以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の積立残高管理システム20を含む積立システム10の全体構成が示されている。図2には、ウォレット記憶手段41の構成が示され、図3には、ウォレット残高記憶手段42の構成が示され、図4には、積立条件記憶手段43の構成が示されている。また、図5および図6には、買付・約定・残高更新の際、図7には、ウォレット新規登録および積立条件追加の際のデータ処理の具体例が示されている。さらに、図8および図9には、ウォレット残高移動の際のデータ処理の具体例および画面遷移の例が示されている。また、図10には、積立条件の移動の際、図11には、株式分割の際、図12には、口座間残高振替処理の際、図13には、銘柄変更処理の際、図14には、単元株振替処理の際、図15には、積立対象外ウォレット残高補正処理の際のデータ処理の具体例が示されている。そして、図16には、買付・約定および入出庫による残高更新処理の流れがフローチャートで示されている。
<積立システム10の全体構成>
図1において、積立システム10は、顧客に対して投資対象の金融商品(例えば有価証券等)の買付を繰り返す積立投資に関する各種サービスを提供する証券会社等の金融機関が運営・管理するシステムであり、積立残高管理システム20と、この積立残高管理システム20と通信回線2を介して接続された金融商品(例えば有価証券等)の売買システム50とを備えて構成されている。
また、売買システム50には、通信回線3を介して金融商品情報提供システム70が接続されるとともに、通信回線4を介して市場システム71が接続されている。なお、金融商品情報提供システム70は、通信回線5を介して積立残高管理システム20と直接に接続されていてもよい。さらに、積立残高管理システム20および売買システム50には、通信回線であるネットワーク1を介して、顧客またはその入力代行者(証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)が操作する1台または複数台(通常は、多数)の端末装置80が接続されている。
ここで、ネットワーク1は、本実施形態では、主としてインターネットを中心に構成され、有線であるか、無線であるか、有線・無線の混在型であるかは問わない。通信回線2は、LANやイントラネット等の社内ネットワークであるが、ネットワーク1としてもよく、専用線としてもよい。通信回線3,5は、ネットワーク1や社内ネットワークにより構成してもよく、専用線により構成してもよい。通信回線4は、専用線であるが、ネットワーク1により構成してもよい。
積立残高管理システム20は、積立条件および積立投資対象の金融商品の残高をウォレット単位で管理する積立プラットフォームである。この積立残高管理システム20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、ウォレット登録手段21と、ウォレット情報表示手段22と、残高移動手段23と、評価金額算出手段24と、積立条件連携手段25と、積立予定情報作成手段26と、積立予定情報削除手段27と、約定データ抽出手段28と、ウォレット残高更新29と、入出庫ウォレット按分手段30と、単元株振替手段31とを備えている。
これらの各手段21〜31は、積立残高管理システム20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段21〜31の詳細は、後述する。
また、積立残高管理システム20は、ウォレット記憶手段41と、ウォレット残高記憶手段42と、積立条件記憶手段43と、積立予定情報記憶手段44と、金融商品情報記憶手段45と、約定データ抽出結果記憶手段46と、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47とを備えている。
これらの各記憶手段40〜47は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。また、各記憶手段40〜47のデータ保存形式は、データベースでもよく、フラットファイル等のファイル形式でもよい。データベースとする場合には、各記憶手段40〜47をそれぞれ別々のデータベースとしてもよく、1つまたは幾つかのデータベース内の異なるテーブルとしてもよい。なお、これらの各記憶手段40〜47の詳細は、後述する。
売買システム50は、金融商品の売買取引の取次を行う証券会社等の金融機関の基幹システムであり、金融商品の注文受付、顧客の買付余力判断、注文作成、市場等への発注、約定処理、顧客の保有資産の残高管理等のような金融商品の売買(本実施形態では、主として積立のための毎回の買付)に関する各種の処理を行うが、積立残高管理システム20とは異なり、ウォレット単位での処理は行わず、口座単位(サービス毎の口座単位)での従来方式の処理を行うものである。従って、売買システム50では、ウォレットを意識しないデータ処理やデータ管理が行われるので、積立残高管理システム20との間でデータ連携を行うことを除けば、売買システム50の処理内容やデータ管理形態は、既存のシステムと同様である。
売買システム50で取り扱う金融商品には、積立残高管理システム20で取り扱う積立投資の対象となり得る金融商品以外の金融商品も含まれるが、積立残高管理システム20との間でのデータ連携は、積立投資の対象となり得る金融商品に関するデータだけでよい。従って、売買システム50のうちの積立投資対象の金融商品を取り扱う部分が、積立残高管理システム20とともに積立システム10を構成していると考えてよい。ここで、積立投資の対象となり得る金融商品としては、例えば、投資信託、株式累積投資(株式るいとう)、確定拠出年金、コモディティ等があるが、本実施形態では、一例として、投資信託、株式累積投資、および国内株式(株式累積投資により買い付けた数量は、単元株に達すると、国内株式に振り替えられるため。)を取り扱うものとして説明を行う。
同様に、売買システム50で取り扱うサービスには、積立投資に関するサービス以外のサービスも含まれるが、積立残高管理システム20との間でのデータ連携は、積立投資に関するサービス(それに対応する口座)で取り扱うデータだけでよい。従って、売買システム50のうちの積立投資に関するサービス(口座)を取り扱う部分が、積立残高管理システム20とともに積立システム10を構成していると考えてよい。ここで、積立投資に関するサービス(口座)としては、例えば、総合的・基礎的なサービスのための主口座(例えば、証券会社に開設される証券総合口座等)、NISAまたはつみたてNISAのためのNISA口座、投資一任サービスのためのファンドラップ口座(投資信託への投資を行うファンドラップ用の口座)やラップ口座(投資信託だけではなく、株式・債券・金等の様々な資産への投資を行うサービス用の口座)等があり、新しい金融制度の創設に伴って、それに対応する口座が新設されることもあるが、本実施形態では、一例として、主口座、NISA口座があるものとして説明を行う。
この売買システム50は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、注文受付・作成手段51と、発注・約定処理手段52と、約定データ連携手段53と、入出庫明細作成手段54と、入出庫データ連携手段55と、顧客残高連携手段56とを備えている。
これらの各手段51〜56は、売買システム50を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段51〜56の詳細は、後述する。
また、売買システム50は、注文データ記憶手段61と、約定データ記憶手段62と、権利情報記憶手段63と、単元株振替情報記憶手段64と、入出庫データ記憶手段65と、顧客残高記憶手段66とを備えている。
これらの各記憶手段61〜66は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。また、各記憶手段61〜66のデータ保存形式は、データベースでもよく、フラットファイル等のファイル形式でもよい。なお、これらの各記憶手段61〜66の詳細は、後述する。
金融商品情報提供システム70は、本実施形態では、積立のための買付の対象となる投資信託や株式累積投資の対象銘柄等の金融商品の情報を提供するシステムの総称として用いており、具体的には、例えば、投資信託の運用会社のシステム、積立システム10(積立残高管理システム20、売買システム50)を運営・管理する会社(証券会社等の金融機関)内の他のシステム(例えば、各サービスの提供に必要なデータ処理を実行する自社内の他のシステム等)、情報ベンダーのシステム等であり、これらのシステムは、それぞれ1台または複数台のコンピュータにより構成されている。
従って、例えば、投資信託の基準価額については、金融商品情報提供システム70としての投資信託の運用会社のシステムで計算され、その計算結果が、通信回線3を介して売買システム50へ送信され、さらに売買システム50を経由して通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信されるか、あるいは、通信回線5を介して積立残高管理システム20へ直接に送信されるようになっている。また、株式(株式累積投資で取り扱われる株式銘柄を含む。)や債券等の単価、あるいは、例えば、日経平均、NYダウ、原油価格等の各種の金融指標についての指標値については、金融商品情報提供システム70としての情報ベンダーのシステムまたは自社内の他のシステムから提供されるようになっている。なお、基準価額や単価のデータは、積立残高管理システム20において、積み立てられた顧客の保有資産の評価金額の算出に用いられるとともに、顧客が積立条件を設定する際の銘柄選定の参考情報としても利用される。また、日経平均等の指標値も、顧客が積立条件を設定する際の銘柄選定の参考情報として利用される。
市場システム71は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、例えば、証券取引所システム等の金融商品の取引所システム、私設取引システム(PTS:Proprietary Trading System)、店頭市場システム等である。
端末装置80は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。この端末装置80は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)等の携帯機器でもよい。
<積立残高管理システム20の詳細構成>
<積立残高管理システム20/ウォレット登録手段21の構成>
ウォレット登録手段21は、顧客またはその入力代行者(証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)が操作する端末装置80からの要求に応じ、ネットワーク1を介してウォレット設定用の画面90(図9参照)の表示用データを送信するとともに、顧客またはその入力代行者により入力されて端末装置80からネットワーク1を介して送信されてくるウォレットの設定登録情報を受信し、ウォレット記憶手段41、ウォレット残高記憶手段42、積立条件記憶手段43に記憶させる処理を実行するものである。
このウォレット登録手段21は、ネットワーク1を介してウォレットの設定登録情報の入力を受け付けるので、ウォレット登録手段21を構成するプログラムは、例えば、ウェブアプリケーションプログラムであり、積立残高管理システム20は、ウェブアプリケーションサーバの機能を備えている。
ウォレット登録手段21によるウォレットの設定登録では、1人の顧客が、複数のウォレットを設定することができる。図2の例では、大和太郎(主口座番号=A)は、3つのウォレットを設定している。但し、顧客が、1つのウォレットしか設定しないのは自由である。
具体的には、ウォレット登録手段21によるウォレットの設定登録情報には、ウォレット毎の積立目的および積立の目標金額が含まれ、入力された積立目的および目標金額は、ウォレット管理番号および顧客識別情報として機能する主口座番号と関連付けられて、ウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶される。なお、既に詳述したように、ウォレット管理番号は、1人の顧客の中の複数のウォレットを識別するだけではなく、顧客識別情報としても機能するようにしてもよい。すなわち、ウォレット管理番号だけで、いずれの顧客のいずれのウォレットであるのかを識別できるようにしてもよい。
積立目的の入力は、テキストデータの打ち込み入力としてもよく、予め用意された選択肢から選択してもよく、それらの併用でもよい。また、必ずしも具体的な積立目的(例えば、「車の購入資金」、「子供の教育資金」、「老後の生活資金」等)を入力しなければならないということではなく、デフォルト設定(例えば、「ウォレット1」、「ウォレット2」等)のままの状態としてもよく、あるいは何も入力せずにブランクの状態としてもよい。目標金額も必ずしも入力する必要はないが、入力しないと、達成率の算出をすることはできない。
また、ウォレットの設定登録情報には、積立条件(投資対象の金融商品を買い付ける際の買付日、買付金額、および買付銘柄についての銘柄識別情報)が含まれ、入力された積立条件は、買付銘柄の残高管理用の口座についての口座識別情報、および当該口座の当該買付銘柄の残高を帰属させるウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けられて積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶される。図4に示すように、1つのウォレットには、複数の積立条件を設定することができる。図4の例では、ウォレット管理番号=「000001」、「000002」の各ウォレットには、それぞれ2つの積立条件が設定されている。但し、顧客が、1つのウォレットについて、1つの積立条件しか設定しないのは自由である。また、上記のように、積立条件は、口座およびウォレットと関連付けられて設定されるが、この際、1つのウォレットについて、複数の口座の積立条件を設定することができる。すなわち、各ウォレットは、それぞれ複数の口座に跨って設定可能とされている。図4の例では、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットには、主口座の積立条件(株累投の銘柄β)と、NISA口座の積立条件(投信δ)とが設定されている。但し、1つのウォレットについて、1つの口座の積立条件しか設定しないのは、顧客の自由であり、また、1つの口座の1つの積立条件しか設定しないのも、顧客の自由である。
そして、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶された積立条件に従って買い付けられた各銘柄の残高数量は、積立条件記憶手段43において当該買付銘柄の積立条件が関連付けられているウォレット管理番号および口座識別情報と同じウォレット管理番号および同じ口座識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶される。すなわち、積立条件が帰属する口座およびウォレットは、その積立条件により買い付けられた銘柄の残高数量が帰属する口座およびウォレットと同じである。
さらに、上記の積立条件の設定は、これから積み立てる分の設定といえるが、ウォレットの設定登録情報には、既に顧客が保有し、いずれかの口座で管理されている金融資産(いずれかの口座に帰属している顧客の保有銘柄の残高数量:但し、積立投資の対象となり得る金融商品の銘柄の残高数量に限る。)を、いずれかのウォレットに帰属させるための設定登録情報も含まれる。この際、既に顧客が保有している金融資産は、定期的な買付で積み立てられた資産である場合や、単発の買付で得られた資産である場合等があるが、いずれの場合でも、任意のウォレットに帰属させることができる。具体的には、既に保有している銘柄の残高情報(顧客の保有銘柄についての銘柄識別情報、その保有銘柄の残高数量、およびその残高が帰属する口座についての口座識別情報)に対し、いずれかのウォレットを割り当てる設定を行うと、顧客の保有銘柄の残高情報(口座識別情報、銘柄識別情報、残高数量)が、割り当てたウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶される。
図7には、積立残高管理システム20を活用した積立計画の例として、ウォレット新規登録を行い、その後、積立条件の追加を行った際のデータ処理の具体例が示されている。図7(A)に示すように、大和次郎(主口座番号=D)は、車資金、教育資金、老後の生活資金を積立目的とした3つのウォレット(ウォレット管理番号=「000001」、「000002」、「000003」)を作成し、それぞれに目標金額=500万円、200万円、300万円を設定した。新規登録であるから、未だ買付は行われていないので、評価金額は、いずれのウォレットも0円であり、達成率も0%である。また、図7(B)に示すように、積立条件は、3つのウォレットのそれぞれに1つずつ設定し、それらの3つの積立条件の買付銘柄の残高管理は、いずれも主口座で行う設定とした。
その後、買付が繰り返され、図7(C)に示すように、3つのウォレットの残高の評価金額は、350万円、80万円、90万円となったので、達成率は、70%、40%、30%となった。しかし、教育資金の積立があまり進んでいないと考え、図7(D)中の太枠で示すように、教育資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000002」)に、投資信託の銘柄δでの積立条件も追加し、さらに非課税になるNISAも活用したいと考え、投資信託の銘柄δの残高を、NISA口座に帰属させる設定を行った。
以上に述べたウォレット登録手段21による積立目的や目標金額の入力の受付処理、積立条件の帰属設定の受付処理、既に保有している銘柄の帰属設定の受付処理は、図9のウォレット設定用の画面90における「ウォレット登録」タブ92を開くことにより行われる。また、この「ウォレット登録」タブ92では、ウォレット登録手段21による積立条件の追加・削除・変更(買付金額や買付日の変更)・移動の受付処理も行われる。このうち、積立条件の移動(図10参照)は、積立条件の追加・削除・変更(買付金額の変更)の各操作をまとめて行う操作に相当する。従って、ウォレット登録手段21は、以下のような積立条件移動処理を行う機能も備えている。但し、この積立条件移動処理を行う機能の設置は省略してもよい。
ウォレット登録手段21は、上記の積立条件移動処理として、端末装置80から、ネットワーク1を介して、ウォレットに帰属する積立条件の全部または一部を、別のウォレットに移動するための顧客またはその入力代行者による入力を受け付ける処理を実行する。
この際、ウォレット登録手段21は、積立条件の全部の移動の場合には、移動対象の積立条件と関連付けられて積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶されているウォレット管理番号を、移動先のウォレットについてのウォレット管理番号に変更する処理を実行する。
また、ウォレット登録手段21は、積立条件の一部の移動の場合には、移動対象の積立条件として積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶されている買付金額から移動対象分の金額を減じるとともに、移動対象の積立条件に含まれる買付日および銘柄識別情報と同一の買付日および同一の銘柄識別情報、移動対象分の金額を含む新設の積立条件、並びに、移動対象の積立条件に対応する口座識別情報と同一の口座識別情報を、移動先のウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けて積立条件記憶手段43に記憶させる処理を実行する。
図10には、ウォレット登録手段21による積立条件の移動の際のデータ処理の具体例が示されている。この例では、図10(A)に示すように、大和良子(主口座番号=F)は、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに、主口座の投資信託の銘柄εの積立条件を設定している。この主口座の投資信託の銘柄εの積立条件の全部を、ウォレット管理番号=「000003」のウォレットに移動させると、図10(B)に示すようになる。従って、この場合は、ウォレット登録手段21は、主口座の投資信託の銘柄εの積立条件のレコードにおけるウォレット管理番号を、「000001」から「000003」に変更する処理を行っている。
また、主口座の投資信託の銘柄εの積立条件の一部(買付金額10,000円のうちの半分の5,000円)を、ウォレット管理番号=「000003」のウォレットに移動させると、図10(C)に示すようになる。従って、この場合は、ウォレット登録手段21は、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに帰属する主口座の投資信託の銘柄εの積立条件のレコードにおいて、買付金額を10,000円から5,000円に変更するとともに、ウォレット管理番号=「000003」のウォレットに帰属する主口座の投資信託の銘柄εの積立条件のレコードを作成し、そのレコードの買付金額を5,000円に設定する処理を行っている。
<積立残高管理システム20/ウォレット情報表示手段22の構成>
ウォレット情報表示手段22は、顧客またはその入力代行者による端末装置80からの要求に応じ、ウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶された当該顧客の各ウォレットについての積立目的、目標金額、評価金額、達成率を画面表示するための表示用データを、ネットワーク1を介して端末装置80に送信する処理を実行するものである。これにより、顧客またはその入力代行者は、端末装置80の画面において、積立の達成度合いを容易に把握することができる。この画面表示は、図9のウォレット設定用の画面90における「ウォレット一覧」タブ91を開くことにより行うことができる。
<積立残高管理システム20/残高移動手段23の構成:図8、図9参照>
残高移動手段23は、端末装置80から、ネットワーク1を介して、ウォレットに帰属する顧客の保有銘柄の残高の全部または一部を、別のウォレットに移動するための顧客またはその入力代行者による入力を受け付ける処理を実行するものである。
この際、残高移動手段23は、残高の全部の移動の場合には、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されているウォレット管理番号を、移動先のウォレットについてのウォレット管理番号に変更する処理を実行する。
また、残高移動手段23は、残高の一部の移動の場合には、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている残高数量から移動対象分の数量を減じるとともに、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と同一の銘柄識別情報および同一の口座識別情報、移動対象分の数量を、移動先のウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けてウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。なお、移動先のウォレットに、口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードがない場合には、移動対象分の数量を含むレコードを新設し、一致するレコードがある場合には、そのレコードの残高数量に、移動対象分の数量を加算する。
また、残高移動手段23は、ウォレット間だけではなく、積立対象外ウォレットも含めて残高移動処理を行うことができる。この積立対象外ウォレットは、積立投資対象の金融商品の残高(積立残高管理システム20で取り扱う金融商品の残高)のうち、いずれのウォレットにも帰属させない残高を管理するために顧客毎に設定されているものであり、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)には、積立対象外ウォレットについてのレコードが、ウォレット管理番号=「999999」のレコードとして記憶されている。1人の顧客の積立対象外ウォレットには、複数のレコードが記憶されていてもよい。図3の例では、大和太郎(主口座番号=A)の積立対象外ウォレットに、2つのレコードが記憶されている。この積立対象外ウォレットに記憶されるレコードは、積立条件に従って買い付けられた銘柄ではなく、単発の買付注文(例えば、売買システム50において注文受付・作成手段51によりオンライントレードで受け付けた買付注文等)で買い付けた銘柄についての約定データにより作成されたレコードである場合や、積立条件に従って買い付けを行った銘柄が一部しか約定せずに、約定データの受渡金額と積立予定情報の買付金額(積立条件の買付金額)とが一致しなかったケースにおいて、その部分約定の約定データにより作成されたレコードである場合等がある。
そして、残高移動手段23は、このような積立対象外ウォレットも含めた残高移動処理として、端末装置80から、ネットワーク1を介して、積立対象外ウォレットに帰属する顧客の保有銘柄の残高の全部もしくは一部を、いずれかのウォレットに移動するか、または、いずれかのウォレットに帰属する顧客の保有銘柄の残高の全部若しくは一部を、別のウォレットまたは積立対象外ウォレットに移動するための顧客またはその入力代行者による入力を受け付ける処理を実行する。
この際、残高移動手段23は、残高の全部の移動の場合には、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されているウォレット管理番号を、移動先のウォレットまたは積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号に変更する処理を実行する。
また、残高移動手段23は、残高の一部の移動の場合には、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている残高数量から移動対象分の数量を減じるとともに、残高移動対象の銘柄についての銘柄識別情報および口座識別情報と同一の銘柄識別情報および同一の口座識別情報、移動対象分の数量を、移動先のウォレットまたは積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けてウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。なお、移動先のウォレットまたは積立対象外ウォレットに、口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードがない場合には、移動対象分の数量を含むレコードを新設し、一致するレコードがある場合には、そのレコードの残高数量に、移動対象分の数量を加算する。
図8の例は、前述した図7に示した積立残高管理システム20を活用した積立計画の例と繋がっている。図7の例では、大和次郎(主口座番号=D)は、ウォレット新規登録を行い、その後、積立条件の追加を行ったが、図8には、さらにその後、残高移動(一部の移動)を行う際のデータ処理の具体例が示されている。
図8(A)に示すように、大和次郎(主口座番号=D)は、車資金、教育資金、老後の生活資金を積立目的とした3つのウォレット(ウォレット管理番号=「000001」、「000002」、「000003」)を設定している。そして、それぞれの目標金額=500万円、200万円、300万円に対し、評価金額=450万円、100万円、95万円となったので、達成率=90%、50%、32%となっている。大和次郎は、車資金として500万円を貯めたかったが、現在450万円で50万円不足している状況であり、車をすぐに購入したいので、老後の生活資金は後回しにして車資金の500万円を確保しようと考えた。そこで、大和次郎は、図8(B)に示すように、老後の生活資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)に、主口座の株式累積投資の銘柄γの残高数量475株があり、その評価金額が95万円(475株×2,000円)であったため、このうち、50万円相当の250株(50万円÷2,000円)を、車資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)へ移動させることにした。
この残高移動により、図8(D)に示すように、老後の生活資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)のレコードにおいて、主口座の株式累積投資の銘柄γの残高数量は、475株から移動対象分の数量250株を減じられて225株となる。また、ウォレット残高記憶手段42には、移動先の車資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)に帰属する主口座の株式累積投資の銘柄γのレコードが作成され、そのレコードの残高数量は、移動対象分の数量250株となる。これにより、図8(C)に示すように、移動先である車資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)の評価金額は、450万円から50万円増えて500万円となり、達成率は90%から100%に変わる。一方、移動元である老後の生活資金のウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)の評価金額は、95万円から50万円減って45万円となり、達成率は32%から15%に変わる。
図9には、残高移動手段23による残高移動処理を行う際の画面遷移の例が示されている。但し、図9の例は、大和三郎(主口座番号=E)の画面操作例であるから、上述した大和次郎(主口座番号=D)による図8の例とは対応していない。
残高移動手段23による残高移動処理は、図9のウォレット設定用の画面90における「残高移動」タブ93を開いて行われる。図9に示すように、大和三郎は、4つのウォレットを設定するとともに、積立対象外ウォレットにも、いくつかの銘柄の残高を有している。従って、大和三郎は、積立対象外ウォレットに帰属するいずれかの銘柄の残高を、いずれかのウォレットに移動することが可能であり、また、4つのウォレットのいずれかの銘柄の残高を、別のウォレットに移動したり、積立対象外ウォレットに移動することが可能である。なお、ウォレットを削除する場合には、その削除対象のウォレットに帰属している残高を、積立対象外ウォレットに移動することになるが、この残高移動は、ウォレットの削除操作に伴って自動で実行されてもよく、あるいは、ウォレットの削除操作を行う前に、顧客が自ら削除対象のウォレットから積立対象外ウォレットへの残高移動操作を行ってもよい。
ここでは、図9に示すように、大和三郎は、住宅資金(改築)のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)に帰属している主口座の投資信託の銘柄αの300万口のうちの100万口(基準価額=5,000円(1口=0.5円)とすると、評価金額で言えば、150万円のうちの50万円)を、ウォレット4(ウォレット管理番号=「000004」の積立目的を入力していないウォレット)に移動させるものとする。
この場合、先ず、図9(A)に示すように、移動元のウォレットの銘柄として、住宅資金(改築)のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)に帰属している主口座の投資信託の銘柄αを選択する。次に、図9(B)に示すように、移動先のウォレットとして、ウォレット4(ウォレット管理番号=「000004」)を選択する。それから、図9(C)に示すように、「全部」の移動か、一部の移動を示す「数量指定」かの選択において、「数量指定」を選択し、移動対象分の数量として、100万口を入力する。なお、図9(C)において、100万口を入力する代わりに、それに相当する評価金額(または、それに対応する累計投資金額)を入力し、100万口が自動算出(数量指定のデータに自動変換)されるようにしてもよい。また、図9(A)および図9(C)では、残高数量に対応する累計投資金額(ウォレット残高記憶手段42の各レコードに記憶されているデータ)が画面表示されているが、残高移動操作の参考情報として、基準価額や単価を用いた評価金額(レコード毎の個別評価の金額)を画面表示してもよく、累計投資金額および評価金額の双方を画面表示してもよい。但し、図9中で例示された数値自体は、説明の便宜上、累計投資金額と評価金額とが、たまたま一致している状態を記載している。
さらに、残高移動手段23は、以上の残高移動の処理と併せて、ウォレット残高記憶手段42の各レコードに記憶されている累計投資金額(但し、図3では、累計投資金額の図示は省略されている。)を移動させる処理も実行する。この際、残高の全部の移動の場合には、累計投資金額も全部の移動となる。また、残高の一部の移動の場合には、累計投資金額も一部の移動となり、この場合の累計投資金額の移動割合は、残高の移動割合と一致させる。図9の例では、残高数量について、銘柄αの300万口のうちの100万口を移動させるので、同じ割合(1/3)で、同じ移動先へ、累計投資金額の150万円のうちの50万円を移動させる。すなわち、150万円×(100万口/300万口)=50万円を、残高の移動先と同じレコードに移動させる。
<積立残高管理システム20/評価金額算出手段24の構成>
評価金額算出手段24は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶された各口座の各保有銘柄の残高数量、および、金融商品情報記憶手段45に記憶された各銘柄の単価または基準価額を用いて、同一のウォレット管理番号に関連付けられた(つまり、同一のウォレットに帰属する)各口座の各保有銘柄の残高数量についての各評価金額を算出して加算(合計)することにより、ウォレット毎の評価金額を算出し、算出した評価金額を、ウォレット管理番号と関連付けてウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶させる評価金額算出処理を実行するものである。
また、評価金額算出手段24は、上記の評価金額算出処理で算出したウォレット毎の評価金額を、ウォレット登録手段21により受け付けてウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶されているウォレット毎の目標金額で除することにより、ウォレット毎の達成率を算出し、算出した達成率を、ウォレット管理番号と関連付けてウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶させる達成率算出処理も実行する。
図3の例では、大和太郎(主口座番号=A)のウォレット管理番号=「000001」のウォレットには、主口座の投資信託の銘柄αの残高数量=500,000口と、主口座の株式累積投資の銘柄γの残高数量=50株とが帰属している。投資信託の銘柄αの基準価額=5,000円であるから、その評価金額は、500,000口×5,000円/10,000口=250,000円となり、また、株式累積投資の銘柄γの単価=2,000円であるから、その評価金額は、50株×2,000円=100,000円となり、これらを合計すると、大和太郎(主口座番号=A)のウォレット管理番号=「000001」のウォレットの評価金額は、250,000円+100,000円=350,000円となるので、この金額が図2のようにウォレット記憶手段41に記憶される。また、この評価金額の350,000円(図2参照)を、目標金額の5,000,000円(図2参照)で除すると、達成率=7%が得られるので、この数値が図2のようにウォレット記憶手段41に記憶される。大和太郎(主口座番号=A)の他のウォレットも同様であり、図2の例と、図3の例とは、対応している。
なお、積立対象外ウォレット(ウォレット管理番号=「999999」)には、積立目的や目標金額は無いので、評価金額や達成率の算出処理は行われない。但し、評価金額の算出は可能である。
さらに、評価金額算出手段24は、各ウォレットの累計投資金額や評価損益(金額)も算出し、算出した累計投資金額や評価損益(金額)を、ウォレット管理番号と関連付けてウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶させる累計投資金額算出処理や評価損益算出処理も実行する。また、評価損益(割合)も算出してウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶させてもよい。従って、図3の例では、図示は省略されているが、ウォレット残高記憶手段42には、各ウォレットに帰属する各口座の各銘柄の残高に対応する累計投資金額も記憶されている。そして、評価金額算出手段24は、同一のウォレット管理番号に関連付けられた(つまり、同一のウォレットに帰属する)各口座の各銘柄の残高に対応する累計投資金額を、ウォレット毎に合計してウォレット単位の累計投資金額を算出する。
ここで、評価損益(金額)は、評価金額から累計投資金額を減じた金額である。また、評価損益(割合)は、評価金額から累計投資金額を減じた金額を、累計投資金額で除した値である。
<積立残高管理システム20/積立条件連携手段25の構成>
積立条件連携手段25は、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶された積立条件若しくはそれらの積立条件のうち買付日が到来した積立条件、およびそれらの積立条件の買付銘柄の残高管理用の口座についての口座識別情報を、通信回線2を介して売買システム50へ送信する処理を実行するものである。なお、売買システム50へ送信された積立条件は、連携積立条件記憶手段(不図示)に記憶され、注文受付・作成手段51による買付注文の作成処理に供される。
この際、売買システム50の連携積立条件記憶手段(不図示)に、全部の積立条件が記憶されている状態とする場合には、積立条件連携手段25が、積立条件のうち更新された分を、更新があった都度に、または毎日の夜間等のバッチ処理で、売買システム50へ送信すればよく、この場合には、売買システム50において、注文受付・作成手段51が、買付日が到来した積立条件を抽出する処理を行うことになる。また、売買システム50の連携積立条件記憶手段(不図示)に、買付日が到来した積立条件だけが記憶されている状態とする場合には、積立残高管理システム20において、積立条件連携手段25が、毎日の夜間等のバッチ処理で、買付日が到来した積立条件を抽出し、売買システム50へ送信する処理を行うことになる。
また、口座識別情報は、既に詳述しているように、[1]顧客毎に割り当てられて顧客識別情報として機能する主口座番号と、顧客に提供されるサービス毎に設けられる口座の種類を識別する口座種類区分(主口座、NISA口座の別)との組合せからなる口座識別情報でもよく、[2]サービス毎で、かつ、顧客毎に割り当てられた口座番号からなる口座識別情報でもよく、2形態あるが、積立残高管理システム20側と、売買システム50側とで、口座識別情報の形態が異なる場合には、積立残高管理システム20側の積立条件連携手段25によるか、または売買システム50側で、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。この変換処理は、識別情報の生成アルゴリズム(例えば、コードの上位の桁を主口座番号とし、下位の桁を口座種類区分とする等)を利用してもよく、変換テーブルを利用してもよい。
<積立残高管理システム20/積立予定情報作成手段26、積立予定情報削除手段27の構成>
積立予定情報作成手段26は、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶された積立条件のうち買付日が到来した積立条件を用いて、買付金額、および買付銘柄についての銘柄識別情報を含む積立予定情報を作成し、作成した積立予定情報、買付銘柄の残高管理用の口座についての口座識別情報、および買付状況を示すステータスを、当該口座の当該買付銘柄の残高を帰属させるウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けて積立予定情報記憶手段44(図5参照)に記憶させる処理を実行するものである。
積立予定情報削除手段27は、予め定められた期間、ステータスが「約定済」にならない(「未処理」のままの)積立予定情報を、積立予定情報記憶手段44(図5参照)から削除する処理を実行するものである。この積立予定情報の削除処理は、例えば、売買システム50において、余力不足等により実際には買付注文が実行されなかったケースや、買付注文が約定しなかったケースがあるので、それらに対応する積立予定情報のレコードを削除するために行われる。
<積立残高管理システム20/約定データ抽出手段28の構成>
約定データ抽出手段28は、売買システム50から通信回線2を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データと、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された積立予定情報のうちステータスが「約定済」になっていない(「未処理」になっている)積立予定情報とを比較し、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額が、比較した積立予定情報と一致する約定データを抽出し、抽出した約定データに、一致した積立予定情報に対応するウォレット管理番号を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6参照)に記憶させるとともに、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)において、一致した積立予定情報に対応するステータスを、「未処理」から「約定済」に変更する処理を実行するものである。
また、約定データ抽出手段28は、売買システム50から受信した約定データのうち、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された積立予定情報の中に、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額が一致する積立予定情報がなかった約定データについては、その約定データに、積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号(=「999999」)を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6参照)に記憶させる処理を実行する。
ここで、売買システム50から受信した約定データについて、一致する積立予定情報がない場合とは、例えば、積立条件に従って買い付けられた銘柄ではなく、単発の買付注文(例えば、売買システム50において注文受付・作成手段51によりオンライントレードで受け付けた買付注文等)で買い付けた銘柄についての約定データである場合や、積立条件に従って買い付けを行った銘柄が一部しか約定せずに、約定データの受渡金額と積立予定情報の買付金額(積立条件の買付金額)とが一致しなかった部分約定の約定データである場合等がある。
<積立残高管理システム20/ウォレット残高更新29の構成>
ウォレット残高更新29は、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶された積立条件に従って買い付けられた当該口座(積立条件に対応する口座)の買付銘柄の約定数量を、積立条件記憶手段43で積立条件と関連付けられたウォレット管理番号および口座識別情報(積立条件に対応するウォレットおよび口座についてのウォレット管理番号および口座識別情報)、並びに、買付銘柄についての銘柄識別情報と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量に加算するウォレット残高更新処理を実行するものである。
具体的には、ウォレット残高更新手段29は、上記のウォレット残高更新処理として、約定データ抽出手段28によりウォレット管理番号を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6参照)に記憶されている約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されているレコードのうち、約定データのレコードとウォレット管理番号、口座識別情報、および銘柄識別情報が一致しているレコードの残高数量に対し、約定データの約定数量を加算する処理を実行する。
また、ウォレット残高更新手段29は、約定データ抽出手段28による処理で、売買システム50から通信回線2を介して受信した約定データのうち、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額が一致する積立予定情報が積立予定情報記憶手段44(図5参照)に存在しなかった約定データについては、積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号(=「999999」)と関連付けてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶させる処理を実行する。なお、積立対象外ウォレットについては、残高移動手段23の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、ウォレット残高更新手段29は、コーポレートアクションまたはその他の権利情報の変化に伴って入出庫が発生した際に、入出庫ウォレット按分手段30により按分されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11、図12、図13参照)に記憶されている按分後の各入出庫データを用いて、各ウォレットの残高を更新する処理も実行する。
具体的には、ウォレット残高更新手段29は、例えば、入出庫ウォレット按分手段30による株式分割処理を実行した場合に、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている按分比率の算出に用いた分割対象の銘柄の残高数量(入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11参照)に記憶されている各入庫データおよび各出庫データに付加されたウォレット管理番号が含まれるレコードの残高数量)に対し、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を加えるとともに、各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を減じる処理も実行する。このウォレット残高更新手段29による処理を含め、株式分割の際のデータ処理の流れの詳細については、図11を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、ウォレット残高更新手段29は、入出庫ウォレット按分手段30による口座間残高振替処理を実行した場合に、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を、各出庫データに付加したウォレット管理番号、並びに、各出庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量から減じるか、または、この残高数量を含むレコードを削除するとともに、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を、ペアの各出庫データから得られたウォレット管理番号、並びに、各入庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量に加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42に存在しないときには、これらのウォレット管理番号、口座識別情報および銘柄識別情報、並びに、按分後の各入庫データの入庫の数量を含むレコードを作成してウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。このウォレット残高更新手段29による処理を含め、口座間残高振替処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図12を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、ウォレット残高更新手段29は、入出庫ウォレット按分手段30による銘柄変更処理を実行した場合に、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を、各出庫データに付加したウォレット管理番号、並びに、各出庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量から減じるか、または、この残高数量を含むレコードを削除するとともに、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を、ペアの各出庫データから得られたウォレット管理番号、並びに、各入庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量に加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42に存在しないときには、これらのウォレット管理番号、口座識別情報および銘柄識別情報、並びに、按分後の各入庫データの入庫の数量を含むレコードを作成してウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。このウォレット残高更新手段29による処理を含め、銘柄変更処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図13を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、ウォレット残高更新手段29は、単元株振替手段31による単元株振替用の残高移動処理を実行した場合に、ペアの入出庫データのうちの出庫データを用いて、単元株の倍数の数量に到達させた最も売却優先順位の低いウォレットの株式累積投資の当該銘柄の残高数量から、出庫データの出庫の数量を減じるとともに、ペアの入出庫データのうちの入庫データを用いて、最も売却優先順位の低いウォレットの国内株式の当該銘柄の残高数量に、入庫データの入庫の数量を加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42(図3参照)に存在しないときには、商品区分が国内株式とされた当該銘柄の銘柄識別情報、入庫の数量を含むレコードを作成する処理を実行する。このウォレット残高更新手段29による処理を含め、単元株振替処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図14を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、ウォレット残高更新手段29は、売買システム50から通信回線2を介して受信した約定データを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の全てのウォレットおよび積立対象外ウォレットの残高数量の更新を行った後に、口座識別情報および銘柄識別情報が一致する単位で、売買システム50から通信回線2を介して受信した顧客の各保有銘柄の残高数量から、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている全てのウォレット(積立対象外ウォレットは含まない。)の残高数量の合計数量を減じることにより、積立対象外ウォレットの残高数量についての補正後の数量を算出し、算出した補正後の数量を用いて、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている積立対象外ウォレットの残高数量を補正する積立対象外ウォレット残高補正処理を実行する。このウォレット残高更新手段29による処理を含め、積立対象外ウォレット残高補正処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図15を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
そして、ウォレット残高更新手段29は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている各レコードの残高数量の更新処理と併せて、それらの各レコードにおける残高数量に対応する累計投資金額(但し、図3では、累計投資金額の図示は省略されている。)の更新処理も実行する。この累計投資金額の更新処理では、次の(1)〜(4)のような処理を行う。
(1)積立条件に基づく金融商品(有価証券等)の買付によってウォレット残高(ウォレット残高記憶手段42に記憶されている各レコードの残高数量)が増加する場合には、「取引後の累計投資金額の増減(増加分を示すプラスの金額)=買付金額(受渡金額)」であり、「取引後の累計投資金額=取引前の累計投資金額+買付金額(受渡金額)」となる。なお、積立条件に基づく買付ではなく、再投資の場合は、顧客が新たに拠出する投資金額はゼロであるため、取引の前後で、累計投資金額に変動はない。
(2)ウォレット残高にある金融商品(有価証券等)の売却によってウォレット残高
(ウォレット残高記憶手段42に記憶されている各レコードの残高数量)が減少する場合には、「取引後の累計投資金額の増減(減少分の絶対値を示すプラスの金額)=取引前の累計投資金額×売却数量÷更新前ウォレット残高数量」であり、「取引後の累計投資金額=取引前の累計投資金額−取引後の累計投資金額の増減」となる。例えば、更新前ウォレット残高数量=500株、それに対応する累計投資金額=500,000円のときに、売却数量=100株であれば、ウォレット残高数量は、500株から100株減って400株になる。この場合、取引後の累計投資金額の増減(減少分)=500,000円×100株÷500株=100,000円であるから、取引後の累計投資金額=500,000円−100,000円=400,000円となる。
(3)入庫によってウォレット残高(ウォレット残高記憶手段42に記憶されている各レコードの残高数量)が増加する場合には、入庫による残高数量の増加があっても、買付は行っていないため、原則的には、累計投資金額の加算はないという考え方をとることができる。但し、入出庫の取引の種別に応じ、例外的に個別の処理を実行する。
(4)出庫によってウォレット残高(ウォレット残高記憶手段42に記憶されている各レコードの残高数量)が減少する場合には、原則的には、「取引後の累計投資金額の増減(減少分の絶対値を示すプラスの金額)=更新前累計投資金額×出庫数量÷更新前ウォレット残高数量」であり、「取引後の累計投資金額=取引前の累計投資金額−取引後の累計投資金額の増減」となる。すなわち、前記(2)の売却の場合と同じ考え方をとることができ、前記(2)の「売却数量」を「出庫数量」に置き換えるだけである。但し、入出庫の取引の種別に応じ、例外的に個別の処理を実行する。
以上に述べた(3)および(4)の入出庫の際の累計投資金額の更新についての例外的な個別の処理とは、次の通りである。例えば、コーポレートアクションのうちの株式分割の場合(図11参照)には、(3)の入庫の際の処理でも、(4)の出庫の際の処理でも、累計投資金額を変動させない。
また、口座間で残高数量を振り替える口座間残高振替処理(図12参照)や、銘柄識別情報を変更する銘柄変更処理(図13参照)の場合には、(4)の出庫の際の処理では、原則通りの処理を行い(但し、取引前の累計投資金額は、メモリに保持しておく。)、その一方、(3)の入庫の際の処理では、(4)の出庫の対象とした振替前の口座識別情報や変更前の銘柄識別情報を含むレコードにおける残高数量に対応する累計投資金額(メモリに保持しておいた取引前の累計投資金額)をそのまま引き継ぐ処理を実行する。ここで、取引前の累計投資金額をメモリに保持しておくという意味は、(4)の出庫の際の処理において、ウォレット残高記憶手段42を構成するデータベースのテーブル(あるいは、ファイルシステムとする場合は、フラットファイル等のファイルでもよい。)から、出庫対象のデータを削除または変更するときに、それ以外のメモリ(例えば、主メモリの領域)に、削除または変更する前の状態である元々のデータ(取引前の累計投資金額を含むデータ)を保持しておき(退避させておき)、それを利用して(3)の入庫の際の処理を行うという意味である。なお、この取引前の累計投資金額を含むデータの退避処理は、図12(B)や図13(B)に示す入出庫ウォレット按分結果記憶手段47への格納処理であってもよく、また、その格納処理は、ウォレット残高更新手段29による処理ではなく、入出庫ウォレット按分手段30による入出庫データの按分処理の段階で実行してもよい。
さらに、単元株振替処理(図14参照)の場合には、先ず、単元株振替手段31により、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄(単元株振替に係る銘柄)の残高数量を単元株の倍数の数量に到達させるために、売却優先順位の高いウォレットの当該銘柄の残高数量から順に、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量に移動させる処理を行うが、この際の残高移動でも、残高移動手段23による残高移動の場合と同様に、対応する累計投資金額の移動も行う。そして、ウォレット残高更新手段29は、(3)の入庫の際の処理では、最も売却優先順位の低いウォレットに集められた当該銘柄の残高数量(単元株の倍数の数量に到達させた数量)に対応する累計投資金額(元々、最も売却優先順位の低いウォレットのレコードにあった累計投資金額に、売却優先順位の高い各ウォレットから、残高数量の移動に伴って移動してきた各累計投資金額を加算した金額)を、国内株式の当該銘柄の残高数量に対応する累計投資金額に加算するか、または、加算すべきレコードがない場合には、そのような累計投資金額を含むレコードを作成する。一方、(4)の出庫の際の処理では、原則通りの処理を行う。
<積立残高管理システム20/入出庫ウォレット按分手段30の構成>
入出庫ウォレット按分手段30は、金融商品の売買とは関係なく、コーポレートアクションまたはその他の権利情報の変化に伴って入出庫が発生した際に、売買システム50から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量、および、データ識別用の明細番号を含む入出庫データを、通信回線2を介して受信し、受信した入出庫データを各ウォレットに按分し、
按分した各入出庫データを、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47に記憶させる処理を実行するものである。
ここで、コーポレートアクションには、例えば、株式分割、株式併合、無償割当、株式移転、株式交換、会社合併等があるが、ここでは、これらの代表として、株式分割について説明を行うものとする。
入出庫ウォレット按分手段30は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄について、株式分割処理を実行する場合には、売買システム50から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、数量のみが分割比率に応じて異なっているペアの入出庫データとして、口座識別情報、分割対象の銘柄についての銘柄識別情報、株式分割後の数量となる入庫の数量を含む入庫データ、および、口座識別情報、分割対象の銘柄についての銘柄識別情報、株式分割前の数量である出庫の数量を含む出庫データを受信する。そして、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、ペアの入出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、入庫データの入庫の数量を按分することにより、入庫データを各ウォレットに按分するとともに、同じ按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分後の各入庫データおよび各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11参照)に記憶させる処理を実行する。この入出庫ウォレット按分手段30による処理を含め、株式分割の際のデータ処理の流れの詳細については、図11を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、入出庫ウォレット按分手段30は、口座間で残高数量を振り替える口座間残高振替処理(図12参照)や、銘柄識別情報を変更する銘柄変更処理(図13参照)を実行する場合には、単純な按分処理ではなく、以下のような特別な按分処理を行う。その理由は、次の通りである。前者の口座間残高振替処理の場合(図12参照)は、売買システム50において、入出庫明細作成手段54により、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、口座識別情報のみが異なっているペアの入出庫データが作成され、一方、後者の銘柄変更処理の場合(図13参照)は、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報のみが異なっているペアの入出庫データが作成されるので、いずれの場合も、入出庫の前後で、残高数量に変化は生じない。しかし、積立残高管理システム20では、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)において、ウォレット管理番号>口座識別情報>銘柄識別情報という単位で残高管理が行われるので、入出庫の前後で、口座識別情報または銘柄識別情報のいずれか一方が変わってしまうと、ウォレット単位の目標管理情報(図2に示すウォレット記憶手段41の各レコードの情報であり、目標金額に対する評価金額、達成率、累計投資金額、評価損益等の情報)が維持できないことになるからである。
より詳細に述べれば、出庫の処理(出庫データを残高に反映させる処理)は、現状のデータに対して実行されるので、出庫データの口座識別情報および銘柄識別情報と一致するレコードが、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)の中に存在するのに対し、入庫の処理(入庫データを残高に反映させる処理)は、振替後の口座識別情報、変更後の銘柄識別情報をキーとして実行されるので、一致するレコードがなく、入庫データは、積立対象外ウォレットに帰属することになってしまう。つまり、入出庫ウォレット按分手段30により単純な按分処理を行い、そして、ウォレット残高更新手段29によりその按分後の出庫データおよび入庫データを用いて残高更新を行うと、出庫が、元々のウォレット(入出庫の対象残高が帰属するウォレット)から行われる一方、ペアの入庫は、元々のウォレット(出庫と同じウォレット)に対してではなく、積立対象外ウォレットに対して行われるので、元々のウォレットについて見れば、出庫だけが行われた状態になってしまう。このため、入出庫の際に、単純な按分処理を行ってしまうと、ウォレット単位の目標管理情報について元の状態(入出庫処理前の状態)を維持することができず、入出庫の対象残高に係る部分については、ゼロにリセットされてしまう。これに対し、単純な按分処理を行った後に、積立対象外ウォレットから元々のウォレットに残高を移動させ、さらにその後、評価金額算出手段24により、目標管理情報(評価金額、達成率、累計投資金額、評価損益等の情報)を算出し直し、ウォレット記憶手段41(図2参照)の情報を更新すれば、元通りの状態になるかもしれない。例えば、累計投資金額を含めて元通りの状態にするのであれば、積立対象外ウォレットでも累計投資金額を管理するようにし、かつ、売買システム50から送信されてくる入庫データにも累計投資金額(按分していない状態)が含まれるようにし、その累計投資金額の按分後の金額を、積立対象外ウォレットからの残高移動の際に併せて取得できる構成(但し、本実施形態は、そのような構成ではない。)とするか、あるいは、そのような構成が採れない場合は、残高移動操作の際に、手入力で累計投資金額(各ウォレットへの按分後の金額)を入力すれば、元通りの状態になるかもしれない。しかし、そのような人手の操作による積立対象外ウォレットからの残高移動処理(しかも、各ウォレットへの按分を伴う残高移動処理)を行わなくても、入出庫の前後で、ウォレット記憶手段41(図2参照)に記憶されている目標管理情報を維持できるようにする必要がある。つまり、その前提として、入出庫の前後で、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)の各レコードの累計投資金額等(但し、図3では、累計投資金額の図示は省略されている。)を維持できるようにする必要がある。そこで、以下のような口座間残高振替処理(図12参照)や、銘柄変更処理(図13参照)を行う場合には、特別な按分処理を行い、按分後の入庫データを、積立対象外ウォレットに帰属させないようにし、ウォレット単位の目標管理情報について元の状態(入出庫処理前の状態)を維持するようにする。
すなわち、入出庫ウォレット按分手段30は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄について、口座間で残高数量を振り替える口座間残高振替処理を実行する場合には、売買システム50から受信した入出庫データの中から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、口座識別情報のみが異なっているペアの入出庫データとして、振替後の口座についての口座識別情報、銘柄識別情報、入庫の数量を含む入庫データ、および、振替前の口座についての口座識別情報、銘柄識別情報、出庫の数量を含む出庫データを抽出し、抽出した入庫データに対し、抽出した出庫データの明細番号を付加する。そして、出庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分して得られた各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12参照)に記憶させる処理を実行し、その後、入庫データ側の処理として、入庫データに付加されている出庫データの明細番号を用いて按分後のペアの各出庫データを特定し、特定した按分後の各出庫データに付加されているウォレット管理番号を、入庫データを各ウォレットに按分する際のウォレット管理番号とし、特定した按分後の各出庫データの出庫の数量を、按分後の各入庫データの入庫の数量として入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12参照)に記憶させる処理を実行する。この入出庫ウォレット按分手段30による処理を含め、口座間残高振替処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図12を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、入出庫ウォレット按分手段30は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄について、銘柄識別情報を変更する銘柄変更処理を実行する場合には、売買システム50から受信した入出庫データの中から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報のみが異なっているペアの入出庫データとして、口座識別情報、変更後の銘柄識別情報、入庫の数量を含む入庫データ、および、口座識別情報、変更前の銘柄識別情報、出庫の数量を含む出庫データを抽出し、抽出した入庫データに対し、抽出した出庫データの明細番号を付加する。そして、出庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分して得られた各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13参照)に記憶させる処理を実行し、その後、入庫データ側の処理として、入庫データに付加されている出庫データの明細番号を用いて按分後のペアの各出庫データを特定し、特定した按分後の各出庫データに付加されているウォレット管理番号を、入庫データを各ウォレットに按分する際のウォレット管理番号とし、特定した按分後の各出庫データの出庫の数量を、按分後の各入庫データの入庫の数量として入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13参照)に記憶させる処理を実行する。この入出庫ウォレット按分手段30による処理を含め、銘柄変更処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図13を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
<積立残高管理システム20/単元株振替手段31の構成>
単元株振替手段31は、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている顧客の保有銘柄のうち、株式累積投資で買い付けた銘柄についての各ウォレットの残高数量の合計数量が単元株の数量に達した場合に、売買システム50から、口座識別情報、銘柄識別情報、および数量を含む入出庫データを、通信回線2を介して受信し、受信した入出庫データを用いて、株式累積投資で買い付けた当該銘柄の単元株の倍数に相当する分の数量を、国内株式の当該銘柄の数量に振り替えるために、単元株の倍数に相当する分の数量を1つのウォレットに集める単元株振替用の残高移動処理を実行するものである。
なお、株式累積投資では、顧客は、単元株以下の株数を購入することができ、通常、顧客の保有資産として、小数点以下の残高数量を管理する。株式累積投資で買い付けられた銘柄は、顧客の名義ではなく、証券会社等の金融機関の名義であるが、多くの金融機関では、上記のように、残高数量が単元株の数量(株数)に達した場合に、国内株式に振り替え、顧客の名義にする。
より具体的には、単元株振替手段31は、売買システム50から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報を構成する商品区分のみが異なっているペアの入出庫データとして、口座識別情報、商品区分が国内株式とされた当該銘柄の銘柄識別情報、入庫の数量を含む入庫データ、および、口座識別情報、商品区分が株式累積投資とされた当該銘柄の銘柄識別情報、出庫の数量を含む出庫データを受信する。そして、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている株式累積投資の当該銘柄の残高数量について、予め定められたルールにより定まる各ウォレットの売却優先順位に従って、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量が、単元株の倍数に相当する出庫データの出庫の数量に達するのに不足している分の数量を補うために、売却優先順位の高いウォレットの当該銘柄の残高数量から順に、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量に移動させることにより、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量を単元株の倍数の数量に到達させる処理を実行する。この単元株振替手段31による処理を含め、単元株振替処理の際のデータ処理の流れの詳細については、図14を用いて後述するので、ここでは詳しい説明を省略する。
ここで、各ウォレットの売却優先順位を決定するためのルールとは、例えば、売却優先順位が高い順に、(1)積立対象外ウォレット、(2)ウォレットの達成率(目標到達率)が100%以上のもので、目標到達率の高い順、(3)評価金額の大きい順、(4)画面表示ウォレット管理番号が小さい順とするルール等である。
<積立残高管理システム20/各記憶手段41〜47の構成>
ウォレット記憶手段41は、図2に示すように、ウォレット管理番号と、主口座番号(顧客識別情報)と、積立目的と、目標金額と、評価金額と、達成率と、累計投資金額と、評価損益(金額)とを対応付けて記憶するものである。また、図示は省略されているが、評価損益(割合)も記憶するようにしてもよい。このうち、積立目的および目標金額は、顧客またはその入力代行者により入力され、ウォレット登録手段21により登録されたものであり、評価金額および達成率、並びに累計投資金額および評価損益は、評価金額算出手段24により算出され、記録されたものである。
ウォレット残高記憶手段42は、図3に示すように、ウォレット管理番号と、残高基準年月日と、口座識別情報を構成する主口座番号(顧客識別情報)および口座種類区分と、銘柄識別情報を構成する商品区分および銘柄(銘柄コードまたは銘柄名)と、残高数量とを対応付けて記憶するものである。なお、図示は省略されているが、累計投資金額等も記憶されている。
積立条件記憶手段43は、図4に示すように、ウォレット管理番号と、口座識別情報を構成する主口座番号(顧客識別情報)および口座種類区分と、銘柄識別情報を構成する商品区分および銘柄(銘柄コードまたは銘柄名)と、買付金額と、買付日とを対応付けて記憶するものである。
積立予定情報記憶手段44は、図5(C)に示すように、ウォレット管理番号と、買付銘柄の残高管理用の口座についての口座識別情報を構成する主口座番号(顧客識別情報)および口座種類区分と、買付銘柄についての銘柄識別情報を構成する商品区分および銘柄(銘柄コードまたは銘柄名)と、買付金額と、買付状況を示すステータスとを対応付けて記憶するものである。
金融商品情報記憶手段45は、積立投資の対象となり得る金融商品の各銘柄の単価または基準価額を含む情報を、銘柄識別情報と関連付けて記憶するものである。また、金融商品情報記憶手段45は、例えば、日経平均、NYダウ、原油価格等の各種の金融指標についての指標値も記憶する。この金融商品情報記憶手段45に記憶される金融商品の各銘柄の単価または基準価額を含む情報、あるいは、各種の金融指標についての指標値は、金融商品情報提供システム70または市場システム71から、通信回線2〜5を介して取得したものであり、定期的に更新され、常に最新の情報となっている。また、金融商品情報記憶手段45には、最新の情報だけでなく、過去の履歴も記憶されている。
約定データ抽出結果記憶手段46は、図6(F)、図6(G)に示すように、口座識別情報を構成する主口座番号(顧客識別情報)および口座種類区分と、約定した買付銘柄についての銘柄識別情報を構成する商品区分および銘柄(銘柄コードまたは銘柄名)と、約定日と、受渡日と、約定数量と、受渡金額と、約定データ抽出手段28により付加されたウォレット管理番号とを対応付けて記憶するものである。
入出庫ウォレット按分結果記憶手段47は、図11、図12、図13に示すように、データ識別用の明細番号と、口座識別情報を構成する主口座番号(顧客識別情報)および口座種類区分と、銘柄識別情報を構成する商品区分および銘柄(銘柄コードまたは銘柄名)と、数量(入庫の数量または出庫の数量)と、入出庫の別と、いずれのウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、いずれのウォレットまたは積立対象外ウォレット)に按分したのかを示すウォレット管理番号とを対応付けて記憶するものである。また、口座間残高振替処理(図12参照)および銘柄変更処理(図13参照)での按分結果の場合には、ペアの入出庫データの明細番号(入庫データの場合には、ペアとなる出庫データの明細番号であり、出庫データの場合には、ペアとなる入庫データの明細番号である。)も対応付けて記憶する。
<売買システム50の詳細構成>
<売買システム50/注文受付・作成手段51の構成>
注文受付・作成手段51は、積立残高管理システム20から積立条件連携手段25により送信されてきて連携積立条件記憶手段(不図示)に記憶されている積立条件(買付日が到来した積立条件)を用いて、買付注文のための注文データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を作成し、作成した注文データを注文データ記憶手段61に記憶させる処理を実行する。この際、口座識別情報は、既に詳述したように、[1]顧客毎に割り当てられて顧客識別情報として機能する主口座番号と、顧客に提供されるサービス毎に設けられる口座の種類を識別する口座種類区分(主口座、NISA口座の別)との組合せからなる口座識別情報でもよく、[2]サービス毎で、かつ、顧客毎に割り当てられた口座番号からなる口座識別情報でもよく、2形態あるが、ここでは、後者の[2]の場合とする。
また、注文受付・作成手段51は、積立条件以外による買付注文(例えば、端末装置80からネットワーク1を介して送信されてくるオンライントレードによる買付注文等)を受け付け、買付注文のための注文データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を作成し、作成した注文データを注文データ記憶手段61に記憶させる処理も実行する。但し、本実施形態では、積立残高管理システム20で取り扱う積立投資の対象となり得る金融商品についての買付注文だけを考慮するものとする。
<売買システム50/発注・約定処理手段52、約定データ連携手段53の構成>
発注・約定処理手段52は、注文データ記憶手段61に記憶された注文データを用いて、金融商品の買付処理を実行するとともに、買付で得られた約定データ(口座識別情報、買付銘柄についての銘柄識別情報、約定数量、受渡金額を含む。)を約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させる約定処理を実行するものである。但し、本実施形態では、積立残高管理システム20で取り扱う積立投資の対象となり得る金融商品についての買付および約定の処理だけを考慮するものとする。また、約定データに含まれる口座識別情報は、上述した注文データに含まれる口座識別情報と同様に、[1]、[2]の場合(2形態)があるが、ここでは、後者の[2]の場合とする。
この際、発注・約定処理手段52は、市場への発注が必要となる金融商品については、買付用の発注データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を作成し、通信回線4を介して市場システム71へ送信する買付処理を実行するとともに、市場システム71から通信回線4を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させる約定処理を実行する。また、同一顧客の同一銘柄の買付については、複数の口座種類区分(本実施形態では、主口座およびNISA口座)に跨っている買付注文をまとめて発注してもよく、その場合には、約定処理で各口座(主口座、NISA口座)への振り分けを行い、それぞれの口座の約定データを作成し、約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させればよい。さらに、個々の顧客単位では単元株に満たない株式を買い付けることになる株式累積投資等のような金融商品については、証券会社等の金融機関の名義でまとめて買付を行い、約定処理で各顧客への振り分けを行い、それぞれの顧客の約定データを作成し、約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させればよい。なお、このような複数の顧客の買付注文をまとめた買付処理および各顧客への振り分けを行う約定処理は、基幹システムである売買システム50ではなく、データ連携する自社内の他のシステム(金融商品情報提供システム70)で実行してもよい。
約定データ連携手段53は、約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶されている約定データ(但し、ここでは、積立残高管理システム20で取り扱う積立投資の対象となり得る金融商品についての約定データに限るものとする。)を、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する処理を実行するものである。この送信処理は、例えば、夜間等のバッチ処理で行われる。なお、売買システム50側と、積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なる場合には、前述した積立残高管理システム20の積立条件連携手段25による積立条件のデータ連携の場合と同様に、売買システム50側の約定データ連携手段53、または積立残高管理システム20側の約定データ抽出手段28により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。
<売買システム50/入出庫明細作成手段54、入出庫データ連携手段55の構成>
入出庫明細作成手段54は、権利情報記憶手段63に記憶されている権利情報を用いて、入出庫データ(入庫データおよび出庫データの組合せ)を作成し、作成した入出庫データ(明細番号、口座識別情報、銘柄識別情報、入出庫に係る取引の種別、数量を含む。)を入出庫データ記憶手段65(図11、図12、図13参照)に記憶させる処理を実行するものである。この入出庫明細作成手段54は、ウォレットを考慮しない従来方式での処理を行うものであり、既存の売買システムに設置されているものと同じである。また、入出庫データに含まれる口座識別情報は、前述した注文データや約定データに含まれる口座識別情報と同様に、[1]、[2]の場合(2形態)があるが、ここでは、後者の[2]の場合とする。
ここで、権利情報とは、コーポレートアクション等の情報であり、例えば、株式分割の場合には、分割比率等である。口座間残高振替処理の場合には、振替前の口座(例えばNISA口座)についての口座識別情報、および振替後の口座(例えば主口座)についての口座識別情報等である。銘柄変更処理の場合には、変更前の銘柄(例えば、募集、有償増資等で発生した新株)についての銘柄識別情報(例えば、銘柄コードの5桁目が「1」)、および変更後の銘柄(親株)についての銘柄識別情報(例えば、銘柄コードの5桁目が「0」)等である。
また、入出庫明細作成手段54は、単元株振替情報記憶手段64に記憶されている単元株振替に関する情報を用いて、入出庫データ(入庫データおよび出庫データの組合せ)を作成し、作成した入出庫データ(明細番号、口座識別情報、銘柄識別情報、入出庫に係る取引の種別、数量を含む。)を入出庫データ記憶手段65(図14参照)に記憶させる処理も実行する。この入出庫明細作成手段54による単元株振替用の入出庫処理も、ウォレットを考慮しない従来方式での処理であり、既存の売買システムでの処理と同じである。
ここで、単元株振替に関する情報とは、株式累積投資で積み立てた銘柄の数量がその銘柄についての単元株の数量(株数)に達した場合の情報であり、いずれの顧客のいずれの口座(顧客識別情報としての機能を含む口座識別情報)のいずれの銘柄(銘柄識別情報)のどれぐらいの数量について、単元株振替処理を行うのかという情報である。
入出庫データ連携手段55は、入出庫データ記憶手段65(図11〜図14参照)に記憶されている入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する処理を実行するものである。この送信処理は、例えば、夜間等のバッチ処理で行われる。
なお、売買システム50側と、積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なる場合には、前述した積立残高管理システム20の積立条件連携手段25による積立条件のデータ連携の場合と同様に、売買システム50側の入出庫データ連携手段55、または積立残高管理システム20側の入出庫ウォレット按分手段30や単元株振替手段31により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。
<売買システム50/顧客残高連携手段56の構成>
顧客残高連携手段56は、顧客残高記憶手段66(図15参照)に記憶されている顧客残高のデータ(口座識別情報、銘柄識別情報、残高数量を含む。)を、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する処理を実行するものである。この送信処理は、例えば、夜間等のバッチ処理で行われる。顧客残高のデータに含まれる口座識別情報は、前述した注文データ、約定データ、入出庫データに含まれる口座識別情報と同様に、[1]、[2]の場合(2形態)があるが、ここでは、後者の[2]の場合とする。
なお、売買システム50側と、積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なる場合には、前述した積立残高管理システム20の積立条件連携手段25による積立条件のデータ連携の場合と同様に、売買システム50側の顧客残高連携手段56、または積立残高管理システム20側のウォレット残高更新手段29により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。
<売買システム50/各記憶手段61〜66の構成>
注文データ記憶手段61は、買付注文のための注文データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を記憶するものである。口座識別情報の形態(2形態ある。)については、注文受付・作成手段51の説明で述べているため、ここでは詳しい説明を省略する。
約定データ記憶手段62は、図5に示すように、約定データ(口座識別情報、買付銘柄についての銘柄識別情報、約定数量、受渡金額を含む。)を記憶するものである。口座識別情報の形態(2形態ある。)については、発注・約定処理手段52の説明で述べているため、ここでは詳しい説明を省略する。
権利情報記憶手段63は、入出庫が必要となった権利情報(コーポレートアクション等の情報)を記憶するものである。
単元株振替情報記憶手段64は、入出庫が必要となった単元株振替に関する情報を記憶するものである。
入出庫データ記憶手段65は、図11、図12、図13、図14に示すように、入出庫データ(明細番号、口座識別情報、銘柄識別情報、入出庫に係る取引の種別、数量を含む。)を記憶するものである。口座識別情報の形態(2形態ある。)については、入出庫明細作成手段54の説明で述べているため、ここでは詳しい説明を省略する。
顧客残高記憶手段66は、図15に示すように、顧客残高のデータ(口座識別情報、銘柄識別情報、残高数量を含む。)を記憶するものである。口座識別情報の形態(2形態ある。)については、顧客残高連携手段56の説明で述べているため、ここでは詳しい説明を省略する。
ここで、売買システム50では、ウォレット単位での残高管理を行わず、従来方式による口座単位での残高管理を行うので、顧客残高記憶手段66(図15参照)の各レコードには、ウォレット管理番号は存在しない。従って、いずれの口座のいずれの銘柄についても、顧客残高記憶手段66(図15参照)の各レコードの残高数量は、積立残高管理システム20における全てのウォレット(積立対象外ウォレットの残高がある場合には、全てのウォレットおよび積立対象外ウォレット)の残高数量を合計した数量である。
例えば、ある1人の顧客について、積立残高管理システム20において、老後資金用のウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)に、主口座で管理される投資信託の銘柄αの残高数量=3,000口が帰属し、レジャー用のウォレット(ウォレット管理番号=「000002」)に、同じく主口座で管理される投資信託の銘柄αの残高数量=5,000口が帰属し、積立対象外ウォレットに、同じく主口座で管理される投資信託の銘柄αの残高数量=2,000口が帰属している場合には、売買システム50では、それらの残高数量がまとめられて(3,000口+5,000口+2,000口)、主口座で管理される投資信託の銘柄αの残高数量=10,000口という情報が管理されているだけであり、各ウォレットや積立対象外ウォレットに、どれぐらいの残高数量が帰属しているのかという情報はない。
<株式分割の際のデータ処理の流れ:図11>
図11には、株式分割の際の一連のデータ処理の流れ、すなわち、入出庫明細作成手段54による入出庫データの作成処理、入出庫データ連携手段55による入出庫データの送信処理、入出庫ウォレット按分手段30による入出庫データの按分処理、ウォレット残高更新手段29による各ウォレットの残高更新処理という流れ(図1参照)が、具体例で示されている。
図11の例では、国内株式の銘柄βについて、分割比率=1:2での株式分割を行う。大和五郎(主口座番号=G)は、主口座に国内株式の銘柄βを合計100株保有している。そして、分割比率=1:2であるから、大和五郎の保有する主口座の国内株式の銘柄βの100株を分割して200株にする。
この際、図11(C)に示すように、積立残高管理システム20のウォレット残高記憶手段42には、大和五郎(主口座番号=G)が、主口座に国内株式の銘柄βを、30株+60株+10株で、合計100株保有しているという情報が記憶されている。しかし、売買システム50では、ウォレット単位の残高管理は行わないので、合計100株保有という情報しかない。従って、売買システム50側において、100株を分割して200株にするという情報がある場合には、積立残高管理システム20側では、その情報を各ウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、各ウォレットおよび積立対象外ウォレット)に按分する必要がある。
図11(A)に示すように、売買システム50の入出庫データ記憶手段65には、ペアの入出庫データとして、入庫の数量=200株を含む明細番号=「000001」の入庫データと、出庫の数量=100株を含む明細番号=「000002」の出庫データとが記憶されている。これらの入庫データと出庫データとは、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、数量のみが分割比率に応じて異なっている状態である。従って、売買システム50側では、入出庫明細作成手段54により、権利情報記憶手段63に記憶された権利情報を用いて、ウォレットを考慮することなく、このような入出庫データが作成される。
続いて、売買システム50の入出庫データ連携手段55により、図11(A)の状態で入出庫データ記憶手段65に記憶されている入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する。積立残高管理システム20では、売買システム50から送信されてくる入出庫データを、入出庫ウォレット按分手段30により受信する。この入出庫データの送受信の際には、送信側である売買システム50側と、受信側である積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なっているので、売買システム50側の入出庫データ連携手段55、または積立残高管理システム20側の入出庫ウォレット按分手段30により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。本実施形態では、前述した[2]の形態から、[1]の形態への変換となる。
そして、入出庫ウォレット按分手段30は、入庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図11(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、入庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、入庫データの入庫の数量を按分することにより、入庫データを各ウォレットに按分し、按分後の各入庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)参照)に記憶させる。
図11の例では、図11(C)のウォレット残高記憶手段42に示すように、大和五郎(主口座番号=G)は、主口座の国内株式の銘柄βについて、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに、合計100株(30株+60株+10株)のうちの30株を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、30株/100株となり、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットに、合計100株のうちの60株を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、60株/100株となり、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットに、合計100株のうちの10株を保有しているので、積立対象外ウォレットへの按分比率は、10株/100株となる。
入出庫ウォレット按分手段30は、これらの按分比率を用いて、入庫データの入庫の数量=200株(図11(A)参照)を按分する。ウォレット管理番号=「000001」のウォレットへの按分数量は、200株×(30株/100株)=60株となり、この60株という按分後の入庫の数量を含む按分後の入庫データが作成されるとともに、その入庫データにウォレット管理番号=「000001」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第1行目のレコード参照)に記憶される。同様に、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットへの按分数量は、200株×(60株/100株)=120株となり、この120株という按分後の入庫の数量を含む按分後の入庫データが作成されるとともに、その入庫データにウォレット管理番号=「000002」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第2行目のレコード参照)に記憶される。また、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットへの按分数量は、200株×(10株/100株)=20株となり、この20株という按分後の入庫の数量を含む按分後の入庫データが作成されるとともに、その入庫データにウォレット管理番号=「999999」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第3行目のレコード参照)に記憶される。
また、入出庫ウォレット按分手段30は、出庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図11(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率(上記の入庫データの按分比率と同じ按分比率となる。)を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分後の各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)参照)に記憶させる。
図11の例では、按分比率は、入庫データの場合と同じになる。入出庫ウォレット按分手段30は、これらの按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量=100株(図11(A)参照)を按分する。ウォレット管理番号=「000001」のウォレットへの按分数量は、100株×(30株/100株)=30株となり、この30株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000001」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第4行目のレコード参照)に記憶される。同様に、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットへの按分数量は、100株×(60株/100株)=60株となり、この60株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000002」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第5行目のレコード参照)に記憶される。また、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットへの按分数量は、100株×(10株/100株)=10株となり、この10株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「999999」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11(B)の第6行目のレコード参照)に記憶される。
その後、ウォレット残高更新手段29により、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されている按分比率の算出に用いた分割対象の銘柄の残高数量(入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11参照)に記憶されている各入庫データおよび各出庫データに付加されたウォレット管理番号が含まれるレコードの残高数量)に対し、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を加えるとともに、各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を減じる処理を実行する。
図11の例では、ウォレット残高記憶手段42(図11(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000001」のレコード(第1行目のレコード)の残高数量=30株に対し、このウォレットへの按分後の入庫の数量=60株(図11(B)の第1行目のレコード参照)を加えるとともに、このウォレットへの按分後の出庫の数量=30株(図11(B)の第4行目のレコード参照)を減じ、その結果、入出庫処理後の残高数量=60株となる(図11(D)の第1行目のレコード参照)。同様に、ウォレット残高記憶手段42(図11(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000002」のレコード(第2行目のレコード)の残高数量=60株に対し、このウォレットへの按分後の入庫の数量=120株(図11(B)の第2行目のレコード参照)を加えるとともに、このウォレットへの按分後の出庫の数量=60株(図11(B)の第5行目のレコード参照)を減じ、その結果、入出庫処理後の残高数量=120株となる(図11(D)の第2行目のレコード参照)。また、ウォレット残高記憶手段42(図11(C)参照)におけるウォレット管理番号=「999999」のレコード(第3行目のレコード)の残高数量=10株に対し、この積立対象外ウォレットへの按分後の入庫の数量=20株(図11(B)の第3行目のレコード参照)を加えるとともに、この積立対象外ウォレットへの按分後の出庫の数量=10株(図11(B)の第6行目のレコード参照)を減じ、その結果、入出庫処理後の残高数量=20株となる(図11(D)の第3行目のレコード参照)。従って、ウォレット残高記憶手段42のデータは、入出庫処理を経て、図11(C)の状態から図11(D)の状態に変わる。
<口座間残高振替処理の際のデータ処理の流れ:図12>
図12には、口座間残高振替処理の際の一連のデータ処理の流れ、すなわち、入出庫明細作成手段54による入出庫データの作成処理、入出庫データ連携手段55による入出庫データの送信処理、入出庫ウォレット按分手段30による入出庫データの按分処理、ウォレット残高更新手段29による各ウォレットの残高更新処理という流れ(図1参照)が、具体例で示されている。
図12の例では、主口座番号=H(大和良子)の保有するNISA口座の投資信託δの残高数量=20,000口を、主口座に振り替える。従って、銘柄識別情報および数量はそのままで、口座識別情報をNISA口座から主口座に変える。この際、図12(C)に示すように、積立残高管理システム20のウォレット残高記憶手段42には、大和良子(主口座番号=H)が、NISA口座に投資信託の銘柄δを、9,000口+6,000口+5,000口で、合計20,000口を保有しているという情報が記憶されている。しかし、売買システム50では、ウォレット単位の残高管理は行わないので、NISA口座に合計20,000口の保有という情報しかない。従って、売買システム50側において、NISA口座の20,000口を主口座に振り替えるという情報がある場合には、積立残高管理システム20側では、その情報を各ウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、各ウォレットおよび積立対象外ウォレット)に按分する必要がある。
図12(A)に示すように、売買システム50の入出庫データ記憶手段65には、ペアの入出庫データとして、口座識別情報がH(大和良子の主口座)とされている明細番号=「000001」の入庫データと、口座識別情報がH1(大和良子のNISA口座)とされている明細番号=「000002」の出庫データとが記憶されている。これらの入庫データと出庫データとは、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、口座識別情報のみが異なっている状態である。従って、売買システム50側では、入出庫明細作成手段54により、権利情報記憶手段63に記憶された権利情報を用いて、ウォレットを考慮することなく、このような入出庫データが作成される。
続いて、売買システム50の入出庫データ連携手段55により、図12(A)の状態で入出庫データ記憶手段65に記憶されている入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する。積立残高管理システム20では、売買システム50から送信されてくる入出庫データを、入出庫ウォレット按分手段30により受信する。この入出庫データの送受信の際には、送信側である売買システム50側と、受信側である積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なっているので、売買システム50側の入出庫データ連携手段55、または積立残高管理システム20側の入出庫ウォレット按分手段30により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。本実施形態では、前述した[2]の形態から、[1]の形態への変換となる。
そして、入出庫ウォレット按分手段30は、売買システム50から受信した入出庫データの中から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、口座識別情報のみが異なっているペアの入出庫データ(入庫データおよび出庫データ)を抽出し、抽出した入庫データに対し、抽出した出庫データの明細番号を付加する。なお、入出庫データには処理済フラグを保持させておき、抽出したペアの入出庫データについては、処理済フラグをオンにする。
図12の例では、図12(A)に示した入庫データおよび出庫データを抽出し(但し、図12(A)は、売買システム50側の状態であるから、これらを積立残高管理システム20側に送信した連携後の状態の入庫データおよび出庫データを抽出することになる。)、抽出した入庫データ(明細番号=「000001」)に対し、抽出した出庫データの明細番号=「000002」を付加する。なお、これと併せて、抽出した出庫データ(明細番号=「000002」)に対しても、抽出した入庫データの明細番号=「000001」を付加してもよい。
それから、入出庫ウォレット按分手段30は、先ず、出庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分して得られた各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)参照)に記憶させる処理を実行する。
図12の例では、図12(C)のウォレット残高記憶手段42に示すように、主口座番号=H(大和良子)は、NISA口座の投資信託の銘柄δについて、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに、合計20,000口(9,000口+6,000口+5,000口)のうちの9,000口を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、9,000口/20,000口となり、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットに、合計20,000口のうちの6,000口を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、6,000口/20,000口となり、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットに、合計20,000口のうちの5,000口を保有しているので、積立対象外ウォレットへの按分比率は、5,000口/20,000口となる。
入出庫ウォレット按分手段30は、これらの按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量=20,000口(図12(A)参照)を按分する。ウォレット管理番号=「000001」のウォレットへの按分数量は、20,000口×(9,000口/20,000口)=9,000口となり、この9,000口という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000001」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)の第4行目のレコード参照)に記憶される。同様に、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットへの按分数量は、20,000口×(6,000口/20,000口)=6,000口となり、この6,000口という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000002」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)の第5行目のレコード参照)に記憶される。また、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットへの按分数量は、20,000口×(5,000口/20,000口)=5,000口となり、この5,000口という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「999999」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)の第6行目のレコード参照)に記憶される。
なお、出庫データ側の処理から実行しているので、図12(C)のウォレット残高記憶手段42の中に、NISA口座の投資信託の銘柄δの残高のレコードが存在することから、上記のような出庫データの按分を行うことができているが、仮に、入庫データ側の処理から実行すると、図12(C)のウォレット残高記憶手段42の中に、入庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコード、すなわち主口座の投資信託の銘柄δの残高のレコードが存在しないので、入庫データを按分することができず、入庫データが積立対象外ウォレットに帰属する結果になってしまう。従って、入出庫ウォレット按分手段30の構成の説明で詳述したように、目標管理情報がゼロにリセットされてしまうという結果を招来する。
続いて、入出庫ウォレット按分手段30は、入庫データ側の処理として、入庫データに付加されている出庫データの明細番号を用いて按分後のペアの各出庫データを特定し、特定した按分後の各出庫データに付加されているウォレット管理番号を、入庫データを各ウォレットに按分する際のウォレット管理番号とし、特定した按分後の各出庫データの出庫の数量を、按分後の各入庫データの入庫の数量として入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)参照)に記憶させる処理を実行する。
図12の例では、明細番号=「000001」の入庫データには、ペアの出庫データの明細番号=「000002」が付加されているので(図示は省略されているが、売買システム50側における入出庫データの状態を示す図12(A)の状態で考えても同じことである。)、その明細番号=「000002」を用いて、ペアの出庫データを特定する。明細番号=「000002」の出庫データは、既に按分されていて、図12(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(第4,5,6行目のレコード参照)には、按分後のペアの各出庫データ(明細番号=「000002」)およびそれらに付加されているウォレット管理番号が記憶されている。そこで、これらの各出庫データに付加されているウォレット管理番号により、入庫データの按分先となる各ウォレットや積立対象外ウォレットを特定するとともに、各出庫データに含まれている按分後の出庫の数量等をそのまま引き継いで、入庫データを按分する。具体的には、入庫データの口座識別情報(主口座番号=H(大和良子)、口座種類区分=主口座)、各出庫データに含まれている銘柄識別情報と同じ銘柄識別情報δ、各出庫データに含まれている按分後の出庫の数量と同じ数量からなる按分後の入庫の数量を含む各入庫データを作成し、作成した按分後の各入庫データに、各出庫データに付加されているウォレット管理番号と同じウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)の第1,2,3行目のレコード参照)に記憶させる。これにより、図12(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47には、按分後のペアの各出庫データ(第4,5,6行目のレコード)の情報(ウォレット管理番号、銘柄識別情報、数量)を引き継いで、口座識別情報だけが主口座に入れ替えられた按分後の各入庫データ(第1,2,3行目のレコード)が記憶された状態となる。
その後、ウォレット残高更新手段29により、出庫処理として、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を、各出庫データに付加したウォレット管理番号、並びに、各出庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量から減じるか、または、この残高数量を含むレコードを削除する。また、ウォレット残高更新手段29は、この残高数量の更新と併せて、累計投資金額の更新も実行する。この際、更新前の累計投資金額は、別のメモリ(主メモリの領域等)に退避させておく。なお、更新前の累計投資金額は、図12(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47に格納してもよく、また、この格納処理を、入出庫ウォレット按分手段30により実行してもよい。
図12の例では、ウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000001」のレコード(第1行目のレコード)の残高数量=9,000口から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=9,000口(図12(B)の第4行目のレコード参照)を減じて残高数量=0口とするか、または、そのレコード(第1行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。同様に、ウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000002」のレコード(第2行目のレコード)の残高数量=6,000口から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=6,000口(図12(B)の第5行目のレコード参照)を減じて残高数量=0口とするか、または、そのレコード(第2行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。また、ウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)におけるウォレット管理番号=「999999」の積立対象外レコード(第3行目のレコード)の残高数量=5,000口から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=5,000口(図12(B)の第6行目のレコード参照)を減じて残高数量=0口とするか、または、そのレコード(第3行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。
また、ウォレット残高更新手段29は、残高数量の更新と併せて、累計投資金額の更新も行うので、図12(C)の第1行目のレコードにおける残高数量=9,000口に対応する累計投資金額=18,000円、第2行目のレコードにおける残高数量=6,000口に対応する累計投資金額=12,000円、第3行目のレコードにおける残高数量=5,000口に対応する累計投資金額=10,000円も更新してそれぞれ0円とするが、この際、更新前の累計投資金額=18,000円、12,000円、10,000円を含むレコードのデータ(ウォレット管理番号に関連付けられた各種のデータ)は、別のメモリ(主メモリ等)に退避させて保持しておく。
さらに、ウォレット残高更新手段29により、入庫処理として、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を、各入庫データに付加したウォレット管理番号(ペアの各出庫データから得られたウォレット管理番号)、並びに、各入庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量に加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42(図12(C)参照)に存在しないときには、これらのウォレット管理番号、口座識別情報および銘柄識別情報、並びに、按分後の各入庫データの入庫の数量を含むレコードを作成してウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。この際、ウォレット残高更新手段29は、別のメモリに退避させておいたデータ(累計投資金額を含む。)を用いて、累計投資金額等の情報も、入庫対象のレコードに反映させる。
図12の例では、図12(D)に示すように、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図12(B)参照)に記憶されている按分後の各入庫データ(第1,2,3行目のレコード)の情報(口座識別情報、銘柄識別情報、按分後の入庫の数量)およびそれらに付加されているウォレット管理番号を含むレコードを作成し、ウォレット残高記憶手段42に記憶させる。この際、作成するレコードには、別のメモリに退避させておいた累計投資金額等の情報も含ませる。従って、ウォレット残高記憶手段42のデータは、入出庫処理を経て、図12(C)の状態から図12(D)の状態に変わり、太枠部分の如く、口座種類区分が、NISA口座から主口座に変わっている状態となる。
<銘柄変更処理の際のデータ処理の流れ:図13>
図13には、銘柄変更処理の際の一連のデータ処理の流れ、すなわち、入出庫明細作成手段54による入出庫データの作成処理、入出庫データ連携手段55による入出庫データの送信処理、入出庫ウォレット按分手段30による入出庫データの按分処理、ウォレット残高更新手段29による各ウォレットの残高更新処理という流れ(図1参照)が、具体例で示されている。
図13の例では、主口座番号=J(大和桃子)の保有する主口座の国内株式σの残高数量=100株を、主口座の国内株式τの残高数量=100株に変更する。従って、口座識別情報および数量はそのままで、銘柄識別情報をσからτに変更する。この際、図13(C)に示すように、積立残高管理システム20のウォレット残高記憶手段42には、大和桃子(主口座番号=J)が、主口座に国内株式の銘柄σを、30株+60株+10株で、合計100株を保有しているという情報が記憶されている。しかし、売買システム50では、ウォレット単位の残高管理は行わないので、主口座に合計100株保有という情報しかない。従って、売買システム50側において、主口座の国内株式σの100株を、主口座の国内株式τの100株に変更するという情報がある場合には、積立残高管理システム20側では、その情報を各ウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、各ウォレットおよび積立対象外ウォレット)に按分する必要がある。
図13(A)に示すように、売買システム50の入出庫データ記憶手段65には、ペアの入出庫データとして、銘柄識別情報がτとされている明細番号=「000001」の入庫データと、銘柄識別情報がσとされている明細番号=「000002」の出庫データとが記憶されている。これらの入庫データと出庫データとは、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報のみが異なっている状態である。従って、売買システム50側では、入出庫明細作成手段54により、権利情報記憶手段63に記憶された権利情報を用いて、ウォレットを考慮することなく、このような入出庫データが作成される。
続いて、売買システム50の入出庫データ連携手段55により、図13(A)の状態で入出庫データ記憶手段65に記憶されている入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する。積立残高管理システム20では、売買システム50から送信されてくる入出庫データを、入出庫ウォレット按分手段30により受信する。この入出庫データの送受信の際には、送信側である売買システム50側と、受信側である積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なっているので、売買システム50側の入出庫データ連携手段55、または積立残高管理システム20側の入出庫ウォレット按分手段30により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。本実施形態では、前述した[2]の形態から、[1]の形態への変換となる。
そして、入出庫ウォレット按分手段30は、売買システム50から受信した入出庫データの中から、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報のみが異なっているペアの入出庫データ(入庫データおよび出庫データ)を抽出し、抽出した入庫データに対し、抽出した出庫データの明細番号を付加する。なお、入出庫データには処理済フラグを保持させておき、抽出したペアの入出庫データについては、処理済フラグをオンにする。
図13の例では、図13(A)に示した入庫データおよび出庫データを抽出し(但し、図13(A)は、売買システム50側の状態であるから、これらを積立残高管理システム20側に送信した連携後の状態の入庫データおよび出庫データを抽出することになる。)、抽出した入庫データ(明細番号=「000001」)に対し、抽出した出庫データの明細番号=「000002」を付加する。なお、これと併せて、抽出した出庫データ(明細番号=「000002」)に対しても、抽出した入庫データの明細番号=「000001」を付加してもよい。
それから、入出庫ウォレット按分手段30は、先ず、出庫データ側の処理として、ウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量のうち、出庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコードの各残高数量同士の比率からなる按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量を按分することにより、出庫データを各ウォレットに按分し、按分して得られた各出庫データに、按分比率の算出に用いた各残高数量を含む各レコードのウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)参照)に記憶させる処理を実行する。
図13の例では、図13(C)のウォレット残高記憶手段42に示すように、主口座番号=J(大和桃子)は、主口座の国内株式の銘柄σについて、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに、合計100株(30株+60株+10株)のうちの30株を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、30株/100株となり、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットに、合計100株のうちの60株を保有しているので、このウォレットへの按分比率は、60株/100株となり、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットに、合計100株のうちの10株を保有しているので、積立対象外ウォレットへの按分比率は、10株/100株となる。
入出庫ウォレット按分手段30は、これらの按分比率を用いて、出庫データの出庫の数量=100株(図13(A)参照)を按分する。ウォレット管理番号=「000001」のウォレットへの按分数量は、100株×(30株/100株)=30株となり、この30株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000001」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)の第4行目のレコード参照)に記憶される。同様に、ウォレット管理番号=「000002」のウォレットへの按分数量は、100株×(60株/100株)=60株となり、この60株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「000002」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)の第5行目のレコード参照)に記憶される。また、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットへの按分数量は、100株×(10株/100株)=10株となり、この10株という按分後の出庫の数量を含む按分後の出庫データが作成されるとともに、その出庫データにウォレット管理番号=「999999」が付加されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)の第6行目のレコード参照)に記憶される。
なお、出庫データ側の処理から実行しているので、図13(C)のウォレット残高記憶手段42の中に、主口座の国内株式の銘柄σの残高のレコードが存在することから、上記のような出庫データの按分を行うことができているが、仮に、入庫データ側の処理から実行すると、図13(C)のウォレット残高記憶手段42の中に、入庫データと口座識別情報および銘柄識別情報が一致するレコード、すなわち主口座の国内株式の銘柄τの残高のレコードが存在しないので、入庫データを按分することができず、入庫データが積立対象外ウォレットに帰属する結果になってしまう。従って、入出庫ウォレット按分手段30の構成の説明で詳述したように、目標管理情報がゼロにリセットされてしまうという結果を招来する。
続いて、入出庫ウォレット按分手段30は、入庫データ側の処理として、入庫データに付加されている出庫データの明細番号を用いて按分後のペアの各出庫データを特定し、特定した按分後の各出庫データに付加されているウォレット管理番号を、入庫データを各ウォレットに按分する際のウォレット管理番号とし、特定した按分後の各出庫データの出庫の数量を、按分後の各入庫データの入庫の数量として入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)参照)に記憶させる処理を実行する。
図13の例では、明細番号=「000001」の入庫データには、ペアの出庫データの明細番号=「000002」が付加されているので(図示は省略されているが、売買システム50側における入出庫データの状態を示す図13(A)の状態で考えても同じことである。)、その明細番号=「000002」を用いて、ペアの出庫データを特定する。明細番号=「000002」の出庫データは、既に按分されていて、図13(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(第4,5,6行目のレコード参照)には、按分後のペアの各出庫データ(明細番号=「000002」)およびそれらに付加されているウォレット管理番号が記憶されている。そこで、これらの各出庫データに付加されているウォレット管理番号により、入庫データの按分先となる各ウォレットや積立対象外ウォレットを特定するとともに、各出庫データに含まれている按分後の出庫の数量等をそのまま引き継いで、入庫データを按分する。具体的には、各出庫データに含まれている口座識別情報と同じ口座識別情報(主口座番号=J(大和桃子)、口座種類区分=主口座)、入庫データに含まれている銘柄識別情報τ、各出庫データに含まれている按分後の出庫の数量と同じ数量からなる按分後の入庫の数量を含む各入庫データを作成し、作成した按分後の各入庫データに、各出庫データに付加されているウォレット管理番号と同じウォレット管理番号を付加して入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)の第1,2,3行目のレコード参照)に記憶させる。これにより、図13(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47には、按分後のペアの各出庫データ(第4,5,6行目のレコード)の情報(ウォレット管理番号、口座識別情報、数量)を引き継いで、銘柄識別情報だけがτに入れ替えられた按分後の各入庫データ(第1,2,3行目のレコード)が記憶された状態となる。
その後、ウォレット残高更新手段29により、出庫処理として、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各出庫データの出庫の数量を、各出庫データに付加したウォレット管理番号、並びに、各出庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量から減じるか、または、この残高数量を含むレコードを削除する。また、ウォレット残高更新手段29は、この残高数量の更新と併せて、累計投資金額の更新も実行する。この際、更新前の累計投資金額は、別のメモリ(主メモリの領域等)に退避させておく。なお、更新前の累計投資金額は、図13(B)の入出庫ウォレット按分結果記憶手段47に格納してもよく、また、この格納処理を、入出庫ウォレット按分手段30により実行してもよい。
図13の例では、ウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000001」のレコード(第1行目のレコード)の残高数量=30株から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=30株(図13(B)の第4行目のレコード参照)を減じて残高数量=0株とするか、または、そのレコード(第1行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。同様に、ウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)におけるウォレット管理番号=「000002」のレコード(第2行目のレコード)の残高数量=60株から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=60株(図13(B)の第5行目のレコード参照)を減じて残高数量=0株とするか、または、そのレコード(第2行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。また、ウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)におけるウォレット管理番号=「999999」の積立対象外レコード(第3行目のレコード)の残高数量=10株から、このウォレットへの按分後の出庫の数量=10株(図13(B)の第6行目のレコード参照)を減じて残高数量=0株とするか、または、そのレコード(第3行目のレコード)をウォレット残高記憶手段42から削除する。
また、ウォレット残高更新手段29は、残高数量の更新と併せて、累計投資金額の更新も行うので、図13(C)の第1行目のレコードにおける残高数量=30株に対応する累計投資金額=90,000円、第2行目のレコードにおける残高数量=60株に対応する累計投資金額=180,000円、第3行目のレコードにおける残高数量=10株に対応する累計投資金額=30,000円も更新してそれぞれ0円とするが、この際、更新前の累計投資金額=90,000円、180,000円、30,000円を含むレコードのデータ(ウォレット管理番号に関連付けられた各種のデータ)は、別のメモリ(主メモリ等)に退避させて保持しておく。
さらに、ウォレット残高更新手段29により、入庫処理として、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)参照)に記憶されている各ウォレットに按分後の各入庫データの入庫の数量を、各入庫データに付加したウォレット管理番号(ペアの各出庫データから得られたウォレット管理番号)、並びに、各入庫データと一致する口座識別情報および銘柄識別情報に関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)に記憶されている顧客の保有銘柄の残高数量に加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42(図13(C)参照)に存在しないときには、これらのウォレット管理番号、口座識別情報および銘柄識別情報、並びに、按分後の各入庫データの入庫の数量を含むレコードを作成してウォレット残高記憶手段42に記憶させる処理を実行する。この際、ウォレット残高更新手段29は、別のメモリに退避させておいたデータ(累計投資金額を含む。)を用いて、累計投資金額等の情報も、入庫対象のレコードに反映させる。
図13の例では、図13(D)に示すように、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図13(B)参照)に記憶されている按分後の各入庫データ(第1,2,3行目のレコード)の情報(口座識別情報、銘柄識別情報、按分後の入庫の数量)およびそれらに付加されているウォレット管理番号を含むレコードを作成し、ウォレット残高記憶手段42に記憶させる。この際、作成するレコードには、別のメモリに退避させておいた累計投資金額等の情報も含ませる。従って、ウォレット残高記憶手段42のデータは、入出庫処理を経て、図13(C)の状態から図13(D)の状態に変わり、太枠部分の如く、銘柄がσからτに変わっている状態となる。
<単元株振替処理の際のデータ処理の流れ:図14>
図14には、単元株振替処理の際の一連のデータ処理の流れ、すなわち、入出庫明細作成手段54による入出庫データの作成処理、入出庫データ連携手段55による入出庫データの送信処理、単元株振替手段31による単元株振替用の残高移動処理、ウォレット残高更新手段29による単元株振替用のウォレット残高更新処理という流れ(図1参照)が、具体例で示されている。
図14の例では、主口座番号=K(大和菊子)の保有する株式累積投資の銘柄μの残高数量が、当該銘柄μの単元株の数量(100株)に達したので、国内株式へ振り替える単元株振替処理を行う。ここでは、主口座の株式累積投資の銘柄μの残高数量=120株のうちの100株を、主口座の国内株式の銘柄μの残高数量=100株に振り替える。この際、図14(C)に示すように、積立残高管理システム20のウォレット残高記憶手段42には、大和菊子(主口座番号=K)が、主口座に株式累積投資の銘柄μを、20株+30株+70株で、合計120株を保有しているという情報が記憶されている。しかし、売買システム50では、ウォレット単位の残高管理は行わないので、主口座に合計120株保有という情報しかない。従って、売買システム50側において、主口座の株式累積投資の銘柄μの120株のうちの100株を、主口座の国内株式の銘柄μの100株に振り替えるという情報がある場合には、積立残高管理システム20側では、その情報を適用するにあたり、各ウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、各ウォレットおよび積立対象外ウォレット)を合わせて考え、全体的な処理を行う必要がある。
売買システム50の入出庫データ記憶手段65には、図14(A)に示すように、国内株式の入出庫データとして、銘柄がμで数量が100株とされている明細番号=「000001」の入庫データが記憶されている。また、図14(B)に示すように、株式累積投資の入出庫データとして、銘柄がμで数量が100株とされている明細番号=「000002」の出庫データが記憶されている。これらの入庫データと出庫データとは、口座識別情報、銘柄識別情報、数量のうち、銘柄識別情報を構成する商品区分のみが異なっている状態であり、ペアの入出庫データである。従って、売買システム50側では、入出庫明細作成手段54により、単元株振替情報記憶手段64に記憶された単元株振替用の情報を用いて、ウォレットを考慮することなく、このような入出庫データが作成される。
続いて、売買システム50の入出庫データ連携手段55により、図14(A)、図14(B)の状態で入出庫データ記憶手段65に記憶されているペアの入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する。積立残高管理システム20では、売買システム50から送信されてくる入出庫データを、単元株振替手段31により受信する。この入出庫データの送受信の際には、送信側である売買システム50側と、受信側である積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なっているので、売買システム50側の入出庫データ連携手段55、または積立残高管理システム20側の単元株振替手段31により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。本実施形態では、前述した[2]の形態から、[1]の形態への変換となる。
そして、単元株振替手段31は、ウォレット残高記憶手段42(図14(C)参照)に記憶されている株式累積投資の当該銘柄の残高数量について、予め定められたルールにより定まる各ウォレットの売却優先順位に従って、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量が、単元株の倍数に相当する出庫データの出庫の数量に達するのに不足している分の数量を補うために、売却優先順位の高いウォレットの当該銘柄の残高数量から順に、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量に移動させることにより、最も売却優先順位の低いウォレットの当該銘柄の残高数量を単元株の倍数の数量に到達させる処理を実行する。
図14の例では、図14(C)に示すように、ウォレット管理番号=「000003」のウォレットが、最も売却優先順位の低いウォレットであるから、このウォレットの残高数量の70株と、出庫データの出庫の数量の100株(図14(B)参照)とを比べる。なお、出庫データの出庫の数量は、単元株の数量である100株の倍数(この例では、1倍)になっている。従って、最も売却優先順位の低いウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)は、単元株の倍数に相当する出庫データの出庫の数量(100株)まで達するのに30株不足している。
そこで、最も売却優先順位の高いウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)から順に、最も売却優先順位の低いウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)へ、合計で30株の残高移動を行う。先ず、最も売却優先順位の高いウォレット(ウォレット管理番号=「000001」)の残高数量は20株であるから(図14(C)参照)、この20株の全部を移動させる。次に、2番目に売却優先順位の高いウォレット(ウォレット管理番号=「000002」)の残高数量は30株であるから(図14(C)参照)、この30株のうちの10株を移動させる。これで合計30株の残高移動を行ったことになり、最も売却優先順位の低いウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)の残高数量は、単元株の倍数(出庫データの出庫の数量)である100株に達する。これにより、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている株式累積投資の当該銘柄の残高数量は、図14(C)の状態から、図14(D)の状態に変わる。
その後、ウォレット残高更新手段29により、ペアの入出庫データのうちの株式累積投資の出庫データ(図14(B)参照:但し、図14(B)は、売買システム50側の状態であるから、これを積立残高管理システム20側に送信した連携後の状態の出庫データ)を用いて、ウォレット残高記憶手段42(図14(D)参照)に記憶されている最も売却優先順位の低いウォレット(単元株の倍数の数量に到達させたウォレット)の株式累積投資の当該銘柄の残高数量から、出庫データの出庫の数量を減じる処理を実行する。
図14の例では、図14(D)に示すウォレット残高記憶手段42に記憶されている最も売却優先順位の低いウォレット(ウォレット管理番号=「000003」)の残高数量の100株から、出庫データの出庫の数量(図14(B)参照)の100株を減じて0株とする(図14(E)参照)。
さらに、ウォレット残高更新手段29により、ペアの入出庫データのうちの国内株式の入庫データ(図14(A)参照:但し、図14(A)は、売買システム50側の状態であるから、これを積立残高管理システム20側に送信した連携後の状態の入庫データ)を用いて、最も売却優先順位の低いウォレットの国内株式の当該銘柄の残高数量に、入庫データの入庫の数量を加えるか、または、加える対象となるレコードがウォレット残高記憶手段42(図14(E)参照)に存在しないときには、商品区分が国内株式とされた当該銘柄の銘柄識別情報、入庫の数量を含むレコードを作成する処理を実行する。
図14の例では、ウォレット残高記憶手段42(図14(E)参照)には、主口座の国内株式の当該銘柄μの残高数量を含むレコードは存在しないので、口座識別情報(主口座番号=K(大和菊子)、口座種類区分=主口座)、銘柄識別情報(商品区分=国内株式、当該銘柄μ)、入庫の数量=100株(図14(A)参照)を含むレコードを作成し、ウォレット残高記憶手段42(図14(F)参照)に記憶させる。
<積立対象外ウォレット残高補正処理の際のデータ処理の流れ:図15>
図15の例では、大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量について、積立対象外ウォレット残高補正処理を行う。図15(A)に示すように、売買システム50の顧客残高記憶手段66には、大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量=10,000株が記憶されている。売買システム50側では、ウォレット単位での残高管理は行わないので、顧客残高記憶手段66に記憶されているレコードには、ウォレット管理番号は存在しない。
一方、図15(D)に示すように、積立残高管理システム20のウォレット残高記憶手段42では、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに、大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量=3,000株が帰属し、ウォレット管理番号=「999999」の積立対象外ウォレットに、大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量=7,000株が帰属している。合計は、10,000株であるから、図15(A)に示した売買システム50の顧客残高記憶手段66の残高数量と一致している。
このような状態において、売買システム50側において、図15(A)に示した顧客残高記憶手段66の残高数量に対し、約定訂正により、−5,000株の処理を行ったとする。すると、図15(B)に示すように、顧客残高記憶手段66の残高数量は、10,000株−5,000株=5,000株となる。
しかし、約定訂正の取引データは、売買システム50側から積立残高管理システム20側へのデータ連携の対象ではないので、このままでは、売買システム50側と積立残高管理システム20側とで、残高が整合しない状態となってしまう。
そこで、ウォレット残高記憶手段42(図15(D)参照)に記憶されている積立対象外ウォレット(ウォレット管理番号=「999999」)の残高数量を補正する積立対象外ウォレット残高補正処理を実行する。先ず、売買システム50の顧客残高連携手段56により、図15(B)に示した顧客残高記憶手段66に記憶されている約定訂正後の状態の顧客残高(5,000株)を、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する。積立残高管理システム20では、売買システム50から送信されてくる顧客残高(5,000株)を、ウォレット残高更新手段29により受信する。この顧客残高の送受信の際には、送信側である売買システム50側と、受信側である積立残高管理システム20側とで、口座識別情報の形態が異なっているので、売買システム50側の顧客残高連携手段56、または積立残高管理システム20側のウォレット残高更新手段29により、口座識別情報の形態の変換処理を実行する。本実施形態では、前述した[2]の形態から、[1]の形態への変換となる。
次に、ウォレット残高更新手段29は、売買システム50から受信した顧客残高(5,000株)から、ウォレット残高記憶手段42(図15(D)参照)に記憶されている全てのウォレット(積立対象外ウォレットは含まない。)の残高数量の合計数量を減じることにより、積立対象外ウォレットの残高数量についての補正後の数量を算出する。図15の例では、全てのウォレット(積立対象外ウォレットは含まない。)の残高数量の合計数量は、ウォレット管理番号=「000001」のウォレットに帰属する残高数量=3,000株だけであるから、補正後の数量は、顧客残高(5,000株)−全てのウォレットの残高数量の合計数量(3,000株)=2,000株となる。
これにより、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている積立対象外ウォレット(ウォレット管理番号=「999999」)の残高数量は、補正前の7,000株(図15(D)参照)から、補正後には、2,000株(図15(E)参照)となる。なお、積立対象外ウォレットの残高補正後には、ウォレット残高記憶手段42(図15(E)参照)に記憶されている大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量の合計数量は、3,000株+2,000株=5,000株となるので、図15(B)に示した売買システム50の顧客残高記憶手段66に記憶されている約定訂正後の残高数量と一致している。
以上のように、積立対象外ウォレットの残高補正後の数量が、顧客残高(5,000株)−全てのウォレットの残高数量の合計数量(3,000株)=2,000株となり、0以上の数量となる場合には、自動補正により補正処理を終了する。これに対し、以下のような場合には、自動補正だけで補正処理は終了せず、残高数量の変更が必要となる。
すなわち、売買システム50側において、図15(A)に示した顧客残高記憶手段66の残高数量に対し、約定訂正により、−8,000株の処理を行ったとする。すると、図15(C)に示すように、顧客残高記憶手段66の残高数量は、10,000株−8,000株=2,000株となる。
この際、売買システム50側と積立残高管理システム20側とで、残高が整合しない状態となってしまうのは、前述した−5,000株の約定訂正を行った場合と同様であるから、−8,000株の約定訂正を行った場合も、積立対象外ウォレット残高補正処理を実行する。
先ず、−8,000株の約定訂正を行った場合は、売買システム50から送信されてくる顧客残高は、2,000株(図15(C)参照)となる。次に、売買システム50から受信した顧客残高(2,000株)から、ウォレット残高記憶手段42(図15(D)参照)に記憶されている全てのウォレット(積立対象外ウォレットは含まない。)の残高数量の合計数量(3,000株)を減じると、積立対象外ウォレットの残高数量についての補正後の数量は、−1,000株(図15(F)参照)となってしまう。
この場合でも、ウォレット残高記憶手段42(図15(F)参照)に記憶されている大和幸助(主口座番号=L)の保有する主口座の国内株式の銘柄λの残高数量の合計数量は、3,000株+(−1,000株)=2,000株となるので、形式的には、図15(C)に示した売買システム50の顧客残高記憶手段66に記憶されている約定訂正後の残高数量と一致している。しかし、積立対象外ウォレットの残高数量をマイナスにして整合をとっているだけなので、この場合は、自動補正だけでは補正処理は終了せず、人手による操作での残高数量の変更が必要となる。この残高数量の変更は、残高移動手段23により行うことができ、ウォレットから積立対象外ウォレットへの残高移動を行って、積立対象外ウォレットの残高数量がマイナスにならないようにする。
<積立システム10による処理の全体の流れ:図16、図5、図6>
このような本実施形態においては、以下のようにして積立システム10により顧客の積立投資のための金融商品の買付、約定、および残高更新の処理が行われ、特に、積立残高管理システム20では、ウォレット単位での残高管理が行われる。
図16において、先ず、顧客またはその入力代行者は、端末装置80を操作し、積立目的や目標金額の入力、積立条件の登録、残高の帰属設定等のウォレットの設定登録を行い、その設定登録情報を、ウォレット記憶手段41(図2参照)、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶させておく。この処理は、ウォレット登録手段21により実行される。
そして、積立条件連携手段25により、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶されている積立条件のうち買付日が到来した積立条件を、毎日(毎営業日前に)、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS1)。なお、買付日が到来した積立条件だけではなく、全部の積立条件を送信してもよい。
続いて、売買システム50では、注文受付・作成手段51により、積立残高管理システム20から積立条件連携手段25により送信されてきた積立条件を受信し(ステップS2)、受信した積立条件(買付日が到来した積立条件)を用いて、買付注文のための注文データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を作成し、作成した注文データを注文データ記憶手段61に記憶させる(ステップS3)。
続いて、発注・約定処理手段52により、注文データ記憶手段61に記憶された注文データを用いて、金融商品の買付処理を実行するとともに、買付で得られた約定データ(口座識別情報、買付銘柄についての銘柄識別情報、約定数量、受渡金額を含む。)を約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させる約定処理を実行する(ステップS4)。この際、発注・約定処理手段52は、市場への発注が必要となる金融商品については、買付用の発注データ(口座識別情報、銘柄識別情報、数量、売買区分を含む。)を作成し、通信回線4を介して市場システム71へ送信する買付処理を実行するとともに、市場システム71から通信回線4を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データを約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶させる約定処理を実行する。
一方、積立残高管理システム20では、積立予定情報作成手段26により、積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶された積立条件のうち買付日が到来した積立条件を用いて、買付金額、および買付銘柄についての銘柄識別情報を含む積立予定情報を作成し、作成した積立予定情報、買付銘柄の残高管理用の口座についての口座識別情報、および買付状況を示すステータスを、当該口座の当該買付銘柄の残高を帰属させるウォレットについてのウォレット管理番号と関連付けて積立予定情報記憶手段44(図5参照)に記憶させる(ステップS5)。
例えば、図5(B)に示すように、買付日(毎月1日)が到来した積立条件が、ウォレット管理番号=「000001」、「000002」、「000003」の3つのウォレットに、それぞれ1つずつ設定されているとする。なお、積立条件に従った買付が、未だ1回も行われていなければ、図5(A)に示すように、各ウォレットの評価金額は0円であり、達成率は0%である。このとき、積立予定情報作成手段26により作成される積立予定情報は、図5(C)に示す各レコードのようになる。各レコードのステータスは、「未処理」となっている。
それから、売買システム50では、約定データ連携手段53により、約定データ記憶手段62(図5参照)に記憶されている約定データ(但し、ここでは、積立残高管理システム20で取り扱う積立投資の対象となり得る金融商品についての約定データに限るものとする。)を、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する(ステップS6)。
積立残高管理システム20では、約定データ抽出手段28により、売買システム50から通信回線2を介して送信されてくる約定データを受信し、受信した約定データと、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された積立予定情報のうちステータスが「約定済」になっていない(「未処理」になっている)積立予定情報とを比較し、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額(約定データの受渡金額と積立予定情報の買付金額)が、比較した積立予定情報と一致する約定データを抽出し、抽出した約定データに、一致した積立予定情報に対応するウォレット管理番号を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6参照)に記憶させるとともに、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)において、一致した積立予定情報に対応するステータスを、「未処理」から「約定済」に変更する処理を実行する(ステップS7)。
また、約定データ抽出手段28は、売買システム50から受信した約定データのうち、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された積立予定情報の中に、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額(約定データの受渡金額と積立予定情報の買付金額)が一致する積立予定情報がなかった約定データについては、その約定データに、積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号(=「999999」)を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6参照)に記憶させる処理を実行する(ステップS7)。
図5の例では、図5(D)に示した投資信託の約定データ(但し、図5(D)は、売買システム50側の約定データ記憶手段62に記憶されている状態であり、口座識別情報の形態の変換前の状態である。)のうちの第1行目のレコードの約定データは、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された第1行目のレコードの積立予定情報と一致しているので、その積立予定情報のウォレット管理番号=「000001」を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)の第1行目のレコード参照)に記憶される。
また、図5(D)に示した投資信託の約定データのうちの第2行目のレコードの約定データは、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された第2行目のレコードの積立予定情報と一致しているので、その積立予定情報のウォレット管理番号=「000002」を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)の第2行目のレコード参照)に記憶される。
さらに、図5(E)に示した株式累積投資の約定データは、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された第3行目のレコードの積立予定情報と一致しているので、その積立予定情報のウォレット管理番号=「000003」を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6(G)参照)に記憶される。
しかし、図5(D)に示した投資信託の約定データのうちの第3行目のレコードの約定データは、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に記憶された各レコードの積立予定情報の中に、一致している積立予定情報がない。従って、積立対象外ウォレットについてのウォレット管理番号=「999999」を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)の第3行目のレコード参照)に記憶される。この約定データは、積立条件に従った買付注文の約定データではなく、例えば、単発の買付による約定データである。なお、このように積立対象外ウォレットに帰属することになっても、残高移動手段23による残高移動の操作により、後で各ウォレットに帰属させることができる。
続いて、売買システム50において、入出庫明細作成手段54により、権利情報記憶手段63に記憶されている権利情報(コーポレートアクション等の情報)を用いて、入出庫データ(入庫データおよび出庫データの組合せ)を作成し、作成した入出庫データ(明細番号、口座識別情報、銘柄識別情報、入出庫に係る取引の種別、数量を含む。)を入出庫データ記憶手段65(図11、図12、図13参照)に記憶させる(ステップS8)。
また、入出庫明細作成手段54により、単元株振替情報記憶手段64に記憶されている単元株振替に関する情報を用いて、入出庫データ(入庫データおよび出庫データの組合せ)を作成し、作成した入出庫データ(明細番号、口座識別情報、銘柄識別情報、入出庫に係る取引の種別、数量を含む。)を入出庫データ記憶手段65(図14参照)に記憶させる(ステップS8)。
そして、入出庫データ連携手段55により、入出庫データ記憶手段65(図11〜図14参照)に記憶されている入出庫データを、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する(ステップS9)。
積立残高管理システム20では、入出庫ウォレット按分手段30により、売買システム50から通信回線2を介して送信されてくる入出庫データを受信し、受信した入出庫データを各ウォレット(積立対象外ウォレットに残高がある場合には、各ウォレットおよび積立対象外ウォレット)に按分し、按分した各入出庫データを、入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11〜図13)に記憶させる(ステップS10)。この按分処理については、図11〜図13を用いて詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、単元株振替手段31により、売買システム50から通信回線2を介して送信されてくる入出庫データを受信し、受信した入出庫データを用いて、株式累積投資で買い付けた銘柄の単元株の倍数に相当する分の数量を、国内株式の当該銘柄の数量に振り替えるために、単元株の倍数に相当する分の数量を1つのウォレットに集める単元株振替用の残高移動処理を実行する(ステップS10)。この単元株振替用の残高移動処理については、図14を用いて詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
それから、ウォレット残高更新手段29により、約定データ抽出手段28によりウォレット管理番号を付加して約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)、図6(G)参照)に記憶されている約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶されているレコードのうち、約定データのレコードとウォレット管理番号、口座識別情報、および銘柄識別情報が一致しているレコードの残高数量に対し、約定データの約定数量を加算するウォレット残高更新処理を実行する(ステップS11)。
図6の例では、約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)参照)に記憶されている投資信託の第1行目の約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図6(I)参照)に記憶されている第1行目のレコードの残高数量を更新する。最初の買付だったため、約定数量(図6(F)参照)がそのまま更新後の残高数量(図6(I)参照)となっている。
また、約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)参照)に記憶されている投資信託の第2行目の約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図6(I)参照)に記憶されている第2行目のレコードの残高数量を更新する。最初の買付だったため、約定数量(図6(F)参照)がそのまま更新後の残高数量(図6(I)参照)となっている。
さらに、約定データ抽出結果記憶手段46(図6(G)参照)に記憶されている株式累積投資の約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図6(I)参照)に記憶されている第3行目のレコードの残高数量を更新する。最初の買付だったため、約定数量(図6(G)参照)がそのまま更新後の残高数量(図6(I)参照)となっている。
また、約定データ抽出結果記憶手段46(図6(F)参照)に記憶されている投資信託の第3行目の約定データのレコードを用いて、ウォレット残高記憶手段42(図6(I)参照)に記憶されている第4行目のレコードの残高数量を更新する。最初の買付だったため、約定数量(図6(F)参照)がそのまま更新後の残高数量(図6(I)参照)となっている。
そして、以上の残高更新後に、評価金額算出手段24による評価金額および達成率の算出処理を行うと、ウォレット記憶手段41は、図6(H)の状態となる。最初の買付だったため、受渡金額(図6(F)、図6(G)参照)がそのまま評価金額(図6(H)参照)となっている。
また、ウォレット残高更新手段29により、入出庫ウォレット按分手段30により按分されて入出庫ウォレット按分結果記憶手段47(図11、図12、図13参照)に記憶されている按分後の各入出庫データを用いて、各ウォレットの残高を更新する処理も実行する(ステップS11)。この残高更新処理については、図11、図12、図13を用いて詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、ウォレット残高更新手段29により、単元株振替手段31による単元株振替用の残高移動処理を実行した場合に、国内株式の入庫データおよび株式累積投資の出庫データを用いて、株式累積投資で買い付けた銘柄の単元株の倍数に相当する分の数量を、国内株式の当該銘柄の数量に振り替える単元株振替処理も実行する(ステップS11)。この単元株振替処理の詳細については、図14を用いて詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
その後、売買システム50において、顧客残高連携手段56により、顧客残高記憶手段66(図15参照)に記憶されている顧客残高のデータ(口座識別情報、銘柄識別情報、残高数量を含む。)を、通信回線2を介して積立残高管理システム20へ送信する(ステップS12)。
積立残高管理システム20では、ウォレット残高更新手段29により、口座識別情報および銘柄識別情報が一致する単位で、売買システム50から通信回線2を介して受信した顧客の各保有銘柄の残高数量から、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている全てのウォレット(積立対象外ウォレットは含まない。)の残高数量の合計数量を減じることにより、積立対象外ウォレットの残高数量についての補正後の数量を算出し、算出した補正後の数量を用いて、ウォレット残高記憶手段42に記憶されている積立対象外ウォレットの残高数量を補正する積立対象外ウォレット残高補正処理を実行する(ステップS13)。この積立対象外ウォレット残高補正処理の詳細については、図15を用いて詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
<本実施形態の効果>
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、積立残高管理システム20では、積立条件(買付日、買付金額、および買付銘柄を含む。)が、買付銘柄の残高管理用の口座とともに、顧客が積立目的毎に設定したウォレットに紐付けて管理され、それらの情報がウォレット管理番号と関連付けられて積立条件記憶手段43(図4参照)に記憶される。また、買い付けられた銘柄の残高数量も、その残高管理用の口座とともに、ウォレットに紐付けて管理され、それらの情報がウォレット管理番号と関連付けられてウォレット残高記憶手段42(図3参照)に記憶される。従って、積立投資の対象である金融商品の各銘柄の残高数量は、ウォレット管理番号、その下の口座識別情報、さらにその下の銘柄識別情報(ウォレット管理番号>口座識別情報>銘柄識別情報)に関連付けられて管理される状態となる。そして、積立目的毎に設定するウォレットは、複数の口座に跨って設定可能とされ、さらに、それぞれの口座で、複数の銘柄の残高管理が可能となっている。
このため、口座およびその口座で残高管理される銘柄(口座>銘柄)という単位での従来方式の残高管理形態を維持しつつ、それを利用し、複数の口座を横断したウォレット単位での残高管理を行うことができるので、顧客の意図する積立目的に沿った残高管理を行うことができる。従って、顧客は、複数の口座を横断した複雑な残高管理を、自ら行う必要がなくなるので、従来に比べ、目的別の投資計画が容易となり、投資による資産形成を容易に行うことができる。
さらに、ウォレットの設定により、複数の口座を横断した残高管理を行うことができるので、各口座(各サービス)に存在する制限を超えた残高管理を行うことができる。例えば、NISA口座では、年間の非課税限度額が決まっているため、必然的に積み立てられる金額にも限りがある。しかし、ある1つの積立目的を持って、NISA口座の残高と、NISA口座以外の口座の残高とをまとめ、それを1つのウォレットの残高として設定すれば、NISA口座の制限を超えた残高管理を行うことができる。
また、積立残高管理システム20は、各ウォレットの積立目的および目標金額の入力、並びに、ウォレット単位の評価金額や達成率の算出および画面表示を行うことができるので、顧客は、ウォレット毎に積立目的および積立の目標金額を設定しておけば、画面表示されたウォレット単位の評価金額や達成率を参照することにより、その設定に対する達成の度合いを容易に確認することができる。このため、従来、複数の口座に分散していた積立資産について、それらの評価金額を自分で合算する等の手間を省くことができるので、顧客自身による残高管理の手間を軽減することができ、目的別の投資計画、投資による資産形成を、より一層容易に行うことができる。
また、積立残高管理システム20は、積立予定情報作成手段26、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)、積立条件連携手段25、および約定データ抽出手段28を備えているので、従来方式の口座単位での処理を実行する売買システム50とのデータ連携を行いながら、買付・約定処理および各ウォレットの残高更新処理を行うことができる。このため、既存のシステムの主要機能を活かしながら、ウォレット単位の処理を行うことができるので、積立目的に沿った積立資産の残高管理を実現することができる。
さらに、積立残高管理システム20は、積立予定情報削除手段27を備えているので、一定期間、売買システム50から送信されてきた約定データと一致しなかった積立予定情報を、積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)から削除することができる。これにより、例えば、売買システム50において、余力不足等により実際には買付注文が実行されなかったケースや、買付注文が約定しなかったケースでは、その買付に係る積立予定情報を含むレコードが、積立予定情報記憶手段44に残り続けることになってしまうが、そのような事態を回避することができるので、なるべく最新の積立予定情報と、約定データとの紐付けを行うことができる。
そして、積立残高管理システム20は、残高移動手段23を備えているので、各ウォレット間で残高を移動することにより、各ウォレットの目標金額への到達時期や達成の度合いを調整することができる(図8、図9参照)。例えば、目標金額への到達時期を早めたいウォレットについては、別のウォレットから残高を移動することにより、移動前に比べて早期に目標金額へ到達することができる。
また、残高移動手段23は、積立対象外ウォレットを含めて残高移動が可能な構成とされているので、ウォレット間の残高移動のみならず、積立対象外ウォレットとウォレットとの間での残高移動も行うことができる。このため、売買システム50から受信した約定データのうち、口座識別情報、銘柄識別情報、および金額が一致する積立予定情報が積立予定情報記憶手段44(図5(C)参照)に存在しなかった約定データを、一旦、積立対象外ウォレットに帰属させ、その後、残高移動手段23により、その約定データの残高を、積立対象外ウォレットからウォレットへ移動すること等もできる。
さらに、ウォレット登録手段21は、積立条件移動処理も実行可能な構成とされているので(図10参照)、各ウォレット間で積立条件を移動することにより、各ウォレットの目標金額への到達スピードを容易に調整することができる。例えば、目標金額への到達時期を早めたいウォレットについては、別のウォレットから積立条件を移動することにより、移動前に比べて速いスピードで目標金額へ到達することができる。
そして、積立残高管理システム20は、入出庫ウォレット按分手段30を備えているので、株式分割等のコーポレートアクションに伴う入出庫データ、口座間残高振替処理や銘柄変更処理に伴う入出庫データを、各ウォレットに按分する処理を行うことができる(図11〜図13参照)。このため、株式分割等のコーポレートアクションの処理、口座間残高振替処理や銘柄変更処理を行う際に、売買システム50においてウォレット単位ではなく従来方式の口座単位で行われる処理内容を、積立残高管理システム20の各ウォレットに反映することができるので、積立残高管理システム20と売買システム50との間での残高の整合を保つことができる。
この際、口座間残高振替処理や銘柄変更処理では、出庫データの処理から行い、その情報を入庫データの処理に引き継ぐので、入庫データ側から処理を行った場合に生じる不都合、すなわち、入庫データに対応するレコードが、ウォレット残高記憶手段42(図3参照)の中に存在しないことにより、入庫データを按分することができず、積立対象外ウォレットに残高(入庫の数量)が帰属してしまうという不都合を回避することができる。
また、積立残高管理システム20は、単元株振替手段31を備えているので、株式累積投資で買い付けた銘柄の残高数量が単元株の数量に達したときの単元株振替を行う際に、売買システム50においてウォレット単位ではなく従来方式の口座単位で行われる処理内容を、積立残高管理システム20の各ウォレットに反映することができるため、積立残高管理システム20と売買システム50との間での残高の整合を保つことができる。
さらに、ウォレット残高更新手段29は、積立対象外ウォレット残高補正処理を行うことができるので(図15参照)、例えば、約定訂正等のように、売買システム50側で処理される取引のうち、積立残高管理システム20側で取込除外の対象とする取引については、ウォレットの残高が更新されず、積立残高管理システム20と売買システム50との間で残高の整合がとれない状態となるが、補正によりこの不整合の状態を解消することができる。
[変形の形態]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、従来方式の口座単位での処理を行う売買システム50と、ウォレット単位での処理を行う積立残高管理システム20とが、データ連携を行う構成とされていたが、本発明の積立残高管理システムは、積立条件の登録や残高管理だけではなく、買付・約定処理も含めてウォレット単位での処理を行うシステムとしてもよい。但し、既存システムの有効活用、積立目的毎のウォレットの設定が不要な顧客の存在、ウォレット単位での残高管理への円滑な移行等の観点からは、既存の基幹システムである売買システム50と連携させる構成とすることが好ましい。
また、前記実施形態では、残高移動手段23は、図9に示すように、移動元の銘柄と、移動先のウォレットとを、リストから選択する構成とされていたが、残高移動を行うための操作は、これに限定されるものではなく、例えば、アイコンのドラッグ&ドロップ操作等としてもよい。具体的には、例えば、各口座の各銘柄の残高数量をアイコン化し(口座、銘柄、残高がアイコンに表示されている。)、各ウォレットに相当する領域またはアイコンを画面上に形成しておき、移動対象の銘柄の残高を示すアイコンを、ドラッグ操作により、現在帰属しているウォレットの領域等から、移動先のウォレットの領域等まで移動させ、ドロップする等の操作を行うようにしてもよい。
さらに、ウォレット登録手段21による積立条件の移動の場合も同様であり、積立条件をアイコン化し(口座、買付日、買付銘柄、買付金額がアイコンに表示されている。)、積立条件を示すアイコンを、ドラッグ操作により、現在帰属しているウォレットの領域等から、移動先のウォレットの領域等まで移動させ、ドロップする等の操作を行うようにしてもよい。
また、積立条件の移動を行うと、その積立条件に対応する残高数量(その積立条件に従った買付により積み立てられる銘柄の残高数量)も移動する機能を設け、積立条件の移動と、残高数量の移動とを連動させるようにしてもよい。