JP5262800B2 - 吸音構造体 - Google Patents
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ここで、空気の密度をρ0[kg/m3]、音速をc0[m/s]、振動体の密度をρ[kg/m3]、振動体の厚さをt[m]、空気層の厚さをL[m]とすると、バネマス系の共振周波数f[Hz]は数式1のようなる。
振動体の形状が長方形で一辺の長さをa[m]、もう一辺の長さをb[m]、振動体のヤング率をE[N/m2]、振動体のポアソン比をσ[−]、p,qを正の整数とすると、以下の数式2に示すようにして板・膜振動型吸音構造体の共振周波数が求められる。そして、建築音響の分野においては、この求めた共振周波数を音響設計に利用している(例えば、非特許文献2参照)。
また、上記構成において、前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、前記振動体の中央部分に対向する位置の部分が、他の部分に比べて大きくなるように形成されることが好ましい。
図1は、本発明の実施形態に係る吸音構造体10の分解斜視図である。なお、図面においては、本実施形態の構成を分かりやすく図示するために、吸音構造体10の実際の寸法とは異なる寸法で描画している。
図に示したように、吸音構造体10は、当該吸音構造体10の基台をなす筐体20と、この筐体20の開口部23を施蓋する振動体30と、筐体20と振動体30によって筐体20内に画成される空気層40(図3参照)と、を具備する。
仕切部25をなす各隔壁26は、振動体30に対して角度θ(例えば、30°≦θ≦60°)で傾いている。また、仕切部25と振動体30との間には隙間42が形成され、仕切部25と底板21との間には隙間43が形成され、この隙間42,43を介して各空間41が互いに連通する。また、振動体30側の隙間42は、振動体30と各隔壁26とが接触しないようにして、振動体30が振動する領域を確保する。
このように構成される吸音構造体10においては、振動体30の外側から加わる音圧と空気層40側の音圧との差(即ち、振動体30の前後の音圧差)によって振動体30が弾性振動する。これにより、当該吸音構造体10に到達する音波のエネルギーは、この振動体30の振動により消費されて音が吸収されることになる。この際、振動体30は、前記数式2に示すようにして設定される共振周波数fを中心とした周波数を吸音することになる。
本実施形態における吸音構造体の効果を図4による特性線図に基づいて説明する。
図4は、仕切部25を形成していない吸音構造体の特性線A(実線)、仕切部25を形成した吸音構造体の特性線B(二点鎖線)を示した特性線図であり、横軸は周波数、縦軸は吸音率を示している。
特性線AとBとを比較すると、(1)吸音率のピークを示す周波数f0が同周波数f0´に低下し、(2)吸音周波数帯域(例えば吸音率のピーク値の半分となる周波数帯域)Δfが同周波数帯域Δf´に広がり、(3)吸音率のピーク値α0が同ピーク値α0´に上昇する、という効果が得られた。
(1)吸音周波数の低下
本実施形態に係る吸音構造体10は、空気層40に複数の傾斜した隔壁26からなる仕切部25を形成する。仕切部25の各隔壁26は、空気層40を、振動体30に対して角度θで傾斜した複数個の空間41に仕切る。このため、振動体30の弾性振動によって発生する空気の流れは、隙間42を介して各空間41に流れ込む。筐体20の厚さは見かけ上は変わらないものの、空気層40の各空間41が角度θで傾斜するため、空気層40の長さが実質的に長くなることになり、仕切部25を有する吸音構造体10は、吸音周波数f0が下がることになる。
各空間41は、この空間41を仕切る隔壁26と空気との間に摩擦を発生させて吸音を行う管吸音による吸音特性を発揮する。この結果、当該吸音構造体10は、振動体30の弾性振動による吸音特性に加えて、管壁面に相当する隔壁26での吸音による吸音特性を持たせることができ、吸音周波数の帯域幅Δfを広げる。
各空間41は、振動体30から発生する振動による空気の流れを整流させる作用も有するため、空気層40の空気バネとしての動作を制限することができ、吸音率α0のピークを高めることができる。即ち、振動体30の振動により圧縮・膨張する空気層40内の空気の流れは、仕切部25がない場合では、振動体30に平行する方向にも流れて拡がるが、仕切部25がある場合では、空間41の伸張方向に空気が流れようとするため、振動体30に角度θで傾斜する方向の流れに制限される。このため、空気層40の音響インピーダンスZを、背後空気層の厚さL(実質的には、空間41の伸張寸法)に依存する一定の値に固定することができ、共鳴周波数での吸音率α0のピークが低下するのを防止する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
<変形例1>
前記実施形態では、仕切部25を傾斜した複数の隔壁26によって形成する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、種々の仕切部とすることが可能である。
図5(a)に示す仕切部25Aは、振動体30の中央部に対向した位置の空間41Aの容積を大きく、外側に広がるに従って容積が小さくなるように、各隔壁26Aを配置する。このように、空間41Aの容積を振動体30の位置に応じて異なる空間とすることにより、振動体30の振幅の大きいところでは空気バネの定数を大きくし、振幅の小さいところでは空気バネの定数を小さくでき、振動体30の弾性振動を空気層40により効率良く吸収することが可能となる。
この仕切部25A′であっても、振動体30の振幅の大きい部位となる中央部に対して空間41A′が他の空間41A′に比べて大きい容量となる。
図6(a)および図7に示す仕切部25Bは、その外形が円錐体の頭部を切り取った截頭円錐状の隔壁26Bによって構成される。この隔壁26Bは、空気層40を、隔壁26Bの内側,外側に容積の異なる空間41B1,空間41B2に仕切る。隔壁26Bは振動体30から底板21に向けて拡径する形状となっているため、振動体30の振動によって発生する空気の流れを空間41B1側に流れ込みやすくなる。これにより、上述した実施形態同様に、(1)吸音率のピークを示す周波数f0が同周波数f0´に低下し、(2)吸音周波数帯域(例えば吸音率のピーク値の半分となる周波数帯域)Δfが同周波数帯域Δf´に広がり、(3)吸音率のピーク値α0が同ピーク値α0´に上昇する、という効果を奏する。
図6(c)のように、筒体の高さを振動体30の中央部に向かうに従ってその高さを低くする理由は、振動体30が振動する際に振幅の大きくなる部分が筒体に当たるのを防止するためである。
このように構成される吸音構造体においては、バネマス系による共振周波数と、板の弾性による弾性振動による屈曲系の共振周波数との関連性については、前記数式2によって一義的に決められるものの、実際には十分に解明されておらず、低音域で高い吸音力を発揮する吸音構造体の構造が確立されていないのが実情である。
(数3)
0.05≦fa/fb≦0.65
(数4)
0.05≦fa/fb≦0.40
このように、上記した数式3,4の条件を満足するように各種パラメータを設定することにより、吸音のピークとなる周波数を低くした吸音構造体が構成できる。
前記各種パラメータとは、数2に示した共振周波数fを設定するパラメータであり、気体の密度ρ0、音速c0、振動体の密度ρ、振動体の厚さt、気体層の厚さL、、筐体の長さa、筐体の長さb、振動体のヤング率E、ポアソン比σ、モード次数p,q等である。
さらに、吸音構造体10の構成は、矩形状の筐体20、筐体20の開口部23を閉塞する振動体30と、筐体20内に画成される空気層40と、を具備する構成としたが、本発明による筐体の形状は矩形状に限らず円形状、多角形状であってもよい。
上記例においては、振動体を一様な構成として記載したが、振動体30のその一部が他の部分と異なる密度となるように形成したり、その一部が他の部分よりも異なる厚さに形成したり、その一部に錘を付与して形成したりして、振動体30の一部が他の部分と異なる質量を有するように形成してもよい。このように振動体30を形成することによって、振動体30に対して振動条件を変更することが可能となる。
シミュレートの結果を見ると、300〜500[Hz]の間と、700[Hz]付近において吸音率が高くなっている。
また、吸音構造体10の空気層40内には、多孔質吸音材(例えば、発泡樹脂、フェルト,ポリエステルウール等の綿状繊維)を充填することにより、吸音率ピーク値を増加させてもよい。
さらに、隔壁26の表面に摩擦材(例えば、薄い織物のような、音波による空気振動に対して抵抗を有する部材)を貼り付けることにより、当該吸音構造体10の吸音力をさらに増大させることが可能となる。
また、本発明においては、吸音構造体群を形成する場合、上述した実施形態または変形例のいずれか一種類の吸音構造体を複数組み合わせて吸音構造体群とするだけでなく、例えば、吸音特性の異なった吸音構造体を組み合わせたり、3種類以上の吸音特性の異なった吸音構造体を組み合わせたりするというように、異なった吸音特性を有する吸音構造体を組み合わせて吸音構造体群としてもよい。
Claims (4)
- 底部および開口部を有する筐体と、
前記開口部に設けられ、前記筐体内に密閉された空気層を画成する板状または膜状の振動体と、
前記底部から前記開口部に向けて設けられ、前記空気層を前記振動体に対して斜めに仕切る仕切部と、を具備する
ことを特徴とする吸音構造体。 - 前記仕切部と前記振動体との間に隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
- 請求項1または請求項2に記載の吸音構造体において、
前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、対向する前記振動体の位置に応じて異なるように形成される
ことを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1または請求項2に記載の吸音構造体において、
前記仕切部は、当該仕切部によって仕切られる空気層の容積が、前記振動体の中央部分に対向する位置の部分が、他の部分に比べて大きくなるように形成される
ことを特徴とする吸音構造体。
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