JP7177889B2 - 膜形成用液組成物 - Google Patents
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前記シリカゾル加水分解物がケイ素アルコキシド(A)、フェニル基含有シラン(B)及びペルフルオロアミン構造を有するフッ素含有シラン(C)のシラン化合物の加水分解物であって、
下記の一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分を含む単位を有し、
前記フェニル基含有シラン(B)から得られるフェニル基成分は前記シリカゾル加水分解物100質量%とするときに前記シリカゾル加水分解物に10~50質量%含まれ、
前記フッ素含有シラン(C)から得られるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分は前記シリカゾル加水分解物100質量%とするときに前記シリカゾル加水分解物に0.1~10質量%含まれ、
前記溶媒が、水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒であるか、或いは水と炭素数1~4のアルコールと前記アルコール以外の有機溶媒との混合溶媒であることを特徴とする膜形成用液組成物。
先ず、ケイ素アルコキシド(A)としてのテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランと、フェニル基含有シラン(B)と、下記の一般式(2)で示されるフッ素含有シラン(C)と、炭素数1~4の範囲にあるアルコールと水との混合溶媒とを混合して混合液を調製する。このケイ素アルコキシド(A)としては、具体的には、テトラメトキシシラン、そのオリゴマー又はテトラエトキシシラン、そのオリゴマーが挙げられる。例えば、硬度の高い膜を得る目的には、テトラメトキシシランを用いることが好ましく、一方、加水分解時に発生するメタノールを避ける場合は、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
上記調製された混合液と有機酸、無機酸又はチタン化合物からなる触媒とを混合する。このとき液温を好ましくは30~80℃の温度に保持して好ましくは1~24時間撹拌する。これにより、ケイ素アルコキシド(A)とフェニル基含有シラン(B)とフッ素含有シラン(C)のシリカゾル加水分解物を含む液が調製される。シリカゾル加水分解物を含む液は、ケイ素アルコキシドを2~50質量%(好ましくは12~40質量%)、フェニル基含有シランを1~30質量%(好ましくは2~14質量%)、フッ素含有シランを0.01~3質量%(好ましくは0.02~2.5質量%)、炭素数1~4の範囲にあるアルコールを20~98質量%(好ましくは50~65質量%)、水を0.1~40質量%(好ましくは5~11質量%)、有機酸、無機酸又はチタン化合物を触媒として0.01~5質量%(好ましくは0.07~0.2質量%)の割合で混合してケイ素アルコキシドと、フェニル基含有シランと、フッ素含有シランとの加水分解反応を進行させることで得られる。
上記調製されたシリカゾル加水分解物を含む液に、上述した炭素数1~4のアルコール又は炭素数1~4のアルコールと前記アルコール以外の有機溶媒との混合溶媒とを混合して、膜形成用液組成物を製造する。
本実施の形態の膜形成用液組成物は、上記製造方法で製造され、シリカゾル加水分解物を主とする成分並びに溶媒を含み、このシリカゾル加水分解物を100質量%とするときに、シリカゾル加水分解物が上記一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基を0.1~10質量%とフェニル基を10~50質量%含み、上記溶媒が、水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒であるか、或いは水と炭素数1~4のアルコールと上記アルコール以外の有機溶媒との混合溶媒であることを特徴とする。
本実施の形態の防汚性膜は、例えば、基材であるポリプロピレン(PP)、ステンレス鋼(SUS)、鉄、アルミニウム等の金属板上、窓ガラス、鏡等のガラス上、タイル上、ポリ塩化ビニル(PVC)等のプラスチック上、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム上に、上記液組成物を、スクリーン印刷法、バーコート法、ダイコート法、ドクターブレード、スピン法等により塗布した後に、室温乾燥若しくは乾燥機等により室温~130℃の温度で乾燥させることにより、形成される。
本発明の実施例1~5及び比較例1~4に用いられる9種類のシリカゾル加水分解物を調製した。表1及び表2に9種類のシリカゾル加水分解物を調製する条件i~ixを示す。表1には各原料の質量(g)を、表2には全原料を100質量%としたときの各原料の質量(%)をそれぞれ示す。
ケイ素アルコキシド(A)としてのテトラメトキシシラン(TMOS)の3~5量体(三菱化学社製、商品名:MKCシリケートMS51)10.47g(34.90質量%)と、フェニル基含有シラン(B)のオリゴマータイプ(信越化学工業社製、商品名:KR-510)0.75g(2.50質量%)と、フッ素含有シランとして化合物式(22)(Rはエチル基である。)0.07g(0.23質量%)に、エタノール(EtOH)(沸点78.3℃)15.6g(52.00質量%)を有機溶媒として添加し、更にイオン交換水3.07g(10.23質量%)を添加して、セパラブルフラスコ内で25℃の温度で5分間撹拌することにより混合液を調製した。またこの混合液に、触媒として濃度35質量%の塩酸0.04g(0.13質量%)を添加し、40℃で2時間撹拌した。これにより、シリカゾル加水分解物Iを調製した。
表1及び表2に示すように、調製条件ii~ixにおける調製は、調製条件iにおける調製
と同様の手順で行った。調製条件ii~viiでは、フェニル基含有シランのオリゴマーとして、信越化学工業社製、商品名:KR-213をそれぞれ用いた。調製条件iiでは、触媒として濃度60質量%の硝酸を用い、加水分解の重合条件である撹拌は40℃で2時間行った。これにより、シリカゾル加水分解物IIを調製した。調製条件iiiでは、触媒としてテトライソプロポキシチタンを用い、加水分解の重合条件である撹拌は40℃で2時間行った。これにより、シリカゾル加水分解物IIIを調製した。調製条件ivでは、触媒として酢酸を用い、加水分解の重合条件である撹拌は40℃で2時間行った。これにより、シリカゾル加水分解物IVを調製した。
成分の組成割合を示す。
以下の表4に示すように、上記シリカゾル加水分解物Iを生成した液1.5gに、炭素数1~4のアルコールとしての混合溶媒である工業アルコール(日本アルコール産業社製、AP-7:エタノール85質量%と2-プロパノール5質量%と1-プロパノール10質量%の混合溶媒)8.5gを添加し、25℃で10分間撹拌して、液組成物を得た。
表4に示すシリカゾル加水分解物II~VII、炭素数1~4のアルコール(日本アルコール産業社製、AP-7)をそれぞれ用い、実施例1と同様にして、実施例2~5及び比較例1、2の液組成物を得た。
含フッ素系化合物として、特許文献1に示される式(α)の化学構造においてSi基がO-CO-NH結合を含む炭化水素基を介してペルフルオロアルキレン基とフェニル基の両方に結合する下記式(34)で示される含フッ素系化合物(-Rf-X 6 -Si-Ph)を準備し、この含フッ素系化合物を用いて、調製条件viiiでシリカゾル加水分解物VIIIを調製し、この加水分解物から液組成物を得た。式(34)中、Rはメチル基である。
含フッ素系化合物として、比較例3と同じ上記式(34)で示される含フッ素系化合物を準備し、この含フッ素系化合物を用いて、調製条件ixの条件でシリカゾル加水分解物IXを調製し、この加水分解物から液組成物を得た。
実施例1~5及び比較例1~4で得られた9種類の液組成物を、バーコーター(安田精機製作所製、型番No.3)を用いて、厚さ2mm、たて150mm、よこ75mmのポリプロピレン基材上にそれぞれ乾燥後の厚さが0.5~1μmとなるように塗布し、9種類の塗膜を形成した。ここで、先ずバーコーターによる塗布時の成膜性を評価した。続いてすべての塗膜を室温にて、3時間乾燥して9種類の防汚性が付与された膜を得た。これらの膜について、成膜性、膜表面の撥水性、撥油性、n-ヘキサデカン(表中ではHDと記載)の転落性、膜の基材への密着性を評価した。これらの結果を表5に示す。
成膜性は、膜を目視にて評価した。膜全体に弾き、筋等の発生がなく、液組成物を均一に塗布できたものは「良好」とし、膜の一部に僅かに弾き、筋等が生じたものは「可」とし、膜全体に弾き、筋等が生じたものは「不良」とした。
協和界面科学製ドロップマスターDM-700を用いて、シリンジに22℃±1℃のイオン交換水を準備し、シリンジの針の先端から2μLの液滴を飛び出した状態にする。次いで評価するポリプロピレン基材上の防汚性膜をこの液滴に近づけて防汚性膜に液滴を付着させる。この付着した水の接触角を測定した。静止状態で水が膜表面に触れた1秒後の接触角をθ/2法により解析した値を水の接触角とし、膜表面の撥水性を評価した。
協和界面科学製ドロップマスターDM-700を用いて、シリンジに22℃±1℃のn-ヘキサデカンを準備し、シリンジの針の先端から2μLの液滴を飛び出した状態にする。次いで評価するポリプロピレン基材上の防汚性膜をこの液滴に近づけて防汚性膜に液滴を付着させる。この付着した油の接触角を測定した。静止状態で油が膜表面に触れた1秒後の接触角をθ/2法により解析した値を油の接触角とし、膜表面の撥油性を評価した。膜の表面状態が凸凹になって荒れていると通常よりも高い値を示すため、接触角が高過ぎる場合には、成膜性が不良であるとの判断基準となる。
協和界面科学製ドロップマスターDM-700を用いて、シリンジに25±1℃のn-ヘキサデカンを準備し、水平に置いたポリプロピレン基材上にシリンジからn-ヘキサデカンを9μLの液滴を滴下し、基材を2度/分の速度で傾斜させ、n-ヘキサデカンの液滴が移動開始するときの基材の傾けた角度を測定した。(3)の接触角が低くてもこの転落角度が小さい方が防汚性に優れていることを意味する。
75mm×150mm×厚さ2mmのポリプロピレン基材上に塗膜を形成した。塗膜の上に、セロファンテープを貼り付けた後、テープを剥がしたときに、塗膜がテープ側に全く付かなかった場合を「密着良好」とし、塗膜の大部分がテープ側に貼り付き、ポリプロピレン基材界面で塗膜が剥がれてしまった場合を「不良」とした。
Claims (2)
- シリカゾル加水分解物を主とする成分並びに溶媒を含み、
前記シリカゾル加水分解物がケイ素アルコキシド(A)、フェニル基含有シラン(B)及びペルフルオロアミン構造を有するフッ素含有シラン(C)のシラン化合物の加水分解物であって、
下記の一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分を含む単位を有し、
前記フェニル基含有シラン(B)から得られるフェニル基成分は前記シリカゾル加水分解物100質量%とするときに前記シリカゾル加水分解物に10~50質量%含まれ、
前記フッ素含有シラン(C)から得られるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分は前記シリカゾル加水分解物100質量%とするときに前記シリカゾル加水分解物に0.1~10質量%含まれ、
前記溶媒が、水と炭素数1~4のアルコールとの混合溶媒であるか、或いは水と炭素数1~4のアルコールと前記アルコール以外の有機溶媒との混合溶媒であることを特徴とする膜形成用液組成物。
- 請求項1記載の膜形成用液組成物を基材に塗布した後に、室温若しくは室温~130℃の温度で乾燥させて防汚性膜を形成する方法。
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