JP5326486B2 - 吸音構造 - Google Patents
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そこで、本発明は、ヘルムホルツ共鳴器と板・膜振動吸音構造とを組み合わせて設ける場合において、吸音効率の向上を簡便な構成で実現することを目的とする。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域の容積が前記第1領域の容積より小である構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域から外部に向かって開口する筒状部材を前記孔部に備える構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域及び前記筒状部材を複数備え、複数の前記筒状部材は、その長さ及び断面積の少なくともいずれかが互いに同一でない構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記隔壁が、前記第1領域を複数形成するとともに、前記第2領域を複数の前記第1領域の間隙に形成する構成であってもよい。
図1は、本発明の一実施形態である吸音構造の構成を示す図である。この吸音構造10は、直方体状の形状を有し、筐体11と閉塞部材12とを備える。筐体11は、吸音構造10の側面及び底面を構成するとともに、破線で示す隔壁を内部に有する。閉塞部材12は、吸音構造10の上面を構成し、所定の位置に孔部を有する。なお、ここでいう「上面」は、面の方向を便宜的に表したものであって、吸音構造10が配置されるときに上方向を向くことを表したものではない。吸音構造10は、その配置に際しては、必要に応じてどのような向きで配置されてもよい。
なお、筐体11は、中空領域h1及びh2のほかに、隔壁部111と側面部112により形成される中空領域h3を形成する。中空領域h3は、上述した円筒と側面部112により囲まれた略三角柱状の領域である。中空領域h3は、中空領域h2を半分又は1/4に分割した形状を有する。
S1=πr2
S2=4×(r2−πr2/4)=(4−π)r2
すなわち、中空領域h1の底面積S1は、中空領域h2の底面積S2より大である。また、本実施形態においては、隔壁部111及び側面部112の高さ(上面から底面までの距離)が一定であり、底面積と上面の面積が同一であるから、中空領域h1及びh2の容積比は、その底面積の比に一致する。
一般に、板状又は膜状の振動体と気体層とにより音を吸収する板・膜振動吸音構造において、吸音する周波数は、振動体の質量成分と気体層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。ここで、気体層の気体の密度をρ0(kg/m3)、音速をc0(m/s)、振動体の密度をρ(kg/m3)、振動体の厚さをt(m)、気体層の厚さをL(m)とすると、バネマス系の共振周波数は以下の式(1)で表される。
気体の密度ρ0 :1.225(kg/m3)
音速c0 :340(m/s)
振動体の密度ρ :940(kg/m3)
振動体の厚さt :0.0017(m)
気体層の厚さL :0.03(m)
筐体の長さa :0.1(m)
筐体の長さb :0.1(m)
振動体のヤング率E:1.0(GPa)
ポアソン比σ :0.4
モード次数 :p=q=1
本発明は、上述した実施形態と異なる形態での実施が可能である。以下に示す変形例は、本発明に適用可能な変形の一例である。なお、これらの変形例は、必要に応じて、各々を適宜に組み合わせて実施されてもよい。また、以下の説明においては、既に説明した構成と共通する構成に対して同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
上述した実施形態において、中空領域h1は、本発明の「第1領域」の一例であり、中空領域h2及びh3は、本発明の「第2領域」の一例である。しかしながら、本発明に係る吸音構造は、中空領域h3に相当する領域を設けないでもよい。また、上述した吸音構造10の構成において、閉塞部材12の中空領域h2に面する位置に孔部を設けずに、中空領域h3に面する位置のみに孔部を設けるようにしてもよい。この構成の場合には、中空領域h1及びh2が本発明の「第1領域」の一例となり、中空領域h3が本発明の「第2領域」の一例となる。
本発明に係る吸音構造は、上述した吸音構造10に代えて、その側面部112を省略し、隔壁部111を外部に露出させた構成としてもよい。また、中空領域h1及びh2は、図1に示した数に限らず、より多く(又は少なく)してもよい。
また、吸音構造10を所定の面(壁面など)に取り付ける場合であれば、その取り付ける面を底面部113の代用としてもよい。すなわち、本発明に係る吸音構造は、隔壁部111や側面部112の底面側が取り付けるべき面に沿った形状にされていれば、筐体11から底面部113を除いた構成にしてもよい。この場合、隔壁部111及び側面部112は、上面側の開口部を閉塞部材12によって塞がれ、底面側の開口部を所定の面によって塞がれる。
本発明において、吸音構造及び中空領域の形状は、任意であり、取り付ける面の形状や所望する吸音特性に応じて決めてよい。また、第1領域及び第2領域の形状や配置についても、上述した実施形態のものに限らない。
図5に示す構成において、吸音構造30のヘルムホルツ共鳴器の底面を構成する部分を筐体31とは別の部材により構成し、これを移動可能に構成してもよい。
図6は、吸音構造30の変形例を例示する図である。同図において、吸音構造30aは、筐体311と、複数の可動機構312と、閉塞部材32とを備える。可動機構312は、図中の矢印に示す方向に移動可能であり、第2領域a2の高さ及び容積を変化させることが可能である。このようにすれば、ヘルムホルツ共鳴器の吸音特性を必要に応じて変化させることが可能となる。
なお、同様の機構は、板・膜振動吸音構造の底面に設けられてもよい。
ヘルムホルツ共鳴器の吸音特性を異ならせることは、その孔部に頚部(ネック部)を設けることで行われてもよい。
図7は、吸音構造10の孔部12aに頚部を設けた構成を示す図である。同図において、筒状部材13は、中空領域h2から外部に向かって開口した円筒形の中空の部材であり、孔部12aに取り付けられてヘルムホルツ共鳴器の頚部として機能する。筒状部材13の長さを必要に応じて定めれば、ヘルムホルツ共鳴器における吸音特性を適宜に変更することが可能となる。
本発明において、閉塞部材のうちの振動体として機能する部分(以下、単に「振動体」ともいう。)は、その全体が一様な構成であってもよいし、その一部が他の部分と異なる質量を有する構成であってもよい。この構成において、当該一部は、他の部分と異なる密度を有するものであってもよいし、他の部分と同じ密度だが厚さが異なるものであってもよい。さらには、当該一部は、質量を付与するために他の部材を接着等により取り付けた構成であってもよい。なお、当該一部は、振動体の中央にあると望ましい。
(1)中央部の面密度:399.5、振動体の平均密度:783
(2)中央部の面密度:799、振動体の平均密度:799
(3)中央部の面密度:1199、振動体の平均密度:815
(4)中央部の面密度:1598、振動体の平均密度:831
(5)中央部の面密度:2297、振動体の平均密度:863
本発明において、閉塞部材は、一部又は全部の第2領域に面する位置に孔部を設けない構成としてもよい。あるいは、閉塞部材は、一部又は全部の第1領域に面する位置にも孔部を設けるようにしてもよい。
本発明は、吸音構造を群として複数設けたものであってもよい。
図9は、本発明に係る吸音構造群を例示する図である。この吸音構造群40は、上述した実施形態の吸音構造10を連結し、一体にした構成である。筐体41は、2つの筐体11を連結し、側面の一つを互いに共通にしたような構成である。すなわち、筐体41は、共通の側面に相当する隔壁をその内部(破線の位置)に有する。閉塞部材42は、筐体41の上面の開口部を塞ぐものであるが、一方の吸音構造と他方の吸音構造とについて一の共通の部材であってもよいし、図中の破線の位置で分割され、材質や厚さが互いに異なるように構成されてもよい。
本発明は、上述した吸音構造又は吸音構造群を備える音響室としても実施可能である。かかる音響室は、例えば、スピーカや防音室などの、楽音の聴取の用に供される物品や構造物である。また、船舶、飛行機、車両等の乗り物の壁面や、浴室や浴槽などの壁面に本発明を適用し、音響室を構成するようにしてもよい。本発明は、特定の周波数の音が騒音として生じるような場所に適用するに好適なものであるため、かかる物品や構造物に用いると、騒音の抑制に一定の効果を奏する。
Claims (5)
- 開口した中空領域を第1領域と第2領域とに隔てる隔壁を有する筐体と、
板状又は膜状であり、前記筐体に支持されて前記中空領域の開口部を塞ぐ閉塞部材とを備え、
前記閉塞部材は、前記第1領域に面する面積が前記第2領域に面する面積よりも大であり、前記第2領域に面する位置に孔部を有する
ことを特徴とする吸音構造。 - 前記第2領域の容積が前記第1領域の容積より小であることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
- 前記第2領域から外部に向かって開口する筒状部材を前記孔部に備えることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
- 前記第2領域及び前記筒状部材を複数備え、
複数の前記筒状部材は、その長さ及び断面積の少なくともいずれかが互いに同一でない
ことを特徴とする請求項3に記載の吸音構造。 - 前記隔壁が、前記第1領域を複数形成するとともに、前記第2領域を複数の前記第1領域の間隙に形成することを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
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