以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機及び紙幣入出金機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、利用者(すなわち金融機関の顧客)との間で入金処理や出金処理等の現金に関する取引を行うようになっている。
筐体2は、その前側に顧客が対峙した状態で紙幣の投入やタッチパネルによる操作等をしやすい箇所に顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、顧客との間で例えば現金やカード等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行うようになされており、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7、及びレシート発行口8が設けられている。
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入または排出される部分である。カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客によって入金される紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される。また入出金口5は、シャッタを駆動することにより開放又は閉塞するようになっている。因みに紙幣は、例えば長方形の紙により、紙葉状に形成されている。
操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチセンサとが一体化されたタッチパネルとなっている。テンキー7は、「0」〜「9」の数字等の入力を受け付ける物理キーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。因みにレシート発行口8の奥側には、レシートに取引内容等を印字するレシート処理部(図示せず)が設けられている。
以下では、現金自動預払機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統括制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、入金処理や出金処理等の種々の処理を行う。また主制御部9は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
紙幣入出金機10は、図2に模式的な側面図を示すように、内部に媒体としての紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。紙幣入出金機10は、大きく分けて、上下方向のほぼ中央よりも上側部分を占める上部ブロック10Uと、その下側部分を占める下部ブロック10Lとにより構成されている。
上部ブロック10Uには、全体を統括制御する紙幣制御部11、顧客との間で紙幣を授受する入出金部12、紙幣を各部へ搬送する搬送部13、紙幣を鑑別する鑑別部14及び紙幣を一時的に収納する一時保留部15が設けられている。
紙幣制御部11は、主制御部9と同様、図示しないCPUを中心に構成されており、図示しないROMやフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、紙幣の搬送先を決定する処理や各部の動作を制御する処理等、種々の処理を行う。また紙幣制御部11は、内部にRAM及びフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
入出金部12は、上部ブロック10U内における前上部に位置している。この入出金部12は、利用者から受け取った紙幣を内部に収容し、1枚ずつに分離して搬送部13に引き渡す。また入出金部12は、搬送部13により搬送されてきた紙幣を内部に集積してから利用者に引き渡す。
搬送部13は、上部ブロック10U内における下端部分に位置しており、全体的に上下方向に薄く前後方向に細長い形状となっている。この搬送部13内には、紙幣を案内する搬送ガイドや多数の回転するローラ等が適宜配置されており、紙幣の短辺を進行方向に沿わせて、主に前後方向へ搬送させるような直線状の搬送路が形成されている。
搬送部13は、図3に拡大図を示すように、大きく分けて、中央付近に配置された一時保留切替部20と、当該一時保留切替部20の前側及び後側にそれぞれ配置された前搬送部21及び後搬送部22により構成されている。一時保留切替部20は、紙幣制御部11の制御に基づき、前搬送部21、後搬送部22及び一時保留部15の間で紙幣を搬送するよう、紙幣の搬送経路を切り替える。
また搬送部13内には、一時保留切替部20の他に複数の切替部が配置されている。各切替部は、回動可能なブレード(図中に三角形で示す)及びその周囲に配置された回転可能な複数のローラ(図示せず)により構成されている。この切替部は、紙幣制御部11の制御に従い、各紙幣の搬送先に応じてブレードの傾斜方向を変化させると共に各ローラを所定の回転方向へ回転させることにより、紙幣の搬送方向を適宜切り替えて所望の搬送先へ搬送する。
前搬送部21内には、前方から順に、リジェクト切替部24、鑑別部14及び切替部25が直列に配置されると共に、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されており、全体として前後方向に沿った概ね直線状の前搬送路31が形成されている。リジェクト切替部24及び切替部25は、それぞれ紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。
後搬送部22内には、後方から順に、切替部27、28及び29がほぼ直列に配置されており、前搬送部21と同様、これらの間が比較的短い搬送短路によりそれぞれ接続されることで、全体として前後方向に沿った概ね直線状の後搬送路32が形成されている。切替部27〜29は、それぞれ紙幣制御部11の制御に基づき、紙幣の搬送経路を適宜切り替えるようになっている。
鑑別部14は、前搬送部21内に組み込まれており、紙幣の搬送経路上で入出金部12と一時保留切替部20との間に位置している。この鑑別部14は、内部に複数種類のセンサが組み込まれており、搬送される紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を認識し、その認識結果を紙幣制御部11へ送出する。
一時保留部15(図2)は、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで当該紙幣を収納し、またこの周側面から当該テープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
下部ブロック10Lは、その全ての周側面が頑強な金庫筐体10Sにより覆われている。この金庫筐体10Sの内部には、後側から前側へ向けて、5個の紙幣収納庫16(16A、16B、16C、16D及び16E)並びにリジェクト庫17が設けられている。因みに紙幣収納庫16及びリジェクト庫17は、金庫筐体10Sに対し着脱可能に構成されている。
各紙幣収納庫16は、何れも同様に構成されており、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。紙幣収納庫16は、搬送部13により紙幣が搬送されてくると、当該紙幣を内部に集積して収納する。また紙幣収納庫16は、紙幣制御部11から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、内部に集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部13に引き渡す。
リジェクト庫17は、上下方向に長い直方体状に形成されると共に内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫17は、鑑別部14及び紙幣制御部11により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣(いわゆるリジェクト紙幣)が搬送部13により搬送されてくると、当該紙幣を内部に収納する。
[1−2.紙幣の搬送]
次に、現金自動預払機1により利用者(金融機関の顧客)との間で入金取引及び出金取引が行われる場合における、紙幣入出金機10内での入金処理及び出金処理について説明する。このうち入金処理については、前段の入金計数処理と、後段の入金収納処理に分けて説明する。
[1−2−1.入金計数処理]
紙幣入出金機10は、入金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、先に入金された紙幣の金種等を鑑別しながら枚数を計数する入金計数処理を行い、次に紙幣を適切な収納箇所へ搬送して収納する入金収納処理を行うようになっている。
具体的に紙幣制御部11は、例えば顧客により操作表示部6(図1)を介して入金処理を開始する旨の操作入力を受け付けると、入金計数処理を開始し、入出金部12の内部へ紙幣を投入させて1枚ずつに分離し、搬送部13へ順次引き渡す。
搬送部13は、入出金部12から受け取った紙幣をリジェクト切替部24及び前搬送部21により後方へ順次搬送し、前搬送路31に沿って後方へ進行させながら、鑑別部14により各紙幣を順次鑑別し、後側の一時保留切替部20へ順次引き渡す。このとき鑑別部14は、得られた鑑別結果を紙幣制御部11へ送出する。
紙幣制御部11は、取得した鑑別結果を基に、各紙幣における損傷の程度や金種、或いは真偽を判断する。次に紙幣制御部11は、各紙幣について、正常な紙幣として認識できた場合は以降の処理を継続できる入金受入紙幣であると判断し、正常な紙幣として認識できない場合は、一度顧客に返却すべき入金リジェクト紙幣であると判断する。さらに紙幣制御部11は、入金受入紙幣について、正常であり再利用可能な紙幣については金種ごとの各紙幣収納庫16を、損傷の程度が大きいリジェクト紙幣についてはリジェクト庫17を、それぞれ最終的な搬送先として決定し、記憶しておく。
続いて紙幣制御部11は、紙幣の判断結果に応じて一時保留切替部20による紙幣の搬送先を切り替えることにより、入金受入紙幣を一時保留部15へ搬送して収納させ、また入金リジェクト紙幣を後搬送部22内へ進行させて後搬送路32内に貯留させる。やがて紙幣制御部11は、入出金部12から全ての紙幣を取り込み終えると、後搬送部22の後搬送路32内に入金リジェクト紙幣が貯留されていれば、これを顧客に返却し、必要に応じて再投入させる。
一方、紙幣制御部11は、後搬送部22の後搬送路32内に入金リジェクト紙幣が貯留されていなければ、入金計数処理を完了する。このとき紙幣制御部11は、入出金部12から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果を基に入金額を算出すると共に、所定の操作指示画面を操作表示部6に表示し、この入金額を顧客に提示すると共に入金処理を継続するか否かを顧客に選択させる。ここで紙幣制御部11は、顧客により入金処理の中止が指示された場合、一時保留部15に保留している全ての紙幣を搬送部13により入出金部12へ搬送して顧客に返却する。
このように紙幣入出金機10は、入金計数処理において、顧客から入金された紙幣を一時保留部15内に収納するようになっている。
[1−2−2.入金収納処理]
紙幣制御部11は、顧客により入金処理の継続が指示された場合、入金収納処理を開始する。具体的に紙幣制御部11は、まず一時保留部15において操出処理を開始し、収納している紙幣(入金受入紙幣)を順次繰り出し、一時保留切替部20へ受け渡す。
このとき紙幣制御部11は、入金計数処理において決定された紙幣毎の搬送先に応じて、一時保留切替部20による紙幣の搬送経路を切り替える。具体的に一時保留切替部20は、紙幣の搬送先がリジェクト庫17又は紙幣収納庫16Eであれば、当該紙幣を前搬送部21へ受け渡す。また一時保留切替部20は、紙幣の搬送先が紙幣収納庫16A〜16Dであれば、当該紙幣を後搬送部22へ受け渡す。
さらに紙幣制御部11は、各紙幣の搬送先に応じて前搬送部21及び後搬送部22の各切替部を適宜制御することにより、再利用すべき通常の紙幣を金種ごとに分類して各紙幣収納庫16に収納させ、また再利用すべきで無いリジェクト紙幣をリジェクト庫17に収納させる。
このように紙幣入出金機10は、入金収納処理において、一時保留部15に収納していた紙幣を紙幣収納庫16又はリジェクト庫17へ搬送して収納させる。
[1−2−3.出金処理]
紙幣入出金機10は、出金処理において、紙幣制御部11の制御に基づき、指定された金額に応じた金種及び枚数の紙幣を出金する出金処理を行うようになっている。以下では、紙幣収納庫16A〜16Dに収納されている紙幣を出金する場合を例に説明する。
紙幣制御部11は、顧客から操作表示部6(図1)を介して出金額を含む所定の操作入力を受け付け、出金額に応じた紙幣の金種及び枚数を決定する。続いて紙幣制御部11は、決定した金種及び枚数に応じて、各紙幣収納庫16内に収納されている紙幣を順次繰り出し、搬送部13に順次受け渡す。
搬送部13は、前搬送部21内を前方へ向けて進行する紙幣の走行状態を鑑別部14により鑑別し、その鑑別結果を紙幣制御部11(図2)へ送出する。紙幣制御部11は、紙幣の走行状態に応じてリジェクト切替部24を切り替え、当該走行状態に問題が無ければ入出金部12へ進行させ、例えば重送のように搬送状態に問題があればリジェクト庫17へ進行させて、それぞれ紙幣を収納させる。やがて紙幣制御部11は、出金額に応じた全ての紙幣を入出金部12へ搬送し終えると、顧客に取り出させる。
[1−3.装着部及び固定ガイドの構成]
図3の一部を拡大した図4(A)及び(B)に示すように、搬送部13の後搬送部22において、主搬送路としての後搬送路32は、後端近傍を下方へ向けて屈曲させている。具体的に後搬送路32は、水平部33、湾曲部34及び垂直部35により構成されている。水平部33は、前方の一時保留切替部20(図3)側から後搬送部22の後端よりもやや前側までの範囲に設けられ、後搬送部22における上下のほぼ中央に、概ね前後方向に沿った直線状に形成されている。
湾曲部34は、水平部33の後端から後下方へ向けて湾曲しており、円周の約1/4に相当する円弧状に形成されている。説明の都合上、以下では、水平部33と湾曲部34との接続箇所を接続箇所P1とも呼ぶ。湾曲部34の後下端には、垂直部35が接続されている。垂直部35は、上下方向に沿った直線状に形成されている。
後搬送部22は、後搬送路32において紙幣を搬送する空間(以下これを搬送空間とも呼ぶ)の両側に、当該紙幣の移動範囲を規制する搬送ガイドを、当該後搬送路32に沿って配置している。例えば水平部33は、上側の搬送ガイド33Aと下側の搬送ガイド33Bとの間に、紙幣を搬送するための搬送空間を形成している。これと同様に後搬送路32の湾曲部34及び垂直部35も、互いに対向する搬送ガイドと、両搬送ガイドに挟まれた搬送空間とによりそれぞれ構成されている。ただし湾曲部34については、後搬送部22側に下側ないし前側の搬送ガイド34Bのみが設けられている。
搬送ガイドは、紙幣を案内する案内面を搬送空間に露出させている。すなわち後搬送路32は、互いの案内面を対向させた2の搬送ガイドにより挟まれた部分を、搬送空間としている。因みに後搬送部22には、搬送ガイドの他、紙幣に駆動力を伝達するローラ41、42、43及び44や搬送ベルト(図示せず)等も適宜設けられている。これらのローラは、搬送ガイドに適宜設けられた孔部から、その一部を搬送空間内に露出させ、当該搬送空間内の紙幣に当接して駆動力を伝達するようになっている。
さらに後搬送部22には、接続箇所P1において、追加搬送路36が接続されている。追加搬送路36は、湾曲部34及び垂直部35を接合させて上下方向に反転させたような形状となっている。ただし後搬送部22側には、紙幣を搬送するための搬送空間における前側ないし上側の部分を形成する搬送ガイド36Aのみが設けられている。
ところで後搬送部22における後端近傍、すなわち接続箇所P1よりも後方であって、上側の約2/3の範囲には、装着部30が形成されている。装着部30における前面部分のうち、接続箇所P1よりも上側の範囲は、搬送ガイド36Aとなっている。また装着部30における前面部分のうち、接続箇所P1よりも下側の範囲は、湾曲部34の搬送ガイド34Bとなっている。さらに装着部30の前下端は、湾曲部34及び垂直部35の接続部分となっている。
この装着部30は、図4(A)に示したように固定ガイド50が取り付けられ、又は図4(B)に示すように当該固定ガイド50が取り外される。すなわち固定ガイド50は、装着部30に対し着脱可能に構成されている。
固定ガイド50は、全体として直方体状に形成されており、前後方向、上下方向及び左右方向の長さが装着部30に合わせて設計されている。固定ガイド50における前面の上側約2/3の範囲には、前上部51が形成されている。この前上部51は、追加搬送路36の搬送ガイド36Aと対応する形状の曲面となっている。
また固定ガイド50における前面の下側約1/3の範囲には、固定搬送ガイドとしての搬送ガイド52が形成されている。この搬送ガイド52は、後搬送部22における湾曲部34の搬送ガイド34Bと対応する湾曲面を形成している。さらに固定ガイド50の後面53は、平坦な平面状に形成されている。
この固定ガイド50は、図4(A)に示したように後面53を後搬送部22の後端に揃えて装着部30に装着された場合、後搬送路32における湾曲部34の搬送ガイド34Bと搬送ガイド52との間に隙間、すなわち搬送空間を形成する。また搬送ガイド52は、その前上端を水平部33における搬送ガイド33Aの後端と接続させると共に、その後下端を垂直部35における搬送ガイド35Aの上端と接続させる。すなわち搬送ガイド52は、後搬送部22の搬送ガイド34Bと共に、後搬送路32の湾曲部34を構成する。
このため、装着部30に固定ガイド50が装着された後搬送部22は、前方から後搬送路32の水平部33に沿って搬送されてきた紙幣を、湾曲部34に沿って後下方へ進行させた後、垂直部35に沿って下方へ搬送することができる。また後搬送部22は、下方から垂直部35に沿って搬送されてきた紙幣を、湾曲部34に沿って前上方へ進行させた後、水平部33に沿って前方へ搬送することができる。
一方、後搬送部22は、装着部30に固定ガイド50が装着されている場合、前上部51を搬送ガイド36Aにほぼ密接させている。すなわち後搬送部22は、搬送ガイド36Aの後側に搬送空間を形成していないため、追加搬送路36により紙幣を搬送できない状態、若しくは追加搬送路36を形成していない状態となっている。
また後搬送部22は、接続箇所P1において、追加搬送路36へ向かう搬送経路を搬送ガイド52の前端部分により閉塞している。このため後搬送部22は、装着部30に固定ガイド50が装着されている場合、当該装着部30の近傍において、紙幣を追加搬送路36へ搬送すること無く、後搬送路32のみに沿って紙幣収納庫16A(図2)へ搬送する。
[1−4.追加ユニットの構成及び装着部への装着]
ところで装着部30には、固定ガイド50に代えて、図5に示す追加ユニット60を装着し得るようになっている。追加ユニット60は、全体として、従来の追加ユニット360(図14)とほぼ同様に構成された直方体状の部分と、この直方体における下面の後端近傍から下方へ突出した部分とにより構成されている。追加ユニット60における直方体状に形成された部分は、前側の追加収納部61及び後側の上追加搬送部62により構成されている。また上追加搬送部62の下側から下方へ突出した部分は、切替追加搬送部63となっている。
追加収納部61には、その内部に直方体状の空間を有する追加収納庫61Sが設けられている。この追加収納庫61Sは、紙面を上下に向けた紙幣を集積して内部に収納し得るようになっている。上追加搬送部62は、紙幣を搬送する上追加搬送路65を中心に構成されている。上追加搬送路65は、下端から上端近傍までの部分が上下方向に沿った直線状に形成されており、上端近傍において前方へ向けて湾曲されている。この上追加搬送路65は、上前側の端部が追加収納庫61Sの後面上端近傍と接続され、下側の端部が切替追加搬送部63と接続されている。
また上追加搬送部62には、上追加搬送路65を挟むようにして3対のローラ対66、67及び68が設けられている。ローラ対66は、上追加搬送路65の下端近傍に設けられており、当該上追加搬送路65の前後にそれぞれ配置されたローラ66A及び66Bにより構成されている。ローラ対67は、上追加搬送路65における上下方向の中程に設けられており、当該上追加搬送路65の前後にそれぞれ配置されたローラ67A及び67Bにより構成されている。
ローラ対68は、上追加搬送路65における追加収納庫61Sとの接続箇所近傍に設けられており、当該上追加搬送路65の下側及び上側にそれぞれ配置されたローラ68A及び68Bにより構成されている。ローラ66B、67B及び68Bは、図示しないモータから駆動力が伝達されており、図の時計回り又は反時計回りへ回転することにより、ローラ66A、67A及び68Aとの間で紙幣を挟持し、駆動力を伝達して上追加搬送路65に沿って進行させる。
切替追加搬送部63は、全体として固定ガイド50(図4)と同様の直方体状に構成されている。切替追加搬送部63の前側には、固定ガイド50の前上部51及び搬送ガイド52とそれぞれ対応する搬送ガイド71及び搬送ガイド72が設けられている。また切替追加搬送部63の後側には、後面53と対応する後面73が形成されている。
搬送ガイド72は、搬送ガイド52と概ね同様の湾曲面となっているものの、後面73を基準とした前端の位置が、当該搬送ガイド52よりも後方となっており、その全長が当該搬送ガイド52よりもやや短くなっている。搬送ガイド71は、概ね前上部51と同様の曲面を形成しているものの、後面73に対して、当該前上部51よりも後方に位置している。
また切替追加搬送部63には、上追加搬送部62におけるローラ66Bのほぼ真下となる箇所に、ローラ75が設けられている。ローラ75は、その前端近傍を搬送ガイド71よりも前方へ突出させている。
搬送ガイド71及び搬送ガイド72の接続箇所近傍には、切替器77が設けられている。切替器77は、図6に示すように、回動軸81、複数のブレード82及びアクチュエータ83により構成されている。回動軸81は、左右方向に沿った細長い円柱状に形成されており、切替追加搬送部63のフレーム(図示せず)により回動可能に支持されている。
各ブレード82は、何れも同様に構成されており、左右方向に薄い板状であり、且つ左右方向から見て三角形状に形成されている。回動軸81には、複数のブレード82が、左右方向に適宜間隔を空けながら、板面を貫通するように固定されている。このためブレード82は、切替追加搬送部63のフレームに対し、回動軸81と一体に回動することができる。
アクチュエータ83は、内部に電磁石等が組み込まれており、電力が供給されると、出力軸83Aを回動させる。この出力軸83Aは、回動軸81の右端と連結されている。このためアクチュエータ83は、電力が供給されると、出力軸83Aに連結された回動軸81及び当該回動軸81に取り付けられたブレード82を一体に回動させることができる。
このように追加ユニット60は、従来の追加ユニット360に相当する追加収納部61及び上追加搬送部62に加えて、搬送ガイド71、搬送ガイド72及び切替器77等を有する切替追加搬送部63が設けられた構成となっている。
紙幣入出金機10は、追加ユニット60が後搬送部22に取り付けられる場合、図4(B)に示したように装着部30から固定ガイド50が取り外された後、図7に示すように、当該装着部30に切替追加搬送部63を装着するようにして、後搬送部22の上側における後端近傍に追加ユニット60が取り付けられる。
このとき切替追加搬送部63の搬送ガイド71及び搬送ガイド72は、後搬送部22側の搬送ガイド36A及び搬送ガイド34Bとの間に、後搬送路32と同程度の隙間を形成する。また追加搬送ローラとしてのローラ75は、切替搬送ローラとしてのローラ44と当接する。さらに切替器77は、接続箇所P1のほぼ真後ろに位置する。因みにアクチュエータ83(図6)は、図示しない配線ケーブル等により、紙幣制御部11と電気的に接続される。
これにより後搬送部22及び追加ユニット60は、後搬送路32の接続箇所P1と上追加搬送部62における上追加搬送路65の下端との間を結ぶようにして、紙幣を搬送し得る追加搬送路36を追加的に構成する。換言すれば、追加ユニット60は、追加搬送路36及び上追加搬送路65により、接続箇所P1と追加収納庫61Sとを結ぶ搬送経路を構成できる。
また切替器77は、後搬送路32の水平部33から搬送されてきた紙幣の搬送経路を、紙幣制御部11の制御に基づいて後搬送路32の湾曲部34側又は追加搬送路36側に切り替える。これにより切替器77は、当該紙幣の搬送先を紙幣収納庫16A(図2)又は追加ユニット60の追加収納庫61Sに変更することができる。
このように紙幣入出金機10は、装着部30に追加ユニット60が取り付けられた場合、切替器77を追加すると共に追加搬送路36を形成することにより、紙幣を追加収納庫61Sへ搬送して収納させることが可能となる。
[1−5.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、後搬送部22に切替器を設けず(図4)、追加ユニット60の切替追加搬送部63に切替器77を設けた(図5)。また紙幣入出金機10は、後搬送部22に装着部30を形成し、この装着部30に固定ガイド50又は追加ユニット60の切替追加搬送部63を装着するようにした(図4及び図7)。
紙幣入出金機10は、追加ユニット60の追加収納庫61Sを使用する必要が無く、追加ユニット60を装着しない場合、固定ガイド50を装着することにより、後搬送路32に沿って紙幣を搬送できる(図4(A))。すなわち紙幣入出金機10は、装着部30に固定ガイド50を装着する場合、接続箇所P1において紙幣の搬送経路を切り替える必要が無い。
そこで紙幣入出金機10は、この点を踏まえて、後搬送部22側及び固定ガイド50側の何れにも切替器を設けていない。これにより紙幣入出金機10は、従来の紙幣入出金機310(図4)と比較して、後搬送部22における接続箇所P1の近傍から切替器を省略できるので、当該後搬送部22の製造や保守等におけるコストの低廉化を図ることができる。
またこのとき紙幣入出金機10は、固定ガイド50の搬送ガイド52により、接続箇所P1から追加搬送路36へ向かう搬送経路を閉塞する。これにより紙幣入出金機10は、後搬送部22における後搬送路32と追加搬送路36との分岐箇所、すなわち接続箇所P1を単なる搬送路にすることができ、当該接続箇所P1の近傍において紙幣が詰まる可能性を格段に低減できる。
一方、紙幣入出金機10は、後搬送部22に追加ユニット60を設ける場合、装着部30から固定ガイド50を取り外して切替追加搬送部63を装着する。このとき紙幣入出金機10は、搬送ガイド36A及び搬送ガイド71により追加搬送路36を紙幣の搬送が可能な状態にすると共に、切替追加搬送部63の切替器77を接続箇所P1の後方に位置させる(図7)。また紙幣入出金機10は、搬送ガイド72の前端を搬送ガイド33Aの後端から後方に離れた箇所に位置させるため、接続箇所P1における後搬送路32から追加搬送路36への搬送経路を開放する。
紙幣入出金機10は、紙幣制御部11によって切替器77を制御することにより、後搬送路32の水平部33に沿って搬送される紙幣の進行方向を、後搬送路32に沿った湾曲部34側又は追加搬送路36側に切り替える。これにより紙幣入出金機10は、後搬送部22において、一時保留切替部20(図2及び図3)と紙幣収納庫16A(図2)との間で紙幣を搬送させ、又は当該一時保留切替部20と追加ユニット60の追加収納庫61Sとの間で紙幣を搬送させるよう、その搬送経路を切り替えることができる。
すなわち紙幣入出金機10は、追加ユニット60を取り付けて接続箇所P1から追加収納庫61Sへ紙幣を搬送する必要がある場合のみ、当該追加ユニット60に一体化された切替追加搬送部63を装着部30に装着することにより、後搬送部22に追加搬送路36及び切替器77を追加することができる。
これを換言すれば、紙幣入出金機10は、追加ユニット60を設けない場合に後搬送部22の構成を簡素化することと、当該追加ユニット60を設ける場合に装着部30に切替追加搬送部63を装着させるだけで追加収納庫61Sや切替器77等を容易に取り付けられることとを、高い次元で両立させることができる。
さらに紙幣入出金機10では、ローラ75を切替追加搬送部63に設けたことにより、従来の紙幣入出金機310と比較して、後搬送部22側に設けるローラの数を削減でき、その構成をさらに簡素化できる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による現金自動預払機1の紙幣入出金機10は、装着部30に固定ガイド50を装着した場合、後搬送路32に沿って紙幣を搬送でき、且つ切替器を省略して構成を簡素化できる。一方、紙幣入出金機10は、装着部30に追加ユニット60の切替追加搬送部63を装着した場合、切替器77を接続箇所P1の後方に位置させると共に追加搬送路36を構成できる。これにより紙幣入出金機10は、後搬送路32の水平部33に沿って搬送される紙幣の進行方向を、後搬送路32の湾曲部34側とする他に、追加搬送路36側に切り替えて、追加収納部61の追加収納庫61Sへ搬送することができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による現金自動預払機101(図1)は、第1の実施の形態による現金自動預払機1と比較して、紙幣入出金機10に代わる紙幣入出金機110を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。紙幣入出金機110(図2)は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と比較して、搬送部13に代わる搬送部113を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。搬送部113(図3)は、第1の実施の形態による搬送部13と比較して、後搬送部22に代わる後搬送部122を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。
図4(A)と対応する図8(A)に示すように、後搬送部122には、装着部30に代わる装着部130が設けられている。この装着部130は、第1の実施の形態と同様に固定ガイド50が装着される他、ローラ44に代わるローラ144が設けられている。ローラ144は、第1の実施の形態におけるローラ44よりも上側に配置されており、上側約1/3ないし1/2の部分が後搬送部122の上面よりも上方へ飛び出している。このローラ144は、後搬送部122により回転可能に支持された回転軸144Xと一体に、自在に回転することができる。
また後搬送部122内には、後搬送ベルト140が設けられている。後搬送ベルト140は、いわゆる無端ベルトでなり、ゴム等のように、可撓性を有すると共に紙幣に対する摩擦力を有する材料により構成されている。
この後搬送ベルト140は、後搬送路32の水平部33内、すなわち搬送ガイド33A及び搬送ガイド33Bの間を後方へ向けて進行し、当該水平部33における後端近傍においてローラ41及び42の上端近傍と当接した後、ローラ43の後下側に沿って上方向へ進行する。さらに後搬送ベルト140は、ローラ144の上側に沿って約半周してから前斜め下方向へ折り返され、ローラ144の後下側に当接して前方へ進行し、後搬送部122の前寄りに配置されたローラ(図示せず)により折り返された後、再び後搬送路32内を後方へ進行する。
後搬送ベルト140は、搬送部113(図3)内における中央ないし前寄り、例えば後搬送部122の前端近傍や一時保留切替部20の近傍等に配置されたモータ(図示せず)からいずれかのローラを介して駆動力が伝達されると、上述した走行経路に沿って走行する。
ところで後搬送路32では、図9に模式的な平面図を示すように、幅規制部材32Rにより、左右方向に関して紙幣の移動可能な範囲(以下これを搬送幅32Wと呼ぶ)を規制している。また後搬送路32では、搬送幅32Wの範囲内において、紙幣に駆動力を伝達する各ローラ(ローラ41及び42等)が、左右方向に離れた2箇所にそれぞれ配置されている。
さらに後搬送路32では、搬送幅32Wの範囲内に配置されたローラ41等の周側面に、搬送ベルト140が当接している。このため後搬送路32では、搬送される紙幣BLに対しローラ41等が殆ど当接せず、搬送ベルト140が積極的に当接する。このため搬送ベルト140は、後搬送路32内を後方へ進行する際に、紙幣と当接した状態を維持したまま、摩擦によって当該紙幣と共に後方へ走行することにより、当該紙幣を後搬送路32に沿って後方へ搬送することができる。
また紙幣入出金機110は、後搬送部122の装着部130に対し、追加ユニット60に代わる追加ユニット160を装着し得るようになっている。追加ユニット160は、図5と対応する図8(B)に示すように、第1の実施の形態による追加ユニット60と比較して、切替追加搬送部63に代わる切替追加搬送部163を有しており、且つローラ対66が省略されている。切替追加搬送部163は、切替追加搬送部63のローラ75に代わるローラ175が設けられている。追加搬送ローラとしてのローラ175は、ローラ75よりも上側に配置されている。
図7と対応する図10、図11及び図12に示すように、紙幣入出金機110は、後搬送部122の装着部130に追加ユニット160の切替追加搬送部163が装着されると、第1の実施の形態と同様に、追加搬送路36を紙幣の搬送が可能な状態に構成すると共に、切替器77を接続箇所P1の後方に位置させる。このとき紙幣入出金機110は、後搬送部122側のローラ144と追加ユニット160側のローラ175とを近接若しくは当接させ、一対のローラ対176を構成する。
一般に、紙幣入出金機において本体に追加ユニットを着脱可能に構成する場合、当該追加ユニットを装着する場合には互いの紙幣の搬送路を接続し、また当該追加ユニットを取り外す場合には互いの紙幣の搬送路を切断することになる。特に、従来の紙幣入出金機310(図14)のように、紙幣の搬送路とほぼ直交する仮想的な境界線L1に沿って後搬送部322と追加ユニット360とを分離する構成の場合、互いに紙幣を精度良く受け渡すために、それぞれの搬送路における接続箇所の近傍にローラ対を配置することになる。
例えば従来の紙幣入出金機310では、後搬送部322側にローラ対376が設けられ、追加ユニット360側にローラ対66が設けられている。これにより紙幣入出金機310では、後搬送部322及び追加ユニット360の間で受け渡される紙幣を、少なくとも一方のローラ対により常に挟持できるので、当該紙幣を確実に受け渡すことができる。
これに対し本実施の形態による紙幣入出金機110(図8及び図10等)は、後搬送部122における後端の上側部分をえぐるようにして装着部130が形成されており、追加搬送路36の前側に位置する搬送ガイド36Aのみが当該後搬送部122側に設けられている。このため紙幣入出金機110では、後搬送部122側の搬送ガイド36Aと、追加ユニット160側の搬送ガイド71とを対向させることにより、追加搬送路36を構成している。他の観点から見れば、紙幣入出金機110では、後搬送部122と追加ユニット160との境界線の一部が、追加搬送路36に沿っている。
以上の点を踏まえて、紙幣入出金機110は、2対のローラ対376及び66(図14)に代えて、後搬送部122側のローラ144と追加ユニット160側のローラ175とを組み合わせた1対のローラ対176のみを設けることとした。これにより紙幣入出金機110は、従来よりもローラの数を削減して構成を簡素化しながら、後搬送部122側と追加ユニット160側との間で紙幣を円滑に受け渡すことができる。またローラ144は、搬送ベルト140により駆動力が伝達されるため、専用のモータ等を設ける必要も無い。
さらに紙幣入出金機110は、図11及び図12に示したように、追加ユニット160において、上追加搬送路65における後側の搬送ガイド65Bと、切替追加搬送部163の搬送ガイド71及び72とを連続した1個の部品として構成することができる。このため紙幣入出金機110は、従来の紙幣入出金機310(図14)と比較して、搬送ガイド同士を接続する箇所を削減できるので、紙幣の詰まりのような搬送上の障害を引き起こす可能性を格段に低減できる。
その他の点においても、紙幣入出金機110は、第1の実施の形態による紙幣入出金機10と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による現金自動預払機101の紙幣入出金機110は、装着部130に固定ガイド50を装着した場合、後搬送路32に沿って紙幣を搬送でき、且つ切替器を省略して構成を簡素化できる。一方、紙幣入出金機110は、装着部130に追加ユニット160の切替追加搬送部163を装着した場合、切替器77を接続箇所P1の後方に位置させると共に追加搬送路36を構成し、且つローラ144及び175によりローラ対176を構成する。これにより紙幣入出金機110は、紙幣の搬送路を後搬送路32の湾曲部34側又は追加搬送路36側に切り替えることができると共に、従来よりもローラ対の数を削減して構成を簡素化できる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、後搬送部22に追加搬送路36の搬送ガイド36Aを設け、追加ユニット60の切替追加搬送部63側に搬送ガイド71を設ける場合について述べた(図4及び図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図13(A)に示すように、後搬送部222側から搬送ガイド36A及びその周辺部分を省略しても良い。この場合、図13(B)に示すように、追加ユニット260の切替追加搬送部63側に搬送ガイド36Aに代わる搬送ガイド236Aを設け、搬送ガイド71との間に搬送空間を形成すれば良い。この後搬送部222は、追加ユニット260を取り付けない場合、搬送ガイド36Aを設ける必要も無くなるため、さらなる簡素化を図ることができる。
また上述した第1の実施の形態においては、追加ユニット60において追加収納部61及び上追加搬送部62と切替追加搬送部63とを一体に構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば追加ユニット60から切替追加搬送部63をさらに分離し得るように構成しても良い。これにより、例えば追加ユニット60以外に追加収納部61及び上追加搬送部62と異なる構成を有する他の追加ユニットが用意され、その何れかが選択されて装着部30に装着される場合に、切替追加搬送部63を共通に利用することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した実施の形態においては、装着部30に追加ユニット60の切替追加搬送部63を装着した場合、当該切替追加搬送部63の切替器77により、後搬送路32の水平部33から搬送されてきた紙幣の搬送路を、湾曲部34側又は追加搬送路36側に切り替え得るようにする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば切替追加搬送部63から切替器77を省略すると共に、搬送ガイド71の下端を延長して水平部33における下側の搬送ガイド33Bの後端と接続することにより、水平部33からの紙幣の搬送先を追加搬送路36側に固定しても良い。これにより、例えば追加収納庫61Sが使用可能となったときに紙幣収納庫16A(図2)が不要となる場合に、切替器77を無駄に設けずに済む。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、後搬送路32のうち直線状の水平部33と湾曲した湾曲部34との接続箇所に接続箇所P1を設け、当該接続箇所P1において後搬送路32に対し追加搬送路36を接続する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば直線状の水平部33における途中部分に接続箇所P1を設け、当該接続箇所P1において後搬送路32に対し追加搬送路36を接続しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、ローラ144に後搬送部122側の搬送ベルト140を張架することにより、当該ローラ144とローラ175との間に挟持した紙幣に対し、当該搬送ベルト140を介して駆動力を伝達する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばローラ144に搬送ベルト140を張架せず、その代わりに追加ユニット160側の追加搬送ベルト164(図11)をローラ175に張架することにより、ローラ144と当該ローラ175との間に挟持した紙幣に対し、当該追加搬送ベルト164を介して駆動力を伝達するようにしても良い。
さらに上述した第2の実施の形態においては、搬送幅32W(図9)の範囲内においてローラ41等の周側面に当接するように搬送ベルト140を張架し、後搬送路32内を搬送される紙幣に当該搬送ベルト140を当接させて駆動力を伝達する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば搬送幅32Wの範囲外に搬送ベルト140を張架し、当該搬送ベルト140から回転軸41X及び42X等を介してローラ41及び42等を回転させ、当該ローラ41等を紙幣に当接させて駆動力を伝達しても良い。さらにこの場合、搬送ベルト140に代えて複数のギア等、周知の機構によって駆動力をローラ41等に伝達しても良い。或いは、各ローラ41等に対し、個別に設けたモータから駆動力を供給しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、後搬送部22に装着部30を形成し、当該装着部30に追加ユニット60の切替追加搬送部63を装着する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば前搬送部21(図3)における前搬送路31上に接続箇所P1を設け、この接続箇所P1を含むように装着部30を設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、紙葉状の媒体である紙幣を顧客との間で取引する現金自動預払機1の紙幣入出金機10において、搬送部13の後搬送部22に対し追加ユニット60を着脱する箇所に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金券や証券、或いは入場券等の種々の媒体を取り扱う種々の装置において、この媒体を搬送して収納する種々の追加ユニットを着脱する箇所に適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、搬送部としての後搬送部22と、装着部としての装着部30と、固定ガイドとしての固定ガイド50と、追加ユニットとしての追加ユニット60とによって媒体搬送装置としての紙幣入出金機10を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送部と、装着部と、固定ガイドと、追加ユニットとによって媒体搬送装置を構成しても良い。
さらに上述した実施の形態においては、搬送部としての後搬送部22と、装着部としての装着部30と、固定ガイドとしての固定ガイド50と、追加ユニットとしての追加ユニット60とによって媒体取引装置としての現金自動預払機1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送部と、装着部と、固定ガイドと、追加ユニットとによって媒体取引装置を構成しても良い。