JP2015200058A - エレクトレット - Google Patents

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北川 義幸
Yoshiyuki Kitagawa
義幸 北川
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Abstract

【課題】従来の耐オイルミスト性を有するエレクトレットが生産設備やコストの制約が大きく、環境規制に対応した短鎖パーフルオロ化合物を用いた場合には電荷安定性と撥油性を両立することが困難であるという課題を解決したものであり、低コストで簡便な手法にて製造が可能な撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性に優れたエレクトレットを得ることを課題とするものである。【解決手段】融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担体に付着させ、担体およびポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方が静電電荷を付与されてなるエレクトレット。【選択図】なし

Description

本発明はエレクトレットおよびそれを用いたフィルターに関する。
従来より、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置において集塵、保護、通気などを目的とし多孔質フィルターが用いられている。
多孔質フィルターのうち、繊維状物からなるフィルターは高い空隙率を持ち長寿命、低通気抵抗という利点を有しており幅広く用いられている。これら繊維状物からなるフィルターは、さえぎり、拡散、慣性衝突などの機械的捕集機構により繊維上に粒子を捕捉するが、実用的な使用環境において捕捉する粒子の空気力学相当径が0.1〜1.0μm程度の場合にフィルター捕集効率の極小値をもつことが知られている。
上記の極小値におけるフィルター捕集効率を向上させるため、電気的な引力を併用する方法が知られている。たとえば、被捕集粒子に電荷を与える、またはフィルターに電荷を与える方法、さらには両者の組み合わせが用いられる。フィルターに電荷を与える方法としては、電極間にフィルターを配置し通風時に誘電分極させる方法や絶縁材料に長寿命の静電電荷を付与する方法が知られており、特に後者の手法は外部電源などのエネルギーを必要としないため、エレクトレットフィルターとして幅広く用いられている。
エレクトレットフィルターは、初期捕集効率を高め、またフィルター加工や保管時における静電電荷の減衰による性能低下を抑制するため、エレクトレット化が可能で耐湿安定性および耐熱安定性に優れたエレクトレット材料が用いられる。
しかしながら、エレクトレットフィルターは粒子の捕集に伴い静電引力が低下するという欠点があり、とりわけ表面張力の小さなオイルミストは繊維表面を薄く被覆することで電荷の消失が著しく促進される。一般的なエレクトレットフィルターには、電荷安定性に優れたポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂等が用いられているが、これらのうち最も表面張力の小さなポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類からなる繊維状物であっても、ポリαオレフィン(PAO)、フタル酸ジオクチル(DOP)およびタバコ煙などに代表されるオイルミストに対しては材料特性として十分な撥油性を示さないため、オイルミスト負荷時の捕集効率維持性能(以下、「耐オイルミスト性」という)が低いという問題がある。
かかる問題を解決するため、フィルターを構成する繊維状物の表面張力を下げることで撥油性を与え、繊維表面でのミストの広がりや繊維素材内部への吸収拡散を抑制することで電荷の消失を低減させることで耐オイルミスト性を向上させる方法が知られている。具体的には、撥油性を高めるために樹脂内にパーフルオロ基を有した添加剤を混合する方法(たとえば特許文献1)、熱可塑性フッ素樹脂を溶融紡糸する方法(たとえば特許文献2および特許文献3)、パーフルオロ基を有したエマルジョン加工剤で表面をコーティング処理する方法(たとえば特許文献4)、プラズマおよびフッ素ガスなどを用い水素原子を置換することによりフッ素原子を導入する方法(たとえば特許文献5)等により電荷安定性を維持しながら表面張力を低減させ、耐オイルミスト性を高めたエレクトレットが用いられている。
なお、以下、素材としての低表面張力化を「撥油性」、オイルミストに対する効率低下抑制効果を「耐オイルミスト性」と記載する。なお、本発明で言う撥油性とは低表面張力化により液体のひろがり抑制効果を意味するものであり、濡れの原理から鑑みて表面張力値の大きな水に対しての作用(撥水性)も含まれるものである。
しかしながら、フッ素系樹脂やフッ素系低分子添加剤は、320℃を越える環境下においてはフッ素テロマーの脱離や熱分解物としてフッ化水素やフッ化カルボニルなどの生成がみられるため溶融紡糸には不適である。また、フッ素ガスやプラズマ処理によるフッ素原子導入では、フッ素ガスの漏洩防止や親水化を抑制するために酸素、水分量管理を厳密に行う必要があり、気密性の高い特殊設備が必要となる。また、生体蓄積性の問題により、PFOA(パーフルオロオクタン酸)およびPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)ならびにその塩、ならびにテロマーを生じる母物質の使用、ならびにその製造が禁止されており、これらの材料を添加したり、ランダムにフッ素−水素置換が生じたり、熱分解や酸化分解を生じる工程は好ましいとはいえない。
また、テキスタイル用に開発された含フッ素アクリレート系加工剤には乳化剤や製膜助剤が含有され、さらにPFOAおよびPFOS規制に対応させるためC13以下の短鎖パーフルオロ基が側鎖として用いられるため、加工剤が結晶性を失っている。そのため、加工剤自身が静電電荷の安定性を持たないばかりか、低付着量であっても基材となる繊維状物の電荷安定性を著しく阻害するという問題がある。
また、アモルファス化により可溶性と熱可塑性を付与し、電荷安定性とコーティング性を両立したフッ素系樹脂(たとえば特許文献6)も知られているが、主骨格として特殊なモノマーを用いる必要があり、製造コストが著しく大きくなるという問題がある。
特開2009−6313号公報 特開2002−266219号公報 特開2007−18995号公報 特開2004−352976号公報 特表2008−540856号公報 国際公開第2009/104699号
本発明のエレクトレットは、従来の耐オイルミスト性を有するエレクトレットが生産設備やコストの制約が大きく、環境規制に対応した短鎖パーフルオロ化合物を用いた場合には電荷安定性と撥油性を両立することが困難であるという課題を解決したものであり、低コストで簡便な手法にて製造が可能な撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性に優れたエレクトレットを得ることを課題とするものである。
本発明のエレクトレットは前記の課題を解決するために、発明者が鋭意検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は下記とおりである。
1.融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担体に付着させ、担体およびポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方が静電電荷を付与されてなるエレクトレット。
2.担体に繊維状物を用い、ポリテトラフルオロエチレンを溶液法または蒸着法で担体に担持する上記1に記載のエレクトレット。
3.担体が融点320℃以下の熱可塑性樹脂からなるメルトブローン不織布である上記1または2に記載のエレクトレット。
4.上記1〜3のいずれかに記載のエレクトレットを用いたフィルター。
本発明のエレクトレットは、PFOAおよびPFOS類縁物を用いることなく、簡便な装置や工程で撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性に優れたエレクトレットおよびそれを用いたフィルターを得ることが可能となる。そして、それを用いたフィルターは防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いられるものである。
以下に本発明の具体例を例示するが、本発明の趣旨にのっとり用途毎に最適な構成を選択することができる。
本発明に用いられる担体は所望の特性を有するものであれば特に制限されないが、形状の自由度および素材自身の電荷安定性を考慮し、電気抵抗の高い合成樹脂からなることが好ましい。具体的には非フッ素系合成樹脂であるポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリオレフィン、環状オレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、フェノール樹脂などがあげられ、なかでもポリエチレン、ポリブテン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、環状オレフィン等のポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンからなる場合は、疎水性、電気抵抗、成形性などのバランスが良好であり、実用性に優れたエレクトレットが得られる。
撥油性をより高めるために担体にフッ素原子を含有した合成樹脂を用いることも好ましく、例えばポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライドコポリマー(THV)などであり、撥油性の観点からはポリテトラフルオロエチレン、FEP、PFA、ETFEがより好ましい。
上記合成樹脂には樹脂自体の劣化を抑制し、さらにはエレクトレットの初期電荷量および電荷安定性を高めるために、従来公知の配合剤および配合組成を好ましく用いることができる。たとえば、配合剤としては各種金属塩、酸化防止剤、光安定化剤、アイオノマー樹脂などであり、配合組成としては、異なる樹脂成分を混合することにより得られるブレンドポリマーなどである。エレクトレットとしての初期電荷量および電荷安定性を考慮した場合、少なくとも1種がエレクトレット化可能な合成樹脂であることが好ましい。
本発明は担体上に融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担持させてなるエレクトレットであり、担体の形状としては、射出成型体、フィルム形状、繊維状物、粉末状物、粒子状物のいずれの形状であっても好ましく用いられるが、粒子除去および通気用途に用いる場合には繊維状物であることがより好ましい。
本発明の繊維状物とは、長繊維または短繊維からなる織編物、不織布、綿状物等の繊維状物や延伸フィルムから得られる繊維状物を含むものであり、用途に応じて適当な形状および厚みに成形したものを使用することができる。エレクトレットをフィルター用途として利用する場合は、不織布であることが好ましい。
不織布を得る方法としては、単成分繊維、芯鞘繊維やサイドバイサイド繊維といった複合繊維、分割繊維等の短繊維をカーディング、エアレイド、湿式抄紙法などによりシート化する方法、連続繊維をスパンボンド法、メルトブローン法、エレクトロスピニング法、フォーススピニング法などによりシート化する方法など、従来公知の方法を用いることが可能である。なかでも、機械的捕集機構を効果的に利用する観点から緻密で細繊度を容易に得られるメルトブローン法、エレクトロスピニング法やフォーススピニング法で得られる不織布が好ましく、残溶剤の処理を必要としない観点からメルトブローン法、溶融エレクトロスピニング法や溶融フォーススピニング法で得られる不織布がより好ましい。
本発明の繊維状物に用いられる繊維の直径は、0.001〜100μmであることが好ましく、0.005〜20μmであることがより好ましく、0.01〜10μmであることがさらに好ましく、0.02〜5μmであることが特に好ましく、0.03〜3μmであることが最も好ましい。繊維の直径が100μmよりも太い場合には実用的な捕集効率を得ることが困難であり、電荷減衰時の効率低下が大きい。繊維の直径が0.001μmよりも細い場合にはエレクトレットとしての静電電荷を付与することが困難である。
本発明における繊維状物は単独の製法、素材からなる均一物であってもよく、製法、素材および繊維径の異なる2種以上の素材を用いてなる混合物であってもよい。
本発明のエレクトレットは、担体の少なくとも一部に融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンが担持されてなり、撥油性が付与されてなる。ポリテトラフルオロエチレンの融点としては60℃以上315℃以下が好ましく、80℃以上300℃以下がより好ましく、100℃以上290℃以下がさらに好ましい。融点が上記範囲であれば分子量に分布を有したポリテトラフルオロエチレンでも良いし、単一構造の分子であっても、混合物であっても好ましく用いることができる。
上記融点を有するポリテトラフルオロエチレンを用いる理由としては、(1)融点が320℃以上となる高分子量の場合は溶融粘度が高くコーティング困難であること、(2)融点が高いため担体への担持加工温度が高くなると、担体(とりわけ合成高分子)の劣化および耐熱性に問題が生じること、(3)本発明で用いられる低融点ポリテトラフルオロエチレン(最小表面張力13〜17.5mN/m)は一般的なポリテトラフルオロエチレン(最小表面張力17.5mN/m)に比して結晶形やCF基末端密度により表面張力
が小さく撥油性効果が高いこと、(4)エピタキシャル成長を利用した場合、結晶性分子の規則構造により、CF基が有する平面上分子における最小表面張力(6mN/m)を発現すること、(5)分子量が小さく粉砕処理が可能なこと、(6)実用可能な温度範囲で融点および沸点を有しており、常圧、減圧、真空条件下で加熱することにより物理蒸着処理(PVD処理)が可能なこと、(7)付着成分の分子量や構造制御が困難できないプラズマ処理(炭化フッ素化)と異なりPFOAやPFOS規制の観点から有利であること、(8)常温で固体であり結晶性を有しているため分子配向の変化による撥油性変化が抑制されること、(9)融点を有しているため熱処理により自己接着性を有すること、(10)一般の高融点ポリテトラフルオロエチレンが有していないフッ素系溶剤に対する溶解性があること、などを例示することができる。
上記特性を利用し本発明に用いられるポリテトラフルオロエチレンの担体への担持方法としては、(1)粒子化されたポリテトラフルオロエチレン粒子を散布し、担体またはポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで固定化する方法、(2)ポリテトラフルオロエチレン粒子を気流中に分散させ担体表面および内部に浸透後、担体またはポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで固定化する方法、(3)ポリテトラフルオロエチレン粒子を液体中に分散させ担体に塗布浸透後、液体を乾燥除去し、担体またはポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで固定化する方法、(4)ポリテトラフルオロエチレンを融点以上熱分解温度以下の温度で蒸散させ担体上で冷却固化、必要に応じてポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで固定化する方法、(5)ポリテトラフルオロエチレンをスパッタ法により担体に付着させ、必要に応じてポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで溶融固定化する方法、(6)ポリテトラフルオロエチレンを溶媒に溶解させ担体に塗布、噴霧、浸漬する、いわゆるコーティング加工した後溶媒を除去し、必要に応じてポリテトラフルオロエチレンの融点以上で熱処理を行うことで溶融固定化する方法、などを例示することができる。
これらの手法は単独でも良いし、組み合わせて用いることもできる。たとえば、粉末状で担持させた後に再加熱を行うことで蒸散再付着させる方法、粒子状で担持させた後にポリテトラフルオロエチレンまたは担体に対する溶剤を接触させることで接着固定する方法などを用いることで、密着性、分散性、撥油性、耐熱性などの諸特性を向上させることが出来る。
粒子の直接散布または液体もしくは気流中に分散させ付着させる方法においては、ポリテトラフルオロエチレンの粒子径は0.1nm以上10μm以下であることが好ましく、1nm以上1μm以下であることがより好ましく、5nm以上500nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上300nm以下であることが最も好ましい。粒子経が10μmより大きい場合には分散時の均一性や取り扱いが困難となるとともに、コーティングの層厚みが過大となる。一方で粒子経が0.1nm未満であると直鎖からなるポリテトラフルオロエチレン分子としての特性維持が困難となる。とりわけ、担体自身の寸法や形状に特徴がある場合に、均一性と寸法維持の観点から微細粒子であることが好ましい。
上記粒子径を調整する手法としては、(1)乳化重合ならびに懸濁重合の粒子として重合時に調整する方法、(2)衝撃、摩擦などの物理的作用により粉砕する方法、(3)フッ素系溶媒、超臨界二酸化炭素などに溶解させ、噴霧や再析出などの手法により粒子化する方法などがあげられ、目的とする粒子径に応じて好ましい手法を用いることができる。乳化重合や懸濁重合により得られる粒子の場合には、固液混合状態で加工剤としてそのまま用いても良いし、乾燥工程を経て粒子として取り出すことも好ましい。
物理的作用により粉砕する方法としては、湿式または乾式の各種粉砕機を用いることが可能であり、具体的にはボールミル、ビーズミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどを例示することができ、粉砕と同時に乳化、懸濁させて用いることも好ましい。
液体に分散して用いる場合には分散媒として、水、炭化水素系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒などを好ましく用いることが可能であり、2種以上を混合して用いることも好ましい。有機溶媒を用いた場合には、担体として用いる合成樹脂との親和性により、浸透性やコーティングの均一性を高めることができる。分散媒を水とする場合には各種界面活性剤を用いることもできる。
分散時に用いられる界面活性剤としては320℃以下の沸点または熱分解温度を有していることが好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましく、150℃以下が最も好ましい。界面活性剤は撥油性の付与およびエレクトレット性を阻害するため、熱処理により蒸散させる、または熱分解により不活性化させることが好ましい。
また、界面活性剤の他の除去方法としては、酸またはアルカリ溶液による加水分解、次亜塩素酸、過酸化水素などを用いた酸化分解、グリシジル基などを有した反応性有機物、金属イオン、金属アルコキシドなどで官能基を封止する方法も好ましく用いられる。
本発明に用いられるポリテトラフルオロエチレンは、熱分解温度となる320℃以下に融点を有しており、融点以上の温度においては明確な揮発蒸散性が確認される。したがって、担体に対して蒸着法で担持させて用いることも好ましい。たとえば常圧(大気中1気圧)における融点に関し、n−C1022からなる場合には融点36℃、n−C1226からなる場合には融点76℃、n−C1430からなる場合には融点103℃、n−C1634からなる場合には融点125℃、n−C2042からなる場合には融点167℃、n−C3164からなる場合には融点219℃を有している。
また、市販混合物として、セントラル硝子株式会社製低分子量PTFEセフラルルーブVにおいては、融点範囲として100〜290℃(ピーク温度270℃)を有しており、融解が開始される温度以上で加熱することにより蒸着源として用いることが可能であり、全体が液状化する290℃以上320℃以下で加熱して用いることも好ましい。
これらのポリテトラフルオロエチレンは、使用時には固体としての安定性を発現し、加熱時には液体および気体としての特性を有し物理蒸着法(PVD法)の素材として好ましく用いることができる。これらは熱分解温度以下で加熱を行うことにより、ポリテトラフルオロエチレンの構造を保持することができるため、分子量や構造の面で不定形なフッ素重合体の生じるプラズマ処理や高分子量ポリテトラフルオロエチレンを原料とした高温での熱分解蒸着法に対し、有利な特徴である。
蒸着加工の手法としては、各種熱源によりテトラフルオロエチレンを加熱することで蒸気を発生させ、より低温に保持した担体表面に液滴または結晶として析出させる方法が用いられる。かかる手法は、加工面全体を一度に処理するバッチ法であっても、担体または反応槽を移動させることで、担体の異なる加工面を連続的に処理する方法のいずれであっても好ましく用いられる。
本発明における蒸着加工は加圧、常圧、減圧、真空状態およびその圧力のスイング、大気中および不活性ガスいずれの雰囲気においても好ましく実施することができる。
減圧または真空状態とすることで、蒸散速度の向上および蒸散温度の低減が可能であり、加圧により蒸散物の析出を促進することができる。また、真空または不活性雰囲気とすることでポリテトラフルオロエチレンや担体の酸化を抑制することが可能であるが、本発明は熱分解温度以下で低温処理が可能であるためコスト面で大気雰囲気を用いることも可能である。
本発明においては、ポリテトラフルオロエチレンの担持条件の調整により目的に応じて好ましい付着状態を得ることができる。とりわけ、繊維状物などの多孔質構造体の場合には真空度が高い場合には、分子の平均自由工程が大きくポリテトラフルオロエチレンは蒸散側の担体表面に偏在し、低真空または常圧、加圧条件の場合には回り込みによる均一性向上が可能となる。付着面を調整するために、同一担体において圧力のスイングや加工面(表裏)を変えた処理なども好ましい方法である。
本発明においては、蒸着加工時または蒸着加工後に担体が60℃以上140℃以下に処理されることが好ましく、70℃以上140℃以下がより好ましく、80℃以上140℃以下がさらに好ましい。かかる処理により担体との接着性向上、低分子量物の除去によるエレクトレットの安定化効果や遊離されるVOC成分が低減されるためである。具体的には蒸着加工時には蒸着槽温度、担体の冷却、加熱により調整することが可能であり、加工後には加熱による方法が用いられる。
本発明においては蒸気の状態で付着させた後冷却固化させても良いし、凝集させた液体や固体粒子として付着させることも好ましい。担体表面へのポリテトラフルオロエチレンの担持を微細な凹凸構造とすることで撥油性を向上させるとともに、担体表面積の増加により総電荷量およびオイルミスト捕集可能な表面積を増加させることができる。
ポリテトラフルオロエチレンの蒸気が存在する雰囲気に凝縮核となる高融点ポリテトラフルオロエチレンや有機、無機粒子を同時に供給する方法も好ましい。
前記微細な凹凸構造としては、捕集対象とする液滴よりも微細であることが好ましい。表面積の増加による濡れ仕事の増加のみならず、付着した粒子と担体の間に空気層が存在することで、Cassie−Baxter理論に沿った高い撥油表面を得ることができるためである。
融点が330℃以上のポリテトラフルオロエチレンは分子量が数万から数十万を有するため炭化水素系、ハロゲン系溶剤いずれにも溶解させることができない。それに対し、本発明に用いられる融点が35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンは、炭化水素系溶剤に不溶である一方、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)および環状フッ素化物、芳香族フッ素化物からなる含フッ素溶媒に可溶であるため、溶剤系のコーティング剤として用いることもできる。
コーティング剤としての使用においては、従来公知の方法を用いることが可能であり、本発明に用いられるポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一部を上記溶媒に溶解した状態で塗布、噴霧、浸漬などの手法により担体に付着させた後、必要に応じて熱処理を行うことでコーティング層を得ることができる。
上記のコーティング加工法に関しては担体の形状に応じて好ましい方法が用いられるが、担体が繊維状物や粒子状物などの多孔質形状であれば、平面状での連続加工のみならず、ロール状、積層体などの状態で溶媒を浸漬させ、乾燥させることによっても製造することが可能である。
コーティング層の被覆率ならびに凹凸については、塗布量、塗布濃度で調整することが可能であり、コーティング剤として用いる場合には、予め微粒子による凹凸を有した構造に塗布する方法やコーティング剤として微粒子を含んでなることも好ましい。
コーティング剤として予め配合する微粒子としてはポリテトラフルオロエチレンの未溶解物または40℃以上のガラス転移温度もしくは融点を有する有機もしくは無機材料を用いることができる。粒子直径としては0.1nm以上10μm以下であることが好ましく、1nm以上1μm以下であることがより好ましく、5nm以上500nm以下であることがさらに好ましく、10nm以上300nm以下であることが最も好ましい。アスペクト比が1を超える粒子の場合には短径側を直径として定義する。
蒸着加工同様に、担体表面へのポリテトラフルオロエチレンの担持を凹凸構造とし、その凹凸構造は、捕集対象とする液滴よりも微細であることが好ましい。表面積の増加による濡れ仕事の増加のみならず、付着した粒子と担体の間に空気層が存在することで、Cassie−Baxter理論に沿った高い撥油表面を得ることができるためである。
本発明においては、コーティング加工時またはコーティング加工後に、好ましくは60℃以上140℃以下、よりこのましくは70℃以上140℃以下、さらに好ましくは80℃以上140℃以下に加熱処理されてなることも好ましい、かかる処理により接着性向上、ポリテトラフルオロエチレン分子の構造安定化、低分子量物の除去により撥油性およびエレクトレットの安定化効果と遊離される低分子成分が除去されるためである。
本発明におけるエレクトレットおよびそれを用いたフィルターは、担体またはポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方がエレクトレット化され、静電電荷を付与されてなる。エレクトレット化法は使用時に所望の特性が得られるものであれば特に制限されず、ポリテトラフルオロエチレンの担持前、担持後いずれでも好ましく用いられる。前者であれば、ポリテトラフルオロエチレン粉末を静電的な引力にて引き寄せることで付着や加工に利点があり、後者であれば電気力線が遮蔽されないため、エレクトレット効果をより発現させることができる。
具体的なエレクトレット化法としては、高電圧による分極、荷電イオンの衝突、荷電粒子の注入など電気的作用によるもの、摩擦、衝突など固体との相互作用によるもの、液体との接触および衝突を利用したものなど、従来公知の方法を好ましく用いることができる。より好ましくは液体との接触や摩擦を用いたものであり、極性を有した酸化生成物を増加させずにエレクトレット化が可能となるため撥油性および耐オイルミスト性の観点からより好ましい方法である。
本発明のエレクトレットは、フィルター効率に寄与する初期電荷量は電荷を有しない非エレクトレット(無帯電状態)に対して以下に記載の性能上昇率として400%以上が好ましく、800%以上がより好ましく、1200%以上がさらに好ましく、1600%以上が最も好ましい。
性能上昇率は無帯電状態における風速10cm/sの0.3〜0.5μm大気塵効率から算出される。
性能上昇率[%]=(Ln(荷電後効率)÷Ln(無帯電効率))×100
本発明のエレクトレットは、フィルター使用時、保管時および形状加工時に求められる電荷安定性としては、以下に記載の性能維持率として10%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましく、90%以上が最も好ましい。性能維持率は80℃環境下における30分放置の前後にて風速10cm/sの0.3〜0.5μm大気塵効率から算出される。
性能維持率[%]=(Ln(熱処理後効率)÷Ln(熱処理前効率))×100
本発明により得られる撥油性に関しては、必要とされる特性(たとえば防水、防汚、撥水、撥油)に応じて調整することが可能であるが、例えば不織布、織布等の繊維状物からなるフィルターとして用いられる場合には、JIS K6768およびAATCC118法により用いられる表面張力試験液において、10秒以内の浸透性を与える表面張力として少なくとも無加工品(たとえばPPメルトブローンにおける代表値としては36mN/m)よりも向上していれば好ましく用いることができる。具体的には31mN/m以下が好ましく、29mN/m以下がより好ましく、27mN/m以下がさらに好ましく、25mN/m以下が最も好ましい。これらは防じんマスクの国家検定オイルミストの試験液体であるDOPが31mN/m、PAO(たとえばEmery3004)が29mN/mであり、実使用における鉱物および植物性オイルミストへの対応を考慮したものである。本発明者らの検討によると、シート形状での撥油性とフィルターとしての耐油性には相関があり、毛管現象により吸収が生じない程度の撥油性が得られていれば、フィルターとしても明確な耐油性(効率低下の抑制)が確認される。これは素材表面の耐油性(接触角)と多孔質体への吸収現象に相関があるためであり、ミスト試験時における繊維表面に捕集されたエアロゾルの接触角や捕集状態との相関がある。また混合物であるタバコ煙自体の表面張力値は明確ではないが、上記液体における浸透性低下とともに、明確な耐久性向上効果が確認される。
本発明のエレクトレットをフィルターとして用いる場合に、吸油または吸水機能を有した繊維層(以下、「吸液層」という)を積層して用いることも好ましい。吸油や吸水などの吸液機能を有した吸液層を用いることで、撥油性により生じた液滴の滴りを抑制し、エレクトレット表面から液滴を移行し拡散することで、エレクトレット性の消失や通気抵抗上昇を抑制することができる。
吸液層の素材としては、液滴を吸収するものであれば特に制限されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース、レーヨンなどからなる繊維シート素材、活性炭、ゼオライト、パルプなど多孔質材料を間隙に含有または表面に加工したシート素材などを好ましく用いることができる。より好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどのオレフィン系素材またはポリエステルであり、さらに好ましくはポリプロピレンである。
吸液層に用いられる繊維は1種類または2種類以上を組み合わせて用いることも好ましく、通風抵抗や粗大粒子の捕集などの観点で適当な素材を選択することができる。
吸液層として用いられる素材は非エレクトレットおよびエレクトレットいずれでも好ましく用いることが可能であり、エレクトレット化されてなることがより好ましい。
吸液層の製法は所望の特性が得られるものであれば特に制限されないが、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、溶融および溶液法によるエレクトロスピニング法および、フォーススピニング法など、好ましい方法によりシート化した素材を用いることができる。
吸液層を構成する繊維としては、直径が0.005〜100μmであることが好ましく、0.01〜20μmであることがより好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましく、1〜10μmであることが最も好ましい。
さらに必要に応じて他の構成部材と併用して用いることができる。すなわち、プレフィルター層、繊維保護層、補強部材、または機能性繊維層などと組み合わせて用いることも好ましい。
プレフィルター層および繊維保護層としては、例えばスパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、発泡ウレタンなどであり、補強部材としては、例えばサーマルボンド不織布、各種ネットを例示することができる。また、機能性繊維層としては例えば抗菌、抗ウイルスおよび識別や意匠を目的とした着色繊維層などを例示することができる。吸液層にこれら機能を持たせることは厚みや通気抵抗を低減する方法として好ましい。
本発明のエレクトレットおよびそれを用いたフィルターは、本発明により得られる集塵、保護、通気、防汚、防水などの機能により幅広く用いることが可能であり、とりわけ、防塵マスク、各種空調用エレメント、空気清浄機、キャビンフィルター、各種装置の保護を目的としたフィルターとして好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。試験方法を下記に示す。
(撥油性試験法)
撥油性試験法は以下の試験にて実施した。
JIS K6768法においては、JIS K6768に定められた配合にて40.0mN/mから25.4mN/mの試験液を調整した。
AATCC118法においては、AATCC118法に定められた1級から8級までの試験液を準備した。
PAO法においては、PAO(Emery3004)を試験液として準備した。
各々の試験法において、各々の試験液を微生物試験用マイクロピペッターにて試験サンプル表面に対し20μlずつ滴下し、静置10秒後の浸透度合いを観察した。
JIS K6768法では、40.0mN/mの試験液から順に滴下し、浸透した試験液の直前に滴下した非浸透であった試験液の値を撥油性試験の結果とした。
なお、40.0mN/mの試験液が浸透した場合は、直前に滴下した非浸透であった試験液がないため、試験結果を40.0mN/mとした。また、25.4mN/mの試験液が非浸透の場合は、浸透した試験液がないため、試験結果を25.4mN/mとした。
AATCC118法では、1級の試験液から順に滴下し、浸透した試験液の直前に滴下した試験液の値を撥油性試験の結果とした。
なお、1級の試験液が浸透の場合は、直前に滴下した非浸透であった試験液がないため、試験結果を0級とした。また、8級の試験液が非浸透の場合は、浸透した試験液がないため、試験結果を8級とした。
PAO法では、試験液が浸透した場合を×、非浸透の場合を○とした。
なお、表裏に差異がある場合には、より撥油性の低い方を試験結果とした。
(捕集効率試験)
フィルターの初期および熱負荷後の捕集効率試験は以下の方法にて実施した。
評価粒子:大気塵
風速 :10cm/s
効率算出:光散乱計数法による0.3〜0.5μm間の粒子個数
捕集効率(%)=(1−(下流側個数÷上流側個数))×100
(性能上昇率)
エレクトレットの性能上昇率(エレクトレット化の度合い)は以下の方法にて評価した。フッ素加工後のシートサンプルを荷電(エレクトレット化)処理した後に捕集効率を計測し、さらにメガファックF410(DIC株式会社製)パーフルオロアルキル基含有カルボン酸0.5%水溶液にシートを含浸・乾燥させ、自然帯電を含む静電電荷が無くなった状態(無帯電状態)とした後に再度捕集効率を計測した。
※静電電荷が消失し、かつ繊維状物としての通気抵抗および捕集効率への影響を与えない方法で帯電寄与を評価することが本手法の趣旨である。
下式にて性能上昇率を算出した。
透過率=(下流側個数÷上流側個数)
性能上昇率[%]=(Ln(荷電後効率)÷Ln(無帯電効率))×100
(性能維持率)
性能維持率は以下の方法にて実施した。
フッ素加工後のシートサンプルを荷電(エレクトレット化)処理した後に捕集効率を計測(荷電後)し、80℃環境下30分加熱後(熱処理後)に捕集効率を再計測し、下式にて性能維持率を算出した。
透過率=(下流側個数÷上流側個数)
性能維持率[%]=(Ln(熱処理後効率)÷Ln(荷電後効率))×100
オイルミストへの負荷耐性(耐オイルミスト性)試験は以下の2種の方法にて実施した。
低極性の鉱物系粒子としてPAOミストを用い、水および多種多様な極性分子を含有する複合粒子としてタバコ煙を用いた。
(耐オイルミスト性試験法1:PAO耐久寿命)
72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し下記条件にて通風を行った。
評価装置 :TSI−8130型フィルターテスター
風量 :6L/min(5cm/s)
負荷粒子 :PAO(Emery3004)平衡帯電
個数最頻径0.184μm
濃度 :100mg/m
粒子検出法:光散乱濃度法
連続的に粒子負荷を行い、上記装置における捕集効率が50%となった時点を評価の終点とし、試験前後の重量より50mmφあたりのサンプル上に捕集されたPAO重量を算出した。
(耐オイルミスト性試験法2:タバコ煙耐久寿命)
[タバコ煙負荷]
1mアクリル容器中でJEM1467法に準拠した吸煙器と手法にて日本たばこ社製メビウスを4本燃焼させた。72mmφに打ち抜いたサンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し、風量12L/minにて10分間通気を行った。参考となる粒子濃度は柴田科学デジタル粉塵計P−2Lにて4000CPMから3000CPMへの減少となり、概ね1本/サイクル程度の負荷量となる。初期および1サイクル負荷ごとに効率(下記)および重量を計測し、効率50%を割り込んだ時点を終点とする。縦および横軸を普通軸として捕集効率とタバコ煙の捕集重量をプロットし、効率50%となる時点の数値を読み取り耐久寿命として算出する。
[タバコ煙負荷時の捕集効率]
タバコ煙負荷後のサンプルを用いた場合、光散乱計数器(レーザーパーティクルカウンター)の粒子径計測に干渉を生じるため、光散乱濃度法にて効率評価を行った。なお、レーザーパーティクルカウンターによる0.3〜0.5μmの効率とほぼ一致することを確認している。
タバコ煙負荷サンプルを有効通気径50mmφのアダプターに装着し下記条件にて通風を行った。
評価装置 :TSI−8130型フィルターテスター
風量 :6L/min(5cm/s)
負荷粒子 :固体NaCl(2w%NaCl水から発生)平衡帯電
個数最頻径0.075μm
濃度 :200mg/m
粒子検出法:光散乱濃度法
なお、評価風量が小さいため上下の検出器が平衡となる時間として20秒の値を設定し、1サイクルのフィルターテスターモード(効率計測モード)の数値を用いる。
<実施例1〜5>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布に対し、パーフルオロヘプタンに溶解させたn−C1022、n−C1226、n−C1430、n−C1634、n−C2042からなるポリテトラフルオロエチレンをそれぞれ浸透させたのち常温で乾燥を行い、各々0.75g/mの担持量の加工シートを得た。
得られたシートに対して液滴による撥油性試験を行うとともにコロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表1に示した。
<実施例6>
100℃〜290℃の範囲に融点を持つポリテトラフルオロエチレン(セントラル硝子株式会社製 セフラルルーブV)をパーフルオロヘプタンに分散させ、上澄み部分を用いた他は実施例1〜5と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。
<実施例7>
ポリプロピレン不織布に純水を透過させることでエレクトレット化処理を行った他は実施例6と同様の処理および各種評価を行った。結果を表1に示した。
<実施例8〜12>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布を30℃に保った恒温板に張り付け、円筒セラミック製の反応容器天井に設置した。底部を300℃に加熱した熱板を設置し、n−C1022、n−C1226、n−C1430、n−C1634、n−C2042からなるポリテトラフルオロエチレンをそれぞれ金属性ボート上から蒸散させることで各々0.75g/mの担持量の加工シートを得た。
得られたシートは60℃で15分間エージング処理を行った後、コロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表2に示した。
<実施例13>
100℃〜290℃の範囲に融点を持つポリテトラフルオロエチレン(セントラル硝子株式会社製 セフラルルーブV)を用いた他は実施例8〜12と同様の処理および各種評価を行った。結果を表2に示した。
<実施例14>
ポリプロピレン不織布に純水を透過させることでエレクトレット化処理を行った他は実施例13と同様の処理および各種評価を行った。結果を表2に示した。
<比較例1>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布に対し、コロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い加工シートを得、各種評価を行った。結果を表3に示した。
<比較例2>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布に対し、330℃に融点を持つ低分子量ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製 ルブロンL−2)をパーフルオロヘプタンに分散させ、上澄み部分を添着に用いたが未溶解であった。パーフルオロヘプタン溶液処理後に乾燥したが重量増加はみられなかった。コロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表3に示した。
<比較例3>
330℃に融点を持つ低分子量ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製 ルブロンL−2)を用いた他は実施例13同様の処理を実施したが、蒸散が生じずサンプルの重量増加は観察されなかった。コロナ放電法によりエレクトレット化処理を行い、各種評価を行った。結果を表3に示した。
<比較例4>
メルトブローン法により得られた目付30g/m、平均繊維直径3μm、厚み0.25mmのポリプロピレン不織布にCアクリレート系撥水撥油剤であるダイキン工業株式会社製 ユニダインTG−5502を水分散体にて浸透、乾燥させることで1.02g/m担持させ加工シートを得、各種評価を行った。結果を表3に示した。
<比較例5>
担持量を0.27g/mとした以外は比較例4と同様の処理および各種評価を行った。結果を表3に示した。
実施例1〜14と比較例1よりポリテトラフルオロエチレンの担持加工をすることで、PAOならびにタバコ煙への耐久特性が向上することがわかる。
実施例1〜14よりポリテトラフルオロエチレンは単体でも混合物でも好ましいことがわかる。
実施例6、7、13および14と比較例2および3の比較により融点330℃のポリテトラフルオロエチレンでは効果が無いことがわかる。
実施例6と7の比較、および実施例13と14の比較により、コロナ放電によるエレクトレット化より液体接触法によるエレクトレット化の方が高効率、長寿命化に効果があることがわかる。
実施例1〜14および比較例1と比較例4および5の比較により本発明のエレクトレットはアクリレート系撥水撥油剤を使用したエレクトレットに対して初期効率、電荷安定性、耐久性に優れることがわかる。
PFOAおよびPFOS類縁物を用いることなく、かつ簡便な装置や工程で撥油性、耐オイルミスト性、電荷安定性に優れたエレクトレットおよびフィルターを得ることが可能となる。

Claims (4)

  1. 融点35℃以上320℃以下のポリテトラフルオロエチレンを担体に付着させ、担体およびポリテトラフルオロエチレンの少なくとも一方が静電電荷を付与されてなるエレクトレット。
  2. 担体に繊維状物を用い、ポリテトラフルオロエチレンを溶液法または蒸着法で担体に担持する請求項1に記載のエレクトレット。
  3. 担体が融点320℃以下の熱可塑性樹脂からなるメルトブローン不織布である請求項1または2に記載のエレクトレット。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトレットを用いたフィルター。
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