JP5262800B2 - 吸音構造体 - Google Patents

吸音構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP5262800B2
JP5262800B2 JP2009033495A JP2009033495A JP5262800B2 JP 5262800 B2 JP5262800 B2 JP 5262800B2 JP 2009033495 A JP2009033495 A JP 2009033495A JP 2009033495 A JP2009033495 A JP 2009033495A JP 5262800 B2 JP5262800 B2 JP 5262800B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound
vibrating body
absorbing structure
partition
sound absorbing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009033495A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010191030A (ja
JP2010191030A5 (ja
Inventor
廉人 棚瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP2009033495A priority Critical patent/JP5262800B2/ja
Publication of JP2010191030A publication Critical patent/JP2010191030A/ja
Publication of JP2010191030A5 publication Critical patent/JP2010191030A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5262800B2 publication Critical patent/JP5262800B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、音を吸収する吸音構造体、吸音構造体群および音響室に関する。
吸音構造体としては、底部と開口部を有する筐体と、前記開口部に設けられ、前記筐体内に空気層を画成する板状または膜状の振動体と、を具備した板・膜振動型のものがある(特許文献1)。この種の吸音構造体は、振動体のマス(質量(mass))成分と、空気層のバネ成分とによってバネマス系が形成される。
ここで、空気の密度をρ[kg/m3]、音速をc[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m3]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数f[Hz]は数式1のようなる。
Figure 0005262800
また、吸音構造体において、弾性を有した振動体が弾性振動する場合には、弾性振動による屈曲系の性質が加わることになる。
振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[N/m2]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数式2に示すようにして板・膜振動型吸音構造体の共振周波数が求められる。そして、建築音響の分野においては、この求めた共振周波数を音響設計に利用している(例えば、非特許文献2参照)。
Figure 0005262800
上記数式2において、共振周波数fは、バネマス系に係る項(ρ /ρtL)と屈曲系に係る項(バネマス系の項の後に直列に加えられている項)とを加算した値となっている。この数式2に示すように、吸音構造体においては、振動体のバネマス系と、弾性振動による屈曲系とが、吸音条件を決める重要な要素となっている。
特開2006−11412号公報
木村翔著 「建築音響と騒音防止計画」株式会社彰国社、1981年2月20日、p.150
前述した如く、吸音構造体の吸音特性(共振周波数f)は、振動体のバネマス系、および弾性振動による屈曲系振動体に依存する。よって、振動体および筐体によって形成される空気層の厚さLが決まった段階で、当吸音構造体による吸音特性が決まってしまうことになり、特性を変えることができなかった。
そこで、本発明は、上述した背景の下になされたものであり、板・膜振動型の吸音構造体において、当該吸音構造体の特性を変えることのできる吸音構造体、吸音構造体群および音響室を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明が採用する吸音構造体の構造は、底部および開口部を有する筐体と、前記開口部に設けられ、前記筐体内に密閉された空気層を画成する板状または膜状の振動体と、前記底部から前記開口部に向けて設けられ、前記空気層を前記振動体に対して斜めに仕切る仕切部と、を具備することを特徴とする。
上記構成において、前記仕切部と前記振動体との間に隙間が形成されていることが好ましい。
上記構成において、前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、対向する前記振動体の位置に応じて異なるように形成されることが好ましい。
また、上記構成において、前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、前記振動体の中央部分に対向する位置の部分が、他の部分に比べて大きくなるように形成されることが好ましい。
本発明によれば、振動体に対して斜めに仕切った仕切部によって、空気層を複数の空間に仕切られ、前記空気層の厚さを実質的に長くし、当該吸音構造体の吸音特性を変えることが可能となる。
実施形態による吸音構造体の分解斜視図である。 図1の矢視II−II方向から見た横断面図である。 図2の矢視III−III方向から見た縦断面図である。 実施形態による吸音構造体による特性を示す特性線図である。 変形例(1−1)による吸音構造体を示す縦断面図である。 変形例(1−2)による吸音構造体を示す縦断面図である。 変形例(1−2)による吸音構造体を示す縦断面図である。 変形例(3)による特性を示す特性線図である。
<吸音構造体の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る吸音構造体10の分解斜視図である。なお、図面においては、本実施形態の構成を分かりやすく図示するために、吸音構造体10の実際の寸法とは異なる寸法で描画している。
図に示したように、吸音構造体10は、当該吸音構造体10の基台をなす筐体20と、この筐体20の開口部23を施蓋する振動体30と、筐体20と振動体30によって筐体20内に画成される空気層40(図3参照)と、を具備する。
筐体20は、合成樹脂(例えば、ABS樹脂)によって、矩形状で浅底の有底筒状に形成され、底板21、側板22、開口部23を有する。底板21は、開口部23に対向する面に配置され、側板22は、開口部23の周囲に配置される。振動体30は、弾性を有する高分子化合物(例えば、無機充填材入りオレフィン系共重合体)により正方形の板状に形成され、周縁が筐体20の開口部23に接着固定される。当該吸音構造体10の内部(振動体30の背後)には、筐体20の開口部23に振動体30が固定されることにより、密閉された空気層40が画成される。
なお、本実施形態においては、振動体30の素材は合成樹脂としているが、振動体30の素材は合成樹脂に限るものではなく、弾性振動が生じる素材であれば紙、金属、繊維板など他の素材であってもよい。また、振動体30の形状は、板状に限らず膜状であってもよい。要は、振動体30は、力を加えると変形し、弾性または張力により復元力を発生して振動する形状・部材であればよい。
ここで、板状とは、直方体(立体)に対して相対的に厚さが薄く2次元的な広がりを持つ形状であり、膜状(フィルム状、シート状)とは、板状よりもさらに相対的に厚さが薄く、張力により復元力を発生するものである。
さらに、前記振動体30は、該振動体30以外の筐体20に対して剛性が相対的に低い(ヤング率が低い、厚さが薄い、断面2次モーメントが小さい)、或いは機械インピーダンス(8×(曲げ剛性×面密度)1/2)が相対的に低い形状・部材で形成される。即ち、振動体30は、筐体20に対して弾性振動を起こし易くすることにより、振動体30により当該吸音構造体10が吸音作用を発揮する。
以上が、吸音構造体10の基本的構造であるが、本実施形態による吸音構造体10においては、図1乃至図3に示すように、筐体20には、底板21側から開口部23に向けて略平行に配置された複数枚の隔壁26,26,…からなる仕切部25が形成されている。これらの隔壁26によって空気層40は、複数の空間41,41…に仕切られる。
仕切部25をなす各隔壁26は、振動体30に対して角度θ(例えば、30°≦θ≦60°)で傾いている。また、仕切部25と振動体30との間には隙間42が形成され、仕切部25と底板21との間には隙間43が形成され、この隙間42,43を介して各空間41が互いに連通する。また、振動体30側の隙間42は、振動体30と各隔壁26とが接触しないようにして、振動体30が振動する領域を確保する。
<吸音構造体の動作>
このように構成される吸音構造体10においては、振動体30の外側から加わる音圧と空気層40側の音圧との差(即ち、振動体30の前後の音圧差)によって振動体30が弾性振動する。これにより、当該吸音構造体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体30の振動により消費されて音が吸収されることになる。この際、振動体30は、前記数式2に示すようにして設定される共振周波数fを中心とした周波数を吸音することになる。
<実施形態における吸音構造体の効果>
本実施形態における吸音構造体の効果を図4による特性線図に基づいて説明する。
図4は、仕切部25を形成していない吸音構造体の特性線A(実線)、仕切部25を形成した吸音構造体の特性線B(二点鎖線)を示した特性線図であり、横軸は周波数、縦軸は吸音率を示している。
特性線AとBとを比較すると、(1)吸音率のピークを示す周波数f0が同周波数f0´に低下し、(2)吸音周波数帯域(例えば吸音率のピーク値の半分となる周波数帯域)Δfが同周波数帯域Δf´に広がり、(3)吸音率のピーク値α0が同ピーク値α0´に上昇する、という効果が得られた。
以下、上記効果について理由について説明する。
(1)吸音周波数の低下
本実施形態に係る吸音構造体10は、空気層40に複数の傾斜した隔壁26からなる仕切部25を形成する。仕切部25の各隔壁26は、空気層40を、振動体30に対して角度θで傾斜した複数個の空間41に仕切る。このため、振動体30の弾性振動によって発生する空気の流れは、隙間42を介して各空間41に流れ込む。筐体20の厚さは見かけ上は変わらないものの、空気層40の各空間41が角度θで傾斜するため、空気層40の長さが実質的に長くなることになり、仕切部25を有する吸音構造体10は、吸音周波数f0が下がることになる。
(2)吸音周波数帯域の広がり
各空間41は、この空間41を仕切る隔壁26と空気との間に摩擦を発生させて吸音を行う管吸音による吸音特性を発揮する。この結果、当該吸音構造体10は、振動体30の弾性振動による吸音特性に加えて、管壁面に相当する隔壁26での吸音による吸音特性を持たせることができ、吸音周波数の帯域幅Δfを広げる。
(3)吸音率α0の上昇
各空間41は、振動体30から発生する振動による空気の流れを整流させる作用も有するため、空気層40の空気バネとしての動作を制限することができ、吸音率α0のピークを高めることができる。即ち、振動体30の振動により圧縮・膨張する空気層40内の空気の流れは、仕切部25がない場合では、振動体30に平行する方向にも流れて拡がるが、仕切部25がある場合では、空間41の伸張方向に空気が流れようとするため、振動体30に角度θで傾斜する方向の流れに制限される。このため、空気層40の音響インピーダンスZを、背後空気層の厚さL(実質的には、空間41の伸張寸法)に依存する一定の値に固定することができ、共鳴周波数での吸音率α0のピークが低下するのを防止する。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
<変形例1>
前記実施形態では、仕切部25を傾斜した複数の隔壁26によって形成する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、種々の仕切部とすることが可能である。
<変形例1−1>
図5(a)に示す仕切部25Aは、振動体30の中央部に対向した位置の空間41Aの容積を大きく、外側に広がるに従って容積が小さくなるように、各隔壁26Aを配置する。このように、空間41Aの容積を振動体30の位置に応じて異なる空間とすることにより、振動体30の振幅の大きいところでは空気バネの定数を大きくし、振幅の小さいところでは空気バネの定数を小さくでき、振動体30の弾性振動を空気層40により効率良く吸収することが可能となる。
さらに、図5(a)では、振動体30に対して角度θを維持した形で隔壁26Aを配置するようにしたが、図5(b)に示す隔壁26A′のように配置した仕切部25A′としてもよい。この仕切部25A′は、振動体30の中央部に対向して略垂直方向に延びる隔壁26A′を中心として左右に位置した隔壁26A′が徐々に傾斜するように配置される。各隔壁26A′間には、空間41A′が形成される。
この仕切部25A′であっても、振動体30の振幅の大きい部位となる中央部に対して空間41A′が他の空間41A′に比べて大きい容量となる。
<変形例1−2>
図6(a)および図7に示す仕切部25Bは、その外形が円錐体の頭部を切り取った截頭円錐状の隔壁26Bによって構成される。この隔壁26Bは、空気層40を、隔壁26Bの内側,外側に容積の異なる空間41B1,空間41B2に仕切る。隔壁26Bは振動体30から底板21に向けて拡径する形状となっているため、振動体30の振動によって発生する空気の流れを空間41B1側に流れ込みやすくなる。これにより、上述した実施形態同様に、(1)吸音率のピークを示す周波数f0が同周波数f0´に低下し、(2)吸音周波数帯域(例えば吸音率のピーク値の半分となる周波数帯域)Δfが同周波数帯域Δf´に広がり、(3)吸音率のピーク値α0が同ピーク値α0´に上昇する、という効果を奏する。
また、図7に二点鎖線で示す4枚の区切板26B1を設けるようにしてもよい。区切板26B1は、隔壁26Bの外形から径方向外側に筐体20内側まで延び、略台形状に形成される。この区切板26B1は、隔壁26Bの外側に位置する空間を四等分に分けた分割空間41B2を形成する。この分けられた分割空間41B2の容積は、内側の空間41B1の容積よりも小さくなる。
そして、振動体30の振幅の大きいところでは空気バネの定数を大きくし、振幅の小さいところでは空気バネの定数を小さくでき、振動体30の弾性振動を空気層40により効率良く吸収することが可能となる。なお、本変形例では、区切板26B1は隔壁26B外側と筐体20内側に画成される空間を4分割に分割する場合を例示したが、これに限らず、区切板26B1を1,2,3,5枚以上としてもよい。要は、隔壁26Bの外側に画成される分割空間41B2一つの容量が、隔壁26B内側に画成される空間26B1よりも小さくなればよい。
図6(b)に示す仕切部25Cは、同心円状に配置され、径寸法の異なった截頭円錐状の隔壁26C,26C,・・・によって構成される。この隔壁26Cは、空気層40を、環状の空間41C,41C,・・・に仕切る。
また、同心円状の仕切部25Cを構成する筒体の形状は、図6(c)に示す隔壁26Dのように外側から内側に配置された各隔壁の高さを順次低く形成した形状であってもよい。
図6(c)のように、筒体の高さを振動体30の中央部に向かうに従ってその高さを低くする理由は、振動体30が振動する際に振幅の大きくなる部分が筒体に当たるのを防止するためである。
一方、実施形態および変形例1では、仕切部25と底板21との間に隙間43を形成する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、隙間43を無くして仕切部25を底板21に形成してもよい。
さらに、隔壁26は傾きや筐体20の厚さ方向に対する隔壁26(仕切部25)の配置位置は外部から変更・移動可能な機構を設けることにより、吸音構造体10を設置した後であっても、共振周波数の変更を可能にする。
<変形例2>
このように構成される吸音構造体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性については、前記数式2によって一義的に決められるものの、実際には十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する吸音構造体の構造が確立されていないのが実情である。
そこで、発明者達は鋭意実験を行った結果、屈曲系の基本振動周波数の値をfa、バネマス系の共振周波数の値をfbとし場合、以下の数式3の関係を満足するように、上記パラメータを設定する。これにより、屈曲系の基本振動が背後の空気層のバネ成分と連成して、バネマス系の共振周波数と屈曲系の基本周波数との間の帯域に振幅の大きな振動が励振されて(屈曲系共振周波数fa<吸音ピーク周波数f<バネマス系基本周波数fb)、吸音率が高くなるという事実を検証した。
(数3)
0.05≦fa/fb≦0.65
さらに、以下の数式4に設定する場合、吸音ピークの周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さくなる。この場合、低次の弾性振動のモードにより屈曲系の基本周波数がバネマス系の共振周波数より十分に小さく、300[Hz]以下の周波数の音を吸収する吸音構造として適していることも検証した。
(数4)
0.05≦fa/fb≦0.40
このように、上記した数式3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音構造体が構成できる。
前記各種パラメータとは、数2に示した共振周波数fを設定するパラメータであり、気体の密度ρ0、音速c0、振動体の密度ρ、振動体の厚さt、気体層の厚さL、、筐体の長さa、筐体の長さb、振動体のヤング率E、ポアソン比σ、モード次数p,q等である。
<変形例3>
さらに、吸音構造体10の構成は、矩形状の筐体20、筐体20の開口部23を閉塞する振動体30と、筐体20内に画成される空気層40と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に限らず円形状、多角形状であってもよい。
上記例においては、振動体を一様な構成として記載したが、振動体30のその一部が他の部分と異なる密度となるように形成したり、その一部が他の部分よりも異なる厚さに形成したり、その一部に錘を付与して形成したりして、振動体30の一部が他の部分と異なる質量を有するように形成してもよい。このように振動体30を形成することによって、振動体30に対して振動条件を変更することが可能となる。
吸音構造体10は、先にも説明した通り、バネマス系と屈曲系で吸音メカニズムが構成される。ここで、発明者達は、振動体30の面密度を変えた際の共振周波数における吸音率の実験を行った。
図8は、空気層40の縦と横の大きさが100mm×100mmで厚さが10mmの筐体20に振動体30(大きさが100mm×100mm、厚さ0.85mm)を固着し、中央部(大きさが20mm×20mm、厚さ0.85mm)の面密度を変化させた際の吸音構造体10の垂直入射吸音率のシミュレート結果を示した図である。なお、シミュレート手法は、JISA 1405−2(音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法)に従って、上記吸音構造体10を配置した音響室の音場を有限要素法により求め、その伝達関数より吸音特性を算出した。
具体的には、中央部の面密度を、(1)399.5[g/m]、(2)799[g/m]、(3)1199[g/m]、(4)1598[g/m]、(5)2297[g/m]とし、周縁部材の面密度を799[g/m]とし、振動体30の平均密度を、(1)783[g/m]、(2)799[g/m]、(3)815[g/m]、(4)831[g/m]、(5)863[g/m]とした場合のシミュレーション結果である。
シミュレートの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
700[Hz]付近で吸音率が高くなっているのは、振動体30のマスと空気層40のバネ成分によって形成されるバネマス系の共振によるものである。吸音構造体10においては上記バネマス系の共振周波数での吸音率をピークとし音が吸音されており、中央部の面密度大きくしても、振動体30全体のマスは大きく変わらないので、バネマス系の共振周波数も大きく変わらないことが分かる。
また、300〜500[Hz]の間で吸音率が高くなっているのは、振動体30の屈曲振動によって形成される屈曲系の共振によるものである。吸音構造体10においては、屈曲系の共振周波数での吸音率が低音域側のピークとして表れており、振動体30が屈曲振動をする際に腹となる領域に相当する中央部の面密度を大きくしてゆくと屈曲系の共振周波数だけが低くなっていることが分かる。
一般に、屈曲系の共振周波数は、振動体30の弾性振動を支配する運動方程式で決定され、振動体30の密度(面密度)に反比例する。また、前記共振周波数は、固有振動の腹(振幅が極大値となる場合)の密度により大きく影響される。このため、上記シミュレーションでは、1×1の固有モードの腹となる領域を中央部で異なる面密度に形成したので、屈曲系の共振周波数が変化したものである。
このように、シミュレーション結果は、中央部の面密度を周縁部の面密度より大きくすると、吸音のピークとなる周波数のうち、低音域側の吸音率のピークがさらに低音域側へ移動することを表している。従って、中央部の面密度を変更することにより吸音のピークとなる周波数の一部をさらに低音域側または高音域側に移動(シフト)させることができることを表している。
上述した吸音構造体10においては、中央部の面密度を変えるだけで、吸音される音のピークの周波数を変える(シフトさせる)ことができるため、振動体30を吸音構造体10全体と同じ素材で板状に形成し、吸音構造体10全体の質量を重くして吸音する音を変更する場合と比較して、吸音構造体10全体の質量を大きく変えることなく吸音させる音を低くできる。
<変形例4>
また、吸音構造体10の空気層40内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
<変形例5>
さらに、隔壁26の表面に摩擦材(例えば、薄い織物のような、音波による空気振動に対して抵抗を有する部材)を貼り付けることにより、当該吸音構造体10の吸音力をさらに増大させることが可能となる。
<変形例6>
また、本発明においては、吸音構造体群を形成する場合、上述した実施形態または変形例のいずれか一種類の吸音構造体を複数組み合わせて吸音構造体群とするだけでなく、例えば、吸音特性の異なった吸音構造体を組み合わせたり、3種類以上の吸音特性の異なった吸音構造体を組み合わせたりするというように、異なった吸音特性を有する吸音構造体を組み合わせて吸音構造体群としてもよい。
また、本発明に係る吸音構造体および吸音構造体を組み合わせた吸音構造体群は、音響特性を制御する各種の音響室に配置することが可能である。ここで、各種音響室とは、防音室、ホール、劇場、音響機器のリスニングルーム、会議室等の居室、車両など各種輸送機器の空間、スピーカや楽器などの筐体などである。
10・・・吸音構造体、20・・・筐体、21・・・底板、22・・・側板、23・・・開口部、25,25A,25A′,25B,25C,25D・・・仕切部(仕切手段)、26,26A,26A′,26B,26C,26D・・・隔壁、30・・・振動体、40・・・空気層、41,41A,41A′,41B1,41C,41D・・・空間、41B2…分割空間、42,43・・・隙間。

Claims (4)

  1. 底部および開口部を有する筐体と、
    前記開口部に設けられ、前記筐体内に密閉された空気層を画成する板状または膜状の振動体と、
    前記底部から前記開口部に向けて設けられ、前記空気層を前記振動体に対して斜めに仕切る仕切部と、を具備する
    ことを特徴とする吸音構造体。
  2. 前記仕切部と前記振動体との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の吸音構造体において、
    前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、対向する前記振動体の位置に応じて異なるように形成される
    ことを特徴とする吸音構造体。
  4. 請求項1または請求項2に記載の吸音構造体において、
    前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、前記振動体の中央部分に対向する位置の部分が、他の部分に比べて大きくなるように形成される
    ことを特徴とする吸音構造体。
JP2009033495A 2009-02-17 2009-02-17 吸音構造体 Expired - Fee Related JP5262800B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009033495A JP5262800B2 (ja) 2009-02-17 2009-02-17 吸音構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009033495A JP5262800B2 (ja) 2009-02-17 2009-02-17 吸音構造体

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010191030A JP2010191030A (ja) 2010-09-02
JP2010191030A5 JP2010191030A5 (ja) 2012-01-12
JP5262800B2 true JP5262800B2 (ja) 2013-08-14

Family

ID=42817159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009033495A Expired - Fee Related JP5262800B2 (ja) 2009-02-17 2009-02-17 吸音構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5262800B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106320547A (zh) * 2015-09-30 2017-01-11 无锡威胜环保设备制造有限公司 带侧部隔音板的降噪机房罩壳
CN106320550A (zh) * 2015-09-09 2017-01-11 无锡亮慧环保机械有限公司 隔音板结构
CN106320562A (zh) * 2015-09-09 2017-01-11 无锡亮慧环保机械有限公司 机房的噪音防治结构

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014045404A1 (ja) 2012-09-21 2014-03-27 Kitamura Yoshiharu 気流を許容する防音板及び防音デバイス

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63108397A (ja) * 1986-10-27 1988-05-13 松下電工株式会社 吸音器
JPH09242211A (ja) * 1996-03-06 1997-09-16 Sekisui Chem Co Ltd 遮音パネル及び遮音ドア
JP3478101B2 (ja) * 1997-11-25 2003-12-15 トヨタ自動車株式会社 吸音装置
JP2006161416A (ja) * 2004-12-07 2006-06-22 Sekisui Chem Co Ltd 吸音板および吸音方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106320550A (zh) * 2015-09-09 2017-01-11 无锡亮慧环保机械有限公司 隔音板结构
CN106320562A (zh) * 2015-09-09 2017-01-11 无锡亮慧环保机械有限公司 机房的噪音防治结构
CN106320547A (zh) * 2015-09-30 2017-01-11 无锡威胜环保设备制造有限公司 带侧部隔音板的降噪机房罩壳

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010191030A (ja) 2010-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5245641B2 (ja) 吸音構造体
JP5493378B2 (ja) 吸音構造体
JP2009198902A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法
JP5402025B2 (ja) 吸音構造および音響室
JP5332495B2 (ja) 吸音構造
JP5056385B2 (ja) 吸音体
JPWO2006106854A1 (ja) 吸音構造体
JP5446134B2 (ja) 吸音構造体
JP5262800B2 (ja) 吸音構造体
KR20180095245A (ko) 무향실용 흡음구조체 및 이를 포함하는 무향실
JP5597913B2 (ja) 吸音構造体
JP2016170194A (ja) 吸音体、吸音構造
KR101788110B1 (ko) 공기 흡착제를 구비하는 마이크로스피커 인클로져
JP2011059208A (ja) 音響共鳴装置、スピーカエンクロージャ、楽器及び乗り物
JP2010097145A (ja) 吸音構造、吸音構造群及び音響室
JP3583644B2 (ja) 防音材
JP5543705B2 (ja) 吸音構造体
JP2010052632A (ja) 車体構造体およびインストルメントパネル
JP5286949B2 (ja) 吸音構造
JP2009204836A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法
JP2009198901A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法
JP2010097146A (ja) 吸音構造、吸音構造群及び音響室
JP4747912B2 (ja) スピーカ装置
JP2010191030A5 (ja) 吸音構造体
JP2009145740A (ja) 吸音体、吸音体群及び音響室

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111118

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130306

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees