JP5326486B2 - 吸音構造 - Google Patents

吸音構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5326486B2
JP5326486B2 JP2008270325A JP2008270325A JP5326486B2 JP 5326486 B2 JP5326486 B2 JP 5326486B2 JP 2008270325 A JP2008270325 A JP 2008270325A JP 2008270325 A JP2008270325 A JP 2008270325A JP 5326486 B2 JP5326486 B2 JP 5326486B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
sound absorbing
absorbing structure
sound
closing member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008270325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010097147A (ja
JP2010097147A5 (ja
Inventor
廉人 棚瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP2008270325A priority Critical patent/JP5326486B2/ja
Publication of JP2010097147A publication Critical patent/JP2010097147A/ja
Publication of JP2010097147A5 publication Critical patent/JP2010097147A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5326486B2 publication Critical patent/JP5326486B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、吸音する技術に関する。
板振動又は膜振動をする吸音構造が知られている。かかる吸音構造のことを、以下では「板・膜振動吸音構造」という。また、吸音効率の向上を目的に、板・膜振動吸音構造とヘルムホルツ共鳴器(レゾネータ)とを組み合わせる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−338476号公報(図1、図4等)
特許文献1に記載された技術は、ヘルムホルツ共鳴器の構成を変更すると板・膜振動吸音構造の吸音特性が変化してしまうため、両者を組み合わせた全体としての吸音特性の設計が複雑となる。また、特許文献1の図4に記載された技術は、ヘルムホルツ共鳴器として機能させるための開口部を板・膜振動吸音構造の振動部分に設けたものであるため、その開口部により振動部分の内外の音圧差が低減され、板・膜振動吸音構造による吸音の効率が低下するものである。
そこで、本発明は、ヘルムホルツ共鳴器と板・膜振動吸音構造とを組み合わせて設ける場合において、吸音効率の向上を簡便な構成で実現することを目的とする。
本発明に係る吸音構造は、開口した中空領域を第1領域と第2領域とに隔てる隔壁を有する筐体と、板状又は膜状であり、前記筐体に支持されて前記中空領域の開口部を塞ぐ閉塞部材とを備え、前記閉塞部材は、前記第1領域に面する面積が前記第2領域に面する面積よりも大であり、前記第2領域に面する位置に孔部を有する構成を特徴とする。なお、かかる構成において、筐体内の中空領域は、第1領域又は第2領域以外の領域を含むことを妨げないが、第1領域及び第2領域のみで構成されていると、より望ましい。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域の容積が前記第1領域の容積より小である構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域から外部に向かって開口する筒状部材を前記孔部に備える構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記第2領域及び前記筒状部材を複数備え、複数の前記筒状部材は、その長さ及び断面積の少なくともいずれかが互いに同一でない構成であってもよい。
本発明に係る吸音構造は、前記隔壁が、前記第1領域を複数形成するとともに、前記第2領域を複数の前記第1領域の間隙に形成する構成であってもよい。
本発明によれば、ヘルムホルツ共鳴器と板・膜振動吸音構造とを組み合わせて設ける場合において、吸音効率の向上を簡便な構成で実現させることが可能となる。
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である吸音構造の構成を示す図である。この吸音構造10は、直方体状の形状を有し、筐体11と閉塞部材12とを備える。筐体11は、吸音構造10の側面及び底面を構成するとともに、破線で示す隔壁を内部に有する。閉塞部材12は、吸音構造10の上面を構成し、所定の位置に孔部を有する。なお、ここでいう「上面」は、面の方向を便宜的に表したものであって、吸音構造10が配置されるときに上方向を向くことを表したものではない。吸音構造10は、その配置に際しては、必要に応じてどのような向きで配置されてもよい。
筐体11は、振動体として機能する閉塞部材12を支持する部材である。筐体11は、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂により形成されているが、閉塞部材12を支持可能な強度を有するものであれば、金属など他の材料であってもよい。筐体11は、側面を構成する部分と、底面を構成する部分と、隔壁を構成する部分とに分類される。以下においては、これらの各部を、それぞれ「側面部」、「底面部」、「隔壁部」という。筐体11は、これらが一体成形されたものであってもよいし、独立した各部を接着等により固定したものであってもよい。
図2は、筐体11を図1中のA−A線で切断した場合の断面図である。同図に示すように、筐体11は、隔壁部111、側面部112及び底面部113を有する。隔壁部111は、中空である円筒状の部材を複数連結したような形状を有する。隔壁部111において、各々の円筒は、その円の中心と隣り合う円筒の中心とを結んだとき、結んだ線分が側面と平行(又は垂直)になるように並んでいる。また、側面部112及び底面部113は、板状である。本実施形態においては、底面部113が正方形であり、側面部112の各面が長方形であるとする。
隔壁部111は、閉塞部材12、側面部112及び底面部113により囲まれる中空領域を隔てることにより、これを複数の中空領域に分割する。各々の中空領域は、上面側と底面側において開口しており、それぞれの開口部が底面部113又は閉塞部材12により塞がれている。隔壁部111が形成する中空領域は、中空領域h1と中空領域h2の2種類に分類される。中空領域h1は、上述した円筒の内部に相当する円柱状の領域であり、中空領域h2は、複数の円筒により囲まれた略四角柱状の領域である。
なお、筐体11は、中空領域h1及びh2のほかに、隔壁部111と側面部112により形成される中空領域h3を形成する。中空領域h3は、上述した円筒と側面部112により囲まれた略三角柱状の領域である。中空領域h3は、中空領域h2を半分又は1/4に分割した形状を有する。
中空領域h1及びh2のそれぞれの底面積は、隔壁部111の厚みをないものとみなし、上述した円柱の半径をr、円周率をπとした場合、次のS1(中空領域h1の底面積)及びS2(中空領域h2の底面積)で表される。
1=πr
2=4×(r−πr/4)=(4−π)r
すなわち、中空領域h1の底面積S1は、中空領域h2の底面積S2より大である。また、本実施形態においては、隔壁部111及び側面部112の高さ(上面から底面までの距離)が一定であり、底面積と上面の面積が同一であるから、中空領域h1及びh2の容積比は、その底面積の比に一致する。
閉塞部材12は、中空領域h1、h2及びh3の上面側の開口部を塞ぐ板状又は膜状の部材である。閉塞部材12は、板状又は膜状の部材であるが、その厚さは特に問わない。閉塞部材12は、例えば、合成樹脂により形成されているが、筐体11に支持されて振動する程度の弾性を有するものであれば、紙、金属、繊維など他の材料であってもよい。閉塞部材12は、接着剤や釘などにより筐体11に取り付けられている。
図3は、筐体11及び閉塞部材12を図1中のB−B線で切断した場合の断面図である。同図に示すように、閉塞部材12は、中空領域h2及びh3に面する位置、すなわち中空領域h2及びh3の上面側の開口部に相当する位置に孔部12aが設けられている。なお、孔部12aは、本実施形態においては円孔であるが、その形状は円形に限らず、また、サイズ(面積)も必要に応じて決めてよい。
吸音構造10の構成は、以上のとおりである。吸音構造10は、この構成のもと、その内部、すなわち中空領域に気体が充填される。中空領域に充填される気体は、典型的には空気であり、本実施形態においても空気であるとするが、その他の気体であることを妨げない。この気体は、閉塞部材12に対向する気体層(空気層)を形成する。
吸音構造10は、中空領域h1に対応する部分が板・膜振動吸音構造として機能する。すなわち、中空領域h1の気体層は、いわゆる気体バネ(空気バネ)として機能する。具体的には、吸音構造10にある音波が入射した場合に、閉塞部材12のうちの中空領域h1に対向する部分が振動体として機能して振動するとともに、この振動により気体層にも音波が入射して、気体層の音響エネルギーが増加する。この音響エネルギーは、閉塞部材12の振動と、中空領域h1の気体層の気体バネとしての作用と、閉塞部材12と気体層などの内部抵抗による振動を減衰させる作用とにより減衰し、やがて消散する。すなわち、吸音構造10は、閉塞部材12の中空領域h1に面する部分を質量成分(マス)とし、中空領域h1の気体層をバネ成分としたバネマス系を形成する。
本実施形態の吸音構造10の各部は、以下の条件により設定される。
一般に、板状又は膜状の振動体と気体層とにより音を吸収する板・膜振動吸音構造において、吸音する周波数は、振動体の質量成分と気体層のバネ成分とによるバネマス系の共振周波数によって設定される。ここで、気体層の気体の密度をρ0(kg/m3)、音速をc0(m/s)、振動体の密度をρ(kg/m3)、振動体の厚さをt(m)、気体層の厚さをL(m)とすると、バネマス系の共振周波数は以下の式(1)で表される。
Figure 0005326486
また、板・膜振動型吸音構造において、振動体が弾性を有して弾性振動をする場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わる。建築音響の分野においては、長方形である振動体の対向する二辺の長さをa(m)、当該二辺と直交する二辺の長さをb(m)、振動体のヤング率をE(Pa)、振動体のポアソン比をσ、モード次数をp及びq(正の整数)とすると、以下の式(2)で板・膜振動型吸音構造の共振周波数を求め、求めた共振周波数を音響設計に利用することが行われている(周辺支持の場合)。
Figure 0005326486
本実施形態においては、160〜315Hzバンド(1/3オクターブ中心周波数)を吸音するように、例えば、式(2)に基づいて以下のようにパラメータが設定される。
気体の密度ρ0 :1.225(kg/m3
音速c0 :340(m/s)
振動体の密度ρ :940(kg/m3
振動体の厚さt :0.0017(m)
気体層の厚さL :0.03(m)
筐体の長さa :0.1(m)
筐体の長さb :0.1(m)
振動体のヤング率E:1.0(GPa)
ポアソン比σ :0.4
モード次数 :p=q=1
一方、式(2)においては、バネマス系の項(右辺第1項、すなわち式(1)の右辺)と屈曲系の項(右辺第2項)とが加算される。このため、式(2)により得られる共振周波数は、バネマス系の共振周波数より高いものとなり、吸音のピーク周波数を低く設定することが難しい場合がある。このような吸音構造においては、バネマス系による共振周波数と、板又は膜の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性は十分に解明されておらず、低音域で高い吸音効果を奏する吸音構造が確立されていないのが実情である。
本発明の発明者らは、屈曲系の基本振動周波数の値をfa(式(2)の右辺第2項)、バネマス系の共振周波数の値をfb(式(2)の右辺第1項)とした場合に、以下の式(3)の関係を満足するように上記パラメータを設定すれば、高い吸音効果が得られるという知見を得た。これにより、屈曲系の基本振動が背後の気体層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振され(屈曲系共振周波数fa<ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなる。
Figure 0005326486
さらに、上記パラメータを以下の式(4)に設定する場合、ピーク周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300(Hz)以下の周波数の音を吸音する吸音構造として適しているという知見が得られた。
Figure 0005326486
このように、式(3)、(4)の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、ピーク周波数を低くした吸音構造を構成することができる。
また、吸音構造10は、中空領域h2及びh3に対応する部分がヘルムホルツ共鳴器として機能する。これらの部分がヘルムホルツ共鳴器として機能するのは、孔部12aが設けられているためである。すなわち、これらの部分は、孔部12aの内部にある気体を質量成分とし、中空領域h2又はh3の気体層をバネ成分としたバネマス系を形成する。なお、複数の孔部12aの大きさ(孔径又は面積)は、それぞれ同一でなくてもよい。
このように、本実施形態の吸音構造10は、板・膜振動吸音構造として機能するための中空領域とヘルムホルツ共鳴器として機能するための中空領域とを独立に設けているため、かかる中空領域の一部又は全部が共有される構成に比べ、一方が他方に与える影響を抑制することが可能となる。すなわち、この吸音構造10によれば、板・膜振動吸音構造に係る吸音特性(吸音率の周波数特性)とヘルムホルツ共鳴器に係る吸音特性とをより自由に設計することが可能となる。
また、本実施形態の吸音構造10は、中空領域のうちの上面の面積が大きいものを板・膜振動吸音構造として機能させ、中空領域のうちの上面の面積が小さいものをヘルムホルツ共鳴器として機能させる構成を採用することにより、中空領域のすべてを板・膜振動吸音構造として機能させる構成に比べ、吸音効率の改善を期待することができる。なぜならば、板・膜振動吸音構造においては、振動部分(すなわち閉塞部材12)の面積が小さいと、そのぶん振動が生じにくくなり、吸音効率が低下する傾向がある一方で、ヘルムホルツ共鳴器においては、質量成分を構成するのが孔部12aの内部にある気体であるため、上面の面積自体は吸音にほとんど影響を与えないからである。
さらに、本実施形態において、中空領域h2は、中空領域h1を円柱状に設けるに際して生じた、いわば間隙の部分である。つまり、本実施形態の吸音構造10は、板・膜振動吸音構造を複数設けるに際して生じた間隙部分をヘルムホルツ共鳴器として有効に利用するものであるともいえる。板・膜振動吸音構造を複数設ける場合において、間隙部分に閉塞部材12を設けなければ、その間隙部分は吸音体として機能せず、また、間隙部分の上面に孔部12aを設けなければ、その上面の面積が小さくなるほど吸音効率が低下する。すなわち、本実施形態の吸音構造10は、間隙部分の上面に孔を空けるという簡単な加工を施すだけで、板・膜振動吸音構造を複数設けるに際して生じた微小な間隙部分をより有効に活用させることができるものである。
[変形例]
本発明は、上述した実施形態と異なる形態での実施が可能である。以下に示す変形例は、本発明に適用可能な変形の一例である。なお、これらの変形例は、必要に応じて、各々を適宜に組み合わせて実施されてもよい。また、以下の説明においては、既に説明した構成と共通する構成に対して同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
(1)変形例1
上述した実施形態において、中空領域h1は、本発明の「第1領域」の一例であり、中空領域h2及びh3は、本発明の「第2領域」の一例である。しかしながら、本発明に係る吸音構造は、中空領域h3に相当する領域を設けないでもよい。また、上述した吸音構造10の構成において、閉塞部材12の中空領域h2に面する位置に孔部を設けずに、中空領域h3に面する位置のみに孔部を設けるようにしてもよい。この構成の場合には、中空領域h1及びh2が本発明の「第1領域」の一例となり、中空領域h3が本発明の「第2領域」の一例となる。
(2)変形例2
本発明に係る吸音構造は、上述した吸音構造10に代えて、その側面部112を省略し、隔壁部111を外部に露出させた構成としてもよい。また、中空領域h1及びh2は、図1に示した数に限らず、より多く(又は少なく)してもよい。
また、吸音構造10を所定の面(壁面など)に取り付ける場合であれば、その取り付ける面を底面部113の代用としてもよい。すなわち、本発明に係る吸音構造は、隔壁部111や側面部112の底面側が取り付けるべき面に沿った形状にされていれば、筐体11から底面部113を除いた構成にしてもよい。この場合、隔壁部111及び側面部112は、上面側の開口部を閉塞部材12によって塞がれ、底面側の開口部を所定の面によって塞がれる。
(3)変形例3
本発明において、吸音構造及び中空領域の形状は、任意であり、取り付ける面の形状や所望する吸音特性に応じて決めてよい。また、第1領域及び第2領域の形状や配置についても、上述した実施形態のものに限らない。
図4は、取り付ける面が平面でない場合の吸音構造を孔部がある位置において切断した場合を例示する断面図である。同図に示すように、吸音構造20は、筐体21と、閉塞部材22とを備える。なお、吸音構造20は、孔部22aを除き、図4の紙面に垂直な方向について同一の形状を有しているものとする。かかる構成において、筐体21は、第1領域a1と第2領域a2とを形成し、閉塞部材22は、第2領域a2に面する部分に孔部22aを有する。これにより、吸音構造20は、第1領域a1に相当する部分を板・膜振動吸音構造として機能させ、第2領域a2に相当する部分をヘルムホルツ共鳴器として機能させることができる。
図5は、吸音特性が異なる複数のヘルムホルツ共鳴器を構成する場合の吸音構造を孔部がある位置において切断した場合を例示する断面図である。同図に示すように、吸音構造30は、筐体31と、閉塞部材32とを備える。なお、吸音構造30は、孔部32aを除き、図5の紙面に垂直な方向について同一の形状を有しているものとする。かかる構成において、筐体31は、容積が等しい複数の第1領域a1を形成するとともに、容積(高さ)が相異なる複数の第2領域a2を形成する。また、閉塞部材32は、第2領域a2に面する部分に孔部32aを有する。
なお、ヘルムホルツ共鳴器の吸音特性を異ならせることは、孔部32aの形状(すなわち面積)を異ならせることによって行われてもよい。また、第1領域a1の高さやこれに面する閉塞部材32の面積を異ならせることにより、板・膜振動吸音構造の吸音特性を互いに異ならせてもよい。このように、ヘルムホルツ共鳴器及び板・膜振動吸音構造の形状などを多様に異ならせることで、吸音率のピークが異なる多数の吸音体を組み合わせ、より広い周波数帯域について良好な吸音特性を得ることが可能になる。
(4)変形例4
図5に示す構成において、吸音構造30のヘルムホルツ共鳴器の底面を構成する部分を筐体31とは別の部材により構成し、これを移動可能に構成してもよい。
図6は、吸音構造30の変形例を例示する図である。同図において、吸音構造30aは、筐体311と、複数の可動機構312と、閉塞部材32とを備える。可動機構312は、図中の矢印に示す方向に移動可能であり、第2領域a2の高さ及び容積を変化させることが可能である。このようにすれば、ヘルムホルツ共鳴器の吸音特性を必要に応じて変化させることが可能となる。
なお、同様の機構は、板・膜振動吸音構造の底面に設けられてもよい。
(5)変形例5
ヘルムホルツ共鳴器の吸音特性を異ならせることは、その孔部に頚部(ネック部)を設けることで行われてもよい。
図7は、吸音構造10の孔部12aに頚部を設けた構成を示す図である。同図において、筒状部材13は、中空領域h2から外部に向かって開口した円筒形の中空の部材であり、孔部12aに取り付けられてヘルムホルツ共鳴器の頚部として機能する。筒状部材13の長さを必要に応じて定めれば、ヘルムホルツ共鳴器における吸音特性を適宜に変更することが可能となる。
(6)変形例6
本発明において、閉塞部材のうちの振動体として機能する部分(以下、単に「振動体」ともいう。)は、その全体が一様な構成であってもよいし、その一部が他の部分と異なる質量を有する構成であってもよい。この構成において、当該一部は、他の部分と異なる密度を有するものであってもよいし、他の部分と同じ密度だが厚さが異なるものであってもよい。さらには、当該一部は、質量を付与するために他の部材を接着等により取り付けた構成であってもよい。なお、当該一部は、振動体の中央にあると望ましい。
図8は、底面が100mm×100mmの正方形で厚さが10mmの空気層を形成する筐体11に、100mm×100mmの正方形で厚さが0.85mmの閉塞部材12を固着し、閉塞部材12の中央部(大きさ20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の吸音構造10の吸音率のシミュレーション結果を示す図である。なお、シミュレーションは、JIS A1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って吸音構造10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出するものである。なお、本シミュレーションにおいては、振動体の質量成分による作用に注目し、隔壁部111及び孔部12aの作用を除外することを目的に、第2開口部112を設けない構成を用いた。つまり、本構成においては、閉塞部材12の全体が振動体として機能する。
図8に示すシミュレーションに用いた閉塞部材12の構成は、以下のとおりである。なお、面密度及び平均密度の単位は、いずれも「g/m2」である。また、閉塞部材12のうち中央部を除いた部分の面密度は、いずれも799(g/m2)である。
(1)中央部の面密度:399.5、振動体の平均密度:783
(2)中央部の面密度:799、振動体の平均密度:799
(3)中央部の面密度:1199、振動体の平均密度:815
(4)中央部の面密度:1598、振動体の平均密度:831
(5)中央部の面密度:2297、振動体の平均密度:863
図8に示すように、吸音率は、300〜500Hzの間と、700Hz付近において高くなっている。700Hz付近の吸音率のピークは、閉塞部材12の質量成分と空気層のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。本シミュレーションの吸音構造においては、バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとして音が吸音されており、中央部の面密度を大きくしても、閉塞部材12全体としての質量は大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きくは変わらない。
一方、300〜500Hzの間での吸音率のピークは、閉塞部材12の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。本シミュレーションの吸音構造においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、中央部の面密度を異ならせると、屈曲系の共振周波数がバネマス系の共振周波数よりも大きく変化する。また、屈曲系の共振周波数は、図示のとおり、中央部の面密度が大きくなるほど低くなる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、閉塞部材12の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、閉塞部材12の密度(及び面密度)に反比例する。また、屈曲系の共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度の影響を強く受ける。本シミュレーションにおいては、1×1の固有モードの腹となる領域(すなわち中央部)を異なる面密度で形成したことにより、屈曲系の共振周波数が変化したのである。
図8に示すシミュレーション結果は、閉塞部材12の中央部の面密度をその他の部分の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。したがって、中央部の面密度を変更すれば、吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側又は高音域側に移動(シフト)させることが可能である。
以上のことから、本発明に係る吸音構造においては、中央部の面密度を変えることによって、吸音のピーク周波数を変える(シフトさせる)ことができるといえる。すなわち、本発明に係る吸音構造によれば、振動体の中央部の質量を異ならせるだけで、吸音構造全体としての質量を大きく変えることなく、より低い周波数の音を吸音することができるようになる。これにより、本発明に係る吸音構造は、吸音対象の音の周波数が変化する場合においても、振動体の中央部の質量を変化させるだけで、音の変化に対応することが可能となる。
(7)変形例7
本発明において、閉塞部材は、一部又は全部の第2領域に面する位置に孔部を設けない構成としてもよい。あるいは、閉塞部材は、一部又は全部の第1領域に面する位置にも孔部を設けるようにしてもよい。
(8)変形例8
本発明は、吸音構造を群として複数設けたものであってもよい。
図9は、本発明に係る吸音構造群を例示する図である。この吸音構造群40は、上述した実施形態の吸音構造10を連結し、一体にした構成である。筐体41は、2つの筐体11を連結し、側面の一つを互いに共通にしたような構成である。すなわち、筐体41は、共通の側面に相当する隔壁をその内部(破線の位置)に有する。閉塞部材42は、筐体41の上面の開口部を塞ぐものであるが、一方の吸音構造と他方の吸音構造とについて一の共通の部材であってもよいし、図中の破線の位置で分割され、材質や厚さが互いに異なるように構成されてもよい。
なお、本発明に係る吸音構造群において、複数の吸音構造は、いずれも同種(同じ構成)であってもよいが、異種の吸音構造の組み合わせであってもよい。すなわち、本発明に係る吸音構造群が第1の吸音構造と第2の吸音構造とを備える場合において、第1の吸音構造と第2の吸音構造とは、中空領域、第1領域及び第2領域の少なくともいずれかが互いに同一でない構成(形状や容積)であってもよいし、孔部が互いに同一でない構成(形状や面積)であってもよい。本発明に係る吸音構造群において、異種の吸音構造を組み合わせた場合には、より多くの音域を吸音対象とすることが可能となる。
(9)変形例9
本発明は、上述した吸音構造又は吸音構造群を備える音響室としても実施可能である。かかる音響室は、例えば、スピーカや防音室などの、楽音の聴取の用に供される物品や構造物である。また、船舶、飛行機、車両等の乗り物の壁面や、浴室や浴槽などの壁面に本発明を適用し、音響室を構成するようにしてもよい。本発明は、特定の周波数の音が騒音として生じるような場所に適用するに好適なものであるため、かかる物品や構造物に用いると、騒音の抑制に一定の効果を奏する。
吸音構造の構造を示す図 筐体の構造を示す断面図 筐体及び閉塞部材の構造を示す断面図 吸音構造の構造を示す断面図 吸音構造の構造を示す断面図 吸音構造の構造を示す断面図 筒状部材の構造を示す図 吸音率のシミュレーション結果を示す図 吸音構造群の外観を示す図
符号の説明
10、20、30…吸音構造、40…吸音構造群、11、21、31、41…筐体、111…隔壁部、112…側面部、113…底面部、12、22、32、42…閉塞部材、13…筒状部材

Claims (5)

  1. 開口した中空領域を第1領域と第2領域とに隔てる隔壁を有する筐体と、
    板状又は膜状であり、前記筐体に支持されて前記中空領域の開口部を塞ぐ閉塞部材とを備え、
    前記閉塞部材は、前記第1領域に面する面積が前記第2領域に面する面積よりも大であり、前記第2領域に面する位置に孔部を有する
    ことを特徴とする吸音構造。
  2. 前記第2領域の容積が前記第1領域の容積より小であることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
  3. 前記第2領域から外部に向かって開口する筒状部材を前記孔部に備えることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
  4. 前記第2領域及び前記筒状部材を複数備え、
    複数の前記筒状部材は、その長さ及び断面積の少なくともいずれかが互いに同一でない
    ことを特徴とする請求項に記載の吸音構造。
  5. 前記隔壁が、前記第1領域を複数形成するとともに、前記第2領域を複数の前記第1領域の間隙に形成することを特徴とする請求項1に記載の吸音構造。
JP2008270325A 2008-10-20 2008-10-20 吸音構造 Expired - Fee Related JP5326486B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008270325A JP5326486B2 (ja) 2008-10-20 2008-10-20 吸音構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008270325A JP5326486B2 (ja) 2008-10-20 2008-10-20 吸音構造

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010097147A JP2010097147A (ja) 2010-04-30
JP2010097147A5 JP2010097147A5 (ja) 2011-11-24
JP5326486B2 true JP5326486B2 (ja) 2013-10-30

Family

ID=42258855

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008270325A Expired - Fee Related JP5326486B2 (ja) 2008-10-20 2008-10-20 吸音構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5326486B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6452023B2 (ja) * 2014-04-22 2019-01-16 株式会社リコー 吸音装置、電子機器及び画像形成装置
WO2017181341A1 (zh) * 2016-04-19 2017-10-26 黄礼范 隔声通流且强化传热的声学超材料单元、复合结构及制备
WO2019182213A1 (ko) * 2018-03-19 2019-09-26 한국과학기술원 흡음 장치
JP7310120B2 (ja) * 2018-11-05 2023-07-19 ヤマハ株式会社 吸音構造体

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05232967A (ja) * 1992-02-21 1993-09-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd 吸音体
JP2000235396A (ja) * 1999-02-15 2000-08-29 Ricoh Co Ltd 機器の外装材構造
JP4258288B2 (ja) * 2003-06-25 2009-04-30 トヨタ自動車株式会社 吸音構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010097147A (ja) 2010-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5332495B2 (ja) 吸音構造
EP2764509B1 (en) High bandwidth antiresonant membrane
JP4277876B2 (ja) スピーカシステムおよびスピーカエンクロージャー
JP5402025B2 (ja) 吸音構造および音響室
JP5056385B2 (ja) 吸音体
JP5245641B2 (ja) 吸音構造体
JP2009198902A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法
JP5444683B2 (ja) 吸音構造
US5386479A (en) Piezoelectric sound sources
JP5493378B2 (ja) 吸音構造体
JP2009205153A5 (ja) 吸音構造および音響室
WO2019069908A1 (ja) 消音管状構造体
JP2016170194A (ja) 吸音体、吸音構造
JP5326486B2 (ja) 吸音構造
JP2012073472A (ja) 吸音体
JP2011059208A (ja) 音響共鳴装置、スピーカエンクロージャ、楽器及び乗り物
JP2010097145A (ja) 吸音構造、吸音構造群及び音響室
JP5597913B2 (ja) 吸音構造体
KR20210001934U (ko) 방음 패널
JP5262800B2 (ja) 吸音構造体
US6130951A (en) Speaker having multiple sound bodies and multiple sound openings
JP2010097146A (ja) 吸音構造、吸音構造群及び音響室
US20120024624A1 (en) Acoustic panel for receiving, emitting or absorbing sounds
JP2009145740A (ja) 吸音体、吸音体群及び音響室
JP2009198901A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111011

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees