JP6575136B2 - 固体電池及びそれを用いた組電池 - Google Patents
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Description
図1および図2は、本実施形態の一例にかかる固体電池20の概念的構造を示す断面図である。また、図3は固体電池20の内部構造を模式的に表した図である。図1及び図2に示す固体電池20は、いずれも第一の電極として正極層1を、第二の電極層として負極層2を備えている。正極層1と負極層2との間に固体電解質層3を有し、正極層1は正極集電体層4と正極活物質層5からなり、負極層2は負極集電体層6と負極活物質層7からなる。また、固体電解質層3は固体電解質10からなり、正極集電体層は正極集電体11からなり、正極活物質層は正極活物質12からなり、負極集電体層6は負極集電体13からなり、負極活物質層7は負極活物質14からなる。正極層1と負極層2と固体電解質層3からなる蓄電素体は保護層15で覆われている。正極集電体層4と負極集電体層6にはそれぞれ端子電極16が電気的に接続されている。
本実施形態の固体電池20の固体電解質層3は固体電解質10を含有している。固体電解質層3には固体電解質10以外に焼結助剤などを含んでもよい。図1に示す固体電池20の固体電解質層3は、図にて明らかなように、最上層及び最下層の膜厚を固体電池20の中央部の厚みが薄くなるように形成している。もちろん、このように固体電解質層3にて固体電池の厚みを制御する場合、最上層のみであっても、最下層のみであっても、どの層に厚みが薄くなる層を設けても良いが、少なくとも最上層に形成するのが好ましい。
また固体電解質10は、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料を用いるのが好ましい。例えば、Li3+x1Six1P1−x1O4(0.4≦x1≦0.6)、Li1+x2Alx2Ti2−x2(PO4)3(0≦x2≦0.6)、リン酸ゲルマニウムリチウム(LiGe2(PO4)3)、Li2O−V2O5−SiO2、Li2O−P2O5−B2O3、Li3PO4よりなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池20の正極活物質層5及び負極活物質層7を構成する正極活物質12及び負極活物質14としては、リチウムイオンを効率よく挿入、脱離できる材料を用いるのが好ましい。例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物を用いるのが好ましい。具体的には、リチウムマンガン複合酸化物Li2Mnx3Ma1−x3O3(0.8≦x3≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNix4Coy4Mnz4O2(x4+y4+z4=1、0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMbPO4(ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素)、リン酸バナジウムリチウム(Li3V2(PO4)3又はLiVOPO4)、Li過剰系固溶体正極Li2MnO3−LiMcO2(Mc=Mn、Co、Ni)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、LiaNix5Coy5Alz5O2(0.9<a<1.3、0.9<x5+y5+z5<1.1)で表される複合金属酸化物のいずれかであることが好ましい。
本実施形態の固体電池20の正極集電体層4及び負極集電体層6を構成する正極集電体11及び負極集電体13としては、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルなどを用いるのが好ましい。特に、銅は正極活物質12、負極活物質14及び固体電解質10と反応し難く、さらに固体電池20の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。また、正極集電体層4及び負極集電体層6を構成する正極集電体11及び負極集電体13は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態の固体電池20の保護層15は固体電池の最外層に形成されるもので、電気的、物理的、化学的に保護するためのものである。図2に示す固体電池20の保護層15は、図にて明らかなように、最上層及び最下層の膜厚を固体電池20の厚みが薄くなるように形成している。もちろん、保護層15にて固体電池の厚みを制御する場合、最上層のみであっても、最下層のみであっても、どの層に厚みが薄くなる層を設けても良いが、少なくとも最上層に設けるのが好ましい。保護層15を構成する材料としては絶縁性、耐久性、耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。たとえば、ガラスやセラミックス、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いるのが好ましい。保護層の材料は1種類だけでもよいし、複数を併用してもよい。また、保護層は単層でもよいが、複数層からなる方が好ましい。
本実施形態の固体電池20の端子電極16は、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルを用いるのが望ましい。端子電極16の材料は1つでもよいし、複数の材料を併用して用いてもよい。また、単層でも複数層からなっていてもよい。
本実施形態の固体電池20は、正極集電体層4、正極活物質層5、固体電解質層3、負極活物質層7、及び、負極集電体層6の各材料をペースト化し、塗布乾燥してグリーンシートを作製し、かかるグリーンシートを積層して作製した積層体を作製する。作製した積層体を焼成して蓄電素体を作製し、かかる蓄電素体に保護層16を付与することにより製造する。
蓄電素体に端子電極16をつける。端子電極16は正極集電体層4と負極集電体層6にそれぞれ電気的に接触するようつける。この限りではないが、例えば、スパッタやディッピングにより形成することが好ましい。
方法はこの限りではないが、保護層15の形成にはスパッタやディッピング、スプレーコートで行うのが好ましい。端子電極16が保護層15で完全におおわれないことが好ましい。たとえば、マスキングをする、あるいは保護層15の材料としては端子電極がはじく材料を選択することが望ましい。保護層15をつけるのは基板実装後でもよいが、空気中の水分と反応する恐れがあるため基板実装前につけることが好ましい。
以下に実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に実施例に限定されるものではない。なお、部表示は特に断りのない限り重量部である。
正極活物質及び負極活物質として、以下の方法で作製したLi3V2(PO4)3を用いた。Li2CO3とV2O5とNH4H2PO4とを出発材料とし、ボールミルで16時間湿式混合を行い、脱水乾燥した後に得られた粉体を850℃で2時間、窒素水素混合ガス中で仮焼した。仮焼品をボールミルで湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して正極活物質粉末及び負極活物質粉末を得た。作製した粉体の組成がLi3V2(PO4)3であることは、X線回折装置を使用して確認した。
正極活物質層用ペースト及び負極活物質層用ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末100部に、バインダーとしてエチルセルロース15部と、溶媒としてジヒドロターピネオール65部とを加えて、混合・分散して正極活物質層用ペースト及び負極活物質層用ペーストを作製した。
固体電解質として、以下の方法で作製したLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3を用いた。Li2CO3とAl2O3とTiO2とNH4H2PO4を出発材料として、ボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥した。得られた粉体を800℃で2時間、空気中で仮焼した。仮焼品をボールミルで24時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して固体電解質の粉末を得た。作製した粉体の組成がLi1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3であることは、X線回折装置を使用して確認した。
この固体電解質層用ペーストをドクターブレード法でPETフィルムを基材としてシート成形し、厚さ15μmの固体電解質層用シートを得た。
正極集電体及び負極集電体として用いたCuとLi3V2(PO4)3とを体積比率で80/20となるように混合した後、バインダーとしてエチルセルロース10部と、溶媒としてジヒドロターピネオール50部を加えて混合・分散して正極集電体層用ペースト及び負極集電体層用ペーストを作製した。Cuの平均粒径は0.9μmであった。
銀粉末とエポキシ樹脂、溶剤とを三本ロールで混錬・分散し、熱硬化型の導電ペーストを作製した。
上記の固体電解質層用シート上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質層用ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極集電体層用ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質層用ペーストを再度印刷し、80℃で10分間乾燥し、次いでPETフィルムを剥離した。このようにして、固体電解質層用シート上に、正極活物質層用ペースト、正極集電体層用ペースト、正極活物質層用ペーストがこの順に印刷・乾燥された正極活物質ユニットのシートを得た。
上記の固体電解質層用シート上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極活物質層用ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。次に、その上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極集電体層用ペーストを印刷し、80℃で10分間乾燥した。更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで負極活物質層用ペーストを再度印刷し、80℃で10分間乾燥し、次いでPETフィルムを剥離した。このようにして、固体電解質層用シート上に、負極活物質層用ペースト、負極集電体層用ペースト、負極活物質層用ペーストがこの順に印刷・乾燥された負極活物質ユニットのシートを得た。
固体電解質層用シート10枚を重ね、正極活物質ユニットのシートと負極活物質ユニットのシートをそれぞれ25枚、正極活物質層用ペースト、正極集電体層用ペースト、正極活物質層用ペースト、固体電解質層用シート、負極活物質層用ペースト、負極集電体層用ペースト、負極活物質層用ペースト、固体電解質層用シートの順に形成されるように積み重ねた。このとき、奇数枚目の正極活物質ユニットのシートの正極集電体層用ペーストが一方の端面にのみ延出し、偶数枚目の負極活物質ユニットのシートの負極集電体層用ペーストが反対側の端面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねた。この積み重ねられたユニットの上に、固体電解質層用シートを10枚重ねた。その後、これを温度80℃で圧力1000kgf/cm2〔98MPa〕で一軸プレスを用いて成形した。この時使用した金型には、固体電池中央部が端部の厚みに比薄くなるように湾曲した金型を用い、固体電池の中央部が端部に比べ薄くなるように積層ブロックを作製した。次いで切断して積層体を作製し、その後、積層体を同時焼成して蓄電素体を得た。同時焼成は、窒素中で昇温速度200℃/時間で焼成温度840℃まで昇温して、その温度に2時間保持し、焼成後は自然冷却した。同時焼成後、積層方向に垂直な面のサイズは3.2mm×2.5mmであった。
蓄電素体の端面に端子電極ペーストを塗布した。150℃、30分の熱硬化を行い、一対の端子電極を形成した。
端子電極が保護層で覆われないよう端部をマスキングし、その上からエポキシ樹脂を滴下し、その後150℃で30分間硬化し、実施例1の固体電池を得た。走査型電子顕微鏡で固体電池の断面観察を行い、付与した保護層の厚みを測定した。また、固体電池の厚みの異なる面間の中央部の厚みは1.31mm、端部の厚みは1.42mmであった。保護層は蓄電素体の外周を覆っており、厚みは1.8μmであった。
積層体を圧着する際に使用する金型を変更し、積層体と接する面が平らなものに変更したこと以外は実施例1と同様にして固体電池を作製した。同時焼成後のチップのサイズは3.2mm×2.5mm×1.37mmであった。保護層は蓄電素体の外周を覆っており、厚さは2μmであった。
実施例1で作製した固体電池を3つ直列に組み合わせ、図4に示す組電池を5個作製し、充電状態での保存試験を行った。基板17は粘着性テープを銅板に貼ることで作製した。固体電池を直列に3つつなぎ固体電池の層構造と基板17が平行になるようにして基板17で固体電池を挟み、外部端子18をつけることで組電池22の形状を得た。外部端子18にはNiリードを用い、熱硬化型の銀ペーストで固体電池に接着した。基板で電池を挟む際は、基板の銅板側が外側にくるようにし、粘着性テープが3つの固体電池の端子電極と接するようにした。比較例1の固体電池に対しても同様の組電池を5個作製した。その後、それぞれの組電池を5Vまで充電した。次に充電状態の組電池を100℃で保存し、一定時間経過後の電圧を測定した。
2 負極層
3 固体電解質層
4 正極集電体層
5 正極活物質層
6 負極集電体層
7 負極活物質層
10 固体電解質
11 正極集電体
12 正極活物質
13 負極集電体
14 負極活物質
15 保護層
16 端子電極
17 基板
18 外部端子
20 固体電池
21 固体電池内部の蓄電要素
22 実施例の組電池
23 ごみ
24 電池収納部
25 従来の場合のごみの巻き込み
26 本発明の場合のごみ巻き込み
Claims (3)
- 第一の電極層と第二の電極層の間に固体電解質層を有する蓄電要素を一つ以上有する蓄電素体を備え、前記蓄電素体の表面には保護層を有する固体電池において、
前記固体電池の少なくとも一対の対向する面は、前記固体電池の端部の厚みに対する前記固体電池の中央部の厚みの比が0.65以上かつ0.95以下であり、
前記保護層の表面は、その一部が前記固体電池の端部の厚みにくらべ厚みが薄くなる方向に湾曲していることを特徴とする固体電池。 - 第一の電極層と第二の電極層の間に固体電解質層を有する蓄電要素を一つ以上有する蓄電素体を備え、前記蓄電素体の表面には保護層を有する固体電池において、
前記固体電池の少なくとも一対の対向する面は、前記固体電池の端部の厚みに対する前記固体電池の中央部の厚みの比が0.65以上かつ0.95以下であり、
前記保護層の表面のうち中央部が前記固体電池の厚みが薄くなる方向に湾曲していることを特徴とする固体電池。 - 請求項1または2に記載の前記固体電池を直列に複数個並べて接続し、それをケースに収納したことを特徴とする組電池。
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