JP7140387B2 - 新規な重合性単量体及びこれを用いた歯科用重合硬化性組成物 - Google Patents
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Description
上記重合硬化性組成物は、高い双極子モーメントを有する難溶性の化合物との相溶性が高く、かつ親水性が高すぎないという特徴を有するばかりでなく、その硬化体は機械的強度に優れ、実用的な耐水性、具体的には水中浸漬後の強度低下が起こり難いという性質をも有するものである。
AB´は、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの4価の有機残基であり、
LX ´はAB ´とXとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
LY ´はAB ´とYとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、ABにLX ´を介して複数結合するXは互いに異なっていてもよく、
Yは以下に示される環状エーテル基である。
式中のXは、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。分子中に含まれる2つのXは、互いに異なっていてもよいが、合成の容易さの観点からは同一種であることが好ましい。
AB´は、下記の「AB´´」に示すいずれかから選択されるのがより好ましい。
[第一の重合性単量体]
(1)一般式(2)に示される重合性単量体
・PhTGMA:ビス(2-ヒドロキシ-3-(メタクリロイルオキシ)プロピル)ビス(テトラヒドロフラン2-イル)メチル)ベンゼン-1、2、4,5-テトラカルボキシレート
PhTGMAの構造式を以下に示す。
BPTGMAの構造式を以下に示す。
DPETGMAの構造式を以下に示す。
CyTGMA構造式を以下に示す。
・Bis-GMA:ビスフェノールAジグリシジルジメタクリレート
・MEAMA:メタクリロイルオキシメチルアセトアミド。
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
MDP:10-メタクリロイルデカンリン酸。
CQ:カンファーキノン
DMBE:p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル。
BHT:2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール。
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表1に示す所定の質量比で混合し、これら重合性単量体の混合物として、暗所にて均一になるまで撹拌した。これにより、溶解時間試験用マトリックスモノマーサンプルを得た。
第一の重合性単量体と第二の重合性単量体とを表2に示す所定の質量比で混合し、これら重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ0.5質量部、DMBE1.0質量部、およびBHT0.1質量部を添加した後、暗所にて均一になるまで撹拌した。これにより、接着試験用マトリックスモノマーサンプルを得た。
後述する実施例、比較例のサンプルについての溶解時間試験、接着試験は、以下の通りである。
前述の接着試験用マトリックスモノマーサンプルを100質量部に対して、10-メタクリロイルデカンリン酸(MDP)20重量部を加え、23℃でマトリックスモノマーが均一になるまでの時間を観察し、これを溶解時間とした。
接着試験は、接着対象物として、表面が親水性を示す部材を用いて評価を行った。ここで、表面が親水性を示す部材としては、エナメル質が表面に露出した歯牙、及び象牙質が表面に露出した歯牙を選択した。
まず、屠殺後24時間以内に抜去した牛前歯を、注水下、耐水研磨紙P600で研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質、あるいは、象牙質面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約5秒間吹きつけて乾燥させた。そして、この平面に直径3mmの孔を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの孔を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの孔の中心に、パラフィンワックスの孔の中心を合わせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に前述の接着試験用マトリックスモノマーサンプルを塗布し、20秒放置後、可視光照射機(LCT、カボデンタルシステムズジャパン社製)により可視光照射を20秒間行い、マトリックスモノマーサンプルを硬化させた。さらに、その上にコンポジットレジン(トクヤマデンタル社製エステライトシグマクイック)を充填し、ポリエステルシートで圧接し、充填後可視光を10秒間照射して硬化させた。
接着試験片のコンポジットレジン硬化体の上面にレジンセメント(トクヤマデンタル社製ビスタイトII)を塗布し、さらに直径8mm、長さ25mmの円筒状のSUS製アタッチメントを接着させた。23度で30分レジンセメントを硬化させた後、接着試験片を37度の水中に24時間浸漬することにより、アタッチメント付き接着試験片を得た。
万能試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、アタッチメント付き接着試験片をクロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、歯牙とコンポジットレジン硬化体との引張接着強度を測定した。引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例について準備した8本の試験片のそれぞれについて測定した。そして、8回の引張接着強度の平均値を、各実施例あるいは比較例の接着強度とした。また、接着強度の測定方法と同様の方法で準備した8本の試験片をさらに水温5度の水槽と、水温55度の水槽とに、それぞれ30秒間ずつ交互に浸漬する浸漬処理を1セットとし、これを3000回繰り返し実施した後の接着強度を耐久試験後接着強度とした。
マトリックスモノマーサンプルの調製に際して用いた重合性単量体の内、一般式(1)に示される重合性単量体に該当するものについては、以下の手順で合成した。
ピロメリット酸無水物115mmol(25g)に対して、トリエチルアミン0.06モル当量、BHT0.0010モル当量とメチルイソブチルケトン(MIBK)100mL中で混合し、窒素雰囲気下とし氷冷後に、テトラヒドロフルフリルアルコール2モル当量を滴下した。滴下終了後に、90℃まで加熱後2.5時間撹拌した。続いて、反応液を室温になるまで放置した後に、グリシジルメタクリレート(GMA)2モル当量、BHT0.0010モル当量の混合液を滴下後、テトラエチルアンモニウムブロミド(TEABr)0.06モル当量を反応液に加えた。80℃で3時間撹拌後、再び室温になるまで放置し、続いて10%炭酸カリウム水溶液、1%塩酸水溶液、2%炭酸カリウム水溶液、蒸留水の順で洗浄した。ロータリーエバポレーターおよび真空乾燥機を用いて、除媒することで、PhTGMAの高粘性の黄色の液体を42.6g (収率55%)で得た。得られたPhTGMAのH1―NMRのスペクトルデータを以下に示す。
1H NMRδ 8.90(t,2H)、6.15(s,2H)、5.58(s,2H)、4.68-4.20(m,16H)、3.98.-3.78(m,4H)、2.17-1.86(m,14H)、1.72―1.56(m,4H)。
ピロメリット酸無水物の代わりに、3,3,4,4-ビフェニルテトラカルボン酸2無水物を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、BPTGMAの高粘性の黄色の液体を49.9g(収率52%)で得た。得られたBPTGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
1H NMRδ 8.30(d,2H)、8.14(d,2H)、7.96(d,2H)、6.15(s,2H)、5.57(s,2H)、4.64-4.11(m,16H)、4.00-3.77(m,4H)、2.12-1.88(m,14H)、1.70―1.55(m,4H)。
ピロメリット酸無水物の代わりに、4,4´―オキシジフタル酸無水物を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、DPETGMAの高粘性の黄色の液体を54.2g(収率60%)で得た。得られたDPETGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
1H NMRδ 7.61(d,2H)、7.06(d,2H)、6.88(d,2H)6.14(s,2H)、5.20(s,2H)、4.66-4.22(m,16H)、4.12-3.88(m,4H)、2.22-1.90(m,14H)、1.76―1.50(m,4H)。
ピロメリット酸無水物の代わりに、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸を用いた以外は、PhTGMAの合成と同様の方法で、CyTGMAの高粘性の黄色の液体を41.1g(収率52%)で得た。得られたDPETGMAのH1-NMRのスペクトルデータを以下に示す。
1H NMRδ 6.18(s,2H)、5.60(s,2H)、4.66-4.22(m,18H)、4.12-3.88(m,4H)、2.22-1.90(m,14H)、1.76―1.50(m,4H)。
第一の重合性単量体としてPhTGMA60質量部、第二の重合性単量体としてTEGDMA40質量部を混合し、溶解時間試験用マトリクスルモノマーを調製し、該溶解時間試験用マトリクスルモノマーを用いてMDPの溶解時間試験を行った。結果を表1に示す。
第一の重合性単量体を表1に示すものに変えた以外は実施例A1と同様にして、MDPの溶解時間試験を行った。結果を表1に示す。
第一の重合性単量体としてPhTGMA60質量部、第二の重合性単量体としてTEGDMA10質量部、HEMA20質量部及びMDP20質量を混合し、得られた重合性単量体の混合物100質量部に対して、CQ0.5質量部、DMBE1.0質量部、およびBHT0.1質量部を添加して接着試験用マトリックスモノマーサンプルを調製した。該接着試験用マトリクスルモノマーを用いて牛歯への接着試験を行い、初期の接着強度及び耐久試験後接着強度を測定した。結果を表2に示す。
第一の重合性単量体を表2に示すものに変えた以外は実施例B1と同様にして、接着試験を行った。結果を表3に示す。
Claims (3)
- 下記一般式(2)で示される重合性単量体。
AB´は、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの4価の有機残基であり、
LX ´はAB ´とXとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
LY ´はAB ´とYとの間に介在する、以下に示される有機残基から選ばれる何れかの2価の有機残基であり、
Xはアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、ABにLX ´を介して複数結合するXは互いに異なっていてもよく、
Yは以下に示される環状エーテル基
- 分子量が100以上、2000以下である請求項1に記載の重合性単量体。
- 請求項1又は2に記載の重合性単量体及び重合開始剤を含んでなることを特徴とする歯科用重合硬化性組成物。
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JP2017149650A (ja) | 2016-02-22 | 2017-08-31 | 株式会社トクヤマデンタル | 歯科用硬化性組成物 |
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