JP6593579B2 - 小型ポンプおよびそれに使用されるダイヤフラム組立体 - Google Patents

Description

本発明は小型ポンプに関し、特に、血圧計等に空気を供給するために用いられ、且つ、ダイヤフラム組立体を使用する小型ポンプに関する。

この種の小型ポンプは、ケース内に複数のポンプ室をそれぞれ形成する複数のダイヤフラム部を含むダイヤフラム組立体を備え、偏心回転軸により揺動される揺動体によって各ダイヤフラム部の下端部が上下動されてポンプ動作を行う。そして、この種の小型ポンプは、各ダイヤフラム部の下端部の上下動に連動して吸気弁体及び排気弁体が動作し、吸排気（吸入／吐出）を行う。

このような小型ポンプは、ダイヤフラム組立体を使用するので、「ダイヤフラムポンプ」とも呼ばれる。尚、ダイヤフラム組立体は、ダイヤフラム集合体やダイヤフラム本体とも呼ばれる。吸気弁体は、吸入弁や吸入用弁体とも呼ばれる。排気弁体は、吐出弁や吐出用弁体とも呼ばれる。また、揺動体は駆動体とも呼ばれ、偏心回転軸は駆動軸とも呼ばれる。

このような小型ポンプにおいては、上記吸排気（吸入／吐出）に伴って、吸気弁体（吸入弁；吸入用弁体）および排気弁体（吐出弁；吐出用弁体）が開閉動作を行う。そのため、これら弁体（弁）の開閉動作の際に作動音が発生する。その結果、その作動音がケースの外部に漏れて、作動音が雑音（騒音）となるという問題がある。また、空気をケースの外部からケース内に吸入する際にも、吸気音（吸入音）が発生する。その結果、この吸気音がケースの外部に漏れて、雑音（騒音）となるという問題もある。

このような問題を解決するために、従来から種々の雑音（騒音）を防止（抑止）する技術が提案されている。

例えば、特許文献１は、吸入弁の開閉時に発生する騒音を抑制するようにした「ダイヤフラムポンプ」を開示している。特許文献１に開示されたダイヤフラムポンプでは、ダイヤフラム本体のダイヤフラム部を接続する平板状の部分に吸入弁を設けている。吸入弁は、薄肉の弁部と、この弁部の周辺等に開口とを有する。この吸入弁の弁部は、シリンダー部に形成された吸入口を塞ぐ側の面を凹部が有する面となっている。尚、特許文献１に開示されたダイヤフラムポンプでは、複数のタイヤフラム部のほぼ中心位置に吐出弁を配置している。そして、吐出弁の上方に、吐出口が設けられている。

特許文献１に開示されたダイヤフラムポンプにおいては、吸入弁は、シリンダー部表面と凹部の周辺であるその一部分のみにて接することになり、騒音の発生を抑制することが可能となる。

また、特許文献２は、吸気弁体から発生する雑音を低減する「小型ポンプ」を開示している。特許文献２に開示された小型ポンプにおいて、各ダイヤフラムは、その底部中心部に貫通孔を持つ。揺動体は、各貫通孔に連通する空気導入孔を持つ。吸気弁体は各貫通孔に設けられている。各吸気弁体は、ダイヤフラムの一部を切開して設けられている。各タイヤフラムの底部に設けられた吸気弁体と各貫通孔とにより吸気弁部が構成されている。ケース上板は、その中央部に１つの排気孔を持つ。また、ケース上板は、排気孔外周に排気孔と連通する複数の環状凹部を有する。排気弁体は、各環状凹部と排気孔に配設されている。各排気弁体は、各ダイヤフラムの上端部から成り、円筒状をしている。各環状凹部を形成する内壁面及び排気孔を形成する壁面に各排気弁体を圧接させて排気弁部が構成されている。

特許文献２に開示された小型ポンプにおいては、各吸気弁体をケース内に完全に収納しているので、各吸気弁体の作動音がケース内で消音されることになり、ケースの外部に漏れる雑音が少なくなる。

さらに、特許文献３は、吸入音に起因する騒音の低減を図った「ダイヤフラムポンプ」を開示している。特許文献３に開示されたダイヤフラムポンプでは、ダイヤフラムを保持するダイヤフラムホルダーに消音室を設けている。ポンプ室が拡張することにより、吸入口から吸入された流体が消音室に流入する。この消音室に流入した流体は、別の消音室を経由して吸入孔を通り、ポンプ室内に流入する。次に、ポンプ室が収縮することにより、ポンプ室内の流体は１つの吐出孔を通って、吐出口から加圧対象物に供給される。尚、特許文献３に開示されたダイヤフラムポンプでは、複数のタイヤフラム部のほぼ中心位置に、吐出孔を開閉する１つの吐出用弁体を配置している。そして、吐出用弁体の上方に、吐出口が設けられている。

特許文献３に開示されたダイヤフラムポンプにおいては、ダイヤフラムポンプ内に流入した流体をすぐに消音室に導くようにしたことにより、吸入音による騒音の低減を図ることができる。

特開２００３−２６９３３７号公報 特許第４３０６０９７号公報 特開２０１２−２４１６３６号公報

上述した特許文献１〜３には、次に述べるような問題がある。

特許文献１〜３ではいずれも、排気弁体（吐出弁；吐出用弁体）の開閉動作の際に発生する作動音については何ら考慮していない。すなわち、特許文献１〜３に開示された小型ポンプ（ダイヤフラムポンプ）では、排気弁体（吐出弁；吐出用弁体）の作動音は、ポンプの内部で低減される事なく、そのまま、ケースの外部へ、雑音（騒音）として漏れてしまうという問題がある。

詳述すると、特許文献１では、吐出弁の上方に吐出口が設けられている。その結果、吐出弁の作動音は、そのまま吐出口を通じて、ケースの外部へ雑音（騒音）として漏れてしまう。

特許文献２では、各排気弁体は、ダイヤフラムの上端部から成っている。その結果、各排気弁体の作動音は、そのまま、ケース上板の中央部に設けられた１つの排気孔を通じて、ケースの外部へ雑音（騒音）として漏れてしまう。

特許文献３でも、特許文献１と同様に、吐出用弁体の上方に吐出口が設けられている。その結果、吐出用弁体の作動音は、そのまま吐出口を通じて、ケースの外部へ雑音（騒音）として漏れてしまう。

したがって、本発明の目的は、部品点数を増やすことなく、騒音を低減することが可能な、小型ポンプおよびそれに使用されるダイヤフラム組立体を提供することにある。

本発明の他の目的は、説明が進むにつれて明らかになるだろう。

本発明の第１の例示的な態様によれば、モータの回転軸（ＭＡ）に対して対称形状を持つ中空のケース（１２；１２Ａ；１２Ｂ）と；このケース内の上部に設けられ、第１乃至第Ｎ（Ｎは２以上の整数）のポンプ室（ＰＣ１〜ＰＣ３）をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎのダイヤフラム部（２２１−１〜２２１−３）を含むダイヤフラム組立体（２２Ａ）と；ケース内の下部に設けられ、偏心回転軸（２６）により揺動されて、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部（２２１−１〜２２１−３）を上下動する揺動体（２４）と；を備える小型ポンプ（１０Ａ；１０Ｂ；１０Ｃ）であって、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部（２２１−１〜２２１−３）は、それぞれ、その底部中心部に第１乃至第Ｎの貫通孔（２２２−１ａ〜２２２−３ａ）を持ち、揺動体（２４）は、第１乃至第Ｎの貫通孔（２２２−１ａ〜２２２−３ａ）に連通する第１乃至第Ｎの空気導入孔（２４４−１ａ〜２４４−３ａ）を持ち、ダイヤフラム組立体（２２Ａ）は、第１乃至第Ｎの空気導入孔（２４４−１ａ〜２４４−３ａ）を開閉する第１乃至第Ｎの吸気弁体（２２２−１〜２２２−３）を備え、ケース（１２；１２Ａ；１２Ｂ）は、その上部に設けられた上側カバー（１６；１６Ａ）を備え、上側カバーは、モータの回転軸（ＭＡ）上に沿って開穿された排気孔（１６２ｃ）と、この排気孔外周に排気孔と連通する第１乃至第Ｎの環状凹部（１６２ｄ１〜１６２ｄ３）とを持ち、上側カバー（１６；１６Ａ）は、第１乃至第Ｎの環状凹部をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎの筒状内壁面（１６２−１ａ〜１６２−３ａ；１６２Ａ−１ａ〜１６２Ａ−３ａ）を有し、ダイヤフラム組立体（２２Ａ）は、第１乃至第Ｎの筒状内壁面にそれぞれ接触した状態で、第１乃至第Ｎの環状凹部にそれぞれ配設された第１乃至Ｎの筒状排気弁体（２２４−１〜２２４−３）を備え、ダイヤフラム組立体（２２Ａ）は、その中央部で排気孔（１６２ｃ）の近傍に設けられ、第１乃至第Ｎの筒状排気弁体の中央側外壁を連接するリブ（２２６）を備える、ことを特徴とする小型ポンプが得られる。

上記小型ポンプ（１０Ａ；１０Ｂ；１０Ｃ）において、上記第１乃至第Ｎのポンプ室（ＰＣ１〜ＰＣ３）は、モータの回転軸（ＭＡ）上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられており、第１乃至第Ｎの環状凹部（１６２ｄ１〜１６２ｄ３）は、モータの回転軸（ＭＡ）上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられている、ことが好ましい。また、リブ（２２６）は、第１乃至第Ｎの環状凹部（１６２ｄ１〜１６２ｄ３）の仕切りを構成するのが望ましい。さらに、リブ（２２６）の上面と上側カバー（１６；１６Ａ）の天面との間の距離（Ａ）は、リブ（２２６）の上面と上側カバー（１６；１６Ａ）の天面との間の体積（Ｖ（１））が、排気孔（１６２ｃ）の体積（Ｖ（２））より大きく、且つ、第１乃至第Ｎの環状凹部（１６２ｄ１〜１６２ｄ３）の体積（Ｖ（３））より小さい範囲となるような距離に規定されている、ことが好ましい。特に、リブ（２２６）の上面と上側カバー（１６；１６Ａ）の天面との間の距離（Ａ）は、リブ（２２６）の上面と上側カバー（１６；１６Ａ）の天面との間の体積（Ｖ（１））が、排気孔（１６２ｃ）の体積（Ｖ（２））と実質的に等しくなるような最小な距離に等しい、ことがより好ましい。また、モータの回転軸（ＭＡ）の中心からリブ（２２６）の外周壁までの距離（Ｂ）は、ダイヤフラム組立体（２２Ａ）の半径方向外側の縁からリブ（２２６）の上縁を眺めたときに、排気孔（１６２ｃ）が直接見えない距離に規定されている、ことが望ましい。

また、上記小型ポンプ（１０Ｂ；１０Ｃ）において、上記ダイヤフラム組立体（２２Ａ）は、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部（２２１−１〜２２１−３）の上端からそれぞれ外方向へ突出して設けられた第１乃至第Ｎの鍔部（２２３−１〜２２３−３）を有し、ケース（１２Ａ；１２Ｂ）は、その下部に設けられて、偏心回転軸（２６）および揺動体（２４）を収容する収容空間（ＲＳ）を持つ下部ケース部（１８）と、上側カバー（１６；１６Ａ）と下部ケース部（１８）との間に挟まれた状態で、ダイヤフラム組立体（２２Ａ）を第１乃至第Ｎの鍔部（２２３−１〜２２３−３）で支持する支点板（２０Ａ）であって、偏心回転軸（２６）の先端部が遊嵌される凹部（２０ａ）を持つ支点板（２０Ａ）と、を更に備え、支点板（２０Ａ）は、ケース（１２Ａ；１２Ｂ）の外気を、下部ケース部（１８）の収容空間（ＲＳ）に吸入するための第１乃至第Ｎの吸気孔（２０ｃ１〜２０ｃ３）を持つ、ことが好ましい。上記上側カバー（１６；１６Ａ）は、それぞれ、第1乃至第Ｎの吸気孔（２０ｃ１〜２０ｃ３）の近傍で、上側カバー（１６；１６Ａ）の外周端部から下方へ延在して、下部ケース部（１８）と協働して支点板（２０Ａ）を挟むように固定するための第１乃至第Ｎのフック（１６６−１〜１６６−３）を備え、上側カバー（１６；１６Ａ）は、第１乃至第Ｎのフック（１６６−１〜１６６−３）を作成するために、それぞれ、第１乃至第Ｎのフック（１６６−１〜１６６−３）に近接して設けられた第１乃至第Ｎのフック作成用角孔（１６２ｂ１〜１６２ｂ３）を持ち、上記支点板（２０Ａ）は、第１乃至第Ｎのフック（１６６−１〜１６６−３）の内壁と接するように、それぞれ、第１乃至第Ｎのフック作成用角孔（１６２ｂ１〜１６２ｂ３）内に隙間を空けて上方へ突出する第１乃至第Ｎの飛び込みピン（２０２−１〜２０２−３）を有し、上記支点板（２０Ａ）は、第１乃至第Ｎのフック作成用角孔（１６２ｂ１〜１６２ｂ３）内の上記隙間と第１乃至第Ｎの吸気孔（２０ｃ１〜２０ｃ３）とをそれぞれ迂回して連通するための第１乃至第Ｎの迂回経路（２０ｄ１〜２９ｄ３）を持つ、ことが望ましい。

さらに、上記小型ポンプ（１０Ｃ）において、上記上側カバー（１６Ａ）は、第１乃至第Ｎの筒状内壁面（１６２Ａ−１ａ〜１６２Ａ−３ａ）の外側端部に、それぞれ、第１乃至第Ｎの排気導入路（１６２Ａ−１ｂ〜１６２Ａ−３ｂ）を有する、ことが好ましい。上記第１乃至第Ｎの排気導入路（１６２Ａ−１ｂ〜１６２Ａ−３ｂ）は、たとえば、それぞれ、第１乃至第Ｎの筒状内壁面（１６２Ａ−１ａ〜１６２Ａ−３ａ）に形成された第１乃至第Ｎの溝から成ってよい。

本発明の第２の例示的な態様によれば、小型ポンプ（１０Ａ；１０Ｂ；１０Ｃ）に使用されるダイヤフラム組立体（２２Ａ）において、モータの回転軸（ＭＡ）上の周りで第１乃至第Ｎ（Ｎは２以上の整数）のポンプ室（ＰＣ１〜ＰＣ３）をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎのダイヤフラム部（２２１−１〜２２１−２）と、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の底部中心部に、それぞれ、一部を切開して設けられた第１乃至第Ｎの吸気弁体（２２２−１〜２２２−３）と、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の上端からそれぞれ外方向へ突出して設けられた第１乃至第Ｎの鍔部（２２３−１〜２２３−３）と、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部と連続して第１乃至第Ｎの鍔部からそれぞれ上方へ延出する第１乃至Ｎの筒状排気弁体（２２４−１〜２２４−３）と、中央部で小型ポンプの排気孔（１６２ｃ）の近傍に設けられ、第１乃至第Ｎの筒状排気弁体の中央側外壁を連接するリブ（２２６）と、を有するダイヤフラム組立体が得られる。

上記ダイヤフラム組立体（２２Ａ）において、第１乃至Ｎの筒状排気弁体（２２４−１〜２２４−３）の各々は円筒状をしていてよい。ダイヤフラム組立体（２２Ａ）は、第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の下面からそれぞれ突設された第１乃至第Ｎの中空状取付体（２２５−１〜２２５−３）を更に含むことが好ましい。第１乃至第Ｎの中空状取付体（２２５−１〜２２５−３）の各々は円筒状をしていてよい。第１乃至第Ｎのポンプ室（ＰＣ１〜ＰＣ３）は、モータの回転軸（ＭＡ）上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられている、ことが好ましい。

尚、上記括弧内の参照符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、本発明は、これらに限定されないのは勿論である。

本発明では、部品点数を増やすことなく、騒音を低減することができる。

関連技術に係る小型ポンプを示す外観斜視図である。 図１に図示した小型ポンプの平面図である。 図２の線III−IIIについての縦断面図である。 図１から上側カバー（吐出カバー）を外した状態を示す外観斜視図である。 図１に示した小型ポンプに使用される、ダイヤフラム組立体を示す外観斜視図である。 図１に示した小型ポンプのケースの正面図である。 図６の線VII-VIIでの断面図である。 図１に示した小型ポンプに使用される、支点板を示す平面図である。 図１に示した小型ポンプの動作を説明するために、小型ポンプのモータの回転軸上を通る第１の水平方向で切断した縦断面図である。 図１に示した小型ポンプの動作を説明するために、小型ポンプのモータの回転軸上を通る第１の水平方向で切断した縦断面図である。 本発明の第１の実施形態に係る小型ポンプの外観斜視図である。 図１１から上側カバー（吐出カバー）を外した状態を示す外観斜視図である。 図１１に示した小型ポンプに使用される、ダイヤフラム組立体を示す外観斜視図である。 図１１に示した小型ポンプのケースの正面図である。 図１４の線XV-XVでの断面図である。 図１１に示した小型ポンプの排出部分を拡大して示す部分拡大縦断面図である。 図１１に示した小型ポンプの排出部分における、第１乃至第３の筒状排気弁体の作動音の反射音のイメージを示す部分拡大縦断面図である。 図１１に示した小型ポンプを、モータの回転軸上を通る第１の水平方向で切断した縦断面図である。 図１１に示した小型ポンプを、モータの回転軸上を通る第１の水平方向で切断した縦断面図である。 暗騒音とモータ単体における騒音との周波数特性を示す図である。 暗騒音、モータ単体における騒音、関連技術の小型ポンプにおける騒音、および本第１の実施形態に係る小型ポンプにおける騒音の周波数特性を示す図である。 本発明の第２の実施形態に係る小型ポンプの平面図である。 図２２に示した小型ポンプに使用される支点板を示す平面図である。 図２２の線XXIV-XXIVでの断面図である。 図２２に示した小型ポンプの吸入部分における、吸入音の反射音のイメージを示す、図２４と同様の断面図である。 暗騒音、モータ単体における騒音、関連技術の小型ポンプにおける騒音、および本第２の実施形態に係る小型ポンプにおける騒音の周波数特性を示す図である。 本発明の第３の実施形態に係る小型ポンプの縦断面図である。 図２７の線XXVIII-XXVIIIでの断面図である。

［関連技術］
本発明の理解を容易にするために、最初に、図面を参照して本発明の関連技術について説明する。以下に説明する関連技術は、上記特許文献２に開示された小型ポンプと実質的に同一である。但し、関連技術は、特許文献２に開示されたものと完全に同一ではなく、若干の修正を加えた上で、より詳細にしたものである。

図１乃至図３は、関連技術に係る小型ポンプ１０の外観を示す図である。図１は小型ポンプ１０の外観斜視図であり、図２は小型ポンプ１０の平面図であり、図３は図２の線III−IIIについての縦断面図である。

図示の小型ポンプ１０は、説明をするにつれて明らかになるように、モータの回転軸ＭＡについて、実質的にＮ（Ｎは２以上の整数）回対称である回転対称な形状をしている。すなわち、小型ポンプ１０は、モータの回転軸ＭＡを回転軸として（３６０°／Ｎ）だけ構造全体を回転しても初めの状態と実質的に合同となる。図示の例では、Ｎは３に等しい。すなわち、図示の小型ポンプ１０は、モータの回転軸ＭＡ上の周りに１２０°回転させると自らと重なる３回対称な構造をしている。

ここでは、図１乃至図３に示されるような、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）を使用している。図１乃至図３に図示した状態では、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）において、Ｚ方向はモータの回転軸ＭＡが延在する上下方向（垂直方向）であり、Ｘ１方向、Ｘ２方向、およびＸ３方向は、それぞれ、モータの回転軸ＭＡの方向（Ｚ方向）に対して直交する平面内で、モータの回転軸ＭＡ上の周りで（Ｚ方向に対して）互いに等角度（１２０°）異なる第１乃至第３の水平方向である。

具体的には、Ｘ１方向を基準とするとする。この場合、Ｘ２方向は、Ｘ１方向に対してモータの回転軸ＭＡを回転軸として反時計回りに１２０°だけ回転した方向である。Ｘ３方向は、Ｘ１方向に対してモータの回転軸ＭＡを回転軸として反時計回りに２４０°だけ回転した方向である。尚、図示の関連技術において、Ｘ１方向は第１の方向とも呼ばれ、Ｘ２方向は第２の方向とも呼ばれ、Ｘ３方向は第３の方向とも呼ばれ、Ｚ方向は第４の方向とも呼ばれる。

尚、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、説明の便宜上図中における方向をいうものであって、関連技術に係る小型ポンプを実際に使用する際の上、下とは必ずしも一致するものではない。

図示の小型ポンプ１０は、モータの回転軸ＭＡに対して対称形状を持つ中空のケース１２と、このケース１２の下部に取り付けられた駆動源であるモータ１４とを備えている。ケース１２とのモータ１４との固定には、様々な手法を採用することができる。例えば、ボルトなどの締結器具を使用してケース１２とモータ１４とを締結固定してもよいし、接着剤を使用してケース１２とモータ１４とを接着固定してもよいし、それら両方を採用してもよい。なお、図３はモータ１４の図示を省略している。

図１に示されるように、ケース１２は、その上部に設けられた上側カバー１６と、その下部に設けられた下部ケース部１８と、上側カバー１６と下部ケース部１８との間に挟まれた支点板２０とを有する。上側カバー１６は吐出カバーとも呼ばれる。

図１に示されるように、上側カバー１６は、円柱の外形をしているカバー板１６２と、このカバー板１６２の中央部からモータの回転軸ＭＡ上に沿って上方へ突設した吐出用筒部１６４とを有する。吐出用筒部１６４には吐出口１６４ａ（図３参照）が形成されている。上側カバー１６は、カバー板１６２の外周端部から下方へ延在して、下部ケース部１８と協働して支点板２０を挟むように固定するための第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−２，１６６−３を更に有する。但し、図１では、第３のフック１６６−３は図示されていない。

第１のフック１６６−１は、モータの回転軸ＭＡに関して、第３の水平方向Ｘ３と第１の水平方向Ｘ１との間の方向に設けられている。換言すれば、第１のフック１６６−１は、モータの回転軸ＭＡに関して第２の水平方向Ｘ２とは反対側の方向に設けられている。第２のフック１６６−２は、モータの回転軸ＭＡに関して、第１の水平方向Ｘ１と第２の水平方向Ｘ２との間の方向に設けられている。換言すれば、第２のフック１６６−２は、モータの回転軸ＭＡに関して第３の水平方向Ｘ３とは反対側の方向に設けられている。図１には図示はしないが、第３のフック１６６−３は、モータの回転軸ＭＡに関して、第２の水平方向Ｘ２と第３の水平方向Ｘ３との間の方向に設けられている。換言すれば、第３のフック１６６−３は、モータの回転軸ＭＡに関して第１の水平方向Ｘ１とは反対側の方向に設けられている。

カバー板１６２は、モータの回転軸ＭＡに関してそれぞれ第１乃至第３の水平方向Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３に設けられた、第１乃至第３の円柱状凹部１６２ａ１，１６２ａ２，１６２ａ３を持つ。また、カバー板１６２は、第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−２，１６６−３を作成するために、それぞれ、第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−３，１６６−３に近接して設けられた、第１乃至第３のフック作成用角孔１６２ｂ１，１６２ｂ３，１６２ｂ３を持つ。

図３に示されるように、小型ポンプ１０は、ケース１２内に、ダイヤフラム組立体２２と、揺動体２４とを備える。

図４は、図１から上側カバー（吐出カバー）１６を外した状態を示す外観斜視図であり、図５はダイヤフラム組立体２２を示す外観斜視図である。図６は図１に示した小型ポンプ１０のケース１２の正面図であり、図７は図６の線VII-VIIでの断面図である。

図４に示されるように、下部ケース部１８は、その外側面に、第１乃至第３のフック受け部１８−１，１８−２，１８−３を有する。但し、図４では、第１及び第３のフック受け部１８−１，１８−３が図示されていない。上側カバー１６の第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−２，１６６−３は、それぞれ、下部ケース部１８の第１乃至第３のフック受け部１８−１，１８−２，１８−３と嵌合する。

図７に示されるように、上側カバー１６のカバー板１６２は、モータの回転軸ＭＡ上に沿って開穿された排気孔１６２ｃと、この排気孔１６２ｃの外周に排気孔１６２ｃと連通する第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３とを持つ。排気孔１６２ｃは、上記吐出口１６４ａと連通している。第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３は、それぞれ、第１乃至第３の円柱状凹部１６２ａ１，１６２ａ２，１６２ａ３と同心に形成されている。従って、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３は、モータの回転軸ＭＡに関してそれぞれ第１乃至第３の水平方向Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３に設けられている。換言すれば、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３は、モータの回転軸ＭＡ上の周りで円周方向に互いに等角度（１２０°）をおいて設けられている。

カバー板１６２は、第１の円柱状凹部１６２ａ１と第１の環状凹部１６２ｄ１との間に設けられた第１の有底筒状部１６２−１と、第２の円柱状凹部１６２ａ２と第２の環状凹部１６２ｄ２との間に設けられた第２の有底筒状部１６２−２と、第３の円柱状凹部１６２ａ３と第３の環状凹部１６２ｄ３との間に設けられた第３の有底筒状部１６２−３とを有する。

第１の有底筒状部１６２−１の外周面１６２−１ａは、第１の環状凹部１６２ｄ１を形成する第１の筒状内壁面として働く。第２の有底筒状部１６２−２の外周面１６２−２ａは、第２の環状凹部１６２ｄ２を形成する第２の筒状内壁面として働く。第３の有底筒状部１６２−３の外周面１６２−３ａは、第３の環状凹部１６３ｄ３を形成する第３の筒状内壁面として働く。

図２に加えて図４および図５をも参照して、ダイヤフラム組立体２２は、合成ゴムなどの弾性体からなり、ケース１２内の上部に設けられている。図示のダイヤフラム組立体２２は、第１乃至第３のポンプ室ＰＣ１，ＰＣ２，ＰＣ３をそれぞれ形成する第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３を含む。図示の例では、第１乃至第３のポンプ室ＰＣ１，ＰＣ２，ＰＣ３は、モータの回転軸ＭＡに関して、それぞれ、第１乃至第３の水平方向Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３に設けられている。換言すれば、第１乃至第３のポンプ室ＰＣ１，ＰＣ２，ＰＣ３は、モータの回転軸ＭＡ上の周りで円周方向に互いに等角度（１２０°）をおいて設けられている。したがって、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３も、モータの回転軸ＭＡに関して、ぞれぞれ、第１乃至第３の水平方向Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３に設けられている。換言すれば、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３は、モータの回転軸ＭＡ上の周りで円周方向に互いに等角度（１２０°）をおいて設けられている。

図３を参照して、揺動体２４は、ケース１２の下部ケース部１８の収容空間ＲＳ内に収容されている。揺動体２４は、後述するように偏心回転軸２６により揺動されて、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３の下端部を上下動する。

揺動体２４は、その中心部で偏心回転軸２６が圧入される開口部を持つ駆動円板２４２と、駆動円板２４２の周辺部近傍で、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３へ向けてそれぞれ突出して設けられた第１乃至第３の軸体２４４−１，２４４−２，２４４−３とから成る。但し、図３では、第３の軸体２４４−３は図示されていない。第１乃至第３の軸体２４４−１，２４４−２，２４４−３は、その中央部に、それぞれ第１乃至３の空気導入孔２４４−１ａ，２４４−２ａ，２４４−３ａ（図２参照）を持つ。但し、図３では、第３の空気導入孔２４４−３ａは図示されていない。これら第１乃至３の空気導入孔２４４−１ａ，２４４−２ａ，２４４−３ａは、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３の底部中心部にそれぞれ形成される、後述する第１乃至第３の貫通孔２２２−１ａ，２２２−２ａ，２２２−３ａ（図２参照）と連通する。

図２に示されるように、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３は、その底部中心部に、それぞれ、一部を切開して設けられた第１乃至第３の吸気弁体２２２−１，２２２−２，２２２−３を有する。第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３の底部中心部の一部を切開した部分が、それぞれ、第１乃至第３の貫通孔２２２ａ−１，２２２ａ−２，２２２ａ−３となる。

図５に示されるように、ダイヤフラム組立体２２は、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３の上端からそれぞれ外方向へ突出して設けられた第１乃至第３の鍔部２２３−１，２２３−２，２２３−３を有する。尚、図示の例では、第１乃至第３の鍔部２２３−１，２２３−２，２２３−３は、ダイヤフラム組立体２２の中心部で一体となっている。また、ダイヤフラム組立体２２は、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３と連続して第１乃至第３の鍔部２２３−１，２２３−２，２２３−３からそれぞれ上方へ延出する第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３を有する。図示の例では、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の各々は、円筒状をしている。

図７に示されるように、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３は、第１乃至第３の筒状内壁面１６２−１ａ，１６２−１ａ，１６２−３ａにそれぞれ接触した状態で、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３にそれぞれ配設される。

図５に戻って、ダイヤフラム組立体２０は、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３の下面からそれぞれ突設された第１乃至第３の中空状取付体２２５−１，２２５−２，２２５−３を更に含む。尚、図５では、第３の中空状取付体２２５−３は図示されていない。図示の例では、第１乃至第３の中空状取付体２２５−１，２２５−２，２２５−３の各々は円筒状をしている。

図３に示されるように、第１乃至第３の中空状取付体２２５−１，２２５−２，２２５−３は、それぞれ、第１乃至第３の軸体２４４−１，２４４−２，２４４−３に密嵌されている。ここで、密嵌とは、隙間なく嵌めることをいう。

これにより、ダイヤフラム組立体２２の第１乃至第３の吸気弁体２２２−１，２２２−２，２２２−３は、それぞれ、第１乃至第３の軸体２４４−１，２４４−２，２４４−３に形成された第１乃至３の空気導入孔２４４−１ａ，２４４−２ａ，２４４−３ａを開閉することが可能となる。

図３に示されるように、支点板２０は、ダイヤフラム組立体２２を第１乃至第３の鍔部２２３−１，２２３−２，２２３−３で支持する。支点板２０は、その下面の中央部に凹部２０ａを持つ。偏心回転軸２６の上端部は、支点板２０の凹部２０ａに遊嵌される。ここで、遊嵌とは、遊びがある状態に嵌めることをいう。偏心回転軸２６の下端部は、回転体２８に偏心して固着されている。回転体２８は、モータ１４の回転駆動軸３０によって回転される。

したがって、モータ１４の回転駆動軸３０がモータの回転軸ＭＡ上の周りで回転すると、回転体２８もモータの回転軸ＭＡ上の周りで回転する。この回転体３０の回転により、偏心回転軸２６は、その上端部の遊嵌部を支点として偏心回転する。この偏心回転軸２６の偏心回転によって、揺動板２４は揺動される。モータ１４と、回転駆動軸３０と、回転体２８と、偏心回転軸２６との組み合わせは、揺動板２４を揺動駆動する揺動駆動手段（１４，３０，２８，２６）として働く。

図８は支点板２０の平面図である。支点板２０は、モータの回転軸ＭＡに関してそれぞれ第１乃至第３の水平方向Ｘ１、Ｘ２、Ｘ３に設けられた第１乃至第３の円形開口２０ｂ１，２０ｂ２，２０ｂ３を持つ。これら第１乃至第３の円形開口２０ｂ１，２０ｂ２，２０ｂ３を、それぞれ、ダイヤフラム組立体２２の第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２２−３が貫通する。

支点板２０は、上側カバー１６の第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−２，１６６−３の内壁と接するように、それぞれ、第１乃至第３のフック作成用角孔１６２ｂ１，１６２ｂ２，１６２ｂ３内に隙間を空けて上方へ突出する第１乃至第３の飛び込みピン２０２−１，２０２−２，２０２−３を有する。

支点板２０は、ケース１２の外気を、下部ケース部１８の収容空間ＲＳに吸入するための、１つの吸気孔２０ｃを持つ。図示の例では、この吸気孔２０ｃは、第２の飛び込みピン２０２−２に近接して設けられており、その直径は０．８ｍｍである。また、支点板２０は、第２のフック作成用角孔１６２ｂ２内の上記隙間と吸気孔２０ｃとを迂回して連通するための、１つの迂回経路２０ｄを持つ。

支点板２０は、第１乃至第３の飛び込みピン２０２−１，２０２−２，２０２−３と近接して、第１乃至第３のフック１６６−１，１６６−２，１６６−３を通過させるための第１乃至第３の矩形溝２０ｅ１，２０ｅ２，２０ｅ３を持つ。

次に、図９および図１０を参照して、関連技術の小型ポンプ１０の動作について説明する。図９および図１０は、図１に示した小型ポンプ１０を、モータの回転軸ＭＡ上を通る第１の水平方向Ｘ１で切断した縦断面図である。但し、図９および図１０では、揺動駆動手段（１０，３０，２８，２６）と揺動板２４の駆動円板２４２との図示を省略している。図９は、第１のダイヤフラム部２２２−１の下端部が揺動板２４により上動された状態を示し、図１０は、第１のダイヤフラム部２２２−１の下端部が揺動板２４により下動された状態を示している。

先ず、図９に示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１の下端部が下動されたとする。この時、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１は負圧となる。この結果、第１の筒状排気弁体２２４−１は第１の環状凹部１６２ｄ１の第１の筒状内壁面１６２−１ａに密着し、排気孔１６２ｃを閉じる。と同時に、第１の吸気弁体２２２−１は第１の空気導入孔２４４−１ａの閉塞状態を開放する。これにより、図９の矢印Ａ１で示されるように、第１の空気導入孔２４４−１ａから第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１へ吸気が行われる。尚、ケース１２の外気は、支点板２０の吸気孔２０ｃを通って、下部ケース部１８内の収容空間ＲＳに吸気されている。

次に、図１０に示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１の下端部が上動されたとする。この時、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１は高圧となる。この結果、第１の吸気弁体２２２−１は第１の空気導入孔２４４−１ａを閉じる。と同時に、第１の筒状排気弁体２２４−１が第１の筒状内壁面１６２−１ａより拡径する。これにより、図１０の矢印Ｂ１で示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１の空気は、第１の筒状排気弁体２２４−１と第１の筒状内壁面１６２−１ａとの間に形成された隙間を通り、排気孔１６２ｃを介して吐出口１６４ａからケース１２の外へ排出される。具体的には、このケース１２の外へ排出された空気は、吐出用筒部１６４に取り付けられたエアーチューブ（図示せず）を介して、そのエアーチューブに接続された血圧計に供給される。

このとき、第１の筒状排気弁体２２４−１と第１の筒状内壁面１６２−１ａとの間に形成される隙間は、モータの回転軸ＭＡの中心から離れた場所ばかりでなく、モータの回転軸ＭＡの中心に近い場所（すなわち、排気孔１６２ｃに近接する場所）においても、一様に形成される。

このように、関連技術の小型ポンプ１０においては、排気する度に、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３が第１乃至第３の筒状内壁面１６２−１ａ、１６２−２ａ，１６２−３ａより拡径することとなる。換言すれば、排気する度に、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３が第１乃至第３の筒状内壁面１６２−１ａ、１６２−２ａ，１６２−３ａを叩くこととなる。この叩く動作が、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音として小型ポンプ１０の内部で低減される事なく、そのまま、排気孔１６２ｃおよび吐出口１６４ａからケース１２の外へ排出される。すなわち、関連技術の小型ポンプ１０では、上記作動音が雑音（騒音）となるという問題がある。

［第１の実施形態］
図１１乃至図１５を参照して、本発明の第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａの構造について説明する。

図１１は小型ポンプ１０Ａの外観斜視図である。図１２は、図１１から上側カバー（吐出カバー）１６を外した状態を示す外観斜視図である。

ここでは、図１１および図１２に示されるような、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）を使用している。図１１および図１２に図示した状態では、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）において、Ｚ方向はモータの回転軸ＭＡが延在する上下方向（垂直方向）であり、Ｘ１方向、Ｘ２方向、およびＸ３方向は、それぞれ、モータの回転軸ＭＡの方向（Ｚ方向）に対して直交する平面内で、モータの回転軸ＭＡ上の周りで（Ｚ方向に対して）互いに等角度（１２０°）異なる第１乃至第３の水平方向である。

図示の小型ポンプ１０Ａは、ダイヤフラム組立体が後述するように相違する点を除いて、上述した関連技術の小型ポンプ１０と同様の構成を有し、動作をする。従って、ダイヤフラム組立体に２２Ａの参照符号を付してある。図１乃至図４に示した小型ポンプ１０の構成要素と同一の機能を有するものには同一の参照符号を付してある。以下では、説明を簡略化するために、関連技術の小型ポンプ１０と相違する点についてのみ詳細に説明する。

図１３はダイヤフラム組立体２２Ａを示す外観斜視図である。図１４は図１１に示した小型ポンプ１０Ａのケース１２の正面図であり、図１５は図１４の線XV-XVでの断面図である。

図１３に示されるように、ダイヤフラム組立体２２Ａは、後述するようなリブ２２６を更に有する点を除いて、図５に示したダイヤフラム組立体２２と同様の構成を有する。

リブ２２６は、ダイヤフラム組立体２２Ａの中央部で排気孔１６２ｃ（図３参照）の近傍に設けられ、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３を連接する。

このようなリブ２２６を設けることにより、排気時における、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動を制御することができる。換言すれば、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動を排気孔１６２ｃより遠ざけることにより、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音を、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３の空間内で消費させることができる。その結果、排気孔１６２ｃからのケース１２の外へ排出される騒音を低減することが可能となる。

また、図１５に示されるように、リブ２２６は、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３の仕切りを構成する。

このような構成を採用することにより、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音を、狭い空間内で反射、消費させることが可能となる。その結果、更なる減音の効果が得られる。

図１６は、図１１に示した小型ポンプ１０Ａの排出部分を拡大して示す部分拡大縦断面図である。図１６において、φＣは排気孔１６２ｃの直径を示している。

図１６に示されるように、リブ２２６の上面と上側カバー１６の天面との間の距離をＡとする。また、リブ２２６の上面と上側カバー１６の天面との間の体積をＶ（１）とし、排気孔１６２ｃの体積をＶ（２）とする。そして、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３の体積をＶ（３）（図１５参照）とする。この場合、上記距離Ａは、体積Ｖ（１）が、体積Ｖ（２）より大きく、かつ体積Ｖ（３）より小さい範囲となるような距離に規定されている。この場合、上記距離Ａは、体積Ｖ（１）が体積Ｖ（２）と実質的に等しくなるような最小な距離であることが好ましい。

このような構成を採用することにより、第１乃至第３のダイヤフラム部２２１−１，２２１−２，２２１−３内の第１乃至第３のポンプ室ＰＣ１，ＰＣ２，ＰＣ３の空気を排出する際の流量を阻害せず、排気孔１６２ｃに到達するまでの圧力変化を平滑化させることができる。その結果、更なる減音の効果が得られる。

図１７は、図１１に示した小型ポンプ１０Ａの排出部分における、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音の反射音のイメージを示す部分拡大縦断面図である。図１７の破線の矢印が反射音イメージを示している。

図１６に示されるように、モータの回転軸ＭＡの中心からリブ２２６の外周壁までの距離をＢとする。この距離Ｂは、図１７に示されるように、ダイヤフラム組立体２２Ａの半径方向外側の縁からリブ２２６の上縁を眺めたときに、排気孔１６２ｃが直接見えない距離に規定されている。

このような構成を採用することにより、第１乃至第３の環状凹部１６２ｄ１，１６２ｄ２，１６２ｄ３内の第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音の反射音が、直接、排気孔１６２ｃに到達するのを阻害することができる。その結果、更なる減音の効果が得られる。

次に、図１８および図１９を参照して、第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａの動作について説明する。図１８および図１９は、図１１に示した小型ポンプ１０Ａを、モータの回転軸ＭＡ上を通る第１の水平方向Ｘ１で切断した縦断面図である。但し、図１８および図１９では、揺動駆動手段（１０，３０，２８，２６）と揺動板２４の駆動円板２４２との図示を省略している。図１８は、第１のダイヤフラム部２２２−１の下端部が揺動板２４により上動された状態を示し、図１９は、第１のダイヤフラム部２２２−１の下端部が揺動板２４により下動された状態を示している。

先ず、図１８に示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１の下端部が下動されたとする。この時、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１は負圧となる。この結果、第１の筒状排気弁体２２４−１は第１の環状凹部１６２ｄ１の第１の筒状内壁面１６２−１ａに密着し、排気孔１６２ｃを閉じる。と同時に、第１の吸気弁体２２２−１は第１の空気導入孔２４４−１ａの閉塞状態を開放する。これにより、図１８の矢印Ａ１で示されるように、第１の空気導入孔２４４−１ａから第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１へ吸気が行われる。尚、ケース１２の外気は、支点板２０の吸気孔２０ｃを通って、下部ケース部１８内の収容空間ＲＳに吸気されている。

次に、図１９に示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１の下端部が上動されたとする。この時、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１は高圧となる。この結果、第１の吸気弁体２２２−１は第１の空気導入孔２４４−１ａを閉じる。と同時に、第１の筒状排気弁体２２４−１が第１の筒状内壁面１６２−１ａより拡径しようとする。しかしながら、ダイヤフラム組立体２２Ａは、その中央部にリブ２２６を備えているので、第１の筒状排気弁体２２４−１はモータの回転軸ＭＡの中心近傍付近では拡径しない。これにより、図１９の矢印Ｂ２で示されるように、第１のダイヤフラム部２２１−１内の第１のポンプ室ＰＣ１の空気は、中央部を除く第１の筒状排気弁体２２４−１と第１の筒状内壁面１６２−１ａとの間に形成された隙間を通り、排気孔１６２ｃを介して吐出口１６４ａからケース１２の外へ排出される。

本第１の実施形態では、第１の筒状排気弁体２２４−１と第１の筒状内壁面１６２−１ａとの間に形成される隙間は、モータの回転軸ＭＡの中心から離れた場所においてのみ形成される。

このように、本第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａにおいては、排気する度に、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３が、中央部を除いて、第１乃至第３の筒状内壁面１６２−１ａ、１６２−２ａ，１６２−３ａより拡径することとなる。換言すれば、排気する度に、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３が、中央部を除いて、第１乃至第３の筒状内壁面１６２−１ａ、１６２−２ａ，１６２−３ａを叩くこととなる。その結果、この叩く動作は、第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動音として、小型ポンプ１０Ａの内部で低減された状態で、排気孔１６２ｃおよび吐出口１６４ａからケース１２の外へ排出される。すなわち、本第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａでは、上記作動音による騒音（雑音）を低減することが可能となる。

次に、図２０および図２１を参照して、図１乃至図１０に示した関連技術の小型ポンプ１０と、図１１乃至図１９に示した本第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａとにおける、騒音低減効果を比較して説明する。

図２０は、暗騒音とモータ１４単体における騒音との周波数特性を示す図である。図２０において、横軸は周波数［Ｈｚ］を示し、縦軸は騒音レベル［ｄＢ］を示す。ここで、「暗騒音」とは、対象とする騒音の周辺環境に発生している対象騒音以外の総体的騒音をいう。

図２０から明らかなように、モータ１４単体における騒音レベルは、周波数１２．５Ｈｚ〜６３Ｈｚの範囲では、暗騒音の騒音レベルと実質的に同じであることが分かる。周波数が６３Ｈｚ以上になると、モータ１４単体における騒音レベルは、暗騒音の騒音レベルより大きくなる。

図２１は、暗騒音、モータ１４単体における騒音、関連技術の小型ポンプ１０における騒音、および本第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａにおける騒音の周波数特性を示す図である。図２１において、横軸は周波数［Ｈｚ］を示し、縦軸は騒音レベル［ｄＢ］を示す。

図２１から、本第１の実施形態における小型ポンプ１０Ａにおける騒音レベルは、周波数１００Ｈｚ〜４ｋＨｚの範囲において、関連技術の小型ポンプ１０における騒音レベルよりも低減していることが分かる。但し、周波数４ｋＨｚ〜２０ｋＨｚの範囲では、本第１の実施形態における小型ポンプ１０Ａにおける騒音レベルは、関連技術の小型ポンプ１０における騒音レベルと実質的に変わらないことが分かる。これは、吸気音の影響であると考えられる。

以上の説明から明らかなように、本発明の第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａによれば、ダイヤフラム組立体２２Ａにリブ２２６を設けることにより、部品点数を増やすことなく、騒音を低減することができるという効果を奏する。

［第２の実施形態］
図２２乃至図２５を参照して、本発明の第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂの構造について説明する。

図２２は小型ポンプ１０Ｂの平面図である。

ここでは、図２２に示されるような、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）を使用している。図２２に図示した状態では、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）において、Ｚ方向はモータの回転軸ＭＡが延在する上下方向（垂直方向）であり、Ｘ１方向、Ｘ２方向、およびＸ３方向は、それぞれ、モータの回転軸ＭＡの方向（Ｚ方向）に対して直交する平面内で、モータの回転軸ＭＡ上の周りで（Ｚ方向に対して）互いに等角度（１２０°）異なる第１乃至第３の水平方向である。

図示の小型ポンプ１０Ｂは、支点板が後述するように相違する点を除いて、上述した第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａと同様の構成を有し、動作をする。従って、ケースおよび支点板に、それぞれ、１２Ａおよび２０Ａの参照符号を付してある。図１１乃至図１５に示した小型ポンプ１０Ａの構成要素と同一の機能を有するものには同一の参照符号を付してある。以下では、説明を簡略化するために、第１の実施形態に係る小型ポンプ１０Ａと相違する点についてのみ詳細に説明する。

図２３は支点板２０Ａを示す平面図である。

図示の支点板２０Ａは、ケース１２Ａの外気を、下部ケース部１８の収容空間ＲＳ（図３参照）に吸入するための第１乃至第３の吸気孔２０ｃ１，２０ｃ２，２０ｃ３を持つ。

図２３に示されるように、第１乃至第３の吸気孔２０ｃ１，２０ｃ２，２０ｃ３は、それぞれ、第１乃至第３の飛び込みピン２０２−１，２０２−２，２−２−３の近傍に設けられている。したがって、第１乃至第３の吸気孔２０ｃ１，２０ｃ２，２０ｃ３は、モータの回転軸ＭＡ上の周りで円周方向に互いに等角度（１２０°）をおいて設けられている。

図示の例では、第１乃至第３の吸気孔２０ｃ１，２０ｃ２，２０ｃ３の各々の直径は、１．０ｍｍである。

このように、本第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂでは、吸気孔の数を１から３に増やすことで、外気の吸入量を阻害することなく、１孔当たりの空気吸入量を減らすことができる。その結果、吸気音を低減できるという効果がある。

図２４は、図２２の線XXIV-XXIVでの断面図である。図２５は、図２２に示した小型ポンプ１０Ｂの吸入部分における、吸入音の反射音のイメージを示す、図２４と同様の断面図である。図２５の破線の矢印が反射音イメージを示している。

尚、図２４および図２５では、小型ポンプ１２０Ｂのケース１２Ａの部分のみを図示し、モータ１４の図示を省略している。

図２３および図２４に示されるように、支点板２０Ａは、第１乃至第３のフック作成用角孔１６２ｂ１，１６２ｂ２，１６２ｂ３内の隙間と第１乃至第３の吸気孔２０ｃ１，２０ｃ２，２０ｃ３とをそれぞれ迂回して連通するための、第１乃至第３の迂回経路２０ｄ１，２０ｄ２，２０ｄ３を更に持つ。

このような構成の小型ポンプ１０Ｂでは、ケース１２Ａの外気は、たとえば、図２４の矢印Ｃ１で示すように、第２のフック作成用角孔１６２ｂ２と第２の飛び込みピン２０２−２との間の隙間、第２の迂回経路２０ｄ２、および第２の吸気孔２０ｃ２を介して、下部ケース部１８の収容空間ＲＳ（図３参照）に吸入される。その結果、図２５に示されるように、第２の吸気孔２０ｃ２からケース１２Ａの外部へ放出される騒音を低減することが可能となる。

次に、図２６を参照して、図１乃至図１０に示した関連技術の小型ポンプ１０と、図２２乃至図２５に示した本第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂとにおける、騒音低減効果を比較して説明する。

図２６は、暗騒音、モータ１４単体における騒音、関連技術の小型ポンプ１０における騒音、および本第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂにおける騒音の周波数特性を示す図である。図２６において、横軸は周波数［Ｈｚ］を示し、縦軸は騒音レベル［ｄＢ］を示す。

図２６から、本第２の実施形態における小型ポンプ１０Ｂにおける騒音レベルは、周波数１００Ｈｚ〜４ｋＨｚの範囲においてばかりでなく、周波数４ｋＨｚ〜２０ｋＨｚの範囲においても、関連技術の小型ポンプ１０における騒音レベルよりも低減していることが分かる。

以上の説明から明らかなように、本発明の第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂによれば、支点板２０Ａに複数の吸気孔２０ｃ１〜２０ｃ３を設けることにより、部品点数を増やすことなく、騒音をさらに低減することができるという効果を奏する。

［第３の実施形態］
図２７および図２８を参照して、本発明の第３の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｃの構造について説明する。図２７は小型ポンプ１０Ｃの縦断面図である。図２８は、図２７の線XXVIII-XXVIIIでの断面図である。但し、図２７では、揺動駆動手段（１０，３０，２８，２６）と揺動板２４の駆動円板２４２との図示を省略している。図２７は、第１のダイヤフラム部２２１−１の下端部が揺動板２４により上動された状態を示している。

ここでは、図２７及び図２８に示されるような、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）を使用している。図２７および図２８に図示した状態では、座標系（Ｘ１，Ｘ２，Ｘ３，Ｚ）において、Ｚ方向はモータの回転軸ＭＡが延在する上下方向（垂直方向）であり、Ｘ１方向、Ｘ２方向、およびＸ３方向は、それぞれ、モータの回転軸ＭＡの方向（Ｚ方向）に対して直交する平面内で、モータの回転軸ＭＡ上の周りで（Ｚ方向に対して）互いに等角度（１２０°）異なる第１乃至第３の水平方向である。

図示の小型ポンプ１０Ｃは、上側カバーが後述するように相違する点を除いて、上述した第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂと同様の構成を有し、動作をする。従って、ケースおよび上側カバーに、それぞれ、１２Ｂおよび１６Ａの参照符号を付してある。図２２乃至図２５に示した小型ポンプ１０Ｂの構成要素と同一の機能を有するものには同一の参照符号を付してある。以下では、説明を簡略化するために、第２の実施形態に係る小型ポンプ１０Ｂと相違する点についてのみ詳細に説明する。

上側カバー１６Ａは、カバー板の構成が後述のように変更されている点を除いて、図２２乃至図２５に示した上側カバー１６と同様の構成を有する。従って、カバー板に１６２Ａの参照符号を付してある。

カバー板１６２Ａは、第１乃至第３の有底筒状部の構成が後述のように相違する点を除いて、図２２乃至図２５に示したカバー板１６２と同様の構成を有する。従って、第１乃至第３の有底筒状部に、それぞれ、１６２Ａ−１，１６２Ａ−２，１６２Ａ−３の参照符号を付してある。

第１乃至第３の有底筒状部１６２Ａ−１，１６２Ａ−２，１６２Ａ−３は、第１乃至第３の筒状内壁面１６２Ａ−１ａ，１６２Ａ−２ａ，１６２Ａ−２ａの外側端部に、それぞれ、第１乃至第３の排気導入路１６２Ａ−１ｂ，１６２Ａ−２ｂ，１６２Ａ−３ｂを有する。

図示の例では、第１乃至第３の排気導入路１６２Ａ−１ｂ，１６２Ａ−２ｂ，１６２Ａ−３ｂは、それぞれ、第１乃至第３の筒状内壁面１６２Ａ−１ａ，１６２Ａ−２ａ，１６２Ａ−３ａに形成された第１乃至第３の溝から成る。

このような構成を採用することにより、ダイヤフラム組立体２２Ａの第１乃至第３の筒状排気弁体２２４−１，２２４−２，２２４−３の作動位置を限定することが可能となる。その結果、更に減音効果を高めることが期待できる。

以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

例えば、上述した実施形態では、第１乃至第３のポンプ室ＰＣ１，ＰＣ２，ＰＣ３を備えた、いわゆる三気筒の小型ポンプ１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃを例に挙げて説明したが、二気筒または四気筒以上の小型ポンプに適用できることは勿論である。また、第１乃至第３の吸気弁体２２２−１，２２２−２，２２２−３をダイヤフラム組立体１２Ａに一体に形成された例を挙げて説明したが、第１乃至第３の吸気弁体２２２−１，２２２−２，２２２−３をダイヤフラム組立体１２Ａと別体に設けてもよい。

本発明に係る小型ポンプは、血圧計に空気を供給するための小型ポンプには限定されず、一般に、家電製品等に流体を供給する小型ポンプとしても利用されえる。

１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ 小型ポンプ
１２，１２Ａ，１２Ｂ ケース
１４ モータ
１６，１６Ａ 上側カバー（吐出カバー）
１６２、１６２Ａ カバー板
１６２ａ１ 第１の円柱状凹部
１６２ａ２ 第２の円柱状凹部
１６２ａ３ 第３の円柱状凹部
１６２ｂ１ 第１のフック作成用角孔
１６２ｂ２ 第２のフック作成用角孔
１６２ｂ３ 第３のフック作成用角孔
１６２ｃ 排気孔
１６２ｄ１ 第１の環状凹部
１６２ｄ２ 第２の環状凹部
１６２ｄ３ 第３の環状凹部
１６２−１，１６２Ａ−１ 第１の有底筒状部
１６２−１ａ，１６２Ａ−１ａ 第１の筒状内壁面
１６２Ａ−１ｂ 第１の排気導入路
１６２−２，１６２Ａ−２ 第２の有底筒状部
１６２−２ａ，１６２Ａ−２ａ 第２の筒状内壁面
１６２Ａ−２ｂ 第２の排気導入路
１６２−３，１６２Ａ−３ 第３の有底筒状部
１６２−３ａ，１６２Ａ−３ａ 第３の筒状内壁面
１６２Ａ−３ｂ 第３の排気導入路
１６４ 吐出用筒部
１６４ａ 吐出孔
１６６−１ 第１のフック
１６６−２ 第２のフック
１６６−３ 第３のフック
１８ 下部ケース部
１８−２ 第２のフック受け部
１８−３ 第３のフック受け部
２０，２０Ａ 支点板
２０ａ 凹部
２０ｂ１ 第１の円形開口
２０ｂ２ 第２の円形開口
２０ｂ３ 第３の円形開口
２０ｃ 吸気孔
２０ｃ１ 第１の吸気孔
２０ｃ２ 第２の吸気孔
２０ｃ３ 第３の吸気孔
２０ｄ 迂回経路
２０ｄ１ 第１の迂回経路
２０ｄ２ 第２の迂回経路
２０ｄ３ 第３の迂回経路
２０ｅ１ 第１の矩形溝
２０ｅ２ 第２の矩形溝
２０ｅ３ 第３の矩形溝
２０２−１ 第１の飛び込みピン
２０２−２ 第２の飛び込みピン
２０２−３ 第３の飛び込みピン
２２Ａ ダイヤフラム組立体
２２１−１ 第１のダイヤフラム部
２２１−２ 第２のダイヤフラム部
２２１−３ 第３のダイヤフラム部
２２２−１ 第１の吸気弁体
２２２−１ａ 第１の貫通孔
２２２−２ 第２の吸気弁体
２２２−２ａ 第２の貫通孔
２２２−３ 第３の吸気弁体
２２２−３ａ 第３の貫通孔
２２３−１ 第１の鍔部
２２３−２ 第２の鍔部
２２３−３ 第３の鍔部
２２４−１ 第１の筒状排気弁体
２２４−２ 第２の筒状排気弁体
２２４−３ 第３の筒状排気弁体
２２５−１ 第１の中空状取付体
２２５−２ 第２の中空状取付体
２２６ リブ
２４ 揺動体
２４２ 駆動円板
２４４−１ 第１の軸体
２４４−１ａ 第１の空気導入孔
２４４−２ 第２の軸体
２４４−２ａ 第２の空気導入孔
２４４−３ａ 第３の空気導入孔
２６ 偏心回転軸
２８ 回転体
３０ 回転駆動軸
ＭＡ モータの回転軸
ＰＣ１ 第１のポンプ室
ＰＣ２ 第２のポンプ室
ＰＣ３ 第３のポンプ室
ＲＳ 収容空間
Ｘ１ 第１の水平方向
Ｘ２ 第２の水平方向
Ｘ３ 第３の水平方向
Ｚ 垂直方向（上下方向）

Claims (15)

1. モータの回転軸に対して対称形状を持つ中空のケースと、
   該ケース内の上部に設けられ、第１乃至第Ｎ（Ｎは２以上の整数）のポンプ室をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎのダイヤフラム部を含むダイヤフラム組立体と、
   前記ケース内の下部に設けられ、偏心回転軸により揺動されて、前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部を上下動する揺動体と、を備える小型ポンプであって、
   前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部は、それぞれ、その底部中心部に第１乃至第Ｎの貫通孔を持ち、
   前記揺動体は、前記第１乃至第Ｎの貫通孔に連通する第１乃至第Ｎの空気導入孔を持ち、
   前記ダイヤフラム組立体は、前記第１乃至第Ｎの空気導入孔を開閉する第１乃至第Ｎの吸気弁体を備え、
   前記ケースは、その上部に設けられた上側カバーを備え、
   前記上側カバーは、前記モータの回転軸上に沿って開穿された排気孔と、該排気孔外周に該排気孔と連通する第１乃至第Ｎの環状凹部とを持ち、
   前記上側カバーは、前記第１乃至第Ｎの環状凹部をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎの筒状内壁面を有し、
   前記ダイヤフラム組立体は、前記第１乃至第Ｎの筒状内壁面にそれぞれ接触した状態で、前記第１乃至第Ｎの環状凹部にそれぞれ配設された第１乃至Ｎの筒状排気弁体を備え、
   前記ダイヤフラム組立体は、その中央部で前記排気孔の近傍に設けられ、前記第１乃至第Ｎの筒状排気弁体の中央側外壁を連接するリブを備える、
   ことを特徴とする小型ポンプ。
2. 前記第１乃至第Ｎのポンプ室は、前記モータの回転軸上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられており、
   前記第１乃至第Ｎの環状凹部は、前記モータの回転軸上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられている、
   請求項１に記載の小型ポンプ。
3. 前記リブは、前記第１乃至第Ｎの環状凹部の仕切りを構成する、請求項１又は２に記載の小型ポンプ。
4. 前記リブの上面と前記上側カバーの天面との間の距離は、前記リブの上面と前記上側カバーの天面との間の体積が、前記排気孔の体積より大きく、且つ、前記第１乃至第Ｎの環状凹部の体積より小さい範囲となるような距離に規定されている、請求項１乃至３のいずれか１項に記載の小型ポンプ。
5. 前記リブの上面と前記上側カバーの天面との間の距離は、前記リブの上面と前記上側カバーの天面との間の体積が、前記排気孔の体積と実質的に等しくなるような最小な距離に等しい、請求項４に記載の小型ポンプ。
6. 前記モータの回転軸の中心から前記リブの外周壁までの距離は、前記ダイヤフラム組立体の半径方向外側の縁から前記リブの上縁を眺めたときに、前記排気孔が直接見えない距離に規定されている、請求項４又は５の記載の小型ポンプ。
7. 前記ダイヤフラム組立体は、前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の上端からそれぞれ外方向へ突出して設けられた第１乃至第Ｎの鍔部を有し、
   前記ケースは、
   その下部に設けられて、前記偏心回転軸および前記揺動体を収容する収容空間を持つ下部ケース部と、
   前記上側カバーと前記下部ケース部との間に挟まれた状態で、前記ダイヤフラム組立体を前記第１乃至第Ｎの鍔部で支持する支点板であって、前記偏心回転軸の先端部が遊嵌される凹部を持つ前記支点板と、
   を更に備え、
   前記支点板は、前記ケースの外気を、前記下部ケース部の前記収容空間に吸入するための第１乃至第Ｎの吸気孔を持つ、
   請求項１乃至６のいずれか１項に記載の小型ポンプ。
8. 前記上側カバーは、それぞれ、前記第1乃至第Ｎの吸気孔の近傍で、前記上側カバーの外周端部から下方へ延在して、前記下部ケース部と協働して前記支点板を挟むように固定するための第１乃至第Ｎのフックを備え、
   前記上側カバーは、前記第１乃至第Ｎのフックを作成するために、それぞれ、前記第１乃至第Ｎのフックに近接して設けられた第１乃至第Ｎのフック作成用角孔を持ち、
   前記支点板は、前記第１乃至第Ｎのフックの内壁と接するように、それぞれ、前記第１乃至第Ｎのフック作成用角孔内に隙間を空けて上方へ突出する第１乃至第Ｎの飛び込みピンを有し、
   前記支点板は、前記第１乃至第Ｎのフック作成用角孔内の前記隙間と前記第１乃至第Ｎの吸気孔とをそれぞれ迂回して連通するための第１乃至第Ｎの迂回経路を持つ、
   請求項７に記載の小型ポンプ。
9. 前記上側カバーは、前記第１乃至第Ｎの筒状内壁面の外側端部に、それぞれ、第１乃至第Ｎの排気導入路を有する、請求項１乃至８のいずれか１項に記載の小型ポンプ。
10. 前記第１乃至第Ｎの排気導入路は、それぞれ、前記第１乃至第Ｎの筒状内壁面に形成された第１乃至第Ｎの溝から成る、請求項９に記載の小型ポンプ。
11. 小型ポンプに使用されるダイヤフラム組立体において、
    モータの回転軸上の周りで第１乃至第Ｎ（Ｎは２以上の整数）のポンプ室をそれぞれ形成する第１乃至第Ｎのダイヤフラム部と、
    前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の底部中心部に、それぞれ、一部を切開して設けられた第１乃至第Ｎの吸気弁体と、
    前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の上端からそれぞれ外方向へ突出して設けられた第１乃至第Ｎの鍔部と、
    前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部と連続して前記第１乃至第Ｎの鍔部からそれぞれ上方へ延出する第１乃至Ｎの筒状排気弁体と、
    中央部で前記小型ポンプの排気孔の近傍に設けられ、前記第１乃至第Ｎの筒状排気弁体の中央側外壁を連接するリブと、
    を有するダイヤフラム組立体。
12. 前記第１乃至Ｎの筒状排気弁体の各々は円筒状をしている、請求項１１に記載のダイヤフラム組立体。
13. 前記第１乃至第Ｎのダイヤフラム部の下面からそれぞれ突設された第１乃至第Ｎの中空状取付体を更に含む、請求項１１又は１２に記載のダイヤフラム組立体。
14. 前記第１乃至第Ｎの中空状取付体の各々は円筒状をしている、請求項１３に記載のダイヤフラム組立体。
15. 前記第１乃至第Ｎのポンプ室は、前記モータの回転軸上の周りで円周方向に互いに等角度をおいて設けられている、請求項１１乃至１４のいずれか１項に記載のダイヤフラム組立体。

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