JP6558736B2 - 光導波路用ドライフィルムとそれを用いた光導波路の製法並びに光導波路 - Google Patents

光導波路用ドライフィルムとそれを用いた光導波路の製法並びに光導波路 Download PDF

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Description

本発明は、光導波路用ドライフィルムとそれを用いた光導波路の製法並びに光導波路に関する。
情報伝送量の爆発的増大に対応するために、電子機器・装置の筐体内の短距離超高速伝送の媒体には、正確な情報伝送を実現する為のコスト増が顕著になる銅配線ではなく、デジタルの光信号を伝送するいわゆる光導波路(光配線や光伝送路などとも言う)が注目されている。
光導波路は、使用する光の波長において透明であって、相対的に低屈折率のクラッド材料が、相対的に高屈折率のコア材料で形成された線状伝送路の周囲を囲む、あるいは平面状伝送路の上下を囲む構造のものを言う。光ファイバーは光導波路の一種であるが、コアの実装密度を高密度化しにくい事から、高密度化と超高速伝送の同時実現には、平面に対する露光によるパターニングで複数の線状コアあるいは平面状コアがクラッド層内部に形成された樹脂製光導波路が最有力となってきている。線状コアを有する光導波路をリッジ光導波路あるいはチャネル光導波路と呼び、平面状コアを有する光導波路をスラブ光導波路あるいはプレーナ光導波路と呼ぶ事もある。
樹脂製光導波路を露光によって実現する手段としては、室温で液状の樹脂を基材上にスピンコートやダイコートなどで塗布し硬化させる方法があり、実験室レベルでは最も簡易的に実行できるので多く考案されてきたが、工業的に実用化する場合には、ワークの大きさの制限や厚みバラツキの低減に大きな課題がある。そこで、いわゆるドライフィルムタイプの光配線材料が工業的な製造に最適であり、各種の開発が進められている。
ドライフィルムタイプの光導波路用材料とは、キャリア基材(キャリアフィルムやベースフィルム、支持体フィルム等とも言う)の上に少なくとも、室温では固形である未硬化の光導波路用樹脂が配置された物を言い、何らかの平面状物体上にドライフィルムの光導波路用樹脂面をラミネートしてから、硬化やパターニングなどの何らかの加工を施すものである。
一般的には、光導波路用樹脂を保護する目的で、キャリア基材に接していない側の光導波路用樹脂の面に、保護フィルム(カバーフィルムやセパレータ、マスキングフィルム等とも言う)を配置する場合が多く、何らかの平面状物体に光導波路用樹脂面をラミネートする際には保護フィルムを剥離除去する必要があるので、保護フィルムと光導波路用樹脂との間で接着力を高める処置を講じるのではなく、容易に剥離できるような処置が施されているのが一般的である。またこの場合には、保護フィルム剥離の際に必ず光導波路用樹脂と保護フィルムの界面で剥離する必要があるので、該界面の密着力は、キャリア基材と光導波路用樹脂界面の密着力よりも低くなければならない。
これまでにも樹脂材料で光導波路を製造する技術はいくつか報告されており(特許文献1〜4参照)、また、ドライフィルムの技術に関しても、ソルダーレジストやカバーレイやエッチングレジスト用のドライフィルムに関する報告はある(特許文献5)。
しかし、特許文献1においては、光導波路の形成方法としてベースフィルムと、ベースフィルム上に形成された樹脂層とからなり、必要に応じてベースフィルムの反対側にポリエチレンやポリプロピレン等のカバーフィルムを保護フィルムとしてラミネートし、樹脂層がベースフィルムとカバーフィルムとの間に挟まれる構造のドライフィルムを用いた方法が開示されている。カバーフィルムに関しては、材質のみが開示されているだけで、その粗度などについては何ら記載はない。
特許文献2においては、光導波路の製造方法として基材上に形成されたクラッド層形成用樹脂を硬化して下部クラッドを形成し、該下部クラッド層上にコア層形成用樹脂フィルムを積層してコア層を形成し、コア層を露光現像してコアパターンを形成し、該コアパターンを埋め込むように形成されたクラッド層形成用樹脂を硬化して上部クラッド層を形成する方法が開示されている。また、コア形成用樹脂はフィルム状と規定されているが、クラッド形成用樹脂もフィルム状であっても良く、コア用とクラッド用の樹脂フィルムは、ともに最終的に光導波路の基材に使用しない支持体フィルム上に樹脂層が形成されている場合、つまり、支持体フィルムを樹脂層から剥離除去する必要がある場合には、支持体フィルムと樹脂層との接着力を向上させるためのコロナ処理、サンドブラスト処理などのマット加工や易接着樹脂コートなどの接着処理を支持体フィルムに対して行わないことが好ましい、と開示されている。
特許文献3には、光電気複合基板の製造法として、下部クラッド層付き電気配線基板を得て、下部クラッド層上にコアパターン及び上部クラッド層を順次形成して光導波路を構築する方法が開示されている。また、クラッド層形成用樹脂及びコア層形成用樹脂はともに、フィルム状のものを使用するのが好ましく、いずれも樹脂フィルムを支持する支持体である基材フィルム上に樹脂層を形成したものであり、この基材フィルムはPET(ポリエチレン・テレフタレート)やポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適に用いられ、かつ後で樹脂層を容易に剥離するために離型処理、帯電防止処理などが施されていても良いと記載されている。更に、コア用とクラッド用の樹脂フィルムには、ともにフィルムの保護やロール状に製造する場合の巻き取り性などを考慮して、保護フィルムを貼り合わせても良く、保護フィルムとしては上記基材フィルムの例と同様なものを使用でき、必要に応じて離型処理、帯電防止処理などが施されていても良いと開示されている。
特許文献4には、フレキシブル光導波路の製造方法として、第1のクラッド層を形成し、その上の少なくとも一方の端部にコア層形成用樹脂フィルムを積層して第1のコア層を形成し、該第1のコア層上及び該第1のクラッド層上の全面にコア層形成用樹脂フィルムを積層して第2のコア層を形成し、該第1のコア層及び該第2のコア層をパターニングして、光導波路のコアパターンを形成し、該コアパターン及び該第1のクラッド層上に第2のクラッド層を形成してコアパターンを埋め込むという方法が開示されている。また、クラッド層形成用樹脂フィルムの基材は、クラッド層形成用樹脂との接着性などを向上させるために、例えば、酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理をなされていても良く、酸化法としては、例えばコロナ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などのいわゆる接着処理が例示されている。このクラッド層形成用樹脂フィルムの基材フィルムは、最終的にはフレキシブル光導波路の最表面に位置して使用されるので、クラッド樹脂との密着性を得るために上記の表面処理を施しておくのが好ましいのである。一方、フレキシブル光導波路の薄型化のために少なくとも片面から基材フィルムを剥離除去したり、フレキシブル光導波路の反り低減のために両面から基材フィルムを剥離する例も開示されているが、前記のように基材フィルムとクラッド用樹脂の密着性が高い方が良いという前提のため、基材フィルムを容易に剥離する目的で高温高湿条件下で加湿処理し、基材フィルムとクラッド用樹脂の間の密着力を低下させて剥離する方法が開示されている。更に、クラッド層形成用樹脂フィルム及び、コア層形成用樹脂フィルムでは、樹脂フィルムの基材フィルムと反対側の面に、樹脂フィルムの保護や製造する際の巻き取り性を向上させる目的で保護フィルム(セパレータあるいはマスキングフィルム)が積層された構造が開示されており、保護フィルムは、クラッド形成用樹脂及びコア形成用樹脂との剥離を容易にするために、前記接着処理は行っていない事が好ましいと開示されている。また、コア用形成用樹脂フィルムを積層する際には、密着性及び追従性の観点から減圧下で加熱加圧するいわゆる真空ラミネート法が好ましいと開示されており、第1のクラッド層とコア層の間への気泡の混入を防ぐとの観点からロールラミネータを用いて積層することが好ましいと開示されている。
特許文献5には、プリント配線板に積層するための感光性フィルムであって、保護フィルムの表面粗さが、カットオフ値が0.08〜8mm、評価長さが0.4mm〜40mmの測定範囲における算術平均粗さ(Ra)で0.5μm以上であり、感光性組成物層が、温度30℃において層厚を2mmとした感光性組成物層に0.25kg/mm の静荷重を加えたとき、荷重を加えてから10秒後から600秒後までの時間経過での膜厚変化量が50〜800μmの範囲の流動性を有しており、保護フィルムが感光性組成物層に表面粗さを与え、表面粗さはプリント配線板に積層前には保持され、積層時の加圧によって消失する、ことを特徴とする感光性フィルムが開示されている。これは、特許文献5の段落0002に記載されているが、いわゆるソルダーレジストやフレキシブルプリント配線板のカバーレイや、プリント配線板の銅回路形成において用いられるエッチングレジストに関するものであって、導体パターンを気泡無く樹脂で埋め込むために樹脂を高流動化する必要があるが、それにより樹脂のタック性が強くなるので、凸部導体等の被覆が十分にできずに保護膜としての役目を果たせなくなる、あるいは銅張積層板の表面のキズ内部に気泡が残留するという問題を解決しようとする技術である。
特開2003−195081公報 国際公開2009/116421公報 特開2009−258612公報 特開2010−175741公報 特開2000−147755公報
本発明の一つの局面は、キャリア基材(A)と、活性エネルギー線又は熱で硬化可能な光導波路用樹脂層(B)と、保護フィルム(C)とを有する光導波路用ドライフィルムにおいて、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面が粗化面であることを特徴とする光導波路用ドライフィルムである。
本発明によれば、残存する微小気泡を極小化した光導波路を製造することが可能となるため、光導波路における、導波損失低減、製造歩留まりや信頼性の向上を実現することができると考えられる。また、クラッド層とコア層を形成する工程を同じ装置を用いて実施する事が可能になり、光導波路製造コスト低減を図ることができる。
図1は、本発明の一つの実施形態に係る光導波路用ドライフィルムであって、下クラッド用のドライフルム構成を示す断面模式図である。 図2は、本発明の一実施形態の光導波路用ドライフィルムを用いた光導波路の製造方法における、下クラッド用ドライフィルムの保護フィルムを剥離した状態を示す断面模式図である。 図3は、本実施形態の製造方法において、光導波路の下クラッドドライフィルムの保護フィルムを剥離した光導波路用樹脂層表面の粗度を低下させることなく、樹脂層表面と平面状物体を近接させた状態を示す断面模式図である。 図4は、本実施形態の製造方法において、減圧下で加熱加圧下して光導波路用樹脂層と平面状物体を貼り合わせた状態を示す断面模式図である。 図5は、本実施形態の製造方法において、光導波路用樹脂層を硬化させた後、キャリア基材を取り除いた状態を示す断面模式図である。 図6は、本発明の他の実施形態における光導波路用ドライフィルムであって、コア用のドライフィルムの構成を示す断面模式図である。 図7は、本発明の他の実施形態の製造方法において、コア用ドライフィルムの保護フィルムを剥離した状態を示す断面模式図である。 図8は、本発明の他の実施形態の製造方法において、光導波路用のコア用ドライフィルムの保護フィルムを剥離した光導波路用樹脂層表面の粗度を低下させることなく樹脂表面と、平面状物体上に形成された下クラッド層を近接させた状態を示す断面模式図である。 図9は、本発明の他の実施形態の製造方法において、減圧下で加熱加圧下して光導波路のコア用樹脂層と、下クラッド層とを貼り合わせた状態を示す断面模式図である。 本発明の他の実施形態の製造方法において、光導波路用樹脂層(コア用)を部分的に硬化させる工程と、キャリア基材を剥離する工程と、未硬化部分を除去する現像工程を含む製法を経て得られた、平面状物体上に下クラッド層とコア層が形成された状態を示す断面模式図である。 図11は、本発明のさらに別の実施形態に係る光導波路用ドライフィルムであって、上クラッド用のドライフィルムの構成を示す断面模式図である。 図12は、本発明のさらに別の実施形態の製造方法において、上クラッド用ドライフィルムの保護フィルムを剥離した状態を示す断面模式図である。 図13は、本発明の他の実施形態の製造方法において、光導波路の上クラッド用ドライフィルムの保護フィルムを剥離した光導波路用樹脂層表面の粗度を低下させることなく樹脂層表面と、平面状物体上に形成されたコア層及び下クラッド層を近接させた状態を示す断面模式図である。 図14は、本発明の他の実施形態の製造方法において、光導波路の上クラッド用樹脂層とコア層及び下クラッド層とを接触させた状態を示す断面模式図である。 図15は、本発明の他の実施形態の製造方法において、減圧下で加熱加圧下して光導波路の上クラッド用樹脂層と、コア層及び下クラッド層とを貼り合わせた後の状態を示す断面模式図である。 図16は、本発明の他の実施形態の製造方法において、平面状物体上に下クラッド層とコア層と上クラッド層が形成された状態を示す断面模式図である。
いわゆるドライフィルム状のクラッド用及びコア用の光導波路用樹脂フィルムを使用する場合には、キャリア基材と反対側の光導波路用樹脂表面を、平面状物体上に配置してラミネートする必要があり一般的には真空ラミネートを採用されるが、真空ラミネートを採用してもラミネート後に微細な気泡(目視あるいは光学顕微鏡で容易に発見可能な、光導波路を俯瞰する真上から見た場合の直径が5μmから100μm程度の気泡)が残存するという問題点があった。ドライフィルム状の光導波路用樹脂は、取り扱い時に光導波路用樹脂にクラックや樹脂脱離・粉発生などが無いように、あるいは、平面状物体に配置する際に容易にスリップして配置位置が変わってしまうことのないよう、ドライフィルム状の光導波路用樹脂を平面状物体に少なくとも配置する時の温度において、光導波路用樹脂そのものに適度な柔軟性を有し、その表面に適度なタック性を有するものが好適である。そして、平面状物体にドライフィルム状の光導波路用樹脂表面を配置すると、部分的に平面状物体と樹脂表面が接着状態になり、空気層を取り囲むような接着領域が生じ、これが真空ラミネート後にも最終的に残存気泡となる事が多い。
微細な気泡が残存すると、それが光導波路コア内部に存在する場合には、コアを通過する光が気体である気泡とコア樹脂の界面で反射や散乱され、光導波路の損失が著しく悪化するという問題があった。またコア近傍、概ねコアから5μm以内のクラッドに気泡が存在する場合には、コアからしみ出して伝搬する光の一部が、クラッドよりも低い屈折率を有する気泡(クラッドの屈折率は一般的に1.46〜1.6程度、空気の屈折率は1.0)の部分で散乱され、結果的に光導波路の損失が著しく悪化するという問題があった。また、コアから離れた位置にあるクラッド内に気泡が存在する場合には、その部分が光導波路あるいは光導波路を含む電気基板、いわゆる光・電気複合基板の信頼性を低下させるという問題があった。なぜなら、吸湿させる信頼性試験では気泡部分に水分がたまってその後のリフロー試験などの加熱条件下で破壊を生じさせる原因となったり、温度サイクル試験に於ける熱応力が掛かると気泡部分に応力集中が生じてやはり破壊の起点となったり、あるいは光・電気複合基板において気泡とビアホール(Via Hole)やスルーホール(Trough Hole)が重なっている、言い換えれば気泡の一部をビアホール等が貫通している場合、あるいは100μm以下に近接している場合には、そのビアホール等の接続信頼性が低下する、という原因になるからである。
また、ドライフィルムとして一般的に用いられるソルダーレジストやカバーレイやエッチングレジストの場合には、その機能を発現するための樹脂層は一つの層で事足りるので、プリント配線板の表面にドライフィルムの樹脂層は単層で形成されるだけである。一方、光導波路用のドライフィルム材料は、平面状物体の上に下クラッドを形成し、その上にコアを形成し、更にその上に上クラッドを形成する必要があるので、必ずドライフィルム材料の樹脂層が複層(多段または多層)で積み重ねられる。さらに、コアを多層に形成する場合には、ドライフィルム材料の樹脂層がますます多層になる。また、既述の通り下クラッド、コア、上クラッドに気泡が混入していると光導波路としての性能低下あるいは、光電気複合基板の信頼性低下を引き起こす。下クラッド・コア・上クラッドの各々の層に混入する気泡の程度が、ソルダーレジストやカバーレイやエッチングレジストがプリント配線板に形成された状態において許容されるレベルの気泡混入程度と同じであったとしても、多層(少なくとも3層)に積み重なった光導波路の不良(不具合)の発生確率は、下クラッド・コア・上クラッド各層の不良発生確率の積算となってしまう。このために、光導波路用ドライフィルム材料では、下クラッド、コア、上クラッドの各層において、一般的なソルダーレジストやカバーレイやエッチングレジストよりも気泡の混入を極めて少なくする必要がある。
結果的に、該気泡はラミネート法で製造される光導波路の製造歩留まりを低下させるだけでなく、気泡が残存しないようにするために複雑な製造工程やノウハウを必要として該光導波路製造コストを上げる事になるので、該光導波路の工業化には該光導波路への微細気泡残存を極小化するためのドライフィルム材料における対策が望まれていた。
本発明は、上記問題点に鑑み、光導波路に残存する微細気泡極小化できる光導波路用ドライフィルムとそれを用いた光導波路の製法及び光導波路を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、光導波路用ドライフィルムにおいて、保護フィルムを使用し、その保護フィルムの光導波路用樹脂に接する面が粗化面であり、保護フィルムを剥離したドライフィルムの光導波路用樹脂表面が該保護フィルムの剥離面を反映した粗化面とすることによって、上記課題を解決し得ることを見いだした。そして、本発明者等は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
以下、本発明に係る実施形態について具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の光導波路用ドライフィルムは、キャリア基材(A)と、活性エネルギー線又は熱で硬化可能な光導波路用樹脂層(B)と、保護フィルム(C)とを有する光導波路用ドライフィルムであり、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面が粗化面であることを特徴とする。
このような構成により、本実施形態のドライフィルムを用いて製造される光導波路において、その内部に残存する微細な気泡(目視あるいは光学顕微鏡で容易に発見可能な、光導波路を俯瞰する真上から見た場合の直径が5μmから100μm程度の気泡)を極小化することができ、光導波路の導波損失及びそのバラツキを低減できると共に、光導波路の信頼性及び光・電気複合基板の電気配線の信頼性をも向上させることができる。本実施形態のドライフィルムの構成例(下クラッド層形成用ドライフィルム10)を図1の断面模式図に示す。図1に示すように、本実施形態に係るドライフィルム(下クラッド層形成用ドライフィルム10)は、キャリア基材11と、光導波路(下クラッド)用樹脂層12と保護フィルム13とを有し、前記保護フィルム13の光導波路(下クラッド)用樹脂層12と接する面が粗化面である。以下、本実施形態のドライフィルムの各構成要素について詳述する。
なお、図中の各符号はそれぞれ:10 光導波路(下クラッド)用ドライフィルム、11、31、41 キャリア基材、12 光導波路(下クラッド)用樹脂層、13、33、43 保護フィルム、14 下クラッド、20 平面状物体、21 下クラッドが形成された平面状物体、22 下クラッドとコアが形成された平面状物体、30 光導波路(コア)用ドライフィルム、32 光導波路(コア)用樹脂層、34 コア、40 光導波路(上クラッド)用ドライフィルム、42 光導波路(上クラッド)用樹脂層、44 上クラッド、を示す。
〔キャリア基材(A)〕
キャリア基材(A)はその上に光導波路用の樹脂層を形成し、後に平面状物体に光導波路用樹脂層を転写する際のキャリアであり、好ましくは、フィルム状あるいはシート状で柔軟性のあるキャリアが使用される。キャリア基材の材質は、特に限定はないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の硬化物(樹脂フィルム)、金属、無機物(ガラス)などを例示できる。
熱可塑性樹脂としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)、COF(シクロオレフィンポリマー)、PA(ポリアミド)、PAI(ポリアミドイミド)、LCP(液晶ポリマー)などを例示できる。これらはフィルム製造工程で延伸加工を施されたものであっても良い。
熱硬化性樹脂硬化物としては、熱硬化性樹脂と無機フィラー(ガラスクロス、ガラス不織布、ガラス粉)を複合化した複合材料、熱硬化性樹脂の分子構造を適宜選択して得られる、あるいは硬化物の柔軟性を向上しうる添加物を適宜選択して得られる、柔軟性を有する熱硬化性樹脂硬化物などを例示できる。
金属としては、銅やアルミなどの単層あるいは複層構造の金属箔、及び前記熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に金属の薄層が形成された複合体などを例示できる。
これらは、光導波路の製造工程や最終製品の用途に応じて適宜選択できる。キャリアの材質が金属である場合、20〜100μm厚の金属箔(キャリア箔とも言う)上に、1〜30μmの厚みの金属箔が、剥離層を介して積層された、いわゆるピーラブル金属箔をキャリア基材として使用しても良い。
好ましくは、キャリア基材(A)が樹脂フィルムであると、キャリア基材(A)自体の持つ柔軟性、表面状態を幅広くコントロールできる特性、およびコスト上の利点がある。またキャリア基材(A)が金属箔であると、特に光導波路用樹脂層(B)として、熱で硬化可能なものであってかつ光導波路のコアを埋め込むクラッド(上クラッドまたは第二クラッドとも言う)が形成されているドライフィルムを使用することで、光導波路形成後に残るキャリア基材(A)すなわち金属箔を必要に応じてエッチングなどの方法で金属の配線回路を形成する事ができるので、光電気複合配線板を製造するのに非常に好適である。
本実施形態のドライフィルムが、後述する平面状物体にラミネートされた後、キャリア基材を通して活性エネルギー線を照射して、光導波路用樹脂層(B)を硬化させる工法を採用する場合には、キャリア基材は透明性の高いものを使用するのが好ましい。その場合、照射する活性エネルギー線の波長におけるキャリア基材の透過率は85%以上が良く、さらに好ましくは90%以上である。
また、さらにマスク露光あるいはレーザ掃引などの方法により、キャリア基材を通して活性エネルギー線を部分的に照射して、光導波路用樹脂層(B)を部分的に硬化させる工法(いわゆるパターニングを行う場合の露光工程)を採用する場合には、硬化物パターン、つまり、その後の未露光部分を除去する現像工程により現れるパターンのエッジの粗れ(パターン側面が平滑ではなく凹凸を有する状態)を抑制するために、キャリア基材は、表面のキズが無くかつ表面粗度が極めて小さいもの、内部に含まれる屈折率の異なる粒子状物質(気泡や有機物または無機物の微粒子)の寸法ができるだけ小さく、かつその含有量の少ないものが好ましい。その場合、キャリア基材の表面粗度(定義は後述)は算術平均粗さ(SRa)が0.1μm以下かつ十点平均粗さ(SRz)が2μm以下であることが好ましく、更に好ましくは算術平均粗さ(SRa)が0.06μm以下かつ十点平均粗さ(SRz)が1μm以下である。前記粒子状物質の平均粒径は1μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.5μm以下、最も好ましくは0.1μm以下である。
なお、本明細書おける表面粗さ(表面粗度)の数値は、後述する光導波路用樹脂層(B)の表面粗さをも表すことができるよう、探針式ではなく、走査型共焦点レーザ顕微鏡を用いた粗さ解析によって得られる値である。探針式の表面粗さ測定において微細な粗さを計測する際には、一般的には、先端が半径2μmの探針で0.75mN(約0.0765gf)の荷重を加えて測定する。被測定物との接触面積が半径2μmの場合には1平方cmあたり約600kgf相当、接触面積が半径1μmの場合には1平方cmあたり約2400kgf相当の荷重が被測定物に加わることになり、柔らかい樹脂においてはその力で変形が生じてしまい表面粗さを正しく測定できない。そのため非接触で表面粗さを測定する必要があり、本実施形態では走査型共焦点レーザ顕微鏡を用い、次の条件で測定することができる。
使用装置:オリンパス社製 走査型共焦点レーザ顕微鏡 LEXT OLS3000
対物レンズ倍率:100倍
粗さ解析モード:面粗さ
パラメータセット:JIS 1994
カットオフλc:無指定
最小高さ識別: 断面曲線:Pzの10%、粗さ曲線:Rzの10%、うねり曲線:Wzの10%
最小長さの識別: 基準長さ(画像視野)の1%
この結果で得られたSRaが算術平均粗さ、SRzが十点平均粗さであり、以下、本明細書では、SRa、SRzと表記することもある。
また、本明細書では、活性エネルギー線とは可視光領域以下の波長を有する電磁波のことを示し、具体的には、700nmから400nmの可視光、400nmから約2nmの紫外線、それよりも短波長のX線を示す。一般的には、波長9.4μmと10.6μmのレーザ光を発する炭酸ガスレーザなどの赤外線レーザを活性エネルギー線ということもあるが、本明細書ではあくまでも、活性エネルギー線は波長が700nm以下の電磁波を示し、赤外レーザは含まない。このように定義付けた理由は、光の波長が可視光よりも長い場合、その電磁波では、樹脂を硬化させる光硬化タイプの硬化開始剤を実質的に活性化させることができないからである。
本実施形態において、キャリア基材の厚みは、ドライフィルムの製造から使用における各工程で必要とされる諸特性や柔軟性を有する範囲であれば特に制限はない。一般的には9μm〜200μmが好ましい。9μmよりも薄くなると、キャリア基材にシワが極めて入りやすいという欠点や、強度が低下して破断しやすいという欠点あるいは、その上に光導波路用樹脂層を形成する際の加工工程で加えられる張力で伸びが大きくなる等の取り扱い性が悪化するので好ましくない。逆に、200μmよりも厚くなると、コストや製品重量が増えるという欠点以外にも、キャリア基材を通して活性エネルギー線で光導波路用樹脂を硬化させる際に、キャリア基材で活性エネルギー線が吸収される、あるいは散乱されるなどの欠点、キャリア基材の剛性が高くなりすぎて光導波路用ドライフィルムの製造工程あるいは使用工程で取り扱い性が悪化する欠点などが生じるので好ましくないと考えられる。キャリア基材が単層の材料からなる場合、更に好ましいキャリア基材の厚みは、15μm〜100μmであり、30〜75μmが特に好ましい。
キャリア基材の表面状態は、キャリア基材が最終的な製品において光導波路上に残存する場合と、キャリア基材が光導波路製造過程で除去されて最終的な製品において光導波路上に残存しない場合とで、異なる性状となっていてもよい。
すななち、キャリア基材が最終的な製品において光導波路上に残存する場合には、キャリア基材が接合されている光導波路を構成する樹脂層とキャリア基材の接着力が高い事が必要となるので、該キャリア基材表面は、プラズマ処理やコロナ処理などの表面に官能基を生成させる処理、あるいはサンドブラスト処理や化学的エッチング処理、オレフィン系ポリマで異なる結晶相が混在するものを延伸する処理などの方法で表面凹凸を形成する処理あるいは、光導波路用樹脂硬化物とキャリア基材両方に接着力の高い物質をキャリア基材表面にコーティングする処理(易接着処理やプライマー処理とも言われる)などで、接着化処理を施すのが好ましい。ただし、例えば、キャリア基材を光導波路の片方のクラッドとして使用する場合には、キャリア基材の表面が平滑で、光導波路コアを伝搬する光の波長において高い透明性を有し、かつコアよりも屈折率の低いものが必要である。この場合、コア用樹脂や上クラッド用樹脂との密着性を高くするために、その表面をプラズマ処理する、あるいは接着力の高い樹脂やカップリング剤などを薄層でコーティングするいわゆるプライマー処理をするのが好ましい。
一方、キャリア基材が光導波路製造過程で除去されて最終的な製品において光導波路上に残存しない場合には、キャリア基材が光導波路用樹脂の未硬化物あるいは硬化物との剥離を容易にするために、いわゆるアンカー効果を極小化できるよう表面平滑性の高いものが良く、SRaが0.1μm以下かつSRzが2μm以下というものが好ましく、更に好ましくはSRaが0.06μm以下かつSRzが1μm以下である。また、キャリア基材表面には、必要に応じてフッ素系樹脂やシリコーン系樹脂、各種有機シラン化合物などのコーティングや吸着などのいわゆる離型処理を施しても良い。
このようなキャリア基材の市販品としては、東洋紡株式会社製のPETフィルムの品番A4100等を例示できる。これは、片面に易接着処理がなされ、他面は表面処理がなされていないフィルムであり、表面粗さの実測値は、表面処理がなされていない面のSRaが0.03μm、SRzが0.7μmである。またその他の市販品として、東レ株式会社製のPETフィルムの品番T60等も例示できる。当該フィルムにおいて、表面粗さが小さい面の実測値は、SRaが0.04μm、SRzが1.9μmである。
なお、キャリア基材の表面状態にかかわらず、既述の通り、保護フィルムを光導波路用樹脂層から剥離する際に必ず光導波路用樹脂と保護フィルムの界面で剥離する必要があるので、キャリア基材と光導波路用樹脂界面の密着力は、保護フィルムと光導波路用樹脂界面の密着力よりも高くなければならない。
〔活性エネルギー線又は熱で硬化可能な光導波路用樹脂層(B)〕
活性エネルギー線又は熱で硬化可能な光導波路用樹脂層(B)は、光導波路(クラッド、コア)を構成する部材となるものなので、光導波路内を通って信号を搬送する光の波長(以下、導波光波長と略すこともある)において、活性エネルギー線又は熱で硬化した硬化物が高い透明性を有しており、かつドライフィルムの形態を実現できる樹脂で形成されていれば良く、どのような材料であっても使用できる。
最終的に光導波路を形成するための樹脂層なので、光導波路コア用の樹脂組成物と光導波路クラッド用の樹脂組成物はともに高い透明性を有する必要があり、その樹脂組成物を厚み2〜3mmの板状に硬化させた物体の、表面が平滑で気泡等の欠陥を含まない部分の厚み方向の透過損失を分光光度計にて測定した場合に、導波光波長が840〜860nmにおいては0.1dB/cm以下、または光導波路光波長が990〜1010nmにおいては0.3dB/cm以下、または導波光波長が1300〜1330nmにおいては0.5dB/cm以下がとなるような透明性を有する樹脂組成物であること好ましい。これらの値以上になると、光導波路の損失が大きくなり、光導波路で情報伝送するためのレーザ光源の出力を高めるために多くの電力を消費することになる、あるいは、光導波路で情報伝送可能な距離が短くなるという理由から好ましくない。
また、樹脂組成物の硬化物の屈折率に関しては、前記コア用樹脂組成物は、前記クラッド用樹脂組成物よりも導波光波長における屈折率が高い事が必須であり、コア屈折率の二乗値からクラッド屈折率の二乗値を差し引いた演算結果の平方根で示される開口数(Numerical Aperture;NAと略される)が0.1〜0.5となるように設定する事が好ましい。NAが0.1よりも小さくなると、長距離の光伝送で一般的に使用される光ファイバーであるシングルモード(SM)ファイバーのNAよりも小さくなるので、同光ファイバーとの光結合の際に結合ロスが発生する、あるいは光導波路コアを面内でカーブさせて配置する際の曲がり部のロスが大きくなる、あるいはコアとクラッドの屈折率差が小さすぎるためにNAの値がばらついて安定しないという問題が生じるので好ましくない。逆にNAが0.5よりも大きくなると、光導波路から受光素子へ向けて光が出ていく部分で光の広がり角度が大きくなることにより、受光素子の受光部分からはみ出す信号光が増えて結果的に結合損失が大きくなるので好ましくない。
このような光導波路用樹脂層(B)の樹脂材質としては、エポキシ硬化系の樹脂、アクリル硬化系の樹脂、シアネートエステル硬化系の樹脂、オキセタン樹脂系、ビニルエーテル樹脂系、ウレタン樹脂系、又はこれらを併用した樹脂、あるいは、シリコーン硬化系の樹脂等を例示できる。いずれも光導波路を構成する部材として使用されるので、硬化物の透明性が高いことが必要であるのは言うまでもない。
エポキシ硬化系の樹脂とは、硬化系として、炭素原子2個と酸素原子1個からなる3員環構造の官能基を意味するエポキシ基が、何らかの硬化開始剤存在下で活性エネルギー線や加熱によって開環反応を生じ最終的に樹脂が三次元架橋しうる硬化系の樹脂を含む組成物を意味し、他の硬化系、例えばオキセタンと呼ばれる炭素原子3個と酸素原子1個からなる4員環の官能基の開環反応によって三次元架橋する硬化系や、重合性の炭素−炭素二重結合を有する化合物が三次元架橋する硬化系(いずれも硬化開始剤存在下で活性エネルギー線や加熱によって反応が進行する)などを併用した樹脂であってもよい。
エポキシ硬化系樹脂の好適な例としては、特開2007−119585号公報、特開2009−104083号公報や、特開2009−104084号公報、特開2010−230944号公報に記載の内容や組成物を例示できる。
エポキシ樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂原料とは、エポキシ基を有する化合物であって、硬化させる必要があるので、組成物中には1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を含んでいる。エポキシ樹脂原料の分子量やエポキシ当量は様々であり、1,2,8,9−ジエポキシリモネン(株式会社ダイセルからセロキサイド3000として発売されている2官能の脂肪族エポキシ)のように分子量168でエポキシ当量93.5未満、から、フェノキシ樹脂やフェノキシポリマーとも呼ばれることがある高分子量エポキシ樹脂(エピクロルヒドリンとビスフェノールから合成される)のように分子量が4万以上、エポキシ当量が約7000以上のようなものまで幅広いエポキシ樹脂原料が存在する。本実施形態にて使用するエポキシ樹脂原料は、光導波路用樹脂層(B)のタック性や粉落ち性や脆さ、溶融粘度あるいは軟化温度などの取り扱い性や加工性、硬化性、及び光導波路用樹脂層(B)の硬化物の透明性や耐熱性、柔軟性、強靱性、屈折率、複屈折率、線膨張率、熱伝導率などの特性を所望の水準にできるよう、適宜選択する事ができる。このエポキシ樹脂原料を硬化させるには、硬化剤及び又は硬化開始剤(硬化触媒)が必要であるが、いずれも、光導波路に必須である硬化物における高い透明性を実現できるものであれば限定なく使用できる。
本実施形態において、アクリル硬化系の樹脂とは、カルボキシル基を側鎖に有するポリマーと、(メタ)アクリル酸エステルのモノマーあるいはオリゴマーと何らかの硬化開始剤を必須成分とし、活性エネルギー線や加熱によって重合反応を生じ最終的に樹脂が溶剤あるいはアルカリ性液体に不溶化する硬化系の樹脂を含む組成物のことをさす。好適な具体例としては、特開2009−169300号公報、特開2010−091733号公報、特開2011−117988号公報に記載の内容や組成物が挙げられる。
また、本実施形態において、シアネートエステル硬化系の樹脂とは、硬化開始剤(触媒)存在下で−OCN基同士が反応して6員環のトリアジン環を生成、あるいはエポキシ樹脂を併用する場合にはトリアジン環だけでなくオキサゾリン環も生成し、三次元架橋する硬化系の樹脂をさす。好適な例としては、特開2012−159590に記載の内容や組成物が挙げられる。
本実施形態において、シリコーン硬化系とは、触媒存在下でケイ素−水素と炭素−炭素二重結合の間で付加反応(ハイドロシリレーション)を生じさせ、三次元架橋する硬化系の樹脂をさす。
光導波路用樹脂層(B)の形成方法に関しては、特に限定はされないが、上述したようなキャリア基材(A)上に光導波路用樹脂層(B)を構成する樹脂組成物を塗工し加熱する方法が好ましい。より具体的には、樹脂組成物原料を全て混合したものが室温で液体の場合はそのまま樹脂組成物を塗工し、その後、加熱により硬化反応をある程度進行させ室温では固形状となる、いわゆるBステージ状態にする方法を例示できる。また、樹脂組成物原料を全て混合したものが室温で固形の場合は、樹脂組成物原料を溶剤に溶解した溶液を塗工・乾燥する方法、あるいは必要に応じて乾燥中の加熱により上記Bステージ化を行う方法を例示できる。この塗工とは、ダイコータ、スリットコータ、リップコータ、コンマコータ、グラビアコータなど、数μm〜数百μm厚の乾燥塗膜あるいはBステージ化塗膜を工業的に連続形成しうる一般的な方法を採用できる。
また、本実施形態の光導波路用樹脂層(B)の厚みに関しては、最終的に光導波路コアとなる部分の樹脂層は5〜100μm程度の厚みであることが好ましい。リッジ光導波路のコアは、光信号が伝搬する方向に対して直角の断面形状がほぼ正方形なのが一般的であり、光導波路コアとなる部分の樹脂層厚みがほぼコアの高さに相当し、部分的な露光とその後の現像で所望の形状を得る方法(フォトリソグラフィーあるいは、フォトリソ、あるいは単にパターニングとも言う)によって形成される光導波路コアの幅とほぼ等しいのが一般的である。このことから、光導波路コアとなる部分の光導波路用樹脂層(B)の厚みが5μmよりも小さくなると、コアの断面寸法が小さくなりすぎて、導波路と光を結合する相手である光ファイバーや発光素子との結合損失が増大する、あるいは、フォトリソでコアパターンを形成する際に所望の寸法を安定して製造しにくくなる、などの不都合が生じるので好ましくない。逆に、厚みが100μmよりも大きくなると、コアの断面寸法が大きくなりすぎて、導波路と光を結合する相手である光ファイバーや受光素子との結合損失が増大する、あるいは、光導波路全体の厚みが増大する、という問題が生じるので好ましくないと考えられる。
一方、光導波路用樹脂層(B)の厚みに関して、最終的に光導波路クラッドとなる部分の光導波路用樹脂層(B)は、光導波路を形成した際のコア直上又は真下の厚みが5μm〜100μmとなるような厚みであることが好ましい。5μmよりも薄くなると、コアに導波光を閉じ込める効果が低下して光導波路損失が悪化するので好ましくない。逆に100μmよりも厚いと導波損失面では問題無いが、光導波路そのものの厚みが増大して好ましくないと考えられる。
本実施形態の光導波路用樹脂層(B)の構造については、単層すなわち、下クラッド・コア・上クラッドの各層専用の単層の樹脂層でも良いし、多層すなわち、クラッド用樹脂とコア用樹脂が積層された構造であっても良い。
なお、下クラッドとは、最終的にコアが1層の光導波路が形成される場合には、後述する平面状物体(D)の上に形成されるクラッドであって、その上にコアが形成されるクラッドをさし、下部クラッド、アンダークラッド、第1クラッドあるいは1stクラッドなどとも呼ばれる。また、上クラッドとは、リッジ光導波路のコアを埋め込む、あるいはスラブ光導波路のコアの上を覆うクラッドのことであり、上部クラッド、オーバークラッド、第2クラッドあるいは2ndクラッドとも呼ばれる。下クラッド・上クラッドには厳密な区別はなく、コアを多層(多段)に形成する際には、上記の上クラッドの表面にコアを形成する場合があり、このような場合は、下層コア用の上クラッドが、上層コアの下クラッドを兼ねることになる。
〔保護フィルム(C)〕
本実施形態の光導波路用ドライフィルムにおいて、保護フィルム(C)の構成は重要な特徴の一つである。従来、光導波路用のフィルム材料においては、保護フィルムは光導波路用樹脂層との剥離性にのみ着目されており、保護フィルム表面の粗化については全く検討されていなかった。本発明において初めて、その表面が適度に粗化されており、かつ、保護フィルム(C)を剥離した樹脂層(B)の表面が保護フィルム(C)の表面粗度を反映した粗面になっているドライフィルムを用いることによって、後述する平面状物体(D)にラミネートした際、最終的に得られる光導波路の導波損失を低減できることが分かった。
本実施形態において、保護フィルム(C)は一般的には既述の通り、光導波路用樹脂層(B)表面に異物が付着したり、傷が付くのを防ぐ目的、あるいは、光導波路用樹脂層(B)を塗工・乾燥した後の巻き取り性を向上させるという目的でも使用される。本実施形態ではそういった従来の目的だけでなく、光導波路用樹脂層(B)表面に保護フィルム(C)の表面粗化状態を転写する母型として用いられる。保護フィルム(C)を剥離した面の光導波路用樹脂層(B)表面が粗化状態にあると、平面状物体(D)に接触した際の光導波路用樹脂層(B)の接触面積が小さくなり、貼り合わせる際に空気が排出される経路が多く確保されることから、貼り合わせ後の光導波路用樹脂層(B)にボイド(微細気泡)が残ることを極小化できると考えられる。
保護フィルム(C)の材質としては、例えば、キャリア基材(A)と同様のものを例示できる。
本実施形態において、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する表面は粗化状態であり、粗化するための手段は、サンドブラストや物理的エッチング加工とも称される放電加工、化学的エッチング加工などのフィルムに後加工する方法や、原料中にフィラーを添加し表面に凹凸を生成す方法、フィラー入りのコーティング材を表面に塗工・硬化する方法、あるいは原料中の樹脂の結晶構造比を制御し延伸過程で表面に凹凸を生成するなどのフィルム自体に凹凸を生成させる方法など、公知の方法を使用することができる。保護フィルム(C)において、光導波路用樹脂層(B)と接しない側の表面は平滑であっても粗化されていても良い。
本実施形態において、粗化面であるということは、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面が一般的に平滑であると認められる水準(つまりSRaが0.07μm以下またはSRzが1μm以下)を超えた粗度を有しているということを意味する。保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面の粗度の値が平滑な水準以下であると、後述の平面状物体(D)に、保護フィルムを剥離した光導波路用樹脂層(B)の表面をラミネートする際に、空気の逃げ道が無くなる部分が増え、貼り合わせ後の光導波路用樹脂層(B)と平面状物体(D)との間にボイドが多く残るので好ましくない。ちなみに、SRzは光導波路用樹脂層(B)の厚み以下が好ましいのは言うまでもない。
特に、前記粗化面のSRaが0.1〜1μm、かつSRzが1〜10μmであることが好ましい。SRaが0.1μm以下またはSRzが1μm以下であると、平面状物体(D)に、保護フィルム(C)を剥離して現れる樹脂層(B)の表面をラミネートする際に空気の逃げ道が少なくなって、貼り合わせ後の樹脂層(D)にボイドが残りやすくなるおそれがある。また、SRaが1μmよりも大きい、あるいはSRzが10μmより大きいと、保護フィルム(C)を剥離する際に部分的に樹脂層(B)が、保護フィルム(C)側に残る、つまりキャリア基材(A)から剥がれるという不具合が生じやすくなる傾向がある。なお、光導波路用樹脂層(B)の厚みが既述のように10μm以下の場合には、SRzはこの厚み以下であることが好ましい。
更に、本実施形態においては、保護フィルム(C)と光導波路用樹脂層(B)の剥離性は、保護フィルム(C)の粗化面によるアンカー効果の影響が大きいと考えられるが、これ以外にも、樹脂層(B)と保護フィルム(C)との物理的な相互作用なども影響していると考えられる。物理的な相互作用とは具体的には濡れ性などが挙げられる。これにより、保護フィルムの種類によっては、上記SRaが1μmであっても、樹脂からの剥離性が悪化することがあるため、特に、上記SRa0.1〜0.5μm未満かつ上記SRzが1〜5μm未満であることが好ましい。更に、上記SRaについては、より好ましい範囲は0.1〜0.3μmである。
上記SRa及び上記SRzがこのような範囲であれは、貼り合わせ後の樹脂層(B)のボイド残りの極小化が実現できるとともに、樹脂層(B)の厚みに関わらず問題無く使用出来るという利点がある。
保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する側の粗化表面には、更に離型処理が施されていてもよい。その手段としては、表面エネルギーの小さいフッ素系樹脂やケイ素化合物などを塗工・乾燥あるいは蒸着やスパッタなどの一般的な手段で薄膜形成するものを例示できる。保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接しない側の表面に、同じ離型処理が施されていても良い。
また、既述の通り、保護フィルム(C)を光導波路用樹脂層(B)から剥離する際に、光導波路用樹脂層(B)と保護フィルム(C)の界面で剥離させるため、保護フィルム(C)と光導波路用樹脂層(B)との界面の密着力は、キャリア基材(A)と光導波路用樹脂層(B)との界面の密着力よりも低くなっている。
保護フィルム(C)の厚みには特に制限はなく、取り扱い性や価格の面で決定すればよい。薄すぎると、強度不足やピンホールの不具合あるいは高価格になることから好ましくなく、厚すぎると、ドライフィルム全体の剛性が高すぎて取り扱いに不具合が生じたり、厚みや重量が増加して運搬コストが上がるなどの不具合が生じるので、一般的には10〜100μmが好ましい。
上記以外に、保護フィルム(C)には本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて帯電防止剤や活性エネルギー線吸収能力を持つ物質を材料中に混合あるいは分散しても良く、あるいは塗布しても良い。光導波路用樹脂層(B)が感光性樹脂の場合、保護フィルム(C)に光導波路用樹脂層(B)を硬化しうる波長をカットする能力を有する物質、例えば、紫外線吸収剤や可視光の短波長以下の波長の光を吸収する物質(特定の染料や顔料、酸化セリウムなどの無機粉末など)がフィルム内部または表面に存在している状態にすることで、ドライフィルムが製造された直後から光導波路用樹脂層(B)を露光処理するまでの間に、保護フィルム(C)側からの不必要な活性エネルギー線の暴露を防止する事ができるので特に好ましい。
本実施形態において、保護フィルム(C)は光導波路用樹脂層(B)に直接張り合わされているため、光導波路用樹脂層(B)自身が接着層として作用する。ラミネート済みのドライフィルムから保護フィルム(C)を剥離した光導波路用樹脂層(B)表面が、保護フィルム(C)の表面を反映した状態であるためである。ここで言う保護フィルム(C)の表面を反映した光導波路用樹脂層(B)の表面状態とは、光導波路用樹脂層(B)に接する保護フィルム(C)の表面の粗度(SRa、SRz)の値の40%〜100%の粗度の値を維持している状態を言う。このようなレベルで光導波路用樹脂層(B)の表面が粗化されていると、前述の通り、貼り合わせ後の光導波路用樹脂層(B)のボイド残りの極小化が実現できる。
保護フィルム(C)と光導波路用樹脂層(B)をラミネートする手段としては一般的な方法を採用できる。例えば、キャリア基材(A)に形成された光導波路用樹脂層(B)の表面に保護フィルム(C)の粗化面を適切な温度で、ロールにて押しつける方法、平板の真空ラミネータにより押しつける方法、ロール状に巻き取る際の張力で押しつける方法などを例示できる。
ここに言う適切な温度とは、光導波路用樹脂層(B)が保護フィルム(C)の粗化表面に追従しうる軟化状態を発現できる温度範囲の中で低い温度領域であれば良く、光導波路用樹脂層(B)の樹脂組成によって異なるが、一般的には室温〜100℃の範囲であるが、この範囲に限定するものではない。粗化表面に追従しうる軟化状態を発現できる温度範囲の中で、その最低温度よりも概ね70℃以上高い温度になると、光導波路用樹脂層(B)の樹脂がフィルム端部から流れ出してしまい、光導波路用樹脂層(B)の厚みが所望値よりも小さくなる(薄くなる)ので好ましくない。
[第2実施形態]
本発明のさらなる実施形態である光導波路の製造方法は、上述したような光導波路用ドライフィルムを用いる光導波路の製造方法において、以下の工程:
平面状物体(D)を準備する工程、
上述した光導波路用ドライフィルムの保護フィルム(C)を剥離する工程、
前記光導波路用ドライフィルムの前記保護フィルム(C)を剥離した光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を維持したまま、前記光導波路用樹脂層(B)と前記平面状物体(D)とを当接し、減圧下で加熱加圧して貼り合わせる工程、並びに、
光導波路用樹脂層(B)の一部分もしくは全面を活性エネルギー線又は熱で硬化させる工程を、上記順序で行うことを特徴とする。
〔平面状物体(D)を準備する工程〕
本実施形態において、平面状物体(D)とは、本発明に係るドライフィルムの光導波路用樹脂層(B)を貼り付ける対象物である。
具体的には、例えば、電気配線用基板(電気回路用のフレキシブル基板やリジッド基板)、屈曲性フィルム状材料、金属箔など、あるいは、光導波路構成部材がその上に形成された電気配線用基板、屈曲性フィルム状材料又は金属箔等が挙げられる。また、平面状物体(D)は、光導波路層の全て又は一部を形成した後に、前記光導波路層と剥離可能な仮基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された前記仮基板であってもよい。
前記平面状物体(D)が、屈曲性フィルム状材料である場合は、電気配線を含まない、又は最終的に電気配線が形成されない屈曲性フィルム状材料であってもよい。
これらの各平面状物体(D)については様々な態様が考えられるが、特に、平面状物体(D)の表面粗度が低い場合、つまり、光導波路用樹脂層(B)を貼り合わせる対象物である平面状物体(D)の表面粗度がSRaで0.1μm以下の場合には、貼り合わせ後の光導波路用樹脂層(B)に気泡が多く残存しやすくなるので、本発明の効果がより発揮されると考えられる。
なお、上述したような平面状物体(D)は既知の製造方法によって得ることができる。特にそれらの上に、下クラッドが形成された物体または下クラッドとコアが形成された物体、下クラッドとコアと上クラッドが形成された物体の場合は、本実施明帯で開示される光導波路用ドライフィルムとその製造方法を用いて得ることができる。
〔光導波路用ドライフィルムの保護フィルム(C)を剥離する工程〕
本実施形態の光導波路用ドライフィルムは、保護フィルム(C)が光導波路用樹脂層(B)にラミネートされているので、光導波路用樹脂層(B)と平面状物体(D)とを貼り合わせるために、まず、保護フィルム(C)を剥離する。その方法は、特に限定されず、光導波路用ドライフィルムの一辺あるいは角から保護フィルム(C)を手作業で剥離しても良いし、機械装置によって剥離しても良い。図2に光導波路用ドライフィルムの下クラッド用ドライフィルムの保護フィルム(C)を剥離した状態の模式図を示す。
〔前記光導波路用ドライフィルムの前記保護フィルム(C)を剥離した光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を維持したまま、前記光導波路用樹脂層(B)と前記平面状物体(D)とを当接し、減圧下で加熱加圧して貼り合わせる工程〕
本実施形態では、粗化されている光導波路用樹脂層(B)の表面を平面状物体(D)に接触させるため、保護フィルム(C)を剥離して現れた光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を維持し、平坦化されないようにする。例えば、保護フィルム(C)を剥離した後の光導波路用樹脂層(B)の表面が、何らかの装置を通過する際にロール等で挟まれる、あるいは、保護フィルム(C)を剥離したドライフィルムの上に何らかの物体を積み重ねる事によって、圧力を加えられて樹脂層(B)の表面粗化状態が平坦化される事態は避けねばならない。あるいは、保護フィルム(C)を剥離した後の樹脂層(B)の表面が、高温にさらされて軟化あるいは溶融して粗化状態が平坦化されることも避けねばならない。このような、粗度を低下させる要因を排除することで、表面粗度を有する保護フィルム(C)を剥離して現れる光導波路用樹脂層(B)の表面状態として、既述の通り、光導波路用樹脂層(B)に接する保護フィルム(C)の表面の粗度(SRa、SRz)の値の概ね40%〜100%の粗度の値を維持できる。図3は、本実施形態において、下クラッド用ドライフィルムの場合を例にした、樹脂層(B)の表面粗度を維持したまま平面状物体(D)に接触させている状態の模式図を示す。
保護フィルム(C)を剥離して現れる光導波路用樹脂層(B)の表面を平面状物体(D)に接触させるのは、最終的に平面状物体(D)に光導波路用樹脂層(B)を貼り合わせてラミネートするためである。この貼り合わせる工程には大別して2通りの方法がある。1つは、平面状物体(D)の寸法に近似した寸法にドライフィルムをカットし、保護フィルム(C)を剥離して現れる光導波路用樹脂層(B)の面を平面状物体(D)に積載する方法である。もう一つは仮貼りとも言われるロールラミネート法であり、ロール状に巻かれた光導波路用ドライフィルムを、保護フィルム(C)を剥離しながら平面状物体(D)にロールを用いて接触させ適切な線圧で仮貼りするものである。
光導波路用樹脂層(B)を平面状物体(D)に当接(接触)させる際には、その際の温度において光導波路用樹脂層(B)の表面は粘着性(タック性)を有している必要がある。該温度は、前者の場合には室温であって、一般的には20℃〜30℃である。この温度域で、該樹脂層(B)の表面に全く粘着性が無いと、平面状物体(D)に積載後の取り扱いの過程で容易にドライフィルムがずれてしまい、その後に行われる貼合わせ工程にてドライフィルムが平面状物体(D)の所望位置とは違う場所に固定されてしまい、不良品になるおそれがあるからである。後者の場合には、この温度はロール温度であって、一般的には室温から100℃程度の温度域となる。この場合においても、接触させる温度において、樹脂層(B)は粘着性を有している必要があり、粘着性がないと仮貼りする事ができない。
次に、保護フィルム(C)を剥離して現れた光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を低下させることなく光導波路用樹脂層(B)の表面と平面状物体(D)を、最終的に接触させた、あるいは当接させたものを、いわゆる真空ラミネート法で貼り合わせる。真空ラミネートとは、必要な温度に加温された板の上にワークを置き、雰囲気を減圧にし、減圧を継続したままワークに上下方向から必要な温度で圧力を加える、という機構を有する装置を用いた貼り合わせ方法である。
ビルドアップ法で積層板を製造するための、いわゆるビルドアップフィルムをはじめとして、ドライフィルムタイプの材料をラミネートするのに適した装置が多く市販されており、株式会社名機製作所やニチゴー・モートン株式会社、サンエー技研株式会社、北川精機株式会社などから販売されているものを例示できる。また、プリプレグを用いて積層板を製造する際に広く用いられている真空平板プレス、真空多段プレスを使用することができる。
このような装置を用いて、ラミネート条件を適切に設定する事により、ラミネート完了後の光導波路用樹脂層(B)にボイドの存在が極小化された状態を実現できる。ニチゴー・モートン株式会社製のV130での条件としては、上下の弾性体の温度を50℃〜110℃に設定、ワークを置いた空間を減圧して気圧が100Pa(パスカル)に到達後10〜90秒間保持した後、上側弾性体の内部に0.2MPa〜1MPaの圧縮空気を導入してワークの上下方向に応力を加え、その状態を30秒間から120秒間保持し、その後圧力を解放してワークを取り出す条件など、を例示できる。
貼り合わせ条件が不適切な場合、例えば、温度が35℃であったり、100Pa到達後の保持時間が2秒であったり、圧縮空気の圧力が0.15MPaであったり、圧力を加えた状態での保持時間が10秒であったりすると、貼り合わせ後の樹脂層(B)にボイドが残存しやすくなるおそれがある。
図4に下クラッド用ドライフィルムを例にした、この貼り合わせ工程が完了した状態の模式図を示す。
また、真空ラミネータのワークを加圧する部分にゴム状弾性体が用いられている場合において、平面状物体(D)表面に形成された回路パターン等によって表面に概ね10μm以上の段差がある際には、貼り合わせた後の光導波路用樹脂層(B)の表面が、該段差よりは小さいものの、該段差を反映した段差を生じる場合がある。この段差が以降の工程や最終的な製品において問題となる場合には、貼り合わせ工程の後に、いわゆる平坦化工程を採用してもよい。この平坦化工程とは、一般的にはステンレス等の硬い平板を貼り合わせ済みのワークの上(ドライフィルム側)に置いて加熱下で真空ラミネートしてその表面を強制的に平坦にする、あるいは加熱下の平板プレスでその表面を強制的に平坦にするものである。
〔光導波路用樹脂層(B)の一部分あるいは全面を活性エネルギー線又は熱で硬化させる工程〕
光導波路用樹脂層(B)の組成物が、活性エネルギー線硬化処方か、熱硬化処方か、あるいはこの両方が可能な処方かによって、活性エネルギー線と熱のどちらの手段で硬化可能なのかが決まる。
少なくとも活性エネルギー線で硬化可能な処方であれば、活性エネルギー線が面状に照射される装置を使用する場合には光導波路用樹脂層(B)の全面を一括照射して全面を硬化させることができ、フォトマスク(単にマスクとも言う)を通して必要な部分にのみ活性エネルギー線を照射して、一部分を硬化させる事が出来る。また、活性エネルギー線がビーム状に照射される装置を使用する場合には、光導波路用樹脂層(B)の全面をスキャン(掃引)することで全面を硬化させることができ、活性エネルギー線のビームの太さに応じて必要であればマスクを通して、必要な部分に活性エネルギー線を掃引照射して、一部分を硬化させる事が出来る。この場合、活性エネルギー線で硬化させた後に、加熱処理を行って硬化を更に進める(アフターキュア、アフターベークまたは単にベークやベーキングとも言う)ことができる。
一方、少なくとも熱で硬化可能な処方であれば、光導波路用樹脂層(B)を含むワークを硬化に必要な温度環境に置く事で、全面を硬化させることができる。また、熱線あるいは熱線相当の波長の電磁波を発する炭酸ガスレーザ等のレーザをマスクによって部分的に照射すること、あるいは熱線のビーム(熱線相当のレーザを含む)をその太さに応じて必要であればマスクを通して、必要な部分に該ビームを掃引照射することで、光導波路用樹脂層(B)を部分的に硬化させる事ができる。
ちなみに、キャリア基材(A)は、光導波路用樹脂層(B)を部分的に又は全面にわたって硬化させる前に剥離しても良いし、硬化させた後に剥離してもよい。
図5に下クラッド用ドライフィルムを例にした、この硬化工程が完了した状態の模式図を示す。
また上述した硬化工程を行う前に、光導波路用樹脂層(B)を、光導波路用樹脂層(B)が硬化に至らずかつ軟化あるいは溶融する条件下で加熱するのが好ましい。その目的は光導波路の低損失化であって、その発現機構は2点あり、以下に説明する。
一つ目の機構は、光導波路用樹脂層(B)の表面の平坦化(平滑化)である。前記貼り合わせ(ラミネート)工程を終了したドライフィルム側のキャリア基材表面には、貼り合わせ時にキャリア基材の外表面に存在する微粒子やホコリなどの影響で、微小な凹みが生じており、この凹みは光導波路用樹脂層(B)表面にも到達し、光導波路用樹脂層(B)の表面に微小な凹みが生じている。加熱することで光導波路用樹脂層(B)を変形しやすくし、キャリア基材(A)が付いたまま加熱する場合はキャリア基材(A)の弾性により凹みが修復されて平坦化できる、あるいは、キャリア基材(A)を剥離除去して加熱する場合は、光導波路用樹脂層(B)の表面張力により、凹みが修復されて平坦化できるのである。光導波路用樹脂層(B)が、その上にコアが形成される下クラッド用の場合、または上クラッドであっても多層光導波路を形成する際などのように更にその上にコアを形成する場合、クラッドの表面に凹みがあると、光導波路コアの外表面に凸が生じ、またコア用の場合はその表面に凹みがあると、コアの表面に凹みが生じ、結果的にコア表面に凹凸が生じることになり、導波損失が悪化するので、これを防止するために表面を平坦化することが極めて有効である。
二つ目の機構は、リッジ光導波路におけるコア側面の導波への影響低減である。光導波路用ドライフィルムがリッジ光導波路のコアを埋め込む上クラッド用である場合に、リッジ光導波路のコアに対して上クラッドをラミネートして上クラッド樹脂を硬化させずに加熱する事により、クラッド材料がコア側面に拡散浸透して、コア側面にコアの屈折率とクラッドの屈折率の間の屈折率を有する層が生じるので、この部分を通過する導波光の量が低下し、結果的にコア側面の粗れによる導波損失悪化を抑制することができ、低損失の光導波路を実現できるのである。
このような低損失化目的の2つの発現機構を実現させるために加熱する温度は、使用する樹脂層の軟化特性あるいは溶融特性によるが、一般的には80℃〜160℃が好ましく、更に好ましくは100℃〜140℃である。また、加熱時間は本目的を実現できる時間以上であって、工程のスループットを高める観点も勘案すると、10分〜60分間が好ましく、更に好ましくは10〜30分間である。
さらに、光導波路用樹脂層(B)を部分的に硬化させる工程の後には、いわゆる現像工程を行うことが好ましい。部分的に硬化させる目的は、一般的にはパターニングするためである。この現像工程では、光導波路用樹脂層(B)の未硬化部分を除去する能力のある手段であれば、どのような手段でも採用できる。光導波路用樹脂層(B)の性質に応じて、各種の有機溶剤や、アルカリ性水溶液、酸性水溶液などでの現像や、特開2007−292964号公報に記載の手段による現像などを例示できる。
ちなみに、パターニングの目的は、クラッドを平面状物体の上に部分的に形成するため、あるいはリッジ光導波路のコアを形成するため、あるいはリッジ光導波路のコアと同時にアライメントマークや光ビア機能を持つ構造体やコア間のクロストーク抑制用構造体を形成するため、あるいはクラッドにアライメントマークとしてあるいは電気接続のためのビアホールなどの開孔部を設けるため、などを例示できる。
本実施形態の光導波路の製造方法においては、下クラッド層を形成した後に、コアを形成し、その後、上クラッドを形成することができる。いずれも既述の工程を繰り返すことにより形成できる。
コアは、図6で例示するコア形成用ドライフィルム30を用い、図7で例示するよう保護フィルム33を剥離し、図8に例示するように、平面状物体上に形成した下クラッド14に接触させ、減圧下で加熱加圧して貼り合わせで図9に例示する貼合体を得た後、リッジ光導波路の場合には部分的に硬化・現像する事で、図10に例示するようにコア34を形成する。スラブ光導波路の場合は図9の貼合体のコア用樹脂層を全面硬化あるいは、必要に応じて部分的に面状にパターニング・硬化することでコアを形成する(図示せず)。
また、上クラッドは、図11で例示する上クラッド形成用ドライフィルム40を用い、図12で例示するように保護フィルム43を剥離し、図13に例示するように、平面状物体の上に形成された下クラッド14とコア34に近接させ、さらに図14に示すよう接触させ、減圧下で加熱加圧して貼り合わせで図15に例示する貼合体を得た後、上クラッド用樹脂層を硬化させて上クラッド44を形成する。最終的に上クラッド用ドライフィルムのキャリア基材41が剥離除去された光導波路の断面構成例を図16に示す。
光導波路コアを多層(複層または多段)に積層する場合には、更にこの上に、必要ならば下クラッド、続いてコア、上クラッドを同様の方法で形成すればよい。
〔第3実施形態〕
本発明は、上述したような製造方法で得られる、光導波路、または、当該光導波路を含む情報伝送機能を有する基板あるいは部材を包含する。
平面状物体(D)が、電気配線用基板又は光導波路構成部材がその上に形成された電気配線用基板である場合には、既述の通り、光導波路の損失が小さく、製造バラツキと不良率を極小化した光電気複合配線基板を製造することができる。
また、平面状物体(D)が、屈曲性を有しかつ、電気配線を含まない又は最終的に電気配線が形成されないフィルム状材料又は光導波路構成部材がその上に形成された該フィルム材料である場合には、既述の通り、光導波路の損失が小さく、製造バラツキと不良率を極小化したフレキシブル光導波路を製造することができる。
これによって、光ファイバーアレイでは実現することが出来ないレベルのコアピッチを有するフレキシブルな光導波路シートを実現でき、超高速の情報伝送が必要なボード間の信号伝送を、伝送素材(ファイバーや光導波路シート)の輻輳なく実現でき、最終的に装置内の冷却用換気効率向上による省エネを達成できる。ちなみに現在一般的な光ファイバーはクラッド外径が250μmなのでコアピッチも最小で250μmであり、より細い光ファイバーにおいてもクラッド外径は125μmでありこの場合最小のコアピッチは125μmである。一方、光導波路用ドライフィルムを用いた光導波路では、容易にコアピッチ62.5μmが可能なので、伝送素材の省スペース化を容易に実現できる。コア用光導波路樹脂層厚みが30μmのドライフィルムを使用してコア断面が30μm角、コア間隔が32.5μmのパターニング、あるいはコア用光導波路樹脂層厚みが35μmのドライフィルムを使用してコア断面が35μm角、コア間隔が27.5μmのパターニングを容易に行えるからである。また、コアを多層(多段)に形成することで更に高密度なコアを有する光伝送素材を得ることができる。
また、平面状物体(D)が、金属箔又は光導波路構成部材がその上に形成された金属箔である場合は、金属箔上に光導波路あるいは第一クラッドとコアを形成した後に、金属箔の反対面を電気回路基板に位置決め積層して接着し、表面の金属箔を既知の方法によって金属回路形成し、必要に応じてビアホールあるいはスルーホール加工を行って、光電気複合基板を形成することができる。
具体例としては、銅箔あるいは既述のピーラブル銅箔上に、クラッド用樹脂組成物ワニスを塗工・乾燥、あるいは、クラッド用ドライフィルム材料を真空ラミネートして、硬化させて第一クラッド層を形成する。その後、コア用ドライフィルム材料を真空ラミネートして、パターニングし、光導波路コアを形成し、コアを通る導波光が必要に応じて銅箔側あるいは反銅箔側へ偏向するようにコアパターンの所望の位置にミラーあるいは回折格子などの偏向機能を有する部位の加工を施す。その後、別途作製した電気回路基板と一体化するのであるが、この手段には二つの方法がある。
一つ目の方法は、熱硬化性のクラッド用ドライフィルム材料の層を介して、第1クラッドとコア(必要に応じて偏向部位を形成したコア)パターン形成済みの銅箔と、電気回路基板を真空ラミネートし、その後加熱硬化して接着する方法である。この場合には、第1クラッドとコアパターン形成済みの銅箔のコアパターン側に、熱硬化性のクラッド用ドライフィルム材料を真空ラミネートし、硬化させることなく、キャリア基材(A)を剥離して、キャリア基材(A)を剥離して現れる光導波路(クラッド用)樹脂層(B)を電気回路基板に接触させて真空ラミネートするのが好ましい。さらに必要に応じて、キャリアキャリア基材(A)を剥離して現れる光導波路(クラッド用)樹脂層(B)の表面に、本発明の保護フィルム(C)を真空ラミネートし、その後に該保護フィルム(C)を剥離し、該クラッド用樹脂層(B)の表面を粗化させてから、電気回路基板に接触させて真空ラミネートするのが好ましい。このようにすることで、真空ラミネート後の第二クラッドとなる部分に気泡が残存することを極小化できるからである。
二つ目の方法は、第1クラッドとコア(必要に応じて偏向部位を形成したコア)パターン形成済みの銅箔のコア側の上に、第二クラッド用のドライフィルムを真空ラミネートし、既述の方法で硬化させて光導波路層を完成させた後、熱硬化性の接着機能を有するプリプレグやボンディングシートなどの部材を介して電気回路基板と、完成した光導波路層付きの銅箔の光導波路側とを接着する方法である。その後、最表層の銅箔がピーラブル銅箔の場合はキャリア銅箔を剥離除去し、最終的に電気回路となる銅箔を公知の方法で回路形成し、必要に応じて公知の方法でビアホールあるいはスルーホールを形成することで、光電気複合基板を得ることができる。
本実施形態によれば、樹脂との密着力を高めるための粗化処理や化学的表面処理が施されている金属箔を使用することが出来るので、クラッド樹脂層と最表層の金属箔由来の導体回路との密着性を高めることができ、光電気複合基板の実装信頼性を著しく高めることができる。
平面状物体(D)が、光導波路層の全て又は一部を形成した後に、該光導波路層と平面状物体の間で剥離可能な仮基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された該仮基板である場合、この仮基板としては、光導波路をその上に形成する工程では剥離することなく、剥離が必要になった段階で剥離できるのもであって、易接着処理がなされていない熱可塑性樹脂板が好適である。ポリカーボネート(PC)やアクリル、シクロオレフィンポリマーなどの板を例示できる。このような仮基板の上に光導波路層を形成すると、化学的な接着が生じないので光導波路層と仮基板の界面に引き剥がしの応力を加える事で、光導波路層がダメージを受けることなく剥離できる。
本実施形態によれば、低損失で損失バラツキが少ないフィルム状光導波路を容易に製造することができる。
また、電気基板に対して光導波路層の全て又は一部を形成したものを転写することができ、特に光導波路コアに設けたミラーや回折格子などの光路偏向部が、光路を本実施形態で言う仮基板側に偏向するように形成されている場合において、転写によって得られる光電気複合基板の光導波路層側の表面方向に光路を偏向できるので、光導波路の側に配置される光素子との光結合に好適である。この場合、光導波路層の上層に導体回路を形成して光素子用の電極とし、その上に光素子を実装することができ、あるいは光導波路を形成する平面状物体を電気基板とし、その表面の電極上に光導波路層が存在しないようにパターニングする事で、光素子を電気基板表面の電極に実装することもできる。
一例としては、UV透過性PCの仮基板上に下クラッドとコア及び必要に応じてコアに光偏向部(ミラー)を形成し、上クラッド用のドライフィルムをラミネートしただけで上クラッド層が未硬化の状態でキャリア基材を剥離除去し、上クラッド用樹脂の面を、あらかじめ作製した電気基板に対して配置して真空ラミネートし、PC側からUV露光及び/又は熱処理を施した後、PC板を剥離除去する。その後、光導波路層の表面に現れた下クラッド層に対して熱硬化性の、エポキシ樹脂付き銅箔(RCCとも呼ばれる)を接着、あるいは、ボンディングシートを呼ばれるエポキシ樹脂を含む接着シートあるいはプリプレグを介して銅箔を接着、あるいは、銅の化学メッキの密着力を高める下地処理を行った後に銅を化学メッキする、などの方法で、全面に銅層を形成し、その後、常法によって銅の電気回路を形成して光電気複合基板を得る。
別の例としては、UV透過性PCの仮基板上に下クラッド、コア、コア上の光偏向部、上クラッドを形成し、ボンディングシートやプリプレグあるいは接着剤を使用して上クラッド表面と電気基板を接着し、仮基板を剥離除去し、表面に現れた下クラッド表面に前述のように電気回路を形成して光電気複合基板を得る。この例によれば、光導波路と光偏向部からなる光回路の光の導通確認を仮基板側から行う事ができるので、良品であることが確認された光導波路を電気基板と一体化できるので、光電気複合基板の歩留まりを更に向上することができる。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一局面に係る光導波路用ドライフィルムは、キャリア基材(A)と、活性エネルギー線又は熱で硬化可能な光導波路用樹脂層(B)と、保護フィルム(C)とを有する光導波路用ドライフィルムにおいて、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面が粗化面であることを特徴とする。
このような構成により、残存する微小気泡を極小化した光導波路を製造することが可能な光導波路用ドライフィルムを提供することができる。ひいては、光導波路の、導波損失低減、製造歩留まりや信頼性の向上を実現することができる。また、クラッド層とコア層を形成する工程を同じ装置を用いて実施する事が可能になり、光導波路製造コスト低減を実現することが出来る。
上記光導波路用ドライフィルムにおいて、前記キャリア基材(A)が樹脂フィルム又は金属箔であり、前記保護フィルム(C)が熱可塑性樹脂フィルムであり、さらに、前記保護フィルム(C)の前記粗化面の粗度が、算術平均粗さ(SRa)で0.1〜1μmかつ、十点平均粗さ(SRz)で1〜10μmであることが好ましい。それにより、残存する微小気泡を極小化した光導波路をより確実に製造することができると考えられる。
また、上記光導波路用ドライフィルムにおいて、前記光導波路用樹脂層(B)が、エポキシ基を有する化合物と、活性エネルギー線照射により前記化合物のエポキシ基を反応させて硬化させることができる光硬化開始剤とを含むことが好ましい。このような構成により、極めて低損失であって、多層電気基板材料として永年の実績があるエポキシ樹脂なので電気特性にも優れた光導波路を実現できると考えられる。
さらには、上記光導波路用ドライフィルムにおいて、前記光導波路用樹脂層(B)が、エチレン性二重結合を有する化合物と、活性エネルギー線照射により該化合物のエチレン性二重結合を反応させて硬化させることができる光硬化開始剤を含むことが好ましい。このような構成により、低損失で、一般のレジスト材料と同じアルカリ現像でパターニング可能な光導波路を実現できる。
本発明の他の局面は、上述の光導波路用ドライフィルムを用いる光導波路の製造方法において、以下の工程:
平面状物体(D)を準備する工程、
上述の光導波路用ドライフィルムの保護フィルム(C)を剥離する工程、
前記光導波路用ドライフィルムの前記保護フィルム(C)を剥離した光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を維持したまま、前記光導波路用樹脂層(B)と前記平面状物体(D)とを当接し、減圧下で加熱加圧して貼り合わせる工程、並びに、
光導波路用樹脂層(B)の一部分もしくは全面を活性エネルギー線又は熱で硬化させる工程を、上記順序で行うことを特徴とする、光導波路の製造方法である。
このような構成により、残存する微小気泡を極小化した光導波路を製造することが可能となる。ひいては、光導波路の、導波損失低減、製造歩留まりや信頼性の向上を実現することができる。また、クラッド層とコア層を形成する工程を同じ装置を用いて実施する事が可能になり、光導波路製造コスト低減を実現することが出来る。
上記光導波路の製造方法において、前記平面状物体(D)が、電気配線用基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された電気配線用基板であることが好ましい。このような構成によれば、光導波路の損失が小さく、製造バラツキと不良率を極小化した光電気複合配線基板をより確実に製造することができる。
あるいは、上記光導波路の製造方法において、前記平面状物体(D)が、屈曲性を有しかつ、電気配線を含まない、もしくは最終的に電気配線が形成されないフィルム状材料、又は光導波路構成部材がその上に形成された該フィルム材料であることが好ましい。このような構成により、光導波路の損失が小さく、製造バラツキと不良率を極小化したフレキシブル光導波路をより確実に製造することができる。
あるいは、上記光導波路の製造方法において、前記平面状物体(D)が、金属箔、又は光導波路構成部材がその上に形成された金属箔であることが好ましい。このような構成によれば、樹脂層との密着力を高めるための粗化処理や化学的表面処理が施されている金属箔を使用するため、クラッド樹脂層と最表層の金属箔由来の導体回路との密着性を高めることができ、光電気複合基板等の実装信頼性を著しく高めることができる。
また、あるいは、上記光導波路の製造方法において、前記平面状物体(D)が、光導波路層の全て又は一部を形成した後に前記光導波路層と剥離可能な仮基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された前記仮基板であることが好ましい。このような構成によれば、低損失で損失バラツキが少ないフィルム状光導波路を容易に製造することができる。
本発明のさらなる局面は、上述の方法により製造された光導波路、または、当該光導波路を含む情報伝送機能を有する基板あるいは部材を包含する。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
〔光導波路用樹脂ワニスの製造〕
光導波路用樹脂として、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂のワニスを作製した。エポキシ系樹脂のワニスは活性エネルギー線(UV)硬化タイプとしてクラッド用のE−CLとコア用のE−CO、熱硬化タイプとしてクラッド用のE−CL2を作製した。表1に記載の配合にて、全成分を60℃にて混合溶解し、孔径1μmのPTFEメンブランフィルタにて加圧濾過して各々のワニスを調整した。なお、使用した原材料は次の通りである。
・EHPE3150:株式会社ダイセル製の2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物であるエポキシ樹脂
・セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製の3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートであるエポキシ樹脂
・エピコート1006FS:三菱化学株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
・エピクロン850S:DIC株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
・VG3101L:株式会社プリンテック製のビスフェノール骨格を有する3官能エポキシ樹脂(CAS番号:110726−28−8)
・EPPN201:日本化薬株式会社製のフェノールノボラック型エポキシ樹脂
・YP50:新日鉄住金化学株式会社製のビスフェノールA型フェノキシ樹脂であって数平均分子量が6万〜8万のビスフェノールA型エポキシ樹脂
・エポトートYH300:新日鉄住金化学株式会社製の脂肪族ポリグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂であって、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂
・SP−170:株式会社アデカ製の4,4‘−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロアンチモネートを主成分とする、いわゆるスルホニウム塩系の光酸発生剤
・SI−150L:三新化学工業株式会社の4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウム=ヘキサフルオロアンチモネートスルフォニウムを主成分とする、いわゆるスルフォニウム塩系の熱酸発生剤。UVでも酸を発生しうるが、前記のSP−170と比べてUVに対する感度が低く、熱による活性化の方が顕著なので、ここでは熱酸発生剤と言う。
・F470:DIC株式会社製の界面活性剤(レベリング剤)
・トルエン、MEKは工業用試薬。
Figure 0006558736
アクリル系樹脂のワニスは、活性エネルギー線(UV)硬化タイプとして、クラッド用のA−CL、コア用のA−COを作製した。まず、クラッド用及びコア用のカルボキシル基を有するポリマを合成し、そのポリマと各種の(メタ)アクリル酸エステルと硬化開始剤を配合してワニスを調整した。
具体的には、コア用のカルボキシル基を有するポリマ(以下P−COと言う)を後述の通りに合成した。使用した原材料は以下の通りである。
・PGMEA:工業用試薬のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
・ADVN:工業用試薬の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
・DLDBT:工業用試薬のジラウリン酸ジブチル錫
・BHT:工業用試薬のブチルヒドロキシトルエン
・イミレックス−C:株式会社日本触媒製のN−シクロヘキシルマレイミド
・ライトエステルBZ:共栄社化学株式会社製のベンジルメタクリレート
・MMA:三菱ガス化学株式会社製のメタクリル酸メチル
・MAA:三菱ガス化学株式会社製のメタクリル酸
・カレンズMOI:昭和電工株式会社製の2−イソシアナトエチルメタクリレート。
窒素置換した還流管付きフラスコに窒素フロー下で、PGMEAを56質量部入れ65℃に加温し、あらかじめ混合したPGMEA:56質量部、イミレックス−C:13質量部、ライトエステルBZ:41質量部、MMA:10質量部、MAA:24質量部、ADVN:1.7質量部からなる溶液を2時間かけて滴下し、さらに65℃で3時間、その後90℃で1時間還流撹拌を行った。室温に放冷後、あらかじめ混合したPGMEA:14質量部、DLDBT:0.09質量部、BHT:0.1質量部からなる溶液を加えて、空気を導入しながら撹拌を行った。70℃に加温し、あらかじめ混合したPGMEA:12.0質量部、カレンズMOI:21質量部の混合物を30分かけて滴下し、70℃で3時間還流撹拌を行い、P−COの溶液(固形分45質量%)を得た。
また、クラッド用のカルボキシル基を有するポリマ(以下P−CLと言う)を以下のように合成した。
使用した原材料は、既述以外には、2−HEMA:三菱ガス化学株式会社製のエチレングリコールモノメタクリレートである。
窒素置換した還流管付きフラスコに窒素フロー下で、PGMEAを56質量部入れ65℃に加温し、あらかじめ混合したPGMEA:56質量部、イミレックス−C:13質量部、MMA:31質量部、2−HEMA:31質量部、MAA:14質量部、ADVN:2質量部からなる溶液を2時間かけて滴下し、さらに65℃で3時間、その後90℃で1時間還流撹拌を行った。室温に放冷却後、あらかじめ混合したPGMEA:14質量部、DLDBT:0.09質量部、BHT:0.1質量部からなる溶液を加えて、空気を導入しながら撹拌を行った。70℃に加温し、あらかじめ混合したPGMEA:12.0質量部、カレンズMOI:21質量部の混合物を30分かけて滴下し、70℃で3時間還流撹拌を行い、P−CLの溶液(固形分45質量%)を得た。
光導波路用樹脂のワニス(クラッド用のA−CLと、コア用のA−CO)は、下記表2に記載の配合にて全成分を室温にて撹拌混合し、孔径1μmのPTFEメンブランフィルタにて加圧濾過して各々のワニスを調整した。なお、使用した原材料のうち、既述以外のものを以下に示す。
・A−9300:新中村化学工業株式会社製のエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
・A−CHD−4E:新中村化学工業株式会社製のエトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート
・A−BPE−4:新中村化学工業株式会社製のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート
・A−BPE−10:新中村化学工業株式会社製のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート
・イルガキュア2959:BASFジャパン株式会社製のα−ヒドロキシアルキルフェノン系のUVラジカル開始剤
・イルガキュア819:BASFジャパン株式会社製のアシルフォスフィンオキサイド系のUVラジカル開始剤
Figure 0006558736
〔光導波路用ドライフィルムの製造〕
光導波路用ドライフィルムは、キャリア基材上に上記で得た各樹脂ワニスをヒラノテクシード社製のコンマコーターヘッドのテストコーターを用いて塗布・乾燥し、形成された光導波路用樹脂層面に保護フィルムを40℃のラミネートロールで貼合し、巻き取る事によって製造した。そして、下クラッド用ドライフィルム、コア用ドライフィルム、上クラッド用ドライフィルムの3つのフィルムを1セットとして、光導波路用ドライフィルムのセットA〜Hを得た。表3のドライフィルム記号において、1CLは下クラッド、COはコア、2CLは上クラッドをそれぞれ指す。
下記表3に、キャリア基材、光導波路用樹脂層用樹脂ワニス、保護フィルム(PF)の組合せと、PFの表面粗さを前述の走査型共焦点レーザ顕微鏡により面粗さ測定した結果、乾燥後樹脂厚み(単位はμm)、及び保護フィルム(PF)を剥離して現れる樹脂面の表面粗さSRa、SRz(単位はμm)の測定結果を示す。ここで使用した原材料を以下に示す。
・A4100:東洋紡株式会社製のPETフィルムであって、片面に易接着処理がなされ、他面は表面処理がなされていないもの。厚み50μmのものを使用。なお、当該フィルムの表面粗さの実測値は、表面処理がなされていない面のSRaが0.03μm、SRzが0.7μmであった。
・CUF:三井金属鉱業株式会社製の品番MT18SD−H3、厚さ18μmの銅箔(キャリア銅箔)と厚さ3μmの銅箔からなる、いわゆるピーラブル銅箔。
・E−201F:王子エフテックス株式会社製OPPフィルム(厚み50μm)。走査型共焦点レーザ顕微鏡による面粗さは、SRa=0.05μm、SRz=0.97μmであった。これはいわゆる光学フィルムに相当するフィルムであり、粗化面とは言えないレベルの低い粗度を有する。
・SB−OPP:E−201Fの表面をサンドブラスト処理したもの。前述の面粗さは、SRa=0.15μm、SRz=1.7μmであった。
・E−PI:パナソニック株式会社製ポリイミド両面銅貼りフレキシブル板、品番R−F775(厚み20μm)の両面の銅箔をエッチオフしたもの。前述の面粗さは、SRa=0.26μm、SRz=2.6μmであった。
・YM17S:東レ株式会社製の表面粗化OPPフィルム(厚み20μm)。前述の面粗さは、SRa=0.7μm、SRz=7.7μmであった。
・E130:三菱樹脂株式会社製の表面粗化PETフィルム(厚み26μm)。前述の面粗さは、SRa=0.8μm、SRz=12μmであった。
Figure 0006558736
なお、表3に示すA4100をキャリア基材として使用するドライフィルムは全て、A4100の未処理面(易接着処理がなされていない面)に対して、また、CUFをキャリア基材として使用するE−E−2CLは厚さ3μmの銅箔面に対して、光導波路用樹脂を塗工した。
また、セット記号Dの3つのドライフィルムの保護フィルム(PF)剥離面の表面SRa、SRzの値を括弧付きで表示している理由を以下に説明する。
保護フィルムを剥離して現れる光導波路用樹脂表面の面粗度を測定するために、保護フィルムを剥離するには、ドライフィルム角の保護フィルムを指で剥離し、その後全面にわたり保護フィルムを剥がす方法をとった。セット記号D以外のドライフィルムでは保護フィルムと光導波路用樹脂との間で剥離できたが、セット記号D(保護フィルムとしてE130を使用したドライフィルム)の場合にはこの方法では、光導波路用樹脂の多くの部分が、保護フィルムに付着したまま、つまり、キャリア基材と光導波路用樹脂の間で剥離してしまった。この剥離方法では、キャリア基材と保護フィルムの両方が曲がった状態で剥離が進むので、保護フィルムと光導波路用樹脂層の間の密着力が高い場合、キャリア基材と光導波路用樹脂層の間の間で剥離する部分が発生し、結果的にキャリア基材側に光導波路用樹脂がなくなってしまう部分が生じる。セット記号Dのドライフィルムでは、この現象が発生した。
これを回避するために、セット記号Dにおいては、ドライフィルムのキャリア基材を減圧吸着板に吸着させ、キャリア基材と光導波路用樹脂が平面状態になるようにした状態で、保護フィルム角に粘着テープを貼り付け、角部分から保護フィルムを剥離した。この方法によって、キャリア基材と光導波路用樹脂の間で剥離してしまう現象を回避できた。ちなみに、減圧吸着板とは、金属平板に例えば0.3mmφの貫通穴を多数開けて、その上にフィルムを置いて下側から減圧で吸引しフィルムを大気圧によって固定するものである。この方法では、剥離時には保護フィルムだけが曲がった状態で剥離進行するので、光導波路用樹脂と保護フィルムの間の密着力が小さくなくても、光導波路用樹脂と保護フィルムの間で剥離できる場合が多い。しかし、セット記号Dのドライフィルムでは、保護フィルムの表面凹凸の谷部分の底に光導波路用樹脂が残り、結果的に保護フィルムを剥離して現れる樹脂面の粗度は、保護フィルム自身の粗度に比べて40%未満の小さな値となった。
〔光導波路の製造〕
(実施例1)
光導波路を作製するための平面状物体1として、パナソニック株式会社製の両面銅貼り基板であるR1515W(銅箔12μm品)の銅箔をエッチオフした基板を130mm×100mmにカットした。この基板表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.81μm、SRzが8.0μmであった。また、UV分光光度計で365nmの反射率を測定したところ7%であった。光導波路用フィルムとしては、表3のセットAを用いた。
この基板(平面状物体1)に、下クラッド層を次の手順で形成した。つまり、基板上に、130mm×100mmの寸法にカットした下クラッド用のドライフィルムであるA−E−1CLの保護フィルムを剥離して現れる光導波路用樹脂層の面を配置し、真空ラミネート用のキャリアフィルム(あるいは熱板保護用フィルム)として200mm×170mmにカットした75μm厚のPETフィルム(東レ株式会社製、品番T60。以後T60と略す)を上下に配して(75μmPETフィルムの間に基板とドライフィルムが挟まれる構成で)、真空ラミネータ(ニチゴー・モートン株式会社製の加圧式真空ラミネータ、品番V130。以後V130と略す)にて、加熱温度50℃、1hPa(1ヘクトパスカル;約千分の1気圧)以下の真空に到達後15秒間保持した後、0.3MPaで90秒間加圧してラミネートした。真空ラミネート用のキャリアフィルム(T60)を除去し、A−E−1CLと基板がラミネートされたものを120℃20分の熱処理(平坦化)し、室温に放冷した後、ドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルム側から、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量になるように照射し、PETフィルムを剥離除去して、140℃30分間の熱処理を行って樹脂を硬化させた。この下クラッド表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.06μm、SRzが0.91μmであった。
こうして得られたR1515W両面エッチオフ品の片面に下クラッド層が形成された平面状物体の上に、次の手順でコアを形成した。つまり、上記下クラッド層の面に、130mm×100mmの寸法にカットしたコア用のドライフィルムであるA−E−COの保護フィルムを剥離して現れる光導波路用樹脂層の面を配置し、T60を上下に配して、V130にて、上記下クラッドのラミネート条件と同じ条件でラミネートした。T60を除去し、得られたドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルムを剥離除去し、120℃20分間加熱処理を行った。この処理後、室温に放冷したコア用の樹脂層表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.05μm、SRzが0.83μmであった。
次に、コアのパターニングを以下のように行った。つまり、光導波路コアの幅35μm・ピッチ125μm、長さ110mmを12本有するガラス製であってクロム薄膜を遮蔽層に有するいわゆるガラスのクロムマスク(コアとなる部分が開口部であるネガ型マスク)を介して、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量になるようにコア用樹脂側に照射し、その後140℃15分間の熱処理を行った。その後、55℃に調整した水系フラックス洗浄剤(荒川化学工業株式会社製「パインアルファST−100SX」)を用いて現像処理することにより、コア用樹脂の未露光部分を溶解除去し、水洗し、表面の水分をエアブローした後、100℃で10分間乾燥することにより、下クラッド上にコアパターンが形成された平面状物体を得た。
次に、該平面状物体の上に、さらに上クラッドを以下の手順で形成した。つまり、平面状物体のコアを形成した面上に、130mm×100mmの寸法にカットした上クラッド用のドライフィルムであるA−E−2CLの保護フィルムを剥離して現れる光導波路用樹脂層の面を配置し、T60を上下に配して、V130にて、加熱温度80℃、1hPa以下の真空に到達後30秒間保持した後、0.3MPaで120秒間加圧してラミネートした。T60を除去し、得られたドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルムを剥離除去し、140℃30分間加熱処理を行って室温に放冷し、その後、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量になるようにクラッド樹脂側に照射し、続いて140℃30分間の熱処理を行って樹脂硬化を完了させ、電気基板用積層板上に光導波路が形成されたサンプルを作製した。なお、UV露光の前に上クラッド用の樹脂層表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.06μm、SRzが1.0μmであった。
得られた光導波路の評価は、光導波路形成基板を3枚作製した上で、それらを用いて次のように行った。結果を表4に示す。
(ボイド観察):
目視及び光学顕微鏡にて、コア部およびクラッド部のボイド(気泡)を、光導波路面の鉛直上方から観察した。光導波路形成基板1枚あたり、直径5μm以上のボイドが観察されないものを◎、該ボイドが面内あたり1〜5個であったものを○、6〜20個であったものを△、20個よりも多いものを×とした。
(平均導波損失):
光導波路形成基板をコアの延伸方向と垂直に、コア長が100mmとなるようにダイシングブレードで切断し、コア長が100mmのサンプルを得た。このサンプルの導波損失を、波長850nmのレーザダイオードを光源とし、コア径10μm、NA0.21の光ファイバーの端部をシリコーンオイルのマッチングオイルを介して光導波路コアの片端に接続すると共に、コアの他端にコア径200μm、NA0.4の光ファイバーの端部をマッチングオイルを介して接続し、光のパワー(P1)をパワーメータで測定した。一方、この両者の光ファイバーの端面同士をマッチングオイルを介して突き当て、光導波路が介在しない状態での光のパワー(P0)をパワーメータで測定した。そして、−10log(P1/P0)の計算式から、光導波路の損失を求め、これを光導波路長10(cm)で除算することで、光導波路1本の導波損失(単位:dB/cm)を測定した。この測定を、1枚あたり12本の光導波路コアを有する光導波路形成基板3枚に対して行い、合計36本の光導波路コアの平均導波損失を計算した。
(不良率):
上記導波損失が0.1dB/cmを越える光導波路コアを不良とし、その本数/36をパーセント表記した値を不良率として求めた。
実施例1の平均導波損失は0.054dB/cm、不良率は0%(不良無し)であった。
Figure 0006558736
(実施例2〜6、比較例1〜2)
表3の光導波路用ドライフィルムセットB〜Hを用いて、実施例1と同様の作製手順と評価を行った。結果を上記表4に示す。
なお、実施例1の光導波路形成条件と異なる条件で行った内容を以下に示す。
(実施例4)
ドライフィルムのセット記号D、すなわちD−E−1CL、D−E−CO、D−E−2CLの保護フィルムを剥離する際、既述のようにドライフィルムのキャリア基材を減圧吸着板に吸着させ、キャリア基材と光導波路用樹脂が平面状態になるようにした状態で、保護フィルム角に粘着テープを貼り付け、角部分から保護フィルムを剥離した。セット記号D以外のドライフィルムの保護フィルムの剥離は、カットしたドライフィルムのコーナー部分の保護フィルムを指で剥がして剥離起点を設け、その後、保護フィルムと光導波路用樹脂付きキャリア基材を容易に剥離させることができた。しかし、セット記号Dのドライフィルムにおいてはこの方法では、保護フィルムに光導波路用樹脂の一部が付着してしまい、使用できなかったので、減圧吸着板を使用した。
(実施例5)
ドライフィルムE−E−2CLは、熱硬化タイプのクラッド用樹脂なので、上クラッドを硬化する条件が異なる。上クラッドをラミネートした後、140℃30分間加熱処理を行ったのち、160℃1時間の加熱処理を行って硬化させ、電気基板用積層板上に光導波路が形成され、さらにその表面に銅箔が形成されたサンプルを作製した。引き続き、キャリア基材CUFのキャリア銅箔(厚み18μm)を剥離除去し、上クラッド樹脂に接着された厚み3μmの銅箔を、エッチングレジストによるマスキング・パターン露光・現像によって電気回路を形成し、銅層厚みが12μmになるよう銅メッキを施した。損失評価はこのサンプルに対して実施例1と同様に行ったが、光導波路のボイド観察は、銅回路をエッチング除去し、銅箔アンカーのレプリカ形状となって粗化している樹脂表面に、実施例5のA−E−1CLで下クラッドを形成するのと同条件でA−E−1CLをラミネート・硬化させて表面を平坦化して観察した。ボイト観察及び損失評価とは別のサンプルにメッキ処理を施し銅層厚みを12μmに調整したサンプルで、銅箔のピール強度を常法にて実施したところ、0.69N/mmであった。
(実施例6及び比較例2)
ドライフィルムのセット記号F、すなわちF−A−1CL、F−A−CO、F−A−2CLと、セット記号H、すなわちH−A−1CL、H−A−CO、H−A−2CLは、これら以外のドライフィルムとは、ラミネート条件が異なる。更に光導波路用樹脂が、ラジカル硬化タイプなので酸素による硬化阻害を受けるため硬化条件が異なる、またカルボキシル基を有するアクリル樹脂系なので現像条件が異なる。F−A−1CL及びH−A−1CLのラミネート条件は、V130にて、加熱温度65℃、1hPa以下の真空に到達後15秒間保持した後、0.3MPaで60秒間加圧である。その後の硬化までの条件は、得られたドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルムを剥離せずに残したまま、140℃15分間加熱処理を行って室温に放冷し、その後、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量になるようにキャリア基材側に照射し、キャリア基材のPETフィルムを剥離除去し、続いて160℃30分間の熱処理を行って樹脂硬化を完了させた。F−A−CO及びH−A−COのラミネート条件は、下クラッドのF−A−1CL、H−A−1CLと同じである。引き続くコア形成条件は、得られたドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルムを残したまま、120℃20分間加熱処理(平坦化)を行った後、既述のネガ型マスクを介して、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて1500mJ/平方センチメートルの光量になるようにコア用樹脂側に照射し、キャリア基材を剥離除去して、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて現像処理することにより、コア用樹脂の未露光部分を溶解除去し、水洗し、0.5質量%の硫酸水溶液にて洗浄し、更に水洗した後、表面の水分をエアブローして、100℃で10分間乾燥後、既述UV光を365nmにおいて1000mJ/平方センチメートルの光量で照射し、更に150℃で30分間加熱することにより、下クラッド上にコアパターンを形成した。F−A−2CL及びH−A−2CLの形成条件は、V130にて、加熱温度90℃、1hPa以下の真空に到達後15秒間保持した後、0.3MPaで90秒間加圧である。その後、得られたドライフィルムラミネート品のキャリア基材であるPETフィルムを剥離せずに残したまま、140℃15分間加熱処理を行って室温に放冷し、その後、既述UV光を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量になるようにキャリア基材側から照射し、キャリア基材のPETフィルムを剥離除去し、続いて160℃30分間の熱処理を行って樹脂硬化を完了させた。
実施例1〜6、比較例1〜2の結果から、保護フィルムの光導波路用樹脂に接する面の面粗度が粗化面であれば、得られる光導波路の平均損失及び光導波路の不良率を低減することが可能となることがわかった。更に、該面粗度が、SRa:0.1〜1μmかつSRz:1〜10μmであれば、保護フィルムの剥離が容易でかつ、平均損失及び光導波路の不良率を更に低減することが可能となることが示された。また、上クラッドのキャリア基材として金属箔(銅箔)を使用することで、上クラッド上に銅回路を直接形成することが可能となった。
本実施例では平面状物体として、両面銅貼り基板のエッチオフ品を使用したが、電気回路を形成済みであって光導波路コアを形成する位置を特定するための機能を有するパターン(アライメントマーク)を併せ持つ多層配線板を使用することで、光電複合配線板を得ることが出来る。
(実施例7)
光導波路の両面にフレキシブルなフィルムが配置された構造のフレキシブル光導波路の製造例として、PETフィルム上に下クラッド層を形成し、そのクラッド面にコアを形成し、その上に上クラッドを形成すると同時にPETフィルムとの接着硬化を完了させる、という例を示す。
この例では、クラッド用材料に接するキャリア基材が、最終的にフレキシブル光導波路を保護・補強するためフィルムとしてクラッド層に強固に接着されたまま使用されるという点が、既述実施例とは異なっている。そのため本実施例の下クラッド用の材料は、ドライフィルム形状ではあるものの、キャリア基材は剥離除去せずにそのまま使用されるので、下クラッド用材料を平面状物体にラミネートすることは行わない。よって、平面状物体にラミネートして使用される本発明のドライフィルムとの違いを明らかにするために、本実施例の下クラッド用材料はドライフィルムとは表記せず、フィルム付き下クラッドと表す。
実施例1で使用したA−E−1CLの製造において、ワニスE−CLをA4100に塗工する際に、A4100の易接着面に対してワニスを塗工・乾燥し、保護フィルムE−201Fをラミネートしてフィルム付き下クラッド(光導波路用樹脂厚10μm)を得た。また、実施例1で使用したA−E−2CLの製造において、ワニスE−CLをA4100に塗工する際に、A4100の易接着面に対してワニスを塗工・乾燥する以外はA−E−2CLの場合と同様に製造して、ドライフィルムI−E−2CL(光導波路用樹脂厚み45μm)を作製した。
厚み1mm、縦横130mm×100mmのガラス板に、同寸法にカットした両面接着テープ(寺岡製作所製の品番:7692。接着層厚み47μm。強接着面の粘着力が8.8N/25mm、弱接着面の粘着力が0.5N/25mm)の強接着面を配置し、真空ラミネータV130により実施例1のA−E−1CLをラミネートする条件と同条件でラミネートした後、両面接着テープの第2面の剥離紙を剥がして現れる弱接着面に、130mm×100mmの寸法にカットした前記フィルム付き下クラッドのPET面を配置し、ガラスと7692のラミネートと同条件で真空ラミネートした。ガラス板に貼合したフィルム付き下クラッドから保護フィルムE−201Fを剥離除去し、140℃15分間の加熱処理(平坦化)を行って室温に放冷し、その後、超高圧水銀ランプからの活性エネルギー線(UV光)を365nmにおいて2000mJ/平方センチメートルの光量で照射し、続いて140℃30分間の熱処理を行って樹脂硬化を完了させた。この樹脂表面の面粗度を測定した結果、SRaは0.05μm、SRzは0.78μmであった。こうして得られた表面に下クラッド層を有する物体が、次にコア用ドライフィルム(A−E−CO)をラミネートするための平面状物体である。
この平面状物体の上に、実施例1にてコアを形成した場合と同じ条件でコアを形成した。このコア形成済みの平面状物体の上に上クラッドを形成した。上クラッドは、前述のクラッド用ドライフィルムI−E−2CLを使用し、実施例1にて上クラッドを形成した際の、ラミネートからUV露光までの条件と同じ条件で処理し、キャリア基材であるA4100を剥離せずに150℃30分間の熱処理を行って樹脂硬化を完了させた。
その後ダイシングブレードにて、光導波路側からコアの延伸方向と垂直に、コア長が100mmとなるように両面接着テープとPETの界面の5μm下(両面接着テープに5μm刃先が浸入する位置)で、PETフィルム−光導波路層−PETフィルムからなる複合体であるフレキシブル光導波路に切れ目を入れた。その後、両面接着テープの弱接着面とPETフィルムの間で剥離して、光導波路層の両面にPETフィルムが補強層として配置・接着された光導波路コア長さ10cmのフレキシブル光導波路を得た。
実施例1と同様に作製した3枚のワークについて評価を行った。このフレキシブル光導波路のボイドを前述の方法で観察したところ、ボイドは観察されず、評価は◎であった。また、導波損失評価は、幅(光導波路長)100mmのフレキシブル光導波路を幅98mmの基板上に弱粘着テープで固定し、実施例1と同様に行った。この結果は、平均導波損失が0.068dB/cm、不良率は0%であった。
本実施例によって、極めて低損失でフレキシブルな光導波路を高い歩留まりで製造でき、両端に光ファイバー用のコネクタを配置する事で、サーバやルータ、スーパーコンピュータ等のラックに納めたボードの間で光情報を伝送するフレキシブルでコア密度の高い伝送路を、低価格で実現することができる。
(実施例8)
実施例8では、剥離可能な仮基板上に形成した光導波路を剥離して、光導波路のみを得た。
光導波路を作製するための平面状物体として、厚み1mmの紫外線吸収剤を含まないポリカーボネート(PC)板を130mm×100mmにカットした。このPC板表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.06μm、SRzが0.92μmであった。この基板(平面状物体4)に、下クラッド用のドライフィルムであるA−E−1CLを実施例1と同条件で加工して下クラッドを形成した。この下クラッド表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.05μm、SRzが0.75μmであった。こうして得られたPC板に下クラッド層が形成された平面状物体を、次のコア形成用に用いた。
次に、下クラッド層が形成された平面状物体の上に、コア用のドライフィルムであるA−E−COを実施例1と同条件でラミネート及び熱処理した。コア用の樹脂層表面の面粗度を既述の方法で測定したところ、SRaが0.06μm、SRzが0.87μmであった。
次に、コアのパターニングを実施例1と同様に行い、コアが形成された平面状物体の上に、上クラッドとして、ドライフィルムA−E−2CLを用いて実施例1の上クラッドと同条件で形成した。
このようにして得られたPC板上に形成された光導波路を、実施例7と同様にダイシングブレードにてコア長10cmの位置で、PC板に5μmブレードの刃先が浸入する位置でカットし、光導波路層に切れ目を入れた。粘着テープを光導波路面に接着し、それを持ち上げることでPC板と光導波路を剥離し、光導波路のみのフィルムを得た。このフィルムを実施例7と同様に評価した結果、ボイドは観察されず評価は◎、導波損失の平均値は0.064dB/cm、不良率は0%であった。
本実施例によれば、上下のクラッドとコアのみからなり厚みが極めて薄い、低損失の光導波路フィルムを高い歩留まりで製造することが出来る。そしてコアの両端部に光コネクタを実装することでボード間の光情報伝送を高密度で行える光伝送素材を得ることができる。
この出願は、2013年9月27日に出願された日本国特許出願特願2013−202046を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、前述において図面等を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明は、光導波路とその製造方法、及び光導波路用ドライフィルム等の技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (10)

  1. キャリア基材(A)と、活性エネルギー線又は熱で硬化可能な未硬化光導波路用樹脂層(B)と、保護フィルム(C)とを有する光導波路用ドライフィルムにおいて、保護フィルム(C)の光導波路用樹脂層(B)と接する面が粗化面であること、並びに、
    前記保護フィルム(C)の前記粗化面の粗度が、算術平均粗さ(SRa)で0.1〜1μmかつ、十点平均粗さ(SRz)で1〜10μmであることを特徴とする光導波路用ドライフィルム。
  2. 前記キャリア基材(A)が樹脂フィルム又は金属箔であり、前記保護フィルム(C)が熱可塑性樹脂フィルムであることを特徴とする、請求項1記載の光導波路用ドライフィルム。
  3. 前記光導波路用樹脂層(B)が、エポキシ基を有する化合物と、活性エネルギー線照射により前記化合物のエポキシ基を反応させて硬化させることができる光硬化開始剤とを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光導波路用ドライフィルム。
  4. 前記光導波路用樹脂層(B)が、エチレン性二重結合を有する化合物と、活性エネルギー線照射により該化合物のエチレン性二重結合を反応させて硬化させることができる光硬化開始剤を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光導波路用ドライフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路用ドライフィルムを用いる光導波路の製造方法において、以下の工程:
    平面状物体(D)を準備する工程、
    請求項1〜4のいずれかに記載の光導波路用ドライフィルムの保護フィルム(C)を剥離する工程、
    前記光導波路用ドライフィルムの前記保護フィルム(C)を剥離した光導波路用樹脂層(B)表面の粗度を維持したまま、前記光導波路用樹脂層(B)と前記平面状物体(D)とを当接し、減圧下で加熱加圧して貼り合わせる工程、並びに、
    光導波路用樹脂層(B)の一部分もしくは全面を活性エネルギー線又は熱で硬化させる工程を、上記順序で行うことを特徴とする、光導波路の製造方法。
  6. 前記平面状物体(D)が、電気配線用基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された電気配線用基板である、請求項5記載の光導波路の製造方法。
  7. 前記平面状物体(D)が、屈曲性を有しかつ、電気配線を含まない、もしくは最終的に電気配線が形成されないフィルム状材料、又は光導波路構成部材がその上に形成された該フィルム材料である、請求項5記載の光導波路の製造方法。
  8. 前記平面状物体(D)が、金属箔、又は光導波路構成部材がその上に形成された金属箔である、請求項5記載の光導波路の製造方法。
  9. 前記平面状物体(D)が、光導波路層の全て又は一部を形成した後に前記光導波路層と剥離可能な仮基板、又は光導波路構成部材がその上に形成された前記仮基板である、請求項5記載の光導波路の製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の方法により製造された光導波路、または、当該光導波路を含む情報伝送機能を有する基板あるいは部材。
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