以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の資産運用システム10の全体構成が示されている。図2~図4は、資産情報の取得および運用処理の実行についての第1、第2、第3の形態の説明図である。図5~図8には、ユーザ端末60に表示される画面例が示されている。図9~図11には、リバランス処理、定期買付&リバランス処理、定期換金&リバランス処理の具体例が示されている。図12には、買付余力調整サービスの提供に係る処理の流れがフローチャートで示されている。また、図13~図15には、連続注文の運用処理に伴う資金の流れ、連続注文の運用管理情報の具体例(調整銀行システムによる拠出を行う場合、および行わない場合)が示されている。さらに、図16~図20には、リバランス処理、定期買付&リバランス処理、定期換金&リバランス処理に伴う資金の流れが示され、図21~図23には、それらの処理の運用管理情報の具体例が示されている。また、図24および図25には、買付余力調整の具体例が示されている。
<資産運用システム10の全体構成>
図1において、資産運用システム10は、買付余力調整サービス提供サーバ20を含む複数の資産運用サービス提供サーバをネットワーク1で接続して構成されている。但し、買付余力調整サービス提供サーバ20以外の資産運用サービス提供サーバは、本発明の機能には直接関係しないため、記載を省略している。
買付余力調整サービス提供サーバ20には、複数の証券会社システム40および複数の銀行システム50を含む複数の金融機関システムが、ネットワーク1を介して接続されるとともに、顧客またはその入力代行者(証券会社の営業員やオペレータ等)が操作する複数(通常は、多数)のユーザ端末60と、システム管理者が操作する少なくとも1つの管理者端末70とが、ネットワーク1を介して接続されている。
ここで、ネットワーク1は、本実施形態では、例えば、主としてインターネット、あるいはインターネットとLANやイントラネット等の内部ネットワークとの組合せ等により構成され、有線であるか、無線であるか、有線・無線の混在型であるかは問わない。
買付余力調整サービス提供サーバ20は、金融機関(銀行、証券会社等)以外のサービス提供者(外部事業者)が運営・管理するサーバであり、主として金融商品(投資信託、株式等)の買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の拠出を行うことにより複数の証券会社システムに跨って顧客の買付余力を調整する買付余力調整サービスを提供する処理を実行するとともにその処理に必要なデータを記憶するサーバであるが、本実施形態では、買付余力先行充当用資金の拠出を伴わない金融商品の売買処理も、この買付余力調整サービス提供サーバ20で実行するようになっている。顧客が買付余力調整サービスの提供を受けることを選択しない場合や、顧客が買付余力調整サービスの提供を受けることを選択しても、結果的に、買付余力先行充当用資金の拠出が必要ない場合(同一証券会社内での処理となる場合や、自調達で足りる場合)もあるからである。
ここで、買付余力先行充当用資金とは、ある銘柄の売注文の売却代金を用いて別の銘柄の買付を行うにあたり、売注文を執行した証券会社とは別の証券会社で買注文を執行する場合において、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に、買注文を執行する証券会社における顧客の買付余力の確保のために、買注文を執行する証券会社へ入金する資金をいう。但し、後述するように、売注文を執行した証券会社と同じ証券会社で買付を行うときであっても、買付余力の確保が遅れる場合(売注文の約定をもって買付余力が確保される場合であり、かつ、売注文の約定日が即日(注文日と同日)ではない場合)には、売注文を執行した証券会社と同じ証券会社に対し、買付余力先行充当用資金を入金してもよいので、その意味では、買付余力先行充当用資金は、買注文執行機関(単一の証券会社)における通常の処理よりも、早い段階で買付余力を確保するために入金する資金であるといえる。
この買付余力先行充当用資金は、本実施形態では、2通りの方法で調達することができる。第1の調達方法は、調整銀行システム50Nからの調達であり、本願では、この調達を「拠出」と呼び、その金額を「拠出額」と呼んでいる。拠出額は、売却代金の受渡日の到来後に調整銀行システム50Nに返金されるので、拠出は、一時的な調達である。第2の調達方法は、顧客が買注文執行機関以外の金融機関(銀行や証券会社:調達資金源金融機関)に保有している現金やMRF(マネー・リザーブド・ファンド)からの調達であり、本願では、この調達を「自調達」と呼び、その金額を「自調達額」と呼んでいる。自調達額は、売却代金の受渡日の到来後に調達資金源金融機関に戻すので、調整銀行システム50Nからの拠出の場合と同様に、一時的な調達である。
このように本発明において、買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金(第1の調達方法では、調整銀行システム50Nからの拠出額の入金であり、第2の調達方法では、自調達額の入金である。)を行うのは、次の理由からである。すなわち、同じ証券会社内で売注文および買注文の双方を執行する場合には、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に、その証券会社における顧客の買付余力が確保され、買注文を執行することができる状態になるのが一般的であるが、売注文および買注文が複数の証券会社に跨った場合には、単一の証券会社内の処理では買付余力を確保することができないので、その状態を解消するためである。従って、第1の調達方法では、調整銀行システム50Nからの拠出となるが、この拠出は、融資(レンディング)に該当するものではなく、同じ証券会社内であれば、売却代金の受渡日よりも前の日に買付余力を確保可能であったケースと同様な考え方により、サービス提供者を介して(システム的には、サービス提供者が運営・管理する買付余力調整サービス提供サーバ20およびこれと連携する調整銀行システム50Nを介して)、顧客の資産を一時的に移動し、証券会社超越で買付余力の調整を行っているものである。この点については、図24および図25を用いて後述する。
なお、買注文執行機関における買付余力の確保の方法(買付資金調達方法)は、上記のような2通りの方法による買付余力先行充当用資金の入金(第1の調達方法では、調整銀行システム50Nからの拠出額の入金であり、第2の調達方法では、自調達額の入金である。)だけではなく、さらに次のような第3、第4の方法が存在する。第3の方法は、売注文と買注文とが同じ証券会社で執行されるので、売却代金の受渡日よりも前の日に、買付余力が確保されるケースであるが、これは、従来から存在するケースであり、証券会社超越の買付余力調整を行うわけではないため、本実施形態では、買付余力先行充当用資金の入金とは区別している。但し、このケースでも、売注文の約定をもって買付余力が確保される場合であり、かつ、売注文の約定日が即日(売注文の注文日と同日)ではない場合には、買付余力の確保が遅れるので、売注文の約定前の入金を行うと効果的であることから、そのような場合には、売注文を執行した証券会社に対し、買付余力先行充当用資金の入金(調整銀行システム50Nからの拠出額の入金でもよく、自調達額の入金でもよい。)を行ってもよい。そして、このような買付余力先行充当用資金の入金を行った場合には、拠出額の返金や、自調達額の戻しは、売注文の売却代金の受渡後としてもよいが、売注文の約定後として早期の返金や戻しを行うこともできる。売注文の約定をもって買付余力が確保されるからである。第4の方法は、運用資金の増額を行う場合における増額金額の入金であるが、この増額金額は、売注文の売却代金とは関係なく、かつ、一時的な調達でもないので、本実施形態では、買付余力先行充当用資金の入金とは区別している。以上より、本実施形態では、買付余力の確保の方法(買付資金調達方法)は、4つあるので、例えば、図10の買付資金調達方法には、4つのカラムがある。
また、本実施形態では、買付余力調整サービス提供サーバ20は、買付余力調整サービス以外のサービス(例えば、保有資産の管理サービス、金融商品の売買のうち本来的に買付余力先行充当用資金の拠出が必要ない売買の取次サービス、確定申告データの作成サービス等)も含めて資産運用システム10で取り扱う各種のサービスにアクセスするためのポータルサイトとしての機能も有している。なお、ポータルサイトの機能は、買付余力調整サービス提供サーバ20とは別の資産運用サービス提供サーバに設けてもよく、ポータル専用の資産運用サービス提供サーバを設けてもよい。
具体的には、買付余力調整サービス提供サーバ20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、メニュー表示手段21と、設定手段22と、資産情報取得手段23と、注文作成手段24と、調整情報作成手段25と、運用管理情報作成手段26と、運用処理手段27と、認証用情報記憶手段31と、取得対象記憶手段32と、資産情報記憶手段33と、設定情報記憶手段34と、日付決定用情報記憶手段35と、運用管理情報記憶手段36と、余力管理情報記憶手段37とを含んで構成されている。
このうち、メニュー表示手段21、設定手段22、資産情報取得手段23、注文作成手段24、調整情報作成手段25、運用管理情報作成手段26、運用処理手段27、および図示されないその他の処理手段は、買付余力調整サービス提供サーバ20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段21~27の詳細は、後述する。
また、各記憶手段31~37および図示されないその他の記憶手段は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。また、各記憶手段31~37およびその他の記憶手段のデータ保存形式は、データベースでもよく、フラットファイル等のファイル形式でもよい。データベースとする場合には、各記憶手段31~37等をそれぞれ別々のデータベースとしてもよく、1つまたは幾つかのデータベース内の異なるテーブルとしてもよい。なお、これらの各記憶手段31~37の詳細は、後述する。
証券会社システム40は、金融商品(投資信託、株式、債券等)の売買の取次を行う証券会社が運営・管理するシステムであり、1台または複数台のコンピュータにより構成されている。各証券会社システム40を区別して説明を行うときは、証券会社A,B,C,D,…の証券会社システム40について、40A,40B,40C,40D,…の符号を付す。
銀行システム50は、各顧客や各証券会社が開設した口座の残高管理や入出金処理を行う銀行が運営・管理するシステムであり、1台または複数台のコンピュータにより構成されている。各銀行システム50を区別して説明を行うときは、銀行N,X,Y,Z,…の銀行システム50について、50N,50X,50Y,50Z,…の符号を付す。
また、本発明では、買付余力調整サービスの提供のための買付余力先行充当用資金の拠出を行う銀行を「調整銀行」と呼び、そのシステムを調整銀行システムと呼ぶ。本実施形態では、銀行Nが、調整銀行であり、銀行システム50Nが、調整銀行システムであるものとして説明を行う。また、顧客と証券会社との間の入出金用の銀行(顧客が証券会社との間での入出金を行うために指定した金融機関)を登録銀行(登録金融機関)と呼び、そのシステムを登録銀行システム(登録金融機関システム)と呼ぶ。本実施形態では、銀行X,Y,Zが、登録銀行であり、銀行システム50X,50Y,50Zが、登録銀行システムであるものとして説明を行う。この際、調整銀行と登録銀行とが一致していてもよい(すなわち、顧客は、調整銀行を登録銀行として指定してもよい)が、本実施形態では、説明の便宜上、分けるものとする。
なお、ある1人の顧客は、例えば、証券会社Aにおける登録銀行として銀行Xを指定し、証券会社Bにおける登録銀行として銀行Yを指定する等のように、各証券会社において別々の銀行を登録銀行として指定することができるが、例えば、銀行Xを、証券会社Aにおける登録銀行として指定し、かつ、証券会社Bにおける登録銀行としても指定する等のように、1つの銀行を、複数の証券会社における登録銀行として指定することもできる。また、ある1人の顧客と、別の顧客とによる、各証券会社A,B,C,D,…における登録銀行の指定は、全く関係ないので、例えば、顧客K5が、証券会社Aにおける登録銀行として銀行Xを指定し、別の顧客K6が、同じ証券会社Aにおける登録銀行として別の銀行Yを指定すること等も、当然にできるため、本実施形態の説明において登録銀行とされている銀行は、あくまでも、ある1人の顧客(ある機能の説明において着目している1人の顧客)が各証券会社A,B,C,D,…において指定した登録銀行という意味である。
ユーザ端末60および管理者端末70は、それぞれコンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。これらのユーザ端末60および管理者端末70は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)等の携帯機器でもよい。
また、ユーザ端末60および管理者端末70は、汎用ブラウザにより、買付余力調整サービス提供サーバ20やその他の資産運用サービス提供サーバ(不図示)、各証券会社システム40、各銀行システム50との間での通信を伴う処理を行うことができるが、専用のアプリケーションを搭載し、それらの処理を行ってもよい。この際、ユーザ端末60に専用のアプリケーションを搭載し、買付余力調整サービス提供サーバ20の資産情報取得手段23、注文作成手段24、運用処理手段27による各処理を補助する形態(資産情報の取得、運用処理の実行については、図4に示す第3の形態を参照)とする場合には、図1中の2点鎖線に示すように、ユーザ端末60には、専用のアプリケーションにより実現される資産情報取得補助手段61、注文作成補助手段62、運用処理補助手段63が設けられる。
なお、図1での図示は省略されているが、各証券会社システム40には、通信回線(専用線でもよく、ネットワークでもよい)を介して証券取引所システムや私設取引システム(PTS:Proprietary Trading System)等の市場システムが接続され、これにより、各証券会社システム40は、株式等の金融商品の売買取引の取次(市場への取次)を行うことができるようになっている。
また、各証券会社システム40には、通信回線(ネットワークでもよく、専用線でもよい)を介して図示されない投資信託の運用会社のシステムが接続され、これにより、各証券会社システム40と投資信託の運用会社のシステムとの間で投資信託の売買に関する情報の送受信が行われるようになっている。この投資信託の運用会社のシステムは、投資信託の各銘柄の基準価額を算出する処理を行う。
さらに、ネットワーク1には、図示されない情報ベンダーのシステム(金融情報配信システム)が接続され、買付余力調整サービス提供サーバ20やその他の資産運用サービス提供サーバ(不図示)、各証券会社システム40、各銀行システム50に対し、株式等の金融商品の単価、為替レート、日経平均、NYダウ、原油価格等の各種の金融指標を含む金融情報を逐次配信するようになっている。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/メニュー表示手段21の構成>
メニュー表示手段21は、ユーザ端末60および管理者端末70からの表示要求を受信し、ネットワーク1を介して、これらのユーザ端末60および管理者端末70の画面上に、例えば、図5に示すような資産運用サービスメニュー画面100を表示するための表示用データ(例えば、Web画面データ)を送信する処理を実行するものである。なお、ここでは、説明の便宜上、ユーザ端末60と管理者端末70とに共通の資産運用サービスメニュー画面100が表示されるようになっているが、顧客またはその入力代行者と、システム管理者とに異なる資産運用サービスメニュー画面が表示されるようにしてもよい。
具体的には、図5に示すように、メニュー表示手段21は、サービス項目の表示部110に、例えば、「(1)保有資産残高の表示」、「(2)連続注文(先行の売注文・後続の買注文)/買付余力調整 あり なし」、「(3)リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(4)定期買付(運用資金の増額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(5)定期換金(運用資金の減額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(6)単発の売注文/最良執行 あり なし」、「(7)単発の買注文/最良執行 あり なし」、「(8)確定申告データの作成」等のサービス項目を表示し、顧客またはその入力代行者の選択を受け付ける。本実施形態では、このうち、(1)~(5)のサービスを提供する処理は、買付余力調整サービス提供サーバ20で実行され、(6)~(7)のサービスを提供する処理は、その他の資産運用サービス提供サーバ(不図示)で実行される。
また、メニュー表示手段21は、ユーザ設定項目の表示部120に、例えば、「(1)資産情報の取得先の金融機関および取得項目の設定」等のユーザ設定項目を表示し、顧客またはその入力代行者の選択を受け付ける。(1)のユーザ設定は、設定手段22により受け付けられ、取得対象記憶手段32に記憶される。
さらに、メニュー表示手段21は、システム管理者設定項目の表示部130に、例えば、「(1)日付決定用情報の設定」等のシステム管理者設定項目を表示し、システム管理者の選択を受け付ける。(1)のシステム管理者設定は、設定手段22により受け付けられ、日付決定用情報記憶手段35に記憶される。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/設定手段22の構成>
設定手段22は、ユーザ端末60に表示された図5の資産運用サービスメニュー画面100において、サービス項目の表示部110の「(3)リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(4)定期買付(運用資金の増額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(5)定期換金(運用資金の減額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」のいずれかが選択された場合に、ユーザ端末60に図8に示すようなリバランスの設定の画面400等を表示し、リバランスを行う際の目的のポートフォリオ、増額金額、減額金額等についての顧客またはその入力代行者の設定入力を受け付け、受け付けた目的のポートフォリオ、増額金額、減額金額等のリバランス用の設定情報を、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて設定情報記憶手段34に記憶させる処理を実行するものである。
図8において、リバランスの設定の画面400には、目的のポートフォリオの設定部410が設けられ、目的のポートフォリオを構成する銘柄、注文執行機関(構成銘柄の売買注文の取次を行う金融機関)、保有比率を入力するようになっている。また、周期の設定部420には、リバランスを行う周期を選択するための複数の選択部が設けられている。なお、月における日付や曜日(例えば、毎月15日、奇数月の第3水曜日等)も含め、より自在に周期を設定できるようにしてもよい。
さらに、定期買付を伴うリバランスの設定部430には、定期買付時の運用資金の増額金額、その増額金額を調達する金融機関および口座番号を入力するようになっている。また、定期換金を伴うリバランスの設定部440には、定期換金時の運用資金の減額金額、その換金額を集める際の振込先の金融機関および口座番号を入力するようになっている。なお、換金額は、1個所(1口座)に集めずに、各登録銀行の口座に出金されたままとしてもよい。
そして、つなぎに利用する資金の指定部450では、複数の証券会社に跨って売注文および買注文を行う場合における売注文から買注文へのつなぎ資金(本願では、買付余力先行充当用資金と呼んでいる。)を確保する手段(資金源)を指定する。つなぎ資金は、買注文を行うには買注文執行機関において顧客の買付余力が確保されていなければならず、そのためには買注文執行機関への入金が必要であるから、その入金を、売注文の売却代金の受渡前に行うための買付余力先行充当用資金である。「全額、調整銀行からの拠出」を選択した場合には、必要額の全額が、調整銀行システム50Nからの拠出により確保される。各金融機関に保有する現金または現金相当資産(銀行の口座にある普通預金残高、証券会社の口座にある現金残高(金銭残高)やMRF残高)を選択することもできる。この場合には、各金融機関における各資金源(各口座の各残高)について、1回のリバランスでの利用金額の上限金額、あるいは、残しておくべき固定金額(利用できない金額)を入力することができる。
また、設定手段22は、ユーザ端末60に表示された図5の資産運用サービスメニュー画面100において、ユーザ設定項目の表示部120の「(1)資産情報の取得先の金融機関および取得項目の設定」が選択された場合に、顧客が口座を開設している証券会社や銀行等の金融機関、あるいはそれらの金融機関から取得すべき項目についての顧客またはその入力代行者の設定入力を受け付け、受け付けた金融機関および項目を、取得対象記憶手段32に記憶させる処理も実行する。金融機関から取得すべき項目とは、例えば、証券会社に保有する投資信託の各銘柄の残高、株式の各銘柄の残高、現金残高(約定ベースや受渡ベースの金銭残高)、MRF(マネー・リザーブド・ファンド)残高、銀行に保有する普通預金口座の残高等である。この際、顧客の保有資産の全情報を取得するように設定してもよいが、必ずしも全情報でなくてもよく、例えば、投資信託および株式を保有している場合に、投資信託の残高情報だけを取得する設定としてもよく、複数の銀行の各々に口座を開設している場合や、1つの銀行に複数の口座を開設している場合には、一部の口座の残高情報だけを取得する設定としてもよい。
さらに、設定手段22は、管理者端末70に表示された図5の資産運用サービスメニュー画面100において、システム管理者設定項目の表示部130の「(1)日付決定用情報の設定」が選択された場合に、例えば、投資信託の各銘柄の注文可否日、約定日数、受渡日数等のような日付決定用情報についてのシステム管理者の設定入力を受け付け、受け付けた日付決定用情報を、日付決定用情報記憶手段35に記憶させる処理も実行する。ここで、投資信託の各銘柄の注文可否日は、例えば、国内の営業日に該当するか否か、海外休場日に該当するか否か等についての銘柄毎の情報であり、カレンダーのように各日の注文可否の情報を、銘柄識別情報と対応付けて記憶したテーブル情報である。また、約定日数は、投資信託の各銘柄の注文日から約定日までの日数であり、受渡日数は、投資信託の各銘柄の注文日から受渡日までの日数であり、いずれも銘柄識別情報と対応付けて記憶される情報である。日付決定用情報としているのは、これらの情報により、調整銀行システム50Nからの拠出を行う調整期間や、各種の指示情報の送信タイミングが決定されるからである。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/資産情報取得手段23の構成>
資産情報取得手段23は、複数の証券会社システム40(40A,40B,40C,40D,…)および複数の銀行システム50(50N,50X,50Y,50Z,…)を含む複数の金融機関システムの各々から、各金融機関用の顧客識別情報(ID)またはこれらの顧客識別情報(ID)に代わるトークン若しくはその他の代替情報を用いて、ネットワーク1を介して顧客の金融商品を含む資産の保有および変動に関する資産情報を取得する処理を実行するものである。なお、ここで取得する資産情報には、本願の背景技術においてオープンAPIの説明で既に記載している参照・照会系APIおよび更新・実行系APIによる取得情報に相当するもの(但し、必ずしもAPIによる必要はなく、ここでは情報の取得方法ではなく、情報の内容を指している。)は全て含まれる。
この資産情報取得手段23による資産情報の取得タイミングは、周期的でもよく、特定の処理を行うときでもよく、それらの双方の組合せでもよい。
周期的な取得を行う場合としては、リバランス、定期買付を伴うリバランス、定期換金を伴うリバランスの各サービスについて、例えば、毎月の月末、毎月15日、毎月の第1月曜日等のように実施時期がシステムで予め定まっている場合や、顧客の指定した実施時期(例えば、奇数月の月末、偶数月の5日等)が設定情報記憶手段34に記憶されている場合には、各種リバランスの判定(売買する銘柄および金額若しくは数量の決定)で資産情報が必要となるので、その判定時期に合わせて(判定の直前に)取得を行うことができる。
また、周期的な取得を行う場合として、リバランスの実施時期に合わせるのではなく、例えば、毎日、1時間置き、10分置き等のように、比較的短い周期で取得してもよい。周期的に取得された資産情報は、資産情報取得手段23により、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて資産情報記憶手段33に記憶される。ここで、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)は、買付余力調整サービスを含む資産運用サービスを行うサービス提供者(外部事業者)用の顧客識別情報(ID)であり、各証券会社A,B,C,D,…用の顧客識別情報(ID)や、各銀行N,X,Y,Z,…用の顧客識別情報(ID)とは異なるものであるが、いずれかの金融機関(証券会社または銀行)のIDと一致していてもよい。従って、いずれかの金融機関(証券会社または銀行)が、買付余力調整サービスを含む資産運用サービスを行うサービス提供者(外部事業者)となってもよい。
このような周期的な資産情報の取得を行う処理では、設定手段22により入力されて取得対象記憶手段32に記憶されている金融機関および項目を取得対象とする。
一方、特定の処理を行うときに資産情報の取得を行う場合としては、例えば、顧客が図5の資産運用サービスメニュー画面100に表示されたサービス項目の表示部110で「(1)保有資産残高の表示」を選択した場合に、資産情報取得手段23により、各金融機関から、表示に必要な資産情報を取得し、取得した資産情報を、ユーザ端末60の画面上に表示する処理を行ってもよい。従って、資産情報取得手段23は、この場合は、表示機能も有することになる。なお、資産情報取得手段23により取得した資産情報は、資産情報記憶手段33に記憶しておいてもよく、記憶しておかなくてもよい。また、顧客が図5の資産運用サービスメニュー画面100に表示されたサービス項目の表示部110で「(1)保有資産残高の表示」を選択した場合には、資産情報取得手段23により周期的に(比較的短い周期で)取得されて資産情報記憶手段33に既に記憶されている最新の資産情報があれば、その最新の資産情報を用いて、資産情報取得手段23により、ユーザ端末60の画面上への表示処理を行ってもよい。
また、特定の処理を行うときに資産情報の取得を行う場合として、注文作成手段24による取得依頼を受けて各金融機関から資産情報を取得してもよい。すなわち、注文作成手段24により、顧客またはその入力代行者による売買注文に関するデータの入力を受け付ける際に、例えば、図6に示すような資産情報の表示部210(図6中の上部参照)を含む連続注文の画面200をユーザ端末60の画面上に表示するために、資産情報取得手段23により、各金融機関から、その表示に必要な資産情報を取得してもよい。なお、資産情報取得手段23により取得した資産情報は、資産情報記憶手段33に記憶しておいてもよく、記憶しておかなくてもよい。また、図6に示すような連続注文の画面200をユーザ端末60の画面上に表示する際には、資産情報取得手段23により周期的に(比較的短い周期で)取得されて資産情報記憶手段33に既に記憶されている最新の資産情報があれば、その最新の資産情報を用いて、注文作成手段24により、ユーザ端末60の画面上への表示処理を行ってもよい。
さらに、特定の処理を行うときに資産情報の取得を行う場合として、設定手段22による取得依頼を受けて各金融機関から資産情報を取得してもよい。すなわち、設定手段22により、顧客またはその入力代行者による目的のポートフォリオ等の設定入力を受け付ける際に、設定のための参考情報として資産情報を表示する場合(図8での図示は省略されている)には、各金融機関から、その表示に必要な資産情報を取得してもよい。なお、資産情報取得手段23により取得した資産情報は、資産情報記憶手段33に記憶しておいてもよく、記憶しておかなくてもよい。また、このような設定の参考情報としての資産情報を、ユーザ端末60の画面上に表示する際には、資産情報取得手段23により周期的に(比較的短い周期で)取得されて資産情報記憶手段33に既に記憶されている最新の資産情報があれば、その最新の資産情報を用いて、設定手段22により、ユーザ端末60の画面上への表示処理を行ってもよい。
また、運用処理手段27による運用処理において資産情報が必要となる場合には、運用処理手段27が、資産情報取得手段23と同様な処理を行って各金融機関から資産情報を取得する。但し、資産情報取得手段23が、運用処理手段27による取得依頼を受けて各金融機関から資産情報を取得してもよい。運用処理において資産情報が必要となる場合とは、例えば、約定後や受渡後のタイミングで次の指示情報を送信する際に、約定や受渡の情報を確認するために資産情報を取得する場合や、入金後や出金後に次の指示情報を送信する際に、入金や出金の情報を確認するために資産情報を取得する場合等である。
資産情報取得手段23による各金融機関(各証券会社、各銀行)からの資産情報の取得については、図2~図4に記載した第1~第3の形態を含め、各種の形態を採用することができる。運用処理手段27による運用処理の実行についても同様である。すなわち、本発明においては、各金融機関へのアクセスのための認証方法、およびそのための情報の送信経路については、いずれの形態でもよく、要するに、参照・照会系および更新・実行系を含めて顧客の資産情報についての各金融機関との間の情報の送受信を行うことができればよい。
図2において、第1の形態は、オープンAPIによる形態であり、例えば、OAuth2.0等による認証を行う仕組みである。但し、OAuth2.0による認証では、実際には図2の図示の状態よりも複雑な処理を行うが、既存の規約の利用に過ぎないので、図2では、主要な流れだけを示している。また、第1の形態は、OAuth2.0による認証だけを指すものではなく、類似の従前の認証の仕組みや、今後開発される認証の仕組みでもよい。
図2の第1の形態(オープンAPIによる形態)では、先ず、顧客(エンドユーザ)またはその入力代行者が、ユーザ端末60から、各金融機関(各証券会社、各銀行)用の顧客識別情報(ID)およびパスワード(PW)を用いて、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)にアクセスし、これにより各金融機関システム(オーソライゼーションサーバとして機能する部分)で、顧客(エンドユーザ)の認証が行われ、各金融機関システムから買付余力調整サービス提供サーバ20に対し、各金融機関システムへのアクセス用のトークン(アクセストークン、およびアクセストークンの有効期限の経過前にアクセストークンを再発行するためのリフレッシュトークン)が発行される。この際、図示は省略されているが、顧客(エンドユーザ)またはその入力代行者は、資産運用システム10用(買付余力調整サービスを含む資産運用サービスを提供するサービス提供者用)の顧客識別情報(ID)およびパスワード(PW)を用いて、ユーザ端末60から買付余力調整サービス提供サーバ20にログインし、買付余力調整サービス提供サーバ20の関与の元で、各金融機関システムへのログインを行っているので、買付余力調整サービス提供サーバ20内では、サービス提供者用のIDと、アクセストークンやリフレッシュトークンとの紐付けが行われている。従って、認証用情報記憶手段31には、サービス提供者用の認証用情報(ID・PW)と、各金融機関(各証券会社、各銀行)用の認証用情報の代替情報となる各金融機関で発行されたトークン(アクセストークン、リフレッシュトークン)とが関連付けて記憶されている。リフレッシュトークンによるアクセストークンのリフレッシュは、買付余力調整サービス提供サーバ20で自動的に行われる。このようなトークンの発行および再発行のための処理は、各金融機関から資産情報を取得する前に行われている必要があるので、資産情報取得手段23により行うが、その他に、資産情報の取得に関係する設定手段22、注文作成手段24、運用処理手段27により行うものとしてもよい。
次に、資産情報取得手段23は、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、認証用情報記憶手段31に記憶されているトークンとともに資産情報の取得要求を送信し、各金融機関システム(OAuthリソースサーバとして機能する部分)から資産情報を取得する。この際、周期的な資産情報の取得を行う際には、取得対象記憶手段32に記憶されている金融機関および項目を取得対象とする。また、取得した資産情報は、必要な場合には、資産情報記憶手段33に記憶させる。なお、通常は、トークンとともに資産情報の取得要求を受信したOAuthリソースサーバが、オーソライゼーションサーバに対して問合せを行ってトークンの情報を取得し、取得要求に応じることが可能な場合に買付余力調整サービス提供サーバ20へ取得要求に係る資産情報を送信する構成とされていることが多いが、OAuthリソースサーバと、オーソライゼーションサーバとは、同じコンピュータにより構成してもよい。
また、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶されている運用管理情報に従って運用処理を実行する際には、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、認証用情報記憶手段31に記憶されているトークンとともに実行要求(各種の指示情報)を送信する。
図3において、第2の形態は、各金融機関用の認証用情報(ID・PW)を買付余力調整サービス提供サーバ20に登録する形態である。この形態では、先ず、顧客(エンドユーザ)またはその入力代行者が、ユーザ端末60から、サービス提供者用の認証用情報(ID・PW)を用いて買付余力調整サービス提供サーバ20にアクセスし、各金融機関用の認証用情報(ID・PW)を登録する。これにより、認証用情報記憶手段31には、各金融機関(各証券会社、各銀行)用の認証用情報(ID・PW)が、サービス提供者用のIDと関連付けられて記憶される。
次に、資産情報取得手段23は、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、認証用情報記憶手段31に記憶されている各金融機関用のID・PWとともに資産情報の取得要求を送信し、各金融機関システムから資産情報を取得する。この際、周期的な資産情報の取得を行う際には、取得対象記憶手段32に記憶されている金融機関および項目を取得対象とする。また、取得した資産情報は、必要な場合には、資産情報記憶手段33に記憶させる。
また、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶されている運用管理情報に従って運用処理を実行する際には、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、認証用情報記憶手段31に記憶されている各金融機関用のID・PWとともに実行要求(各種の指示情報)を送信する。
図4において、第3の形態は、ユーザ端末60を経由して資産情報を取得する形態である。この形態では、買付余力調整サービス提供サーバ20の資産情報取得手段23からユーザ端末60の資産情報取得補助手段61へ資産情報の取得依頼を送信し、ユーザ端末60では、この買付余力調整サービス提供サーバ20からの取得依頼に従うか、または顧客(エンドユーザ)またはその入力代行者の入力操作に従って、資産情報取得補助手段61から、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、各金融機関用のID・PWとともに資産情報の取得要求を送信することにより、ユーザ端末60で、各金融機関システムから資産情報を取得する。そして、ユーザ端末60の資産情報取得補助手段61は、取得した資産情報を買付余力調整サービス提供サーバ20へ送信する。この際、周期的な資産情報の取得を行う際には、取得対象記憶手段32に記憶されている金融機関および項目を取得対象とする。また、取得した資産情報は、必要な場合には、資産情報記憶手段33に記憶させる。
また、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶されている運用管理情報に従って運用処理を実行する際には、ユーザ端末60の運用処理補助手段63へ各種の指示情報の転送依頼を送信し、ユーザ端末60では、この買付余力調整サービス提供サーバ20からの転送依頼に従って、運用処理補助手段63から、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)に対し、各金融機関用のID・PWとともに実施要求(各種の指示情報)を送信する。
なお、図4の形態では、買付余力調整サービス提供サーバ20と、各金融機関システム(各証券会社システム40、銀行システム50)との間の情報の送受信が、ユーザ端末60を経由して行われるので、少なくとも送受信の際には、ユーザ端末60の電源が投入されていることが前提となる。また、ユーザ端末60がスマートフォン等である場合は、資産情報取得補助手段61や運用処理補助手段63のバックグラウンド処理で、買付余力調整サービス提供サーバ20からの取得依頼や転送依頼を待機してもよい。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/注文作成手段24の構成>
注文作成手段24は、資産情報取得手段23により取得した資産情報をユーザ端末60に出力して顧客若しくはその入力代行者による金融商品の売買注文の入力を受け付けるか、予め金融商品の売買注文の入力を受け付けて設定情報記憶手段34に記憶しておいた売買設定情報を用いるか、または、取得した資産情報および顧客若しくはその入力代行者により予め入力されて設定情報記憶手段34に記憶されている設定情報(目的のポートフォリオ等)を用いて、顧客が保有する金融商品についての先行の売注文の銘柄識別情報、金額若しくは数量、および売注文執行機関を示す証券会社識別情報を含む注文データ、並びに、この売注文で得られる売却代金を買付資金として用いる後続の買注文の銘柄識別情報、金額若しくは数量、および買注文執行機関を示す証券会社識別情報を含む注文データを作成する処理を実行するものである。
<連続注文の注文データの作成:図6、図7>
具体的には、注文作成手段24は、連続注文(先行の売注文および後続の買注文)を受け付ける際には、次のようにして先行の売注文および後続の買注文の各注文データを作成する。
図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(2)連続注文(先行の売注文・後続の買注文)/買付余力調整 あり なし」のうちの「あり」を選択し、さらに次の画面(不図示)で投資信託の銘柄入替を選択した場合には、注文作成手段24は、例えば、図6に示すような連続注文の画面200をユーザ端末60の画面上に表示する。この連続注文の画面200の上部には、資産情報の表示部210が設けられている。
図6において、顧客またはその入力代行者は、資産情報の表示部210に表示された資産情報を参照しつつ、売注文の入力部220において、先行の売注文についての銘柄、金額、注文執行機関(売注文の取次を行う金融機関)を入力するとともに、買注文の入力部230において、後続の買注文についての銘柄、注文執行機関(買注文の取次を行う金融機関)を入力する。この例では、買注文の金額は、売注文の金額と同額であるため、入力しなくてもよい。なお、売注文の対象銘柄を全額(全口数)売却する場合には、その選択部にチェックを入れれば、売注文の金額は入力しなくてもよいか、または自動入力されて全額に相当する金額が自動表示される。この際、顧客またはその入力代行者は、入力をスワイプ操作等により行ってもよい。図6の例では、保有資産(保有する投資信託)が、円グラフで表示されるとともに、吹き出し表示も行われているので、例えば、投資信託βの100万円の全額を売却し、その100万円で投資信託αの買付を行う場合には、スワイプ操作M1またはM3を行うようにしてもよく、あるいは、その逆方向のスワイプ操作M2またはM4を行うようにしてもよい。前者の方向のスワイプ操作M1またはM3は、買い付ける銘柄をスワイプして100万円という金額に当てるイメージであり、後者の方向のスワイプ操作M2またはM4は、100万円という金額をスワイプして買い付ける銘柄に当てるイメージである。このようなスワイプ操作等の特殊な操作の受付は、Web画面で実行できない場合には、専用のアプリケーションにより構成される注文作成補助手段62により実現してもよい。
また、つなぎに利用する資金の指定部240において、複数の証券会社に跨って売注文および買注文を行う場合における売注文から買注文へのつなぎ資金(買付余力先行充当用資金)を確保する手段(資金源)を指定する。つなぎ資金は、買注文を行うには買注文執行機関において顧客の買付余力が確保されていなければならず、そのためには買注文執行機関への入金が必要であるから、その入金を、売注文の売却代金の受渡前に行うための買付余力先行充当用資金である。「全額、調整銀行からの拠出」を選択した場合には、必要額の全額が、調整銀行システム50Nからの拠出により確保される。各金融機関に保有する現金または現金相当資産(銀行の口座にある普通預金残高、証券会社の口座にある現金残高(金銭残高)やMRF残高)の少なくとも一部を選択することもできる。図6の例において、銀行Zの普通預金残高35万円について、そのうちの30万円と入力すれば、自調達額の上限が30万円となり、この自調達額30万円を利用しても、つなぎ資金(買付余力先行充当用資金)が不足する場合に、その不足額が調整銀行システム50Nからの拠出により確保されることになる。
さらに、売注文および買注文を入力した後、必ずしも直ぐにそれらの注文の処理を実行する必要はない。すなわち、顧客またはその入力代行者が、即日実行の選択部250にチェックを入れた後、「送信」ボタン260をクリックすると、注文作成手段24は、売注文の入力部220および買注文の入力部230での各入力データを用いて、売注文および買注文の各注文データを作成した後、作成した売注文および買注文の各注文データ、並びに、つなぎに利用する資金の指定部240での入力データを用いた調整情報作成手段25の処理に進む。一方、顧客またはその入力代行者が、予約の選択部251にチェックを入れて実行の日付を入力した後、「送信」ボタン260をクリックすると、注文作成手段24は、その実行の日付とともに、売注文の入力部220、買注文の入力部230、つなぎに利用する資金の指定部240における入力データを、売買設定情報として、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて設定情報記憶手段34に記憶させる。
また、図6の連続注文の画面200の最下部には、「送信」ボタン260の他に、「予約取消画面へ」選択部261と、「発注済注文取消画面へ」選択部262と、「発注済注文訂正画面へ」選択部263とが設けられている。「予約取消画面へ」選択部261をクリックするのは、例えば、11月1日に実行する予定の注文を10月15日に予約しておいたが、その予約を10月23日に取り消す場合等であり、この場合は、未だ発注されていないので、予約を取り消すだけである。
図6の「発注済注文取消画面へ」選択部262や「発注済注文訂正画面へ」選択部263をクリックして注文の取消や訂正を行うことができるのは、売注文および買注文の投資信託の銘柄が、即日(注文日)に約定しない銘柄の場合である。本実施形態では、原則として、売注文および買注文の双方について取消や訂正を行うものとする。但し、売注文が約定していて、買注文が約定していない場合に、買注文だけの取消や訂正を行うことができるようにしてもよい。取消や訂正を行う際には、買注文の買付資金は、既に買注文の執行機関である証券会社に入金されているので、調整銀行システム50Nからの拠出が行われている場合には、取消や訂正を行うと、拠出額の少なくとも一部を予定よりも早期に返金することが可能となるが、この点については、後述する。
また、図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(2)連続注文(先行の売注文・後続の買注文)/買付余力調整 あり なし」のうちの「あり」を選択し、さらに次の画面(不図示)で株式の銘柄入替を選択した場合には、注文作成手段24は、例えば、図7に示すような連続注文の画面300をユーザ端末60の画面上に表示する。なお、図7でも、上述した図6に示すような資産情報の表示部を設けてもよい。
図7において、顧客またはその入力代行者は、売注文の入力部310において、先行の売注文についての銘柄、数量(株数)、注文執行機関(売注文の取次を行う金融機関)を入力するとともに、買注文の入力部320において、後続の買注文についての銘柄、注文執行機関(買注文の取次を行う金融機関)を入力する。なお、売注文の対象銘柄を全数量(全株数)売却する場合には、その選択部にチェックを入れれば、売注文の数量は入力しなくてもよいか、または自動入力されて全数量に相当する数量が自動表示される。
また、つなぎに利用する資金の指定部330は、上述した図6のつなぎに利用する資金の指定部240と同様である。
さらに、即日実行の選択部340および予約の選択部341は、上述した図6の即日実行の選択部250および予約の選択部251と同様である。すなわち、顧客またはその入力代行者が、即日実行の選択部340にチェックを入れた後、「送信」ボタン350をクリックすると、注文作成手段24は、売注文の入力部310および買注文の入力部320での各入力データを用いて、売注文および買注文の各注文データを作成した後、作成した売注文および買注文の各注文データ、並びに、つなぎに利用する資金の指定部330での入力データを用いた調整情報作成手段25の処理に進む。一方、顧客またはその入力代行者が、予約の選択部341にチェックを入れて実行の日付を入力した後、「送信」ボタン350をクリックすると、注文作成手段24は、その実行の日付とともに、売注文の入力部310、買注文の入力部320、つなぎに利用する資金の指定部330における入力データを、売買設定情報として、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて設定情報記憶手段34に記憶させる。
また、図7の連続注文の画面300の最下部には、「送信」ボタン350の他に、「予約取消画面へ」選択部351と、「発注済注文取消画面へ」選択部352と、「発注済注文訂正画面へ」選択部353とが設けられている。「予約取消画面へ」選択部351は、図6の「予約取消画面へ」選択部261と同様である。
図7の「発注済注文取消画面へ」選択部352や「発注済注文訂正画面へ」選択部353をクリックして注文の取消や訂正を行うことができるのは、売注文および買注文が約定していない場合である。取消や訂正は、売注文および買注文の双方について行うのが原則であるが、売注文が約定していて、買注文が約定していない場合に、買注文だけの取消や訂正を行うことができるようにしてもよいのは、投資信託の売買の場合と同様である。また、本実施形態では、株式の売買の場合は、原則として、売注文が約定し、約定金額が確定してから、その約定金額に相当する数量(株数)の買注文の注文データを作成する。従って、注文作成手段24は、資産情報記憶手段33に記憶されている約定に関する情報(比較的短い周期で取得処理を行っている場合の最新の資産情報)を取得するか、または、約定に関する情報の取得を資産情報取得手段23に依頼し、約定に関する情報を得てから、その情報に基づき、買注文の注文データを作成する(完成させる)。但し、株式の売買の場合であっても、売注文の約定を待たずに、買注文の処理を行ってもよい。ここで、売注文が約定しない場合とは、例えば、売り指値注文にしていて売り指値の条件が満たされない場合等であり、買注文が約定しない場合とは、例えば、買い指値注文にしていて買い指値の条件が満たされない場合等である。なお、図7の例では、指値の入力設定の記載は省略されている。指値の設定は、設定時点の株価に基づく自動設定としてもよい。また、売注文が約定していないので、買注文の処理に移行できない場合は、売注文については市場へ発注済であるが、買注文については買注文指示情報を未だ証券会社に送信していない状態であるため、厳密には、売注文については取消や訂正となるが、買注文については市場への発注を行っていないことから取消や訂正とはいえない。しかし、この場合も、全体として、取消や訂正と呼ぶものとする。株式の売買の場合、買注文の買付資金の入金については、原則として、売注文の約定後(約定金額の確定後)に行うが、売注文の約定を待たずに、見込金額で買注文の買付資金の入金を行ってもよい。入金済の買付資金について、調整銀行システム50Nからの拠出が行われている場合には、取消や訂正を行うと、拠出額の少なくとも一部を予定よりも早期に返金することが可能となるが、この点については、後述する。
そして、顧客またはその入力代行者が、図6の予約の選択部251や、図7の予約の選択部341にチェックを入れて実行の日付を入力することにより、設定情報記憶手段34に売買設定情報が記憶されている場合には、注文作成手段24は、売買設定情報に含まれる実行の日付になった時点で、売注文の入力部220,310および買注文の入力部230,320での各入力データ(売買設定情報に含まれている)を用いて、売注文および買注文の各注文データを作成した後、作成した売注文および買注文の各注文データ、並びに、つなぎに利用する資金の指定部240,330での入力データ(売買設定情報に含まれている)を用いた調整情報作成手段25の処理に進む。
<リバランス(運用資金の増額や減額がない場合)のための注文データの作成:図9>
また、図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(3)リバランス/買付余力調整 あり なし」のうちの「あり」を選択した場合には、注文作成手段24は、資産情報取得手段23により取得して資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点(その最新の資産情報の取得時点)のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額と、当該取得時点の各銘柄の評価金額の合計金額を設定情報記憶手段34に記憶されている目的のポートフォリオに従って配分した各銘柄の金額との銘柄毎の差分により、売却する銘柄および金額若しくは数量、売注文を執行する証券会社、並びに、買い付ける銘柄および金額若しくは数量、買注文を執行する証券会社を決定し、売注文および買注文の各注文データを作成するリバランス処理を実行する。
例えば、図8において、目的のポートフォリオの設定部410に入力されている通りに、目的のポートフォリオを構成する銘柄、注文執行機関、保有比率が設定されているとする(図9参照)。そして、資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額が、図9の「現在の評価金額」の欄に記載された金額であるものとする。このとき、取得時点の各銘柄の評価金額(図9の現在の評価金額)の合計金額は、2,000万円である。この合計金額2,000万円を、目的のポートフォリオの保有比率で配分したとすると、リバランス後の状態は、図9に示すように、投資信託α(証券会社A)については、2,000万円×30%=600万円となり、投資信託β(証券会社B)については、2,000万円×20%=400万円となり、投資信託γ(証券会社C)については、2,000万円×15%=300万円となり、投資信託δ(証券会社D)については、2,000万円×15%=300万円となり、投資信託ε(証券会社A)については、2,000万円×10%=200万円となり、投資信託λ(証券会社B)については、2,000万円×10%=200万円となる。従って、投資信託α(証券会社A)については、現在の評価金額=550万円に対し、リバランス後の状態=600万円であるから、50万円の買注文となる(図9参照)。また、投資信託β(証券会社B)については、現在の評価金額=450万円に対し、リバランス後の状態=400万円であるから、50万円の売注文となる(図9参照)。他の構成銘柄γ,δ,ε,λについても、同様にして売買金額を算出する。これにより、リバランス(運用資金の増額や減額がない場合)のための各注文データが作成される。
なお、評価金額については、各金融機関から資産情報として取得したデータでもよく、あるいは、買付余力調整サービス提供サーバ20が、図示されない情報ベンダーのシステム(金融情報配信システム)や投資信託の運用会社のシステムからネットワーク1を介して単価情報(投資信託の場合には、基準価額)を取得し、計算してもよい。
<定期買付を伴うリバランス(運用資金の増額がある場合)のための注文データの作成:図10>
さらに、図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(4)定期買付(運用資金の増額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」のうちの「あり」を選択した場合には、注文作成手段24は、資産情報取得手段23により取得して資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点(その最新の資産情報の取得時点)のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額と、当該取得時点の各銘柄の評価金額の合計金額に増額金額を加えた金額を設定情報記憶手段34に記憶されている目的のポートフォリオに従って配分した各銘柄の金額との銘柄毎の差分により、売却する銘柄および金額若しくは数量、売注文を執行する証券会社、並びに、買い付ける銘柄および金額若しくは数量、買注文を執行する証券会社を決定し、売注文および買注文の各注文データを作成するリバランス処理を実行する。
例えば、図8において、目的のポートフォリオの設定部410に入力されている通りに、目的のポートフォリオを構成する銘柄、注文執行機関、保有比率が設定されるとともに、定期買付を伴うリバランスの設定部430に入力されている通りに、増額金額=20万円が設定されているとする(図10参照)。そして、資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額が、図10の「現在の評価金額」の欄に記載された金額であるものとする。このとき、取得時点の各銘柄の評価金額(図10の現在の評価金額)の合計金額は、2,000万円であり、これに増額金額20万円を加えると、2,020万円となる。この2,020万円を、目的のポートフォリオの保有比率で配分したとすると、リバランス後の状態は、図10に示すように、投資信託α(証券会社A)については、2,020万円×30%=606万円となり、投資信託β(証券会社B)については、2,020万円×20%=404万円となり、投資信託γ(証券会社C)については、2,020万円×15%=303万円となり、投資信託δ(証券会社D)については、2,020万円×15%=303万円となり、投資信託ε(証券会社A)については、2,020万円×10%=202万円となり、投資信託λ(証券会社B)については、2,020万円×10%=202万円となる。従って、投資信託α(証券会社A)については、現在の評価金額=550万円に対し、リバランス後の状態=606万円であるから、56万円の買注文となる(図10参照)。また、投資信託β(証券会社B)については、現在の評価金額=450万円に対し、リバランス後の状態=404万円であるから、46万円の売注文となる(図10参照)。他の構成銘柄γ,δ,ε,λについても、同様にして売買金額を算出する。これにより、リバランス(運用資金の増額がある場合)のための各注文データが作成される。
<定期換金を伴うリバランス(運用資金の減額がある場合)のための注文データの作成:図11>
また、図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(5)定期換金(運用資金の減額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」のうちの「あり」を選択した場合には、注文作成手段24は、資産情報取得手段23により取得して資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点(その最新の資産情報の取得時点)のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額と、当該取得時点の各銘柄の評価金額の合計金額から減額金額を減じた金額を設定情報記憶手段34に記憶されている目的のポートフォリオに従って配分した各銘柄の金額との銘柄毎の差分により、売却する銘柄および金額若しくは数量、売注文を執行する証券会社、並びに、買い付ける銘柄および金額若しくは数量、買注文を執行する証券会社を決定し、売注文および買注文の各注文データを作成するリバランス処理を実行する。
例えば、図8において、目的のポートフォリオの設定部410に入力されている通りに、目的のポートフォリオを構成する銘柄、注文執行機関、保有比率が設定されているとする(図11参照)。また、図8の例では、図示されていないが、定期換金を伴うリバランスの設定部440に、減額金額=20万円が設定されているとする(図11参照)。そして、資産情報記憶手段33に記憶されている最新の資産情報による取得時点のポートフォリオを構成する各銘柄の評価金額が、図11の「現在の評価金額」の欄に記載された金額であるものとする。このとき、取得時点の各銘柄の評価金額(図11の現在の評価金額)の合計金額は、2,000万円であり、ここから減額金額20万円を減じると、1,980万円となる。この1,980万円を、目的のポートフォリオの保有比率で配分したとすると、リバランス後の状態は、図11に示すように、投資信託α(証券会社A)については、1,980万円×30%=594万円となり、投資信託β(証券会社B)については、1,980万円×20%=396万円となり、投資信託γ(証券会社C)については、1,980万円×15%=297万円となり、投資信託δ(証券会社D)については、1,980万円×15%=297万円となり、投資信託ε(証券会社A)については、1,980万円×10%=198万円となり、投資信託λ(証券会社B)については、1,980万円×10%=198万円となる。従って、投資信託α(証券会社A)については、現在の評価金額=550万円に対し、リバランス後の状態=594万円であるから、44万円の買注文となる(図11参照)。また、投資信託β(証券会社B)については、現在の評価金額=450万円に対し、リバランス後の状態=396万円であるから、54万円の売注文となる(図11参照)。他の構成銘柄γ,δ,ε,λについても、同様にして売買金額を算出する。これにより、リバランス(運用資金の減額がある場合)のための各注文データが作成される。
<買付余力調整サービスの利用料の徴収を伴う買注文の注文データの作成>
顧客が買付余力調整サービスの提供を受ける場合には、顧客から買付余力調整サービスの利用料(オプション料)を徴収するが、この利用料の徴収を、売却代金から行ってもよい。すなわち、売注文の売却代金の全部を買注文の買付資金に充当するのではなく、売却代金から買付余力調整サービスの利用料を差し引いた金額を、買注文の買付資金に充当してもよい。この場合、注文作成手段24は、買注文の注文データを作成する際に、売却代金から買付余力調整サービスの利用料を差し引いた金額を、買付金額とする。
なお、買付余力調整サービスの利用料は、例えば、毎月300円等のように、定額としてもよく、調整期間や拠出額に応じた金額(前述したように、本発明における拠出は、融資には該当しないが、融資にたとえれば、利子に相当する金額)としてもよい。
<買付余力調整「なし」を選択した場合の注文データの作成>
本実施形態では、図5の資産運用サービスメニュー画面100において、顧客またはその入力代行者が「(2)連続注文(先行の売注文・後続の買注文)/買付余力調整 あり なし」のうちの「なし」を選択した場合でも、注文作成手段24が、連続注文における売注文および買注文の各注文データを作成する。また、「(3)リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(4)定期買付(運用資金の増額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」、「(5)定期換金(運用資金の減額)&リバランス/買付余力調整 あり なし」のうちの「なし」を選択した場合でも、注文作成手段24が、各種リバランスのための売注文および買注文の各注文データを作成する。
なお、買付余力調整「なし」が選択された場合には、調整銀行システム50Nによる拠出は行わず、また、自調達も行わないので、複数の証券会社に跨る売買については、売注文の売却代金の受渡後に買付を行う(図5の中央部を参照)。従って、売却処理と買付処理との時間差を短くすることはできないので、本発明の効果は発揮されない。
一方、買付余力調整「あり」が選択された場合でも、複数の証券会社に跨らない売買であるときや、自調達額(つなぎに利用する資金(買付余力先行充当用資金)のうちの調整銀行システム50Nからの拠出額以外の資金)で足りるときには、結果的に、調整銀行システム50Nからの拠出の必要がない場合がある。複数の証券会社に跨らない売買であるときは、同じ証券会社内での売買になるので、売却処理と買付処理との時間差の問題は生じないからである。但し、同じ証券会社内での売買であっても、売注文の約定日が即日(注文日と同日)とならない場合は、売却処理と買付処理との時間差の問題が生じることがあるので、その場合には、調整銀行システム50Nからの拠出や、自調達を行ってもよく、あるいは、買注文を執行するのに売注文の受渡日を待つ必要はない(売注文の約定により買付余力が確保される)ことから影響は小さいと考え、調整銀行システム50Nからの拠出や、自調達を行わなくてもよい。また、自調達額で足りるときは、調整銀行システム50Nによる拠出を行ったときと同様な効果が得られるので、そもそも拠出を行う必要がないからである。但し、たとえ顧客が現金や現金相当資産(MRF残高等)を保有している場合でも、十分な自調達額を確保できるとは限らず、例えば、使途が既に決まっている等の何らかの理由で、それらの現金や現金相当資産を自調達額とすることができないか、したくない場合があるので、そのような場合に調整銀行システム50Nによる拠出が行われる。自調達額については、つなぎに利用する資金の指定部240,330,450(図6、図7、図8)等で指定するようになっている。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/調整情報作成手段25の構成>
調整情報作成手段25は、注文作成手段24により作成した売注文および買注文の各注文データを用いて、複数の証券会社システムに跨って顧客の買付余力を調整する買付余力調整サービスを提供するために、売注文および買注文の執行処理が複数の証券会社システム40に跨って行われるか否かの判定を含めて、調整銀行システム50Nによる買付余力先行充当用資金の拠出の要否を判定するとともに、調整銀行システム50Nによる拠出が必要と判定された場合に、調整銀行システム50Nによる拠出額、およびこの拠出額についての買注文執行機関への入金日若しくは当該入金日の前日から売注文の売却代金の受渡日若しくは当該受渡日の翌日までの調整期間を決定する処理を実行するものである。
<調整銀行システム50Nによる拠出の要否の判定>
この調整情報作成手段25は、調整銀行システム50Nによる拠出の要否を判定する際には、売注文および買注文の執行処理が複数の証券会社システム40に跨って行われるか否か、および、指定された自調達額(図6、図7、図8参照)で足りるか否かを判断する処理を実行する。なお、定期買付を伴うリバランスを行う際には、運用資金の増額があるので、上記で「自調達額で足りるか否か」というのは、「自調達額または増額金額で足りるか否か」に置き換えられ、以下の説明で「拠出額または自調達額が必要である」というのは、「拠出額、自調達額、または増額金額が必要である」と置き換えられる。
先ず、調整情報作成手段25は、注文作成手段24により、ある銘柄の買注文の注文データが作成されたときに、その買付資金(その買付を行うための顧客の買付余力)を、同じ証券会社内での別の銘柄の売注文の売却代金で確保できるか否かを判断する。同じ証券会社内での売注文であれば、その売注文の売却代金の受渡前であっても、買注文の買付処理を行うことができるので(買付余力を確保できるので)、その場合には、調整銀行システム50Nによる拠出額または他の金融機関(調達資金源金融機関)からの自調達額は必要ないからである。一方、同じ証券会社内の売注文がない場合には、拠出額または自調達額が必要である(拠出額または自調達額により、買付余力先行充当用資金の入金を行う必要がある)と判断する。
この際、同じ証券会社内での売注文がある場合に、その売注文の対象銘柄の約定日が即日(注文日と同じ)であるか否かを、日付決定用情報記憶手段35に記憶されている当該対象銘柄の約定日数を用いて判断する。そして、売注文の注文日に即日に約定しない銘柄(注文日の翌日以降に約定する銘柄)である場合は、売注文の注文日に買付処理を行うことができないので、拠出額または自調達額により、買付余力先行充当用資金の入金を行うケースであると判断してもよく、あるいは、売注文の注文日に買付処理を行うことはできないものの、少なくとも売注文の売却代金の受渡を待たずに買付処理を行うことができるので、影響は少ないと考え、買付余力先行充当用資金の入金を行う必要がないケースであると判断してもよい。一方、売注文の注文日に即日に約定する銘柄である場合は、売注文の注文日に買付処理を行うことができるので、拠出額または自調達額は必要ないと判断する。これは、通常、同じ証券会社内であれば、売注文の売却代金が、約定ベースで確保できれば、買付余力が確保され、買付処理を行うことができるからである。なお、同じ証券会社内であれば、売注文の約定前であっても(つまり、約定ベースでの金銭残高の増加による買付余力の確保を待たずに)、買付処理を行うことができる証券会社がある場合には、売却処理と買付処理との時間差の問題は生じないので、拠出額または自調達額は必要ないと判断する。
また、上記において、買注文の注文データがあるときに、その買付資金の全部ではなく、一部の金額についてだけ、同じ証券会社内での売注文の売却代金で確保できる場合には、その一部の金額については、拠出額または自調達額は必要ないと判断し、残りの一部の金額については、拠出額または自調達額が必要であると判断する。
そして、調整情報作成手段25は、拠出額または自調達額が必要であると判断した場合には、自調達額で足りるか否かを判断し、足りない場合には、調整銀行システム50Nによる拠出が必要であると判定する。この際、複数の買注文があり、それらの複数の買注文のいずれについても、拠出額または自調達額が必要であると判断した場合には、複数の買注文の各々の買付資金(のうちの拠出額または自調達額が必要であると判断された金額分)を合計した状態で、自調達額で足りるか否かを判断する。自調達額には、上限があり、あるいは、自調達額を調達する金融機関(調達資金源金融機関)の指定がない場合(顧客が「全額、調整銀行からの拠出」を選択している場合)もあるからである。なお、定期買付を伴うリバランスを行う際には、運用資金の増額があるので、調整情報作成手段25は、拠出額、自調達額、または増額金額が必要であると判断した場合には、自調達額や増額金額で足りるか否かを判断し、足りない場合には、調整銀行システム50Nによる拠出が必要であると判定する。
<調整期間および拠出額の決定>
次に、調整情報作成手段25は、調整銀行システム50Nによる拠出が必要と判定した場合に、買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金日若しくは当該入金日の前日から売注文の売却代金の受渡日若しくは当該受渡日の翌日までの調整期間、および調整銀行システム50Nによる拠出額を決定する処理を実行する。
この際、買注文の注文日と、その注文日とするための買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金期限日と、実際の入金日と、その入金日に買付余力先行充当用資金が買注文執行機関へ入金されるようにするための調整銀行システム50Nによる拠出のための送金日との関係は、次のようになる。先ず、ある日を注文日として買注文を執行する(買付処理を実行する)のに必要となる買付余力先行充当用資金の入金期限日があり、当該入金期限日は、通常は、買注文の注文日と同じ日でよいが、それよりも前の日とされていてもよく、証券会社の取り決めによる。そして、買注文執行機関への買付余力先行充当用資金としての拠出額の入金は、入金期限日までに(入金期限日またはそれよりも前の日に)行えばよいが、調整期間を最短にするためには、拠出額の入金は、入金期限日に行えばよい。従って、買注文の注文日と同日またはそれよりも前の日に、買付余力先行充当用資金の入金期限日があり、その入金期限日までに、買注文を執行する証券会社への買付余力先行充当用資金の実際の入金が行われればよいので、通常は、買付余力先行充当用資金の入金日は、買注文の注文日でよいが、買注文の注文日よりも前の日としてもよい。
また、調整期間の始期を「買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金日若しくは当該入金日の前日」とし、「当該入金日の前日」を含めているのは、システム処理のタイミングの都合(例えば、夜間バッチ処理を行うことによる都合等)で、調整銀行システム50Nによる拠出のための送金日に、買注文を執行する証券会社への拠出額の実際の入金が行われず、翌日になってしまう場合があるので、そのような場合には、買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金日の前日に、調整銀行システム50Nによる拠出のための送金を行うからである。
具体的には、例えば、10月3日を買注文の注文日にする場合には、買注文執行機関への買付余力先行充当用資金の入金期限日は、通常、10月3日(あるいは、証券会社によっては、10月2日またはそれよりも前の日である場合もあり得る。)となるので、買付余力先行充当用資金の入金日は、10月3日(あるいは、10月2日またはそれよりも前の日)とする。そして、調整銀行システム50Nによる拠出額が、買注文を執行する証券会社へ即日に入金される場合は、調整期間の始期は、10月3日(あるいは、10月2日またはそれよりも前の日)となるが、システム処理のタイミングの都合で、入金日の前日に拠出額の送金を行う場合には、調整期間の始期は、10月2日(あるいは、10月1日またはそれよりも前の日)となる。
また、売却処理と買付処理との時間差を短くするため、原則として、売注文の注文日と、買注文の注文日とは、同日とする。なお、上記の具体例のように、買付余力先行充当用資金の入金日や調整期間の始期は、買注文の注文日よりも前の日になる場合があるので、これらの買付余力先行充当用資金の入金日や調整期間の始期は、売注文の注文日よりも前の日になる場合があってもよい。
ここで、連続注文について、注文作成手段24により注文データの入力を受け付けている際に、即日実行が選択された場合には、その日が、売注文および買注文の双方の注文日となり得るか否かを、日付決定用情報記憶手段35に記憶されている売買対象の各銘柄の注文可否日を用いて判断し、売注文および買注文の双方の注文日となり得ない日である場合(例えば、一方の銘柄が、海外休場日に該当する場合等)には、その旨を顧客またはその入力代行者に伝達する表示を行う。また、注文作成手段24により注文データの入力を受け付けている際に、注文の予約が行われた場合には、予約された注文日が、売注文および買注文の双方の注文日となり得るか否かを、日付決定用情報記憶手段35に記憶されている売買対象の各銘柄の注文可否日を用いて判断し、売注文および買注文の双方の注文日となり得ない日である場合は、その旨を顧客またはその入力代行者に伝達し、別の注文日の予約を促す表示を行う。
さらに、リバランスの際には、複数の売注文および複数の買注文を行う場合があるが、これらの複数の売注文および複数の買注文の各注文日も、原則として、同日とする。従って、リバランスの際にも、注文作成手段24により複数の売注文および複数の買注文の各注文データを作成する際に、複数の売注文および複数の買注文の各注文日が、同日になり得るか否かを、日付決定用情報記憶手段35に記憶されている売買対象の各銘柄の注文可否日を用いて判断し、同日となる日を選択して、各注文日とする。しかし、売買銘柄が多い等の理由により、同日となる日が、リバランスを行うべき時期(許容範囲内の時期)に見つからない場合には、例外的に、複数の売注文および複数の買注文の各注文日を、異なる日としてもよい。また、複数の売注文の各注文日については、同日となる日を選択し、複数の買注文の各注文日については、必ずしも同日でなくてもよいとする場合も、例外的な処理となる。
また、調整期間の終期を「売注文の売却代金の受渡日若しくは当該受渡日の翌日」とし、「当該受渡日の翌日」を含めているのは、システム処理のタイミングの都合(例えば、夜間バッチ処理を行うことによる都合等)で、受渡日に調整銀行システム50Nへの拠出額の返金が行われず、翌日になってしまう場合があるからである。各銘柄の売注文の売却代金の受渡日は、日付決定用情報記憶手段35に記憶されている対象銘柄の受渡日数を用いて判断する。
さらに、リバランスの際には、複数の売注文を行う場合があるが、これらの複数の売注文の受渡日は、同日であるとは限らない。複数の売注文の受渡日が同日ではない場合には、最遅受渡日(各銘柄の売注文の受渡日のうち、最も遅い受渡日)が到来してから、まとめて同じ日に調整銀行システム50Nへの拠出額の返金を行ってもよく、あるいは、受渡日が早く到来する銘柄の売注文については、順次得られる売却代金により拠出額の返金処理を段階的に進めていってもよい。前者のように、まとめて同じ日に拠出額の返金を行う場合には、調整期間の終期は1つとなるが、段階的な返金を行う場合には、調整期間の終期は、銘柄毎に異なるものとなる。
また、調整情報作成手段25は、拠出額については、前述した拠出の要否の判定の際に、拠出額または自調達額が必要であると判断された金額から、買付余力先行充当用資金とすることができる自調達額を差し引くことにより決定する。
<リバランスの際に行う拠出の具体例>
例えば、図9のリバランス(運用資金の増額や減額がない場合)では、買付資金調達方法として、拠出額(調整銀行システム50Nによる拠出を行う場合)と、自調達額(指定された他の金融機関(調達資金源金融機関)からの調達を行う場合であるが、図9の例では、自調達額はゼロ)と、自社内売却(同じ証券会社内での売注文の売却代金を充当する場合)とがある。そして、投資信託α(証券会社A)については、50万円の買注文となるが、同じ証券会社A内で、投資信託εの20万円の売注文があるので、この20万円を、自社内売却による買付資金への充当分とし、残りの30万円を拠出額による買付資金への充当分とする。また、投資信託δ(証券会社D)については、10万円の買注文となるが、同じ証券会社D内での売注文はないので、10万円の全額を、拠出額による買付資金への充当分とする。さらに、投資信託λ(証券会社B)については、30万円の買注文となるが、同じ証券会社B内で、投資信託βの50万円の売注文があるので、この50万円のうちの30万円を、自社内売却による買付資金への充当分とする。これにより、買付資金30万円の全額を確保できるので、拠出額による買付資金への充当分はゼロでよい。
また、図10の定期買付を伴うリバランス(運用資金の増額がある場合)では、買付資金調達方法として、拠出額(調整銀行システム50Nによる拠出を行う場合)と、増額金額(図10の例では、20万円)と、自調達額(指定された他の金融機関(調達資金源金融機関)からの調達を行う場合であるが、図10の例では、自調達額はゼロ)と、自社内売却(同じ証券会社内での売注文の売却代金を充当する場合)とがある。そして、投資信託α(証券会社A)については、56万円の買注文となるが、同じ証券会社A内で、投資信託εの18万円の売注文があるので、この18万円を、自社内売却による買付資金への充当分とし、残りの38万円を、拠出額または増額金額による買付資金への充当分とする。この場合の38万円についての拠出額または増額金額への割振方法は、1通りではなく、例えば、拠出額=18万円、増額金額=20万円(増額金額の全額を、投資信託αの買付資金に充当した場合)としてもよく、拠出額=31万円、増額金額=7万円(投資信託δの買付資金を増額金額だけで確保した場合)としてもよい。また、投資信託δ(証券会社D)については、13万円の買注文となるが、同じ証券会社D内での売注文はないので、13万円の全額を、拠出額または増額金額による買付資金への充当分とする。この場合の13万円についての拠出額または増額金額への割振方法は、1通りではなく、例えば、拠出額=13万円、増額金額=0万円(増額金額の全額を、投資信託αの買付資金に充当した場合)としてもよく、拠出額=0万円、増額金額=13万円(投資信託δの買付資金を増額金額だけで確保した場合)としてもよい。さらに、投資信託λ(証券会社B)については、32万円の買注文となるが、同じ証券会社B内で、投資信託βの46万円の売注文があるので、この46万円のうちの32万円を、自社内売却による買付資金への充当分とする。これにより、買付資金32万円の全額を確保できるので、拠出額による買付資金への充当分はゼロでよい。
さらに、図11の定期換金を伴うリバランス(運用資金の減額がある場合)では、買付資金調達方法として、拠出額(調整銀行システム50Nによる拠出を行う場合)と、自調達額(指定された他の金融機関(調達資金源金融機関)からの調達を行う場合であるが、図11の例では、自調達額はゼロ)と、自社内売却(同じ証券会社内での売注文の売却代金を充当する場合)とがある。そして、投資信託α(証券会社A)については、44万円の買注文となるが、同じ証券会社A内で、投資信託εの22万円の売注文があるので、この22万円を、自社内売却による買付資金への充当分とし、残りの22万円を拠出額による買付資金への充当分とする。また、投資信託δ(証券会社D)については、7万円の買注文となるが、同じ証券会社D内での売注文はないので、7万円の全額を、拠出額による買付資金への充当分とする。さらに、投資信託λ(証券会社B)については、28万円の買注文となるが、同じ証券会社B内で、投資信託βの54万円の売注文があるので、この54万円のうちの28万円を、自社内売却による買付資金への充当分とする。これにより、買付資金28万円の全額を確保できるので、拠出額による買付資金への充当分はゼロでよい。
<別の売注文の売却代金を拠出額の返金に利用する場合>
前述したように、注文作成手段24は、連続注文を受け付けた場合でも、各種リバランスを行う場合でも、売注文および買注文の各注文データを作成するので、このときの売注文を「組の売注文」と呼ぶものとする。そして、この組の売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に受渡日が到来する別の売注文があり、かつ、組の売注文と当該別の売注文との執行処理が同じ証券会社システム40で行われる場合がある。ここで、当該別の売注文の受渡日は、買注文の買付資金の入金日またはこの入金日の前日から組の売注文の売却代金の受渡日またはこの受渡日の翌日までとされる標準長の調整期間中に到来するものとする。この場合に、当該別の売注文の売却代金を、拠出額の返金に利用することができる。利用するか否かは、顧客が選択できるようにしてもよい。つまり、より早い時期に受渡日が到来する別の売注文の売却代金を利用して拠出額の少なくとも一部を返金することにより、後から受渡日が到来する組の売注文の売却代金による拠出額の返金を行わないか、または返金額を減らすことができる。従って、拠出額の少なくとも一部について、繰り上げ返金と類似する処理が行われることになるが、当該別の売注文についての情報は、調整情報の作成時には既知であるため、正確には、繰り上げ返金ではなく、予定されている返金となる。この点は、予定されていない返金となる注文の取消または訂正が行われた場合の返金とは異なる。なお、別の売注文の売却代金を利用した金額分だけ、組の売注文の売却代金を利用する金額分が減るので、別の売注文の受渡日に得られるはずであった換金額は、組の売注文の受渡日には得られることになる。
具体的には、調整情報作成手段25は、上記のような別の売注文がある場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額以上であるときには、標準長の調整期間(買付余力先行充当用資金の入金日またはこの入金日の前日から組の売注文の売却代金の受渡日またはこの受渡日の翌日までの期間)に代えて、買付余力先行充当用資金の入金日またはこの入金日の前日から当該別の売注文の売却代金の受渡日またはこの受渡日の翌日までの短い調整期間を決定する処理を実行することができる。
例えば、買注文の買付資金の入金日が、10月1日であり、組の売注文の売却代金の受渡日が、10月4日であり、標準長の調整期間が、10月1日から10月4日であり、拠出額が、20万円であるとする。このとき、別の売注文の売却代金の受渡日が、10月2日であり、売却代金が、30万円であるとすれば、拠出額20万円の全額を、10月4日よりも早期に返金することができ、10月1日から10月2日までの短い調整期間とすることができる。
また、調整情報作成手段25は、上記のような別の売注文がある場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額未満であるときには、当該別の売注文の売却代金の受渡日の翌日または翌々日以降の拠出額を、当該別の売注文の売却代金の分だけ減額する処理を実行することができる。
例えば、買付余力先行充当用資金の入金日が、10月1日であり、組の売注文の売却代金の受渡日が、10月4日であり、標準長の調整期間が、10月1日から10月4日であり、拠出額が、20万円であるとする。このとき、別の売注文の売却代金の受渡日が、10月2日であり、売却代金が、15万円であるとすれば、拠出額20万円のうちの一部である15万円を、10月4日よりも早期に返金することができ、10月1日から10月2日までの期間の拠出額を20万円とし、10月3日から10月4日までの期間の拠出額を、15万円減らして5万円とすることができる。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/運用管理情報作成手段26の構成>
運用管理情報作成手段26は、調整情報作成手段25により拠出が必要であると判定された場合には、注文作成手段24により作成した売注文および買注文の各注文データ、並びに、調整情報作成手段25により決定した調整情報(調整期間および拠出額)を用いて、売注文を執行するための売注文指示情報およびこの売注文指示情報の送信タイミング・送信先情報を含む売注文管理情報、買注文を執行するための買注文指示情報およびこの買注文指示情報の送信タイミング・送信先情報を含む買注文管理情報、並びに、買付余力先行充当用資金としての拠出額を入金するための拠出用の送金指示情報および売却代金により拠出額を返金するための返金用の送金指示情報およびこれらの送金指示情報の各送信タイミング・送信先情報を含む入出金管理情報を作成し、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理を実行するものである。
ここで、「送信タイミング」には、日付と、各指示情報の送信順序および/または送信時刻とが含まれる。
また、運用管理情報作成手段26は、顧客が買付余力調整「あり」を選択したが調整情報作成手段25により拠出は必要ないと判定された場合、および、顧客が買付余力調整「なし」を選択した場合にも、同様にして、運用管理情報(売注文管理情報、買注文管理情報、および入出金管理情報)を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理を実行するが、これらの場合には、調整銀行システム50Nによる拠出は必要ないので、作成する入出金管理情報には、拠出用の送金指示情報および返金用の送金指示情報並びにこれらの送金指示情報の各送信タイミング・送信先情報は含まれない。
さらに、運用管理情報作成手段26は、定期買付を伴うリバランス(運用資金の増額がある場合)を行う際には、入出金管理情報として、買注文を執行する証券会社へ買付資金に充当する増額金額を入金するための増額金額調達用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理も実行する。
また、運用管理情報作成手段26は、定期換金を伴うリバランス(運用資金の減額がある場合)を行う際には、入出金管理情報として、売注文で得られた売却代金により換金額を振り込むための換金額振込用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理も実行する。
そして、運用管理情報作成手段26は、つなぎに利用する資金の指定部240,330,450(図6、図7、図8参照)等で自調達額の指定があった場合には、入出金管理情報として、買付余力先行充当用資金としての自調達額を入金するための自調達用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成するとともに、売却代金を自調達額の調達資金源金融機関となった銀行または証券会社に戻すための自調達額戻し用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理も実行する。
また、運用管理情報作成手段26は、注文作成手段24により注文の取消(発注済で未約定の注文についての取消)の入力を受け付けた場合(図6、図7の最下部参照)に、売注文管理情報として、売注文の取消を行うための売注文取消指示情報およびこの売注文取消指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成するとともに、買注文管理情報として、買注文の取消を行うための買注文取消指示情報およびこの買注文取消指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、さらに、入出金管理情報として、買注文を執行する証券会社へ買付余力先行充当用資金として入金した拠出額を予定よりも早期に返金するための取消返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理も実行する。
例えば、売注文および買注文の双方の注文日が10月1日であり、発注済で未約定の注文についての取消が10月2日である場合には、買注文を執行する証券会社へ既に入金済の拠出額の全額を、10月2日に返金することができる。なお、取消を行うことができる場合については、注文作成手段24の説明で詳述しているため(図6、図7の最下部参照)、ここでは詳しい説明を省略する。
さらに、運用管理情報作成手段26は、注文作成手段24により注文の訂正(発注済で未約定の注文についての注文金額または注文数量の削減の訂正)の入力を受け付けた場合(図6、図7の最下部参照)に、売注文管理情報として、売注文の訂正を行うための売注文訂正指示情報およびこの売注文訂正指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成するとともに、買注文管理情報として、買注文の訂正を行うための買注文訂正指示情報およびこの買注文訂正指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、さらに、入出金管理情報として、買注文を執行する証券会社へ買付余力先行充当用資金として入金した拠出額の減額分を予定よりも早期に返金するための訂正返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理も実行する。
例えば、売注文および買注文の双方の注文日が10月1日であり、当初の拠出額が30万円である場合に、発注済で未約定の売注文および買注文についての注文金額を30万円から20万円に削減する訂正(10万円の減額)を10月2日に行ったとすると、買注文を執行する証券会社へ既に入金済の拠出額30万円のうちの10万円を、10月2日に返金することができる。なお、訂正を行うことができる場合については、注文作成手段24の説明で詳述しているため(図6、図7の最下部参照)、ここでは詳しい説明を省略する。
そして、運用管理情報作成手段26は、別の売注文の売却代金を拠出額の返金に利用する場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額以上であるときには、入出金管理情報として、組の売注文の売却代金により拠出額を返金するための返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報に代えて、当該別の売注文の売却代金により拠出額を返金するための返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理を実行する。具体例については、調整情報作成手段25の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
また、運用管理情報作成手段26は、別の売注文の売却代金を拠出額の返金に利用する場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額未満であるときには、入出金管理情報として、組の売注文の売却代金により拠出額を返金するための返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報に代えて、当該別の売注文の売却代金により拠出額の一部を返金するための中間返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成するとともに、組の売注文の売却代金の一部により拠出額の残りの一部を返金するための最終返金用の送金指示情報およびこの送金指示情報の送信タイミング・送信先情報を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる処理を実行する。具体例については、調整情報作成手段25の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/運用処理手段27の構成>
運用処理手段27は、調整情報作成手段25により拠出が必要であると判定された場合には、運用管理情報作成手段26により作成されて運用管理情報記憶手段36に記憶されている売注文管理情報、買注文管理情報、および入出金管理情報に従って、売注文執行機関となる証券会社システム40、買注文執行機関となる証券会社システム40、並びに、調整銀行システム50Nおよび顧客と証券会社との入出金用の登録銀行システム50X,50Y,50Z,…を含む銀行システム50を含む複数の金融機関システムとの間で、各金融機関用の顧客識別情報(ID)またはこれらのIDに代わるトークン若しくはその他の代替情報を用いて、ネットワーク1を介して売注文指示情報、買注文指示情報、および送金指示情報の送信を含む運用処理を実行するものである。
なお、運用処理手段27は、顧客が買付余力調整「あり」を選択したが調整情報作成手段25により拠出は必要ないと判定された場合、および、顧客が買付余力調整「なし」を選択した場合にも、同様にして、運用管理情報作成手段26により作成されて運用管理情報記憶手段36に記憶されている売注文管理情報、買注文管理情報、および入出金管理情報に従って、複数の金融機関システムとの間で、各金融機関用の顧客識別情報(ID)またはこれらのIDに代わるトークン若しくはその他の代替情報を用いて、ネットワーク1を介して売注文指示情報、買注文指示情報、および送金指示情報の送信を含む運用処理を実行するが、これらの場合には、調整銀行システム50Nによる拠出は必要ないので、調整銀行システム50Nとの間での送受信処理は行わない。
より詳細には、運用処理手段27は、運用処理として、次のような各種の処理を実行する。運用処理の実行時における各金融機関システム(各証券会社システム40、各銀行システム50)へのアクセス方法は、資産情報取得手段23の場合と同様であり、図2~図4を用いて資産情報取得手段23の説明で既に詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。
すなわち、運用処理手段27は、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された売注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文指示情報を、ネットワーク1を介して売注文の執行処理を行う証券会社システム40へ送信する売注文処理を実行する。ここで、売注文指示情報には、売注文の注文データの内容(売却対象の銘柄、金額または数量、売買の別(売)等)が含まれている。そして、運用処理手段27により送信されてきた売注文指示情報を受信した証券会社システム40は、投資信託の売買であれば、図示されない投資信託の運用会社のシステムとの間でのデータ連携により売買処理を実行し、株式の売買であれば、図示されない市場システム(証券取引所システムや私設取引システム等)への売買注文の発注処理を実行する。
また、運用処理手段27は、調整情報作成手段25により拠出が必要であると判定された場合には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に買注文を執行する証券会社への拠出額の入金が行われるようにするための拠出用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する拠出処理を実行する。ここで、拠出用の送金指示情報には、調整情報作成手段25により決定した拠出額、調整期間、拠出先情報(拠出額を受け取る機関)を含む調整情報が含まれている。
さらに、運用処理手段27は、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された買注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、買注文指示情報を、ネットワーク1を介して買注文の執行処理を行う証券会社システム40へ送信する買注文処理を実行する。ここで、買注文指示情報には、買注文の注文データの内容(買付対象の銘柄、金額または数量、売買の別(買)等)が含まれている。そして、運用処理手段27により送信されてきた買注文指示情報を受信した証券会社システム40は、売注文指示情報を受信した場合と同様に、図示されない投資信託の運用会社のシステムとのデータ連携による投資信託の売買処理や、図示されない市場システムへの株式の売買注文の発注処理を実行する。
また、運用処理手段27は、調整情報作成手段25により拠出が必要であると判定された場合には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日または当該受渡日の翌日に売却代金による調整銀行システム50Nへの返金が行われるようにするための返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する返金処理を実行する。
また、運用処理手段27は、定期買付を伴うリバランス(運用資金の増額がある場合)を行う際には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に買注文を執行する証券会社への増額金額の入金が行われるようにするための増額金額調達用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して増額金額を引き落とす銀行システム50へ送信する増額金額調達処理も実行する。
さらに、運用処理手段27は、定期換金を伴うリバランス(運用資金の減額がある場合)を行う際には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日または当該受渡日の翌日に売却代金による換金額振込先の銀行システム50への換金額の振込が行われるようにするための換金額振込用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する換金額振込処理も実行する。この換金額振込処理は、複数の証券会社で売却処理が行われ、それらの売却代金の出金先が複数の登録銀行システム50X,50Y,50Z,…に分散した場合に、換金額を1つの銀行システム50(顧客が指定した換金額振込先の銀行システム50)に集中させる処理である。
また、運用処理手段27は、つなぎに利用する資金の指定部240,330,450(図6、図7、図8参照)等で自調達額の指定があった場合には、拠出処理に加え、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に買注文を執行する証券会社への自調達額の入金が行われるようにするための自調達用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して調達資金源金融機関となる銀行システム50または証券会社システム40へ送信する自調達処理を実行する。
さらに、運用処理手段27は、つなぎに利用する資金の指定部240,330,450(図6、図7、図8参照)等で自調達額の指定があった場合には、返金処理に加え、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文の売却代金の受渡日または当該受渡日の翌日に売却代金による調達資金源金融機関への自調達額の戻しが行われるようにするための自調達額戻し用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する自調達額戻し処理も実行する。
また、運用処理手段27は、注文作成手段24により注文の取消(発注済で未約定の注文についての取消)の入力を受け付けた場合には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された売注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文取消指示情報を、ネットワーク1を介して売注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する売注文取消処理を実行する。また、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶された買注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、買注文取消指示情報を、ネットワーク1を介して買注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する買注文取消処理を実行する。さらに、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、買注文を執行する証券会社へ買付余力先行充当用資金として入金した拠出額を調整銀行システム50Nへ返金するための取消返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して買注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する取消返金処理を実行する。
さらに、運用処理手段27は、注文作成手段24により注文の訂正(発注済で未約定の注文についての注文金額または注文数量の削減の訂正)の入力を受け付けた場合には、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された売注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、売注文訂正指示情報(訂正後の注文金額または注文数量を含む)を、ネットワーク1を介して売注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する売注文訂正処理を実行する。また、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶された買注文管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、買注文訂正指示情報(訂正後の注文金額または注文数量を含む)を、ネットワーク1を介して買注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する買注文訂正処理を実行する。さらに、運用処理手段27は、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、買付余力先行充当用資金として入金した拠出額の減額分を調整銀行システム50Nへ返金するための訂正返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して買注文指示情報の送信先と同じ証券会社システム40へ送信する訂正返金処理を実行する。
また、運用処理手段27は、別の売注文の売却代金を拠出額の返金に利用する場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額以上であるときには、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、当該別の売注文を執行して得られた売却代金を調整銀行システム50Nへの拠出額の返金に充当するための返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して当該別の売注文の売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または当該別の売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する返金処理を実行する。
さらに、運用処理手段27は、別の売注文の売却代金を拠出額の返金に利用する場合に、当該別の売注文の売却代金が拠出額未満であるときには、運用処理として、運用管理情報記憶手段36に記憶された入出金管理情報の送信タイミング・送信先情報に従って、当該別の売注文を執行して得られた売却代金を調整銀行システム50Nへの拠出額の一部の返金に充当するための中間返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して当該別の売注文の売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または当該別の売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する中間返金処理を実行する。また、運用処理手段27は、組の売注文を執行して得られた売却代金を調整銀行システム50Nへの拠出額の残りの一部の返金に充当するための最終返金用の送金指示情報を、ネットワーク1を介して組の売注文の売却代金が出金された登録銀行システム50X,50Y,50Z,…および/または組の売注文の執行処理を行った証券会社システム40へ送信する最終返金処理を実行する。
また、運用処理手段27は、運用処理と並行して、顧客の買付余力調整の状態管理のための余力管理情報の作成および更新を行い、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて余力管理情報記憶手段37(図24、図25)に記憶させる処理を実行する。
図24の例は、図6に示された連続注文のデータ入力例において自調達を行う場合に対応する例であり、証券会社Bの投資信託β=100万円を売却し、証券会社Aで投資信託αの買付を行い、この際の買付余力先行充当用資金として、調整銀行システム50Nからの拠出額=70万円と、自調達額=30万円とを用いる。図25の例は、図9に示されたリバランス処理(運用資金の増額や減額がない場合)に対応する例である。
具体的には、図24、図25に示すように、運用処理手段27は、買付余力調整に伴って変動する各証券会社A,B,C,D,…およびサービス提供者(外部事業者)における顧客の資産の状況を管理する。調整ベース金銭残高は、買付余力調整を行っている最中の顧客の資産残高を示している。この調整ベース金銭残高は、約定ベース金銭残高よりも早い段階で顧客の資産の移動を反映するので、顧客から買付余力調整の依頼があり(買付余力調整「あり」が選択され)、調整銀行システム50Nからの拠出が必要と判断されると、売注文の約定前の段階であっても、売注文の対象銘柄の売却代金を利用して他の銘柄の買付を行うことを前提とした顧客の資産移動が行われる。
但し、調整ベース金銭残高は、顧客による買付余力調整の依頼に基づく仮想的な顧客の資産移動の状況を示すデータであるから、各証券会社A,B,C,D,…における資産状況(約定ベースや受渡ベースの金銭残高、約定ベースや受渡ベースの証券残高)に影響を与えるものではなく、各証券会社A,B,C,D,…の証券会社システム40内における資産管理では、従来からの通常の処理が行われているだけであり、調整ベース金銭残高のデータは存在しない。従って、図24および図25において、証券会社A,B,C,Dにおける調整ベース金銭残高のデータが示されているが、これらのデータは、証券会社A,B,C,Dの証券会社システム40で管理されているデータではなく、買付余力調整サービス提供サーバ20で管理されているデータである。また、図24および図25において、サービス提供者における調整ベース金銭残高は、顧客による買付余力調整の依頼に基づき、各証券会社A,B,C,Dからサービス提供者へ仮想的かつ一時的に移動した資産の状況を示すデータであり、これも買付余力調整サービス提供サーバ20で管理されているデータである。よって、図24および図25において、証券会社A,B,C,Dにおける調整ベース金銭残高のデータと、サービス提供者における調整ベース金銭残高のデータとは、いずれも買付余力調整サービス提供サーバ20で管理されているデータ(余力管理情報記憶手段37に記憶されているデータ)であり、また、いずれも顧客の資産状況を示すデータであり、買付余力調整の最中に、顧客の資産がどこに移動しているのか(各証券会社A,B,C,Dなのか、サービス提供者なのか)を示しているものである。そして、調整ベース金銭残高のデータは、仮想的な資産の移動を示すので、マイナスの値もとる。
なお、図24および図25では、各証券会社A,B,C,Dにおける約定ベースや受渡ベースの金銭残高のデータ、および投資信託の保有残高(約定ベースの評価金額)のデータが示されているが、これらのデータは、各証券会社A,B,C,Dの証券会社システム40で管理されているデータである。但し、これらのデータを、資産情報取得手段23により取得し、買付余力調整サービス提供サーバ20でも管理するようにしてもよい。
具体的には、図24の例において、調整情報作成手段25により、調整銀行システム50Nからの拠出額=70万円が決定されると(自調達額30万円があるため)、これに基づき、運用処理手段27は、買付余力調整を開始し、先ず、売注文執行機関である証券会社Bと、サービス提供者との間での調整を行い、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高から拠出額70万円を減じてその残高を-70万円とするとともに、サービス提供者における調整ベース金銭残高に拠出額70万円を加えてその残高を70万円とする。この時点で、証券会社Bに預けられている顧客の資産は、投資信託βの100万円であるが、調整ベース金銭残高の-70万円を考慮すると、100万円-70万円=30万円しかなく、既に70万円の資産がサービス提供者に仮想的に移動していることになる。従って、サービス提供者における調整ベース金銭残高は、この時点で、70万円となっている。
それから、買注文執行機関である証券会社Aに対し、調整銀行システム50Nからの拠出が行われ、拠出額70万円が送金されると、サービス提供者における調整ベース金銭残高=0万円となる。一方、証券会社Aでは、拠出額70万円の入金があり、さらに調達資金源金融機関である銀行Zからの自調達額30万円の入金があると、証券会社Aにおける調整ベース金銭残高=100万円、約定ベース金銭残高=100万円となる。そして、証券会社Aで投資信託αの100万円の買付が行われると、証券会社Aにおける投資信託αの残高は、100万円増えて400万円となるとともに、調整ベース金銭残高=0万円、約定ベース金銭残高=0万円となる。
また、証券会社Bでは、売却した投資信託βが約定し、さらにその売却代金100万円の受渡日が到来した時点では、証券会社Bにおける投資信託βの残高=0万円となるとともに、約定ベースや受渡ベースの金銭残高=100万円となり、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高=-70万円+100万円=30万円となっている。そして、証券会社Bから登録銀行への100万円の出金が行われると、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高、約定ベース金銭残高、および受渡ベース金銭残高の各々が100万円ずつ減り、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高=30万円-100万円=-70万円、約定ベース金銭残高=0万円、受渡ベース金銭残高=0万円となる。ここで、調整ベース金銭残高=-70万円というのは、買付余力調整で証券会社Bからサービス提供者へ仮想的に移動した70万円の資産が、調整終了後に証券会社Bに戻ってくることを意味する。
そして、証券会社Bから登録銀行へ出金された100万円は、拠出額70万円の返金と、自調達額30万円の戻しとに割り当てられる。調整銀行システム50Nに拠出額70万円が返金されると、サービス提供者における調整ベース金銭残高=70万となる。最後に、買付余力調整を終了し、サービス提供者から証券会社Bへ顧客の資産70万円を仮想的に移動させると(戻すと)、サービス提供者における調整ベース金銭残高=0万円、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高=0万円となる。
図25の例は、図9の例に対応している。図9において、売却代金が拠出額の返金に充当されるのは、証券会社Bで売却した投資信託βの売却代金50万円のうちの20万円と、証券会社Cで売却した投資信託γの売却代金20万円の全額とである。従って、買付余力調整を開始し、先ず、売注文執行機関である証券会社Bと、サービス提供者との間での調整を行うとともに、売注文執行機関である証券会社Cと、サービス提供者との間での調整を行う。これにより、証券会社Bにおける調整ベース金銭残高=-20万円、証券会社Cにおける調整ベース金銭残高=-20万円となるとともに、サービス提供者における調整ベース金銭残高=20万円+20万円=40万円となる。一方、証券会社A,Dでは、売却代金についての拠出額の返金への充当はないので、証券会社A,Dにおける調整ベース金銭残高=0万円である。
また、図25の例では、拠出額の入金が行われるのは、図9に示すように、証券会社Aでの投資信託αの買付資金50万円のうちの30万円と、証券会社Dでの投資信託δの買付資金10万円の全額とである。従って、図25において、サービス提供者における調整ベース金銭残高は、調整銀行システム50Nからの証券会社Aへの拠出を行ったときに30万円減り、証券会社Dへの拠出を行ったときに10万円減る。一方、証券会社Aに拠出額30万円が入金されると、証券会社Aにおける調整ベース金銭残高が30万円増え、証券会社Dに拠出額10万円が入金されると、証券会社Dにおける調整ベース金銭残高が10万円増える。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/認証用情報記憶手段31の構成>
認証用情報記憶手段31は、資産運用システム10用(サービス提供者用)の認証用情報である顧客識別情報(ID)およびパスワード(PW)を記憶するものである。この資産運用システム10用のID・PWは、買付余力調整サービス提供サーバ20へのアクセス時に使用される。
また、認証用情報記憶手段31は、図2に示した第1の形態(オープンAPIによる形態)を採用する場合には、各金融機関用(各証券会社A,B,C,D…用、各銀行N,X,Y,Z,…用)の認証用情報である顧客識別情報(ID)およびパスワード(PW)に代わるトークン(アクセストークン、リフレッシュトークン)またはその他の代替情報も、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶する。
さらに、認証用情報記憶手段31は、図3に示した第2の形態を採用する場合には、各金融機関用(各証券会社A,B,C,D…用、各銀行N,X,Y,Z,…用)の認証用情報である顧客識別情報(ID)およびパスワード(PW)も、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶する。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/取得対象記憶手段32、資産情報記憶手段33の構成>
取得対象記憶手段32は、設定手段22により受け付けた資産情報の取得対象(顧客またはその入力代行者による設定情報)を記憶するものである。この取得対象は、資産情報取得手段23による資産情報の周期的な取得処理で使用される。ここで、取得対象は、顧客が口座を開設している証券会社や銀行等の金融機関の情報(金融機関識別情報、口座番号等)、あるいはそれらの金融機関から取得すべき項目である。金融機関から取得すべき項目とは、例えば、証券会社に保有する投資信託の各銘柄の残高、株式の各銘柄の残高、現金残高(約定ベースや受渡ベースの金銭残高)、MRF残高、銀行に保有する普通預金口座の残高等である。
資産情報記憶手段33は、資産情報取得手段23により取得した顧客の資産情報およびその取得日時を、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶するものである。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/設定情報記憶手段34の構成>
設定情報記憶手段34は、設定手段22により受け付けたリバランス用の設定情報(顧客またはその入力代行者による設定情報)を、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶するものである。ここで、リバランス用の設定情報は、リバランスを行う際の目的のポートフォリオ、定期買付を行う際の増額金額、定期換金を行う際の減額金額等であり、図8のリバランスの設定画面400で入力した設定情報である。
また、設定情報記憶手段34は、注文作成手段24により受け付けた売買設定情報(顧客またはその入力代行者による設定情報)も、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶する。ここで、売買設定情報は、顧客またはその入力代行者による売買注文の予約情報であり、図6や図7の連続注文の画面200,300で入力した注文データを、予約の選択部251,341にチェックを入れて記憶させたものである。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/日付決定用情報記憶手段35の構成>
日付決定用情報記憶手段35は、設定手段22により受け付けた投資信託等の金融商品に関する日付決定用情報(システム管理者による設定情報)を、金融商品の銘柄識別情報と関連付けて記憶するものである。ここで、日付決定用情報は、投資信託等の金融商品の各銘柄の注文可否日(営業日や海外休場日等を考慮した注文の可否をカレンダーのように記憶するテーブル情報)、約定日数(注文日から約定日までの日数)、受渡日数(注文日から受渡日までの日数)等である。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/運用管理情報記憶手段36の構成>
運用管理情報記憶手段36は、運用管理情報作成手段26により作成した運用管理情報を、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶するものである。ここで、運用管理情報には、売注文管理情報と、買注文管理情報と、入出金管理情報とがある。そして、売注文管理情報には、売注文指示情報、売注文取消指示情報、売注文訂正指示情報、およびこれらの各指示情報の送信タイミング・送信先情報が含まれる。また、買注文管理情報には、買注文指示情報、買注文取消指示情報、買注文訂正指示情報、およびこれらの各指示情報の送信タイミング・送信先情報が含まれる。さらに、入出金管理情報には、拠出用、返金用、自調達用、自調達額戻し用、増額金額調達用、換金額振込用、取消返金用、訂正返金用、中間返金用、最終返金用の送金指示情報、およびこれらの各送金指示情報の送信タイミング・送信先情報が含まれる。
<買付余力調整サービス提供サーバ20/余力管理情報記憶手段37の構成>
余力管理情報記憶手段37は、図24および図25に示すように、顧客の買付余力調整の状態管理のための余力管理情報(サービス提供者における調整ベース金銭残高、および各証券会社A,B,C,D,…における調整ベース金銭残高を含む)を、資産運用システム10用の顧客識別情報(ID)と関連付けて記憶するものである。
<買付余力調整サービスの提供に係る処理の流れ:図12>
このような本実施形態においては、以下のようにして資産運用システム10により、買付余力調整サービスの提供が行われる。図12には、処理の概要についての全体的な流れが示されている。
図12において、先ず、顧客またはその入力代行者は、ユーザ端末60を操作し、資産運用システム10用(サービス提供者用)の顧客識別情報(ID)・パスワードを用いて買付余力調整サービス提供サーバ20にログインする。買付余力調整サービス提供サーバ20では、設定手段22により、顧客またはその入力代行者による資産情報の取得対象の設定を受け付け、設定された情報を、資産運用システム10用のIDと関連付けて取得対象記憶手段32に記憶させる(ステップS1)。設定項目は、例えば、金融機関(証券会社、銀行)、金融商品の種別(投資信託、株式等の別)または銘柄、銀行口座の口座番号、証券会社の現金・MRF残高、定期取得を行う場合の周期等である。
次に、資産情報取得手段23により、取得対象記憶手段32に記憶されている取得対象の情報に基づき、各金融機関システム(各証券会社システム40、各銀行システム50)から、顧客の資産情報を取得し、取得した資産情報を、資産運用システム10用のIDと関連付けて資産情報記憶手段33に記憶させる(ステップS2)。この際、各金融機関システムへのアクセスは、例えば、図2に示した第1の形態(オープンAPIによる形態)では、各金融機関システムが発行したトークンを認証用情報記憶手段31に記憶させておき、トークンを用いて資産情報を取得する。また、図3に示した第2の形態では、各金融機関用のID・PWを認証用情報記憶手段31に記憶させておき、各金融機関用のID・PWを用いて資産情報を取得する。さらに、図4に示した第3の形態では、ユーザ端末60を経由させ、各金融機関用のID・PWを用いて資産情報を取得する。
なお、取得対象記憶手段32に記憶されている取得対象の情報に基づく資産情報の取得処理は、周期的な取得処理であるが、その他に、設定手段22、資産情報取得手段23、注文作成手段24、運用処理手段27による特定の処理を行うときに、資産情報取得手段23による資産情報の取得処理が行われる。但し、特定の処理を行うときに、比較的短い周期で取得された最新の資産情報が、資産情報記憶手段33に記憶されている場合には、周期的な取得処理だけとしてもよい。なお、特定の処理については、資産情報取得手段23の説明で詳述しているので、ここでは詳しい説明を省略する。また、説明の便宜上、資産情報取得手段23による資産情報の取得処理を、ステップS2の処理として記載しているが、実際には、周期的な取得処理であるから、同じ処理が繰り返され、最新の資産情報が資産情報記憶手段33に記憶されている状態となる。
続いて、資産情報取得手段23により取得した資産情報を用いて、資産情報(保有資産残高を含む)のユーザ端末60への表示処理を行う(ステップS3)。この表示処理には、顧客の残高参照の要求(図5のサービス項目である「(1)保有資産残高の表示」の選択)に対する資産情報取得手段23の表示機能による表示処理があり、その他に、設定手段22による図8のリバランスの設定画面400での設定時における顧客の保有資産の表示処理(但し、図示は省略されている)や、注文作成手段24による図6の連続注文の画面200における資産情報の表示部210の表示処理等がある。そして、これらの資産情報の表示処理とともに、各種リバランスの設定(目的のポートフォリオ、定期買付を行う場合の運用資金の増額金額、定期換金を行う場合の運用資金の減額金額等)の受付処理(図8参照)や、注文の受付処理(図6、図7参照)が行われる(ステップS3)。
それから、注文が即日実行される場合(図6や図7の連続注文の画面200,300で、即日実行の選択部250,340にチェックを入れた場合)、各種リバランスの実行設定時期が到来した場合、または、予約された注文の実行設定時期(図6や図7の連続注文の画面200,300で、予約の選択部251,341にチェックを入れて指定した実行の日付)が到来した場合には、注文作成手段24により、売注文および買注文の各注文データを作成する(ステップS4)。この際、各種リバランスの実行時には、設定情報記憶手段34に記憶された目的のポートフォリオ、増額金額、減額金額等の情報を用いる。また、予約された注文の実行時には、設定情報記憶手段34に記憶された売買設定情報を用いる。
さらに、調整情報作成手段25により、注文作成手段24により作成した売注文および買注文の各注文データを用いて、調整情報(拠出額、調整期間、拠出先等)を決定する(ステップS5)。この際、売注文の各銘柄の受渡日の計算等のために、日付決定用情報記憶手段35に記憶された情報を参照する。
続いて、運用管理情報作成手段26により、注文作成手段24により作成した売注文および買注文の各注文データ、並びに、調整情報作成手段25により決定した調整情報(拠出額、調整期間、拠出先等)を用いて、運用管理情報(売注文管理情報、買注文管理情報、および入出金管理情報)を作成し、運用管理情報記憶手段36に記憶させる(ステップS6)。
その後、運用処理手段27により、運用管理情報記憶手段36に記憶されている運用管理情報(売注文管理情報、買注文管理情報、および入出金管理情報)を用いて、ネットワーク1を介して各金融機関システム(各証券会社システム40、各銀行システム50)へ各種の指示情報を送信し、運用処理(売注文処理、拠出処理、買注文処理、返金処理等)を実行する(ステップS7)。
<連続注文の運用処理に伴う資金の流れ(買付余力調整を行う場合):図6、図13、図14>
顧客K1が、証券会社Bで保有している100万円の投資信託βを売却し、得られた売却代金100万円を買付資金として証券会社Aで投資信託αを100万円買い付ける連続注文(投資信託の銘柄入替)を行うものとする(図6参照)。より具体的には、図13に示すように、図中左上の証券会社Aの証券会社システム40Aに設けられた資産残高記憶手段41Aには、顧客K1の保有する証券残高として、投資信託αの残高が記憶され、その評価金額が300万円となっている。一方、図中右上の証券会社Bの証券会社システム40Bに設けられた資産残高記憶手段41Bには、顧客K1の保有する証券残高として、投資信託βの残高が記憶され、その評価金額が100万円となっている。この状態は、図6の連続注文の画面200における資産情報の表示部210に表示された状態と対応している。そして、この状態で、100万円分について投資信託βから投資信託αへの銘柄入替を行うために、図6に記載した例のようにデータを入力し、売買の設定を行う。図6の例は、図13および図14の例と対応している。この銘柄入替の完了後には、証券会社Bにおける投資信託βの残高が減少して0万円となり、一方、証券会社Aにおける投資信託αの残高が増加して400万円となる。
図13および図14において、買付余力調整を行う場合は、買注文執行機関である証券会社Aへの買付余力先行充当用資金の入金は、買付処理の前に行うことが必要であり、かつ、本発明の効果を発揮させるために売注文の売却代金の受渡前に買付余力先行充当用資金としての拠出額の入金を行うので、U1~U8の流れとなる。また、自調達を行う場合(例えば、銀行Zからの自調達額=30万円とする場合)は、U1~U8の流れに、さらにU22,U82が追加される。
図14に示すように、先ず、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(1)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(1)売注文指示情報を、T日(投資信託βの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託β、100万円の売却処理が実行される(図13のU1参照)。
次に、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(2)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(2)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K1の口座に拠出額100万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K1の口座から登録銀行システム50Xの顧客K1の口座へ拠出額100万円が送金される(図13のU2参照)。ここで、登録銀行システム50Xは、顧客K1と証券会社Aとの間の入出金用の登録銀行システム50である。
なお、自調達を行う場合には、運用管理情報記憶手段36に、入出金管理情報として、(3)自調達用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(3)自調達用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して銀行システム50Z(自調達額の調達資金源金融機関)へ送信する。これにより、銀行システム50Zの顧客K1の口座から登録銀行システム50Xの顧客K1の口座へ自調達額30万円が送金される(図13の2点鎖線のU22参照)。また、自調達を行う場合には、自調達額が30万円であるから、上述した(2)拠出用の送金指示情報による拠出額の送金は、100万円-30万=70万円でよい。なお、銀行システム50Zの顧客K1の口座残高は、35万円であり、顧客K1は、そのうちの30万円を、つなぎに利用する資金(買付余力先行充当用資金)として指定している(図6参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(4)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(4)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Xへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおいて、顧客K1の口座から証券会社Aの口座へ100万円の送金(振込)が行われる(図13のU3参照)。なお、自調達を行う場合には、図13のU3の送金(振込)は、拠出額70万円+自調達額30万円=100万円となるが、仮に、自調達額の方が多かったり、自調達額だけとなった場合には、(4)拠出用の送金指示情報という呼称は、(4)自調達用の送金指示情報に変わることになる。また、拠出用・自調達用の送金指示情報という呼称としてもよい。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(5)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(5)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおける証券会社Aの口座から、証券会社システム40Aにおける顧客K1の金銭残高への100万円の資金移動が行われ(図13のU4参照)、買付余力先行充当用資金の入金が完了する。
その後、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(6)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(6)買注文指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託α、100万円の買付処理が実行される(図13のU5参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(7)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(7)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。Nは銘柄毎に定まり、例えば、N=3等である。この時点で、証券会社システム40Bにおける顧客K1の金銭残高は、受渡ベースで売却代金100万円だけ増えているので、(7)返金用の送金指示情報により、この売却代金100万円が減って証券会社の勘定に入るとともに(図13のU6参照)、登録銀行システム50Yの顧客K1の口座へ売却代金100万円が出金される(図13のU7参照)。ここで、登録銀行システム50Yは、顧客K1と証券会社Bとの間の入出金用の登録銀行システム50である。なお、(7)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図13のU6,U7の売却代金の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(7)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
それから、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(8)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(8)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K1の口座から調整銀行システム50Nの顧客K1の口座へ拠出額100万円の返金のための送金が行われる(図13のU8参照)。
なお、自調達を行う場合には、運用管理情報記憶手段36に、入出金管理情報として、(9)自調達額戻し用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(9)自調達額戻し用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K1の口座から銀行システム50Z(自調達額の調達資金源金融機関)の顧客K1の口座へ自調達額30万円の戻しのための送金が行われる(図13の2点鎖線のU82参照)。また、自調達を行う場合には、自調達額が30万円であり、その戻しも30万円であるから、上述した(8)返金用の送金指示情報による拠出額の返金は、100万円-30万=70万円でよい。
<連続注文の運用処理に伴う資金の流れ(買付余力調整を行わない場合):図13、図15>
買付余力調整を行わない場合は、本発明の効果は発揮されないが、本実施形態の買付余力調整サービス提供サーバ20では、顧客K1が買付余力調整「なし」を選択した場合の運用処理も実行する。上述した図14の場合(買付余力調整を行う場合)と同様に、顧客K1が、証券会社Bで保有している100万円の投資信託βを売却し、得られた売却代金100万円を買付資金として証券会社Aで投資信託αを100万円買い付ける連続注文(投資信託の銘柄入替)を行うものとする。但し、買付余力調整を行う場合は、図14に示したように、図13のU1~U8の流れとなったのに対し、買付余力調整を行わない場合は、図15に示すように、図13のF1~F7の流れとなる。
図15に示すように、先ず、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(1)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(1)売注文指示情報を、T日(投資信託βの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託β、100万円の売却処理が実行される(図13のF1参照)。
次に、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(2)入金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(2)入金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。Nは銘柄毎に定まり、例えば、N=3等である。この時点で、証券会社システム40Bにおける顧客K1の金銭残高は、受渡ベースで売却代金100万円だけ増えているので、(2)入金用の送金指示情報により、この売却代金100万円が減って証券会社の勘定に入るとともに(図13のF2参照)、登録銀行システム50Yの顧客K1の口座へ売却代金100万円が出金される(図13のF3参照)。なお、(2)入金用の送金指示情報を送信しなくても、図13のF2,F3の売却代金の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(2)入金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(3)入金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(3)入金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K1の口座から登録銀行システム50Xの顧客K1の口座へ売却代金100万円(買付資金に充当する100万円)が送金される(図13の1点鎖線のF4参照)。
それから、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(4)入金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(4)入金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Xへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおいて、顧客K1の口座から証券会社Aの口座へ100万円の送金(振込)が行われる(図13のF5参照)。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(5)入金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(5)入金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおける証券会社Aの口座から、証券会社システム40Aにおける顧客K1の金銭残高への100万円の資金移動が行われ(図13のF6参照)、買付資金の入金が完了する。
その後、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(6)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(6)買注文指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託α、100万円の買付処理が実行される(図13のF7参照)。
<リバランス処理(運用資金の増額や減額がない場合)に伴う資金の流れ:図9、図16、図21>
顧客K2の保有資産(投資信託)について、図9に示した例のリバランス処理(運用資金の増額や減額がない場合)を行うものとする。従って、各証券会社A,B,C,Dで行う売買は、図16の上部に示す通りである。調整情報作成手段25の説明で詳述した通り、図9に示した例において、調整銀行システム50Nによる拠出が必要なのは、投資信託αの買付余力先行充当用資金として証券会社Aに入金する拠出額30万円と、投資信託δの買付余力先行充当用資金として証券会社Dに入金する拠出額10万円とである。
また、図16において、登録銀行システム50Xは、顧客K2と証券会社Aとの間の入出金用の登録銀行システム50であり、登録銀行システム50Yは、顧客K2と証券会社B,C,Dとの間の入出金用の登録銀行システム50である。
図21に示すように、先ず、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(1)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(1)売注文指示情報を、T日(投資信託βの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託β、50万円の売却処理が実行される(図16の上部参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(2)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(2)売注文指示情報を、T日(投資信託γの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。これにより、証券会社システム40Cで、投資信託γ、20万円の売却処理が実行される(図16の上部参照)。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(3)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(3)売注文指示情報を、T日(投資信託εの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託ε、20万円の売却処理が実行される(図16の上部参照)。
次に、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(4)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(4)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K2の口座に拠出額30万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K2の口座から登録銀行システム50Xの顧客K2の口座へ拠出額30万円が送金される(図16のV1参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(5)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(5)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Xへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおいて、顧客K2の口座から証券会社Aの口座へ30万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(6)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(6)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおける証券会社Aの口座から、証券会社システム40Aにおける顧客K2の金銭残高への30万円の資金移動が行われ(図16のV2参照)、投資信託αの買付のための買付余力先行充当用資金の入金が完了する。なお、投資信託αの買付資金50万円のうちの残りの20万円は、同じ証券会社A内での投資信託εの売却代金20万円により確保される。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(7)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(7)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K2の口座に拠出額10万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K2の口座から登録銀行システム50Yの顧客K2の口座へ拠出額10万円が送金される(図16のV3参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(8)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(8)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yにおいて、顧客K2の口座から証券会社Dの口座へ10万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(9)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(9)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yにおける証券会社Dの口座から、証券会社システム40Dにおける顧客K2の金銭残高への10万円の資金移動が行われ(図16のV4参照)、投資信託δの買付のための買付余力先行充当用資金の入金が完了する。
その後、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(10)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(10)買注文指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託α、50万円の買付処理が実行される。
また、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(11)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(11)買注文指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、証券会社システム40Dで、投資信託δ、10万円の買付処理が実行される。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(12)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(12)買注文指示情報を、T日(投資信託λの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託λ、30万円の買付処理が実行される。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(13)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(13)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。Nは銘柄毎に定まり、例えば、N=3等である。この時点で、証券会社システム40Bにおける顧客K2の金銭残高は、受渡ベースで20万円(投資信託βの売却代金50万円から投資信託λの買付資金への充当分30万円を差し引いた金額)となっているので、(13)返金用の送金指示情報により、この20万円が減って証券会社Bの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Yの顧客K2の口座へ20万円が出金される(図16のV5参照)。なお、(13)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図16のV5の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(13)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(14)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(14)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。この時点で、証券会社システム40Cにおける顧客K2の金銭残高は、受渡ベースで20万円(投資信託γの売却代金)となっているので、(14)返金用の送金指示情報により、この20万円が減って証券会社Cの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Yの顧客K2の口座へ20万円が出金される(図16のV6参照)。なお、(14)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図16のV6の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(14)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
それから、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(15)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(15)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託β,γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K2の口座から調整銀行システム50Nの顧客K2の口座へ拠出額40万円の返金のための送金が行われる(図16のV7参照)。
<定期買付を伴うリバランス処理(運用資金の増額がある場合)に伴う資金の流れ:図10、図17、図18、図22>
顧客K3の保有資産(投資信託)について、図10に示した例の定期買付を伴うリバランス処理(運用資金の増額がある場合)を行うものとする。従って、各証券会社A,B,C,Dで行う売買は、図17や図18の上部に示す通りである。調整情報作成手段25の説明で詳述した通り、図10に示した例において、調整銀行システム50Nによる拠出が必要なのは、図17の場合には、投資信託αの買付余力先行充当用資金として証券会社Aに入金する拠出額18万円と、投資信託δの買付余力先行充当用資金として証券会社Dに入金する拠出額13万円とであり、図18の場合(別の買付資金調達方法の場合)には、投資信託αの買付余力先行充当用資金として証券会社Aに入金する拠出額31万円である。従って、買付資金調達方法は、1通りではなく、拠出額と増額金額との配分方法の相違により多数の買付資金調達方法があるが、ここでは、2通りの買付資金調達方法(図17、図18)を説明する。図22は、図17の買付資金調達方法に対応している。
また、図17および図18において、登録銀行システム50Xは、顧客K3と証券会社Aとの間の入出金用の登録銀行システム50であり、登録銀行システム50Yは、顧客K3と証券会社Bとの間の入出金用の登録銀行システム50であり、登録銀行システム50Zは、顧客K3と証券会社C,Dとの間の入出金用の登録銀行システム50である。
図22に示すように、先ず、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(1)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(1)売注文指示情報を、T日(投資信託βの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託β、46万円の売却処理が実行される(図17の上部参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(2)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(2)売注文指示情報を、T日(投資信託γの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。これにより、証券会社システム40Cで、投資信託γ、17万円の売却処理が実行される(図17の上部参照)。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(3)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(3)売注文指示情報を、T日(投資信託εの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託ε、18万円の売却処理が実行される(図17の上部参照)。
次に、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(4)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(4)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K3の口座に拠出額18万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K3の口座から登録銀行システム50Xの顧客K3の口座へ拠出額18万円が送金される(図17のW1参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(5)増額金額調達用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(5)増額金額調達用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して銀行システム50Z(増額金額の調達源の金融機関)へ送信する。これにより、銀行システム50Zの顧客K3の口座から登録銀行システム50Xの顧客K3の口座へ増額金額20万円が送金される(図17のW2参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(6)拠出用・増額金額調達用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(6)拠出用・増額金額調達用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Xへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおいて、顧客K3の口座から証券会社Aの口座へ38万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(7)拠出用・増額金額調達用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(7)拠出用・増額金額調達用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおける証券会社Aの口座から、証券会社システム40Aにおける顧客K3の金銭残高への38万円の資金移動が行われ(図17のW3参照)、投資信託αの買付資金の入金が完了する。なお、投資信託αの買付資金56万円のうちの残りの18万円は、同じ証券会社A内での投資信託εの売却代金18万円により確保される。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(8)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(8)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K3の口座に拠出額13万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K3の口座から登録銀行システム50Zの顧客K3の口座へ拠出額13万円が送金される(図17のW4参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(9)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(9)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Zへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zにおいて、顧客K3の口座から証券会社Dの口座へ13万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(10)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(10)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zにおける証券会社Dの口座から、証券会社システム40Dにおける顧客K3の金銭残高への13万円の資金移動が行われ(図17のW5参照)、投資信託δの買付資金の入金が完了する。
その後、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(11)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(11)買注文指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託α、56万円の買付処理が実行される。
また、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(12)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(12)買注文指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、証券会社システム40Dで、投資信託δ、13万円の買付処理が実行される。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(13)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(13)買注文指示情報を、T日(投資信託λの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託λ、32万円の買付処理が実行される。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(14)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(14)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。Nは銘柄毎に定まり、例えば、N=3等である。この時点で、証券会社システム40Bにおける顧客K3の金銭残高は、受渡ベースで14万円(投資信託βの売却代金46万円から投資信託λの買付資金への充当分32万円を差し引いた金額)となっているので、(14)返金用の送金指示情報により、この14万円が減って証券会社Bの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Yの顧客K3の口座へ14万円が出金される(図17のW6参照)。なお、(14)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図17のW6の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(14)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(15)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(15)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。この時点で、証券会社システム40Cにおける顧客K3の金銭残高は、受渡ベースで17万円(投資信託γの売却代金)となっているので、(15)返金用の送金指示情報により、この17万円が減って証券会社Cの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Zの顧客K3の口座へ17万円が出金される(図17のW7参照)。なお、(15)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図17のW7の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(15)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
それから、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(16)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(16)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K3の口座から調整銀行システム50Nの顧客K3の口座へ拠出額14万円の返金のための送金が行われる(図17のW8参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(17)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(17)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Zへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zの顧客K3の口座から調整銀行システム50Nの顧客K3の口座へ拠出額17万円の返金のための送金が行われる(図17のW9参照)。
図18の場合(別の買付資金調達方法の場合)は、証券会社Dでの投資信託δの買付資金を、調整銀行システム50Nによる拠出額ではなく、銀行システム50Z(増額金額の調達源の金融機関として顧客により指定された銀行システム50)からの増額金額により確保している点が、図17の場合とは異なっている。従って、図18の場合は、証券会社Dへの拠出額の送金はない。
図17および図18のいずれの場合も、拠出額と増額金額とを合計して考えれば(区別せずに考えれば)、証券会社Aへの投資信託αの買付資金の入金必要額(投資信託αの買付を行うために必要となる買付余力)が38万円であり、証券会社Dへの投資信託δの買付資金の入金必要額(投資信託δの買付を行うために必要となる買付余力)が13万円である。従って、これらの入金必要額の合計額51万円(38万円+13万円)に対し、拠出額31万円と増額金額20万円との合計額51万円を割り振っているにすぎない。そして、図17と図18とでは、その割振り方法が異なる。
図18において、R4を増額金額13万円としたので、R2は、増額金額20万円のうちの残りの金額7万円となっている。R3は、38万円となる必要があるので、R1の拠出額は、38万円-7万円=31万円となっている。図18のR5,R7の返金ルートは、図17のW6,W8の返金ルートと同じである。また、図18のR6,R8の返金ルートは、図17のW7,W9の返金ルートと同じである。
<定期換金を伴うリバランス処理(運用資金の減額がある場合)に伴う資金の流れ:図11、図19、図20、図23>
顧客K4の保有資産(投資信託)について、図11に示した例の定期換金を伴うリバランス処理(運用資金の減額がある場合)を行うものとする。従って、各証券会社A,B,C,Dで行う売買は、図19や図20の上部に示す通りである。調整情報作成手段25の説明で詳述した通り、図11に示した例において、調整銀行システム50Nによる拠出が必要なのは、投資信託αの買付余力先行充当用資金として証券会社Aに入金する拠出額22万円と、投資信託δの買付余力先行充当用資金として証券会社Dに入金する拠出額7万円とである。また、定期換金する金額分は、売却代金から確保するが、売却代金は、同じ証券会社内での買注文の買付資金への充当分を除けば、拠出額の返金への充当分と、換金額としての振込分とに使途が分かれる。従って、複数の証券会社で売却代金が得られる場合に、それぞれの証券会社で得られる売却代金の使途配分方法は、1通りではなく、多数の使途配分方法があるが、ここでは、2通りの使途配分方法(図19、図20)を説明する。図23は、図19の使途配分方法に対応している。
また、図19および図20において、登録銀行システム50Xは、顧客K4と証券会社Aとの間の入出金用の登録銀行システム50であり、登録銀行システム50Yは、顧客K4と証券会社Bとの間の入出金用の登録銀行システム50であり、登録銀行システム50Zは、顧客K4と証券会社C,Dとの間の入出金用の登録銀行システム50である。
図23に示すように、先ず、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(1)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(1)売注文指示情報を、T日(投資信託βの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託β、54万円の売却処理が実行される(図19の上部参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(2)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(2)売注文指示情報を、T日(投資信託γの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。これにより、証券会社システム40Cで、投資信託γ、23万円の売却処理が実行される(図19の上部参照)。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、売注文管理情報として、(3)売注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(3)売注文指示情報を、T日(投資信託εの売注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託ε、22万円の売却処理が実行される(図19の上部参照)。
次に、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(4)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(4)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K4の口座に拠出額22万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K4の口座から登録銀行システム50Xの顧客K4の口座へ拠出額22万円が送金される(図19のP1参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(5)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(5)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Xへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおいて、顧客K4の口座から証券会社Aの口座へ22万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(6)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(6)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、登録銀行システム50Xにおける証券会社Aの口座から、証券会社システム40Aにおける顧客K4の金銭残高への22万円の資金移動が行われ(図19のP2参照)、投資信託αの買付のための買付余力先行充当用資金の入金が完了する。なお、投資信託αの買付資金44万円のうちの残りの22万円は、同じ証券会社A内での投資信託εの売却代金22万円により確保される。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(7)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(7)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して調整銀行システム50Nへ送信する。これにより、調整銀行システム50Nにおいて、顧客K4の口座に拠出額7万円が入金され、調整銀行システム50Nの顧客K4の口座から登録銀行システム50Zの顧客K4の口座へ拠出額7万円が送金される(図19のP3参照)。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(8)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(8)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Zへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zにおいて、顧客K4の口座から証券会社Dの口座へ7万円の送金(振込)が行われる。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(9)拠出用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(9)拠出用の送金指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zにおける証券会社Dの口座から、証券会社システム40Dにおける顧客K4の金銭残高への7万円の資金移動が行われ(図19のP4参照)、投資信託δの買付のための買付余力先行充当用資金の入金が完了する。
その後、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(10)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(10)買注文指示情報を、T日(投資信託αの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Aへ送信する。これにより、証券会社システム40Aで、投資信託α、44万円の買付処理が実行される。
また、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(11)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(11)買注文指示情報を、T日(投資信託δの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Dへ送信する。これにより、証券会社システム40Dで、投資信託δ、7万円の買付処理が実行される。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、買注文管理情報として、(12)買注文指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(12)買注文指示情報を、T日(投資信託λの買注文の注文日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。これにより、証券会社システム40Bで、投資信託λ、28万円の買付処理が実行される。
続いて、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(13)返金用・換金額振込用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(13)返金用・換金額振込用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Bへ送信する。Nは銘柄毎に定まり、例えば、N=3等である。この時点で、証券会社システム40Bにおける顧客K4の金銭残高は、受渡ベースで26万円(投資信託βの売却代金54万円から投資信託λの買付資金への充当分28万円を差し引いた金額)となっているので、(13)返金用・換金額振込用の送金指示情報により、この26万円が減って証券会社Bの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Yの顧客K4の口座へ26万円が出金される(図19のP5参照)。なお、(13)返金用・換金額振込用の送金指示情報を送信しなくても、図19のP5の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(13)返金用・換金額振込用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(14)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(14)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して証券会社システム40Cへ送信する。この時点で、証券会社システム40Cにおける顧客K4の金銭残高は、受渡ベースで23万円(投資信託γの売却代金)となっているので、(14)返金用の送金指示情報により、この23万円が減って証券会社Cの勘定に入るとともに、登録銀行システム50Zの顧客K4の口座へ23万円が出金される(図19のP6参照)。なお、(14)返金用の送金指示情報を送信しなくても、図19のP6の出金が自動的に行われるようになっている場合には、(14)返金用の送金指示情報の送信を省略してもよい。
それから、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(15)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(15)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K4の口座から調整銀行システム50Nの顧客K4の口座へ拠出額6万円の返金のための送金が行われる(図19のP7参照)。
また、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(16)換金額振込用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(16)換金額振込用の送金指示情報を、T+N日(投資信託βの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Yへ送信する。これにより、登録銀行システム50Yの顧客K4の口座から登録銀行システム50Xの顧客K4の口座(換金額を集める際の振込先として顧客により指定された金融機関および口座)へ換金額20万円の振込のための送金が行われる(図19のP8参照)。
さらに、運用管理情報記憶手段36には、入出金管理情報として、(17)返金用の送金指示情報が記憶されているので、その送信タイミング・送信先情報に従って、運用処理手段27により、(17)返金用の送金指示情報を、T+N日(投資信託γの売却代金の受渡日)に、ネットワーク1を介して登録銀行システム50Zへ送信する。これにより、登録銀行システム50Zの顧客K4の口座から調整銀行システム50Nの顧客K4の口座へ拠出額23万円の返金のための送金が行われる(図19のP9参照)。
図20の場合(売却代金の別の使途配分方法の場合)は、証券会社Bでの投資信託βの売却代金ではなく、証券会社Cでの投資信託γの売却代金により、換金額としての振込分を確保している点が、図19の場合とは異なっている。
図19および図20のいずれの場合も、証券会社Bからの出金が26万円であり、証券会社Cからの出金が23万円であることに変わりはない。それぞれの出金額26万円、23万円のいずれから、どれだけの金額を、換金額としての振込分に充当するか、あるいは、拠出額の返金に充当するかの使途配分方法の相違にすぎない。
図20において、Q1,Q2の拠出額の送金ルートは、図19のP1,P2の拠出額の送金ルートと同じである。また、Q3,Q4の拠出額の送金ルートは、図19のP3,P4の拠出額の送金ルートと同じである。
Q5の出金額26万円は、拠出額の返金だけに充当されているので、登録銀行システム50Yからの送金は、Q7の拠出額26万円の返金だけとなっている。これに対し、図19では、P5の出金額26万円は、拠出額の返金および換金額の振込の双方に充当されているので、登録銀行システム50Yからの送金は、P7の拠出額6万円の返金、および、P8の換金額20万円の振込となっている。
また、Q6の出金額23万円は、拠出額の返金および換金額の振込の双方に充当されているので、登録銀行システム50Zからの送金は、Q8の拠出額3万円の返金、および、Q9の換金額20万円の振込となっている。これに対し、図19では、P6の出金額23万円は、拠出額の返金だけに充当されているので、登録銀行システム50Zからの送金は、P9の拠出額23万円の返金だけとなっている。
なお、図19と図20とを組合せ、証券会社Bからの出金額26万円と、証券会社Cからの出金額23万円とのいずれについても、拠出額の返金および換金額の振込の双方に充当されるようにしてもよい。
<本実施形態の効果>
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、資産運用システム10では、調整情報作成手段25により調整期間および調整銀行システム50Nからの拠出額を決定し、決定した調整期間および拠出額に基づき、調整銀行システム50Nにより買付余力先行充当用資金の拠出を行うことができるので、金融商品(例えば、投資信託、株式等)の買付を行う顧客に対し、複数の証券会社システム40に跨って当該顧客の買付余力を調整する買付余力調整サービスを提供することができる。
この際、調整期間は、買注文を執行するために必要となる買付余力先行充当用資金の入金日若しくは当該入金日の前日から売注文の売却代金の受渡日若しくは当該受渡日の翌日までの期間であるから、顧客は、売注文の売却代金の受渡日よりも前の日に、買注文を執行する証券会社A,B,C,D,…へ買付余力先行充当用資金としての拠出額を入金することができるとともに、受渡後には売却代金で拠出額を返金することもできる。従って、別の証券会社で(つまり、複数の証券会社に跨って)売却処理および買付処理を行う際に、売却代金の受渡日を待たずに買付処理を行うことができるので、売却処理と買付処理との時間差を無くすか、または短くすることができ、売却処理と買付処理との時間差により生じる不都合の発生を回避するか、または抑制することができる。
また、資産運用システム10は、資産情報取得手段23を備えているので、顧客が複数の金融機関に跨って資産を保有している場合に、複数の金融機関からの自己の資産情報の取得を容易に行うことができる。このため、顧客による保有資産の管理の手間を軽減することができる。
さらに、資産運用システム10は、運用処理手段27を備えているので、顧客は、複数の金融機関に対し、自己の保有資産に関する指示情報を容易に送信することができるので、この点でも、顧客による保有資産の管理の手間を軽減することができる。
そして、資産運用システム10は、運用管理情報作成手段26および運用管理情報記憶手段36を備えているので、運用管理情報を自動的に作成し、作成した運用管理情報に基づき運用処理を自動的に実行することができる。つまり、自動起票を実現することができる。このため、顧客の機器操作の負担や、運用処理に関する情報管理の負担を軽減することができる。
また、資産運用システム10では、顧客は、自己の保有資産のポートフォリオについて、リバランスを繰り返しつつ、毎回のリバランスの際に、買付余力調整サービスの提供を受けることができる。このため、複数の証券会社に跨ってリバランスのための売買取引が行われる場合であっても、リバランスにおける売却処理と買付処理との時間差を無くすか、または短くすることができるので、買付余力調整のない場合に比べ、より一層、目的のポートフォリオに沿った適切な資産運用を実現することができる。
さらに、資産運用システム10では、顧客は、運用資金の増額や減額を伴うリバランスを繰り返しつつ、毎回のリバランスの際に、買付余力調整サービスの提供を受けることもできる。このため、目的のポートフォリオに沿った、より適切で、かつ、より柔軟な資産運用を実現することができる。すなわち、定期買付や定期換金を実現することができるので、多様な目的に沿った資産運用を実現することができる。例えば、他の用途への継続的な資金移動等が可能となる。
また、資産運用システム10では、調整銀行システム50Nによる拠出額を買付余力先行充当用資金の一部にするとともに、自調達額を買付余力先行充当用資金の残りの一部にすることができるので、顧客は、自調達額の調達資金源となる金融機関および口座を指定することにより、調整銀行システム50Nによる拠出額を減らすことができるため、拠出額の大小に応じて買付余力調整サービスの利用料が変わる仕組みとする際には、顧客の買付余力調整サービスの利用料の支払金額を減らすことができる。
さらに、資産運用システム10では、注文の取消または訂正が可能な構成とされているので、調整情報作成手段25により、調整期間中に、取消においては、調整銀行システム50Nによる拠出額をゼロに変更することができ、訂正においては、拠出額を減額することができる。このため、拠出額の全部または一部の返金を、予定よりも早期に実行することができるので、拠出額の大小に応じて買付余力調整サービスの利用料が変わる仕組みとする際には、顧客の買付余力調整サービスの利用料の支払金額を減らすことができる。
そして、資産運用システム10では、買注文との組合せで注文データの作成が行われた売注文(本発明では、組の売注文と呼んでいる。)とは別の売注文の売却代金を、調整銀行システム50Nによる拠出額の返金に利用することができる構成とされているので(連続注文の場合、各種リバランスを行う場合のいずれも含む。)、受渡日が早く到来する当該別の売注文の売却代金を利用し、早期に拠出額の返金を行うことができる。このため、調整期間を短くし、あるいは、拠出額を途中から減らすことができるので、調整期間の長短や、拠出額の大小に応じて買付余力調整サービスの利用料が変わる仕組みとする際には、顧客の買付余力調整サービスの利用料の支払金額を減らすことができる。
<変形の形態>
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態の資産運用システム10は、運用管理情報作成手段26および運用管理情報記憶手段36を備え、自動起票を実現できる構成とされていたが、本発明は、必ずしも自動起票を行うことができる構成とされている必要はなく、要するに、買付余力調整サービスの提供を行うことができるようになっていればよい。
また、前記実施形態では、図6および図7に示すように、連続注文は、売注文と買注文とを1対1で設定する構成とされていたが、1対多、多対1、多対多で設定できるようにしてもよく、要するに、売注文の売却代金を買注文の買付資金とすることができるようになっていればよい。
さらに、前記実施形態では、図6および図7に示すように、連続注文についての売注文と買注文とは、同額で設定されるようになっていたが、リバランスの際に運用資金の増額や減額を行うことができるのと同様に、連続注文の場合も、必ずしも同額での設定に限定されるものではなく、売注文の売却代金に別の資金を加えることにより買注文の金額のほうが大きくなる設定としてもよく、あるいは、買注文の金額のほうが小さくなる設定とし、売注文の売却代金の一部が換金されるようにしてもよい。