JP6582840B2 - エレクトレット - Google Patents

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本発明はエレクトレットおよびそれを用いたフィルターに関する。
従来より、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置において集塵、保護、通気などを目的とし多孔質フィルターが用いられている。
多孔質フィルターのうち、繊維状物からなるフィルターは高い空隙率を持ち長寿命、低通気抵抗という利点を有しており幅広く用いられている。これら繊維状物からなるフィルターは、さえぎり、拡散、慣性衝突などの機械的捕集機構により繊維上に粒子を捕捉するが、実用的な使用環境において捕捉する粒子の空気力学相当径が0.1〜1.0μm程度の場合にフィルター捕集効率の極小値をもつことが知られている。
上記の極小値におけるフィルター捕集効率を向上させるため、電気的な引力を併用する方法が知られている。たとえば、被捕集粒子に電荷を与える、またはフィルターに電荷を与える方法、さらには両者の組み合わせが用いられる。フィルターに電荷を与える方法としては、電極間にフィルターを配置し通風時に誘電分極させる方法や絶縁材料に長寿命の静電電荷を付与する方法が知られており、特に後者の手法は外部電源などのエネルギーを必要としないため、エレクトレットフィルターとして幅広く用いられている。
エレクトレットフィルターは、初期捕集効率を高め、またフィルター加工や保管時における静電電荷の減衰による性能低下を抑制するため、エレクトレット化が可能で耐湿安定性および耐熱安定性に優れたエレクトレット材料が用いられる。
しかしながら、エレクトレットフィルターは粒子の捕集に伴い静電引力が低下するという欠点があり、とりわけ表面張力の小さなオイルミストは繊維表面を薄く被覆することで電荷の消失が著しく促進される。一般的なエレクトレットフィルターには、電荷安定性に優れたポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂等が用いられているが、これらのうち最も表面張力の小さなポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類からなる繊維状物であっても、ポリαオレフィン(PAO)、フタル酸ジオクチル(DOP)およびタバコ煙などに代表されるオイルミストに対しては材料特性として十分な撥油性を示さないため、オイルミスト負荷時の捕集効率維持性能(以下、「耐オイルミスト性」という)が低いという問題がある。
かかる問題を解決するため、フィルターを構成する繊維状物の表面張力を下げることで撥油性を与え、繊維表面でのミストの広がりや繊維素材内部への吸収拡散を抑制することで電荷の消失を低減させることで耐オイルミスト性を向上させる方法が知られている。具体的には、撥油性を高めるために樹脂内にパーフルオロ基を有した添加剤を混合する方法(たとえば特許文献1)、熱可塑性フッ素樹脂を溶融紡糸する方法(たとえば特許文献2および特許文献3)、パーフルオロ基を有したエマルジョン加工剤で表面をコーティング処理する方法(たとえば特許文献4)、プラズマおよびフッ素ガスなどを用い水素原子を置換することによりフッ素原子を導入する方法(たとえば特許文献5)等により電荷安定性を維持しながら表面張力を低減させ、耐オイルミスト性を高めたエレクトレットが用いられている。
なお、以下、素材としての低表面張力化を「撥油性」、オイルミストに対する効率低下抑制効果を「耐オイルミスト性」と記載する。なお、本発明で言う撥油性とは低表面張力化により液体のひろがり抑制効果を意味するものであり、濡れの原理から鑑みて表面張力値の大きな水に対しての作用(撥水性)も含まれるものである。
しかしながら、フッ素系樹脂やフッ素系低分子添加剤は、320℃を超える環境下においてはフッ素テロマーの脱離や熱分解物としてフッ化水素やフッ化カルボニルなどの生成がみられるため溶融紡糸には不適である。また、フッ素ガスやプラズマ処理によるフッ素原子導入では、フッ素ガスの漏洩防止や親水化を抑制するために酸素、水分量管理を厳密に行う必要があり、気密性の高い特殊設備が必要となる。また、生体蓄積性の問題により、パーフルオロオクタン酸(PFOA)およびパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)ならびにその塩、ならびにテロマーを生じる母物質の使用、ならびにその製造が禁止されており、これらの材料を添加したり、ランダムにフッ素−水素置換が生じたり、熱分解や酸化分解を生じる工程は好ましいとはいえない。
また、スパッタリングによりポリテトラフルオロエチレンをコーティングする手法も知られているが、多孔質担体に対しては飛翔する粒子が蒸着源側の最表層に偏在するとともに、担体の溶融による形状変化、ポリテトラフルオロエチレンの分解や酸化生成物の懸念がある。
また、テキスタイル用に開発された含フッ素アクリレート系加工剤には乳化剤や製膜助剤が含有され、さらにPFOAおよびPFOS規制に対応させるためC613以下の短鎖パーフルオロ基が側鎖として用いられるため、加工剤が結晶性を失っている。そのため、加工剤自身が静電電荷の安定性を持たないばかりか、低付着量であっても基材となる繊維状物の電荷安定性を著しく阻害するという問題がある。
また、アモルファス化により可溶性と熱可塑性を付与し、電荷安定性とコーティング性を両立したフッ素系樹脂(たとえば特許文献6)も知られているが、主骨格として特殊なモノマーを用いる必要があり、製造コストが著しく大きくなるという問題がある。
特開2009−6313号公報 特開2002−266219号公報 特開2007−18995号公報 特開2004−352976号公報 特表2008−540856号公報 国際公開第2009/104699号
本発明のエレクトレットは、従来の耐オイルミスト性を有するエレクトレットが生産設備やコストの制約が大きく、環境規制に対応した短鎖パーフルオロ化合物を用いた場合には電荷安定性と撥油性を両立することが困難であるという課題を解決したものであり、低コストで簡便な手法にて製造が可能な撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性、及び熱処理後の捕集効率(具体的には、熱処理前の捕集効率に対する熱処理後の捕集効率(以下、熱処理後性能維持率という))に優れたエレクトレットを得ることを課題とするものである。
本発明のエレクトレットは前記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
1.融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担体に付着させたエレクトレットであって、上記エレクトレットは、上記担体および上記ポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方が静電電荷を付与されてなり、上記エレクトレットは、示差熱熱質量同時測定において、2つ以上の融点ピークを有することを特徴とするエレクトレット。
2.上記担体は繊維状物であり、ポリテトラフルオロエチレンを蒸着法で担体に担持する上記1に記載のエレクトレット。
3.上記担体が融点320℃以下の熱可塑性樹脂からなるメルトブローン不織布である上記1または2に記載のエレクトレット。
4.上記1〜3のいずれかに記載のエレクトレットを用いたフィルター。
本発明のエレクトレットは、PFOAおよびPFOS類縁物を用いることなく、簡便な装置や工程で撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性、及び熱処理後性能維持率に優れたエレクトレットおよびそれを用いたフィルターを得ることが可能となる。そして、それを用いたフィルターは防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いられるものである。
以下に本発明の具体例を例示するが、本発明の趣旨にのっとり用途毎に最適な構成を選択することができる。
本発明に用いられる担体は所望の特性を有するものであれば特に制限されないが、形状の自由度および素材自身の電荷安定性を考慮し、電気抵抗の高い合成樹脂からなることが好ましい。具体的には非フッ素系合成樹脂であるポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、フェノール樹脂などが挙げられ、なかでもポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、環状オレフィン等のポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンからなる場合は、疎水性、電気抵抗、成形性などのバランスが良好であり、実用性に優れたエレクトレットが得られる。また、融点320℃以下の熱可塑性樹脂であることが特に好ましく、融点320℃以下の熱可塑性樹脂としては、上述のいずれの樹脂を用いてもよいが、中でも融点320℃以下のポリオレフィンが好ましく、ポリプロピレンであることがさらに好ましい。
撥油性をより高めるために担体にフッ素原子を含有した合成樹脂を用いることも好ましく、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライドコポリマー(THV)などであり、撥油性の観点からはPTFE、FEP、PFA、ETFEがより好ましい。
上記合成樹脂には樹脂自体の劣化を抑制し、さらにはエレクトレットの初期電荷量および電荷安定性を高めるために、従来公知の配合剤および配合組成を好ましく用いることができる。たとえば、配合剤としては各種金属塩、酸化防止剤、光安定化剤、アイオノマー樹脂などであり、配合組成としては、異なる樹脂成分を混合することにより得られるブレンドポリマーなどである。エレクトレットとしての初期電荷量および電荷安定性を考慮した場合、少なくとも1種がエレクトレット化可能な合成樹脂であることが好ましい。
本発明は担体に融点35℃以上320℃以下のPTFEを担持させてなるエレクトレットであり、担体の形状としては、射出成型体、フィルム形状、繊維状物、粉末状物、粒子状物のいずれの形状であっても好ましく用いられるが、粒子除去および通気用途に用いる場合には繊維状物であることがより好ましい。
本発明の繊維状物とは、長繊維または短繊維からなる織編物、不織布、綿状物等の繊維状物や延伸フィルムから得られる繊維状物を含むものであり、用途に応じて適当な形状および厚みに成形したものを使用することができる。エレクトレットをフィルター用途として利用する場合は、不織布であることが好ましい。
不織布を得る方法としては、単成分繊維、芯鞘繊維やサイドバイサイド繊維といった複合繊維、分割繊維等の短繊維をカーディング、エアレイド、湿式抄紙法などによりシート化する方法、連続繊維をスパンボンド法、メルトブローン法、エレクトロスピニング法、フォーススピニング法などによりシート化する方法など、従来公知の方法を用いることが可能である。中でも、機械的捕集機構を効果的に利用する観点から緻密で細繊度を容易に得られるメルトブローン法、エレクトロスピニング法やフォーススピニング法で得られる不織布が好ましく、残溶剤の処理を必要としない観点からメルトブローン法、溶融エレクトロスピニング法や溶融フォーススピニング法で得られる不織布がより好ましく、特に好ましくはメルトブローン法で得られる不織布であり、最も好ましくは融点320℃以下の熱可塑性樹脂からなるメルトブローン不織布である。
本発明の繊維状物に用いられる繊維の直径(平均繊維直径)は、0.001〜100μmであることが好ましく、0.005〜20μmであることがより好ましく、0.01〜10μmであることがさらに好ましく、0.02〜5μmであることが特に好ましく、0.03〜3μmであることが最も好ましい。繊維の直径が100μmよりも太い場合には実用的な捕集効率を得ることが困難であり、電荷減衰時の効率低下が大きい。繊維の直径が0.001μmよりも細い場合にはエレクトレットとしての静電電荷を付与することが困難である。
本発明における繊維状物は単独の製法、素材からなる均一物であってもよく、製法、素材および繊維径の異なる2種以上の素材を用いてなる混合物であってもよい。
本発明のエレクトレットは、融点35℃以上320℃以下のPTFEが担体の少なくとも一部に担持されてなり、撥油性が付与されてなる。融点が60℃以上315℃以下のPTFEが含まれていることが好ましく、融点が80℃以上300℃以下のPTFEが含まれていることがより好ましく、融点が100℃以上290℃以下のPTFEが含まれていることがさらに好ましい。融点が上記範囲であれば分子量に分布を有したPTFEでもよい。
上記融点を有するPTFEを蒸着加工にて用いる理由としては、(1)一般的なPTFEは融点が320℃より高く、高融点であるため、担体への担持加工温度が高くなり、担体(とりわけ合成高分子)の劣化および耐熱性に問題が生じること、(2)本発明で用いられる低融点PTFE(最小表面張力13mN/m以上17.5mN/m未満)は一般的なPTFE(最小表面張力17.5mN/m)に比して結晶形やCF基末端密度により表面張力が小さく撥油性効果が高いこと、(3)基材や種結晶からのエピタキシャル成長を利用した場合、結晶性分子の規則構造により、CF基が有する平面上分子における最小表面張力(6mN/m)を発現すること、(4)実用可能な温度範囲で融点および沸点を有しており、常圧、減圧、真空条件下で加熱することにより物理蒸着処理(PVD処理)が可能なこと、(5)付着成分の分子量や構造の制御が困難なプラズマ処理(炭化フッ素化)やスパッタリング処理と異なりPFOAやPFOS規制の観点から有利であること、(6)常温で固体であり結晶性を有しているため分子配向の変化による撥油性変化が抑制されること、(7)PTFEが融点を有しているため熱処理により自己接着性を有すること、(8)エレクトレットの基材として用いられる疎水性材料に対しても、界面活性剤を用いることなく均質な表面処理が行えること、などを例示することができる。
上記特性を利用し本発明に用いられるPTFEの担体への担持方法としては、例えば、PTFEを融点以上熱分解温度以下の温度で蒸散させ担体上で冷却固化、必要に応じてPTFEの融点以上で熱処理を行うことで固定化する方法を挙げることができる。
本発明に用いられるPTFEは、熱分解温度となる320℃以下に融点を有しており、融点以上の温度においては明確な揮発蒸散性が確認される。したがって、担体に対して蒸着法でPTFEを担持させることができる。たとえば常圧(大気中1気圧)における融点に関し、n−C1022からなる場合には融点36℃、n−C1226からなる場合には融点76℃、n−C1430からなる場合には融点103℃、n−C1634からなる場合には融点125℃、n−C2042からなる場合には融点167℃、n−C3164からなる場合には融点219℃を有している。
本発明のエレクトレットは、示差熱熱質量同時測定において、PTFEに由来する2つ以上の融点ピークを有する。すなわち、本発明では、2種以上のPTFEが用いられており、2種のPTFEが用いられることが好ましい。2種のPTFEを用いる場合、質量比で30:70〜70:30の割合で混合することが好ましい。また、本発明に用いられるPTFEは、市販のものを用いてもよく、市販混合物として、セントラル硝子株式会社製低分子量PTFEセフラルルーブ(登録商標)Vにおいては、融点範囲として100〜290℃(ピーク温度270℃)を有しているため、100℃以上で加熱することにより蒸着源として用いることが可能であり、PTFE全体が液状化する290℃以上320℃以下で加熱して用いることも好ましい。示差熱熱質量同時測定については、後述する。
特に本発明においては2種以上のPTFEが蒸着法により加工されることにより、融点差や拡散速度差を利用した担体厚み方向全体に対するPTFE加工と、分子量毎の分離作用により、電荷維持性能、撥液性に優れた結晶を得ることができる。
PTFEは、使用時には固体としての安定性を発現し、加熱時には液体および気体としての特性を有し物理蒸着法(PVD法)の素材として好ましく用いることができる。PTFEを熱分解温度以下で加熱することにより、PTFEの構造を保持することができるため、分子量や構造の面で不定形なフッ素重合体が生じるプラズマ処理やスパッタリング処理、高分子量PTFEを原料とした高温での熱分解蒸着法に対し、有利な特徴である。
蒸着加工の手法としては、各種熱源によりテトラフルオロエチレンを加熱することで蒸気を発生させ、より低温に保持した担体表面に液滴または結晶として析出させる方法が用いられる。かかる手法は、加工面全体を一度に処理するバッチ法であっても、担体または反応槽を移動させることで、担体の異なる加工面を連続的に処理する方法のいずれであっても好ましく用いられる。
本発明における蒸着加工は加圧、常圧、減圧、真空状態およびその圧力のスイング、大気中および不活性ガスいずれの雰囲気においても好ましく実施することができる。
減圧または真空状態とすることで、蒸散速度の向上および蒸散温度の低減が可能であり、加圧により蒸散物の析出を促進することができる。また、真空または不活性雰囲気とすることでPTFEや担体の酸化を抑制することが可能であるが、本発明は熱分解温度以下で低温処理が可能であるためコスト面で大気雰囲気を用いることも可能である。
本発明においては、PTFEの担持条件の調整により目的に応じて好ましい付着状態とすることができる。とりわけ、繊維状物などの多孔質構造体では、真空度が高い場合には、分子の平均自由工程が大きくPTFEは蒸散側の担体表面に偏在し、低真空または常圧、加圧条件の場合には回り込みによる均一性向上が可能となる。付着面を調整するために、同一担体において圧力のスイングや加工面(表裏)を変えた処理なども好ましい方法である。
本発明においては、蒸着加工時または蒸着加工後に担体が40℃以上140℃以下に処理されることが好ましく、50℃以上140℃以下がより好ましく、60℃以上140℃以下がさらに好ましい。かかる処理により担体との接着性向上、低分子量物の除去によるエレクトレットの安定化効果や遊離するVOC成分が低減されるためである。具体的には蒸着加工時には蒸着槽温度、担体の冷却、加熱により調整することが可能であり、蒸着加工後に加熱することも可能である。
本発明においては蒸気の状態で付着させた後冷却固化させても良いし、凝集させた液体や固体粒子として付着させることも好ましい。担体表面へのPTFEの担持を微細な凹凸構造とすることで撥油性を向上させるとともに、担体表面積の増加により総電荷量およびオイルミスト捕集可能な表面積を増加させることができる。
PTFEの蒸気が存在する雰囲気に凝縮核となる高融点PTFEや有機、無機粒子、他種液体蒸気やミストを同時に供給する方法も好ましい。
前記微細な凹凸構造としては、捕集対象とする液滴よりも微細であることが好ましい。表面積の増加による濡れ仕事の増加のみならず、付着した粒子と担体の間に空気層が存在することで、Cassie−Baxter理論に沿った高い撥油表面を得ることができるためである。
本発明におけるエレクトレットおよびそれを用いたフィルターは、担体またはPTFEの少なくとも一方がエレクトレット化され、静電電荷を付与されてなる。エレクトレット化法は使用時に所望の特性が得られるものであれば特に制限されず、PTFEの担持前、担持後いずれでも好ましく用いられる。前者であれば、PTFE粉末を静電的な引力にて引き寄せることで付着や加工に利点があり、後者であれば電気力線が遮蔽されないため、エレクトレット効果をより発現させることができる。
具体的なエレクトレット化法としては、コロナ放電法、高電圧による分極、荷電イオンの衝突、荷電粒子の注入など電気的作用によるもの、摩擦、衝突など固体との相互作用によるもの、液体との接触および衝突を利用したものなど、従来公知の方法を好ましく用いることができる。より好ましくは液体(例えば水)との接触や摩擦を用いたものであり、極性を有した酸化生成物を増加させずにエレクトレット化が可能となるため撥油性および耐オイルミスト性の観点からより好ましい方法である。
本発明のエレクトレットは、電荷を有しない非エレクトレット(無帯電状態)に対して以下に記載の性能上昇率として400%以上が好ましく、800%以上がより好ましく、900%以上がさらに好ましく、1000%以上が最も好ましい。性能上昇率の上限については特に限定されず、2000%以下が好ましい。
性能上昇率は帯電前後の状態における風速10cm/sの0.3〜0.5μm捕集効率から算出される。性能上昇率の算出方法の詳細については後述する。
性能上昇率[%]=100×[ln(1−[帯電後捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[無帯電捕集効率(%)]/100)]
本発明のエレクトレットは、フィルター使用時、保管時および形状加工時に求められる電荷安定性としては、以下に記載の熱処理後性能維持率は10%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。熱処理後性能維持率の上限については特に限定されず、99%以下が好ましい。熱処理後性能維持率は80℃環境下における30分放置の前後にて風速10cm/sの0.3〜0.5μm捕集効率から算出される。熱処理後性能維持率の算出方法の詳細については後述する。
熱処理後性能維持率[%]=100×[ln(1−[熱処理後捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[帯電後捕集効率(%)]/100)]
本発明により得られる撥油性に関しては、必要とされる特性(たとえば防水、防汚、撥水、撥油)に応じて調整することが可能であるが、例えば不織布、織布等の繊維状物からなるフィルターとして用いられる場合には、JIS K6768およびAATCC118法により用いられる表面張力試験液において、10秒以内に浸透性を与える表面張力として少なくとも無加工品(たとえばPPメルトブローンにおける代表値としては36mN/m)よりも向上していれば好ましく用いることができる。具体的には少なくとも一面が31mN/m以下が好ましく、29mN/m以下がより好ましく、27mN/m以下がさらに好ましく、25.4mN/m以下が最も好ましい。これらは防じんマスクの国家検定オイルミストの試験液体であるDOPが31mN/m、PAO(たとえばEmery3004)が29mN/mであり、実使用における鉱物および植物性オイルミストへの対応を考慮したものである。本発明者の検討によると、シート形状での撥油性とフィルターとしての耐油性には相関があり、毛管現象により吸収が生じない程度の撥油性が得られていれば、フィルターとしても明確な耐オイルミスト性(効率低下の抑制)が確認される。これは素材表面の耐油性(接触角)と多孔質体への吸収現象に相関があるためであり、ミスト試験時における繊維表面に捕集されたエアロゾルの接触角や捕集状態との相関がある。また混合物であるタバコ煙自体の表面張力値は明確ではないが、上記液体における浸透性低下とともに、明確な耐久性向上効果が確認される。
本発明のエレクトレットをフィルターとして用いる場合に、吸油または吸水機能を有した繊維層(以下、「吸液層」という)を積層して用いることも好ましい。吸油や吸水などの吸液機能を有した吸液層を用いることで、撥油性により生じた液滴の滴りを抑制し、エレクトレット表面から液滴を移行し拡散することで、エレクトレット性の消失や通気抵抗上昇を抑制することができる。
吸液層の素材としては、液滴を吸収するものであれば特に制限されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース、レーヨンなどからなる繊維シート素材、活性炭、ゼオライト、パルプなど多孔質材料を間隙に含有または表面に加工したシート素材などを好ましく用いることができる。より好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系素材またはポリエステルであり、さらに好ましくはポリプロピレンである。
吸液層に用いられる繊維は1種類または2種類以上を組み合わせて用いることも好ましく、通風抵抗や粗大粒子の捕集などの観点で適当な素材を選択することができる。
吸液層として用いられる素材は非エレクトレットおよびエレクトレットいずれでも好ましく用いることが可能であり、エレクトレット化されてなることがより好ましい。
吸液層の製法は所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、溶融および溶液法によるエレクトロスピニング法および、フォーススピニング法など、好ましい方法によりシート化した素材を用いることができる。
吸液層を構成する繊維としては、直径が0.005〜100μmであることが好ましく、0.01〜20μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
さらに必要に応じて他の構成部材と併用して用いることができる。すなわち、プレフィルター層、繊維保護層、補強部材、または機能性繊維層などと組み合わせて用いることも好ましい。
プレフィルター層および繊維保護層としては、例えばスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、発泡ウレタンなどであり、補強部材としては、例えばサーマルボンド不織布、各種ネットを例示することができる。また、機能性繊維層としては例えば抗菌、抗ウイルスおよび識別や意匠を目的とした着色繊維層などを例示することができる。吸液層にこれら機能を持たせることは厚みや通気抵抗を低減する方法として好ましい。
本発明のエレクトレットおよびそれを用いたフィルターは、本発明により得られる集塵、保護、通気、防汚、防水などの機能により幅広く用いることが可能であり、とりわけ、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。試験方法を下記に示す。
(1)融点
PTFEが表面に担持された不織布試料10mgを、窒素雰囲気下昇温速度10℃/minの条件で、日立ハイテクサイエンス社製示差熱熱質量同時測定装置STA7300を用い、ピーク温度を融点とした。なお、PTFEの融点はピーク後の質量減少および、基材として用いているポリプロピレン不織布の溶融挙動、質量減少特性との差異として判断した。
(2)JIS K 6768ぬれ張力試験液での撥油度
JIS K 6768に定められた配合にて表面張力40〜26mN/mの範囲にて1mN/m間隔でぬれ張力試験液を15種類調製し、別途25.4mN/mのぬれ張力試験液を調整し、16種類のぬれ張力試験液を準備した。そして、表面張力40mN/mの試験液を用いて微生物試験用マイクロピペッターにて試験サンプル表面に50μLずつ静置し10秒後の浸透度合いを観察した。その後、表面張力39mN/mの試験液、表面張力38mN/mの試験液、・・・、表面張力26mN/mの試験液、表面張力25.4mN/mの試験液の順に浸透度合いを同様に観察し、完全吸収されない最も表面張力の小さな試験液の表面張力をJIS K 6768ぬれ張力試験液での撥油度とした。なお、順次測定を行った結果、試験材料の表裏の状態に差異が生じる場合には、より表面張力の小さな方の表面張力を撥油度とした(以降の他の撥油度測定においても同様である)。また、25.4mN/mの試験液が非浸透の場合は、浸透した試験液がないため、試験結果を25.4mN/mとした。
(3)AATCC118での撥油度
AATCC118に定められた1級から8級までの試験液を準備した。各々を微生物試験用マイクロピペッターにて試験サンプル表面に50μLずつ静置し30秒後の浸透度合いを観察した。試験材料に完全吸収されない最も高い番号の試験液に対応した級数をAATCC118での撥油度とした。なお、1級の試験液が浸透の場合は、非浸透の試験液がないため、試験結果を0級とした。また、8級の試験液が非浸透の場合は、浸透した試験液がないため、試験結果を8級とした。
(4)PAOに対する撥油性
Emery3004(PAO(ポリ−α−オレフィン))を試験液として準備し、微生物試験用マイクロピペッターにて試験サンプル表面に対し50μL静置し30秒後の浸透度合いを観察した。試験液が浸透した場合を×、非浸透の場合を○とした。また、試験サンプルに試験液が完全吸収されない場合にはPAOに対して撥油性を有する(非浸透)とした。
(5)対オイルミスト耐久性
オイルミストへの負荷耐性(対オイルミスト耐久性)試験は以下の2種の方法にて実施した。低極性の鉱物系粒子としてPAOミストを用いて、試験を行い、また、水および多種多様な極性分子を含有する複合粒子としてタバコ煙を用いて、試験を行った。
(5−1)対オイルミスト耐久性試験(PAO耐久性)
72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、TSI社製 CERTITEST Model 8130を用い、下記条件にて通風を行った。連続的に粒子負荷を行い、下記算出法における粒子捕集効率が50%(フィルター通過後の粒子濃度がフィルター通過前の粒子濃度の半分)となった時点におけるサンプルの粒子捕集量を耐久値(PAO耐久寿命)とした。
評価粒子:平衡帯電状態としたEmery3004(PAO)
最頻粒子径0.184μm
通気速度:5cm/sec(6L/min)
濃度 :100mg/m3
効率算出:光散乱濃度法によるフィルター通過前後の濃度評価
なお、光散乱濃度法による粒径0.3〜0.5μmの捕集効率は、光散乱計数器による粒径0.3〜0.5μmの捕集効率の値とほぼ一致することを確認している。
(5−2)対オイルミスト耐久性試験(タバコ煙耐久性)[タバコ煙負荷]
1mアクリル容器中でJEM1467に準拠した吸煙器と手法を用いて、日本たばこ産業社製メビウス(登録商標)を4本燃焼させた。72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、風量12L/minにて10分間通気を行った。粒子濃度は柴田科学デジタル粉塵計P−2Lにて4000CPMから3000CPMへの減少となり、効率100%を維持した場合には、メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行うことで、概ねタバコ1本/サイクル程度の負荷量となる。
[タバコ煙負荷時の捕集効率の測定方法]
上記1サイクル(メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行う)負荷ごとに、72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、TSI社製 CERTITEST Model 8130を用い、下記の方法で効率および質量を計測し、効率50%を割り込むまでサイクルを繰り返し行い、効率が50%を割り込んだ時点を終点とする。縦および横軸を普通軸として捕集効率とタバコ煙の捕集質量をプロットし、効率50%となる時点におけるタバコ煙の捕集質量の数値を読み取り、タバコ煙耐久寿命として算出する。
評価粒子:平衡帯電状態とした固体NaCl(2質量%NaCl水から発生)
最頻粒子径0.075μm
通気速度:5cm/sec(6L/min)
濃度 :200mg/m3
効率算出:光散乱濃度法によるフィルター通過前後の濃度評価
なお、タバコ煙負荷後のサンプルを用いた場合、光散乱計数器の粒子径計測に干渉を生じるため、光散乱濃度法にて効率評価を行った。また、常法の4秒では粒子濃度が平衡にならないため、上下の検出器が平衡となる時間として20秒の値を設定した状態で、1サイクルのフィルターテスターモード(効率計測モード)の数値を用いた。
(6)エレクトレット化後のフィルターにおける捕集効率
以下の(7)及び(8)に記載のサンプル(フィルター)について、光散乱式粒子計数装置リオン社製KC−01Eを用いて以下の方法にて、粒子捕集効率試験を実施した。
評価粒子:大気塵
通気速度:10cm/sec
効率算出:フィルター通過前後の粒径0.3〜0.5μmの粒子個数を測定して、以下の式より捕集効率を求めた。
捕集効率(%)=(1−(フィルター通過後の粒子個数/フィルター通過前の粒子個数))×100
(7)帯電後捕集効率及び性能上昇率
フッ素加工後のシートサンプルを荷電(エレクトレット化)処理した。この帯電状態における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率(以下、帯電後捕集効率という)について、上記(6)に記載の方法で測定した。次に、メガファック(登録商標)F410(DIC株式会社製)(パーフルオロアルキル基含有カルボン酸)0.5質量%水溶液にサンプルを含浸・乾燥させ、自然帯電を含む静電電荷が無くなった状態(無帯電状態)とした。この無帯電状態における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率(以下、無帯電捕集効率という)について、上記(6)に記載の方法で測定した。無帯電捕集効率の値と帯電後捕集効率の値とを用いて、以下の式より性能上昇率を求めた。
性能上昇率[%]=100×[ln(1−[帯電後捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[無帯電捕集効率(%)]/100)]
(8)熱処理後捕集効率及び熱処理後性能維持率
フッ素加工後のシートサンプルを荷電処理した後、80℃環境下30分加熱(熱処理)した。この熱処理後における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率(以下、熱処理後捕集効率という)について、上記(6)に記載の方法で測定した。上記(7)の帯電後捕集効率の値と熱処理後捕集効率の値とを用いて、以下の式より熱処理後性能維持率を求めた。
熱処理後性能維持率[%]=100×[ln(1−[熱処理後捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[帯電後捕集効率(%)]/100)]
<実施例1>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布を30℃に保った恒温板に張り付け、円筒セラミック製の反応容器天井に設置した。300℃に加熱した熱板を底部に設置し、n−C1022とn−C1226とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンをそれぞれ金属性ボート上から蒸散させることで各々0.75g/m2の担持量の加工シートを得た。
得られたシートは60℃で15分間エージング処理を行った後、コロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、PTFEに由来する36℃と76℃の2つのピークが測定された。
<実施例2>
実施例1において、n−C1226とn−C1430とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は実施例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、PTFEに由来する76℃と103℃の2つのピークが測定された。
<実施例3>
実施例1において、n−C1430とn−C1634とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は実施例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、PTFEに由来する103℃と125℃の2つのピークが測定された。
<実施例4>
実施例3において、ポリプロピレン不織布に純水を透過させることでエレクトレット化処理を行った他は実施例3と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、PTFEに由来する103℃と125℃の2つのピークが測定された。
<実施例5>
実施例1において、n−C1634とn−C2042とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は実施例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、PTFEに由来する125℃と167℃の2つのピークが測定された。
<比較例1>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布に対し、n−C1022とn−C1226とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを溶解させたパーフルオロヘプタンを浸透させたのち常温で乾燥を行い、各々0.75g/m2の担持量の加工シートを得た。
得られたシートに対して液滴による撥油性試験を行うとともにコロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、56℃にPTFEに由来するブロードなピークが測定された。
<比較例2>
比較例1において、n−C1226とn−C1430とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は比較例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、89℃にPTFEに由来するブロードなピークが測定された。
<比較例3>
比較例1において、n−C1430とn−C1634とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は比較例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、114℃にPTFEに由来するブロードなピークが測定された。
<比較例4>
ポリプロピレン不織布に純水を透過させることでエレクトレット化処理を行った他は比較例3と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、114℃にPTFEに由来するブロードなピークが測定された。
<比較例5>
比較例1において、n−C1634とn−C2042とを同じ質量ずつ混合して作製されたポリテトラフルオロエチレンを用いた以外は比較例1と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。また、PTFEが表面に担持された不織布試料の融点を測定したところ、146℃にPTFEに由来するブロードなピークが測定された。
PFOAおよびPFOS類縁物を用いることなく、かつ簡便な装置や工程で、撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性、及び熱処理後性能維持率に優れたエレクトレットおよびフィルターを得ることが可能となる。

Claims (4)

  1. 融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担体に付着させたエレクトレットであって、上記エレクトレットは、上記担体および上記ポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方が静電電荷を付与されてなり、上記エレクトレットは、示差熱熱質量同時測定において、PTFEに由来する2つ以上の融点ピークを有することを特徴とするエレクトレット。
  2. 上記担体は繊維状物であり、ポリテトラフルオロエチレンを蒸着法で上記担体に担持する請求項1に記載のエレクトレット。
  3. 上記担体が融点320℃以下の熱可塑性樹脂からなるメルトブローン不織布である請求項1または2に記載のエレクトレット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトレットを用いたフィルター。
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