JP5306517B1 - 撥水性の貼付材 - Google Patents

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Abstract

【課題】通気性で、撥水性が高く、自背面接着性が良好であるとともに、接着力があり、かつ、剥離時の皮膚刺激が少ない、テーピングテープ等の用途に適する貼付材を提供すること。
【解決手段】フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上である撥水性の貼付材及びその製造方法、撥水性のロール状貼付材、並びにテーピングテープ。
【選択図】なし

Description

本発明は、通気性があり、撥水性が高く自背面接着性が良好な貼付材、特にテーピングテープ用途に用いられる撥水性の高い貼付材に関する。
粘着テープ等の支持体と粘着剤層を備える貼付材は、その粘着力を利用して、絆創膏、経皮吸収貼付材、サージカルドレッシングやサージカルドレープ等の外科用粘着テープ、または治療用粘着テープなどの医療用粘着製品として用途展開がされている。また、関節、筋肉、靱帯または腱などの軟部生体組織の固定を目的に作られた医療用またはスポーツ用の貼付材として、テーピングテープが知られている。
テーピングテープは、従来、大部分が通常綿で構成されるので、外部から侵入した水によって一旦濡れてしまうと、乾きが遅いため不快感を伴い、また、水分を含有して重くなるなど、ユーザーの使用感が損なわれることがあった。
撥水剤によって撥水処理されたテーピングテープが知られている。特許文献1には、撥水処理剤による撥水処理が施された繊維により形成された基材の一面に粘着剤層が積層された、救急絆創膏、粘着テープまたはシートが開示されており、撥水処理剤として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルミニウムまたはジルコニウム含有パラフィン、エチレン尿素、N−メチロール脂肪酸アミド等が開示されている。また、特許文献2には、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤、ワックス系撥水剤、ジルコニウム系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤、メチロールアミド系撥水剤、ピリジニウム塩系撥水剤等、好ましくはパラフィンワックスによって、基材を撥水加工したキネシオロジーテープ等の通気性粘着テープが開示されている。
しかし、従来の撥水処理されたテーピングテープ等の貼付材は、必ずしも撥水性が良好といえる水準ではなかった。また、従来使用されている撥水剤は、剥離剤としても機能するものが多い。したがって、撥水処理に使用する撥水剤の量を多くすると、支持体の撥水性は上がるものの、貼付材同士の重ね貼り性(自背面接着性)が低下するうえ、粘着剤層を形成する粘着剤の支持体への浸入、絡み合い、密着度合い等の投錨性が悪くなることがあった。
高い撥水性を持たせ、かつ、自背面接着性や、粘着剤の支持体に対する投錨性を良好なものとするためには、粘着剤の粘着力を強くする方法や、支持体の片面のみに撥水処理を行う方法が考えられる。しかし、粘着剤の粘着力を強いものにすると、指に対する付着力が強くなるため取扱い性が悪くなったり、さらに、皮膚から剥離するときに痛みが増大したり、皮膚剥がれが生じたりするなどの問題が発生することがあった。また、支持体の片面にのみ撥水処理を行うと、支持体の撥水処理を行っていない側の面や側面から水が入り込み、撥水性が損なわれるという問題が発生することがあった。
また、テーピングテープ等の貼付材においては、運動などを行うときに、貼付部位が蒸れないようにするため、通気性を有する貼付材であることが求められる。しかし、支持体と粘着剤層の両方が通気性である場合は、外部から水を吸い込みやすく、撥水性が損なわれることがあった。
そこで、テーピングテープ等の用途に使用される貼付材において、通気性で、撥水性が高く、自背面接着性が良好であるテーピングテープ等の用途に適する貼付材が望まれていた。
実公平2−13462号公報 特開2008−38021号公報
本発明の課題は、テーピングテープ等の用途に使用される貼付材において、通気性で、撥水性が高く、自背面接着性が良好であるテーピングテープ等の用途に適する貼付材を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決することについて鋭意研究した結果、支持体としてフッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛を採用し、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を形成する粘着剤を通気性処理、好ましくは発泡処理してなる撥水性の貼付材とすることで、上記課題を解決することができることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明者らによれば、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、
(i)該支持体が、パッドニップ法によりフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られ、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、イソシアネートを含有する撥水剤を除くものであり、
(ii)該布帛からなる支持体に含有されるフッ素樹脂量が、1.0〜4.1g/mであり、
(iii)該粘着剤層が、粘着剤層を形成する粘着剤を通気性処理してなる、通気性を有する粘着剤層であり、
(iv)該粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、またはゴム系の、樹脂またはゴム成分を含有する粘着剤であり、
(v)該貼付材のスプレー法による撥水度が5級であり、かつ、
(vi)該貼付材のIPA法による撥水度が9級以上である
ことを特徴とする撥水性の貼付材が提供される。
本発明によれば、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、
(i)該支持体が、パッドニップ法によりフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られ、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、イソシアネートを含有する撥水剤を除くものであって、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、パーフルオロオクタン酸が5ppm以下のC6系のフッ素樹脂系撥水剤であり、
(ii)該布帛からなる支持体に含有されるフッ素樹脂量が、1.1〜4.1g/m であり、
(iii)該粘着剤層が、粘着剤層を形成する粘着剤を通気性処理してなる、通気性を有する粘着剤層であり、
(iv)該粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系の樹脂を含有する粘着剤であり、
(v)該貼付材のスプレー法による撥水度が5級であり、
(vi)該貼付材のIPA法による撥水度が9級以上であり、かつ、
(vii)該貼付材の、JIS P8117に準拠してガーレー式デンソメーターにより測定される通気度が、10秒/100mL未満である
ことを特徴とする撥水性の貼付材が提供される。
また、本発明者らによれば、以下の態様の貼付材が提供される。
(1)フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、
スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上である
ことを特徴とする撥水性の貼付材。
(2)粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系粘着剤である前記1記載の撥水性の貼付材。
(3)発泡処理して得られる粘着剤層を備える前記1または2記載の撥水性の貼付材。
(4)支持体が、処理濃度4〜12質量%に調製したフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られる前記1乃至3のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材。
(5)布帛からなる支持体に含有されるフッ素樹脂量が、0.5〜4.5g/m である前記1乃至4のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材。
(6)支持体が、パッドニップ法によりフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られる前記1乃至5のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材。
(7)JIS P8117に準拠してガーレー式デンソメーターにより測定される通気度が、10秒/100mL未満である前記1乃至6のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材
さらに、本発明によれば、フッ素樹脂系撥水剤で織布または編布の布帛を処理して支持体を得る工程、及び、粘着剤層に通気性を付与する工程を含む前記の撥水性の貼付材の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記の撥水性の貼付材から形成される撥水性のロール状貼付材が提供され、その実施の態様として、剥離紙を備えない撥水性のロール状貼付材、及び、テーピングテープ用である撥水性のロール状貼付材が提供される。
またさらに、本発明によれば、前記の撥水性の貼付材または撥水性のロール状貼付材から形成されるテーピングテープが提供される。
本発明によれば、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上であることを特徴とする撥水性の貼付材であることによって、テーピングテープ等の用途に使用される貼付材において、通気性で、撥水性が高く、自背面接着性が良好であるテーピングテープ等の用途に適する貼付材が提供されるという効果を奏する。
本発明の撥水性の貼付材は、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上であることを特徴とする撥水性の貼付材である。
1.支持体
本発明の撥水性の貼付材は、支持体が、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体である。
(1)布帛
本発明の撥水性の貼付材における支持体として使用することができる布帛は、織布または編布であり、撥水性及び通気性をバランスよく備えることができる観点から、好ましくは織布である。一般に、貼付材の支持体としては、プラスチックフィルム、布帛(織布、編布、不織布等)、紙、発泡体、またはこれらを複合化した多層シートなどが用いられてきた。テーピングテープ等の用途に適する貼付材としては、貼付材を手や足等に周回して巻くことが多いため、柔軟性、伸縮性、手切れ性、自背面接着性等の特性を持つ柔軟性のある支持体が好ましく用いられる。本発明においては、織布または編布の布帛が使用され、特に好ましくは、織布が使用される。ここで、「手切れ性」とは、貼付材を長手方向または短手方向に手で簡単に切断できる性能をいう。また、「自背面接着性」とは、「重ね貼り性」ともいい、貼付材の自己の背面に接着する性能をいう。例えば、腕や足等を周回して貼付材を巻きつけるときや、肘や膝の動きをサポートまたは制限するときに、貼付材が重ね貼りされる場合がある。このとき、貼付材の自背面接着性が低いと剥がれが生じやすくなるので、テーピングテープ等の用途の場合は、貼付材の自背面接着性が良好であることは、重要な性能の一つとなっている。
織布または編布の布帛の材料は、特に限定されず、綿、レーヨン等のセルロース系繊維;ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の合成繊維;などを使用することができ、また、これらの材料を単独で、または組み合わせて使用することができる。さらに、弾性繊維、非弾性繊維またはこれらを組み合わせて使用することができる。
柔軟性、伸縮性、手切れ性、自背面接着性及び通気性の観点から、織布または編布の布帛として、好ましくは、経糸の一部または全てにセルロース系繊維と弾性繊維との複合糸を配した織布、経糸にセルロース系繊維糸のS撚り強撚糸とZ撚り強撚糸とを一本ずつ交互に配した織布などが挙げられる。セルロース系繊維とは、綿、ビスコースレーヨン、ポリノジック繊維等である。セルロース系繊維と弾性繊維との複合糸とは、セルロース系繊維と弾性を有する繊維(例えば、ポリエーテル系ポリウレタン繊維、ポリエステル系ポリウレタン繊維、合成ゴム繊維)との交撚糸、カバード糸、コアスパン糸等を意味し、これらの中でも、セルロース系繊維とポリエーテル系ポリウレタン繊維とのコアスパン糸(ポリウレタン繊維に綿糸を巻きつけた糸。「CSY」ということがある。)が好ましいが、これに限定されるものではない。セルロース系繊維と弾性繊維の混用率は、セルロース系繊維85〜98質量%が好ましく、90〜96質量%がより好ましい。
織布の緯糸は、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維等のいわゆる合成繊維;綿、レーヨン等のセルロース系繊維;等いずれの繊維の糸でもよい。例えば、コアスパン糸を用いた織布の場合であれば、経糸には8〜60番手のコアスパン糸を16〜48本/インチの密度で配し、緯糸には6〜30番手の綿糸を40〜80本/インチの密度で配してあるものを使用することができる。テーピングテープ用途としては、腕や足の固定性を向上させるために布帛は2方向伸縮性よりも1方向伸縮性であることが好ましい。
布帛は、長手方面に手で引き伸ばしたときに、50〜150%伸張時までに伸びどまりがあることが好ましく、60〜120%伸張時までに伸びどまりがあることがより好ましい。布帛が編布である場合は、経編の編布とすれば、この特性を満足させることができる。「伸びどまり」とは、手で貼付材を長手方向に強く引張ったときに、貼付材の伸張が限界に達し、それ以上伸張できない状態であることをいい、伸張前の貼付材の長手方向の長さを100%とし、伸張が限界に達したときの貼付材が伸張した長さをいう。例えば、「伸びどまり」が100%であれば、伸張前の貼付材の長さに対して、2倍に引き伸ばされて限界に達することを示す。
フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛(以下、単に「布帛」ということがある。)からなる支持体を備える貼付材が高い撥水性を有するものとするために、布帛は、光で透かしたときに糸と糸の間に形成される開口が認められないことが好ましいが、開口の面積が0.3mm以下程度の大きさであれば、撥水性に影響がない。
布帛の厚みは、特に限定されないが、柔軟性、伸縮性、手切れ性等の観点から、好ましくは100μm〜10mm、より好ましくは500μm〜7mm、更に好ましくは1〜5mmの範囲である。特に、テーピングテープ用の貼付材においては、最も好ましくは2〜4mmの範囲のものを使用することができる。布帛の厚みは、糸の太さや打込本数により調整することができる。
布帛のエッジ部には、糸のほつれが生じないような加工を施してもよい。また、加熱や加圧によりエッジ部を布帛の中央部分よりも薄くすることや、ロックステッチなどの加工処理を行ってもよい。
(2)フッ素樹脂系撥水剤による布帛の処理
従来、布帛を撥水処理して支持体を得るために使用する撥水処理剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、パラフィン系樹脂等が知られている。本発明では、フッ素樹脂系撥水剤によって布帛に対する撥水処理を行う。すなわち、従来汎用されてきたシリコーン樹脂系等の撥水剤は、剥離剤としても知られるとおり、布帛に対して防水性を付与するために撥水処理剤の処理濃度を高くすると、支持体に対する粘着剤の投錨性が悪くなり、更に自背面接着性が低下する傾向があることが分かった。これに対して、フッ素樹脂系撥水剤を、布帛に対する撥水処理剤として使用すると、布帛に対する撥水処理を、防水の機能を持つほど高処理濃度のフッ素樹脂系撥水剤で処理する場合でも、自背面接着性が良好であり、支持体に対する粘着剤の投錨性にも優れているという顕著な効果が奏されることが分かった。また、後に詳述するように、発泡処理して得られた粘着剤層を備える貼付材等の通気性を有する貼付材を得るために、粘着剤に通気性を付与する工程を含む貼付材の製造方法においても、撥水性が良好であるという顕著な効果が奏されることが判明した。
また、本発明のフッ素樹脂系撥水剤で処理した布帛からなる支持体を備える貼付材を腕などに巻きつける場合、自身の貼付材上に貼付材を重ね貼りした部位を指で軽く押し込めば、更に重ね貼り性が良好になるという顕著な効果が奏されることも判明した。さらに、本発明の貼付材を、自背面に接着するようにロール状に巻いて形成したロール状貼付材においては、支持体表面のフッ素樹脂系撥水剤が、剥離剤として機能するために、剥離力が軽くなり、ロール状に巻き取られた状態からの貼付材の解きほぐしが良好であるという顕著な効果が奏されることが判明した。フッ素樹脂系撥水剤で布帛を処理するとき、シリコーン樹脂系等の他の撥水剤と比較して顕著な効果が奏される詳細な機構は不明であるが、発泡処理等の通気性を付与する工程において、粘着剤が支持体の凹凸部や繊維の間隙に入り込むなどの物理的機構のほかに、フッ素樹脂系撥水剤自体の物理化学的な構造が、その他の撥水処理剤と比べて特殊であることに起因するのではないかと推察される。
布帛を撥水処理するために使用されるフッ素樹脂系撥水剤としては、生体蓄積性への懸念等から各国で削減努力が進んでいるPFOA(C8系:パーフルオロオクタン酸)を極力少なくした(5ppm以下)C6系のフッ素樹脂系撥水剤を使用することが好ましく、例えば、旭硝子株式会社製のアサヒガード(登録商標)AG−E082や日華化学株式会社製のNKガード(登録商標)S−02などが市販品として挙げられる。本発明では、フッ素樹脂系撥水剤が、イソシアネートを含有する撥水剤を除くものであって、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、パーフルオロオクタン酸が5ppm以下のC6系のフッ素樹脂系撥水剤である。
布帛を処理するために使用するフッ素樹脂系撥水剤は、通常、溶剤で希釈したフッ素樹脂系撥水剤の溶液の状態で使用するものであって、好ましくは、処理濃度(すなわち、フッ素樹脂系撥水剤の溶液中のフッ素樹脂系撥水剤の濃度)4〜12質量%(例えば、フッ素樹脂系撥水剤中の固形分が20質量%である場合、フッ素樹脂系撥水剤の溶液中の固形分は0.8〜2.4質量%となる。)、より好ましくは4.2〜11質量%、更に好ましくは4.4〜10.5質量%の範囲となるように調製したフッ素樹脂系撥水剤の溶液として、例えば、水や水−アルコール等の溶剤で8.3〜25倍の希釈倍率に希釈した状態で、好ましくは精製水で希釈した水溶液の状態で使用する。処理濃度(及び、フッ素樹脂系撥水剤の溶液中のフッ素樹脂濃度)が低すぎる場合には、支持体及び貼付材の撥水性が不十分であることがある。処理濃度が高すぎる場合には、支持体及び貼付材の撥水性は良好であるものの、自背面接着性が低下する傾向にある。例えば、フッ素樹脂系撥水剤の処理濃度が50質量%であるようにフッ素樹脂系撥水剤の溶液を調製すると、貼付材の自背面接着力が、処理濃度が10質量%のときと比較して約半分以下に低下することが分かった。また、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上である貼付材を得るためには、上記のような処理により、布帛からなる支持体に含有されるフッ素樹脂量が、好ましくは0.5〜4.5g/m、より好ましくは0.8〜4.3g/m、更に好ましくは1〜4.1g/mとなるようにするとよい。本発明では、1.1〜4.1g/mである。支持体に含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の布帛の質量から計算できる。なお、フッ素樹脂系撥水剤を使用して撥水処理することによって、布帛の凹凸に変化はみられない
布帛の撥水処理は、布帛をフッ素樹脂系撥水剤の溶液に浸漬するパッドニップ法により処理することが好ましい。具体的には、布帛をフッ素樹脂系撥水剤の溶液、好ましくは水溶液に、温度4〜30℃、好ましくは5〜25℃、より好ましくは常温で、適宜の時間、浸漬する処理を施した後、余分な液を絞って除去し、温度150℃以上、好ましくは150〜200℃の温度で、乾燥させてフッ素樹脂系撥水剤で撥水処理された布帛からなる支持体を得ることができる。
(3)その他の処理等
本発明の貼付材の支持体には、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば、紫外線吸収剤、抗菌剤、老化防止剤、充填剤、顔料、香料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤(アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)などを含有させることができる。これらの添加剤は、布帛を形成する繊維に配合してもよいし、布帛の表面処理を行う際に添加や塗布を行ってもよく、貼付材の通気性を損なわない限り、その種類に応じて通常の量で用いられる。また、本発明の貼付材の支持体には、布帛に対して親和性や接着性がある合成樹脂を含浸させてもよい。該合成樹脂としては、例えばアクリル系樹脂が挙げられる。
2.粘着剤層
本発明の貼付材は、フッ素樹脂系撥水剤で処理した布帛からなる支持体、及び、粘着剤層を備える通気性を有する貼付材である。
(1)粘着剤
粘着剤層を形成する粘着剤は、皮膚刺激性が低いものであれば特に制限はなく、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系、ポリ酢酸ビニル系などの、樹脂またはゴム成分を含有する粘着剤を使用することができる。本発明では、アクリル系の脂を含有する粘着剤である。これらの粘着剤の中でも、アクリル系樹脂からなるアクリル系粘着剤;ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン等のウレタン系粘着剤;オルガノポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン等のシリコーン系粘着剤;ポリイソブチレン、ブチルゴム、スチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)やSBRの水素添加物等のゴム系粘着剤;が好ましく用いられる。アクリル系粘着剤が、粘着性及び皮膚刺激性の観点から、特に好ましい。
アクリル系粘着剤に含有されるアクリル系樹脂としては、炭素数が1〜15、好ましくは1〜12、より好ましくは8〜12の範囲内であるアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合体、または、2種以上の該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、あるいは、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種以上と、これと共重合可能な他のモノマーの1種以上とを共重合してなる共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を総称する表現である(以下、同様である。)。
前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル;等が挙げられる。好ましくは、アクリル酸イソノニルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有単量体;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有単量体;アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸エトキシジエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステル;N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有単量体;グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;スチレン等のビニル芳香族化合物;塩化ビニル;ビニルピロリドン等のビニル系単量体;などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマーとして、特に好ましいのは、アクリル酸または酢酸ビニルである。
アクリル系樹脂において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65〜99質量%、更に好ましくは70〜99質量%の割合で用いられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマーは、通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35〜1質量%、更に好ましくは30〜1質量%の割合で用いられる。アクリル系樹脂は、特に製造方法が限定されず、一般に採用される溶液重合法、懸濁重合法または乳化重合法により製造することができる。
(2)粘着付与剤
粘着剤層を形成する粘着剤には、粘着特性を調整するために、所望により、粘着付与剤を配合することができる。粘着付与剤としては、例えば、テルペン系、テルペンフェノール系、クマロンインデン系、スチレン系、ロジン系、キシレン系、フェノール系、石油系などの粘着付与樹脂を挙げることができる。また、アクリル系粘着剤には、必要に応じて、さらに、ポリイソシアネート、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、過酸化物、金属キレート化合物等の架橋剤;薬剤、軟化剤、充填剤、酸化防止剤、抗菌剤、着色剤などの添加剤を配合することができる。粘着付与剤は、多くの場合、粘着剤に含有されるアクリル系樹脂等の樹脂100質量部に対して、20質量部以下、好ましくは15質量部以下を用いることができる。また、添加剤は、同じく10質量部以下、より好ましくは0.01〜5質量部、添加剤の種類によっては、更に好ましくは0.02〜2質量部の割合で用いることができる。
(3)支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層
本発明の貼付材における粘着剤層は、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層である。従来、支持体と粘着剤層を備える貼付材においては、必要または所望により、粘着剤層を、支持体の全面に設けず、格子状、縞状または点状等、一部分にパターン状に設けることがあった。しかし、本発明の貼付材において、粘着剤層が、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層でない場合には、粘着剤層で覆われていない部位から水が侵入したり、水分が透過したりして、貼付材としての防水性が低下するおそれがある。したがって、粘着剤層を形成する樹脂またはゴム成分を、通常5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは15〜45質量%含有する溶液またはエマルションを支持体の全面を覆うことができるように適用することが必要である。溶液またはエマルションを形成する溶媒または分散媒は、水または有機溶剤を使用することができ、有機溶剤としては、ヘキサン、トルエン、酢酸エチル等を使用することができる。粘着剤層は、支持体の片面に、すなわち、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面のみに形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層として設ければよい。また、粘着剤層は、必要に応じて支持体の両面に設けることもできる。粘着剤層を支持体の両面に設ける場合は、支持体の皮膚と接触しない側に設ける粘着剤層は、通常皮膚に接する側に設ける粘着剤層より薄くし、また、支持体の全面に塗工を行わず、パターン塗工や、線塗工を行ってもよい。皮膚と接触しない側の粘着剤層は、支持体の中央部またはエッジ部に設けることで、自背面接着性を向上させることができる。
3.通気性を有する貼付材
本発明の貼付材は、通気性を有する貼付材である。本発明の貼付材は、特に好ましくはJIS P8117に準拠してガーレー式デンソメーターにより測定される通気度が、10秒/100mL未満である通気性を有する、撥水性の貼付材である。貼付材の通気性の測定は、それ自体は公知のものであり、JIS P8117に準拠してガーレー式デンソメーターにより測定される貼付材の通気度が60秒/100mL未満であれば、通気性を有する貼付材であると評価することができる。貼付材の通気度は、好ましくは50秒/100mL未満、より好ましくは20秒/100mL未満、特に好ましくは10秒/100mL未満であり、最も好ましくは2秒/100mL未満である。本発明の貼付材の通気度は、特に下限がないが、通常0.05秒/100mL以上、多くの場合0.1秒/100mL以上、ほとんどの場合0.2秒/100mL以上である。通気度の測定方法は、具体的には、以下のとおりである。すなわち、貼付材を5cm×5cmの大きさに裁断し締付板(土台)に貼付する。締付板を透過する面積は645.16mmとする。ガーレー式デンソメーターの内側シリンダーを引き出し、ストッパーにセットした後、締付板の間に貼付材の試験片を締め付ける。内側シリンダーを静かに下降させ、100mLの空気量が通過する秒数を測定して得たn=3の平均値に基づく貼付材の通気度を、貼付材の通気度(秒/100mL)とする。簡便のために、小数点以下を四捨五入してもよい。
本発明の貼付材において、支持体は、織布や編布の布帛を用いるため、通気性があることは自明なので、本発明の貼付材は、実質的に、粘着剤層が、通気性を有する粘着剤層である点に特徴を有する。本発明の貼付材は、通気性を有する粘着剤層を備えることにより、貼付材による皮膚の蒸れを抑えることができる。また、通気性を有する粘着剤層はクッション性が良好であり、皮膚に対する追従性が向上して、皮膚への密着性が良好となる。
本発明における通気性を有する粘着剤層は、例えば、以下の方法で得ることができる。具体的には、1)粘着剤(有機溶剤で希釈した粘着剤溶液、あるいは水性エマルション状態の粘着剤など)、または、必要に応じて空気、窒素ガス、炭酸ガス等の物理的発泡剤や分解型の化学発泡剤を混合した粘着剤を、工程紙に塗工し、または、あらかじめ水溶液や有機溶剤を塗布若しくは散布した工程紙に前記粘着剤を塗工し、次いで、加熱を行って、発泡または気化作用を利用する発泡処理による方法、2)塗工後の未乾燥の粘着剤表面に霧状の水分を塗布または噴霧した後、110〜150℃、好ましくは120〜140℃に、通常2〜60分間、好ましくは3〜50分間、より好ましくは5〜40分間加熱して、微細な孔を形成する方法、3)粘着剤を糸状・繊維状に剥離紙上に吐出する方法、などにより、粘着剤層中に多数の微細な孔を有する粘着剤層が形成される。微細かつ均一な孔を形成することができる観点から、より好ましくは1)の発泡処理して粘着剤層を得る方法であり、簡便な方法は2)の水分の塗布または噴霧による方法である。通気性を有する粘着剤層は、発泡倍率が、通常1.1〜10倍、好ましくは1.2〜8倍、より好ましくは1.5〜6倍、更に好ましくは2〜5倍の範囲であり、密度が、通常0.1〜0.9g/cm、好ましくは0.12〜0.8g/cm、より好ましくは0.15〜0.6g/cm、更に好ましくは0.2〜0.5g/cmの範囲である。通気性を有する粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常10〜200μm、好ましくは15〜150μm、より好ましくは20〜100μmの範囲である。なお、粘着剤の塗布量は、30〜100g/m程度が好ましい。
すなわち、本発明では、粘着剤層が、粘着剤層を形成する粘着剤を通気性処理してなる、通気性を有する粘着剤層である。
4.撥水性の貼付材
本発明の通気性の貼付材は、撥水性が高い貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上、好ましくは10級以上、より好ましくは11級以上であることを特徴とする。従来、支持体と粘着剤層とを備える貼付材において、粘着剤層を通気性を有するものとすると、外部からの水が侵入しやすくなったが、本発明の通気性の貼付材は、支持体が強撥水のものであることによって、貼付材が、高い撥水性を有することができる。すなわち、本発明の貼付材は、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上であることにより、通気性を有しながら高い防水性を有するとともに、優れた粘着性を有することができる。
〔撥水度(スプレー法)〕
本発明の撥水性の貼付材は、スプレー法による撥水度〔以下、「撥水度(スプレー法)」ということがある。〕が5級である。スプレー法による撥水度は、JIS L1092に定める撥水度試験(スプレー試験)に準拠して測定し評価するものである。具体的には、貼付材から、剥離紙がある場合は剥離紙を剥がした後、長さ20cm及び幅20cmの大きさに裁断して、試験片を調製し、支持体の側からスプレー試験を行って、試験片の撥水度(スプレー法)を測定する。撥水度(スプレー法)は、1級〜5級の範囲で比較見本(写真)と比べて評価し、級の数値が大きいものが撥水性が高い。n=3の試験片の撥水度(スプレー法)の平均値を求め、小数点以下を切り上げた値を用いて、以下の基準に従い、貼付材の撥水度(スプレー法)を評価する。本発明の撥水性の貼付材は、撥水度(スプレー法)の評価が、「○」のものである。なお、長さ20cm及び幅20cmの試験片が確保できない場合は、長さ20cm及び幅5cmの試験片を5本とり、幅方向(短い幅)を1cm程度重ねて貼付して略長さ20cm及び幅20cmの試験片とし、重ねて貼付した部分以外の箇所について撥水度(スプレー法)の評価をする。
○: 撥水度(スプレー法)が、5級
△: 撥水度(スプレー法)が、3級または4級
×: 撥水度(スプレー法)が、1級または2級
〔撥水度(IPA法)〕
本発明の撥水性の貼付材は、IPA法による撥水度〔以下、「撥水度(IPA法)」ということがある。〕が9級以上である。IPA法による撥水度試験は、イソプロピルアルコール(IPA)と水を混合した標準液を使用する撥水度試験である。具体的には、IPAと水を、表1に示す所定の容積比で混合して調製した1級〜12級の標準液を試験液として、スポイト等を使用して、試験片の支持体の上に1滴落とし、30秒間経過後の試験液の試験片への染み込みの有無を調べる。染み込みがなかった試験液である標準液の最大の級数を、その試験片の撥水度(IPA法)とする。n=3の平均値を求め、小数点以下を切り上げた値を用いて、貼付材の撥水度(IPA法)とする。撥水度(IPA法)が大きいものが撥水性が高い。
Figure 0005306517
〔防水性〕
本発明の貼付材の防水性は、以下の方法によって評価することができる。すなわち、貼付材から、剥離紙がある場合は剥離紙を剥がした後、長さ100mm及び幅50mmの大きさに裁断して試験片を調製する。試験片より十分大きなベークライトパネルの略中央に、pH試験紙を配置し、その上から試験片がpH試験紙を完全に覆うようにして、ベークライトパネルに試験片を貼付する。試験片を貼付したベークライトパネルを、温度37℃に保った温浴に浸漬し、30分間経過後及び3時間経過後に、ベークライトパネルを取り出し、試験片を剥がして、pH試験紙が水で濡れているか否かにより、以下の基準に従って試験片の防水性〔防水性(30分間)及び防水性(3時間)〕を判定する。n=3で試験を行い、n=2以上の結果を用いて、貼付材の防水性〔防水性(30分間)及び防水性(3時間)〕を評価する。すなわち、3つの試験片のうち、2つ以上の試験片の判定結果が、「○」である場合、貼付材の防水性を「○」と評価し、該貼付材は防水性があると評価することができる。
○: pH試験紙が、水で濡れていない
×: pH試験紙が、水に濡れて変色した
〔投錨性〕
本発明の貼付材は、粘着剤層を形成する粘着剤の支持体に対する投錨性(以下、「貼付材の投錨性」、または、単に「投錨性」ということがある。)が優れる。貼付材の投錨性は、以下の方法によって評価する。すなわち、貼付材から、剥離紙がある場合は剥離紙を剥がした後、長さ50mm及び幅30mmの大きさに裁断して試験片を調製し、貼付材の粘着剤層同士を貼り合せ、次いで、手で勢いよく剥がしたときの支持体と粘着剤層との剥離状態により、以下の基準で判定し、n=3で試験を行い、n=2以上の結果を用いて、評価する。
○: 支持体と粘着剤層との界面剥離が全くみられなかった(密着性良好)。
△: 支持体と粘着剤層とが界面剥離しなかったが、界面剥離がみられた箇所の合計面積が試験片の面積に対して10%以内である(使用上問題ない水準)。
×: 支持体と粘着剤層とが界面剥離した(密着性不良)。
〔自背面接着力〕
本発明の貼付材は、優れた粘着性を有し、自背面接着力が、好ましくは2.5N/25mm以上、より好ましくは3N/25mm以上である。なお、本発明の貼付材の自背面接着力は、上限が特にないが、通常8N/25mm以下、多くの場合6N/25mm以下である。貼付材の自背面接着力の測定方法は、以下のとおりである。すなわち、ベークライトパネル(フェノール樹脂板、住友ベークライト株式会社製、PL−1102)に、長さ100mm及び幅50mmに裁断して調製した貼付材の試験片(以下、「試験片1」ということがある。)を貼り付ける。該試験片1の支持体面の略中央に、長さ100mm及び幅25mmに裁断して調製した貼付材の試験片(以下、「試験片2」ということがある。)を、粘着剤層面を介して、端部を残して重ね貼りする。次いで、試験片2の支持体面上を、JIS Z0237に定める方法に従い、温度23℃、50%RHの雰囲気下で、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着する。この状態で20分間放置した後、剥離角度180度及び剥離速度300mm/分の条件で、試験片1の支持体面に対する試験片2の剥離力を測定し、試験片の自背面接着力(単位:N/25mm)を求める。n=3の平均値を求めて、貼付材の自背面接着力(単位:N/25mm)とする。
〔対ベークライト粘着力〕
本発明の貼付材は、優れた粘着性を有するものであり、JIS Z0237に従って測定した対ベークライト粘着力が、2N/25mm以上、好ましくは3.5N/25mm以上である。なお、本発明の貼付材の対ベークライト粘着力は、上限が特にないが、通常8N/25mm以下、多くの場合6N/25mm以下である。貼付材の対ベークライト粘着力の測定方法は、以下のとおりである。すなわち、温度23℃、50%RHの雰囲気下で、前記のベークライトパネルに、長さ150mm及び幅25mmに切り出して調製した貼付材の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着する。この状態で20分間放置した後、剥離角度180度及び剥離速度300mm/分の条件で剥離力を測定し、試験片の対ベークライト粘着力(単位:N/25mm)を求める。n=3の平均値を求め、貼付材の対ベークライト粘着力(単位:N/25mm)とする。
〔対ガラス保持力〕
本発明の貼付材は、優れた粘着性を有し、JIS Z0237に定める方法に従って測定した対ガラス保持力が、0.05mm以上、好ましくは0.08mm以上である。なお、本発明の貼付材の対ガラス保持力は、上限が特にないが、通常0.3mm以下、多くの場合0.2mm以下である。貼付材の対ガラス保持力の測定方法は、以下のとおりである。すなわち、温度23℃、50%RHの雰囲気下で、ガラス板に、長さ20mm及び幅12mmの大きさに切り出してカートンテープで裏打ちした貼付材の試験片を貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で1往復圧着する。20分間放置した後、貼付材が垂直に垂れ下がるように吊し、200gの荷重を加えて、60分間経過後のズレ長さ(mm)を測定して、試験片の対ガラス保持力とする。n=3の平均値を求めて、貼付材の対ガラス保持力(単位:mm)とする。
〔プローブタック〕
本発明の貼付材は、優れた粘着性を有すると同時に、取扱い性がよく、皮膚等からの剥離時の皮膚刺激が少ないものであり、プローブタック試験法で測定した値が、0.84N/5mmφ以下、好ましくは0.81N/5mmφ以下である。なお、本発明の貼付材のプローブタックの値は、特に下限値がないが、通常0.5N/5mmφ以上、多くの場合0.6N/5mmφ以上である。貼付材のプローブタックの測定方法は、以下のとおりである。すなわち、JIS Z 0237(1991)に参考として記載されているプローブタック試験法に準拠して、温度25℃、50%RHの雰囲気下で、NSプローブタックテスター(ニチバン株式会社製)を使用して、円柱状接触子(プローブ)の直径:5mm、押圧力:0.98N/cm、接触時間:1秒間、引剥速度:10mm/秒の条件下で測定し、n=3の平均値を求めて、貼付材のプローブタック(単位:N/5mmφ)とする。
5.剥離紙
本発明の貼付材は、フッ素樹脂系撥水剤で処理した布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であるが、必要に応じて、粘着剤層の支持体と反対側の面に接するように、更に剥離紙を備える貼付材であってもよい。剥離紙としては、通常貼付材の剥離紙として使用されているものを使用することができ、粘着剤層の剥離性や柔軟性などを考慮して、適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等のプラスチックフィルム(樹脂フィルム);樹脂フィルム、合成紙、合成繊維等にシリコーン樹脂加工(処理)したシリコーン加工紙;樹脂フィルムにフッ素樹脂を被覆したフッ素樹脂被覆フィルム;アルミ箔、クラフト紙にポリエチレン等をラミネートしたラミネート加工紙;等の無色または着色したシートを用いることができる。特に、シリコーン処理PETフィルム、シリコーン処理ポリプロピレンフィルム、シリコーン処理ポリエチレンフィルム、フッ素樹脂被覆PETフィルム、フッ素樹脂被覆ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂被覆ポリエチレンフィルム等の離型処理した樹脂フィルムが好ましく用いられ、これらの離型処理した樹脂フィルムと紙とのラミネート、アルミニウムを蒸着させた樹脂フィルム、シリコーンオイル等を塗布した紙なども用いられる。剥離紙の離型処理は、粘着剤層面だけでなく、粘着剤層と反対側の面にも施すことができる。また、貼付材を包材から取り出しやすくするために、剥離紙の片面または両面に凹凸形状を設けてもよい。剥離紙の厚みは、特に限定されないが、通常10μm〜1mm、好ましくは20〜500μm、より好ましくは40〜200μmの範囲である。
6.貼付材の製造方法
本発明の貼付材は、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上であることを特徴とする撥水性の貼付材を得ることができる限り、その製造方法は、特に限定されない。通常は、フッ素樹脂系撥水剤で織布または編布の布帛を処理して支持体を得る工程、及び、粘着剤層に通気性を付与する工程を含む撥水性の貼付材の製造方法が採用される。例えば、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体の上に、粘着剤層を形成する粘着剤である樹脂またはゴムの溶液またはエマルションを、支持体の全面を覆うように塗工し、該粘着剤を発泡処理等により通気性を有するものとすることによって、通気性の粘着剤層を形成してもよい。また、離型処理した工程紙上に、粘着剤層を形成する粘着剤である樹脂等の溶液またはエマルションを塗工し、該粘着剤を発泡処理等により通気性を有するものとすることによって、通気性の粘着剤層を形成した後に、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体を載置し、加熱したロールで加熱加圧して積層する方法を採用することもできる。本発明の貼付材が、更に剥離紙を備えるものである場合は、粘着剤層の上に、剥離紙を更に積層してもよいし、離型処理した工程紙をそのまま剥離紙としてもよい。なお、先に述べたように、本発明の貼付材は、支持体と、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層とを備えるものであるので、粘着剤である樹脂等の溶液またはエマルションを、パターン状に塗工することは行わない。
7.撥水性のロール状貼付材
本発明の貼付材は、必要に応じて、更に剥離紙を備え、シート状の撥水性の貼付材として提供することができるほか、ロール状に巻き取って撥水性の貼付材から形成される撥水性のロール状貼付材として提供することができる。特に、本発明によれば、テーピングテープ用である撥水性のロール状貼付材が提供される。撥水性のロール状貼付材は、剥離紙を備える貼付材をロール状に巻き取って得てもよいが、本発明の撥水性の貼付材は、自背面接着性が優れているので、剥離紙を備えない撥水性の貼付材を、該貼付材の自背面に順次巻き取ってロール状とすることにより、剥離紙を備えない撥水性のロール状貼付材を得ることもできる。剥離紙は、剥離しやすいように2つ以上に分割した状態、または幅方向に切れ目を複数設けてもよい。
8.テーピングテープ
本発明の撥水性の貼付材、特に、撥水性のロール状貼付材は、通気性、防水性、及び、自背面接着性等の粘着性に優れているので、テーピングテープに適したものである。したがって、本発明によれば、撥水性の貼付材から形成されるテーピングテープ、または撥水性のロール状貼付材から形成されるテーピングテープが提供される。本発明のテーピングテープは、傷害予防、応急処置、再発防止などの目的で行われるスポーツテーピングや、腰痛、ぎっくり腰、ケガ等による関節痛、外反母趾の痛みなどの各種痛みを予防したり、和らげたりする医療用または日常生活用のテーピングの分野にも使用することができる。また、本発明のテーピングテープは、リハビリテーションの補助手段として、機能回復期において受傷部位を支持し、疼痛の緩和を目的として行うテーピングにも使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。本発明の撥水性の貼付材の特性の測定方法は、以下のとおりである。
〔通気性〕
貼付材の通気性は、JIS P8117に準拠して、前述の方法でガーレー式デンソメーター(テスター産業株式会社製)を使用して測定した。n=3の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して、貼付材の「通気度(秒/100mL)」とした。
〔撥水度(スプレー法)〕
貼付材の撥水度(スプレー法)は、JIS L1092に準じ、長さ20cm及び幅20cmの大きさに裁断した試験片を調製し、前述の方法で、n=3の平均値に基づき、平均値を求め、小数点以下を切り上げた値を用いて、貼付材の撥水度(スプレー法)を評価した。
〔撥水度(IPA法)〕
貼付材の撥水度(IPA法)は、前述の方法でn=3の平均値を求め、小数点以下を切り上げた値を用いて、貼付材の撥水度(IPA法)とした。
〔防水性〕
貼付材の防水性は、以下の方法によって評価した。すなわち、貼付材から、剥離紙がある場合は剥離紙を剥がした後、長さ100mm及び幅50mmの大きさに裁断して試験片を3枚調製し、前述の方法により、n=2以上の結果を用いて、貼付材の防水性〔防水性(30分間)及び防水性(3時間)〕を評価した。すなわち、3つの試験片のうち、2つ以上の試験片の判定結果が、「○」である場合、貼付材の防水性を「○」と評価し、該貼付材は防水性があると評価した。
○: pH試験紙が、水で濡れていない
×: pH試験紙が、水に濡れて変色した
〔投錨性〕
貼付材の投錨性は、前述の方法により測定し、以下の基準で判定し、n=3で試験を行い、n=2以上の結果を用いて、評価した。
○: 支持体と粘着剤層との界面剥離が全くみられなかった(密着性良好)。
△: 支持体と粘着剤層とが界面剥離しなかったが、界面剥離がみられた箇所の合計面積が試験片の面積に対して10%以内である(使用上問題ない水準)。
×: 支持体と粘着剤層とが界面剥離した(密着性不良)。
〔自背面接着力〕
貼付材の自背面接着力の測定方法は、前述の方法により、n=3の平均値を求めて、貼付材の自背面接着力(単位:N/25mm)とした。
〔対ベークライト粘着力〕
貼付材の対ベークライト粘着力は、前述の方法により、n=3の平均値を求め、貼付材の対ベークライト粘着力(単位:N/25mm)とした。
〔対ガラス保持力〕
貼付材の対ガラス保持力は、前述の方法により、n=3の平均値を求めて、貼付材の対ガラス保持力(単位:mm)とした。
〔プローブタック〕
貼付材のプローブタックは、前述の方法により、n=3の平均値を求めて、貼付材のプローブタック(単位:N/5mmφ)とした。
[実施例1]
支持体を形成するための織布または編布の布帛として、経糸にはポリウレタン繊維をコアとする20番手のコアスパン糸を32本/インチの密度で配し、緯糸には16番手の綿100%糸を60本/インチの密度で配した織布(以下、「基布a」という。)を用いた。フッ素樹脂系撥水剤である旭硝子株式会社製のアサヒガード(登録商標)AG−E082(以下「撥水剤A」という。)を、処理濃度4.5質量%となるように、すなわち、撥水剤Aの濃度が4.5質量%となるように、精製水で希釈した水溶液に、前記の基布aを、常温で20分間浸漬した後、余分な液を絞って除去し、最高温度180℃で10分間乾燥して、フッ素樹脂系撥水剤(撥水剤A)で処理した布帛からなる支持体を得た。基布aに含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の基布aの質量から約1.1g/mと計算された。撥水剤Aによる撥水処理によって、基布aを構成する繊維間に接着または融着はみられず、基布aは、柔軟性及び通気性を維持していた。なお、基布aには、1辺が0.1〜0.5mm程度の大きさの開口(面積0.01〜0.25mm程度)が認められた。
一方、アクリル酸イソノニル/アクリル酸=96質量部/4質量部を共重合して得たアクリル系粘着剤100質量部に、架橋剤(三菱ガス化学株式会社製、商品名「TETRAD(登録商標)X」0.1重量部を添加した有機溶媒溶液(酢酸エチル、固形分40質量%)を、厚みが50μmとなるように、シリコーン樹脂で離型処理した工程紙の全面に塗布量50g/mで塗工した。次いで、通気性処理として、未乾燥の粘着剤の塗工面に蒸留水を噴霧した後、最高温度125℃で5分間加熱して、微細な孔を形成させ、通気性を有するアクリル系樹脂からなる粘着剤層を形成した。続いて、粘着剤層の上に、前記の支持体を載置し、加熱ロールの間を通すことによって、支持体と粘着剤層とを貼り合わせた後、裁断して、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性、自背面接着力、対ベークライト粘着力、対ガラス保持力及びプローブタックを測定した結果を、表2に示す。
[実施例2]
織布の撥水処理に使用する撥水剤Aについて、処理濃度が10質量%になるように変更したことを除いて、実施例1と同様にして、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。なお、基布aに含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の基布aの質量から約4.0g/mと計算された。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性、自背面接着力、対ベークライト粘着力及びプローブタックを測定した結果を、表2に示す。
[実施例3]
織布の撥水処理に使用する撥水剤Aを、フッ素樹脂系撥水剤である日華化学株式会社製のNKガード(登録商標)S−02(以下「撥水剤B」という。)に変更したことを除いて、実施例2と同様にして、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。なお、基布aに含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の基布aの質量から約2.7g/mと計算された。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性及び自背面接着力を測定した結果を、表2に示す。
[実施例4]
支持体を形成するための織布または編布の布帛を、経糸にはポリウレタン繊維をコアとする40番手のコアスパン糸を32本/インチの密度で配し、緯糸には16番手の綿100%糸を72本/インチの密度で配した織布(以下、「基布b」という。)に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。なお、基布bに含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の基布bの質量から約1.3g/mと計算された。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性、自背面接着力、対ベークライト粘着力、対ガラス保持力及びプローブタックを測定した結果を、表2に示す。
[比較例1]
織布の撥水処理に使用する撥水剤Aの水溶液の処理濃度を3.5質量%に変更したことを除いて、実施例1と同様にして、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。なお、基布aに含有されるフッ素樹脂量は、処理前後の基布aの質量から約0.9g/mと計算された。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性、自背面接着力、対ベークライト粘着力、対ガラス保持力及びプローブタックを測定した結果を、表2に示す。
[比較例2]
織布の撥水処理に使用する撥水剤Aを、パラフィン系撥水剤(非フッ素樹脂系撥水剤)である日華化学株式会社製のネオシード(登録商標)NR−90(以下「撥水剤C」という。)に変更したことを除いて、比較例1と同様にして、支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える貼付材を得た。なお、基布aに含有される非フッ素樹脂量は、処理前後の基布aの質量から約1.3g/mと計算された。得られた貼付材について、通気性、撥水度(スプレー法)、撥水度(IPA法)、防水性(30分間及び3時間)、投錨性、自背面接着力、対ベークライト粘着力、対ガラス保持力及びプローブタックを測定した結果を、表2に示す。
Figure 0005306517
表2から、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、
スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が11級または12級である実施例1〜4の撥水性の貼付材は、
1)30分間及び3時間温浴に浸漬しても防水性が維持される高い防水性を有する、
2)投錨性が優れ、自背面接着力が3.1〜5.0N/25mmであって重ね貼りに求められる高い自背面接着性を有する、
3)対ベークライト粘着力及び対ガラス保持力からみて、皮膚等に対する接着性が十分高い、及び、
4)プローブタックが0.79〜0.83N/5mmφと小さいことから、取扱い性が良好であり、貼付材を皮膚から剥離するときに、痛みがあったり、皮膚剥がれが生じたりする懸念が少ないことが分かり、テーピングテープ用途に適する撥水性の貼付材であった。
これに対し、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える通気性の貼付材であるものの、スプレー法による撥水度試験による評価が3級(5級未満)であり、かつ、IPA法による撥水度試験による評価が7級(9級未満)である比較例1の貼付材は、30分間温浴に浸漬すると水が侵入することから防水性が低く、また、プローブタックが0.86N/5mmφと大きいことから取扱い性が悪く、皮膚から貼付材を剥離するときに痛みや皮膚剥がれが発生するおそれがあることが分かった。
また、フッ素樹脂系撥水剤に代えて、パラフィン系撥水剤で撥水処理した織布からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える通気性の貼付材である比較例2の貼付材は、スプレー法による撥水度試験による評価が2級(5級未満)であり、かつ、IPA法による撥水度試験による評価が3級(9級未満)であって撥水性が低く、30分間温浴に浸漬すると水が侵入することから防水性が低く、自背面接着力が2.2N/25mmであることから、重ね貼りに求められる自背面接着性が低いものであった。プローブタックが0.82N/5mmφであることから、取扱い性は良好であり、皮膚から貼付材を剥離するときに痛みや皮膚剥がれが発生する懸念が少ないと推察されたが、フッ素樹脂系撥水剤以外の撥水剤による布帛の撥水処理では、自背面接着性と、撥水性や取扱い性とのバランスを両立させるのは困難であることが分かった。
本発明は、フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、スプレー法による撥水度が5級、かつ、IPA法による撥水度が9級以上であることを特徴とする撥水性の貼付材であることによって、テーピングテープ等の用途に使用される貼付材において、通気性で、撥水性が高く、自背面接着性が良好であるテーピングテープ等の用途に適する貼付材を提供することができるので、産業上の利用可能性が高い。

Claims (9)

  1. フッ素樹脂系撥水剤で処理した織布または編布の布帛からなる支持体、及び、支持体に隣接し、支持体の両面の少なくとも一方の面に形成され、当該面の全面を覆う粘着剤層を備える、通気性を有する貼付材であって、
    (i)該支持体が、パッドニップ法によりフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られ、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、イソシアネートを含有する撥水剤を除くものであって、かつ、該フッ素樹脂系撥水剤が、パーフルオロオクタン酸が5ppm以下のC6系のフッ素樹脂系撥水剤であり
    (ii)該布帛からなる支持体に含有されるフッ素樹脂量が、1.1〜4.1g/mであり、
    (iii)該粘着剤層が、粘着剤層を形成する粘着剤を通気性処理してなる、通気性を有する粘着剤層であり、
    (iv)該粘着剤層を形成する粘着剤が、アクリル系の脂を含有する粘着剤であり、
    (v)該貼付材のスプレー法による撥水度が5級であり
    (vi)該貼付材のIPA法による撥水度が9級以上であり、かつ
    (vii)該貼付材の、JIS P8117に準拠してガーレー式デンソメーターにより測定される通気度が、10秒/100mL未満である
    ことを特徴とする撥水性の貼付材。
  2. 発泡処理して得られる粘着剤層を備える請求項1記載の撥水性の貼付材。
  3. 支持体が、処理濃度4〜12質量%に調製したフッ素樹脂系撥水剤の溶液で処理して得られる請求項1または2記載の撥水性の貼付材。
  4. フッ素樹脂系撥水剤で織布または編布の布帛を処理して支持体を得る工程、及び、粘着剤層に通気性を付与する工程を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材の製造方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材から形成される撥水性のロール状貼付材。
  6. 剥離紙を備えない請求項記載の撥水性のロール状貼付材。
  7. テーピングテープ用である請求項または記載の撥水性のロール状貼付材。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の撥水性の貼付材から形成されるテーピングテープ。
  9. 請求項乃至のいずれか1項に記載の撥水性のロール状貼付材から形成されるテーピングテープ。
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