以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.構成]
図1に示す車載装置10とは、自車両1に搭載され、自車両1の周辺に存在する一又は複数の通信車両7に搭載された他車載装置70との間で、車車間通信を行う装置である。自車両1の周辺とは、電波の届く通信エリア内をいう。
他車載装置70とは、自車両1以外の車両に搭載された車載装置10をいう。通信車両7とは、他車載装置70が搭載された、自車両1以外の車両をいう。
車載装置10は、GPS受信機11と、周辺検出部12と、車速センサ13と、方向指示器センサ14と、地図データ記録部15と、入力部16と、運転支援実行部17と、通信部18と、制御部20とを備える。
GPS受信機11は、GPS衛星から自車両1の位置を検出するための位置情報を取得する。
周辺検出部12は、レーダ装置121と画像センサ122とを備える。
レーダ装置121は、周辺物体を検出する。周辺物体とは、例えば、車両や歩行者や固定物等のような、自車両1の周辺に存在する物体をいう。以下では、車両を周辺物体として検出する例について説明する。
レーダ装置121は、レーザレーダ装置であるが、ミリ波レーダ装置であってもよい。レーダ装置121は、例えば、自車両1から周辺物体までの距離と、自車両1の進行方向を基準とする周辺物体の方位と、周辺物体の相対速度とを検出する。方位は絶対方位で表される。
画像センサ113は、自車両1の周辺を撮影し、撮像した画像を表す画像データに基づき、周知の画像認識技術によって、周辺物体を認識する。画像センサ113は、例えば、自車両1から周辺物体までの距離と、自車両1の進行方向を基準とする周辺物体の方位と、周辺物体の相対速度とを検出する。方位は絶対方位で表される。
車速センサ13は、自車両1の速度を検出する。
方向指示器センサ14は、自車両1の方向指示器が右折のために操作された状態、左折のために操作された状態、非常点滅表示灯のために操作された状態、及び操作されていない状態のいずれの操作状態であるかを検出する。
地図データ記録部15には、車両の走行可能な道路が示された地図を表す地図データが予め記憶されている。
また、地図データ記録部15には、道路における交差点の位置を表すデータである交差点データが交差点ごとに予め記録されている。交差点とは、複数の道路が交差する交差領域のことをいう。
交差点データは、交差点すなわち交差領域の端部における複数の位置を、緯度及び経度によって表したデータである。交差点データは、例えば図2に示すように、交差点端部Tの位置と、車線幅端部Sの位置とを表すデータを少なくとも含む。
交差点端部Tとは、交差点Oの角の部分、すなわち交差領域の角の部分をいう。図2では、交差点Oにおいて2つの道路が交差するため、交差点データには4カ所の交差点端部T1〜T4の位置が含まれる。
車線幅端部Sとは、道路の幅方向に沿って各交差点端部Tを直線で結んだときの道路の幅方向における略中央の点をいう。図2では、交差点Oにおいて2つの道路が交差するため、交差点データには4カ所の車線幅端部S1〜S4の位置が含まれる。
図1に戻り説明を続ける。入力部16は、運転者からの入力を受け付け、該入力を表す信号を制御部20へ出力する。
運転支援実行部17は、制御部20からの運転操作を支援する出力に従って、運転について予め定められた支援を行うための各種装置を備える。運転操作を支援する出力とは、例えば、運転者に注意を促すための各種警報や画像を出力させたり、自動運転を行わせたりというように、車両を運転する運転者による運転操作を支援するための指令をいう。自動運転とは、車両の状態や車両の周囲の状況に基づいて車両の運転操作を運転者に代わって行うものである。各種警報には警告音や警告メッセージが含まれていてもよい。
運転支援実行部17は、少なくとも、スピーカ171と表示装置172とを備える。スピーカ171は聴覚的に運転者の注意を喚起する。表示装置172は画像や文字を表示する。
通信部18は、他車載装置70との間で車車間通信を実行するために、制御部20から出力された送信データを無線通信により送信し、また、無線通信により受信した受信データを制御部20へ出力する。
車車間通信を実行する機能を備えない車両、すなわち、通信部18のような装置を備えない車両を、非通信車両9というものとする。図1には、自車両1の周辺に、1台の非通信車両9と2台の通信車両7A、7Bとが存在する例が模式的に示されている。自車両1は、通信部18によって、通信車両7A、7Bとの車車間通信が可能であるが、非通信車両9とは車車間通信を行うことができない。
以下では、複数存在する構成を区別して説明するときは、通信車両7A、他車載装置70Aというように符号の後にアルファベットを付し、区別しない場合はアルファベットを付さないものとする。
制御部20は、CPU201と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ部202)とを有する、周知のマイクロコンピュータを中心に構成される。
制御部20は、メモリ部202に記録されたプログラムに従って、車両の運転を支援するための各種機能を実現する。このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。なお、制御部20を構成するマイクロコンピュータの数は1つでも複数でもよい。
制御部20は、CPU201によるプログラムの実行により、少なくとも、運転支援処理を実行する。また、制御部20は、運転支援処理と並行して、定期送信処理、定期受信処理等を実行する。これらの処理を実行する制御部20を実現する手法はソフトウェアに限るものではなく、その一部又は全部の要素を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて実現してもよい。
定期送信処理及び定期受信処理は、車車間通信を実行するための予め定められた規定である車車間通信規定に従って、車車間通信を実行する当該車載装置10のような装置が定期的に行う処理である。
ここで、車車間通信で用いられるデータフォーマットについて説明する。データフォーマットは、車車間通信規定において予め定められている。一例として、データフォーマットでは、図3に示すように、送信元ID部と、受信先ID部と、情報部とが設定されている。
送信元ID部には、車車間通信における送信元である車両の車両IDが格納される。車両IDは、車両毎に、それぞれの車両を識別可能なように予め設定されており、メモリ部202に予め記録されている。
受信先ID部は、車車間通信における受信先として指定する車両の車両IDを格納する部分である。例えば、受信先ID部には、一又は複数の車両のIDが格納されてよい。なお、受信先として特に指定する車両が無い場合、受信先ID部には車両IDが格納されなくてもよい。
情報部は、車車間通信により送信しようとする情報を格納する部分である。
前述の定期送信処理は、車車間通信規定に従って例えば数ミリ秒毎というように予め定められた周期で、自車両情報を車車間通信により送信する機能を実現する。
自車両情報とは、自車両1についての情報であり、例えば、自車両1の車両ID、位置、車速、加速度、進行方向、及びこれらの情報が取得された時刻等が含まれる。
前述の定期受信処理は、自車両1の周辺に存在する通信車両7に搭載されている他車載装置70から、車車間通信規定に従って定期送信処理によって送信された通信車両情報を受信する機能を実現する。なお、他車載装置70は車載装置10と同様の構成であるものとする。
通信車両情報とは、通信車両7に搭載された他車載装置70が該他車載装置70によって取得した該通信車両7についての情報であり、例えば、通信車両7の車両ID、位置、車速、加速度、進行方向、及びこれらの情報が取得された時刻等が含まれる。
定期受信処理では、通信部18から受信した受信信号からデータフォーマットに応じて通信車両情報を抽出し、抽出した通信車両情報をメモリ部202に記録する。ここで、定期受信処理では、受信した通信車両情報を、情報の送信元である通信車両7を表す車両ID毎に、メモリ部202に記録する。
また、定期受信処理では、他車載装置70から定期送信処理によって送信された通信車両情報を新たに受信するたびに、メモリ部202に車両ID毎に記録されている通信車両情報を上書きする。
また、定期受信処理では、通信車両情報を受信してから所定期間の間に新たな通信車両情報を受信しない他車載装置70については、該他車載装置70を搭載する通信車両7に対応する車両IDと、該車両IDについて記録されていた情報とを、メモリ部202から削除する。
なお、このような定期送信処理、定期受信処理の内容は、一例であって、データフォーマットや送信及び受信の周期等の詳細とともに、適用される車車間通信規定に応じて適宜設定されてよい。
他車載装置70は、前述のように、自車両1以外に搭載される車載装置10である。自車両1に搭載される車載装置10と区別するために、この車載装置10を他車載装置70と記載している。つまり、他車載装置70は図1に示す車載装置10と同様に構成されており、他車載装置70における制御部20が特許請求の範囲における他車載制御装置に相当する。
[1−2.処理]
[1−2−1.運転支援処理]
制御部20が実行する運転支援処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。運転支援処理は、自車両1が注意領域内に位置している場合に、車車間通信により周辺の他車載装置70に対して後述する物体情報を要求し、他車載装置70から受信した物体情報に基づいて自車両1の運転支援を行う処理である。物体情報とは、周囲物体の位置を含む情報をいう。周囲物体の位置は、緯度及び経度で表される。周囲物体とは、他車載装置70の周囲に存在する車両をいう。
また、運転支援処理は、注意領域内に位置している通信車両7に搭載された他車載装置70から周辺情報を要求された場合に、要求に応じた周辺情報を送信する処理である。周辺情報とは、周辺物体に関する情報をいう。周辺物体とは、自車両1の周辺に位置する他の車両をいう。
運転支援処理は、イグニッションスイッチがオンされている間、繰り返し実行される。なお、以下の説明において文中の主語が省略されている場合、制御部20を主語とする。
はじめに、ステップ(以下、Sで表す)5では、自車両情報を取得する。自車両情報とは、例えば、車両ID、位置、車速、加速度、進行方向、及びこれらの情報が取得された時刻等のような、自車両1に関する情報をいう。
本ステップでは、自車両1の車両IDをメモリ部202から取得する。自車両1の位置をGPS受信機11からの位置情報に基づいて特定する。車速を車速センサ13から取得する。加速度を車速センサ13から取得した車速に基づいて演算する。自車両1の進行方向を、周辺検出部12からの出力に基づいて演算する。進行方向は、東、西、南、北というように、絶対方位で表される。
S10では、周辺検出部12からの出力に基づく周辺情報を取得する。周辺情報とは、前述のように、自車両1の周辺に位置する他の車両に関する情報である。言い換えれば、物体情報を要求する車両(ここでいう自車両1)の周辺に位置する他の車両に関する情報である。ここでいう他の車両には、通信車両7及び非通信車両9の両方が含まれる。周辺情報には、周辺物体である車両の位置、車速、加速度、進行方向、及びこれらの情報が取得された時刻が含まれる。本ステップが実行された時刻を、これらの情報が取得された時刻とする。
周辺物体の位置は、S5にて特定された緯度及び経度で表された自車両1の位置と、周辺検出部12からの出力である自車両1を基準とする周辺物体の方位及び相対距離と、に基づいて演算され、緯度及び経度で表される。
また、周辺物体の車速及び加速度は、周辺検出部12からの出力に基づいて演算される周辺物体の自車両1に対する相対速度とS5にて特定された自車両1の車速とに基づいて演算される。
また、周辺物体の進行方向は、S5にて特定された自車両1の進行方向と、前述の自車両1を基準とする周辺物体の方位とに基づいて演算される。進行方向は、絶対方位で表される。
S15では、S10にて取得された自車両情報を車車間通信により自車両1の周辺へ送信する。具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を特に指定せず、自車両情報を送信するように、データフォーマットに従った送信データを生成する。そして、通信部18に該送信データを出力する。これにより、通信部18に送信データを送信させる。なお、本ステップは、前述の定期送信処理の一例に相当する。
S20では、通信車両情報をメモリ部202から取得する。通信車両情報は、前述の定期受信処理によりメモリ部202に記録されている情報であり、自車両1の周辺に位置する通信車両7に搭載された他車載装置70から送信された該通信車両7に関する情報である。
S25では、S5にて取得された自車両1の位置に基づいて、注意領域内に自車両1が到達したか否かを判断する。到達とは、注意領域内に自車両1が位置することをいう。
注意領域とは、該領域内では、該領域外を走行しているときよりも、他の車両との接近に注意して自車両1を走行させる必要がある領域をいう。接近とは、例えば、自車両1と他の車両との衝突のおそれが有り得るくらいの接近をいう。注意領域は、交差点ごとに予め定められている領域である。例えば図2に示すように、注意領域Pは、交差点Oにおいてそれぞれの道路が交差する交差領域と、該交差領域の周囲において予め定められた交差点手前領域Rとを含む領域として、交差点ごとに予め定められている。
交差点手前領域Rとは、交差点Oにおいてそれぞれの道路が交差する交差領域から交差領域外へ予め定められた注意距離D(m)離れた位置までの帯状の領域である。注意距離D(m)は数m〜十数m程度に定められており、メモリ部202に予め記録されている。
図4に戻り説明を続ける。S25において、自車両1が注意領域Pに到達した場合は処理をS30へ移行させ、注意領域Pに到達していない場合は処理をS50へ移行させる。
S30では、物体情報要求処理を実行する。物体情報要求処理は、車載装置10の周辺に位置する一又は複数の他車載装置70に対して、車車間通信により物体情報を要求する処理である。
物体情報とは、他車載装置70の周囲に存在する物体である周囲物体の位置を含む情報である。前述のように、他車載装置70は車載装置10と同様に構成されているため、車載装置10が搭載された自車両1の周辺の物体である周辺物体、及び該周辺物体に関する情報である周辺情報と区別するために、物体情報を要求された他車載装置70の周辺の物体を周囲物体といい、該周囲物体についての情報を物体情報という。
S35では、S30にて送信した物体情報の要求に応じて他車載装置70から車車間通信により送信される物体情報を取得する。物体情報には一または複数の車両に関する物体情報が含まれている。本ステップでは、取得した物体情報から車両ID毎の物体情報を抽出し、車両ID毎に物体情報をメモリ部202に記録する。
S40では、物体情報受信通知を、物体情報の送信元である他車載装置70へ送信する。物体情報受信通知は、自車両1が物体情報を受信したことを表す通知である。
本ステップでは、送信元を自車両1とし、受信先を物体情報の送信元である他車載装置70が搭載された通信車両7として、物体情報受信通知を送信するように、送信データを生成する。そして生成した送信データを通信部18に出力する。物体情報の送信元である通信車両7の車両IDは、物体情報を受信した際の受信データにおける送信元ID部に格納されている車両IDから特定される。これにより、物体情報受信通知が物体情報の送信元である他車載装置70へ送信される。
S45では、運転支援実行処理を実行する。運転支援実行処理は、S35にて取得した物体情報に含まれる周囲物体の位置に基づいて、自車両1の運転操作を支援する出力を行う処理である。そして、運転支援実行処理の終了後、本運転支援処理を終了する。
S25にて自車両1が注意領域Pに到達していないと判断された場合(S25;NO)に移行するS50では、他車載装置70から、車載装置10に対して、周辺情報が要求されたか否かを判断する。具体的には、通信部18を介して受信した受信データの情報部に、周辺情報を要求する内容が含まれている場合に、周辺情報が要求されたと判断する。周辺情報が要求された場合は処理をS55へ移行させ、要求されていない場合は本運転支援処理を終了する。
なお、前述のように他車載装置70は車載装置10と同様に構成されているため、他車載装置70が注意領域Pに到達した場合に、自車両1に周辺情報が要求される。
S55では、周辺情報要求受信通知を、該周辺情報の要求の送信元である他車載装置70へ送信する。周辺情報要求受信通知は、周辺情報の要求を受信したことを表す通知である。
具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を周辺情報の要求元である他車載装置70が搭載された通信車両7とし、周辺情報受信通知を送信するように送信データを生成する。そして、生成した送信データを通信部18へ出力する。
S60では、周辺情報送信処理を実行する。周辺情報送信処理は、他車載装置70から周辺情報を要求された際に、要求の態様に応じて、S10にて取得した周辺情報のうち少なくとも一部を送信する処理である。周辺情報送信処理の実行を終了すると、処理をS65へ移行させる。
S65では、不要通知を受信したか否かを判断する。不要通知とは、周辺情報を要求した他車載装置70が該周辺情報の要求を中止する際に該他車載装置70から送信される通知である。他車載装置70から受信した受信データに不要通知が含まれている場合に、不要通知を受信したと判断する。不要通知を受信していない場合は処理をS60へ移行させ、受信した場合は本運転支援処理を終了する。
つまり、本運転支援処理では、自車両1が注意領域Pに到達している間は、繰り返し、他車載装置70に対して物体情報を要求するとともに、該要求に応じて車車間通信により他車載装置70から取得した物体情報に基づいて、自車両1の運転操作を支援する出力を行う。
また、本運転支援処理では、自車両1が注意領域P内から注意領域P外に到達した場合は、他車載装置70への物体情報の要求を中止する。これにより、自車両1からの要求に応じて物体情報を送信していた他車載装置70から、該物体情報の送信が中止される。
また、本運転支援処理では、自車両1が注意領域P外に位置している間は、他車載装置70が注意領域Pに到達した場合に該他車載装置70から周辺情報を要求された際は、不要通知を受信するまでの間、取得した周辺情報のうち少なくとも一部を繰り返し送信する。
[1−2−2.物体情報要求処理]
次に、運転支援処理のS30にて実行される物体情報要求処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
物体情報要求処理では、予め定められた第1の要求態様〜第4の要求態様のうちのいずれかの要求態様で、自車両1の周辺に位置する他車載装置70に、物体情報を要求する。
なお、制御部20は、イグニッションスイッチがオンされた際に、入力部16によって、第1の要求態様〜第4の要求態様のうちいずれかの態様を運転者に選択させる処理を物体情報要求処理とは別の処理として行う。この処理において、制御部20は、運転者による選択結果が入力部16を介して入力されると、該選択結果をメモリ部202に記録する。また、制御部20は、選択結果として、第1の要求態様が運転者によって選択された場合に要求フラグを1に設定し、第2、第3、第4の要求態様が運転者によって選択された場合に、要求フラグを2、3、4に設定する。
S105では、方向指示器センサ14からの出力に基づいて、自車両1が左折をしようとしているか否かを判断する。左折をしようとしている場合は処理をS110へ移行させ、左折でない場合、すなわち右折または直進しようとしている場合は処理をS115へ移行させる。
S110では、自車両1が左折をしようとしている場合の監視領域として右監視領域を設定する。
監視領域とは、注意領域Pに近づく他の車両であって、注意領域Pに到達している自車両1に接近し得る他の車両が位置する領域として、注意領域Pごとに予め定められた領域をいう。ここでいう接近とは、例えば、自車両1との衝突のおそれがあり得るくらいの接近をいう。他の車両とは、通信車両7及び非通信車両9の両方を含む。
自車両1が左折をしようとしている場合は、右監視領域を監視領域として設定する。図6に示すように、右監視領域MKは、自車両1が左折する際に、自車両1の進行方向に対して右側となる領域である。つまり、右監視領域MKとは、左折しようとする自車両1に接近、衝突するおそれのある他の車両が位置する領域である。
具体的には、右監視領域MKは、自車両1が左折して走行する車線における領域であって、図6では、交差点端部T4と、車線幅端部S4と、交差点端部T4から監視距離K離れた点KT4と、車線幅端部S4から監視距離K離れた点KS4とを結ぶ矩形の領域に設定される。
監視領域距離Kは、例えば数十mから百m程度の値であり、予めメモリ部202に記録されている。ただし、監視領域距離Kの値はこれに限るものではなく、車載装置10に応じて、適宜設定されてよい。
本ステップでは、メモリ部202に記録されている交差点端部T4と車線幅端部S4との位置と監視距離Kに基づいて、緯度及び経度で表された点KT4及び点KS4の位置を演算により求める。そして、緯度及び経度で表された、右監視領域MKのこれら四隅の点T4、点S4、点KT4、点KS4の位置を右監視領域MKを表す情報としてメモリ部202に記録する。また、該右監視領域MKを表す情報を、監視領域KRを表す情報としてメモリ部202に記録する。
S115では、自車両1が右折または直進しようとしている場合の監視領域KRを左右監視領域に設定する。
図7に示すように、左右監視領域SKは、自車両1が右折または直進しようとする際に、自車両1の進行方向に対して右側及び左側となる領域である。つまり、左右監視領域SKとは、右折または直進しようとする自車両1に接近、衝突するおそれのある他の車両が位置する領域である。
左右監視領域SKは、前述の右監視領域MKと、左監視領域HKとを含む。左監視領域HKは、自車両1が右折または直進しようとする際に、自車両1の進行方向に対して左側となる領域である。具体的には、左監視領域HKは、自車両1が右折した後に走行する車線における領域であって、交差点端部T2と、車線幅端部S2と、交差点端部T2から監視距離K離れた点KT2と、車線幅端部S2から監視距離K離れた点KS2とを結ぶ矩形の領域に設定される。
本ステップでは、メモリ部202に記録されている交差点端部T2と車線幅端部S2との位置と監視距離Kに基づいて、緯度及び経度で表された点KT2及び点KS2の位置を演算により求める。そして、緯度及び経度で表された、左監視領域HKのこれら四隅の点T2、点S2、点KT2、点KS2の位置を、左監視領域HKを表す情報としてメモリ部202に記録する。
また、左右監視領域SKを表す情報としては、該左監視領域HKを表す情報と、前述と同様に算出する右監視領域MKを表す情報との両方を、メモリ部202に記録する。また、監視領域KRを表す情報として、該左右監視領域SKを表す情報をメモリ部202に記録する。
S120では、メモリ部202から要求フラグを取得する。
S130では、要求フラグFが1であるか否かを判断する。要求フラグFが1である場合に処理をS160へ移行させ、要求フラグが1でない場合に処理をS135へ移行させる。
S135では、要求フラグFが2であるか否かを判断する。要求フラグFが2である場合に処理をS165へ移行させ、要求フラグが2でない場合に処理をS140へ移行させる。なお、ここでいう要求フラグが2でない場合とは、要求フラグが3または4である場合をいう。
要求フラグFが3または4である場合に移行するS140では、自車両1の周辺に存在する他車載装置70ごとの、物体検出範囲を取得する。物体検出範囲とは、それぞれの他車載装置70が備える周辺検出部12によって、該他車載装置70の周辺の物体を検出することのできる範囲をいう。物体検出範囲は、他車載装置70が搭載された通信車両7の進行方向を中心とした予め定められた角度範囲で表されている。なお、本実施形態では、他車載装置70は車載装置10と同様の構成であるため、車載装置10及び他車載装置70における物体検出範囲は、同様の値に設定されている。物体検出範囲はメモリ部202に予め記録されている。
S145では、物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70を特定する。そして、物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70が搭載される通信車両7の車両IDを特定車両IDとしてメモリ部202に記録する。ここで、物体検出範囲内に監視領域KRを含むとは、物体検出範囲内に監視領域KRの少なくとも一部を含むことをいう。
本ステップでは、物体検出範囲内に監視領域KRを含むか否かを、他車載装置70を搭載する通信車両7の位置及び進行方向と、他車載装置70の物体検出範囲と、に基づいて特定する。なお、通信車両7の位置及び進行方向については、メモリ部202に記録されている通信車両情報から取得する。他車載装置70の物体検出範囲については、メモリ部202に予め記録されている値を取得する。
物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70を特定する例を、図8を用いて説明する。図8では、注意領域Pに到達した自車両1の周辺に、複数の通信車両7及び非通信車両9が存在する例を示している。
ここで、自車両1が左折しようとしている場合であれば、物体検出範囲内に監視領域KRとしての右監視領域MKの少なくとも一部を含むので、通信車両7Aに搭載される他車載装置70Aと通信車両7Bに搭載される他車載装置70Bとが、物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70として特定される。
一方、自車両1が右折、または直進しようとしている場合であれば、物体検出範囲内に監視領域KRとしての左右監視領域SK(右監視領域MK及び左監視領域HK)の少なくとも一部を含むので、通信車両7Aに搭載される他車載装置70Aと通信車両7Bに搭載される他車載装置70Bとが、物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70として特定される。
なお、図8の例では、左折、右折または直進のいずれの場合においても、通信車両7A及び7Bの車両IDが特定車両IDとしてメモリ部202に記録される。
S150では、要求フラグFが3であるか否かを判断する。要求フラグFが3である場合に処理をS170へ移行させ、要求フラグが3でない場合に処理をS155へ移行させる。
S155では、特定車両IDに対応する通信車両7と監視領域KRの位置とに基づいて、相対位置を特定する。相対位置とは、特定車両IDに対応する通信車両7の位置に対する監視領域KRの位置をいう。
相対位置は、図9に示すように、特定車両IDに対応する通信車両7、すなわち図9における通信車両7Aの位置を基点として監視領域KRを含む角度範囲である相対角度範囲θSに基づいて表される。具体的には、相対位置は、相対角度範囲θSの範囲内と範囲外とを区分する2つの区分線P1、P2のそれぞれが、特定車両IDに対応する通信車両7の進行方向Pに対してなす角度である相対位置角度θP1、θP2で表される。これらの相対位置角度θP1、θP2が、相対位置を表す情報として、メモリ部202に記録される。ここでは、図9では通信車両7Aを特定車両として相対位置を説明したが、他の特定車両についても同様に設定される。
図5に戻り説明を続ける。要求フラグが1である場合に移行するS160では、第1の要求態様で送信データを生成し、処理をS180へ移行させる。第1の要求態様とは、自車両1の周辺に位置する他車載装置70に対して、特別に何かを指定すること無く、物体情報を要求する態様である。つまり、自車両1の周辺に位置する他車載装置70に対して、該他車載装置70が検出した物体情報をそのまま送信するように要求する態様である。
具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を特に指定せず、物体情報を要求する送信データを生成する。
要求フラグが2である場合に移行するS165では、第2の要求態様で送信データを生成し、処理をS180へ移行させる。第2の要求態様とは、自車両1の周辺に位置する他車載装置70に対して、監視領域KRを指定して、監視領域KR内の物体情報を要求する態様である。
具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を特に指定せず、監視領域KR内の物体情報を要求する指示と監視領域KRを表す情報とを含む送信データを生成する。監視領域KRを表す情報は、メモリ部202から取得する。
要求フラグが3である場合に移行するS170では、第3の要求態様で送信データを生成し、処理をS180へ移行させる。第3の態様とは、物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70を指定して物体情報を要求する態様である。
具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を特定車両IDに対応する他車載装置70とし、監視領域KR内の物体情報を要求する指示と該監視領域KRを表す情報とを含む送信データを生成する。特定車両ID及び監視領域KRを表す情報は、メモリ部202から取得する。
要求フラグが4である場合に移行するS175では、第4の要求態様で送信データを生成し、処理をS180へ移行させる。第4の態様とは、特定車両IDに対応する通信車両7に搭載された他車載装置70について、相対位置を指定して物体情報を要求する態様である。
具体的には、送信元を自車両1とし、受信先を特定車両IDに対応する通信車両7とし、特定車両IDに対応する通信車両7に搭載された他車載装置70ごとに相対位置を指定し、相対位置に基づいて特定される相対角度範囲θS内の周囲物体についての情報を物体情報として要求する送信データを生成する。相対位置を表す情報は、メモリ部202から取得する。
S180では、通信部18に、生成された送信データを送信させる指示を出力する。そして、本物体情報要求処理を終了する。
これにより、例えば図8に示すように自車両1の周辺に車両が存在している場合に、他車載装置70からは、次に説明するように、車載装置10からの物体情報の要求態様に応じた物体情報が送信される。
車載装置10が第1の要求態様で物体情報を要求したときは、通信車両7に搭載された他車載装置70Aから、非通信車両9e、9f、9g、9hを周囲物体とする物体情報が送信される。また、通信車両7Bに搭載された他車載装置70Bから、非通信車両9g、9i、9jを、周囲物体とする物体情報が送信される。また、図示されていないが、通信車両7C、7Dからも、該通信車両7C、7Dに搭載された他車載装置70C、70Dが検出した周囲物体についての物体情報が送信される。
車載装置10が第2の要求態様で物体情報を要求したときは、通信車両7Aから、非通信車両9g、9hを周囲物体とする物体情報が送信される。また、通信車両7Bから、非通信車両9g、9i、9jを、周囲物体とする物体情報が送信される。また、図示されていないが、通信車両7C、7Dに搭載された他車載装置70C、70Dからも、該他車載装置70C、70Dが検出した周囲物体についての物体情報のうち、監視領域KR内の周囲物体についての情報だけが送信される。
つまり、第2の要求態様では、第1の要求態様よりも、送信される物体情報の情報量、すなわち車車間通信における通信量が低減される。なお、後述するように、第2の要求態様で物体情報が要求された際に監視領域KR内の周囲物体を検出しなかった他車載装置70は、検出した周囲物体の情報を全て物体情報として送信するように構成されている。
車載装置10が第3の要求態様で物体情報を要求したときは、他車載装置70Aと70Bとが物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70として特定される。そして、通信車両7Aに搭載される他車載装置70Aから、非通信車両9g、9hを周囲物体とする物体情報が送信される。また、通信車両7Bに搭載される他車載装置70Bから、非通信車両9g、9i、9jを、周囲物体とする物体情報が送信される。つまり、第3の要求態様では、物体情報を送信する他車載装置70の数が制限されるので、第2の要求態様よりも車車間通信における通信量が低減される。
車載装置10が第4の要求態様で物体情報を要求したときは、他車載装置70A及び70Bから、第3の要求態様のときと同様の物体情報が送信される。
ただし、車載装置10が第4の要求態様で物体情報を要求した場合、他車載装置70A及び70Bは、図9に示すように、相対位置を表す情報である相対位置角度θP1、θP2を指定されて、物体情報が要求される。これは、物体情報の要求を受けた他車載装置70にとっては、物体検出範囲内において周囲物体を検出すべき範囲を指定されたことに等しく、範囲を指定されず物体検出範囲内から監視領域KR内の周囲物体を検出する場合よりも処理負荷が低減されることになる。
つまり、第4の要求態様では、第3の要求態様よりも、他車載装置70A、70Bに、より少ない処理負荷で周囲物体を検出させることができる。
[1−2−3.運転支援実行処理]
次に、運転支援処理のS45にて実行される運転支援実行処理について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。
S210では、方向指示器センサ14からの出力に基づいて、自車両が左折をしようとしているか否かを判断する。左折をしようとしている場合は処理をS230へ移行させ、左折でない場合、すなわち右折または直進しようとしている場合は処理をS215へ移行させる。
S215では、S35にて取得した物体情報に基づいて、監視領域KR内に他の車両が存在するか否かを判断する。ここでいう監視領域KRとは左右監視領域SKのことである。監視領域KR内に他の車両が存在する場合に処理をS220へ移行させ、監視領域KR内に他の車両が存在しない場合に処理をS245へ移行させる。
S220では、監視領域KR内に存在する他の車両が自車両1と衝突の危険性が有るか否かを判断する。具体的には、監視領域KR内に存在する他の車両に対するTTCを演算して、衝突の危険性の有無を判断する。
TTCとは、Time To Collisionの略であり、自車両1が監視領域KR内に存在する他の車両に衝突するまでの予測時間を表す。TTCは、自車両1から監視領域KR内に存在する他の車両までの距離を、自車両1および該監視領域KR内に存在する他の車両の相対速度で除することで算出される。なお、自車両1から監視領域KR内に位置する他の車両までの距離、及び自車両1および該監視領域KR内に存在する他の車両の相対速度は、S5にて取得した自車両情報、及びS35にて取得した物体情報に基づいて特定される。
ここで、監視領域KR内に存在する他の車両に対するTTCが、予め定められた値である安全閾値以下である場合、衝突の危険性が有ると判断して処理をS225へ移行させ、衝突の危険性が無いと判断した場合は処理をS245へ移行させる。
S225では、自車両1の右側又は左側から他の車両が接近していることを表す「右又は左から車両あり」というメッセージを報知内容として設定する。具体的には、報知内容をメモリ部202に記録する。そして、処理をS250へ移行させる。なお、これに代えて、交差点Oへの進入を禁止する「進入不可」というメッセージを報知内容として設定してもよい。
自車両1が左折しようとしている場合に移行するS230では、S35にて取得した物体情報に基づいて、監視領域KR内に他の車両が存在するか否かを判断する。ここでいう監視領域KRとは右監視領域MKのことである。監視領域KR内に車両が存在する場合に処理をS235へ移行させ、監視領域KR内に車両が存在しない場合に処理をS245へ移行させる。
S235では、S220と同様に、監視領域KRである右監視領域MK内に存在する他の車両に対するTTCが、予め定められた値である安全閾値以下である場合、衝突の危険性が有ると判断する。衝突の危険性が有ると判断した場合は処理をS240へ移行させ、衝突の危険性が無いと判断した場合は処理をS245へ移行させる。
S240では、自車両1の右側から他の車両が接近していることを表す「右から車両あり」というメッセージを報知内容として設定する。なお、これに代えて、交差点Oへの進入を禁止する「進入不可」というメッセージを報知内容として設定してもよい。
監視領域KRに他の車両が存在しない場合、及び、監視領域KR内に他の車両が存在していたとしても該他の車両と自車両1との衝突の危険性がない場合に移行するS245では、交差点Oへの進入を許可する「進入可」というメッセージを報知内容として設定する。
S250では、メモリ部202に記録されている報知内容についての報知を行うための指示を出力する。具体的には、報知内容を音声により出力させるための指示をスピーカ171に出力する。なお、報知内容を画像により出力させるための指示を表示装置172に出力してもよい。
S255では、運転支援を終了するか否かを判断する。運転支援とは、S250により報知を行うことを言う。自車両1が注意領域P内から注意領域P外に到達した場合に、運転支援を終了すると判断する。運転支援を終了しないと判断された場合は、処理をS210へ移行させ、S210〜S255の一連の処理を繰り返す。運転支援を終了する場合は処理をS260へ移行させる。
S260では、他車載装置70に対する物体情報の要求を中止する。他車載装置70に対する物体情報の要求の中止は、不要通知を送信することで実現する。不要通知は、物体情報の送信を停止するように要求する通知である。本ステップでは、送信元を自車両1とし、受信先を指定せず、不要通知を送信する送信データを生成する。そして、通信部18に生成した送信データを出力し、該通信部18に送信データを送信させる。そして、本運転支援実行処理を終了する。
これにより、本運転支援実行処理では、自車両1が交差点Oを左折、または右折及び直進する際に、少なくとも他車載装置70から取得した物体情報に基づいて、自車両1の周辺の車両の状況に応じた報知が行われる。
また、本運転支援実行処理では、自車両1が交差点Oを含む注意領域P内から注意領域P外へ移動した際に、不要通知を送信する。不要通知を受信した他車載装置70は、物体情報の送信を中止する。これにより、注意領域P外では、車車間通信による物体情報の送受信が中止される。
[1−2−4.周辺情報送信処理]
次に、運転支援処理のS60にて実行される周辺情報送信処理について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。周辺情報送信処理は、車載装置10が他車載装置70から周辺情報を要求された際に(S50;YES)、周辺情報の少なくとも一部を送信する。
前述のように他車載装置70は車載装置10と同様に構成されているため、他車載装置70を搭載した通信車両7が交差点のような注意領域P内に位置しているとき、車載装置10が該他車載装置70から物体情報を要求される。つまり、他車載装置70から物体情報を要求されるということは、車載装置10が周辺情報を要求されるということに対応する。
以下の周辺情報送信処理の説明において、注意領域Pという場合は、物体情報、言い換えれば車載装置10の周辺情報を要求する他車載装置70が搭載された通信車両7に対しての注意領域Pをいう。また、監視領域KRという場合は、物体情報、言い換えれば車載装置10の周辺情報を要求する他車載装置70が搭載された通信車両7に対しての監視領域KRをいう。また、周辺情報を要求する他車載装置70が搭載された通信車両7を、周辺情報を要求しない他車載装置70が搭載された通信車両7と区別するために、要求元の通信車両7という。
車載装置10は、注意領域P内に位置している他車載装置70から、該他車載装置70が実行する物体情報要求処理にて設定される第1の要求態様〜第4の要求態様のうちのいずれか1つの態様で、周辺情報を要求される。
つまり、第1の要求態様では、車載装置10は、特別な指定無しに、周辺情報を要求される。
第2の要求態様では、車載装置10は、監視領域KR内の周辺物体に関する周辺情報を要求される。なお、監視領域KRを表す情報は、物体情報要求処理にて設定されたように、周辺情報が要求される際に他車載装置70から送信される送信データに含まれている。
第3の要求態様では、車載装置10は、自車載装置10を指定されて、監視領域KR内の周辺物体に関する周辺情報を要求される。なお、監視領域KRを表す情報、及び自車載装置10を指定するための自車両1の車両IDは、物体情報要求処理にて設定されたように、周辺情報が要求される際に他車載装置70から送信される送信データに含まれている。
第4の要求態様では、車載装置10は、自車載装置10の相対位置を指定されて、監視領域KR内の周辺物体に関する周辺情報を要求される。
S305では、第1の要求態様で周辺情報を要求されたか否かを判断する。具体的には、S50にて受信したデータの情報部に含まれる内容が特別な指定無しに周辺情報を要求するものである場合に、第1の要求態様で周辺情報を要求されたと判断する。第1の要求態様である場合は処理をS355へ移行させ、第1の要求態様でない場合は、処理をS310へ移行させる。なお、第1の要求態様でない場合とは、第2〜第4の要求態様である場合であり、少なくとも監視領域KR内の周辺情報を指定して周辺情報が要求される場合に相当する。
S310では、監視領域KR内の周辺情報を保持しているか否かを判断する。具体的には、S10にて取得した周辺情報の中に監視領域KR内に位置する周辺物体についての情報を含む場合は、監視領域KR内の周辺情報を保持していると判断する。監視領域KRについての情報は、S50にて受信した受信データの情報部から取得する。監視領域KR内の周辺情報を保持していない場合は処理をS335へ移行させ、保持している場合は処理をS315へ移行させる。
S315では、第2の要求態様で周辺情報を要求されたか否かを判断する。具体的には、S50にて受信した受信データの情報部に含まれる内容が監視領域KR内の周辺情報を要求するものである場合に、第2の要求態様で周辺情報を要求されたと判断する。第2の要求態様である場合は処理をS340へ移行させ、第2の要求態様でない場合は、処理をS320へ移行させる。
S320では、第3の要求態様で周辺情報を要求されたか否かを判断する。具体的には、受信データの情報部に含まれる内容が、自車載装置10を指定し、且つ、監視領域KR内の周辺情報を要求するものである場合に、第3の要求態様で周辺情報を要求されたと判断する。第3の要求態様である場合は処理をS325へ移行させ、第3の要求態様でない場合は、処理をS330へ移行させる。
第3の要求態様で周辺情報を要求された場合に移行するS325では、受信データの情報部に含まれる周辺情報の要求において、自車載装置10とともに他車載装置70が受信先として指定されている場合は、受信先として指定されている他車載装置70の搭載される通信車両7の車両IDをメモリ部202に記録する。そして、処理をS345へ移行させる。
第4の要求態様で周辺情報を要求された場合に移行するS330では、S325と同様に、受信データの情報部に含まれる周辺情報の要求において、自車載装置10とともに他車載装置70が受信先として指定されている場合は、受信先として指定されている他車載装置70の搭載される通信車両7の車両IDをメモリ部202に記録する。そして、処理をS350へ移行させる。
S335では、第1の送信態様で送信データを生成し、処理をS355へ移行させる。第1の送信態様は、特に指定すること無く、周辺情報を送信する態様である。
本ステップでは、送信元を自車両1とし、受信先を周辺情報の要求元の通信車両7とし、S10にて取得した周辺情報の全てを送信する送信データを生成する。具体的には、S10にて取得された周辺物体である全ての車両についての、車両ID、位置、車速、加速度、及び方位と、S10にてこれらの情報が取得された時刻とを情報部に含むように、送信データを生成する。
S340では、第2の送信態様で送信データを生成し、処理をS355へ移行させる。第2の送信態様は、監視領域KR内の周辺情報を送信する態様である。
本ステップでは、送信元を自車両1とし、受信先を周辺情報の要求元の通信車両7とし、情報部に監視領域KR内の周辺情報を含むように送信データを生成する。監視領域KR内の周辺情報とは、S10にて取得された周辺物体である車両のうち、監視領域情報に基づいて特定される監視領域KR内に位置する車両についての情報をいう。情報とは、車両ID、位置、車速、加速度、及び方位と、S10にてこれらの情報が取得された時刻とをいう。
S345では、第3の送信態様で送信データを生成し、処理をS355へ移行させる。第3の送信態様は、自車載装置10が指定され、且つ監視領域KRが指定された場合に、監視領域KR内の周辺情報を送信する態様である。本ステップでは、S340にて生成したものと同様の送信データを生成する。
S350では、第4の送信態様で送信データを生成し、処理をS355へ移行させる。第4の送信態様は、自車載装置10が指定され、且つ相対位置が指定された場合に、自車両1の位置と相対位置とで特定される監視領域KR内の周辺情報を送信する態様である。相対位置とは、車載装置10の位置に対する監視領域KRの位置をいう。本ステップでは、S340にて生成したものと同様の送信データを生成する。
S355では、中継処理を実行する。中継処理は、車車間通信の通信状況に応じて、S335〜S350にて生成された送信データに、更に他車載装置70から送信された情報を含むように、送信データを生成する処理である。
S360では、通信部18に生成された送信データを自車両1外へ送信させるための指令を出力し、本周辺情報送信処理を終了する。
[1−2−4.中継処理]
次に、周辺情報送信処理のS355にて実行される中継処理について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。中継処理は、前述のように、自車両1の周辺情報に基づいて生成された送信データに、車車間通信の通信状況に応じて更に、他車載装置70から送信された情報を含むように送信データを生成する処理である。
S410では、S55にて送信する周辺情報要求受信通知(以下、要求受信通知という)を未送信の指定車両が存在するか否かを判断する。指定車両とは、他車載装置70が、車両IDを指定して周辺情報を要求した際の、該車両IDに対応する通信車両7をいう。
第3及び第4の要求態様で周辺情報が要求された際に、周辺情報の要求において車両IDが指定されている。車両IDは、周辺情報を要求する他車載装置70から送信された送信データの情報部に含まれている。
前述のように、制御部20は、自車両1以外の指定車両、すなわち他の指定車両の車両IDを、周辺情報送信処理(S325、S330)においてメモリ部202に記録している。
メモリ部202に記録された指定車両のうち、どの指定車両が要求受信通知を未送信であるかは、一例として、通知記録に基づいて判断する。通信部18は、他車載装置70から送信される送信データのうち、車載装置10が搭載された自車両1を受信先として指定していないデータを受信することが可能である。
通知記録は、自車両1の周辺に位置する他車載装置70が要求元の通信車両7に搭載された他車載装置70に対して要求受信通知を送信した際の、該要求受信通知の送信元の車両IDと該要求受信通知を受信した時刻とを、メモリ部202に記録したものである。制御部20は、通知記録をメモリ部202に記録する処理を本中継処理とは別の処理により実行している。
指定車両のうち、通知記録に車両IDが記録されていない指定車両がある場合、該指定車両を、要求受信通知を未送信の指定車両であると判断する。本ステップでは、要求受信通知を未送信の指定車両の車両IDをメモリ部202に記録する。
要求受信通知を未送信の指定車両がない場合、本中継処理を終了し、要求受信通知を未送信の指定車両がある場合、処理をS420へ移行させる。
S420では、要求受信通知を未送信の指定車両の物体情報をメモリ部202から取得する。要求受信通知を未送信の指定車両の車両IDはS410にて特定されている。本ステップでは該車両IDに対応する通信車両7に搭載された他車載装置70から受信した車両通信情報をメモリ部202から取得する。車両通信情報は、前述のように定期受信処理によって制御部20に記録されている情報である。
S430では、追加情報を生成する。追加情報とは、要求元の通信車両7に搭載された他車載装置70から送信された周辺情報の要求態様を表す情報と、要求受信通知を未送信の指定車両の車両通信情報とを含む情報をいう。
S440では、情報部に、さらに追加情報を含む新たな送信データを生成する。具体的には、メモリ部202にすでに記録されている送信データの情報部に、S430にて設定された追加情報の内容が追加されるように、新たな送信データを生成する。なお、新たな送信データを生成するとはメモリ部202にすでに記録されている送信データを上書きすることをいう。そして、本中継処理を終了する。
このような中継処理による作動の一例を図13に基づいて説明する。例えば、注意領域Pに到達した通信車両7Aが、自車両1と通信車両7Bとを指定して周辺情報を要求したとする。ここで、周辺情報の要求が送信されると、自車両1に搭載された自車載装置10は、該要求を受信し、受信したことを表す要求受信通知を送信する。一方、他車載装置70Bは、電波の伝搬状況等の要因により、他車載装置70Aからの周辺情報の要求を受信できなかったものとする。この場合、他車載装置70Bからは要求受信通知は送信されない。なお、車載装置10と他車載装置70Bとは、正常に送受信を行うことができるものとする。
このような場合、車載装置10は、要求受信通知を未送信の他車載装置70Bが搭載された車両である通信車両7Bの車両IDを特定することが可能である(S420)。また、車載装置10は、定期送信により他車載装置70Bから送信された通信車両情報を取得することが可能である(S430)。
そこで、車載装置10は、車載装置70Aに対して周辺情報の要求に応じた周辺情報を送信する際に、車載装置70Aからの周辺情報の要求の内容と、車載装置70Bからの定期通信による通信車両情報とを、追加情報として追加して送信することが可能である(S440、S360)。
これにより、他車載装置70Aでは、車載装置10が送信した周辺情報と他車載装置70Bによる通信車両情報とが取得される。また、他車載装置70Bでは、他車載装置70Aからの周辺情報の要求が取得され、該要求に応じた応答を送信することが可能となる。
[1−3.効果]
以上、詳述した第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
[1A]制御部20は、注意領域P内に自車両1が到達した場合に、周囲物体の位置を含む物体情報の要求があったときだけ該要求に対応する物体情報を送信する他車載装置70に対して、物体情報を車車間通信により要求する。
これによれば、制御部20は、注意領域P内に自車両1が到達しない場合は、車車間通信による物体情報の取得を開始しないので、車車間通信における通信トラフィックの増加を抑制することができる。また、この結果、車車間通信における通信品質の低下を抑制することができる。
[1B]制御部20は、S25では、交差点Oの周囲において予め定められた領域内を注意領域Pとして、該注意領域Pに自車両1が到達したか否かを判断してもよい。これによれば、注意領域P内に到達した場合に物体情報を取得することができるので、該物体情報に基づいて、交差点Oにおける的確な運転支援を行うことが可能となる。
[1C]制御部20は、S165では、注意領域P内に自車両1が到達したと判断されたとき(S25;YES)に、他車載装置70に対して、注意領域Pに近づく他の車両であって自車両1と衝突の危険性があり得る他の車両が位置する領域として注意領域Pごとに予め定められた監視領域KR内に位置する周囲物体についての物体情報を要求してもよい。これによれば、他車載装置70が有する物体情報のうちの一部を要求するため、車車間通信における通信トラフィックを抑制することができる。
[1D]制御部20は、S136では、他車載装置70ごとに、それぞれの他車載装置70によって物体が検出される範囲である物体検出範囲を取得してもよい。また、制御部20は、S140では、少なくとも他車載装置70の位置及び進行方向Pと該他車載装置70による物体検出範囲とに基づいて、該物体検出範囲内に監視領域KRを含む他車載装置70を特定してもよい。更に、制御部20は、S145では、特定された他車載装置70を指定して物体情報を要求してもよい。これによれば、他車載装置70を指定して物体情報を要求するので、車車間通信における通信トラフィックを抑制することができる。
[1E]制御部20は、S150では、他車載装置70と監視領域KRの位置とに基づいて、他車載装置70の位置に対する監視領域KRの位置を特定してもよい。また、制御部20は、S145では、S150で特定された他の車両の位置に対する監視領域KRの位置を指定して、S170にて該監視領域KR内の周囲物体を表す情報を物体情報として要求させてもよい。これによれば、他車載装置70が搭載された通信車両7の位置に対する監視領域KRの位置を指定して物体情報が要求されるので、他車載装置70における、指定された物体情報を特定する処理負荷を、低減することができる。
[1F]制御部20は、S255では、自車両1の位置に基づいて、注意領域P内から該注意領域P外に自車両1が到達したか否かを判断してもよい。制御部20は、注意領域P内から該注意領域P外に自車両1が到達したと判断されると、S260では、他車載装置70に対する物体情報の要求を中止させてもよい。これによれば、注意領域P外に位置している間は物体情報の要求を行わないため、車車間通信における通信トラフィックを抑制することができる。
[1G]制御部20は、S15では、自車両1の周囲に存在する物体である周辺物体の位置を含む情報である周辺情報を取得してもよい。更に、制御部20は、S60では、他車載装置70から周辺情報を要求された際に、周辺情報の少なくとも一部を送信してもよい。これによれば、他車載装置70へ周辺情報を送信することができる。
[1H]制御部20は、S355によって、周辺情報についての要求を受信した場合に、該要求を自車両1外に送信してもよい。これによれば、周辺情報についての要求を、電波の伝搬状況等によって該要求を受信できていないおそれのある他車載装置70に中継することができる。
[1I]制御部20は、S355によって、周辺情報についての要求を受信した場合に、周辺情報を要求した他車載装置70とは異なる他車載装置70から受信した物体情報を、自車両1外に送信してもよい。これによれば、周辺情報の要求に応じて該周辺情報を送信できていないおそれのある他車載装置70の代わりに、車載装置10が、該他車載装置70から受信した物体情報を送信することができる。つまり、車載装置10は、周辺情報の要求に応じて該周辺情報を送信できていないおそれのある他車載装置70の物体情報を中継し送信することができる。
[1J]他車載装置70は、車載装置10と同様に、該他車載装置70が搭載された通信車両7が注意領域Pに到達した際に周辺情報を要求するように、構成されてもよい。また、該通信車両7は、注意領域P内から注意領域P外に到達した場合に不要通知を送信するように構成されてもよい。これによれば、自車両1及び通信車両7がそれぞれ注意領域P内に到達した際にのみ物体情報の送受信が行われるため、注意領域P外での通信トラフィックを抑制することができる。
なお、第1実施形態では、制御部20が、通信制御装置の一例に相当し、他車載装置70が備える制御部20が他の通信制御装置の一例に相当する。また、制御部20が、到達判断部、物体情報要求部、運転支援出力部、物体検出範囲取得部、装置特定部、装置指定要求部、位置特定部、相対位置指定要求部、領域外判断部、中止指示部、周辺情報取得部、周辺情報送信部、要求中継部、情報中継部の一例に相当する。
また、S25が到達判断部としての処理の一例に相当し、S30、S165、S170、S175が物体情報要求部としての処理の一例に相当し、S45が運転支援出力部としての処理の一例に相当し、S140が物体検出範囲取得部としての処理の一例に相当する。
また、S145が装置特定部としての処理の一例に相当し、S150が装置指定要求部としての処理の一例に相当し、S155が位置特定部としての処理の一例に相当し、S150が相対位置指定要求部としての処理の一例に相当する。
また、S255が領域外判断部としての処理の一例に相当し、S260が中止指示部としての処理の一例に相当し、S10が周辺情報取得部としての処理の一例に相当し、S60が周辺情報送信部としての処理の一例に相当し、S355が要求中継部、情報中継部としての処理の一例に相当する。
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態との相違点]
第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
第2実施形態では、周辺情報送信処理において、監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在しているか否かに基づいて送信データを生成する構成が追加されている点で、第1実施形態と相違する。この相違点により、図14に示す本実施形態の周辺情報送信処理では、図11に示す周辺情報送信処理に対してS351〜S352が追加されている。
[2−2.処理]
次に、本実施形態の周辺情報送信処理について図14のフローチャートを用いて説明する。
S305〜S350では、図11と同様の処理を実行する。
S351では、監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在するか否かを判断する。監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在する場合は処理をS352へ移行させ、存在しない場合は処理をS353へ移行させる。
S352では、第5の送信態様で送信データを生成し、処理をS355へ移行させる。第5の送信態様とは、要求元の通信車両7から周辺情報を要求された際に、周辺情報のうち、該要求元の通信車両7に近い物体の中から該要求元の通信車両7に近い順に予め定められた数の周辺物体である車両についての周辺情報を送信する態様である。周辺情報を送信すべき周辺物体の数は、メモリ部202に予め記録されており、本実施形態では1に定められている。
つまり、本ステップでは、周辺情報のうち、要求元の通信車両7に最も近い車両についての周辺情報が、情報部に含まれるように送信データを生成する。
監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在しない場合に移行するS353では、第6の送信態様で送信データを生成する。第6の送信態様とは、周辺物体としての車両が存在しない領域を表す情報を周辺情報として送信する態様である。
周辺物体としての車両が存在しない領域とは、周辺検出部12におけるレーダ装置121または画像センサ122の物体検出範囲内において車両が検出されない領域と監視領域KRとが重なる領域をいう。つまり、一例として示す図15のように自車両1が位置している場合、斜線で示される自車両1の物体検出範囲と左折しようとしている通信車両7Eについての監視領域KRである右監視領域MKとが重なる領域が、周辺物体としての車両が存在しない領域Nに相当する。
S355〜S360では、図11と同様の処理を実行する。そして、本周辺情報送信処理を終了する。
[2−3.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果[1A]〜[1J]に加え、以下の効果が得られる。
[2A]制御部20(S352)は、注意領域Pに到達した要求元の通信車両7から周辺情報を要求された際に、周辺情報のうち、要求元の通信車両7に近い物体の中から該要求車両に近い順に予め定められた数の物体についての周辺情報を送信してもよい。これによれば、監視領域KR内の周辺情報の全てを送信する場合よりも、車車間通信における通信トラフィックを抑制することができる。
[2B]制御部20(S3532)は、注意領域Pに到達した要求元の通信車両7から周辺情報を要求された際に、監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在しない場合、周辺物体としての車両が存在しない領域を現す情報を送信してもよい。これによれば、監視領域KR内に周辺物体としての車両が存在しないときに周辺情報の全てを送信する第1実施形態よりも、車車間通信における通信トラフィックを抑制することができる。
[3.他の実施形態]
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(3A)上記実施形態では、交差点Oを複数の道路が交差する領域として説明したが、例えば複数の道路が合流するような合流点が交差点Oの一例として含まれてもよい。
(3B)上記実施形態では、交差点Oに関するデータは交差点端部及び車線幅端部を含んで表されていたが、交差点Oに関するデータの表し方はこれらに限るものではなく、例えば交差点Oの交差領域の中央の位置を緯度及び経度で表す情報を含むものであってもよい。また、交差点端部及び車線幅端部といった交差点Oに関するデータは、その位置が緯度及び経度で表されていたが、これに限るものではない。例えば、これらの位置は、緯度及び経度のように地域によって分解能が異なることなく一定の分解能で表される所謂グローバル座標で表されても良いし、地図を格子状の領域に区切ったときの格子を示す記号で表されても良い。
(3C)上記実施形態では、制御部20は、運転支援実行処理(S215、S230)において、S35にて取得した物体情報とS5にて取得した自車両情報とに基づいて監視領域KR内に他の車両が存在するか否かを判断した。但しこれに限らず、更にS20にて取得した通信車両情報を用いて、該判断を行ってもよい。
(3D)上記実施形態では、制御部20は、周辺情報送信処理(中継処理)において、周辺情報の要求に応じた周辺情報を送信する際に、要求に応じた周辺情報と共に、周辺情報の要求の内容及び要求受信通知を未送信の他車載装置70についての通信車両情報とを送信した。ただし、情報を中継する態様はこれに限るものではない。
例えば、制御部20は、要求に応じた周辺情報と共に、周辺情報の要求の内容及び要求受信通知を未送信の他車載装置70についての通信車両情報のいずれか一方を、送信してもよい。
また例えば、制御部20は、要求に応じた周辺情報と要求受信通知を未送信の他車載装置70についての通信車両情報とにおいて重複するデータがある場合は、該重複するデータを除いた残りのデータを、要求に応じた周辺情報と共に送信してもよい。
また例えば、制御部20は、要求受信通知を未送信の他車載装置70についての通信車両情報に含まれる時刻を参照して、該時刻から所定時間が経過している通信車両情報については、要求に応じた周辺情報と共に送信(中継)することを中止するものとしてもよい。
(3E)上記第2実施形態では、周辺情報を送信すべき物体の数は、メモリ部202に予め記録されており、1に定められていたが、物体の数はこれに限るものではない。例えば、通信トラフィックの状況に応じて周辺情報を送信すべき物体の数が定められたテーブルが、予めメモリ部202に記録されていてもよい。そして、通信トラフィックの状況を検出し、該テーブルに基づいて、通信トラフィックの状況に応じて周辺情報を送信すべき物体の数が決定されてもよい。
(3F)上記実施形態では、自車両情報、通信車両情報、周辺情報、物体情報には、いずれも、車両ID、車両の位置、車速、加速度、進行方向、及びこれらの情報が取得された時刻が含まれていた。ただし、情報の内容はこれらに限るものではない。
例えば、自車両情報、通信車両情報、周辺情報、物体情報には、それぞれ、物体の位置、車速、加速度、進行方向のうちの一又は複数と、これらの情報が取得された時刻とが含まれていてもよい。
また、自車両情報、通信車両情報、周辺情報、物体情報には、第2実施形態に記載のように、車両が存在しない領域を表す情報が含まれていてもよい。
また、自車両情報、通信車両情報、周辺情報、物体情報には、死角領域を表す情報が含まれていてもよい。死角領域とは、周辺検出部12におけるレーダ装置121または画像センサ122の物体検出範囲内の領域であって、物体検出範囲内において車両が検出された場合に、該車両によって遮られることにより物体を検出することができない領域をいう。
(3G)上記実施形態では、他車載装置70は、車載装置10と同様に構成されていたが、これに限るものではない。例えば、他車載装置70は、車載装置10における運転支援を行う機能以外の機能を少なくとも実現できる構成を備える装置であってもよい。
(3H)上記実施形態では、制御部20は、自車両情報、周辺情報の項目のうち一部を取得し、残りの項目を演算により取得したが、自車両情報、周辺情報の一部または全部の項目を演算により取得してもよい。または、制御部20は、車載装置10が備える他の構成から、自車両情報、周辺情報の項目の一部または全部を取得してもよい。
(3I)上記実施形態では、どの交差点Oにおいても注意距離Dは同じ値であったが、これに限るものではない。注意距離Dは、交差点Oごとに異なる値であってもよく、交差点Oごとに異なる値がメモリ部202に記録されていてもよい。また、注意距離Dは、車載装置10ごとに適宜定められてよい。
(3J)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
(3K)上述した制御部20、車載装置10の他、当該車載装置10を構成要素とする車車間通信システム、当該制御部20を機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、車車間通信方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。