)の場合は、Arの結合手は3つであり、(q、m1、m2)=(0、2、2)の場合は、Arの結合手は4つとなる。なお、q=1の場合において、ArとArとは同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、(q、m1、m2)は、(1、1、1)あるいは(0、1、1)が好ましく、(1、1、1)がより好ましい。
また、芳香族基Ar、Arは、各々、置換基を有していてもよく、この場合、芳香族基Ar、Arを構成するベンゼン環の水素を他の置換基に置き換えることができる。芳香族基Ar、Arの置換基としてはその末端に一般式(1)の左辺に示される反応性基(すなわち、アクリル基またはメタクリル基)を含まないものであれば特に限定されず、置換基を構成する原子の総数(原子数)が1〜60の範囲内のものを適宜選択できる。具体的には、炭素数1〜20の1価の炭化水素基や、−COOR、−OR、ハロゲン基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基などを挙げることができる。なお、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基と同様である。また、炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基等の直鎖状または分岐状の炭化水素基、シクロヘキシル基等の脂環炭化水素基、フェニル基、1価のフランなどの複素環基などを挙げることができる。
およびLは、各々、主鎖の原子数が2〜10の範囲内であり、かつ、少なくとも1つの水酸基を含む2価の炭化水素基を表し、各々、同一であっても異なっていてもよい。この炭化水素基に含まれる水酸基の数は少なくとも1つであればよく、2つ以上含まれていてもよいが、通常は1つであることが好ましい。すなわち、m1、m2=1の場合であれば、分子内に含まれる水酸基は2つであることが好ましい。なお、主鎖の原子数は2〜6の範囲内がより好ましく、2〜3の範囲内がさらに好ましい。特に主鎖の原子数を2〜3の範囲内とした場合には、硬化物の曲げ強度をより高めることが容易になる。
なお、主鎖を構成する原子は、基本的には炭素原子から構成され、全ての原子が炭素原子であってもよいが、主鎖を構成する炭素原子の一部をヘテロ原子に置き換えることもできる。このヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子を挙げることができる。なお、主鎖がヘテロ原子として酸素原子を含む場合、主鎖中には、エーテル結合またはエステル結合を導入することができる。主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つまたは2つが好ましい。但し、主鎖の原子数が2の場合、主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つである。
また、主鎖を構成する原子のうち、少なくともいずれか1つの原子(通常は炭素原子)には、水酸基、または、水酸基を有する1価の炭化水素基が結合する。水酸基を有する1価の炭化水素基は、その炭素数が1〜3の範囲が好ましく、1〜2の範囲がより好ましい。水酸基を有する1価の炭化水素基の具体例としては、−CHOH、−CHCHOH、−CH(CH)OHなどが挙げられるが、−CHOHあるいは−CH(CH)OHがより好ましい。
また、主鎖を構成する原子のうち、少なくともいずれか1つの原子(通常は炭素原子)には、水酸基および水酸基を有する1価の炭化水素基以外の置換基が結合していてもよい。このような置換基としては、メチル基等の炭素数1〜3のアルキル基、ハロゲン、−COOR、−ORなどを挙げることができる。なお、Rは、炭素数1〜3のアルキル基と同様である。
、Lの具体例としては、下記構造式L−a1〜L−a37を挙げることができる。なお、これらの構造式中に示す2つの結合手のうち、*の付された結合手は、分子中心部のベンゾエート構造を構成するエステル結合の酸素原子に結合する結合手を意味する。
なお、一般式(1)で示される本実施形態の重合性単量体は、下記一般式(2)で示される重合性単量体であることが特に好ましい。なお、一般式(2)は、一般式(1)において、q=1、m1、m2=1、Ar、Ar=−C−(構造式Ar−a1)、L、L=−CHCH(OH)CH−(構造式L−a1)とした場合の構造を示すものである。
また、本実施形態の重合性単量体は、下記一般式(3)に示される重合性単量体であることが好ましい。ここで、一般式(3)中、ArおよびArは、価数が2価のみを取りえることを除いて一般式(1)中に示すものと同様であり、qは、一般式(1)中に示すものと同様であり、LおよびLは、各々、主鎖の原子数が1〜8の範囲内の2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表す。また、jは0、1または2であり、kは0、1または2であり、j+k=2である。なお、一般式(3)は、一般式(1)において、m1、m2=1、L=−L−CH(OH)CH −または−CH(CHOH)−L−、L=−L−CH(OH)CH −または−CH(CHOH)−L−、RはRまたはRに対応し、RはRまたはRに対応する、とした場合の構造(2官能型構造)を示すものである。また、一般式(3)中、左右両側の括弧内に示す基は、中央に示す基;−[Ar]−Ar−の2つの結合手のいずれに対しても結合可能である。すなわち、jおよびkの値に応じて、一般式(3)中の左側の括弧内に示す基が、中央に示す基の両側に結合する場合もあれば、一般式(3)中の右側の括弧内に示す基が、中央に示す基の両側に結合する場合もある。
なお、LおよびLにおいて、主鎖を構成する原子は、基本的には炭素原子から構成され、全ての原子が炭素原子であってもよいが、主鎖を構成する炭素原子の一部をヘテロ原子に置き換えることもできる。このヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子を挙げることができる。なお、主鎖がヘテロ原子として酸素原子を含む場合、主鎖中には、エーテル結合またはエステル結合を導入することができる。主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つまたは2つが好ましい。但し、主鎖の原子数が2の場合、主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つである。
また、LおよびLにおいて主鎖の原子数は、1〜8であればよいが、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1が最も好ましい。LおよびLの具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基などのような主鎖の炭素数1〜8のアルキレン基や、当該アルキレン基の主鎖の一部または全部をエーテル結合あるいはエステル結合(但し、アルキレン基の主鎖の原子数が2以上の場合に限る)に置換した基などが挙げられる。
一般式(3)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)としては、(2、0)、(1、1)および(0、2)が挙げられるが、これらの中でも重合性単量体分子の分解の抑制が期待できる観点から(1、1)および(0、2)がより好ましい。この理由として、本発明者らは以下のように推測している。
ここで、下記に示す式は、一般式(3)において(j、k)=(1、1)、q=1、Ar,Ar=−C−、L、L=−CH−、R、R=−CHとした重合性単量体分子における水分子の存在下における反応機構の一例を示したものである。本実施形態の重合性単量体は、分子中央部の芳香族基に直接結合するエステル結合が存在する分子構造を有している。このような分子構造を持つ重合性単量体が分解する反応機構のひとつとして、芳香族基に直接結合するエステル結合への水分子の求核反応(加水分解反応)などが予想される(下記Route B)。しかし、芳香族基に直接結合するエステル結合のすぐ近くに、同一分子内に含まれる1級アルコールが存在する場合、1級アルコールとエステル結合とが分子内で環化反応を起こすことで、一時的に環状構造を形成する(下記Route A)。この環化反応は可逆的であるため、直ぐに元の直鎖構造に戻り易いものの、この環化反応が上述した求核反応(加水分解反応)などを阻害する。このため、重合性単量体分子の分解が阻害されるものと推測される。この場合、重合性単量体あるいはこれを含む組成物の分解劣化が抑制される(言い換えれば保存安定性が向上する)ため、重合性単量体を用いた各種組成物の製造直後の初期性能を長期に渡って安定して維持できることになる。たとえば、重合性単量体を用いる歯科用組成物(歯科用充填修復材、歯科用接着剤など)では、長期間保存後においても、製造直後の接着強度や、硬化物の機械的強度を維持することが容易になる。
また、本実施形態の重合性単量体は、一般式(3)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)が、(2、0)、(1、1)および(0、2)からなる群より選択されるいずれか2種類以上の構造異性体を含むものであることが好ましい。重合性単量体が、一般式(3)に示す(j,k)の組み合わせについて、2種類以上の構造異性体を含むものである場合、硬化物の機械的強度と、保存安定性とをバランスよく向上させることが容易となる。この場合、全ての重合性単量体分子における値kの平均値が0.05以上2.0未満の範囲(言い換えれば値jの平均値が0を超え1.95以下の範囲)であることが好ましい。さらに、値kの平均値の下限は0.1以上がより好ましく、値kの平均値の上限は1.7以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。なお、硬化物の機械的強度と、保存安定性とをバランスよく向上させるためには、値k=2(構造異性体を含まない状態)も、値kの平均値が0.05以上2.0未満の範囲とした場合と同様に好適である。但し、値k=2(構造異性体を含まない状態)よりも、2種類以上の構造異性体を含む状態の方が、一定の保存期間を経ない初期状態での機械的強度をより高くすることができる。この点では、値kの平均値が0.05未満とならない範囲で、値kの平均値は小さい方がより有利である。
なお、上述した反応機構のみを考慮すると、値kの平均値が大きくなるに従い保存安定性も向上すると予想される。しかしながら、本発明者らが検討したところ値kの平均値が0.1程度(全重合性単量体中、芳香族基に直接結合するエステル結合の近傍に存在する1級アルコールの存在割合が小さい場合)でも顕著な保存安定性向上効果が得られることを確認した(後述する実施例を参照されたし)。これらの結果からは、保存安定性の向上には、上述した反応機構以外の予期せぬ要因が存在するものと推測される。
本実施形態の重合性単量体は、公知の出発原料および公知の合成反応法を適宜組み合わせて合成することができ、その製造方法は特に限定されるものではない。たとえば、一般式(3)に示す重合性単量体を製造する場合、下記一般式(4)に示す化合物と、下記一般式(5)に示す化合物とを反応させる反応工程を少なくとも含む製造方法を利用してもよい。この場合、下記一般式(6)〜(8)に示す化合物からなる群より選択される2種類以上の構造異性体を含む重合性単量体を製造することができる。
ここで、一般式(4)〜(8)中、Ar、Arおよびq、は一般式(3)中に示すものと同様であり、Lは主鎖の原子数が1〜7の2価の炭化水素基を表す。また、pは0または1である。ここで、値kの平均値、言い換えれば、一般式(6)〜(8)に示される構造異性体の存在比率は、合成条件を適宜選択することにより容易に調整することができる。また、必要に応じて合成後に精製処理を行うことで、値kの平均値(一般式(6)〜(8)に示される構造異性体の存在比率)を所望の値により近づくように調整してもよい。
一般式()〜(8)に示すLにおいて、主鎖を構成する原子は、基本的には炭素原子から構成され、全ての原子が炭素原子であってもよいが、主鎖を構成する炭素原子の一部をヘテロ原子に置き換えることもできる。このヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子を挙げることができる。なお、主鎖がヘテロ原子として酸素原子を含む場合、主鎖中には、エーテル結合またはエステル結合を導入することができる。主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つまたは2つが好ましい。但し、主鎖の原子数が2の場合、主鎖に導入できるヘテロ原子の数は1つである。
また、Lにおいて主鎖の原子数は、1〜7であればよいが、1〜4が好ましく、1〜2がより好ましい。 の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基などのような主鎖の炭素数1〜7のアルキレン基や、当該アルキレン基の主鎖の一部または全部をエーテル結合あるいはエステル結合(但し、アルキレン基の主鎖の原子数が2以上の場合に限る)に置換した基などが挙げられる。
一般式(6)において、各々のLは同一であってもよく、異なっていてもよい。これは、一般式(7)および(8)においても同様である。なお、各々のLを互いに異なるものとする場合には、合成に用いる一般式(5)に示す化合物として、Lが互いに異なる2種類以上の化合物を用いることができる。また、pは0であることが好ましい。
なお、必要であれば、上述した製造方法により2種類以上の構造異性体を含む重合性単量体を得た後、構造異性体を実質的に含まない重合性単量体(たとえば、一般式(6)に示す重合性単量体)のみを単離精製してもよい。しかしながら、単離精製して得られる重合性単量体は、単離精製処理前の2種類以上の構造異性体を含む重合性単量体と比べると、硬化物の機械的強度と、保存安定性との両立という点で劣る傾向にある。これに加えて、重合性単量体の製造に際して、さらに単離精製処理が必要となるため、コスト面でも不利になり易い。よって、これらの観点からは、単離精製処理は省略することが好ましい。
−組成物、硬化性組成物および樹脂部材−
本実施形態の重合性単量体は、この重合性単量体を含む組成物として利用することができる。しかしながら、様々な用途において利用する観点からは、本実施形態の重合性単量体とその他の材料とを含む組成物として用いることも好適である。この場合、本実施形態の重合性単量体を少なくとも含む組成物に対してさらに重合開始剤を添加することで、硬化性組成物を調合してもよい。なお、本実施形態の重合性単量体を含む組成物が重合開始剤を含まない組成物である場合、この組成物(A剤)の使用に際しては、重合開始剤を含むその他の組成物(B剤)と組み合わせて使用することもできる。この場合は、A剤とB剤とを混合して重合させることにより硬化物を得ることができる(第一の硬化形態)。
また、本実施形態の重合性単量体と重合開始剤とを含む硬化性組成物(C剤)についても、このC剤単体を硬化させることで硬化物を得てもよい(第二の硬化形態)。しかしながら、必要に応じて、C剤とその他の組成物(D剤)と組み合わせて用いることができる。この場合、C剤とD剤とを混合して得られた混合物を硬化させることで硬化物を得ることができる(第三の硬化形態)。また、固体表面にD剤を塗布した後、さらにその上にC剤を配置して硬化させることで硬化物を得ることもできる。この場合、D剤が接着剤および/またはC剤と固体表面との馴染みを良くする前処理材として機能するときは、固体表面に接合した状態の硬化物を得ることができる(第四の硬化形態)。また、D剤が離型剤として機能する場合は、硬化後に硬化物の表面を損壊することなく、硬化物を固体表面から容易に引き離して回収することができる(第五の硬化形態)。
なお、第一および第三の硬化形態で好適に利用できるものとしてはたとえば2成分系接着剤が挙げられ、第二の硬化形態で好適に利用できるものとしてはたとえば積層造形法を利用した3Dプリンターに用いられる樹脂原料、第四の硬化形態で好適に利用できるものとしてはたとえば歯科用材料(特に、歯牙の窩洞内の充填に用いられるコンポジットレジン)、第五の硬化形態で好適に利用できるものとしてはたとえば金型を用いた成形物の製造に用いる樹脂原料、が挙げられる。
また、本実施形態の重合性単量体と共に用いられるその他の材料としては、特に限定されず、本実施形態の重合性単量体を含む組成物あるいは硬化性組成物の用途に応じて適宜選択することができる。その他の材料の具体例としては、たとえば、本実施形態の重合性単量体以外のその他の重合性単量体、反応性を持たない低分子有機化合物、樹脂、フィラー、有機−無機複合材料、上述した重合開始剤以外の各種の添加剤、溶媒等を挙げることができ、これら材料を2種類以上組み合わせて用いることもできる。
しかしながら、本実施形態の重合性単量体と組み合わせて用いるその他の材料としては、特に、その他の重合性単量体が好ましい。その他の重合性単量体としては、公知の重合性単量体を制限なく用いることができる。しかしながら、本実施形態の重合性単量体が、室温環境下において低粘性であるという特徴を有する点を考慮すれば、その他の重合性単量体も、この特徴を相殺しない程度の比較的低い粘性を有することが好ましい。このような観点では、その他の重合性単量体の粘度は室温(25℃)において150mPa・S以下であることが好ましい。さらに、分子の両末端に設けられた反応性基が同一・類似である点で相溶性が確保し易いことを考慮すると、その他の重合性単量体としては2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。
上述した粘度特性を有する2官能(メタ)アクリレート系重合性単量体としては、トリエチレングリコールジメタクリレート(3G)などのポリアルキレングリコールジメタクリレート(より具体的には、アルキレングリコール単位の重合度が1以上14以下のポリエチレングリコールジメタクリレート、アルキレングリコール単位の重合度が1以上7以下のポリプロピレングリコールジメタクリレート、炭素数2〜10ポリメチレングリコールジメタクリレートなど)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(TCD)、1.9−ノナンジオールジメタクリレート(ND)などを挙げることができる。また、相溶性の観点では、その他の重合性単量体は、ポリアルキレングリコール鎖を有するものが好ましく、ポリエチレングリコール鎖を有するものがより好ましい。ポリアルキレングリコール鎖は、本実施形態の重合性単量体の分子中心部を構成するベンゾエート構造(すなわち非水素結合性極性基)と親和性が高いためである。以上に説明した点を考慮すれば、その他の重合性単量体としては、ポリアルキレングリコールジメタクリレートが好ましく、トリエチレングリコールジメタクリレートが特に好ましい。
なお、本願明細書において、重合性単量体の粘度は、E型粘度計を使用して25℃で測定された値を意味する。
また、その他の重合性単量体は、本実施形態の重合性単量体を用いた組成物、硬化性組成物、あるいは、本実施形態の重合性単量体を用いて得られた硬化物を含む樹脂部材の用途に応じて選択できる。たとえば、本実施形態の重合性単量体を用いた組成物あるいは硬化性組成物を、歯科用材料として用いる場合、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート等の重合性単量体を用いることが好ましい。なお、本実施形態の重合性単量体とその他の重合性単量体とを混合して用いる場合、全重合性単量体に占める本実施形態の重合性単量体は20質量%以上であることが好ましく30質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
本実施形態の重合性単量体を用いた硬化性組成物に用いる重合開始剤としては公知の重合開始剤を用いることができ、ラジカル型、カチオン型あるいはアニオン型の光重合開始剤や、アゾ系あるいは過酸化物系の熱重合開始剤など、各種の重合開始剤を適宜利用することができる。たとえば、光照射によって重合・硬化させる場合は、たとえば、カンファーキノンやp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの光重合開始剤を用いることができる。また、これらの重合開始剤は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。さらに、重合開始剤と共に、重合禁止剤や増感剤等のその他の添加物を併用することもできる。
また、本実施形態の重合性単量体を用いた組成物あるいは硬化性組成物には、フィラーを添加することも好適である。フィラーを用いることで、重合収縮の抑制効果をより大きくすることができる。また、フィラーを用いることにより、硬化前の組成物あるいは硬化性組成物の操作性を改良したり、あるいは、硬化後の機械的物性の向上を図ることができる。フィラーとしては、たとえば、非晶質シリカ、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物の粒子からなる無機フィラーを用いることができ、また、有機フィラーや、有機無機複合フィラーを用いることもできる。また、フィラーの粒径、形状は特に限定されないが、たとえば、球形状または不定形状で、平均粒子径0.01μm〜100μm程度の粒子を目的に応じて適宜使用することができる。また、これらのフィラーは、本実施形態の重合性単量体および必要に応じて併用されるその他の重合性単量体等のその他の材料とのなじみをよくし、機械的強度や耐水性を向上させる観点から、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理されていてもよい。
なお、本実施形態の重合性単量体は、歯科用硬化性組成物あるいは歯科用接着剤といった歯科材料、光学材料、印刷製版、フォトレジスト材料、塗料、接着剤、インク、光造形樹脂、木工コーティング、ハードコーティング、フィルムコーティング、紙コーティング、光ファイバーコーティング、PVC床コーティング、窯業壁コーティング、樹脂ハードコート、メタライズベースコート、リリースコーティング、金属コーティング、ガラスコーティング、無機物コーティング、弾性コーティング、平板インキ、金属缶インキ、スクリーン印刷インキ、グラビアニス、光沢加工、塗料、シーラント、紙用接着剤、フィルム用接着剤、木工用接着剤、無機用接着剤、プラスチック用接着剤、溶剤型接着剤、水性型接着剤、ホットメルト型接着剤、反応型接着剤、感圧型接着剤、シーリング剤、光沢コーティング剤、OPニス、エッチングレジスト、ソルダ―レジスト、ドライフィルム、ビルドアップ回路基板用層間密着剤、感光材料、半導体フォトレジスト、プリント配線板レジスト、感光性フレキソ版、感光性樹脂凸版、PS版、CTP版、PDP、カラーフィルタ用着色レジスト、ブラックマトリクス材料、カラーフィルターオーバーコート剤、液晶用フォトレジスト、シール剤、注入口封止剤、プリズムシート、ポッティング、防湿コート、保護コート、インキバインダー、接着バインダー、封止材、プラスチック、金属、紙など基材のプライマー、仮止め剤、光造形材料、注型樹脂、反応性希釈剤、鉄の一時防錆、金属プライマー・オーバーコート、金属コイル・シートのプライマー、粘着テープ、転写フィルム、プラスチックレンズ、ガラスレンズ等の様々な用途に用いることができ、また、その使用用途に応じて、必要に応じて様々な成分と混合して用いることもできる。
一方、本実施形態の重合性単量体とBis−GMAとは、分子の末端の反応性基の構造が同一(メタクリル基とメタクリル基)または実質同一(アクリル基とメタクリル基)であり、芳香族基を主体とする分子中央部分と反応性基とを連結する側鎖部分が水酸基を有する点でも共通している。しかしながら、分子中央部分の分子構造に着目すると、本実施形態の重合性単量体は、Bis−GMAの中心骨格を構成するビスフェノールA構造よりも極性の高いベンゾエート構造を有している。このため、分子全体で見た場合、Bis−GMAよりも本実施形態の重合性単量体の方がより親水性が高いと考えられる。
また、本実施形態の重合性単量体と特許文献4に示す重合性単量体とは、分子末端の反応性基としてメタクリル基またはアクリル基を備え、分子中央部分にはジベンゾエート構造を有する点で共通している。しかしながら、分子中央部分と反応性基とを連結する側鎖部分に着目すると、本実施形態の重合性単量体は、極めて親水性の高い水酸基を有するのに対して、特許文献4に示す重合性単量体は、水酸基を有していない。すなわち、本実施形態の重合性単量体が親水性であるのに対して、特許文献4に示す重合性単量体は疎水性である。さらに、本実施形態の重合性単量体と特許文献5に示す重合性単量体とでは、分子構造が類似しているものの、分子内に含まれる水酸基の数において異なる。すなわち、分子内に含まれる水酸基が1つである特許文献5に示す重合性単量体と比べると、分子内に含まれる水酸基が2つ以上である本実施形態の重合性単量体は、より親水性である。
これらの点を考慮すると、Bis−GMAや特許文献4、特許文献5に示す重合性単量体と比べた場合、本実施形態の重合性単量体は、より親水性が求められる用途で利用することが好適かつ有利であると言える。たとえば、本実施形態の重合性単量体を接着剤として用いる場合には、接着剤を塗布する面が親水性であることが好ましく、本実施形態の重合性単量体を他の材料と混合して用いる場合には、他の材料が親水性材料であることが好ましい。親水性の面に対して本実施形態の重合性単量体を含む接着剤を用いれば、Bis−GMAや特許文献4、特許文献5に示す重合性単量体を含む接着剤を用いた場合と比較してより優れた接着強度を得ることができる。また、シランカップリング剤などで表面処理を行った後でも比較的親水性を示す無機フィラーなどの親水性固体材料と重合性単量体とを混合した混合組成物を作製する場合、Bis−GMAや特許文献4に示す重合性単量体と比べて、本実施形態の重合性単量体では、混合が容易である上に、より多くの親水性固体材料を配合することもでき、配合量の増加に伴う混合組成物の粘度増加を抑制することも容易である。
一方、分子内に含まれる水酸基の位置・機能や、分子構造が本実施形態の重合性単量体と類似する特許文献5に記載の重合性単量体は、Bis−GMAと比べても低粘性であり、本実施形態の重合性単量体と同様に取扱い性に優れている。しかし、分子内に含まれる水酸基が1つである特許文献5に記載の重合性単量体では、分子内に含まれる水酸基が2つ以上である本実施形態の重合性単量体と比べて、分子間で形成できる水素結合ネットワークの密度が低いため、硬化物の機械的強度の点では劣ったものとなり易い。
なお、Bis−GMAや特許文献4、特許文献5に示す重合性単量体と比べて、低粘度で取扱い性に優れる点や、親水性部材表面への接着性にも優れる点では、ペンタエリストールジメタクリレートなどの水酸基を有する非芳香族系の(メタ)アクリレート系重合性単量体も有用である。しかしながら、水酸基を有する非芳香族系の(メタ)アクリレート系重合性単量体では、分子内に芳香族骨格を有さないため、硬化物の機械的強度に劣る。これに加えて、分子内に水酸基を有するため親水性は高いものの耐水性に劣るため、口腔内などのような水中あるいは高湿環境下での長期の使用には適していない。しかしながら、本実施形態の重合性単量体では、水酸基を有する非芳香族系の(メタ)アクリレート系重合性単量体と比べて、硬化物の機械的強度や耐水性の点でも優れた特性を発揮できる。
なお、上述した本実施形態の重合性単量体の特性を考慮すれば、広く歯科用硬化性組成物の一成分として使用できる。本実施形態の重合性単量体は、歯科材料、特に、親水性の歯面への接着に用いられる歯科用接着剤や、機械的強度をより高めるために無機フィラーが配合されると共に親水性の被着面である歯面との高い親和性も要求される歯科用充填修復材料(コンポジットレジン)を構成する重合性単量体として用いることが好適である。さらに、歯科用接着材とコンポジットレジンの双方の機能を兼ね備えた歯科用接着性コンポジットレジンとしても使用可能である。また、本実施形態の重合性単量体を含む組成物を用いて得られた硬化物は機械的強度に優れる。このため、この硬化物を含む樹脂部材も、機械的強度が要求される用途に利用することが好適である。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらにより何等制限されるものではない。以下に、各実施例および比較例のサンプルの作製に用いた物質の略称・略号およびその構造式または物質名と、各種サンプルの調整方法と、各種の評価方法とについて説明する。
(1)略称・略号およびその構造式または物質名
[第一の重合性単量体(一般式(1)に示される重合性単量体)]
なお、4−BPGMAは下記化合物(a)、(b)、(c)の混合物として得られ、その比率はモル比で65:30:5である。また、上記構造式と共に示す値g、hは化合物(a)、(b)、(c)の混合物の平均値である。なお、上記構造式および以下に示す構造式と共に示す値g、hは平均値を意味するが、個々の分子においてはg、hの値は0、1または2の整数値を取り得るものである。また、値gおよびhの平均値が0または2である場合を除き、値g,hの平均値が示される構造式は、整数値(g、h)の組み合わせが異なる2種類または3種類の構造異性体の混合物を意味する。さらに、一般式(3)において、q=1、Ar=Ar=フェニレン基である場合、値gは、一般式(3)中に示す値jに対応する値であり、値hは、一般式(3)中に示す値kに対応する値である。
以下に示すBGMAは、3種類の構造異性体(下記(a)、(b)、(c)に示す化合物)からなる重合性単量体であり、(a)、(b)、(c)の比率はモル比を意味する。
以下に示すNGMAは、3種類の構造異性体(下記(a)、(b)、(c)に示す化合物)からなる重合性単量体であり、(a)、(b)、(c)の比率はモル比を意味する。
以下に示すNGMAIは、3種類の構造異性体(下記(a)、(b)、(c)に示す化合物)からなる重合性単量体であり、(a)、(b)、(c)の比率はモル比を意味する。
以下に示すAGMAは、3種類の構造異性体(下記(a)、(b)、(c)に示す化合物)からなる重合性単量体であり、(a)、(b)、(c)の比率はモル比を意味する。
[第一の重合性単量体(一般式(1)以外の分子構造を持つ重合性単量体)]
ErMA(分子量360):ペンタエリスリトールジメタクリレート
[第二の重合性単量体]
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
ND:1.9−ノナンジオールジメタクリレート
TCD:トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート
PM:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェートをモル比1:1の割合で混合した混合物
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
[光重合開始剤]
CQ:カンファーキノン
DMBE:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
[重合禁止剤]
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
[無機フィラー]
F1:球状シリカージルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカージルコニア(平均粒径0.07μm)をγ ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物。
(2)粘度測定
重合性単量体の粘度は、CSレオメーターを用いて測定した。測定装置としてはコーン/プレートジオメトリ4cm/2°及び温度制御システムを具備した粘弾性測定装置CSレオメーター「CVO120HR」(ボーリン社製)を用いた。そして、測定温度(プレート温度)25℃、ずり速度1rpsの測定条件にて、3回の測定を行い、3回の測定値の平均値を粘度とした。
(3)マトリックスモノマーサンプルの調製
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表1に示す所定の質量比で混合し、これら重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ0.5質量部、DMBE0.8質量部、およびBHT0.1質量部を添加した後、暗所にて均一になるまで攪拌した。これにより、マトリックスモノマーサンプルを得た。
(4A)硬さ・曲げ強度評価用の硬化性組成物サンプルの調製
表1に示すように上述したマトリックスモノマーサンプルを101.4質量部、無機フィラーF1を513質量部を秤り取り、メノウ乳鉢で混合して混合物を得た。続いてこの混合物を真空下にて、脱泡して気泡を取り除きペースト状の硬さ・曲げ強度評価用の硬化性組成物サンプルを得た。なお、この無機フィラー入りの硬化性組成物は、歯科用硬化性組成物、好ましくはコンポジットレジンとしても利用できるものである。なお、表1に示すように、一部のマトリックスモノマーサンプルについては、無機フィラーと混合せずに真空下にて、脱泡して気泡を取り除くことで曲げ強度評価用の硬化性組成物サンプルも準備した。
なお、硬化性組成物サンプルの調整は、第一の重合性単量体としてBis−GMAを用いる場合には、秤量時にBis−GMAをインキュベーター中で60℃に加温した状態で秤量した。また、第一の重合性単量体として4−BPDMを用いる場合には、4−BPDMと第二の重合性単量体とを混合する際に、ドライヤーで加熱しながら混合を行った。一方、第一の重合性単量体として一般式(1)に示す重合性単量体あるいはErMAを用いて硬化性組成物サンプルを調整する場合には、調整作業の全プロセスを室温環境(25℃)下にて行った。
(4B)硬化物の曲げ強度の測定
JIS T6514:2013によって規定される、クラス2グループ1の歯科充填用コンポジットレジンに対する曲げ強さ測定法に従って、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光照射を各々20秒間行って硬化物サンプルを作製し、曲げ強度を測定した。尚、測定には万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いた。
なお、曲げ強度の測定は、調整直後の硬化性組成物サンプルを硬化させた硬化物サンプル(初期)と、調整した硬化性組成物サンプルを、インキュベーター中にて60℃の環境下で5ヶ月間保存した後に、硬化させた硬化物サンプル(60℃保存後)とについて実施した。但し、60℃保存後の曲げ強度の測定については、一部の種類の硬化物サンプルについてのみ実施した。
(4C)ペースト(無機フィラー入り硬化性組成物サンプル)の硬さ計測
23℃恒温室において、SUS製ナット状の型にペースト(無機フィラー入りの硬化性組成物サンプル)を填入し、表面を平らにならし、2分間放置した。サンレオメーター((株)サン科学製)に感圧軸としてφ5mmのSUS製棒を取り付け、60mm/分の速度で1mmの深さ、あるいは、120mm/分の速度で2mmの深さまで圧縮進入した時の最大荷重[kg]をペーストの硬さとした。
(5A)接着強度試験用の硬化性組成物サンプルの調製
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表2に示す所定の質量比で混合した。次に、これら重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ1.5質量部、DMBE1.5質量部、精製水10質量部、アセトン85質量部、およびBHT0.3質量部を添加した後、暗所にて均一になるまで攪拌した。これにより、接着強度試験用の硬化性組成物サンプルを得た。この硬化性組成物サンプルは、歯科用接着剤(いわゆるボンディング材)としても利用できるものである。
(5B)接着強度試験方法
接着強度試験は、接着対象物として、表面が親水性を示す部材を用いて評価を行った。ここで、表面が親水性を示す部材としては、象牙質が表面に露出した歯牙を選択した。なお、象牙質は、ヒドロキシアパタイト、水分およびその他の有機物を含む親水性材料である。以下に、接着強度試験方法の詳細を説明する。
(5B−1)初期接着強度
屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、象牙質平面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの穴の中心に、パラフィンワックスの穴の中心をあわせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に、接着強度試験用の硬化性組成物サンプル(調整直後の硬化性組成物サンプル)を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光照射を10秒間行い硬化性組成物サンプルを硬化させた。更にその上にコンポジットレジン(トクヤマデンタル製エステライトシグマクイック)を充填し、ポリエステルシートで圧接し、充填後同じく可視光を10秒間照射して硬化させて、接着試験片を作製した。
接着試験片のコンポジットレジン硬化体上面にレジンセメント(トクヤマデンタル製ビスタイトII)を塗布し、さらに直径8mm、長さ25mmの円筒状のSUS製アタッチメントを接着させた。次に、37℃で15分レジンセメントを硬化させた後、接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬することにより、アタッチメント付き接着試験片Iを得た。その後、このアタッチメント付き接着試験片Iを万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、クロスヘッドスピード1mm/minにて引っ張り、歯牙とコンポジットレジン硬化体との引張り接着強度を測定した。引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例について準備した8本の試験片のそれぞれについて測定した。そして、8回の引張接着強度の平均値を、各実施例あるいは比較例の初期接着強度とした。
(5B−2)耐久試験後接着強度
アタッチメント付き接着試験片Iを熱衝撃試験器に入れ、4℃の水槽に1分間浸漬後、60℃の水槽に移し1分間浸漬し、再び4℃の水槽に戻す操作を、3000回繰り返す耐久試験を実施した。その後、この耐久試験を実施した接着試験片Iについて、初期接着強度を求める場合と同様に引張り接着強度を測定し、耐久試験後の接着強度とした。
(5B−3)60℃保存後接着強度
初期接着強度の測定に際して用いた調整直後の硬化性組成物サンプルの代わりに、調整した硬化性組成物サンプルを、インキュベーター中にて60℃の環境下で20日間保存したものを用いた以外は、(5B−1)に示す手順にて接着強度を測定した。
(6)重合性単量体の合成手順
マトリックスモノマーサンプルの調整に際して用いた第一の重合性単量体のうち、一般式(1)に示される重合性単量体に該当するものについては、以下の手順で合成した。
<4−BPGMAの合成>
12.8gのメタクリル酸グリシジル(0.09モル)に4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド0.02g(0.00009モル)、BHT0.02g(0.00009モル)、ジメチルホルムアミド20gを加え、100℃で4時間反応させた。得られた液に酢酸エチル40mlを加え、均一な溶液にした後、分液ロートに移し、10wt%炭酸カリウム水溶液40mlで3回洗浄した。さらに蒸留水で3回洗浄した後、回収した酢酸エチル層に硫酸マグネシウムを加え、含まれる水分を除去した。その後硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物を更に真空乾燥して、4−BPGMA(収量:22.3g、収率85%、HPLC純度95%)を得た。なお、得られた4−BPGMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ 1.93(s,6H),3.95(d,0.8H)4.30〜4.70(m,9.2H),6.10(s,2H),7.59(d,4H),8.06(s,4H)
<4−BPGMAIの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸11.5g(0.052モル)、ジメチルホルムアミド0.46g(0.0065モル)およびトルエン40mlの混合液を作製した。攪拌状態の上記混合液に、塩化チオニル24.8g(0.208モル)とトルエン10mlの混合液を室温下で徐々に滴下した。滴下終了後の混合液を95℃に昇温し、3h還流した。得られた黄色透明液体を放冷し、4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライドのトルエン溶液を得た。トルエン溶液をロータリーエバポレーターにかけ、40℃でトルエン、塩化チオニル、塩化水素を除去し、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライド(以下、酸クロライドAと呼称する)の固体13.3g(0.052モル)を得た。その後、固体状の酸クロライドAに塩化メチレン30mlを加え、酸クロライドA−塩化メチレン溶液とした。
別途モノメタクリル酸グリセロール−1−イル33.3g(0.208モル)テトラメチルエチレンジアミン12.1g(0.104モル)、BHT0.002gと塩化メチレン20mlを混合した溶液を作製した。この液を上記の酸クロライドA−塩化メチレン溶液に−78℃で徐々に滴下し、さらに5時間攪拌した。得られた液を0.4mol/L塩酸水60mlで3回洗浄し、さらに10wt%炭酸カリウム水溶液60mlで3回洗浄した。さらに蒸留水で3回洗浄した後、回収した塩化メチレン層に硫酸マグネシウムを加え、含まれる水分を除去した。その後硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4−BPGMAI(収量25.2g、収率92%、HPLC純度97%)を得た。なお、得られた4−BPGMAIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.95(d,0.2H),4.30〜4.70(m,9.8H),5.59(s,2H),6.10(s,2H),7.59(d,4H),8.06(s,4H)
<4−BPGMAIIの合成>
上記の方法で4−BPGMAを合成後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1〜2/1)によって、精製することで、4−BPGMAII(収量16.8g、収率64%、HPLC純度99%)を得た。なお、得られた4−BPGMAIIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),4.30〜4.45(m,10H),5.59(s,2H),6.10(s,2H)),7.59(d,4H),8.06(s,4H)
<4−BPGMAIIIの合成>
上記の方法で4−BPGMAを合成後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1〜2/1)によって、精製することで、4−BPGMAIII(収量2.1g、収率8%、HPLC純度97%)を得た。なお、得られた4−BPGMAIIIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.95(d,3.2H)4.30〜4.70(m,6.8H),5.59(s,2H),6.10(s,2H),),7.59(d,4H),8.06(s,4H)
<2−BPGMAの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)の代わりに2,2’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)を用いた以外は、4−BPGMAの合成法と同様の方法で、2−BPGMA(収量22.6g、収率86%、HPLC純度96%)を得た。なお、得られた2−BPGMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.83(d,2H),4.00〜4.65(m,8H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.34(d,2H),7.56(d,4H),8.06(d,2H)
<2−BPGMAIの合成>
2,2’−ビフェニルジカルボン酸ジアリル43.5g(0.135mol)を塩化メチレン50mlに溶解後、60質量%メタクロロ過安息香酸/水混合物58g(0.338mol相当)を加え、室温で10時間撹拌した。撹拌後、副生成物のメタクロロ安息香酸をろ別し、ろ液を15質量%亜硫酸ナトリウム水溶液75mlで還元処理を行った。塩化メチレン層を分液後、5質量%炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーター濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、2,2’−ビフェニルジカルボキシグリシジルエステル44.0g(収率92%)を得た。
得られた2,2’−ビフェニルジカルボキシグリシジルエステル22.1g(0.0625mol)、メタクリル酸13.4g(0.156mol)、ベンジルトリエチルアンモウニウムクロライド0.045g(0.2mmol)、及びp−メトキシフェノール0.03gを90℃で4時間撹拌した。加熱撹拌後、室温まで放冷し、水50mlを加え、塩化メチレンで抽出した。得られた塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、2−BPGMAI(収量24.5g,収率75%,HPLC純度95%)を得た。なお、得られた2−BPGMAIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.81(d,2H),4.00〜4.65(m,8H),5.58(s,2H),6.15(s,2H),7.33(d,2H),7.57(d,4H),8.09(d,2H)
<2−BPGMAIIの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)の代わりに2,2’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)を用いた以外は、4−BPGMAIの合成法と同様の方法で、2−BPGMAII(収量22.6g、収率93%、HPLC純度96%)を得た。なお、得られた2−BPGMAIIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.83(d,0.2H)4.00〜4.65(m,9.8H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.34(d,2H),7.56(d,4H),8.06(d,2H)
<2−BPGMAIIIの合成>
上記の方法で2−BPGMAを合成後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1〜2/1)によって、精製することで、2−BPGMAIII(収量17.6g、収率67%、HPLC純度99%)を得た。なお、得られた2−BPGMAIIIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),4.30〜4.41(m,10H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.34(d,2H),7.56(d,4H),8.06(d,2H)
<2−BPGMAIVの合成>
上記の方法で4−BPGMAを合成後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:SiO、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/1〜2/1)によって、精製することで、2−BPGMAIV(収量2.2g、収率9%、HPLC純度96%)を得た。なお、得られた2−BPGMAIVのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.83(d,3.2H)4.00〜4.65(m,6.8H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.34(d,2H),7.56(d,4H),8.06(d,2H)
<4−BPHMA>
5−ヘキセン−1−オール(30.1g,0.3mol)を塩化メチレン100mlに溶解後、トリエチルアミン33.4g(0.33mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.8g(0.015mol)を加えた。得られた溶液を氷冷し、メタクリル酸クロライド31.4g(0.3mol)の塩化メチレン(50ml)溶液を滴下した。滴下終了後の溶液を、室温で3時間撹拌した後に、蒸留水100mlを加え、塩化メチレンで3回抽出した。得られた塩化メチレン層をロータリーエバポレーターを用いて除媒後、残さを100mlトルエンで溶解した。得られたトルエン溶液を0.5規定塩酸溶液で3回洗浄後、飽和食塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウム溶液で乾燥した。乾燥後硫酸マグネシウム溶液をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮、濃縮物をさらに真空乾燥して、メタクリル酸5−ヘキセン−1−イル46.4g(収率92%)を得た。
得られたメタクリル酸5−ヘキセン−1−イル45.4g(0.27mol)を塩化メチレン100mlに溶解後、60質量%メタクロロ過安息香酸/水混合物196g(0.675mol相当)を加え、室温で10時間撹拌した。撹拌後、副生成物のメタクロロ安息香酸をろ別し、ろ液を15質量%亜硫酸ナトリウム水溶液150mlで還元処理を行った。塩化メチレン層を分液後、5質量%炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーター濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、メタクリル酸5,6−エポキシヘキサン−1−イル44.8g(収率90%)を得た。
得られたメタクリル酸5,6−エポキシヘキサン−1−イル23.0g(0.125mol)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)、ベンジルトリエチルアンモウニウムクロライド0.045g(0.2mmol)、及びp−メトキシフェノール0.03gを混合した混合液を90℃で4時間撹拌した。加熱撹拌後、室温まで放冷し、水50mlを加え、塩化メチレンで抽出した。得られた塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、4−BPHMA(収量28.1g,0.046mol,収率93%、HPLC純度95%)を得た。なお、得られた4−BPHMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.29(t,4H),1.44(m,4H),1.57(t,4H),1.93(s,6H),3.85(d,1.9H),4.15〜4.70(m,8.1H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.57(d,4H),8.05(d,4H)
<4−BPEPMA>
アリルオキシエタノール30.6g(0.3mol)を塩化メチレン100mlに溶解後、トリエチルアミン33.4g(0.33mol)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.8g(0.015mol)を加えた。得られた溶液を氷冷し、メタクリル酸クロライド31.4g(0.3mol)の塩化メチレン溶液50mlを滴下した。滴下終了後の溶液を、室温で3時間撹拌した後に、蒸留水100mlを加え、塩化メチレンで3回抽出した。得られた塩化メチレン層をロータリーエバポレーターを用いて除媒後、残査を100mlのトルエンで溶解した。得られたトルエン溶液を0.5規定塩酸溶液で3回洗浄後、飽和食塩水溶液で3回洗浄し、硫酸マグネシウム溶液で乾燥した。乾燥後硫酸マグネシウム溶液をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮、濃縮物をさらに真空乾燥して、メタクリル酸−アリルオキシエチル46.0g(収率90%)で得た。
得られたメタクリル酸アリルオキシエチル46.0g(0.27mol)を塩化メチレン100mlに溶解後、60質量%メタクロロ過安息香酸/水混合物196g(0.675mol相当)を加え、室温で10時間撹拌した。撹拌後、副生成物のメタクロロ安息香酸をろ別し、ろ液を15質量%亜硫酸ナトリウム水溶液150mlで還元処理を行った。塩化メチレン層を分液後、5質量%炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーター濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、メタクリル酸グリシジルオキシエチル47.3g(収率94%)を得た。
得られたメタクリル酸−グリシジルオキシエチル23.3g(0.125mol)、4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)、ベンジルトリエチルアンモウニウムクロライド0.045g(0.2mmol)、及びp−メトキシフェノール0.03gを混合した混合液を90℃で4時間撹拌した。加熱撹拌後、室温まで放冷し、水50mlを加え、塩化メチレンで抽出した。得られた塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、4−BPEPMA(収量28.3g,収率92%,HPLC純度94%)を得た。なお、得られた4−BPEPMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.50〜4.50(m,18H),4.15〜4.70(m,8.1H),5.59(s,2H),6.16(s,2H),7.58(d,4H),8.03(d,4H)
<4−BPHMAI>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸24.1g(0.10mol)、5−ヘキセン−1−オール(21.0g,0.21mol)、およびp−トルエンスルホン酸(0.01mol、1.72g)を混合した混合液を、120℃で2時間加熱攪拌し、その後、減圧により副生した水を取り除いた。室温まで放冷後、5質量%炭酸カリウム水溶液を加え、有機層をトルエンで抽出した。得られたトルエン層を更に飽和食塩水で2回洗浄し、炭酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、ロータリーエバポレーターを用いてトルエンを留去し、ビス(5−ヘキセン)−4,4’−ビフェニルジカルボキシレート(収量38.6g、収率95%)が得られた。
得られたビス(5−ヘキセン)−4,4’−ビフェニルジカルボキシレート32.5g(0.08mol)を塩化メチレン100mlに溶解後、60質量%メタクロロ過安息香酸/水混合物34.5g(0.12mol相当)を加え、室温で10時間撹拌した。撹拌後、副生成物のメタクロロ安息香酸をろ別し、ろ液を15質量%亜硫酸ナトリウム水溶液150mlで還元処理を行った。塩化メチレン層を分液後、5質量%炭酸カリウム水溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーター濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、4,4’−ビフェニルジカルボン酸 ビス(5,6−エポキシヘキサン−1−イル)31.6g(収率90%)を得た。
得られた4,4’−ビフェニルジカルボン酸 ビス(5,6−エポキシヘキサン−1−イル)27.4g(0.0625mol)、メタクリル酸13.4g(0.156mol)、ベンジルトリエチルアンモウニウムクロライド0.045g(0.2mmol)、及びp−メトキシフェノール0.03gを混合した混合液を90℃で4時間撹拌した。加熱撹拌後の混合液を、室温まで放冷し、水50mlを加え、塩化メチレンで抽出した。得られた塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、4−BPHMAI(収量28.6g、収率75%,HPLC純度96%)を得た。なお、得られた4−BPHMAIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.23−1.76(m,6H),1.93(d,6H),3.80(m,4H)4.03(m,1.6H),4.24(m,4H),4.31(d,2.4H),5.58(s,2H),6.15(s,2H),7.58(d,2H),8.04(d,4H),
<BGMAの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)の代わりにテレフタル酸8.3g(0.05mol)を用いた以外は、4−BPGMAの合成方法と同様の方法で、BGMA(収量20.7g、収率92%、HPLC純度95%)を得た。なお、得られたBGMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.75(d,2H),4.35〜4.75(m,8H),5.57(s,2H),6.13(s,2H),8.09(d,4H)
<NGMAの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)の代わりに2,6−ナフタレンジカルボン酸10.8g(0.05mol)を用いた以外は、4−BPGMAの合成方法と同様の方法で、NGMA(収量22.8g、収率91%、HPLC純度96%)を得た。なお、得られたNGMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.85(d,2H),4.40〜4.75(m,8H),5.58(s,2H),6.15(s,2H),7.90(d,2H),8.09(d,2H),8.57(d,2H)
<NGMAIの合成>
2,3−ナフタレンジカルボン酸ジアリル40.0g(0.135mol)を塩化メチレン50mlに溶解後、60質量%メタクロロ過安息香酸/水混合物99g(0.338mol相当)を加え、室温で10時間撹拌した。撹拌後、副生成物のメタクロロ安息香酸をろ別し、ろ液を15質量%亜硫酸ナトリウム水溶液75mlで還元処理を行った。塩化メチレン層を分液後、1規定水酸化ナトリウム溶液で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーター濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、2,3−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル39.9g(収率90%)を得た。
得られた2,3−ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル20.5g(0.0625mol)、メタクリル酸13.4g(0.165mol)、ベンジルトリエチルアンモウニウムクロライド0.045g(0.2mmol)、及びp−メトキシフェノール0.03gを混合した混合液を90℃で4時間撹拌した。加熱撹拌後、室温まで放冷し、水50mlを加え、塩化メチレンで抽出した。得られた塩化メチレン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をさらに真空乾燥して、NGMAI(収量22.5g,収率72%,HPLC純度95%)を得た。なお、得られたNGMAIのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.84(d,2H),4.40〜4.75(m,8H),5.58(s,2H),6.15(s,2H),7.60(d,2H),7.94(d,2H),8.60(d,2H)
<AGMAの合成>
4,4’−ビフェニルジカルボン酸12.1g(0.05mol)の代わりに9,10−アントラセンジカルボン酸13.3g(0.05mol)を用いた以外は、4−BPGMAの合成方法と同様の方法で、AGMA(収量24.8g、収率90%、HPLC純度94%)を得た。なお、得られたAGMAのH NMRスペクトルのデータは、次の通りであった。
H NMR δ1.93(s,6H),3.80(d,2H),4.42〜4.70(m,8H),5.55(s,2H),6.12(s,2H),7.55(d,4H),8.62(d,4H)
(7)評価結果
第一の重合性単量体を用いて作製した硬化性組成物サンプルの組成、ならびに、硬化物の硬さおよび曲げ強度の評価結果を表1に、また、第一の重合性単量体を用いて作製した硬化性組成物サンプルの組成および接着強度の評価結果を表2に示す。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1’)で示されることを特徴とする重合性単量体。
    一般式(1’)
    〔前記一般式(1’)中、ArおよびArは、各々、2価または3価から選択されるいずれかの価数を持つ芳香族基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、LおよびLは、各々、主鎖の原子数が2〜10の範囲内であり、かつ、少なくとも1つの水酸基を含む2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表す。また、m1およびm2は、各々、1または2である。〕
  2. 請求項1に記載の重合性単量体において、
    下記一般式(2)で示されることを特徴とする重合性単量体。
    一般式(2)
    〔前記一般式(2)中、RおよびRは、前記一般式(1’)中に示すものと同様である。〕
  3. 請求項1に記載の重合性単量体において、
    下記一般式(3’)で示されることを特徴とする重合性単量体。
    一般式(3’)
    〔前記一般式(3’)中、ArおよびArは、価数が2価のみを取りえることを除いて前記一般式(1’)中に示すものと同様であり、LおよびLは、各々、主鎖の原子数が1〜8の範囲内の2価の炭化水素基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、RおよびRは、各々、水素またはメチル基を表し、左側の括弧内に示す基および右側の括弧内に示す基は、中央に示す基;−Ar −Ar −の2つの結合手のいずれに対しても結合可能であり、j、kの値に応じて、(a)前記左側の括弧内に示す基が前記中央に示す基の両側に結合していてもよく、(b)前記右側の括弧内に示す基が前記中央に示す基の両側に結合していてもよく、(c)前記一般式(3’)そのものとして示されるように、前記中央に示す基の一方側に前記左側の括弧内に示す基が結合し、他方側に前記右側の括弧内に示す基が結合していてもよいものである。また、jは0、1または2であり、kは0、1または2であり、j+k=2である。〕
  4. 請求項3に記載の重合性単量体において、
    前記一般式(3’)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)が、(1、1)および(0、2)からなる群より選択されるいずれかであることを特徴とする重合性単量体。
  5. 請求項3に記載の重合性単量体において、
    前記一般式(3’)に示す値j、kの組み合わせ(j、k)が、(2、0)、(1、1)および(0、2)からなる群より選択されるいずれか2種類以上の構造異性体を含むことを特徴とする重合性単量体。
  6. 請求項5に記載の重合性単量体おいて、
    全ての重合性単量体分子における値kの平均値が0.05以上2.0未満であることを特徴とする重合性単量体。
  7. 下記一般式(4’)に示す化合物と、下記一般式(5)に示す化合物とを反応させる反応工程を少なくとも経て、下記一般式(6’)〜(8’)に示す化合物からなる群より選択される2種類以上の構造異性体を含む重合性単量体を製造することを特徴とする重合性単量体の製造方法。
    一般式(4’)
    一般式(5)
    一般式(6’)
    一般式(7’)
    一般式(8’)
    〔前記一般式(4’)、(5)、(6’)〜(8’)中、ArおよびArは、各々、2価の芳香族基を表し、各々同一であっても異なっていてもよく、Lは主鎖の原子数が1〜7の2価の炭化水素基を表す。また、pは0または1である。〕
  8. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の重合性単量体と、重合開始剤と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の重合性単量体を含む組成物を用いて得られた硬化物を含むことを特徴とする樹脂部材。
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