JP6613758B2 - 紫外線硬化性塗工組成物、ハードコートフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
親和力A=(20/100)×(9−2)=1.4
親和力A=(20/100)×(7.5−2)=1.1
塗工組成物を構成する含フッ素硬化性化合物は、分子内に重合硬化性の炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有し、かつフッ素原子が少なくとも1個結合しているものであればよいが、重合硬化性の炭素−炭素二重結合は、分子内に少なくとも2個あることが好ましい。好適な含フッ素硬化性化合物の例として、分子内にフルオロアルキル基を有するウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができ、好ましくは、分子内にフルオロアルキル基を有するアルコール、チオール又はアミン化合物と、ジ−又はトリ−イソシアネート化合物と、分子内に水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物との反応によって得られる、分子内にフルオロアルキル基を有するウレタン化多官能(メタ)アクリレート化合物を挙げることができる。そのより具体的な例として、前記式(I)で示される化合物を挙げることができる。
塗工組成物を構成するフッ素不含硬化性化合物は、重合硬化性の炭素−炭素二重結合を分子内に少なくとも1個有し、かつフッ素原子が結合していない化合物であればよいが、重合硬化性の炭素−炭素二重結合は、(メタ)アクリロイル基として存在するものが好ましく、とりわけ、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有するものが好ましい。
塗工組成物は、以上説明した含フッ素硬化性化合物及びフッ素不含硬化性化合物に加えて、これらの硬化性成分の重合を開始させるための光重合開始剤を含有する。光重合開始剤は、(メタ)アクリロイル基の二重結合に作用してラジカル重合を開始させるものであればよい。かかるラジカル重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル、α−アミノアルキルフェノンなどが挙げられる。
(C6H5−CO−)を構成するベンゼン環の水素原子は、他の有機基で置換されていてもよい。
塗工組成物を構成する溶剤は、上で説明した紫外線硬化性成分及び重合開始剤を溶解して溶液とすることができる有機溶剤であればよい。例えば、ヘキサン及びオクタンのような脂肪族炭化水素類;トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素類;エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール及び1−ブタノールのようなアルコール類;メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル及び酢酸イソブチルのようなエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなエステル化グリコールエーテル類などから適宜選択して用いることができる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし、もちろん必要に応じて2種類以上を混合して用いてもよい。
塗工組成物は、以上説明した紫外線硬化性成分、光重合開始剤及び溶剤を必須に含有するものであるが、その他に、硬化層(ハードコート層)表面の平滑性を向上させるためのレベリング剤、硬化層(ハードコート層)に帯電防止性を発現させるための帯電防止剤、硬化層(ハードコート層)に防眩性を付与するための有機又は無機の微粒子など、この分野で慣用されている添加剤を適宜含有することができる。防眩性は、凹凸面を有する型にこの塗工組成物から得られる塗工層を押し当てて硬化させる方法、いわゆるUVエンボス法によっても、付与することができる。
本発明の塗工組成物は、基材の表面に塗工し、乾燥させた後、得られる塗工層に紫外線を照射して硬化層を形成する用途に用いることができ、とりわけ、上記のようにして得られる塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて硬化させる方式に好ましく用いられる。そのようにして形成される塗工層の代表例として、透明基材フィルムの表面に形成されるハードコート層がある。したがって、この塗工組成物は、ハードコート層の形成に好適に用いることができる。具体的には、透明基材フィルムの表面に上で説明した塗工組成物を塗工し、得られる塗工層から溶剤を除去し、その塗工層に紫外線を照射して硬化させることにより、透明基材フィルムと、上記の塗工組成物からなるハードコート層とを備えるハードコートフィルムとされる。つまり、前記ハードコートフィルムは、透明基材フィルムと、上記紫外線硬化性成分の硬化物からなるハードコート層とを備える。
攪拌機、温度調節器、温度計及び凝縮器を備えた内容量が1リットルの三つ口フラスコに、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート〔旭化成ケミカルズ(株)から販売されている“DURANATE 50M-HDI”〕84.0g、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール 〔DuPont社から販売されている“CAPSTONE 62-AL”〕36.4g 及びジブチル錫ジラウレート〔ARKEMA社から販売されている“FASCAT 4202”〕0.3gを仕込み、内温が60〜70℃となるようにオイルバスで加熱し、3時間反応を行った。別途、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-TMM-3L”〕620gにヒドロキノンモノメチルエーテル〔EASTMAN CHEMICAL 社から販売されている“Eastman HQMME”〕0.2gを均一に混合溶解させた液を、予め50℃に保温しておいた側管付きの滴下ロートに仕込んだ。この滴下ロート内の液を、窒素雰囲気下で上記三つ口フラスコ内の内容物にその温度を60〜70℃に保ちながら攪拌下で滴下混合し、同温度で4時間攪拌した。これにより、常温(25℃)で粘稠液状の反応生成物を得た。
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをイソホロンジイソシアネート(EVONIK社から販売されている“VESTANAT IPDI”)111.0gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体トリマー〔旭化成ケミカルズ(株)から販売されている“DURANATE TKA-100”〕182gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
合成例1において、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートをジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(BAYER MATERIALSCIENCE社から販売されている“DESMODUR W”)134.0gに変更し、その他は合成例1と同様の操作を行って、粘稠液状の反応生成物を得た。
M-305 :ペンタエリスリトールトリアクリレート〔東亞合成(株)から販売されている“アロニックス M-305”〕、
A-TMPT :トリメチロールプロパントリアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-TMPT”〕、
DPEA-12 :ジペンタエリスリトールEO(エチレンオキサイド)変性ヘキサアクリレート〔日本化薬(株)から販売されている“KAYARAD DPEA-12”、
M4004 :ペンタエリスリトールEO(エチレンオキサイド)変性テトラアクリレート〔MIWON社から販売されている“MIRAMER M4004”、
A-400 :ポリエチレングリコールジアクリレート〔新中村化学工業(株)から販売されている“NKエステル A-400”。
容量100mlのビーカーにそれぞれの硬化性化合物1gとアセトン10mlを入れて混合し、分散させた。その分散液に、ビュレットを用いてイオン交換水を徐々に加えていき、分散液が白濁するまでに要したイオン交換水の量(単位:ml)を、当該硬化性化合物の水トレランスとして求めた。
“イルガキュア 184”:化学名は(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、BASF社から販売されている、
“ルシリン TPO”:化学名は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、BASF社から販売されている。
〈ハードコートフィルムの作製〉
含フッ素硬化性化合物及びフッ素不含硬化性化合物を表2に示す重量割合(合計100部とする値)で混合した。ただし、比較例12及び13ではフッ素不含硬化性化合物のみを用いた。表2には、先の数式(1)によって計算される親和力Aの値も併せて示した。これら硬化性化合物の合計37部に、光重合開始剤として“イルガキュア 184”2部及び“ルシリン TPO”1部、並びに溶剤として酢酸エチル40部及び酢酸ブチル20部を添加して混合した後、バーコーターを用いて、トリアセチルセルロースフィルム上に乾燥後の膜厚が5μm となるように塗工した。次に乾燥して溶剤を除去し、その塗工層側にニッケル製の平板を貼り付けた。この状態で、そのトリアセチルセルロースフィルム側から、フュージョン社製の“Vバルブ”ランプ(最大発光波長420nm)を光源として、積算光量700mJ/cm2 で紫外線を照射した(第一の照射工程)。その後ニッケル平板から硬化塗膜を剥がし、その硬化塗膜側から、フュージョン社製の“Hバルブ”ランプ(最大発光波長360nm)を光源として、積算光量300mJ/cm2 で紫外線を照射した(第二の照射工程)。こうして、トリアセチルセルロースフィルムの表面にハードコート層が形成されたフィルム(ハードコートフィルム)を作製した。
得られたハードコートフィルムについて以下の方法で評価し、結果を表3にまとめた。
ハードコートフィルムの外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:凝集物の発生、ゆず肌や白化がない。
×:凝集物の発生、ゆず肌や白化が認められる。
先に掲げた JIS K7136:2000 及び JIS K7361-1:1997に準拠する(株)村上色彩技術研究所製のヘーズメーター“HM-150”でヘーズ値及び全光線透過率を測定した。
JIS K5600-5-6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に規定される碁盤目テープ法に準じて、ハードコート層にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切り傷を100ますつけ、その碁盤目状の切り傷をつけたハードコート層表面にニチバン(株)から販売されているセロハンテープを貼り付け、一気に引き剥がした後、剥離しないで残ったハードコート層のます目を数え、当初のます目の数100に対する残ったます目の数で表した。100/100は剥離なしを意味し、0/100は全て剥離したことを意味する。
先に掲げたJIS R3257:1999に準拠する協和界面科学(株)製の接触角計(CA−X型)で対水接触角を測定した。対水接触角が80°以上であれば、防汚性が概ね良好と判断できる。
11……透明基材フィルム、
12……塗工ゾーン、
13……紫外線硬化性塗工組成物(塗工液)、
14……乾燥ゾーン、
20……第一の照射ゾーン、
21……塗膜側ロール、
22……第一の紫外線光源、
23,24……ニップロール、
26……第二の照射ゾーン、
27……第二の紫外線光源、
30……巻き取りロール。
Claims (12)
- 紫外線硬化性成分、光重合開始剤及び溶剤を含有し、
前記紫外線硬化性成分は、分子内にフッ素を含む硬化性化合物14〜50重量%と分子内にフッ素を含まない硬化性化合物50〜86重量%との混合物であり、かつ、
それぞれの硬化性化合物1gを単独でアセトン10mlと混合して分散させ、得られる分散液に水を加えていったときに、前記分散液に白濁を生じるまでに要する水の量を当該硬化性化合物の水トレランスと定義し、得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づいて、次の数式(1):
前記分子内にフッ素を含まない前記硬化性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物であり、
前記分子内にフッ素を含む前記硬化性化合物は、下式(I):
で示されることを特徴とする、紫外線硬化性塗工組成物。 - 光重合開始剤は、アシルホスフィンオキサイドから選ばれる第一の光重合開始剤と、α−ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジアルキルケタール、ベンゾインエーテル及びα−アミノアルキルフェノンからなる群より選ばれる第二の光重合開始剤との混合物である、請求項1に記載の紫外線硬化性塗工組成物。
- 前記溶剤は、前記紫外線硬化性成分の合計量に対して0.5〜2.5重量倍の割合で含有される、請求項1又は2に記載の紫外線硬化性塗工組成物。
- 基材の表面に塗工し、得られる塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて硬化させる方式で用いられる、請求項1〜3のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物。
- 透明基材フィルムと、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物からなるハードコート層とを備えることを特徴とする、ハードコートフィルム。
- 透明基材フィルムと、紫外線硬化性成分の硬化物からなるハードコート層とを備え、
前記紫外線硬化性成分は、分子内にフッ素を含む硬化性化合物14〜50重量%と分子内にフッ素を含まない硬化性化合物50〜86重量%との混合物であり、かつ、
それぞれの硬化性化合物1gを単独でアセトン10mlと混合して分散させ、得られる分散液に水を加えていったときに、前記分散液に白濁を生じるまでに要する水の量を当該硬化性化合物の水トレランスと定義し、得られるそれぞれの硬化性化合物の水トレランスに基づいて、次の数式(1):
前記分子内にフッ素を含まない前記硬化性化合物は、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有する化合物であり、
前記分子内にフッ素を含む前記硬化性化合物は、下式(I):
で示されることを特徴とする、ハードコートフィルム。 - 前記透明基材フィルムは、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる樹脂のフィルムである、請求項6に記載のハードコートフィルム。
- 透明基材フィルムの表面に、請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線硬化性塗工組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、
得られる塗工層から溶剤を乾燥除去する乾燥工程と、
溶剤が除去された後の塗工層に紫外線を照射して前記塗工層を硬化させる硬化工程とを備えることを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法。 - 前記硬化工程は、溶剤が除去された後の前記塗工層に、鏡面又は凹凸面を有する型を押し当てて紫外線を照射する工程を含む、請求項8に記載の製造方法。
- 前記型は、鏡面ロール又はエンボスロールである、請求項9に記載の製造方法。
- 前記硬化工程は、前記透明基材フィルム側から紫外線を照射する第一の照射工程と、その後で前記塗工層側から紫外線を照射する第二の照射工程とを備える、請求項6〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 前記第一の照射工程は、前記塗工層に鏡面ロール又はエンボスロールを押し当てながら前記透明基材フィルム側から紫外線を照射することにより行われる、請求項11に記載の製造方法。
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