JP6561986B2 - 光学用フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし他方で、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の含有率の高いブロック共重合体水素化物は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位の含有率が低いブロック共重合体水素化物に比して、成形されたフィルム自身同士が擦れ合うことによるフィルム表面の傷が発生し易いという問題があった。
(1)芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が60:40〜90:10であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの製造方法であって、
前記ブロック共重合体水素化物[D]を押出し成形して得られる光学用フィルムと、少なくとも一方の表面部が、23℃における曲げ弾性率が1500MPa以下であり、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、23℃における剥離強度で0.1N/cm以下である樹脂[E]からなる保護フィルムとを、前記保護フィルムの樹脂[E]からなる表面部と前記光学用フィルムとが対向するように重ね合せて巻き取ることを特徴とする光学用フィルムの製造方法。
(2)前記保護フィルムが、前記樹脂[E]からなる単層フィルム、前記樹脂[E]からなる層を最表面に有する多層フィルム、又は、曲げ弾性率が1500MPaを超える樹脂[E]以外の樹脂からなるフィルムの両面に、樹脂[E]からなる層が形成されてなる多層フィルムである、(1)に記載の光学用フィルムの製造方法。
(3)前記樹脂[E]が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、及びポリエステルエラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、(1)又は(2)に記載の光学用フィルムの製造方法。
本発明の光学用フィルムの製造方法は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、全重合体ブロック[A]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、全重合体ブロック[B]のブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が60:40〜90:10であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの製造方法であって、
前記ブロック共重合体水素化物[D]を押出し成形して得られる光学用フィルムと、少なくとも一方の表面部が、23℃における曲げ弾性率が1500MPa以下であり、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、23℃における剥離強度で0.1N/cm以下である樹脂[E]からなる保護フィルムとを、前記保護フィルムの樹脂[E]からなる表面部と前記光学用フィルムとが対向するように重ね合せて巻き取ることを特徴とする。
本発明に用いるブロック共重合体水素化物[D]は、その前駆体であるブロック共重合体[C]の全不飽和結合の90%以上を水素化して得られる高分子である。
ブロック共重合体[C]は、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの重合体ブロック[B]を含有する高分子である。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位を主成分とするものである。
重合体ブロック[A]中の、芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。
重合体ブロック[A]中の芳香族ビニル化合物由来の構造単位が少な過ぎると、本発明に係る光学用フィルムの耐熱性が低下するおそれがある。
その含有量は、重合体ブロック[A]に対し、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
ブロック共重合体水素化物[D]に含まれる複数の重合体ブロック[A]同士は、上記の範囲を満足すれば互いに同じであっても、相異なっていても良い。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位を主成分とするものである。
重合体ブロック[B]中の、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
重合体ブロック[B]中の、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位が上記範囲にあると、本発明に係る光学用フィルムに柔軟性が付与される。
その含有量は、重合体ブロック[B]に対し、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。
重合体ブロック[B]中の、芳香族ビニル化合物由来の構造単位の含有量があまりに多くなると、本発明に係る光学用フィルムの複屈折発現性は低下するが、柔軟性が低下するおそれがある。
ブロック共重合体水素化物[D]が重合体ブロック[B]を複数有する場合、重合体ブロック[B]同士は、互いに同じであっても、相異なっていても良い。
ブロック共重合体[C]は、ブロック共重合体水素化物[D]の前駆体であり、分子内に、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、少なくとも1つの重合体ブロック[B]を含有する高分子である。
ブロック共重合体水素化物[D]は、上記のブロック共重合体[C]の主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、並びに芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化したものである。その水素化率は、通常90%以上、好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、成形体の耐候性、耐熱性及び低複屈折性が良好である。ブロック共重合体水素化物[D]の水素化率は、1H−NMRによる測定において求めることができる。
アルキル置換フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、ステアリルβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の単環のフェノール系酸化防止剤;2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4´−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2´−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2´−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、3,6−ジオキサオクタメチレンビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2´−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等の2環のフェノール系酸化防止剤;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等の3環のフェノール系酸化防止剤;テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等の4環のフェノール系酸化防止剤;等が挙げられる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、ブロック共重合体水素化物[D]100重量部に対して、通常0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.3重量部である。
本発明の光学用フィルムの製造方法は、前記ブロック共重合体水素化物[D]を押出し成形して得られる光学用フィルムと、少なくとも一方の表面部が、23℃における曲げ弾性率が1500MPa以下であり、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、23℃における剥離強度で0.1N/cm以下である樹脂[E]からなる保護フィルムとを、前記保護フィルムの樹脂[E]からなる表面部と前記光学用フィルムとが対向するように重ね合せて巻き取ることを特徴とする。
本発明の製造方法により製造される光学用フィルム(以下、「本発明の光学用フィルム」ということがある。)は、ブロック共重合体水素化物[D]からなる。
ここで、「ブロック共重合体水素化物[D]からなる」とは、「得られる光学用フィルムが、実質的にブロック共重合体水素化物[D]からなるものであり、本発明の目的を損なわない限り、他の配合剤を含有していてもよい」という意味である。本発明の光学用フィルムにおけるブロック共重合体水素化物[D]の含有量は、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、より好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。
この場合、例えば、ダイスリップの表面粗さRaの平均値が0.05μm以下で、かつダイスリップ全幅における表面粗さRaの分布の範囲が前記平均値の±0.025μm以下である面粗さの小さいダイスを使用することにより、前記の平均粗さRaを有する光学用フィルムの成形が可能となる。
本発明に用いる保護フィルムは、少なくとも一方の表面部が、23℃における曲げ弾性率が1500MPa以下であり、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、23℃における剥離強度で0.1N/cm以下である樹脂[E]からなるフィルムである。
ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに、上記の特定の物性を有する保護フィルム[E]を、前記保護フィルムの樹脂[E]からなる表面部と前記光学用フィルムとが対向するように重ね合せて巻き取ることにより、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルム自身同士が擦れ合うことによるフィルム表面の傷の発生を効果的に低減でき、また、保護フィルムを剥離する際にブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの表面に剥離跡が残り難くなる。 樹脂[E]の曲げ弾性率が1500MPaを超える場合は、それと接触するブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの表面に傷が付き易くなる。また、樹脂[E]のブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、剥離強度で0.1N/cmを超える場合は、樹脂[E]により表面が形成された保護フィルムをブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムから剥離する際に、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの表面に剥離跡が残り易くなる。
樹脂[E]の曲げ弾性率はJIS K 7171に準じて測定される値であり、剥離強度はJIS Z 0237に準じて測定される値である。
保護フィルムが、樹脂[E]からなる層を最表面に有する多層フィルム、又は、曲げ弾性率が1500MPaを超える樹脂[E]以外の樹脂からなるフィルムの両面に、樹脂[E]からなる層が形成されてなる多層のフィルムである場合、前記樹脂[E]からなる層の厚みは、通常、0.01〜100μm、好ましくは0.1〜50μmである。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体[C]及びブロック共重合体水素化物[D]の分子量は、THFを溶離液とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として、38℃において測定した。測定装置として、東ソー社製、HLC8020GPCを用いた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物[D]の主鎖、側鎖及び芳香環の水素化率は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
ブロック共重合体水素化物[D]をプレス成形して、長さ50mm、幅10mm、厚さ1mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS−K7244−4法に基づき、損失弾性率測定装置(製品名「DMS6100」、セイコーインスツル社製)を、粘弾性測定装置(製品名「ARES」、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)をそれぞれ使用して、−100℃から+150℃の範囲で、昇温速度5℃/分で粘弾性スペクトルを測定した。損失係数tanδの高温側のピークトップ温度から、ガラス転移温度を求めた。
保護フィルムに使用する樹脂[E]を射出成型して、長さ100mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作製した。この試験片を用いて、ストログラフ(製品名「V10−B」、東洋精機製作所社製)を用いて、JIS K 7171に準じて曲げ試験を行い、23℃における曲げ弾性率を測定した。
(5)粘着性
ブロック共重合体水素化物[D]からなるフィルムを重ねて、真空ラミネータを使用して厚さ1.1〜1.2mmの板を作製した。この板から、長さ125mm、幅50mmの剥離試験用の試験片を切り出した。長さ200mm、幅24mm、厚さ50μmの保護フィルムをブロック共重合体水素化物[D]からなる試験片に重ねて、温度50℃にて重さ2kgのローラーを使用して圧着し、剥離試験用の試験片を作製した。オートグラフ(製品名「AGS−10NX」、島津製作所社製)を使用して、フィルムの非粘着部位から、剥離速度100mm/分で、JIS Z 0237に準じて180°剥離試験を行い、23℃における剥離強度を測定した。
ブロック共重合体水素化物[D]からなるフィルムを切り出して試験片とし、カラー3Dレーザ顕微鏡(製品名「VK−9500」、キーエンス社製)を用いて、JIS B 0601:2001に準じて測定した。
(7)光学用フィルムの外観
ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムを巻き取ったロールからフィルム(尚、保護フィルムが有る場合は保護フィルムと共に)を引出し、長さ100cmのフィルム試験片を切り出した。ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの試験片(尚、保護フィルムが有る場合は保護フィルムを剥がして除去し)を偏光度99.5%の偏光板にクロスニコルで挟み、照度10,000ルクスのバックライトにより光を照射し、光の漏れ具合を目視観察し、光の漏れが認められない場合を○(良好)、光の漏れ箇所が認められる場合を×(不良)として評価した。
攪拌装置を備え、内部が十分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン50.0部、及び、ジ−n−ブチルエーテル0.475部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)0.62部を加えて重合を開始させ、さらに60℃で60分間全容を攪拌した。反応液をガスクロマトグラフィーにより測定したところ、この時点での重合転化率は99.5%であった。
次に、反応液に脱水イソプレン30.0部を加え、そのまま30分間攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99.5%であった。その後、更に、脱水スチレンを20.0部加え、60分間攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。
ここでイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて重合体溶液を得た。重合体溶液に含まれるブロック共重合体[C1]の重量平均分子量(Mw)は68,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=70:30であった。
次いで、上記溶液を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した後、円筒型濃縮乾燥器(製品名「コントロ」、日立製作所社製)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶液から溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。連続して溶融ポリマーを、濃縮乾燥器に連結した孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター製)により、温度260℃でろ過した後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押出し、冷却後、ペレタイザーによりブロック共重合体水素化物[D1]のペレット95部を得た。得られたペレット状のブロック共重合体水素化物[D1]の重量平均分子量(Mw)は72,200、分子量分布(Mw/Mn)は1.10、水素化率はほぼ100%であった。
スチレンとイソプレンを5回に分け、スチレン40.0部、イソプレン10.0部、スチレン25.0部、イソプレン10.0部及びスチレン15.0部をこの順に加える以外は参考例1と同様に重合反応を行い、反応を停止させて重合体溶液を得た。重合体溶液に含まれるブロック共重合体[C2]の重量平均分子量(Mw)は70,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.05、wA:wB=80:20であった。
スチレンとイソプレンを3回に分け、スチレン15.0部、イソプレン70.0部及びスチレン15.0部をこの順に加える以外は参考例1と同様に重合反応を行い、反応を停止させて重合体溶液を得た。重合体溶液に含まれるブロック共重合体[C3]の重量平均分子量(Mw)は65,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.04、wA:wB=30:70であった。
低密度ポリエチレン(製品名「ノバテック(登録商標)LF443」、日本ポリエチレン社製;射出成形品の曲げ弾性率170MPa;樹脂[E1])のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて、50℃で4時間加熱処理した。このペレットを、40mmφのスクリューを備えた押出し機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅600mm)、キャストロール及び二種の貼り合わせ用フィルム供給装置を備えた押出しラミネート成形機を使用して、貼り合わせ用フィルムは供給せずに、キャストロール面に押出し、低密度ポリエチレンの単層フィルム[F1](厚さ40μm)を押出し成形した。得られた保護フィルム[F1]は、スリッターで耳部を切除し、幅450mmにしてロール状に巻き取り回収した。
低密度ポリエチレンに代えて高密度ポリエチレン(製品名「ノバテック(登録商標)HY430」、日本ポリエチレン社製;射出成形品の曲げ弾性率1100MPa;樹脂[E2])のペレットを使用する以外は、参考例4と同様にして高密度ポリエチレンの単独フィルム(厚さ30μm、幅450mm)を成形し、ロール状に巻き取り回収した。
次に、同じ押出しラミネート成形機を使用し、40℃で、4時間熱風加熱処理を行ったエチレン・酢酸ビニル共重合体(製品名「ノバテック(登録商標)LV430」、酢酸ビニル含有率15重量%、日本ポリエチレン社製;射出成形品の曲げ弾性率45MPa;樹脂[E3])のペレットを、Tダイからキャストロール面上に、厚さ10μmとなるように押出した。エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムのキャストロールに接していない側の面に、フィルム供給装置から先に成形した高密度ポリエチレン(樹脂[E2])のフィルムを供給して貼り合わせ、二種2層の保護フィルム[F2](高密度ポリエチレン[E2](厚さ30μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体[E3](厚さ10μm);幅450mm)を作製した。
70℃で、4時間熱風加熱処理を行ったポリプロピレン(製品名「ノバテック(登録商標) FB3HAT」、日本ポリエチレン社製;射出成形品の曲げ弾性率1750MPa)のペレットを使用し、参考例5と同様にして、先にポリプロピレンの単独フィルム(厚さ30μm、幅450mm)を成形し、ロール状に巻き取り回収した。
次に、参考例5で使用したのと同じエチレン・酢酸ビニル共重合体(樹脂[E3])のペレットを使用し、参考例5と同様にして、Tダイからエチレン・酢酸ビニル共重合体を押出し、フィルム供給装置から先に成形したポリプロピレンのフィルムを供給して貼り合わせ、二種2層の保護フィルム[F3](ポリプロピレン(厚さ30μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体[E3](厚さ10μm);幅450mm)を作製した。
50℃で、4時間熱風加熱処理を行ったポリエチレンテレフタレート(製品名「「TRN−8550FF」、帝人社製;射出成形品の曲げ弾性率3200MPa)のペレットを使用し、参考例5と同様にして、先にポリエチレンテレフタレートの単独フィルム(厚さ30μm、幅450mm)を成形し、ロール状に巻き取り回収した。
次に、参考例5で使用したのと同じエチレン・酢酸ビニル共重合体(樹脂[E3])のペレットを使用し、参考例5と同様にして、Tダイからエチレン・酢酸ビニル共重合体を押出し、フィルム供給装置から先に成形したポリエチレンテレフタレートのフィルムを供給して貼り合わせ、二種2層の保護フィルム[F4](ポリエチレンテレフタレート(厚さ30μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体[E3](厚さ10μm);幅450mm)を作製した。
化物[D1]及び[D2]に対する粘着性を表1に示した。
参考例5で使用したのと同じエチレン・酢酸ビニル共重合体(樹脂[E3])のペレットを使用し、参考例5と同様にして、Tダイからエチレン・酢酸ビニル共重合体を押出し、フィルム供給装置から参考例7で成形したポリエチレンテレフタレート/エチレン・酢酸ビニル共重合体の二種2層のフィルムを供給して貼り合わせ、二種3層の保護フィルム[F5](エチレン・酢酸ビニル共重合体[E3](厚さ10μm)/ポリエチレンテレフタレート(厚さ30μm)/エチレン・酢酸ビニル共重合体[E3](厚さ10μm);幅450mm)を作製した。
参考例4で使用したのと同じ低密度ポリエチレン(樹脂[E1])のペレットを使用し、参考例5と同様にして、先に低密度ポリエチレンの単独フィルム(厚さ30μm、幅450mm)を成形し、ロール状に巻き取り回収した。
次に、参考例5で使用したエチレン・酢酸ビニル共重合体に代えて参考例3で作成したブロック共重合体水素化物[D3](射出成形品の曲げ弾性率110MPa)のペレットを使用し、参考例5と同様にして、Tダイからブロック共重合体水素化物[D3]を押出し、フィルム供給装置から先に成形した低密度ポリエチレンのフィルムを供給して貼り合わせ、二種2層の保護フィルム[F6](低密度ポリエチレン(厚さ30μm)/ブロック共重合体水素化物[D3](厚さ10μm);幅450mm)を作製した。
(1)低密度ポリエチレン
製品名「ノバテック(登録商標)LF443」、日本ポリエチレン社製
(2)高密度ポリエチレン
製品名「ノバテック(登録商標)HY430」、日本ポリエチレン社製
(3)エチレン・酢酸ビニル共重合体
製品名「ノバテック(登録商標)LV430」、酢酸ビニル含有率15重量%、日本ポリエチレン社製
(4)ポリプロピレン
製品名「ノバテック(登録商標)FB3HAT」、日本ポリエチレン社製
(5)ポリエチレンテレフタレート
製品名「TRN−8550FF」、帝人社製
参考例1で得られたブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて70℃で、4時間加熱処理を行った。この加熱処理後のペレットを使用し、リーフディスク形状のポリマーフィルター(ろ過精度10μm)を設置した40mmφのスクリューを備えた単軸押出し機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅600mm)、キャストロール(直径250mm)及び保護フィルム供給装置を備えたフィルム成形機を用いて、樹脂温度250℃、キャストロール温度105℃、引取り速度0.35m/sの条件で溶融押出し成形し、光学用フィルム[G1]を成形した。
得られた光学用フィルム[G1]は、スリッターで耳部を切除し、幅450mmにして保護フィルムは使用せずにロール状に巻き取り回収した。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、比較例1と同様にして溶融押出し成形し、光学用フィルム[G2]を成形した。得られた光学用フィルム[G2]は、スリッターで耳部を切除し、幅450mmにして、参考例4で作製した保護フィルム[F1]を重ねてロール状に巻き取った。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、実施例1と同様にして光学用フィルム[G3]を成形し、参考例5で作製した保護フィルム[F2]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G3]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、実施例1と同様にして光学用フィルム[G4]を成形し、参考例6で作製した保護フィルム[F3]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G4]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、実施例1と同様にして光学用フィルム[G5]を成形し、参考例7で作製した保護フィルム[F4]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G5]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、実施例1と同様にして光学用フィルム[G6]を成形し、参考例8で作製した保護フィルム[F5]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G6]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットを使用し、実施例1と同様して光学用フィルム[G7]を成形し、参考例9で作製した保護フィルム[F6]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G7]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、比較例1と同様にして光学用フィルム[G8]を成形し、保護フィルムを使用せずにロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから比較例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G8]の表面粗さRa及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G9]を成形し、参考例4で作製した保護フィルム[F1]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G9]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G10]を成形し、参考例5で作製した保護フィルム[F2]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G10]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G11]を成形し、参考例6で作製した保護フィルム[F3]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G11]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G12]を成形し、参考例7で作製した保護フィルム[F4]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G12]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G13]を成形し、参考例8で作製した保護フィルム[F5]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G13]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D1]のペレットに代えて参考例2で作成したブロック共重合体水素化物[D2]を使用する以外は、実施例1と同様にして光学用フィルム[G14]を成形し、参考例9で作製した保護フィルム[F6]を重ねてロール状に巻き取った。ロール状に巻き取ったフィルムから実施例1と同様にして試験片を採取し、光学用フィルム[G14]の表面粗さRaの測定及び外観の評価を行った。評価結果を表2に示す。
ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムは、特定の値以下の曲げ弾性率有し、且つ、粘着性の低い樹脂により表面が構成された保護フィルムを接触させてロール状に巻いた場合に擦り傷の発生を抑止できる(実施例1〜6)。
一方、ブロック共重合体水素化物[D]から成形された光学用フィルムは、単独でロール状に巻き取ると、擦り傷が発生する(比較例1、比較例5)。
片方の面が、曲げ弾性率が十分低い樹脂からなるものであるが、特定値以上の粘着性を有するものであって、もう片方の面が、特定値以下の粘着性を有するものであるが、曲げ弾性率が大きい樹脂からなるものである保護フィルムを使用した場合は、擦り傷は抑止できず、かつ、保護フィルムを剥離した際の剥離跡が生じ、偏光板にクロスニコルで挟んだ際に光漏れが生じる(比較例2、3、7)。
曲げ弾性率が十分低い樹脂からなる保護フィルムを使用しても、ブロック共重合体水素化物[D]の光学用フィルムに対して特定値以上の粘着性を有する保護フィルムを使用した場合は、擦り傷は抑止できるが、保護フィルムを剥離した際の剥離跡が生じ、偏光板にクロスニコルで挟んだ際に光漏れが生じる(比較例4、比較例8)。
また、ブロック共重合体水素化物[D]の光学用フィルムは、それより低い曲げ弾性率を有する樹脂からなる保護フィルムと接触させてロール状に巻いた場合でも擦り傷が発生する場合がある(比較例6;曲げ弾性率:「D2」>ポリプロピレン)。
本発明の製造方法により得られる光学用フィルムは、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、透明粘着フィルム用の基材フィルム、輝度向上フィルム、透明導電フィルム、タッチパネル用基板、液晶基板、光拡散シート、プリズムシート等として好適である。
Claims (3)
- 芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも2つの重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする、少なくとも1つの重合体ブロック[B]とからなり、
前記重合体ブロック[B]中の、鎖状共役ジエン化合物由来の構造単位の含有量が、70重量%以上であり、
ブロック共重合体全体に含まれるすべての重合体ブロック[A]の前記ブロック共重合体全体に占める重量分率をwAとし、前記ブロック共重合体全体に含まれるすべての重合体ブロック[B]の前記ブロック共重合体全体に占める重量分率をwBとしたときに、wAとwBとの比(wA:wB)が60:40〜90:10であるブロック共重合体[C]の、全不飽和結合の90%以上を水素化したブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムの製造方法であって、
前記ブロック共重合体水素化物[D]を押出し成形して得られる光学用フィルムと、少なくとも一方の表面部が、23℃における曲げ弾性率が1500MPa以下であり、ブロック共重合体水素化物[D]からなる光学用フィルムに対する粘着性が、23℃における剥離強度で0.1N/cm以下である樹脂[E]からなる保護フィルムとを、前記保護フィルムの樹脂[E]からなる表面部と前記光学用フィルムとが対向するように重ね合せて巻き取ることを特徴とする光学用フィルムの製造方法。 - 前記保護フィルムが、前記樹脂[E]からなる単層フィルム、前記樹脂[E]からなる層を最表面に有する多層フィルム、又は、曲げ弾性率が1500MPaを超える樹脂[E]以外の樹脂からなるフィルムの両面に、樹脂[E]からなる層が形成されてなる多層フィルムである、請求項1に記載の光学用フィルムの製造方法。
- 前記樹脂[E]が、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、及びポリエステルエラストマーからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の光学用フィルムの製造方法。
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