JP6621300B2 - SiC単結晶成長装置およびSiC単結晶成長方法 - Google Patents
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例えば、SiC単結晶の結晶成長時の温度条件は、SiC単結晶の品質に大きな影響を及ぼす。そのため特許文献2には、SiC単結晶の結晶成長面の温度を均一にするために、種結晶と坩堝の位置を上下に稼働すると共に回転可能とした単結晶育成装置が記載されている。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。また、以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るSiC単結晶成長装置の断面模式図である。
SiC単結晶成長装置100は、坩堝10と、蓋体20と、ガイド部材30と、回転駆動手段40とを備える。蓋体20の外周には、加熱手段50と、加熱された坩堝10を保温する断熱材60とを有していてもよい。図1では、理解の助けになるように、SiC単結晶成長用原料11、種結晶22、種結晶22から成長したSiC単結晶23を併せて図示した。SiC単結晶成長用原料11は、坩堝10内に収納されている。種結晶22は、蓋体20に設けられた種結晶設置部21に設けられている。
以下図示において、種結晶載置部21とSiC単結晶成長用原料11が対向する方向を上下方向とし、上下方向に対して垂直な方向を左右方向とする。
坩堝10の上面の径は、種結晶設置部21の径より大きい。そのためガイド部30Aは、種結晶設置部21側から坩堝10側へ向かって広がるように形成されていることが好ましい。ガイド部30Aは、種結晶設置部21の全周に渡って形成されていることが好ましい。ガイド部30Aを全周に渡って設けることで、種結晶設置部21に設置された種結晶22から結晶成長するSiC単結晶23が、いずれの周方向でも口径拡大することができる。ガイド部30Aが傾斜する場合、傾斜角はガイド部30Aを種結晶設置部21に対して垂直ないずれの面で切断した場合においても同一であることが好ましい。傾斜角が同一であれば、SiC単結晶23の口径拡大率を一定にすることができる。
なお、回転台41と蓋体20及び/またはガイド部材30の接続は、蓋体20及び/またはガイド部材30を回転させることができれば、下端面である必要はない。
加熱手段50によって加熱されたSiC単結晶成長用原料11は昇華し、原料ガスを発生させる。発生した原料ガスは、矢印G1で示すように、種結晶設置部21に設置された種結晶22に向かって供給される。
またガイド部材30がないと、種結晶22に供給されず、その他の部分に供給された原料ガスにより、蓋体20の上方角部に多結晶24が多く結晶成長する。すなわち、多くの原料ガスが多結晶24を形成するために用いられることを意味し、効率的にSiC単結晶23を結晶成長することができない。
一方、ガイド部材30を有するSiC単結晶成長装置では、図5に示すように、ガイド部材30表面に多結晶24が形成される。多結晶24は、ガイド部材30の中でも原料ガスの流れる方向に沿ったガイド部30aの端部で特に結晶成長しやすい。この多結晶24は、結晶成長が進むに従い、SiC単結晶23と接触し、一体化する。SiC単結晶23と多結晶24はその結晶性が異なるため、一体化するとその接触面に歪みが生じる。この歪みは、SiC単結晶23内の欠陥及び異種多形の発生原因となる。またこの歪みは、SiC単結晶23にクラックを発生させる要因ともなりうる。
このとき、回転するのは、種結晶設置部21及びガイド部材30のいずれか一方のみでもよいし、両方が回転してもよい。いずれの場合でも、SiC単結晶23とガイド部材30表面に形成された多結晶24との位置関係を相対的に動く。種結晶設置部21及びガイド部材30の両方を駆動させる場合は、それぞれの回転方向は異なる方が好ましい。それぞれの回転方向を異なる向きとすることで、よりSiC単結晶23と多結晶24が一体化することを阻害することができる。
ガイド部材30と蓋体20の側壁20Bとの距離をある程度の幅で確保することで、原料ガスがこの間で再結晶化し、回転駆動を阻害することを抑制することができる。またガイド部材30と蓋体20の側壁20Bとの距離をある程度の幅を可能な限り狭めることで、外部に流出する原料ガスの量を少なくし、効率的に結晶成長を行うことができる。
また蓋体20の側壁20Bと、坩堝10の外壁との距離も可能な限り狭めることが好ましい。
図6は、第2実施形態にかかるSiC単結晶成長用坩堝の断面を模式的に示した断面模式図である。第2実施形態に係るSiC単結晶成長装置200は、第1実施形態に係るSiC単結晶成長装置100の坩堝10とガイド部材30が一体化され、ガイド部付坩堝70となっている点が異なる。以下の説明では、上記実施形態と共通な箇所の説明は省略し、説明に用いる各図面において、図1〜図5と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
収納部70A及び傾斜部70Bの構成及び材料は、第1実施形態の坩堝10及びガイド部材30のガイド部30Aと同等のものを用いることができる。
傾斜部70Bには、第1実施形態のガイド部材30と同様に、多結晶が付着する。そのため、種結晶設置部21と傾斜部70Bとが相対的に回転することで、種結晶設置部21に設置された種結晶22から結晶成長するSiC単結晶23と、傾斜部70に付着した多結晶が接触し、一体化することを抑制することができる。
ガイド部付坩堝70の外壁と蓋体20の内壁との距離をある程度の幅で確保することで、原料ガスがこの間で再結晶化し、回転駆動を阻害することを抑制することができる。またガイド部付坩堝70の外壁と蓋体20の内壁との距離をある程度の幅を可能な限り狭めることで、外部に流出する原料ガスの量を少なくし、効率的に結晶成長を行うことができる。ガイド部付坩堝70を用いる場合は、第1実施形態におけるガイド部30を設ける隙間を考慮する必要が無く、坩堝10と蓋体20の間に形成される隙間を最も狭くすることができ、原料ガスの流出を最も抑えることができる。
Claims (6)
- 内部にSiC単結晶成長用原料を収納できる坩堝と、
前記坩堝に対向する位置に種結晶設置部を有する天井部と前記坩堝を囲む側壁とを有し、前記坩堝を覆う蓋体と、
前記種結晶設置部側から前記坩堝側へ向かって延在するガイド部と、前記ガイド部を支持する支持部とを有するガイド部材と、
前記種結晶設置部及び/または前記ガイド部材を回転させることで、前記種結晶設置部と前記ガイド部材とを相対的に回転させる回転駆動手段と、を備えるSiC単結晶成長装置。 - 前記ガイド部材と前記坩堝が一体化されている請求項1に記載のSiC単結晶成長装置。
- 前記ガイド部材と前記蓋体の側壁との最短距離が0.01mm超10mm以下である請求項1または2のいずれかに記載のSiC単結晶成長装置。
- 前記ガイド部材の表面が炭化タンタルでコーティングされている請求項1〜3のいずれか一項に記載のSiC単結晶成長装置。
- 坩堝内にSiC単結晶成長用原料を収納する工程と、
前記坩堝の開口端側にガイド部材を配設する工程と、
蓋体の種結晶設置部に種結晶を設置する工程と、
前記種結晶が前記SiC単結晶成長用原料と対向するように、前記種結晶が設置された蓋体で前記坩堝及び前記ガイド部材を覆う工程と、
前記種結晶と前記ガイド部材を相対的に回転させながら、SiC単結晶成長用原料を昇華させる工程と、を有するSiC単結晶成長方法。 - 前記種結晶に対する前記ガイド部材の回転速度が、0.1rpm〜30rpmである請求項5に記載のSiC単結晶成長方法。
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