JP6597109B2 - パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット - Google Patents
パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット Download PDFInfo
- Publication number
- JP6597109B2 JP6597109B2 JP2015185828A JP2015185828A JP6597109B2 JP 6597109 B2 JP6597109 B2 JP 6597109B2 JP 2015185828 A JP2015185828 A JP 2015185828A JP 2015185828 A JP2015185828 A JP 2015185828A JP 6597109 B2 JP6597109 B2 JP 6597109B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tape
- weft
- woven structure
- yarn
- curved
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Details Of Garments (AREA)
- Carpets (AREA)
- Woven Fabrics (AREA)
Description
尚、熱収縮糸を用いて折り形状を生じさせた生地に関して、下記特許文献1に開示がある。
このため、端縁処理に要する作業を軽減し、より簡便に端縁処理を行う方法が求められている。そして、本発明者は、この課題に対し、予め端縁処理に適した湾曲状の横断面形状を付与したパイピングテープを利用できないかと着眼した。しかしながら、従来の技術には、このような着眼も、また、具体的にいかようにしてパイピングテープに所望の形状を記憶させておくかについても開示が全くない。
請求項1に記載のパイピングテープは、布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記緯糸及び経糸の共通糸が、熱収縮性を有する糸であり、
前記湾曲帯の長手方向に沿って、前記緯糸のとび量が表裏で均等な織組織(C)で形成された非湾曲帯を備えることを要旨とする。
請求項2に記載のパイピングテープは、布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記緯糸及び経糸の共通糸が、熱収縮性を有する糸であり、
本パイピングテープの全体が、前記織組織(A)で形成されていることを要旨とする。
請求項3に記載のパイピングテープは、布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記織組織(A)は、織組織(A 1 )及び織組織(A 2 )を含む2種以上の異なる織組織を含み、
前記湾曲帯は、前記織組織(A 1 )によって形成された中央帯部と、前記織組織(A 2 )によって形成された両側帯部と、を備え、
前記織組織(A 1 )は、前記織組織(A 2 )よりも前記凹面側における前記緯糸のとび量が多くされていることを要旨とする。
請求項4に記載のパイピングテープは、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のパイピングテープにおいて、前記緯糸は、両幅端で折り返されていることを要旨とする。
請求項5に記載のパイピングテープは、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のパイピングテープにおいて、経糸及び前記緯糸のうちの少なくとも前記緯糸が、熱収縮されていることを要旨とする。
請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のパイピングテープによって端縁処理されていることを要旨とする。
請求項7に記載のパイピングテープの製造方法は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の前記パイピングテープの製造方法であって、
前記パイピングテープとなる前駆体テープであり、前記織組織(A)を有する前駆体テープを熱処理する熱処理工程を備え、
前記熱処理工程では、前記前駆体テープの両幅端を保持することなく前記熱処理を行うことを要旨とする。
更に、この湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)によって形成されている。即ち、この湾曲帯の湾曲は、織組織(A)の表裏の差異によって引き起こされた湾曲である。従って、形態安定性に優れているとともに、形状付与のために不要な構成を要するわけでなく、性能上及び意匠上、必要がない糸を織り込む必要がない。そして、従来通り、巻回状態でストックすることができ、必要に応じて巻回体からパイピングテープを引き出した際に、織組織の特性によって自然と湾曲形状とすることができる。
本発明のパイピングテープの全体が、織組織(A)で形成されている場合には、その全体を湾曲させることができる。このため、必要に応じて、全体を湾曲させたパイピングテープを利用でき、より作業性に優れた端縁処理を行うことができる。
本発明のパイピングテープにおいて、織組織(A)が、織組織(A1)及び織組織(A2)を含む2種以上の異なる織組織を含み、更に、湾曲帯は、織組織(A1)によって形成された中央帯部と、織組織(A2)によって形成された両側帯部と、を備え、織組織(A1)が織組織(A2)よりも凹面側における緯糸のとび量が多くされている場合には、中央帯部ではより強く湾曲された湾曲形状としつつ、両側帯部ではより弱く湾曲された湾曲形状することができる。即ち、必要に応じて、湾曲帯の湾曲を制御することができ、より適したパイピングテープを設計できるため、より作業性に優れた端縁処理を行うことができる。
本発明のパイピングテープにおいて、緯糸が、両幅端で折り返されている場合には、両幅端が緯糸で閉じられた、いわゆる、耳を有する織物となっており、パイピングテープとして特に適する。
本発明のパイピングテープにおいて、経糸及び緯糸のうちの少なくとも緯糸が、熱収縮されている場合には、緯糸の熱収縮によって、上述の湾曲形状を維持されており、熱収縮されていない場合に比べて、形態安定性がより優れる。
本発明のパイピングテープの製造方法は、パイピングテープとなる前駆体テープであり、織組織(A)を有する前駆体テープを熱処理する熱処理工程を備え、この熱処理工程では、前駆体テープの両幅端を保持することなく熱処理を行う。このため、横方向の外へ向いたテンションが付加されない状態で熱処理されることとなり、パイピングテープの湾曲をより簡易且つ確実に得ることができる。
本発明のパイピングテープ(1)は、布材の端縁処理に利用されるパイピングテープ(1)であって、
湾曲状横断面(S1)が長手方向(D1)に連続して形成された1条の湾曲帯(11)を備え、
湾曲帯(11)は、緯糸(WE)のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
織組織(A)のうち緯糸(WE)のとび量の多い面が、湾曲帯(11)の凹面(S2)を形成していることを特徴とする。
この湾曲帯11が有ることによって、パイピングテープ1は、端縁処理の際に、湾曲帯11の凹面S2を、布材の端縁に沿わせるだけで、布材の端縁を覆うことができる。即ち、テープ1には、その必要な箇所に既に湾曲帯11が形成されているため、端縁処理の際に、平板状のパイピングテープを、その略幅中央で山なりに折る作業を行う必要がない。従って、端縁処理作業を効率化できる。
ここで、「緯糸のとび量」とは、緯糸が経糸の上を通過する本数を意味する。即ち、本パイピングテープは、織組織(A)を有する織物であり、この織物を構成する経糸と緯糸とは互いを織り込んで織物として成立している。この織物において、緯糸が経糸のうえを通過することを「とぶ(飛ぶ)」と表現している。そして、この緯糸が経糸を飛び越した経糸の本数を「とび量」と表現している。このことを、更に換言すれば、所定の緯糸が、経糸の下を潜り、経糸間から織物の表面に出た後、次に、経糸の下へ潜るまでの間に、当該緯糸の下に配置される経糸の本数をとび量という。
そして、上述のように、緯糸WEのとび量が表裏で異なる織組織であって、緯糸WEのとび量が多い面をパイピングテープの所定の一面側に集めることによって、織組織の表裏差によって、パイピングテープに湾曲帯11を形成できる。
更に、構成糸として、熱収縮性を有する糸(熱収縮糸)を用い、必要な織組織を前駆体テープに織り込んだ後、加熱によって構成糸を収縮させて、湾曲帯11の賦形を行うことがより好ましい。全ての構成糸として熱収縮糸を用いてもよいし、経糸WA及び緯糸WEのうちの緯糸WEとしてのみ熱収縮糸を利用してもよい。即ち、テープ1においては、経糸WA及び緯糸WEのうちの少なくとも緯糸WEが、熱収縮されていることが好ましい。
この緯糸WEのとび量が表裏で異なる織組織(A)としては、具体的には、2/1綾織、3/1綾織、4/1綾織、5枚朱子織、8枚朱子織等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
各構成糸を構成する材料は特に限定されず、天然材料による糸であってもよく、合成材料による糸であってもよい。これらのうちでは、強度及びその制御の観点から合成材料が好ましい。即ち、合成繊維が好ましい。
合成繊維を構成する樹脂も特に限定されないが、通常、熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド系樹脂{脂肪族ポリアミド樹脂(ナイロン等)、芳香族ポリアミド樹脂(パラフェニレンジアミンとテレフタル酸との重合体など)}、ビニル系樹脂(疎水化ポリビニルアルコール樹脂等、特にビニロン)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂等)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。更には、これらの構成糸には、必要に応じて樹脂以外の成分が含まれてもよい。即ち、例えば、無機フィラー、有機フィラー、着色剤、可塑剤、酸化防止剤、老化防止剤等が挙げられる。これらは1種のみが含有されてもよく2種以上が含有されてもよい。
更に、構成糸の形態は限定されず、モノフィラメントでも、マルチフィラメントでもよい。また、マルチフィラメントである場合には、引き揃え糸でも、撚り合わせ糸(合撚糸、交撚糸等)でもよい。
また、テープ1の一部にのみ織組織(A)を用いてもよい。この場合には、テープ1の一部に湾曲帯11が形成されることとなる(図1−図3参照)。
更に、本発明のテープ1は、織組織(A)以外の織組織を含むことができる。織組織(A)以外の組織は特に限定されないが、緯糸WEのとび量が表裏で均等な織組織(C)が挙げられる。織組織(C)を用いた場合には、湾曲されない非湾曲帯12を必要に応じて加えることができる。
織組織(C)としては、平織、2/2綾織、3/3綾織等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、平織としては、1/1平織、2/2平織、3/3平織等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、1/1平織、及び/又は、2/2平織が好ましい。
織組織(A)は前述の通り、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織である。織組織(A1)と織組織(A2)とは、いずれも織組織(A)に含まれるがパターンが異なる織組織である。同じ面を向けた場合に、織組織(A1)は、織組織(A2)よりも緯糸WEのとび量が多い織組織である。具体的な組合せとしては、織組織(A1):織組織(A2)として、3/1綾織:2/1綾織、4/1綾織:3/1綾織、4/1綾織:2/1綾織、5枚朱子織:8枚朱子織等が挙げられる。
本発明のパイピングテープ1を製造する方法は特に限定されないが、熱処理によって形状維持又は賦形を行う場合には、下記の本発明の方法を用いることが好ましい。
即ち、パイピングテープ1となる前駆体テープであり、織組織(A)を有する前駆体テープを熱処理する熱処理工程を備え、この熱処理工程では、前駆体テープの両幅端を保持することなく熱処理を行うことを特徴とする。
この方法によれば、テンター等を用いて前駆体テープの両幅端を引っ張らないため、熱処理による幅方向への縮みを規制されず、熱処理による幅方向への収縮に伴って湾曲帯11の立体形状を現出させることができる。
また、ポリアミド系樹脂を用いた熱収縮糸を緯糸WEとして利用した前駆体テープでは、熱処理を湿式で行うことができる。加熱条件は限定されないが、例えば、70℃以上150℃以下の温水、沸騰水又は水蒸気と接触させて加熱を行うことができ、80℃以上120℃以下がより好ましく、90℃以上110℃以下が特に好ましい。また、例えば、1分以上5分以下の加熱時間とすることができ、2分以上3分以下とすることが好ましい。
前駆体テープは、既に製織の際に、湾曲が付与されて湾曲帯11が形成されていてもよい。この場合には、熱処理工程によって、湾曲形状の形態安定性を向上させることができる。また、前駆体テープは、製織後且つ熱処理工程前の段階では、湾曲がない平板状態であってもよい。この場合には、熱処理工程によって、湾曲した立体形状を現出させることができる。また、当然ながら、前駆体テープは、織組織及びその構成(織組織の種類及び配置)としては、テープ1と同様の織組織及び構成を有する。
本発明の起毛マット2は、布材が、起毛性の布材21であって、本発明のパイピングテープ1によって端縁処理されていることを特徴とする(図6参照)。
具体的には、図6に例示するように、パイピングテープ1を布材21の端縁に被せ、縫合糸3によって、布材21の端縁にパイピングテープ1を縫い付けることで端縁処理を行うことができる(図6のX−X’断面参照)。これにより、起毛繊維211が、布材21の端縁において基層212からほつれ出てしまうことを防止できる。このような起毛マット2としては、車両用フロアマット等が挙げられる。
〈第一実施形態〉
図1及び図2に例示するパイピングテープについて説明する。
(1)前駆体テープの製造
乾熱寸法変化率が3%以上20%以下(好ましくは5%以上15%以下)のポリエステル糸(50dtex以上1670dtex以下、好ましくは150dtex以上1100dtex以下)を経糸WA及び緯糸WEの共通糸として用い、幅10mm以上50mm以下(好ましくは20mm以上40mm以下)の細幅のテープ状織物(前駆体テープ)を、ニードル織機を用いて製織する。
この製織に際しては、テープ状織物の中央部(幅5mm以上30mm以下(好ましくは10mm以上20mm以下)を2/1綾織で形成し、中央部の両側部を1/1平織で形成する。また、中央部では、2/1綾織の表面が全てテープ状織物の一面側を向くように用いる。2/1綾織は、緯糸WEのとび量が表裏で異なる織組織(A)であり、1/1平織は、緯糸WEのとび量が表裏で均等な織組織(C)である。
尚、上記乾熱寸法変化率は、JIS L1013のA法(かせ寸法変化率)の乾熱寸法変化率の測定方法に準じて、乾熱温度を150℃に設定し、無荷重にて30分間、乾熱処理を行った処理前後の各糸長を測定し、下記式(I)にて算出した値である。但し、L1は、乾熱処理前の長さ(cm)を、L2は、乾熱処理後の長さ(cm)を、意味する。
乾熱寸法変化率(%)={(L1−L2)/L1}×100 ・・・(I)
上記(1)で得られた前駆体テープの熱処理を、前駆体テープの長手方向へはテンションを掛け、両幅端の保持はせず行う。熱処理条件は、加熱温度100℃以上230℃以下とすることができ、150℃以上220℃以下が好ましい。加熱時間は1分以上5分以下とすることができ、2分以上3分以下が好ましい。
この熱処理により、前駆体テープは、長手方向D1には引っ張られつつ、両幅端を広げるテンションは付加されていないため、2/1綾織(織組織A)では、経糸WAに比べて緯糸WEがより効果的に収縮され、この2/1綾織(織組織A)で形成された前駆体テープの中央部が湾曲される。即ち、湾曲状横断面S1が形成される。この湾曲状横断面S1が長手方向D1に連続されて1条の湾曲帯11となる。湾曲帯11では、2/1綾織(織組織A)において緯糸WEのとび量の多い面が、湾曲帯11の凹面S2を形成する。一方、1/1平織(織組織C)で形成された両側部は、湾曲されず非湾曲帯12となる。
得られた第一実施形態のパイピングテープ1は、図3に示すように、例えば、端縁処理を行う布材の端縁に、湾曲帯11を当接させたうえで、非湾曲帯12を、湾曲帯11の凹面S2側へ押すことにより、一連のドーム形状となり、湾曲帯11によって位置決めされた状態で安定して布材の端縁をパイピングテープ1で覆うことができる。
図4に例示するパイピングテープについて説明する。
(1)前駆体テープの製造
第一実施形態の場合と同じ構成糸を、経糸WA及び緯糸WEの共通糸として用い、同様に、ニードル織機を用いて前駆体テープを製織する。2/1綾織の表面が全て前駆体テープの一面側を向くよう製織するが、製織に際して、前駆体テープの全面を2/1綾織で形成する点が異なる。
上記(1)と同様に熱処理を行う。この熱処理により、前駆体テープは、長手方向D1には引っ張られつつ、両幅端を広げるテンションは付加されていないため、2/1綾織(織組織A)が、経糸WAに比べて緯糸WEがより効果的に収縮され、前駆体テープの全体が湾曲される。即ち、湾曲状横断面S1が形成される。この湾曲状横断面S1が長手方向D1に連続されて1条の湾曲帯11となる。湾曲帯11では、2/1綾織(織組織A)において緯糸WEのとび量の多い面が、湾曲帯11の凹面S2を形成する。
得られた第二実施形態のパイピングテープ1は、それ自体が一連のドーム形状となっているため、端縁処理を行う布材の端縁に、湾曲帯11の凹面S2を当接させることで、自然と布材の端縁のパイピングテープ1で覆うことができ、作業効率を向上させることができる。
図5に例示するパイピングテープについて説明する。
(1)前駆体テープの製造
第一実施形態の場合と同じ構成糸を、経糸WA及び緯糸WEの共通糸として用い、同様に、ニードル織機を用いて前駆体テープを製織する。
この製織に際しては、前駆体テープの中央部(幅5mm以上30mm以下(好ましくは10mm以上20mm以下)を3/1綾織で形成し、中央部の両側部を2/1綾織で形成する。また、中央部では、3/1綾織の表面が全てテープ状織物の一面側を向くように用い、両側部でも、2/1綾織の表面が全てテープ状織物の一面側を向くように用いる。これら3/1綾織及び2/1綾織は、いずれも、緯糸WEのとび量が表裏で異なる織組織(A)であり、ここでは、3/1綾織を織組織(A1)、2/1綾織を織組織(A2)とする。
上記(1)と同様に熱処理を行う。この熱処理により、前駆体テープは、長手方向D1には引っ張られつつ、両幅端を広げるテンションは付加されていないため、3/1綾織(織組織A1)でも、2/1綾織(織組織A2)でも、経糸WAに比べて緯糸WEがより効果的に収縮される。そのため、3/1綾織(織組織A1)で形成された前駆体テープの中央部も、2/1綾織(織組織A2)で形成された前駆体テープの両側部も湾曲されるが、湾曲の程度は、とび量が多い3/1綾織の領域の方が、2/1綾織の領域よりも強くなる。これによって、全体として、湾曲状横断面S1が形成され、湾曲状横断面S1が長手方向D1に連続されて1条の湾曲帯11となる。湾曲帯11では、3/1綾織(織組織A1)及び2/1綾織(織組織A2)の両方において緯糸WEのとび量の多い面が、湾曲帯11の凹面S2を形成することとなる。
得られた第三実施形態のパイピングテープ1は、それ自体が一連のドーム形状となっているため、端縁処理を行う布材の端縁に、湾曲帯11の凹面S2を当接させることで、自然と布材の端縁のパイピングテープ1で覆うことができ、作業効率を向上させることができる。
尚、参考として、本明細書には、下記[1]〜[6]のパイピングテープ、下記[7]の起毛マット、下記[8]のパイピングテープの製造方法に関する説明が含まれる。
[1]布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成していることを特徴とするパイピングテープ。
[2]前記湾曲帯の長手方向に沿って、緯糸のとび量が表裏で均等な織組織(C)で形成された非湾曲帯を備える[1]に記載のパイピングテープ。
[3]本パイピングテープの全体が、前記織組織(A)で形成されている[1]に記載のパイピングテープ。
[4]前記織組織(A)は、織組織(A 1 )及び織組織(A 2 )を含む2種以上の異なる織組織を含み、
前記湾曲帯は、前記織組織(A 1 )によって形成された中央帯部と、前記織組織(A 2 )によって形成された両側帯部と、を備え、
前記織組織(A 1 )は、前記織組織(A 2 )よりも前記凹面側における前記緯糸のとび量が多くされている[1]乃至[3]のうちのいずれかに記載のパイピングテープ。
[5]前記緯糸は、両幅端で折り返されている[1]乃至[4]のうちのいずれかに記載のパイピングテープ。
[6]経糸及び前記緯糸のうちの少なくとも前記緯糸が、熱収縮されている請求項[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載のパイピングテープ。
[7]前記布材が、起毛性の布材であって、
請求項[1]乃至[6]のうちのいずれかに記載のパイピングテープによって端縁処理されていることを特徴とする起毛マット。
[8][1]に記載の前記パイピングテープの製造方法であって、
前記パイピングテープとなる前駆体テープであり、前記織組織(A)を有する前駆体テープを熱処理する熱処理工程を備え、
前記熱処理工程では、前記前駆体テープの両幅端を保持することなく前記熱処理を行うことを特徴とするパイピングテープの製造方法。
11;湾曲帯、
111;中央帯部、112;両側帯部、
12;非湾曲帯、
15;幅端、
2;起毛マット、21;布材、
211;起毛繊維、212;基層、
3;縫合糸、
D1;長手方向、
S1;湾曲状横断面、S2;凹面、
WA;経糸、WE;緯糸。
Claims (7)
- 布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記緯糸及び経糸の共通糸が、熱収縮性を有する糸であり、
前記湾曲帯の長手方向に沿って、前記緯糸のとび量が表裏で均等な織組織(C)で形成された非湾曲帯を備えることを特徴とするパイピングテープ。 - 布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記緯糸及び経糸の共通糸が、熱収縮性を有する糸であり、
本パイピングテープの全体が、前記織組織(A)で形成されていることを特徴とするパイピングテープ。 - 布材の端縁処理に利用されるパイピングテープであって、
湾曲状横断面が長手方向に連続して形成された1条の湾曲帯を備え、
前記湾曲帯は、緯糸のとび量が表裏で異なる織組織(A)で形成され、
前記織組織(A)のうち前記緯糸のとび量の多い面が、前記湾曲帯の凹面を形成しており、
前記織組織(A)は、織組織(A 1 )及び織組織(A 2 )を含む2種以上の異なる織組織を含み、
前記湾曲+帯は、前記織組織(A 1 )によって形成された中央帯部と、前記織組織(A 2 )によって形成された両側帯部と、を備え、
前記織組織(A 1 )は、前記織組織(A 2 )よりも前記凹面側における前記緯糸のとび量が多くされていることを特徴とするパイピングテープ。 - 前記緯糸は、両幅端で折り返されている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載のパイピングテープ。
- 経糸及び前記緯糸のうちの少なくとも前記緯糸が、熱収縮されている請求項1乃至4のうちのいずれかに記載のパイピングテープ。
- 前記布材が、起毛性の布材であって、
請求項1乃至5のうちのいずれかに記載のパイピングテープによって端縁処理されていることを特徴とする起毛マット。 - 請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の前記パイピングテープの製造方法であって、
前記パイピングテープとなる前駆体テープであり、前記織組織(A)を有する前駆体テープを熱処理する熱処理工程を備え、
前記熱処理工程では、前記前駆体テープの両幅端を保持することなく前記熱処理を行うことを特徴とするパイピングテープの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015185828A JP6597109B2 (ja) | 2015-09-18 | 2015-09-18 | パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015185828A JP6597109B2 (ja) | 2015-09-18 | 2015-09-18 | パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017056130A JP2017056130A (ja) | 2017-03-23 |
JP6597109B2 true JP6597109B2 (ja) | 2019-10-30 |
Family
ID=58389016
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015185828A Expired - Fee Related JP6597109B2 (ja) | 2015-09-18 | 2015-09-18 | パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6597109B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN115142170A (zh) * | 2022-06-07 | 2022-10-04 | 东莞百宏实业有限公司 | 一种弧形松紧带以及织造工艺 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5562588U (ja) * | 1978-10-23 | 1980-04-28 | ||
JP4856372B2 (ja) * | 2004-10-08 | 2012-01-18 | 株式会社大和 | パイルがタフトされたタフテッドカーペットの製造に用いるカッター |
JP4276653B2 (ja) * | 2005-11-16 | 2009-06-10 | M.I.J.イシカワ株式会社 | パイピングテープ |
JP3126490U (ja) * | 2006-08-18 | 2006-10-26 | 株式会社三景 | パイピング用テープ |
EP2998423B1 (en) * | 2014-05-19 | 2018-06-13 | Kabushiki Kaisha Miyake Design Jimusho d/b/a Miyake Design Studio | Woven fabric and method for manufacturing woven fabric |
-
2015
- 2015-09-18 JP JP2015185828A patent/JP6597109B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017056130A (ja) | 2017-03-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6846196B2 (ja) | ファスナーテープ及びファスナーストリンガー | |
KR101992513B1 (ko) | 래핑 가능하고 단부 해어짐을 방지하는 보호용 직조 슬리브 및 그의 제조방법 | |
JP5790652B2 (ja) | 織物およびそれを用いた電気配線用被覆材 | |
JP2018538457A (ja) | 端部がほつれにくい織られた保護テキスタイルスリーブおよびその製造方法 | |
JP6014839B2 (ja) | チューブ状カバー、およびチューブ状カバーをワイヤ収納に利用した自動車 | |
JP2006508261A5 (ja) | ||
JP6128720B1 (ja) | 中綿シート | |
WO2022097593A1 (ja) | ポリエステル系織物面ファスナーおよびその製造方法 | |
JP6597109B2 (ja) | パイピングテープ及びその製造方法並びに起毛マット | |
US3207659A (en) | Method of making papermaker's fabric and the finished fabric | |
JP2006347018A (ja) | 伝動ベルトの製造方法 | |
WO2006079667A1 (es) | Banda de arrastre y aspiración para máquinas secadoras, planchadoras y plegadoras industriales, y metodo para su fabricación | |
US10221505B1 (en) | Textile products incorporating banana or raffia fiber and methods of fabricating the same | |
CN209749989U (zh) | 一种编织型钩与网孔扣合管线包裹粘扣带 | |
JP4869331B2 (ja) | 連続皮革糸およびこれを用いた皮革糸織物 | |
JP6500741B2 (ja) | シートベルト用ウェビング及びその製造方法並びにシートベルト | |
JP5945960B2 (ja) | 布材及びその製造方法 | |
JP2005206962A (ja) | ゴム補強用すだれ織物 | |
JP6475063B2 (ja) | 製紙用シームフェルト | |
WO2023195397A1 (ja) | 人工血管 | |
JP3777551B2 (ja) | ピンテンター滑脱防止織物 | |
JP2010150678A (ja) | 製紙用フェルト及びその製造方法 | |
JP2003269542A (ja) | 歯付きベルト用織布 | |
JP3010596B2 (ja) | 抄紙用ドライヤーカンバスの継手及び抄紙用ニードルカンバス | |
JP3743636B2 (ja) | 布帛及び布帛の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180319 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190129 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190327 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190903 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190916 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6597109 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |