以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
以下、本発明になる電動流体ポンプの実施形態を図面に基づいて説明する。図1は電動流体ポンプの全体構成を示す斜視図である。電動流体ポンプ10はアルミ合金等で作られた本体10Aと、この本体10Aに隣接して固定された駆動制御部を覆うアルミ合金等の金属製のカバー10Bとより構成されている。
この電動流体ポンプ10は図示しないポンプハウジングに固定され、回転軸の先端に取り付けたインペラを回転させてポンプ作用を行うものである。本体10Aからは外部コネクタ12が取り出され、図示しないバッテリから電力が供給されるようになっている。カバー10Bは金属製であるため、駆動制御部で発生した熱を外部に放散するヒートシンク機能を備えている。
図2はカバー10Bを取り去った後の電動流体ポンプ10の斜視図を示している。本体10Aの内部には電動機部(図示せず)が収納されており、この電動機部は全体を覆うように合成樹脂で取り囲まれている。電動機部の外周の一部に繋がる箱状の収納部16が本体10Aに設けられており、この収納部16に後述する電気部品や上述した外部コネクタ12が配置されている。
電動機部の上側には制御基板18が配置、固定されており、電動機部と制御基板18の間に駆動制御回路が取り付けられている。この駆動制御回路は電動機部をインバータ制御するために必要な回路を備えている。
図3は本体10Aから電動機部10Cを取り出した後の、電動機部10Cの斜視図を示している。電動機部10Cにはステータ部20と内部に収納されたロータ部(図示せず)、及びこのロータ部に固定された回転軸とより構成されている。
図4は電動機部10Cから制御基板18を取り去った後の電動機部10Cの斜視図を示している。電動機部には制御基板18及びステータ部20の巻線と電気的な接続を行うための接続端子26が設けられており、各接続端子であるU相接続端子26U、V相接続端子26V、及びW相接続端子26W1、26W2は制御基板18及びステータ部20の巻線と電気的な接続を行うための機能を有している。U相接続端子26U、V相接続端子26V、及びW相接続端子26W1、26W2は各相の入力部に接続されている。
尚、U相接続端子26U、V相接続端子26V、及びW相接続端子26W1、26W2はステータ部20の軸方向に沿って延びており、ステータ部20の軸方向と直交するように配置された制御基板18に接続されている。
以上のような電動流体ポンプの更に詳細な内部構造を図5に基づいて説明する。図5にあるように、電動機部10Cは少なくともロータ部32とステータ部20とより構成されている。この電動機部10Cは例えば、アルミ合金等で作られた金属製の本体10Aの一方に設けた電動機部収納部34に収納されている。ロータ部32はステータ部20の内周側に配置されており、永久磁石を備えていることから、ステータ部20の巻線部40によって作られる界磁によって回転力が与えられる。
また、この本体10Aの電動機部収納部34とは反対側はポンプハウジング(図示せず)に固定される構成となっている。この部分にはポンプ作用を行うインペラ36が配置され、回転軸22によって回転されるようになっている。そして、回転軸22は電動機部10Cを構成するロータ部32と固定され、ロータ部32の回転によって回転軸32は回転されるものである。
電動機部収納部34とインペラ36の間は液密的に封止されており、この部分に液体が侵入してくることはない。電動機部収納部34内には上述したようにステータ部20を構成する鉄心38と、これの突極部(図示せず)に巻回された巻線部40と、同相の巻線部40を接続する渡り線の案内、保持を行う渡り線保持溝を備えた渡り線ガイド42が収納されている。これの具体的な構成は後述する。
渡り線ガイド42は各突極部の間に植立するように形成されている。また、同様に各突極部の背面にも渡り線を案内する渡り線ガイド42が形成されている。
ステータ部20は合成樹脂によって固定的に覆われており、両者が固定された状態で制御基板18が固定されるものである。制御基板18には上述したようにインバータ制御に必要な回路が搭載されており、U相接続端子26U、V相接続端子26V、及びW相接続端子26W1、26W2を介して巻線部40と接続されている。制御基板18の端側にはインダクタ、コンデンサ等の電気部品が搭載されており、これらの形状的に大きい電気部品の一部は収納部16に収納されるようになっている。以上のような構成の電動流体ポンプは既に良く知られているので、これ以上の説明は省略する。
ところで、上述した通り、U相接続端子26U、V相接続端子26V、及びW相接続端子26W1、26W2と巻線をヒュージング加工して接続を行う場合、巻線を挟み込むヒュージング用接続部を加圧電極で加圧する作業過程で、加圧電極の位置や動きによって接続端子26に曲げの力が作用することがある。しかも、接続端子26の長さが長いと特にこの曲げの影響を受けて接続端子が変形するようになる。
このため、接続端子26の位置精度が悪化して、接続端子26と制御基板18の接続部との間の組立性が悪くなる課題がある。また、同じ理由で接続端子26に形成されたヒュージング用接続部の位置が変わるので、これに収納される巻線に撓みを生じ、ヒュージング用接続部と巻線の接合状態が悪くなるという課題がある。
そこで、本実施形態では、ヒュージング用接続部を備えた接続端子のステータ側の面と、これとは反対側の面に、接続端子の変形を抑制する変形抑制壁を形成する構成を提案するものである。これによれば、ヒュージング加工時の加圧電極によって接続端子に大きな力が作用しても、変形抑制壁によって接続端子の変形を抑制することができるようになる。
以下、本実施形態になる電動機部10Cを構成するステータ部20の詳細構造を図5、図6に基づいて説明する。
図5、図6において、ステータ部20を構成する鉄心38は、積層されたケイ素鋼板等から構成されたもので、内周側に向けて放射状に延びた9個の突極部を有している。鉄心38は一体型のコアであり、突極部も同時に形成されている。突極部の周囲には絶縁性の合成樹脂からなるボビン部20Aが設けられている。このボビン部20Aは自身の周囲に巻回される巻線と突極部との絶縁を確保するための機能を有している。このボビン部20Aに各相の巻線が巻かれて巻線部40となるものである。
9個の突極部は互いに隣り合うように配置されており、巻線が巻かれたボビン部20Aと鉄心38の内周部には電気絶縁性機能を備える合成樹脂からなる絶縁基部20Bが設けられている。ボビン部20Aと絶縁基部20Bとは絶縁性の合成樹脂を射出して一体的に成形されたものである。絶縁基部20Bは鉄心38の軸方向に所定の長さだけ突出して形成されており、その径方向の絶縁部表面20Cは略平坦な形状に形成されている。
この絶縁部表面20Cには、各相の同相の巻線部40を繋ぐ渡り線を案内する渡り線ガイド42が各ボビン部20Aの間に植立するように一体的に形成されている。この渡り線ガイド42は絶縁部表面20Cの円周上で、各巻線部40の間に点在するように植立している。また、絶縁部表面20Cから軸方向に突出した巻線部40の背面円周側にも渡り線を案内する渡り線ガイド42が形成されている。これらの渡り線ガイド42の外周壁に渡り線(図示せず)を案内、保持する渡り線保持溝48が形成されている。この渡り線は各相の同相の巻線部40から延びているものであるが、図6では渡り線を省略している。
突極部を覆うボビン部20Aは各相の巻線が巻回されて巻線部40となるもので、通常はU相、V相、W相の順番で配置されている。本実施形態では各相の巻線を3個に分けて巻き込むため、9個のボビン部20Aが鉄心38に形成されている。
すなわちU相の第1ボビン部、V相の第1ボビン部、W相の第1ボビン部が第1の組とされ、U相の第2ボビン部、V相の第2ボビン部、W相の第2ボビン部が第2の組とされ、U相の第3ボビン部、V相の第3ボビン部、W相の第3ボビン部が第3の組とされ、これらは組順に順番に配置されている。
U相巻線の巻始め端部、V相巻線の巻始め端部、及びW相巻線の巻始め端部から延びる各巻線は、U相の第1ボビン部〜第3ボビン部、V相の第1ボビン部〜第3ボビン部、W相の第1ボビン部〜第3ボビン部に渡り線を介して夫々巻かれている。そして、各相の第3ボビン部から引き出された各相の巻線引出部は各相の接続端子に接続されている。
本実施形態では巻線の結線方式がデルタ結線方式であるため、W相接続端子26W1、26W2が設けられている。したがって、W相接続端子26W1、26W2は巻線の始点と終点に対応するが、ここでは、W相接続端子26W1が始点に対応し、W相接続端子26W2が終点に対応する。
例えば、W相接続端子26W1が巻線の始点とすると、巻線はW相の第1ボビン部〜第3ボビン部に巻回され、次にV相の第1ボビン部〜第3ボビン部に巻回され、最後にU相の第1ボビン部〜第3ボビン部に巻回され、U相の第3ボビン部の最終端末がW相接続端子26W2に接続されて終点となるものである。そして、W相の第3ボビン部とV相の第1ボビン部の間の巻線引出部でV相接続端子26Vが接続され、V相の第3ボビン部とU相の第1ボビン部の間の巻線引出部でU相接続端子26Uが接続されているものである。
このようにW相接続端子を2個に分けた理由はヒュージング加工における加工性を向上するためである。つまり、デルタ結線であるためW相接続端子には2本の巻線(始点と終点)が接続される。このため、2本の巻線を一緒にして接続端子に接続すると、接続端子の構成が他の接続端子(U相、V相)と異なることになる。これによってヒュージング加工における加工条件(電極形状、寸法、移動距離等)が変わり、作業効率が低下するようになる。
このため全ての接続端子を1本の巻線と接続するようにして同じ形状とすることで、ヒュージング加工の作業効率を向上している。尚、W相接続端子26W1、26W2は制御基板18上で電気的に接続される構成となっている。
図5、図6からわかるように、各接続端子26U、26V、26W1、26W2は、渡り線ガイド42に設けられていると共に、渡り線ガイド42の渡り線保持溝48より半径方向内側のボビン20A側に配置されている。更に、夫々の巻線引出部を接続する接続端子26U、26V、26W1、26W2のヒュージング用接続部50は、ステータの内側に位置するボビン部20A側とは反対側の外周側に形成されている。これらのヒュージング用接続部50は詳しくは後述するが、引き出された巻線引出部を挟み込む形状の接続部に形成されている。
すなわち、引き出された巻線引出部を挟み、この状態で加圧電極によって圧力を加えながら、各接続端子26U、26V、26W1、26W2に電流を流して発熱させ、この発熱により巻線の被覆を溶かして剥離し、圧力と熱により巻線引出部の芯線と、各接続端子26U、26V、26W1、26W2のヒュージング用接続部50とを固相接合させて電気的な接続を行うようになっている。
次に、本実施形態の特徴である接続端子の変形を抑制する変形抑制壁52A、52Bについて説明する。
図6にある通り、各相の接続端子26U、26V、26W1、26W2のステータ側には、渡り線ガイド42の表面からからほぼ垂直に植立した変形抑制壁52Aが形成されている。図6では接続端子26W1、26W2の変形抑制壁52Aが見えている。また、各接続端子26U、26V、26W1、26W2に形成した変形抑制壁52Aとは反対側には、これも渡り線ガイド42の表面からほぼ垂直に植立した変形抑制壁52Bが形成されている。
更に、図7乃至図10を用いて各接続端子26U、26V、26W1、26W2付近の巻線の接続形態の詳細を説明するが、接続形態の構造は実質的に同じであるため、以下では代表してU相接続端子26U付近の接続形態を説明する。
図7乃至図10において、U相接続端子26Uは、渡り線ガイド42に一端が埋設され、他端が制御基板18に接続される形状となっている。U相接続端子26Uのステータ側(ボビン側)には変形抑制壁52Aが形成されている。この変形抑制壁52Aは渡り線ガイド42を形成する合成樹脂によって一体的に形成されている。同様にU相接続端子26Uのステータ側とは反対側には変形抑制壁52Bが形成されている。この変形抑制壁52Bも渡り線ガイド42を形成する合成樹脂によって一体的に形成されている。
したがって、U相接続端子26Uは変形抑制壁52Aと変形抑制壁52Bによって密着して挟まれている形状になっているので、曲げに対する強度が高められている。更に、U相接続端子26Uは長さが長いにも拘わらず、変形抑制壁52Aと変形抑制壁52Bによって外部に露出している長さは短くなっているので、曲げモーメントに対して強くなっている。
そして、U相接続端子26Uの外側面にはヒュージング用接続部50が形成されている。ヒュージング用接続部50は、U相側の巻線引出部40U-dを挟み込む挟み込み部50Aが形成されており、この挟み込み部50AはU相接続端子26Uからボビン20Aと反対側に切り起こされている。
したがって、U相側の巻線引出部40U-dはこの挟み込み部50Aによってヒュージング加工されるものである。挟み込み部50Aは図中で上側に開口しており、U相側の巻線引出部40U-dを上側から挟み込み部50Aに挿入し、この状態で上側からヒュージング加工機の加圧電極を下降してヒュージング加工を行うものである。このような構成を採用することにより、容易にヒュージング加工を行うことができるものである。
ここで、ヒュージング加工を行う場合、巻線引出部40U-dを挟み込むヒュージング用接続部50を加圧電極で加圧すると、加圧電極の位置や動きによってU相接続端子26Uに曲げの力が作用する。
しかしながら、本実施形態によれば、U相接続端子26Uは、変形抑制壁52Aと変形抑制壁52Bによって密着、挟持されているため、曲げに対する強度が高められている。更に、U相接続端子26Uは変形抑制壁52Aと変形抑制壁52Bによって外部に露出している長さは短くなっているので、曲げモーメントに対して強くなっている。このような理由によって、ヒュージング加工時にU相接続端子26Uに変形が生じるのを抑制することができる。
したがって、U相接続端子26Uの位置精度が確保でき、後工程で行われる制御基板の接続部との組立性を向上することができる。また、U相接続端子26Uと制御基板18との位置精度が高いので、この部分での接合品質が向上する効果がある。更に、U相接続端子26Uが変形しないので、ヒュージング用接続部50に収納される巻線引出部40Uの直線性を維持できてヒュージング用接続部50と巻線引出部40Uの接合状態を良くすることができる。
また、図10にある通り、U相接続端子26Uと変形抑制壁52Bの間に形成された巻線引出案内溝53に、U相側の巻線引出部40U-dが配置、案内されている。この巻線引出案内部53は、巻線引出部40U-dが外側に張り出してV相側の渡り線40V、W相側の渡り線40Wと接触しないようにする機能を併せ備えている。これによって、巻線引出部40U-dが他の相の渡り線と振動によって接触することで被覆面が損傷することに基づく短絡を防止することができる。
また、巻線引出案内溝53によって巻線引出部40U-dに直線性を与える作用が働き、ヒュージング用接続部50に至る巻線引出部40U-dの直線性を向上して、接合品質を向上するように寄与している。更に、変形抑制壁52Bと巻線引出部40U-dによってU相接続端子26Uを支持しているので、巻線引出部40U-dの直径だけ支持部が長くなり、曲げモーメントに対して強くなるものである。
尚、図10にある通り、U相接続端子26Uと巻線引出案内溝53の間においては、U相接続端子26Uの表面が露出しているが、U相接続端子26Uの表面も、破線で示すように合成樹脂で覆っても良いものである。このようにすることで、更に変形抑制壁52Bの曲げに対する抵抗効果を高めることができるようになる。この場合、巻線引出部40U-dは合成樹脂からなる巻線引出案内溝53に収納される構成となる。
本実施形態はU相接続端子26Uについて説明したが、V相接続端子26V、W相接続端子26W1、26W2についても同様である。
ところで、デルタ結線方式の巻線部を備えた電動機においては、接続端子のステータ外面側で、巻線と接続端子の一部をヒュージング加工して接続を行う場合、接続された巻線は隣接(或いは近接)する次の相の突極部に巻回される構成となっている。このため、巻線は、ヒュージング加工前の巻線行程時にステータ外側のヒュージング用接続部から突極部が位置するステータの内側に向けて誘引(引き込み)されるようになる。また、最近では断面積(直径)を大きくした巻線を使用する傾向にあり、巻線は大きな力でステータの内側に向けて誘引されるようになる。
このような構成になる接続端子においては、巻線の誘引時に大きな力で巻線が内側に向けて引かれることから、巻線が通過する接続端子のヒュージング用接続部にも大きな力が作用して、接続端子が内側に変形する恐れがある。このため、接続端子の位置精度が悪化して、接続端子と制御基板の接続部との間の組立性が悪くなる課題がある。また、同じ理由で接続端子に形成されたヒュージング用接続部も変形するので、これに収納される巻線に撓みを生じ、ヒュージング用接続部と巻線の接合状態が悪くなるという課題も併せ生じる。
そこで、本実施形態では図6にある通り、巻線巻き掛け部51を設けるようにしている。図6にある通り、各相の接続端子26U、26V、26W1に隣接して、巻線の誘引方向に渡り線ガイド42の表面からほぼ垂直に植立した巻線巻き掛け部51が形成されている。尚、W相接続端子26W2は、巻線の最終端末が接続されるので巻線巻き掛け部51は形成されていないものである。
そして、各接続端子26U、26V、26W1に形成したヒュージング用接続部50を通して誘引された巻線が、巻線巻き掛け部51に巻き掛けられ、この巻線巻き掛け部51を通過した巻線が、隣接した次の相の突極部20Aに向けて延び、更にその後に次の相の突極部20Aに巻回されている。更に、巻線巻き掛け部51には段部51Aが形成されており、巻線がこの段部51Aに載置されて巻き掛けられるものである。段部51Aは巻線の高さ方向の位置決めを行う働きを備えている。
ここで、巻線が巻線巻き掛け部51に巻き掛けられるとは、巻線が巻線巻き掛け部51に1周して巻かれていることを意味するものではなく、巻線が巻線巻き掛け部に接触するように引っ掛けられて突極部20A側へと延びている状態を意味するものである。
次に図7乃至図9を用いて各接続端子26U、26V、26W1付近の巻線40の接続形態の詳細を説明するが、接続形態の構造は実質的に同じであるため、以下では代表してU相接続端子26U付近の接続形態を説明する。
渡り線ガイド42には、U相接続端子26Uが植立するように設けられている。U相接続端子26Uの外側面にはヒュージング用接続部50が形成されている。ヒュージング用接続部50は、U相側の巻線引出部40U-dを挟み込む挟み込み部50Aが形成されており、この挟み込み部50AはU相接続端子26Uからボビン20Aと反対側に切り起こされている。
したがって、U相側の巻線引出部40U-dはこの挟み込み部50Aによってヒュージング加工されるものである。挟み込み部50Aは図中で上側に開口しており、U相側の巻線引出部40U-dを上側から挟み込み部50Aに挿入し、この状態で上側からヒュージング加工機の加圧電極を下降してヒュージング加工を行うものである。このような構成を採用することにより、容易にヒュージング加工を行うことができるものである。また、巻線を挟み込むヒュージング用接続部50をステータの外側向きに設けているので、巻線の巻線機ノズルと干渉する恐れがないものである。
また、図8に示している通り、渡り線ガイド42からは巻線巻き掛け部51が垂直に植立されており、この巻線巻き掛け部51は、ヒュージング用接続部50に隣接して所定の距離を置いて配置されている。このようにヒュージング用接続部50と距離を置いているのは、ヒュージング加工機の加圧電極と干渉させないためである。また、巻線巻き掛け部51は渡り線ガイド42と一体的に形成されているため、絶縁機能を備えている。
そして、U相側の巻線引出部40U-dは、ヒュージング用接続部50を介して巻線巻き掛け部51に巻き掛けられ、次の相の突極部20Aに巻回されるものである。
ここで、巻線巻き掛け部51から次の相の突極部20Aに至る折り曲げ角度(巻線巻き掛け部51の前後の巻き線引出部40U-dの巻線の角度)は略90°、或いはこれより狭い角度に決められている。これによって巻線の引き込み力を巻線巻き掛け部51で有効に受け止めることができるようになる。
したがって、巻線引出部40U-dを誘引する時に、大きな引き込み力で巻線引出部40U-dが内側に向けて引かれた場合であっても、この引き込み力は巻線巻き掛け部51で受け止められる。このため、U相接続端子26Uのヒュージング用接続部50に巻線引出部40U-dから直接的に引き込み力が作用するのが抑さえられる。これによってU相接続端子26Uが変形することが抑制されるものである。
したがって、U相接続端子26Uの位置精度が悪化するのを抑制して、U相接続端子26Uと制御基板の接続部との間の組立性の悪化を抑制することができる。これと相俟って、U相接続端子26Uと制御基板との接合部の接合品質を向上することができる。
また、同じ理由でU相接続端子26Uに形成されたヒュージング用接続部50の変形も抑制されるので、これに収納される巻線引出部40U-dの撓みが生じず、ヒュージング用接続部50と巻線引出部40U-dの位置関係が直線状となり、接合状態を良くすることができる。
本実施形態はU相接続端子26Uについて説明したが、V相接続端子26V、W相接続端子26W1についても同様である。
更に、図7、図8に示すように、絶縁基体20Bの絶縁部表面20Cには、各相の同相の巻線部40を繋ぐ渡り線を案内する渡り線ガイド42が植立するように一体的に形成されている。渡り線ガイド42の外周面には各相の渡り線保持溝48U、48V、48Wが形成されている。渡り線ガイド42の渡り線保持溝48は、上側から順番にW相側の渡り線保持溝48W、U相側の渡り線保持溝48U、V相側の渡り線保持溝48Vで形成されている。ただし、これらの順番は適宜変更可能であるので、本実施形態のように限定されないものである。
そして、各相の渡り線保持溝48U、48V、48WにはU相側渡り線40U、V相側渡り線40V、W相側の渡り線40Wが案内、保持されている。ただし、U相側の渡り線40Uの巻線引出部40U-dは、U相接続端子26Uと接続されるため、U相接続端子26U側に引き出されるものである。同様に、図示していないが、V相側の渡り線40Vの巻線引出部は、V相接続端子26Vと接続されるため、V相接続端子26V側に引き出され、W相側の渡り線40Wの巻線引出部は、W相接続端子26W1と接続されるため、W相接続端子26W2側に引き出されるものである。
そして、U相接続端子26Uに接続されるU相巻線引出部は、渡り線ガイド42の外周面に形成された3条の渡り線保持部48の中央の渡り線保持溝48Uの引出案内部48U-Outから引き出されている。また、V相接続端子26Vに接続されるV相巻線引出部は、渡り線ガイド42の3条の渡り線保持部48の最も下側の渡り線保持溝48Vの引出案内部48V-Outから引き出されている。同様に、W相接続端子に接続されるW相の巻線引出部は、渡り線ガイド42の3条の渡り線保持部48の最も上側の渡り線保持溝48Wの引出案内部48W-Outから引き出されている。
また、渡り線ガイド42の中央の渡り線保持溝48Uの引出部48U-Outは、図8の破線で示す通り内側に向けて徐々に縮径する弧状の引出部48U-Outに形成されており、この引出部48U-Outの端面は、他の相の渡り線40V、40Wが存在する位置より内側に位置する構成とされている。このため、U相巻線の巻線引出部40U-dは、内側に向けて徐々に縮径する渡り線保持溝48Uの引出部48U-Outに沿って案内される。したがって、渡り線保持溝48Uの引出部48U-Outの端面で、他の相の渡り線40V、40Wと干渉しない内側から引き出されることになる。ここで、渡り線保持溝48Uの引出部48U-Outは徐々に縮径する弧状に形成されているが、直線状に縮径する引出部48U-Outとしても良いことは言うまでもない。もちろん、他の相の渡り線保持溝の引出部においても同様である。
そして、この引出されたU相巻線の巻線引出部40U-dは、U相接続端子26Uの外側と変形抑制壁52Bの間を通って案内され、U相接続端子26Uのヒュージング用接続部50の挟み込み部50Aに至る。このヒュージング用接続部50で、U相側の巻線引出部40U-dは挟み込み部50Aによってヒュージング加工されるものである。
また、図示はしていないが、渡り線ガイド42の最も下側のV相の渡り線保持溝48Vの引出部48V-Outも、内側に向けて徐々に縮径する弧状の引出部48V-Outに形成されており、この引出部48V-Outの端面は、他の相の渡り線40U、40Wが存在する位置より内側に位置する構成とされている。同様に、渡り線ガイド42の最も上側のW相の渡り線保持溝48Wの引出部48W-Outも、内側に向けて徐々に縮径する弧状の引出部48W-Outに形成されており、この引出部48W-Outの端面は、他の相の渡り線40U、40Vが存在する位置より内側に位置する構成とされている。
これらの構成によれば、巻線の引出端部を他の渡り線と干渉せずに他の相の渡り線より内側から引き出して接続端子と接続できるので、直流電動機が半径方向に大型化するのを抑制することができる。しかも巻線引出部と接続端子の接続部がステータ側とは反対の外側で接続するため、接続加工が容易となる効果がある。
以上述べた通り、本発明によれば、接続端子のステータ側の面と、これとは反対側の面に、接続端子の変形を抑制する変形抑制壁を形成する構成とした。
これによれば、ヒュージング加工時の加圧電極によって接続端子に大きな力が作用しても、変形抑制壁によって接続端子の変形を抑制することができるようになる。これによって、接続端子の位置精度が確保でき、後工程で行われる制御基板の接続部との組立性を向上することができる。またヒュージング用接続部に収納される巻線の直線性を維持できてヒュージング用接続部と巻線の接合状態を良くすることができる。
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。