JP6572018B2 - 撥水性粘着積層体及びそれを用いた粘着テープ - Google Patents
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Description
1. a)非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含み、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする撥水性粘着積層体。
2. 疎水性微粒子が三次元網目状構造からなる多孔質層を形成している、前記項1に記載の撥水性粘着積層体。
3. 撥水層表面における純水との接触角が140度以上である、前記項1又は2に記載の撥水性粘着積層体。
4. 疎水性微粒子が金属酸化物微粒子である、前記項1〜3のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
5. 粘着層が、酢酸ビニル・アクリル系共重合体及びポリイソシアネート系硬化剤を含む液状粘着剤により形成された塗膜を乾燥することによって得られる、前記項1〜4のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
6. 疎水性微粒子として、微粒子の表面にフッ素を含む有機化合物の皮膜が形成されている微粒子を用いる、前記項1〜5のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
7. 粘着層を介して当該積層体を被着体に貼着するに際し、撥水層の表面の一部に粘着層の一部が重なって直接貼着されるように用いられる、前記項1〜6のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
8. 前記の直接貼着された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、前記項7に記載の撥水性粘着積層体。
9. テープ状に加工されて撥水性粘着テープとして用いられる、前記項1〜8のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
10. 前記項1〜9のいずれかに記載の撥水性粘着積層体を用いて防止処理を施す方法であって、水の侵入を防止する部位に粘着層を介して当該積層体を貼着する工程を含む、防水処理方法。
11. 撥水層の表面の一部に粘着層の一部が直接積層されるように用いられる、前記項10に記載の防水処理方法。
12. 直接積層された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、前記項11に記載の防水処理方法。
本発明の撥水性粘着積層体(本発明積層体)は、a)非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含み、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする。
(1−1)非透過性基材層の構成
非透過性基材層としては、少なくとも水及び油を透過しない材料であれば特に限定されない。例えば、合成樹脂、ゴム、金属等からなるシート状、フィルム状又は箔状材料を好適に採用することができる。特に、耐熱性、耐候性等が要求される用途では、前記材料として金属を用いることが好ましい。金属としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、ニッケル、錫等のほか、これらの金属を含む合金(例えばステンレス鋼等)等が挙げられる。特に、本発明においては、腐食に強く、軽量で安価なことから、アルミニウムを用いることが特に望ましい。
このような非透過性基材層としては、公知又は市販の材料(シート、フィルム、箔等)を使用することができるほか、公知の製造方法によって作製することが可能である。これらは、そのまま又は通常の加工処理を施した上で本発明積層体の非透過性基材層として利用することができる。例えば、市販のアルミニウム箔をそのまま又は通常の加工処理を施した上で本発明積層体の非透過性基材層として利用することができる。
(2−1)粘着層の構成
粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上(好ましくは19N/25mm以上)であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下(好ましくは7以下、より好ましくは6以下)という特性を備えている。なお、上記粘着力の上限値は通常26N/25mm程度とすれば良い。また、上記ボールナンバーの下限値は通常1程度とすれば良い。
粘着層の形成方法は、特に限定されないが、通常は液状粘着剤を使用するので、液状粘着剤を塗布する方法を好適に採用することができる。これにより、市販の溶剤型粘着剤等も利用することができる。塗布する方法は限定的でなく、例えばロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、ディッピング、刷毛塗り、スプレー塗装等の公知の方法を採用することができる。塗布を実施した後、必要に応じて乾燥工程等を行っても良い。
(3−1)撥水層の構成
撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含む層から構成される。
疎水性微粒子を非透過性基材層の表面に直接形成する方法は特に限定されない。ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、ディッピング、刷毛塗り、スプレー塗装、粉体静電塗装法等の公知の方法を採用することができる。非透過性基材層への粘着層の形成後に必要に応じて乾燥工程を行っても良い。また、非透過性基材層への形成に際し、疎水性微粒子を溶媒に分散した分散体を用いて非透過性基材層表面に形成しても良い。すなわち、疎水性微粒子を溶媒に分散した分散体を非透過性基材層表面に塗布・乾燥することにより撥水層を形成する工程を含む方法を好適に採用することができる。
本発明の他の実施形態として、前記疎水性微粒子として、微粒子(以下、便宜上「下地粒子」という。)の表面にフッ素を含む有機被膜(フッ素含有有機被膜)を形成した微粒子を用いることもできる。この場合、撥水層には、撥水性のみならず、撥油性も付与することが可能となる。
本発明の撥水性粘着積層体は、そのまま又は所望のサイズ・形状に加工して粘着シート又は粘着フィルムとして用いることができる。また、テープ状に加工することにより、撥水性粘着テープとして用いることできる。特に、テープ状に加工(裁断)したうえでロール状に巻き取ることにより、持ち運びが容易になり、使用したい箇所及びサイズに合わせて所望の長さを取り出して切り取ることができ、簡便に使用することが可能となる。
(1)撥水性粘着積層体の作製
非透過性基材層として、市販のアルミニウム箔(厚さ50μm、軟質箔)を準備した。このアルミニウム箔の一方の面(消し面)に撥水層を形成した。アルミニウム箔の一方の面(消し面)に熱可塑性樹脂溶液(主成分:ポリエステル系樹脂160重量部+アクリル系樹脂10重量部+溶剤(トルエン+MEKの混合溶剤)40重量部)を乾燥後重量約3g/m2となるように塗布乾燥(乾燥条件は150℃、10秒)して熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、疎水性微粒子として製品名「AEROSIL R812S」(エボニックデグサ社製、BET比表面積:220m2/g、一次粒子平均径:7nm)5gをエタノール100mLに分散させてコート液を調製した。このコート液を前記熱可塑性樹脂層の表面に乾燥後重量で0.11〜0.4g/m2になるようにバーコート方式で付与した後、100℃で10秒程度かけて乾燥させてエタノールを蒸発させた。これによりアルミニウム箔の一方の面に撥水層を形成した。
アルミニウム箔の他方の面に、乾燥後厚さ40μmの粘着層を形成した。片面がシリコーン樹脂で表面処理された離型紙を準備し、この離型紙のシリコーン樹脂が形成された表面に、製品名「サイビノールAT−D50N(サイデン化学社製、アクリル・酢酸ビニル共重合体50重量%、アクリル酸n−ブチル0.3重量%、酢酸ビニル1.4重量%を含む溶剤型粘着剤)」と硬化剤として製品名「サイビノール硬化剤AL(サイデン化学社製、変性ポリイソシアネート44.7重量%、トリレンジイソシアネート0.3重量%含む変性ポリイソシアネート溶液」を100:1.33の重量割合で配合し、適宜溶剤と混合した粘着剤溶液を乾燥後の層厚みが40μmとなるようにコーター機で塗工した。その後、粘着剤溶液が塗工された離型紙を乾燥炉に入れて、100℃、1分間の条件にて溶剤を蒸発させ、離型紙の片面に粘着層を形成した。なお、粘着層のゲル分率は約30%であった。その後、アルミニウム箔の撥水層を形成した面とは反対側の面に離型紙の粘着層が形成された面を貼り付けた。以上のようにして、本発明の撥水性粘着積層体を得た。
(2)撥水性粘着テープの作製
上記(1)で得られた撥水性粘着積層体を幅5.0cmとなるように切断して、本発明の撥水性粘着テープを得た。
市販されている製品名「キッチンテープ50mm」(東洋アルミエコープロダクツ社製、商品コード2401)を比較例として使用した。なお、本製品は、撥水層が形成されておらず、粘着層は乾燥後の厚みが25μmであり、当該粘着層は実施例の粘着層と異なる粘着剤が使用されている。
実施例及び比較例で作製された各粘着テープについて、以下の各特性の評価をそれぞれ行った。その結果を表1に示す。
(1−1)ステンレス鋼試験板を用いた試験
JIS Z0237に準ずる粘着力試験(方法1:テープ及びシートをステンレス鋼試験板に対して180°に引きはがす試験方法)を行った。具体的には以下のようにして行った。
実施例及び比較例で得られた粘着テープを25mm幅×125mm長に切断して試験片を準備後、試験片をステンレス鋼板(SUS304)に貼り付けた。そして、貼り付けた試験片の上を2kgのローラーで3往復させて圧着した。その後、20分間放置した後に粘着力試験を行った。
粘着力試験は、試験片を貼り付けた状態のステンレス鋼板を引き剥がし試験機に取り付けて、ステンレス鋼板に対して180°の方向に300mm/minの引張速度で試験片を引き剥がし、引きはがすのに要した最大荷重を測定した。なお、ここで記載しない詳細な条件はJIS Z0237に従うものとする。
JIS Z0237に準ずる粘着力試験(方法1:テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法)を行った。ただし、試験を行うにあたっては、ステンレス試験板の表面に試験片以上の長さに切断した実施例1で得られた粘着テープを貼り付けたうえで、当該粘着テープの撥水層表面上に各試験片を貼り付けるとともに、ローラーによる圧着後の放置時間を20分間及び24時間の2条件で粘着力試験を行った。その他の試験条件は、前記(1−1)の粘着力試験と同様にして行った。
JIS Z0237における傾斜式ボールタック(傾斜角30°)を行った。実施例及び比較例で得られた粘着テープの粘着層表面にスチールボール(高炭素クロム軸受鉄鋼材SUJ2)を転がし、静止したスチールボールのボールナンバーのうち、最大のボールナンバーをもって測定結果とした。なお、ここで記載しない詳細な条件はJIS Z0237に従うものとする。
実施例及び比較例で得られた粘着テープの粘着層とは反対側の表面について純水との接触角(25℃)を測定した。具体的には各粘着テープの粘着層とは反対側の表面を試験面とし、接触角測定装置(固液界面解析装置「Drop Master300」協和界面科学株式会社製)を用いて純水(約2〜4μl)の接触角を測定した。測定結果は、N数を5回とし、その接触角の平均値とした。
実施例1及び比較例1の各粘着テープを幅5cm×長さ12.5cmの大きさに切断したサンプルを準備した後、ステンレス鋼板に各サンプルを貼り付けた。次いで、各サンプルが貼り付けられたステンレス鋼板を40℃、湿度70%に設定した恒温恒湿槽に1ヶ月保管した後、各サンプルをステンレス鋼板から引き剥がし、ステンレス鋼板上に粘着層が残っているか否かを目視にて確認した。糊残りが全く認められない場合を「○」とし、僅かな糊残りがある場合を「△」とし、糊残りが目立つ場合を「×」と表記した。
なお、本試験においては、ステンレス鋼板はSUS304を用い、貼り付けた試験片の上を2kgのローラーで3往復させて圧着した。また、各サンプルのステンレス鋼板からの引き剥がしは、前述の粘着力試験の場合と同様にして行った。
まず、三菱樹脂株式会社製の塩化ビニル製カラー竪樋(品名:JIS管VP、直径:50mm)を20cm以上の長さとなるように切断し、被着体としての竪樋を準備した。次に、実施例1及び比較例1の各粘着テープを幅5cm×長さ2mの大きさに切断したサンプルを準備し、竪樋の一方端から他端に向かって螺旋状に巻き付けながら貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、下側になる粘着テープと上側になる粘着テープとを2,5cmずらして重ねるようにして貼り付けし(すなわち、下側の粘着テープと上側の粘着テープとが2.5cm分重なるような状態で貼り付けし)、少なくとも竪樋の20cmが粘着テープで貼り付けられた状態となるようにした。このようにして実施例1及び比較例1の粘着テープが貼り付けられた竪樋を、巻き付け初め部分を下にして屋外に設置し、6ヶ月間放置した。6ヶ月放置後の下側の粘着テープの撥水層と上側の粘着テープの粘着層との重なる領域の貼付け状態を目視で確認した。重なる領域において粘着テープの剥がれ、捲れ、浮き等が全く認められない場合を「○」とし、剥がれ、捲れ、浮き等が僅かに認められる場合を「△」とし、剥がれ、捲れ、浮き等が目立つ場合を「×」と表記した。
以上のことから、本発明によれば、表面(露出面)が極めて高い撥水性を有しつつも、効果的に重ね貼りを行うことができるとともに被着体への糊残りを抑制ないしは防止できる粘着積層体及び粘着テープを提供できることがわかる。
Claims (12)
- a)少なくとも水及び油を透過しない非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、
撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を乾燥重量で0.01〜10g/m2含み、前記疎水性微粒子はa)フッ素を含有する樹脂粒子、b)金属酸化物粒子及びc)表面処理により疎水化された金属粒子の少なくとも1種であり、かつ、
撥水層表面における純水との接触角が140度以上であり、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力がステンレス鋼板に対して15N/25mm以上26N/25mm以下であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが1以上9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする撥水性粘着積層体。 - 疎水性微粒子が三次元網目状構造からなる多孔質層を形成している、請求項1に記載の撥水性粘着積層体。
- 非透過性基材層が金属からなる、請求項1又は2に記載の撥水性粘着積層体。
- 非透過性基材層の厚みが10μm〜2mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
- 粘着層が、酢酸ビニル・アクリル系共重合体及びポリイソシアネート系硬化剤を含む液状粘着剤により形成された塗膜を乾燥することによって得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
- 疎水性微粒子として、微粒子の表面にフッ素を含む有機化合物の皮膜が形成されている微粒子を用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
- 粘着層を介して当該積層体を被着体に貼着するに際し、撥水層の表面の一部に粘着層の一部が重なって直接貼着されるように用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
- 前記の直接貼着された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、請求項7に記載の撥水性粘着積層体。
- テープ状に加工されて撥水性粘着テープとして用いられる、請求項1〜8のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の撥水性粘着積層体を用いて防水処理を施す方法であって、水の侵入を防止する部位に粘着層を介して当該積層体を貼着する工程を含む、防水処理方法。
- 撥水層の表面の一部に粘着層の一部が直接積層されるように用いられる、請求項10に記載の防水処理方法。
- 直接積層された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、請求項11に記載の防水処理方法。
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