JP2012073472A - 吸音体 - Google Patents
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Abstract
【課題】取付部位から伝わる振動を吸収し、その振動が吸音特性に与える影響を小さくする。
【解決手段】緩衝脚部20は、円柱状の緩衝層21およびその両面に貼着された円板状の接着層22を有する。これらの緩衝脚部20は、振動が伝達する取付部位100から振動体16までの経路の途中に位置する。つまり、取付部位100から振動体16までに至る、どの経路においても、必ず緩衝層21が存在しており、取付部位100から伝わる振動はこの緩衝層21に伝搬する。緩衝層21のヤング率、断面2次モーメント、合成、機械インピーダンスなど(以下、ヤング率等という)が、筐体12のヤング率等および取付部位100のヤング率等よりも小さい。これにより、緩衝脚部20は、取付部位100から筐体12(振動体16)に伝わる振動の伝搬を防ぐ。
【選択図】図2
【解決手段】緩衝脚部20は、円柱状の緩衝層21およびその両面に貼着された円板状の接着層22を有する。これらの緩衝脚部20は、振動が伝達する取付部位100から振動体16までの経路の途中に位置する。つまり、取付部位100から振動体16までに至る、どの経路においても、必ず緩衝層21が存在しており、取付部位100から伝わる振動はこの緩衝層21に伝搬する。緩衝層21のヤング率、断面2次モーメント、合成、機械インピーダンスなど(以下、ヤング率等という)が、筐体12のヤング率等および取付部位100のヤング率等よりも小さい。これにより、緩衝脚部20は、取付部位100から筐体12(振動体16)に伝わる振動の伝搬を防ぐ。
【選択図】図2
Description
本発明は、音を吸収する吸音体に関する。
吸音体としては、開口部を有する筐体と、この開口部に設けられて筐体内に空気層を形成する板状または膜状の振動体とを具備した、板・膜振動型のもの(以下、「板吸音体」という)がある(特許文献1)。この種の板吸音体においては、振動体の外側から加わる音圧と空気層側の音圧との差(即ち、振動体の前後の音圧差)によって振動体が弾性振動することで、音が吸収されることになる。
上記のような板吸音体においては、接着剤や両面テープによって接着、或いはネジ、ピンによる圧入等によって、筐体の一部が取付部位に強固に取り付けられるのが一般的である。このため、取付部位側において何らかの原因で振動が発生している場合、この振動が板吸音体に伝達し、伝達された振動の周波数と当該板吸音体の持つ共振周波数とが近い場合には共振を誘発してしまう虞があった。
また、取付部位側からの振動が吸音材に伝達されるのを防止するための吸音体の構造としては、板吸音材の一方の面に保護膜を、他方の面に制振性を有する背後剛壁層を積層し、この積層体を枠体に収容してユニット化して構成したものがある(特許文献2:図5)。
ところが、前述した特許文献2にあっては、枠体を介して積層体(保護膜、吸音材、背後剛壁層)を支持しているため、吸音材の側板が枠体に接触している。このため、この接触部分を介して枠体に伝わる振動を背後剛壁層で十分吸収することができず、吸音材に伝達されてしまう。この結果、取付部位の振動が原因で吸音材が振動してしまい、振動した吸音材が新たな騒音源となるのを十分に防止することができなかった。
本発明は、取付部位から伝わる振動を吸収し、その振動が吸音特性に与える影響を小さくする吸音体を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、中空で開口部を備えた筐体と、前記開口部を塞ぐ位置に設けられ、前記筐体に入射する音波の音圧により振動する振動体と、前記筐体が取り付けられる取付部位から前記筐体に伝搬する振動を吸収する振動吸収手段と、を具備することを特徴とする吸音体を提供する。
上記構成において、前記振動吸収手段が吸収する前記振動の周波数は、前記振動体が前記音波の音圧により振動して当該音波を減衰するときの、その減衰率のピークとなる周波数よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、取付部位から伝わる振動を吸収し、その振動が吸音特性に与える影響を小さくすることができる。
<吸音体の構成>
本実施形態では、板吸音の吸音体を用いた場合を例示する。
図1は本発明の実施形態に係る吸音体の斜視図、図2は図1中の矢視II−II方向から見た縦断面図、図3は吸音体を取付部位に取り付ける前の状態を示す斜視図である。なお、図においては、各構成要素を明確に描写するために、各構成要素の寸法は実際の寸法と異なっている。図示の如く、吸音体10は、板・膜型の吸音構造体11、および振動吸収手段となる4個の緩衝脚部20によって大略構成されている。この吸音構造体11は、各緩衝脚部20を介して取付部位100(図2,3に図示)に取り付けられる。吸音構造体11は、基台をなす筐体12と、この筐体12の開口部15を塞ぐように設けられた振動体16と、筐体12と振動体16とによって筐体12内に形成される空気層17と、を有する。
本実施形態では、板吸音の吸音体を用いた場合を例示する。
図1は本発明の実施形態に係る吸音体の斜視図、図2は図1中の矢視II−II方向から見た縦断面図、図3は吸音体を取付部位に取り付ける前の状態を示す斜視図である。なお、図においては、各構成要素を明確に描写するために、各構成要素の寸法は実際の寸法と異なっている。図示の如く、吸音体10は、板・膜型の吸音構造体11、および振動吸収手段となる4個の緩衝脚部20によって大略構成されている。この吸音構造体11は、各緩衝脚部20を介して取付部位100(図2,3に図示)に取り付けられる。吸音構造体11は、基台をなす筐体12と、この筐体12の開口部15を塞ぐように設けられた振動体16と、筐体12と振動体16とによって筐体12内に形成される空気層17と、を有する。
筐体12は、合成樹脂(例えば、ABS樹脂)によって形成されており、矩形の底板13を有する箱状の部材である。底板13の4辺にはそれぞれ1枚ずつ、計4枚の側板14が設けられており、これらの各側板14が底板13から立脚している。各側板14の自由端に相当する辺によって、上方から見たときに矩形となる開口部15が形成されている。振動体16は、弾性を有する高分子化合物(例えば、無機充填材入りオレフィン系共重合体)により矩形の板状に形成されており、その周縁が筐体12の開口部15に接着固定される。吸音体10の内部(振動体16の背後)には、筐体12の開口部15に振動体16が固定されることにより、密閉された空気層17が形成される。
振動体16は、該振動体16以外の筐体12に対して剛性が相対的に低いか(ヤング率が低い、厚さが薄い、断面2次モーメントが小さい)、或いは機械インピーダンス(8×(曲げ剛性×面密度)1/2)が相対的に低い形状・部材で形成される。よって、振動体16は、筐体12に対して弾性振動を起こし易く、筐体12に対して入射する音波の音圧で振動する。これにより吸音作用が発揮される。
本実施形態においては、振動体16の素材を合成樹脂としているが、振動体16の素材は合成樹脂に限るものではなく、弾性振動が生じる素材であれば、例えば紙、金属、繊維板など、他の素材であってもよい。また、振動体16の形状は、板状に限らず膜状であってもよい。要は、振動体16は、力(音圧)が加えられると変形し、弾性または張力により発生した復元力により元に戻る、という動作を繰り返して振動するような形状や素材の部材であればよい。
ここで、板状とは、直方体(立体)に対して相対的に厚さが薄く2次元的な広がりを持つ形状であり、膜状(フィルム状、シート状)とは、板状よりもさらに相対的に厚さが薄く、張力により復元力を発生するものである。
<緩衝脚部の構成>
緩衝脚部20は、円柱状の緩衝層21およびその両面に貼着された円板状の接着層22を有する。これらの緩衝脚部20は、振動が伝達する取付部位100から振動体16までの経路の途中に位置する。つまり、取付部位100から振動体16までに至る、どの経路においても、必ず緩衝層21が存在しており、取付部位100から伝わる振動はこの緩衝層21に伝搬する。この緩衝脚部20は、断面が円形の柱状に限定されるものではなく、その断面形状が三角形,四角形,多角形およびその他の形状であってもよいし、また、柱状でなくてもよい。ここで、緩衝層21の材質は、発泡樹脂、反毛フェルト、グラスウール/ロックウールなどの多孔質材や、発泡ゴム、エラストマー、低密度の木質繊維板等となる。また、緩衝層21は他の部位よりも振動伝達率が小さい弾性材料によって形成される。具体的には、緩衝層21のヤング率、断面2次モーメント、合成、機械インピーダンスなど(以下、ヤング率等という)が、筐体12のヤング率等および取付部位100のヤング率等よりも小さい。これにより、緩衝脚部20は、取付部位100から筐体12(振動体16)に伝わる振動の伝搬を防ぐ。
緩衝脚部20は、円柱状の緩衝層21およびその両面に貼着された円板状の接着層22を有する。これらの緩衝脚部20は、振動が伝達する取付部位100から振動体16までの経路の途中に位置する。つまり、取付部位100から振動体16までに至る、どの経路においても、必ず緩衝層21が存在しており、取付部位100から伝わる振動はこの緩衝層21に伝搬する。この緩衝脚部20は、断面が円形の柱状に限定されるものではなく、その断面形状が三角形,四角形,多角形およびその他の形状であってもよいし、また、柱状でなくてもよい。ここで、緩衝層21の材質は、発泡樹脂、反毛フェルト、グラスウール/ロックウールなどの多孔質材や、発泡ゴム、エラストマー、低密度の木質繊維板等となる。また、緩衝層21は他の部位よりも振動伝達率が小さい弾性材料によって形成される。具体的には、緩衝層21のヤング率、断面2次モーメント、合成、機械インピーダンスなど(以下、ヤング率等という)が、筐体12のヤング率等および取付部位100のヤング率等よりも小さい。これにより、緩衝脚部20は、取付部位100から筐体12(振動体16)に伝わる振動の伝搬を防ぐ。
<吸音体の動作>
このように構成される吸音体10においては、振動体16の外側(空気層17とは反対側)から加わる音圧と空気層17側の音圧との差(即ち、振動体16の前後の音圧差)によって振動体16が弾性振動する。これにより、当該吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体16の振動により消費されて音が吸音されることになる。この際、振動体16は、後述する数式2に示すようにして設定される共振周波数fを中心とした周波数の音を吸音することになる。
このように構成される吸音体10においては、振動体16の外側(空気層17とは反対側)から加わる音圧と空気層17側の音圧との差(即ち、振動体16の前後の音圧差)によって振動体16が弾性振動する。これにより、当該吸音体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体16の振動により消費されて音が吸音されることになる。この際、振動体16は、後述する数式2に示すようにして設定される共振周波数fを中心とした周波数の音を吸音することになる。
<実施形態における吸音体の作用・効果>
本実施形態による吸音体10においては、筐体12が緩衝脚部20を備えているから、この緩衝脚部20が、取付部位100から筐体12に伝わる振動の伝搬を防ぐ。これにより、筐体12は、取付部位100の振動に対しては振動しない剛体として機能して、取付部位100の振動によって吸音体10の筐体12が振動することを防止し、振動する筐体12から新たに騒音が放射されることにより当該吸音体10が新たな騒音源となることを防止する。また、筐体12が振動してしまうと、その筐体12によって指示されている振動体16は、設計段階で意図していた振動特性(つまり吸音特性)を発揮せず、望ましい吸音効果を実現できない場合が考えられるが、本実施形態によれば、筐体12に伝わる振動の伝搬を防ぐことができるので、振動体16は、所期の吸音特性を発揮しやすくなる。
本実施形態による吸音体10においては、筐体12が緩衝脚部20を備えているから、この緩衝脚部20が、取付部位100から筐体12に伝わる振動の伝搬を防ぐ。これにより、筐体12は、取付部位100の振動に対しては振動しない剛体として機能して、取付部位100の振動によって吸音体10の筐体12が振動することを防止し、振動する筐体12から新たに騒音が放射されることにより当該吸音体10が新たな騒音源となることを防止する。また、筐体12が振動してしまうと、その筐体12によって指示されている振動体16は、設計段階で意図していた振動特性(つまり吸音特性)を発揮せず、望ましい吸音効果を実現できない場合が考えられるが、本実施形態によれば、筐体12に伝わる振動の伝搬を防ぐことができるので、振動体16は、所期の吸音特性を発揮しやすくなる。
また、緩衝脚部20の長さを調整可能とすることにより、取付部位100が平坦ではない凹凸形状の場合であっても、吸音体10の取り付けが可能となる。この場合、各々の緩衝脚部20の長さは全て同一とはならず、少なくとも1の緩衝脚部20の長さが他の元と比べて異なることになる。そうすると、各緩衝脚部20の共振周波数が異なることになるから、筐体12に伝わる振動の伝搬を防ぐ効果も高くなる。また、緩衝脚部20を構成する緩衝層21は、弾性材料によって形成されているが、この弾性材料を弾性域を超えた際に塑性変形する材料としてもよい。この場合には、吸音体10を取付部位100に取り付ける際に、緩衝脚部20を取付部位100に押し付けて塑性変形させると、吸音体10の高さ寸法(取付部位100の表面から振動体16までの距離)を小さくして取り付けることができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
<変形例1>
実施形態では、底板13に円柱状の緩衝脚部20を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、振動を吸収する機能を発揮する手段が、取付部位100から振動体16までの経路の途中のいずれかの場所に位置していればよい。例えば、次のような種々の振動吸収手段を構成することが可能である。なお、以下に記述する緩衝部および緩衝層は、実施形態で延べた緩衝層21と同様の材質によって形成され、取付部位100から筐体12に伝わる振動を吸収するものである。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
<変形例1>
実施形態では、底板13に円柱状の緩衝脚部20を設けた場合を例示したが、本発明はこれに限らず、振動を吸収する機能を発揮する手段が、取付部位100から振動体16までの経路の途中のいずれかの場所に位置していればよい。例えば、次のような種々の振動吸収手段を構成することが可能である。なお、以下に記述する緩衝部および緩衝層は、実施形態で延べた緩衝層21と同様の材質によって形成され、取付部位100から筐体12に伝わる振動を吸収するものである。
<変形例1−1>
この変形例に示す吸音体10Aでは、図4に示すように、吸音構造体11が、緩衝部20Aによって取付部位100に取り付けられる。この緩衝部20Aは、筐体12の底板13よりも広い大きさの緩衝層21Aと、その両面に設けられた枠状の接着層22A,22Aと、を有する。この緩衝部20Aは、取付部位100から振動体16までの振動伝搬経路の途中に位置し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
この変形例に示す吸音体10Aでは、図4に示すように、吸音構造体11が、緩衝部20Aによって取付部位100に取り付けられる。この緩衝部20Aは、筐体12の底板13よりも広い大きさの緩衝層21Aと、その両面に設けられた枠状の接着層22A,22Aと、を有する。この緩衝部20Aは、取付部位100から振動体16までの振動伝搬経路の途中に位置し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
<変形例1−2>
この変形例に示す吸音体10Bでは、図5に示すように、吸音構造体11Bの底板13Bが接着層22Bによって取付部位100に固着される。この吸音構造体11Bの筐体12Bにおいては、各側板14Bの高さ方向の途中が切断されており、この切断部分に正方形状の緩衝部21Bが挟持されている。つまり、吸音体10Bを側方から見た場合に緩衝部21Bが帯状に連なって吸音体10Bの側方を一周しており、取付部位100から振動体16までの振動伝搬経路の途中には必ずこの緩衝部21Bが位置している。この緩衝部21Bは、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
この変形例に示す吸音体10Bでは、図5に示すように、吸音構造体11Bの底板13Bが接着層22Bによって取付部位100に固着される。この吸音構造体11Bの筐体12Bにおいては、各側板14Bの高さ方向の途中が切断されており、この切断部分に正方形状の緩衝部21Bが挟持されている。つまり、吸音体10Bを側方から見た場合に緩衝部21Bが帯状に連なって吸音体10Bの側方を一周しており、取付部位100から振動体16までの振動伝搬経路の途中には必ずこの緩衝部21Bが位置している。この緩衝部21Bは、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
<変形例2>
実施形態および変形例1では、振動吸収手段として、弾性を有する素材を採用することによって振動を吸収する緩衝部を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、以下のような振動吸収手段によって構成してもよい。
実施形態および変形例1では、振動吸収手段として、弾性を有する素材を採用することによって振動を吸収する緩衝部を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限らず、以下のような振動吸収手段によって構成してもよい。
<変形例2−1>
この変形例に示す吸音体10Fは、図6に示すように、吸音構造体11の底板13の四隅がそれぞれコイルバネ23を介して取付部位100に固着される。このコイルバネ23は、取付部位100から筐体12(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。なお、振動吸収手段はコイルバネに限らず、板ばねや皿ばね等であってもよい。
この変形例に示す吸音体10Fは、図6に示すように、吸音構造体11の底板13の四隅がそれぞれコイルバネ23を介して取付部位100に固着される。このコイルバネ23は、取付部位100から筐体12(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。なお、振動吸収手段はコイルバネに限らず、板ばねや皿ばね等であってもよい。
<変形例2−2>
この変形例に示す吸音体10Gは、図7に示すように、シート乃至板状の素材が交互に折り畳まれた蛇腹状部材24を介して、吸音構造体11が取付部位100に固着される。この蛇腹状部材24は、上方から見たときにその外周がほぼ正方形であり、その下端部が取付部位100に接着剤によって固着され、上端部が底板13の外周側ないし側板14に固着される。この蛇腹状部材24は、取付部位100から筐体12(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この蛇腹状部材24は、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。なお、底板13,取付部位100および蛇腹状部材24の内周面によって形成される空間に圧縮空気を封入することで、この蛇腹状部材24によって吸収される振動の周波数を変えることが可能となる。さらに、この蛇腹状部材に代えて、空気圧或いは油圧を用いたアキュムレータや緩衝器を振動吸収手段として用いてもよい。
この変形例に示す吸音体10Gは、図7に示すように、シート乃至板状の素材が交互に折り畳まれた蛇腹状部材24を介して、吸音構造体11が取付部位100に固着される。この蛇腹状部材24は、上方から見たときにその外周がほぼ正方形であり、その下端部が取付部位100に接着剤によって固着され、上端部が底板13の外周側ないし側板14に固着される。この蛇腹状部材24は、取付部位100から筐体12(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この蛇腹状部材24は、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。なお、底板13,取付部位100および蛇腹状部材24の内周面によって形成される空間に圧縮空気を封入することで、この蛇腹状部材24によって吸収される振動の周波数を変えることが可能となる。さらに、この蛇腹状部材に代えて、空気圧或いは油圧を用いたアキュムレータや緩衝器を振動吸収手段として用いてもよい。
<変形例2−3>
この変形例に示す吸音体10Hは、図8に示すように、吸音構造体11Hにおいて筐体12Hの側板14Hを、シート乃至板状の素材が交互に折り畳まれた蛇腹状に形成したものである。この側板14Hの開口部15Hを振動体16が塞ぐことにより、筐体12Hが構成される。この筐体12Hは、その開口部が取付部位100に接着剤によって固着されることによって、取付部位100に取り付けられる。この蛇腹状の側板14Hは、取付部位100から振動体16に至るまでの経路の途中に位置する。この側板14Hの蛇腹部分は、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
この変形例に示す吸音体10Hは、図8に示すように、吸音構造体11Hにおいて筐体12Hの側板14Hを、シート乃至板状の素材が交互に折り畳まれた蛇腹状に形成したものである。この側板14Hの開口部15Hを振動体16が塞ぐことにより、筐体12Hが構成される。この筐体12Hは、その開口部が取付部位100に接着剤によって固着されることによって、取付部位100に取り付けられる。この蛇腹状の側板14Hは、取付部位100から振動体16に至るまでの経路の途中に位置する。この側板14Hの蛇腹部分は、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
以上が、振動吸収手段として、バネ特性を有する部材を用いた変形例であるが、本発明はこれらの形状に限らず、取付部位100から振動体16に至るまでの振動伝搬経路の途中に配置され、振動を吸収する機能を有するものであれば、どのような素材、形状や構造のものであってもよい。
<変形例3>
前記実施形態および変形例1,2では、筐体の側板によって振動体を支持することで、空気層17の高さ寸法を確保していたが、以下のような構成によって空気層17の高さHを確保する構成であってもよい。
前記実施形態および変形例1,2では、筐体の側板によって振動体を支持することで、空気層17の高さ寸法を確保していたが、以下のような構成によって空気層17の高さHを確保する構成であってもよい。
<変形例3−1>
この変形例に示す吸音体10Jは、図9に示すように、吸音構造体11Jの筐体12Jは、側板14Jのみで構成され、両端が開口した筒体である。筐体12Jの一方の開口部には、上方から見たときにほぼ正方形のリング状の緩衝部20Jが固着され、他方の開口部15Jには、ほぼ正方形の振動体16が固着される。これにより、筐体12J内に形成される空気層17Jの高さHは、実施形態や他の変形例に比べて大きくなって、空気層17Jの容積が増えることになる。また、緩衝部20Jは、緩衝層21Jと、その両面に設けられた枠状の接着層22J,22Jとを有し、取付部位100から筐体12J(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この緩衝部20Jは、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
この変形例に示す吸音体10Jは、図9に示すように、吸音構造体11Jの筐体12Jは、側板14Jのみで構成され、両端が開口した筒体である。筐体12Jの一方の開口部には、上方から見たときにほぼ正方形のリング状の緩衝部20Jが固着され、他方の開口部15Jには、ほぼ正方形の振動体16が固着される。これにより、筐体12J内に形成される空気層17Jの高さHは、実施形態や他の変形例に比べて大きくなって、空気層17Jの容積が増えることになる。また、緩衝部20Jは、緩衝層21Jと、その両面に設けられた枠状の接着層22J,22Jとを有し、取付部位100から筐体12J(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この緩衝部20Jは、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
<変形例3−2>
この変形例に示す吸音体10Kは、図10に示すように、吸音構造体11Kの筐体12Kは、側板14Kのみで構成され、両端が開口した筒体である。筐体12Jの一方の開口部には、内側に折り曲げられたフランジ部14K1が形成されている。このフランジ部14K1には、上方から見たときにほぼ正方形のリング状の緩衝部20Jが固着されている。また、筐体12Jの他方の開口部15Kには振動体16が固着される。これにより、筐体12K内に形成される空気層17Kの高さHは、実施形態や他の変形例に比べて大きくなって、空気層17Kの容積が増えることになる。また、緩衝部20Kは、緩衝層21Kと、その両面に設けられた枠状の接着層22K,22Kとを有し、取付部位100から筐体12K(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この緩衝部20Kは、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
この変形例に示す吸音体10Kは、図10に示すように、吸音構造体11Kの筐体12Kは、側板14Kのみで構成され、両端が開口した筒体である。筐体12Jの一方の開口部には、内側に折り曲げられたフランジ部14K1が形成されている。このフランジ部14K1には、上方から見たときにほぼ正方形のリング状の緩衝部20Jが固着されている。また、筐体12Jの他方の開口部15Kには振動体16が固着される。これにより、筐体12K内に形成される空気層17Kの高さHは、実施形態や他の変形例に比べて大きくなって、空気層17Kの容積が増えることになる。また、緩衝部20Kは、緩衝層21Kと、その両面に設けられた枠状の接着層22K,22Kとを有し、取付部位100から筐体12K(振動体16)に至るまでの振動伝搬経路の途中に位置する。この緩衝部20Kは、振動吸収手段として機能し、取付部位100から振動体16に伝わる振動を吸収する。
<変形例3−3>
この変形例に示す吸音体は、<変形例2−3>の図8に示すように、側板14Hを蛇腹状にして底板をなくした形状とすることにより、空気層17Hの高さHが実施形態や他の変形例に比べて大きくなり、空気層17Hの容積が増えることになる。
なお、以上の変形例の説明から、吸音体の筐体は、中空で開口部を備えた筐体であればよい。そして、振動体は、筐体の開口部を塞ぐ位置に設けられ、その筐体に入射する音波の音圧により振動するものであればよい。さらに、振動吸収手段は、筐体が取り付けられる取付部位からその筐体に伝搬する振動を吸収する振動吸収手段であればよい。
この変形例に示す吸音体は、<変形例2−3>の図8に示すように、側板14Hを蛇腹状にして底板をなくした形状とすることにより、空気層17Hの高さHが実施形態や他の変形例に比べて大きくなり、空気層17Hの容積が増えることになる。
なお、以上の変形例の説明から、吸音体の筐体は、中空で開口部を備えた筐体であればよい。そして、振動体は、筐体の開口部を塞ぐ位置に設けられ、その筐体に入射する音波の音圧により振動するものであればよい。さらに、振動吸収手段は、筐体が取り付けられる取付部位からその筐体に伝搬する振動を吸収する振動吸収手段であればよい。
<変形例4>
ここで、吸音体10の設定条件について説明する。
一般に、板状または膜状の振動体と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ0[kg/m3]、音速をc0[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m3]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数1の式で表される。
ここで、吸音体10の設定条件について説明する。
一般に、板状または膜状の振動体と空気層により音を吸収する吸音構造について、減衰させる周波数は、振動体の質量成分(マス成分)と空気層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。空気の密度をρ0[kg/m3]、音速をc0[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m3]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数は数1の式で表される。
また、板・膜振動型吸音構造において振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[Pa]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数2の式で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することも行われている(周辺支持の場合)。
そして、実施形態及び各変形例においては、上記数2の式から160〜315Hzバンド(1/3オクターブ中心周波数)を吸音するよう、以下のようにパラメータが設定される。
空気の密度ρ0 ;1.225[kg/m3]
音速c0 ;340[m/s]
振動体の密度ρ ;940[kg/m3]
振動体の厚さt ;0.0017[m]
空気層の厚さL ;0.03[m]
筐体の長さa ;0.1[m]
筐体の長さb ;0.1[m]
振動体のヤング率E ;1.0[GPa]
ポアソン比σ ;0.4
モード次数 ;p=q=1
空気の密度ρ0 ;1.225[kg/m3]
音速c0 ;340[m/s]
振動体の密度ρ ;940[kg/m3]
振動体の厚さt ;0.0017[m]
空気層の厚さL ;0.03[m]
筐体の長さa ;0.1[m]
筐体の長さb ;0.1[m]
振動体のヤング率E ;1.0[GPa]
ポアソン比σ ;0.4
モード次数 ;p=q=1
一方、上記数2の式において、バネマス系の項(ρ0c0 2/ρtL)と屈曲系の項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とが加算される。このため、上記式で得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピークとなる周波数を低く設定することが難しい場合がある。
このように構成される吸音体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性については、前記数式2によって一義的に決められるものの、実際には十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する吸音体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa(=(1/2π)・((p/a)2+(q/b)2)・(π4Et3/(12ρt(1−σ2)))1/2)、バネマス系の共振周波数の値をfb(=数1の式)とした場合、以下の数3の関係を満足するように、上記パラメータを設定すればよいことがわかった。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなる。
さらに、以下の数式4に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸収する吸音構造として適していることも検証した。
このように、上記した数式3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音体が構成できる。
前記各種パラメータとは、数2に示した共振周波数fを設定するパラメータであり、気体の密度ρ0、音速c0、振動体の密度ρ、振動体の厚さt、気体層の厚さL、、筐体の長さa、筐体の長さb、振動体のヤング率E、ポアソン比σ、モード次数p,q等である。
<変形例5>
上記例においては、振動体を一様な構成として記載したが、振動体30の一部が他の部分と異なる密度となるように形成したり、その一部が他の部分よりも異なる厚さに形成したり、その一部に錘を付与して形成したりして、振動体30の一部が他の部分と異なる質量を有するように形成してもよい。このように振動体30を形成することによって、振動体30における振動条件を変更することが可能となる。
上記例においては、振動体を一様な構成として記載したが、振動体30の一部が他の部分と異なる密度となるように形成したり、その一部が他の部分よりも異なる厚さに形成したり、その一部に錘を付与して形成したりして、振動体30の一部が他の部分と異なる質量を有するように形成してもよい。このように振動体30を形成することによって、振動体30における振動条件を変更することが可能となる。
吸音体10においては、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが構成される。ここで、発明者達は、振動体16の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率の実験を行った。
図11は、空気層17の縦と横の大きさが100mm×100mmで厚さが10mmの筐体12に振動体16(大きさが100mm×100mm、厚さ0.85mm)を固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の吸音体10の垂直入射吸音率のシミュレート結果を示した図である。なお、このシミュレートにおいては、JIS A 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記吸音体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)399.5[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)1199[g/m2]、(4)1598[g/m2]、(5)2297[g/m2]とし、周縁部材の面密度を799[g/m2]とし、振動体16の平均密度を、(1)783[g/m2]、(2)799[g/m2]、(3)815[g/m2]、(4)831[g/m2]、(5)863[g/m2]とした場合のシミュレーション結果である。シミュレートの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動体16のマスと空気層17のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。吸音体10においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとして音が吸音されており、中央部の面密度大きくしても、振動体16全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動体16の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。吸音体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、振動体16が屈曲振動をする際に腹となる領域に相当する中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動体16の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動体16の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができる。
上述した吸音体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動体16を吸音体10全体と同じ素材で板状に形成し、吸音体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音の周波数を低くすることができる。
なお、振動吸収手段が吸収する周波数帯域は、上記の吸音率がピークとなる周波数よりも小さいことが望ましい。つまり、振動吸収手段が吸収する周波数帯域は、振動手段が音波の音圧により振動して当該音波を減衰するときの、その減衰率のピークとなる周波数よりも小さいほうがよい。なぜなら、このようにすれば、振動吸収手段に発生する共振は、吸音率がピークとなる周波数に影響を与えないので、吸音作用が有効に働くからである。
なお、振動吸収手段が吸収する周波数帯域は、上記の吸音率がピークとなる周波数よりも小さいことが望ましい。つまり、振動吸収手段が吸収する周波数帯域は、振動手段が音波の音圧により振動して当該音波を減衰するときの、その減衰率のピークとなる周波数よりも小さいほうがよい。なぜなら、このようにすれば、振動吸収手段に発生する共振は、吸音率がピークとなる周波数に影響を与えないので、吸音作用が有効に働くからである。
<変形例6>
前記実施形態における吸音体10の構成は、矩形状の筐体12、筐体12の開口部15を閉塞する振動体16と、筐体12内に画成される空気層17と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に限らず円形状、多角形状であってもよい。
さらに、吸音体10の空気層17内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
前記実施形態における吸音体10の構成は、矩形状の筐体12、筐体12の開口部15を閉塞する振動体16と、筐体12内に画成される空気層17と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に限らず円形状、多角形状であってもよい。
さらに、吸音体10の空気層17内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
<変形例7>
また、前記実施形態および各変形例においては、板・膜振動型の吸音体を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、以下に説明するヘルムホルツ型の吸音体であってもよい。
ヘルムホルツ型の吸音体40は、図12に示すように、内部に閉じた空間が形成された直方体状の筐体41と、この筐体41の上部側に穿設された挿入孔42に挿入された管状部材43と、を有している。筐体41の内側には空間44が形成され、管状部材43の内側には空間44と外部とを連通する開口部45が形成されている。
また、前記実施形態および各変形例においては、板・膜振動型の吸音体を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、以下に説明するヘルムホルツ型の吸音体であってもよい。
ヘルムホルツ型の吸音体40は、図12に示すように、内部に閉じた空間が形成された直方体状の筐体41と、この筐体41の上部側に穿設された挿入孔42に挿入された管状部材43と、を有している。筐体41の内側には空間44が形成され、管状部材43の内側には空間44と外部とを連通する開口部45が形成されている。
筐体41は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)によって直方体状に形成されている。管状部材43としては、例えば塩化ビニール製のパイプを使用でき、振動する空気との摩擦(抵抗)が生じやすいように、その内壁面の表面粒度を粗くしておく。このヘルムホルツ型の吸音体40は、寸法の小さい空洞である密閉空間44の中の空気がバネとして働くことにより、発生した音を減衰するように作用する。
この吸音体40では、密閉空間44に設けられた小さな開口部45が外部に通じているため、開口45内の空気の塊をマスとし空間44の空気をバネとして、1質点系バネ・マスモデルが形成される。そして、この系の共振周波数においては、開口部45内の空気の塊が外部からの音圧によって振動し、開口部45の周壁と空気の塊との摩擦によって、音のエネルギーが熱エネルギーに変換される。つまり、音が減衰される。
いま、開口部45の長さをL1、開口部45の横断面積をS、密閉空間44の容積をV、音速をC、開口部45の有効長さをLe(Le≒L1+0.8・S1/2)とすると、吸音体40の共鳴周波数f0は、f0=1/2π(C2 S/Le・V)1/2となる。
この式から、開口部45の横断面積S又は有効長さLe、即ち、管状部材43の内径d又は長さL1を変えることによって、共鳴周波数f0を調整でき、これにより、周波数の異なる音を減衰させられることが分かる。
さらに、このヘルムホルツ型の吸音体40を取付部位100に取り付ける構造においては、前述した変形例を適宜適応することも可能である。また、さらに、管共鳴の原理に基づく吸音構造を採用しても良い。
この式から、開口部45の横断面積S又は有効長さLe、即ち、管状部材43の内径d又は長さL1を変えることによって、共鳴周波数f0を調整でき、これにより、周波数の異なる音を減衰させられることが分かる。
さらに、このヘルムホルツ型の吸音体40を取付部位100に取り付ける構造においては、前述した変形例を適宜適応することも可能である。また、さらに、管共鳴の原理に基づく吸音構造を採用しても良い。
10,40・・・吸音体、11・・・吸音構造体、12,41・・・筐体、15・・・開口部、16・・・振動体、17・・・空気層、20・・・緩衝脚部、20A,20J,20K・・・緩衝部、23・・・コイルバネ、24・・・蛇腹状部材、21・・・緩衝層、22・・・接着層、43・・・管状部材
Claims (2)
- 中空で開口部を備えた筐体と、
前記開口部を塞ぐ位置に設けられ、前記筐体に入射する音波の音圧により振動する振動体と、
前記筐体が取り付けられる取付部位から前記筐体に伝搬する振動を吸収する振動吸収手段と、を具備する
ことを特徴とする吸音体。 - 請求項1記載の吸音体において、
前記振動吸収手段が吸収する前記振動の周波数は、前記振動体が前記音波の音圧により振動して当該音波を減衰するときの、その減衰率のピークとなる周波数よりも低い
ことを特徴とする吸音体。
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