以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の手数料算出システムを含むファンドラップシステム10およびその周辺システムの全体構成が示されている。図2は、顧客識別情報および運用口識別情報の説明図である。また、図3〜図13には、記憶手段30に含まれる各記憶手段31〜45の構成が示されている。さらに、図14、図15には、新規契約、増額の際の手数料(契約時フィーの1種)の計算例が示されている。また、図16には、手数料率(投資顧問料率+取引等管理手数料率)の具体例が示され、図17には、この手数料率を用いた四半期フィーについての加重平均按分処理手段22Bによる計算例と、仮計算処理手段22Cによる計算例とが、対比して示されている。さらに、図18には、手数料の徴収処理および手数料データの使用の流れが示されている。
<手数料算出システムを含むファンドラップシステム10およびその周辺システムの全体構成>
図1において、顧客に対してファンドラップサービスを提供する証券会社等の金融機関が運営・管理するファンドラップシステム10が設けられ、その周辺システムとして、ファンドラップシステム10と通信回線2を介して接続された金融商品(本実施形態では、ファンドラップサービスを行うので、投資信託となる。)の売買システム50が設けられている。ファンドラップシステム10には、本発明の手数料算出システムが含まれている。なお、手数料の徴収処理や手数料データを用いた帳票作成処理を含めて本発明の手数料算出システムとする場合には、売買システム50にも、本発明の手数料算出システムの一部が含まれていると考えてもよい。
また、売買システム50には、通信回線3を介して金融商品情報提供システム70が接続されている。なお、金融商品情報提供システム70は、通信回線4を介してファンドラップシステム10と直接に接続されていてもよい。
さらに、ファンドラップシステム10には、通信回線であるネットワーク1を介して、顧客またはその入力代行者(証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)が操作する1台または複数台(通常は、多数)の端末装置80が接続されるとともに、通信回線5またはネットワーク1を介して証券会社等の金融機関のシステム担当者が操作する1台または複数台の端末装置90が接続されている。
ここで、ネットワーク1は、本実施形態では、主としてインターネットを中心に構成され、有線であるか、無線であるか、有線・無線の混在型であるかは問わない。通信回線2は、LANやイントラネット等の社内ネットワークであるが、ネットワーク1としてもよく、専用線としてもよい。通信回線3,4は、ネットワーク1や社内ネットワークにより構成してもよく、専用線により構成してもよい。通信回線5は、LANやイントラネット等の社内ネットワークである。
ファンドラップシステム10は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、ファンドラップサービスに関する各種処理を実行する処理手段20と、この処理手段20で使用する各種データを記憶する記憶手段30とを備えている。
このうち、処理手段20は、設定受付手段21と、手数料算出手段22と、注文作成手段23と、注文データ連携手段24と、約定処理手段25と、資産管理手段26と、FW側金銭振替手段27と、帳票作成用データ連携手段28とを含んで構成されている。
これらの処理手段20に含まれる各手段21〜28は、ファンドラップシステム10を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段21〜28の詳細は、後述する。
また、記憶手段30は、残高記憶手段31と、金銭残高記憶手段32と、単価情報記憶手段33と、主口座記憶手段34と、契約記憶手段35と、運用口記憶手段36と、運用スタイル記憶手段37と、算出手数料記憶手段38と、証跡記憶手段39と、手数料率記憶手段40と、イベント情報記憶手段41と、仮計算結果記憶手段42と、仮証跡記憶手段43と、注文データ記憶手段44と、約定データ記憶手段45とを含んで構成されている。
これらの記憶手段30に含まれる各記憶手段31〜45は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。また、各記憶手段31〜45のデータ保存形式は、データベースでもよく、フラットファイル等のファイル形式でもよい。データベースとする場合には、各記憶手段31〜45をそれぞれ別々のデータベースとしてもよく、1つまたは幾つかのデータベース内の異なるテーブルとしてもよい。なお、これらの各記憶手段31〜45の詳細は、後述する。
売買システム50は、金融商品の売買取引の取次を行う証券会社等の金融機関の基幹システムであり、金融商品の注文受付、顧客の買付余力判断、注文作成、市場等への発注、約定処理、顧客の保有資産の残高管理等のような金融商品の売買に関する各種の処理を実行するが、本実施形態では、ファンドラップサービスを行うので、これらの各種機能のうちの投資信託の売買処理に関する機能を利用する。
この売買システム50は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、売買処理手段51と、約定データ連携手段52と、金銭振替手段53と、帳票作成手段54とを備えている。
これらの各手段51〜54は、売買システム50を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラム、並びに、主メモリやキャッシュメモリ等の作業用メモリ等により実現される。なお、これらの各手段51〜54の詳細は、後述する。
また、売買システム50は、注文データ記憶手段61と、約定データ記憶手段62と、帳票作成用データ記憶手段63と、帳票記憶手段64とを備えている。
これらの各記憶手段61〜64は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、例えば、DVD、CD、MO、磁気テープ等の他の記録媒体を採用してもよい。また、各記憶手段61〜64のデータ保存形式は、データベースでもよく、フラットファイル等のファイル形式でもよい。なお、これらの各記憶手段61〜64の詳細は、後述する。
金融商品情報提供システム70は、本実施形態では、ファンドラップサービスを行うために必要となる金融商品の情報(例えば、投資信託の各銘柄の基準価額等)を提供するシステムの総称として用いており、具体的には、例えば、投資信託の運用会社のシステム、ファンドラップシステム10や売買システム50を運営・管理する会社(証券会社等の金融機関)内の他のシステム(例えば、ファンドラップサービス以外のサービスに関するデータ処理を実行するシステム等)、情報ベンダーのシステム等であり、これらのシステムは、それぞれ1台または複数台のコンピュータにより構成されている。
従って、例えば、投資信託の基準価額については、金融商品情報提供システム70としての投資信託の運用会社のシステムで計算され、その計算結果が、通信回線3を介して売買システム50へ送信され、さらに売買システム50を経由して通信回線2を介してファンドラップシステム10へ送信されるか、あるいは、通信回線4を介してファンドラップシステム10へ直接に送信されるようになっている。そして、投資信託の基準価額は、ファンドラップシステム10の単価情報記憶手段33(図5参照)に記憶され、顧客の保有資産の評価金額(残高金額)の算出に用いられる。また、株式や債券等の単価、あるいは、例えば、日経平均、NYダウ、原油価格等の各種の金融指標についての指標値については、顧客の保有資産のポートフォリオのリバランスを行う際の判断材料となる場合があるので、金融商品情報提供システム70としての情報ベンダーのシステムまたは自社内の他のシステムから提供され、ファンドラップシステム10の単価情報記憶手段33(図5参照)に記憶されるようになっている。
端末装置80,90は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、例えば液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。これらの端末装置80,90は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯情報端末(PDA)等の携帯機器でもよい。
<ファンドラップシステム10の詳細構成>
<ファンドラップシステム10/処理手段20/設定受付手段21の構成>
設定受付手段21は、顧客またはその入力代行者(証券会社等の金融機関の営業員やオペレータ等)により入力されて端末装置80からネットワーク1を介して送信されてくる顧客の設定情報を受け付け、記憶手段30に登録する処理を実行するものである。
具体的には、設定受付手段21は、例えば、自動付与した口座ファンドコード、ログイン時に入力された顧客の口座番号(顧客識別情報)を、主口座記憶手段34(図6参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。また、設定受付手段21は、例えば、自動付与した契約ファンドコード、顧客の口座番号、顧客が選択したサービスについてのサービス種類区分、新規契約年月日、新規契約金額(新規契約時における各運用口の設定金額の合計金額)、契約ファンドコードに紐付く口座ファンドコード等を、契約記憶手段35(図6参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。
さらに、設定受付手段21は、例えば、自動付与した運用口ファンドコード(運用口識別情報)、顧客の口座番号、サービス種類区分、自動付与した運用口1,2,…を識別するための連続番号である運用口番号、顧客が命名した運用口の愛称等を示すテキストデータである運用口名称、顧客が選択した運用スタイル区分、顧客が選択した運用スタイル(安定型、やや安定型、バランス型、やや積極型、積極型、…等のうちのいずれか)を識別するための運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、運用口ステータス、運用口単位の設定金額、運用口ファンドコードに紐付く契約ファンドコード等を、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。なお、新規契約時ではなく、運用開始後に運用口追加を行った場合にも、設定受付手段21は、追加した運用口についての上記の各情報を、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。従って、運用口追加を行った場合には、追加した運用口の個数分だけ、運用口記憶手段36(図6参照)のレコードが追加される。
また、新規契約時ではなく、運用開始後に運用口単位の設定金額を増額(定期積立による増額を含む)させる場合には、設定受付手段21は、例えば、増額または定期積立のイベントの対象となる運用口についての運用口ファンドコード(運用口識別情報)、自動付与した契約イベント番号、増額金額または定期積立金額等を、イベント情報記憶手段41(図10参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。なお、増額または定期積立(定期的に繰り返される増額と考えてよい。)を行った場合は、運用口記憶手段36(図6参照)の設定金額は、その増額分だけ増加する。従って、運用口記憶手段36(図6参照)の設定金額は、更新される金額であり、各時点での金額となるので、新規契約や運用口追加の際の設定金額は保存されないことになるが、新規契約や運用口追加の際の設定金額は、別途に、イベント情報記憶手段41(図10参照)に相当するような契約イベント情報記憶手段(不図示)があり、そこに更新されない金額として、契約イベント番号と関連付けられて記憶されるようになっている。新規契約や運用口追加の際の契約フィーの算出の際には、運用口記憶手段36(図6参照)の設定金額ではなく、その契約イベント情報記憶手段(不図示)の設定金額(更新されない金額)から、データを取得してもよいが、本実施形態では、説明の便宜上、運用口記憶手段36(図6参照)から各運用口の設定金額を取得するものとする。
図2に示すように、設定受付手段21により自動付与される口座ファンドコード、契約ファンドコード、運用口ファンドコードは、互いに紐付けられ、この順で上位層から下位層へと向かう階層構造を形成する。但し、口座ファンドコード、契約ファンドコード、運用口ファンドコードは、互いに重ならないように、3つのコードを合わせた状態で連続番号となるように自動付与される。なお、これらのコードは、実際には、例えば10桁程度のコードであるが、以下では、説明の便宜上、3桁で説明する。
具体的には、例えば、顧客である大和太郎が、ファンドラップサービスについて新規契約をし、幾つか用意されたファンドラップサービスのうちの「ファンドラッププレミアム」というサービスを選択し、2つの運用口1,2を設定し、運用口1については、運用スタイルAを選択し、運用口2については、運用スタイルBを選択したとする。このとき、設定受付手段21は、口座ファンドコード=001を自動付与し、大和太郎の主口座の口座番号(例えば、証券会社に開設された証券総合口座の口座番号)とともに、主口座記憶手段34(図6参照)に記憶させる。また、契約ファンドコード=002を自動付与し、既に自動付与した口座ファンドコード=001とともに、契約記憶手段35(図6参照)に記憶させる。さらに、運用スタイルAを選択した運用口1に対し、運用口ファンドコード=003を自動付与し、運用スタイルBを選択した運用口2に対し、運用口ファンドコード=004を自動付与し、既に自動付与した契約ファンドコード=002とともに、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる。
続いて、例えば、別の顧客である大和花子が、ファンドラップサービスについて新規契約をし、幾つか用意されたファンドラップサービスのうちの「ファンドラッププレミアム」というサービスを選択し、2つの運用口1,2を設定し、運用口1については、運用スタイルCを選択し、運用口2については、運用スタイルDを選択したとする。このとき、設定受付手段21は、口座ファンドコード=005を自動付与し、大和花子の主口座の口座番号とともに、主口座記憶手段34(図6参照)に記憶させる。また、契約ファンドコード=006を自動付与し、既に自動付与した口座ファンドコード=005とともに、契約記憶手段35(図6参照)に記憶させる。さらに、運用スタイルCを選択した運用口1に対し、運用口ファンドコード=007を自動付与し、運用スタイルDを選択した運用口2に対し、運用口ファンドコード=008を自動付与し、既に自動付与した契約ファンドコード=006とともに、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる。
その後、最初の顧客である大和太郎が、幾つか用意されたファンドラップサービスのうちの別のサービスである「ファンドラップオンライン」というサービスを選択し、運用口1を設定し、運用スタイルEを選択したとする。このとき、設定受付手段21は、契約ファンドコード=009を自動付与し、既に自動付与した口座ファンドコード=001とともに、契約記憶手段35(図6参照)に記憶させる。さらに、運用スタイルEを選択した運用口1に対し、運用口ファンドコード=010を自動付与し、既に自動付与した契約ファンドコード=009とともに、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる。なお、ファンドラップサービスには、幾つかの種類があり、例えば、「ファンドラッププレミアム」サービス(サービス種類区分=01)は、契約金額が大きく(例えば3,000万円以上1万円単位)、運用口を最大5つまで設定することができ、「ファンドラップオンライン」サービス(サービス種類区分=02)は、契約金額が小さく(1万円以上1円単位)、運用口は1つしか設定できない等の相違がある。但し、これらは、一例であり、例えば、運用口の最大設定数は5つに限らず、それ以上またはそれ以下の個数としてもよく、全てのファンドラップサービスについて、複数の運用口を設定できるようにしてもよく、契約金額の大小も任意である。大和太郎という1人の顧客が、複数種類のファンドラップサービスを同時期に利用することは、稀ではあるが、現実に存在するケースである。
さらに、その後に、最初の顧客である大和太郎が、既に契約している「ファンドラッププレミアム」サービスについて、運用口3を追加して設定し、運用口3について、運用スタイルFを選択したとする。このとき、設定受付手段21は、運用スタイルFを選択した運用口3に対し、運用口ファンドコード=011を自動付与し、既に自動付与した契約ファンドコード=002とともに、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶させる。
従って、運用口ファンドコードは、全ての顧客の全ての契約の全ての運用口に対し、重ならないように自動付与されているので、運用口識別情報として機能する。また、口座ファンドコード、契約ファンドコード、運用口ファンドコードは、階層化されているので、運用口記憶手段36、契約記憶手段35、主口座記憶手段34という順で、運用口ファンドコードから契約ファンドコードを辿り、契約ファンドコードから口座ファンドコードを辿り、口座ファンドコードから主口座の口座番号(顧客識別情報)を辿ることができるので、これらの3つのファンドコードは、3つ合わせて顧客識別情報として機能するといえるか、あるいは、3つ合わせて顧客識別情報を特定することができる識別情報であるといえる。従って、本発明(請求項)における「顧客識別情報に関連付けて記憶する」という記載については、これらの3つのファンドコードから顧客識別情報に辿り着くことができるように記憶されているという意味を含んでいるため、必ずしも同じレコード内に、顧客識別情報(本実施形態では、主口座の口座番号)自体が存在することを意味しない。このため、あるレコードに、運用口ファンドコードが記憶されていれば、それは運用口識別情報として機能し、かつ、その運用口ファンドコードは、別のレコードに記憶されている顧客識別情報(本実施形態では、主口座の口座番号)を特定するための識別情報としても機能することになり、この状態をもって、本発明(請求項)において「顧客識別情報および運用口識別情報に関連付けて記憶する」という記載となっている。
また、設定受付手段21は、証券会社等の金融機関のシステム担当者により入力されて端末装置90から通信回線5またはネットワーク1を介して送信されてくるシステム設定情報を受け付け、記憶手段30に登録する処理も実行する。
具体的には、設定受付手段21は、例えば、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、運用スタイル区分(共通スタイル=1、個別スタイル(1)=2、個別スタイル(2)=3、…)、運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、当該運用スタイルに対してシステム担当者が命名したテキストデータである運用スタイル名称(安定型、やや安定型、バランス型、やや積極型、積極型、…)、当該運用スタイルに適用される手数料率の逓減タイプを識別するための手数料コード(手数料率識別情報)等を、運用スタイル記憶手段37(図7参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。
なお、運用スタイル区分は、全ての顧客に適用可能なデフォルトの共通スタイル(運用スタイル区分=1)と、特定の顧客に適用する個別スタイル(1),(2)…(運用スタイル区分=2,3,…)とがあるが、特にこのような区分を設けなくてもよい。また、運用スタイルには、例えば、安定型、やや安定型、バランス型、やや積極型、積極型等の各種名称の運用スタイルがあり、実際には、非常に多数(例えば、400個程度)の運用スタイルが用意されているが、システムとして用意する運用スタイルの個数は任意であり、顧客は、運用口毎に異なる運用スタイルを選択するので、少なくとも顧客1人当たりの運用口の最大設定数(例えば5つ)と同数の運用スタイルが用意されていればよい。
また、設定受付手段21は、例えば、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、手数料コード(手数料率識別情報)、逓減金額区分の下方の閾値(FROM)、逓減金額区分の上方の閾値(TO)、投資顧問料率、取引等管理手数料率等を、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶させる(レコードの作成を含む)。
なお、手数料コード(手数料率識別情報)については、運用スタイル毎に異なる逓減タイプの手数料率が適用されるので、用意した運用スタイルの個数に対し、少なくともそれと同数の手数料コードが用意される。但し、複数の運用スタイルについて、同じ逓減タイプの手数料率を適用するようにしてもよく(例えば、2つの運用スタイルA,Cについて、全く同じように各逓減金額区分に対応する各手数料率が逓減していくようにしてもよく)、その場合には、用意した運用スタイルの個数よりも、用意した手数料コードの個数が少なくなることがあってもよい。
また、本実施形態では、顧客から徴収する手数料は、固定報酬方式であるが、成功報酬方式とする場合があってもよく、その場合には、例えば、固定報酬方式・成功報酬方式の別を識別するための報酬方式区分のカラムを、運用スタイル記憶手段37(図7参照)、算出手数料記憶手段38および仮計算結果記憶手段42(図8参照)、手数料率記憶手段40(図9参照)に設ければよい。
図13に示すように、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された複数のレコードの手数料率データ(投資顧問料率、取引等管理手数料率の各データ)により、一方の軸(図13の例では、縦軸)を逓減金額区分とし、他方の軸(図13の例では、横軸)を運用スタイル(運用スタイルに適用される手数料率の逓減タイプ)とする手数料率テーブル(表のように並べられた手数料率データの集合)が構成される。図13の例の手数料率テーブルは、運用スタイル(運用スタイルに適用される手数料率の逓減タイプ)の個数が5つであるから、5つの手数料コード(手数料率識別情報)が使用され、かつ、それぞれの手数料コードについて、6つの逓減金額区分があるので、合計で6×5=30個のレコードにより構成されている。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22の構成>
手数料算出手段22は、顧客から徴収する手数料(投資顧問料、取引等管理手数料)を算出し、その算出結果を、運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて算出手数料記憶手段38および仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶させる処理を実行するものであり、運用口単位計算処理手段22Aと、加重平均按分処理手段22Bと、仮計算処理手段22Cとを含んで構成されている。
このうち、運用口単位計算処理手段22Aは、契約時フィー(新規契約、運用口追加、増額、定期積立の場合の手数料)を算出し、その算出結果を、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶させる処理を実行するものである。この運用口単位計算処理手段22Aは、運用口単位の個別計算処理により、各運用口の運用口単位手数料を算出する点が、加重平均按分処理手段22Bと異なっている。この運用口単位計算処理手段22Aにより算出される手数料は、契約時フィー(新規契約、運用口追加、増額、定期積立の場合の手数料)であるから、本実施形態では、これらの各種の契約時フィーは、いずれについても運用口単位の個別計算処理に適した性質の手数料であると判断されていることになる。すなわち、複数の運用口を設定する場合は、それぞれの運用口において、スタイル判定が行われ、異なる運用スタイルが選択されることになるので、それらの様々な運用スタイルについて、個別のコンサルティングが行われるため、新規契約、運用口追加、増額、定期積立(定期的に繰り返される増額と考えてよい。)のいずれについても、運用口単位の個別計算処理が適していると判断されている。
一方、加重平均按分処理手段22Bは、期間フィー(本実施形態では、四半期フィーとする。)を算出し、その算出結果を、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶させる処理を実行するものである。この加重平均按分処理手段22Bは、複数の運用口の情報を統合し、加重平均按分処理により、各運用口の運用口単位手数料を算出する点が、上述した運用口単位計算処理手段22Aと異なっている。この加重平均按分処理手段22Bにより算出される手数料は、期間フィー(本実施形態では、四半期フィーとする。)であるから、本実施形態では、四半期フィー等の期間フィーは、運用口単位の個別計算処理に適さない性質の手数料であると判断されていることになる。すなわち、四半期フィー等の期間フィーについては、四半期のように予め定められた期間が経過する都度に徴収する手数料であり、その期間中に実行されるリバランスの処理は、機械的に実行されるので、顧客に対するコンサルティングに要する時間や仕事量が、運用口の設定数に比例しないことから、運用口単位の個別計算処理に適さないと判断されている。
また、仮計算処理手段22Cは、期間フィー(本実施形態では、四半期フィーとする。)に対応する比較用の仮の手数料(顧客から徴収する実際の手数料ではないという意味)を算出し、その算出結果を、運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶させる処理を実行するものである。この仮計算処理手段22Cは、運用口単位計算処理手段22Aと同様に、運用口単位の個別計算処理により、各運用口の運用口単位手数料を算出する点が、上述した加重平均按分処理手段22Bと異なっている。本実施形態では、四半期フィー等の期間フィーは、運用口単位の個別計算処理に適さない性質の手数料であると判断し、加重平均按分処理手段22Bによる加重平均按分処理を行うものとしているが、仮に、運用口単位の個別計算処理をした場合には、手数料の金額はどうなるかということを示すための仮計算を、仮計算処理手段22Cにより実行し、顧客からの問合せ等に備えている。
なお、処理手段20には、図示は省略されているが、端末装置80,90からの閲覧要求に応じ、仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶された仮の手数料の計算結果を画面表示したり、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された実際の手数料(加重平均按分処理手段22Bによる計算結果)と、仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶された仮の手数料(仮計算処理手段22Cによる計算結果)との比較結果を画面表示する処理を実行する手数料計算結果出力手段が設けられている。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22/運用口単位計算処理手段22Aによる新規契約または運用口追加の際のフィー計算例:図14参照>
具体的には、運用口単位計算処理手段22Aは、次のような処理を実行する。先ず、新規契約の際の契約時フィーを算出する場合(図14参照)について説明する。運用口追加の際の契約時フィーを算出する場合も同様である。
図14に示すように、運用口単位計算処理手段22Aは、契約時フィーの算出用の運用口単位の個別計算処理として、新規契約または運用口追加の際の契約時フィーを算出する場合には、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶された新規契約で設定した各運用口の設定金額、または追加した運用口の設定金額を、各運用口の手数料算出基準金額とする。
図14の例では、運用口1については、新規契約の際(運用口追加の際と考えてもよい。)の運用口1の設定金額=2億5,000万円が手数料算出基準金額であり、運用口2については、新規契約の際(運用口追加の際と考えてもよい。)の運用口2の設定金額=8,000万円が手数料算出基準金額である。
そして、運用口単位計算処理手段22Aは、各運用口の手数料算出基準金額を逓減金額区分に従ってそれぞれ分割することにより逓減金額区分の各々に割り当てる計算対象割当金額を運用口毎に算出し、算出した各逓減金額区分の各運用口の計算対象割当金額に、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された各逓減金額区分の各運用口(各運用口に対応する各運用スタイルに適用される各逓減タイプ)の手数料率をそれぞれ乗じることにより、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料を算出する。
図14の例では、運用口1については、新規契約の際(運用口追加の際と考えてもよい。)の運用口1の設定金額=2億5,000万円を、1,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1,000万円と、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円と、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=7,000万円と、1億円超3億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1億5,000万円とに分割する。それから、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、対応する投資顧問料率=0.300%を乗じて3万円を算出し、対応する取引等管理手数料率=1.100%を乗じて11万円を算出し、これらの3万円、11万円を、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料とする。他の逓減金額区分についても同様である。
また、図14の例では、運用口2については、新規契約の際(運用口追加の際と考えてもよい。)の運用口2の設定金額=8,000万円を、1,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1,000万円と、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円と、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=5,000万円とに分割する。それから、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、対応する投資顧問料率=0.300%を乗じて3万円を算出し、対応する取引等管理手数料率=1.100%を乗じて11万円を算出し、これらの3万円、11万円を、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料とする。他の逓減金額区分についても同様である。
続いて、運用口単位計算処理手段22Aは、算出した部分手数料を運用口毎に合計して運用口単位手数料を算出した後に、各運用口の運用口単位手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出する。なお、算出した部分手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出してもよく、その場合には、各運用口の運用口単位手数料は保存されない。
図14の例では、運用口1の運用口単位手数料は、投資顧問料=44万5,000円、取引等管理手数料=147万1,000円となる。また、運用口2の運用口単位手数料は、投資顧問料=18万円、取引等管理手数料=83万円となる。従って、合計手数料は、44万5,000円+147万1,000円+18万円+83万円=292万6,000円となる。なお、図13、図14に示されている手数料率の数値例は、年率であり、本実施形態では、実際に顧客から徴収する手数料の金額は、徴収期間を日割りで計算して算出することになる。従って、本実施形態では、新規契約や運用口追加の際の手数料は、新規契約や運用口追加の際の運用開始日から次回四半期末(最初に訪れる四半期末)までを徴収期間とし、次のように日割りで計算する。また、仮に、期間フィーを、四半期の運用に対する四半期フィーではなく、1年間の運用に対する年間フィーとする場合や、上期・下期の運用に対する半期フィーとする場合においても、新規契約や運用口追加の際の契約時フィーは、運用開始日から次回の半期や年度の最終日(最初に訪れる半期の最終日や年度の最終日)までを徴収期間とすることになるので、やはり同様な日割り計算となる。
例えば、5/15に新規契約をし、5/16に運用開始をした場合を、上記の図14の例に当てはめると、徴収期間は、運用開始日の5/16から次回四半期末の6/30までの46日間となるので、実際に顧客から徴収する合計手数料は、292.6万円×46日÷365日≒36.88万円となる。従って、同様にして、実際に徴収する運用口1の運用口単位手数料は、投資顧問料=44.5万円や、取引等管理手数料=147.1万円に対し、46日/365日を乗じた金額となり、実際に徴収する運用口2の運用口単位手数料は、投資顧問料=18万円や、取引等管理手数料=83万円に対し、46日/365日を乗じた金額となる。
その後、運用口単位計算処理手段22Aは、算出した運用口1の運用口単位手数料(投資顧問料=44万5,000円、取引等管理手数料=147万1,000円)と、運用口2の運用口単位手数料(投資顧問料=18万円、取引等管理手数料=83万円)とを、各運用口1,2の運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶させる。なお、実際には、上述したように日割り計算が行われるので、これらの金額に、徴収期間の長さに応じた割合(徴収期間の日数/365日)を乗じた金額が算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶されることになり、また、算出手数料記憶手段38には、図示は省略されているが、徴収期間を示す情報として、フィー計算期間開始年月日およびフィー計算期間終了年月日が記憶されるようになっている。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22/運用口単位計算処理手段22Aによる増額または定期積立の際のフィー計算例:図15参照>
次に、運用口単位計算処理手段22Aは、契約時フィーの算出用の運用口単位の個別計算処理として、増額のイベントの際の契約時フィーを算出する場合(図15参照)には、次のような処理を実行する。なお、定期積立のイベントの際の契約時フィーを算出する場合も同様である。
図15に示すように、運用口単位計算処理手段22Aは、単価情報記憶手段33(図5参照)に記憶された基準価額を用いて、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の顧客の資産の残高数量(ここでは、投資信託の口数)から運用口毎の残高金額を算出し、算出した運用口毎の残高金額に対し、または、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の残高金額(評価金額)に対し、イベント情報記憶手段41(図10参照)に記憶された各運用口の増額金額または定期積立金額を加算した金額を、各運用口の手数料算出基準金額とする。
図15の例では、増額前資産である運用口1の残高金額=2億5,000万円であり、これに対する増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=8,000万円であるので、運用口1の手数料算出基準金額=2億5,000万円+8,000万円=3億3,000万円となる。また、増額前資産である運用口2の残高金額=3,000万円であり、これに対する増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=2,000万円であるので、運用口2の手数料算出基準金額=3,000万円+2,000万円=5,000万円となる。
続いて、運用口単位計算処理手段22Aは、各運用口の手数料算出基準金額に占める当該増額金額または当該定期積立金額を逓減金額区分に従って分割することにより逓減金額区分の各々に割り当てる計算対象割当金額を運用口毎に算出し、算出した各逓減金額区分の各運用口の計算対象割当金額に、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された各逓減金額区分の各運用口(各運用口に対応する各運用スタイルに適用される各逓減タイプ)の手数料率をそれぞれ乗じることにより、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料を算出する。
図15の例では、運用口1については、運用口1の手数料算出基準金額=3億3,000万円に占める増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=8,000万円を分割する。この際、3億3,000万円のうちの高額部分の8,000万円を分割するので、3億3,000万円のうちの2億5,000万円から3億3,000万円までの部分である8,000万円を分割することになる。従って、増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=8,000万円を、1億円超3億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=5,000万円と、3億円超5億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=3,000万円とに分割する。それから、1億円超3億円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=5,000万円に対し、対応する投資顧問料率=0.150%を乗じて7万5,000円を算出し、対応する取引等管理手数料率=0.510%を乗じて25万5,000円を算出し、これらの7万5,000円、25万5,000円を、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料とする。他の逓減金額区分についても同様である。
また、図15の例では、運用口2については、運用口2の手数料算出基準金額=5,000万円に占める増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=2,000万円を分割する。この際、5,000万円のうちの高額部分の2,000万円を分割するので、5,000万円のうちの3,000万円から5,000万円までの部分である2,000万円を分割することになる。従って、増額金額(定期積立金額と考えてもよい)=2,000万円を、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円とする(結局、このケースでは分割は行われず、1つの逓減金額区分への割当のみとなる)。それから、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分について、計算対象割当金額=2,000万円に対し、対応する投資顧問料率=0.200%を乗じて4万円を算出し、対応する取引等管理手数料率=1.000%を乗じて20万円を算出し、これらの4万円、20万円を、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料とする。
続いて、運用口単位計算処理手段22Aは、算出した部分手数料を運用口毎に合計して運用口単位手数料を算出した後に、各運用口の運用口単位手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出する。なお、算出した部分手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出してもよく、その場合には、各運用口の運用口単位手数料は保存されない。
図15の例では、運用口1の運用口単位手数料は、投資顧問料=10万5,000円、取引等管理手数料=39万6,000円となる。また、運用口2の運用口単位手数料は、投資顧問料=4万円、取引等管理手数料=20万円となる。従って、合計手数料は、10万5,000円+39万6,000円+4万円+20万円=74万1,000円となる。なお、図13、図15に示されている手数料率の数値例は、年率であり、本実施形態では、増額の場合にも、前述した新規契約の場合(図14の例)と同様に、実際に顧客から徴収する手数料の金額は、徴収期間を日割りで計算して算出することになる。このため、実際に徴収する手数料の金額は、上記の各金額に、増額分の運用開始日から次回四半期末(最初に訪れる四半期末)までの徴収期間の長さに応じた割合(徴収期間の日数/365日)を乗じた金額となる。
その後、運用口単位計算処理手段22Aは、算出した運用口1の運用口単位手数料(投資顧問料=10万5,000円、取引等管理手数料=39万6,000円)と、運用口2の運用口単位手数料(投資顧問料=4万円、取引等管理手数料=20万円)とを、各運用口1,2の運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶させる。なお、実際には、上述したように日割り計算が行われるので、これらの金額に、徴収期間の長さに応じた割合(徴収期間の日数/365日)を乗じた金額が算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶され、また、算出手数料記憶手段38には、図示は省略されているが、徴収期間を示す情報として、フィー計算期間開始年月日およびフィー計算期間終了年月日が記憶される。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22/加重平均按分処理手段22Bによる四半期フィーの計算例:図16、図17の上部を参照>
加重平均按分処理手段22Bは、単価情報記憶手段33(図5参照)に記憶された基準価額を用いて、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の顧客の資産の残高数量(ここでは、投資信託の口数)から運用口毎の残高金額を算出し、算出した運用口毎の残高金額を、各運用口の手数料算出基準金額とするか、または、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の残高金額(評価金額)を、各運用口の手数料算出基準金額とする。
図17の例では、運用口1の残高金額=2.5億円が、運用口1の手数料算出基準金額であり、運用口2の残高金額=7,000万円が、運用口2の手数料算出基準金額である。
続いて、加重平均按分処理手段22Bは、各運用口の手数料算出基準金額を合計してトータル手数料算出基準金額を算出し、このトータル手数料算出基準金額を逓減金額区分に従って分割することにより逓減金額区分の各々に割り当てる計算対象割当金額を算出し、算出した逓減金額区分毎の計算対象割当金額に、運用口毎の手数料算出基準金額をトータル手数料算出基準金額で除した按分比率を乗じることにより、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の計算対象按分割当金額を算出し、算出した各逓減金額区分の各運用口の計算対象按分割当金額に、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された各逓減金額区分の各運用口(各運用口に対応する各運用スタイルに適用される各逓減タイプ)の手数料率をそれぞれ乗じることにより、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の部分手数料を算出する。
図17の例では、運用口1の手数料算出基準金額=2.5億円であり、運用口2の手数料算出基準金額=7,000万円であるから、トータル手数料算出基準金額=2.5億円+7,000万円=3.2億円となる。従って、運用口1の按分比率=2.5億円/3.2億円となり、運用口2の按分比率=7,000万円/3.2億円となる。また、手数料率には、投資顧問料率と、取引等管理手数料率とがあるが、ここでは、説明の簡略化のため、図16に示すように、投資顧問料率と、取引等管理手数料率とを合計した手数料率を用いて、説明を行うものとする。
そして、図17の例では、トータル手数料算出基準金額=3.2億円を、1,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1,000万円と、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円と、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=7,000万円と、1億円超3億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2億円と、3億円超5億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円とに分割する。
それから、図17の例では、運用口1に関し、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、運用口1の按分比率=2.5億円/3.2億円を乗じることにより、計算対象按分割当金額=1,000万円×(2.5億円/3.2億円)を算出し、この計算対象按分割当金額に、対応する手数料率=1.400%(図16参照)を乗じることにより、部分手数料を算出する。同様に、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=2,000万円に対し、運用口1の按分比率=2.5億円/3.2億円を乗じることにより、計算対象按分割当金額=2,000万円×(2.5億円/3.2億円)を算出し、この計算対象按分割当金額に、対応する手数料率=1.200%(図16参照)を乗じることにより、部分手数料を算出する。他の逓減金額区分についても同様である。
また、図17の例では、運用口2に関し、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、運用口2の按分比率=7,000万円/3.2億円を乗じることにより、計算対象按分割当金額=1,000万円×(7,000万円/3.2億円)を算出し、この計算対象按分割当金額に、対応する手数料率=1.400%(図16参照)を乗じることにより、部分手数料を算出する。同様に、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=2,000万円に対し、運用口2の按分比率=7,000万円/3.2億円を乗じることにより、計算対象按分割当金額=2,000万円×(7,000万円/3.2億円)を算出し、この計算対象按分割当金額に、対応する手数料率=1.250%(図16参照)を乗じることにより、部分手数料を算出する。他の逓減金額区分についても同様である。
続いて、加重平均按分処理手段22Bは、算出した部分手数料を運用口毎に合計して運用口単位手数料を算出した後に、各運用口の運用口単位手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出する。なお、算出した部分手数料の全部を合計することにより、合計手数料を算出してもよく、その場合には、各運用口の運用口単位手数料は保存されない。
図17の例では、運用口1の運用口単位手数料=184.37万円となり、運用口2の運用口単位手数料=56.16万円となるので、合計手数料は、184.37万円+56.16万円=240.53万円となる。なお、図16、図17に示されている手数料率の数値例は、年率であり、本実施形態では、期間フィーは、1年間の運用に対する年間フィーではなく、四半期の運用に対する四半期フィーとしているので、実際に顧客から徴収する手数料の金額は、次のように、徴収期間を日割りで計算して算出することになる。また、仮に、期間フィーを、上期・下期の運用に対する半期フィーとする場合においても、日割り計算を行うことになる。
例えば、3月末に、4〜6月分の四半期フィーを計算する際には、上記の図17の例では、240.53万円×91日÷365日≒59.97万円が、実際に徴収する合計手数料になる。従って、同様にして、実際に徴収する運用口1の運用口単位手数料は、184.37万円×(91日/365日)となり、実際に徴収する運用口2の運用口単位手数料は、56.16万円×(91日/365日)となる。
その後、加重平均按分処理手段22Bは、算出した運用口1の運用口単位手数料=184.37万円と、運用口2の運用口単位手数料=56.16万円とを、各運用口1,2の運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶させる。なお、実際には、上述したように日割り計算が行われるので、これらの金額に、徴収期間の長さに応じた割合(徴収期間の日数/365日)を乗じた金額が算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶され、また、算出手数料記憶手段38には、図示は省略されているが、徴収期間を示す情報として、フィー計算期間開始年月日およびフィー計算期間終了年月日が記憶される。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22/仮計算処理手段22Cによる四半期フィー(仮の手数料)の計算例:図16、図17の下部を参照>
仮計算処理手段22Cは、仮の手数料(ここでは、仮の四半期フィー)の算出用の運用口単位の個別計算処理として、単価情報記憶手段33(図5参照)に記憶された基準価額を用いて、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の顧客の資産の残高数量(ここでは、投資信託の口数)から運用口毎の残高金額を算出し、算出した運用口毎の残高金額を、各運用口の手数料算出基準金額とするか、または、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された運用口毎の残高金額(評価金額)を、各運用口の手数料算出基準金額とする。
図17の例では、運用口1の残高金額=2.5億円が、運用口1の手数料算出基準金額であり、運用口2の残高金額=7,000万円が、運用口2の手数料算出基準金額である。この点は、加重平均按分処理手段22Bによる加重平均按分処理で実際の手数料(ここでは、実際の四半期フィー)を計算する場合と同様である。
続いて、仮計算処理手段22Cは、各運用口の手数料算出基準金額を逓減金額区分に従ってそれぞれ分割することにより逓減金額区分の各々に割り当てる計算対象割当金額を運用口毎に算出し、算出した各逓減金額区分の各運用口の計算対象割当金額に、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された各逓減金額区分の各運用口(各運用口に対応する各運用スタイルに適用される各逓減タイプ)の手数料率をそれぞれ乗じることにより、逓減金額区分毎で、かつ、運用口毎の仮の部分手数料を算出する。
図17の例では、運用口1については、残高金額=2.5億円を、1,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1,000万円と、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円と、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=7,000万円と、1億円超3億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1.5億円とに分割する。それから、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、対応する手数料率=1.400%を乗じて1,000万円×1.400%を計算し、これを仮の部分手数料とする。他の逓減金額区分についても同様である。
また、図17の例では、運用口2については、残高金額=7,000万円を、1,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=1,000万円と、1,000万円超3,000万円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=2,000万円と、3,000万円超1億円以下の逓減金額区分に割り当てる計算対象割当金額=4,000万円とに分割する。それから、1,000万円以下の逓減金額区分については、計算対象割当金額=1,000万円に対し、対応する手数料率=1.400%を乗じて1,000万円×1.400%を計算し、これを仮の部分手数料とする。他の逓減金額区分についても同様である。
それから、仮計算処理手段22Cは、算出した仮の部分手数料を運用口毎に合計して仮の運用口単位手数料を算出した後に、各運用口の仮の運用口単位手数料の全部を合計することにより、仮の合計手数料を算出する。なお、算出した仮の部分手数料の全部を合計することにより、仮の合計手数料を算出してもよく、その場合には、各運用口の仮の運用口単位手数料は保存されない。
図17の例では、運用口1の仮の運用口単位手数料=191.6万円となり、運用口2の仮の運用口単位手数料=74.4万円となるので、仮の合計手数料は、191.6万円+74.4万円=266万円となる。従って、この仮計算処理手段22Cにより算出した仮の手数料よりも、前述した加重平均按分処理手段22Bにより算出した実際の手数料の方が小さな金額となっているので、これにより顧客に有利な処理が行われていることがわかる。なお、日割り計算が行われるのは、前述した加重平均按分処理手段22Bによる処理の場合と同様である。
その後、仮計算処理手段22Cは、算出した運用口1の仮の運用口単位手数料=191.6万円と、運用口2の仮の運用口単位手数料=74.4万円とを、各運用口1,2の運用口ファンドコード(運用口識別情報)と関連付けて仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶させる。なお、実際には、上述したように日割り計算が行われるので、これらの金額に、徴収期間の長さに応じた割合(徴収期間の日数/365日)を乗じた金額が仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶され、また、仮計算結果記憶手段42には、図示は省略されているが、徴収期間を示す情報として、フィー計算期間開始年月日およびフィー計算期間終了年月日が記憶される。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/手数料算出手段22によるフィー計算の証跡保存:図12参照>
以上においては、手数料算出手段22によるフィー計算の基本的な処理を説明したが、より詳細には、手数料算出手段22は、算出する手数料の性質に応じ、手数料算出基準金額を算定する際に、増額要素や減額要素の金額を加味する処理を実行する。この際、増額要素や減額要素の金額、あるいはそれらの金額の格納場所特定情報を、フィー計算の証跡情報として証跡記憶手段39または仮証跡記憶手段43(図12参照)に保存する処理を実行する。
先ず、運用口単位計算処理手段22Aによる新規契約または運用口追加の際の手数料を算出する場合における各運用口の手数料算出基準金額は、運用口記憶手段36(図6参照)に記憶された運用口単位の設定金額(その時の入金額)である。これは、既に説明した通りである。
次に、運用口単位計算処理手段22Aによる増額のイベントの際の手数料を算出する場合における各運用口の手数料算出基準金額は、次の式(1)により算定される。
各運用口の手数料算出基準金額=運用口単位の増額金額(その時の入金額)+入金日の運用口単位の残高金額+定期受取金額+四半期フィー金額+源泉徴収金額+寄附サービス金額 ・・・・・(1)
上記の式(1)において、運用口単位の増額金額(その時の入金額)は、イベント情報記憶手段41(図10参照)に記憶された増額金額である。入金日の運用口単位の残高金額は、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された残高数量から基準価額を用いて算出した残高金額、または残高記憶手段31に記憶された残高金額(評価金額)である。以上は、既に説明した通りである。
さらに、式(1)において、定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額という「増額要素の金額」が加算されている。定期受取金額は、顧客との契約に基づき、顧客が指定した受取月に保有資産である投資信託を売却し、主口座に金銭振替する金額であり、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額も、契約に基づき投資信託を売却して得られる金額である。増額金額(その時の入金額)について手数料を算出する場合には、手数料算出基準金額に占める当該増額金額(その時の入金額)の部分が、手数料率が低くなる逓減金額区分(すなわち、大きな金額に対応する逓減金額区分)に対して割り当てられるようにした方が、顧客に有利な処理となるので、手数料算出基準金額を大きくした方がよい。このため、「増額要素の金額」の加算が行われる。すなわち、入金日の運用口単位の残高金額は、約定ベースの金額であり、一方、定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額という「増額要素の金額」は、約定した売り注文についての受渡前の金額であるので、これらの「増額要素の金額」は、約定ベースの金額である入金日の運用口単位の残高金額には既に反映された状態(売却した金額分だけ、残高金額が減っている状態)であることから、これらの「増額要素の金額」を、入金日の運用口単位の残高金額に対して加算することにより、入金日の運用口単位の残高金額を、売却した金額分を減じる前の金額に戻した状態で、手数料算出基準金額を算定することができるようにしている。
そして、図12に示すように、式(1)における定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額という「増額要素の金額」については、それらの格納場所特定情報(それらの金額データが記憶されているレコードを特定するための情報)が、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶されている。なお、「増額要素の金額」データ自体を、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶してもよい。
また、運用口単位計算処理手段22Aによる定期積立のイベントの際の手数料を算出する場合における各運用口の手数料算出基準金額は、次の式(2)により算定される。
各運用口の手数料算出基準金額=運用口単位の定期積立金額(その時の入金額)+入金日の運用口単位の残高金額+定期受取金額+四半期フィー金額+源泉徴収金額+寄附サービス金額+運用口単位の増額金額 ・・・・・(2)
上記の式(2)において、運用口単位の定期積立金額(その時の入金額)は、イベント情報記憶手段41(図10参照)に記憶された定期積立金額である。入金日の運用口単位の残高金額は、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された残高数量から基準価額を用いて算出した残高金額、または残高記憶手段31に記憶された残高金額(評価金額)である。以上は、既に説明した通りである。
さらに、式(2)において、定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額、運用口単位の増額金額という「増額要素の金額」が加算されている。このうち、定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額という4つの「増額要素の金額」の加算については、上述した増額のイベントの場合と同様である。定期積立のイベントは、定期的に繰り返される増額のイベントと考えることができるからである。また、5番目の「増額要素の金額」として、運用口単位の増額金額が加算されているのは、定期積立のイベントと、増額のイベントとが同時に発生した場合を考慮している。
そして、図12に示すように、式(2)における定期受取金額、四半期フィー金額、源泉徴収金額、寄附サービス金額、運用口単位の増額金額という「増額要素の金額」については、それらの格納場所特定情報(それらの金額データが記憶されているレコードを特定するための情報)が、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶されている。なお、「増額要素の金額」データ自体を、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶してもよい。
また、加重平均按分処理手段22Bおよび仮計算処理手段22Cによる四半期フィー(実際の手数料および仮の手数料)を算出する場合における各運用口の手数料算出基準金額は、次の式(3)により算定される。
各運用口の手数料算出基準金額=運用口単位の残高金額(四半期月末営業日)−出金予定額(減額)−出金予定額(定期受取)−出金予定額(寄附) ・・・・・(3)
上記の式(3)において、運用口単位の残高金額(四半期月末営業日)は、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された残高数量から基準価額を用いて算出した残高金額、または残高記憶手段31に記憶された残高金額(評価金額)である。これは、既に説明した通りである。
さらに、式(3)において、出金予定額(減額)、出金予定額(定期受取)、出金予定額(寄附)という「減額要素の金額」が減算されている。四半期フィー(期間フィー)を算出する場合には、各運用口の手数料算出基準金額が小さい方が、手数料が低額になり、顧客に有利な処理となるので、手数料算出基準金額を小さくした方がよい。このため、「減額要素の金額」の減算が行われる。既に出金が予定されている金額を、減算することにより、出金後の状態で、手数料算出基準金額を算定することができるようにしている。
なお、加重平均按分処理手段22Bによる加算平均按分処理を行う際に、トータル手数料算出基準金額を算出することにより、手数料率が低くなる逓減金額区分(すなわち、大きな金額に対応する逓減金額区分)に対して割り当てられるようにしているが、このことは、式(3)における「減額要素の金額」の減算処理と全く矛盾はない。加重平均按分処理は、各運用口の手数料算出基準金額が既に算定されている状況下において、それらを個別に用いてフィー計算するよりは、それらを合計してトータル手数料算出基準金額を算出してからフィー計算したほうが、顧客に有利な処理になるために実行されるが、加重平均按分処理を行うか個別計算処理を行うかにかかわらず、式(3)のように、各運用口の手数料算出基準金額を小さくした方が、手数料が低額になり、顧客に有利な処理となるからである。
そして、図12に示すように、式(3)における出金予定額(減額)、出金予定額(定期受取)、出金予定額(寄附)という「減額要素の金額」については、それらの格納場所特定情報(それらの金額データが記憶されているレコードを特定するための情報)が、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶されている。なお、「減額要素の金額」データ自体を、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43に記憶してもよい。
また、証跡記憶手段39や仮証跡記憶手段43(図12参照)に記憶された証跡データは、端末装置80,90からの閲覧要求に応じ、処理手段20に設けられた手数料計算結果出力手段(不図示)により画面表示することができるようになっている。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/注文作成手段23、注文データ連携手段24の構成>
注文作成手段23は、四半期フィー等の期間フィーの徴収用の注文データ(売注文)の作成処理、契約時フィーの徴収処理と並行して行われる注文データ(買注文)の作成処理、運用期間中のリバランスのための注文データ(売注文または買注文)の作成処理を実行し、作成した注文データを、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶させる処理を実行するものである。なお、本実施形態のファンドラップサービスにおけるリバランスは、自動で行われる。
注文データ連携手段24は、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する処理を実行するものである。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/約定処理手段25、資産管理手段26、FW側金銭振替手段27の構成>
約定処理手段25は、通信回線2を介して売買システム50から送信されてきて約定データ記憶手段45(図11参照)に記憶されている約定データを取得し、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データ(約定データと同一の注文番号の注文データ)のステータスを「約定済」に更新する処理を実行するものである。
資産管理手段26は、四半期フィー等の期間フィーの徴収の場合には、約定データ記憶手段45(図11参照)から、売注文の約定データを取得し、約定した銘柄(本実施形態では、投資信託の銘柄)についての約定数量の分だけ、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された当該銘柄の残高数量を減少させる更新処理を実行するとともに、売却で得られた金額(受渡金額)の分だけ、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高を増加させる更新処理を実行するものである。
また、契約時フィーを徴収する際には、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高に、新規契約、運用口追加、増額や定期積立のイベントにおける入金額があるので、その入金額から契約時フィー(入金額に対して僅かな割合の金額)を徴収するとともに、入金額のうちの残りの金額(入金額のうちの大部分の金額)を、投資信託の買付に充当する。従って、資産管理手段26は、約定データ記憶手段45(図11参照)から、買注文の約定データを取得し、約定した銘柄(本実施形態では、投資信託の銘柄)についての約定数量の分だけ、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された当該銘柄の残高数量を増加させる更新処理を実行するとともに、買付に充当された金額の分だけ、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高を減少させる更新処理を実行する。なお、買付に充当された金額を減じた後でも、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高には、入金額のうちの手数料徴収に充当する分の金額、すなわち、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額(投資顧問料金額+取引等管理手数料金額)は残っている。
FW側金銭振替手段27は、手数料の徴収の際に、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高から、手数料として徴収する金額、すなわち、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額を減少させる更新処理を実行するとともに、手数料の金額データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する処理を実行するものである。
<ファンドラップシステム10/処理手段20/帳票作成用データ連携手段28の構成>
帳票作成用データ連携手段28は、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額(投資顧問料金額+取引等管理手数料金額)データを取得し、取得した手数料の金額データを、帳票作成用データとして、通信回線2を介して売買システム50へ送信する処理を実行するものである。
<ファンドラップシステム10/記憶手段30の構成>
残高記憶手段31は、図3に示すように、顧客の保有資産である投資信託の銘柄コード、残高数量(保有する投資信託の口数)、評価金額、主口座の口座番号(顧客識別情報)、運用口ファンドコード(運用口識別情報)等を関連付けて記憶するものである。
金銭残高記憶手段32は、図4に示すように、顧客の保有する金銭残高、主口座の口座番号(顧客識別情報)等を関連付けて記憶するものである。
単価情報記憶手段33は、図5に示すように、投資信託の銘柄コード、基準価額等を関連付けて記憶するものである。また、単価情報記憶手段33は、株式や債券等の銘柄コード、単価等も関連付けて記憶し、さらに、例えば、日経平均、NYダウ、原油価格等の各種の金融指標についての指標値も記憶している。
主口座記憶手段34は、図6に示すように、主口座の口座番号(顧客識別情報)、口座ファンドコードを関連付けて記憶するものである。
契約記憶手段35は、図6に示すように、契約ファンドコード、主口座の口座番号(顧客識別情報)、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、新規契約年月日、新規契約金額、口座ファンドコード等を関連付けて記憶するものである。
運用口記憶手段36は、図6に示すように、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、主口座の口座番号(顧客識別情報)、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、運用口番号(1,2,3,4,5)、運用口名称(運用口の愛称等)、運用スタイル区分(共通スタイル=1、個別スタイル(1)=2、個別スタイル(2)=3、…)、運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、運用口ステータス(新規申請中=1、追加申請中=2、運用中=3、運用終了=4、取消済=5)、設定金額、契約ファンドコード等を関連付けて記憶するものである。
運用スタイル記憶手段37は、図7に示すように、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、運用スタイル区分(共通スタイル=1、個別スタイル(1)=2、個別スタイル(2)=3、…)、運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、運用スタイル名称(安定型、やや安定型、バランス型、やや積極型、積極型、…)、手数料コード(手数料率識別情報)等を関連付けて記憶するものである。
算出手数料記憶手段38は、図8に示すように、報酬明細番号、フィー計算年月日、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、投資顧問料金額、取引等管理手数料金額等を関連付けて記憶するものである。
証跡記憶手段39は、図12に示すように、報酬明細番号、フィー計算時残高金額、報酬候補番号、減算減額対象契約イベント番号、減算定期受取候補番号、減算寄附候補番号、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、手数料コード(手数料率識別情報)、加算定期受取候補番号、加算寄附候補番号、加算源泉徴収候補番号、加算四半期フィー徴収候補番号、契約ファンドコード、加算減額対象契約イベント番号、加算増額対象契約イベント番号等を関連付けて記憶するものである。
手数料率記憶手段40は、図9に示すように、サービス種類区分(「ファンドラッププレミアム」サービス=01、「ファンドラップオンライン」サービス=02、…)、手数料コード(手数料率識別情報)、逓減金額区分の下方の閾値(FROM)、逓減金額区分の上方の閾値(TO)、投資顧問料率、取引等管理手数料率等を関連付けて記憶するものである。
イベント情報記憶手段41は、図10に示すように、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、契約イベント番号、増額金額または定期積立金額等を関連付けて記憶するものである。
仮計算結果記憶手段42は、図8に示すように、報酬明細番号、フィー計算年月日、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、投資顧問料金額(仮の手数料の金額)、取引等管理手数料金額(仮の手数料の金額)等を関連付けて記憶するものである。
仮証跡記憶手段43は、図12に示すように、報酬明細番号、フィー計算時残高金額、報酬候補番号、減算減額対象契約イベント番号、減算定期受取候補番号、減算寄附候補番号、運用口ファンドコード(運用口識別情報)、運用スタイルコード(運用スタイル識別情報)、手数料コード(手数料率識別情報)、加算定期受取候補番号、加算寄附候補番号、加算源泉徴収候補番号、加算四半期フィー徴収候補番号、契約ファンドコード、加算減額対象契約イベント番号、加算増額対象契約イベント番号等を関連付けて記憶するものである。
注文データ記憶手段44は、図11に示すように、注文番号、売買する投資信託の銘柄コード、数量(口数)、売買区分(売・買の別)、ステータス(注文中、約定済、…)、主口座の口座番号(顧客識別情報)等を関連付けて記憶するものである。
約定データ記憶手段45は、図11に示すように、注文番号、売買した投資信託の銘柄コード、約定数量(口数)、売買区分(売・買の別)、約定時の基準価額、主口座の口座番号(顧客識別情報)等を関連付けて記憶するものである。
<売買システム50の詳細構成>
<売買システム50/売買処理手段51、約定データ連携手段52、金銭振替手段53、帳票作成手段54の構成>
売買処理手段51は、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきて注文データ記憶手段61(図1参照)に記憶されている注文データ(注文番号、売買銘柄についての銘柄コード、注文数量(口数)、売買区分、口座番号を含む。)を用いて、金融商品(本実施形態では、投資信託)の売買処理を実行するとともに、その約定データ(注文番号、売買銘柄についての銘柄コード、約定数量(口数)、売買区分、約定時の基準価額、口座番号を含む。)を約定データ記憶手段62(図1参照)に記憶させる処理を実行するものである。
約定データ連携手段52は、約定データ記憶手段62(図1参照)に記憶されている約定データを、通信回線2を介してファンドラップシステム10へ送信する処理を実行するものである。
金銭振替手段53は、FW側金銭振替手段27によりファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてくる手数料の金額データを受信し、この金額を証券会社等の金融機関の勘定に振り替えることにより、手数料の徴収処理を実行するものである。
帳票作成手段54は、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきて帳票作成用データ記憶手段63(図1参照)に記憶されている帳票作成用データ(手数料の金額データを含む)を用いて、四半期の運用報告書等の各種の帳票を作成し、帳票記憶手段64に記憶させる処理を実行するものである。帳票記憶手段64に記憶された帳票データは、帳票の印刷処理や、端末装置80,90からの閲覧要求に応じた帳票の表示処理等の出力処理に使用される。なお、売買システム50には、これらの出力処理(印刷処理や表示処理等)を行うための図示されない帳票出力手段が設けられている。
<売買システム50/注文データ記憶手段61、約定データ記憶手段62、帳票作成用データ記憶手段63、帳票記憶手段64の構成>
注文データ記憶手段61は、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきた注文データ(注文番号、売買銘柄についての銘柄コード、注文数量(口数)、売買区分、口座番号を含む。)を記憶するものである。
約定データ記憶手段62は、売買処理手段51による売買処理で取引が成立した注文の約定データ(注文番号、売買銘柄についての銘柄コード、約定数量(口数)、売買区分、約定時の基準価額、口座番号を含む。)を記憶するものである。
帳票作成用データ記憶手段63は、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきた帳票作成用データ(手数料の金額データを含む。)を記憶するものである。
帳票記憶手段64は、帳票作成手段54により作成された帳票データ(四半期の運用報告書データ等の各種の帳票データ)を記憶するものである。
<手数料の徴収処理の流れ、および、算出した手数料データの使用の流れ>
このような本実施形態においては、図18に示すようにして手数料の徴収処理が行われるとともに、手数料データを用いた帳票作成処理が行われる。四半期フィー(期間フィー)の徴収処理の流れは、図18中の実線の矢印で示され、契約時フィーの徴収処理の流れは、図18中の点線で示されている。設定受付手段21による各種の設定データの登録処理は、既に行われているものとする。
<四半期フィー等の期間フィーの徴収処理の流れ>
図18において、期間フィー(本実施形態では、四半期フィー)の徴収処理では、先ず、手数料算出手段22の加重平均按分処理手段22Bおよび仮計算処理手段22Cにより、手数料(四半期フィー等の期間フィー)およびそれとの比較用の仮の手数料が算出され、それらの算出結果が、算出手数料記憶手段38および仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶される(ステップS1)。また、手数料や仮の手数料の算出根拠となる証跡データを、証跡記憶手段39および仮証跡記憶手段43(図12参照)に保存しておく。証跡記憶手段39および仮証跡記憶手段43に記憶された証跡データは、顧客からの問合せがあった場合等に、端末装置80,90から参照し、確認することができる。
次に、注文作成手段23により、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料(四半期フィー等の期間フィー)の金額データを用いて、手数料徴収用の売注文の注文データが作成され、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶される(ステップS2)。従って、顧客の保有資産(投資信託)の一部を売却して手数料を徴収することになる。この際、売却対象銘柄は、例えば、顧客の保有銘柄のうち、顧客が選択した運用スタイルに沿って構築されるべきポートフォリオから最も乖離している銘柄とする。なお、手数料の金額は、保有資産の総額に占める僅かな割合の金額であるから、全ての保有銘柄を均等に売却する等の処理は必要ない。
続いて、注文データ連携手段24により、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS3)。
売買システム50では、売買処理手段51により、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきて注文データ記憶手段61に記憶されている売注文の注文データを用いて、投資信託の売却処理を実行するとともに、その約定データを約定データ記憶手段62に記憶させる(ステップS4)。
それから、約定データ連携手段52により、約定データ記憶手段62に記憶されている約定データを、通信回線2を介してファンドラップシステム10へ送信する(ステップS5)。
ファンドラップシステム10では、約定処理手段25により、売買システム50から通信回線2を介して送信されてきて約定データ記憶手段45(図11参照)に記憶されている約定データを用いて、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データのステータスを「約定済」に更新する約定処理を行う(ステップS6)。
続いて、資産管理手段26により、約定データ記憶手段45(図11参照)から、売注文の約定データを取得し、売却銘柄についての約定数量の分だけ、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された当該銘柄の残高数量を減少させる更新処理を実行するとともに、売却で得られた金額(受渡金額)の分だけ、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高を増加させる更新処理を実行する(ステップS7)。
さらに、FW側金銭振替手段27により、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高から、徴収する手数料の金額(売却で得られた金額と同額)、すなわち、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額を減少させる更新処理を実行するとともに、手数料の金額データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS8)。これにより、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高は、上述したステップS7の処理で、売却で得られた金額の分だけ増加し、その後、ステップS8の処理で、同じ金額だけ減少することになる。
売買システム50では、金銭振替手段53により、FW側金銭振替手段27によりファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてくる手数料の金額データを受信し、この金額を証券会社等の金融機関の勘定に振り替えることにより、手数料の徴収処理を実行する(ステップS9)。
その後、ファンドラップシステム10では、帳票作成用データ連携手段28により、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額(投資顧問料金額+取引等管理手数料金額)データを取得し、取得した手数料の金額データを、帳票作成用データとして、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS10)。
売買システム50では、帳票作成手段54により、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきて帳票作成用データ記憶手段63に記憶されている帳票作成用データ(手数料の金額データを含む)を取得し、この帳票作成用データを用いて、四半期の運用報告書等の各種の帳票を作成し、帳票記憶手段64に記憶させる(ステップS11)。
<契約時フィーの徴収処理の流れ>
図18において、契約時フィーの徴収処理では、先ず、手数料算出手段22の運用口単位計算処理手段22Aにより、手数料(契約時フィー)が算出され、その算出結果が、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶される(ステップS21)。なお、契約時フィーを徴収する際には、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高に、新規契約、運用口追加、増額や定期積立のイベントにおける入金額があるので、その入金額から契約時フィー(入金額に対して僅かな割合の金額)を徴収するとともに、入金額のうちの残りの金額(入金額のうちの大部分の金額)を、投資信託の買付に充当する。
次に、注文作成手段23により、新規契約、運用口追加、増額や定期積立のイベントにおける入金額から、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料(契約時フィー)を差し引いた金額分について、投資信託の買付を行うための買注文の注文データが作成され、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶される(ステップS22)。この処理は、手数料の徴収処理ではないが、新規契約等の際に、契約時フィーの徴収と並行して行われるので、記載している。なお、新規契約等における入金額は、既に金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高に反映されていても、そこから取得するのではなく、設定データである運用口記憶手段36(図6参照)に記憶された設定金額や、イベント情報記憶手段41(図10参照)に記憶された増額金額または定期積立金額から取得する。
続いて、注文データ連携手段24により、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS23)。
売買システム50では、売買処理手段51により、ファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてきて注文データ記憶手段61に記憶されている買注文の注文データを用いて、投資信託の買付処理を実行するとともに、その約定データを約定データ記憶手段62に記憶させる(ステップS24)。
それから、約定データ連携手段52により、約定データ記憶手段62に記憶されている約定データを、通信回線2を介してファンドラップシステム10へ送信する(ステップS25)。
ファンドラップシステム10では、約定処理手段25により、売買システム50から通信回線2を介して送信されてきて約定データ記憶手段45(図11参照)に記憶されている約定データを用いて、注文データ記憶手段44(図11参照)に記憶されている注文データのステータスを「約定済」に更新する約定処理を行う(ステップS26)。
続いて、資産管理手段26により、約定データ記憶手段45(図11参照)から、買注文の約定データを取得し、買付銘柄についての約定数量の分だけ、残高記憶手段31(図3参照)に記憶された当該銘柄の残高数量を増加させる更新処理を実行するとともに、買付に充当された金額の分だけ、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高を減少させる更新処理を実行する(ステップS27)。なお、買付に充当された金額を減じた後でも、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高には、新規契約等における入金額のうちの手数料徴収に充当する分の金額、すなわち、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額(投資顧問料金額+取引等管理手数料金額)は残っている。
さらに、FW側金銭振替手段27により、金銭残高記憶手段32(図4参照)に記憶された金銭残高から、徴収する手数料の金額(新規契約等における入金額のうちの一部の金額)、すなわち、算出手数料記憶手段38(図8参照)に記憶された手数料の金額を減少させる更新処理を実行するとともに、手数料の金額データを、通信回線2を介して売買システム50へ送信する(ステップS28)。
売買システム50では、金銭振替手段53により、FW側金銭振替手段27によりファンドラップシステム10から通信回線2を介して送信されてくる手数料の金額データを受信し、この金額を証券会社等の金融機関の勘定に振り替えることにより、手数料の徴収処理を実行する(ステップS29)。
<本実施形態の効果>
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、ファンドラップシステム10の手数料算出手段22は、加重平均按分処理手段22Bを備えているので、各運用口の手数料算出基準金額を合計したトータル手数料算出基準金額を用いた加重平均按分処理を実行することができる。従って、各運用口の手数料算出基準金額を用いて運用口毎の個別の計算処理(すなわち、仮計算処理手段22Cによる処理)で手数料を算出する場合に比べ、手数料率の低い逓減金額区分(大きな金額に対応する逓減金額区分)に割り当てる金額を多くすることができるため、顧客は、手数料率の逓減設定の恩恵を、より享受することができる。
このため、複数の運用パターンを選択して複数の運用口を設定した場合であっても、投資一任サービスの提供に対して徴収する手数料として、顧客に有利な手数料を算出することができる。すなわち、複数の運用口を設定可能とする投資一任サービスを提供するときの概念上・観念上の問題(異なる運用スタイルについての別々のコンサルティングを行うことになるので、概念的に“まとめる”という発想が生じにくいこと)および技術上の問題(計算に使用する手数料率の逓減タイプの個数が複数になるので、“まとめる”という処理の妨げになること)を解消し、顧客に有利な手数料の算出処理を実現することができる。
また、ファンドラップシステム10の手数料算出手段22は、仮計算処理手段22Cを備え、かつ、仮計算処理手段22Cによる仮の手数料の計算結果が、仮計算結果記憶手段42(図8参照)に保存されるようになっているので、加重平均按分処理手段22Bによる加重平均按分処理と並行して、仮計算処理手段22Cにより、実際の手数料との比較用の仮の手数料を算出することができる。このため、加重平均按分処理による実際の手数料と、運用口単位の個別計算処理による仮の手数料とを容易に比較することができるので、加重平均按分処理を行わない運用口単位の個別計算処理では、手数料率の逓減が効きにくく、算出される手数料の金額が高くなってしまうことを、容易に確認することができる(図17参照)。そして、仮計算結果記憶手段42(図8参照)に記憶された仮の手数料の計算結果や、実際の手数料と仮の手数料との比較結果は、端末装置80,90からの閲覧要求に応じ、処理手段20に設けられた手数料計算結果出力手段(不図示)により画面表示することができる。
さらに、ファンドラップシステム10の手数料算出手段22は、加重平均按分処理手段22Bにより、四半期フィーまたはその他の期間フィーを算出し、運用口単位計算処理手段22Aにより、契約時フィー(新規契約、運用口追加、増額、定期積立の際の手数料)を算出する構成とされているので、手数料率記憶手段40(図9参照)に記憶された同一の手数料率テーブル(ここでは、必ずしもデータベースを構成するテーブルという意味ではなく、複数の運用スタイルに適用される複数の逓減タイプの手数料率データを表のように並べたデータの集合という意味のテーブルである。図13、図16参照)を用いて、複数種類のフィー計算を行うことができる。このため、簡易なシステム構成で、顧客に提供するサービスの内容・性質に応じた複数種類の手数料(四半期フィー等の期間フィー、および契約時フィー)の算出処理を行うことができる。
また、手数料算出手段22の運用口単位計算処理手段22Aは、増額または定期積立のイベントの際の契約時フィーの計算処理で、増額金額または定期積立金額を逓減金額区分に割り当てる際に、その時点の運用口毎の残高金額(増額または定期積立の対象となる運用口の残高金額)に対し、増額金額または定期積立金額を積み上げることにより、手数料算出基準金額を算定する構成とされているので、増額または定期積立のイベントの際のフィー計算でも、手数料率の逓減を適切に効かせることができる。
さらに、ファンドラップシステム10の手数料算出手段22は、各種の手数料の算出処理で、増額要素や減額要素の金額を用いた計算を行うことができるので(式(1)、式(2)、式(3)参照)、顧客に有利な手数料の計算処理を実現することができる。
この際、ファンドラップシステム10の手数料算出手段22は、各種の手数料の算出に用いた証跡データを、証跡記憶手段39および仮証跡記憶手段43(図12参照)に保存する構成とされているので、増額要素や減額要素の金額を用いてフィー計算を行った際に保存した証跡データを参照することにより、フィー計算に使用した金額を追うことができ、どのようにして手数料が算出されたのかを辿ることができる。このため、顧客からの問合せを受けた場合等に、適正な手数料計算結果であることを示すためのトレーサビリティを確保することができる。
[変形の形態]
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態の手数料算出手段22は、運用口単位計算処理手段22Aにより、契約時フィー(新規契約、運用口追加、増額、定期積立の場合の手数料)を算出し、加重平均按分処理手段22Bにより、四半期フィー等の期間フィーを算出する構成とされていたが、本発明の手数料算出手段は、これに限定されるものではなく、例えば、加重平均按分処理手段22Bにより、四半期フィー等の期間フィーだけではなく、契約時フィーも算出する構成としてもよい。
また、前記実施形態では、ファンドラップシステム10に手数料算出手段22や算出手数料記憶手段38等が含まれていたが(図1参照)、すなわち、本発明の手数料算出システムが、ファンドラップシステム10に適用されていたが、本発明の手数料算出システムは、投資信託を取り扱うファンドラップシステム10に限らず、投資信託以外の商品(例えば、株式や債券、さらには不動産等)を取り扱うラップ口座のシステムに適用してもよい。従って、その場合には、投資信託以外の商品についての売買を行うことになるので、売買システム50(図1参照)に通信回線を介して接続されている市場システム(不図示)への株式等の売買注文の発注処理を実行すればよい。市場システムは、例えば、証券取引所システム等の金融商品の取引所システム、私設取引システム(PTS:Proprietary Trading System)、店頭市場システム等である。
さらに、前記実施形態のファンドラップシステム10は、顧客から預かった資産を運用するにあたり、顧客により選択された運用スタイルに従って顧客の保有資産のポートフォリオのリバランスを行うための投資信託の売買処理を、自動で行う構成とされていたが、本発明の手数料算出システムは、自動の売買処理(機械による判断処理)ではなく、運用マネージャの指示でリバランスを行うシステムに適用してもよく、その場合には、ファンドラップシステム10に相当するシステムに、運用マネージャや運用サブマネージャ、あるいはトレーダの操作する端末装置(不図示)を接続すればよい。
そして、本発明の手数料算出システムを適用する投資一任サービスの提供を受ける顧客は、個人投資家のみならず、機関投資家であってもよい。従って、例えば、上記の運用マネージャは、機関投資家とワン・ツー・ワンの運用マネージャであってもよい。