JP6584124B2 - 被膜形成用組成物及びその製造方法、並びに被膜 - Google Patents
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Description
[1] 下記式(1)〜(4)で示される、一種又は二種以上の含窒素フッ素系化合物と、
平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子と、
ケイ素アルコキシドの加水分解物と、
有機溶媒と、を含み、
前記含窒素フッ素系化合物、前記酸化物微粒子及び前記ケイ素アルコキシドの加水分解物中に含まれる全固形成分中における、
前記含窒素フッ素系化合物の組成比が6〜40質量%であり、
前記酸化物微粒子の組成比が、40〜90質量%であり、
前記ケイ素アルコキシドの加水分解物の組成比が、4〜40質量%である、被膜形成用組成物。
[3] 前記酸化物微粒子が、シリカ、ITO、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物から選ばれた群のうち、1種又は2種以上の混合物である、前項1又は2に記載の被膜形成用組成物。
前記ケイ素アルコキシドから当該ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、前記有機溶媒に、前記含窒素フッ素系化合物と、前記酸化物微粒子と、生成した前記ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。
前記有機溶媒に、前記ケイ素アルコキシドと、前記含窒素フッ素系化合物と、前記酸化物微粒子と、を同時に添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。
また、本発明の被膜形成用組成物を用いて形成された被膜は、ヘイズ値が低く、優れた透明性有する。
先ず、本実施形態の被膜形成用組成物(以下、単に、「組成物」ということもある)の構成について説明する。
本実施形態の組成物は、(A)ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(以下、単に、「含窒素フッ素系化合物」又は「成分(A)」、あるいは「親水撥油剤」ということもある)と、(B)平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子(以下、「成分(B)」又は「酸化物ナノ粒子」ということもある)と、(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(以下、「成分(C)」ということもある)と、(D)有機溶媒(以下、「成分(D)」ということもある)と、を含んで概略構成されている。
本実施形態の組成物に適用可能な(A)含窒素フッ素系化合物としては、分子中に撥油性付与基と親水性付与基とを含む親水撥油剤であれば、特に限定されるものではない。このような含窒素フッ素系化合物としては、具体的には、下記一般式(1)〜(4)で表すことができる。
Rf1及びRf2は、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜4であって直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。また、Rf3は、炭素数1〜4であって、直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。
Rf4、Rf5は、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜4であって直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。また、Rf6は、炭素数1〜4であって、直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。
以下、(A)含窒素フッ素系化合物について、詳細に説明する。
上記式(1)又は上記式(2)に示す、直鎖状(又は分岐状)の含窒素フッ素系化合物では、Rf1とRf2からなる含窒素ペルフルオロアルキル基およびRf3からなる含窒素ペルフルオロアルキレン基が、撥油性付与基を構成する。
また、上記式(1)又は上記式(2)に示す含窒素フッ素系化合物では、上記撥油性付与基であるRf1〜Rf3中の、フッ素が結合した炭素数の合計が4〜18個の範囲であることが好ましい。フッ素が結合した炭素数が4未満であると、撥油効果が不十分であるために好ましくない。
以下、親水性付与基Xを場合分けして、親水撥油剤の構造を説明する。
親水性付与基Xがアニオン型である場合、上記Xは、末端に「−CO2M1」、「−SO3M1」、「−OSO2M1」、「−OP(OH)O2M1」、「−OPO3M1 2」又は「=O2PO2M1」(M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al、R1R2R3R4N+;R1〜R4は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
親水性付与基Xがカチオン型である場合、上記Xは、末端に「−N+R5R6R7・Cl−」、「−N+R5R6R7・Br−」、「−N+R5R6R7・I−」、「−N+R5R6R7・CH3SO3 −」、「−N+R5R6R7・NO3 −」、「(−N+R5R6R7)2CO3 2−」又は「(−N+R5R6R7)2SO4 2−」(R5〜R7は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
親水性付与基Xが両性型である場合、上記Xは、末端に、カルボキシベタイン型の「−N+R8R9(CH2)nCO2 −」、スルホベタイン型の「−N+R8R9(CH2)nSO3 −」又はアミンオキシド型の「−N+R8R9O−」(nは1〜5の整数、R8、R9は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)を有する。
上記式(1)又は上記式(2)に示す含窒素フッ素系化合物の製造方法は、下記式(122)で示される含窒素ペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物又はスルホン酸ハロゲン化物を原料として、上記式(1)及び上記式(2)に示す含窒素フッ素系化合物を製造する。
Rf1及びRf2は、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜4であって直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキル基であることが好ましい。また、Rf3は、炭素数1〜4であって、直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。
また、Yは、CO又はSO2である。
さらに、Aは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されるいずれか1のハロゲン原子である。
先ず、上記式(1)に示す含窒素フッ素系化合物を製造する場合について説明する。
上記式(122)に示す原料のうち、YがCOの場合(カルボン酸系の場合)は水溶液化したM(OH)m(MはLi,Na,K,Ca,Mg,Al等、mは、Li,Na,K等1価カチオンの場合は1、Ca,Mg等2価カチオンの場合は2、Al等3価カチオンの場合は3)へ、YがSO2の場合(スルホン酸系の場合)は水溶液化したM(OH)m(MはLi,Na,K,R1R2R3R4N+,Ca,Mg,Al等、mは、Li,Na,K等1価カチオンの場合は1、Ca,Mg等2価カチオンの場合は2、Al等3価カチオンの場合は3、R1〜R4は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)へ、それぞれ滴下して中和反応させた後に乾固し、目的物が可溶かつ副生するM(A)、M(A)2またはM(A)3が不溶の溶媒を用いて乾固して得た個体から目的物を抽出し、さらにこの抽出溶媒を乾固することにより、目的物を得ることができる。必要に応じて、この塩を硫酸等の酸を用いてカルボン酸またはスルホン酸に変換し、蒸留した後に再度M(OH)mで所望の塩にすることで、高純度化することも可能である。
具体的には、例えば、撥油性付与基(含窒素ペルフルオロアルキル基)とアニオン型の親水性付与基との間に、アミド結合を有する連結基Rを導入する場合、先ず、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、アミノアルキルカルボン酸やアミノフェニルスルホン酸とを反応させて、次に、水酸化アルカリと反応させることにより、アミド結合を有するカルボン酸又はスルホン酸のアルカリ金属塩が得られる。
具体的には、例えば、上記式(122)に示す原料のうち、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアミンとをアミド結合させて末端第3級アミンにした後、ヨウ化メチル(CH3I)や臭化メチル(CH3Br)、ジメチル硫酸((CH3)2SO4)等のアルキル化剤によって第4級化することにより、カチオン型の親水性付与基を有する含窒素フッ素系化合物が得られる。
具体的には、例えば、カルボキシベタインタイプの場合、先ず、上記式(122)に示す原料のうち、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアミンとをアミド結合させて、または、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアルコールとエーテル結合させて、末端第3級アミンにした後、モノクロル酢酸ナトリウムと反応させることにより、両性型の親水性付与基を有する含窒素フッ素系化合物が得られる。
上記式(3)又は上記式(4)に示す、環状の含窒素フッ素系化合物では、Rf4、Rf5およびRf6からなる含窒素ペルフルオロアルキレン基、さらにはZが、撥油性付与基を構成する。
また、上記式(3)又は上記式(4)に示す含窒素フッ素系化合物では、上記撥油性付与基であるRf4〜Rf6及びZ中の、フッ素が結合した炭素数の合計が4〜18個の範囲であることが好ましい。フッ素が結合した炭素数が4未満であると、撥油効果が不十分であるために好ましくない。
以下、親水性付与基Xを場合分けして、親水撥油剤の構造を説明する。
親水性付与基Xがアニオン型である場合、上記Xは、末端に「−CO2M1」、「−SO3M1」、「−OSO2M1」、「−OP(OH)O2M1」、「−OPO3M1 2」又は「=O2PO2M1」(M1は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Mg、Al、R1R2R3R4N+;R1〜R4は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
親水性付与基Xがカチオン型である場合、上記Xは、末端に「−N+R5R6R7・Cl−」、「−N+R5R6R7・Br−」、「−N+R5R6R7・I−」、「−N+R5R6R7・CH3SO3 −」、「−N+R5R6R7・NO3 −」、「(−N+R5R6R7)2CO3 2−」又は「(−N+R5R6R7)2SO4 2−」(R5〜R7は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)を有する。
親水性付与基Xが両性型である場合、上記Xは、末端に、カルボキシベタイン型の「−N+R8R9(CH2)nCO2 −」、スルホベタイン型の「−N+R8R9(CH2)nSO3 −」又はアミンオキシド型の「−N+R8R9O−」(nは1〜5の整数、R8、R9は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基)を有する。
上記式(3)又は上記式(4)に示す含窒素フッ素系化合物の製造方法は、下記式(243)で示される含窒素ペルフルオロアルキル基を有するカルボン酸ハロゲン化物又はスルホン酸ハロゲン化物を原料として、上記式(3)又は上記式(4)に示す含窒素フッ素系化合物を製造する。
Rf4、Rf5は、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜4であって直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。また、Rf6は、炭素数1〜4であって、直鎖状又は分枝状のペルフルオロアルキレン基であることが好ましい。
Zは、酸素原子、窒素原子、CF2基又はCF基である。また、Zが窒素原子又は炭素原子の場合、Zから分岐したペルフルオロアルキル基が当該Zに結合していてもよい。
また、Yは、CO又はSO2である。
さらに、Aは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素からなる群から選択されるいずれか1のハロゲン原子である。
先ず、上記式(3)に示す含窒素フッ素系化合物を製造する場合について説明する。
上記式(243)に示す原料のうち、YがCOの場合(カルボン酸系の場合)は水溶液化したM(OH)m(MはLi,Na,K,Ca,Mg,Al等、mは、Li,Na,K等1価カチオンの場合は1、Ca,Mg等2価カチオンの場合は2、Al等3価カチオンの場合は3)へ、YがSO2の場合(スルホン酸系の場合)は水溶液化したM(OH)m(MはLi,Na,K,R1R2R3R4N+,Ca,Mg,Al等、mは、Li,Na,K等1価カチオンの場合は1、Ca,Mg等2価カチオンの場合は2、Al等3価カチオンの場合は3、R1〜R4は水素原子またはそれぞれ独立した炭素数1〜20までの直鎖もしくは分岐状のアルキル基)へ、それぞれ滴下して中和反応させた後に乾固し、目的物が可溶かつ副生するM(A)、M(A)2またはM(A)3が不溶の溶媒を用いて乾固して得た個体から目的物を抽出し、さらにこの抽出溶媒を乾固することにより、目的物を得ることができる。必要に応じて、この塩を硫酸等の酸を用いてカルボン酸またはスルホン酸に変換し、蒸留した後に再度M(OH)mで所望の塩にすることで、高純度化することも可能である。
具体的には、例えば、撥油性付与基(含窒素ペルフルオロアルキル基)とアニオン型の親水性付与基との間に、アミド結合を有する連結基Rを導入する場合、先ず、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、アミノアルキルカルボン酸やアミノフェニルスルホン酸とを反応させて、次に、水酸化アルカリと反応させることにより、アミド結合を有するカルボン酸又はスルホン酸のアルカリ金属塩が得られる。
具体的には、例えば、上記式(243)に示す原料のうち、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアミンとをアミド結合させて末端第3級アミンにした後、ヨウ化メチル(CH3I)や臭化メチル(CH3Br)、ジメチル硫酸((CH3)2SO4)等のアルキル化剤によって第4級化することにより、カチオン型の親水性付与基を有する含窒素フッ素系化合物が得られる。
具体的には、例えば、カルボキシベタインタイプの場合、先ず、上記式(243)に示す原料のうち、含窒素ペルフルオロアルキルカルボニルフルオリド又はスルホニルフルオリドと、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアミンとをアミド結合させて、または、N,N−ジアルキルアミノアルキレンアルコールとエーテル結合させて、末端第3級アミンにした後、モノクロル酢酸ナトリウムと反応させることにより、両性型の親水性付与基を有する含窒素フッ素系化合物が得られる。
また、親水撥油剤は、分子中に同一又は異なる親水性付与基を2以上有していてもよい。
さらに、親水撥油剤は、連結基中に同一又は異なる結合を2以上有していてもよい。さらに、連結基がポリマー型である場合、ユニットの繰り返し数や結合順序は特に限定されない。
本実施形態の組成物に適用可能な(B)酸化物微粒子としては、平均一次粒子径が2〜50nmの酸化物微粒子(酸化物ナノ粒子)であれば、特に限定されるものではない。このような酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、シリカ、ITO(Indium Tin Oxide)、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物等が挙げられる。より具体的には、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO,SnO2,SnO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、酸化タングステン(WO3)等が挙げられる。
本実施形態の組成物に適用可能な(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物としては、被膜形成用組成物を用いた膜形成の際の反応性の速さと、得られる被膜の硬度を保持することができるものであれば、特に限定されるものではない。このようなケイ素アルコキシドの加水分解物としては、具体的には、下記一般式(244)に示すケイ素アルコキシドの加水分解(縮合)によって生成したものが挙げられる。なお、下記式(244)中、R14は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。
Si(OR14)4 ・・・(244)
次に、上述した(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の製造方法の一例について説明する。上記式(244)に示すケイ素アルコキシドの加水分解物を生成させるには、有機溶媒中において、これらを加水分解(縮合)させる。具体的には、ケイ素アルコキシドの加水分解物の場合、ケイ素アルコキシド1質量部に対して、好ましくは水を0.5〜2.0質量部、無機酸又は有機酸を0.005〜0.5質量部、有機溶媒を1.0〜5.0質量部の割合で混合し、ケイ素アルコキシドの加水分解反応を進行させることで得られる。
本実施形態の組成物は、塗布にふさわしい粘度への調整のため、(A)含窒素フッ素系化合物及び(B)酸化物微粒子の分散状態を維持するため、並びに(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物の加水分解反応を抑制するために、(D)有機溶媒を含んで構成されている。なお、被膜形成用組成物中に(D)有機溶媒が含まれない系では、ケイ素アルコキシドの加水分解速度が速く、直ぐにゲル化による固形物が生成してしまう。また、当該被膜形成用組成物を用いて被膜を形成した際、(A)含窒素フッ素系化合物及び(B)酸化物微粒子が良好な分散状態とならないおそれがある。
ところで、被膜形成成分中に(A)成分を含まない場合(すなわち、被膜形成成分中に(B)成分及び(C)成分のみを含む場合)、形成された被膜は親水親油性であり、水、油(n−ヘキサデカン)の接触角はいずれも5°以下となる。
ここで、(A)成分の固形成分比が固形成分の全量に対して6質量%以上であると、被膜に対して親水撥油性を付与することができるために好ましい。また、10質量%以上であると、形成した被膜に対する油(n−ヘキサデカン)の接触角が70°以上となり、親水性を保ちつつ、高い撥油性を付与することができるために好ましい。
次に、本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法について、以下に詳細に説明する。
本実施形態の被膜形成用組成物の製造方法の一例として、ケイ素アルコキシドから(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、(D)有機溶媒に、(A)含窒素フッ素系化合物及び(B)酸化物微粒子と、生成した(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する方法(第1の方法)が挙げられる。
具体的には、上記第1の方法は、ケイ素アルコキシドと有機溶媒とを混合して、第1液を調製する工程(第1工程)と、ケイ素アルコキシドと、水と、無機酸と、を混合して、第2液を調製する工程(第2工程)と、所要の温度に保持された上記第1液に上記第2液を添加し、温度を保持しながら混合して、ケイ素アルコキシドの加水分解物を得る工程(第3工程)と、有機溶媒に含窒素フッ素系化合物及び酸化物微粒子を添加した後、得られた上記ケイ素アルコキシドの加水分解物を添加する工程(第4工程)と、を含んで、概略構成されている。
先ず、第1工程では、ケイ素アルコキシドと有機溶媒とを混合して、第1液を調製する。具体的には、反応容器にケイ素アルコキシドを投入し、このケイ素アルコキシドの1とした際に、1質量部に対して1.0質量部となる量の有機溶媒を添加する。そして、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第1液を調製する。
次に、第2工程では、ケイ素アルコキシドと、水と、無機酸と、を混合して、第2液を調製する。具体的には、先ず、ケイ素アルコキシド1質量部に対して1.0質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の無機酸と、を容器内に投入して混合する。次いで、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第2液を調製する。
次に、第3工程では、所要の温度に保持された上記第1液に上記第2液を添加し、温度を保持しながら混合して、ケイ素アルコキシドの加水分解物を得る。具体的には、第1工程にて調製した第1液を、恒温液槽(ウォーターバス)等を用いて、例えば、約55℃の温度に保持した後、この第1液に上述した第2液を添加し、上記温度を保持した状態で約60分間撹拌する。これにより、ケイ素アルコキシドの加水分解物が得られる。
次に、第4工程では、有機溶媒に含窒素フッ素系化合物及び酸化物微粒子を添加した後、第3工程にて得られたケイ素アルコキシドの加水分解物を添加する。具体的には、所要量の有機溶媒を準備し、この有機溶媒中に所要量のペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物及び酸化物微粒子を添加する。次いで、この有機溶媒中に、第3工程にて事前に調製したケイ素アルコキシドの加水分解物を所要量添加する。これにより、本実施形態の被膜形成用組成物が得られる。なお、酸化物微粒子を溶媒に分散させた酸化物微粒子の分散液を事前に調整し、この分散液中に所要量のペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物を添加しても良い。
ここで、上述した第1の方法が(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物を事前に調整する方法であるのに対して、第2の方法は、ケイ素アルコキシドの加水分解と同時にペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物及び酸化物微粒子を混合して、被膜形成用組成物を得る方法である。
具体的には、上記第2の方法は、ケイ素アルコキシドと、(A)含窒素フッ素系化合物及び(B)酸化物微粒子と、(D)有機溶媒と、を混合して、第1’液を調製する工程(第1’工程)と、水と無機酸とを混合して、第2’液を調製する工程(第2’工程)と、所要の温度に保持された第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持しながら混合する工程(第3’工程)と、を含んで、概略構成されている。
先ず、第1’工程では、ケイ素アルコキシドと、ペルフルオロアルキルアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物及び酸化物微粒子と、有機溶媒と、を混合して、第1’液を調製する。具体的には、先ず、反応容器にケイ素アルコキシドを投入し、このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、0.4質量部となる有機溶媒を添加する。さらに、先に投入したケイ素アルコキシド1質量部に対して、例えば0.2〜1質量部となるように上記含窒素フッ素系化合物と、例えば0.2〜5質量部となるように上記酸化物微粒子と、をそれぞれ添加し、そして、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第1’液を調製する。
次に、第2’工程では、水と無機酸とを混合して、第2’液を調製する。具体的には、先ず、ケイ素アルコキシド1質量部に対して0.85質量部となる量のイオン交換水と、0.01質量部となる量の無機酸と、を容器内に投入して混合する。次いで、例えば、約30℃の温度で、約15分間撹拌することによって、第2’液を調製する。
次に、第3’工程では、所要の温度に保持された第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持しながら混合する。具体的には、第1’工程にて調製した第1’液を、恒温液槽(ウォーターバス)等を用いて、例えば、約60℃の温度に保持した後、この第1’液に第2’液を添加し、上記温度を保持した状態で約60分間撹拌する。これにより、有機溶媒中にペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物、酸化物微粒子及びケイ素アルコキシドの加水分解物を含む、本実施形態の被膜形成用組成物が得られる。
次に、本実施形態の被膜形成用組成物の使用方法、すなわち、被膜の形成方法について説明する。本実施形態の被膜形成用組成物は、そのまま、基材等の被処理物上に塗布することが可能である。
本実施形態の被膜は、上述した被膜形成用組成物を用いて形成されたものである。具体的には、上述したように、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物、酸化物微粒子、ケイ素アルコキシドの加水分解物及び有機溶媒を含有した塗布液を基板に塗布した後に、焼成して硬化させることにより得られる。
また、油性ペンを用いて被膜の表面に書いた線を、水で流すことにより落とせるかを確認することで易洗浄性を確認した。
(合成例1)
「2−[3−[ペルフルオロ(3−ジブチルアミノプロパノイル)]アミノプロピル−ジメチル−アンモニウム]アセテートの合成」
3−ジブチルアミノプロピオン酸メチルの電解フッ素化により得られたペルフルオロ(3−ジブチルアミノプロピオン酸)フルオリド20gを、ジメチルアミノプロピルアミン4gをIPE溶媒50mlに溶解した溶液に、氷浴下滴下した。室温で2時間撹拌した後にろ過を行い、ろ液のIPE層をNaHCO3水溶液と、NaCl水溶液とで洗浄処理し、分液した後に水洗を行った。その後、IPEを留去したところ、粗生成物として、(C4F9)2NC2F4CONHC3H6N(CH3)2を14g得た(収率60%)。
「2−[3−[ペルフルオロ(3−ジブチルアミノ−2−メチルプロパノイル)]アミノプロピル−ジメチル−アンモニウム]アセテートの合成」
3−ジブチルアミノ−2−メチルプロピオン酸メチルの電解フッ素化により得られたペルフルオロ(3−ジブチルアミノ−2−メチルプロピオン酸)フルオリド160gを、ジメチルアミノプロピルアミン50gをIPE溶媒500mlに溶解した溶液に、氷浴下滴下した。室温で2時間撹拌した後にろ過を行い、ろ液のIPE層をNaHCO3水溶液と、NaCl水溶液とで洗浄処理し、分液した後に水洗を行った。その後、IPEを留去したところ、粗生成物として、(C4F9)2NCF2CF(CF3)CONHC3H6N(CH3)2を94g得た(収率52%)。
「2−[3−[ペルフルオロ(3−ジブチルアミノ−2−メチルプロパノイル)]アミノプロピル−ジメチル−アンモニウム]アセテートの合成」
3−ジブチルアミノ−2−メチルプロピオン酸メチルの電解フッ素化により得られたペルフルオロ(3−ジブチルアミノ−2−メチルプロピオン酸)フルオリド160gを、ジメチルアミノプロピルアミン50gをIPE溶媒500mlに溶解した溶液に、氷浴下滴下した。室温で2時間撹拌した後にろ過を行い、ろ液のIPE層をNaHCO3水溶液と、NaCl水溶液とで洗浄処理し、分液した後に水洗を行った。その後、IPEを留去したところ、粗生成物として、(C4F9)2NCF2CF(CF3)CONHC3H6N(CH3)2を94g得た(収率52%)。
酸化物微粒子の一例として、下記(1)〜(5)を酸化物微粒子又は酸化物微粒子の分散液を用いた。
(1)平均一次粒子径が約15nmのシリカ粒子
(2)平均一次粒子径が約12nmのコロイダルシリカ粒子がIPA溶媒中に分散された分散液
(3)平均一次粒子径が約10nmのコロイダルシリカ粒子がプロピレングリコールモノメチルエーテル溶媒中に分散された分散液
(4)平均一次粒子径が約20nmのジルコニア粒子がエタノール中に分散された分散液
(5)平均一次粒子径が10nmのチタニア粒子が固形分10質量%で含まれるエタノール分散液
被膜形成用組成物のうち、ケイ素アルコキシドの加水分解物を下記に示す方法によって調整した。
具体的には、先ず、ケイ素アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)を用意し、セパラブルフラスコに投入した。このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、1質量部に対して、1.0質量部となる量のエタノールを有機溶媒として添加し、30℃の温度で15分撹拌することにより、第1液を調製した。
有機溶媒として、エタノールを46.9g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す化合物を0.1g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、IPAを33.0g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述の合成例1に記載した一般式(245)に示す化合物を0.3g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を10.0gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を6.7g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、プロピレングリコールモノメチルエーテルを37.9g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上記一般式(36)に示す化合物を0.4g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が20nmのジルコニア粒子が固形分40質量%で含まれるプロピレングリコールモノメチルエーテル分散液を3.2gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を8.5g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを44.4g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す化合物を0.2g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのチタニア粒子が固形分10質量%で含まれるエタノール分散液を3.6gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.8g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
まず、ケイ素アルコキシドとして、テトラエトキシシラン(TEOS)を用意し、セパラブルフラスコに投入する。このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、1質量部に対して、含窒素フッ素系化合物(A)として、上記一般式(119)に示す化合物を0.5質量部となるように添加し、さらに1.1質量部となる量のエタノールを有機溶媒として添加し、30℃の温度で15分撹拌することにより、第1液を調製した。さらに、このケイ素アルコキシドの質量を1とした際に、4質量部となる量の酸化物微粒子(平均一次粒子径が約15nmのシリカ粒子)を添加した。表1に成分組成を示す。
上記実施例5と同様にして、
有機溶媒として、IPAを45g準備し、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物(A)と、平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子(B)とを含むケイ素アルコキシドの加水分解物(C)を5g秤量添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを47g準備し、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを46.9g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.1g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が100nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を1.8gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを48g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を2g添加し、調製した被膜形成用組成物を比較例3とした。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを46.8g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.012g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を2.0gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.2g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを48.0g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.185g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を1.3gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を0.55g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、IPAを47.4g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.13g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を1.0gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:3×103)を1.5g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、IPAを47.2g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.02g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が10nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるIPA分散液を2.7gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:3×103)を0.15g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを47.5g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.08g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を2.3gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を0.05g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
有機溶媒として、エタノールを46.7g準備し、ペルフルオロアミン構造を有する含窒素フッ素系化合物(A)として、上述した合成例1に記載の一般式(245)に示す含窒素フッ素系化合物を0.045g秤量添加する。その後、(B)酸化物微粒子として平均一次粒子径が12nmのシリカ粒子が固形分15質量%で含まれるエタノール分散液を1.3gと、事前に調製した上記(C)ケイ素アルコキシドの加水分解物(平均分子量:4×103)を1.95g添加し、被膜形成用組成物を調製した。表1に成分組成を示す。
(被膜の親水撥油性評価)
上記実施例1〜6及び上記比較例1〜9において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、水及びn−ヘキサデカンを付着させた際の接触角測定を行い、親水性及び撥油性をそれぞれ評価した。なお、被処理物(基材)にはスライドガラスを用い、上記被膜形成用組成物をスピンコート法により塗布し、得られた膜を120℃で30分焼成させることにより、評価用部材を得た。また、接触角測定は、協和界面科学社製、CA−700型接触角計を用い、水及びn−ヘキサデカンの液滴量は2μlとし、表面処理部材上の任意5点で接触角を測定し、その平均値を算出した。評価結果を表2に表わす。
上記実施例1〜6及び上記比較例1〜9において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、透過率及びヘイズの測定を行い、透明性を評価した。
「透過率」
評価部材を上記親水撥油性評価部材と同様にして調整し、日立ハイテク社製の分光光度計U−4100を用いて、評価部材(基材を含む被膜)の透過率を240〜2600nmの範囲で測定した。透過率については、可視光範囲である550nmでの値を確認した。評価結果を下記表2に示す。
評価部材を上記親水撥油性評価部材と同様にして調整し、スガ試験機社製のヘイズメーターHZ−2を用いて、評価部材(基材を含む被膜)のヘイズ測定を行った。評価結果を下記表2に示す。なお、ヘイズは、膜の拡散透過率/全光線透過率×100であらわされる数値である。
「油性ペンのはじき性評価」
上記実施例1〜6及び上記比較例1〜9において調製した被膜形成用組成物を用いた被膜について、油性ペン(内田洋行社製、「マジックインキ」)を付着させた際のはじき性の評価(油性ペンのはじき性評価)を行い、被膜の防汚性を評価した。なお、評価部材は上記親水撥油性評価部材と同様にして調整し、油性ペンを用いて部材表面に長さ1cmの直線を書き、そのはじきやすさを以下の基準に従って目視により評価した。評価結果を下記表2に示す。
○:はじきが見られる
△:部分的にはじく
×:全くはじかない
上記油性ペンを用いて書いた直線を、せん瓶に入れたイオン交換水を基材上に直接かけることにより、その易洗浄性を以下の基準に従って目視に評価した。評価結果を下記の表2に示す。
○:全て洗浄により取り除かれる
△:部分的に取り除かれる
×:全く洗浄により取り除かれない
Claims (4)
- 下記式(1)〜(4)で示される、一種又は二種以上の含窒素フッ素系化合物と、
シリカ、ITO、及び、In、Sn、Zn、Ti又はWの酸化物から選ばれた群のうち、1種又は2種以上の混合物であり、平均一次粒子径が5〜35nmの酸化物微粒子と、
平均分子量が、1×10 3 以上2×10 4 以下である、ケイ素アルコキシドの加水分解物と、
有機溶媒と、を含み、
前記含窒素フッ素系化合物、前記酸化物微粒子及び前記ケイ素アルコキシドの加水分解物中に含まれる全固形成分中における、
前記含窒素フッ素系化合物の組成比が6〜40質量%であり、
前記酸化物微粒子の組成比が、40〜90質量%であり、
前記ケイ素アルコキシドの加水分解物の組成比が、4〜40質量%である、被膜形成用組成物。
素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキル基である。また、Rf3は、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。
上記式(3)及び(4)中、Rf4、Rf5は、それぞれ同一または互いに異なる、炭素数1〜6であって直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Rf6は、炭素数1〜6であって、直鎖状又は分岐状のペルフルオロアルキレン基である。また、Zは、酸素原子、窒素原子、CF2基又はCF基である。
また、上記式(2)及び(4)中、Rは、2価の有機基であって、直鎖状又は分岐状の連結基である。
また、上記式(1)〜(4)中、Xは、アニオン型及び両性型からなる群から選択されるいずれか1の親水性賦与基である。 - 請求項1に記載の被膜形成用組成物の製造方法であって、
前記ケイ素アルコキシドから当該ケイ素アルコキシドの加水分解物を生成した後、前記有機溶媒に、前記含窒素フッ素系化合物と、前記酸化物微粒子と、生成した前記ケイ素アルコキシドの加水分解物と、を添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の被膜形成用組成物の製造方法であって、
前記有機溶媒に、前記ケイ素アルコキシドと、前記含窒素フッ素系化合物と、前記酸化物微粒子と、を同時に添加して混合する、被膜形成用組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の被膜形成用組成物を用いて形成された、被膜。
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