JP6794618B2 - エレクトレットフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、エレクトレットフィルターに関する。
従来、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルターなどにおいて、集塵、保護、通気などを目的として多孔質フィルターが用いられている。
多孔質フィルターのうち、繊維状物からなる繊維層フィルターは高い空隙率を持ち、長寿命、低通気抵抗という利点を有しており幅広く用いられている。上記繊維層フィルターでは、接触付着、拡散、慣性衝突などの機械的捕集機構により繊維上に粒子を捕捉する。これらの機構は粒子の物性、繊維径、粒子の通過風速などにより変動するが、実用的な使用環境においては、空気力学相当径が0.1〜1.0μm程度の粒子の場合にフィルターの粒子捕集効率が最も低くなることが知られている。
空気力学相当径が0.1〜1.0μm程度の粒子に対するフィルターでの粒子の捕集効率を向上させるため、電気的な引力を併用する方法が知られている。例えば、捕集対象となる粒子に電荷を与える方法、フィルターに電荷を与える方法、又は両方法の組み合わせなどが知られている。フィルターに電荷を与える方法としては、電極間にフィルターを配置し通風時に誘電分極させる方法や絶縁材料に長寿命の静電電荷を付与する方法が知られている。特に後者の場合には、外部電源などのエネルギーを必要としないため、このような絶縁材料が含まれたフィルターは、エレクトレットフィルターとして幅広く用いられている。
エレクトレットフィルターはオフィスビル内の浮遊粉塵濃度を制御するための業務用空調エレメント、一般家庭や小規模なオフィスに設置する家庭用空気清浄機、喫煙室や遊戯装置などに併設される局所的な集塵機などが主要用途として知られている。
とりわけ家庭用空気清浄機においては、繊維層フィルターでは捕集が困難な粒子径分布を有し、かつフィルター劣化率の高いタバコ煙が標準評価粒子として用いられている。これは、日本電機工業会規格JEM1467(家庭用空気清浄機)ならびに、中国国家標準GB/T−18801、米国家電製品協会(AHAM)におけるCADR(Clean Air Delivery Rate)において定義されており、空気清浄機用フィルターにおいてはタバコ煙への集塵効率と耐久性を向上することが大きな技術的課題である。
日本国内での規格(JEM1467)においては、モデル試験におけるタバコ煙の集塵性能(=捕集効率×風量)が未使用時と比較して半減する時点を寿命とみなしており、風量同等とみなした場合にはタバコ煙に対する捕集効率低下を抑制することが空気清浄機として用いられる場合の耐久性に大きな寄与を与える。
これまで、濾過面積を増大させフィルター単位面積当たりのタバコ煙捕集量を軽減する方法やフィルター層を増大させタバコ煙捕集量の軽減とともに捕集効率を向上させる方法、細繊度化により機械的捕集効率のみでも50%を超えるようなフィルターを用いるなどの方策が用いられてきた。しかしながら、大風量化、省サイズ化、省エネルギー化、静音化、長寿命化というユーザーや社会的要求がますます高まっており、これまでの技術では対応が困難となりつつある。
加えて、エレクトレットフィルターは粒子の捕集に伴い静電引力が低下するという欠点があり、とりわけ表面張力の小さなオイルミストは繊維表面を薄く被覆することで電荷の消失が著しく促進される。一般的なエレクトレットフィルターには、電荷安定性に優れたポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂等が用いられているが、これらのうち最も表面張力の小さなポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類からなる繊維状物であっても、ポリαオレフィン(PAO)、フタル酸ジオクチル(DOP)およびタバコ煙などに代表されるオイルミストに対しては材料特性として十分な撥油性を示さないため、オイルミスト負荷時の捕集効率維持性能(以下、「耐オイルミスト性」という)が低いという問題がある。
かかる問題を解決するため、フィルターを構成する繊維状物の表面張力を下げることで撥油性を与え、繊維表面でのミストの広がりや繊維素材内部への吸収拡散を抑制することで電荷の消失を低減させることで耐オイルミスト性を向上させる方法が知られている。具体的には、撥油性を高めるために樹脂内にパーフルオロ基を有した添加剤を混合する方法(たとえば特許文献1)、熱可塑性フッ素樹脂を溶融紡糸する方法(たとえば特許文献2および特許文献3)、パーフルオロ基を有したエマルジョン加工剤で表面をコーティング処理する方法(たとえば特許文献4)、プラズマおよびフッ素ガスなどを用い水素原子を置換することによりフッ素原子を導入する方法(たとえば特許文献5)等により電荷安定性を維持しながら表面張力を低減させ、耐オイルミスト性を高めたエレクトレットが用いられている。
なお、以下、素材としての低表面張力化を「撥油性」、オイルミストに対する効率低下抑制効果を「耐オイルミスト性」と記載する。なお、本発明で言う撥油性とは低表面張力化により液体のひろがり抑制効果を意味するものであり、濡れの原理から鑑みて表面張力値の大きな水に対しての作用(撥水性)も含まれるものである。
しかしながら、フッ素系樹脂やフッ素系低分子添加剤は、320℃を超える環境下においてはフッ素テロマーの脱離や熱分解物としてフッ化水素やフッ化カルボニルなどの生成がみられるため溶融紡糸には不適である。また、フッ素ガスやプラズマ処理によるフッ素原子導入では、フッ素ガスの漏洩防止や親水化を抑制するために酸素、水分量管理を厳密に行う必要があり、気密性の高い特殊設備が必要となる。また、生体蓄積性の問題により、PFOA(パーフルオロオクタン酸)およびPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)ならびにその塩、ならびにテロマーを生じる母物質の使用、ならびにその製造が禁止されており、これらの材料を添加したり、ランダムにフッ素−水素置換が生じたり、熱分解や酸化分解を生じる工程は好ましいとはいえない。
他にもスパッタリング法によりポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をコーティングする手法も知られているが、飛翔する粒子が蒸着源側の最表層に偏在するとともに、PTFEが分解するおそれや酸化生成物を生成するおそれがある。
また、テキスタイル用に開発されたフッ素含有アクリレート系加工剤には乳化剤や製膜助剤が含有され、さらにPFOAおよびPFOS規制に対応させるためC613以下の短鎖パーフルオロ基が側鎖として用いられるため、加工剤が結晶性を失っている。そのため、加工剤自身が静電電荷の安定性を持たないばかりか、低付着量であっても基材となる繊維状物の電荷安定性を著しく阻害するという問題がある。
特開2009−6313号公報 特開2002−266219号公報 特開2007−18995号公報 特開2004−352976号公報 特表2008−540856号公報
本発明は、タバコ煙に対する耐久性が要求されるフィルター用途(たとえば家屋・乗物内に用いられる空気清浄機、喫煙室、遊戯装置における集塵装置など)において好適なエレクトレットフィルターを提供することにある。
本発明者が鋭意検討した結果、遂に本発明のエレクトレットフィルターを完成するに到った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
1.フッ素含有成分が繊維表面に担持されたエレクトレットフィルターであって、風速5cm/sにおける0.3〜0.5μm粒子捕集効率において、初期QF値が0.5mmAq-1以上であり、タバコ煙負荷によるフィルター劣化率が−8/(g/m2)以上であることを特徴とするエレクトレットフィルター。
2.上記繊維の有効繊維径が0.1μm〜20μmであることを特徴とする上記1に記載のエレクトレットフィルター。
特に空気清浄機用途として好適な、タバコ煙に対する耐久性に優れたフィルターを得ることができる。
タバコ煙付着量と性能維持率との関係を示したグラフである。
以下に本発明の具体例を例示するが、本発明の趣旨に則り用途毎に最適な構成を選択することができる。
本発明のエレクトレットフィルターは、フッ素含有成分が繊維表面に担持されたものであり、担体として繊維を用いている。本発明のエレクトレットフィルターは、繊維からなる繊維層とその繊維層の表面に付着したフッ素含有粒子とを含むことが好ましい。
(繊維層)
繊維層の構成素材としては、所望の特性を有するものであれば特に制限されないが、形状自由度の観点から合成樹脂を用いることが好ましく、より好ましくはフッ素が含有されていない合成樹脂を用いることである。フッ素が含有されていない合成樹脂として、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、環状オレフィンなどのポリオレフィン素材やポリスチレン素材が好ましい。これらの素材を用いることで、電気抵抗が高く、かつ、疎水性、成形性などのバランスが良好であり、粒径0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率(以下、単に捕集効率ということがある)に優れたエレクトレットフィルター、すなわち、実用性に優れたエレクトレットフィルターを得ることができる。
タバコ煙に対する耐久性をより高めるために担体にフッ素原子を含有した合成樹脂を用いることもでき、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライドコポリマー(THV)などであり、タバコ煙に対する耐久性の観点からはポリテトラフルオロエチレン、FEP、PFA、ETFEがより好ましい。
本発明に用いる繊維層は、織布状、不織布状、綿状など、公知の手法により得られる繊維状物を用途に応じて適切な形状および厚み、充填状態に成型したものであればよく、粒子除去性能の観点からは、不織布状の繊維層であることが好ましい。不織布状の繊維層を形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、メルトブローン法、湿式法、乾式法、スパンボンド法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法、フォーススピニング法、超音速延伸法、複合繊維分割法等の公知の方法が挙げられるが、得られる不織布の繊維径が小さく捕集効率が良好なことから、本発明ではメルトブローン法、エレクトロスピニング法、フォーススピニング法、又は超音速延伸法を採用するのが好ましい。また、残溶剤の処理を必要としない観点からは、メルトブローン法、溶融エレクトロスピニング法、溶融フォーススピニング法、又は超音速延伸法を採用するのが好ましい。繊維層は、1種の材料のみから成型してもよく、2種以上の材料を用いて成型してもよい。
本発明に用いられる繊維の有効繊維径は0.1〜20μmであることが好ましく、0.15〜15μmであることがより好ましく、0.2〜10μmであることがさらに好ましく、0.3〜5μmであることが特に好ましく、0.5〜3μmであることが最も好ましい。繊維の有効繊維径は、Davies,C.N.,“The Separation of Airborne Dust and Particles”, Institution of Mechanical Engineers, London, Proceedings 1B,1952に示された方法に従って計算される。繊維の有効繊維径が上記範囲内であれば、捕集効率を高めつつ、繊維層中における空気の通気抵抗を低減させることができる。繊維の有効繊維径が20μmよりも太い場合には捕集効率が低下するおそれがあり、また、電荷減衰時における各種性能の効率低下が大きい。また、繊維の有効繊維径が0.1μmよりも細い場合には、強度や均一性を維持する量の繊維を用いた際に通気抵抗が大きくなりすぎるため、大風量かつ静圧の小さなシロッコファンで吸引される空気清浄機用途に用いることが困難となる。
繊維の断面形状は円形でもよく、楕円形、矩形、星型、クローバー状などの異形断面でもよい。異形断面繊維では、繊維表面との接触角が90°以下となる液体を、毛管現象により繊維の溝部に吸収するため、繊維全体が液体で被覆されるのを抑制でき、エレクトレット性の低下を抑制することができる。
本発明における繊維状物は単独の製法、素材からなる均一物であってもよく、製法、素材および繊維径の異なる2種以上の素材を用いてなる混合物であってもよい。
樹脂自体の劣化を抑制し、かつ、繊維層での電荷安定性を高めるために、樹脂には公知の配合剤を添加してもよい。配合剤としては、例えば、各種金属塩、酸化防止剤、光安定化剤などを挙げることができる。また、樹脂自体の劣化を抑制し、かつ、繊維層での電荷安定性を高めるために、素材の異なる材料を複数用いて繊維層を形成してもよく、例えば、異なる2以上の樹脂成分を混合することにより得られる相溶性又は非相溶性のブレンドポリマー、アイオノマー、マレイン酸変性ポリオレフィン、ヒンダードフェノール系樹脂、ヒンダードアミン系樹脂などを用いることができる。
(フッ素含有成分)
本発明のエレクトレットフィルターは、撥水性および撥油性を付与するために、繊維表面の少なくとも一部にフッ素原子を含むフッ素含有成分が繊維表面に担持されてなることを特徴とする。フッ素含有材料は、フッ素含有多環化合物、又はフッ素含有オレフィン若しくはフッ素含有側鎖を有する(メタ)アクリレートを含むモノマー成分から得られたフッ素含有重合体からなる。また、環境や人体に悪影響を及ぼすのを避ける観点から、上記フッ素含有重合体及び上記フッ素含有多環化合物は、加水分解によって、炭素数が8以上で、かつ、全ての水素が炭素に置換されているフッ素テロマーが発生しないことが好ましい。
フッ素含有成分の繊維表面への担持状態として、具体的には繊維表面にフッ素含有材料により実質的に均一なコーティング層が形成されている状態、コーティング層により凹凸を有しており少なくとも一方がフッ素含有材料である場合、コーティング層により凹凸を有しており、両者がフッ素含有材料である場合を例示することが出来る。
凹凸を作成する具体的な例としては、(1)予め平滑なフッ素含有面を得た後に凸部となる成分を付着させる方法、(2)コーティング溶液に融点もしくはガラス転移温度、および溶解性の異なる2以上の成分を混在させ溶解度の差により凹凸を形成する方法、(3)コーティング液をエマルションもしくはサスペンションとし、融点もしくはガラス転移温度の低い成分を加熱処理により平滑面とする方法、(4)予め凸成分を担体表面に形成させたのち、溶液を付着させる方法、(5)予め凸成分を担体表面に形成させた後、融点もしくはガラス転移温度の低い成分を付着させ、加熱処理により平滑化する方法、(6)担体より耐酸化性や耐スパッタ性の材料を表面担持した後に、担体側をエッチング処理する方法などを例示することができる。
上記において、予め平滑なフッ素含有面を得る方法としては、(1)担体成分にフッ素含有成分を混合しておく方法、(2)フッ素ガスにより担体をフッ素化する方法、(3)フッ素プラズマにより担体をフッ素化する方法、(4)表面重合により担体表面にフッ素含有樹脂層を得る方法、(5)フッ素含有成分の溶液により担体表面をコーティングする方法、(6)フッ素含有成分のエマルションもしくはサスペンションを付着させたのち、熱処理により平滑化させる方法、(7)フッ素含有成分の粒子状物を気相にて付着させたのち、熱処理により平滑化させる方法、(8)フッ素含有成分を蒸着し平滑化させる方法などを例示することができる。このうち、好ましくは上記(5)〜(8)の方法である。
上記において、凸部となる成分を予め加工されたフッ素含有平面に付着させる方法としては、(1)エマルション、サスペンションなどをコーティング液として塗布する方法、(2)エマルション、サスペンション、溶液等をスプレーにより噴霧、粒子化する方法、(3)蒸散や昇華などを用い、蒸気や液滴から表面に析出させる方法、などを例示することができる。
上記において、予め凸部を形成する方法としては、(1)担体のエッチング処理を用いる方法、(2)2以上の成分を付着させておき、溶解度もしくは蒸気圧の差により少なくとも1成分を除去する方法、(3)担体となる樹脂成分に予め凸成分を混合しておく方法、(4)エマルション、サスペンション、溶液等をスプレーにより噴霧、粒子化する方法、(5)蒸散や昇華などを用い、蒸気や液滴から表面に析出させる方法、などを例示することができる。
上記フッ素含有成分の蒸着加工の手法としては、各種熱源によりフッ素含有成分を加熱することで蒸気を発生させ、より低温に保持した担体表面に液滴または結晶として析出させる方法が用いられる。かかる手法は、加工面全体を一度に処理するバッチ法であっても、担体または反応槽を移動させることで、担体の異なる加工面を連続的に処理する方法のいずれであっても好ましく用いられる。
本発明における蒸着加工は加圧、常圧、減圧、真空状態およびその圧力のスイング、大気中および不活性ガスいずれの雰囲気においても好ましく実施することができる。
減圧または真空状態とすることで、蒸散速度の向上および蒸散温度の低減が可能であり、加圧により蒸散物の析出を促進することができる。また、真空または不活性雰囲気とすることでフッ素含有成分や担体の酸化を抑制することが可能であるが、本発明は熱分解温度以下で低温処理が可能であるためコスト面で大気雰囲気を用いることも可能である。
フッ素含有成分は、電荷安定性ならびに耐オイルミスト性の観点から、金属及び金属酸化物への被覆粒子ではないことが好ましく、また、フッ素含有成分は、金属及び金属酸化物との混合物ではないことが好ましい。フッ素含有成分100質量%中、金属及び金属酸化物の含有量は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%(金属及び金属酸化物を全く含まない)であることがより好ましい。
金属や金属酸化物表面にフッ素系のコート層を用いてフッ素含有成分を作製すると、(1)金属酸化物表面に均一なコーティングを行うことが困難であり微細液滴に対する撥油性を発揮することが困難であること、(2)金属との反応性を利用する化合物では、C6以下の単一直鎖化合物において常温粘性を有しており、エレクトレットフィルターの電荷安定性や粒子同士の付着分散性を阻害すること、(3)タバコ煙に対する反応性や酸・塩基性を有する物質に対する耐加水分解性が劣ること、などの問題点が生じる。
また、フッ素含有成分は、界面活性剤を少量含む又は含まないことが好ましい。具体的には、フッ素含有成分100質量%中、界面活性剤の含有量は25質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、0質量%(界面活性剤を全く含まない)であることがより好ましい。上記範囲を超える界面活性剤を含有する粒子は、粒子自体や基材の撥水撥油性や電荷安定性を阻害するおそれがある。
フッ素含有多環化合物は、電荷安定性と撥油性の観点から、水素原子のフッ素置換率として80%以上が好ましく、より好ましくは90%以上であり、最も好ましくは95%以上である。また、電荷安定性と撥油性の観点から、フッ素含有多環化合物は、40℃以上の融点を有していることが好ましく、より好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上であり、最も好ましくは100℃以上である。具体的な物質としては、三次元構造体であれば、フッ素化グラファイト、フッ素化フラーレン、フッ素化カーボンナノチューブなどが好ましく、平面構造体であればフッ素化グラフェンなどが好ましい。
また、フッ素含有重合体は、40℃以上の融点又はガラス転移温度を有していることが好ましく、より好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは80℃以上、最も好ましくは100℃以上である。この理由は下記効果を有するためである。(1)エマルションやサスペンションの粘性が低減されるため、分散液中における粒子のブロッキングが軽減される。(2)フッ素含有重合体の流動性が低くなり、エレクトレット加工後の繊維上におけるフッ素含有重合体の広がりによる電荷の消失を抑制できる。(3)フッ素含有重合体の分子運動性が低いため、フッ素含有重合体自身がエレクトレット化されるためオイルミスト付加時の劣化がより抑制される。(4)フッ素含有重合体の加工によって繊維の剛性とヒートセット性が向上し、プリーツ加工性や耐風性に優れる。(5)成型加工時及び保管時におけるフィルター同士やフィルターと包装材等とのブロッキングが抑制され、かつ、加工機や金型の汚染が低減される。例えば、PTFE、FEP、PFA、ETFE、PCTFE、PVDF、THV、少なくとも側鎖にC7以下(好ましくはC6以下)のパーフルオロ構造を有する(メタ)アクリル酸系重合体、フッ素溶剤に可溶性を有する変性PTFEなどを例示することができる。融点及びガラス転移温度の測定法については後述する。
特にフッ素含有(メタ)アクリル酸系重合体においては、ランダム重合の場合にガラス転移温度を上昇させるために、重合体の主鎖にハロゲン原子を導入することや、剛直な短鎖メチルメタクリレート、トリフルオロメチルメタクリレート、立体障害の大きなスチレン含有オレフィン、ジシクロペンテニル基含有オレフィン、ジシクロペンタニル基含有オレフィンなどのモノマーとの共重合体とすること、立体規則性重合の導入により結晶性を発現させることなどが好ましい方法である。
フッ素含有(メタ)アクリル酸系重合体の具体的な例としては、フッ素含有オレフィンを含む(共)重合体などが挙げられ、フッ素含有(メタ)アクリル酸の具体的な例としては、フルオロアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含む(共)重合体などが挙げられる。
撥油性の観点から、フッ素含有オレフィンは、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロアルキレン基を有することが好ましい。パーフルオロ基の炭素数は1個以上7個以下であれば好ましく用いられるが、より好ましくは4〜6個の炭素数からなるパーフルオロアルキル基を側鎖の末端に有してなることがより好ましい。また、フッ素含有(メタ)アクリレートは、トリフルオロメチル基が末端に位置する(メタ)アクリロイル基を有してなることが好ましい。
フッ素含有重合体は、連結基として酸素、珪素、窒素原子などを含んでも良いが、より好ましくは水素、フッ素、炭素のみからなる構造である。このような構造である場合、不対原子ならびに非対称な極性成分を持たないため、表面張力および吸湿性が低減し、その結果、耐オイルミスト性及びエレクトレット性が向上する。
フッ素含有重合体は、主鎖とのスペーサーとして、1以上の芳香族炭化水素基、直鎖状・分岐状・環状脂肪族炭化水素基を有してなることも好ましい。また、α−クロロ(メタ)アクリレートを主鎖とした場合には、立体障害の大きな塩素原子を主鎖に組み込むことが可能であるため、フッ素含有モノマーの含有比率を高く維持しつつ、重合体として高いガラス転移温度を得ることができ、電荷安定性及び撥油性を向上させやすい。
短鎖のフッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルキレン基を有するモノマーを用いる場合、所望のガラス転移温度又は結晶性を得るため、これらのフッ素含有モノマーに共重合させるモノマーとして、炭素数12〜30の直鎖脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを用いることも好ましく、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートを挙げることができる。長鎖脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートを用いることによって、共重合体における側鎖の結晶性を高め、かつ、共重合体のガラス転移温度の向上にも寄与することに加えて、エステル基を遮蔽し、かつ、分子運動性を低減するため、エレクトレット性の安定度が向上する。
また、フッ素含有モノマーに共重合させるモノマーとして、分岐状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有してなる(メタ)アクリレートを用いることもでき、具体的な例としては、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ノルボルニル基、ボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基などの炭素数7〜20の多環式の脂肪族炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ベンジル基などの芳香族炭化水素基;を有する(メタ)アクリレートである。これらの(メタ)アクリレートは、大きな立体障害を有するため、融点又はガラス転移温度が高くなり、さらに、エステル基を遮蔽し、かつ、分子運動性を低減するため、エレクトレット性の安定度が向上する。上記(メタ)アクリレートとして、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
このうち、より好ましくはジシクロペンタニルアクリレート(ホモポリマーTg=120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(ホモポリマーTg=175℃)、イソボルニルアクリレート(ホモポリマーTg=94℃)、イソボルニルメタクリレート(ホモポリマーTg=180℃)であり、直鎖脂肪族炭化水素基を有するホモポリマーよりも環状脂肪族炭化水素基を有するホモポリマーの方が、ガラス転移温度が顕著に高いという特徴があり、フッ素含有モノマーの含有比率を高く維持しつつ、重合体として高いガラス転移温度を得ることができる。
また、フッ素含有モノマーに共重合させるモノマーとして、分岐状脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基を有してなるハロゲン非含有オレフィンを用いることもでき、例えば、スチレン(ホモポリマーTg=100℃)などを挙げることができる。芳香環という大きな立体障害基を有し、かつ、極性成分の少ない炭化水素構造のみからなるため、共重合体のガラス転移温度が上昇しつつ、共重合体の吸湿性も低減されるため、エレクトレット性の安定度が向上する。
他のモノマーとして、ハロゲン化オレフィン、架橋性を有する官能基、酸化防止作用および電荷安定性を付与するヒンダードフェノール構造やヒンダードアミン構造を有する非フッ素系モノマーを用いることもできる。ハロゲン化オレフィンとしては、2以上の炭素数を有するものであれば好ましく用いられるが、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンなどを挙げることができ、ガラス転移温度の向上作用の点で塩化ビニル(ホモポリマーTg=87℃)などのハロゲン化ビニルが好ましく用いられる。
フッ素含有モノマーと非フッ素系モノマーとの共重合比は、モル比で100:0〜10:90の範囲であることが好ましく、より好ましくは100:0〜20:80、更に好ましくは100:0〜30:70である。
また、粒子を表面に付着させ凹凸部を形成する場合には、粒子径0.1nm以上500nm以下のフッ素含有粒子を担体に付着させていることが好ましい。粒子径は0.5nm以上300nm以下であることがより好ましく、1nm以上200nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上100nm以下であることが最も好ましい。粒子径が500nmより大きい場合には分散時における粒子径の均一性を図りにくくなり、コーティングの層厚みが過大となりやすく取り扱いが困難になる。また、捕集対象とする浮遊オイルミストは通常500nm以下であるため凹凸による撥油性付与が困難となる。一方で粒子経が0.1nm未満であると溶解性および融点や蒸気圧の面でコーティング用途として適しておらず、撥油性、耐久安定性、エレクトレットの安定性が劣るおそれがある。
とりわけ、担体が繊維状物であって通気性や濾過特性を求められる用途においては繊維状物と粒子の直径比が重要であり、繊維径(繊維直径)を粒子径(粒子直径)で除した値(繊維径/粒子径)が1以上であることが好ましく、より好ましくは10以上であり、最も好ましくは100以上である。また、一般的に繊維径が小さいほど濾過特性(単位通気抵抗あたりの捕集効率)が向上することが知られており、コーティング層による繊維径増加を抑制する。
上記粒子径を調整する手法としては、(1)乳化重合や懸濁重合を行うことにより、重合時に粒子径を調整する方法、(2)衝撃、摩擦などの物理的作用によりフッ素含有ポリマーを粉砕する方法、(3)フッ素系溶媒、超臨界二酸化炭素などにフッ素含有ポリマーを溶解後、担体に噴霧することにより粒子化する方法、(4)フッ素系溶媒、超臨界二酸化炭素などにフッ素含有ポリマーを溶解後、貧溶媒と混合することにより再析出により粒子化する方法、(5)融点以上の温度に加熱した後に担体に噴霧する方法、(6)圧力・温度変化による蒸散および凝縮を利用する方法が好ましいなどが挙げられ、目的とする粒子径に応じて好ましい手法を用いることができる。乳化重合、懸濁重合、再析出などにより得られる粒子の場合には、固液混合状態で担体に付着させてもよく、乾燥工程を経て粒子として取り出してもよい。なお、フッ素含有ポリマーは上記のモノマーを用いて公知の方法で作製することができる。
物理的作用により粉砕する方法としては、湿式もしくは乾式の各種粉砕機を用いることが可能であり、具体的にはボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを例示することができ、粉砕と同時に乳化、懸濁させることもできる。
液体に分散して用いる場合には分散媒として、水、炭化水素系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒などを好ましく用いることができ、2種以上の分散媒を混合して用いることもできる。分散媒として有機溶媒を用いる場合には、担体として用いられる合成樹脂との親和性により、浸透性やコーティングの均一性を高めることができる。分散媒として水を用いる場合には、各種界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤は撥油性の発現およびエレクトレットの安定性を阻害するため、最終的にはフッ素含有成分から界面活性剤を除去及び/又は不活性化することが好ましく、その方法として、例えば、担体への付着前もしくは付着後に熱処理により界面活性剤を蒸散させる方法、熱分解や酸化分解によりフッ素含有成分から界面活性剤を除去する方法、水又は溶媒による洗浄でフッ素含有成分から界面活性剤を除去する方法、イオン性官能基を遷移金属イオンや反応性有機物で封止する方法などを用いることができる。界面活性剤を用いずフッ素含有成分を分散させる方法としては、分散媒にもフッ素含有溶媒を用いることが好ましい。
噴霧により粒子化する方法としては、エアレス式又はエア圧式のスプレー、超音波霧化式、ラスキンノズル式、衝突式、静電噴霧式などの方法を例示することが可能である。この場合は溶液もしくは予め粒子化された懸濁液を用いることで、容易に溶液濃度に比例した粒子径を調整することができる。特に0.1nm以上500nm以下の単分散粒子を得る手法として溶液や懸濁液を噴霧する方法が好適であり、溶液状態、半蒸散状態、固体化した状態のいずれの状態で付着させてもかまわない。
蒸散により粒子化する方法としては、加熱又は減圧によりフッ素含有材料を気化させた後、冷却又は加圧により直接担体表面に析出させる方法、又は気体中で粒子化させた後に担体表面に付着させる方法などを用いることができる。
本発明においては、フッ素含有成分を分散させた気相を用いて、担体にフッ素含有成分を付着させる工程(気相法)を含んでいる。担体がフィルター用途の場合に気相法によって粒子を担体に付着させると、界面活性剤を用いず加工でき、かつ、担体自身の粒子捕集特性を生かすことができる。
(エレクトレット化)
本発明におけるエレクトレットフィルターは、担体またはフッ素含有成分の少なくとも一方がエレクトレット化され、すなわち、静電電荷が付与されている。エレクトレット化の方法は使用時に所望の特性が得られるものであれば特に制限されず、フッ素含有成分の担持前でも担持後でもよい。前者であれば、フッ素含有粉末を静電的な引力にて引き寄せることで付着や加工に利点があり、後者であれば担体の電気力線が遮蔽されないため、エレクトレット効果をより発現させることができる。
エレクトレット化の方法としては、高電圧による分極、荷電イオンの衝突、荷電粒子の注入など電気的作用による方法、摩擦、衝突など固体との相互作用による方法、液体との接触および衝突を利用した方法など、公知の方法を好ましく用いることができる。撥油性および耐オイルミスト性の観点から、より好ましくは液体との接触や摩擦を利用した方法である。この方法を用いると、極性を有した酸化生成物を増加させずにエレクトレット化することが可能となるため、タバコ煙耐性の観点からより好ましい方法である。
本発明におけるエレクトレットフィルターは、風速5cm/sにおける粒径0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率(初期捕集効率)が50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上である。
初期捕集効率は、フィルター通過前後の粒径0.3〜0.5μmの粒子個数を測定して、以下の式より算出される。
初期捕集効率(%)=(1−(フィルター通過後の粒子個数/フィルター通過前の粒子個数))×100
本発明のエレクトレットフィルターは、風速5cm/sにおける粒径0.3〜0.5μmの初期QF値が0.5mmAq-1以上であり、好ましくは1.0mmAq-1以上であり、より好ましくは1.5mmAq-1以上である。初期QF値は、通気抵抗(フィルター通過による圧力損失)及び上記初期捕集効率の値を用いて、以下の式より算出される。
初期QF値(mmAq-1)=−[ln(1−[初期捕集効率(%)]/100)]/[通気抵抗(mmAq)]
本発明のエレクトレットフィルターの撥油度については、AATCC−118法で用いられる試験液及びJIS K 6768で用いられるぬれ張力試験用混合液の液滴を滴下し、浸透に必要な表面張力が小さいほど撥油度は高いものとする。本発明のエレクトレットフィルターの撥油度に関しては、必要とされる特性(防水、防汚、撥水、撥油など)に応じて調整することが可能であるが、AATCC−118法で用いられる試験液及びJIS K 6768法で用いられるぬれ張力試験用混合液において、30秒以内に浸透性を与える試験液表面張力として少なくとも無加工品(例えば、メルトブローン法により得られたポリプロピレンの表面張力が36mN/m)よりも低ければ好ましく用いることができる。具体的には31mN/m以下であることがより好ましく、29mN/m以下であることがさらに好ましく、27mN/m以下であることが特に好ましく、25mN/m以下であることが最も好ましい。これらは防じんマスクの国家検定規格における液体粒子の基準とされているフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOP)の表面張力が31mN/m、ポリ−α−オレフィン(PAO)の一つであるEmery3004の表面張力が29mN/mであり、また、実使用における鉱物および植物性オイルミストへの対応を考慮したものである。本発明者の検討によると、シート形状での撥油性とフィルターとして用いたときの耐オイルミスト性には相関があり、毛管現象により吸収が生じない程度の撥油性が得られていれば、フィルターとしても十分な耐オイルミスト性(捕集効率の低下を抑制)を有する。これは素材表面の耐オイルミスト性(接触角)と多孔質体への吸収現象に相関があるためであり、十分な撥油性を有する場合には、毛管現象により、繊維全体が液体で被覆されるのを抑制でき、エレクトレット性の低下を抑制することができる。また、撥油度は、ミスト試験時における繊維表面に捕集されたエアロゾルの接触角や捕集状態と相関がある。また、タバコ煙は混合物であるため、その表面張力値は明確ではないが、上記液体の浸透性低下とともに、耐久性が著しく向上する。
空気清浄機用途に一般的に用いられるフィルターと比較するため、タバコ煙耐久性の指標を下記の手法により標準化する。
(1)1m3アクリル容器中でJEM1467法に準拠した吸煙器と手順にて日本たばこ社製メビウス(登録商標)を4本燃焼させる。
(2)72mmφに打ち抜いたフィルター(サンプル)を有効通気径50mmφのアダプターに装着し、風量12L/minにて10分間循環通気を行う。
(3)粒子濃度は柴田科学デジタル粉塵計P−2Lにて4000CPMから3000CPMへの減少となり、効率100%を維持した場合には、メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行うことで、概ねタバコ1本/サイクル程度の捕集量となる。
(4)初期(サイクル負荷前)および1サイクル(メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行う)終了時に粒径0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率とタバコ煙の捕集質量を計測し、性能維持率が15%未満へと低下するまでサイクル及び計測を繰り返す。
(5)Davies式を用いて繊維の有効繊維径(μm)を算出する。
(6)上記(5)で得られた有効繊維径を用いてサンプル1m2あたりの繊維表面積(m/m)を算出する。
(7)フィルターの初期捕集効率から、ln(初期透過率)(=ln(1−[初期捕集効率(%)]/100))を算出し、性能維持率が15%を割り込むサイクルの直前のサイクルの終了時における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率(サイクル終了時捕集効率)から、ln(サイクル終了時透過率)(=ln(1−[サイクル終了時捕集効率(%)]/100))を算出する。そして、ln(サイクル終了時透過率)/ln(初期透過率)を性能維持率とする。
(8)上記(4)で得られたタバコ煙捕集量をアダプターの通過面積である50mmφの面積で除することによりフィルター1m2あたりのタバコ煙捕集量を算出し、フィルター1m2あたりのタバコ煙捕集量を上記(6)で得られた繊維表面積で除することにより繊維表面積1m2あたりのタバコ煙捕集量を算出する。
(9)横軸を繊維表面積1m2あたりのタバコ煙付着量(mg/m2)(普通軸)、縦軸を性能維持率(対数軸)としてプロットした片対数グラフを作成する。右肩下がりのグラフの傾きをフィルター劣化率とする。具体的には、対数軸については性能維持率が10倍となる間隔(例えば、0.1と1との間隔)を1(単位なし)として、算出した傾き(単位は1/(g/m2))をフィルター劣化率とする。傾きの具体的な算出方法については後述する。
なお、厚みとフィルター劣化率の算出は捕集性能や耐久性に寄与する実質的に均質なエレクトレット層単体の特性をさすものであり、補強層および繊度の異なる複数のエレクトレット層が積層される場合には、少なくとも一つの層が本発明のエレクトレットフィルターの性能を有することが必要である。
本発明のエレクトレットフィルターは、保管時および形状加工時に求められる電荷安定性としては、以下に記載の性能維持率が10%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。なお、サイクル終了時捕集効率は、性能維持率が15%を割り込むサイクルの直前のサイクルの終了時(2サイクル終了時点で性能維持率が15%未満であった場合には、2サイクル終了時)における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率の値を用いることとする。
性能維持率[%]=100×[ln(1−[サイクル終了時捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[初期捕集効率(%)]/100)]
本発明者の検証によると、一般的なメルトブローン法により得られたポリプロピレン繊維において、上記フィルター劣化率(以下、単に劣化率ということがある)は−9/(g/m2)程度であるが、本発明のエレクトレットフィルターを用いることで劣化率を−8/(g/m2)以上に抑制することができ、好ましくは−6/(g/m2)以上であり、より好ましくは−5/(g/m2)以上であり、好ましくは−2/(g/m2)以下である。例えば、劣化率が−9/(g/m2)のフィルターと劣化率が−3/(g/m2)であるフィルターとを比較すると、劣化率が−9/(g/m2)のフィルターの3倍のタバコ煙負荷により、劣化率が−3/(g/m2)であるフィルターは劣化率が−9/(g/m2)のフィルターと同程度劣化する(捕集効率が同程度になる)ことを意味している。なお、蒸着法によりフッ素含有成分をコーティングする手法により作製されたエレクトレットフィルターでは、劣化率が抑制されやすくなる。
(その他の層)
本発明のエレクトレットフィルターは、吸油機能または吸水機能を有した繊維層(以下、吸液層という)をさらに積層して用いることが好ましい。非フッ素系素材を担体として用いた場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用樹脂を積層した場合であっても吸油機能を有する。吸油や吸水などの吸液機能を有した吸液層を設けることで、撥油性により生じた液滴の滴りを抑制し、エレクトレットフィルター表面から液滴を移行し吸液層に拡散することで、エレクトレット性の消失や通気抵抗の上昇を抑制することができる。
吸液層の素材としては、液滴を吸収するものであれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース、レーヨンなどからなる繊維シート素材、活性炭、ゼオライト、パルプなど多孔質材料を間隙に含有または表面に加工したシート素材などが好ましい。より好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系素材またはポリエステルからなる繊維シート素材であり、さらに好ましくはポリプロピレンからなる繊維シート素材である。
吸液層を構成する繊維は、直径が0.005〜100μmであることが好ましく、0.01〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましく、1〜5μmであることが最も好ましい。
吸液層に用いられる繊維は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、粗大粒子の捕集や通風抵抗などの観点から素材を選択することができる。
吸液層として用いられる素材は非エレクトレット材であってもよく、エレクトレット材であってもよいが、エレクトレット材であることが好ましい。
吸液層の製法は所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、溶融エレクトロスピニング法、溶液エレクトロスピニング法、フォーススピニング法などの方法によりシート化した素材を用いて作製することができる。
本発明のエレクトレットフィルターは、さらに必要に応じて、プレフィルター層、繊維保護層、機能性繊維層、補強層などの層と組み合わせて用いることもできる。これらの層は、本発明で用いられるフッ素含有重合体を付着して構成された層であってもよい。
プレフィルター層および繊維保護層としては、例えば、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、発泡ウレタンなどが挙げられる。機能性繊維層としては、例えば、抗菌、抗ウイルス、識別や意匠などを目的とした着色繊維層などが挙げられる。補強層としては、例えばサーマルボンド不織布、各種ネットなどが挙げられる。また、吸液層にこれらの機能を持たせることも厚みや通気抵抗を低減する方法として好ましい。
本発明のエレクトレットフィルターは集塵、保護、通気、防汚、防水などの機能により幅広く用いることができる。本発明のエレクトレットフィルターは、例えば、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いることができ、とりわけタバコ煙の捕集を主として行う空気清浄機、空調用エレメント用途などに好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(1)厚み
デジタル式厚み計を用いて、端子直径20mm、荷重7g/cm2として不織布の厚みを測定した。
(2)有効繊維径
Davies,C.N.,“The Separation of Airborne Dust and Particles”, Institution of Mechanical Engineers, London, Proceedings 1B,1952に示された方法に従って、不織布の有効繊維径を算出した。
(3)繊維表面積
上記(2)で得られた有効繊維径、不織布の目付量、及びJIS K 0061により得られる密度(真比重)を用いて不織布1m2あたりの繊維表面積(m2/m2)を算出した。
(4)ガラス転移温度
粒子のガラス転移温度はJIS K 7121に準拠して測定しており、具体的には、試料10mgを測定用密閉パンに入れ、昇温速度20℃/minの条件で、TAインスツルメント社製示差走査熱量計を用いて測定された中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
(5)融点
粒子の融点はJIS K 7121に準拠して測定しており、具体的には、試料5mgを測定用密閉パンに入れ、昇温速度10℃/minの条件で、TAインスツルメント社製示差走査熱量計を用い、気密性を有した密閉パンに測定されたピーク温度を、再結晶ピークの存在確認により融点とした。
(6)通気抵抗
72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφアダプターに装着し、微差圧計を接続した内径50mmの配管を上下に連結、12L/min(5cm/s)にて通風し、絞りの無い状態での通気抵抗(圧力損失)を計測した。
(7)エレクトレット化後のフィルターにおける捕集効率(初期捕集効率)
72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、光散乱式粒子計数装置リオン社製KC−01Eを用いて以下の方法にて、フィルターの粒子捕集効率試験(初期捕集効率試験)を実施した。
評価粒子:大気塵
通気速度:5cm/sec(12L/min)
効率算出:フィルター通過前後の粒径0.3〜0.5μmの粒子個数を測定して、以下の式を用いて算出した値を初期捕集効率とした。
捕集効率(%)=(1−(フィルター通過後の粒子個数/フィルター通過前の粒子個数))×100
(8)初期QF値
上記(6)で測定した通気抵抗及び上記(7)で測定した初期捕集効率の値を用いて、以下の式より初期QF値を求めた。
初期QF値(mmAq-1)=−[ln(1−[初期捕集効率(%)]/100)]/[通気抵抗(mmAq)]
(9)対オイルミスト耐久性(タバコ煙捕集量)
オイルミストへの負荷耐性(対オイルミスト耐久性)試験は、多種多様な極性分子を含有する複合粒子としてタバコ煙を用いて行った。
[タバコ煙負荷]
1mアクリル容器中でJEM1467に準拠した吸煙器と手法を用いて、日本たばこ産業社製メビウス(登録商標)を4本燃焼させた。72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、風量12L/minにて10分間通気を行った。粒子濃度は柴田科学社製デジタル粉塵計P−2Lにて4000CPMから3000CPMへの減少となり、効率100%を維持した場合には、メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行うことで、概ねタバコ1本/サイクル程度の捕集量となる。なお、タバコ煙負荷サイクル直前・直後のフィルターの質量を毎回秤量し、それらの質量の差を当該サイクルにおける捕集量とし、捕集されたタバコ煙由来成分のうち、サイクル試験間の時間経過による揮発成分の散逸及び以下に記載のタバコ煙負荷時の捕集効率試験におけるNaClの付着に起因する測定誤差が生じないようにした。そして、後述の性能維持率が15%未満となるまでタバコ煙負荷サイクルを繰り返し行い、性能維持率が15%を割り込んだ時点でタバコ煙負荷サイクルを終了し、性能維持率が15%を割り込むサイクルの直前のサイクル(2サイクル終了時点で性能維持率が15%未満であった場合には、2サイクル終了時)までの捕集量の積算値をタバコ煙捕集量とした。
[タバコ煙負荷時の捕集効率の測定方法]
上記1サイクル(メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行う)負荷ごとに、72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、TSI社製 CERTITEST Model 8130を用い、1サイクルごとにタバコ煙捕集量を計測して、以下に記載の捕集効率試験(タバコ煙負荷時の捕集効率試験)を行い、上記(7)に記載の式を用いて捕集効率を算出した。性能維持率が15%を割り込むサイクルの直前のサイクルの終了時(2サイクル終了時点で性能維持率が15%未満であった場合には、2サイクル終了時)における粒径0.3〜0.5μmの捕集効率をサイクル終了時捕集効率とした。
評価粒子:平衡帯電状態とした固体NaCl(2質量%NaCl水から発生)
最頻粒子径0.075μm
通気速度:5cm/sec(6L/min)
濃度 :200mg/m3
効率算出:光散乱濃度法によるフィルター通過前後の濃度評価
なお、光散乱濃度法による粒径0.3〜0.5μmの捕集効率は、光散乱計数器による粒径0.3〜0.5μmの捕集効率の値とほぼ一致することを確認している。
また、タバコ煙負荷後のサンプルを用いた場合、光散乱計数器の粒子径計測に干渉を生じるため、光散乱濃度法にて効率評価を行った。また、常法の4秒では粒子濃度が平衡にならないため、上下の検出器が平衡となる時間として20秒の値を設定した状態で、1サイクルのフィルターテスターモード(効率計測モード)の数値を用いた。
(10)繊維表面積1m2あたりのタバコ煙捕集量
上記(9)で得られたタバコ煙捕集量をアダプターの通過面積である50mmφの面積で除することによりフィルター1m2あたりのタバコ煙捕集量を算出し、フィルター1m2あたりのタバコ煙捕集量を繊維表面積で除することにより繊維表面積1m2あたりのタバコ煙捕集量を算出した。
(11)性能維持率
上記(7)で測定した初期捕集効率と上記(9)で測定したサイクル終了時捕集効率の値とを用いて、以下の式より性能維持率を求めた。
性能維持率[%]=100×[ln(1−[サイクル終了時捕集効率(%)]/100)]÷[ln(1−[初期捕集効率(%)]/100)]
(12)フィルター劣化率
各サイクル終了時のタバコ煙捕集量(積算値)を用いて上記式(11)と同様の方法で性能維持率を求めた。性能維持率が15〜75%の範囲となる各サイクル終了時(2サイクル終了時で性能維持率が15%未満であった場合には、1サイクル終了時及び2サイクル終了時)の繊維表面積1m2あたりのタバコ煙捕集量(積算値)と性能維持率とを用いて、横軸を繊維表面積1m2あたりのタバコ煙付着量(g/m2)(普通軸)、縦軸を性能維持率(対数軸)としてプロットした片対数グラフを作成した。そして、繊維表面積1m2あたりのタバコ煙付着量が0g/m2、性能維持率が1となる点を通る最小二乗法による近似直線を得た。対数軸については性能維持率が10倍となる間隔(例えば、0.1と1との間隔)を1(単位なし)とし、上記近似直線の傾き(単位は1/(g/m2))を算出し、その値をフィルター劣化率とした。この片対数グラフを図1に示す。
<実施例1>
n−C1838(融点149℃)をパーフルオロヘキサンに溶解させた溶液を作製した後、メルトブローン法により得られたポリプロピレン不織布に上記溶液を浸漬させ、乾燥させることで、粒子をポリプロピレン不織布に固形分で0.30g/m2付着させた。その後、コロナ放電法によりエレクトレット化を行い、エレクトレットフィルターを作製した。得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
<実施例2>
メルトブローン法により得られたポリプロピレン不織布を30℃に保った恒温板に張り付け、円筒セラミック製の反応容器天井に設置した。底部に250℃に加熱した熱板を設置し、n−C1838(融点149℃)を金属性ボート上から蒸散させることによって、粒子をポリプロピレン不織布に固形分で0.30g/m2付着させた。粒子を付着させたポリプロピレン不織布に対して、60℃で15分間エージング処理を行った。その後、コロナ放電法によりエレクトレット化を行い、エレクトレットフィルターを作製した。得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
<実施例3>
懸濁重合により、ジシクロペンタニルメタクリレートと2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレートとの質量比が1:9であるランダム共重合体(ガラス転移温度81℃)を得た。パーフルオロヘキサン中で上記ランダム共重合体の粉砕を行い、1質量%濃度の分散液を作製した。分散液のままポリプロピレン不織布に浸透させて、予め分散されたランダム共重合体粒子の非溶解分を不織布に付着させた後に100℃にて15分エージングを行った。ランダム共重合体の付着量は固形分で0.30g/m2であった。その後、コロナ放電法によりエレクトレット化を行い、エレクトレットフィルターを作製した。得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例1>
メルトブローン法により得られたポリプロピレン不織布をコロナ放電法により荷電してフィルターを作製した後に各種評価に用いた。得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例2>
メルトブローン法により得られたポリプロピレン不織布をエチルアルコールに浸漬し電荷を消失させてフィルターを作製した後に各種評価に用いた。得られたフィルターの評価結果を表1に示す。
実施例1〜3、比較例1と比較例2より、エレクトレット化処理によりQF値が向上することがわかる。
実施例1〜3と比較例1より、フッ素含有成分を表面に有しているものは劣化率が小さいことがわかる。
実施例2と実施例1の比較により蒸着法によりフッ素含有成分を付着させたものは、より劣化率が小さいことがわかる。
本発明のエレクトレットフィルターは、例えば、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いることができ、とりわけタバコ煙の捕集を主として行う空気清浄機、空調用エレメント用途などに好ましく用いることができる。

Claims (2)

  1. フッ素含有成分が繊維表面に担持されたエレクトレットフィルターであって、風速5cm/sにおける0.3〜0.5μm粒子捕集効率において、初期QF値が0.5mmAq-1以上であり、タバコ煙負荷によるフィルター劣化率が−8/(g/m2)以上であり、
    前記フッ素含有成分は、100℃以上の融点を有するフッ素含有多環化合物及び100℃以上の融点を有するフッ素含有重合体の少なくとも1種であり、前記フッ素含有重合体は水素、フッ素、炭素のみからなる構造であり、
    前記フィルター劣化率は、日本たばこ産業社製メビウス(登録商標)を4本燃焼し、風量12L/minにて10分間通気を行うことを1サイクルとし、横軸を繊維表面積1m2あたりのタバコ煙付着量(g/m2)(普通軸)、縦軸を性能維持率(対数軸)として各サイクル終了時のデータをプロットした片対数グラフにおける繊維表面積1m2あたりのタバコ煙付着量が0g/m2、性能維持率が1となる点を通る最小二乗法による近似直線の傾きであることを特徴とするエレクトレットフィルター。
  2. 上記繊維の有効繊維径が0.1μm〜20μmであることを特徴とする請求項1に記載のエレクトレットフィルター。
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