JP2023086004A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた帯電防止性及び透明性を有し、とりわけ摩擦による帯電防止性能の低下を抑制できる積層ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する樹脂組成物から形成された樹脂層を有する、積層ポリエステルフィルムである。成分(A):(a1)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体及び(a2)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種成分(B):グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物、並びに糖アルコール及び糖アルコール縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種成分(C):フッ素樹脂粒子【選択図】 なし

Description

本発明は、積層ポリエステルフィルムに関する。
電子部品、ディスプレイやタッチパネル周辺部材の保護フィルムやカバーテープ用途等の様々な分野で、熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止性を付与したフィルムが使用されている。
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムとして代表的なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、特に二軸延伸PETフィルムが、透明性、機械的強度、耐熱性等に優れることから広く使用されている。
ところが、一般にポリエステルは絶縁性樹脂であることから、ポリエステルフィルムは、そのままでは帯電防止性能を有さず、摩擦や粘着層剥離等の際に帯電し、異物や塵埃の付着、静電気放電障害等の問題が発生してしまう。
そのため、ポリエステルフィルムに帯電防止性を付与する方法として、ポリエステルフィルム表面に帯電防止性能を有する樹脂層を設ける方法が検討されてきた。かかる方法は、フィルムが有する各種基本特性を活かしながら、帯電防止性を容易に付与できるという利点がある。
例えば特許文献1には、イオン導電タイプの帯電防止剤であるスチレンスルホン酸またはその塩を構成成分とするビニル系樹脂を含有する塗布剤をポリエステルフィルムに塗布する方法が提案されている。
しかしながら、イオン導電タイプでは、帯電防止性能が不十分であるといった課題がある。
そこで、イオン導電タイプに比べて、より優れた帯電防止性を有する電子導電タイプを、帯電防止剤として用いる手法が検討されている。電子導電タイプの中でも、ポリチオフェン化合物は優れた導電性を有し、フィルムに塗布した際には高い帯電防止性、透明性を発現させることが可能とされる(例えば特許文献2及び3)。
特開昭61-204240号公報 特開2014-173015号公報 特開2016-60850号公報
ところで、帯電防止性を付与したフィルムの各種用途では、製造工程や加工工程における様々な場面で摩擦が生じやすい状況にある。
例えばロールトゥロールプロセスにおいては、加工工程の増加に伴い、露出する帯電防止性を有する層とガイドロールとの接触頻度、すなわち擦れる頻度が増加する。
また、帯電防止性を有する層上に機能層を積層させる際、バーコートのバーやグラビアコートのグラビアロール等と帯電防止性を有する層とが接触して、帯電防止性を有する層が擦れる場合もある。
さらに、生産性向上を目的とした速度アップに伴って、摩擦によるダメージも増加する傾向にある。
特許文献2及び3に開示のフィルムは、摩擦によって帯電防止性能が低下してしまう場合があった。かかる場合、フィルムが本来有する優れた帯電防止性能を発現、維持させることが困難である。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、優れた帯電防止性及び透明性を有し、とりわけ摩擦による帯電防止性能の低下を抑制できる、積層ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の構成からなる樹脂層を設けた積層ポリエステルフィルムを用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下の態様を有するものである。
[1]ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する樹脂組成物から形成された樹脂層を有する、積層ポリエステルフィルム。
成分(A):(a1)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体及び(a2)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種
成分(B):グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物、並びに糖アルコール及び糖アルコール縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
成分(C):フッ素樹脂粒子
[2]前記成分(B)が、糖アルコールを含む、上記[1]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[3]前記成分(C)のフッ素樹脂粒子が、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[4]前記成分(C)のフッ素樹脂粒子の平均粒径が10~1000nmである、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[5]前記成分(C)のフッ素樹脂粒子の含有量が、前記樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、0.1~20質量%である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[6]前記樹脂組成物が、成分(D)としてバインダー樹脂をさらに含む、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[7]前記成分(D)のバインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[6]に記載の積層ポリエステルフィルム。
[8]ヘーズ値が1.0%以下である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[9]前記樹脂層表面にて測定した表面抵抗率が、1×10Ω/□未満である、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
[10]前記樹脂層の表面抵抗率(R)と、前記樹脂層表面をキュプラ製不織布で荷重680gにて5往復摩擦処理した後の該樹脂層の表面抵抗率(R)との比(R/R)が、4.0以下である、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の積層ポリエステルフィルム。
本発明によれば、優れた帯電防止性及び透明性を有し、とりわけ摩擦による帯電防止性能の低下を抑制できる積層ポリエステルフィルムが提供され、その工業的な利用価値は高い。
以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。ただし、本発明は次に説明する実施形態例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本明細書において、数値の記載に関する「A~B」(A、Bは任意の数字である)という用語は、特にことわらない限り「A以上B以下」の意と共に、「好ましくはAより大きい」あるいは「好ましくはBより小さい」の意も包含するものである。
本明細書において、「A以上」(Aは任意の数字)又は「B以下」(Bは任意の数字)と記載した場合、「Aより大きいことが好ましい」又は「B未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」という記載を用いる場合、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の一方又は両方を意味するものとする。同様に「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の一方又は両方を意味し、「(メタ)アクリロイル」との記載は、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の一方又は両方を意味するものとする。
<<積層ポリエステルフィルム>>
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、特定の成分を含有する樹脂組成物から形成された樹脂層を有する。
<ポリエステルフィルム>
ポリエステルフィルムは、単層構造であっても多層構造であってもよい。ポリエステルフィルムが多層構造の場合、ポリエステルフィルムは2層構造、3層構造などでもよいし、本発明の要旨を逸脱しない限り、4層又はそれ以上の多層であってもよく、層数は特に限定されない。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルム(シート)であってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、力学特性のバランス、平面性及び薄膜化の観点から、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
ポリエステルフィルムの原料であるポリエステルは、特に限定されず、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、ジカルボン酸とジオールとを重縮合してなるポリエステルが挙げられ、ジカルボン酸としては芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジオールとしては脂肪族グリコールが好ましい。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とすることが好ましい。また、ポリエステルフィルムが多層構成の場合にあっては、各層の主成分樹脂がポリエステルであることが好ましい。
なお、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂のうち最も含有割合の多い樹脂を意味し、例えば各層を構成する樹脂のうち50質量%以上、特に70質量%以上、中でも80質量%以上(100質量%を含む)を占める樹脂である。
上記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸などが挙げられる。
上記脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン-2,6-ナフタレート等が例示され、これらの中ではポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
共重合ポリエステルとしては、ポリエステルを構成するジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸の主成分となる化合物、及び、ジオール、好ましくは脂肪族グリコールの主成分となる化合物以外の第3成分を共重合成分として含む、共重合ポリエステルを挙げることができる。例えば、第3成分とは、ポリエチレンテレフタレートではテレフタル酸及びエチレングリコール以外の成分である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸単位100モル%のうち、30モル%以下程度でテレフタル酸以外のジカルボン酸単位を有してもよく、また、ジオール単位100モル%のうち、30モル%以下程度でエチレングリコール以外のジオール単位を有してもよい。
ポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、製膜性、生産性などの観点から、0.45~1.0dL/gが好ましく、0.5~0.9dL/gがより好ましい。
ポリエステルの重合触媒としては、特に制限はなく、従来公知の化合物を使用することができ、例えばチタン化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物等が挙げられる。
オリゴマー成分の析出量を抑えるために、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルを原料としてポリエステルフィルムを製造してもよい。オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えばポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外層を、オリゴマー成分の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層とすることで、オリゴマー成分の析出量を抑えてもよい。
ポリエステルは、エステル化又はエステル交換反応をした後に、更に反応温度を高くして減圧下で溶融重縮合して得てもよい。
ポリエステルフィルム中にはフィルムの耐候性の向上、被着体(例えばディスプレイパネルを構成する部材などの光学部材)などの劣化防止のために、紫外線吸収剤を含有させることも可能である。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する化合物で、ポリエステルフィルムの製造工程で付加される熱に耐えうるものであれば、特に限定されない。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤があるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が挙げられる。耐久性の観点からは環状イミノエステル系、ベンゾトリアゾール系がより好ましい。紫外線吸収剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
ポリエステルフィルム中には、易滑性の付与及び各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。配合する粒子の種類は、易滑性を付与可能な粒子であれば特に限定されない。例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子;アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。
さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
使用する粒子の形状に関しても特に限定されず、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、1種を単独で使用してもよいし、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、特に制限されず、通常5μm以下、好ましくは0.01~3μmの範囲である。粒子の平均粒径が5μm以下であると、フィルムの透明性を確保できるとともに、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎず、後工程において各種の表面機能層を形成させる場合等に、不具合が生じず好ましい。粒子の平均粒径が0.01μm以上であれば、易滑性の付与や傷発生防止等の効果を確保することができる。
なお、平均粒径については、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、粒子10個の粒径を測定して、その平均値として求めることができる。
上記粒子を含有する層における粒子の含有量は、特に制限されず、通常5質量%未満、好ましくは0.0003~3質量%の範囲である。粒子を含有しない場合、あるいは粒子の含有量が少ない場合は、透明性に優れたポリエステルフィルムとなる。一方、上記範囲で粒子を含有すると、滑り性の点でも十分なポリエステルフィルムとなる。なお、粒子を含有する場合であっても、粒子含有量が5質量%未満であれば、ポリエステルフィルムの透明性が十分担保できる。
ポリエステルフィルムに粒子を含有させる際に、ポリエステルフィルムが多層構造である場合、例えば、ポリエステルフィルムが表層と、中間層とを有する場合には、表層に粒子を含有させることが好ましい。この場合、より好ましくは、粒子を含有する表層、中間層、及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とするとよい。表層に粒子を含有させることで、ポリエステルフィルム全体における粒子の含有量を少なくしつつ、効果的に易滑性などを付与できる。
ポリエステルフィルム中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、多層のポリエステルフィルムであれば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、エステル化又はエステル交換反応終了後、添加することが好ましい。
ポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
ポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、好ましくは5~350μm、より好ましくは8~250μm、更に好ましくは10~200μm、特に好ましくは12~125μmの範囲である。なお、ポリエステルフィルムが多層構造である場合には、ポリエステルフィルム全体としての厚みが上記範囲にあるものとする。
次に、ポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
例えば二軸延伸フィルムを製造する場合、先に述べたポリエステル原料の乾燥したペレットを、押出機を用いてダイから溶融シートとして押し出し、回転冷却ドラム(キャスティングドラム)で冷却固化して、未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法及び/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。このようにして、未延伸シートを得る。なお、ポリエステルフィルムが多層構造の場合には、例えば、押出機として複数の押し出し機を用いてダイから溶融シートとして押し出して、上述した通り、未延伸シートを得ることができる。
次に、得られた未延伸シートを二軸方向に延伸する。まず、前記の未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
引き続き、通常180~270℃の温度で、緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うことが好ましい。
ポリエステルフィルムの製造には、同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で長手方向(機械方向)及び幅方向に同時に延伸し配向させる方法である。延伸倍率は、面積倍率で好ましくは4~50倍、より好ましくは7~35倍、更に好ましくは10~25倍である。
続いて、通常170~250℃の温度で、緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式及びリニアー駆動方式等、従来公知の延伸方式を採用することができる。
なお、フィルムの長手方向(機械方向)とは、フィルムの製造工程でフィルムが進行する方向、すなわちフィルムロールの巻き方向をいう。幅方向とは、フィルム面に平行かつ長手方向と直交する方向をいい、すなわち、フィルムロール状としたときロールの中心軸と平行な方向である。
<樹脂層>
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する樹脂組成物から形成された樹脂層を有する。
成分(A):(a1)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体及び(a2)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種
成分(B):グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物、並びに糖アルコール及び糖アルコール縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
成分(C):フッ素樹脂粒子
透明性が高く、ヘーズの低いフィルムを製造する際には、基材であるポリエステルフィルムに添加できる粒子量が限られるため、フィルムの取り扱い性や耐摩擦性の向上を指向して、樹脂層に粒子、特にシリカ粒子を添加することはしばしば行われる。
一方、本発明の積層ポリエステルフィルムの樹脂層を形成する樹脂組成物(上記成分(C)を除く)において、そもそも粒子を含有しない場合や、上記目的でシリカ粒子を添加した場合であっても、形成される樹脂層の帯電防止性能が摩擦によって低下してしまう。しかしながら、上記成分(C)としてのフッ素樹脂粒子を含有することにより、形成される樹脂層の耐摩擦性が向上する。また、上記成分(A)及び成分(B)と併用して上記成分(C)を使用することによって、樹脂層の帯電防止性能が向上する傾向にもある。かかる理由の詳細は明確ではないが、フッ素樹脂粒子の持つ自己潤滑性が寄与していると考えられる。
なお、本明細書における「耐摩擦性」とは、後述する実施例に記載の方法で測定した、摩擦処理前後の表面抵抗率の変化に基づく評価である。
(成分(A))
本発明で使用する成分(A)は、(a1)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体及び(a2)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明における樹脂組成物が成分(A)を含むことで、高い帯電防止性と高透明性とを両立させることができる。
上記成分(A)としては、例えば下記式(1)又は(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものが挙げられる。
なお、重合体(a1)と重合体(a2)を併用してもよい。
Figure 2023086004000001
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数が1~20の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は芳香族炭化水素基を表す。
Figure 2023086004000002
上記式(2)中、nは1~4の整数を表す。
重合時に使用するポリ陰イオンとしては、例えばポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等が例示される。かかる重合体の製造方法としては、例えば特開平7-90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本発明においては、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが好適に用いられる。
これらのポリ陰イオンが酸性である場合、一部又は全てが中和されていてもよい。中和に用いる塩基としてはアンモニア、有機アミン類、アルカリ金属水酸化物が好ましい。
樹脂組成物中の成分(A)の含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.5~20質量%、さらに好ましくは1~10質量%、特に好ましくは2~8質量%である。成分(A)の含有量が上限値以下であると、樹脂層の強度や透明性が良好である。一方、成分(A)の含有量が下限値以上であると、十分な帯電防止性が得られる。
(成分(B))
本発明で使用する成分(B)は、グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物、並びに糖アルコール及び糖アルコール縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
本発明における樹脂組成物が成分(B)を含むことで、高い帯電防止性と高透明性とを両立させることができる。
((グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物))
例えば、(b1)グリセリン又は下記式(3)で表されるポリグリセリン及び(b2)該グリセリン又は該ポリグリセリン(b1)へのアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその誘導体が挙げられる。
Figure 2023086004000003

(式中、nは2~20の整数を示す。)
上記式(3)中のnは2~10が好ましく、より好ましくは2~6の範囲である。かかる範囲であると、樹脂層の耐久性がより向上し、帯電防止性も良好となる。
グリセリンへのアルキレンオキサイド付加物とは、グリセリンが有するヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物とは、一般式(3)で表されるポリグリセリンのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドを付加重合した構造を有するものである。
グリセリンのアルキレンオキサイド付加物については、グリセリンの有するヒドロキシル基の少なくとも1つにアルキレンオキサイドが付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドが付加されている必要はない。グリセリンの複数のヒドロキシル基にアルキレンオキサイドが付加されている場合には、該アルキレンオキサイドの構造は同一であっても異なっていてもよい。
ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物については、ポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに、付加されるアルキレンオキサイドの構造は同一であっても異なっていてもよい。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドが付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイドが付加されている必要はない。
グリセリン又はポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイドとして好ましいものは、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドのアルキレン鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での分散性が悪化し、樹脂層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。かかる観点から、より好ましいものは、エチレンオキサイドである。
アルキレンオキサイドの付加数は、最終的な化合物としての数平均分子量で200~2000の範囲になるものが好ましく、250~1000の範囲がより好ましく、300~800の範囲のものが更に好ましい。
上記グリセリン、ポリグリセリン、及び該グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はその誘導体は、1種を単独で又は2種以上を複数併用してもよい。
((糖アルコール))
糖アルコールとは、アルドースやケトースなどのカルボニル基を還元した鎖状多価アルコール、又はシクリトールなどの環状多価アルコールをいう。具体例としては、単糖類を還元して得られる、エリトリトール、トレイトールなどの炭素数4の糖アルコール;リビトール、アラビニトール、キシリトールなどの炭素数5の糖アルコール;ソルビトール、マンニトール、イジトール、タリトール、ガラクチトールなどの炭素数6の糖アルコールなど、鎖状の糖アルコールが挙げられる。また、イノシトール等のシクリトール類に代表される、環状糖アルコールが挙げられる。さらに、二糖類を還元して得られるマルチトール、ラクチトール、イソマルツロース還元物などの二糖アルコールが例示できる。
なお、上記糖アルコールが立体異性体を有する場合は、それらすべての立体異性体を糖アルコールとして使用することができる。また、前記糖アルコールは単独で用いてもよいし、二種以上を併用することも可能である。
前記糖アルコールは、高い帯電防止性と高い透明性との両立を図る観点から、炭素数4~12の糖アルコールが好ましく、炭素数4~6の糖アルコールがより好ましく、炭素数6の糖アルコールが特に好ましい。糖アルコールとしては鎖状のものが好ましい。上記の観点から、前記の糖アルコールの中でも、ソルビトールを用いることが好ましい。
((糖アルコール縮合物))
糖アルコール縮合物とは、形式的に糖アルコールの水酸基が分子内及び/又は分子間で脱水縮合した形の化合物を指し、ソルビタン、イソソルバイドが例示できる。
成分(B)としては、帯電防止性と透明性に加えて、分散性及び耐摩擦性、とりわけ耐摩擦性に優れる観点から、糖アルコールを含むことが好ましく、糖アルコールの中でもソルビトールを含むことがより好ましい。
樹脂組成物中の成分(B)の含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、好ましくは10~99質量%、より好ましくは20~95質量%、さらに好ましくは30~90質量%、特に好ましくは50~90質量%、とりわけ好ましくは70~90質量%の範囲である。成分(B)の含有量が上限値以下であると、樹脂層における分散性や、樹脂層の透明性が十分となる。一方、成分(B)の含有量が下限値以上であると、十分な帯電防止性、透明性、造膜性を有し、均一な樹脂層が得られる。
(成分(C))
本発明で使用する成分(C)は、フッ素樹脂粒子である。本明細書において、フッ素樹脂粒子とは、25℃において、水、アルコールなどの分散溶媒中で粒子状の形態を有するフッ素樹脂のことを指す。
本発明においては、樹脂層を形成する樹脂組成物がフッ素樹脂粒子を含むことで、優れた帯電防止性及び透明性を損なうことなく、とりわけ摩擦による帯電防止性能の低下を抑制することができる。
なお、フッ素樹脂粒子も粒子であることから、従来汎用的に使用しているシリカ粒子等と同様に易滑性付与が可能である。
フッ素樹脂粒子としては、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)及びテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点からFEP及びPTFEからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、FEPがより好ましい。
分散溶媒中、動的光散乱法によるフッ素樹脂粒子の平均粒径は、10~1000nmが好ましく、20~500nmがより好ましく、50~300nmがさらに好ましく、100~200nmが特に好ましい。平均粒径がかかる範囲であれば、良好な塗工外観と樹脂層の強度の改善とが期待できる。
このようなフッ素樹脂粒子としては市販品を用いることができる。例えばダイキン工業株式会社製の「ネオフロン FEP ND-110」や「ポリフロン PTFE D-210C」、「ネオフロン PFA AD-2CRER」等が挙げられる。
フッ素樹脂粒子の平均粒径は、樹脂層の膜厚の0.1~20倍であることが好ましく、より好ましくは0.3~10倍、更に好ましくは0.5~5倍である。かかる範囲であることで、積層ポリエステルフィルムの取り扱い性の向上や、樹脂層の強度が改善される。
樹脂組成物中の成分(C)の含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.3~10質量%、更に好ましくは0.5~5質量%、特に好ましくは1~3質量%の範囲である。
成分(C)の含有量が上限値以下であると、良好な塗工外観と樹脂層の強度が改善される。一方、成分(C)の含有量が下限値以上であると、フィルムの取り扱い性の向上や、樹脂層の強度の改善がなされるとともに、十分な帯電防止性及び耐摩擦性が得られる。
(成分(D))
本発明において、樹脂層を形成する樹脂組成物には、成分(D)としてバインダー樹脂をさらに含むことが好ましい。バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記樹脂層が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することで、樹脂層の成膜性、透明性などが向上する。
((ポリウレタン樹脂))
ポリウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物で、水分散性又は水溶性のものが好ましい。本発明においては、単独でも2種以上を併用してもよい。
水分散性又は水溶性を付与させるために、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、スルホニル基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をウレタン樹脂に導入することが一般的であり、好ましい。前記親水性基のなかでも、樹脂層の物性、及び樹脂層とポリエステルフィルムとの密着性の点からカルボキシル基又はスルホン酸基が特に好ましい。
ウレタン樹脂を作製する方法の一つに、水酸基含有化合物とイソシアネート基含有化合物との反応によるものがある。原料として用いられる水酸基含有化合物としては、ポリオールが好適に用いられ、例えば、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネート系ポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられる。これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。
ポリエーテルポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオール類としては、多価カルボン酸(マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)又はそれらの酸無水物と、多価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサンジオール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ベンゼンジメタノール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、アルキルジアルカノールアミン、ラクトンジオール等)との反応から得られるものが挙げられる。
ポリカーボネート系ポリオール類としては、多価アルコール類と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等とから、脱アルコール反応によって得られるポリカーボネートジオール、例えば、ポリ(1,6-ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3-メチル-1,5-ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
これらの中でもポリエステルポリオールが好ましい。
ウレタン樹脂を得るために使用されるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が例示される。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。
ウレタン樹脂を合成する際に鎖延長剤を使用してもよく、鎖延長剤としては、イソシアネート基と反応する活性基を2個以上有するものであれば特に制限はない。一般的には、水酸基又はアミノ基を2個有する鎖延長剤を主に用いることができる。
水酸基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等の脂肪族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;ネオペンチルグリコールモノヒドロキシピバレート等のエステルグリコールといったグリコール類を挙げることができる。
アミノ基を2個有する鎖延長剤としては、例えば、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、プロパンジアミン、ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式ジアミン等が挙げられる。
((ポリエステル樹脂))
ポリエステル樹脂としては、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-スルホテレフタル酸カリウム、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。多価カルボン酸は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、p-キシリレングリコール、ビスフェノールA-エチレングリコール付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロールプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。多価ヒドロキシ化合物は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
上記多価カルボン酸の一部としてスルホン酸基含有多価カルボン酸を用いることにより、ポリエステル骨格にスルホン酸基を導入し、中和して親水化した物が好ましく用いられる。このような化合物として、例えば、上記した5-スルホイソフタル酸ナトリウムを用いることができる。スルホン酸基含有多価カルボン酸の量は、多価カルボン酸全体に対し通常1~10モル%、好ましくは2~9モル%である。スルホン酸基を適量導入することで、更に水分散安定性を向上させることができる。
((アクリル樹脂))
アクリル樹脂とは、アクリル系、又はメタクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、更にはアクリル系、又はメタクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
また、上記(メタ)アクリル系(共)重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、アクリル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
上記(メタ)アクリル系(共)重合体以外の他のポリマーとしては、ポリエステル溶液、又はポリエステル分散液中で、炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、又は分散液中で炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれる。
また、樹脂層のポリエステルフィルムに対する密着性をより向上させるために、ヒドロキシ基、アミノ基を含有することも可能である。
上記炭素-炭素二重結合を持つ重合性モノマーとしては、特に限定はしないが、代表的な化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸等の各種カルボキシル基含有モノマー類、及びそれらの塩;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、モノブチルヒドロキシフマレート、モノブチルヒドロキシイタコネート等の各種の水酸基含有モノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートのような各種のアルキル(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、又は(メタ)アクリロニトリル等の種々の窒素含有化合物;N-メチロール(メタ)アクリルアミドなどの水酸基含有の窒素含有化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の各種スチレン誘導体;プロピオン酸ビニルのような各種のビニルエステル類;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の種々の珪素含有重合性モノマー類;燐含有ビニル系モノマー類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の各種のハロゲン化ビニル類;ブタジエン等の各種共役ジエン類が挙げられる。
上記のアクリル樹脂の中では、アクリル系、メタクリル系のモノマーを含む重合性モノマーを重合してなる重合体が好ましく、重合性モノマーがアルキル(メタ)アクリル酸エステル類を含むことがより好ましい。
また、樹脂組成物は、後述するように溶媒で希釈して塗布液とするのが好ましく、かかる溶媒が水を主溶媒(50質量%以上)とするのが好ましい。すなわち、塗布液を水系とした場合に、成分(D)を溶解又は分散しやすくする観点から、重合性モノマーは、水酸基やカルボキシル基などの親水性基を有することが好ましい。
したがって、アクリル樹脂は、アルキル(メタ)アクリル酸エステル類と、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーなどの親水性基含有モノマーとを含む重合性モノマーを重合してなる重合体も好ましい。
アクリル樹脂は、例えば界面活性剤の存在下に重合性モノマーを重合した乳化重合体でもよい。
成分(D)としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂のいずれか1種以上を含むことが好ましく、ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。樹脂層の強度の観点から、ナフタレン骨格を有するポリエステル樹脂を含むことが更に好ましい。
樹脂組成物が成分(D)をさらに含有する場合、その含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、好ましくは1~60質量%、より好ましくは2~30質量%、更に好ましくは2~15質量%の範囲である。成分(D)の含有量が上限値以下であると、帯電防止性が十分となる。一方、成分(D)の含有量が下限値以上であると、樹脂層の強度が十分となる。
(成分(E))
本発明において、樹脂層を形成する樹脂組成物には、樹脂層の耐久性向上を目的として、成分(E)として架橋剤を含有してもよい。
架橋剤としては、種々公知の架橋剤が使用できるが、例えば、メラミン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。これらの中でも空気に曝した後の帯電防止性の低下を抑制する点からメラミン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物が好ましく、樹脂層の強度の観点から、メラミン化合物、エポキシ化合物がより好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用することも可能である。
((メラミン化合物))
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことである。例えばアルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。エーテル化に用いるアルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール及びイソブタノール等が好適に用いられる。
メラミン化合物は、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。更に、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できるし、メラミン化合物の反応性を上げるために触媒を使用することも可能である。
((エポキシ化合物))
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物である。例えばエピクロロヒドリンと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びビスフェノールA等の水酸基やアミノ基含有化合物との縮合物や、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物並びにグリシジルアミン化合物等がある。
ポリエポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
ジエポキシ化合物としては、例えばネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えばアリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル及びフェニルグリシジルエーテル等が、グリシジルアミン化合物としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。
樹脂層のポリエステルフィルムに対する密着性向上の観点から、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。
エポキシ基の量としては、2官能より、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
((カルボジイミド化合物))
カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物である。樹脂層のポリエステルフィルムのより良好な密着性等のために、分子内に2つ以上のカルボジイミド構造を有するポリカルボジイミド化合物がより好ましい。
カルボジイミド化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系のいずれも使用することができる。具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートなどが挙げられる。
カルボジイミド化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、通常100~1000、好ましくは250~800、より好ましくは300~700の範囲である。上記範囲で使用することで、樹脂層の耐久性が向上する。
更に、本発明の主旨を損なわない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキサイド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩及びヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加して用いてもよい。
((オキサゾリン化合物))
オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独重合もしくは他のモノマーとの重合によって合成できる。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン及び2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限はない。例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β-不飽和モノマー類;スチレン、α-メチルスチレン等のα,β-不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上のモノマーを使用することができる。
オキサゾリン化合物は、ポリエチレンオキサイド鎖などのポリアルキレンオキサイド鎖を有してもよく、例えば、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートなどを他のモノマーとして使用してもよい。
樹脂層のポリエステルフィルムに対する密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、好ましくは0.5~10mmol/g、より好ましくは1~9mmol/g、更に好ましくは3~8mmol/g、特に好ましくは4~6mmol/gの範囲である。
((イソシアネート化合物))
イソシアネート化合物とは、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。
イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)及びイソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式イソシアネート等が例示される。
また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物及びカルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。
これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、芳香族イソシアネートよりも脂肪族イソシアネート又は脂環式イソシアネートがより好ましい。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類;フェノール、クレゾール及びエチルフェノールなどのフェノール系化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール及びエタノールなどのアルコール系化合物;イソブチリル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物;ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタムなどのラクタム系化合物;ジフェニルアニリン、アニリン及びエチレンイミンなどのアミン系化合物;アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物;ホルムアルデヒドオキシム、アセトアルデヒドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物が挙げられる。これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
イソシアネート化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート化合物の分散性や架橋性を向上させるという意味において、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
((シランカップリング化合物))
シランカップリング化合物とは、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基などの加水分解基とを有する有機ケイ素化合物である。例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有化合物;p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシランなどのスチリル基含有化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有化合物;トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有化合物などが挙げられる。
樹脂組成物が成分(E)をさらに含有する場合、その含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。成分(E)が上記範囲であることで、樹脂層の耐久性が向上する。
(成分(F))
本発明において、樹脂層を形成する樹脂組成物には、ポリエステルフィルムへの塗布性を改良するため、成分(F)として界面活性剤を含むことが好ましい。
界面活性剤としては、低起泡性で、得られる樹脂層の帯電防止性を阻害しない観点から、特にその構造中にポリアルキレンオキサイド、ポリグリセリン、これらの誘導体から選ばれる1種を有するノニオン性界面活性剤がより好ましく、ポリアルキレンオキサイドを有するノニオン性界面活性剤が更に好ましく、ポリエチレンオキサイドを有するノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
更に、界面活性剤としては、疎水性部分に分岐アルキル基置換アセチレン構造やフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基を有するものがより好ましい。
前記疎水性部分に分岐アルキル基置換アセチレン構造を有するものとしては、例えば、下記式(4)に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
Figure 2023086004000004
上記式(4)中のm及びnはエチレンオキサイドの付加モル数を示す正数である。
上記式(4)において、m+nの平均は、好ましくは1.3以上30以下、より好ましくは2以上20以下、更に好ましくは4以上13以下である。
界面活性剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用することも可能である。
樹脂組成物が成分(F)をさらに含有する場合、その含有量は、樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~15質量%、更に好ましくは2~10質量%の範囲である。成分(F)が上記範囲であることで、良好な塗工性が得られ、樹脂層の透明性を保持し、樹脂層の耐久性が向上する。
(その他成分)
本発明の主旨を損なわない範囲において、上記成分以外にも、反応調整剤、密着強化剤などの添加剤を更に適宜配合してもよい。
(溶媒)
本発明における樹脂組成物は、上記成分(A)~(C)、並びに任意に添加される成分(D)~(F)及びその他成分を含み、該組成物を溶媒で希釈して塗布液とすることが好ましい。すなわち、該樹脂組成物を、液状の塗布液としてポリエステルフィルムに塗布し、必要に応じて乾燥、かつ硬化させて樹脂層を形成させるとよい。なお、樹脂組成物を構成する上記成分(A)~(C)、並びに任意に添加される成分(D)~(F)及びその他成分は、溶媒に溶解させてもよいが、溶媒中に分散させてもよい。
塗布液とした場合、塗布液中における樹脂組成物の全不揮発成分の濃度は、0.1~50質量%であることが好ましい。0.1質量%以上であれば、効率的に所望の厚みの樹脂層を形成することができる。一方、50質量%以下であれば、溶媒に溶解又は溶媒中に分散させやすく、かつ塗工が容易である。以上の観点から、塗布液中における樹脂組成物の全不揮発成分の濃度は0.5~30質量%であることがより好ましく、1~15質量%であることがさらに好ましい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、水及び有機溶剤のいずれも使用することができる。環境保護の観点から、水を主溶媒(50質量%以上)とすることが好ましい。すなわち、本発明における樹脂組成物は、水性塗布液として樹脂層の形成に使用することが好ましい。
水の含有量に関して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であるのがよい。水性塗布液には、少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤の具体的な量は、質量基準で水より少なくするとよいが、例えば、溶媒中の30質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満とするのがよい。
水と併用する有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;エチルセロソルブ、t-ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。
水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にできる場合がある。
上記溶媒として有機溶剤のみを使用する場合、かかる有機溶剤としては、トルエン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン等のケトン類;エタノール、2-プロパノール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類などを挙げることができる。これらは、溶解性、塗布性や沸点等を考慮して単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
樹脂層中には、上記成分(A)~(C)及びその他成分等の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。
<積層ポリエステルフィルムの製造方法(樹脂層の形成方法)>
以下、本発明における樹脂層の形成方法について説明する。
樹脂層の形成方法は特に限定されず、例えば、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
樹脂層の形成方法としては、インラインコーティング及びオフラインコーティングがあり、いずれをも用いることができる。乾燥及び硬化条件に関しては、特に限定されない。例えばオフラインコーティングにより樹脂層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは140~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、インラインコーティングにより樹脂層を設ける場合、通常、70~280℃で3~200秒間を目安として熱処理を行うのがよい。
本発明では、樹脂層は、ポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより形成されるのが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法である。具体的には、ポリエステルを溶融押し出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻き上げ前のフィルムのいずれかにコーティングする。
以下に限定されないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(機械方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングを施した後に、幅方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と樹脂層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがある。また、コーティング後に延伸を行うために、樹脂層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングフィルムに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
また、延伸前にフィルム上に樹脂層を設けることにより、樹脂層をポリエステルフィルムと共に延伸することにより樹脂層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。
更に、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを長手方向及び幅方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、樹脂層の造膜性が向上し、樹脂層とポリエステルフィルムとをより強固に密着させることができる。更に、強固な樹脂層とすることができ、樹脂層上に形成され得る各種の機能層への耐移行性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
オフラインコーティングあるいはインラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
樹脂層の不揮発成分の塗工量(乾燥延伸後)は、好ましくは1~300mg/m、より好ましくは5~150mg/m、更に好ましくは10~75mg/m、特に好ましくは20~50mg/mの範囲である。
樹脂層の塗工量が上記の範囲内であれば、十分な帯電防止性能が得られる。
本発明の積層ポリエステルフィルムの総厚みは、取り扱い性の観点から、350μm以下であることが好ましく、5μm以上350μm以下であることがより好ましく、8μm以上250μm以下であることが更に好ましく、10μm以上200μm以下であることが特に好ましく、12μm以上125μm以下であることがとりわけ好ましい。
<積層ポリエステルフィルムの物性>
本発明の積層ポリエステルフィルムのヘーズは、10.0%以下であることが好ましく、5.0%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることが更に好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。
上記範囲であることで、本発明の積層ポリエステルフィルムを、透明性が必要な用途にも好適に用いることができる。
本発明の積層ポリエステルフィルムの帯電防止性は、ポリエステルフィルム表面に設けた樹脂層表面にて測定した表面抵抗率で評価することができる。
積層ポリエステルフィルム表面(樹脂層表面)の表面抵抗率が低いほど、帯電防止性が良好であるといえる。なお、表面抵抗率は、後述の実施例に記載の方法によって測定できる。
表面抵抗率が1×1012Ω/□以下であれば帯電防止性を持つといえ、1×1010Ω/□以下であれば良好な帯電防止性であるといえ、更に1×10Ω/□以下であればきわめて良好な帯電防止性能といえ好ましい。なかでも、1×10Ω/□未満であれば、とりわけ良好な帯電防止性能といえる。
表面抵抗率の下限値は特にないが、本フィルムの製造に要するコストを勘案すると、1×10Ω/□以上とするのが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムにおいて、前記樹脂層の表面抵抗率をRとし、前記樹脂層表面をキュプラ製不織布で、荷重680gにて5往復摩擦した後の樹脂層の表面抵抗率をRとしたときの、表面抵抗率の比(R/R)は、4.0以下であることが好ましく、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下である。表面抵抗率の比(R/R)の下限は特に限定されないが、例えば、0.1以上である。
なお、積層ポリエステルフィルムの樹脂層表面の摩擦は、ラビングテスターを用いて、後述の実施例に記載の方法で行える。
上記した表面抵抗率の比(R/R)がかかる範囲であれば、摩擦などによる帯電防止性能の低下を抑制することができ、実用上問題なく使用できる。
樹脂層中の上記各化合物及び各成分の分析は、例えばTOF-SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
<<用途>>
本発明の積層ポリエステルフィルムは、優れた帯電防止性及び透明性を有することから、電子部品、ディスプレイやタッチパネル周辺部材の保護フィルムやカバーテープ用途等に好適に使用することができる。ただし、本発明はかかる用途に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない範囲において、以下の実施例に限定されるものではない。
また、本発明で用いた測定法及び評価方法は次の通りである。
<評価方法>
(1)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mLを加えて溶解させ、粘度測定装置(株式会社離合社製「VMS-022UPC・F10」)を用いて、30℃で固有粘度(IV)を測定した。
(2)ポリエステルフィルム中の粒子の平均粒径
透過型電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテク製「H-7650」、加速電圧100kV)を使用して、実施例及び比較例のポリエステルフィルムを観察し、粒子10個の粒径の平均値を平均粒径とした。
(3)塗布液不揮発成分濃度
ハロゲン水分計(メトラー・トレド株式会社製「HR73」)を使用し、105℃、60分の条件で測定した。
(4)樹脂層の塗工量(乾燥延伸後)
塗布液不揮発成分濃度、塗布液消費量から導かれる乾燥前塗工量、横(幅方向)延伸倍率等から計算した。
(5)フィルムヘーズ
ヘーズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製「HM-150」)を使用して、JIS K 7136:2000に準じて測定した。
(6)樹脂層の表面抵抗率
低抵抗率計(日東精工アナリテック株式会社製「ロレスタGP MCP-T600」)に四探針型ESPプローブを使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で、実施例及び比較例で得た積層ポリエステルフィルムを30分間調湿後、樹脂層表面の表面抵抗率を測定した。
なお、抵抗率補正係数(RCF値)は4.235の一定とした。
(7)樹脂層の摩擦処理
ラビングテスター(大平理化工業株式会社製)を用いて、5cm×7cmの平板状の摩擦子に、5cm×10cmで4枚重ねにしたキュプラ製不織布(小津産業株式会社製「ベンコットM-3II」)をたるまないように巻き付け、荷重680gにて、実施例及び比較例で得た積層ポリエステルフィルムの樹脂層表面を5往復(15cm長の範囲)摩擦した後の表面抵抗率を測定した。なお、表面抵抗率の測定方法は、(6)に記載のとおりである。
(6)で求めた樹脂層の表面抵抗率をRとし、摩擦処理した後の樹脂層の表面抵抗率をRとしたときの、表面抵抗率の比(R/R)を算出し、耐摩擦性とした。
(8)フッ素樹脂粒子又はシリカ粒子の平均粒径
動的光散乱法による粒度分布計(大塚電子株式会社製「ELSZ-2000ZS」)を用い、試料を最適光量が得られるよう純水で濃度を調整して、平均粒径を測定した。本発明における粒径は、このようにして測定した累積体積50%における粒径(D50)である。
<使用した材料>
実施例及び比較例で使用したポリエステルフィルムのポリエステル原料は次のとおりである。
[ポリエステル(1)]
実質的に粒子を含有しない、固有粘度0.64dL/gのポリエチレンテレフタレート
[ポリエステル(2)]
平均粒径2.4μmの非晶質シリカを0.2質量%含有する、固有粘度0.65dL/gのポリエチレンテレフタレート
樹脂層を形成するための樹脂組成物の各構成成分としては下記を用いた。
(成分(A))
A1:導電剤「AS-G1」(信越ポリマー株式会社製、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸を主な成分とする)を濃アンモニア水で中和してpH=9とした。
(成分(B))
B1:式(3)で平均n=4であるポリグリセリン
B2:式(3)で平均n=2であるポリグリセリン骨格にポリエチレンオキサイドが平均4分子付加した化合物
Figure 2023086004000005

B3:ソルビトール
(成分(C))
C1:平均粒子径119nmのFEP粒子水分散物(ダイキン工業株式会社製「ネオフロン FEP ND-110」)
C2:平均粒子径168nmのPTFE粒子水分散物(ダイキン工業株式会社製「ポリフロン PTFE D-210C」)
なお、平均粒子径はいずれも上記(8)の方法で測定した値である。
(成分(D))
D1:下記の組成で共重合したポリエステル樹脂水分散体
モノマー組成:
(酸成分)2,6-ナフタレンジカルボン酸/5-スルホイソフタル酸ナトリウム=92/8(モル比)
(ジオール成分)エチレングリコール/ジエチレングリコール=80/20(モル比)
(成分(E))
E1:ポリメチロール化メラミン
E2:ポリグリセリンポリグリシジルエーテル
(成分(F))
F1:式(4)において、m+nの平均が10である、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤
Figure 2023086004000006

F2:疎水性基に分岐パーフルオロアルケニル基、親水性基にポリエチレンオキサイド鎖(平均鎖長8単位)を有する構造のフッ素系ノニオン性界面活性剤
(比較成分(G))
G1:平均粒子径67nmの球状シリカ粒子
なお、平均粒子径は上記(8)の方法で測定した値である。
(実施例1)
ポリエステル(1)とポリエステル(2)とを重量比で92/8でブレンドしたものをA層、及びポリエステル(1)のみをB層の原料として、押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して最外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A/B/A)の層構成で、押出条件で厚み構成比がA/B/A=5/90/5となるよう共押出し、表面温度40~50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させ、未延伸フィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸延伸のフィルムとした。この一軸延伸のフィルムの片面に、下記表1に示す組成の樹脂組成物1(塗布液、不揮発成分濃度4.4質量%)を塗布し、次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、100℃で幅方向に4.3倍延伸し、更に230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、乾燥後の塗工量が46mg/mの樹脂層を有する、厚み50μmの二軸延伸のフィルムとし、実施例1の積層ポリエステルフィルムを得た。この積層ポリエステルフィルムの評価結果を下記表2に示す。
(実施例2~6、比較例1~2)
樹脂層を形成するための樹脂組成物を表1に示す組成に変更する以外は、実施例1と同様に実施して実施例2~6及び比較例1~2の積層ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2023086004000007
Figure 2023086004000008
本発明の実施例1~6で得られた積層ポリエステルフィルムは、優れた帯電防止性及び透明性(低いヘーズ値)を有し、特に摩擦による帯電防止性能の低下を抑制できていた。実施例1~6と比較して、成分(C)のフッ素樹脂粒子が未添加の比較例1や、フッ素樹脂粒子の代わりにシリカ粒子を添加した比較例2は、耐摩擦性の点で劣っていた。
したがって、本発明の積層ポリエステルフィルムは、優れた帯電防止性及び透明性を具備しながら、耐摩擦性にも優れており、フィルムが本来有する優れた帯電防止性能を発現、維持させることができるため、産業上の利用価値は高い。

Claims (10)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に、下記成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有する樹脂組成物から形成された樹脂層を有する、積層ポリエステルフィルム。
    成分(A):(a1)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物に他の陰イオン化合物によりドーピングされた重合体及び(a2)チオフェン又はチオフェン誘導体からなる化合物中に陰イオン基を持ち自己ドープされた重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種
    成分(B):グリセリン、ポリグリセリン、該グリセリン又は該ポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物、並びに糖アルコール及び糖アルコール縮合物からなる群から選ばれる少なくとも1種
    成分(C):フッ素樹脂粒子
  2. 前記成分(B)が、糖アルコールを含む、請求項1に記載の積層ポリエステルフィルム。
  3. 前記成分(C)のフッ素樹脂粒子が、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びポリテトラフルオロエチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の積層ポリエステルフィルム。
  4. 前記成分(C)のフッ素樹脂粒子の平均粒径が10~1000nmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 前記成分(C)のフッ素樹脂粒子の含有量が、前記樹脂組成物中の全不揮発成分に占める割合として、0.1~20質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  6. 前記樹脂組成物が、成分(D)としてバインダー樹脂をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  7. 前記成分(D)のバインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載の積層ポリエステルフィルム。
  8. ヘーズ値が1.0%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  9. 前記樹脂層表面にて測定した表面抵抗率が、1×10Ω/□未満である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
  10. 前記樹脂層の表面抵抗率(R)と、前記樹脂層表面をキュプラ製不織布で荷重680gにて5往復摩擦処理した後の該樹脂層の表面抵抗率(R)との比(R/R)が、4.0以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層ポリエステルフィルム。
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