JP6604684B2 - リールシート構造 - Google Patents
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Description
図10に示す構造と僅かに異なるが、単一の長尺筒状の支持体を配置している構造としては、下記の公報にも示されている(特許文献1参照)。
したがって、穂先の振動を如何に正確にリールシートまで伝え得るかということは、釣り竿の構造としても重要である。特に、釣り竿用の竿体に対するリールシートの取付構造に着目する必要がある。
そうすると、上記した従来構造においては、略リールシートの全長に亘る内周面が支持体を介して竿体に当接していることとなり、竿体に伝達された魚信は支持体によって減衰されることとなり、リールシートを通して十分に感じ取ることが難しくなる。
請求項1に係る発明の特徴構成は、リール装着部を挟んで竿先側と竿元側とにリール脚保持用の一対のフードを備えるシートボディと、前記シートボディを外周面側に保持する竿体と、前記シートボディと前記竿体との間で竿先側と竿元側とに位置して、前記シートボディを前記竿体に支持する一対の支持体とを備えているリールシート構造であって、
前記竿先側の支持体は、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向における一部領域を占めるように、円周方向の一部を切り欠いた部分筒状体に形成されており、
前記竿元側の支持体は、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向の全部領域を占めるように、全周に亘る筒状体に形成されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、リールシートを支える支持体を竿先側と竿元側とに分割して二部材で構成することとした。そして、穂先に近く位置する竿先側支持体に着目し、出来るだけ竿体との接触支持面を抑えたものとすることを考えた。
そのことを達成する手段が、前記竿先側の支持体は、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向における一部領域を占めるように、円周方向の一部を切り欠いた部分筒状体に形成されている、とする構成である。
このことによって、リールシートを握る手に竿体の振動を伝達することを、支持体の存在が抑制する効果を低減させることができ、魚信の伝播を減衰させることを極力抑えることができる。
以上のように、支持体を二分割する構成と、部分筒状体に形成する形状の変更とを加えることによって、リールシートを支持する機能を維持しながら、魚信の伝播を良好にする釣り操作の容易なリールシート構造を提供できるに至った。
また、支持体であっても、リールシートの竿元側を支持するものは、リールシートに伝達される魚信を減衰させる影響は、竿先側のものに比べて低いと考えられる。そこで、支持体での支持機能を優先させるべく、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向の全部領域を占めるように、全周に亘る筒状体に形成した。これによって、部分筒状体である竿先側支持体の支持機能を補ってリール取付状態の安定を確保している。
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記部分筒状体の円弧がとり得る中心角が、150度から270度の範囲におけるいずれかの角度をとる点にあり、その作用効果は次の通りである。
竿体の軸芯を中心に円周方向の左右に亘って十分に支持構造を展開できる150度等の小さな中心角を採用する比較的軽量で魚信の小さな魚種を釣る竿と、重量があり魚信の大きな魚種を釣る竿の場合には、270度等の大きな中心角を採用する竿と、それらの中間に対応する釣り竿とに対応した部分筒状体となっている。
以上のように、部分筒状体の支持する角度にバリエーションを持たせる構成により、リールシートを支持する機能を維持しながら、魚信の伝播を良好にする釣り操作の容易なリールシート構造を提供できるに至った。
請求項3に係る発明の特徴構成は、前記シートボディにおけるリール載置面の位置する側とは180度反対側の指置き部に、前記竿体の外周面に臨む抜き孔が形成されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
このように、抜き孔を形成することによって、第1図に示すように、リールシートとリールとを伴握りする手指を通しても、直接的に魚信を感じ取ることができ、竿先側支持体を部分筒状体に変更することと相俟って、両者の相乗効果によってより操作性のよい釣り竿を提供できた。
請求項4に係る発明の特徴構成は、前記竿先側フードが可動フードであり、前記竿元側フードが前記シートボディと一体形成されている固定フードである点にあり、その作用効果は次の通りである。
可動フード側で比較的荷重負担の少ない竿先側では、部分筒状体で支持し、リールシートと一体形成され荷重負担が大きな固定フード側においては、全周に亘る筒状体で支持する構成によって、支持体のリールシートに対する支持機能を十分に発揮させることができる。
請求項5に係る発明の特徴構成は、前記可動フードの竿先側に前記可動フードをスライド移動させるナット体が前記シートボディに螺合され、前記ナット体の内周面と前記竿体との間に、全周に亘って非接触空間が形成されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
シートボディに螺合するナット体の内周面が竿体より離間しているので、ナット体自身が魚信を減衰させることは少なく、リールシートを通しての魚信感知をよりよく行うことができる。
図1に示すように、釣り竿Aは、グリップ部B及びリールシート3を有する手元側の竿体1と、手元側の竿体1に並継式に連結される穂先側の竿体2とを備えて、構成されている。
手元側の竿体1は、後記するようにプリプレグ製の筒状体であり、竿先端から竿元端までの単一の竿素材1Aで構成される。
これらのグリップ部Bは、NBR、EVA等の軟質材で構成され、手元側の竿体1を構成する竿素材1Aに外嵌装着されている。各グリップ部Bにおける軟質材は、同一材でもよく、または、設置位置によって異なる材質のものを使用してもよい。また、表面に対しても滑り難い梨地模様等を施してもよい。
リール装着部3Bは、竿元側に位置する固定フード3aと、固定フード3aに対向する可動フード3bと可動フード3bを竿軸線方向に沿ってスライド往復移動させるナット体3cとで構成されている。
内側筒体3dは、雌ネジ部3fを形成するので、比較的硬質の樹脂や金属が使用され、握り部3eはEVA等が使用される。
図3に示すように、リール載置面3Dの竿軸芯を挟んで180度反対側には、釣り人が釣竿を握って操作する場合の指置き部となっており、この指置き部に手元側の竿体1を臨む抜き孔3hが開口されている。
この円周方向角Θは、魚信を出来るだけ減衰しないで、かつ、可動フード3bでリール脚を保持して振れ等を生じさせない範囲で選択される。
したがって、竿先側の支持体4が存在しない部分では、シートボディ3Aと手元側の竿体1とが接触しない非接触空間が形成される。
竿先側の支持体4と竿元側の支持体5とは、共に、ウレタン樹脂や発泡樹脂、不織布等の材料で形成される。
(1)竿先側フードである可動フード3b側において、シートボディ3Aを支持する竿先側の支持体4が全面的に手元側の竿体1に当接してシートボディ3Aを支持しているわけではなく、竿先側の支持体4は略半円弧状断面に筒状体に形成されて、手元側の竿体1の半周部分のみに当接してシートボディ3Aを支持している。
このような構成によって、手元側の竿体1に伝達されたカワハギ等の魚信は竿先側の支持体4を通してシートボディ3Aに伝播されるが、伝達の割合いは略半円弧状断面によって少なくでき、それだけ、図1に示すように、リールシート3をリールRとともに握り込む釣り人の手に伝わる手元側の竿体1からの魚信を確かなものにできる。
テスト方法は次のようなものである。
図7(a)に示すように、測定箇所としては、ナット体3cの更に穂先側に突出する竿体1の部分Sにピックアップ装置9を取り付けて、加速度を測定する。その測定結果が図7(b)に示すものである。入力加速度を基準値として、ピックアップ装置9で拾った加速度を周波数別にプロットしたものであり、横軸に周波数(Hz)、縦軸に加速度の伝達率〔(m/s2)/(m/s2)〕を表している。
この検出結果より得られる結論は、周波数50〜60Hzの部分で伝達率が1であり、魚信が殆ど減衰しないで到達することを示している。
つまり、魚の当たりは物理学上の波動であるとすることができる。波動のスペクトル密度に適当な係数をかけると、その波動で運ばれる周波数当たりの力になる。このため、それを信号の「パワースペクトル密度」(PSD)あるいは「スペクトルパワー分布」(SPD)などと呼ぶ。パワースペクトル密度(PSD)の単位は、周波数当たりのエネルギー量(W/Hz)である。
このような考え方を採用しても、図7等において示したように、周波数50〜60Hzの部分で入力値と出力値が略同一値をした。
この検出結果より得られる結論は、周波数50〜60Hzの部分でピークがでている。但し、伝達率が0.9位であり、魚信が殆ど減衰しないで到達することを示しているが到達度は図7(b)の場合より少し落ちるものである。
この検出結果より得られる結論は、周波数50〜60Hzの部分でピークがでている点は変わりはないが、伝達率が0.8位であり、魚信が可なり減衰して到達することを示している。
(1)上記実施例に於いては、カワハギ釣り等に使用される船竿について説明したが、その他の釣り形態に使用する釣り竿に本願発明を適用してもよい。例えば、両軸受けリールRを使用する代りに、スピニングリールを使用する振出竿等を使用する釣り形態を対象としてもよい。
2 穂先側の竿体
3 リールシート
3A シートボディ
3B リール装着部
3C トリガー
3D リール載置面
3a 固定フード
3b 可動フード
3c ナット体
3d 内側筒体
3e 握り部
3f 雌ネジ部
3g 雄ネジ部
3h 抜き孔
4 竿先側の支持体
5 竿元側の支持体
B グリップ部
R リール
Claims (5)
- リール装着部を挟んで竿先側と竿元側とにリール脚保持用の一対のフードを備えるシートボディと、前記シートボディを外周面側に保持する竿体と、前記シートボディと前記竿体との間で竿先側と竿元側とに位置して、前記シートボディを前記竿体に支持する一対の支持体とを備えているリールシート構造であって、
前記竿先側の支持体は、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向における一部領域を占めるように、円周方向の一部を切り欠いた部分筒状体に形成されており、
前記竿元側の支持体は、前記竿体の外周面と前記シートボディの内周面との間に形成される空間の円周方向の全部領域を占めるように、全周に亘る筒状体に形成されているリールシート構造。 - 前記部分筒状体の円弧がとり得る中心角が、150度から270度の範囲におけるいずれかの角度をとる請求項1記載のリールシート構造。
- 前記シートボディにおけるリール載置面の位置する側とは180度反対側の指置き部に、前記竿体の外周面に臨む抜き孔が形成されている請求項1又は2記載のリールシート構造。
- 前記竿先側フードが可動フードであり、前記竿元側フードが前記シートボディと一体形成されている固定フードである請求項1〜3の内のいずれか一項に記載のリールシート構造。
- 前記可動フードの竿先側に前記可動フードをスライド移動させるナット体が前記シートボディに螺合され、前記ナット体の内周面と前記竿体との間に、全周に亘って非接触空間が形成されている請求項4に記載のリールシート構造。
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