以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)実施の形態
(2)他の実施の形態
(1)実施の形態
(1−1)現金自動預払機の外観構成
図1において、1は全体として一実施の形態による現金自動預払機の外観構成を示す。現金自動預払機1は、前面2Aの上側の隅部が斜めに切り欠かれたような略箱型の筐体(以下、これを預払機筐体とも呼ぶ)2を有している。因みに以下の説明では、現金自動預払機1を預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す現金自動預払機1の上の方向を預払機上方向とも呼び、これとは逆の方向を預払機下方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめて預払機上下方向とも呼ぶ。
また以下の説明では、現金自動預払機1を預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す現金自動預払機1の前の方向を預払機前方向とも呼び、これとは逆の方向を預払機後方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめて預払機前後方向とも呼ぶ。さらに以下の説明では、現金自動預払機1を預払機筐体2の前面2Aと対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す現金自動預払機1の左の方向を預払機左方向とも呼び、これとは逆の方向を預払機右方向とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合は、まとめて預払機左右方向とも呼ぶ。
預払機筐体2は、前面2Aの上側に例えば、種々の取引手順案内画像の表示及び表面へのタッチ操作が可能なタッチスクリーン3と、紙幣を投入し、また取り出すための紙幣投入取出口4と、押下操作可能な複数の操作キー5とが設けられている。また預払機筐体2は、前面2Aの上側に、キャッシュカードやクレジットカード等のカードを挿入させ、また当該カードを排出するためのカード挿入排出口6と、通帳を挿入させ、また当該通帳や取引明細書を排出するための通帳挿入排出口7も設けられている。
一方、預払機筐体2は、内部の上端部においてカード挿入排出口6の後側に、カードに磁気記録された口座番号の読取処理のようなカードに関する所定の処理を行うカード処理部(図示せず)が設けられている。また預払機筐体2は、内部の上端部において通帳挿入排出口7の後側に、通帳や取引明細書に取引内容を印字する通帳処理部(図示せず)が設けられている。
さらに預払機筐体2は、内部の下端部に、制御ユニット10と、後述する紙幣入出金部11とが設けられている。制御ユニット10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のような主制御部と共に、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有している。そして主制御部は、ROMに予め記憶された基本プログラムや種々のアプリケーションプログラム等の各種プログラムを適宜、RAMに読み出して展開することにより、これら各種プログラムに従って現金自動預払機1全体を統括制御すると共に、紙幣入出金部11と共に紙幣の入金処理及び出金処理等を実行する。
すなわち主制御部は、タッチスクリーン3に取引手順案内画像を表示すると共に、顧客によるタッチスクリーン3の表面へのタッチ操作に応じて、当該タッチスクリーン3に表示する取引手順案内画像を適宜切り換える。そして主制御部は、タッチスクリーン3に適宜切り換えて表示する取引手順案内画像によって、顧客に紙幣の預け入れのような入金や、紙幣の払い出しのような出金等の所望の取引の手順を案内する。
これにより主制御部は、顧客に取引の手順の案内に従って、カード挿入排出口6や通帳挿入排出口7にカードや通帳を挿入させる。そのうえで主制御部は、入金の際には顧客に取引の手順の案内に従って、紙幣投入取出口4に入金用の紙幣を投入させる。また主制御部は、出金の際には顧客に取引の手順の案内に従って、紙幣投入取出口4から出金用の紙幣を取り出させる。そして主制御部は、カード挿入排出口6や通帳挿入排出口7からカードや通帳(又は取引明細書)を排出し、顧客に取引の手順の案内に従って、そのカードや通帳(又は取引明細書)を受け取らせる。このようにして主制御部は、現金自動預払機1において顧客が所望する紙幣の入金や出金等の取引を行うことができる。
(1−2)紙幣入出金部の構成
次いで図2を用いて、紙幣入出金部11の構成について説明する。図2に示すように、紙幣入出金部11は、上下に重なるように位置する紙幣処理ブロック12と金庫ブロック13とから構成されている。そして紙幣処理ブロック12及び金庫ブロック13は、それぞれ預払機筐体2に対し、図示しないスライドレールを介して個別に引出及び収納可能なように設けられている。
紙幣処理ブロック12は、上述した主制御部の制御のもと紙幣入出金部11全体を統括制御する例えば、マイクロプロセッサ構成の紙幣処理制御部15が設けられている。また紙幣処理ブロック12は、顧客との間で紙幣を受け渡す入出金ユニット16、紙幣を鑑別する鑑別ユニット17、紙幣を一時的に保持する一時保留ユニット18及び紙幣を搬送する搬送ユニット19も設けられている。
金庫ブロック13は、比較的肉厚な金属板によって強固な箱状に形成された金庫筐体20を有している。また金庫ブロック13は、金庫筐体20内に、預払機後方向に沿って1個のリジェクト庫21と、それぞれ複数の紙幣を金種別に収納する(すなわち、特定の1金種の紙幣のみを収納する)複数(例えば、5個)の紙幣収納庫22A乃至22Eとが順に並べるようにして着脱可能に装着されている。
ここで入出金ユニット16は、紙幣処理ブロック12内の上前端部に、上述した紙幣投入取出口4と対向させて紙幣収容ケース25が設けられている。また入出金ユニット16は、紙幣投入取出口4と紙幣収容ケース25の上端の開口部との間に、当該開口部を開閉するシャッタ26が設けられている。
さらに入出金ユニット16は、紙幣収容ケース25の下側に入出金用搬送部27が配置されている。そして入出金ユニット16は、紙幣収容ケース25の下側に、入出金用搬送部27の有する搬送ガイドや搬送ローラ、搬送方向切換ブレード等の搬送路形成部品により、紙幣収容ケース25から紙幣を1枚ずつ繰り出して搬送ユニット19へ引き渡し、また搬送ユニット19から紙幣を受け取って紙幣収容ケース25へ収容する入出金用搬送路が形成されている。
一時保留ユニット18は、紙幣処理ブロック12内の中央部に配置されている。そして一時保留ユニット18は、いわゆるテープエスクロ方式に準じて円筒状のドラム28やテープリール(図示せず)等の構成部品によって形成された紙幣一時保持部が設けられている。因みに紙幣一時保持部は、ドラム28の周側面に紙幣をテープと共に巻き付けて保持し、またドラム28の周側面からテープを引き剥がして紙幣を取り出すように形成されている。
また一時保留ユニット18は、紙幣一時保持部の下側に一時保留用搬送部29が配置されている。そして一時保留ユニット18は、紙幣一時保持部の下側に、一時保留用搬送部29の有する搬送ガイドや搬送ローラ等の搬送路形成部品により、ドラム28及びテープの間から取り出した紙幣を搬送ユニット19へ引き渡し、また搬送ユニット19から紙幣を受け取ってドラム28及びテープの間へ取り込む一時保留用搬送路が形成されている。
搬送ユニット19は、紙幣入出金部11の預払機上下方向のほぼ中央部となる紙幣処理ブロック12の下端部(すなわち入出金ユニット16や一時保留ユニット18の下側)に、当該紙幣処理ブロック12の前端部から後端部までに亘って配置されている。そして搬送ユニット19は、搬送ガイドや搬送ローラ、搬送方向切換ブレード等の搬送路形成部品により、預払機前後方向に長いほほ直線状の搬送路と、当該搬送路から分岐する複数の搬送路とを形成している。これにより搬送ユニット19は、そのほぼ直線状の搬送路を適宜、分岐用の搬送路を介して入出金ユニット16の入出金用搬送路や一時保留ユニット18の一時保留用搬送路、1個のリジェクト庫21、複数の紙幣収納庫22A乃至22Eと接続している。
ところで搬送ユニット19には、後述するように例えば、搬送路形成部品としての2個のモータが当該搬送ユニット19の中央部に、前後に並べるようにして配置されている。そして搬送ユニット19は、これら2個のモータのうち前側に位置する1個のモータ(以下、これを前モータとも呼ぶ)により、一時保留ユニット18の真下付近よりも前側に配置された複数の搬送ローラを駆動している。また搬送ユニット19は、これら2個のモータのうち後側に位置する1個のモータ(以下、これを後モータとも呼ぶ)により、一時保留ユニット18の真下付近から後側に配置された複数の搬送ローラを駆動している。
因みに、以下の説明では、搬送ユニット19が形成する搬送路において一時保留ユニット18の真下付近よりも前側で、前モータによって駆動する複数の搬送ローラを有する前側部分を前搬送路とも呼び、当該一時保留ユニット18の真下付近よりも後側で、後モータによって駆動する複数の搬送ローラを有する後側部分を後搬送路とも呼ぶ。
また鑑別ユニット17は、搬送ユニット19の前端部に組み込まれており、前搬送路に沿って配置された厚みセンサやイメージセンサ、磁気センサ等の複数種類のセンサを有している。これにより鑑別ユニット17は、前搬送路を介して紙幣が搬送される際、複数種類のセンサにより当該紙幣の金種、真偽、正損(損傷しているか否か)等を鑑別し、その鑑別結果を紙幣処理制御部15へ通知する。
実際に紙幣処理制御部15は、顧客により例えばタッチスクリーン3(図1)を介して所望の取引として入金が選択されると、これに応じて入金処理を実行する。この際、紙幣処理制御部15は、入出金ユニット16においてシャッタ26を開いて、顧客に紙幣収容ケース25へ紙幣を投入させる。そのうえで紙幣処理制御部15は、顧客により例えばタッチスクリーン3を介して紙幣の取り込みの開始が指示されると、入出金ユニット16においてシャッタ26を閉じて紙幣収容ケース25内の紙幣を1枚ずつ搬送ユニット19の前搬送路に取り込む。
そして紙幣処理制御部15は、前搬送路を介して紙幣を搬送しながら鑑別ユニット17により当該紙幣を鑑別する。これにより紙幣処理制御部15は、鑑別ユニット17により正常であると鑑別された紙幣については入金用に受け取るものと判断する。これに加えて紙幣処理制御部15は、正常であると鑑別された紙幣のうち新券や損傷の程度が比較的小さいものについては、今後の出金処理に再利用可能な紙幣であるとも判断し、当該紙幣の最終的な搬送先を、その金種に対応する紙幣収納庫22A乃至22Eに決定する。
また紙幣処理制御部15は、正常であると鑑別された紙幣のうち損傷の程度が比較的大きい紙幣については、今後の出金処理には再利用しないリジェクト紙幣であるとも判断し、当該リジェクト紙幣の最終的な搬送先をリジェクト庫21に決定する。これに対して紙幣処理制御部15は、鑑別ユニット17により正常であると鑑別し得なかった紙幣については顧客へ返却するものと判断し、最終的な搬送先を入出金ユニット16に決定する。
そして紙幣処理制御部15は、このとき鑑別ユニット17により正常であると鑑別された紙幣については、前搬送路を介して一時保留ユニット18へ搬送して保持する。また紙幣処理制御部15は、鑑別ユニット17により正常ではないと鑑別された紙幣(すなわち顧客へ返却する紙幣)については、搬送ユニット19において前搬送路を介して後搬送路へ搬送して、当該後搬送路に貯留する。このようにして紙幣処理制御部15は、入出金ユニット16から紙幣収容ケース25内の全ての紙幣を取り込んで鑑別する。
そして紙幣処理制御部15は、紙幣収容ケース25内の全ての紙幣を鑑別し終えたとき、後搬送路に顧客へ返却する紙幣を貯留していると、当該紙幣を、後搬送路から前搬送路を介して入出金ユニット16へ搬送して紙幣収容ケース25へ収容する。これにより紙幣処理制御部15は、入出金ユニット16においてシャッタ26を開いて、顧客に紙幣収容ケース25を介して紙幣を返却し、必要に応じて紙幣収容ケース25に紙幣を再投入させる。
一方、紙幣処理制御部15は、紙幣収容ケース25内の全ての紙幣を鑑別し終えたとき、後搬送路に顧客へ返却する紙幣を貯留していないと、この際に入出金ユニット16から取り込んだ紙幣の金種及び枚数の集計結果をもとに入金額を算出する。そして紙幣処理制御部15は、顧客にタッチスクリーン3を介して、その入金額を提示すると共に入金処理を継続するか否かを選択させる。
その結果、紙幣処理制御部15は、顧客により入金処理の中止が指示された場合は、一時保留ユニット18から保持していた全ての紙幣を順に繰り出すと共に、前搬送路を介して入出金ユニット16へ搬送して紙幣収容ケース25へ収容する。これにより紙幣処理制御部15は、入出金ユニット16においてシャッタ26を開いて、顧客に紙幣収容ケース25を介して紙幣を返却する。
これに対して紙幣処理制御部15は、顧客により入金処理の継続が指示された場合は、一時保留ユニット18から保持していた全ての紙幣を順に繰り出す。そして紙幣処理制御部15は、一時保留ユニット18から繰り出した紙幣が再利用可能な紙幣の場合、当該紙幣を金種に応じて前搬送路又は後搬送路を介して、対応する紙幣収納庫22A乃至22Eへ搬送して収納する。また紙幣処理制御部15は、一時保留ユニット18から繰り出した紙幣がリジェクト紙幣の場合、当該リジェクト紙幣を、前搬送路を介してリジェクト庫21へ搬送して収納する。
すなわち紙幣処理制御部15は、顧客により入金するように要求された紙幣のうち、再利用可能な紙幣については金種毎に分類して紙幣収納庫22A乃至22Eに収納し、また再利用しないリジェクト紙幣についてはリジェクト庫21に収納する。このようにして紙幣処理制御部15は、紙幣入出金部11において紙幣の入金処理を実行して、顧客の所望する取引としての紙幣の入金を行うことができる。
また紙幣処理制御部15は、顧客により例えばタッチスクリーン3を介して所望の取引として出金が選択されると、これに応じて出金処理を実行する。この際、紙幣処理制御部15は、顧客にタッチスクリーン3を介して出金額を指定させ、その指定された出金額に応じて出金すべき紙幣の金種及び枚数を決定する。これにより紙幣処理制御部15は、決定した金種及び枚数に応じて、紙幣収納庫22A乃至22Eから収納している紙幣を順次繰り出して搬送ユニット19の後搬送路へ取り込む。
また紙幣処理制御部15は、後搬送路に取り込んだ紙幣を当該後搬送路から前搬送路を介して搬送しながら鑑別ユニット17により当該紙幣の搬送状態を鑑別する。その結果、紙幣処理制御部15は、紙幣の走行状態に問題が無ければ、当該紙幣を前搬送路から入出金ユニット16へ搬送して紙幣収容ケース25に収容する。これに対して紙幣処理制御部15は、紙幣の搬送状態に例えば重送のような問題があると、当該紙幣を前搬送路からリジェクト庫21へ搬送して収納する。
そして紙幣処理制御部15は、入出金ユニット16において紙幣収容ケース25に出金額分の紙幣を収容し終えると、シャッタ26を開いて、顧客に当該紙幣収容ケース25から出金額分の紙幣を取り出させる。このようにして紙幣処理制御部15は、紙幣入出金部11において紙幣の出金処理を実行して、顧客の所望する取引としての紙幣の出金を行うことができる。
(1−3)駆動力伝達部の構成
次いで紙幣処理ブロック12の搬送ユニット19や一時保留ユニット18に設けられた駆動力伝達部の構成について説明する。図3に示すように、搬送ユニット19は、例えば対向配置された一対の左フレーム(以下、これを左搬送フレームとも呼ぶ)33、及び図示しない右フレーム(以下、これを右搬送フレームとも呼ぶ)を有し、当該左搬送フレーム33及び右搬送フレームの間に、上述した複数種類の搬送路形成部品が配置されている。
また搬送ユニット19は、例えば左搬送フレーム33の外面において、預払機前後方向の中央部の所定位置に、上述した前モータ34が出力軸を預払機左右方向と平行にして取り付けられると共に、当該前モータ34の出力軸に前モータギア35が固着されている。そして搬送ユニット19は、前モータ34の取付位置よりも前側に駆動力伝達部(以下、これを前駆動力伝達部とも呼ぶ)36が設けられている。
前駆動力伝達部36は、左搬送フレーム33の外面の前端部に適宜組み合わせて配置されたギアやギアプーリ、プーリ、ベルト等の複数種類の駆動力伝達部品が、前モータギア35と前搬送路を形成する複数の搬送ローラとに連結されて形成されている。これにより前駆動力伝達部36は、前モータ34が出力軸と共に前モータギア35を図中に矢印d1で示す一回転方向や、これとは逆の他回転方向へ回転させて発生させる駆動力(すなわち回転力)を、前搬送路の複数の搬送ローラに伝達することができる。因みに前モータ34の出力軸や前モータギア35等の回転方向である一回転方向は搬送ユニット19を左側から見たときの時計回り方向であり、他回転方向は搬送ユニット19を左側から見たときの反時計回り方向である。
よって搬送ユニット19は、紙幣処理制御部15の制御のもと前モータ34の出力軸と共に前モータギア35が一回転方向へ回転した場合、前駆動力伝達部36を介して前搬送路の複数の搬送ローラを例えば紙幣を前側から後側へ搬送するように駆動することができる。また搬送ユニット19は、紙幣処理制御部15の制御のもと前モータ34の出力軸と共に前モータギア35が他回転方向へ回転した場合、前駆動力伝達部36を介して前搬送路の複数の搬送ローラを例えば紙幣を後側から前側へ搬送するように駆動することができる。
因みに搬送ユニット19は、左搬送フレーム33の外面において前モータ34の取付位置の後側に、上述した後モータ37が出力軸を預払機左右方向と平行にして取り付けられ、当該後モータ37の出力軸に後モータギア38が固着されている。そして搬送ユニット19は、後モータ37の取付位置より後側にも駆動力伝達部(以下、これを後駆動力伝達部とも呼ぶ)39が設けられている。
なお後駆動力伝達部39は、左搬送フレーム33の外面の後端部に適宜組み合わせて配置された複数種類の駆動力伝達部品が、後モータギア38と後搬送路を形成する複数の搬送ローラとに連結されて形成されている。これにより後駆動力伝達部39は、後モータ37が出力軸と共に後モータギア38を一回転方向や他回転方向へ回転させて発生させる駆動力(すなわち回転力)を、後搬送路を形成する複数の搬送ローラに伝達することができる。
よって搬送ユニット19は、紙幣処理制御部15の制御のもと後モータ37の出力軸と共に後モータギア38が一回転方向へ回転した場合、後駆動力伝達部39を介して後搬送路の複数の搬送ローラを例えば紙幣を後側から前側へ搬送するように駆動することができる。また搬送ユニット19は、紙幣処理制御部15の制御のもと後モータ37の出力軸と共に後モータギア38が他回転方向へ回転した場合、後駆動力伝達部39を介して後搬送路の複数の搬送ローラを例えば紙幣を前側から後側へ搬送するように駆動することができる。
これに加えて一時保留ユニット18は、例えば対向配置された一対の左フレーム(以下、これを左一時保留フレームとも呼ぶ)40、及び図示しない右フレーム(以下、これを右一時保留フレームとも呼ぶ)を有している。また一時保留ユニット18は、左一時保留フレーム40及び右一時保留フレームの間に、上述した紙幣一時保持部の構成部品や一時保留用搬送部29の複数種類の搬送路形成部品が配置されている。
そして紙幣処理ブロック12は、搬送ユニット19及び一時保留ユニット18に亘り、駆動力伝達部(以下、これをユニット間駆動力伝達部とも呼ぶ)45が設けられている。ユニット間駆動力伝達部45は、左搬送フレーム33の外面の中央部、及び左一時保留フレーム40の外面の下端中央部に亘って適宜組み合わせて配置された複数種類の駆動力伝達部品が、前モータギア35と一時保留用搬送部29に設けられた複数の搬送ローラとに連結されて形成されている。これによりユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34が出力軸と共に前モータギア35を一回転方向や他回転方向へ回転させて発生させる駆動力(すなわち回転力)を、一時保留用搬送部29に設けられた複数の搬送ローラに伝達することができる。
ただし一時保留ユニット18は、例えば左一時保留フレーム40の後下端部及び右一時保留フレームの後下端部に、一対のユニット支持軸46(一方のみ図示し他方は図示せず)が預払機左右方向と平行にして突設されている。また搬送ユニット19は、左搬送フレーム33及び右搬送フレームの上端において中央よりも後寄りの所定の対向位置に、一対の軸受部33A(一方のみ図示し他方は図示せず)が突設されている。そして搬送ユニット19は、一対の軸受部33Aの孔部に、一時保留ユニット18の一対のユニット支持軸46が回転可能に挿入されている。
これにより紙幣処理ブロック12は、預払機筐体2から引き出された状態で搬送ユニット19や一時保留ユニット18のメンテナンスが可能なように、当該搬送ユニット19に一時保留ユニット18がユニット支持軸46を中心にして一回転方向及び他回転方向へ回転して開閉可能なように取り付けられている。すなわち紙幣処理ブロック12は、搬送ユニット19に対し、一時保留ユニット18が他回転方向へ回転して上開きの状態で前搬送路及び後搬送路の境界部分と一時保留用搬送路とを開放し、また一回転方向へ回転して当該前搬送路及び後搬送路の境界部分と一時保留用搬送路とを閉塞するように取り付けられている。因みに以下の説明では、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開く側(この場合は上側)を適宜、ユニット開側とも呼び、当該搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を閉じる側(この場合は下側)を適宜、ユニット閉側とも呼ぶ。
このためユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に設けられた第1伝達部45Aと、一時保留ユニット18に設けられた第2伝達部45Bとから構成されている。そしてユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第1伝達部45Aに第2伝達部45Bを連結する。これによりユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34が発生させる駆動力を一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラに伝達する駆動力伝達経路(以下、これをユニット間駆動力伝達経路とも呼ぶ)を形成する。よってユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34の動作に応じて一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラを一回転方向や他回転方向へ回転させて紙幣を搬送することができる。
またユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が開いた場合、第1伝達部45Aから第2伝達部45Bを、これらの連結を解除して切り離す。これによりユニット間駆動力伝達部45は、ユニット間駆動力伝達経路を途中で分断して、例えば一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラをメンテナンス用に手動で一回転方向や他回転方向へ回転させることができる。
実際に図4(A)乃至図5(B)に示すように、ユニット間駆動力伝達部45の第1伝達部45Aは、左搬送フレーム33の外面の中央部において例えば前モータ34の取付位置の上側の所定位置に、軸取付孔部33Bが穿設されている。また第1伝達部45Aは、左搬送フレーム33の軸取付孔部33Bに、第2伝達部45Bへ駆動力を伝達するための例えばスパーギアである駆動ギア(以下、これを第1ジョイントギアとも呼ぶ)47が、預払機左右方向と平行にした第1軸としての第1ギア軸48を介して取り付けられている。これにより第1伝達部45Aは、左搬送フレーム33に第1ジョイントギア47が第1ギア軸48を中心にして一回転方向及び他回転方向へ回転可能に設けられ、当該第1ジョイントギア47を前モータギア35(図4(A)乃至図5(B)には図示せず)に例えば直接、互いの歯を噛み合わせて接続している。
一方、ユニット間駆動力伝達部45の第2伝達部45Bは、左一時保留フレーム40の外面の下端中央部において、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合に第1ギア軸48の後側となる所定位置に、第2軸としての第2ギア軸49が預払機左右方向と平行にして垂設されている。また第2伝達部45Bは、胴体板の両縁から一対の支持板を突出させて略コ字状に形成されたギア支持部50を有している。ギア支持部50は、一対の支持板において一端部の対向位置に一対の一端側軸挿入孔部が穿設されると共に、他端部の対向位置にも一対の他端側軸挿入孔部が穿設されている。
そしてギア支持部50は、一対の支持板の一端部の間に、第1伝達部45Aから伝達される駆動力を受けるための駆動力伝達部品としての例えばスパーギアである従動ギア(以下、これを第2ジョイントギアとも呼ぶ)51が挿入されている。そしてギア支持部50は、第2ギア軸49に第2ジョイントギア51と共に、一対の一端側軸挿入孔部と当該第2ジョイントギア51の中央の軸孔とを介して取り付けられている。これにより第2伝達部45Bは、左一時保留フレーム40に第2ジョイントギア51とギア支持部50とが第2ギア軸49を中心にして個別に一回転方向及び他回転方向へ回転可能に設けられている。
またギア支持部50には、一対の支持板の他端部の間に例えばスパーギアであるリンクギア52が、第2ジョイントギア51と互いの歯を噛み合わせて接続した状態で当該リンクギア52の中央の軸孔と一対の他端側軸挿入孔部とに挿入された第3軸としての第3ギア軸53を介して取り付けられている。これにより第2伝達部45Bは、ギア支持部50によりリンクギア52を第2ジョイントギア51と接続した状態で、第3ギア軸53を中心にして一回転方向及び他回転方向へ回転可能で、かつ第2ギア軸49を中心にして第2ジョイントギア51の周囲に対しても一回転方向及び他回転方向へ回転可能に支持している。
因みに第2伝達部45Bは、図4(A)乃至図5(B)には特に図示していないが、左一時保留フレーム40の外面の下端中央部において第2ギア軸49の後斜め上側に、図3に示す他の複数種類の駆動力伝達部品54(すなわち他のギアやギアプーリ、プーリ、ベルト等)が順に組み合わせて配置されている。そして第2伝達部45Bは、これら他の複数種類の駆動力伝達部品54を第2ジョイントギア51と一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラとに連結している。
ところで第2伝達部45Bは、左一時保留フレーム40において第2ギア軸49の配置位置の前側に、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた際、左搬送フレーム33において第1ギア軸48の配置位置の前側の部分を勘合させるための切欠部40Aが形成されている。そして図4(A)乃至図5(B)と共に図6に示すように、ギア支持部50は、左一時保留フレーム40の切欠部40Aを利用して、第3ギア軸53の右端部を一方の支持板の外側(すなわち右側)に突出させている。
また第1伝達部45Aは、左搬送フレーム33の外面において第1ジョイントギア47の配置位置の後側に、当該第1ジョイントギア47へのリンクギア52の接続用に第3ギア軸53の移動をガイドするガイド部55が設けられている。ガイド部55は、第1ジョイントギア47の後斜め上側から後斜め下側までに亘り第3ギア軸53の移動をガイドするガイド溝を、中央から溝閉塞端までの軸取込区間は第3ギア軸53の直径とほぼ等しい一定の溝幅にし、かつ中央から溝開放端までの軸入出区間は当該溝開放端側へ徐々に溝幅を広げるように形成している。すなわちガイド部55は、ガイド溝を、第1ジョイントギア47の後斜め下側となる軸取込区間では第3ギア軸53の直径とほぼ等しい一定の溝幅とし、当該第1ジョイントギア47の真後ろから後斜め上側となる軸入出区間では溝幅を第3ギア軸53の直径よりも徐々に広げるように形成している。
さらにギア支持部50は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が開いた場合、リンクギア52の重み等により第2ギア軸49を中心にして一回転方向へ回転するものの、胴体板の一端に一回転方向への回転を規制するための突当板50Aが設けられている。さらにまた左一時保留フレーム40は、第2ギア軸49の前斜め上側(すなわち切欠部40Aの上側)の所定位置に、板状の回転規制部40Bが設けられている。
このため第2伝達部45Bは、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が開いた場合、ギア支持部50が一回転方向へ回転して第2ジョイントギア51の前斜め下にリンクギア52を位置させると、突当板50Aを回転規制部40Bに突き当てて当該ギア支持部50の一回転方向への回転を規制している。よって第2伝達部45Bは、ガイド部55においてガイド溝の溝開放端の溝幅が比較的狭くても、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じる際、第3ギア軸53の一端部を当該ガイド溝に溝開放端から的確に入り込ませることができる。
実際に図5(A)及び(B)と共に図7(A)及び(B)並びに図8に示すように、ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じる際、第3ギア軸53の一端部をガイド溝に、第1ジョイントギア47の後斜め上側の溝開放端から入り込ませる。そしてユニット間駆動力伝達部45は、一時保留ユニット18の一回転方向への回転に応じて第3ギア軸53の一端部を、ガイド溝において第1ジョイントギア47の後斜め下側となる軸取込区間まで移動させることで、第1ジョイントギア47にリンクギア52を互いの歯を噛み合わせて接続している。
これによりユニット間駆動力伝達部45は、第1伝達部45Aと第2伝達部45Bとを、そのリンクギア52を介して連結している。すなわちユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第1伝達部45Aにおいて位置を固定して配置した第1ジョイントギア47に、第2伝達部45Bにおいて位置を固定して配置した第2ジョイントギア51を直接、接続するのではなく、当該第2伝達部45Bに変位可能に設けられたリンクギア52を介して第2ジョイントギア51を連結している。
ここで第2伝達部45Bは、比較的高い形成精度で形成されたギア支持部50に、第2ジョイントギア51及びリンクギア52等が比較的高い取付精度で取り付けられている。これにより第2伝達部45Bは、ギア支持部50を介してリンクギア52と第2ジョイントギア51とを、これらの連動した回転時のバックラッシュが例えば0.1[mm]程度となるように接続している。
また第2伝達部45Bは、製造時に、例えばユニット支持軸46及び第1ギア軸48の軸間距離や当該ユニット支持軸46及び第3ギア軸53の軸間距離が設計値の公差内でばらつく場合がある。このため図9に示すように、ガイド部55は、ガイド溝の軸取込区間AR1において前板部の内面、後板部の内面、及びこれら内面間の中心を通る仮想中心線CL1が、第1ギア軸48を中心とする異なる第1半径r1乃至第3半径r3の同心円の円弧となるように形成されている。
そしてガイド部55は、ガイド溝の軸取込区間AR1において前板部の内面及び後板部の内面間の距離である溝幅(すなわち第1ギア軸48を中心とする2種類の同心円の第1半径r1及び第2半径r2の差分)が、上述したように第3ギア軸53の直径とほぼ等しく選定されている。またガイド部55は、第1ギア軸48から仮想中心線CL1までの距離(すなわち第1ギア軸48を中心とする同心円の第3半径r3)が、第1ジョイントギア47とリンクギア52とを、これらの連動した回転時のバックラッシュが例えば0.1[mm]程度となるように接続する場合の第1ギア軸48及び第3ギア軸53間の距離とほぼ等しく選定されている。
従って第2伝達部45Bは、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、上述の軸間距離のばらつきを、ガイド溝の円弧状の軸取込区間AR1における第3ギア軸53の一端部の停止位置のばらつきに置き換えることができる。このため第2伝達部45Bは、この際、軸間距離のばらつきによらず、第1ギア軸48及び第3ギア軸53の軸間距離を、当該第1ギア軸48から仮想中心線CL1までの距離(すなわち第1ギア軸48を中心とする同心円の第3半径r3)として、ほぼ一定にすることができる。
これにより第2伝達部45Bは、例えば第1ジョイントギア47とリンクギア52とのバックラッシュを手動で調整するような特別な機構を何ら設けることなく、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を閉じるだけの簡易な操作で、リンクギア52を第1ジョイントギア47に、これらが連動して回転する際のバックラッシュを最適化した状態で接続することができる。
ところでユニット間駆動力伝達部45は、例えばユニット支持軸46と第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51との配置位置を適宜選定することで、2種類の第1形態及び第2形態の何れか一方で構成することができる。よって以下には、ユニット間駆動力伝達部45の第1形態の構成と、第2形態の構成とについて順に説明する。なお以下の説明では、理解を容易にするため適宜、第1形態の構成を有するユニット間駆動力伝達部45を第1ユニット間駆動力伝達部45とも呼び、第2形態の構成を有するユニット間駆動力伝達部45を第2ユニット間駆動力伝達部45とも呼び、これらを特に区別する必要がない場合、単にユニット間駆動力伝達部45とも呼ぶ。
まず図10に示すように、第1ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第2伝達部45Bがユニット支持軸46と、第1ギア軸48の下側の所定位置とを通る第1仮想直線VL1上に第2ギア軸49及び第3ギア軸53を並べて位置させるように構成されている。すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じると、第3ギア軸53をガイド溝に沿って、第1ギア軸48及び第2ギア軸49を通る第2仮想直線VL2上から外れさせて当該第1ギア軸48の周囲を、ユニット閉側(すなわち第1ギア軸48の後斜め下側)へ回り込ませる。
そして第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1ギア軸48から第2ギア軸49までの第1軸間距離を、仮に第1ジョイントギア47、リンクギア52及び第2ジョイントギア51を一列に並べて順に接続する場合の当該第1ギア軸48から第2ギア軸49までの距離よりも短くしている。よって第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1ギア軸48、第3ギア軸53及び第2ギア軸49を三角形の3個の頂点にそれぞれ位置させるようにして、第2ジョイントギア51に接続した状態のリンクギア52を、さらに第1ジョイントギア47に接続している。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1伝達部45Aの第1ジョイントギア47と第2伝達部45Bの第2ジョイントギア51とをリンクギア52を介して連結して、搬送ユニット19から一時保留ユニット18に亘る駆動力伝達経路を形成している。
図11に示すように、第1ユニット間駆動力伝達部45では、係る構成の場合、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転すると、その回転に応じてリンクギア52が一回転方向へ回転する。このため第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に、当該リンクギア52を基準ピッチ円の接線TL1に対して例えば20度の圧力角θ1で前斜め下側(すなわちユニット閉側)へ押すような第1圧力F1が生じる。すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47からリンクギア52に、ガイド溝の軸取込区間AR1内で第3ギア軸53をユニット閉側となる溝閉塞端側へ移動させるような第1圧力F1が生じる。
そして第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に生じる第1圧力F1により、ガイド溝の軸取込区間AR1内で第3ギア軸53がユニット閉側へ移動しても、上述のように当該軸取込区間AR1が円弧状であることから、第1ギア軸48及び第3ギア軸53間の距離は変化しない。このため第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1ジョイントギア47及びリンクギア52を、第3ギア軸53の移動の前後で、これらの接続状態(すなわち互いの歯のピッチ点やバックラッシュ等)を何ら変化させることなく接続し続けることができる。
因みに第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52が一回転方向へ回転すると、これに応じて第2ジョイントギア51が他回転方向へ回転する。従って第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51の接続箇所に、当該第2ジョイントギア51を基準ピッチ円の接線TL2に対して例えば20度の圧力角θ1で前斜め上側(すなわちユニット開側)へ押すような第2圧力F2も生じる。
ただし第1ユニット間駆動力伝達部45では、第2ジョイントギア51がギア支持部50を介してリンクギア52と接続されている。このため第1ユニット間駆動力伝達部45では、第2ジョイントギア51が第2圧力F2により前斜め上側へ移動しようとすると、前斜め下側へ押すような第1圧力F1が生じているリンクギア52の第3ギア軸53をガイド部55の後板部の内面に押し付けることになる。その結果、第1ユニット間駆動力伝達部45では、第2ジョイントギア51が第2圧力F2により前斜め上側へ移動しようとしても、ガイド部55とリンクギア52の第3ギア軸53とが、その移動を規制する規制部として機能して、当該第2ジョイントギア51の位置は変化しない。
このようにして第1ユニット間駆動力伝達部45では、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転した場合、リンクギア52を、第1ジョイントギア47に接続したままユニット閉側へ移動させるように付勢することができる。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転しても、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させず、その結果、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路を形成したままにして、意図せずに分断することを回避することができる。
よって第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1ジョイントギア47の他回転方向への回転を、リンクギア52を介して第2ジョイントギア51へ伝達して、当該第2ジョイントギア51も他回転方向へ回転させることができる。また第1ユニット間駆動力伝達部45は、第2ジョイントギア51の他回転方向への回転を、さらに他の複数種類の駆動力伝達部品54を順次介して一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラに伝達することができる。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45は、一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラを、所定の搬送方向へ紙幣を搬送するように回転させることができる。
これに対して図12に示すように、第1ユニット間駆動力伝達部45では、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転すると、その回転に応じてリンクギア52が他回転方向へ回転する。このため第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に、当該リンクギア52を基準ピッチ円の接線TL1に対して例えば20度の圧力角θ1で後斜め上側(すなわちユニット開側)へ押すような第3圧力F3が生じる。すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47からリンクギア52に、ガイド溝の軸取込区間AR1内で第3ギア軸53をユニット開側となる溝開放端側へ移動させるような第3圧力F3が生じる。
また第1ユニット間駆動力伝達部45では、この際、リンクギア52の他回転方向への回転に応じて第2ジョイントギア51が一回転方向へ回転する。従って第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51の接続箇所に、当該第2ジョイントギア51を基準ピッチ円の接線TL2に対して例えば20度の圧力角θ1で後斜め下側(すなわちユニット閉側)へ押すような第4圧力F4も生じる。よって第1ユニット間駆動力伝達部45では、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、第2ジョイントギア51をユニット閉側へ押しながらリンクギア52をユニット開側へ押すようにして、当該リンクギア52を第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動させるように付勢することになる。
ただし第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ギア軸48及び第2ギア軸49をユニット閉側へ突出する三角形のユニット開側の2個の頂点にそれぞれ位置させると共に、第3ギア軸53を当該三角形のユニット閉側の1個の頂点に位置させて、第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51を、リンクギア52を介して連結している。このため第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ギア軸48から第2ギア軸49までの第1軸間距離D1が、第1ギア軸48から第3ギア軸53までの第2軸間距離D2や第2ギア軸49から第3ギア軸53までの第3軸間距離D3より長いものの、これら第2軸間距離D2及び第3軸間距離D3を加算した距離よりも短くなっている。
すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45では、第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51の隙間がリンクギア52のギア径よりも狭くなっている。言い換えると第1ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた状態では、リンクギア52が、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようにして第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51の隙間を押し広げなければ、第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へは移動し得ないように配置されている。
よって第1ユニット間駆動力伝達部45では、この際、リンクギア52から第2ジョイントギア51に、当該第2ジョイントギア51を後側へ押すような第5圧力F5が作用する。しかしながら第1ユニット間駆動力伝達部45では、左一時保留フレーム40の外面に第2ジョイントギア51が位置を固定して配置されると共に、当該左一時保留フレーム40にユニット支持軸46も位置を固定して配置されている。また第1ユニット間駆動力伝達部45は、上述のようにユニット支持軸46を通る第1仮想直線VL1上に第2ギア軸49及び第3ギア軸53が位置している。
このため第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51に第5圧力F5が、当該第2ジョイントギア51を第1仮想直線VL1上で後側となるユニット支持軸46の方向へ押すように作用する。すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51に第5圧力F5が、当該第2ジョイントギア51を搬送ユニット19に対する一時保留ユニット18の回転中心となるユニット支持軸46の方向へ押すように作用する。
よって第1ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51に後側へ押すような第5圧力F5が作用しても、配置位置が固定のユニット支持軸46を、圧力を受け止める受止部として機能させて、当該ユニット支持軸46で、その第5圧力F5を受け止めることができる。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45では、第2ジョイントギア51を、後側へ押すように作用しても位置を変化させず、その結果、リンクギア52が第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動することを回避することができる。
すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45は、リンクギア52を第1ジョイントギア47との接続位置に留めて、当該第1ジョイントギア47及びリンクギア52を、これらの接続状態(すなわち互いの歯のピッチ点やバックラッシュ等)を何ら変化させることなく接続し続けることができる。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合も、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させず、その結果、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路を形成したままにして、意図せずに分断することを回避することができる。
よって第1ユニット間駆動力伝達部45は、第1ジョイントギア47の一回転方向への回転を、リンクギア52を介して第2ジョイントギア51へ伝達して、当該第2ジョイントギア51も一回転方向へ回転させることができる。また第1ユニット間駆動力伝達部45は、第2ジョイントギア51の一回転方向への回転を、さらに他の複数種類の駆動力伝達部品54を順次介して一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラに伝達することができる。これにより第1ユニット間駆動力伝達部45は、一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラを、第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転した場合とは逆向きの搬送方向へ紙幣を搬送するように回転させることができる。
次いで第2ユニット間駆動力伝達部45の構成について説明する。図13に示すように、第2ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第2伝達部45Bがユニット支持軸46と、第1ギア軸48の下側の所定位置とを通る第3仮想直線VL3上に第3ギア軸53を位置させると共に、当該第3仮想直線VL3よりもユニット開側に第2ギア軸49を位置させるように構成されている。すなわち第2ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第3仮想直線VL3と、第2ギア軸49及び第3ギア軸53を通る第4仮想直線VL4とを、極力平行な関係に近づけるような鋭角な交差角度で交差させるように構成されている。よって第2ユニット間駆動力伝達部45は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じると、第3ギア軸53をガイド溝に沿って、第1ギア軸48及び第2ギア軸49を通る第5仮想直線VL5上から外れさせて当該第1ギア軸48の周囲を、ユニット閉側(すなわち第1ギア軸48の後斜め下側)へ回り込ませる。
また第2ユニット間駆動力伝達部45の一部である第2伝達部45Bが設けられる一時保留ユニット18は、一時保留用搬送部29及び紙幣一時保持部が設けられることで、ある程度の自重を有している。このため一時保留ユニット18は、搬送ユニット19に対して閉じた場合、自重により、閉じた状態を維持するように一回転方向へ回転しようとするトルク(以下、これをユニット閉塞トルクとも呼ぶ)TE1を発生させる。
これにより第2ユニット間駆動力伝達部45でも、上述した第1ユニット間駆動力伝達部45の場合と同様に、第1ギア軸48、第3ギア軸53及び第2ギア軸49を三角形の3個の頂点にそれぞれ位置させるようにして、第2ジョイントギア51に接続した状態のリンクギア52を、さらに第1ジョイントギア47に接続している。このようにして第2ユニット間駆動力伝達部45は、第1伝達部45Aの第1ジョイントギア47と第2伝達部45Bの第2ジョイントギア51とをリンクギア52を介して連結して、搬送ユニット19から一時保留ユニット18に亘る駆動力伝達経路を形成している。
そして第2ユニット間駆動力伝達部45は、このようにユニット閉塞トルクTE1を利用して一時保留ユニット18を閉じたまま駆動力を伝達するため、上述した第1ユニット間駆動力伝達部45に比して、第2ジョイントギア51の周囲に対するリンクギア52の回転範囲を狭める等のように設計の自由度を高めることができる。これに伴い搬送ユニット19及び一時保留ユニット18についても、例えば当該搬送ユニット19の下面を基準とするユニット支持軸46の高さ位置を、上述した第1ユニット間駆動力伝達部45が設けられる場合に比して低くするように、設計の自由度を高めることができる。
実際に第2ユニット間駆動力伝達部45では、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転すると、上述した第1ユニット間駆動力伝達部45の場合と同様に、リンクギア52を第1ジョイントギア47と接続したままユニット閉側へ移動させるように付勢することができる。これにより第2ユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転しても、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させず、その結果、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路を形成したままにして、意図せずに分断することを回避することができる。
よって第2ユニット間駆動力伝達部45でも、第1ジョイントギア47の他回転方向への回転を、リンクギア52及び第2ジョイントギア51と、他の複数種類の駆動力伝達部品54とを順次介して一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラに伝達することができる。これにより第2ユニット間駆動力伝達部45は、一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラを、所定の搬送方向へ紙幣を搬送するように回転させることができる。
これに対して第2ユニット間駆動力伝達部45では、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転すると、その回転に応じて順次、リンクギア52が他回転方向へ回転し、第2ジョイントギア51が一回転方向へ回転する。このため第2ユニット間駆動力伝達部45では、上述した第1ユニット間駆動力伝達部45の場合と同様に、第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に、当該リンクギア52を基準ピッチ円の接線に対して例えば20度の圧力角で後斜め上側(すなわちユニット開側)へ押すような第3圧力(図示せず)が生じる。
また第2ユニット間駆動力伝達部45でも、この際、リンクギア52から第2ジョイントギア51の接続箇所に、当該第2ジョイントギア51を基準ピッチ円の接線TL2に対して例えば20度の圧力角θ1で後斜め下側(すなわちユニット閉側)へ押すような第4圧力F4も生じる。このため第2ユニット間駆動力伝達部45でも、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、第2ジョイントギア51をユニット閉側へ押しながらリンクギア52をユニット開側へ押すようにして、当該リンクギア52を第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動させるように付勢することになる。
ここで、第2ユニット間駆動力伝達部45では、第1ギア軸48及び第2ギア軸49をユニット閉側へ突出する三角形のユニット開側の2個の頂点にそれぞれ位置させると共に、第3ギア軸53を当該三角形のユニット閉側の1個の頂点に位置させて、第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51を、リンクギア52を介して連結している。このため第2ユニット間駆動力伝達部45では、第1軸間距離が、第2軸間距離や第3軸間距離より長いものの、これらを加算した距離よりも短く、その結果、第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51の隙間がリンクギア52のギア径よりも狭くなっている。
すなわち第2ユニット間駆動力伝達部45でも、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた状態では、リンクギア52が、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようにして第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51の隙間を前後に押し広げなければ、第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へは移動し得ないように配置されている。
よって第2ユニット間駆動力伝達部45でも、リンクギア52に対する付勢に伴い、リンクギア52から第2ジョイントギア51に、当該第2ジョイントギア51を後側へ押すような第6圧力F6が作用する。ただし第2ユニット間駆動力伝達部45では、第1ユニット間駆動力伝達部45の場合とは異なり、ユニット支持軸46が、第2ギア軸49及び第3ギア軸53を通る第4仮想直線VL4上には位置せず、その第4仮想直線VL4が第3仮想直線VL3と交差して、当該第3仮想直線VL3よりもユニット開側となる後斜め上側に延びている。
このため第2ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51に第6圧力F6が、当該第2ジョイントギア51を第4仮想直線VL4上でユニット支持軸46の配置位置よりも上側へ押すように作用する。しかしながら一時保留ユニット18は、自重により、搬送ユニット19に対して閉じた状態を維持するように一回転方向へ回転しようとするユニット閉塞トルクTE1を発生させている。そして第2ユニット間駆動力伝達部45は、第3仮想直線VL3と第4仮想直線VL4とが極力平行な関係に近づくように比較的鋭角な交差角度で交差していると、一時保留ユニット18の自重が比較的軽く、またユニット閉塞トルクTE1が比較的小さい場合でも、当該ユニット閉塞トルクTE1と第4圧力F4と第6圧力F6との合力が、一時保留ユニット18をユニット閉側へ押すような力(すなわち一時保留ユニット18を一回転方向へ回転させようとする力)になる。
このため第2ユニット間駆動力伝達部45では、リンクギア52から第2ジョイントギア51にユニット支持軸46の配置位置よりも上側へ押すような第6圧力F6が作用しても、自重が比較的軽い一時保留ユニット18を、圧力を受け止める受止部として機能させて、当該一時保留ユニット18で、その第6圧力F6を受け止めることができる。これにより第2ユニット間駆動力伝達部45では、第2ジョイントギア51を、上側へ押すように作用しても位置を変化させず、その結果、リンクギア52が第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動することも回避することができる。
すなわち第2ユニット間駆動力伝達部45でも、リンクギア52を第1ジョイントギア47との接続位置に留めて、当該第1ジョイントギア47及びリンクギア52を、これらの接続状態(すなわち互いの歯のピッチ点やバックラッシュ等)を何ら変化させることなく接続し続けることができる。これにより第2ユニット間駆動力伝達部45は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合も、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させず、その結果、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路を形成したままにして、意図せずに分断することを回避することができる。
よって第2ユニット間駆動力伝達部45は、第1ジョイントギア47の一回転方向への回転を、リンクギア52を介して第2ジョイントギア51へ伝達して、当該第2ジョイントギア51も一回転方向へ回転させることができる。また第2ユニット間駆動力伝達部45は、第2ジョイントギア51の一回転方向への回転を、さらに他の複数種類の駆動力伝達部品54を順次介して一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラに伝達することができる。これにより第2ユニット間駆動力伝達部45は、第1ユニット間駆動力伝達部45とは構成が異なるものの、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、一時保留用搬送部29の複数の搬送ローラを、第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転した場合とは逆向きの搬送方向へ紙幣を搬送するように回転させることができる。
なお、この実施の形態では、図3乃至図9を用いてユニット間駆動力伝達部45(すなわち第1ユニット間駆動力伝達部45及び第2ユニット間駆動力伝達部45)の基本的な構成について説明したが、図3、図8(A)及び(B)は、第1ユニット間駆動力伝達部45の構成について示している。また図4(A)及び(B)、図5(A)及び(B)並びに図7(A)及び(B)は、第2ユニット間駆動力伝達部45の構成について示している。因みに図6及び図9は、第1ユニット間駆動力伝達部45及び第2ユニット間駆動力伝達部45に共通する構成を示している。
(1−4)実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、現金自動預払機1では、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を、ユニット支持軸46を介して開閉可能に設けた。また現金自動預払機1では、搬送ユニット19及び一時保留ユニット18に亘って、搬送ユニット19に設けられた前モータ34が発生させる駆動力を一時保留ユニット18に設けられた複数の搬送ローラに伝達するためのユニット間駆動力伝達部45を設けた。
すなわち現金自動預払機1では、一時保留ユニット18にユニット間駆動力伝達部45の第2伝達部45Bとして、第2ジョイントギア51及びギア支持部50を、第2ギア軸49を介して個別に回転可能なように設けると共に、当該ギア支持部50にリンクギア52を第2ジョイントギア51と接続した状態で第3ギア軸53を介して回転可能なように設けた。また現金自動預払機1では、搬送ユニット19にユニット間駆動力伝達部45の第1伝達部45Aとして、前モータ34の前モータギア35に連結された第1ジョイントギア47を、第1ギア軸48を介して回転可能なように設けると共に、第3ギア軸53の一端部を移動させるガイド溝によりリンクギア52を第1ジョイントギア47と接続するようにガイドするガイド部55とを設けた。
よって現金自動預払機1は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、ユニット間駆動力伝達部45において、リンクギア52を第2ジョイントギア51に接続した状態で、当該第2ジョイントギア51の周囲に対して回転させながらガイド部55により第1ジョイントギア47との接続位置までガイドして、当該第1ジョイントギア47に接続した。これにより現金自動預払機1は、ユニット間駆動力伝達部45において第2ジョイントギア51を、リンクギア52を介して第1ジョイントギア47に連結して(すなわち第1伝達部45Aに第2伝達部45Bを連結して)、搬送ユニット19から一時保留ユニット18へ前モータ34が発生させる駆動力を伝達する駆動力伝達経路を形成する。
以上の構成によれば、現金自動預払機1は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転した場合、当該第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に圧力角の方向に生じる圧力により当該リンクギア52をガイド部55により第1ジョイントギア47と接続したままユニット閉側へ移動させるように付勢することができる。従って現金自動預払機1は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させずに、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路が意図せずに分断することを回避することができる。
また現金自動預払機1は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、当該第1ジョイントギア47からリンクギア52の接続箇所に圧力角の方向に生じる圧力により当該リンクギア52をユニット閉側へ移動させるように付勢するものの、その付勢によりリンクギア52から第2ジョイントギア51に移動させるように生じる圧力を、その圧力の向いた先に位置する受止部(すなわちユニット支持軸46又は一時保留ユニット18)で受止めることができる。従って現金自動預払機1は、第2ジョイントギア51の位置を変化させずに、リンクギア52が第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動することを回避することができ、その結果、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させずに、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路が意図せずに分断することを回避することができる。
これにより現金自動預払機1は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を閉じた状態にロックするためのロック機構を特に設けることなく、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向及び他回転方向の何れに回転した場合でも、第1ジョイントギア47及び第2ジョイントギア51を、リンクギア52を介して連結したままにして、駆動力伝達経路を容易に維持することができる。
また現金自動預払機1では、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第1ギア軸48及び第2ギア軸49を通る仮想直線よりユニット閉側に第3ギア軸53を位置させて、第1ジョイントギア47にリンクギア52を接続するようにした。そして現金自動預払機1は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、リンクギア52から第2ジョイントギア51に生じる圧力を受止部で受止めて、当該第2ジョイントギア51の位置が変化することを回避するようにした。従って現金自動預払機1は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、リンクギア52を第1ジョイントギア47との接続位置に留めて、当該第1ジョイントギア47及びリンクギア52を、これらの接続状態を何ら変化させることなく接続し続けることができ、当該第1ジョイントギア47の一回転方向への回転に応じてリンクギア52を他回転方向へ的確に回転させることができる。
さらに現金自動預払機1では、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、ユニット支持軸46を通る仮想直線上に第2ギア軸49及び第3ギア軸53を位置させて、第1ジョイントギア47にリンクギア52を接続するようにした。従って現金自動預払機1は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、リンクギア52から第2ジョイントギア51に、仮想直線に沿ってユニット支持軸46へ向かって移動させるような圧力を生じさせることができる。これにより現金自動預払機1は、特に受止部を設けることなく、ユニット支持軸46を受止部として機能させて、当該ユニット支持軸46により、リンクギア52から第2ジョイントギア51に生じる圧力を受止めて第2ジョイントギア51の位置が変化することを回避することができる。そして現金自動預払機1は、係る構成により、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用しないため、当該一時保留ユニット18を自重が比較的軽くなるように形成することもできる。
さらに現金自動預払機1では、一時保留ユニット18を自重によりユニット閉塞トルクTE1を発生させるように形成するようにした。この場合、現金自動預払機1は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じると、ユニット支持軸46を通る仮想直線上に第2ギア軸49及び第3ギア軸53を位置させて第1ジョイントギア47にリンクギア52を接続するように構成しなくても、一時保留ユニット18を受止部として機能させて、当該一時保留ユニット18により、リンクギア52から第2ジョイントギア51に生じる圧力を受止めて第2ジョイントギア51の位置が変化することを回避することができる。よって現金自動預払機1は、ユニット間駆動力伝達部45や一時保留ユニット18、搬送ユニット19の設計の自由度を高めることができる。
さらに現金自動預払機1では、ガイド部55によりガイド溝を、溝開放端側の軸入出区間は当該溝開放端側へ徐々に溝幅を広げるものの、溝閉塞端側の軸取込区間は第3ギア軸53の直径とほぼ等しい一定の溝幅で、第1ギア軸48を中心とする円弧状に形成するようにした。従って現金自動預払機1は、第2伝達部45Bにおいてユニット支持軸46及び第1ギア軸48の軸間距離や当該ユニット支持軸46及び第3ギア軸53の軸間距離が設計値の公差内でばらついても、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、その軸間距離のばらつきを、ガイド溝の円弧状の軸取込区間における第3ギア軸53の一端部の停止位置のばらつきに置き換えることができる。よって現金自動預払機1は、第2伝達部45Bの軸間距離のばらつきによらず、第1ギア軸48及び第3ギア軸53の軸間距離をほぼ一定にして、第1ジョイントギア47にリンクギア52を接続することができる。
(2)他の実施の形態
(2−1)他の実施の形態1
なお上述した実施の形態においては、ユニット間駆動力伝達部45において搬送ユニット19に第1ジョイントギア47及びガイド部55を設けると共に、一時保留ユニット18に第2ジョイントギア51と、当該第2ジョイントギア51にギア支持部50を介して接続したリンクギア52とを設ける場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、例えば図14に示すように、ユニット間駆動力伝達部60において搬送ユニット19に第1ギア軸48を介して第1ジョイントギア47を設けるものの、当該第1ジョイントギア47の後斜め上側から前斜め上側までに亘りガイド部61を設ける。そして本発明は、ガイド部61によりガイド溝を、第1ジョイントギア47のほぼ真上となる中央から後斜め上側の溝開放端までの軸入出区間は徐々に溝幅を広げるものの、当該中央から前斜め上側の溝閉塞端までの軸取込区間は一定の溝幅で第1ギア軸48を中心とする円弧状に形成する。
また本発明は、一時保留ユニット18に第2軸としてのプーリ軸62を中心にして駆動力伝達部品としてのプーリ63と、ギア支持部64とを個別に一回転方向及び他回転方向へ回転可能に設けると共に、当該ギア支持部64に第3軸としての第4ギア軸65を中心にして例えはギアプーリであるリンクギア66を一回転方向及び他回転方向へ回転可能に設け、当該リンクギア66とプーリ63とを無端状のベルト67を介して接続する。
そして本発明は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第4ギア軸65の一端部をガイド溝の軸取込区間まで移動させるようにして第1ギア軸48の周囲をユニット閉側へ回り込ませる。これにより本発明は、ユニット支持軸46と第1ギア軸48の上側の所定位置とを通る第6仮想直線VL6上にプーリ軸62及び第4ギア軸65を並べて位置させるようにして、リンクギア66を第1ジョイントギア47に互いの歯を噛み合わせて接続する。
本発明は、係る構成によれば、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が一回転方向へ回転した場合、第1ジョイントギア47からリンクギア66に、ガイド溝の軸取込区間内で第4ギア軸65をユニット閉側となる溝閉塞端側へ移動させるような圧力が生じる。すなわち本発明は、プーリ63にベルト67を介して接続しているリンクギア66を第1ジョイントギア47に接続したまま、ユニット閉側へ移動させるように付勢することができる。これにより本発明は、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させずに、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路が意図せずに分断することを回避することができる。
また本発明は、前モータ34の動作に応じて第1ジョイントギア47が他回転方向へ回転した場合、第1ジョイントギア47からリンクギア66に、ガイド溝の軸取込区間内で第4ギア軸65を溝開放端側へ移動させるような圧力が生じる。その結果、本発明は、リンクギア66からプーリ63に、当該プーリ63を後側へ押すような圧力が生じる。ただし本発明は、ユニット支持軸46を通る第6仮想直線VL6上にプーリ軸62及び第4ギア軸65が位置しているため、リンクギア66からプーリ63へ第6仮想直線VL6上で後側となるユニット支持軸46の方向へ押すように圧力を生じさせ、その圧力をユニット支持軸46で受け止めることができる。これにより本発明は、プーリ63の位置を変化させずに、リンクギア66が第1ジョイントギア47との接続位置からユニット開側へ移動することを回避することができ、その結果、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を開くようには作用させずに、搬送ユニット19から一時保留ユニット18までに亘る駆動力伝達経路が意図せずに分断することを回避することができる。
よって本発明は、係る構成によっても、上述した実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。ところで本発明は、一時保留ユニット18が自重により所定のユニット閉塞トルクを発生させ得ると、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18が閉じた場合、第6仮想直線VL6に対してプーリ軸62及び第4ギア軸65を通る仮想直線を傾けるようにしてリンクギア66を第1ジョイントギア47に接続するように構成しても、上述した実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
(2−2)他の実施の形態2
また上述した実施の形態においては、搬送ユニット19及び一時保留ユニット18に亘ってユニット間駆動力伝達部45を設ける場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、搬送ユニット19に入出金ユニット16を開閉可能に設け、当該搬送ユニット19及び入出金ユニット16に亘ってユニット間駆動力伝達部45を設けても良い。さらに本発明は、搬送ユニット19に鑑別ユニット17を開閉可能に設け、当該搬送ユニット19及び鑑別ユニット17に亘ってユニット間駆動力伝達部45を設けても良い。
(2−3)他の実施の形態3
さらに上述した実施の形態においては、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を、ユニット支持軸46を介して一回転方向及び他回転方向へ回転させるようにして開閉可能に設ける場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、搬送ユニット19に対して一時保留ユニット18を、例えば上下に移動させるようにして前搬送路及び後搬送路の境界部分と一時保留用搬送路とを開放し、また当該前搬送路及び後搬送路の境界部分と一時保留用搬送路とを閉塞するように、開閉可能に設けても良い。そして本発明は、係る開閉の構成を、他の実施の形態2で上述した種々の構成に適用しても良い。
(2−4)他の実施の形態4
さらに上述した実施の形態においては、搬送ユニット19に前モータ34と共にユニット間駆動力伝達部45の第1伝達部45Aを設け、一時保留ユニット18に当該ユニット間駆動力伝達部45の第2伝達部45Bを設ける場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、一時保留ユニット18に前モータ34と共にユニット間駆動力伝達部45の第1伝達部45Aを設け、搬送ユニット19に当該ユニット間駆動力伝達部45の第2伝達部45Bを設けても良い。そして本発明は、係る構成を、他の実施の形態2や他の実施の形態3で上述した種々の構成に適用しても良い。
(2−5)他の実施の形態5
さらに上述した実施の形態においては、本発明による駆動力伝達装置を、図1乃至図14について上述した現金自動預払機1に設けられたユニット間駆動力伝達部45、60に適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)や両替機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、コピー機、複写機、葉書取扱装置等のように、紙幣や有価証券、切符、チケット、コピー用紙、葉書等の紙葉類を搬送して取り扱う種々の媒体処理装置に設けられる駆動力伝達装置に広く適用することができる。
(2−6)他の実施の形態6
さらに上述した実施の形態においては、本発明による媒体処理装置を、図1乃至図14について上述した現金自動預払機1に適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動支払機や両替機、券売機、精算機、コピー機、複写機、葉書取扱装置等のように、紙幣や有価証券、切符、チケット、コピー用紙、葉書等の紙葉類を搬送して取り扱う、この他種々の媒体処理装置に広く適用することができる。
(2−7)他の実施の形態7
さらに上述した実施の形態においては、開閉可能な第1ユニット及び第2ユニットとして、図1乃至図14について上述した上開きで開閉可能な搬送ユニット19及び一時保留ユニット18を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、開閉可能な搬送ユニット19及び入出金ユニット16や、開閉可能な搬送ユニット19及び鑑別ユニット17、前開きで開閉可能な第1ユニット及び第2ユニットや、後開きで開閉可能な第1ユニット及び第2ユニット、下開きで開閉可能な第1ユニット及び第2ユニット等のように、この他種々の構成の開閉可能な第1ユニット及び第2ユニットを広く適用することができる。
(2−8)他の実施の形態8
さらに上述した実施の形態においては、第1ユニットに第1軸を中心にして回転可能に設けられた駆動ギアとして、図1乃至図14について上述した第1ジョイントギア47を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、ギアプーリやモータギア等のように、この他種々の駆動ギアを広く適用することができる。
(2−9)他の実施の形態9
さらに上述した実施の形態においては、第2ユニットに第2軸を中心にして回転可能に設けられた駆動力伝達部品として、図1乃至図14について上述した第2ジョイントギア51を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、ギアプーリのように、この他種々の駆動力伝達部品を広く適用することができる。
(2−10)他の実施の形態10
さらに上述した実施の形態においては、第2ユニットに第2軸を中心にして、駆動力伝達部品とは個別に回転可能に設けられたギア支持部として、図1乃至図14について上述した略コ字板状のギア支持部50を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、略短冊状のギア支持部や、略L字板状のギア支持部等のように、この他種々の構成のギア支持部を広く適用することができる。
(2−11)他の実施の形態11
さらに上述した実施の形態においては、ギア支持部に、駆動力伝達部品と接続した状態で第3軸を中心にして回転可能に設けられたリンクギアとして、図1乃至図14について上述したリンクギア52、66を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、この他種々の構成のリンクギアを広く適用することができる。
(2−12)他の実施の形態12
さらに上述した実施の形態においては、第1ユニットに設けられ、当該第1ユニット及び第2ユニットが閉じる際、第3軸を移動させるガイド溝によりリンクギアを駆動ギアに接続するようにガイドするガイド部として、図1乃至図14について上述したガイド部55、61を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、ガイド溝の軸取込区間を一定の溝幅で弓形状に形成したガイド部のように、この他種々の構成のガイド部を広く適用することができる。
(2−13)他の実施の形態13
さらに上述した実施の形態においては、第1ユニット及び第2ユニットを開閉可能に支持するユニット支持軸として、図1乃至図14について上述した一時保留ユニット18に設けられたユニット支持軸46を適用する場合について述べた。しかしながら本発明は、これに限らず、搬送ユニット19に設けられたユニット支持軸を適用することができる。