以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
(実施の形態1)
はじめに、図1および図2を参照しながら、本実施の形態の田植機8の構成について具体的に説明する。
ここに、図1は本発明における実施の形態1の田植機8の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態1の田植機8の上面図である。
図1においては走行車体2を備える乗用型の8条植えの田植機8の側面視における状態が図示されており、図2においては平面視における状態が図示されている。
なお、田植機8は、本発明の苗移植機の一例である。
また、走行車体2は本発明の走行車体の一例であり、昇降リンク装置3は本発明の昇降装置の一例であり、操縦ハンドル34は本発明の操舵装置の一例である。
田植機8は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10及び左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10が各々取り付けられている。
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11が取り付けられている。
エンジン20は、メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。
ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13に伝達されて前輪10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18に伝達されて後輪11を駆動する。
又、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に運転席31が設置されている。運転席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10を操向操作する操縦ハンドル34が設けられている。
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。上リンク40及び下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダー46が設けられており、昇降油圧シリンダー46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4が略一定姿勢のまま昇降する。
苗植付部4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具54によって圃場に植え付ける苗植付装置52等を備えている。
植付伝動ケース50の後部は、4つに分岐しており、分岐したそれぞれの後端部に植付駆動軸が回転自在に支承されており、この植付駆動軸の左右突出部にロータリーケース16の中央部が一体回転する構成で固定して取り付けられている。
更にロータリーケース16の両端部に植付回動軸を回転自在に支承し、これらの2つの植付回動軸のそれぞれに苗植付具54が取り付けられている。
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、57、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、57、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52により苗が植え付けられる。
各フロート55、57、56は、圃場表土面の凹凸に対応して前端側が上下動する如く回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサー(図示せず)により検出され、その検出結果に対応して昇降油圧シリンダー46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料タンク60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でセンターフロート55及びサイドフロート56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体(図示せず)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込む構成となっている。ブロアー用電動モーター53で駆動するブロアー58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバー59を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成となっている。
苗植付部4には第1整地ローター27a及び第2整地ローター27b(第1整地ローター27aと第2整地ローター27bの組み合わせを単に整地ローターと言うことがある)が取り付けられている。
又、苗載せ台51は、苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラー65aを利用してレール上を左右方向にスライドする構成
である。
又、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗枠38が設けられている。
つぎに、図3を主として参照しながら、本実施の形態の田植機8の部分条クラッチ機構の構成および動作について具体的に説明する。
ここに、図3は、本発明における実施の形態1の田植機8の部分条クラッチ機構のブロック図である。
図3においては、植付伝動ケース50及び苗植付装置52の部分の上面視における状態が模式的に図示されており、苗植付装置52への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの接続構成が示されている。
なお、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dはそれぞれ本発明の植付装置の一例であり、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dはそれぞれ本発明の部分条クラッチの一例である。
また、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dはそれぞれ、本発明の指示手段及びランプを含む手段の一例である。
また、コントローラー200は、本発明の制御手段の一例である。
また、リンクセンサー210は本発明の上昇検知手段の一例であり、ステアリングセンサー220は本発明の操舵検知手段の一例である。
また、第1クラッチワイヤー72a及び第4クラッチワイヤー72dはそれぞれ関連発明の端部植付装置用長尺部材の一例であり、第2クラッチワイヤー72b及び第3クラッチワイヤー72cはそれぞれ関連発明の中間部植付装置用長尺部材の一例であり、部分条クラッチ切替機構70は関連発明の入切機構の一例である。
まず、苗植付装置52への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの構成及び動作について説明する。
植付伝動ケース50の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部に、2条分の苗を植え付ける苗植付装置52が設けられている。ここでは、それらの4つの苗植付装置52を、機体の左側から順に、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dと呼ぶこととする。
植付伝動ケース50の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部には、各後端部に設けられているロータリーケース16及び苗植付具54への駆動力を入切する部分条クラッチが設けられており、2条分の苗を植え付ける苗植付装置52ごとの苗の植え付け動作を個別に制御出来る構成となっている。すなわち、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dによって、それぞれ、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dへの駆動力の伝動が入切される。
第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dは、それぞれ、第1クラッチワイヤー72a、第2クラッチワイヤー72b、第3クラッチワイヤー72c及び第4クラッチワイヤー72dによって部分条クラッチ切替機構70に接続されている。第1クラッチワイヤー72a、第2クラッチワイヤー72b、第3クラッチワイヤー72c及び第4クラッチワイヤー72dが、部分条クラッチ切替機構70によって引っ張られることにより、対応する第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが切とされ、対応する第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dへの駆動力の伝動が切れる。
後に詳述されるように、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dの入指示及び切指示を行うための、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dは、操縦ハンドル34の近傍に配置されている。
そして、作業者は、運転席31に座った状態で、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dにそれぞれ対応する第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dを操作して、コントローラー200に部分条クラッチ切替機構70に対しての部分条クラッチの切替制御を実行させることが出来る。
そこで、コントローラー200が、所定の制御基準に基づいて、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dの入指示および切指示を、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dに実行させる、または保留する制御について、詳細に説明していく。
さて、上述された所定の制御基準とは、つぎの三つの条件によって規定される基準である。
(条件A)まず、部分条クラッチの入指示は、必ず実行される。
(条件B)つぎに、左端の第1苗植付装置52aに対応する第1部分条クラッチ71aの切指示、及び右端の第4苗植付装置52dに対応する第4部分条クラッチ71dの切指示は、第1苗植付装置52aに対応する第1部分条クラッチ71a、及び第4苗植付装置52dに対応する第4部分条クラッチ71dの内の少なくとも一方は入であるように、実行されるか、または保留される。
(条件C)そして、第1苗植付装置52aと第4苗植付装置52dとの間に位置する第2苗植付装置52bおよび第3苗植付装置52cに対応する第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cの切指示は、切である部分条クラッチに対応する苗植付装置が第1苗植付装置52a及び第4苗植付装置52dの内の何れか一方まで連続するように、実行されるか、または保留される。
これらの条件A〜Cにおける、部分条クラッチの切指示が保留されている状態とは、部分条クラッチの切指示が行われたにもかかわらず、切指示が実行されていない状態である。
なお、以下の具体的な説明からも明らかであるように、一旦は実行された切指示が後に保留されることがある。
つぎに、図3〜図10を主として参照しながら、本実施の形態の田植機8の部分条クラッチ機構の動作について具体的に説明する。
ここに、図4〜図10は、本発明における実施の形態1の田植機8の部分条クラッチ機構の動作を説明するための、スイッチング操作の説明図(その1から19)である。
図4〜図10においては、左側にはスイッチング操作が行われる前の状態が示されており、右側にはスイッチング操作が行われた後の状態が示されている。
なお、白丸は「入指示実行」状態を示しており、黒丸は「切指示実行」状態を示しており、斜線は「切指示保留」状態を示している。
また、下向きの矢印は、スイッチング操作が当該ランプスイッチに対して行われたことを示している。
(1)はじめに、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dへの駆動力の伝達の入切を一斉に行うメインスイッチ202(図3参照)に対して操作が行われる。
かくして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dの状態は、全て「入指示実行」となる。
なお、メインスイッチ202は、コントローラー200からは独立してPTO(Power Take Off)軸から全ての苗植付装置への駆動力の伝達の入切を基礎的に行うためのスイッチである。
つまり、予備的な操作としての入指示がメインスイッチ202に対して行われ、1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dは全て入となり、以下で説明されるような、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dを利用してのスイッチング操作が可能となる。
(2)つぎに、第1部分条クラッチ71aの切指示が第1ランプスイッチ201aに対して行われた場合について、説明を続ける(図4(a)参照)。
第4部分条クラッチ71dは入であるので、第1部分条クラッチ71aが第1部分条クラッチ71aの切指示を実行することで切とされても、条件Bは満足される。
そこで、第1部分条クラッチ71aは切とされ、第4部分条クラッチ71dはそのまま入とされる。
このとき、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cはそのまま入とされ、条件Cは満足される。
かくして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dの状態は、順に「切指示実行」、「入指示実行」、「入指示実行」及び「入指示実行」となる。
(3)つぎに、第4部分条クラッチ71dの切指示が第4ランプスイッチ201dに対
して行われた場合について、説明を続ける(図4(b)参照)。
第1部分条クラッチ71aは切であるので、第4部分条クラッチ71dが第4部分条クラッチ71dの切指示を実行することで切とされると、条件Bは満足されない。
そこで、第1部分条クラッチ71aはそのまま切とされ、第4部分条クラッチ71dの切指示は保留されて第4部分条クラッチ71dはそのまま入とされる。
このとき、第2部分条クラッチ71bおよび第3部分条クラッチ71cはそのまま入とされ、条件Cは満足される。
かくして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dの状態は、順に「切指示実行」、「入指示実行」、「入指示実行」及び「切指示保留」となる。
(4)つぎに、第2部分条クラッチ71bの切指示が第2ランプスイッチ201bに対して行われた場合について、説明を続ける(図6(b)参照)。
第1部分条クラッチ71aは切であるので、第2部分条クラッチ71bが第2部分条クラッチ71bの切指示を実行することで切とされても、条件Cは満足される。
そこで、第2部分条クラッチ71bは切とされ、第3部分条クラッチ71cはそのまま入とされる。
もちろん、第1部分条クラッチ71aはそのまま切とされ、第4部分条クラッチ71dはそのまま入とされるので、条件Bは満足される。
かくして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dの状態は、順に「切指示実行」、「切指示実行」、「入指示実行」及び「切指示保留」となる。
(5)つぎに、第1部分条クラッチ71aの入指示が第1ランプスイッチ201aに対して行われた場合について、説明を続ける(図8(a)参照)。
第1部分条クラッチ71aが第1部分条クラッチ71aの入指示を実行することで入とされ、条件Aは満足される。
すると、第1部分条クラッチ71aは入とされたので、第4部分条クラッチ71dが保留されていた第4部分条クラッチ71dの切指示を実行することで切とされても、条件Bは満足される。
そこで、第1部分条クラッチ71aは上述された通り入とされ、保留されていた第4部分条クラッチ71dの切指示は実行されて第4部分条クラッチ71dは切とされる。
しかしながら、第1部分条クラッチ71aはこのように入とされたので、第2部分条クラッチ71bが第2部分条クラッチ71bの切指示をそのまま実行することで切とされていると、条件Cは満足されない。
そこで、実行されていた第2部分条クラッチ71bの切指示は保留されて第2部分条クラッチ71bは入とされ、第3部分条クラッチ71cはそのまま入とされる。
かくして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dの状態は、順に「入指示実行」、「切指示保留」、「入指示実行」および「切指示実行」となる。
このようにして、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dを利用するスイッチング操作がつぎつぎと行われていく。
もちろん、切指示がメインスイッチ202に対して行われると、1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dは全て切となる。
以上で説明されたことから明らかであるように、本実施の形態の田植機8においては、切指示が、左端の第1苗植付装置52aに対応する第1部分条クラッチ71a、または右端の第4苗植付装置52dに対応する第4部分条クラッチ71dが切状態にされた後、その他の部分条クラッチに対して行われても、全ての部分条クラッチの切指示が実行されることがない。
このため、ランプスイッチに対して誤操作が行われてしまったときにも、従来の場合のような誤操作をキャンセルする操作が必要になることはない。
したがって、本実施の形態の田植機8においては、作業能率を向上させることが可能である。
そして、部分条クラッチ切替機構70の構成によっては懸念される、負荷の増大が原因である部分条クラッチの破損が発生する恐れも、少なくなる。
なお、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52及び第4苗植付装置52dの内の少なくとも一つが、2条分ではない、たとえば、1条分の苗を植え付ける苗植付装置であっても、以上で説明された部分条クラッチ機構の動作の実現はもちろん可能である。
また、田植機8が8条植えではない、たとえば、6条植えの田植機であっても、スイッチング操作が図11〜図14に示されているようにつぎつぎと行われていく、同様な部分条クラッチ機構の動作の実現がやはり可能である。
ここに、図11〜図14は、本発明における実施の形態1の6条植えの田植機8の部分条クラッチ機構の動作を説明するための、スイッチング操作の説明図(その1から10)である。
また、コントローラー200は、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dを利用するスイッチング操作にかかわりなく、(1)リンクセンサー210が第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dの上昇を検知した場合、および(2)ステアリングセンサー220が走行車体2の操舵を検知した場合の内の少なくとも何れかの場合には、全ての第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dの入指示を、全ての第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dに行わせてもよい。
すなわち、苗植付は、所定幅の枕地部分を除いた圃場の中央部分を、その中央部分の端に至るごとに、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dを上昇させ、走行車体2を旋回させながら、つぎつぎと行われていく。
そこで、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dが所定の高さまで上昇した、または走行車体2を旋回させるための操作が行われたことをポテンショメーターなどで検出し、後続の植付作業が開始される時点では第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dを全て一旦は入とすることが望ましい。
すると、苗が植付を行う必要がある条に植え付けられなかった場合における、補充的に手作業で苗を植え付ける作業が必要となる恐れが、少なくなる。
もちろん、後続の植付作業において植付を行う必要がない条があるときは、切指示をともなう第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dを利用するスイッチング操作をその植付作業の内容に応じて行うことができる。
かくして、苗が、植付を行う必要がある条に植え付けられなかったり、植え付けを行う必要がない条に植え付けられたりすることが抑制され、植付精度が向上する。
なお、上記の構成では、第1ランプスイッチ201aから第4ランプスイッチ201dを全て操作しても、第1部分条クラッチ71aまたは第4部分条クラッチ71dのどちらか一方は入が維持された状態であり、全ての部分条クラッチを切とするには、メインスイッチ202を別途操作する必要があり、異なる部分に設けられた操作部材を操作する分、作業能率が低下することがある。
そこで、第1ランプスイッチ201aと第4ランプスイッチ201d、即ち左右両端部のランプスイッチが切操作された状態で、第2ランプスイッチ201bと第3ランプスイッチ201cが切操作される状態、即ち第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dが全て切操作された状態になると、第1部分条クラッチ71aまたは第4部分条クラッチ71dのうち、後から切操作された側の入状態を維持せず、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dの全てが切状態、即ち全条切となる別の動作としてもよい。
以下では、図22〜図24を主として参照しながら、そのような別の動作について具体的に説明する。
ここに、図22〜図24は、本発明における実施の形態1の8条植えの田植機の部分条クラッチ機構の別の動作を説明するための、スイッチング操作の説明図(その1〜7)である。
まず、図22および図23で示すように、最初に第1ランプスイッチ201aを切操作して第1部分条クラッチ71aを切状態とした場合について説明していく。
図22(a)で示すように、二番目に第2ランプスイッチ201bを切操作すると、第2部分条クラッチ71bが切状態となり、この次に第3ランプスイッチ201cを切操作して第3部分条クラッチ71cを切状態としてから、最後に第4ランプスイッチ201d
を切操作すると第4部分条クラッチ71dも切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
図22(b)で示すように、三番目に第4ランプスイッチ201dを切操作すると、第1及び第2部分条クラッチ71a、71bが切状態のまま、第3部分条クラッチ71cが入状態、第4部分条クラッチ71dが保留状態となる。この次に第3ランプスイッチ201cを切操作すると、第3及び第4部分条クラッチ71c、71dが切状態になり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
図22(c)で示すように、二番目に第4ランプスイッチ201dを切操作すると、第4部分条クラッチ71dの入状態が保留される。その後、第2ランプスイッチ201bと第3ランプスイッチ201cをともに切操作して第2及び第3部分条クラッチ71b、71cを切状態にすると、第4部分条クラッチ71dが保留状態から切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
なお、上記の第2ランプスイッチ201bと第3ランプスイッチ201cを操作する順番は、どちらが先でも最終的には同様の結果を示す。
図23で示すように、二番目に第3ランプスイッチ201cを操作したときは、第3部分条クラッチ71cは入り状態のままで保留され、第2から第4の部分条クラッチ71b、71c、71dの入状態が維持される。三番目に第2ランプスイッチ201bが操作されたときは第2及び第3部分条クラッチ71b、71cがともに切状態となり、その後第4ランプスイッチ201dを切操作すると、第4部分条クラッチ201dが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
なお、三番目に第4ランプスイッチ201dが切操作されたときは、第3及び第4部分条クラッチ71c、71dが入状態のままで保留され、第2から第4の部分条クラッチ71b、71c、71dの入状態が維持される。その後第2スイッチランプ201bが切操作されると、第2から第4部分条クラッチ71b、71c、71dが切状態になり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
もちろん、最初に、第1ランプスイッチ201aではなく、第4ランプスイッチ201dを切操作して第4部分条クラッチ71dを切状態としたときも、第1ランプスイッチ201aと第4ランプスイッチ201dの左右間のランプスイッチが全て切操作されると、第1から第4部分条クラッチ71a、71b,71c、71dが全て切状態となる。
つぎに、図24で示すように、最初に第2ランプスイッチ201bを切操作した場合について説明していく。このとき、第2部分条クラッチ71bは入状態で保留される。
図24(a)で示すように、二番目に第1ランプスイッチ201aが切操作されると、第1と第2部分条クラッチ71a、71bが切状態となる。次に、第3ランプスイッチ201cが切操作されると、第3部分条クラッチ71cが切状態となり、その後第4ランプスイッチ201dが切操作されると、第4部分条クラッチ71dが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
図24(b)に示すように、二番目に第3ランプスイッチ201cが切操作されると、第2と第3部分条クラッチ71b、71cが入状態のままで保留される。三番目に、第1ランプスイッチ201aが切操作されると、第1から第3部分条クラッチ71a、71b、71cが切状態となり、その後第4ランプスイッチ201dを切操作すると、第4部分条クラッチ71dが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
なお、三番目に第4ランプスイッチ201dが切操作されると、第2から第4部分条クラッチ71b、71c、71dが切状態となり、その後第1ランプスイッチ201aを操作すると、第1部分条クラッチ71aが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
図24(c)に示すように、二番目に第4ランプスイッチ201dが切操作されると、第4部分条クラッチ71dが切状態となり、第2部分条クラッチは入状態のままで保留される。三番目に第3ランプスイッチ201cが切操作されたときは、第2から第4部分条クラッチ71b、71c、71dが切状態となり、その後第1ランプスイッチ201aを操作すると、第1部分条クラッチ71aが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
なお、三番目に第1ランプスイッチ201aが切操作されると、第1及び第2部分条クラッチ71a、71bは入状態のままで保留され、その後第3ランプスイッチ201cが切操作されると、第1から第3部分条クラッチ71a、71b、71cが切状態となり、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dの状態は全て「切指示実行」になる。
もちろん、最初に、第2ランプスイッチ201bではなく、第3ランプスイッチ201cを切操作したときも、第1ランプスイッチ201aと第4ランプスイッチ201dの左右間のランプスイッチが全て切操作されると、第1から第4部分条クラッチ71a、71b、71c、71dが全て切状態となる。
以上で具体的に説明したように、第1から第4ランプスイッチ201a、201b、201c、201dを全て切操作すると、第1から第4部分条クラッチ71a、71b、71c、71dを切状態に切り替えて植付を停止させることができるので、メインスイッチ202を操作する余分な動作が省略され、作業能率が向上する。
つぎに、図15を主として参照しながら、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dが配置されている、操縦ハンドル34近傍の構成について具体的に説明する。
ここに、図15は、本発明における実施の形態1の田植機8の操縦ハンドル34近傍の上面図である。
前照灯操作スイッチ325は、作業者の手または腕が操作時に他の部材と干渉して誤動作などが発生する恐れが少なくなるように、ハンドルポスト330の後側に配置されている。
表示パネル310は、ハンドルポスト330の前側に配置されボンネット320の上面に立設されたポスト312の前側に、支持部材313を利用して取り付けられている。
表示パネル310は操縦ハンドル34の下側に配置されているが、ボンネット320の
上面と表示パネル310との間の上下方向の距離はおよそ10cmであって、表示パネル310のボンネット320の上面からの高さは十分に確保されている。
そして、表示パネル310は、上面視において、後側中央部分Pが後側に向かって突出した逆凸形状を有している。
このため、Zターン植始タイミング調節ダイヤル321などの、ボンネット320の上面の前側部分に配置されているダイヤルなどは、運転席31に座っている作業者から視認しやすく、それらダイヤルの操作を表示パネル310に妨げられずに容易に行うことができる。
表示パネル310の左側部分にはZターンスイッチの入切状態及び肥料詰まりの発生などが表示され、表示パネル310の右側部分にはロータークラッチの入切状態および肥料切れの発生などが表示される。
表示パネル310の前側部分には植付クラッチの入切状態などが表示され、表示パネル310の後側部分にはバッテリー電圧低下の発生および薬剤散布機などの接続確認を行うためのオプション機能の利用状態などが表示される。
そして、やや窪んだ表示パネル310の中央部分には、作業時間、作業量および燃料残量などに関する情報が表示される液晶モニター311が、設けられている。
ボンネット320の上面の前側部分には、中央のポスト312を挟んで、Zターン植始タイミング調節ダイヤル321およびローター高さ調節ダイヤル322などが配置されている。
ボンネット320の上面の中央部分には、中央のハンドルポスト330を挟んで、エンジン20が始動しにくい寒冷時にその点火補助を行うためのチョークノブ323、および「入」の左側が「両出」であり「入」の右側が「左右切替」であるような操作方向を有するマーカー入切スイッチ324などが配置されている。
ボンネット320の上面の後側部分には、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201d、ならびに苗タンクを端に寄せて停止させるための苗タンク端寄スイッチ326が配置されている。
第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dは、(1)対応する部分条クラッチの入指示が行われている場合には、消灯し、(2)対応する部分条クラッチの切指示が行われ、切指示が実行されている場合には、連続的に点灯し、(3)対応する部分条クラッチの切指示が行われたにもかかわらず、切指示が実行されていない、切指示が保留されている場合には、点滅する。
したがって、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dは、対応する部分条クラッチの切指示が行われたにもかかわらず、切指示が保留されている場合には、作業者が特に注意力を集中しなくても視覚的に認識しやすいように報知状態となって点滅する。
すると、切指示が保留されて入とされている部分条クラッチの存在が看過されにくく、余分な植付が行われてしまって無駄な苗の消費が発生する恐れが少なくなり、作業能率も
向上する。
そして、第1ランプスイッチ201aおよび第2ランプスイッチ201bは操縦ハンドル34の操舵軸であるハンドルポスト330の左側に配置され、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dはハンドルポスト330の右側に配置され、苗タンク端寄スイッチ326が最も左側に配置される。
すなわち、ランプスイッチは、その個数が偶数である場合には、ハンドルポスト330の左側および右側に同じ数ずつわけて配置され、苗タンク端寄スイッチ326は最も左側または右側に配置されることが望ましい。
偶数個のランプスイッチが左側および右側に同じ数ずつわけて配置されると、作業者は直感的にランプスイッチの状態を理解しやすいので、作業能率および植付精度が向上する。
なお、図16に示されているように、ランプスイッチは、その個数が奇数である場合には、ハンドルポスト330の左側または右側にまとめて配置され、苗タンク端寄スイッチ326はハンドルポスト330の左側および右側の内の、ランプスイッチが配置されていない側に配置されることが望ましい。
ここに、図16は、本発明における実施の形態1の6条植えの田植機8の操縦ハンドル34近傍の上面図である。
奇数個のランプスイッチが左側または右側にまとめて配置されると、作業者は直感的にランプスイッチの状態を理解しやすく、片手で全てのランプスイッチの操作を容易に行うことができるので、作業能率および植付精度が向上する。
また、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201d、ならびに苗タンク端寄スイッチ326は、形状は同じであるが色は異なる部材を利用して視覚的に認識しやすいように設けられていることが望ましい。
もちろん、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201d、ならびに苗タンク端寄スイッチ326を形状が同じである部材を利用して設ける場合には、ボンネット320の上面に形状が同じである、スイッチの個数と同じ個数のパネル孔を形成しておけば、スイッチレイアウトの変更に柔軟に対応することができる廉価な構成を実現することができる。
また、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b、第3ランプスイッチ201c及び第4ランプスイッチ201dが、スイッチとランプとが一体で設けられていない、たとえば、押し下げによるスイッチング機能を有するボタン式のスイッチと、スイッチにそれぞれ対応するランプとによって別体で設けられている構成が利用されても、以上で説明された部分条クラッチ機構の動作の実現はもちろん可能である。
(実施の形態2)
つぎに、図17を参照しながら、本実施の形態の田植機8の構成および動作について具体的に説明する。
ここに、図17は、本発明における実施の形態2の田植機8の部分背面図である。
図17においては、走行車体2を備える乗用型の6条植えの田植機8の背面視における状態が図示されている。
本実施の形態の田植機8の構成及び動作は、上述された実施の形態1の田植機8の構成及び動作と類似しているので、以下ではこれらの相違点を中心に説明を行う。
なお、第1苗送り装置401a、第2苗送り装置401b及び第3苗送り装置401cはそれぞれ、関連発明の苗送り装置の一例である。
また、苗載せ台51は関連発明の苗タンクの一例であり、部分条クラッチ切替機構70は関連発明のクラッチユニットの一例である。
また、上フレーム411は関連発明の走行車体側上フレームの一例であり、下フレーム412は関連発明の走行車体側下フレームの一例である。
また、左右の着脱器451及び452はそれぞれ、関連発明の着脱器の一例である。
また、第1走行車体側ケーブル420a、第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cはそれぞれ関連発明の走行車体側長尺部材の一例であり、第1苗載せ台側ケーブル430a、第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cはそれぞれ関連発明の苗タンク側長尺部材の一例である。
マット苗を載せて左右往復動する苗載せ台51は、二つの部分に分かれた苗送りベルト51bのペアをそれぞれ持った、第1苗送り装置401a、第2苗送り装置401b及び第3苗送り装置401cを有している。第1苗送り装置401a、第2苗送り装置401b及び第3苗送り装置401cは、それぞれ対応している苗植付装置へ苗を案内し、載せられたマット苗の横一列分が苗植付装置に供給されると、マット苗を下方に移送する。
上フレーム411、下フレーム412、左ステー413および右ステー414は、苗載せ台51を載せている。上フレーム411、下フレーム412、左ステー413及び右ステー414は、走行車体2側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能ではない。
部分条クラッチ切替機構70は、上フレーム411に固定されており、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cの入切を実行するとともに、第1苗送り装置401a、第2苗送り装置401b及び第3苗送り装置401cの入切を実行する。
なお、部分条クラッチ切替機構70は、これらを切とするときには、第1走行車体側ケーブル420a、第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cを直接的に引っ張り、そして第1走行車体側ケーブル420a、第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cにそれぞれ接続されている第1苗載せ台側ケーブル430a、第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cを間接的に引っ張るが、これらを入とするときには、付勢手段としての弾性部材(図示せず)を利用する。
また、作業者は、第1ランプスイッチ201a、第2ランプスイッチ201b及び第3ランプスイッチ201cを操作して、コントローラー200に部分条クラッチ切替機構70に対しての切替制御を実行させることができる。
つぎに、第1走行車体側ケーブル420a及びダミー走行車体側ケーブル421につい
て説明する。なお、第1走行車体側ケーブル420a及びダミー走行車体側ケーブル421は、分割器441までは単一のケーブルであるかのように図示されている。
第1走行車体側ケーブル420aは、部分条クラッチ切替機構70から、左ステー413に固定されている分割器441で分岐し、一方の端部は第1部分条クラッチ71aに連結され、他方の端部は下フレーム412に固定されている着脱器451に連結されている。第1走行車体側ケーブル420aは、走行車体2側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能ではない。
ダミー走行車体側ケーブル421は、部分条クラッチ切替機構70から、左ステー413に固定されている分割器441を経由して、下フレーム412に固定されている着脱器451に連結されている。ダミー走行車体側ケーブル421は、走行車体2側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能ではない。なお、ダミー走行車体側ケーブル421が設けられていなくても、田植機8の機能には影響はないが、後述される第2走行車体側ケーブル420bおよび第3走行車体側ケーブル420cの構成と同様な構成が利用できるので、ダミー走行車体側ケーブル421が存在する構成は大量生産においてはむしろ有利である。
つぎに、第1苗載せ台側ケーブル430a及びダミー苗載せ台側ケーブル431について説明する。なお、第1苗載せ台側ケーブル430a及びダミー苗載せ台側ケーブル431は、途中までは単一のケーブルであるかのように図示されている。
第1苗載せ台側ケーブル430aは、着脱器451から、苗送りベルト51bをもつ第1苗送り装置401aに連結されている。第1苗載せ台側ケーブル430aは、苗載せ台51側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能である。
ダミー苗載せ台側ケーブル431は、着脱器451から、苗載せ台51の下部のその他の部材との干渉などがない箇所に連結されている。ダミー苗載せ台側ケーブル431は、苗載せ台51側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能である。なお、ダミー苗載せ台側ケーブル431が設けられていなくても、田植機8の機能には影響はないが、後述される第2苗載せ台側ケーブル430bおよび第3苗載せ台側ケーブル430cの構成と同様な構成が利用できるので、ダミー苗載せ台側ケーブル431が存在する構成は大量生産においてはむしろ有利である。
そして、第1苗載せ台側ケーブル430a及びダミー苗載せ台側ケーブル431は、上フレーム411と下フレーム412との間においてループを形成している。
つぎに、第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cについて説明する。なお、第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cは、分割器442までは単一のケーブルであるかのように図示されている。
第2走行車体側ケーブル420bは、部分条クラッチ切替機構70から、右ステー414に固定されている分割器442で分岐し、一方の端部は第2部分条クラッチ71bに連結され、他方の端部は下フレーム412に固定されている着脱器452に連結されている。第2走行車体側ケーブル420bは、走行車体2側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能ではない。
第3走行車体側ケーブル420cは、部分条クラッチ切替機構70から、右ステー414に固定されている分割器442で分岐し、一方の端部は第3部分条クラッチ71cに連結され、他方の端部は下フレーム412に固定されている着脱器452に連結されている。第3走行車体側ケーブル420cは、走行車体2側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能ではない。
つぎに、第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cについて説明する。なお、第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cは、途中までは単一のケーブルであるかのように図示されている。
第2苗載せ台側ケーブル430bは、着脱器452から、苗送りベルト51bをもつ第2苗送り装置401bに連結されている。第2苗載せ台側ケーブル430bは、苗載せ台51側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能である。
第3苗載せ台側ケーブル430cは、着脱器452から、苗送りベルト51bをもつ第3苗送り装置401cに連結されている。第3苗載せ台側ケーブル430cは、苗載せ台51側にあって、苗載せ台51とともに取り外し可能である。
そして、第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cは、上フレーム411と下フレーム412との間においてループを形成している。
以上で説明されたことから明らかであるように、本実施の形態の田植機8においては、苗載せ台51のメンテナンス時などには、第1走行車体側ケーブル420a及びダミー走行車体側ケーブル421、ならびに第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cを走行車体2側に残したまま、苗載せ台51を走行車体2側の上フレーム411、下フレーム412、左ステー413及び右ステー414から容易に取り外すことができる。
なお、もしも苗載せ台51のメンテナンス時に第1走行車体側ケーブル420a及びダミー走行車体側ケーブル421、ならびに着脱器452までの第2走行車体側ケーブル420b及び第3走行車体側ケーブル420cを部分条クラッチ切替機構70から取り外してしまうと、これらのケーブルを部分条クラッチ切替機構70に取り付けるための面倒な調節が必要な作業をメンテナンス終了後に行わなければならなくなる。
かくして、苗載せ台51のメンテナンス性が向上する。
そして、第1苗載せ台側ケーブル430a及びダミー苗載せ台側ケーブル431、ならびに第2苗載せ台側ケーブル430b及び第3苗載せ台側ケーブル430cは、後輪11および各種レバーなどの部材との干渉が少ないスペースを有効に利用して、上フレーム411と下フレーム412との間において上フレーム411、下フレーム412、左ステー413及び右ステー414に沿うようにループを形成しているので、ケーブル同士の干渉などがほとんどないコンパクトな配策構成が実現される。
なお、より具体的な配策構成としては、(1)走行車体側ケーブルが、上フレーム411の長手方向についての中央部分に配置された部分条クラッチ切替機構70から、角柱状チューブである上フレーム411の下側部分に沿わされ、分割器441及び442がそれぞれ配置された左ステー413及び右ステー414の車両左右方向についての内側部分に沿わされ、バンド固定などを利用して下フレーム412に配置されたワンタッチ取り外しを実現する着脱器451及び452に連結され、(2)苗載せ台側ケーブルが、下フレーム412の車両前後方向についての後側部分をくぐり抜け、上フレーム411の下側部分に沿わされ、苗送りベルト51bを停止させることができるようにスムーズに苗送り装置に連結されているような構成が、望ましい。
このような配策構成においては、苗載せ台51のメンテナンス性が向上するのみならず、苗載せ台51がマット苗を載せて左右往復動するときにも、ケーブル折れ曲がりなどが走行車体側ケーブルおよび苗載せ台側ケーブルに発生したり、これらのケーブルが大きく揺れて美観が損なわれたりする恐れが極めて少ない。
(実施の形態3)
つぎに、図18〜図21を主として参照しながら、本実施の形態の田植機8の構成および動作について具体的に説明する。
ここに、図18は本発明における実施の形態3の田植機8の部分左側面図であり、図19は本発明における実施の形態3の田植機8の部分正面図であり、図20は本発明における実施の形態3の田植機8の部分上面図であり、図21は本発明における実施の形態3の田植機8の模式的な部分斜視図である。
本実施の形態の田植機8の構成および動作は、上述された実施の形態1の田植機8の構成および動作と類似しているので、以下ではこれらの相違点を中心に説明を行う。
燃料タンクガード580は、バンパー550に設けられており、燃料タンク570を保護するためのガードである。
車両牽引フック510は、走行車体2の左側と右側とにそれぞれ設けられており、装着される牽引ロープ590(図20参照)を利用して田植機8を前方から牽引するためのフックである。
なお、図18においては、田植機8を軽トラック等の輸送車両の荷台に積載する際、移動を規制すべく拘束するロープ等の拘束具を引っ掛ける小さい拘束用フックも参考用として同時に開示している。この拘束用フックは、メインフレーム左右方向角パイプ520に溶接等の方法で取り付けるものである。
そして、車両牽引フック510は、ミッションケース12(図1参照)の前側のメインフレーム左右方向角パイプ520の両端部近傍の下面に、直接的に溶接されている。
バンパー取り付けプレート540は、車両牽引フック510がメインフレーム左右方向角パイプ520に溶接されている箇所から前側に向かって、車両牽引フック510に沿うように走行車体2の左側と右側とにそれぞれ設けられており、バンパー550を取り付けるためのプレートである。
なお、車両牽引フック510は、メインフレーム左右方向角パイプ520のみならず、バンパー取り付けプレート540にも溶接されている。
また、バンパー550は、バンパーステー560を介し、別体のボルトなどを利用してバンパー取り付けプレート540に取り付けられている。
メインフレーム前後方向角パイプ530は、車両牽引フック510がメインフレーム左右方向角パイプ520に溶接されている箇所よりも車両左右方向について内側において、ミッションケース12(図1参照)を挟むように走行車体2の左側と右側とにそれぞれ設けられており、メインフレーム左右方向角パイプ520及びメインフレーム本体に直接的に溶接されてメインフレーム全体の軸となるパイプである。
このように、車両牽引フック510からメインフレーム左右方向角パイプ520を経て
メインフレーム前後方向角パイプ530に至る部分は、サイズが比較的に大きく強度が高い角パイプを利用し、溶接によって直接的に構成されている。
そのため、車両牽引フック510を利用して、走行車体2全体にバランスよく牽引力を印加し、安定的に田植機8を牽引することができる。
そして、バンパー550は、バンパーステー560を利用してバンパー取り付けプレート540に取り付けられており、車両左右方向を繋ぐ補強部材としても機能する。
そのため、車両牽引フック510は、バンパー取り付けプレート540にも溶接されているので、牽引力を印加されたときにも、車両左右方向について内側に屈曲したりしにくい。
走行車体2の左側と右側とにそれぞれ設けられている車両牽引フック510は、その下端が燃料タンク570の下端よりも低くなる程度には、大きめのサイズを有することが望ましい。
なぜならば、車両牽引フック510のサイズが大きめであると、車両牽引フック510は燃料タンク570の保護部材としても機能し、車両左右方向の障害物が車両旋回時などに燃料タンク570と接触しにくく、燃料タンク570が障害物との衝突により損傷する恐れが少なくなるからである。
ただし、車両牽引フック510は、その中心が燃料タンクガード580の高さの範囲の中に収まっている程度には、小さめのサイズを有することが望ましい。
なぜならば、車両牽引フック510のサイズが小さめであると、車両左右方向の両側から内側に向かって斜めに延びる牽引ロープ590(図20参照)が燃料タンクガード580の下側で燃料タンク570と接触しにくく、燃料タンク570が牽引ロープ590との摩擦により損傷する恐れが少なくなるのみならず、燃料タンクガード580は牽引ロープ590の案内部材としても機能し、田植機8をより安全に牽引することができるからである。