JP6591281B2 - モールドワニス、樹脂硬化物、電力機器及び真空遮断器 - Google Patents

モールドワニス、樹脂硬化物、電力機器及び真空遮断器 Download PDF

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Description

本発明は、モールドワニス及びこれを用いた樹脂硬化物並びに当該樹脂硬化物を有する電力機器及び真空遮断器に関する。
静止器、遮断機、回転機といった電力機器においては、小型化、軽量化が進行している。これに伴い、機器の配線や部品の高密度化、絶縁層の薄肉化が進行している。そのため、モールドワニスには、狭小空間への絶縁材料の充填性を増すための低粘度化が求められている。また、金属やセラミック部品を被覆するモールドワニスの硬化物には、クラックを抑制するため、高じん性化、低熱膨張化も求められる。さらに、モールドワニスには、ロスコストの削減を目的として優れた保存安定性も求められる。
エポキシ樹脂の硬化物は、耐熱性、接着性、耐薬品性、機械的強度などに優れており、静止器、遮断機、回転機といった電力機器のモールドワニスとして好ましく用いられる。しかしながら、エポキシ樹脂そのものは比較的粘度が高く、その硬化物は固くて脆い性質がある。これを改善するためにエポキシ樹脂に種々の添加剤を配合したモールドワニスが開発されてきた。
特許文献1には、スチレンおよびマレイミド系化合物およびジビニルベンジルポリオキシアルキレンオキサイド系化合物からなる構造を主とするブロック重合体と熱硬化性樹脂とからなる熱硬化性樹脂組成物が開示されている。特定のラジカル重合モノマーをエポキシ樹脂に配合することによって、硬化物の高じん性化をなすものである。また、該ラジカル重合モノマーは、低分子量体であるため、樹脂組成物(モールドワニス)の低粘度化が期待できる。
特許文献2には、エポキシ樹脂と、25℃の粘度が100cps以下であるスチレン等のラジカル重合性モノマーと、エポキシ樹脂の硬化触媒と、半減期10時間の分解温度が60℃以上の有機過酸化物の混合物からなる第1液と、ビスマレイミド等のマレイミド化合物を溶解させたカルボン酸無水物からなる第2液とから構成されている液状エポキシ樹脂組成物が開示されている。低粘度のラジカル重合性モノマーを配合することによって酸無水物硬化型エポキシ樹脂のワニス粘度が低減されることが開示されている。
特許文献3には、エポキシ樹脂中にガラス繊維などの無機フィラーを分散させる手法により、耐クラック性の向上を図る技術が公開されている。また、特許文献4にも、エポキシ樹脂中に各種エラストマー及び無機フィラーを分散させる手法により、耐クラック性の向上を図る技術が公開されている。
特開2007−106787号公報 特開平06−107770号公報 特開平10−316839号公報 特開2011−1424号公報
特許文献1に記載のモールドワニスは、一液型ワニスであることから、保管中に硬化反応が進行し、モールドワニスの増粘、ゲル化等を招く。特許文献1では、この問題を回避するために、モールドワニス製造直後に注型、硬化するプロセスが実施例に開示されている。しかし、この手法では、モールドワニス、モールド成型品の生産工程が煩雑となり、大量生産が困難であるという問題を有している。
特許文献2に記載の液状エポキシ樹脂組成物(モールドワニス)は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤であるカルボン酸無水物とを分離することによって、モールドワニスの保存安定性は特許文献1に比べて改善されると思われる。しかし、このモールドワニスは、第1液、第2液ともにラジカル重合性モノマー、マレイミド化合物を含有していることに問題がある。即ち、マレイミド化合物を含むラジカル重合性モノマーは、自然重合を生じやすく、エポキシ樹脂やカルボン酸無水物に比べて保存安定性が劣るのである。この問題は、モールドワニスを冷蔵保存することで回避できるものと考えられるが、新たにモールドワニスの冷蔵保管設備や予熱設備を新設する必要があるという問題がある。
特許文献3および特許文献4では、耐クラック性を向上させるためにエラストマーや無機フィラーなどを添加する方法が採用されている。このエラストマーや無機フィラーなどの添加は、エポキシ樹脂の粘度を増大するため、注型性や脱泡性が低下するなど、製造プロセス上の大きな課題となっている。
本発明は、低粘度で注型性に優れ、更に保存安定性にも優れ、その硬化物は耐クラック性(特に靱性)にも優れた性能を示すモールドワニスを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るモールドワニスは、常温で液状であってエポキシ当量が200g/eq以下であるエポキシ樹脂と、ラジカル重合開始剤と、を含有する主剤Aと;常温で液状の酸無水物と、エポキシ硬化触媒と、を含有する硬化剤Bと;重合禁止剤を含有するスチレンと、常温で液状の酸無水物と、N−フェニルマレイミドと、を含有する反応誘起剤Cと、の三液からなることを特徴とする。
本発明によれば、低粘度で注型性に優れ、かつ、保存安定性にも優れ、その硬化物は耐クラック性にも優れた性能を示すモールドワニスを提供することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた真空遮断器を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明では、常温で液状のエポキシ樹脂の当量が200g/eq以下であるエポキシ樹脂とラジカル重合開始剤とを含有する主剤Aと、常温で液状の酸無水物と、エポキシ樹脂と酸無水物との硬化反応を促進するエポキシ樹脂硬化触媒を含有する硬化剤Bと、ラジカル重合禁止剤を含有するスチレンと、常温で液状の酸無水物と、N−フェニルマレイミドを含有する反応誘起剤Cの三液からなるモールドワニスを提供する。さらに、コアシェルゴム粒子と、破砕状結晶質シリカと、溶融シリカと、分散剤、カップリング剤を追加しても良い。
ここで、「常温」は、日本工業規格JIS Z 8703に準拠して、5〜35℃とする。
以下、本発明の構成材料について説明する。
(1)エポキシ樹脂
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、好ましくは、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。更に好ましいエポキシ樹脂としては、エポキシ当量が200g/eq以下のものが、ワニス粘度の低減の観点から好ましい。すなわち、エポキシ樹脂のエポキシ当量が200g/eqを超えると、ワニス粘度が高くなるため、好ましくない。さらに、エポキシ当量が200g/eqを超えると、エポキシ樹脂が固化しやすくなる点でも好ましくない。
具体的には、DIC(株)製EPICLON840(エポキシ当量180〜190g/eq、粘度9000〜11000mPa・s/25℃)、EPICLON850(エポキシ当量183〜193g/eq、粘度11000〜15000mPa・s/25℃)、EPICLON830(エポキシ当量165〜177g/eq、粘度3000〜4000mPa・s/25℃)三菱化学(株)製jER827(エポキシ当量180〜190g/eq、粘度9000〜11000mPa・s/25℃)、jER828(エポキシ当量184〜194g/eq、粘度12000〜15000mPa・s/25℃)、jER806(エポキシ当量160〜170g/eq、粘度1500〜2500mPa・s/25℃)、jER807(エポキシ当量160〜175g/eq、粘度3000〜4500mPa・s/25℃)等が挙げられる。耐熱性の観点からはビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることが好ましく、低粘度化の観点からはビスフェノールF型エポキシ樹脂の使用が好ましい。また、両特性バランスをとるため、これらのエポキシ樹脂はブレンドして用いることもできる。
(2)酸無水物
酸無水物としては、常温で液状である酸無水物を用いる事が好ましい。その例としては、日立化成(株)製HN−2000(酸無水物当量166g/eq、粘度30〜50mPa・s/25℃)、HN−5500(酸無水物当量168g/eq、粘度50〜80mPa・s/25℃)、MHAC−P(酸無水物当量178g/eq、粘度150〜300mPa・s/25℃)、DIC(株)製EPICLON B−570H(酸無水物当量166g/eq、粘度40mPa・s/25℃)等を挙げることができる。
(3)反応誘起剤C
反応誘起剤Cとしては、重合禁止剤を10〜300ppm含有するスチレンと、N−フェニルマレイミドと、(2)に記載した酸無水物との混合物が好ましい。特に該スチレンが14〜18質量%、N−フェニルマレイミドが24〜30質量%、該酸無水物が53〜61質量%であり、該スチレンとN−フェニルマレイミドとのモル比が等モルないしは、誤差5モル%の範囲で混合することが好ましい。本範囲で混合することによって、N−フェニルマレイミドは該スチレン及び該酸無水物の混合溶液に溶解し、室温が低い冬季保管時にもN−フェニルマレイミドの析出を防止できるほか、室温が高い夏季保管時の自己重合も抑制できるので保存安定性に優れた反応有機剤Cを製造することができる。
主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cの配合比率について説明する。
採取した主剤Aに含まれるエポキシ樹脂の当量数を1とした際には、酸無水物の当量数が0.95〜1の範囲となるように硬化剤B及び反応誘起剤Cを採取し、配合する。これによってエポキシ樹脂と酸無水物との間の硬化反応の不足を防止することができる。また、反応誘起剤Cの配合量は、主剤Aが含有するエポキシ樹脂と、硬化剤Bが含有する酸無水物と、反応誘起剤Cが含有する該スチレンと、該酸無水物と、N−フェニルマレイミドの総量に対して5〜15質量%の範囲とすることが高じん性化の観点から好ましい。
(4)エポキシ樹脂硬化触媒
本発明のエポキシ樹脂と酸無水物との硬化反応を促進するエポキシ樹脂硬化触媒の例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン類;ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノペンタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N−メチルモルフォリン等のアミン類;セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムアイオダイド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムブロマイド、アリルドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムアセチレート等の第4級アンモニウム塩;2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−アジン−2−メチルイミダゾール、1−アジン−2−ウンデシル等のイミダゾール類;アミンとオクタン酸亜鉛やコバルト等との金属塩;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、N−メチル−ピペラジン、テトラメチルブチルグアニジン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルテトラフェニルボレート、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7−テトラフェニルボレート等のアミンテトラフェニルボレート;トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、アルミニウムトリアルキルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトアセテート、アルミニウムアルコラート、アルミニウムアシレート、ソジウムアルコラート(ナトリウムアルコキシド)などが挙げられる。
エポキシ硬化触媒の添加量は、エポキシ樹脂100質量部に対して0.2質量部以上2.0質量部以下の範囲とすることが好ましく、これにより高速硬化が可能になる。
(5)ラジカル重合開始剤
ラジカル重合触媒の例としては、ベンゾイン及びベンゾインメチルのようなベンゾイン系化合物、アセトフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン系化合物、チオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントンのようなチオキサンソン系化合物、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン及び4,4’−ジアジドベンゾフェノンのようなビスアジド化合物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビスプロパン及びm,m’−アゾキシスチレン、ヒドラゾンのようなアゾ化合物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン及びジクミルパーオキシサイドのような有機過酸化物等が挙げられる。中でも、保存安定性の観点からは、10時間半減期温度が100℃以上であるラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
ラジカル重合触媒の添加量は、該スチレンとN−フェニルマレイミドの総量を100質量部として、0.3質量部以上1.0質量部以下の範囲とすることが、硬化反応時のゲル化時間の調整の観点から好ましい。
(6)シリカ
本発明の主剤A及び硬化剤Bには破砕状結晶質シリカ及び溶融シリカを含むことが樹脂硬化物の耐クラック性、高熱伝導性、低熱膨張性の観点から好ましい。
破砕状結晶質シリカは、低熱膨張性、高熱伝導性を有し、価格も安価であることから複合微粒子の主材として好ましい。その好ましい平均粒径は、5μm以上25μm以下である。そのようなシリカの例としては、林化成(株)製SQ−H22、SQ−H18、(株)龍森製CRYSTALITEシリーズ等がある。
溶融シリカは、破砕状結晶質シリカに比べて、熱伝導率が小さく、熱膨張率が小さく、モールドワニスへの増粘効果も小さい。したがってモールドワニスに求める特性を考慮して破砕状結晶性シリカと併用することが好ましい。溶融シリカの好ましい平均粒径は、5μm以上25μm以下である。そのようなシリカの例としては、電気化学工業(株)製FD−5D、FB−12D、FB−20D等がある。
(7)コアシェルゴム粒子
コアシェルゴム粒子は、クラックの進展を最小限に抑制するものである。また、コアシェルゴム粒子は、エポキシ樹脂に対して分散性が優れていることも選択の基準になっている。
コアシェルゴム粒子の例としては、Rohm&Haas社製、パラロイド(登録商標)EXL2655(平均粒径200nm)、ガンツ化成(株)製、商品名スタフィロイドAC3355(平均粒径0.1〜0.5μm)、ゼフィアックF351(平均粒径0.3μm)等が挙げられる。このように、コアシェルゴム粒子の平均粒径を0.1μmm以上1μm以下とすることが好ましい。
破砕状結晶質シリカ、溶融シリカ及びコアシェルゴム粒子で構成する有機・無機フィラーの配合量は、主剤A、硬化剤Bに対して、それぞれ73〜89質量%の範囲で用いることが好ましい。73質量%以下では有機・無機フィラーの効果である熱伝導性、靭性、冷熱衝撃性、低熱膨張性、耐熱性等の特性が低下する。一方、その配合量が89質量%を超えるとワニス粘度の著しい増大を招く。有機・無機フィラー中の成分構成は、破砕状結晶質シリカが33質量%〜97質量%、溶融シリカが0〜65質量%、コアシェルゴム粒子が1〜3質量%の範囲が好ましく用いられる。これらフィラーの組成範囲は目的とする物性に合わせて調整することが好ましい。
(8)カップリング剤
カップリング剤としては、各種のシラン系、チタネート系カップリング剤が使用できる。そのようなカップリング剤の例としては、シラン系カップリング剤としては、信越化学工業(株)製KBM−402、KBM−403、KBM−502、KBM−504等のエポキシシラン、ビニルシランが好ましい例として挙げられる。チタネート系カップリング剤としては、日本曹達(株)製S−151、S−152、S−181等を挙げる事が出来る。
(9)分散剤
分散剤としては、各種のノニオン系界面活性剤が好ましく、その例としてはビックケミージャパン(株)製、BYK−W903、BYK−W980、BYK−W996、BYK−W9010等を挙げる事が出来る。
これらのカップリング剤及び分散剤は、有機・無機フィラーの表面に化学結合または吸着してその表面を改質することによって、ワニス粘度の低減に寄与する。従って、過剰に配合しても、有機・無機フィラーの表面に化学結合または吸着できず、更なる低粘度効果は期待できない。また、過剰な配合は樹脂硬化物のガラス転移温度、熱分解開始温度を低下させることから好ましくない。以上のことからカップリング剤、分散剤の配合量は、有機・無機フィラー総量100質量部に対して、それぞれ0.2〜1質量部の範囲で用いることが好ましい。
以下に、実施例および比較例を示して本発明を具体的に説明する。なお、以下の実施例は本発明の具体的な説明のためのものであって、本発明の範囲がこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の発明思想の範囲内において自由に変更可能である。
試薬および評価方法を以下に示す。
(1)供試試料
AER260:旭化成エポキシ(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190g/eq。
EP−4901:(株)ADEKA製ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量170g/eq。
HN−5500:日立化成(株)3−又は4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、酸無水物当量168g/eq、構造中に不飽和二重結合がない酸無水物。
2E4MZ−CN:四国化成工業(株)製1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、エポキシ硬化触媒。
25B:日油(株)製1、2、5−ジメチル−2、5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ラジカル重合開始剤、10時間半減期温度128.4℃。
XJ−7:(株)龍森製結晶性破砕状シリカ、粒径約6.3μm、破砕状結晶質シリカ。
FB−20D:電気化学工業(株)製溶融シリカ、粒径約22μm、溶融シリカ。
KBM−503:信越化学工業(株)製3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、カップリング剤。
KBM−403:信越化学工業(株)製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、カップリング剤。
コアシェルゴム粒子:ガンツ化成(株)製スタフィロイドAC3355平均粒径0.1〜0.5μm
分散剤:ビックケミージャパン(株)製BYK−W9010
スチレン:東京化成工業(株)製スチレン、ラジカル重合禁止剤として30ppmの4−tert−ブチルカテコールを含有する。
N−フェニルマレイミド:東京化成工業(株)製N−フェニルマレイミド
(2)ワニスの調整
所定の配合比で各成分を配合し、(株)シンキー製AR−100型自転・公転式ミキサーで3分間攪拌してワニスを作製した。
(3)ワニス粘度の測定
ワニスの粘度は、E型粘度計を用いて、25℃および80℃における値を測定した。
(4)破壊靱性試験用の試験片の作製と評価
ワニスを破壊靱性試験用の金型(サンプルサイズ:長さ100mm、幅60mm、厚さ6mm)に注ぎ、大気中で100℃/5時間、170℃/7時間の2段階加熱によりエポキシ樹脂硬化物の試験片を作製した。この試験片を用いて、ASTM E399に準拠して、引張り試験により試験片が破壊されるまで荷重をかけることによって破壊靱性値(KIC)を測定し、耐クラック性の指標とした。
表1は、比較例1及び実施例1〜3のモールドワニスの組成及び評価結果を示したものである。なお、表1における材料組成は、質量部で表している。
Figure 0006591281
(比較例1)
比較例1は、エポキシ樹脂を含有する主剤Aと、酸無水物を含有する硬化剤Bの二液からなるモールドワニスである。その混合物の粘度は、23℃で0.6Pa・sの値を示した。その硬化物の破壊靱性値(KIC)は、0.7MPa・m0.5の値が得られた。フィラーを含まないワニスとしては、やや粘度が高く、硬化物の耐クラック性の指標である破壊靱性値(KIC)も低い値を示した。本モールドワニスの課題は、更なる低粘度化と耐クラック性の向上であった。
実施例1は、エポキシ樹脂を含有する主剤Aと、酸無水物を含有する硬化剤Bと、反応誘起剤Cとの三液からなるモールドワニスである。反応誘起剤Cは、重合禁止剤を含有するスチレンと、酸無水物と、N−フェニルマレイミドと、を含有する。ワニス全体に対するスチレンとN−フェニルマレイミドの含有率は約5質量%である。23℃のワニス粘度は、0.3Pa・sであり、比較例1と比較して低い値となっている。また、破壊靱性値(KIC)は、1.1MPa・m0.5であり、比較例1と比較して5割程度高い値となっている。さらに、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cの各ワニスは、23℃で3ヶ月保存してもゲル化はせず、優れた保存安定性を示した。
実施例2は、エポキシ樹脂を含有する主剤Aと、酸無水物を含有する硬化剤Bと、反応誘起剤Cとの三液からなるモールドワニスである。反応誘起剤Cは、重合禁止剤を含有するスチレンと、酸無水物と、N−フェニルマレイミドと、を含有する。ワニス全体に対するスチレンとN−フェニルマレイミドの含有率は約10.0質量%である。23℃のワニス粘度は、0.2Pa・sであり、比較例1と比較して低い値となっている。また、破壊靱性値(KIC)は、1.5MPa・m0.5であり、比較例1と比較して2倍以上の高い値となっている。さらに、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cの各ワニスは、23℃で3ヶ月保存してもゲル化はせず、優れた保存安定性を示した。
実施例3は、エポキシ樹脂を含有する主剤Aと、酸無水物を含有する硬化剤Bと、反応誘起剤Cとの三液からなるモールドワニスである。反応誘起剤Cは、重合禁止剤を含有するスチレンと、酸無水物と、N−フェニルマレイミドと、を含有する。ワニス全体に対するスチレンとN−フェニルマレイミドの含有率は約14.3質量%である。23℃のワニス粘度は、0.1Pa・sであり、比較例1と比較して低い値となっている。また、破壊靱性値(KIC)は、1.2MPa・m0.5であり、比較例1と比較して7割程度高い値となっている。さらに、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cの各ワニスは、23℃で3ヶ月保存してもゲル化はせず、優れた保存安定性を示した。
上記の実施例においては、反応誘起剤Cに用いるスチレンに含まれる重合禁止剤の含有量は30ppmとしたが、実施例3の変形例として、重合禁止剤を300ppm含有するスチレンを用いた反応誘起剤Cについても、評価を行った。この変形例においては、他の組成は実施例3と同じとした。
その結果、この変形例においても、実施例3と同様のワニス粘度、破壊靱性値及び保存安定性が得られた。
以上、実施例1〜3、実施例3の変形例及び比較例1の結果から、好ましいスチレンとN−フェニルマレイミドの含有率は、おおよそ5〜15質量%の範囲であると考えられる。
表2は、比較例2及び3並びに実施例4及び5の組成及び評価結果を示したものである。なお、表2における材料組成は、質量部で表している。
Figure 0006591281
(比較例2)
比較例2は、スチレンを9.01g(18.4質量%)、N−フェニルマレイミドを14.99g(30.6質量%)、酸無水物を25g(51.0質量%)含有する反応誘起剤Cの例である。スチレンとN−フェニルマレイミドの配合モル比は、等モルである。この反応誘起剤Cをドライヤーで加熱しつつ攪拌して、均一溶液とした。次いで、冬季の室内保管を想定して5℃で30日間保管した。その結果、均一溶液からN−フェニルマレイミドと思われる結晶の析出が認められた。
本ワニスの課題は、低温下における保存性の改善である。
(比較例3)
比較例3は、スチレンを9.01g(14.1質量%)、N−フェニルマレイミドを14.99g(23.4質量%)、酸無水物を40g(62.5質量%)含有する反応誘起剤Cの例である。スチレンとN−フェニルマレイミドの配合モル比は、等モルである。この反応誘起剤Cをドライヤーで加熱しつつ攪拌して、均一溶液とした。次いで、冬季の室内保管を想定して5℃で30日間保管した。その結果、均一溶液からN−フェニルマレイミドと思われる結晶の析出が認められた。
本ワニスの課題は、低温下における保存性の改善である。
実施例4は、スチレンを9.01g(17.5質量%)、N−フェニルマレイミドを14.99g(29.1質量%)、酸無水物を27.5g(53.4質量%)を含有する反応誘起剤Cの例である。スチレンとN−フェニルマレイミドの配合モル比は、等モルである。この反応誘起剤Cをドライヤーで加熱しつつ攪拌して、均一溶液とした。次いで、冬季の室内保管を想定して5℃で30日間保管した。その結果、均一溶液からN−フェニルマレイミドと思われる結晶の析出は生じなかった。
この結果から、スチレンとN−フェニルマレイミドと酸無水物を含有する反応誘起剤Cは、適正な配合比率で作製することによって、低温下における保存性が改善できることが分かった。
実施例5は、スチレンを9.01g(14.6質量%)、N−フェニルマレイミドを14.99g(24.4質量%)、酸無水物を37.5g(61.0質量%)を含有する反応誘起剤Cの例である。スチレンとN−フェニルマレイミドの配合モル比は、等モルである。この反応誘起剤Cをドライヤーで加熱しつつ攪拌して、均一溶液とした。次いで、冬季の室内保管を想定して5℃で30日間保管した。その結果、均一溶液からN−フェニルマレイミドと思われる結晶の析出は生じなかった。
この結果から、スチレンとN−フェニルマレイミドと酸無水物を含有する反応誘起剤Cは、本実施例の配合比率で作製した場合も、低温下における保存性が改善できることが分かった。
比較例2及び3並びに実施例4及び5の結果から、好ましい反応誘起剤Cの配合比率は、スチレンとN−フェニルマレイミドの配合モル比が等モルの場合、スチレンが14.6〜17.5質量%、N−フェニルマレイミドが24.4〜29.1質量%、酸無水物が53.4〜61.0質量%であると考えられる。
表3は、比較例4並びに実施例6及び7の組成及び評価結果を示したものである。なお、表3における材料組成は、質量部で表している。
Figure 0006591281
(比較例4)
比較例4は、主剤Aにフィラー等を配合し、硬化剤Bにはフィラー類と共にスチレンとN−フェニルマレイミドを配合したモールドワニスの例である。
フィラー及びコアシェルゴム粒子の配合効果によって、硬化物の破壊靱性値(KIC)は4.1MPa・m0.5に著しく改善された。しかし、硬化剤Bの粘度が低いために保管中にフィラーが沈殿するという課題を有していた。また、本硬化剤Bは、長期間の保管においてゲル化が生じた。比較例4のモールドワニスの課題は、ワニスの保存安定性であった。
実施例6のモールドワニスは、比較例4の硬化剤Bから、酸無水物の30質量部、スチレンの全量、及びN−フェニルマレイミドの全量に該当する部分で反応誘起剤Cを作製したものである。
三液化することによって、実施例6の硬化剤Bの粘度が適度に上昇し、保管時における沈殿が無くなった。また、長期保存試験においては、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cともにゲル化しないことが確認された。三液を混合したワニス粘度は、比較例4よりも低かった。また、その硬化物の破壊靱性値(KIC)は、4.1MPa・m0.5であり、比較例4と同程度に高い値を示した。
以上から、フィラー等を含有するモールドワニスにおいても、三液化によってワニスの粘度が低減でき、保存安定性が改善でき、その硬化物は高い破壊靱性値を示すことが確認された。
実施例7は、実施例6の組成中のフィラー組成比を調整し、更にエポキシ硬化触媒を増量した組成である。フィラー組成の調整により、主剤A、主剤Bの80℃における粘度を12Pa・sに合わせるとともに、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cの配合比率を、ほぼ100:100:10と単純化し、取り扱い性を増すと共に調合ミスを防止した。
エポキシ硬化触媒の増量により、本ワニスは、比較例4の2倍の硬化速度を有していた。三液を混合したワニス粘度は、比較例4よりも低かった。また、その硬化物の破壊靱性値(KIC)は、4.1MPa・m0.5であり、比較例4と同程度に高い値を示した。
以上から、フィラー等を含有するモールドワニスにおいても、三液化によってワニスの粘度が低減でき、保存安定性が改善でき、その硬化物は高い破壊靱性値を示すことが確認された。
実施例7に記載の液状樹脂組成物を25kg準備した。本液状樹脂組成物を80℃に加熱し、1torrで約10分間脱気した。80℃におけるワニス粘度は、3.0Pa・sであった。モデル真空遮断器の型を80℃に加熱し、脱気後の液状樹脂組成物25kgを流し込み、再度1torrで20分間、真空脱気した。その後、大気中で100℃/5時間、170℃/7時間の条件で硬化した。次いで、8時間かけて50℃に冷却し、型を外して図1に示すモデル真空遮断器を作製した。
図1に真空遮断器の模式断面図を示す。
真空遮断器100は、絶縁樹脂層1、固定電極2、可動電極3、固定側エンドプレート4、可動側エンドプレート5、アルミナ製の真空絶縁容器6、及びベローズ7で構成されている。この真空遮断器100は、絶縁樹脂層1に本発明の樹脂組成物を用いた構成の他は周知な構成を有するため、詳細な説明は省略する。
真空遮断器100の外観、断面観察の結果、エポキシ樹脂硬化物の内部にクラックやボイドは認められず、耐熱性、耐クラック性及び絶縁信頼性が優れていると思われる結果を得た。
本発明は、各種電子、電機機器の絶縁材、構造材に用いられている酸無水物硬化型エポキシ樹脂の耐熱性と耐クラック性とを両立する手法として有効である。特に、低粘度のスチレン、N−フェニルマレイミド、酸無水物の反応誘起剤C第3成分とし、主剤A、硬化剤Bと切り分けて使用しているため、特に保存安定性に優れたモールドワニスを提供できる。
以上、本発明のモールドワニスは、保存安定性に優れ、低粘度化および耐クラック性の改善がバランス良くなされるため、電力機器の絶縁材料、構造材料として好適である。
以下、本発明の効果について更に説明する。
本発明のモールドワニスは、主剤A、硬化剤Bともにラジカル重合性のモノマーを含有しないので、非常に優れた保存安定性を示す。また、反応誘起剤Cは、重合禁止剤の効果によって同様に優れた保存安定性を示す。また、輸送や保管時に誤って高温にさらされた場合においても、自己重合が生じるのは反応誘起剤Cのみであり、モールドワニスの損失を最小限に抑制することができる。
本発明のモールドワニスは、主剤A、硬化剤B、反応誘起剤Cを混合した際に極めて低い粘度を示す。これにより、注型作業が容易になる。更に本発明のモールドワニスは、硬化反応時にラジカル重合成分であるスチレンとN−フェニルマレイミドの共重合体が生成し、エポキシ樹脂硬化物中に相分離構造を生じる。この相分離構造は、エポキシ樹脂硬化物中のクラックの進展を抑制し、耐クラック性の改善に寄与する。また、スチレンとN−フェニルマレイミドの共重合体はガラス転移温度が高く、エポキシ樹脂硬化物の耐熱性を損なうことがないという利点がある。
1:絶縁樹脂層、2:固定電極、3:可動電極、4:固定側エンドプレート、5:可動側エンドプレート、6:真空絶縁容器、7:ベローズ。

Claims (7)

  1. 常温で液状であってエポキシ当量が200g/eq以下であるエポキシ樹脂と、ラジカル重合開始剤と、を含有する主剤Aと、
    常温で液状の酸無水物と、エポキシ硬化触媒と、を含有する硬化剤Bと、
    重合禁止剤を含有するスチレンと、常温で液状の酸無水物と、N−フェニルマレイミドと、を含有する反応誘起剤Cと、の三液からなることを特徴とするモールドワニス。
  2. 請求項1に記載のモールドワニスであって、
    前記スチレン中における前記重合禁止剤の含有量は、10〜300ppmであり、
    前記反応誘起剤Cは、前記酸無水物を53〜61質量%、前記重合禁止剤を含有する前記スチレンを14〜18質量%、前記N−フェニルマレイミドを24〜30質量%含有し、
    前記スチレンと前記N−フェニルマレイミドとのモル比は、等モル±5モル%の範囲であることを特徴とするモールドワニス。
  3. 請求項2に記載のモールドワニスであって、
    前記主剤Aのエポキシ当量数を1とした場合に、前記硬化剤B及び前記反応誘起剤Cが含有する酸無水物の総当量数は、0.95〜1であり、
    前記主剤Aと前記硬化剤Bと前記反応誘起剤Cとの総量に対して、前記スチレンと前記N−フェニルマレイミドとの総含有率は、5〜15質量%であり、
    前記主剤Aが含有する前記ラジカル重合開始剤の含有率は、前記スチレンと前記N−フェニルマレイミドとの総量100質量部に対して0.3〜1質量部であり、
    前記硬化剤Bが含有する前記エポキシ硬化触媒の含有率は、前記エポキシ樹脂の総量100質量部に対して0.2〜2質量部であることを特徴とするモールドワニス。
  4. 請求項3に記載のモールドワニスであって、
    前記主剤A及び前記硬化剤Bは、平均粒径5〜25μmのシリカと、平均粒径0.1〜1μmのコアシェルゴム粒子と、からなる有機・無機フィラーを73〜89質量%含有し、
    前記有機・無機フィラーは、破砕状結晶質シリカを33〜97質量%、溶融シリカを0〜65質量%、コアシェルゴム粒子を1〜3質量%含む構成であり、
    さらに、前記有機・無機フィラーの総量を100質量部として、シランカップリング剤を0.2〜0.9質量部、分散剤を0.5〜0.8質量部、含有することを特徴とするモールドワニス。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のモールドワニスを硬化したことを特徴とする樹脂硬化物。
  6. 請求項5に記載の樹脂硬化物を構造材又は絶縁材に用いたことを特徴とする電力機器。
  7. 請求項5に記載の樹脂硬化物を構造材又は絶縁材に用いたことを特徴とする真空遮断器。
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