JP2012011658A - インモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム - Google Patents

インモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 インモールド転写箔の基材に用いるフィルムの少なくとも一方の面に粘着離型層を設けるに際し、かかる粘着離型層としてハードコート層を粘着離型層上に容易に加工でき、かつ転写後はハードコート層と剥離しやすく、しかも被転写物の大きさに合わせた幅にスリット加工する際に箔こぼれ現象が生じないような粘着剥離特性を有しており、さらにハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性に優れ、インモールド用転写箔の基材フィルムとして有用なインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着離型層を有し、該粘着離型層が(A)ガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマー、(B)ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーおよび(C)架橋剤を含有し、該粘着離型層に対するハードコート層の剥離力が0.2N/mm以上0.4N/mm以下であって、微小硬度計による該粘着離型層の表面硬度が0.5GPa以上4.5GPa以下であるインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムによって得られる。
【選択図】 なし

Description

本発明はインモールド転写材用粘着離型フィルムに関し、詳しくは射出成形等において成形と同時に転写印刷するインモールド転写用の転写箔のベースフィルムとして有用なインモールド転写材用粘着離型フィルムに関する。
従来、インモールド用転写箔として、ポリエステルフィルムをベースフィルムとし、そのうえに離型層を設け、この離型層の上にハードコート層、さらに印刷層を塗工し、これら順次積層したものが用いられている。
かかるインモールド用転写箔は、成形転写後に離型層面とハードコート層面との間で剥がされ、分離される。すなわち、成形転写後に印刷層は成形品の表面に接着して製品として取出され、ハードコート層はその製品の最表面となる。離型層は転写箔のベースフィルムの上に設けられた状態で製品から取り除かれる。また、インモールド転写箔用に適したフィルムとして、離型層とベースフィルムとの接着力を高めるために両層間に接着層を設けることも検討されている。
近年、インモールド転写法を用いた加工に対し高い生産性を求められており、成形速度を向上させることが試みられている。一方、インモールド転写箔を取り扱う際に帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着が発生し、生産性を落とすことがあった。かかる課題に対し、例えば特許文献1では、帯電防止層を有する転写材用ポリエステルフィルムが検討されている。
また、特許文献2においてインモールド用転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性を有し、かつ転写箔同士のはりつきがなく、転写の際に離型層とベースフィルムの剥離のないインモールド転写箔用フィルムとして、ポリエステルフィルムの一方の面に易接着層を有し、他方の面に離型成分を含む帯電防止層を有するフィルムが開示されている。また、特許文献2ではかかる離型成分について、帯電防止剤との相溶性が良好で、しかも離型成分により反対側の印刷面に印刷はじきを生じないよう検討が試みられている。
一方、離型層に着目してみると、従来の離型層は各層を積層させた後に被転写物の大きさに合わせて適切な幅に切断(スリット)した際、スリット刃があたるショックによりスリットの部分でハードコート層、印刷層などの転写部分が離型層表面から剥がれる箔こぼれ現象を起こすことがあった。これは離型層とハードコート層との間における層間剥離力が非常に低いことに起因しており、転写に供される部分だけでなく転写に供さない部分も剥離性に優れるために生じるものである。
かかる箔こぼれ現象は、ハードコート層のように剥離層が厚くならざるを得ない場合、機能層が多い場合など、転写層の厚さが大きいときほど顕著に生じるものであった。そこでスリット時の箔こぼれを防止するために、ベースフィルムに離型層を設ける際、スリット箇所に当たる部分を除いた帯状のパターンに離型層を設け、その上にハードコート層、印刷層、接着層などからなる転写層を設けたものが検討されている(特許文献3)。しかしながら、かかる方法では被転写物に適した塗工パターンにしなければならないなどの課題がある。
また特許文献4において、転写材用フィルムとして、従来の熱硬化性の離型層に代えて、常態剥離力が2000mN/cm以下の離型層を片面に有するポリエステルフィルムが提案されており、離型層を構成する成分の1つとしてフッ素含有樹脂が好ましいことが記載されている。しかしながら特許文献4では、剥離しやすい離型性フィルムの検討がされているものの、箔こぼれについては何も検討されていない。
このように、パターン塗工をしなくても箔こぼれが発生せず、しかも転写後の剥離性を有するインモールド転写材用ポリエステルフィルムが求められているのが現状である。
特開2004−223800号公報 特開2006−187951号公報 特開平11−58584号公報 特開2007−111964号公報
本発明の目的はかかる従来技術の問題点を解消し、インモールド転写箔の基材に用いるフィルムの少なくとも一方の面に粘着離型層を設けるに際し、かかる粘着離型層としてハードコート層を粘着離型層上に容易に加工でき、かつ転写後はハードコート層と剥離しやすく、しかも被転写物の大きさに合わせた幅にスリット加工する際に箔こぼれ現象が生じないような粘着剥離特性を有しており、さらにハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性に優れ、インモールド用転写箔の基材フィルムとして有用なインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムを提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、従来の離型層は離型性にのみ着目した離型性の高い層であったところ、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に特定の粘着離型成分および架橋剤を含む塗布層を設けることにより、新たに粘着力と離型力の両機能を有する粘着離型層が得られ、優れたハードコート加工性および剥離性を有し、しかも適切な幅で切断(スリット)した際、箔こぼれ現象が抑制されること、さらにハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着離型層を有し、該粘着離型層が(A)ガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマー、(B)ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーおよび架橋剤を含有し、該粘着離型層に対するハードコート層の剥離力が0.2N/mm以上0.4N/mm以下であって、微小硬度計による該粘着離型層の表面硬度が0.5GPa以上4.5GPa以下であるインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムによって達成される。
また、本発明のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、粘着離型層の重量を基準として(B)ウレタン系ポリマーの含有量が5重量%以上40重量%以下であること、該フッ素系ポリマー(A)がフルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体であること、フルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体の全繰り返し単位を基準としてかかるフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上90モル%以下であること、粘着離型層の表面自由エネルギーが20mN/m以上50mN/m以下であること、前記粘着離型層がポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接設けられていること、粘着離型層がポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布することにより形成されること、ポリエステルフィルムの粘着離型層と反対側の面にさらに帯電防止離型層を有すること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含する。
本発明のポリエステルフィルムは、優れたハードコート加工性および剥離性を有し、しかも適切な幅で切断(スリット)した際、箔こぼれ現象が抑制されることから、従来の転写箔のように離型層を被転写物に適した塗工パターンで形成する必要がなく、転写箔全面に離型層を塗工することができることから、インモールド転写材用フィルムとして好適に使用することができる。またハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性に優れることから、変形量の大きな成形品の加工が可能になるなど、インモールド転写箔用ポリエステルフィルムとして、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを例示することができる。
ポリエステルは、ホモポリマーであっても、これらポリエステルのうちの1つを主たる成分とする共重合体であってもよく、またはブレンドしたものであってもよい。ここで「主たる成分」とは、ポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として80モル%以上である。また主たる成分の割合は、85モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。また、共重合成分またはブレンド成分はポリエステルの繰り返し構造単位のモル数を基準として20モル%以下であり、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートが力学的物性と成形性のバランスがよいので特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の課題を損なわない範囲内で、滑剤粒子、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤を含有してもよい。高透明性や表面平坦性が求められる場合は、滑剤粒子は実質的に含有しないことが好ましい。
ポリエステルフィルムは、例えば次の方法で製造することができる。すなわち、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて非晶未延伸フィルムとし、縦方向(以下、連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(以下、幅方向、TD方向と称することがある)に延伸する。縦方向の延伸は例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、縦方向に例えば2.0〜4.0倍、好ましくは2.5〜3.5倍に延伸する。横方向の延伸は、例えば温度60〜130℃、好ましくは90〜125℃で、横方向に例えば2.0〜4.5倍、好ましくは3.0〜4.2倍に延伸する。二軸延伸後の面積倍率は13以下とすることが好ましい。
なお、フィルムの延伸後には熱固定処理を行うことが好ましい。熱固定処理は、最終延伸温度より高く融点以下の温度内で1〜30秒の時間内行うことが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレートフィルムでは150〜250℃の温度、2〜30秒の時間の範囲で選択して熱固定することが好ましい。その際、20%以内の制限収縮もしくは伸長、または定長下で行い、また2段以上で行ってもよい。
ポリエステルフィルムの表面の中心線表面粗さは、好ましくは1〜50nmである。ポリエステルフィルムの表面の中心線表面粗さをこの範囲とすることにより、塗布層の表面の中心線平均表面粗さが1〜40nmであるインモールド転写用フィルムを得ることができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、インモールド転写材として使用する場合にハンドリング性、成形性の観点から、また必要に応じてさらに透明性の点から好ましくは12〜100μm、さらに好ましくは25〜75μmである。
[粘着離型層]
本発明のフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着離型層を有し、該粘着離型層が(A)ガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマー、(B)ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーおよび(C)架橋剤を含有するものである。また該粘着離型層に対するハードコート層の剥離力が0.2N/mm以上0.4N/mm以下であって、微小硬度計による該粘着離型層の表面硬度が0.5GPa以上4.5GPa以下である。
本発明のフィルムは、粘着力と離型力の両機能を備える粘着離型層を有している点に特徴があり、具体的には粘着離型層がフッ素系ポリマーを含み、かつ架橋剤で粘着離型層の凝集破壊を抑えることで離型性能を付与し、さらにフッ素系ポリマーのガラス転移温度が低く、かつガラス転移温度の低いウレタン系ポリマーを用いることによって粘着性能も備え、粘着離型層に対するハードコート層の剥離力を0.2N/mm以上0.4N/mm以下とする、粘着力と離型力の両機能を備える粘着離型層を得ることができる。
またガラス転移温度の低いウレタン系ポリマーを用いることにより、粘着離型層の表面が柔軟性を有しており、インモールド成形時に粘着離型層の成形追従性にも優れ、変形量の大きな成形品の加工が可能となる。
そして、かかる粘着離型層を有する粘着離型ポリエステルフィルムをインモールド転写箔用途に用いた場合に、粘着離型層上にハードコート剤を塗布でき、転写後にはそのハードコート層を剥離することが可能であり、またスリット加工において、粘着離型層とハードコート層との剥がれによる箔こぼれ、屑および塵の発生を抑制することができる。また、インモールド成形時に粘着離型層の成形追従性にも優れ、変形量の大きな成形品の加工が可能となる。
(フッ素系ポリマー(A))
(A)ガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマーとして、(i)フッ化ビニリデン系重合体、(ii)フルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体(以下、フッ化アクリル系共重合体と称することがある)が例示され、特に(ii)フッ化アクリル系共重合体が好ましい。
(i)フッ化ビニリデン系重合体として、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデンおよびこれと共重合可能な単量体との共重合体が例示される。かかるフッ化ビニリデン系重合体の重量平均分子量は、通常1万〜20万である。
フッ化ビニリデンと共重合可能な単量体として、例えばフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ヘキサフルオロイソブチレン、トリフルオロアクリル酸またはそのアルキルエステル、ペンタフルオロメタクリル酸またはそのアルキルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸のフルオロアルキルエステル等のフッ素含有エチレン性不飽和化合物、プロピレン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル等のフッ素非含有エチレン性不飽和化合物、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のフッ素非含有ジエン化合物等との共重合体が挙げられる。
これらのフッ化ビニリデン系重合体の中でも、フッ化ビニリデンの単独重合体、2元共重合体であるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、3元共重合体であるフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等が好ましく用いられ、これらのうち、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体が特に好ましく用いられる。これらのフッ化ビニリデン系重合体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
(ii)フルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体のうち、フルオロアルキルアクリレートとして下記一般式(I)で表わされるフルオロアルキルアクリレートが例示される。
Figure 2012011658
(式(I)中、R1は水素またはメチル基、Rfはフッ素原子数3〜7のフルオロアルキル基、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基をそれぞれ表わす)
ここで、フルオロアルキルアクリレートにはフルオロアルキルメタリレートも含まれ、またフッ素を含まないアクリレートとはフッ素を含まないアルキル(メタ)アクリレートの総称を指す。
フッ化アクリル系共重合体がフルオロアルキル基を含有し、そのフッ素原子数が3以上であることにより離型性能が発現する。また、フルオロアルキル基のフッ素原子数が7以下であれば水への分散性が向上するためエマルジョン化しやすい。かかるフルオロアルキル基のフッ素原子数は好ましくは3〜5である。
また、式(I)中、Rは炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基などの飽和鎖式炭化水素基、シクロペンチレン基などの飽和脂環式炭化水素基が例示され、特にエチレン基が好ましい。
一般式(I)で表わされるフルオロアルキルアクリレートの具体例として、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、トリフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートをモノマー成分とする共重合成分があげられる。かかる成分は水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶なものも好ましく、特に好ましくはモノマー成分がトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロブチル(メタ)アクリレートであることにより、ポリエステルフィルムとの接着性、ハードコート層との離型性、加工性が向上する。
フッ化アクリル系共重合体のうち、フッ素を含まないアクリレートとして、アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルアクリレートまたはアルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルメタクリレートの少なくとも1種が例示される。
アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルアクリレートとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどを挙げることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が4〜12のアルキルアクリレートが好ましく、特にアクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。これらのモノマー成分は、単独または2種以上を混合して使用してもよい。
また前記アルキル基の炭素数が1〜18であるアルキルメタクリレートとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどを挙げることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜6のアルキルメタクリレートが好ましく、特にメタクリル酸メチルが好ましい。
一般式(I)で表わされるフルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体は、全繰り返し単位を基準として、かかるフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上90モル%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10モル%以上70モル%以下、特に好ましくは20モル%以上50モル%以下である。フルオロアルキルアクリレート成分が下限値に満たないと十分な離型性能が発現しないことがある。一方、フルオロアルキルアクリレート成分が上限値を超える場合は造膜性に乏しくなることがある。
本発明のフッ化アクリル系共重合体は、乳化重合により製造することができる。重合開始剤として公知のレドックス系開始剤を用いることができ、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、t−ブチルハイドロパーオキシドなどを挙げることができる。
乳化重合反応は、用いられるモノマーおよびラジカル重合開始剤の種類、その他の条件に応じた温度および反応時間で行うことができる。重合条件として、例えば重合反応温度50〜90℃、および重合反応時間3〜24時間の条件下で行うことができる。乳化重合は、例えば窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うこともできる。
これらのフッ化アクリル系共重合体はエマルジョンの形態であってもよい。あるいは粉末形態であってもよい。フッ化アクリル系共重合体を粉末形態にする方法としては、例えば上記方法などにより調製されたフッ化アクリル系共重合体を乾燥させる方法などが挙げられる。一方、塗布層を簡便かつ大面積に作製できる点からエマルジョン形態が好ましい。
フッ化アクリル系共重合体の重量平均分子量は、好ましくは500〜120,000の範囲であり、より好ましくは2,000〜40,000の範囲である。重量平均分子量がかかる範囲のフッ化アクリル系共重合体を用いることにより、優れた造膜性、耐久性、防汚性、耐薬品性及び基材への密着性を得ることができる。
本発明のフッ化アクリル系共重合体は、塗液中で球状の分散相を形成していることが好ましく、かかる分散相の平均粒径は好ましくは0.02〜1.0μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、最も好ましくは0.03〜0.2μmである。かかる範囲であれば剥離性、加工性、造膜性、耐久性、防汚性および基材への密着性を得ることができる。
(フッ素系ポリマー(A)のガラス転移温度)
本発明のフッ素系ポリマー(A)は、ガラス転移温度が−40℃以上20℃以下である。該フッ素系ポリマー(A)のガラス転移温度は、より好ましくは−30℃以上10℃以下、さらに好ましくは−30℃以上0℃以下、特に好ましくは−30℃以上−10℃以下である。フッ素系ポリマー(A)のガラス転移温度が下限値に満たないと室温での凝集力が低く、ハードコート加工後の該ハードコート層の剥離時に粘着離型層成分が転写(糊残りと称することもある)するといった問題が生じる。ガラス転移温度が上限値より高いフッ素系ポリマーを用いた場合、室温での粘着力が低く、ハードコート層との剥離力が下限値に満たない程度に低くなるため、スリット加工時の箔こぼれや箔屑を十分に抑制することが困難である。また固めの塗布層となって成形追従性に劣る。フッ素系ポリマーのガラス転移温度はかかる範囲内でより低い方が好ましい。フッ素系ポリマーのガラス転移温度の調整は、例えばフッ化アクリル系共重合体(ii)の場合、アクリルモノマー種の選択や配合量を制御して行うことができる。
(フッ素系ポリマー(A)の含有量)
フッ素系ポリマー(A)の含有量は粘着離型層の重量を基準としては50重量%以上90重量%以下であることが好ましい。またフッ素系ポリマー(A)の添加量の上限値は85重量%であることがより好ましく、80重量%であることがさらに好ましい。またフッ素系ポリマー(A)の添加量の下限値は55重量%であることがより好ましく、60重量%であることがさらに好ましく、65重量%であることが特に好ましい。フッ素系ポリマー(A)の含有量が下限値に満たないとポリエステルフィルムとの接着性、粘着離型性能が十分に発現しないことがある。一方、フッ素系ポリマー(A)の含有量が上限値を超えると他成分であるウレタン系ポリマーや架橋剤の含有量が少なくなり、離型性能や成形性が十分でないことがある。
(ウレタン系ポリマー(B))
本発明の粘着離型層は、構成成分の1つとして(B)ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーを含有する。かかるウレタン系ポリマーを含有することにより、粘着離型層としての塗膜凝集力を高めることができ、本発明の剥離力を得ることができる。また、粘着力のみならず、ハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性を高めることができる。
またウレタン系ポリマーのガラス転移温度は、好ましくは−50℃以上0℃以下である。ウレタン系ポリマーのガラス転移温度がかかる範囲にあることにより、本発明で規定する剥離力特性および粘着離型層の表面硬度特性を得ることができる。
ウレタン系ポリマーは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物であり、フィルムの製膜工程内で塗布することにより粘着離型層を形成するために、水分散性または水溶性のウレタン系ポリマーが好ましい。
ウレタン系ポリマーに水分散性または水溶性を付与させるために、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基などの親水性基をウレタン樹脂に導入することが好ましい。これら親水性基のなかでも、塗膜物性および密着性の点からカルボン酸基またはスルホン酸基が好ましい。
本発明のウレタン系ポリマーは、例えば水酸基成分とイソシアネート成分との反応により得られる。原料として用いられる水酸基成分としては、ポリオールが好適に用いられ、例えばポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸またはそれらの酸無水物と多価アルコールの反応から得られるものが挙げられる。
かかる多価カルボン酸として、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
また多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオールが例示される。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、多価アルコール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
アクリルポリオール類としては、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルが挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルを含むものが挙げられる。
また、原料として用いられるイソシアネート成分としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族化合物、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族化合物、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートのような脂環式化合物などであり、具体的には耐溶剤性、高外観性を考慮すると脂肪族化合物が好ましく、それらの変性体も含まれる。
本発明で用いるウレタン系ポリマーは、優れた成形性、他の成分との分散安定性の観点から、粘着離型層の重量を基準として5重量%以上40重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは10重量%以上30重量%以下である。ウレタン系ポリマーの含有量がこの範囲外であると、優れた離型性、加工性、成形性が得られないことがある。
(架橋剤(C))
また、本発明の粘着離型層は、該層の凝集力を向上させるために架橋剤を添加する必要がある。架橋剤を添加しない場合は、粘着離型層の凝集力が十分でなく、本発明のフッ素系ポリマー(A)を含有していても凝集破壊が先に生じてしまい、フッ素系ポリマー(A)による離型性能が十分に発現しない。
架橋剤としては、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物、イソシアネート化合物を例示することができ、その他一般的にカップリング剤と称される化合物を用いることもできる。取扱い易さや塗液のポットライフが長いことからエポキシ化合物、オキサゾリン化合物を用いることが好ましく、カップリング剤を用いることも好ましい。
エポキシ化合物として、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物などが挙げられ、さらに詳しくはそれらのグリシジルエーテル化合物、グリシジルアミン化合物が例示される。
オキサゾリン化合物として、オキサゾリン基を含有する重合体が好ましい。具体的には付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーについては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限されない。
メラミン化合物は、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を反応させてエーテル化した化合物及びそれらの混合物が好ましい。メチロールメラミン誘導体としては、例えば、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等が挙げられる。
イソシアネート化合物は、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ポリオール変性ジフェニルメタン−4、4´−ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3´−ビトリレン−4,4´ジイソシアネート、3,3´ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
架橋剤の含有量は粘着離型層の重量を基準としては5重量%以上30重量%以下であることが好ましい。また架橋剤の添加量の上限値は25重量%であることがさらに好ましく、20重量%であることが特に好ましい。架橋剤の含有量が下限値に満たないと粘着離型層の凝集力が低くなり、離型性能が十分に発現しないことがある。一方、架橋剤の含有量が上限値を超えると粘着離型層の造膜性が悪くなり塗布外観が悪化することがある。
(界面活性剤)
本発明の粘着離型層を構成するフッ化アクリル系共重合体は、塗工時の取扱い易さ、作業環境の面から、水分散液あるいは乳化液の形態で使用するのが好ましい。良好な水分散、乳化液の形態を得るには、界面活性剤の使用が好ましく、塗液の他の成分との分散安定性のため、ノニオン系界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤を用いる場合、その含有量は粘着離型層の重量を基準として15重量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは1重量%以上15重量%以下、さらに好ましくは5重量%以上12重量%以下の範囲である。
[剥離力]
本発明の粘着離型層が前記フッ素系ポリマー(A)およびウレタン系ポリマー(B)を含有し、かつ架橋剤も含有することにより、本発明のフィルムの粘着離型層に対するハードコート層の剥離力は0.2N/mm以上0.4N/mm以下の範囲の剥離力を有する。該剥離力は、好ましくは0.25N/mm以上0.35N/mm以下、さらに好ましくは0.30N/mm以上0.35N/mmである。ここで、本発明における剥離力は、粘着離型層上にDICグラフィックス株式会社製のハードコート剤(製品名「5LC114H」)100重量部および該ハードコート剤用硬化剤を3重量部含むハードコート組成物を塗布し、150℃、1分で熱風乾燥して熱による不完全硬化させた後の剥離力を測定した値で表わされる。
インモールド転写用に使用されるフィルムの粘着離型層が、ハードコート層との剥離力について上述の剥離力を満足する場合に、インモールド転写箔を作成する際にはハードコート塗工剤を粘着離型層上に塗布抜けを生じることなく塗工でき、またハードコート層との粘着性に優れるため、インモールド転写箔を成形品の大きさに合せてスリット加工する際に不要なハードコート層部分が剥離するという箔こぼれ現象も抑制でき、しかもインモールド転写後の転写箔の剥離性にも優れるという、極めて良好な加工適正を奏する。
かかる剥離力が下限値に満たない場合は、粘着性に乏しいためスリット加工時の箔こぼれが生じる。また剥離力が下限値に満たないような塗布層組成では、結果的にハードコート塗工剤を粘着離型層上に塗工した際の塗布抜けが生じやすい。一方、かかる剥離力が上限値を超える場合、離型性に乏しく、インモールド転写後の転写箔の除去が困難となる。
[表面硬度]
本発明における粘着離型層の表面硬度は、微小硬度計を用いた表面硬度として0.5GPa以上4.5GPa以下である。また、かかる表面硬度は0.5GPa以上3.0GPa以下であることが好ましく、0.7GPa以上2.5GPa以下であることがさらに好ましい。微小硬度計による粘着離型層の表面硬度が下限値に満たないと、塗布層を変形させた時に外部応力に耐えられず、塑性変形が生じたり破壊され、十分な成形追従性が得られない。粘着離型層の表面硬度はより大きい方が成形追従性に優れるものの、上限値を超える表面硬度を得るためには、過剰のウレタン系ポリマーを配合することになる結果、粘着力が高くなりすぎて本発明の剥離力が得られなくなる。
粘着離型層の表面硬度をかかる範囲内にするためには、粘着離型層として特定のガラス転移温度のフッ素系ポリマー(A)、特定のガラス転移温度のウレタン系ポリマー(B)および(C)架橋剤を所定量ずつ用いることによって達成される。
[表面自由エネルギー]
本発明の粘着離型層の表面自由エネルギーは20mN/m以上50mN/m以下であることが好ましい。また粘着離型層の表面自由エネルギーは、下限値が25mN/mであることがさらに好ましく、さらに好ましくは30mN/mであり、上限値は45mN/mであることがさらに好ましい。
粘着離型層の表面自由エネルギーが上限値より大きくなると、ハードコート剤の塗工性は良くなるが粘着力が高くなりすぎ、ハードコート層の離型性に劣ることがある。また粘着離型層の表面自由エネルギーが下限値に満たないと塗工性が低下することがあり、また離型性が良すぎて本発明で必要な剥離力が得られないことがある。
本発明におけるかかる表面自由エネルギーは、下記式(1)で表わされるFowkesの拡張式で定義される表面自由エネルギーγ(以下、表面張力と称することがある)で表わされる。
γ=γ +γ +γ ・・・(1)
(上式中、γ は分散成分、γ は極性成分、γ は水素結合成分をそれぞれ表わす)
Fowkesの拡張式は、London力に由来する分散成分γ 、Debye力(永久双極子モーメント、電荷移動)に由来する極性成分γ 、水素結合力に由来する水素結合成分γ に着目している点で、表面を形成する組成と表面自由エネルギーとの相関性が高く、さらには剥離力との相関性が高い。従来、離型層の離型力についてはFowkesの式による表面張力で検討されることが多かったが、Fowkesの式は相互作用として分散力しか考慮していなかった。本発明は、かかるFowkesの式では表面を形成する組成と剥離力との相関性が低いことを見出し、従来のFowkesの式による表面張力に代わり、北崎、畑らが考案した(日本接着協会紙8(3)、131〜141(1972))拡張Fowkes式により求めた表面自由エネルギーを用いており、本発明のフッ素系ポリマーおよびウレタン系ポリマーを粘着離型層に含有させることにより、かかる表面自由エネルギーを得ることができる。
表面自由エネルギーγを構成する分散力成分γ は0mN/mを超え30mN/m以下の範囲であることが好ましい。また、極性成分または双極子成分γ は0mN/mを超え20mN/m未満、水素結合成分γ は0mN/mを超え2mN/m以下であることが好ましい。
[帯電防止離型層]
本発明の粘着離型ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの粘着離型層とは反対側の面にさらに帯電防止離型層を設けることが好ましい。かかる帯電防止離型層は塗布により設けられた帯電防止離型性の塗布層であることが好ましく、また帯電防止剤、離型剤を含有することが好ましい。帯電防止離型層は、インモールド用転写材用フィルムにおいて一般に設けられる層であり、帯電による転写箔同士の貼付きなどを抑えるために帯電性のみならず離型性も付与されることが多いが、かかる層上にハードコート層を設けることはなく、帯電防止性以外に求められる機能も通常はフィルム同士の貼り付き防止に必要な離型力だけであって、粘着力は求められておらず、本発明の粘着離型層とは異なる機能層である。
かかる層を有することにより、インモールド用転写箔を取り扱う際に帯電による転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃付着の発生を抑えることができる。
[塗工方式]
本発明において、粘着離型層はポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられ、一方の面に設けられることが好ましい。該粘着離型層をポリエステルフィルム上に設ける方法として、ポリエステルフィルムの製膜工程内(インラインと称することがある)で塗布することにより形成されることが好ましい。
従来はポリエステルフィルム上に易接着層を形成し、かかるフィルムをいったんロール状にした後、別工程でハードコート層の下地となる離型層をかかる易接着層上に設ける方法が用いられていたのに対し、本方法の特徴は、ポリエステルフィルムの製膜工程内で、本発明の剥離力を備える粘着離型層をポリエステルフィルム上に直接塗設することができ、工程を簡略化できることにある。また、通常の二軸延伸法によるポリエステルフィルム製造工程における縦延伸後に塗布すれば、横延伸工程中に乾燥、熱処理が行われるため好ましい。
塗布によりポリエステルフィルム上に粘着離型層を積層する方法は特に限定されず、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布方法を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含漬コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレーコーター、カーテンコーター、カレンダーコーター、押出コーター、バーコーター等のような方法が挙げられる。
塗布液の塗布量は、通常4〜30g/m、好ましくは5〜20g/m、さらに好ましくは6〜10g/mである。また得られた粘着離型層の厚みは、乾燥後の厚みとして好ましくは0.01〜0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.08μmである。粘着離型層の厚みが下限値に満たない場合は離型性が不十分となることがあり、また上限値を超えるとインモールド用転写箔ポリエステルフィルムが帯電防止離型層をさらに有する場合に帯電防止離型層とのブロッキングを起こし易くなることがある。
本発明において、帯電防止離型層をさらに有する場合、帯電防止層はポリエステルフィルムの粘着離型層と反対側の面に設けられることが好ましい。また、帯電防止層は塗布により設けられることが好ましい。塗布方法は、粘着離型層と同様の方法を用いることができる。
帯電防止層の厚みは、乾燥後の厚みとして好ましくは0.01〜0.2μm、さらに好ましくは0.01〜0.08μmである。帯電防止層の厚みが下限値に満たない場合は帯電防止性が不十分となることがあり、また上限値を超えるとインモールド用転写箔とのブロッキングを起こし易くなることがある。
[インモールド転写箔用フィルム]
本発明の粘着離型ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面にガラス転移温度の低いフッ素系ポリマー(A)とウレタン系ポリマー(B)、および(C)架橋剤を含有してなる塗布層を粘着離型層として有することにより、インモールド転写材用フィルムとして用いた場合に、インモールド用転写箔作製工程から成形転写に至る間で優れた粘着離型性および加工性を有しており、ハードコート剤の塗布や該ハードコートの剥離、さらにスリット加工の際の箔こぼれ、屑、箔塵の発生、および発生した屑・箔塵の製品表面付着を抑制することができ、生産性を格段に向上させることができる。また、粘着離型層上にさらに積層される、ハードコート層、印刷層、接着層などの層で構成される転写層との成形追従性に優れており、インモールド成形に適した転写材用フィルムとして好適に使用され、特に変形量の大きな成形品の加工が可能になる。
また従来は、フィルム製造工程でポリエステルフィルム上に易接着層を積層した後、さらに別工程で該易接着層上に有機溶剤組成の離型剤を塗布した離型層を積層する工程であったところ、本発明の粘着離型層は工程の簡略化、環境低付加、低コスト化の効果をも奏するものである。
本発明のインモールド転写材用フィルムは、粘着離型層と反対面にさらに帯電防止成分を含有してなる離型性の塗布層を有することにより、インモールド転写材用フィルムとして用いた場合に、インモールド用転写箔作成過程から成形転写に至る間で優れた帯電防止性及び離型性をも有しており、帯電やブロッキングによる転写箔同士の貼付きや転写箔表面へのゴミや埃などの付着を抑制することができ、生産性を格段に向上させることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、各種物性は下記の方法により評価した。またwt%は重量%を、部は重量部をそれぞれ表わす。
(1)ガラス転移温度測定
示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製DSC SSC5200)を使用して、粘着離型層用の塗布液の乾固物をサンプルとして用い、サンプル量5mgを測定用のアルミニウム製パンに封入し、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温条件で25℃から300℃まで昇温させてDSC測定を行い、ガラス転移温度を測定した。
また、フッ素系ポリマー、ウレタン系ポリマーのどちらに起因するガラス転移温度か判別がつかない場合は、それぞれの材料について、上記の方法によりDSC測定を行い、ガラス転移温度を測定した。
(2)塗布層厚み
包埋樹脂でフィルムを固定して断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
(3)粘着離型層に対するハードコート層剥離力の測定
ポリエステルフィルムの粘着離型層の表面に、以下に示した熱硬化性のハードコート剤を含むハードコート剤塗布液を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、150℃、1分間、熱風オーブンで乾燥し、ハードコート層を作製した。
作製したハードコート層の表面に幅18mmの粘着テープ(ニチバン社製、商品名「No.405−1P」)を貼り合わせた後、金属ローラー(線圧2kg/cm)で圧着した。室温にて30分放置した後、粘着テープをハードコート層と共に剥離し、その時の剥離力を測定した。測定は引張試験機を使用し、引張速度300mm/minの条件下、90°剥離の条件で行った。n=5で評価を行い、その平均値を求めてハードコート層剥離力とした。
(ハードコート剤塗布液)
ハードコート剤としてDICグラフィックス株式会社製のハードコート剤(製品名「5LC114H」)100重量部および該ハードコート剤用硬化剤を3重量部調製し、溶媒としてMEK(メチルエチルケトン)を用いて不揮発成分が30%のハードコート剤塗布液を調製した。
(4)接触角および表面自由エネルギー
23℃、65%RHの条件下で、24時間調湿したフィルムサンプルの粘着離型層表面について、自動接触角測定装置(協和界面化学(株)社製)を使用して、水、ヨウ化メチレン、n−ヘキサデカンとの静的接触角を測定した。各液体試料についてそれぞれ5回ずつ測定を行い、その平均値をフィルムサンプルの接触角とし、各液体試料の表面張力および表面張力成分値(表1)を用いて、下記式(1)のFowkesの拡張式より粘着離型層表面の表面自由エネルギーを算出した。
γ=γ +γ +γ h ・・・(1)
(上式中、γ は分散成分、γ は極性成分、γ は水素結合成分をそれぞれ表わす)
Figure 2012011658
(5)ハードコート剥離時の箔こぼれ性
粘着離型層のハードコート層剥離力測定試験において、ハードコート層を粘着テープで剥離した際に粘着テープに引きつられて、余計に剥離されたハードコート層の箔こぼれ発生有無を観察し、評価を行った。
○ : 粘着テープ幅と同じ幅でハードコート層が剥離
△ : 部分的に粘着テープ幅より広くハードコート層が剥離
× : 全体的にテープ幅より広くハードコート層が剥離
(6)微小硬度計による粘着離型層の表面硬度
静置された平滑な塗布液の乾固物に対し、微小硬度計(エリオニクス社製,型番ENT−1100A)を用い、正三角錐圧子(ダイヤモンド製)を、1μN/秒毎のステップ状に押し込み荷重を加え、押し込み深さ4μm到達後、同様にステップ状に荷重を徐荷していく。測定は25℃の恒温条件下で行い、測定装置とサンプルの温度を十分に安定させた後に、最大荷重100μN、最大荷重保持時間30秒の条件で荷重/変位曲線の測定を行い、5回の連続測定の平均値をもって測定値とした。
この荷重/変移曲線の線図から、下記式(2)、(3)、(4)を用いて表面硬度を求めた。
H=P/Aq ・・・(2)
(上式中、Hは表面硬度(単位:GPa)、Pは荷重(単位:μN)、Aqは押し込み後に弾性変形分が回復し残存する圧痕の投影面積(単位:μm)をそれぞれ表わす)
Aq=kh ・・・(3)
(上式中、Aqは押し込み後に弾性変形分が回復し残存する圧痕の投影面積(単位:μm)、kは圧子の幾何学形状から求まる定数で24.56、hは有効接触深さ(単位:μm)をそれぞれ表わす)
h=h―εP/(dP/dh) ・・・(4)
(上式中、hは有効接触深さ(単位:μm)、hは全変位量(単位:μm)、εは圧子の幾何学形状から決まる定数で0.75、Pは荷重(単位:μN)、(dP/dh)は荷重−押し込み深さ線図における除荷重の初期勾配(単位:N・m−1)をそれぞれ表わす)
(7)インモールド加工性
インモールド加工性は成形装置として引張試験機(東洋ボールドウィン社製、商品名「テンシロン」)を用い、試験片およびチャック部を加熱チャンバーで覆ってフィルムを変形させた。フィルムサンプルを試料片の幅(短辺)10mm×長さ(長辺)150mmに切り出し、長辺が測定方向となるようチャック間隔を50mmに設定してチャックで固定した。その際、引張試験機のチャック部分に設置されている加熱チャンバーにより、サンプルの存在する雰囲気下は100℃に保った。50mm/分の速度で引張り、試験機に装着されたロードセルで荷重を測定した。荷伸曲線の100%で引張りを停止した。そのサンプルの粘着離型層中央部表面を微分干渉顕微鏡(オリンパス社製,OPTIPHOT)で観察し,評価を行った。
○:粘着離型層表面にクラックは生じていない
△:部分的にクラックが生じている
×:全面的にクラックが生じている
(8)粘着離型層のヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して、下記式(2)より粘着離型層のヘーズを測定した。式中、フィルムヘーズとは、ポリエステルフィルム上に粘着離型層が形成されたフィルム全体のヘーズ値であり、粘着離型層未塗工フィルムヘーズとは、粘着離型層を塗工していない状態でのフィルムヘーズを指す。
帯電防止離型層のヘーズ=フィルムヘーズ−粘着離型層未塗工フィルムヘーズ (2)
A+:0.1%未満
A:0.1%以上0.4%未満
B:0.4%以上0.8%未満
C:0.8%以上
この評価で、Aまでが実用性能を満足する。
[実施例1]
平均粒子径が2μmの酸化ケイ素の粒子を0.01wt%を含む溶融ポリエチレンテレフタレート([η]=0.64dl/g、Tg=78℃)をダイより押出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍に延伸した後、表2に示す塗布層構成成分からなる粘着離型層用塗布液(2wt%塗布液)をフィルムの表面に6g/m(乾燥後の塗布層厚み0.04μm)、帯電防止層用塗布液(1.6wt%塗布液)をフィルムの裏面に8g/m(乾燥後の塗布層厚み0.04μm)になるよう、それぞれロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを引き続いて105℃で乾燥し、140℃で横方向に3.5倍に延伸し、更に220℃で熱固定して、表1に示す塗膜を有する50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
[実施例2〜4、比較例1〜6]
塗布液の組成を表2に示されるとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、粘着離型ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの表面特性は表2に示すとおりである。
Figure 2012011658
(粘着離型層組成)
・フッ素系ポリマーA(トリフルオロブチルアクリレート−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体;ガラス転移温度 −20℃):
トリフルオロブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩で構成されている。
すなわち、四つ口フラスコにイオン交換水1050部、および乳化剤としてアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩22.6部を仕込んで窒素気流中で80℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム6.4部添加し、更にモノマーであるトリフルオロブチルアクリレート110.0部、2−エチルヘキシルアクリレート6.9部を3時間にわたり液温が70〜80℃になるよう調製しながら滴下し、滴下終了後も同温度を5時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却し、真空乾燥機で乾燥させて平均粒径0.06μmの不揮発成分重量35%のフッ化アクリル系共重合体の水分散体を得た。このフッ化アクリル系共重合体は、モノマー成分がトリフルオロブチルアクリレートである共重合成分が共重合体の全繰り返し単位を基準として30モル%であり、またモノマー成分が2−エチルヘキシルアクリレートである共重合成分が共重合体の全繰り返し単位を基準として70モル%であった。
・フッ素系ポリマーB:
フッ化アクリルエマルジョン(日本ペイント株式会社製、商品名「FS−701E」、ガラス転移温度80℃)
・ウレタン系ポリマーA:
ウレタンエマルジョン(DIC株式会社製、商品名「WLS−201」、ポリエーテル系ジオール、ガラス転移温度−50℃)
・ウレタン系ポリマーB:
ウレタンエマルジョン(DIC株式会社製、商品名「HW−140SF」、ポリエステル系ジオール、ガラス転移温度−8℃)
・ウレタン系ポリマーC:
ウレタンエマルジョン(DIC株式会社製、商品名「HW−163」、ポリエステル系ジオール、ガラス転移温度55℃)
・架橋剤: オキサゾリン系化合物(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスWS−700」)
・界面活性剤: ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製、商品名「ナロアクティーN−70」)
(帯電防止層組成)
・シリコーン成分: エポキシ基含有シリコーン(GE東芝シリコーン株式会社製 商品名TSF4730)
・カチオンポリマー:
下記式(II)に示す構造が80モル%/メチルアクリレート15モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%からなる共重合体を用いた
Figure 2012011658
・架橋剤: オキサゾリン化合物(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスWS−700」)
・界面活性剤: ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名「ナロアクティーN−70」)
本発明のポリエステルフィルムは、優れたハードコート加工性および剥離性を有し、しかも適切な幅で切断(スリット)した際、箔こぼれ現象が抑制されることから、従来の転写箔のように離型層を被転写物に適した塗工パターンで形成する必要がなく、転写箔全面に離型層を塗工することができることから、インモールド転写材用フィルムとして好適に使用することができる。またハードコート層を含むその上に積層される印刷層、接着層などの転写層との成形追従性に優れることから、変形量の大きな成形品の加工が可能になるなど、インモールド転写箔用ポリエステルフィルムとして、その工業的価値は極めて大きい。

Claims (8)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着離型層を有し、該粘着離型層が(A)ガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマー、(B)ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーおよび(C)架橋剤を含有し、該粘着離型層に対するハードコート層の剥離力が0.2N/mm以上0.4N/mm以下であって、微小硬度計による該粘着離型層の表面硬度が0.5GPa以上4.5GPa以下であることを特徴とするインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  2. 粘着離型層の重量を基準として(B)ウレタン系ポリマーの含有量が5重量%以上40重量%以下である請求項1に記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  3. 該フッ素系ポリマー(A)がフルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体である請求項1または2に記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  4. フルオロアルキルアクリレートとフッ素を含まないアクリレートとを構成成分とする共重合体の全繰り返し単位を基準としてかかるフルオロアルキルアクリレート成分が5モル%以上90モル%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  5. 粘着離型層の表面自由エネルギーが20mN/m以上50mN/m以下である請求項1〜4のいずれかに記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  6. 前記粘着離型層がポリエステルフィルムの少なくとも片面に直接設けられている請求項1〜5のいずれかに記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  7. 粘着離型層がポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布することにより形成される請求項1〜6のいずれかに記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
  8. ポリエステルフィルムの粘着離型層と反対側の面にさらに帯電防止離型層を有する請求項1〜7のいずれかに記載のインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルム。
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