JP6587690B2 - 加工繊維の製造方法及び当該加工繊維、動物繊維の損傷抑制方法、並びに動物繊維の加工方法 - Google Patents

加工繊維の製造方法及び当該加工繊維、動物繊維の損傷抑制方法、並びに動物繊維の加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、漂白及び/又は染色処理された加工繊維の製造方法及び当該加工繊維、動物繊維の損傷抑制方法、並びに動物繊維の加工方法に関する。
動物繊維を用いた繊維製品において、風合いと色相は製品価値を判断する上で重要な因子である。動物繊維の風合いは、「柔らかな」、「滑らかな」、或いは「ヌメリ感」等で表現され、当該繊維を採取し、精錬以外の化学的処理を施していない状態が最も風合いが優れているとされる。また、色相については、目的に応じて染色がなされるが、白色又は極淡色から淡色の鮮明な色相が要求される際には染色に先立って、繊維を漂白する必要がある。そのため、従来から過酸化水素を用いた酸化漂白やハイドロサルファイトや亜硫酸水素ナトリウムを用いた還元漂白が行われていた。しかしながら、これらの漂白では長時間加熱とアルカリ剤が必要となり、繊維が損傷し、動物繊維が持つ柔らかさやヌメリ感といった独特の風合いの低下を引き起こしてしまう。
そこで、風合いの低下を引き起こさず、十分な白度を得る漂白方法の開発が試みられてきた。例えば、ポリカルボン酸系ポリマー及びアミン系化合物を含有した漂白助剤(特許文献1)や、ヒドロキシアルキルホスフィン及びその誘導体とアルカリ性タンパク質分解酵素を処理する方法(特許文献2)が提案されている。しかしながら、風合いの低下抑制や耐光性において十分であるとは云えない。
また、動物繊維に対して耐光性を向上させる方法としては、例えば紫外線吸収剤を使用する方法(特許文献3)、低級リン酸及び低級リン酸塩を付与する方法(特許文献4)、蛍光増白剤を付与する方法(特許文献5)、などが提案されている。しかしながら、その効果は必ずしも十分ではなく、風合いを害したり、人体に対する安全性も懸念される。
一方、動物由来のタンパク質を動物繊維に結合させて動物由来タンパク質が持つ性質を繊維に付与させる方法は従来から提案されている(特許文献6〜8)。例えば、セリシンをジクロルトリアジン系化合物と共に繊維に用いることにより、耐久性、形態安定性を付与すること(特許文献6)、動物性蛋白質繊維の布地に形成された形状固定処理において、布地をコラーゲンタンパク誘導体及びフィブロイン蛋白溶液又はケラチン溶解液に吸着処理することで、風合いや手持感を維持すること(特許文献7)、獣毛蛋白水溶液と架橋剤の存在下、蛋白繊維製品を浸漬することにより、蛋白繊維製品の物性を改良し、蛋白繊維製品を濃色化することが(特許文献8)等が報告されている。
しかしながら、ケラチン加水分解物が、漂白や染色処理によって生じる動物繊維の風合いや耐光性の低下を抑制する作用があることはこれまでに知られていない。
特開2005−146442号公報 特開平11−172580号公報 特開平2−242970号公報 特開平5−156573号公報 特表2001−518919号公報 特開2004−44055号公報 特開平1−280074号公報 特開平6−341058号公報
本発明は、動物繊維を漂白及び/又は染色処理した場合においても、繊維が持つ独特の風合いと耐光性が保持され、所望の色相を実現可能な、加工繊維の製造方法及び当該加工繊維、動物繊維の損傷抑制方法、並びに動物繊維の加工方法を提供することに関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、動物繊維を漂白及び/又は染色処理する場合のいずれかの工程において、当該繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する処理を行うことにより、繊維の損傷が抑制され、動物繊維が本来持つ風合い及び耐光性を保持しながら、所望の色相を実現させた加工繊維を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の1)〜10)に係るものである。
1)動物繊維を漂白及び/又は染色処理して加工繊維を製造する方法において、前記繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含む、加工繊維の製造方法。
2)加水分解ケラチン溶液が、0.01〜1質量%濃度の加水分解ケラチン溶液である、1)の方法。
3)加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程が、漂白及び/又は染色工程の前及び後で行われる、1)又は2)の方法。
4)加水分解ケラチンが、羊毛又は羽毛由来の加水分解ケラチンである、1)〜3)のいずれかの方法。
5)加水分解ケラチンが、数平均分子量10,000〜130の加水分解ケラチンである1)〜4)のいずれかの方法。
6)動物繊維が、羊毛、カシミヤ、モヘヤ、ラクダ毛、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、ミンク及びシルクから選ばれる1種又は2種以上である1)〜5)のいずれかの方法。
7)動物繊維が、紡績糸である1)〜6)のいずれかの方法。
8)動物繊維の漂白及び/又は染色処理において、前記繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含む、前記繊維の損傷抑制方法。
9)動物繊維の加工方法であって、漂白及び/又は染色処理の前若しくは後又は前後に、当該繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含む、方法。
10)1)〜7)のいずれかの方法により製造された加工繊維。
本発明の加工繊維の製造方法、動物繊維の損傷抑制方法、及び動物繊維の加工方法によれば、動物繊維を漂白及び/又は染色する際に生じる繊維損傷を抑制又は修復することができ、動物繊維が持つ独特な風合いを損なわず、強度及び耐光性が保持された加工繊維を製造することができる。また、本発明の方法は、天然由来のケラチンタンパク質の加水分解物を使用することから、人体や環境などに大きな悪影響を及ぼす懸念がなく実施することができる。
加水分解ケラチンのSDS−PAGE。 メチレンブルー染色前後の繊維綿写真。 実施例5〜7及び比較例3のATR-FTIRスペクトル。 実施例11〜12及び比較例3のATR-FTIRスペクトル。 メチレンブルー染色前後の繊維綿写真。
本発明の加工繊維の製造方法は、動物繊維を漂白及び/染色処理して加工繊維を製造する方法において、前記繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含むものである。
本発明において、動物繊維とは、紡績に使用され得る動物繊維であり、その形態は、短繊維、長繊維、紡績糸、編み物、織物、フエルト等の何れでもよく、さらに衣服、寝具、クッション、ぬいぐるみ等の繊維製品であってもよい。
ここで、動物繊維としては、例えば、羊毛、カシミヤ、モヘヤ、ラクダ毛、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、ミンク、シルク等が挙げられる。斯かる動物繊維は単独でも二種以上混合して用いてもよい。
本発明の加工繊維とは、上記の動物繊維を漂白及び/又は染色処理して得られるものであり、従って、漂白処理繊維、染色処理繊維、漂白及び染色処理繊維が含まれる。
本発明において、漂白処理は、動物繊維の白度を向上させるために行われる処理であり、例えば、過酸化水素と界面活性剤を含有する水溶液、過酸化水素と珪酸ナトリウムとを含有する水溶液等を用いて行なわれる。また、染色処理は、特に限定されるものでなく、液流法、ジッカー法、ビーム法、コールドパッドバッチ法、パッドスチーム法、パッドロール法、連続法等を用いることができ、動物繊維の種類に応じて用いる染料及び染色方法を適宜選定すればよい。
本発明において、加水分解ケラチンとしては、ケラチン含有原料又は当該原料から還元条件下等で抽出されたケラチンを、酸、アルカリ、過酸化物、酵素等を用いて分解して得られる加水分解物が挙げられ、その方法は何れも公知である(例えば、特開2005−247692号公報、特開2006−124341号公報、特開2008−247925号公報、特開平6−116300号公報参照)。このうち、アルカリや過酸化物を用いた加水分解物が好ましい。
斯かる加水分解ケラチンの分子量は、繊維への収着、浸透性の点から、ゲル濾過分析により測定される数平均分子量が、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、より好ましくは5,000以下、より好ましくは3,000以下、より好ましくは2,000以下であり、且つ好ましくは130以上、より好ましくは150以上、より好ましくは200以上、より好ましくは300以上である。また、好ましくは10,000〜130、より好ましくは8,000〜130、より好ましくは5,000〜130、より好ましくは3,000〜150、より好ましくは2,000〜200、より好ましくは2,000〜300である。
アルカリや過酸化物を用いた加水分解では、ケラチン含有原料をそのまま分解に付すことができる。
アルカリ加水分解は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア等のアルカリを用いることができ、通常0.1〜0.8mol/L、好ましくは0.2〜0.5mol/Lの濃度で、通常20〜120℃、好ましくは0.1〜72時間、ケラチン含有原料を処理するのが好ましい。
また、過酸化物を用いた加水分解(酸化加水分解)は、過酸化水素、過ギ酸、過酢酸等の過酸化物を用いて行われ、通常1〜10%、好ましくは3〜8%の濃度で、通常、室温〜100℃、好ましくは30分〜48時間、ケラチン含有原料を処理するのが好ましい。
また、斯かる加水分解物は、必要に応じてカチオン化、シリル化、アシル化、又はアルキルカチオン化して、加水分解ケラチンの誘導体とすることもでき、本発明の効果を奏する限り、斯かる誘導体を使用することもできる。
ケラチン含有原料としては、鳥類、羊、馬、豚、アルパカ、モヘア、アンゴラ、カシミヤ等の獣毛が挙げられ、中でも鳥類から得られる羽毛又は羊毛が好ましく、羽毛を用いるのがより好ましい。また、羽毛は、例えばニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ等の陸鳥やガチョウ、アイガモ、イエガモ、ヨーロッパガモ、ペキンダック、アイダーダック等の水鳥から得られるダウン、フェザー、スモールフェザーのいずれの羽毛も使用することができるが、特に水鳥羽毛が好ましい。
本発明において、好適な加水分解ケラチンとしては、羊毛又は羽毛由来の加水分解ケラチンが挙げられ、より好適には羽毛由来の加水分解ケラチンが挙げられ、更に好適には羽毛由来のアルカリ加水分解ケラチン若しくは酸化加水分解ケラチンが挙げられる。
加水分解ケラチンの溶液としては、水、エタノールの溶解液が挙げられるが、好ましくは水溶液である。
当該加水分解ケラチン溶液中には、その効果を損なわない範囲で、キレート剤、金属塩、セラミド、脂肪酸エステルなどの脂質成分、クエン酸、アスコルビン酸などの有機酸、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、高級アルコール類、低級アルコール類、動植物油、シリコーン油類、天然多糖類、動植物抽出物、動植物由来の加水分解物及びその誘導体、pH調整剤、防腐剤等種々のものを適宜配合することができる。
加水分解ケラチン溶液中の加水分解ケラチン濃度は、動物繊維保護作用及び修復作用を高める点、及び加水分解ケラチンの繊維への収着量の増加による風合い低下を抑制する点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、且つ好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。また、好ましくは0.01〜1質量%、より好ましくは0.03〜0.7質量%、より好ましくは0.05〜0.7質量%以上、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
加水分解ケラチン溶液への動物繊維の浸漬は、熱による変性又は浸透力低下による動物繊維に対する保護作用及び修復作用の低下を抑制する点から、加水分解ケラチン溶液中に動物繊維を、通常30〜80℃で20〜60分浸漬処理するのが好ましく、40〜60℃で30〜60分処理するのがより好ましい。
加水分解ケラチン溶液への動物繊維の浸漬は、漂白工程及び/又は染色工程の前に行う前処理工程として実施すること、漂白工程及び/又は染色工程の後の後処理工程として実施することの何れでも良く、前処理工程と後処理工程を両方実施するのがより好ましい。例えば、漂白処理に続いて染色処理を行う場合は、漂白工程前と染色工程後の2回、或いは漂白工程前、漂白工程後(染色工程前)及び染色工程後の3回行うことが好ましい。
斯くして得られた、本発明の加工繊維は、漂白や染色の際に生じる繊維損傷が抑制されるか又は修復されている。すなわち、本発明の加工繊維は、動物繊維が持つ独特な風合い(例えば、手触り感)が漂白や染色によって損なわれずに保持され、また強度及び耐光性が低下せずに保持されている。
したがって、動物繊維の漂白及び/又は染色処理において、当該繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含む方法は、漂白及び/又は染色処理における当該繊維の損傷抑制方法となり得る。また、動物繊維の漂白及び/又は染色処理の前若しくは後又は前後に、当該繊維を加水分解ケラチン溶液に浸漬する工程を含む方法は、当該繊維の損傷を抑制する加工方法となり得る。
斯かる動物繊維の損傷抑制方法及び動物繊維の加工方法は、動物繊維を漂白及び/又は染色処理から保護し、当該繊維の風合いを保持するため、或いは耐光性保持のために有用である。
尚、本発明において、「風合い」とは、手触りや肌ざわり、着心地など、人がものに触れた時に感じる材質感を意味し、動物繊維が持つ独特な風合いとは、「柔らかさ」、「滑らかさ」、「ヌメリ」、「しなやかさ」、「ソフトさ」、「腰」、「ふくらみ」等を意味する。
また、耐光性とは、光による劣化(繊維の黄変や退色)に対する抵抗性を意味する。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
1.染色(耐光)堅牢度試験法
JIS L 0842 第3露光法に準じて繊維の染色(耐光)堅牢度を測定した。この試験により得られた等級が高い方がより堅牢度が高いことを示している。
2.繊維損傷度試験法 アルカリ溶解度法
JIS L 1081アルカリ溶解度法に準じて繊維のアルカリ溶解度を測定した。この試験により得られた値が小さい方が繊維の損傷が少ないことを示している。
3.繊維損傷度試験法 着色法(メチレンブルー法)
JIS L 1081着色法(メチレンブルー法)に準じて繊維の損傷度を判定した。無損傷繊維はうす青に、損傷繊維は深い青に着色することから着色濃度によって損傷度を判定する。
4.ATR−FTIR試験法
繊維のATR−FTIRスペクトルをUniversal ATR Sampling Accessoryを付属したパーキンエルマー社製、PerkinElmer Spectrum One FTIR spectrophotometerを用いて記録した。積算回数16回、分解能4cm-1、4000〜400cm-1の条件で行った。得られたスペクトルの内、1040cm-1にスルホン酸に帰属したピークが得られる。このスルホン酸は繊維に含まれるシスチンに由来し、シスチンが過剰に酸化されることにより、開裂し、スルホン酸に変化する。そのため、1040cm-1のピークが低い方が、スルホン酸の含有量が少ないことを示し、漂白工程による繊維の過剰酸化が抑えられていることを示している。
5.糸弾性度試験
JIS L 1095 一般紡績糸試験法に準じて単糸引張強さ及び伸び率を測定した。
6.パネラー評価(官能評価)
検体のパネラー評価を行った。業務でカシミヤ繊維を評価する機会の多い25人のパネラーが検体を自由に触り、手触り感について下記の基準で評価し、平均値を求めた。評価基準
5:非常に良い
4:良い
3:ややよい
2:悪い
1:非常に悪い
7.電気泳動
SDS−PAGE電気泳動は既製ゲル(アトー社製e・パジェル)を用いて行った。染色はクマシーブリリアントブルーで行い、脱色は10%酢酸で行った。
8.ゲルろ過クロマトグラフィー
ゲル濾過用カラム:昭和電工社製、AsahipakGF-510HQ AsahipakGF-310HQ
移動相:CH3CN/H2O(45/55)+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
UV検出条件:215nm
標準試料:カタラーゼ(Mw230,000)、アルドラーゼ(Mw158,000)、ウシ血清アルブミン(Mw68,000)、オボアルブミン(Mw45,000)、キモトリプシノーゲンA(Mw25,000)、シトクロムC(Mw12,500)、インシュリン(Mw5,808)、バシトラシン(Mw1,400)、Gly-Gly-Gly-Gly-Gly-Gly(Mw360.3)、Gly-Pro-Ala(Mw243)、Phe(Mw165)
製造例1 羊毛由来可溶化(非加水分解)ケラチンの製造
羊毛10gに0.05M トリス、0.1M ジチオトレイトールを含む8M 尿素溶液(pH9.5)300mLを加え、4℃で24時間撹拌した。その後、亜硫酸ナトリウム7.5g、テトラチオン酸ナトリウム二水和物を18g添加してさらに4℃で24時間撹拌した。遠心分離により未溶解物を除去したのち、塩酸でpH5.2に調整し、加水分解されていない羊毛由来の可溶化ケラチンを製造した。
製造例2 羽毛由来可溶化(非加水分解)ケラチンの製造
羊毛を羽毛に変更した他は製造例1と同様に処理を行い、加水分解されていない羽毛由来の可溶化ケラチンを製造した。
製造例3 羊毛由来酸化加水分解ケラチンの製造
羊毛10gを過酸化水素水に浸漬し、3時間酸化反応を行った。その後、アンモニアを添加して加水分解した。残留した過酸化水素と未分解物を除去して羊毛由来の酸化加水分解ケラチンを製造した。
製造例4 羽毛由来酸化加水分解ケラチンの製造
羊毛を羽毛に変更した他は製造例3と同様に処理を行い、羽毛由来の酸化加水分解ケラチンを製造した。
製造例5 羊毛由来アルカリ加水分解ケラチンの製造
羊毛10gに1.3%水酸化ナトリウム100gを添加して120℃で20分間反応させた。室温まで冷却後、塩酸でpH4まで下げ、一晩放置した。遠心分離により未分解物を除去したのち、水酸化ナトリウムでpH5.6に調整し、羊毛由来のアルカリ加水分解ケラチンを製造した。
製造例6 羽毛由来アルカリ加水分解ケラチンの製造
羊毛を羽毛に変更した他は製造例5と同様に処理を行い、羽毛由来のアルカリ加水分解ケラチンを製造した。
製造例1〜6で製造したケラチンのSDS−PAGEによる分子量分析結果を図1に示した。羽毛及び羊毛由来可溶化ケラチンにおいては、分子量10,000以上のバンドが確認されたのに対し、羽毛及び羊毛由来加水分解ケラチンにおいては、分子量10,000以下のバンドしか確認されなかった。このことから、羽毛及び羊毛由来可溶化ケラチンには分子量10,000以上のケラチン分子が含まれ、羽毛及び羊毛由来加水分解ケラチンには分子量10,000以下のケラチン分子しか含まれていないことが示された。
また、製造例3〜6で製造したケラチンのゲルろ過分子量分析による分子量測定結果を表1に示した。ケラチン含有原料の由来および加水分解の方法に関わらず、数平均分子量が1000前後のケラチン分子が含まれていることが示された。
実施例1〜4、比較例1〜2(漂白前後のケラチン処理)
(実施例1)
カシミヤ毛を製造例4で製造した羽毛由来酸化加水分解ケラチンの0.1%水溶液に温度40℃で60分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.1%の加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して後処理を行った。充分に水洗後、乾燥させて羽毛由来酸化加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例2)
羽毛由来酸化加水分解ケラチンを製造例6で製造した羽毛由来アルカリ加水分解ケラチンに変更した他は、実施例1と同様に処理を行い、羽毛由来アルカリ加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例3)
羽毛由来酸化加水分解ケラチンを製造例3で製造した羊毛由来酸化加水分解ケラチンに変更した他は、実施例1と同様に処理を行い、羊毛由来酸化加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例4)
羽毛由来酸化加水分解ケラチンを製造例5で製造した羊毛由来アルカリ加水分解ケラチンに変更した他は、実施例1と同様に処理を行い、羊毛由来アルカリ加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(比較例1)
羽毛由来酸化加水分解ケラチンを製造例1で製造した羊毛由来可溶化ケラチンに変更した他は、実施例1と同様に処理を行い、羊毛由来可溶化ケラチン処理毛を作製した。
(比較例2)
羽毛由来酸化加水分解ケラチンを製造例2で製造した羽毛由来可溶化ケラチンに変更した他は、実施例1と同様に処理を行い、羽毛由来可溶化ケラチン処理毛を作製した。
(結果)
実施例1〜4、比較例1〜2の繊維損傷度試験結果及びパネラー評価(手触り感)の平均値を表2に示した。加水分解ケラチン処理を行わなかった比較例1〜2と比較して、加水分解ケラチン処理を行った実施例1〜4では、漂白による繊維損傷を抑制し、かつカシミヤ繊維が持つ独特の風合いの劣化を抑制することができることが示された。
実施例1〜4、比較例1〜2及び未処理のメチレンブルー染色前後の繊維綿写真を図2に示した。無損傷繊維はうす青に、損傷繊維は深い青に着色することから着色濃度によって繊維損傷度を評価することができる。図2より、比較例1〜2は明らかに未処理よりも濃く着色されていた。実施例1〜4は比較例1〜2よりも薄く着色され、特に実施例1〜2は未処理と同等の着色具合であった。このことより、実施例1〜4は、メチレンブルー染色法による評価でも、アルカリ溶解度法と同様に漂白による繊維損傷を抑制していることが示された。
繊維損傷度及び手触り感の結果より、漂白による繊維損傷を抑制する効果の高いケラチンは平均分子量10,000以下の加水分解ケラチンであることが示された。
実施例5〜7及び比較例3(漂白前のケラチン処理)
(実施例5)
実施例1で使用したものとは原産地が異なるカシミヤ毛を0.5%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で30分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例6)
羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に60℃で浸漬した他は、実施例5と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例7)
羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に80℃で浸漬した他は、実施例5と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(比較例3)
実施例5で使用したものと同様のカシミヤ毛を、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。充分に水洗後、乾燥させてケラチン未処理毛を作製した。
(結果)
1)未処理毛、実施例5〜7及び比較例3の繊維損傷度試験結果を表3に示した。比較例3と比較して、実施例5〜7では、繊維損傷度が低下しており、漂白による繊維損傷が抑制されていることが示された。
2)未処理毛、実施例5〜7及び比較例3のATR-FTIRスペクトルを図3に示した。未処理毛では1040cm-1にスルホン酸に帰属するピークが見られないのに対し、実施例5〜7及び比較例3では1040cm-1にスルホン酸に帰属するピークが見られたことから、漂白による過剰酸化が起きていることが示唆された。しかしながら、実施例5〜7は比較例3と比較して、1040cm-1のピーク強度が弱いことから、漂白による過剰酸化が抑制されていることが示唆された。
実施例8(漂白後のケラチン処理)
(実施例8)
漂白カシミヤ毛を0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬した。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(結果)
実施例8及び漂白カシミヤ毛の繊維損傷度及び耐光堅牢度を表4に示した。実施例8では漂白カシミヤ毛と比較して繊維損傷度が低下しており、繊維損傷が回復していることが示唆された。また、耐光堅牢度が高くなっており、耐光性が高まっていることが示唆された。
実施例9〜10(漂白・染色後のケラチン処理)
(実施例9)
漂白・染色カシミヤ毛を0.5%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度60℃で20分間浸漬した。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(実施例10)
羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に80℃で浸漬した他は、実施例7と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(結果)
実施例9、10及び漂白・染色カシミヤ毛の耐光堅牢度を表5に示した。実施例9及び10は、耐光堅牢度が高まっていた。
実施例11〜12(漂白前後のケラチン処理)
(実施例11)
実施例5で使用したものと同一のカシミヤ毛を0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して後処理を行った。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン前後処理毛を作製した。
(実施例12)
羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に30℃で浸漬した他は、実施例11と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(結果)
1)未処理毛、実施例11〜12及び比較例3の繊維損傷度試験結果及びパネラー評価の平均値を表6に示した。比較例3と比較して、実施例11〜12では繊維損傷度が低下していた。また、耐光堅牢度も高まっていた。パネラー評価による手触り感評価では実施例11及び12では手触りの低下が抑制されているのが示された。そのため、繊維が持つ独特の風合いと耐光性を保持しながら、優れた色相の動物繊維紡績糸を得ることができた。
2)未処理毛、実施例11〜12及び比較例3のATR-FTIRスペクトルを図4に示した。未処理毛では1040cm-1にスルホン酸に帰属するピークが見られないのに対し、実施例11〜12及び比較例3では1040cm-1にスルホン酸に帰属するピークが見られたことから、漂白による過剰酸化が起きていることが示唆された。しかしながら、実施例11〜12は比較例3と比較して、1040cm-1のピーク強度が弱いことから、漂白による過剰酸化が抑制されていることが示唆された。
実施例13〜14(漂白・染色の前後のケラチン処理)
(実施例13)
実施例5で使用したものと同一のカシミヤ毛を0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度80℃で30分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.03%の酸性染料を用いて染色を行った。漂白・染色後のカシミヤ毛に0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度80℃で30分間浸漬して後処理を行った。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン前後処理毛を作製した。
(実施例14)
0.5%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に浸漬した他は、実施例13と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(比較例4)
実施例5で使用したものと同様のカシミヤ毛を、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.03%の酸性染料を用いて染色を行った。充分に水洗後、乾燥させてケラチン未処理毛を作製した。
(結果)
実施例13、14及び比較例4の繊維損傷度及び耐光堅牢度を表7に示した。比較例4と比較して、実施例13及び14は繊維損傷度が低下しており、繊維損傷が抑制されていることが示唆された。また、耐光堅牢度が高くなっており、耐光性が高まっていることが示唆された。
実施例15、比較例5(漂白前後のケラチン処理<紡績糸>)
(実施例15)
紡績後のウール糸を0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.1%の羽毛由来酸化加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して後処理を行った。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン処理ウール紡績糸を作製した。
(比較例5)
紡績後のウール糸を35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。充分に水洗後、乾燥させて漂白ウール紡績糸を作製した。
(結果)
原糸、実施例15及び比較例5の糸強力及び糸伸度を表8に示した。比較例5と比較して、実施例15では漂白前の原糸と近い値を示していたことから、漂白による糸物性の変化が少ないことがわかった。
実施例16〜20、比較例6〜10(漂白前後のケラチン処理<紡績糸>)
(実施例16)
ウール糸をカシミヤ糸に変えた他は、実施例15と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理カシミヤ紡績糸を作製した。
(実施例17)ウール糸をシルク糸に変えた他は、実施例15と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理シルク糸紡績を作製した。
(実施例18)ウール糸をアルパカ糸に変えた他は、実施例15と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理アルパカ紡績糸を作製した。
(実施例19)ウール糸をモヘア80%、ウール20%混合糸に変えた他は、実施例15と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理混合紡績糸を作製した。
(実施例20)ウール糸をアンゴラ糸に変えた他は、実施例15と同様にして処理を行い、加水分解ケラチン処理アンゴラ紡績糸を作製した。
(比較例6〜10)
実施例16〜20で使用したものと同様の獣毛糸を、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。充分に水洗後、乾燥させてケラチン未処理紡績糸を作製した。
(結果)
各動物毛の原糸、実施例16〜20、及び比較例6〜10の糸強力及び糸伸度を表9に示した。漂白を行うことで、糸強力及び糸伸度が低下する傾向にある。ケラチンで処理することで糸強力及び糸伸度の低下を抑制することが示された。
(実施例21)
カシミヤ毛を市販の加水分解ケラチン(平均分子量1,000)の0.1%水溶液に温度40℃で60分間浸漬して前処理を行った。その後、35%過酸化水素水を20cc/L添加した溶液に液比1:20で浸漬し、60℃で1時間漂白した。漂白後、0.1%の加水分解ケラチン溶液に液比1:20、温度40℃で60分間浸漬して後処理を行った。充分に水洗後、乾燥させて加水分解ケラチン処理毛を作製した。
(比較例11)
加水分解ケラチンを市販の加水分解コラーゲン(平均分子量1,000)に変更した他は、実施例21と同様に処理を行い、加水分解コラーゲン処理毛を作製した。
(比較例12)
加水分解ケラチンを市販の加水分解シルク(平均分子量1,000)に変更した他は、実施例21と同様に処理を行い、加水分解シルク処理毛を作製した。
(結果)
実施例21及び比較例11〜12の繊維損傷度試験結果(アルカリ溶解度法)及び耐光堅牢度を表10に示した。加水分解コラーゲン、加水分解シルクで処理した比較例11〜12と比較して、加水分解ケラチンで処理を行った実施例21では、繊維損傷度が最も低く、かつ耐光堅牢度は最も高い値を示していた。
実施例21及び比較例11〜12のメチレンブルー染色前後の繊維綿写真を図5に示した。無損傷繊維はうす青に、損傷繊維は深い青に着色することから着色濃度によって繊維損傷度を評価することができる。図5より、比較例11〜12は明らかに未処理よりも濃く着色されていた。実施例21は比較例11〜12よりも薄く着色されていた。このことより、実施例21は、メチレンブルー染色法による評価でも、アルカリ溶解度法と同様に漂白による繊維損傷を抑制していることが示された。そのため、加水分解タンパク質の内、加水分解ケラチンが繊維損傷抑制に効果的であることが示された。

Claims (10)

  1. 動物繊維を漂白及び/又は染色して加工繊維を製造する方法において、
    前記繊維を数平均分子量が3000以下で150以上の加水分解ケラチン溶液に浸漬する浸漬工程を含み、
    前記浸漬工程を、漂白及び/又は染色の前後双方で行うことを特徴とする、加工繊維の製造方法。
  2. 浸漬工程で0.01〜1質量%濃度の加水分解ケラチン水溶液を用いる、請求項1記載の加工繊維の製造方法。
  3. 加水分解ケラチンが羽毛由来である、請求項1記載の加工繊維の製造方法。
  4. 前記数平均分子量が2000以下で300以上である、請求項1記載の加工繊維の製造方法。
  5. 動物繊維が、羊毛、カシミヤ、モヘヤ、ラクダ毛、ラマ、アルパカ、ビキューナ、アンゴラ、ミンク及びシルクから成る群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載の加工繊維の製造方法。
  6. 毛あるいは原糸状で、ファブリックへの加工前の動物繊維を、浸漬工程で処理する請求項1〜のいずれか1項記載の加工繊維の製造方法。
  7. 動物繊維の漂白及び/又は染色において、
    漂白及び/又は染色の前後双方で、前記繊維を数平均分子量が3000以下で150以上の加水分解ケラチン溶液に浸漬する浸漬工程を行うことを特徴とする、動物繊維の損傷抑制方法。
  8. 動物繊維の加工方法であって、
    漂白及び/又は染色の前後双方に、前記繊維を数平均分子量が3000以下で150以上の加水分解ケラチン溶液に浸漬する浸漬工程を行うことを特徴とする、加工方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項記載の加工繊維の製造方法により製造された加工繊維。
  10. 浸漬工程により、漂白及び/又は染色による動物繊維の損傷を抑制する、請求項1記載の加工繊維の製造方法。
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