JP6613758B2 - 紫外線硬化性塗工組成物、ハードコートフィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコート層の形成に好適に用いられる紫外線硬化性塗工組成物、並びにそれを用いたハードコートフィルム及びその製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置には、様々な外力に起因する傷付きを防止するために、多くの場合、最表面にハードコート層が設けられている。このようなハードコート層には、外光の映り込みを防止する観点から、光学多層膜による干渉を利用した反射防止処理や、表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理を施すことも多い。
一般にハードコート層は、紫外線硬化性樹脂を含む塗工組成物を基材フィルム上に塗布し、そこに紫外線を照射して樹脂を硬化させることにより製造されている。その紫外線硬化性樹脂、すなわち紫外線により硬化する化合物としては、分子内に(メタ)アクリロイル基を有するモノマー又はオリゴマーを用いることが多い。
例えば、特開 2007-262281号公報(特許文献1)には、多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応により得られる多官能ウレタン化(メタ)アクリレート、及び光重合開始剤を含有する紫外線硬化性樹脂組成物を透明基材上に塗布した後、得られる塗膜に、第一の照射工程で、空気中より酸素が少ない状態、例えばその塗膜を型に押し当てた状態にて、透明基材側から紫外線を照射して上記の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、さらに第二の照射工程で塗膜側から紫外線照射することにより、高硬度ハードコートフィルムを製造する技術が開示されている。
特開 2012-072235号公報(特許文献2)には、特定波長以下の紫外線を吸収する透明基材フィルム上に、紫外線硬化性樹脂組成物を塗工して紫外線硬化性層を形成した後、好適にはその紫外線硬化性層を型に押し当てた状態で透明基材フィルム側から、その透明基材フィルムが吸収する紫外波長域外に最大発光強度を示す第1の紫外線を照射し、次に紫外線硬化性層側から、透明基材フィルムが吸収する紫外波長域内に最大発光強度を示す第2の紫外線を照射してハードコートフィルムを製造する技術が開示されており、ここでは、上記の紫外線硬化性樹脂組成物に、透明基材フィルムが吸収する紫外波長域外に吸収極大を有する第1の光重合開始剤と、透明基材フィルムが吸収する紫外波長域内にのみ吸収極大を有する第2の光重合開始剤とを含有させることにより、硬度が高く、基材フィルムに対する密着性に優れるハードコート層を形成するようにしている。また、紫外線硬化性樹脂組成物を構成する紫外線硬化性樹脂として、多官能(メタ)アクリレート系化合物が挙げられている。
特開 2012-233989号公報(特許文献3)及び特開 2013-174638号公報(特許文献4)には、連続して搬送される基材フィルム上に、紫外線硬化性樹脂を含有する塗工液を塗工して塗工層を形成し、その塗工層の表面を型の表面に押し当てた状態で基材フィルム側から紫外線を照射して塗工層を硬化させ、光学フィルムを製造する技術が開示されており、これらの文献にも、紫外線硬化性樹脂として、多官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられている。
以上の特許文献1〜4には、紫外線硬化性樹脂組成物(塗工液)にレベリング剤を配合することも記載されている。
一方、分子内にフッ素を含む硬化性化合物を硬化性樹脂とすることも知られている。例えば、国際公開第 2007/102370号(特許文献5)には、多官能性アクリレート、脂肪族不飽和結合を有するオルガノアルコキシシラン、コロイダルシリカ、及び脂肪族不飽和結合を有するフッ素化合物を含有する紫外線硬化性組成物が開示され、この組成物を基材フィルム上に塗工し、紫外線硬化させて硬化皮膜(ハードコート層)を形成することも記載されている。また、特表 2012-518713号公報(特許文献6)には、紫外線硬化型官能基含有バインダー樹脂、フッ素系紫外線硬化型官能基含有化合物、光重合開始剤、ナノ微粒子、及び導電性無機粒子を含有する塗工組成物が開示されている。
特開2007−262281号公報 特開2012−072235号公報 特開2012−233989号公報 特開2013−174638号公報 国際公開第2007/102370号 特表2012−518713号公報
特許文献1〜4に開示されるような、塗工層を型に押し当てた状態で紫外線を照射し、その塗工層を硬化させる方法、あるいは必要に応じてその後、硬化した塗工層側から再度紫外線を照射する方法によれば、平滑で鏡面のハードコート層、又は型の凹凸がそのまま表面に賦形された外観良好なハードコート層を、高い透明性及び高い硬度で形成させることができる。しかし、特にこの方法を採用した場合、得られるハードコート層は、水親和性が大きくなり、特に高い防汚性が求められる分野には適応しにくいことがあった。具体的には、ある塗工組成物を基材フィルム上に塗布し、それを大気に触れた状態で硬化させた場合には、得られるハードコート層が100°前後の対水接触角を示すのに対して、同じ塗工組成物を基材フィルム上に塗布し、その塗工層を型に押し当てて硬化させた場合には、得られるハードコート層の対水接触角が60°前後になることがあった。
その原因として、塗工液がレベリング剤を含有する場合、そのレベリング剤が硬化後の塗工層、すなわちハードコート層に残り、水親和性を小さくする方向で作用するところ、レベリング剤は塗工層の表面付近に浮遊しやすく、大気に触れた状態で硬化させた場合には、そのレベリング剤がほぼそのままハードコート層に残るのに対し、塗工層を型に押し当てた状態で硬化させた場合には、そのレベリング剤の多くが型の表面に移行してしまうことが考えられる。
特許文献5及び6に開示されるような、分子内にフッ素を含む硬化性化合物を塗工液に含有させれば、得られるハードコート層の水親和性を低くすることができる。しかしながら従来技術では、低い水親和性、高い平滑性、高い透明性及び高い硬度のすべてを実現することは困難であった。特に、分子内にフッ素を含む硬化性化合物を、フッ素を含まない硬化性化合物、例えば、(メタ)アクリル系の硬化性化合物と併用した場合、両者の相溶性が十分でないため、得られるハードコート層の外観を悪化させるという問題もあった。
そこで本発明の課題は、水親和性が低く、したがって対水接触角が大きくて防汚性に優れ、さらに高い平滑性、高い透明性及び高い硬度を有し、外観も良好な硬化皮膜を与え、ハードコート層の形成に有用な紫外線硬化性塗工組成物を提供することにある。本発明のもう一つの課題は、この紫外線硬化性塗工組成物から形成され、水親和性が低く、したがって対水接触角が大きくて防汚性に優れ、さらに透明性、硬度及び外観にも優れたハードコート層を有するハードコートフィルムを提供し、またその製造方法を提供することにある。
すなわち本発明によれば、紫外線硬化性成分、光重合開始剤及び溶剤を含有し、その紫外線硬化性成分は、分子内にフッ素を含む硬化性化合物と分子内にフッ素を含まない硬化性化合物との混合物であり、かつ、それぞれの硬化性化合物1gを単独でアセトン10mlと混合して分散させ、得られる分散液に水を加えていったときに、その分散液に白濁を生じるまでに要する水の量を当該硬化性化合物の水トレランスと定義し、得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づいて、次の数式(1)で定義される親和力Aが1から2までの範囲となる、紫外線硬化性塗工組成物が提供される。
Figure 0006613758
この紫外線硬化性塗工組成物において、分子内にフッ素を含む上記の硬化性化合物は、分子内にフルオロアルキル基を有するウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物であることができる。
かかるウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物の例として、下式(I)で示されるものを挙げることができる。
Figure 0006613758
式中、mは3から16までの整数を表し、nは1から5までの整数を表し、aは1又は2を表し、bは2から5までの整数を表し、XはO、S又はNHを表し、Yはジ−又はトリ−イソシアネート化合物から全てのイソシアナト基を除去して得られる2価又は3価の基を表し、Zは3価から6価までの多価アルコールから全ての水酸基を除去して得られる3価から6価までの基を表し、Rは水素又はメチルを表す。
分子内にフッ素を含まない上記の硬化性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有するものであることが好ましい。光重合開始剤は、アシルホスフィンオキサイドから選ばれる第一の光重合開始剤と、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル及びα−アミノアルキルフェノンからなる群より選ばれる第二の光重合開始剤との混合物であることが好ましい。上記の溶剤は、紫外線硬化性成分の合計量に対して0.5〜2.5重量倍の割合で含有されることが好ましい。
本発明による紫外線硬化性塗工組成物は、基材の表面に塗工し、得られる塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて硬化させ、硬化塗膜を形成する方式において、得られる硬化塗膜の防汚性を高める観点から、特に好適に用いられる。
また本発明によれば、透明基材フィルムと、上記いずれかの紫外線硬化性塗工組成物からなるハードコート層とを備えるハードコートフィルムも提供される。ここで、透明基材フィルムは、例えば、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートからなる樹脂のフィルムであることができる。
さらに本発明によれば、ハードコートフィルムの製造方法も提供され、この方法は、透明基材フィルムの表面に上記いずれかの紫外線硬化性塗工組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、得られる塗工層から溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、溶剤が除去された後の塗工層に紫外線を照射して上記塗工層を硬化させる硬化工程とを備える。すなわち、本発明のハードコートフィルムは、透明基材フィルムと、上記紫外線硬化性成分の硬化物からなるハードコート層とを備える。
この方法において、硬化工程は、溶剤が除去された後の上記塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて紫外線を照射する工程を含むことができ、この場合の型は、特に連続的にハードコートフィルムを製造する場合は、鏡面ロール又はエンボスロールであることができる。
また硬化工程は、上記の透明基材フィルム側から紫外線を照射する第一の照射工程と、その後で上記の塗工層側から紫外線を照射する第二の照射工程とを備えるようにすることが好ましい。この場合の第一の照射工程は、上記塗工層に鏡面ロール又はエンボスロールを押し当てながら上記の透明基材フィルム側から紫外線を照射するようにして行うことができる。
本発明の紫外線硬化性塗工組成物は、それを基材フィルム上に塗布し、得られる塗工層を型に押し当てた状態で硬化させた場合にも、水親和性が小さく、具体的には対水接触角が大きく、したがって防汚性に優れ、さらに高い平滑性、高い透明性、高い硬度及び良好な外観を有するハードコート層を形成することができる。もちろん、塗工層表面をフリーな状態で、具体的には大気に触れた状態で硬化させても、上記のような優れた性能を有するハードコート層を形成することができる。
この塗工組成物を透明基材フィルムの表面に塗工し、そこから溶剤を除去し、その塗工層を硬化して得られるハードコートフィルムは、防汚性に優れ、さらに高い平滑性、高い透明性及び高い硬度を有し、外観も良好なものとなる。また本発明の製造方法によれば、このようなハードコートフィルムを有利に製造することができる。
ロール状で用意される基材フィルムからハードコートフィルムを製造する場合の好ましい装置の配置例を模式的に示すフロー図である。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明では、分子内にフッ素を含む硬化性化合物(以下、「含フッ素硬化性化合物」と呼ぶことがある)と、分子内にフッ素を含まない硬化性化合物(以下、「フッ素不含硬化性化合物」と呼ぶことがある)との混合物を紫外線硬化性成分とし、これにさらに光重合開始剤及び溶剤を配合して、紫外線硬化性塗工組成物とする。
上記の紫外線硬化性化合物の混合物は、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物とが、以下の関係を満たすように混合される。すなわち、まず、それぞれの紫外線硬化性化合物1gをアセトン10mlと混合して分散させる。その分散液に水を徐々に加えていき、分散液が白濁するまでに要した水の量(単位:ml)を求める。このときに分散液が白濁するまでに要した水の量を、当該紫外線硬化性化合物の水トレランスと定義する。得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づき、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物との混合物の親和力Aを、前記数式(1)のとおり定義する。そして、この親和力Aが1から2までの範囲となるように、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物とが組み合わされる。ここでいう「1から2までの範囲」とは、親和力Aが1の場合及び2の場合を含む趣旨である。水トレランスを測定する際には、不純物の少ない純粋な水に対する値を求める観点から、一般にはイオン交換水又は純水が用いられる。
例えば、水トレランスが2mlである含フッ素硬化性化合物20重量%と、水トレランスが9mlであるフッ素不含硬化性化合物80重量%とを混合して紫外線硬化性成分とする場合、この紫外線硬化性成分の親和力Aは、以下の計算により1.4となる。
親和力A=(20/100)×(9−2)=1.4
含フッ素硬化性化合物を2種類以上用いる場合や、フッ素不含硬化性化合物を2種類以上用いる場合は、それぞれの重量割合に基づいて、含フッ素硬化性化合物の水トレランス及び/又はフッ素不含硬化性化合物の水トレランスが計算される。例えば、水トレランスが2mlである含フッ素硬化性化合物20重量%と、水トレランスが9mlであるフッ素不含硬化性化合物50重量%と、水トレランスが5mlであるフッ素不含硬化性化合物30重量%とを混合して紫外線硬化性成分とする場合、フッ素不含硬化性化合物(混合物)の水トレランスは、(50/80)×9+(30/80)×5=7.5ml となるから、この紫外線硬化性成分の親和力Aは、以下の計算により1.1となる。
親和力A=(20/100)×(7.5−2)=1.1
上記した水トレランスは、硬化性化合物の水に対する親和性の指標となり、その値が大きいほど、水親和性が高いことになる。そして一般には、フッ素不含硬化性化合物のほうが、含フッ素硬化性化合物よりも大きい水トレランスを与える。組み合わされる含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物の水トレランスが近いほど、両者の親和性が大きいことになり、その差が大きいほど、両者の親和性が小さいことになる。それに伴って、前記数式(1)で定義される親和力Aも、組み合わされる含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物との配合割合も加味した親和力の指標となる。なお、フッ素不含硬化性化合物のみを硬化性成分とする場合は、数式(1)における含フッ素硬化性化合物の重量分率がゼロになるので、定義上は親和力Aがゼロとなり、また含フッ素硬化性化合物のみを硬化性成分とする場合は、数式(1)における含フッ素硬化性化合物の重量分率が1になるので、定義上は親和力がマイナスの値となるが、親和性という面での意味はない。ただし、いずれの場合も、「親和力Aが1から2までの範囲」という本発明で規定する要件は満たさないものとなる。なお、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物の水トレランス及び重量割合は、親和力Aが上記の範囲となるようであれば、特に制限されない。含フッ素硬化性化合物の水トレランスは、例えば0.1〜10mlであり、好ましくは0.3〜8mlであり、より好ましくは0.5〜5.4mlである。フッ素不含硬化性化合物の水トレランスは、例えば2〜15mlであり、好ましくは3〜12mlであり、より好ましくは5.5〜10.1mlである。また、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物の重量割合は、紫外線硬化性成分の全重量を基準に、例えば、含フッ素硬化性化合物が1〜99重量%、フッ素不含硬化性化合物が1〜99重量%であり、好ましくは、含フッ素硬化性化合物が5〜80重量%、フッ素不含硬化性化合物が20〜95重量%であり、より好ましくは、含フッ素硬化性化合物が14〜50重量%、フッ素不含硬化性化合物が50〜86重量%である。
含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物とを組み合わせて用いても、上のとおり定義される親和力Aが1を下回ると、特に塗工層を型に押し当てて硬化させた場合のハードコート層表面の対水接触角が小さくなり、高い防汚性が得られない。対水接触角は、JIS R3257:1999「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」に準拠して、測定することができ、80°以上であることが好ましい。親和力Aは、1.1以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.3以上であることがさらに好ましい。
一方、上のとおり定義される親和力Aが2を上回ると、その塗工組成物を透明基材フィルムに塗工し、乾燥させたときに、含フッ素硬化性化合物とフッ素不含硬化性化合物とが十分に溶け合わず、この状態で紫外線硬化させると、得られるハードコート層が白化したり、またそれぞれの硬化性化合物の硬化収縮の違いから表面に凹凸ができ、ゆず肌が観察されたりし、外観が悪くなる。またそれに伴って、ハードコート層のヘーズも高くなる。ヘーズは、JIS K7136:2000「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠して測定することができ、本発明の塗工組成物が防眩性付与のための微粒子を含まず、かつ鏡面の型に押し当てて硬化させた場合は、1%以下とすることができる。親和力Aは、1.9以下であることが好ましく、1.8以下であることがより好ましく、1.7以下であることがさらに好ましい。
以下、本発明の紫外線硬化性塗工組成物を構成する各成分について、順次説明を進めていき、その後ハードコートフィルム及びその製造方法の説明へと進んでいくこととする。
[含フッ素硬化性化合物]
塗工組成物を構成する含フッ素硬化性化合物は、分子内に重合硬化性の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有し、かつフッ素原子が少なくとも1個結合しているものであればよいが、重合硬化性の炭素−炭素二重結合は、分子内に少なくとも2個あることが好ましい。好適な含フッ素硬化性化合物の例として、分子内にフルオロアルキル基を有するウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができ、好ましくは、分子内にフルオロアルキル基を有するアルコール、チオール又はアミン化合物と、ジ−又はトリ−イソシアネート化合物と、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物との反応によって得られる、分子内にフルオロアルキル基を有するウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。そのより具体的な例として、前記式(I)で示される化合物を挙げることができる。
前記式(I)で示される化合物は、例えば、以下に示す反応によって製造することができる。すなわち、まず、下式(II)で示されるフルオロアルキル基含有官能性化合物と、下式(III)で示されるジ−又はトリ−イソシアネート化合物とを反応させて、ジ−又はトリ−イソシアネート化合物におけるイソシアナト基(−N=C=O)1個に、式(II)のフルオロアルキル基含有官能性化合物の官能基−XHが付加した下式(IV)の化合物を製造する。
Figure 0006613758
上の式(II)、(III)及び(IV)において、m、n、a、X及びYは、先に定義したとおりである。
次に、得られる上記式(IV)の化合物に、下式(V)で示される水酸基含有多官能(メタ)アクリレート化合物を反応させてウレタン化することにより、前記式(I)で示されるフルオロアルキル基含有ウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物が製造できる。
Figure 0006613758
上の式(V)において、b、Z及びRは、先に定義したとおりである。
上記式(II)で示されるフルオロアルキル基含有官能性化合物は、Cm2m+1−に相当するフルオロアルキル基を有するアルコール(Xが酸素原子Oの場合)、チオール(Xがイオウ原子Sの場合)、又はアミン(Xがイミノ基NHの場合)である。フルオロアルキル基含有アルコール化合物の代表例として、2−(パーフルオロヘキシル)エタノールがあり、その水酸基をメルカプト基に置き換えた化合物、すなわち、2−(パーフルオロヘキシル)エタンチオールがフルオロアルキル基含有チオール化合物の代表例となり、その水酸基をアミノ基に置き換えた化合物、すなわち、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアミンが、フルオロアルキル基含有アミン化合物の代表例となる。
上記式(III)において、Yはジ−又はトリ−イソシアネート化合物から全てのイソシアナト基(−N=C=O)を除去して得られる基であり、したがって、式(III)で示される化合物は、ジ−又はトリ−イソシアネート化合物となる。かかるジ−又はトリ−イソシアネート化合物は、ウレタン化合物の製造に従来から広く用いられているものでよい。ジイソシアネート、すなわち、2価のイソシアネート化合物の具体例を挙げると、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどがある。トリイソシアネート、すなわち、3価のイソシアネート化合物は、例えば、上記ジイソシアネートのイソシアヌレート体トリマー、上記ジイソシアネートの3価アルコールアダクト体などであることができる。トリイソシアネートの具体例を挙げると、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体トリマー、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体トリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体などがある。
また、上記式(V)において、Zは3価から6価までの多価アルコールから全ての水酸基(−OH)を除去して得られる3価から6価までの基であり、したがって、式(V)で示される化合物は、水酸基を1個有するジ−、トリ−、テトラ−又はペンタ−(メタ)アクリレートとなる。ジ(メタ)アクリレート、すなわち、式(V)においてb=2の化合物の具体例を挙げると、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールエタンジアクリレート、グリセリンジアクリレート、及びこれらに対応するメタクリレートなどがある。トリ(メタ)アクリレート、すなわち、式(V)においてb=3の化合物の具体例を挙げると、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、及びこれらに対応するメタクリレートなどがある。ペンタ(メタ)アクリレート、すなわち、式(V)においてb=5の化合物の具体例を挙げると、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びこれに対応するメタクリレートなどがある。
以上説明した反応によって製造できる前記式(I)で示される含フッ素硬化性化合物の具体例は、後の合成例に示されている。含フッ素硬化性化合物は、1種類だけを用いてもよいし、前記数式(1)で定義される親和力Aが1から2までの範囲となることを満たす前提で、2種類以上を併用してもよい。
[フッ素不含硬化性化合物]
塗工組成物を構成するフッ素不含硬化性化合物は、重合硬化性の炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも1個有し、かつフッ素原子が結合していない化合物であればよいが、重合硬化性の炭素−炭素二重結合は、(メタ)アクリロイル基として存在するものが好ましく、とりわけ、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有するものが好ましい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を2個有する硬化性化合物の具体例を挙げると、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、及びこれらに対応するメタクリレートなどがある。
分子内に(メタ)アクリロイル基を3個有する硬化性化合物の具体例を挙げると、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びこれらに対応するメタクリレートなどがある。
分子内に(メタ)アクリロイル基を4個以上有する硬化性化合物の具体例を挙げると、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びこれらに対応するメタクリレートなどがある。
また、ウレタン(メタ)アクリレートと呼ばれるオリゴマータイプの(メタ)アクリレートを、フッ素不含硬化性化合物として用いることもできる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、分子内に水酸基を有する(メタ)アクリレートと、先に式(III)で示される化合物として例示したジ−又はトリ−イソシアネート化合物とのウレタン化反応によって製造できる。具体的には例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。
フッ素不含硬化性化合物も、1種類だけを用いてもよいし、前記数式(1)で定義される親和力Aが1から2までの範囲となることを満たす前提で、2種類以上を併用してもよい。また、前記数式(1)で定義される親和力Aが1から2までの範囲となることを満たす前提で、分子内に(メタ)アクリロイル基を1個だけ有する単官能の(メタ)アクリレート、さらには(メタ)アクリロイル基以外の重合性炭素−炭素二重結合を分子内に1個だけ有し、フッ素原子が結合していない単官能の硬化性化合物を、フッ素不含硬化性化合物の一部として用いることもできる。
[光重合開始剤]
塗工組成物は、以上説明した含フッ素硬化性化合物及びフッ素不含硬化性化合物に加えて、これらの硬化性成分の重合を開始させるための光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、(メタ)アクリロイル基の二重結合に作用してラジカル重合を開始させるものであればよい。かかるラジカル重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル、α−アミノアルキルフェノンなどが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイドは、典型的には下式(VI)で示され、式中のQ1、Q2及びQ3 はそれぞれ独立に有機基を表すが、それらのうち少なくとも一つはアシル基、すなわち酸残基であり、Q1、Q2及びQ3 は通常、ベンゼン環を有している。
Figure 0006613758
アシルホスフィンオキサイドの具体例を挙げると、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドがあり、前者は、BASF社から“ルシリン TPO”又は“イルガキュア TPO”の商品名で、後者は、同じくBASF社から“イルガキュア 819”の商品名でそれぞれ販売されている。
α−ヒドロキシアルキルフェノンは、典型的には下式(VII)で示され、式中のR1 は水素原子又は低級アルキル基を表し、R2 は低級アルキル基を表すが、R1とR2が一緒になって、それらが結合する炭素原子とともに環を形成してもよく、また、ベンゾイル基
(C65−CO−)を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
Figure 0006613758
α−ヒドロキシアルキルフェノンの具体例を挙げると、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、及び(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトンがあり、前者は、BASF社から“ダロキュア 1173”の商品名で、後者は、同じくBASF社から“イルガキュア 184”の商品名でそれぞれ販売されている。
フェニルグリオキシレートは、フェニルグリオキシル酸のエステルであって、典型的には下式(VIII)で示され、式中のR3 は低級アルキル基を表し、またベンゾイル基を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
Figure 0006613758
フェニルグリオキシレートの具体例を挙げると、メチル フェニルグリオキシレートがあり、これは、BASF社から“ダロキュア MBF”の商品名で販売されている。
ベンジルジアルキルケタールは、典型的には下式(IX)で示され、式中のR4及びR5はそれぞれ独立に低級アルキル基を表し、またベンゾイル基を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
Figure 0006613758
ベンジルジアルキルケタールの具体例を挙げると、ベンジルジメチルケタール、別名では2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンがあり、これは、BASF社から“イルガキュア 651”の商品名で販売されている。
ベンゾインエーテルは、典型的には下式(X)で示され、式中のR6 は低級アルキル基を表し、またベンゾイル基を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
Figure 0006613758
ベンゾインエーテルの具体例を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどがある。
α−アミノアルキルフェノンは、典型的には下式(XI)で示され、式中のR7及びR8はそれぞれ独立に低級アルキル基又はフェニル低級アルキル基を表し、R9及びR10はそれぞれ独立に水素原子又は低級アルキル基を表すが、R9とR10が一緒になって、それらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、この環はさらに酸素などの異種原子が環原子となってもよく、またベンゾイル基を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
Figure 0006613758
α−アミノアルキルフェノンの具体例を挙げると、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1があり、前者は、BASF社から“イルガキュア 907”の商品名で、後者は、同じくBASF社から“イルガキュア 369”の商品名で、それぞれ販売されている。
重合開始剤は、少なくとも1種類を配合すればよいが、分解波長の異なる少なくとも2種類を組み合わせて用いるのも有効である。後者の場合は、比較的長波長の紫外線又は近紫外線領域、例えば、370nmを超え、450nm未満の波長領域に少なくとも一つの極大吸収を示す重合開始剤と、比較的短波長の紫外線領域、例えば、370nm以下の波長領域にのみ極大吸収を示す重合開始剤とを併用するのが好ましい。上に例示したなかでは、アシルホスフィンオキサイドは、比較的長波長の紫外線又は近紫外線領域に極大吸収を示すものが多いので、アシルホスフィンオキサイドからなる群より選ばれる重合開始剤を第一の重合開始剤とし、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル及びα−アミノアルキルフェノンは、比較的短波長の紫外線領域にのみ極大吸収を示すものが多いので、これらからなる群より選ばれる重合開始剤を第二の光重合開始剤とし、これら第一の重合開始剤と第二の重合開始剤とを組み合わせるのが好ましい。
この形態によれば、例えば、これら2種の重合開始剤が組み合わされた塗工液を基材フィルム上に塗工して塗工層を形成し、そこから溶剤を乾燥除去し、溶剤除去後の塗工層に紫外線を照射して塗工層を硬化させ、ハードコートフィルムを製造する方法において、紫外線照射を上記基材フィルム側から行う第一の照射と、その後上記塗工層側から行う第二の照射に分け、第一の照射では上記第一の重合開始剤が分解する比較的長波長領域を多く含む紫外線を照射し、第二の照射では上記第二の重合開始剤が分解する比較的短波長領域を多く含む紫外線を照射するようにして、第一の照射で硬化性成分を高分子量化した後、第二の照射で架橋を十分に進行させることができ、ハードコート層表面の硬度を向上させることができるという効果が奏される。
重合開始剤の配合量は、紫外線硬化性成分を重合させるのに十分な量であればよく、例えば、フッ素不含硬化性化合物及び含フッ素硬化性化合物を含む紫外線硬化性成分の全体100重量部に対し、 0.2〜20重量部程度の範囲から、紫外線硬化性成分の種類や配合割合、さらには重合開始剤の種類などに応じて、適宜選択すればよい。重合開始剤の配合量は、紫外線硬化性成分の全体100重量部に対し、 0.2〜10重量部程度の範囲、さらには 0.2〜5重量部程度の範囲とすることもできる。重合開始剤を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上の範囲となるようにすればよい。
[溶剤]
塗工組成物を構成する溶剤は、上で説明した紫外線硬化性成分及び重合開始剤を溶解して溶液とすることができる有機溶剤であればよい。例えば、ヘキサン及びオクタンのような脂肪族炭化水素類;トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素類;エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール及び1−ブタノールのようなアルコール類;メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸イソブチルのようなエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなエステル化グリコールエーテル類などから適宜選択して用いることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし、もちろん必要に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。
溶剤は、塗工後に乾燥除去されるものであることから、その量は、上記の紫外線硬化性成分及び重合開始剤を溶解する範囲であまり多くならないようにするのが好ましく、例えば、フッ素不含硬化性化合物及び含フッ素硬化性化合物を含む紫外線硬化性成分の合計量に対して、0.5〜2.5重量倍の割合となるように含有させるのが好ましい。
[塗工組成物が含有しうるその他の成分]
塗工組成物は、以上説明した紫外線硬化性成分、光重合開始剤及び溶剤を必須に含有するものであるが、その他に、硬化層(ハードコート層)表面の平滑性を向上させるためのレベリング剤、硬化層(ハードコート層)に帯電防止性を発現させるための帯電防止剤、硬化層(ハードコート層)に防眩性を付与するための有機又は無機の微粒子など、この分野で慣用されている添加剤を適宜含有することができる。防眩性は、凹凸面を有する型にこの塗工組成物から得られる塗工層を押し当てて硬化させる方法、いわゆるUVエンボス法によっても、付与することができる。
[用途、特にハードコートフィルムへの適用及びその製造方法]
本発明の塗工組成物は、基材の表面に塗工し、乾燥させた後、得られる塗工層に紫外線を照射して硬化層を形成する用途に用いることができ、とりわけ、上記のようにして得られる塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて硬化させる方式に好ましく用いられる。そのようにして形成される塗工層の代表例として、透明基材フィルムの表面に形成されるハードコート層がある。したがって、この塗工組成物は、ハードコート層の形成に好適に用いることができる。具体的には、透明基材フィルムの表面に上で説明した塗工組成物を塗工し、得られる塗工層から溶剤を除去し、その塗工層に紫外線を照射して硬化させることにより、透明基材フィルムと、上記の塗工組成物からなるハードコート層とを備えるハードコートフィルムとされる。つまり、前記ハードコートフィルムは、透明基材フィルムと、上記紫外線硬化性成分の硬化物からなるハードコート層とを備える。
表面にハードコート層を形成する透明基材フィルムは、透明な樹脂で構成するのが一般的であり、例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネートのようなセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメタクリル酸メチルを代表例とする(メタ)アクリル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリエチレン及びポリプロピレンのような鎖状ポリオレフィン系樹脂;環状ポリオレフィン系樹脂;スチレン系樹脂;ポリスルフォン;ポリエーテルスルフォンなどからなる樹脂フィルムが挙げられる。これらのなかでも、透明性、機械強度、熱安定性、低湿度透過性、等方性などの点から、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
このような透明基材フィルムの表面にハードコート層を形成してハードコートフィルムを製造する方法は、透明基材フィルムの表面に、先に説明した紫外線硬化性塗工組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、得られる塗工層から溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、溶剤が除去された後の塗工層に紫外線を照射して上記の塗工層を硬化させる硬化工程とを備える。
硬化工程では、溶剤が除去された後の塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて紫外線を照射し、塗工層を硬化させる方法を採用することができる。特に、ロール状で用意される長尺の基材フィルムを搬送しながら、その表面に連続的に塗工層を形成し、硬化させて、ハードコートフィルムをロール状で連続的に製造する場合、上記の型は、ロールになっていることが好ましく、したがってその場合の型は、鏡面ロール又はエンボスロール(凹凸面を有するロール)となる。エンボスロールを用いて賦形すれば、ハードコート層に防眩性が付与され、微細な凹凸表面を有する防眩フィルムが得られる。
上記の硬化工程は、透明基材フィルム側から紫外線を照射する第一の照射工程と、その後で塗工層側から紫外線を照射する第二の照射工程とを備えるようにすることができる。この場合、先に第一の重合開始剤と第二の重合開始剤の組合せで説明したように、第一の照射工程では第一の重合開始剤が分解する比較的長波長、例えば、370nmを超える波長域に最大発光強度を有する紫外線を照射し、第二の照射工程では第二の重合開始剤が分解する比較的低波長、例えば、370nm以下の波長域に最大発光強度を有する紫外線を照射するようにすれば、乾燥後の塗工層を十分に硬化させ、高硬度のハードコートフィルムを得ることができる。連続的に長尺のハードコートフィルムを製造する場合、第一の照射工程は、塗工層に鏡面ロール又はエンボスロールを押し当てながら、基材フィルム側から紫外線を照射することにより行われるのが好ましい。
硬化工程で用いる紫外線光源、また第一の照射工程と第二の照射工程に分けて行う場合のそれぞれの工程で用いる紫外線光源は、必要とされる紫外線を発するものから、適宜選択して用いることができる。これらの工程における紫外線照射量又は積算光量などの照射条件も、最終的に得られるハードコート層が十分に硬化するように、適宜条件を設定すればよい。
図1は、ロール状で用意される基材フィルムからハードコートフィルムを製造する場合の好ましい装置の配置例を模式的に示すフロー図である。この図を参照して、ハードコートフィルムの好適な製造方法について説明する。
図1を参照して、送り出しロール10から繰り出される透明基材フィルム11に対し、塗工ゾーン12で紫外線硬化性塗工組成物(塗工液)13が塗布され、こうして塗工層が形成された透明基材フィルムは、乾燥ゾーン14で乾燥された後、第一の照射ゾーン20へ導かれる。第一の照射ゾーン20には、塗膜側ロール21と第一の紫外線光源22、さらに、塗工層付き透明基材フィルムの塗工層を塗膜側ロール21に押し当てるための入り口側ニップロール23及び出口側ニップロール24が配置されている。そして、入り口側ニップロール23によって塗工層が塗膜側ロール21に押し当てられ、この状態で第一の紫外線光源22からの紫外線が透明基材フィルム11を通して照射され、塗工層が硬化される。その後、出口側ニップロール24を通って、塗膜側ロール21から剥離され、第二の照射ゾーン26へと導かれる。第二の照射ゾーン26には、第二の紫外線光源27が配置されており、その紫外線が、透明基材フィルム11上に形成された塗工層側から照射され、こうして少なくとも2回の紫外線照射が施されて作製されたハードコートフィルムが巻き取りロール30に巻き取られる。この図には、第二の照射ゾーンに紫外線光源を1個だけ配置する例を示したが、ここで紫外線照射を2回行うのも有効である。なお、図において、直線の矢印はフィルムの進む方向を表し、曲線の矢印はロールの回転方向を表す。
図1に示す方式において、塗膜側ロール21として表面が平滑なものを用いれば、表面が平滑なクリアハードコートフィルムを製造することができる。一方、その塗膜側ロール21として表面に微細な凹凸を有するエンボス型を用いれば、表面に微細な凹凸が形成された防眩性のハードコートフィルムを製造することができる。
本発明の紫外線硬化性塗工組成物を用いて製造されるハードコートフィルムは、ゆず肌や白化を生じることなく、外観が良好なものとなり、また特に塗工層を型に押し当てて硬化させる方法を採用しても、対水接触角が大きくて、防汚性にも優れたフィルムとして得られる。したがってこのフィルムは透明性にも優れ、全光線透過率も高いものとなる。全光線透過率は、JIS K7361-1:1997「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」に準拠して測定することができ、本発明の塗工組成物から製造されるハードコートフィルムは、全光線透過率を概ね90%以上とすることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、使用量を表す部は、特記ない限り重量基準である。まず、含フッ素硬化性化合物として、いくつかの含フッ素ウレタン化多官能アクリレート化合物を製造した合成例を示す。
[合成例1]
攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容量が1リットルの三つ口フラスコに、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート〔旭化成ケミカルズ(株)から販売されている“DURANATE 50M-HDI”〕84.0g、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール 〔DuPont社から販売されている“CAPSTONE 62-AL”〕36.4g 及びジブチル錫ジラウレート〔ARKEMA社から販売されている“FASCAT 4202”〕0.3gを仕込み、内温が60〜70℃となるようにオイルバスで加熱し、3時間反応を行った。別途、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-TMM-3L”〕620gにヒドロキノンモノメチルエーテル〔EASTMAN CHEMICAL 社から販売されている“Eastman HQMME”〕0.2gを均一に混合溶解させた液を、予め50℃に保温しておいた側管付きの滴下ロートに仕込んだ。この滴下ロート内の液を、窒素雰囲気下で上記三つ口フラスコ内の内容物にその温度を60〜70℃に保ちながら攪拌下で滴下混合し、同温度で4時間攪拌した。これにより、常温(25℃)で粘稠液状の反応生成物を得た。
[合成例2]
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをイソホロンジイソシアネート(EVONIK社から販売されている“VESTANAT IPDI”)111.0gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
[合成例3]
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体トリマー〔旭化成ケミカルズ(株)から販売されている“DURANATE TKA-100”〕182gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
[合成例4]
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(BAYER MATERIALSCIENCE社から販売されている“DESMODUR W”)134.0gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
以上の合成例1〜4で得られた含フッ素ウレタン化多官能アクリレート化合物の構造式を以下に示した。


















Figure 0006613758
次に、上で製造した含フッ素ウレタン化多官能アクリレート化合物を用いて紫外線硬化性塗工組成物を調製し、それからハードコートフィルムを作製した実施例及び比較例を示す。ここでは、フッ素不含硬化性化合物として次のものを用いた。後の表では、以下の最初に示す略号で表示する。
[フッ素不含硬化性化合物]
M-305 :ペンタエリスリトールトリアクリレート〔東亞合成(株)から販売されている“アロニックス M-305”〕、
A-TMPT :トリメチロールプロパントリアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-TMPT”〕、
DPEA-12 :ジペンタエリスリトールEO(エチレンオキサイド)変性ヘキサアクリレート〔日本化薬(株)から販売されている“KAYARAD DPEA-12”、
M4004 :ペンタエリスリトールEO(エチレンオキサイド)変性テトラアクリレート〔MIWON社から販売されている“MIRAMER M4004”、
A-400 :ポリエチレングリコールジアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-400”。
上に示したフッ素不含硬化性化合物及び先の合成例で製造した含フッ素硬化性化合物について、それぞれの水トレランスを以下の方法で求め、その結果を表1に示した。
[硬化性化合物の水トレランスの測定]
容量100mlのビーカーにそれぞれの硬化性化合物1gとアセトン10mlを入れて混合し、分散させた。その分散液に、ビュレットを用いてイオン交換水を徐々に加えていき、分散液が白濁するまでに要したイオン交換水の量(単位:ml)を、当該硬化性化合物の水トレランスとして求めた。
Figure 0006613758
さらに以下の例では、光重合開始剤として次の商品名のものを用いた。この後は、以下に示す“ ”囲みの商品名のみで表示する。
[光重合開始剤]
“イルガキュア 184”:化学名は(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、BASF社から販売されている、
“ルシリン TPO”:化学名は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社から販売されている。
[実施例及び比較例]
〈ハードコートフィルムの作製〉
含フッ素硬化性化合物及びフッ素不含硬化性化合物を表2に示す重量割合(合計100部とする値)で混合した。ただし、比較例12及び13ではフッ素不含硬化性化合物のみを用いた。表2には、先の数式(1)によって計算される親和力Aの値も併せて示した。これら硬化性化合物の合計37部に、光重合開始剤として“イルガキュア 184”2部及び“ルシリン TPO”1部、並びに溶剤として酢酸エチル40部及び酢酸ブチル20部を添加して混合した後、バーコーターを用いて、トリアセチルセルロースフィルム上に乾燥後の膜厚が5μm となるように塗工した。次に乾燥して溶剤を除去し、その塗工層側にニッケル製の平板を貼り付けた。この状態で、そのトリアセチルセルロースフィルム側から、フュージョン社製の“Vバルブ”ランプ(最大発光波長420nm)を光源として、積算光量700mJ/cm2 で紫外線を照射した(第一の照射工程)。その後ニッケル平板から硬化塗膜を剥がし、その硬化塗膜側から、フュージョン社製の“Hバルブ”ランプ(最大発光波長360nm)を光源として、積算光量300mJ/cm2 で紫外線を照射した(第二の照射工程)。こうして、トリアセチルセルロースフィルムの表面にハードコート層が形成されたフィルム(ハードコートフィルム)を作製した。
〈ハードコートフィルムの評価〉
得られたハードコートフィルムについて以下の方法で評価し、結果を表3にまとめた。
1)塗膜の外観評価
ハードコートフィルムの外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:凝集物の発生、ゆず肌や白化がない。
×:凝集物の発生、ゆず肌や白化が認められる。
2)ヘーズ値及び全光線透過率の測定
先に掲げた JIS K7136:2000 及び JIS K7361-1:1997に準拠する(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメーター“HM-150”でヘーズ値及び全光線透過率を測定した。
3)密着性試験
JIS K5600-5-6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定される碁盤目テープ法に準じて、ハードコート層にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切り傷を100ますつけ、その碁盤目状の切り傷をつけたハードコート層表面にニチバン(株)から販売されているセロハンテープを貼り付け、一気に引き剥がした後、剥離しないで残ったハードコート層のます目を数え、当初のます目の数100に対する残ったます目の数で表した。100/100は剥離なしを意味し、0/100は全て剥離したことを意味する。
4)対水接触角の測定
先に掲げたJIS R3257:1999に準拠する協和界面科学(株)製の接触角計(CA−X型)で対水接触角を測定した。対水接触角が80°以上であれば、防汚性が概ね良好と判断できる。
Figure 0006613758
Figure 0006613758
表3に示すとおり、親和力Aが1から2までの範囲にある硬化性化合物の混合物を用いた実施例1〜15は、ハードコート膜の外観及び対水接触角とも、良好な結果を与えている。これに対し、親和力Aが1より小さい硬化性化合物の混合物を用いた比較例5、6及び8〜11では、ハードコート膜の外観は良好であるものの、接触角が小さいので汚染しやすくなる。含フッ素硬化性化合物を用いない比較例12及び13も同様である。一方、親和力Aが2より大きい硬化性化合物の混合物を用いた比較例1〜4及び7では、接触角は100°以上で防汚性は良好であるものの、ハードコート膜に凝集物が発生したりゆず肌や白化が生じたりして、外観が不良となり、ヘーズも高くなってしまう。
10……送り出しロール、
11……透明基材フィルム、
12……塗工ゾーン、
13……紫外線硬化性塗工組成物(塗工液)、
14……乾燥ゾーン、
20……第一の照射ゾーン、
21……塗膜側ロール、
22……第一の紫外線光源、
23,24……ニップロール、
26……第二の照射ゾーン、
27……第二の紫外線光源、
30……巻き取りロール。

Claims (12)

  1. 紫外線硬化性成分、光重合開始剤及び溶剤を含有し、
    前記紫外線硬化性成分は、分子内にフッ素を含む硬化性化合物14〜50重量%と分子内にフッ素を含まない硬化性化合物50〜86重量%との混合物であり、かつ、
    それぞれの硬化性化合物1gを単独でアセトン10mlと混合して分散させ、得られる分散液に水を加えていったときに、前記分散液に白濁を生じるまでに要する水の量を当該硬化性化合物の水トレランスと定義し、得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づいて、次の数式(1):
    Figure 0006613758
    で定義される親和力Aが1から2までの範囲となり、
    前記分子内にフッ素を含まない前記硬化性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物であり、
    前記分子内にフッ素を含む前記硬化性化合物は、下式(I):
    Figure 0006613758
    (式中、mは3から16までの整数を表し、nは1から5までの整数を表し、aは1又は2を表し、bは2から5までの整数を表し、XはO、S又はNHを表し、Yはジ−又はトリ−イソシアネート化合物から全てのイソシアナト基を除去して得られる2価又は3価の基を表し、Zは3価から6価までの多価アルコールから全ての水酸基を除去して得られる3価から6価までの基を表し、Rは水素又はメチルを表す。)
    で示されることを特徴とする、紫外線硬化性塗工組成物。
  2. 光重合開始剤は、アシルホスフィンオキサイドから選ばれる第一の光重合開始剤と、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル及びα−アミノアルキルフェノンからなる群より選ばれる第二の光重合開始剤との混合物である、請求項1に記載の紫外線硬化性塗工組成物。
  3. 前記溶剤は、前記紫外線硬化性成分の合計量に対して0.5〜2.5重量倍の割合で含有される、請求項1又は2に記載の紫外線硬化性塗工組成物。
  4. 基材の表面に塗工し、得られる塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて硬化させる方式で用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物。
  5. 透明基材フィルムと、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物からなるハードコート層とを備えることを特徴とする、ハードコートフィルム。
  6. 透明基材フィルムと、紫外線硬化性成分の硬化物からなるハードコート層とを備え、
    前記紫外線硬化性成分は、分子内にフッ素を含む硬化性化合物14〜50重量%と分子内にフッ素を含まない硬化性化合物50〜86重量%との混合物であり、かつ、
    それぞれの硬化性化合物1gを単独でアセトン10mlと混合して分散させ、得られる分散液に水を加えていったときに、前記分散液に白濁を生じるまでに要する水の量を当該硬化性化合物の水トレランスと定義し、得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づいて、次の数式(1):
    Figure 0006613758
    で定義される親和力Aが1から2までの範囲であり、
    前記分子内にフッ素を含まない前記硬化性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物であり、
    前記分子内にフッ素を含む前記硬化性化合物は、下式(I):
    Figure 0006613758
    (式中、mは3から16までの整数を表し、nは1から5までの整数を表し、aは1又は2を表し、bは2から5までの整数を表し、XはO、S又はNHを表し、Yはジ−又はトリ−イソシアネート化合物から全てのイソシアナト基を除去して得られる2価又は3価の基を表し、Zは3価から6価までの多価アルコールから全ての水酸基を除去して得られる3価から6価までの基を表し、Rは水素又はメチルを表す。)
    で示されることを特徴とする、ハードコートフィルム。
  7. 前記透明基材フィルムは、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる樹脂のフィルムである、請求項6に記載のハードコートフィルム。
  8. 透明基材フィルムの表面に、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、
    得られる塗工層から溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、
    溶剤が除去された後の塗工層に紫外線を照射して前記塗工層を硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法。
  9. 前記硬化工程は、溶剤が除去された後の前記塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて紫外線を照射する工程を含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記型は、鏡面ロール又はエンボスロールである、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記硬化工程は、前記透明基材フィルム側から紫外線を照射する第一の照射工程と、その後で前記塗工層側から紫外線を照射する第二の照射工程とを備える、請求項6〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記第一の照射工程は、前記塗工層に鏡面ロール又はエンボスロールを押し当てながら前記透明基材フィルム側から紫外線を照射することにより行われる、請求項11に記載の製造方法。
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