JP6614584B2 - 遮音構造 - Google Patents
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Description
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることのできる遮音構造を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遮音構造において、前記マス部と前記バネ部とを含む遮音部材(例えば実施形態の遮音部材10)を形成し、前記遮音部材は、前記バネ部の前記区画部材に対向する側に設けられ、前記区画部材に接合可能な接合層部材(例えば実施形態の接合層部材13)をさらに備えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の遮音構造において、前記マス部は、ポリプロピレンからなり、前記膜材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなり、前記接合層部材は、ポリエチレンからなることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記脚部は、前記マス部よりも高い剛性を有することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記減衰部は、前記脚部の前記他端を前記区画部材に接着する接着剤(例えば実施形態の接着剤19)であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の遮音構造において、前記脚部は、前記区画部材の表面に沿って連続するよう設けられ、前記接着剤は、前記脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記ガスは、空気であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記ガスは、二酸化炭素またはヘリウムであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の遮音構造において、前記構造体は、自動車の車体(例えば実施形態の車体1)であり、前記区画部材が前記車体のアウターパネル(例えば実施形態のアウターパネル5)または前記車体の内装を形成するインナーパネル(例えば実施形態のインナーパネル6)であることを特徴とする。
さらに、遮音構造は、中空の膜材の内部にガスを封入した構成であるため、膜材を形成する材料の使用量が、ウレタン層に比較すれば大幅に少ない。したがって、マス部と区画部材とが対向する方向における遮音構造の厚さを大きくしても、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることができる。
請求項2に記載した発明によれば、マス部とバネ部とにより遮音部材を構成し、この遮音部材において、バネ部の区画部材に対向する側に接合層部材を設けることにより、区画部材に対し、遮音構造を接合層部材によって接合し、区画部材に遮音構造を容易に設けることができる。
請求項3に記載した発明によれば、マス部をポリプロピレンで形成することで、高い成形性を得ることができる。また、膜材を、エチレン−ビニルアルコール共重合体で形成することで、高い気密性を得て、膜材の内部に封入したガスの漏出を抑えることができる。さらに、接合層部材をポリエチレンから形成することで、区画部材に対して容易かつ確実に接合することができる。
請求項4に記載した発明によれば、脚部がマス部よりも高い剛性を有することで、マス部の変位にともなって脚部が変形してしまうのを抑え、減衰部における減衰効果を効率良く発揮させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、減衰部は、脚部の他端を区画部材に接着する接着剤であるようにした。これにより、減衰部を構成するダンパー等の機構を別途備える必要が無く、低コストでダンパー機能を備えることができる。
請求項6に記載した発明によれば、接着剤は、脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている。これにより、脚部の全体を区画部材に確実に接着するとともに、脚部の全体で接着剤による減衰効果を得ることができる。
請求項7に記載した発明によれば、膜材内に封入するガスとして空気を用いることで、低コスト化を図ることができる。
請求項8に記載した発明によれば、膜材内に封入するガスとして二酸化炭素を用いることにより、空気中よりも音速(音波の伝搬速度)が下がり、遮音性能を向上させることができる。また、膜材内に封入するガスとしてヘリウムを用いることにより、空気よりも密度が低くなり、遮音性能を向上させることができる。
請求項9に記載した発明によれば、上記したような遮音構造を、自動車の車体のアウターパネルまたはインナーパネルに設けることで、車体の内部空間における遮音性を高めることができる。
図1は本発明の実施形態が適用された遮音構造を備えた車体のルーフ部を示す縦断面図である。図2は、上記ルーフ部を車外側から見た斜視図である。
各バネ部12は、中空の膜材14と、膜材14の内部に封入されたガス15と、を有している。
このようなガス15としては、例えば、空気を用いることができる。また、ガス15としては、二酸化炭素、ヘリウムを用いることもできる。
このような接合層部材13は、アウターパネル5に接合可能な材料により形成されている。この実施形態では、接合層部材13は、アウターパネル5に超音波や熱等を用いた溶着により接合される。このため、接合層部材13は、アウターパネル5に対する溶着性に優れる材料で形成するのが好ましい。このような接合層部材13を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)を用いることができる。なお、接合層部材13が粘着層や接着剤でアウターパネル5に接合されてもよい。
このような脚部17は、騒音の音波によってマス部11が変位すると、マス部11と一体的に変位する。
また、このような接着剤19は、脚部17が連続する方向に沿って線状または点状に配置されている。
このようにして、遮音部材10は、マス部11を質量とし、バネ部12をバネとし、減衰部18をダンパーとした遮音構造を構成することができる。したがって、マス部11の質量m、バネ部12のバネ定数k、減衰部18の減衰係数cを適宜調整することで、遮音部材10が騒音に対して共振する周波数を調整し、目的の周波数域の騒音を効率良く抑えることができる。また、膜材14内に封入するガス15の圧力を調整することで、バネ部12のバネ定数kの調整を容易に行うことができる。さらに、バネ部12は中空の膜材14の内部にガス15を封入した構成であるため、膜材14を形成する材料の使用量が、ウレタン層に比較すれば大幅に少ない。したがって、遮音性を高めるために、マス部11とアウターパネル5とが対向する方向におけるバネ部12の厚さt2を大きくしても、バネ部12の重量増加、コストの上昇を抑えることができる。
したがって、重量増加、コストの上昇を抑えつつ、遮音性を高めることができる。
これにより、アウターパネル5に対し、遮音部材10を接合層部材13によって接合して取り付けることができる。
また、マス部11をポリプロピレンで形成することで、高い成形性を得ることができる。また、膜材14を、エチレン−ビニルアルコール共重合体で形成することで、高い気密性を得て、膜材14の内部に封入したガス15の漏出を抑えることができる。さらに、接合層部材13をポリエチレンから形成することで、アウターパネル5に対して容易かつ確実に溶着することができる。
これにより、マス部11の変位にともなって脚部17が変形してしまうのを抑え、マス部11の変位を減衰部18に確実に伝達して、減衰部18における減衰効果を効率良く発揮させることができる。
これにより、減衰部18を構成するダンパー等の機構を別途備える必要が無く、低コストでダンパー機能を備えることができる。
これにより、脚部17の全体をアウターパネル5に確実に接着するとともに、脚部17の全体で接着剤19による減衰効果を得ることができる。
これにより、マス部11がアウターパネル5側に向かって接離するように変位するのにともなってバネ部12が弾性変形するときに、互いに隣り合うバネ部12同士が緩衝することを抑えることができる。これにより、バネ部12の変形を他のバネ部12が阻害することを抑え、騒音を効率良く抑えることができる。
これにより、遮音部材10の低コスト化を図ることができる。
また、膜材14内に封入するガス15として二酸化炭素を用いれば、空気中よりも音速(音波の伝搬速度)が下がる。これにより、遮音性能を向上させることができる。
また、膜材14内に封入するガス15としてヘリウムを用いれば、空気よりも密度が低くなる。これにより、遮音性能を向上させることができる。
上記したような遮音部材10において、図6、図7に示すように、接合層部材13側に、硬質のボード材16を追加することもできる。この場合、ボード材16は、膜材14よりも硬質な樹脂材料等から形成することができる。このようなボード材16は、バネ部12と接合層部材13との間に挟み込むように設けることができる。
また、図8に示すように、例えば、遮音部材10は、アウターパネル5側ではなく、インナーパネル6側に装着することもできる。この場合、遮音部材10は、接合層部材13をインナーパネル6に接合し、マス部11は、アウターパネル5側に位置するように設けることができる。
また、上記実施形態では、各バネ部12を、断面円形としたが、これに限らない。例えば、図9、図10に示すように、バネ部12Bを、上記実施形態のバネ部12よりも断面積が大きな略矩形状に形成してもよい。この場合、互いに隣り合うバネ部12B同士の間隔を、上記実施形態におけるバネ部12同士の間隔よりも狭めるようにしてもよい。
また、例えば、図11に示すように、バネ部12Cを、断面六角形状とし、互いに隣り合うバネ部12Cを隙間無く配置し、いわゆるハニカム状に構成することもできる。
また、脚部17は、略クランク状の断面形状に限らず、他の形状とすることができる。例えば、図12に示すように、脚部17Bを断面略H字状とし、互いに隣接するマス部11同士の間に配置するようにしてもよい。
また、図13に示すように、マス部11と脚部17とを、一体に形成するようにしてもよい。
例えば、マス部11と膜材14とを一体に成形するようにしてもよい。これにより、マス部11と膜材14とを別途接合する必要がなく、遮音部材10の製造を効率良く行うことができる。
例えば、上記実施形態およびその変形例では、遮音部材10を車体1のルーフ部に設けるようにしたが、これに限らない。遮音部材10は、車体1のドア、ピラー、ボンネットやトランク、ボディパネル等、他の部位に設けるようにしてもよい。また、遮音部材10は、自動車に限らず、建物の天井、壁、床、各種装置のカバー等、他の構造体に設けるようにしてもよい。
遮音構造を車体1から独立した遮音部材10で構成することで製造や取り扱いが容易になるが、マス部11とバネ部12とを備える遮音構造を区画部材に直接設ける構成としてもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
3 内部空間
4 外部
5 アウターパネル(区画部材)
6 インナーパネル(区画部材)
10 遮音部材
11 マス部
12、12B、12C バネ部
13 接合層部材
14 膜材
15 ガス
17、17B 脚部
17a 一端
17b 他端
17c 中間部
18 減衰部
19 接着剤
Claims (9)
- 構造体の内部空間と外部とを区画する区画部材に対して間隔をあけて配置され、少なくとも一部に平面形状を有するマス部と、
前記マス部において前記区画部材に対向する側に複数配置されたバネ部と、
一端が前記マス部に接合され、前記一端から他端に向けて前記区画部材に向かって延びる脚部と、
前記脚部の前記他端と前記区画部材との間に設けられる減衰部と、を備え、
前記バネ部は、
気密性及び可撓性を有した中空の膜材と、
前記膜材の内部に封入されたガスと、
を有し、
前記脚部は、前記マス部とは別体で、前記一端と、前記他端とを一体に形成している
ことを特徴とする遮音構造。 - 前記マス部と前記バネ部とを含む遮音部材を構成し、
前記遮音部材は、
前記バネ部の前記区画部材に対向する側に設けられ、前記区画部材に接合可能な接合層部材をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の遮音構造。 - 前記マス部は、ポリプロピレンからなり、
前記膜材は、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなり、
前記接合層部材は、ポリエチレンからなる
ことを特徴とする請求項2に記載の遮音構造。 - 前記脚部は、前記マス部よりも高い剛性を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の遮音構造。 - 前記減衰部は、前記脚部の前記他端を前記区画部材に接着する接着剤であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遮音構造。
- 前記脚部は、前記区画部材の表面に沿って連続するよう設けられ、
前記接着剤は、前記脚部が連続する方向に沿って線状または点状に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の遮音構造。 - 前記ガスは、空気である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造。 - 前記ガスは、二酸化炭素またはヘリウムである
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の遮音構造。 - 前記構造体は、自動車の車体であり、前記区画部材が前記車体のアウターパネルまたは前記車体の内装を形成するインナーパネルである
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の遮音構造。
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