JP6591052B2 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、自動車等の車両の運転者がステアリングシャフトに加えた操舵トルクに対応したアシストトルクを発生して、運転者の操舵をアシストするようにした操舵制御装置に関するものである。
周知のように、自動車等の車両のステアリング装置を電動モータの回転力で補助するようにした操舵制御装置は、電動モータの駆動力を、減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構によりステアリング機構に伝達するように構成されている。従来、操舵トルクのオンセンター感を維持したままヒステリシス幅の変化を抑え、良好な操舵フィーリングを得るために、ステアリング軸反力トルクと路面反力トルクとを用いて、少なくともステアリングの切戻し操作の状態であるか否かを判定し、ステアリングの切戻し操作の状態にあると判定された場合は、アシスト指令手段によりステアリング軸反力トルクに基づいて基本アシスト指令値を増加する方向に補正するようにした操舵制御装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
又、従来、ステアリングの回転方向や操舵速度に基づいて、アシスト指令補正値を演算するようにした操舵制御装置も提案されている。(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−227125号公報 特開2003−19974号公報 特開2003−312521号公報
前述のような従来の操舵制御装置にあっては、操舵状態を判定するために、ステアリング軸反力トルクと路面反力トルクを用いており、ステアリング軸反力トルク検出手段と路面反力トルク検出手段の両方を備える必要があった。しかしながら、路面反力トルク検出手段は、タイヤに設けられるロードセル等の検出器により構成されるため、その取り付けスペースの確保や、取り付け工数の増加といった課題がある。
又、ステアリング軸反力トルクと路面反力トルクとを比較して操舵状態を判定するようにしているため、路面反力トルクを高精度に検出し、又は高精度に推定することが要求されるという課題があった。
更に、従来、ロードセル等の検出器を備えずに路面反力トルクを推定する路面反力トルク推定手段を用いるようにした操舵制御装置も存在するが(例えば、特許文献3参照)、路面反力トルク推定手段に用いるパラメータの設計工数が増大したり、路面反力トルク推定手段の演算負荷が増加するという課題があった。
この発明は、従来の装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたものであり、路面反力トルクを用いずに摩擦遷移状態を判定し、良好な操舵フィーリングが得られる操舵制御装置を得ることを目的としている。
この発明による操舵制御装置は、
車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
前記ステアリング機構のステアリング軸に作用するステアリング軸反力トルクを検出、又は、演算するステアリング軸反力トルク演算部と、
少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて前記モータに供給するモータ電流に対する電流指令値となる基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
前記ステアリング軸反力トルクに基づいて、前記ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態を判定する摩擦遷移状態判定部と、
前記摩擦遷移状態判定部の判定結果に基づき、切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
前記アシスト指令補正値により前記基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
を備え、
前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記アシスト指令補正値を補正するように構成されている、
ことを特徴とする。
又、この発明による操舵制御装置は、
車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
前記運転者による切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
前記アシスト指令補正値によって基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータに供給するモータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
を備え、
前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように補正するように構成されている、
ことを特徴とする。
この発明による操舵制御装置によれば、車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記車両の車速を検出する車速検出部と、前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、前記ステアリング機構のステアリング軸に作用するステアリング軸反力トルクを検出、又は、演算するステアリング軸反力トルク演算部と、少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて前記モータに供給するモータ電流に対する電流指令値となる基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、前記ステアリング軸反力トルクに基づいて、前記ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態を判定する摩擦遷移状態判定部と、前記摩擦遷移状態判定部の判定結果に基づき、切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、前記アシスト指令補正値により前記基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部とを備え、前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記アシスト指令補正値を補正するように構成されているので、路面反力トルクを用いる必要がなく、摩擦遷移状態を精度良く判定できる。その結果、路面反力トルク検出器を備える必要がなく、省スペース化や、取付工数を削減できる。さらに、路面反力トルク推定器を備える必要もなく、設計工数の削減や、演算負荷の軽減といった従来にない顕著な効果を奏するものである。又、摩擦遷移状態を精度良く判定できるため、操舵トルクのヒステリシス幅を安定して自由に調整することが可能になると共に、運転者が旋回中の急減速を実施した時に、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上できる。ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況に於いては、カーブでの急減速で、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅の増加を抑制し、ステアリングホィールを中立点に戻りやすくすることができる。
又、この発明による操舵制御装置によれば、車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、前記車両の車速を検出する車速検出部と、前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、前記運転者による切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、前記アシスト指令補正値によって基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータに供給するモータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部とを備え、前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように補正するように構成されているので、運転者が旋回中の急減速を実施した時に、電流指令値がアシスト補正値により増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上できる。ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況においては、カーブでの急減速で、電流指令値がアシスト補正値により増加することを抑制することで、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅の増加を抑制し、ステアリングホイールを中立点に戻りやすくすることができる。
この発明の実施の形態1による操舵制御装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置の要部を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置の動作を説明するフローチャートである。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置のアシストマップを示す図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、ステアリング軸反力トルクのヒステリシス幅の変化を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、ステアリング機構に作用する摩擦トルクのヒステリシス幅の変化を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、アシスト指令値補正部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、第1の補正値のマップを示す図である。 この発明の実施の形態2による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3による操舵制御装置に於ける、アシスト指令値補正部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3による加速度に対する補正ゲインのマップを示す図である。 この発明の実施の形態4による操舵制御装置を示す構成図である。 この発明の実施の形態4による操舵制御装置の要部を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態5による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。 従来の装置に於ける操舵角度と操舵トルクの特性を示す説明図である。 操舵トルクのヒステリシス幅調整を示す説明図である。
以下、この発明の各実施の形態について、図面を参照して詳述する。尚、各図中、同一符号は、同一又は相当部分を示すものとする。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置を示す構成図である。図1に於いて、自動車等の車両のステアリング機構は、ステアリングホィール1とステアリング軸2とを備えている、車両の左右の転舵輪3は、運転者がステアリングホィール1を操作することにより回転するステアリング軸2の回転に応じて転舵される。ステアリング軸2には、操舵トルク検出部であるトルクセンサ4が配置されており、このトルクセンサ4によりステアリングホィール1を介してステアリング軸2に作用する運転者による操舵トルクが検出される。
モータ5は、減速機構6を介してステアリング軸2に連結されており、モータ5が発生する操舵補助トルクをステアリング軸2に付与することができる。速度検出部である車速センサ7は、車両の走行速度(以下、車速と称する)を検出する。加速度センサ19は、車両の前方への運動の加速度及び後方への運動の加速度を検出する。後方への運動の加速度とは、車両の減速度と同じ意味である。電流センサ8は、モータ5に流れる電流を検出する。
制御ユニット9は、モータ5が発生すべき操舵補助トルクを演算し、操舵補助トルクを発生するために必要なモータ5の電流を制御するように構成されている。この制御ユニット9は、ROM、RAMを含むメモリを有するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)と、後述の電流駆動部を備えている。電流駆動部は、マイコンにより演算された操舵補助トルクに相当する電流指令値にモータ電流が一致するようにモータ電流を制御する。
次に、この発明の要部である制御ユニット9の構成について説明する。図2は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置の要部を示すブロック図である。図2に於いて、制御ユニット9は、モータ電流を制御する電流駆動部10と、基本アシスト指令値演算部11と、ステアリング軸反力トルク演算部12と、摩擦遷移状態判定部13と、アシスト指令値補正部14と、減算器15とを有している。基本アシスト指令値演算部11と、ステアリング軸反力トルク演算部12と、摩擦遷移状態判定部13と、アシスト指令値補正部14と、減算器15とは、マイコンに設けられたソフトウエアにより構成されている。
基本アシスト指令値演算部11は、少なくとも、車速センサ7が検出した車速Vと、トルクセンサ4が検出した操舵トルクThd1とに基づいて、基本アシスト指令値Bを演算して出力する。ステアリング軸反力トルク演算部12は、少なくとも、トルクセンサ4が検出した操舵トルクThd1と、電流センサ8が検出したモータ5に流れるモータ電流Imとに基づいて、ステアリング軸反力トルクTtranを演算して出力する。摩擦遷移状態判定部13は、少なくとも、ステアリング軸反力トルク演算部12から出力されたステアリング軸反力トルクTtranと、加速度センサ19が検出した車両の加速度Aとに基づいて後述するように摩擦遷移状態を判定し、その判定結果を出力する。
アシスト指令値補正部14は、少なくとも、車速センサ7が検出した車速Vと、摩擦遷移状態判定部13が出力した摩擦繊維状態の判定結果と、トルクセンサ4が検出した操舵トルクThd1とに基づいて、アシスト指令補正値Cを出力する。減算器15は、基本アシスト指令値Bからアシスト指令補正値Cを減算して補正後アシスト指令値B1を出力する。電流駆動部10は、減算器15からの補正後アシスト指令値B1と、電流センサ8が検出したモータ電流Imとに基づいて、モータ5の電流を制御する電流駆動信号Eを出力する。補正後アシスト指令値B1は、電流指令値として電流駆動部10に入力される。以下、補正後アシスト指令値を電流指令値と称することがある。
次に、この発明の実施の形態1による操舵制御装置、とりわけその要部である制御ユニット9の動作について説明する。図3は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置の動作を説明するフローチャートである。図3のフローチャートに示す動作は、所定時間の制御周期で繰り返し実行される。図3に於いて、先ずステップS1では、車速センサ7により車両の車速Vを検出し、加速度センサ19により車両の加速度Aを検出し、トルクセンサ4により操舵トルクThd1を検出する。更に、電流センサ8によりモータ5に流れるモータ電流Imを検出する。
次に、ステップS2では、基本アシスト指令値演算部11に於いて、少なくとも、車速Vと操舵トルクThd1とに基づいて、基本アシスト指令値Bを演算する。この基本アシスト指令値Bは、運転者の操舵を補助する操舵補助トルクを発生させるための、基本モータ電流指令値に相当する。
前述の基本アシスト指令値演算部11は、例えば、図4に示すアシストマップに基づいて基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bを読み出して出力する。即ち、図4は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置のアシストマップを示す図であって、操舵トルクThd1と、車速Vと、モータ5への電流指令値に相当する基本アシスト指令値Bとの関係を定めるマップであり、予め作成されている。前述の基本アシスト指令値演算部11は、このアシストマップから、操舵トルクThd1と車速Vとに応じた基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bを読み出して出力する。
図4のアシストマップに示すように、操舵トルクThd1が大きいほど基本モータ電流指令値としての基本アシスト指令値Bの値が大きくなり、且つその変化の勾配が大きくなるように定められている。又、車速Vが大きいほど基本アシスト指令値Bが小さくなるように定められている。尚、モータ回転角速度により求めたダンピングトルク等を更に加味して、基本アシスト指令値Bとしてもよい。
次に、図3のステップS3に於いて、ステアリング軸反力トルク演算部12により、ステアリング軸2の減速機構6よりも転舵輪側の部材であるピニオン軸211(図1参照)に作用するステアリング軸反力トルクTtranを演算する。ステアリング機構の運動方程式は、一般に次式(1)で表される。

[Jp・dθ/dt]=Thd1+[Ggear・Kt・Im]−Ttran・・・式(1)

但し、 Jp:ピニオン軸211の慣性モーメント
θ/dt:ピニオン軸211の回転角加速度
Ggear:減速機構6の減速比
Kt:モータのトルク定数
Ttran:ステアリング軸反力トルク
[Ggear・Kt・Im]:ピニオン軸に作用するモータトルク
[Jp・dθ/dt]:慣性トルク
ここで、ピニオン軸211の慣性モーメントJp、及び、ピニオン軸211の回転角加速度dθ/dtが小さく、左辺の慣性トルク[Jp・dθ/dt]を無視できるものとすると、ステアリング軸反力トルクTtranは、次式(2)により演算することができる。

Ttran=Thd1+[Ggear・Kt・Im] ・・・式(2)
即ち、図3のステップS3では、ステアリング軸反力トルク演算部12により、トルクセンサ4により検出した操舵トルクThd1と、電流センサ8により検出したモータ電流Imとから、式(2)に基づいてステアリング軸反力トルクTtranを演算する。
尚、前述の式(2)に於いて、ステアリング軸反力トルクTtranの演算には、モータ5の回転角度やステアリングホィール1の回転角度を用いて、慣性トルク[Jp・dθ/dt]の項を考慮してもよい。又、式(2)に於いて、電流センサ8により検出したモータ電流Imではなく、電流指令値としての補正後アシスト指令値B1を用いても精度良くステアリング軸反力トルクを演算することができる。尚、式(2)によるステアリング軸反力トルクTtranの演算に、電流指令値としての補正後アシスト指令値B1を用いる場合は、代数ループ演算を回避するために、後述する補正後の電流指令値の前回値を用いる。
次に、ステップS4では、摩擦遷移状態判定部13に於いて、摩擦の遷移状態を判定する。この発明の実施の形態1に於いて、摩擦の遷移状態とは、運転者が操舵しているときの、ステアリング軸2に作用している摩擦の変化状態である、と定義する。
図5A、図5Bは、ステアリング軸反力トルクと摩擦の変化について説明した図であって、図5Aは、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、ステアリング軸反力トルクのヒステリシス幅の変化を示す説明図、図5Bは、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、ステアリング機構に作用する摩擦トルクのヒステリシス幅の変化を示す説明図である。図5A、図5Bに於いて、破線で示す路面反力トルクは、転舵輪3が転舵されたときに、転舵輪3と路面との間で発生する反力である。図5Aに於いて、実線で示すステアリング軸反力トルクTtranは、ステアリング軸2に作用する反力トルクである。図5Bに於いて、実線で示す摩擦トルクは、ステアリング機構に作用する摩擦トルクである。
図5Bに示すように、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、摩擦トルク幅Tfricのヒステリシスを持っている。ステアリング軸反力トルクTtranは、図5Bの破線で示す路面反力トルクと実線で示すステアリング機構に作用する摩擦トルクとの合計したトルクであるので、図5Aに示すように、操舵角の変化に対応して摩擦トルク幅Tfricのヒステリシスを持って変化する。
次に、ステアリング軸反力トルクTtranのヒステリシス幅の変化、及びステアリング機構に作用する摩擦トルクのヒステリシス幅について説明するが、以下の説明では、図5A及び図5Bに、ヒステリシスを形成するループの特定箇所の位置に(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の符号を付し、ヒステリシスを形成するループの夫々の特定箇所の位置を、夫々、位置(a)、位置(b)、位置(c)、位置(d)、位置(e)、位置(f)、と称するものとする。
図5A、図5Bに於いて、運転者が位置(a)から位置(b)に操舵角を操舵した場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、動摩擦トルクとして作用する。又、位置(b)で運転者が操舵を停止した場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは(+Tfric)の値を有する静止摩擦の状態に遷移する。次に、運転者が位置(b)からステアリング機構の中立点に向かって操舵しようとした場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは静止摩擦の状態であるため、ステアリングホィール1に加えられている操舵トルクが小さくなるに従い、静止摩擦トルクが減少し、ステアリング機構に作用する摩擦トルクが零になった後、摩擦の作用する方向が反転して運転者が中立点に向かって操舵しようとするのに対して抵抗となる摩擦トルクとなる。
更に、ステアリングホィール1を支えている操舵トルクとモータ5の操舵補助トルクと静止摩擦トルクとの和に対して、ステアリングホィール1を中立点に戻そうとする路面反力トルクの大きさが勝る位置(c)の状態で、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、(−Tfric)の値を有する静止摩擦から動摩擦に変化し、ステアリング軸2が中立点に向かって動き始める。即ち、位置(b)から位置(c)では、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、静止摩擦トルクが支配的であり、その摩擦トルクの大きさは、ステアリング軸2に作用する外力が釣り合うように作用し、そのため、ステアリング軸2はほぼ静止した状態となる。このように、切返しの過程で保舵した場合は、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは静止摩擦となり、その大きさは(+Tfric)と(−Tfric)の間の値をとることとなる。
更に、切返しの過程で、再度切増しを行なった場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、(+Tfric)と(−Tfric)の間で増加した後、(+Tfric)の値となり、ステアリング軸2が動き始める。
運転者が位置(c)から位置(d)に操舵した場合は、ステアリング軸反力トルクTtranのヒステリシス幅は(−Tfric)となる。位置(d)から位置(a)の切返しに関しても、位置(b)から位置(c)の変化と同様に、ステアリング軸2が停止し、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは静止摩擦となり、その大きさが、(−Tfric)から(+Tfric)に変化し、動摩擦となって、ステアリング軸2が中立点に向かって動き始める。
図6は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部13の構成を示すブロック図である。図6に於いて、微分器16は、ステアリング軸反力トルク演算部12からのステアリング軸反力トルクTtranを微分して、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を演算し出力する。補正器30は、加速度センサ19により検出した車両の加速度Aに応じて、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を補正して補正後ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran2を出力する。補正器30の動作の詳細、効果については後述する。
上限値が(+Tmax)であり下限値が(−Tmax)である上下制限機能付きの積分器17は、補正器30により補正されなかった場合のステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1、又は補正器30により補正された場合の補正後ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran2を積分して積分値Ttran3を出力する。但し、積分器17は、その積分の演算時に、前述の予め定められた上下限値(±Tmax)により積分値を制限する機能を備えており、その積分値を(±Tmax)で制限する。この制限値Tmaxを、前述のステアリング軸反力トルクTtranのヒステリシスに於ける摩擦トルク幅Tfricに設定することで、ステアリング軸反力トルクから、摩擦トルクを抽出した結果となる。
例えば、ステアリング機構の中立点から切増し操舵を運転者が行った場合、切り始めでは操舵速度が零であり、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは静止摩擦の状態にあってその値が増加し、(±Tfric)となる。このとき、ステアリング軸反力トルクTtranの変化は、ステアリング機構に作用する摩擦トルクの変化が支配的であり、積分器17の出力である積分値Ttran3は、その摩擦トルクの変化と同じとなり、(±Tfric)まで増加する。その後、ステアリング軸2は動き始め、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは動摩擦に遷移し、ステアリング軸反力トルクTtranは、路面反力トルクの変化が支配的となり、路面反力トルクの増加に応じて増加する。このとき、積分器17は、前述の制限機能により、出力は(±Tfric)に制限される。
次に、図5A、図5Bの位置(b)に示すように、運転者がステアリングホィール1の操作を停止した場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは、静止摩擦の領域に遷移し、その摩擦トルクは(+Tfric)のままである。このとき、積分器17の出力である積分値Ttran3も、ステアリング軸反力トルクTtranが変化しないため、(+Tfric)のまま保持される。その後、運転者が切り戻しを行う場合、操舵トルクThd1の減少に伴い、静止摩擦が(+Tfric)から零、零から(−Tfric)に変化する。それに伴い、ステアリング軸反力トルクTtranは、位置(b)から位置(c)に変化する。そのステアリング軸反力トルクTtranの変化を微分器16が抽出してステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を出力するため、積分器17の出力である積分値Ttran3は、静止摩擦トルクの変化に対応して(+Tfric)から零、零から(−Tfric)に変化する。
位置(c)から位置(d)は、摩擦トルクは動摩擦の領域となる。ここでは、ステアリング軸反力トルクTtranは路面反力トルクの変化に応じて変化するが、積分器17の出力は制限機能により、(−Tfric)に制限される。位置(d)から位置(a)への切返し操舵に於いては、ステアリング軸2が停止し、摩擦状態が静止摩擦領域になるため、ステアリング機構に作用する摩擦トルクは(−Tfric)から(+Tfric)に変化する。この時、ステアリング軸反力トルクの変化も静止摩擦トルクの変化が支配的となるため、積分器17の出力としての積分値Ttran3は、(−Tfric)から(+Tfric)に変化する。
ここで、補正器30の動作について説明する。図6に於いて、加速度センサ19により検出した車両の加速度Aが負の所定値以下になり、車両が急な減速をしている状態を検知したとする。尚、加速度Aは、負の値であれば減速、正の値であれば加速を意味する。急な減速を検知した場合、今回のステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1が、積分器17の出力である積分値Ttran3の絶対値を更に増加する方向に作用する場合には、補正器30はステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を零に補正する。
即ち、図5Bの(b)から(c)の状態への移行時に、積分器17の出力である積分値Ttran3が零から(‐Tfric)へ変化することを補正器30により抑制して積分器17の出力である積分値Ttran3を零に留め、又、図5Bの(d)から(a)の状態への移行時に、積分器17の出力である積分値Ttran3が零から(+Tfric)へ変化するのを補正器30により抑制して積分器17の出力を零に留める。換言すれば、補正器30は、車両が急な減速時には、摩擦遷移状態判定部13による摩擦の遷移状態の判定を抑制する。又、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を零に補正して積分器17で積分するため、積分器17の出力は不連続ではなく、積分器17の出力を連続的に補正できる。
以上のように、ステアリング軸反力トルク演算部12により演算したステアリング軸反力トルクTtranを微分器16と制限機能付きの積分器17で処理することにより、摩擦トルクの変化、即ち、動摩擦と静止摩擦の変化状態を判定することができる。更に、補正器30による処理を加えることで、車両が減速したことによって生じるステアリング軸反力トルクTtranの減少変化によって、運転者によるステアリングホィール1の操作に対応せずに摩擦遷移状態判定部13の摩擦遷移状態の判定が変化してしまうことを防止することができる。
乗算器18は、積分器17の制限値(±Tmax)の逆数を積分器17の出力である積分値Ttran3に乗算することで、摩擦遷移の状態、即ち、ステアリング軸反力トルクTtranのヒステリシス幅の変化状態を、(−1)から(+1)の値で正規化して出力する。即ち、図5A、図5Bの位置(a)から位置(b)への操舵では乗算器18は(+1)を出力し、位置(b)から位置(c)への切返し操舵では、乗算器18は(−1)〜(+1)を出力し、位置(c)から位置(d)の操舵では乗算器18は(−1)を出力し、位置(d)から位置(a)の切返し操舵では乗算器18は(−1)〜(+1)を出力する。
制限値(±Tmax)の設定としては、実測したステアリング機構に作用する摩擦トルクの前述の摩擦トルク幅(±Tfric)を用いればよい。尚、制限値(±Tmax)は一定値とする必要はない。摩擦トルク幅Tfricには、ステアリング機構の摩擦が影響するため、例えば、ステアリング機構の摩擦に関連する車速や操舵角度、操舵トルク、ステアリング軸反力トルクTtran、路面反力トルク、及び、周囲の温度のうちの少なくとも何れか一つに応じて変更するようにしてもよい。これにより、ステアリング軸反力トルクTtranのヒステリシス幅が変化した場合に於いても、精度良く、摩擦遷移状態を判定することができる。
次に、図3のステップS5では、アシスト指令値補正部14に於いて、摩擦遷移状態判定部13による摩擦遷移状態の判定結果と操舵トルクThd1とからアシスト指令補正値Cを演算する。
図7は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、アシスト指令値補正部14の構成を示すブロック図である。図7に於いて、アシスト指令値補正部14は、第1の補正値演算部20と、第2の補正値演算部21と、乗算器22、23とを備える。第1の補正値演算部20では、車速Vと操舵トルクThd1に応じて、アシスト指令補正値Cを演算するための第1の補正値D1を演算する。具体的には、例えば操舵トルクThd1と車速Vと第1の補正値D1との関係を定める第1の補正値マップを予め作成しておき、この第1の補正値マップから操舵トルクThd1と車速Vに応じた第1の補正値D1を読み出す。第1の補正値マップの例を図8に示す。即ち、図8は、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける、第1の補正値のマップを示す図である。
第1の補正値演算部20により、車速Vに応じてアシスト指令補正値Cを調整できるように構成することで、車速Vに応じた操舵トルクThd1のヒステリシス幅調整が可能になり、操舵フィーリングの最適化が可能になる。
第2の補正値演算部21は、基本アシスト指令値Bの補正を実施する領域を限定する。換言すれば、第2の補正値演算部21は、基本アシスト指令値Bの補正の可否を判断するための第2の補正値D2を演算する。ここでは、操舵トルクThd1の符号と、正規化した摩擦遷移状態判定部13からの摩擦トルクの遷移状態の判定結果を示す符号と、が異符号のときをアシスト補正実施領域と設定し、第2の補正値D2を「1」に設定する。それ以外の領域、つまり操舵トルクThd1の符号と、正規化した摩擦遷移状態判定部13からの摩擦遷移状態の判定結果を示す符号と、が同符号のときは、第2の補正値D2を「0」に設定する。
その結果、前述の図5Aに示す位置(b)から位置(c)の一部、位置(c)から位置(f)、位置(d)から位置(a)の一部、及び、位置(a)から位置(e)の領域で、第2の補正値D2は「1」に設定される。
乗算器22は、第1の補正値D1と第2の補正値D2を乗算し、第3の補正値D3として出力する。乗算器23は、第3の補正値D3と、正規化した摩擦遷移状態判定部13からの摩擦遷移状態の判定結果(−1)〜(+1)とを乗算し、アシスト指令補正値Cとして出力する。
次に、図3のステップS6では、減算器15において、基本アシスト指令値Bからアシスト指令補正値Cを減算し補正後電流指令値としての補正後アシスト指令値B1を得る。即ち、図7に示す乗算器23から正規化した摩擦遷移状態の判定結果(−1)〜(+1)と第3の補正値D3とを乗算したアシスト指令補正値Cが出力され、図2に示す減算器15により、切返し後の戻し操舵に於いて基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bがアシスト指令補正値Cにより増加するように補正され、補正後アシスト指令値B1として出力される。即ち、図5Aに示す位置(b)から位置(c)の一部、位置(c)から位置(f)、位置(d)から位置(a)の一部、及び、位置(a)から位置(e)の領域で、基本アシスト指令値Bが増加するように補正された補正後アシスト指令値B1が出力され、モータ5の電流が増加してモータ5の出力トルクが増大し、ステアリング機構に加えられる操舵補助トルクによるアシスト量は増加する。
次に、図3に於けるステップS7では、電流駆動部10に於いて、モータ5の電流が補正後電流指令値である補正後アシスト指令値B1に一致するように電流駆動信号Eを発生して電流を駆動し、モータ5は補正後電流指令値に対応する操舵補助トルクを発生する。
次に、この発明の実施の形態1による操舵制御装置に於ける効果について、従来の装置と対比して説明する。図17は、従来の装置に於ける操舵角と操舵トルクの特性を示す説明図である。図17に示すように、従来の装置に於いては、前述の特許文献1に記載の通り、ステアリング軸反力トルクはステアリング機構に作用する摩擦トルクの影響によりヒステリシス特性を有している。そのため、電動パワーステアリングによる操舵補助トルクを加えた後の操舵トルクにもヒステリシス特性が生じる。
従来の装置に於けるヒステリシス特性に於けるヒステリシス幅は、図17に矢印で示すように、操舵角と操舵トルクが大きくなるにつれ、操舵トルクのヒステリシス幅が減少する。操舵トルクのヒステリシス幅が小さくなると保舵状態を持続し難くなり、又、切戻すときに、切戻される感覚が強くなる等、操舵フィーリングが悪化するという課題を有する。特許文献1に開示された従来の装置は、このような課題に対し、ステアリング軸反力トルク検出部と路面反力トルク検出部との両方の検出器を用いて、ステアリング軸反力トルクを補正する補正値を演算し、操舵トルクのヒステリシス幅を調整するようにしている。
図18は、操舵トルクのヒステリシス幅調整を示す説明図である。前述の従来の装置のように、ステアリング軸反力トルク検出部と路面反力トルク検出部との両方の検出器を用いて、ステアリング軸反力トルクを補正する補正値を演算し、操舵トルクのヒステリシス幅を調整するようにすることで、図18に示すように、操舵トルクのヒステリシス幅を調整することができるとしている。
但し、路面反力トルクを用いる構成であるため、路面反力トルク検出部を備える必要があり、路面反力トルク検出部の取付スペースの確保や、取付工数の増加といった課題があった。又、検出器を備えずに路面反力トルクを推定する技術を適用する場合は、推定器で用いるパラメータの設計工数の増大や、推定器の演算負荷が増加する等の課題があった。更に、ステアリング軸反力トルクと路面反力トルクとを比較して操舵状態を判定する構成であるため、その判定に用いる路面反力トルクには、高精度な検出値、又は、高精度な推定値が要求されるという課題があった。
これに対し、この発明の実施の形態1による操舵制御装置によれば、路面反力トルクを用いず、ステアリング軸反力トルクTtranのみを用いて、アシスト指令補正値Cを演算することができるため、路面反力トルク検出部が不要でありその取付スペースを設ける必要なく、取付工数、路面反力トルク推定器の設計工数も生じない。又、この発明による操舵制御装置のマイコンでの演算負荷は、路面反力トルク推定器の演算負荷に比べて少ないため、演算負荷を削減できる効果もある。
又、ステアリング軸反力トルクTtranの演算は、トルクセンサ4により検出した操舵トルクThd1と、電流センサ8により検出したモータ電流Imを用いて行うので、精度の高いステアリング軸反力トルクTtranを得ることができ、摩擦遷移状態を精度良く判定することができる。
更に、この発明の実施の形態1による操舵制御装置によれば、操舵トルクThd1のヒステリシス幅は、ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態によって生じており、そのヒステリシス幅を補正するアシスト指令補正値Cを摩擦の遷移状態に基づいて演算できるため、違和感なく、操舵トルクThd1のヒステリシス幅を調整することができる。特に、乗算器23で、第3の補正値D3と正規化した摩擦遷移状態[(−1)〜(+1)]を乗算してアシスト指令補正値Cとすることで、アシスト指令補正値Cは、切返し領域で、零から連続的に付与することが可能となり、滑らかに操舵トルクThd1のヒステリシス幅を調整することが可能となる。
又、この発明の実施の形態1による操舵制御装置によれば、切増し時の操舵トルクや、中立点付近の操舵トルクを変化させずに,つまり、ステアリング機構のオンセンター感を変化させずに、切返し操舵から切戻し操舵に於いて操舵トルクを軽減し、操舵トルクのヒステリシス幅を増加することができる。
尚、従来の装置として、ステアリングホィールの回転方向、及び/又は、操舵速度に基づいて、アシスト指令補正値Cを演算する技術が、例えば特許文献2により提案されている。この従来の装置によれば、操舵トルクのヒステリシス幅はステアリング機構の摩擦トルクによるものであり、その動摩擦は操舵速度の方向に応じて作用するため、アシスト指令補正値Cがステアリングホィールの回転方向に基づく場合でも、動摩擦の状態を得ることができる。
しかしながら、このような従来の装置の場合、操舵速度と静止摩擦の関係は対応しないため、図5Aの位置(b)から位置(c)、及び、位置(d)から位置(a)に示す切返し操舵時の、動摩擦から静止摩擦、静止摩擦から動摩擦への、ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態を判定することが困難である。その結果、アシストトルク指令の補正に操舵速度を用いた場合、ステアリング機構に作用する摩擦トルクの変化に応じたアシスト指令補正値を付与することが困難であり、切返し領域で違和感が生じたり、急にアシスト指令補正値が付与されることによる振動が発生するという課題がある。又、そのような振動を抑制するためには、カットオフ周波数の低いローパスフィルタを用いて処理を実施する等の対策が必要となり、応答が遅れて、違和感となる課題がある。
これに対し、この発明の実施の形態1による操舵制御装置によれば、直接、ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態の変化を精度良く演算し、その変化に応じて、基本アシスト指令値の補正を実施するため簡単な構成の制御ロジックで、適切な操舵フィーリングの調整を実施することができる。更に、摩擦遷移状態判定部13に補正器30を備えることで、運転者が切返し操舵をしていないにもかかわらず、車両の急減速によりステアリング軸反力トルクが減少し、摩擦状態が戻し操舵による静止摩擦から動摩擦への遷移と判断してしまうことを防止することができる。
即ち、この発明の実施の形態1による操舵制御装置によれば、車両の急減速に於いても、摩擦遷移状態を精度良く判定することができる。その結果、運転者が切返し操舵をしていないにも関わらず、基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bがアシスト指令補正値Cにより増加することを防止できる。例えば、運転者が旋回中の急減速を実施した時に、基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bがアシスト指令補正値Cにより増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上できる。又、摩擦遷移状態は連続的に変化するため、アシスト指令補正値Cの減少も連続的に実施でき、滑らかな操舵を実現できる。尚、車両の急減速によりステアリング軸反力トルクTtranが減少する理由は、車速Vの減少に対し、路面反力トルクが減少する特性を有しているためである。
更に、この発明の実施の形態1による操舵制御装置の別の効果として、ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況に於ける、操舵フィーリングの改善を挙げることができる。従来の装置では、ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況に於いて、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように電流指令値を増加させた場合、切戻し操舵を早くしたい運転者にとって、切増し方向のアシストが増加するため、運転者にとって違和感になり、又、切戻し操舵が遅れてしまう課題があった。しかし、この発明の実施の形態1による操舵制御装置のように、カーブでの急減速で、アシスト指令補正値により電流指令値が増加することを抑制するようにしているので、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅の増加を抑制し、ステアリングホィールを中立点に戻りやすくすることができ、ワインディングロードでの運転をしやすくする効果がある。
尚、この発明の実施の形態1による操舵制御装置では、車両の加速度を加速度センサ19を用いて検出するようにしたが、その構成に限定するものではなく、車速センサ7により検出した車速を微分して車両の加速度を求めるようにしてもよい。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による操舵制御装置について説明する。この発明の実施の形態2による操舵制御装置では、摩擦遷移状態判定部の構成及び動作が前述の実施の形態1の場合と異なる。その他の構成及び動作については基本的には実施の形態1の場合と同様であり、実施の形態1と共通する構成については、それと同一の符号を用いることとする。以下の説明では、実施の形態1と異なる摩擦遷移状態判定部の構成と動作を主体に説明する。
図9は、この発明の実施の形態2による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。図9に於いて、摩擦遷移状態判定部13に設けられている補正器30は、加速度センサ19により検出された車両の加速度Aに応じて、乗算器18からの摩擦遷移状態判定値[(−1)〜(+1)]を補正する構成となっている。加速度センサ19で検出した車両の加速度Aが負の所定値以下になり、車両が急な減速をしている状態を検知した場合、摩擦遷移状態判定値に「1」より小さい補正ゲインαを乗算して摩擦遷移状態判定値が小さくなるように補正する。その結果、図7に示す乗算器23により、第3の補正値D3と、補正後の摩擦遷移状態判定値α[(−1)〜(+1)]とを乗算し、アシスト指令補正値Cとするため、アシスト指令補正値Cは通常より小さく設定することができる。その結果、この発明の実施の形態2による操舵制御装置に於いても、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による操舵制御装置について説明する。この発明の実施の形態3による操舵制御装置では、摩擦遷移状態判定部と、アシスト指令値補正部の構成と動作が前述の実施の形態1及び実施の形態2の場合とは異なる。その他の構成及び動作については基本的には実施の形態1、及び実施の形態2の場合と同様であり、それ等と共通する構成については、それと同一の符号を用いることとする。以下の説明では、摩擦遷移状態判定部と、アシスト指令値補正部の構成と動作を主体に説明する。
図10は、この発明の実施の形態3による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図、図11は、この発明の実施の形態3による操舵制御装置に於ける、アシスト指令値補正部の構成を示すブロック図である。この発明の実施の形態3による操舵制御装置は、前述の実施の形態1、実施の形態2の場合と異なり、加速度に応じて補正値を変化させる補正器30が、アシスト指令値補正部14に設けられており、アシスト指令補正値を加速度に応じて補正する構成となっている。
即ち、図11に於いて、補正器30は、加速度センサ19により検出した車両の加速度Aが負の所定値以下になり、車両が急な減速をしている状態を検知した場合、アシスト指令補正値Cに「1」より小さい補正ゲインαを乗算し、摩擦遷移状態判定値Cを小さくように補正して補正後アシスト指令補正値C1を出力する。その結果、アシスト指令補正値Cを通常より小さくした補正後アシスト指令補正値C1により基本アシスト指令値Bを補正することができ、実施の形態3の構成おいても、実施の形態1及び実施の形態2に於ける効果と同様の効果を奏することができる。
尚、この発明の実施の形態3による操舵制御装置によれば、特許文献1や特許文献2のように摩擦遷移状態判定部13を備えない構成に於いても、ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況に於いて、アシスト指令補正値、及び、電流指令値の増加を抑制することができ、操舵フィーリングを向上させることができる。
図12は、この発明の実施の形態3による加速度に対する補正ゲインのマップを示す図である。補正ゲインαは、図12に示すように車両の走行が急減速であるほど、補正ゲインを小さく設定するようにしてもよい。又、補正ゲインが急変しないように、補正ゲインにローパスフィルタ処理を施すようにしてもよい。これにより、アシスト指令補正値を滑らかに減少させることができる。
実施の形態4.
次に、この発明の実施の形態4による操舵制御装置について説明する。図13は、この発明の実施の形態4による操舵制御装置を示す構成図、図14は、この発明の実施の形態4による操舵制御装置の要部を示すブロック図である。前述の実施の形態1、又は、実施の形態2と共通する構成については、同一の符号を付している。以下では、実施の形態1、又は、実施の形態2の場合と異なる点であるところの摩擦遷移状態判定部13の動作について主に説明する。
前述の実施の形態1、及び、実施の形態2に於いては、加速度センサ19を備え、この加速度センサ19により検出した車両の加速度に応じて、アシスト指令補正値Cを補正する構成であったが、この実施の形態4による操舵制御装置は、図13に示すように操舵速度センサ31を備え、操舵速度センサ31によりステアリングホィール1の操舵方向を判定し、その判定結果に応じて、アシスト指令補正値Cを補正するようにしており、この点が実施の形態1及び実施の形態2の場合と異なる。
図15は、この発明の実施の形態4による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。図15に於いて、摩擦遷移状態判定部13に設けられた補正器30は,操舵速度センサ31 により検出した操舵速度Fの絶対値が所定値以上で、且つ、操舵速度Fの符号とステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1の符号が異符号である状態のときに、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を零に補正する。
図5Aの位置(a)から位置(b)への操舵では、操舵速度Fは正となる。このとき、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1も正になる。但し、車両が急な減速をしたことによって、路面反力トルクが減少した場合、ステアリング軸反力トルクTtranも減少し、ステアリング軸反力トルクの変化量が負になる場合がある。このような状況を判定し、ステアリング軸反力トルクの変化量Ttran1を零に補正して制限機能付きの積分器17により処理して積分Ttran3として出力することにより、車両が急な減速による路面反力トルクの変化に影響を受けずに、摩擦トルクの変化、すなわち、動摩擦と静止摩擦の変化状態を判定することができる。
この発明の実施の形態4による操舵制御装置によれば、運転者が切増し操舵中に、車両の急減速によりステアリング軸反力トルクが減少し、摩擦状態が戻し操舵による静止摩擦から動摩擦への遷移と判断してしまうことを防止することができる。その結果、運転者が切返し操舵をしていないにも関わらず、基本電流指令値としての基本アシスト指令値Bがアシスト指令補正値Cにより増加することを防止することができる。例えば、運転者が旋回中の急減速を実施したときに、基本電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上させることができる。
尚、この実施の形態4では、操舵速度センサ31を用いたが、その構成に限定されるものではない。例えば、ステアリングホィール1に備え付けた操舵角度センサや、モータ5のモータ回転角度を微分して操舵速度を演算するようにしてもよい。又、モータ5の誘起電圧等から、操舵速度を推定してもよい。
実施の形態5.
次に、この発明の実施の形態5による操舵制御装置について説明する。この発明の実施の形態5による操舵制御装置は、摩擦遷移状態判定部の構成が前述の実施の形態4の場合とは異なる。図16は、この発明の実施の形態による操舵制御装置に於ける、摩擦遷移状態判定部の構成を示すブロック図である。前述の実施の形態1、実施の形態2、又は実施の形態3、実施の形態4による操舵制御装置と共通する構成については、それと同一の符号を付してある。以下、実施の形態4と異なる点であるところの摩擦遷移状態判定部13の動作について主に説明する。
図16に於いて、補正器30で、摩擦遷移状態判定部13に於ける乗算器18の後段に設けられており、摩擦遷移状態判定値[(−1)〜(+1)]に「1」より小さいゲインαを乗算することにより、摩擦遷移状態判定値[(−1)〜(+1)]を補正する。補正器30は、操舵速度センサ31により検出した操舵速度Fの絶対値が所定値以上で、且つ、操舵速度の符号とステアリング軸反力トルクの変化量の符号が異符号である状態のとき、ゲインαにより摩擦遷移状態判定値[(−1)〜(+1)]を小さくするように補正する。
その結果、乗算器23にて、第3の補正値D3と補正後の摩擦遷移状態判定値とを乗算してアシスト指令補正値Cとするため、アシスト指令補正値Cは通常より小さく設定できる。その結果、実施の形態5の構成於いても、実施の形態4の場合と同様の効果を得ることができる。
尚、この発明の実施の形態5による操舵制御す位置では、補正器30を乗算器18の後段に置いたが、この構成に限定する必要はない。例えば、アシスト指令値補正部14にて、最終的に演算されるアシスト指令補正値Cを補正器30の判定結果に応じて、減少するように補正する構成でもよい。
この発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変更、省略することが可能である。
以上述べたこの発明の実施の形態1から5に記載の操舵制御装置は、以下に記載の発明のうちの少なくとも一つを具体化したものである。
(1)車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
前記ステアリング機構のステアリング軸に作用するステアリング軸反力トルクを検出、又は、演算するステアリング軸反力トルク演算部と、
少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて前記モータに供給するモータ電流に対する電流指令値となる基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
前記ステアリング軸反力トルクに基づいて、前記ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態を判定する摩擦遷移状態判定部と、
前記摩擦遷移状態判定部の判定結果に基づき、切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
前記アシスト指令補正値により前記基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
を備え、
前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記アシスト指令補正値を補正するように構成されている、
ことを特徴とする操舵制御装置。
この発明によれば、路面反力トルクを用いる必要がなく、摩擦遷移状態を精度良く判定できる。その結果、路面反力トルク検出器を備える必要がなく、省スペース化や、取付工数を削減できる。さらに、路面反力トルク推定器を備える必要もなく、設計工数の削減や、演算負荷の軽減といった従来にない顕著な効果を奏するものである。又、摩擦遷移状態を精度良く判定できるため、操舵トルクのヒステリシス幅を安定して自由に調整することが可能になると共に、運転者が旋回中の急減速を実施した時に、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上できる。ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況に於いては、カーブでの急減速で、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅の増加を抑制し、ステアリングホィールを中立点に戻りやすくすることができる。
(2)前記車両の加速度が所定値に達したとき、前記摩擦遷移状態判定部の判定結果を補正することにより、前記電流指令値を減少させるように構成されている、
ことを特徴とする上記(1)に記載の操舵制御装置。
この発明によれば、車両が減速したことによって生じるステアリング軸反力トルクの減少変化によって、運転者がステアリングホィールを操作に対応せず、摩擦遷移状態判定部の摩擦遷移状態判定が変化してしまうことを防止することができる。
(3)前記ステアリング機構の操舵速度を検出する操舵速度検出部を備え、
前記切返し操舵時に於いて、前記ステアリング軸反力トルクの変化量が正であるか負であるかを示す符号と、前記操舵速度検出部により検出された操舵速度が正であるか負であるかを示す符号と、が異符号である場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記基本アシスト指令値を補正するように構成されている、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の操舵制御装置。
この発明によれば、運転者が切増し操舵中に、車両の急減速によりステアリング軸反力トルクが減少し、摩擦状態が戻し操舵による静止摩擦から動摩擦への遷移と判断してしまうことを防止できる。その結果、運転者が切返し操舵をしていないにも関わらず、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを防止できる。
(4)前記切返し操舵時に於いて、前記ステアリング軸反力トルクの変化量の前記符号と、前記操舵速度の前記符号と、が異符号である場合に、前記摩擦遷移状態判定部の判定結果を補正することにより、前記電流指令値を減少させるように構成されている、
ことを特徴とする上記(3)に記載の操舵制御装置。
この発明によれば、運転者が切増し操舵中に、車両の急減速によりステアリング軸反力トルクが減少し、摩擦状態が戻し操舵による静止摩擦から動摩擦への遷移と判断してしまうことを防止できる。その結果、運転者が切返し操舵をしていないにも関わらず、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを防止できる。
(5)車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
前記運転者による切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
前記アシスト指令補正値によって基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータに供給するモータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
を備え、
前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように補正するように構成されている、
ことを特徴とする操舵制御装置。
この発明によれば、運転者が旋回中の急減速を実施した時に、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、操舵トルクが軽くなることを抑制でき、操舵フィーリングを向上できる。ワインディングロードのような急減速と急な切返し操舵が必要な状況においては、カーブでの急減速で、電流指令値がアシスト指令補正値により増加することを抑制することで、切返し操舵から切戻し操舵での操舵トルクのヒステリシス幅の増加を抑制し、ステアリングホイールを中立点に戻りやすくすることができる。
1 ステアリングホィール、2 ステアリング軸、3 転舵輪、4 トルクセンサ、5 モータ、6 減速機構、7 車速センサ、8 電流センサ、9 制御ユニット、10 電流駆動部、11 基本アシスト指令値演算部、12 ステアリング軸反力トルク演算部、13 摩擦遷移状態判定部、14 アシスト指令値補正部、15 減算器、16 微分器、17 積分器、18 乗算器、19 加速度センサ、30 補正器、31 操舵速度センサ。

Claims (5)

  1. 車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
    前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
    前記ステアリング機構のステアリング軸に作用するステアリング軸反力トルクを検出、又は、演算するステアリング軸反力トルク演算部と、
    少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて前記モータに供給するモータ電流に対する電流指令値となる基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
    前記ステアリング軸反力トルクに基づいて、前記ステアリング機構に作用する摩擦トルクの遷移状態を判定する摩擦遷移状態判定部と、
    前記摩擦遷移状態判定部の判定結果に基づき、切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
    前記アシスト指令補正値により前記基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
    を備え、
    前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記アシスト指令補正値を補正するように構成されている、
    ことを特徴とする操舵制御装置。
  2. 前記車両の加速度が所定値に達したとき、前記摩擦遷移状態判定部の判定結果を補正することにより、前記電流指令値を減少させるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の操舵制御装置。
  3. 前記ステアリング機構の操舵速度を検出する操舵速度検出部を備え、
    前記切返し操舵時に於いて、前記ステアリング軸反力トルクの変化量が正であるか負であるかを示す符号と、前記操舵速度検出部により検出された操舵速度が正であるか負であるかを示す符号と、が異符号である場合に、前記電流指令値を減少させるように、前記アシスト指令補正値を補正するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記切返し操舵時に於いて、前記ステアリング軸反力トルクの変化量の前記符号と、前記操舵速度の前記符号と、が異符号である場合に、前記摩擦遷移状態判定部の判定結果を補正することにより、前記電流指令値を減少させるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の操舵制御装置。
  5. 車両の運転者により操舵されるステアリング機構の操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記車両の加速度を検出する加速度検出部と、
    前記ステアリング機構に操舵補助力を付与するモータと、
    少なくとも、前記操舵トルク検出部により検出された操舵トルク及び前記車速検出部により検出された車速に基づいて基本アシスト指令値を演算する基本アシスト指令値演算部と、
    前記運転者による切返し操舵時の操舵トルクのヒステリシス幅を増加するように前記基本アシスト指令値を補正するためのアシスト指令補正値を演算するアシスト指令値補正部と、
    前記アシスト指令補正値によって基本アシスト指令値を補正して得た電流指令値が入力され、前記モータに供給するモータ電流が前記電流指令値に一致するように前記モータ電流を制御する電流駆動部と、
    を備え、
    前記切返し操舵時に於いて前記車両の加速度が所定値に達した場合に、前記電流指令値を減少させるように補正するように構成されている、
    ことを特徴とする操舵制御装置。
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