JP4197436B2 - ダイヤフラムポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧計等において圧縮空気を供給するために使用されるダイヤフラムポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のダイヤフラムポンプは、ダイヤフラムに第1の弁体を一体に形成したものがある。(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−2665号公報(段落「0015」、図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のダイヤフラムポンプにおける第1の弁体は、ダイヤフラムの上面に平行になるように平板状に形成されているために、ダイヤフラムの表面積に占める割合が大きくなり、ダイヤフラムの断面積が大きくなるという問題があった。
【0006】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、ダイヤフラムポンプの断面積を小さくすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ポンプ室を形成する複数のダイヤフラム部を有するダイヤフラムと、このダイヤフラムの各ダイヤフラム部を上下動させることにより前記ポンプ室を拡縮させる駆動体と、前記各ポンプ室に対応した第1および第2のエア通路と、前記ポンプ室から前記第1のエア通路への流れを阻止する第1の弁体と、前記第2のエア通路から前記ポンプ室への流れを阻止する第2の弁体と、前記ダイヤフラムを挟持するダイヤフラムホルダーおよびバルブホルダーとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、前記各ダイヤフラム部毎に対応し、かつ各ダイヤフラム部に囲まれた部位であって前記ダイヤフラムの中央部に、前記第1の弁体を前記ダイヤフラムと一体に立設したものである。
したがって、第1の弁体がダイヤフラムの表面積に占める割合が小さくなる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記ダイヤフラムホルダーとバルブホルダーとの間に介装されるシール部を前記ダイヤフラムに一体に形成したものである。
したがって、シール部によって各ポンプ室から排気される流体の他のポンプ室への流入が規制される。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記バルブホルダーの中央部に、前記第1のエア通路および前記第2のエア通路とこれら第1および第2のエア通路間を連通する連通路とを設け、前記第1の弁体の断面を円弧状に形成し、当該第1の弁体が前記連通路に嵌挿されているものである。
したがって、第1の弁体の剛性が大きくなる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項1ないし3に係る発明において、前記第2の弁体を前記第1の弁体と同軸上に設けたものである。
したがって、ダイヤフラムの中央部に第1の弁体と第2の弁体とを設けることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図、図2は同じくダイヤフラムホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるII(b)-II(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。図3は同じくダイヤフラムを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)におけるIII(b)-III(b) 線断面図、同図(c)はダイヤフラムの要部を示す斜視図、図4は同じくバルブホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるIV(b)-IV(b) 線断面図、同図(c)は底面図、図5は同じく集気体を示し、同図(a)は同図(b)における V(a)-V(a)線断面図、同図(b)は底面図である。
なお、明細書中において方向を説明するために使用した「上、下」は、あくまでも図中における方向を説明したものであって、本発明に係るダイヤフラムポンプが実際に使用される際の上、下の方向とは必ずしも一致するものではない。
【0012】
図1に全体を符号1で示すダイヤフラムポンプは、駆動源であるモータ2を備えており、このモータ2は、上方が開口した有底円筒状に形成されたケース3の底部に、モータ軸4がケース3の底部に形成した穴5からケース3内に臨むように固定されている。ケース3の底部の外周には断面L字状に形成された1ないし3つの通気口6が設けられている。
【0013】
図1に符号7で示すクランク台は、略小円柱状に形成され、中央にはモータ軸4が固着される軸孔8が設けられており、この軸孔8の軸線から偏心した位置には、駆動軸9が傾斜した状態で固着されている。
【0014】
図1に符号10で示す駆動体は、上記駆動軸9が回転自在に挿入される軸孔11が設けられたボス12と、このボス12の上端に一体に形成された本体13とによって形成されている。本体13は、平面視において円周方向に等角度おいて中心から放射状に延設された3つの駆動子14によって一連に形成され、これら3つの駆動子14は、中心から先端に向かっていずれも同じ角度だけ下方に傾斜しており、各駆動子14の先端側には、各ダイヤフラム部を取り付けるための取付孔15が設けられている。
【0015】
図1に符号17で示すダイヤフラムホルダーは、図2に示すように、円板状に形成されており、上面の中央部には、ダイヤフラム23の中央部を支承する小円柱状に形成したダイヤフラム載置部18が立設されている。このダイヤフラム載置部18の周面には、第1のエア通路としての3つの吸気通路19が、ダイヤフラム載置部18の周りを等角度おいて設けられている。これら吸気通路19は、ダイヤフラムホルダー17の下面を貫通しているとともに、ダイヤフラム載置部18の周面において開口し、上端はダイヤフラムホルダー17の上端部によって覆われている。また、このダイヤフラムホルダー17には、ダイヤフラム載置部18を中心として円周方向に等角度おいて3つのダイヤフラム部保持孔20が穿孔され、周部には円環状の囲い壁21が一体に形成されている。
【0016】
図1に符号23で示すダイヤフラムは、ゴム等の柔軟性を有する材料によって、図3に示すように、平面視において円周方向に等角度おいて設けられ上方が開口した3つのダイヤフラム部24と、これら3つのダイヤフラム部24の上端部を連設する略円板状に形成されたフランジ25とによって一体に形成されている。各ダイヤフラム部24の下面には、断面が略円錐台状のピストン26が一体に形成されおり、このピストン26の下面には、細径の首部27を介して係止用の凸部28が一体に形成されている。
【0017】
ダイヤフラム23の上面の各ダイヤフラム部24に囲まれた部位には、天井部としてのシール部31と筒体32とによって下方が開口するキャップ状に形成された第1の弁体形成部30がダイヤフラム23と一体に立設されており、この第1の弁体形成部30は上記ダイヤフラム載置部18に嵌合するように形成されている。この第1の弁体形成部30の筒体32には、コ字状の切溝33に囲まれ舌片状に形成された3つの第1の弁体34が、各ダイヤフラム部24に対応するように円周方向に等角度おいて上方に向かって延在するように形成されている。
【0018】
図1に符号35で示すバルブホルダーは、図4に示すように略円板状に形成されており、上側には平面視円形の隆起部36が、この隆起部36の中央部には平面視三角形の係合凸部37がそれぞれ一体に突設されている。バルブホルダー40の下面の中央部には、前記隆起部36内に臨む平面視円形の凹部38が設けられており、この凹部38の内径は前述した第1の弁体形成部30の外径よりも大きく形成されている。
【0019】
この凹部38の内周面には、上下方向に延在する3つのシール用リブ39が円周方向に等角度おいて突設されており、これら各シール用リブ39間に位置付けられるようにして断面L字状の3つの排気通路40が、下端において凹部38と連通し、隆起部36の上端とバルブホルダー35の下端間を貫通するように形成されている。
【0020】
図1に符号42で示す集気体は、図5に示すように、全体が略キャップ状に形成されており、上部の中央には筒部43が一体に立設され、この筒部43の中空部は集気体42の下面まで貫通するように形成され、中空部の上端開口は吐出口44を形成している。集気体42の下部は、吐出口44を囲むように円環状の押え部45が一体に突設されている。
【0021】
図1に符号46で示す第2の弁体は、ゴム等の柔軟性を有する材料によって、平面視円形で略平板状に形成されており、上側の中央部には隆起部47が一体に設けられ、この隆起部47の裏側には上記バルブホルダー35の係合凸部38に嵌合する係合凹部48が形成されている。また、この第2の弁体46の上側には、3つのリブ49が円周方向に等角度おいて突設されている。
【0022】
このように構成されていることにより、図1に示すように、ダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム載置部18に、ダイヤフラム23の第1の弁体形成部30を被冠し、ダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム部保持孔20のそれぞれにダイヤフラム23の各ダイヤフラム部24を挿入する。各ダイヤフラム部24の係止用の凸部28が弾性変形しながら、駆動体10の各取付孔15に圧入され首部27が取付孔15に係止されることにより、各ダイヤフラム部24が駆動体10の各駆動子14に取り付けられる。駆動体10の軸孔11にボール50および駆動軸9が挿入されることにより、駆動体10が駆動軸9に回転自在に支持され、ダイヤフラムホルダー17がケース3上に載置される。
【0023】
バルブホルダー35がダイヤフラムホルダー17上に載置され、後述する組付けにより、ダイヤフラム23がこれらダイヤフラムホルダー17とバルブホルダー35とによって挟持される。バルブホルダー35の係合凸部37に、第2の弁体46の係合凹部48が嵌合することにより、第2の弁体46が第1の弁体34と同軸上に位置付けられてバルブホルダー35の隆起部36上に載置される。バルブホルダー35上に集気体42が載置され、これら集気体42、バルブホルダー35、ダイヤフラムホルダー17およびケース3が、図示を省略した通しねじまたは板ばねあるいは棒状(線状)ばねによって一体化されることにより、ダイヤフラムポンプ1が形成される。
【0024】
このように形成されたダイヤフラムポンプ1においては、ダイヤフラム23の各ダイヤフラム部24とバルブホルダー35の下面とによって3つのポンプ室52が形成され、バルブホルダー35と集気体42とによって吐出空間53が形成される。また、ダイヤフラム23の第1の弁体34と、ダイヤフラムホルダー35の凹部38の内壁との間に、排気通路40に連通する連通路54が形成される。各吸気通路19が3つの第1の弁体34のそれぞれによって開閉されるように位置付けられるとともに、連通路54を介して排気通路40のそれぞれに対応し、かつ各排気通路40がポンプ室52のそれぞれに連通している。
【0025】
また、ダイヤフラム23の第1の弁体形成部30のシール部31が、ダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム載置部18とバルブホルダー35の凹部38の上面とによって挟持されるように圧接することにより弾性変形し、連通路54内の流体が他のポンプ室52に回り込むのを規制する。また、バルブホルダー35の凹部38の3つのシール用リブ39が、ダイヤフラム23の第1の弁体形成部30の筒部32の各第1の弁体34間の部位を押圧しており、このシール用リブ39によって連通路54内の流体が他のポンプ室52に回り込むのを規制している。
【0026】
第2の弁体46のリブ49は、集気体42の押え部45によって下方に押圧されており、第2の弁体46は排気通路40を閉塞するようにバルブホルダー35の隆起部36の上面に密接している。この第2の弁体46が隆起部36の上面に密接することにより、この第2の弁体46と隆起部36の上面とが、吐出空間53から排気通路40を通ってポンプ室52へ流体が流れるのを規制する逆止め弁を構成する。また、第1の弁体34は、吸気通路19と連通路54との間を閉塞するように、ダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム載置部18の周面に密接する。したがって、この第1の弁体34とダイヤフラム載置部18の周面とが、ポンプ室52から排気通路40および連通路54を通って吸気通路19へ流体が流れるのを規制する逆止め弁を構成する。
【0027】
吐出空間53は消音空間として機能する。すなわち、後述するように、第2の弁体46が開き、ポンプ室52から排気通路40を通って圧送された流体が吐出空間53において膨張することにより、流体の流れによって生じる音を消音するとともに、第2の弁体46の開閉によって生じる振動音をも消音するように機能する。吐出空間53に圧送されてきた流体は、集気体42の吐出口44から外部に吐出される。
【0028】
次に、図1を用いて、このような構造のダイヤフラムポンプ1の動作について説明する。
モータ2が駆動しモータ軸4が回転すると、クランク台7も一体的に回転し、このクランク台7の軸孔8の軸線から偏心した位置に傾斜した状態で固着された駆動軸9が、モータ軸4の周りを傾斜方向を変えるようにして偏心回転する。したがって、この駆動軸9に回動自在に支持された駆動体10の各駆動子14が順次上下に揺動し、ダイヤフラム23の各ダイヤフラム部24も順次上下に揺動するので、各ポンプ室52は順次拡縮しポンプ作用を行う。
【0029】
すなわち、ダイヤフラム23の3つのダイヤフラム部24のうちの一つが下降すると、そのポンプ室52は拡張するので、ポンプ室52が負圧状態になる。このとき、第2の弁体46は、流体が吐出空間53から排気通路40を通ってポンプ室52への流れを規制する逆止め弁として機能するから、この第2の弁体46によって排気通路40が閉じられる。一方、第1の弁体34は、図中傾斜するように弾性変形して吸気通路19と連通路54との間を開放するので、ケース3の通気口6からケース3内に流入していた流体は、吸気通路19および連通路54を通って拡張したポンプ室52内に流入する。
【0030】
モータ2のモータ軸4がさらに回転して、拡張したポンプ室52のダイヤフラム部24が上昇するとポンプ室52は収縮するので、ポンプ室52内の流体の圧力が上昇する。このとき、第1の弁体34は、流体がポンプ室52から連通路54を通って吸気通路19への流れを阻止する逆止め弁として機能するから、この第1の弁体34によってポンプ室52と吸気通路19との間が閉塞される。一方、第2の弁体46は、図中上方に弾性変形して排気通路40と吐出空間53との間を開放するので、ポンプ室52内の流体は、排気通路40を通って吐出空間53へ圧送されて吐出口44から吐出される。
【0031】
ここで、ダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム載置部18の上面と、バルブホルダー35の凹部38の下面との間が、ダイヤフラム23のシール部31によって密閉されている。また、バルブホルダー35の凹部38の3つのシール用リブ39によって連通路54内の流体が他のポンプ室52に回り込むのを規制している。したがって、ポンプ室52から圧送された流体が連通路54に逆送されたとしても、連通路54内の流体が他のポンプ室52に回り込むのが規制される。
【0032】
ポンプ室52の拡縮動作は、各ポンプ室52において順次連続して行われるで、各排気通路40から吐出空間53へ排出された流体は、集気体42によって集められて1つの吐出口44から連続して吐出される。
【0033】
このように、第1の弁体34をダイヤフラム23の各ダイヤフラム部24に囲まれた部位に立設するようにダイヤフラム23に一体に形成したことにより、ダイヤフラム23の外径を最小限の大きさとすることができるからダイヤフラムポンプ1の断面積を小さく形成することができる。また、第1の弁体34の部品を削減できるばかりではなく、第1の弁体形成部30をダイヤフラムホルダー17のダイヤフラム載置部18に被冠することにより、ダイヤフラム23をダイヤフラムホルダー17に組み付けることができるため組付けが容易になる。さらに、第2の弁体46を第1の弁体34と同軸上に位置付けたことにより、ダイヤフラムポンプ1の断面積を最小限の大きさに形成することができる。
【0034】
図6ないし図9は本発明の第2の実施の形態を示し、図6は本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの断面図、図7は同じくダイヤフラムホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるVII(b)-VII(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。図8は同じくダイヤフラムを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)における VIII(b)-VIII(b)線断面図、図9は同じくバルブホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるIX(b)-IX(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。これらの図において、上述した図1ないし図5に示す第1の実施の形態において説明した同一または同等の部材については、同一の符号を付し詳細な説明は適宜省略する。
【0035】
図7に符号117で示すダイヤフラムホルダーの中央部には、3つの吸引孔118が各ダイヤフラム部保持孔20に対応して、円周方向に等角度おいてダイヤフラムホルダー117の表裏を貫通するように形成されている。
【0036】
図8に符号123で示すダイヤフラムの中央部には、3つの吸引孔130が各ダイヤフラム部24に対応して、円周方向に等角度おいてダイヤフラムの表裏を貫通するように形成されている。また、ダイヤフラム123の上面の各ダイヤフラム部24に囲まれた部位には、3つの第1の弁体134が一体に立設されている。これら第1の弁体134は、同図(a)に示すように、吸引孔130に中央部が対接するようにして、これら吸引孔130に対してダイヤフラム123の半径方向の外側に位置付けられている。これら第1の弁体134は断面が円弧状に形成されている。
【0037】
図9に符号135で示すバルブホルダーの下面の中央部には、めくら穴状に形成された3つの吸引通路119が、平面視において円周方向に等角度おいて凹設されている。これら吸引通路119に対向するように、吸引通路119に対してバルブホルダー135の半径方向の外側に、断面がL字状に形成された3つの排気通路140がバルブホルダー135の表裏を貫通するように形成されている。これら排気通路140の下端部を横切るように、連通路154がバルブホルダー135の下面に凹設されており、これら連通路154を介して各吸引通路119と各排気通路140とが連通している。
【0038】
この連通路154は平面視において上記第1の弁体134と同じ曲率の円弧状に形成されており、幅L1が第1の弁体134の幅L2よりも大きく設定され、深さが第1の弁体134の高さよりも大きく形成され、かつ吸引通路119の深さよりも大きく形成されている。したがって、この連通路154の吸引通路119側の内壁には、係止面154aが設けられている。これら吸引通路119、連通路154、排気通路140は、各ダイヤフラム部24に対応して3組設けられており、これら3組の吸引通路119、連通路154、排気通路140は、同図(c)に示すように、それぞれ独立した構造でバルブホルダー135に設けられている。
【0039】
このような構成において、ダイヤフラム123の各第1の弁体134が、図6に示すように、バルブホルダー135の連通路154内に嵌挿され、バルブホルダー135がダイヤフラムホルダー117上に載置され、組み付けられることにより、ダイヤフラム123がバルブホルダー135とダイヤフラムホルダー117とによって挟持される。上述した第1の実施の形態と同様に、第2の弁体46がバルブホルダー135の隆起部36上に取り付けられ、集気体42がバルブホルダー135上に載置される。これら集気体42、バルブホルダー135、ダイヤフラムホルダー117およびケース3が、図示を省略した通しねじまたは板ばねあるいは棒状(線状)ばねによって一体化されることにより、ダイヤフラムポンプ101が形成される。
【0040】
このように形成されたダイヤフラムポンプ101においては、ダイヤフラムホルダー117の各吸気孔118と、ダイヤフラム123の各吸気孔130と、バルブホルダー135の各吸気通路119とが連通する。第1の弁体134は、吸気通路119と連通路154との間を閉塞するように、連通路154の係止面154aに密接する。したがって、この第1の弁体134と連通路154の係止面154aとが、ポンプ室52から排気通路140および連通路154を通って吸気通路119へ流体が流れるのを規制する逆止め弁を構成する。
【0041】
したがって、モータ2が駆動しモータ軸4が回転すると、ダイヤフラム123の3つのダイヤフラム部24のうちの一つが下降するので、そのポンプ室52は拡張してポンプ室52が負圧状態になる。このとき、第2の弁体46は、上述した第1の実施の形態と同様に、流体が吐出空間53から排気通路140を通ってポンプ室52への流れを規制する逆止め弁として機能するから、この第2の弁体46によって排気通路140が閉じられる。一方、第1の弁体134は、図中傾斜するように弾性変形して吸気通路119と連通路154との間を開放するので、ケース3の通気口6からケース3内に流入していた流体は、吸気孔118、吸気孔130、吸気通路119および連通路154を通って、拡張したポンプ室52内に流入する。
【0042】
モータ2のモータ軸4がさらに回転して、拡張したポンプ室52のダイヤフラム部24が上昇するとポンプ室52は収縮するので、ポンプ室52内のエアの圧力が上昇する。このとき、第1の弁体134は、流体がポンプ室52から排気通路140および連通路154を通って吸気通路119への流れを阻止する逆止め弁として機能するから、この第1の弁体134によってポンプ室52と吸気通路119との間が閉塞される。このとき、第1の弁体134が断面円弧状に形成されているために、断面が矩形状に形成されているものと比較して剛性が大きくなるから、逆止め機能が向上する。一方、第2の弁体46は、図中上方に弾性変形して排気通路140と吐出空間53との間を開放するので、ポンプ室52内の流体は、排気通路140を通って吐出空間53へ圧送されて吐出口44から吐出される。
【0043】
この第2の実施の形態における第1の弁体134は、上述したように断面が円弧状に形成されているために剛性が大きくなるから、この第1の弁体134をバルブホルダー135の連通路154内に嵌挿する組付け作業が容易になる。また、この第1の弁体134は、ダイヤフラム123を成形加工する際に成形金型を抜く方向と同じ方向となるように、ダイヤフラム123に立設されているため製造が容易になる。また、各ダイヤフラム部24に対応して設けた3組の吸引通路119、連通路154、排気通路140が、図9(c)に示すように、それぞれ独立した構造でバルブホルダー135に設けられているため各ポンプ室52間の気密性が向上する。
【0044】
なお、本発明の実施の形態においては、ケース3内に流体を導くための通気口6をケース3に設けたが、通気口をケース3には設けずに集気体42の上面部に設ける構造にも適用できる。また、ポンプ室52を3つ設けた例について説明したが、ポンプ室52が2つのポンプまたは4つ以上のポンプにも適用できる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、ダイヤフラムポンプの断面積を小さく形成することができる。
【0046】
また、請求項2に係る発明によれば、各ポンプ室から排気される流体が他のポンプ室に流入することを規制される。
【0047】
また、請求項3に係る発明によれば、ダイヤフラムの組付けを容易に行うことができるばかりではなく、製造も容易になるとともに逆止め機能が向上する。
【0048】
また、請求項4に係る発明によれば、ダイヤフラムポンプの断面積を最小限の大きさに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図2】 本発明に係るダイヤフラムポンプにおけるダイヤフラムホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるII(b)-II(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。
【図3】 本発明に係るダイヤフラムポンプにおけるダイヤフラムを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)におけるIII(b)-III(b) 線断面図、同図(c)はダイヤフラムの要部を示す斜視図である。
【図4】 本発明に係るダイヤフラムポンプにおけるバルブホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるIV(b)-IV(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。
【図5】 本発明に係るダイヤフラムポンプにおける集気体を示し、同図(a)は同図(b)における V(a)-V(a)線断面図、同図(b)は底面図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプの断面図である。
【図7】 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプにおけるダイヤフラムホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるVII(b)-VII(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプにおけるダイヤフラムを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)における VIII(b)-VIII(b)線断面図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態に係るダイヤフラムポンプにおけるバルブホルダーを示し、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(c)におけるIX(b)-IX(b) 線断面図、同図(c)は底面図である。
【符号の説明】
1,101…ダイヤフラムポンプ、2…モータ、3…ケース、6…通気口、7…クランク台、9…駆動軸、10…駆動体、17,117…ダイヤフラムホルダー、18…ダイヤフラム載置部、19,119…吸気通路、20…ダイヤフラム部保持孔、23,123…ダイヤフラム、24…ダイヤフラム部、30…第1の弁体形成部、31…シール部、34,134…第1の弁体、35,135…バルブホルダー、39…シール用リブ、40,140…排気通路、42…集気体、44…吐出口、45…押え部、46…第2の弁体、52…ポンプ室、53…吐出空間、54,154…連通路。
Claims (4)
- ポンプ室を形成する複数のダイヤフラム部を有するダイヤフラムと、このダイヤフラムの各ダイヤフラム部を上下動させることにより前記ポンプ室を拡縮させる駆動体と、前記各ポンプ室に対応した第1および第2のエア通路と、前記ポンプ室から前記第1のエア通路への流れを阻止する第1の弁体と、前記第2のエア通路から前記ポンプ室への流れを阻止する第2の弁体と、前記ダイヤフラムを挟持するダイヤフラムホルダーおよびバルブホルダーとを備えたダイヤフラムポンプにおいて、前記各ダイヤフラム部毎に対応し、かつ各ダイヤフラム部に囲まれた部位であって前記ダイヤフラムの中央部に、前記第1の弁体を前記ダイヤフラムと一体に立設したことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
- 請求項1記載のダイヤフラムポンプにおいて、前記ダイヤフラムホルダーと前記バルブホルダーとの間に介装されるシール部を前記ダイヤフラムに一体に形成したことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
- 請求項1記載のダイヤフラムポンプにおいて、前記バルブホルダーの中央部に、前記第1のエア通路および前記第2のエア通路とこれら第1および第2のエア通路間を連通する連通路とを設け、前記第1の弁体の断面を円弧状に形成し、当該第1の弁体が前記連通路に嵌挿されていることを特徴とするダイヤフラムポンプ。
- 請求項1ないし3記載のダイヤフラムポンプにおいて、前記第2の弁体を前記第1の弁体と同軸上に設けたことを特徴とするダイヤフラムポンプ。
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