JP2024045466A - 積層体 - Google Patents

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Figure 2024045466000001
【課題】艶消し性含む複数の機能を発現できる積層体を提供する。
【解決手段】基材層1と、前記基材層1の一方の面上に設けられた、相分離による凹凸を有する凹凸層2とを有し、さらに、前記基材層1と前記凹凸層2との間に設けられたプライマー層3、前記凹凸層2の前記基材層1側とは反対側の面上に設けられた表面機能層4、及び前記基材層1の前記凹凸層2側とは反対側の面上に設けられた裏面機能層5からなる群から選ばれる1つ以上の層を有し、前記表面機能層4又は前記プライマー層3として帯電防止層を有し、前記基材層1に対して前記凹凸層2が存在する側の最表面における表面抵抗値が2×1010Ω以下である、積層体10。
【選択図】図5

Description

本発明は、積層体に関する。
基材の表面に微細な凹凸を発現させて、艶消し性を付与する方法が知られている。
例えば特許文献1~4には、溶解性が異なる2つの化合物を含む塗膜が乾燥する過程で相分離を生じることを利用して、表面に凹凸を有する硬化膜を得る方法が記載されている。
特許第4739720号公報 特許第4901914号公報 特開2011-2820号公報 特開2018-72588号公報
特許文献1~4に記載の方法によれば、基材上に、相分離による凹凸を有する樹脂硬化物からなる凹凸層が存在する積層体が得られるが、各種用途において要求される機能に対応するには、凹凸層だけでは不十分な場合がある。
本発明は、艶消し性含む複数の機能を発現できる積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]基材層と、前記基材層の一方の面上に設けられた、相分離による凹凸を有する凹凸層とを有し、さらに、前記基材層と前記凹凸層との間に設けられたプライマー層、前記凹凸層の前記基材層側とは反対側の面上に設けられた表面機能層、及び前記基材層の前記凹凸層側とは反対側の面上に設けられた裏面機能層からなる群から選ばれる1つ以上の層を有し、前記表面機能層又は前記プライマー層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における表面抵抗値が2×1010Ω以下であり、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面におけるヘイズが4~18%であり、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における60°鏡面光沢度が41~79である、積層体。
[2]前記表面機能層が、防汚層、帯電防止層、屈折率調整層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、又は色補正層であり、前記裏面機能層が、粘着層、帯電防止層、屈折率調整層、又はアンチブロッキング層である、[1]に記載の積層体。
[3]前記表面機能層の厚みが、0.001~3μmであり、前記裏面機能層の厚みが、0.001~30μmである、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記表面機能層又は前記プライマー層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における表面抵抗値が1×1013Ω以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記裏面機能層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側とは反対側の最表面における表面抵抗値が1×1013Ω以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記凹凸層が、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する化合物(X)と、前記極性基を含有しない化合物(Y)とを含む組成物の硬化物である、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記化合物(X)のSP値が15.1以上であり、前記化合物(Y)のSP値が15.0以下である、[6]に記載の積層体。
[8]前記凹凸層における前記化合物(X)と化合物(Y)の質量比を表す、(X):(Y)が10:90~80:20である、[6]又は[7]に記載の積層体。
[9]前記凹凸層の厚みが1~10μmである、[1]~[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]前記基材層の厚みが2~350μmである、[1]~[9]のいずれかに記載の積層体。
[11]前記基材層がポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルムから選ばれる基材である、[1]~[10]のいずれかに記載の積層体。
[12]前記プライマー層中に、樹脂を含有する、[1]~[11]のいずれかに記載の積層体。
[13]前記プライマー層中に、架橋剤由来の化合物を含有する、[1]~[12]のいずれかに記載の積層体。
[14]前記プライマー層中に、帯電防止剤を含有する、[1]~[13]のいずれかに記載の積層体。
[15]前記化合物(X)が、高分子化合物である、[6]~[14]のいずれかに記載の積層体。
[16]前記化合物(X)が、(メタ)アクリル系重合体、ポリビニルアルコール類、セルロース類から選ばれる少なくとも1種である、[6]~[15]のいずれかに記載の積層体。
[17]前記(メタ)アクリル系重合体が、エポキシ基とカルボン酸との反応により得られるものである、[16]に記載の積層体。
[18]前記化合物(X)中に、炭素-炭素不飽和結合を含有する、[6]~[17]のいずれかに記載の積層体。
[19]前記化合物(Y)が、(メタ)アクリル系重合体である、[6]~[18]のいずれかに記載の積層体。
[20]前記化合物(Y)が、(メタ)アクリレートである、[6]~[18]のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、艶消し性を有する積層体を提供することができる。
本発明の積層体の一例を示す模式断面図である。 本発明の積層体の他の例を示す模式断面図である。 本発明の積層体の他の例を示す模式断面図である。 本発明の積層体の他の例を示す模式断面図である。 本発明の積層体の他の例を示す模式断面図である。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
以下、図1~5を参照して、本発明の積層体を説明する。図1~5における寸法比は、説明の便宜上のものであり、実際とは異なったものである。
[積層体]
本発明の積層体(以下、「本積層体」とも記す。)は、基材層と、前記基材層の一方の面上に設けられた凹凸層と、を有する。本積層体はさらに、前記基材層と前記凹凸層との間に設けられたプライマー層、前記凹凸層の前記基材層側とは反対側の面上に設けられた表面機能層、及び前記基材層の前記凹凸層側とは反対側の面上に設けられた裏面機能層からなる群から選ばれる1つ以上の層を有する。
図1は、本積層体の一例を示す模式断面図である。
積層体10は、基材層1と、基材層1の一方の面1a上に設けられた凹凸層2と、基材層1と凹凸層2との間に設けられたプライマー層3と、を有する。
図2は、本積層体の他の例を示す模式断面図である。
積層体10は、基材層1と、基材層1の一方の面1a上に設けられた凹凸層2と、凹凸層2の基材層1側とは反対側の面上に設けられた表面機能層4と、を有する。
図3は、本積層体の他の例を示す模式断面図である。
積層体10は、基材層1と、基材層1の一方の面1a上に設けられた凹凸層2と、基材層1と凹凸層2との間に設けられたプライマー層3と、凹凸層2の基材層1側とは反対側の面上に設けられた表面機能層4と、を有する。
図4は、本積層体の他の例を示す模式断面図である。
積層体10は、基材層1と、基材層1の一方の面1a上に設けられた凹凸層2と、基材層1と凹凸層2との間に設けられたプライマー層3と、基材層1の凹凸層2側とは反対側の面1b上に設けられた裏面機能層5と、を有する。
図5は、本積層体の他の例を示す模式断面図である。
積層体10は、基材層1と、基材層1の一方の面1a上に設けられた凹凸層2と、基材層1と凹凸層2との間に設けられたプライマー層3と、凹凸層2の基材層1側とは反対側の面上に設けられた表面機能層4と、基材層1の凹凸層2側とは反対側の面1b上に設けられた裏面機能層5と、を有する。
凹凸層2は、相分離による凹凸を有する。詳細には、凹凸層2は、基材層1側とは反対側の面に凹部2Aと凸部2Bからなる凹凸2Cを有する。
「基材層」
基材層1は、基材フィルムからなる。
基材フィルムとしては、例えば、樹脂フィルム、金属フィルム、紙等従来公知のものを使用することができるが、加工性の観点から樹脂フィルムが好ましい。
基材フィルムの構成は、特に限定されるものではなく、単層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよい。基材フィルムを、2層以上の多層構成とし、それぞれの層に特徴を持たせ、多機能化を図ることが好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。
特に、ディスプレイ用途へ展開する場合には、ポリエステルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルムが好ましい。これらの中でもポリエステルフィルム、ポリ(メタ)アクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルムが好適に用いられる。さらに、透明性や成形性、汎用性を考慮すると、ポリエステルフィルムがより好適に用いられる。
ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。これらの中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性に優れる点で、二軸延伸フィルムであることが好ましい。
基材フィルムとして用いられ得るポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。
基材フィルムがホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸、脂肪族グリコールはそれぞれ1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸等の1種または2種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の1種または2種以上が挙げられる。
代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が例示される。
ポリエステルの極限粘度は、0.5~1.0dL/gが好ましく、0.55~0.75dL/gがより好ましい。極限粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
ポリエステルフィルムとしてより好ましい形態は、機械的強度や耐熱性を考慮すると、前記の中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートから形成されたフィルムがより好ましく、製造のしやすさ、表面保護フィルム等の用途としての取扱い性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレートから形成されたフィルムがより好ましい。
基材フィルムとして用いられ得るポリ(メタ)アクリレートフィルムを構成するポリ(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリレートに基づく単位を有するものであればよく、各種のアクリル樹脂を使用することができる。(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数が1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、より炭素数が多いアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも透明性、加工性、耐薬品性を考慮すると炭素数が1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を主成分とすることが好ましく、メチル(メタ)アクリレートに基づく単位及びエチル(メタ)アクリレートに基づく単位からなる群から選ばれる少なくとも1種を主成分とすることがより好ましく、メチル(メタ)アクリレートに基づく単位を主成分とすることが好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートに、アルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレートに基づく単位や、その他の単量体に基づく単位を含有させて柔軟性等の特性を付与することも可能である。
ポリ(メタ)アクリレートの総質量に対する炭素数が1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
基材フィルム中には、易滑性の付与、各工程での傷発生防止、耐ブロッキング特性の向上を目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、基材層がポリエステルフィルムを含む場合、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を析出させた析出粒子を用いることもできる。これらの中でも特に少量で効果が出やすいという点でシリカ粒子や炭酸カルシウム粒子が好ましい。
粒子の平均粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.01~5μm、さらに好ましくは0.01~3μmの範囲である。平均粒径が10μmを超える場合には、フィルムの透明性の低下が懸念される場合がある。
なお、粒子の平均粒径は、遠心沈降式粒度分布測定装置を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値をいう。
基材層が粒子を含む場合、基材フィルム中の粒子含有量は、粒子の平均粒径との兼ね合いもあるので一概にはいえないが、基材層中の粒子を含有する層の総質量に対し、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.0003~3質量%の範囲、さらに好ましくは0.0005~1質量%の範囲である。粒子含有量が5質量%を超える場合、粒子の脱落やフィルムの透明性の低下等が生じにくい。
使用する粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これらの粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
基材フィルム中には、上述の粒子以外に、必要に応じて従来公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
基材フィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは2~350μm、より好ましくは5~250μm、さらに好ましくは10~100μmの範囲である。
基材フィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではなく、通常知られている製膜法を採用できる。一般的には、樹脂を溶融し、シート化して、強度を上げる等の目的で延伸を行い、フィルムを作製する。
例えば、二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する場合、まずポリエステル原料を、押出機を用いてダイから溶融押し出しし、溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法や液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に、得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、好ましくは70~120℃、より好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は好ましくは2.5~7倍、より好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に、好ましくは70~170℃で、延伸倍率は好ましくは2.5~7倍、より好ましくは3.0~6倍で延伸する。
引き続き180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うことが好ましい。
また、フィルム製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。例えば、ポリエステルフィルムの場合の同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法である。延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。そして、引き続き、180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
「凹凸層」
相分離による凹凸層2は、相溶性の異なる材料からなる組成が、塗布、乾燥、硬化の過程で相分離を起こし、それにより表面に凹凸形状を成すものである。相分離を起こす材料として、従来公知の材料を使うことができる。特にフィルムへのコーティングによる方法で形成しやすいことから極性の異なる材料同士からなる組成が好ましい。例えば、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する化合物(X)と、それらの極性基を含有しない化合物(Y)の組み合わせが挙げられる。また、形成された凹凸形状を保持し各種の用途に用いるためには、ハードコート用の硬化性組成物であることが好ましい。
水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する化合物(X)の特徴としては、水素結合であり、それにより相分離による凹凸構造を形成することができる。これらの水素結合性基の中でも、相分離による凹凸構造を形成しやすいことから、水酸基、アミノ基、アミド基、グリシジル基が好ましく、特に水酸基、アミノ基、アミド基が材料を混合したときの安定性や、凹凸形成のしやすさの観点から好ましい。また化合物中には1種類ではなく、複数種の極性基を持たせることも可能であり、例えば、水酸基とアミド基の双方を含有する化合物は凹凸形成のしやすさから好ましい。
また、相分離による凹凸形成のしやすさを考慮すると、化合物(X)は低分子化合物より高分子化合物であることが好ましい。高分子化合物として、(メタ)アクリル系重合体、ポリビニルアルコール類、セルロース類がより多数の極性基を導入することができるため好ましく、特に様々な官能基を導入でき、性能をコントロールしやすいという観点において、(メタ)アクリル系重合体がより好ましい。
さらに相分離による凹凸層2の硬度を高めるために、上記の化合物(X)中に炭素-炭素不飽和結合を含有させることが好ましい。炭素-炭素不飽和結合の含有量によって、形成する相分離による凹凸層2の硬度を調節することができる。なお、炭素-炭素不飽和結合とは、炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合を意味し、炭素-炭素二重結合であることが好ましく、また、炭素-炭素二重結合が(メタ)アクリロイル基であることがより好ましく、特に炭素-炭素不飽和結合の反応性を考慮するとアクリロイル基であることがさらに好ましい。
(メタ)アクリル系重合体において、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する化合物(X)は、それらの極性基を含有する(メタ)アクリレート系モノマーと他の(メタ)アクリレート系モノマーとの共重合により作成することもできるし、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートと他の(メタ)アクリレート系モノマーとを共重合させて得られた重合体のエポキシ基部分に酸や塩基等を反応させて水酸基を生成させることもできる。特にグリシジル(メタ)アクリレートを使用する方法は水酸基の量をコントロールしやすいため有用である。
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、特に反応性の良好性、材料の使用のしやすさを考慮するとグリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルアクリレートが特に好ましい。
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートを使用して水酸基を導入する場合において、(メタ)アクリレート重合体中に占めるエポキシ基を含有する(メタ)アクリレートの割合としては、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは80質量%以上の範囲であり、上限としては100質量%である。当該範囲で使用することで、重合体の極性のコントロールがしやすくなり、相分離による凹凸構造が形成しやすくなる。
水酸基形成のためにエポキシ基を含有する(メタ)アクリレート重合体に使用する化合物としては、酸や塩基があるが、(メタ)アクリレート重合体の安定性を考慮すると酸が好ましく、その中でも特にカルボン酸であることが好ましい。カルボン酸の中でも、さらに(メタ)アクリル酸を使用することで、二重結合を導入することが可能であり、より好ましい形態となる。(メタ)アクリル酸の中でも、エポキシ基とカルボン酸の反応性や導入した二重結合の反応性を考慮するとアクリル酸が最適である。また、より多くの水酸基を導入するために乳酸等のヒドロキシカルボン酸を使用することも好ましい形態である。
さらに、2種類以上の構造を形成するために、2種類以上のカルボン酸をエポキシ基と反応させることも可能である。
反応させるエポキシ基は、通常1質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上の範囲であり、上限としては100質量%であっても良い。当該範囲で反応させることで、水酸基を生成させ、相分離による凹凸を形成しやすい形態となる。
化合物(X)にアミド基を含有させるための(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシルメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド 、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
導入のしやすさを考慮するとメタクリルアミドモノマーより、アクリルアミドモノマーの方が好ましい。また上記中でも重合体の安定性や極性の強さを考慮すると、特に(メタ)アクリロイルモルホリンが好ましく、アクリロイルモルホリンがさらに好ましい。また、これらの(メタ)アクリルアミド系モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、化合物(X)として(メタ)アクリル系重合体を使用する場合、上述した化合物群以外にも重合可能な各種の(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートモノマー;パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H-ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートモノマー;N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマー;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸誘導体以外の原料として、スチレン、p-クロロスチレン、p-メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ヒドロキノンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンポリビニルエーテル等のビニル基を有する炭化水素系モノマーが挙げられる。
なお、使用する原料は1種類に限られず、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系重合体を調製してもよく、2種類以上を併用して(メタ)アクリル系重合体を調製することが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体を製造するための重合条件は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。通常、(メタ)アクリル系重合体を得る反応はラジカル重合反応であり、有機溶媒中でラジカル重合開始剤の存在下、原料モノマーを所望の重合温度で重合させることにより、(メタ)アクリル系重合体を得ることができる。
例えば、有機溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2-エトキシエチルアセテート等のエステル系溶媒;トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤は、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシド等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種のみを用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合温度は、通常20~150℃、好ましくは50~100℃である。また、重合時間は、通常1~72時間、好ましくは3~36時間である。
また、上述したエポキシ基とカルボン酸化合物との反応条件は特に限定されず、公知の方法を適宜選択することができる。当該反応は、無触媒又は触媒存在下の何れでもよいが、触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類、テトラエチルアンムニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン類、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアイオダイド等のホスホニウム塩類が挙げられる。なお、触媒の使用量は、重合体の重量に対して、通常0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上であり、通常5.0質量%以下、好ましくは3.5質量%以下である。
この反応の反応温度は、通常20~200℃、好ましくは50~150℃である。また、反応時間は、通常1~72時間、好ましくは3~20時間である。
(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、硬化性組成物の用途に応じて適宜選択されるべきであるが、通常、5000以上であり、好ましくは7000以上であり、より好ましくは9000以上であり、通常100000以下であり、好ましくは70000以下であり、より好ましくは50000以下であり、更に好ましくは30000以下である。上記範囲内であると、塗布後の表面に相分離による凹凸を形成し易くなる。なお、(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。具体的な測定条件は後掲の実施例に示す。
化合物(X)の(メタ)アクリル系重合体は、形成される相分離による凹凸層2の耐傷付き性向上の点から、(メタ)アクリロイル当量((メタ)アクリロイル基の導入量)が1.0mmol/g以上であることが好ましく、2.0mmol/g以上であることがより好ましく、2.5mmol/g以上であることが特に好ましい。また、ゲル化防止の点から、(メタ)アクリロイル当量は10.0mmol/g以下であることが好ましく、8.0mmol/g以下であることがより好ましく、6.0mmol/g以下であることが特に好ましい。(メタ)アクリロイル当量は用いる原料に基づいて算出されるものとし、(メタ)アクリロイル当量が上記範囲となるようにエポキシ基と(メタ)アクリル酸等のカルボン酸の反応を選択することが好ましい。
水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基を含有しない化合物(Y)としては、従来公知の各種の化合物を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル系重合体や、各種の(メタ)アクリル系モノマーを使用することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル系重合体」とは、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸誘導体を含む原料から合成される重合体を意味し、この重合体を更に変性した重合体も含む意味で用いられる。(メタ)アクリル酸若しくは(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも1種の原料((メタ)アクリル系モノマー)を使用した重合体であれば、その他については特に限定されない(例えば、(メタ)アクリル系モノマー以外の、ビニル基を有する炭化水素系モノマー等の公知の重合性モノマーを使用した共重合体であってもよい。また、「(メタ)アクリル酸誘導体」とは、(メタ)アクリル酸の金属塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド等の(メタ)アクリル酸と類似した構造を有する化合物を意味するものとする。)。
(メタ)アクリル系重合体としては、上述した水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基を含有しない(メタ)アクリル系モノマーやそれらと重合反応するモノマーから形成されるものが挙げられる。
また、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基を含有しない(メタ)アクリル系モノマーとしては、従来公知の各種の材料を使用することができる。単官能化合物でも良いが、形成された凹凸層2の強度の観点から二官能以上の多官能(メタ)アクリレートであることが好ましく、特に三官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。また、極性が低い方が好ましいため、エチレンオキシド構造などエーテルなどの水素結合基が少ないもの、あるいはないものが好ましい。
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等のビスフェノール変性ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート、エポキシジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートは特に限定されるものではないが、例えばジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート等のイソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のウレタンアクリレート等が挙げられる。これらの中でも特にジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。
化合物(Y)の(メタ)アクリル系モノマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは60以上であり、より好ましくは100以上であり、さらに好ましくは200以上であり、一方、好ましくは8000以下であり、より好ましくは6000以下であり、さらに好ましくは4000以下であり、特に好ましくは2000以下である。上記範囲内であると、塗液としては均一に相溶していながら、乾燥やUV照射などの塗工プロセスの過程で相分離を発現するハンドリングの良い塗液を得ることができるために好ましい。
化合物(X)と化合物(Y)は相分離させるための化合物である。そのため、溶解性パラメーター(SP値、Solubility Parameter)の観点からすると両者は違いが大きいことが好ましい。
化合物(X)のSP値としては、好ましくは15.1以上、より好ましくは16.0~22.0、さらに好ましくは16.5~20.0、特に好ましくは17.0~19.5の範囲である。当該範囲で使用することで、相分離による凹凸構造の形成のしやすさと塗工性を両立させることが可能となる。
化合物(Y)のSP値としては、好ましくは15.0以下、より好ましくは10.0~14.5、さらに好ましくは11.0~14.0、特に好ましくは12.0~13.5の範囲である。当該範囲で使用することで、化合物(X)との相分離による凹凸構造を形成しやすくなる。
また、化合物(X)と化合物(Y)のSP値の差は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0~9.0、さらに好ましくは2.0~8.0、特に好ましくは3.0~7.0の範囲である。当該範囲の差であれば相分離による凹凸構造を形成しやすくなる。
化合物(X)の合計量と、化合物(Y)の合計量の質量比としては、好ましくは10:90~80:20、さらに好ましくは12:88~60:40、特に好ましくは15:85~50:50、最も好ましくは20:80~40:60の範囲である。当該範囲にすることで相分離による凹凸構造を形成しやすくなる。
凹凸層2の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは1~10μm、より好ましくは1.5~8μm、さらに好ましくは2.0~6μmの範囲である。
凹凸層の厚みは、電子顕微鏡による断面観察により測定される。
「プライマー層」
次に、基材フィルム(基材層1)上へ形成し得るプライマー層3の形成について説明する。
プライマー層3は、基材層1と凹凸層2との密着性を向上させる目的等のための層である。基材層1と凹凸層2との密着性が不十分であると、用途によっては積層体を使用できない場合がある。プライマー層3を有することで、基材層1と凹凸層2との密着性を向上させ、積層体を種々の用途に使用できるようにすることもできる。
プライマー層3に、他の機能が付与されていてもよい。他の機能としては、例えば帯電防止性能が挙げられる。プライマー層3が帯電防止性能を有する帯電防止層であれば、積層体の最表面、特に基材層1に対して凹凸層2が存在する側の最表面に対する、剥離帯電や摩擦帯電による塵埃等の付着を軽減できる。プライマー層3に帯電防止性能に付与するには、例えば、帯電防止剤をプライマー層3に含有させればよい。
当該プライマー層3は、従来公知の方法で形成することができる。その中でも特にプライマー層3の形成のしやすさを考慮するとコーティングにより形成することが好ましい。
コーティングによる方法としては、基材フィルム製造の工程内で行う、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造した基材フィルムに系外でコーティングする、オフラインコーティングより設けられてもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、具体的には、基材フィルムを形成する樹脂を溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。
通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。
かかる方法によれば、製膜とプライマー層3形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、プライマー層3の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
上述のインラインコーティングによる工程によれば、プライマー層3の形成有無でフィルム厚みが大きく変わることはなく、傷付きや異物付着のリスクもプライマー層3の形成有無で大きく変わることはないため、コーティングという工程を別途行うオフラインコーティングに比べ大きな利点である。
また、延伸前に基材フィルム上にコーティングによりプライマー層3を設けることにより、プライマー層3を基材フィルムと共に延伸することができるため、形成されたプライマー層3は基材フィルムに対して適度な密着性を有する。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造においては、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。
それゆえ、プライマー層3をコーティングにより設けた後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、プライマー層3の造膜性が向上し、強固なプライマー層3を形成することができる。特に架橋剤を反応させるには非常に有効である。
さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの場合には、インラインコーティングの方が、相分離による凹凸層との密着性や耐久性も向上することを見出した。これは、オフラインコーティングでは得られない高温で熱処理することが可能であり、その熱処理によりプライマー層3自体がより強固となり、相分離による凹凸層2の形成時などの熱や機械的な作用に強くなったためと考えられる。
プライマー層3を形成する材料としては、凹凸層2との密着性向上の観点から樹脂を含有することが好ましい。樹脂としては、従来公知の樹脂を使用することができる。樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル樹脂(ポリビニルアルコール、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等)等が挙げられ、その中でも密着性能やコーティング性を考慮すると、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。基材フィルムがポリエステルフィルムの場合には、プライマー層3と基材フィルムの密着性の観点から、ポリエステル樹脂がより好ましい。また基材フィルムがポリ(メタ)アクリレートフィルムの場合には、プライマー層はアクリル樹脂を含有することが好ましい。
ポリエステル樹脂としては、主な構成成分が多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸および、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、トリメリット酸モノカリウム塩およびそれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウム等が挙げられる。
これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル系モノマーを含む重合性モノマーの重合体である。
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体及び共重合体、(メタ)アクリル系モノマーと(メタ)アクリル系モノマー以外の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂は、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体であってもよい。このような共重合体は、例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。あるいは、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
上記重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特に代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸のような各種カルボキシル基含有モノマー類、およびそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキルフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネートのような各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミドまたは(メタ)アクリロニトリル等のような種々の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエンのような各種スチレン誘導体、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のような種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビリデンのような各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエンのような各種共役ジエン類が挙げられる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことであり、典型的には、ポリオールとポリイソシアネートの反応により合成される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリカーボネートポリオール類は、多価アルコール類とカーボネート化合物とから、脱アルコール反応によって得られる。多価アルコール類としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらの反応から得られるポリカーボネート系ポリオール類としては、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)またはそれらの酸無水物と多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジメタノールベンゼン、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)の反応から得られるもの、ポリカプロラクトン等のラクトン化合物の誘導体ユニットを有するもの等が挙げられる。
密着性能を考慮すると、上記ポリオール類の中でもポリエステルポリオール類およびポリカーボネートポリオール類がより好適に用いられ、特にポリエステルポリオール類が好適である。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらの化合物は単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はなく、一般的には、水酸基またはアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。また、アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソプロビリチンシクロヘキシル-4,4’-ジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。
ウレタン樹脂は、典型的には、分散液又は溶液の形態で使用される。分散液又は溶液の媒体としては、溶剤であってもよいが、水が好ましい。
ウレタン樹脂の水分散液又は水溶液としては、乳化剤を用いた強制乳化型、ウレタン樹脂の構造中に親水性基を導入した自己乳化型又は水溶型等がある。特に、ウレタン樹脂の構造中にイオン基を導入しアイオノマー化した自己乳化タイプが、液の貯蔵安定性や得られるプライマー層3の耐水性、透明性に優れており好ましい。
また、導入するイオン基としては、カルボキシル基、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、第4級アンモニウム塩等、種々のものが挙げられるが、カルボキシル基が好ましい。ウレタン樹脂にカルボキシル基を導入する方法としては、重合反応の各段階の中で種々の方法を取り得る。例えば、プレポリマー合成時に、カルボキシル基を持つ樹脂を共重合成分として用いる方法や、ポリオールやポリイソシアネート、鎖延長剤等の一成分としてカルボキシル基を持つ成分を用いる方法がある。特に、カルボキシル基含有ジオールを用いて、この成分の仕込み量によって所望の量のカルボキシル基を導入する方法が好ましい。
例えば、ウレタン樹脂の重合に用いるポリオールに対して、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)プロピオン酸、ビス-(2-ヒドロキシエチル)ブタン酸等を共重合させることができる。またこのカルボキシル基はアンモニア、アミン、アルカリ金属類、無機アルカリ類等で中和した塩の形にするのが好ましい。特に好ましいものは、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンである。
かかるウレタン樹脂は、塗布後の乾燥工程において中和剤が外れたカルボキシル基を、他の架橋剤による架橋反応点として用いることができる。これにより、コーティング前の液の状態での安定性に優れる上、得られるプライマー層3の耐久性、耐溶剤性、耐水性、耐ブロッキング性等をさらに改善することが可能となる。
また、プライマー層3の形成には、プライマー層3をより強固にして密着性などの性能を向上させるため、架橋剤を併用することが好ましい。架橋剤としては、従来公知の材料を使用することができ、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。それらの中でも、メラミン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物が好ましく、さらに、密着性および耐久性を向上させる観点からはメラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物やエポキシ化合物がより好ましく、特にオキサゾリン化合物やイソシアネート系化合物が好ましい。またこれらの架橋剤は1種類でもよいが、2種類以上を併用することでさらに密着性や耐久性が向上して良好となる場合もある。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。各種化合物との反応性を考慮すると、メラミン化合物中に水酸基を含有していることが好ましい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
イソシアネート系化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートとしては、上記イソシアネート系化合物のイソシアネート基がブロック剤でブロックされたものが挙げられる。ブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール、エチルフェノール等のフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール系化合物、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、イソブタノイル酢酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン系化合物、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム等のラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン、エチレンイミン等のアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物が挙げられる。これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
ブロックイソシアネートとしては、プライマー層が破壊されにくいという観点から、活性メチレン系化合物によりブロックされたイソシアネートが好ましい。
また、本発明におけるイソシアネート系化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作製できる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
オキサゾリン化合物1g当たりのオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは1~9mmol/g、さらに好ましくは3~8mmol/g、特に好ましくは4~6mmol/gの範囲である。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上し、密着性の調整がしやすくなる。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンと水酸基又はアミノ基を有する化合物(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等)との縮合物が挙げられ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等がある。ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
カルボジイミド系化合物とは、分子内にカルボジイミド、あるいはカルボジイミド誘導体構造を1つ以上有する化合物である。より良好なプライマー層3の強度等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネートの縮合反応が用いられる。ジイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
ポリカルボジイミド系化合物の水溶性や水分散性を向上させるために、本発明の効果を消失させない範囲において、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩等の親水性モノマーを添加して用いてもよい。
シランカップリング化合物とは、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基等の加水分解基を有する有機ケイ素化合物である。例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有化合物、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシラン等のスチリル基含有化合物、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有化合物、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有化合物等が挙げられる。
上記化合物の中でもプライマー層3の強度の観点から、エポキシ基含有シランカップリング化合物、ビニル基や(メタ)アクリル基等の二重結合含有シランカップリング化合物、アミノ基含有シランカップリング化合物がより好ましい。
なお、これら架橋剤は、乾燥過程や、製膜過程において、反応させてプライマー層3の性能を向上させる。できあがったプライマー層3中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
プライマー層3に含有する帯電防止剤としては、特に制限はなく、従来公知の帯電防止剤を使用することが可能であるが、耐熱性、耐湿熱性が良好であることから、高分子タイプの帯電防止剤であることが好ましい。高分子タイプの帯電防止剤としては、例えば、アンモニウム基を有する化合物、ポリエーテル化合物、スルホン酸基を有する化合物、ベタイン化合物、導電性有機高分子等が挙げられる。
アンモニウム基を有する化合物とは、分子内にアンモニウム基を有する化合物であり、脂肪族アミン、脂環族アミンや芳香族アミンのアンモニウム化物等が挙げられる。
アンモニウム基を有する化合物は、高分子タイプのアンモニウム基を有する化合物であることが好ましく、当該アンモニウム基は、カウンターイオンとしてではなく、高分子の主鎖や側鎖中に組み込まれている構造であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、アンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有する付加重合性のモノマーを重合し、必要に応じて、アンモニウム基の前駆体基をアンモニウム基に変換し、アンモニウム基を有する高分子化合物としたものが挙げられる。重合体としては、付加重合性のアンモニウム基またはアミン等のアンモニウム基の前駆体を含有するモノマーを単独で重合しても良いし、これらを含有するモノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
アンモニウム基を有する化合物として、帯電防止性、耐熱安定性が優れているという点で、ピロリジニウム環を有する化合物も好ましい。
ピロリジニウム環を有する化合物の窒素原子に結合している2つの置換基は、それぞれ独立してアルキル基、フェニル基等であり、これらのアルキル基、フェニル基が以下に示す基で置換されていてもよい。置換可能な基は、例えば、ヒドロキシル基、アミド基、エステル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、チオアルコキシ、チオフェノキシ基、シクロアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基、シアノ基、ハロゲンである。また、窒素原子に結合している2つの置換基は化学的に結合していてもよく、2つの置換基が化学的に結合した基としては、例えば、-(CH-(m=2~5の整数)、-CH(CH)CH(CH)-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=N-、-CH=CH-N=C-、-CHOCH-、-(CHO(CH-等が挙げられる。
ピロリジニウム環を有する化合物は、ピロリジニウム環を有するポリマーであることが好ましい。
ピロリジニウム環を有するポリマーは、例えば、ジアリルアミン誘導体を、ラジカル重合触媒を用いて環化重合させることにより得られる。重合は、溶媒として水あるいはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトニトリル等の極性溶媒中で過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、第3級ブチルパーオキサイド等の重合開始剤により、公知の方法で実施できるが、これらに限定するものではない。本発明においては、ジアリルアミン誘導体と重合性のある炭素-炭素不飽和結合を有する化合物を共重合成分としてもよい。
上述したアンモニウム基を有する化合物のアンモニウム基の対イオン(カウンターイオン)となるアニオンとしては例えば、ハロゲンイオン、スルホナート、ホスファート、ニトラート、アルキルスルホナート、カルボキシラート等のイオンが挙げられる。
また、アンモニウム基を有する化合物の数平均分子量(Mn)は1000~500000、好ましくは2000~350000、さらに好ましくは5000~200000である。分子量が1000未満の場合は塗膜の強度が弱くなる場合や、耐熱安定性が劣る場合がある。また、分子量が500000を超える場合は、塗布液の粘度が高くなり、取扱い性や塗布性が悪化する場合がある。
本発明において、アンモニウム基を有する化合物の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、ポリスチレン標準による換算値として決定することができる。
ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエーテルエステルアミド、ポリエチレングリコールを側鎖に有するアクリル樹脂等が挙げられる。
スルホン酸基を有する化合物において、スルホン酸基は、中和剤で中和されて塩の形態となっていてもよい。スルホン酸基を有する化合物としては、ポリスチレンスルホン酸及びその塩等、分子内に複数のスルホン酸基を有する化合物が好ましい。
導電性有機高分子としては、従来公知の材料を使用することができるが、例えば、ポリチオフェン系、ポリアニリン系、ポリピロール系、ポリアセチレン系、ポリフェニレンサルファイド系等が挙げられ、これらの中でもポリチオフェン系(ポリチオフェンまたはポリチオフェン誘導体)が高い透明性と高い導電性の両立や、着色し難さ、コーティングによる性能の発現が出しやすいため好ましい。ポリチオフェン系の中でもポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と複合させた化合物が導電性能の観点から特に好ましい。導電性有機高分子は、高い導電性を示し、湿度依存性が少なく、かつ様々な用途展開が期待できるという点において好ましい。
また、プライマー層3の形成には、ブロッキングや滑り性改良のために粒子を併用することも可能である。
また、本発明の主旨を損なわない範囲において、プライマー層3の形成には必要に応じて消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、染料、顔料等を併用することも可能である。
プライマー層3中の割合として、樹脂は、通常5質量%以上、好ましくは10~99質量%、より好ましくは20~95質量%、さらに好ましくは30~90質量%の範囲である。上記範囲で使用することで、プライマー層3の外観や、凹凸層2との密着性を向上しやすくなる。
プライマー層3中の割合として、架橋剤は、通常80質量%以下、好ましくは0.5~65質量%、より好ましくは3~50質量%、さらに好ましくは5~40質量%の範囲である。上記範囲で使用することで、プライマー層3の強度の向上、凹凸層2とプライマー層3との密着性の向上がしやすくなる。
プライマー層3に帯電防止機能を付与する場合には、帯電防止剤の種類にも依存するので一概ではないが、プライマー層3中の帯電防止剤の割合として、通常80質量%以下、好ましくは0.5~70質量%、より好ましくは1~50質量%の範囲である。上記範囲で使用することで、プライマー層3に帯電防止機能を付与しやすくなり、プライマー層3上に凹凸層2を形成した後でも帯電防止性能を発現しやすくなる。
プライマー層3の厚みは、プライマー層3に使用する材料や発現させる性能にも依存するため一概にはいえないが、通常0.001~10μm、好ましくは0.01~4μm、より好ましくは0.02~1μmの範囲である。
プライマー層3の形成に関して、上述の一連の化合物を溶液または溶媒の分散体として、固形分濃度が0.1~80質量%程度を目安に調整した液を基材フィルム上にコーティングする要領にて積層体を製造することが好ましい。特にインラインコーティングにより設ける場合は、水溶液または水分散体であることがより好ましい。水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。また、有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
プライマー層3を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知のコーティング方式を用いることができる。
基材フィルム上にプライマー層3を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるものではないが、コーティングによる方法の場合、コーティング液に使用している水等の溶媒の乾燥に関しては、通常50~150℃、好ましくは80~130℃、さらに好ましくは90~120℃の範囲である。乾燥の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。また、プライマー層3の強度を向上させるため、フィルム製造工程において行う場合は、通常150~270℃、好ましくは170~230℃、さらに好ましくは180~210℃の範囲の熱処理工程を経ることである。当該熱処理工程の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。
また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。本発明における積層体を構成する基材フィルムには予め、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
「表面機能層」
相分離による凹凸層2の上には、さらに各種の機能を付与するために表面機能層4を設けることも可能である。表面機能層4としては、防汚層、帯電防止層、屈折率調整層(反射防止層、低反射層等)、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等が挙げられる。
防汚層は、相分離による凹凸層2に撥水性や撥油性を付与することで防汚性能を向上させるために設けるものである。防汚層2に用いられる材料としては、シリコーン化合物、フッ素化合物、長鎖アルキル基含有化合物等、従来公知のものを用いることができる。これらの中でもより強力な防汚性能の発現には、シリコーン化合物やフッ素化合物が好ましく、また、防汚層が接触する相手を汚染しないという観点からはフッ素化合物や長鎖アルキル基含有化合物が好ましい。
シリコーン化合物としては、分子内にシリコーン構造を有する化合物のことであり、例えば、ジメチルシリコーン、ジエチルシリコーン等のアルキルシリコーン、また、フェニル基を有するフェニルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。シリコーンには各種の官能基を有するものも使用することができ、例えば、エーテル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボン酸基、フッ素等のハロゲン基、パーフルオロアルキル基、各種アルキル基や各種芳香族基等の炭化水素基等が挙げられる。他の官能基として、ビニル基を有するシリコーンや水素原子が直接ケイ素原子に結合したハイドロゲンシリコーンも一般的で、両者を併用して、付加型(ビニル基とハイドロゲンシランの付加反応による型)のシリコーンとして使用することも可能である。また、アクリロイル基等の二重結合を導入し、当該二重結合部で反応させる方法も好ましい。
また、シリコーン化合物として、アクリルグラフトシリコーン、シリコーングラフトアクリル、アミノ変性シリコーン、パーフルオロアルキル変性シリコーン等の変性シリコーンを使用することも可能である。耐熱性、汚染性を考慮すると、硬化型シリコーン樹脂を使用することが好ましく、硬化型の種類としては、縮合型、付加型、活性エネルギー線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
フッ素化合物としては、化合物中にフッ素原子を含有している化合物である。フッ素化合物としては、有機系フッ素化合物が好適に用いられ、例えば、パーフルオロアルキル基含有化合物、フッ素原子を含有するオレフィン化合物の重合体、フルオロベンゼン等の芳香族フッ素化合物等が挙げられる。離型性の観点からパーフルオロアルキル基を有する化合物であることが好ましい。さらにフッ素化合物には後述するような長鎖アルキル化合物を含有している化合物も使用することができる。
パーフルオロアルキル基を有する化合物とは、例えば、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート、パーフルオロアルキルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキルプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキル-1-メチルプロピル(メタ)アクリレート、3-パーフルオロアルキル-2-プロペニル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートやその重合物、パーフルオロアルキルメチルビニルエーテル、2-パーフルオロアルキルエチルビニルエーテル、3-パーフルオロプロピルビニルエーテル、3-パーフルオロアルキル-1-メチルプロピルビニルエーテル、3-パーフルオロアルキル-2-プロペニルビニルエーテル等のパーフルオロアルキル基含有ビニルエーテルやその重合物等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると重合物であることが好ましい。重合物は単一化合物のみでも複数化合物の重合物でもよい。また、防汚性の観点からパーフルオロアルキル基は炭素原子数が3~11であることが好ましい。さらに後述するような長鎖アルキル化合物を含有している化合物との重合物であってもよい。
長鎖アルキル基含有化合物とは、炭素数が通常6以上、好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上の直鎖または分岐のアルキル基を有する化合物のことである。アルキル基としては、例えば、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、オクタデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。アルキル基を有する化合物とは、例えば、各種の長鎖アルキル基含有高分子化合物、長鎖アルキル基含有アミン化合物、長鎖アルキル基含有エーテル化合物、長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩等が挙げられる。耐熱性、汚染性を考慮すると高分子化合物であることが好ましい。また、効果的に防汚性を得られるという観点から、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物であることがより好ましい。
長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物とは、反応性基を有する高分子と、当該反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とを反応させて得ることができる。上記反応性基としては、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物等が挙げられる。
これらの反応性基を有する化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、ポリエチレンアミン、反応性基含有ポリエステル樹脂、反応性基含有ポリ(メタ)アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも防汚性や取り扱い易さを考慮するとポリビニルアルコールであることが好ましい。
上記の反応性基と反応可能なアルキル基を有する化合物とは、例えば、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、ベヘニルイソシアネート等の長鎖アルキル基含有イソシアネート、ヘキシルクロライド、オクチルクロライド、デシルクロライド、ラウリルクロライド、オクタデシルクロライド、ベヘニルクロライド等の長鎖アルキル基含有酸クロライド、長鎖アルキル基含有アミン、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。これらの中でも離型性や取り扱い易さを考慮すると長鎖アルキル基含有イソシアネートが好ましく、オクタデシルイソシアネートが特に好ましい。
また、長鎖アルキル基を側鎖に持つ高分子化合物は、長鎖アルキル(メタ)アクリレートの重合物や長鎖アルキル(メタ)アクリレートと他のビニル基含有モノマーとの共重合によって得ることもできる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートとは、例えば、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
表面機能層4中の上述した防汚性能を発現するための防汚材料の含有量は、使用する材料にも依存するので一概にはいえないが、シリコーン化合物やフッ素化合物の場合は通常0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上の範囲であり、上限は100質量%であってもかまわない。また、長鎖アルキル基含有化合物を使用する場合は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上の範囲であり、上限は100質量%であってもかまわない。上記範囲で使用することで効果的な防汚性能を有することができる。
表面機能層4として帯電防止層を形成する際に使用する帯電防止剤としては、上述したプライマー層3で使用する各種の帯電防止剤を使用することができる。また、例えばアンモニウム基を有する化合物にアクリロイル基等の二重結合を導入し、当該二重結合部で反応させる方法も好ましい。
屈折率調整層としては、例えば、高屈折率層、低屈折率層及びそれらの積層物が挙げられる。
表面機能層4として屈折率調整層を形成する際に使用する材料として、高屈折率化を目的とする場合は、例えば、ベンゼン構造、ビスフェノールA構造、メラミン構造、フルオレン構造のような芳香族含有化合物、また、芳香族の中でも高屈折率化合物と考えられるナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[a]フェナントレン、ピレン、ベンゾ[c]フェナントレン、ペリレン構造のような縮合多環式芳香族化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化セリウム、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の金属酸化物や、チタンキレートやジルコニウムキレート等の金属キレート化合物等の金属含有化合物、硫黄元素を含有する化合物、ハロゲン元素を含有する化合物等が挙げられる。
金属酸化物は、使用形態によっては密着性が低下する懸念があるため、粒子の状態で使用することが好ましく、また、その平均粒径は塗布外観等の観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下の範囲である。
表面機能層4として屈折率調整層を形成する際に使用する材料として、低屈折率化を目的とする場合は、従来公知の材料を使用することができ、例えば、アクリル樹脂やウレタン樹脂は一般的には屈折率が低いために可能である。また、特にフッ素原子が樹脂の中に組み込まれた化合物、例えば、フッ素樹脂や、主種骨格にフッ素樹脂を含有する化合物、側鎖にパーフルオロアルキル基を含有する化合物が挙げられる。また、無機材料としては、中空シリカ粒子や、フッ化マグネシウムやフッ化カルシウム等フッ素原子含有無機化合物や、それらの中空粒子やナノポーラス粒子等も挙げられる。
表面機能層4の厚みは、相分離による凹凸層2で形成された凹凸の高さより小さいことが好ましい。当該凹凸の高さと同等以上になると凹凸による艶消し性能が低減するためである。表面機能層4の厚みは、凹凸の高さによるので一概にはいえないが、通常0.001~3μm、好ましくは0.005~2μm、より好ましくは0.01~1μm、さらに好ましくは0.02~0.5μm、特に好ましくは0.03~0.2μmの範囲である。
上記範囲で使用することで、表面機能層4による機能の発現と、相分離による凹凸層2の凹凸による艶消し性の両立が可能となる。
表面機能層4および後述する裏面機能層5の形成に関して、上述の一連の化合物を溶液または溶媒の分散体として、固形分濃度が0.1~80質量%程度を目安に調整した液を基材フィルム上にコーティングする要領にて積層体を製造することが好ましい。特にインラインコーティングにより設ける場合は、水溶液または水分散体であることがより好ましい。水への分散性改良、造膜性改良等を目的として、塗布液中には少量の有機溶剤を含有していてもよい。また、有機溶剤は1種類のみでもよく、適宜、2種類以上を使用してもよい。
表面機能層4および裏面機能層5を形成する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知のコーティング方式を用いることができる。
基材フィルム上に表面機能層4および裏面機能層5を形成する際の乾燥および硬化条件に関しては特に限定されるものではないが、コーティングによる方法の場合、コーティング液に使用している水等の溶媒の乾燥に関しては、通常50~150℃、好ましくは80~130℃、さらに好ましくは90~120℃の範囲である。乾燥の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。また、表面機能層4および裏面機能層5の強度を向上させるため、フィルム製造工程において行う場合は、通常150~270℃、好ましくは170~230℃、さらに好ましくは180~210℃の範囲の熱処理工程を経ることである。当該熱処理工程の時間としては、目安として3~200秒、好ましくは5~120秒の範囲である。
「裏面機能層」
相分離による凹凸層2とは反対側の面に、各種の機能付与のために裏面機能層5を設けても良い。裏面機能層5としては、例えば、各種の被着体と粘着させるための粘着層や、フィルムの剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミなどの付着等による欠陥を防止するための帯電防止層、他の基材と貼り合わせるための粘着層、全光線透過率を向上させるための屈折率調整層、フィルムのブロッキングを軽減するためのアンチブロッキング層等が挙げられる。
帯電防止層の形成には、上述したような帯電防止剤を使用することができ、また、粘着層の形成には、従来公知の粘着剤を使用することができ、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系、ゴム系等が挙げられ、それらの中でも汎用性を考慮するとアクリル系が好ましく、屈折率調整層は上述したような高屈折率材料や低屈折率材料を使用することができる。
裏面機能層5の厚みは、裏面機能層に使用する材料や発現させる性能にも依存するため一概にはいえないが、例えば0.001~30μmである。裏面機能層5が粘着層である場合は、好ましくは0.01~30μm、より好ましくは0.1~20μmである。裏面機能層5が帯電防止層である場合は、好ましくは0.001~10μm、より好ましくは0.01~5μmである。
プライマー層3、相分離による凹凸層2や、表面機能層4、裏面機能層5中の成分の分析は、例えば、飛行時間型二次イオン質量分析法(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、TOF-SIMS)、X線光電子分光(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis、ESCA)、蛍光X線、赤外分光法(Infrared Spectroscopy、IR)等の分析によって行うことができる。
基材層1に対して凹凸層2が存在する側の積層体10の最表面におけるヘイズは、艶消し性が発現されれば特に制約はないが、0.5~99%が好ましく、1~80%がより好ましく、2~50%がさらに好ましい。上記範囲で使用することで艶消し性を良好なものとしやすい。
基材層1に対して凹凸層2が存在する側の積層体10の最表面におけるヘイズとは、基材層1に対して凹凸層2が存在する側の最表面から入射して積層体10を通過する透過光のうち、前方散乱によって、入射光から0.044rad(2.5°)以上それた透過光の百分率(全光線透過率に対する拡散透過率の比)であり、JIS K 7136に準拠して測定される。
基材層1に対して凹凸層2が存在する側の積層体10の最表面における60°鏡面光沢度(60°グロス)は、艶消し性を考慮した場合、好ましくは100以下、より好ましく80以下、さらに好ましくは70以下の範囲である。下限は特にないが、好ましくは1以上である。上記範囲で使用することで艶消し性を良好なものとしやすい。
60°鏡面光沢度は、JIS Z 8741に準拠して測定される。なお、鏡面光沢度の測定の原理は、規定された入射角θ(60°鏡面光沢度の場合は60°)に対して、試料面からの鏡面反射光束φsを測定するというものである。
表面機能層4又はプライマー層3として帯電防止層を有する場合、帯電防止性能としては、基材層1に対して凹凸層2が存在する側の積層体10の最表面における表面抵抗値が、好ましくは1×1013Ω以下、より好ましくは1×1012Ω以下、さらに好ましくは5×1011Ω以下、さらに好ましくは1×1011Ω以下、特に好ましくは5×1010Ω以下である。上記範囲内の場合、当該最表面に対する塵埃等の付着を抑制しやすい。
当該最表面における表面抵抗値(表面抵抗率、シート抵抗とも称される。)は、帯電防止層に含有させる帯電防止剤の量により調整できる。
裏面機能層5として帯電防止層を有する場合、帯電防止性能としては、基材層1に対して凹凸層2が存在する側とは反対側の最表面における表面抵抗値が、好ましくは1×1013Ω以下、より好ましくは1×1012Ω以下、さらに好ましくは5×1011Ω以下、さらに好ましくは1×1011Ω以下、特に好ましくは5×1010Ω以下である。表面抵抗値が上記上限値以下であれば、当該最表面に対する塵埃等の付着を抑制しやすい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法および評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステルの極限粘度
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)
株式会社島津製作所製、遠心沈降式粒度分布測定装置 SA-CP3型を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)SP値の測定方法
SP値は次の方法により測定した。
サンプル0.5gを100mlビーカーに秤量し、アセトン10mlを加えてサンプルを溶解させる。ここへ、マグネチックスターラーで攪拌しながら、ヘキサンを滴下していき、溶液に濁りが生じた点(濁点)のヘキサンの滴下量(vh)を求める。次に、ヘキサンの代わりに脱イオン水を使用したときの、濁点における脱イオン水の滴下量(vd)を求める。vh、vdより、SP値は参考文献:SUH、CLARKE、J.P.S.A-1、5、1671~1681(1967)により示された式を用いて求める。また、サンプルがアセトンに溶解しない等、溶解性パラメーターが上記の方法により求めることができない場合には、Fedorsらが提案した方法によって推算する。具体的には「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,FEBRUARY,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(147~154頁)」を参照して求める。
(4)重量平均分子量(Mw)の測定方法
機器:東ソー株式会社製「HLC-8120GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel Super H1000+H2000+H3000」
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器/内蔵)
溶媒:テトラヒドロフラン
温度:40℃
流速:0.5ml/分
注入量:10μl
濃度:0.2質量%
校正試料:単分散ポリスチレン 校正法:ポリスチレン換算
(5)粘度の測定方法
固形分30質量%、温度25℃にて、東機産業株式会社製 E型粘度計TV-20を用いて測定した。
(6)アクリル酸消費率の測定方法
反応溶液を0.5g三角フラスコに分取し、プロピレンリコールモノメチルエーテル溶液で10gまで希釈する。この溶液に指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶解液(10%)を0.1g添加し、溶液が赤色に呈色するまで0.1Nのエタノール性水酸化カリウム溶液(富士フィルム和光純薬株式会社製)を滴下した。滴下量より未反応のアクリル酸を定量した。
(7)プライマー層、表面機能層、裏面機能層の厚み
プライマー層、表面機能層、裏面機能層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、プライマー層または機能層断面を透過型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H-7650、加速電圧100kV)を用いて測定した。
(8)ヘイズの測定方法
株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーター HM-150を使用し、JIS K 7136に準拠して測定した。
(9)光沢度の測定方法
基材層に対して凹凸層が存在する側の積層体の最表面における光沢度(グロス)は、JIS Z 8741に準拠し、日本電色工業株式会社製グロスメーター VG2000を用いて、60°鏡面光沢度(60°グロス)として測定した。
(10)表面抵抗値の測定方法
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、高抵抗率計:ハイレスタ MCP-HP450を使用し、印過電圧100V、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後の表面抵抗率を測定した。
表面抵抗値がOVERと出る場合は、測定できないほど表面抵抗値が高いことを示す。
また、表面抵抗値がUNDERと出る場合には下記の方法で測定した。
株式会社三菱ケミカルアナリテック製、低抵抗率計:ロレスタGP MCP-T610に四探針型ESPプローブ(探針間隔:5mm、探針先形状:直径2mmの円筒、探針押し圧:240g/本、RCF値は4.235一定とした)を使用し、23℃、50%RHの測定雰囲気でサンプルを30分間調湿後の表面抵抗率を測定した。
なお、積層体の表面側の抵抗値(表面抵抗値)と裏面側の抵抗値(裏面表面抵抗値)を測定した。
(11)艶消し性の評価方法
白色で直線状の蛍光灯を灯した室内に、積層体を設置し、蛍光灯と積層体の距離を2.5mに設定して目視外観にて凹凸層側の艶消し性(蛍光灯の映り込み)を評価した。評価A~Cにおいては艶消し性が確認できる判定である。
A:蛍光灯の反射像が強くぼやけており、蛍光灯の輪郭が確認できない。
B:蛍光灯の反射像がぼやけているが、うっすらと輪郭を確認することができる。
C:蛍光灯の反射像が少しぼやけており、輪郭を確認することもできるが、波打った形状で観察され、暗い白色に映る。
D:蛍光灯の反射像が鮮明ではっきりと輪郭を確認することができ、また直線状で白色に映る。
(12)基材層と凹凸層との密着性の評価方法
凹凸層あるいはその上に設けられた表面機能層10mm×10mmの領域に対して、11×11のクロスカットを行い、その上に24mm幅のテープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT-24)を貼り付け、180度の剥離角度で急激に剥がした後の剥離面を観察し、剥離面積が5%未満ならばA、5%以上30%未満ならB、30%以上80%未満ならC、80%以上ならばDとした。
(13)ペン筆記性(防汚性)の評価方法
ゼブラ株式会社製 油性黒マジック マッキー細で、凹凸層または表面機能層に筆記した後、インキをはじく場合をA、上記油性マジックでははじかないが、株式会社トンボ製 水性黄色ケイコート80 WA-SC-91で筆記した後、インキをはじく場合をB、上記いずれのペンでもはじかない場合をCとした。
なお、はじく方が防汚性に優れる評価となる。
(14)粘着性の評価方法
評価面(粘着層面)同士を貼り合わせたときに、粘着力で貼りつく場合をA、貼りつかない場合をBとした。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下の通りである。
<ポリエステル(A)>
重合触媒として酢酸マグネシウム・四水和物およびテトラブチルチタネートを用いて得られる、極限粘度が0.63dl/gのポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(B)>
重合触媒として酢酸マグネシウム・四水和物、正リン酸および二酸化ゲルマニウムを用いて得られる、極限粘度が0.64dl/gのポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(C)>
平均粒子径2μmのシリカ粒子を0.3質量%含有する、ポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
凹凸層および機能層(表面機能層、裏面機能層)を構成する有機溶剤展開化合物例は、以下の通りである。
(化合物例)
・水酸基および不飽和二重結合を含有する重合体:(A-1)
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(157質量部)、グリシジルメタクリレート(98質量部)、メチルメタクリレート(1.0質量部)、エチルアクリレート(1.0質量部)、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(1.9質量部)、及び2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(1.0質量部)、γ-トリメトキシシリルプロパンチオール(信越化学工業株式会社製 KBM-803)を1.9質量部加えて、65℃で3時間反応させた。
その後、さらに2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.5質量部)を加えて3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(138質量部)とp-メトキシフェノール(0.45質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(51質量部)、及びトリフェニルホスフィン(3.1質量部)を添加して、110℃で6時間反応させることで、不飽和二重結合量(アクリロイル当量(アクリロイル基の導入量))4.6mmol/gの(メタ)アクリロイル共重合体(A-1)を得た。
得られた(メタ)アクリロイル共重合体(A-1)のSP値は17.4、アクリル酸の消費率は94%であった。この溶液(固形分30質量%)の25℃における粘度は100mPa・sで、重量平均分子量(Mw)は17700であった。
・アミド基および不飽和二重結合を含有する重合体:(A-2)
温度計、攪拌機及び還流冷却管を備えた2000mlのセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(360質量部)を加えた。一方、1000mlのメスシリンダーにグリシジルメタクリレート(180質量部)、アクリロイルモルホリン(180質量部)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(180質量部)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(1.8質量部)を加えてモノマー溶液を調製した。
その後、セパラブルフラスコの撹拌機を始動し、続いてセパラブルフラスコとメスシリンダーにはそれぞれ流量300ml/minにて1時間ほど窒素ガスを導入した。
次に、セパラブルフラスコをオイルバスに浸し、内温65℃まで加温した。次いで、セパラブルフラスコに、メスシリンダー内で調製したモノマー溶液をポンプにより送液し、2時間かけて滴下することで、ラジカル重合を行った。滴下完了後、さらに内温65℃にて2時間撹拌を続け、その後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.9質量部)を加え3時間反応させた後、プロピレングリコールモノメチルエーテル(259質量部)、p-メトキシフェノール(1.6質量部)を加え100℃まで加熱した。
次に、アクリル酸(93質量部)、及びトリフェニルホスフィン(6.8質量部)を添加して、110℃で6時間反応させることで、アミド基と不飽和二重結合を有する、不飽和二重結合量(アクリロイル当量(アクリロイル基の導入量))2.8mmol/gの(メタ)アクリロイル共重合体(A-2)を得た。
得られた(メタ)アクリロイル共重合体(A-2)のSP値は19.1、アクリル酸の消費率は93%であった。この溶液(固形分30質量%)の25℃における粘度は1050mPa・s、重量平均分子量(Mw)は22500であった。
・(メタ)アクリレート:(B-1)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値:12.1)・(メタ)アクリレート:(B-2)
新中村化学工業株式会社製 ウレタンアクリレート U-15HA(SP値:13.3)
・(メタ)アクリレート:(B-3)
ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル
・アクリル樹脂:(C)
三菱ケミカル株式会社製 BR-80(アクリル系共重合体)(SP値:13.4)
・シリコーン系化合物:(D-1)
撹拌機、還流冷却管及び温度計を取り付けた反応器に、数平均分子量(Mn)5000の片末端メタクリロイル基置換ポリジメチルシロキサン(JNC株式会社製「サイラプレーン FM0721」、シリコーン含有(メタ)アクリレート化合物)(20質量部)、グリシジルメタクリレート(60質量部)、メチルメタクリレート(10質量部)、ステアリルメタクリレート(10質量部)、メチルイソブチルケトン(MIBK)(151質量部)を仕込み、撹拌開始後に系内を窒素置換し、55℃まで昇温し、ここへ2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(1.2質量部)、1-ドデカンチオール(0.9質量部)を添加した後、系内を65℃まで昇温し、3時間撹拌した後、さらに2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(0.6質量部)を添加して65℃で3時間撹拌した。系内を100℃まで昇温し、30分間撹拌した後、MIBK163質量部を加え、再度系内を100℃まで昇温した。ここへ、p-メトキシフェノール(0.5質量部)とトリフェニルホスフィン(2.6質量部)を添加した後、アクリル酸(31質量部)を加え、110℃まで昇温して6時間撹拌した。冷却後、MIBK4.8質量部を添加し、数平均分子量(Mn)6500の共重合体(D-1)のMIBK溶液を得た。
・フッ素系化合物:(D-2)
信越化学工業株式会社製 SHIN-ETSU SUBELYN(登録商標) KY-1203
・4級アンモニウム化合物:(E)
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を取り付けた反応器に、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物(66質量部)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(20質量部)、2-エチルヘキシルメタクリレート(30質量部)、アゾビスイソブチロニトリル(1質量部)、イソプロピルアルコール(200質量部)およびメチルエチルケトン(100質量部)を仕込み、攪拌開始後に系内を窒素置換し、80℃に昇温し、8時間反応して共重合体(E)の溶液を得た。
・光重合開始剤:(F-1)
IGM Resins B.V.社製 Omnirad 127・光重合開始剤:(F-2)
IGM Resins B.V.社製 Omnirad 184
プライマー層および機能層(表面機能層、裏面機能層)を構成する水系展開化合物例は以下の通りである。
(化合物例)
・ポリエステル樹脂:(IA)
下記組成からなるポリエステル樹脂の水分散体
モノマー組成:(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5-ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4-ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(mol%)
・アクリル樹脂:(IB)
下記組成からなるアクリル樹脂の水分散体
エチルアクリレート/ノルマルブチルメタクリレート/アクリル酸=25/73/2(質量%)
・ポリビニルアルコール:(IC)
ケン化度88mol%、重合度500のポリビニルアルコール
・メラミン化合物:(IIA)ヘキサメトキシメチロールメラミン・オキサゾリン化合物:(IIB)
オキサゾリン基及びポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリルポリマー エポクロス(オキサゾリン基量=4.5mmol/g、株式会社日本触媒製)・エポキシ化合物:(IIC)多官能ポリエポキシ化合物である、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル
・粒子:(III) 平均粒径0.07μmのシリカ粒子
・帯電防止剤(アンモニウム基を有する化合物):(IVA)
主鎖にピロリジニウム環を有する下記組成で重合したポリマー
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド/ジメチルアクリルアミド/N-メチロールアクリルアミド=90/5/5(mol%)、数平均分子量(Mn)30000
・帯電防止剤(導電性有機高分子化合物):(IVB)
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルホン酸と複合させた導電性有機高分子化合物
・アクリル樹脂:(V)
下記組成からなるアクリル樹脂の水分散体
2-エチルへキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸=85/12/3(質量%)
[実施例1]
ポリエステル(A)、(B)、(C)をそれぞれ91質量%、3質量%、6質量%の割合で混合した原料を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ97質量%、3質量%の割合で混合した原料を中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。
次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.1倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表2に示す塗布液P1を塗布し、テンターに導き、95℃で10秒間乾燥させた後、横方向に120℃で4.2倍延伸し、230℃で10秒間熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、厚み(乾燥後)が0.1μmのプライマー層を有する厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。
得られたポリエステルフィルムのプライマー層上に、下記表1に示す塗布液S1を塗布し、70℃で1分間乾燥し、高圧水銀灯で250mJ/cmの光を、塗布液S1からなる塗膜に照射し、その塗膜の成分を相分離させて厚み(乾燥後)が5μmの凹凸層を形成した。
次いで、凹凸層の上に、下記表1に示す塗布液F1を塗布し、80℃で1分間乾燥し、高圧水銀灯で250mJ/cmの光を、塗布液F1からなる塗膜に照射して厚み(乾燥後)が0.5μmの機能層を形成した。
得られた積層体は艶消し性およびペン筆記性による防汚性試験で良好な結果であった。
この積層体の特性を下記表3に示す。
[実施例2~13]
実施例1において、塗布剤組成を表1および表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例1と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表3に示す。
[実施例14]
実施例1において、未延伸シートを得た後、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.1倍延伸した後、この縦延伸フィルムの両面に、下記表2に示す塗布液P4を塗布する以外は同様にしてポリエステルフィルムを得た。その後、実施例1と同様にして凹凸層を形成した。得られた積層体は裏面側に帯電防止性能の機能を示した。この積層フィルムの特性を下記表3に示す。
[実施例15]
実施例14において、塗布剤組成を表1および表2に示す塗布剤組成に変更する以外は実施例14と同様にして製造し、積層体を得た。得られた積層体の特性を下記表3に示す。
[実施例16]
実施例2で得られた積層体の凹凸層とは反対側のポリエステルフィルムの裏面側に、表2に示す塗布液F8を塗布、乾燥し、粘着特性を有する機能層を設けた。この積層体の特性を下記表3に示す。
[実施例17、18]
三菱ケミカル株式会社製 アクリプレンHBS 50μmの上に、下記表1および表2に示す塗布液を実施例1と同様な方法で形成した。この積層体の特性を下記表3に示す。
[比較例1、2]
実施例1において、プライマー層および機能層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして製造し、相分離による凹凸層を設けた積層体を得た。得られた積層体を評価したところ、下記表3に示す通り、基材層との密着性、防汚性、帯電防止性能はなく、凹凸層の機能以外の機能はみられなかった。
[比較例3]
実施例1において、プライマー層、凹凸層および機能層を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして製造し、フィルムを得た。得られたフィルムは下記表3に示す通り、艶消し性が見られないものであった。
Figure 2024045466000002
Figure 2024045466000003
Figure 2024045466000004
1 基材層
2 凹凸層
3 プライマー層
4 表面機能層
5 裏面機能層
10 積層体

Claims (20)

  1. 基材層と、前記基材層の一方の面上に設けられた、相分離による凹凸を有する凹凸層とを有し、
    さらに、前記基材層と前記凹凸層との間に設けられたプライマー層、前記凹凸層の前記基材層側とは反対側の面上に設けられた表面機能層、及び前記基材層の前記凹凸層側とは反対側の面上に設けられた裏面機能層からなる群から選ばれる1つ以上の層を有し、前記表面機能層又は前記プライマー層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における表面抵抗値が2×1010Ω以下であり、
    前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面におけるヘイズが4~18%であり、
    前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における60°鏡面光沢度が41~79である、積層体。
  2. 前記表面機能層が、防汚層、帯電防止層、屈折率調整層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、又は色補正層であり、前記裏面機能層が、粘着層、帯電防止層、屈折率調整層、又はアンチブロッキング層である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記表面機能層の厚みが、0.001~3μmであり、前記裏面機能層の厚みが、0.001~30μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記表面機能層又は前記プライマー層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側の最表面における表面抵抗値が1×1013Ω以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記裏面機能層として帯電防止層を有し、前記基材層に対して前記凹凸層が存在する側とは反対側の最表面における表面抵抗値が1×1013Ω以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記凹凸層が、水酸基、アミノ基、アミド基、スルホニル基、リン酸エステル基、チオール基から選ばれる少なくとも1種の極性基を含有する化合物(X)と、前記極性基を含有しない化合物(Y)とを含む組成物の硬化物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記化合物(X)のSP値が15.1以上であり、前記化合物(Y)のSP値が15.0以下である、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記凹凸層における前記化合物(X)と化合物(Y)の質量比を表す、(X):(Y)が10:90~80:20である、請求項6又は7に記載の積層体。
  9. 前記凹凸層の厚みが1~10μmである、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記基材層の厚みが2~350μmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記基材層がポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセチルセルロースフィルムから選ばれる基材である、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記プライマー層中に、樹脂を含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 前記プライマー層中に、架橋剤由来の化合物を含有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の積層体。
  14. 前記プライマー層中に、帯電防止剤を含有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体。
  15. 前記化合物(X)が、高分子化合物である、請求項6~14のいずれか1項に記載の積層体。
  16. 前記化合物(X)が、(メタ)アクリル系重合体、ポリビニルアルコール類、セルロース類から選ばれる少なくとも1種である、請求項6~15のいずれか1項に記載の積層体。
  17. 前記(メタ)アクリル系重合体が、エポキシ基とカルボン酸との反応により得られるものである、請求項16に記載の積層体。
  18. 前記化合物(X)中に、炭素-炭素不飽和結合を含有する、請求項6~17のいずれか1項に記載の積層体。
  19. 前記化合物(Y)が、(メタ)アクリル系重合体である、請求項6~18のいずれか1項に記載の積層体。
  20. 前記化合物(Y)が、(メタ)アクリレートである、請求項6~18のいずれか1項に記載の積層体。
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