JP6549883B2 - 積層樹脂成形板とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スタンパブルシートを複数枚積層して所望の形状に成形する積層樹脂成形板とその製造方法に関するものである。
スタンパブルシート(繊維強化樹脂複合材)は、ポリプロピレン樹脂等の結晶性の熱可塑性樹脂にガラス繊維を配合したもので、強度・剛性に優れるため、キャブリアカバー、エンジンカバー等、自動車部品に用いられる金属成形板に代わって用いられるようになっている。
スタンパブルシートの成形は、シート状に裁断した材料をヒータで加熱して可塑性を与え、これをプレス機で加圧後、硬化した樹脂成形品を型から取り出して製品とする。
スタンパブルシートによる積層樹脂成形板は、薄肉で、面状であれば、成形後の冷却過程での熱影響による変形(冷却変形)は少ない。
特開平7−196822号公報 特開2007−313726号公報 特開平5−193039号公報 特開平6−155499号公報 特開平6−218835号公報 特開2012−234858号公報 特開2008−238435号公報
しかし、スタンパブルシートを複数枚積層した厚肉の積層樹脂成形板を成形する場合には、積層樹脂成形板の板厚が厚いため、冷却過程での各層の熱収縮差による変形で、ヒケ、ソリ、曲がり、ねじれ等の変形が発生してしまう。
すなわち、熱伝導率が一様なスタンパブルシートを複数枚積層して積層樹脂成形板を成形した場合、冷却過程で、表面から内部に向かって冷却されるため、表面は、冷えやすく、硬化が早く、結晶化度が低く、体積収縮(熱収縮)が小さいが、残留応力が残りやすい。これと逆に内部は、冷えにくく、硬化が遅く、結晶化度が高く、残留応力が残りにくいが、熱収縮が大きい。特に板厚が厚くなると、冷却が遅く、熱収縮が大きくなり、ヒケ、ソリ、曲がり、ねじれ等が発生し、外観性や寸法安定性が悪くなる。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、スタンパブルシートを複数枚積層し、これを加熱圧縮して積層樹脂成形板を成形する際に、内部と表層の温度差を小さくし、冷却過程での変形を抑制できる積層樹脂成形板及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、結晶性の熱可塑性樹脂に、その熱可塑性樹脂より熱伝導率の高い添加物が含有されたスタンパブルシートを複数枚積層して成形した積層樹脂成形板において、内部のスタンパブルシートから表面のスタンパブルシートに向かって熱伝導率が高くなるように積層して積重樹脂板を形成し、この積重樹脂板を成形型内で融解温度以上に加熱圧縮して成形し、その積層樹脂成形板を、結晶化温度範囲まで冷却し、成形型から離型させた後、自然冷却して製造したことを特徴とする積層樹脂成形板である。
また、本発明は、結晶性の熱可塑性樹脂に、その熱可塑性樹脂より熱伝導率の高い添加物が含有されたスタンパブルシートを複数枚積層して成形する積層樹脂成形板の成形方法において、内部のスタンパブルシートから表面のスタンパブルシートに向かって熱伝導率が高くなるように積層して積重樹脂板を形成し、この積重樹脂板を成形型内で融解温度以上に加熱圧縮して成形し、その積層樹脂成形板を、結晶化温度範囲まで冷却した後成形型から離型させ、しかる後、層間の熱伝達率の相違に基づいて内部と表層を熱平衡状態にして積層樹脂成形板を自然冷却することを特徴とする積層樹脂成形板の成形方法である。
本発明は、熱伝導率の異なるスタンパブルシートを用い、内部から表面に向かって熱伝導が高くなるように積層し、これを成形型内で、加熱、軟化させると共に、圧縮した後、成形板全体が外気温と同等となるまで、内部と表層の熱平衡状態を保って、自然冷却することで、熱収縮差と残留応力差を小さくでき、変形の抑制効果を発揮する。
本発明の一実施の形態を示す成形工程図である。 本発明において、ポリプロピレン樹脂にガラス繊維を含有させたスタンパブルシートで積層樹脂成形板を成形するときの加熱・圧縮・冷却・自然放熱時の各層の熱伝導率と温度範囲を説明する図である。 従来のポリプロピレン樹脂にガラス繊維を含有させたスタンパブルシートで積層樹脂成形板を成形するときの加熱・圧縮・冷却・自然放熱時の各層の熱伝導率と温度範囲を説明する図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
先ず、本発明においては、結晶性の熱可塑性樹脂に、その熱可塑性樹脂より熱伝導率の高い添加物が含有されたスタンパブルシートを複数枚積層して積層樹脂成形板を加熱した後、これを自然冷却して製造するものである。
このように製造することで、変形のない積層樹脂成形板が製造できる。
この理由を説明する。
本発明の前提:
熱力学の原則によれば、熱は、温度が高い方から低い方へ移動し、また、電子基板の放熱原理(特許文献6)によれば、熱は、熱伝導率が低い方(空気)より高い方(樹脂)へ移動しやすいものとする。その逆は、移動しにくいものとする。
変形要因について:
変形の起点は表層の急冷である。離型後に表層を再加熱するのがのぞましい。再加熱は、成形残留熱で行うのがのぞましい。
組織について:
変形の要因は、冷却過程での成形品の内部と表層の温度差であり、厚さが増すにつれて、大きくなる。よって、その差を小さくできる組織がのぞましい。そのためには、冷却過程での組織の熱平衡性を高めるのがのぞましい。そのためには、熱平衡性を調整できる層状組織がよりのぞましい。
熱平衡性について:
熱平衡性は、成形残留熱が内部から表層へ伝達し、内部と表層を熱平衡状態にする性質である。基材樹脂の組織の結晶化度を均一にするのが主目的であって、高めることだけを求めるものではなく、極端に言えば、低いままで均一となってもよい。表面からの放熱量より、内部からの伝熱量が上回れば、熱平衡性は高まる。
放熱について:
熱伝導率が一様な組織では、熱移動の方向を決定するのは、表面からの放熱作用だけである。放熱作用が働かなければ、熱移動の方向はランダムで、熱の保持性が不安定である。よって、層状組織とすれば、層毎に熱伝導率を変化させることができ、内部の温度が高く、熱伝導率が低く、表層の温度が低く、熱伝導率が高いとき、内部から表層へ移動した熱は、表層から内部へは、戻りにくい逆止作用が生じて、熱伝達の方向は、厚さ方向の1方向が遮断されて、熱の保持性は比較的安定する。よって、放熱作用と逆止作用で、内部から表面へ方向性を持った組織にするのがのぞましい。
ヒータ加熱では、表裏両面の過加熱により酸化劣化を起こしやすい(特許文献1)。また、膨張し、空気が入り込みやすい(特許文献7)。成形した際、成形板の各境界面の組織は変質している場合がある。よって、境界面間へ空気が入りにくい、成形型内で、過加熱が起きない積層した状態から加熱するのがのぞましい。また、加熱温度は、重量減少温度(特許文献1)を超えないことがのぞましい。
冷却について:
従来の成形方法では、成形型内での冷却の割合が高く、概ね完了する、強制冷却での急冷である。樹脂成形板の厚さが増すほど、内部と表層の温度差が大きくなり、変形が生じやすくなる。よって、成形型外での割合を高くした、自然冷却での徐冷を行うのがのぞましい。
成形法について:
結晶性の熱可塑性樹脂に含有させる添加物の含有率を変えて熱伝導率が異なる数種類のスタンパブルシートを用い、内部のスタンパブルシートから表面のスタンパブルシートに向かって熱伝導率が高くなるように成形下型に積み重ねた、積重樹脂板を、成形型内で樹脂の融解温度以上に加熱、軟化させると共に、圧縮して成形する。次に、成形型を結晶化温度範囲まで冷却し、その成形板の表層を同温度、内部を軟化温度下限値まで冷却した後、成形型から離型させ、しかる後、層間の熱伝達率の相違に基づいて、内部の成形残留熱で表層を再加熱し、熱平衡状態にして、その状態を保ったまま成形板を自然冷却するのが好ましい。
積重樹脂板を成形型内で融解温度まで加熱するには時間が掛かり、非効率的であるため、別の予熱工程を設けてもよい。軟化下限温度まで予熱し、積重樹脂板としてから、成形上型に設置してもよい。予熱は、ヒータ加熱(放射加熱)でのスタンパブルシート表裏の過加熱(特許文献1)を抑制するため、型枠(伝熱加熱)で行うのが好ましい。
基材と添加物の組合について:
結晶性の熱可塑性樹脂に、ガラス繊維を添加物として含有させてスタンパブルシートとするのが好ましい。
積層順序1:
結晶性の熱可塑性樹脂にガラス繊維の添加量を変えて熱伝導率の異なる複数種のスタンパブルシートを形成し、ガラス繊維の添加量の少ないスタンパブルシートを内部にし、その内部のスタンパブルシートから表面にかけてガラス繊維の添加量の多いスタンパブルシートを積層するのが好ましい。
添加物の含有量ついて:
ポリプロピレン樹脂に、ガラス繊維の含有量を、20mass%、30mass%、40mass%としたスタンパブルシートを用いるのが好ましい。含有量の違いで、成形収縮率が変化するため、その差は、10%が好ましい。
より好ましい積層順序:
ガラス繊維20mass%のスタンパブルシートの表裏に、ガラス繊維30mass%のスタンパブルシートを、さらにそのガラス繊維30mass%のスタンパブルシートにガラス繊維40mass%のスタンパブルシートを積層するのが好ましい。
成形温度について:
成形型の温度を165〜170℃とし、積重樹脂板を加熱、軟化させると共に、圧縮して積層樹脂成形板とした後、成形型の温度を115〜120℃まで冷却して、積層樹脂成形板の表面を同温度に強制冷却し、積層樹脂成形板の中心温度が120〜140℃となるまで成形型内で保持した後、成形型から離型し、自然冷却させるのが好ましい。また、成形型温度は、重量減少温度(特許文献1)を超えないことが好ましい。別工程で積重樹脂板を予熱する場合、型枠の温度は140℃が好ましい。
層間の結合力について:
ガラス繊維の含有量の違いで流動性は変化する。(特許文献7)成形型内で冷却を完了する場合、ブランク外形から外へ圧縮により拡大する部分では、冷えて粘度が低くなった流動先端同士が境界を作るため(例えば、溶岩が海中で表面を破って広がる状態)、成形板の外側(表面)に行くにしたがって、層境界の結合力は弱くなる。よって、積重樹脂板が積層樹脂成形板となるまで、成形型温度は、融点に近い、165〜170℃を保持するのが好ましい。
厚さについて:
スタンパブルシートは厚さ3〜6mmに形成され、そのスタンパブルシートを成形下型上面に重ねた後、成形型内で、積重樹脂板の厚さに対して、50〜80%の厚さになるように加熱、軟化させると共に、圧縮して積層樹脂成形板とするのが好ましい。
次に図1(a)〜図1(k)により、本発明の積層樹脂成形板の成形方法を説明する。
図1(a)〜図1(k)は、熱伝導率の異なるスタンパブルシート10を5枚積層して積層樹脂成形板20を成形する例を示したものである。
先ず、スタンパブルシート10は、結晶性の熱可塑性樹脂(熱伝導率の範囲:0.1〜0.3W/m・K)に、ガラス繊維(熱伝導率:1.0〜1.3W/m・K)、炭素繊維(熱伝導率:<80W/m・K(PAN系))やアルミナ繊維(熱伝導率:20〜30W/m・K)を添加物として含有させて形成される。
このスタンパブルシートとしては、ポリプロピレン樹脂(熱伝導率:0.12W/m・K)にガラス繊維を20〜40mass%含有させてスタンパブルシートの熱伝導率を調整するのがよく、さらに熱伝導率の高い炭素繊維やアルミナ繊維を添加するようにしてもよい。
また、スタンパブルシートは、面積に対して厚さが十分に薄く、スタンパブルシート10の面積1m2に対して厚さは、3〜6mmに形成される。
さて、図1(a)において、熱伝導率の異なるスタンパブルシート10を用意する。
本発明においては、スタンパブルシート10を、奇数層となるよう複数枚積層して、積層樹脂成形板を成形するが、図1(a)では、5層とする例を示している。
図1(a)に示すように、スタンパブルシート10c、10m、10sの熱伝導率は、中心スタンパブルシート10c<中間スタンパブルシート10m<表層スタンパブルシート10sの順に高く、積層の際に、熱伝導率が内部から表層に向かって熱伝導率が高くなるように、すなわち、中心層として熱伝導率が最も低い中心スタンパブルシート10cの表裏に、中間層として熱伝導率が中間の中間スタンパブルシート10mを重ね、その中間スタンパブルシート10mに表面層として熱伝導率が最も高い表層スタンパブルシート10sを重ねて積重樹脂板12とする。
図1(b)に示すように、積重樹脂板12を予熱型枠13の予熱下型14にセットし、予熱上型15を積重樹脂板12に密着するように降下させた後、図1(c)に示すように予熱型枠13で、積重樹脂板12を、スタンパブルシート10c、10m、10sの結晶性熱可塑性樹脂の軟化下限温度に予熱することで、各スタンパブルシート10c、10m、10sの層が相互に高密着した状態となる。
高密着後、図1(d)に示すように予熱上型15を上昇させて予熱型枠13から図1(e)に示すように積重樹脂板12を取り出し、積重樹脂板12が予熱され温度を略保ったままの状態で、図1(f)に示すように成形型16の成形下型17にセットし、成形上型18を降下させて、図1(g)に示すように成形上型18が積重樹脂板12の上面に密着した状態に保持し、その状態で融解温度以上に加熱することで、各スタンパブルシート10c、10m、10sの層の温度が、融解温度範囲内に加熱された状態となる。
次に、この積重樹脂板12を、図1(h)に示すように成形型16で、積重樹脂板12を、その結晶性熱可塑性樹脂の融解温度範囲内に保ったまま圧縮して行く。
この圧縮率は、積重樹脂板12の厚さに対して成形する積層樹脂成形板20の厚さが50〜80%となるように加熱・圧縮することで、積層樹脂成形板20は、積重樹脂板12の面積に対して、面積比で1.2〜1.4倍に広がって圧縮成形される。
加熱・圧縮後は、図1(i)に示すように、積層樹脂成形板20の表層の温度が、結晶性熱可塑性樹脂の結晶化温度範囲内になるように、成形型の温度を下げて、成形型16内で強制冷却する。
その後、図1(j)に示すように成形上型18を上昇させ、成形型16から積層樹脂成形板20を離型して自然放熱させることで、ソリなどの変形のない積層樹脂成形板20を成形することが可能となる。
本発明においては、中心スタンパブルシート10cの熱伝導率が最も低く、中間スタンパブルシート10mの熱伝導率が中心スタンパブルシート10cより高く、表層スタンパブルシート10sの熱伝導率を最も高くなるように積層している。このため成形型による強制冷却の際に、層間の熱伝達率が相違し、表層スタンパブルシート10sからの放熱量が大きく、その放熱により温度低下するが、離型後の自然冷却では、中心スタンパブルシート10cの持つ成形残留熱が、熱伝達により中間スタンパブルシート10mを介して表層スタンパブルシート10sに移動する。これにより、各スタンパブルシート10c、10m、10sの層が、自然冷却で略同じ温度で結晶化温度まで再加熱することが可能となり、内部と表層の熱収縮差と残留応力差を小さくでき変形を抑制できる。
以下、この理由を図2、図3により説明する。
図2は、ポリプロピレン樹脂を基材(熱伝導率:0.12W/m・K)にガラス繊維を含有させると共に、そのガラス繊維の含有量を変えて熱伝導率の相違するスタンパブルシート10としたものである。この場合、積層樹脂成形板20とした後のスタンパブルシート10c、10m、10sの各層の厚さは5mmで、全体の厚さは25mmであり、スタンパブルシート10の面積は、積層厚さより十分に大きく、厚さ方向の熱移動や放熱に対して、スタンパブルシート10の端面からの放熱や面方向の熱移動は無視できるものとして説明する。
図2(a)に示すように、中心スタンパブルシート10cのガラス繊維含有率が20mass%(熱伝導率:0.21W/m・K)、中間スタンパブルシート10mのガラス繊維含有率が30mass%(熱伝導率:0.255W/m・K)、表層スタンパブルシート10sのガラス繊維含有率が40mass%(熱伝導率:0.3W/m・K)として積層樹脂成形板20とすると、厚さ方向の熱伝導率分布は、図2(a)の右側に示したような分布となる。
スタンパブルシートは、予熱時には、ポリプロピレン樹脂の軟化下限温度140℃に予熱されて積重樹脂板にされ、加熱・圧縮時には、成形型内で、溶解温度範囲である165℃〜170℃に加熱、軟化すると共に、圧縮されて積層樹脂成形板20とされる。
その後、成形型内で表層が結晶化温度範囲の115〜120℃に冷却(中心層の温度範囲は120〜140℃)され、成形型から離型され、気温20℃の雰囲気にさらされると、表面から大気への放熱で、離型直後の各層の温度分布は、表層のスタンパブルシート10sの温度が70〜90℃、中間のスタンパブルシート10mの温度が90〜120℃、中心層のスタンパブルシート10cの温度が120〜140℃になったとする。
この場合、層間の熱伝達率により、表層のスタンパブルシート10sからの放射放熱量に対して、中心のスタンパブルシート10cから中間のスタンパブルシート10m、中間のスタンパブルシート10mから表層のスタンパブルシート10cへの熱伝達による熱移動量が大きいため、図2(c)に示すように表層のスタンパブルシート10sの温度は80〜100℃、中間のスタンパブルシート10mの温度は100〜120℃、中心のスタンパブルシート10cの温度は120〜130℃となり、さらに自然放熱されると、図2(d)に示すようにポリプロピレン樹脂の耐熱温度から結晶化温度範囲内の90〜120℃に各スタンパブルシート10c、10m、10sの温度が略同じ温度となって熱平衡状態となり、各スタンパブルシート10c、10m、10sのポリプロピレン樹脂が同時に結晶化するため、変形が生じることを防止できる。
図3は、ガラス繊維の含有量が30mass%のスタンパブルシート10(熱伝導率:0.255W/m・K)を5層として積層樹脂成形板30としたときの例を示したものである。
この積層樹脂成形板30は、図3(a)の右側に示した熱伝導率分布は、厚さ方向で一様となる。
ここで、図2(b)で説明したように、成形型から離型した直後の各層の温度分布は、図2(b)と同様で、図3(b)に示したような温度分布となる。
その後、自然冷却により積層樹脂成形板30が冷却されると、図3(c)に示すような温度分布で冷却され、層間の結晶化温度に達する時間が、表層で速く、中心で遅くなり、熱変形を生じてしまう。
すなわち、図3では、各層の熱伝導率が同じであり、層間の熱伝達率に違いがなく、自然冷却により、表層のスタンパブルシート10から放射放熱されても、表層の熱伝達率が低く、放射による放熱量は、図2の放射による放熱量より、少なくなるものの、各層間の熱伝達率は一定であり、中心と表面の温度差を維持したまま自然冷却されるため、図3(c)のような温度分布となってしまう。
ここで、図2のように層間で熱伝導率を変えた本発明と、図3に示すように熱伝導率が一様な従来例とで、本発明が自然冷却で変形しない理由をさらに説明する。
先ず、離型後の放熱量と伝熱量について説明する。
放熱量:
今、表層スタンパブルシート10sの外気への放熱量は、表面温度が115℃に保持され、表面が雰囲気20℃の大気にさらされたとき、放熱面積1m2、表面の放射率0.5、外気への対流熱伝達率7W/m2Kとすると、1100Wとなる。
伝熱量:
次に、板厚15mm、5層で、各層の厚さが3mm、中心から表面までの厚さが7.5mmの積層樹脂成形板20で、内側が140℃に保持され、表面が20℃の大気にさらされたとき(温度差120℃)、熱伝導する面積1m2、表層スタンパブルシート10s、中間スタンパブルシート10m、中心スタンパブルシート10cそれぞれの熱伝導率0.3、0.255、0.21W/mKとすると、4220Wとなる。
また、積層樹脂成形板20と同条件での中心スタンパブルシート10cの一様樹脂成形板(以下、一様樹脂成形板)は3360Wとなる。
よって、積層樹脂成形板20は、表面からの放熱量(1100W)より内部からの伝熱量(4220W)が多く、放熱量が伝熱量を上回るまでの間、積層樹脂成形板20は、熱平衡状態になる。
また、一様樹脂成形板の伝熱量(3360W)より積層樹脂成形板20の伝熱量(4220W)が多く、放熱量が両者一定として、積層樹脂成形板20は、熱平衡状態をより長く保持できる。
層毎の伝熱量:
層毎の伝熱量は、一様樹脂成形板を5層相当に分け、中心スタンパブルシート10c相当層(以下、中心相当層)の厚さを1.5mmとしたとき、670W、中間スタンパブルシート10m相当層(以下、中間相当層)の厚さを3mmとしたとき、1340W、表層スタンパブルシート10s相当層(以下、表層相当層)の厚さを3mmとしたとき、1340Wとなる。また、積層樹脂成形板20では、中心スタンパブルシート10cの厚さが1.5mmのとき672W、中間スタンパブルシート10mの厚さが3mmのとき1632W、表層スタンパブルシート10sの厚さが3mmのとき1920Wとなる。
よって、積層樹脂成形板20は、一様樹脂成形板より、表層スタンパブルシート10sの伝熱量が多く、離型直後の温度分布の差を、より早く無くすことができ、表層スタンパブルシート10sポリプロピレン樹脂の結晶化を促進できる。また、表層スタンパブルシート10sの伝熱量が多いということは、離型直後の表層スタンパブルシート10sの伝熱容量が大きくなることを示し、温度分布差が無くなるまでの間、中心スタンパブルシート10cからの伝熱量が多くなり、一様樹脂成形板の中心相当層より早く冷却され、中心スタンパブルシート10c結晶化が抑制される。
これらの機能付加により、樹脂成形板内部の温度分布の調整が可能となる。
一般に樹脂成形体を、厚さ方向の温度分布を一様にしながら常温まで冷却するには、自然冷却ではなく、温度降下を緩やかにして冷却するのがよいが、この冷却では、時間と雰囲気の温度管理が必要で、非効率である。
そこで自然冷却で、厚さ方向の温度分布の差を無くすことが、理想であるが、温度分布に差が生じ、ソリなどの変形が発生する。
そこで、本発明では、成型後の樹脂成形板の内部の成形残留熱を表層に逃がすために、中心から表層に向けての層間の熱伝達率を高くすることで、内部の熱を表面により早く移動させ、内部の熱伝導率を低く、表層の熱伝導率を高くすることで、自然冷却時に、層間の熱平衡状態を一定に保ってポリプロピレン樹脂の結晶化を均一にしたものである。
これにより本発明は、内部と表層を熱平衡冷却でき、熱収縮差と残留応力差を小さくでき変形を防止できるものである。
10 スタンパブルシート
10c 中心スタンパブルシート
10m 中間スタンパブルシート
10s 表層スタンパブルシート
12 積重樹脂板
16 成形型
20 積層樹脂成形板

Claims (5)

  1. 結晶性の熱可塑性樹脂に、その熱可塑性樹脂より熱伝導率の高い添加物が含有された複数枚のスタンパブルシートを積層して成形する積層樹脂成形板の成形方法において、
    内部のスタンパブルシートから表面のスタンパブルシートに向かって熱伝導率が高くなるように複数枚のスタンパブルシートを積層して積重樹脂板を形成し、この積重樹脂板を成形型内で融解温度以上に加熱圧縮して成形し、その積層樹脂成形板を、温度を下げた成形型内で、表層の温度が結晶化温度範囲になるまで冷却した後成形型から離型させ、しかる後、層間の熱伝達率の相違に基づいて内部と表層を熱平衡状態にして積層樹脂成形板を自然冷却し、
    自然冷却の際、内部の成形残留熱によって表層を再加熱し、表層の温度を離型直後から上昇させることによって内部と表層を熱平衡状態にすることを特徴とする積層樹脂成形板の成形方法。
  2. 添加物の含有率が、内部のスタンパブルシートから表面のスタンパブルシートに向かうほど高くされる請求項1記載の積層樹脂成形板の成形方法。
  3. 添加物が、ガラス繊維、炭素繊維またはアルミナ繊維により形成される請求項1又は2記載の積層樹脂成形板の成形方法。
  4. ポリプロピレン樹脂に、ガラス繊維の添加量を、20mass%、30mass%、40mass%含有させたスタンパブルシートを用い、ガラス繊維20mass%のスタンパブルシートの表裏に、ガラス繊維30mass%のスタンパブルシートを、さらにそのガラス繊維30mass%のスタンパブルシートにガラス繊維40mass%のスタンパブルシートを積層し、これをポリプロピレン樹脂の軟化温度まで予熱してスタンパブルシート同士を接合した積重樹脂板を形成し、この積重樹脂板を、成形型内で、165〜170℃に加熱すると共に圧縮して積層樹脂成形板とした後、成形型内で積層樹脂成形板の表面を115〜120℃に冷却した後、積層樹脂成形板を成形型から離型して、自然冷却させる請求項記載の積層樹脂成形板の成形方法。
  5. スタンパブルシートは厚さ3〜6mmに形成され、そのスタンパブルシートを積層した後、予熱型枠で120〜140℃に予熱して積重樹脂板とし、その積重樹脂板を、成形型内で、積重樹脂板の厚さに対して、50〜80%の厚さになるように加熱圧縮して積層樹脂成形板とする請求項記載の積層樹脂成形板の成形方法。
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