JP5484195B2 - 熱成形用の成形型 - Google Patents

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Description

本発明は熱可塑樹脂のシート又フイルムを用いた熱成型品の製造方法に関るものであり、熱成形中の賦形体を高速で加熱及びまたは冷却することに関し、更には結晶性熱可塑性樹脂の熱成形の過程において、シートの予熱温度より高温の熱処理を行い、耐熱性、透明性等の高い熱成形品等を高速で効率よく製造することに関する。
熱成形法では予熱されたシートまたはフイルムを成形型に押圧または真空引きにて賦形し離型する方法であるが、通常は賦形体は低温の金型で冷却され離型される。金型材料としてはアルミニウム、亜鉛合金などの軽量で加工性がよく、かつ熱伝導率の良い材料が使われ自然放熱で連続成形されることも多い。しかしそれでも特に温度調節を行いたい場合は成形型内部に設けたジャケットに熱媒体を通じて冷却することも行われる。一方、木材、プラスチックのような安価で加工し易い材料が使用されることがあるがこうしたものは、耐久性がなく、また温度調節が難しく熱蓄積などが問題となるため連続大量生産には向かず、枚葉成形機でのサンプル試作あるいは少量生産などに使用が限られる。
そして、特殊な成形方法として成形サイクル中に賦形体を任意に加熱したり冷却しようとするときは、上記のジャケットに通す熱媒を途中で熱媒を変更したり、あるいは賦形体を別に温度調整した金型へ移しかえたりすることが行われる。しかしこのような方法では所望の熱処理を行った成形品を高速で連続的に効率よく製造することはできない。
特別な加熱あるいは冷却を必要とする具体的な熱成形方法として、(1)特公昭56−7855号はポリエステルシートを1軸延伸配向させて加熱収縮させたシートを用いて熱成形する方法で、成形時に熱風を用いるなどにより熱固定する方法が開示されているが、熱処理に非常に長い時間がかかっており実用的ではない。また、(2)特公平5−45412号では、特定条件で2軸延伸し熱収縮させたシートを用いて熱成形と熱処理を行う方法が開示されている.ここでは、加熱型へ移し替える方法、熱風、熱水、赤外線になどよる加熱法が提案されているが、具体的には記載されておらず、単純にこれらを実行してもその効果はなく、またあったとしても高速で効率のよい実用的な方法とはならない。(3)特公昭60−031651号も特定のポリエステル延伸シートを熱成形し熱処理する方法で、加熱された金型で成形することは示されているが、金型あるいは成形品を冷却して離型することについては触れられていない。しかし、このような材料の熱処理成形には成形体を少なくとも熱処理温度より低い温度に冷却して離型することが望ましく、知られた方法でこれを行うとすれば、金型自体を電熱ヒーターで予め加熱しておいて成形直後に金型のジャケットに通水して冷却する方法、あるいは金型マニホールドに高温熱媒、低温熱媒を交互に通ずる方法などが考えられる。しかしこうした方法では高速で連続成形を行うことはできない。また(4)特許2532730号では、非延伸の結晶性PETシートを加熱された雌型で成形しこれを低温の雌型に移して冷却し離型する方法が示されているが、金型移行に際しては、成形品の変形、位置ずれ、シワの発生が問題となり、またそのような操作ができる特殊な専用成形装置をつくる必要がある。
また(5)特公平7−102608号は、高温の雌型で成形し、これに嵌合する低温の雄型に引き取って冷却し離型する方法を示しているが、これも金型移行の方法と云ってよく(4)同様に成形の変形やシワが問題となり、又オフセットやアンダーカットのある成形品には適用し難い。またこうした例とは別に、(4)(5)のようないわゆるCPETの成形では最初から高温の金型で成形すると、金型面で成形材料の滑りが悪いため波や凹凸などの不均一模様が出やすいというような問題もあり、これを避けるために最初低温金型で成形し高温金型に移行するプロセスも知られているが、これもやはり煩雑である。
特公昭56−7855号公報 特公平5−45412号公報 特公昭60−031651号公報 特許2532730号公報 特公平7−102608号公報
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。その主な目的は、熱成形の賦形から離型までの過程において、賦形体を高速で加熱しそして必要により高速で冷却し、特に賦形前の予熱シート温度以上の高温で熱処理を行って離型する熱成形を高速で効率良く連続的に行うことのでき、また良好な状態の成形品を得ることのできる熱成形型を提供するものである。
本発明は、熱成形用表面層及びこれに隣接する背後層を有する熱成形用成形型であって、該表面層は熱浸透率(kJ/ 1/2 K)が0.01〜25の材料により形成されると共に下式 (1):
α 1/2 ×10 >t>G・・・・・・(1)
(式中、t;表面層の厚み(mm)、α;温度伝達率( /s)、F;30、G;0.04)
で表される厚みを有し、かつ前記背後層の熱浸透率が5以上で且つ前記表面層より大きい材料から構成されていることを特徴とする熱成形用成形型を提供するものである。
本発明の成形型の断面図である。 本発明の成形型の断面図である。 連続繰り返し成形中の成形表面温度の変化を示す模式図である(パターンA)。 連続繰り返し成形中の成形表面温度の変化を示す模式図である(パターンB)。 連続繰り返し成形中の成形表面温度の変化を示す模式図である(パターンC)。
<成形型の構造>
本発明の型構成は、雄型、雌型、嵌合型(マッチドダイ)など熱成形に通常使われているどのような成形型にも適用できる。なお嵌合型の場合は少なくとも雌雄いずれかの片方が本発明の構成をしておればよい。具体的な例として図1のような構造を示すことができる。この図において1は成形型本体、2は成形用表面層でtはその厚み、3は真空孔、4は導気孔、5は熱媒通路を示す。 また、図2には、同様な表面層と真空孔および導気孔を有する成形型を、熱媒通路を有するプレート6の上に配置した例である。なお、このようなプレートの代わりに電熱ヒーターを挿入したプレートを用いても良く、電熱ヒーターを直接成形型に貼り付けてもよい。
<熱浸透率について>
本発明では特定の特性値すなわち熱浸透率を有する物質または物体を組み合わせるが、この熱浸透率(b値)は次の式で求められる。
b=(λρC) 1/2 ・・・・・(1)
λ;熱伝導率(Js −1 −1 −1
ρ;密度(kg −3
C;比熱(Jkg −1 −1
このb値は二つ物体の界面を通過して移動する熱量にかかわる特性値であり、この値が小さいということは界面に少ない熱量しか流さないことを意味する。特定のb値を有する材料を組み合わせる意味については後述することにする。
<温度伝達率について>
また上述の計算式(1)に用いられる温度伝達率(α値)は次の式で求められる特性値である。
α=λ/ρC ( /s)
λ、ρ、Cは前述の熱浸透率の場合と同じものを意味する。
このα値は、温度拡散率等とも呼ばれ、物体内の任意の点の温度の時間的変化を示す指標となる。またこの式は温度の時間的変化は、温度の傾斜の位置的変化に比例することを意味している。
下記の表1にいくつかの材料のb値とα値を例示する。なお、b値もα値も測定温度により若干違った値を示すが、本願においては、厳密には20℃の測定値にて規定することする。 ただし、20℃から200℃の間の変化に直線性を有しない材料、例えば相変化を伴う蓄熱剤などとの複合材料の場合は、100℃、150℃の値の平均値を採用することとする。
Figure 0005484195
<成形表面層の材料>
表面層の材料は、構成材料は固体であって無害かつ強度や耐熱性等が熱成形に耐えられるものであり、そしてb値が0.01以上、望ましくは0.1以上、更に望ましくは0.3以上であり、 そして25以下、望ましくは20以下、更に望ましくは10以下であればどのようなものも使用することができる。このような材料とて具体的には、前記表に例示した材料のうちから選択される所定の熱浸透率の材料のほか、表1に例示した以外の材料であってもよく、背後層材料よりb値(熱浸透率)の小さい適宜の材料を選んで表面層として使用できる。
なお、このようなb値は物体としてその値を示しておれば良く、例えば内部に気泡等の空隙含んだもの、あるいは他の物体を含んだ複合体も好適に使用することができる。この複合体は例えば多層体あってもよく、その場合は表面層全厚みを考量したb値の測定値あるいは計算値が上記を満足しておればよい。従って本発明の表面層の表面に上記の限りおいてどのような層を形成させてもよく、例えばどのような材料でメッキ保護層を形成させてもよい。
このb値が大きい表面層は、この層の温度で賦形体を迅速に加熱し、あるいは冷却でき、成形方法等に合わせ有効に利用できるが、反対に成形体裏面からの気体による加熱あるいは冷却の効果を減殺することになるので、より強力な気体加熱あるいは気体冷却が必要になる。具体的には気体温度を高くあるいは低くしたり、あるいは気体流速を極度に大きくしたり、湿分を添加したりしてこれを行うことができる。しかし25を超えるものは、それでも加熱冷却が困難になり、また極端な加熱冷却による温度不均一などの障害が現れ、商業的な効率で加熱冷却することができなくなる。一方、b値が小さいものは、この表面層の温度により賦形体を加熱あるいは冷却する効率は悪くなるが、賦形体裏面からの気体による加熱あるいは冷却を効率的にするので好ましい。しかし上記の限度より小さいものは、使用に耐える強度あるいは高度があり耐久性のある材料がみつけにくい。
こうした中で、金属材料、合成樹脂、合成樹脂複合材料、セラミックスは該表面層の材料として好適に利用することができる。
また、この表面層の厚みt(mm)の値は、
α 1/2 ×10 >t>G ・・・(1)
で表される式を満足することが必要で、このときのFの値は30であること、望ましくは15であること、更に望ましくは8であることが必要であり、またGの値は0.04であり、望ましくは0.06、更に望ましくは0.09、そして特段に望ましくは0.13であることが必要である。
本発明の範囲でtを大きくしていく、すなわちF値を大きくしていくと、成形サイクルに伴う該表面温度の頂点、低点の復帰に次第に時間がかかるようになり、また該表面温度の部位によるバラツキを補正する能力がなくなり、そしてまた条件の定常化に時間がかるようになり、F値が30を超えると本発明の実用的な意義がなくなる。反対にF値を小さくしていくと、より高速サイクル、よりバラツキを小さく、より短時間に定常化できるが、成形材料厚み違いや種々の成形条件に対する汎用性が小さくなる。そして更にtを小さく、すなわちG値を小さくしていくと背後層の熱量の影響が大きくなり、熱容量の比較的小さな気体のブロウでは賦形体を加熱冷却することが次第に困難になり、G値が0.04より小さい場合は本発明の意義がなくなる。
なお、表面層材料としてα値が10以上の材料を用いる場合は、t値は比較的に大きくなり、それでも上記(1)式の上限以下であれば背後層の温度を必要な速度で伝える機能はあるのであるが、現実的には次の観点からはt値は更に小さくしてもよく、小さいことがより望ましい。 通常の成形材料のb値およびα値はそれぞれ0.3〜1.0、0.03〜0.1×10−6程度であり、このような表面層材料(α値が10以上の場合は特に)よりも大きく下回ってくるので、気体接触による加熱冷却に際しては、賦形体の厚み方向温度勾配が急激になる一方、界面温度と表面層自体の温度変化は小さく留まることになる。これらの温度変化が小さければ、背後層への温度影響は実質的になくなるのでt値は小さくてもよくなり、これをより小さくして、背後層と表面(界面)との間の熱量の授受をある程度速くすることは望ましく、F値を15とすることが望ましく、8とすることが更に望ましい。
またこうした基準とは別に、表面層の厚みを小さくし、重量を軽減し、表面層での蓄積熱量を小さくすることは、取り扱い上も、操作能率の点からも望ましく、t値を50mm以下とすることが望ましく、25mm以下とすることが更に望ましい。
なお、一般的には表面層の厚みは均一にし、界面温度が各部分等しくなるように意図すれば良いが、それが問題にならない程度においては厚みの不均一は許容され、背後層との界面は概ね成形面形状に沿ったものであればよい。
しかしながら、成形品の形状と加熱気体あるいは冷却気体のブロウ方法や強さ等により、局部的に過剰な加熱や冷却がなされ大きな表面バラツキとなり障害が発生することがあり、これを緩和するためにこの局部の表面層の厚みを故意に加減することは望ましく、その加減程度は制約の限りではない。こうした部分を例示するならば、エッジや先端の部分は過熱あるいは過冷となりやすく、又狭い窪み部分などは十分な加熱冷却がなされないことになりやすい。また、分散性の悪い気体ブロウノズルの直下や、複雑形状の成形品でも同様に表面温度バラツキがおきやすい。
なお、本発明では、該表面から背後層までの最短距離をその部分のt値と規定する。それは、成形品の形状は限定されるものではなく複雑ものもあり、また背後層との界面は必ずしも成形品の形状に相似しない部分もあり、必ずしも該表面の垂直下に背後層があるとは限らないからである。更に、本発明では、規定するt値がの部分が該表面の面積の70%以上、望ましくは85%以上あればよく、他の部分はこの規定外の値であることも許容される。t値が規定外の値の位置に該当する成形体の部分では適切な熱処理、あるいは冷却が行われてない可能性がある。しかし、成形品の形状によるが、適切な熱処理あるいは冷却が行われて堅固な部分が、軟弱な部分を支持して全体形状保持してくれ、離型時、あるいは耐熱負荷時の収縮あるいは変形を防いでくれる。なお、表面層の厚さが成形品の高さを超えないようにすることが望ましい。
具体的に表面層の材料として、例えばエポキシ材料(表1の整理番号11)を用いた場合、tの値は9.95 > t(mm)>0.04であることが必要である。そしてこのtの値は望ましくは5.0mm以下、更に望ましくは2.7mm以下であることが必要であり、また望ましくは0.6mm以上、更に望ましくは0.09mm以上、さらに又望ましくは、0.13mm以上であることが必要である。なお、この最適な厚みは成形材料の材質や厚みあるいは成形条件あるいは成型品形状により変わってくる。t値が最適値より大きくなると、(1)成形型表面の温度を必要な温度に設定制御しにくくなり、あるいは(2)短い成形サイクルでは所定の表面温度を回復できなくなり、あるいは(3)成形面の各部分との界面温度ばらつきを問題のない範囲に収めることができなくなり、あるいはまた(4)また連続成形の中で定常状態としてこの表面温度サイクルを設定する場合も、定常化までの時間ロスや成形ロスが大きくなり、商業的な生産ができなくなる。この表面層の重要な役割の一つは、成形材料との間の熱授受を成形条件に合わせ制御することにあるが、また、その厚み下限を下回る場合は背後層の温度特性の影響が直接賦形体に大きく作用し、本発明の効果が実質的になくなる。
<背後層の材料と構造>
成形型の背後層の材料としては、一般的に熱成形型として耐える強度、剛性、耐熱性等があれば、どのようなものも使用できるが、表面層の剛性と強度が大きければ、背後層としては必ずしもこれらの特性は必要なく軟弱なものあるいは軟質な材料であってもよい。しかしながら表面層との熱膨張率の違いは考慮の必要があり、比較的近いものを選ぶかまたは機構的な工夫をして組み合わせる必要はある。
背後層の熱浸透率は前記表面層のそれより大きい材料、望ましくは熱浸透率が5以上の材料、更に望ましくは10以上の材料から構成されているのがよい。さらには、背後層の熱浸透率は前記表面層のそれより1.2倍以上であることが望ましく、1.4倍以上にすることは更に好ましい。このようすることにより本発明の効果をより鮮明にすることができるからである。
背後層の働きは、成形条件に合わせ表面層との間で適切な速度で熱の授受を行い、また表面層で発生する温度の不均一を迅速に是正することである。この働きをするに十分な厚みはあるいは形状は、この背後層の材料により、この背後層の温度制御の手段やその位置等により大きく変わるので特に規定するものではない。
例えばb値の大きなA5052のようなアルミ材料は加工し易く、軽量で安価であり好適に用いられるが、1mm程度でも効果が期待できる場合もあるが、5mm以上ある場合は剛性も増し固定等の都合も良くなる。しかし特別な材料を用いる場合はそのかぎりではない。例えば、結晶が特定方向にそろった特殊なグラファイトは、厚み方向に対して平面方向の熱伝導率が極端に高く(当然b値も高くなる)、この材料を用いれば非常に薄くても温度均一化の働の大きい構成物とすることができる。
本発明では、この背後層には自然放熱等に任せることもできるが、特別な調整機構を設けることが好ましい。例えば(1)フィン、あるいは通気孔を設け自然放吸熱、あるいは積極的に通気による熱冷却をする方法、(2)内部に発熱体を埋め込む方法、(3)外部に発熱体あるいは吸熱体を付加する方法、(4)内部にジャケットを設け熱媒体を通ずる方法等何れも採用することができ、また考えられる任意の方法を採用することができる。
図1および2における5の熱媒通路は、請求項2の記載に相当する温度制御機構の一つの形態であり、この通路には成形条件にあわせた任意の温度の熱媒を通じて成形型本体及び成形型表面温度を制御することができる。この温度制御機構は上記の如く任意に変更してよい。なお、図2は熱媒による温度調節パネルを成形型後方に配置させたものであり、これも同様に任意温度制御機構に変更してよい。
<成形型の製作方法と多数個どりの構成>
上記の材料を複合して成形型を製作する方法は限定するものではなく、いかなる方法も採用できる。例えば、予め作成した背後層(本体)に対して、(1)表面層材料を塗布し固化、(2)注型固化、(3)析出積層(電解メッキ、電鋳など)、あるいは(4)柔軟材を貼り付け固化するなどして一体の型に仕上げることができる。また、予め製作した表面層に対して同様のことを行ってもよい。あるいは表面層と背後層を別々に作成し両者を組み合わせても良い。また両者の材料の接合は、単なる接触、焼き嵌め、物理的嵌め合い融着、接着剤による接着など何れであってもよく限定するものではない。しかしながら両層材料の熱膨張率の違いが大きい場合、あるいは寸法精度が良くない場合は、両者の間に薄い緩衝あるは充填材を充填する方法は好ましく、柔軟性のある材料、熱伝導性の高いシンク材などの介在は特に好ましい。このようにして製作された個々の成形型は単独で用いられることもあるが、多くの場合は複数個を一つのボックスに収容するかあるいは共通のパネルに集積して、いわゆる多数個どりの成形が行われる。
一方本発明の別の形態として、前記の表面層のみからなる成形型部品を複数個製作し、これらを一つのボックスに収容するかあるいは共通のパネルに集積し、このボックスあるいはパネルに温度調節機構を内蔵あるいは外部付加することにより本成形型を構成することができ好ましく使用することができる。
<成形型の温度計測>
本発明の成形型を用いる熱成形法として後述の典型的なパターンがある。このようなパターンを管理あるいは制御するためには、成形サイクルに伴う賦形材料温度あるい該表面の温度変化を測定する必要がある。賦形材料温度の測定は困難なこともあり、該表面温度を測定することが最も望ましい。しかしこの測定は成型品上の痕跡などの障害もあるので、これに代わる温度変化を該表面下12mm以内の位置で求めることもできる。しかし、この範囲内であっても深部は応答性が悪く成形条件によっては殆ど応答しないこともあるので、該表面下6mm以下であり、更にはできるだけ表面に近いことが望ましい。またその位置は、表面層を通り超して背後層に及んでいてもよいが、背後層との界面、表面層内、該表面であることは望ましい。
このような温度測定は成形品の形状に対応して複数部位で行うようにすることは望ましい。
一方、背後層の定常温度(成形サイクルに直接応答しない)を背後層の中で測定することは望ましいが、これは付加されている温度制御手段に委ねることは可能で、例えば熱媒温度によって制御あるいは管理することは可能である。
なお、このような温度測定を行う成形型は、成形型を集積した多数個どりのセットの中で少なくとも一個あればよいが、複数個あることは望ましい。
このようにして測定した結果をもとに、手動で成形条件の諸設定の修正を行ってもよいが、自動でこれを行うようにすることは望ましい。
<本成形型の用途分野と熱成形方法>
本発明の成形型は、成形材料を賦形し離型するまでの過程において供給成形材料温度を上回る高温で熱処理し、必要により冷却して離型するプロセスを効率的に行うことができる。一つの方法は、熱成形中に高温気体及び又は冷却用気体を賦形体裏面(成形型に接触していない面)に接触させて行う方法である。他の一つは、赤外線加熱を賦形体裏面に照射して行う方法であり、これを高温気体加熱と併用してもよくまた単独で行ってもよい。
このような熱処理を必要とする具体的な用途を挙げると、例えば(1)CPET成形、(2)延伸ポリエステルの熱固定成形などに利用でき、また(3)ポリプロピレンのSPPF成形(固相高圧成形)に応用し、この成形方法の欠点を解決(残留応力歪みを緩和して耐熱寸法安定性を向上)する新規の方法等を提案することができる。
前者の高温気体及び又は冷却用気体を用いる成形方法として次の基本的な3つパターンについて説明する。なお、これらの混合パターンや変形パーターン等も考えらそれらにも好適に利用できる。
1)背後層の定常化温度(S線)を表面温度の最高点と最下点との間となるように設定し、加熱気体又は加熱気体ブロウ、および冷却ブローを行う方法(パターンA 図3)。
2)背後層の定常化温度(S線)を表面温度の最下点ないしはそれ以下になるように設定し、加 熱気体圧空又は加熱気体ブロウを行う方法。この場合、冷却ブローは行っても良く、行わなくてもよい(パターンB 図4)。
3)背後層の定常化温度(S線)を表面温度の最高点ないしはそれ以上になるように設定し、非加熱気体による圧空又は冷却ブロウを行う方法(パターンC 図5)。
パターンA、B、Cの各図は連続繰り返し成形中の該表面層の表面温度(賦形体があるときは界面の温度でもある)の変化を模式的に示したものである。パターンの温度軌跡では、太線部分は賦形体が成形型表面と接触した状態を、細線部分は賦形体が除去されている状態を示し、また太点線は賦形材料を密着させたまま放置されている状態を示す。S線は該表面層の背後の層の定常化された温度である。なお、背後層の温度は、成形サイクルに伴う変動がない部位の温度で、背後層の中の任意の部位で測定することができるが、ここでは表面層に比較的近い位置で、ほぼ一定の値を示す部位のものとする。
この背後層温度は決まった成形条件で、繰り返し成形サイクルの中である値に定常化するが、それでも熱源等との間で温度傾斜があることもあり、背後層の中で一定ではない。
ここで、パターンAについて説明すると、aゾーンで賦形及び高温気体との接触が行われ、bゾーンでは冷却ブロウがおこなわれ、cゾーンでは賦形体の離型排出と新成形材料の配置が同時に行われる。なお、aゾーンの賦形と高温気体接触は、高温気体による圧空賦形を行うかあるいは真空賦形を行いながら高温気体ブロウを行えばよいが、変形の態様として常温気体による圧空賦形あるいはマッチドダイ賦形に続いて高温気体ブロウを行う方法でもよい。なお、高温気体による圧空賦形に際しては、空気を故意に逃がしながら圧空を行えば効率的に加熱でできる。
このaからcまでの1サイクルの更に詳細を図では1〜5のように区分して示しているが、1では、背後層の高温により表面温度の自然回復がなされ、2では背後層温度と高温気体の両者により、3では高温気体のみにより表面温度の上昇がなされる、4背後層温度と冷却ブロウの両者により、5では冷却ブローによってのみ表面温度が冷却されて離型可能な状態になる。なお、賦形材料の熱処理温度あるいは離型可能温度を考えるとき、これらの温度はここで示される表面温度とはかなり大きな乖離があることを考慮する必要がある。秒単位あるいはそれ以下単位で成形サイクルの短縮をはかるときは、接触気体の流速を大きくして熱伝達率をできうる限り大きくする必要があり、賦形体の厚み方向で大きな温度傾斜が発生するからである。
パターンBでは、aゾーンではパターンAと同様に賦形と高温気体接触がなされるが、bゾーンでは放置するのみで背後層からの冷却により表面温度を低温に回帰させる方法である。離型は適度に温度降下したとき行えばよいが、極限的状態としては温度降下が始まる前に離型してもよく、それは成形材料によっては可能である。冷却ブロウは必要としないが、賦形体がないとき表面層直接に冷却ブロウも行えばより速くあるいはより低い温度まで冷却できる。cゾーンではパターンAと同様に離型移動と新成形材料の配置が行われる。
パターンCでは、aゾーンで背後層からの加熱により表面温度が昇温中に賦形を行って最高点到達を待ち、bゾーンで冷却ブローが行われる。そしてcゾーンで離型排出と新成形材料の配置が行われる。そして、このパターンの極限の状態では表面温度が最高点に到達してから賦形と次いで冷却ブロウが行われる。
この場合は該最高点またはそれ以上の背後層からの温度のみにより自動的に表面温度の昇温がなされる加熱気体ブロウは必要としない。この場合も、表面層直接に加熱気体ブロウも行えばより速く復帰できる。
なお、これらのパターンは典型な例として区分したもので、方法を限定するものでなく種々の変形が可能であり、例えば(1)賦形あるいは離型を温度軌跡の最高点や最底点に限るものではなく、最低点より高いところで賦形を始めてもよく、また最高点到達以前に離型を行ってもよく、また最高点点を過ぎてから賦形を始めてもよく、又最低点以前に離型してもよい、また(2)加熱気体や冷却気体を賦形体の不在時に直接型表面にブロウして温度回帰を促進することもできる。
<成形パターンと成形型設計について>
○低いb値(0.1〜2)の材料を成形表面層とした場合は、賦形体との間で熱の授受が少ないことにより、(1) 高温気体で容易に短時間で熱成型品を熱処理温度に昇温することができ、また(2)低温気体で容易に短時間で熱成型品の離型温度に冷却することができる。従ってAパターンの成形に適し、背後層温度を低くすることも容易で特に加熱しない機構のものでも高速成形が可能となる。Bパターン、Cパターンを実行するときは厚さtを小さく設計すれば可能となる。
○中間的なb値(1〜10)の材料を表面層に用いた場合は、Aパターン、Bパターン、Cパターンいずれにも適し、またAパターンでも任意に背後層を選定して容易に最短の成形サイクルを実行できる。しかも設計が適切であれば一つの成形型でこれらの成形パターンの選定が自由となる。
○高いb値(8〜20)の材料を表面層に用いた場合は、背後層温度を高く設定したAパターンが好ましく、またCパターンが好ましい。この材料の場合は気体冷却をより強力に行う必要があり、より低温にしたり、より流速を高めたり、加湿したりする方法が有効となる。
上記のパターンで表面温度の軌跡を観察し、最初の離型後次の賦形にいたるまでに表面温度が元の最高点および最低点に完全戻るような状態であれば、定常状態として均一な成形品を連続生産できていることになる。このような定常状態では背後層温度も一定しており、状態確認の指標となる。最高点および最低点が完全に元に戻らない場合は、時間経過とともに序々に上昇あるいは降下して行くことになるが、いずれは定常化するはずである。しかしながら、時には所定の最高点を超えた高温となり成形材料に障害を及ぼしたり、あるいは所定温度に未到達のため所定の熱処理ができない状態となる。あるいはまた最低点の温度が高すぎ離型に適切な温度とならないこともある。こうした現象を回避し、適切な熱処理温度、離型温度を実現するには加熱気体、冷却気体の諸条件を調整して行うことができるが、本発明の成形型を用いて熱成形する方法においては、背後層に付帯する温調機構を操作して背後層温度を変更設定して成形サイクルを容易に制御できることが大きな利点である。そして背後層温度の変更を優先して考えると、最適最速の成形条件の発見が非常に容易になる。さらに成形開始後実用的な短時間に定常状態を達成し、あるいは成形開始と殆ど同時に定常状態が得ることができる。
その他の変形態様
1)本発明の成形型の材料として、b値の異方性のある材料を用いることにより、特に好ましい性能を発揮させることができる。たとえば厚み方向に対し面方向の熱伝導率が極端に大きい(当然熱浸透率もおおきい)材料に特殊な方法で製造したグラファイトシートがあるが、このシートにより表面層を形成させても良く、あるいは背後層を形成さてもよい。このようにすることにより表面温度のバラツキ(気体による加熱冷却で、角部、先端形状部、コーナー部に発生しやすい)を速やかに回復均一化し、ひいてはサイクル短縮もはかることができる。
2)本発明の成形型を使用する特別な態様の一つとして、加熱気体として過熱蒸気を用いる方法にも利用することができる。過熱蒸気はそれ自体が熱容量が大きく効率的に賦形材料を加熱することができ、そしてまた圧空開放時にはその蒸発潜熱を利用して効果的に冷却して離型させることができる。そしてそのためには型材料として、普通の空気を用いる場合より防錆性、耐熱性、耐圧性等の高い材料をもちいることが好ましい。
3)本発明の成形型を使用する更に特別な態様の一つとして、加熱気体に併用して、あるいは加熱気体の代わりに赤外線加熱を利用する方法にも本成形型を利用することができる。照射装置としては、例えば圧空ボックス内天井に赤外線ヒータを配しておき圧空と同時に賦形体を裏面から照射加熱するプロセスを実行することができる。成形方法としては例えば成形パターンの中で、加熱気体と併用して実行することもでき、また加熱気体に置きかえて実行することもできる。成形型は、これを行うために特別に考慮して設計することが好ましく、表面層材料のb値は10以下であることが望ましく、更には5以下であることが望ましい。また表面層の表面は赤外線を反射せず吸収しやすい色調あるいは微細構造であることが望ましく、その赤外線放射率は0.4以上であることが望ましく、0.6以上であることが更に望ましい。
4)本発明の更に特別な形態として、表面層材料として多孔体材料あるいは無数の通気孔を設けた材料を用いることも好ましく、背後層あるいは別のところから気体を通じ、表面層の温度回帰を促進することもでき、例えば賦形体の不在時に背後層へ吸引通気をすれば冷却を促進し、背後層等から気体を送って通気すれば表面層の加熱あるいは冷却を促進することができる。
5)本発明では、一般的には表面層の厚みは均一にし、表面(界面)温度が各部分で等しくなるように意図すれば良いが、それが問題にならない程度においては厚みの不均一は許容され、背後層界面は概ね成形面形状に沿ったものであればよい。
しかしながら、成形品の形状と加熱気体あるいは冷却気体のブロウ方法や強さ等により、局部的に過剰な加熱や冷却がなされ大きな表面温度のバラツキとなり障害が発生することがあり、これを緩和するためにこの局部の表面層の厚みを故意に加減することは望ましく、その加減程度は制約の限りではない。こうした部分を例示するならば、エッジや先端の部分は過熱あるいは過冷となりやすく、又狭い窪み部分などは十分な加熱冷却がなされないことになりやすい。また、分散性の悪い気体ブロウノズルの直下や、複雑形状の成形品でも同様に表面温度バラツキがおきやすい。
6)本発明では、該表面から背後層までの最短距離をその部分のt値と規定する。それは、成形品の形状は限定されるものではなく複雑ものもあり、また背後層との界面は必ずしも成形品の形状に相似しない部分もあり、必ずしも該表面の垂直下に背後層があるとは限らないからである。更に、本発明では、規定するt値がの部分が該表面の面積の70%以上、望ましくは85%以上あればよく、他の部分はこの規定外の値であることも許容される。t値が規定外の値の位置に該当する成形体の部分では適切な熱処理、あるいは冷却が行われてない可能性がある。しかし、成形品の形状によるが、適切な熱処理あるいは冷却が行われて堅固な部分が、軟弱な部分を支持して全体形状保全してくれ、離型時、あるいは耐熱負荷時の収縮あるいは変形を防いでくれる。なお、表面層の厚さが成形品の高さを超えないようにすることが望ましい。
つぎに本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。各実施例における成形型の各物性等(b、α、t)については表1に求めて示す。
(実施例1)
円周に嵌合溝つきの大略半円球のカップ (内形100mmφ、深さ35mm)のキャビテイ型で、成形時の真空孔(排気孔)を備えたもので、図2に示す形状のものを、表2に示す構成にて製作した。ステンレス鋼(SUS304)の表面層は平均厚みを5mmとし切削加工によりで製作し、またアルミ材(A5052)の背後層(本体)も切削加工にて製作しこれに前者を嵌め込んで密着一体化した。両材は比較的熱膨張率が近くテスト結果からも問題のない構成となった。なお当然ながら必要な場所には真空孔を設けた。
そしてこのキャビテイ型を、蛇管を内包したアルミニウム(Al5052)製の温調プレートに乗せ、蛇管には連続して熱媒を通す構成とした。なお成形型にはカップ底部の表面、カップ側部の表面、およびこの側部の背後層深部約15mmの位置にそれぞれ熱電対を配置し温度を計測した。また、温調プレートはカップ底部から18mm下層に位置する構成とした。
この成形型装置を枚葉の真空圧空成形機(浅野研究所製)に装着し成形テストを行った。
成形材料として延伸したPETシート(三菱化学製、厚み0.23mm、2.5倍延伸のもの)を用い、これをオーブンで8秒予熱し、表面温度(底面および側面の2点平均・・・以下同様)を180℃に予熱しておいた成形型の上に移動させ、4秒間真空圧空賦形を行って離型した。圧空には約30℃で0.6MPaの圧縮空気を用い、圧空ボックスは0.15MPaの一定圧で排気がなされるように装置し、高速の気流により強力な冷却がなされるようにしたパターンC法の成形を行った。離型時の平均表面(賦形体との界面)温度は160℃まで低下していた。
成形品は透明で良好に形状をしており、加熱オイルに浸漬するテスト行った結果からは、少なくとも120℃では変形の無い耐熱性の高いものであった。ちなみに延伸を行っていない同樹脂のシートはこの方法では成形品は得られないが、通常の熱成形品の耐熱性は約65℃である。
本成形型を用いるこの方法では、材料シートの賦形と加熱と冷却が殆ど同時になされ、4秒間という驚異的な短時間に効果的な熱処理を伴う成形が可能であることを確認した。
更に連続成形を近似的に模して、上記成形品を成形型に真空固定し、上記の圧空と、表面(界面)温度回復待ちの繰り返しテストを行った結果、4秒圧空11秒待ちのサイクルでは、約5分という短時間で定常状態となり表面頂上温度(底面および側面の2点平均)は165℃となり安定した。
この定常状態でも有効な熱処理を伴った熱成形が可能である。しかし上記の180℃設定で成形することを望むならば背後温度の設定を15〜20℃程度上昇させて実現する。本成形型はその設定調整も容易に迅速行える。また、この材料を使う場合には、該層の厚みをもっと小さくして、待ち時間、及び定常化時間をもっと短縮をはかることできることなどが判った。
なお、上記で用いた成形材料は、共重合成分としてジエチレングリコール2モル%を含有し、エチレンテレフタレート単位が構成繰り返し単位の98モル%を占めるポリエチレンテレフタレート樹脂を、ベント付き押出機にて樹脂温度290℃で溶融押出し、キャスティングロールで引き取り冷却固化しシート成形した。そして得られた実質的に未延伸のシートを縦方向に2.5倍に1軸延伸し、厚さ0.23mmの延伸シートを得た。なお、このシートは延伸に際するヒートセット処理はおこなっておらず、またこのシートにおける樹脂の極限粘度は0.69dl/g、ガラス転移転(Tg)は75℃、融点(Tm)は253℃、複屈折率(Δn)は0.049、面配向度(ΔP)は0.037であった。
(実施例2)
実施例1と同形状、同寸法のキャビティ型を表に示す構成にて製作し図2の構成にて組み立てた。このキャビティ型の製作は、アルミ材料を切削加工で、所定の全成形面を2mmの厚さで削りとった寸法のものを製作し、これに先だって製作しておいたシリコン製コア型と組み合わせ、エポキシ材料を鋳型し硬化することにより、表面層が背後層に固着し一体となって形成された表2に示す構成のものを製作した。用いたアルミ入りエポキシ注型材料は主剤と硬化剤及び微量黒色着色剤を気泡混入のないように混合し注型したものであり、硬化キュアはオーブン中で120℃、2時間加熱することにより行った。 なお当然ながら必要な場所には真空孔を設けた。
この成形型を実施例1と同じ温調プレートに乗せ、同じようにして温度計測を行うようにした。さらにこの成形型を実施例1に使用した成形装置に装着したが、高温の加熱空気を製造する装置を特別に付加してこの装置を経由して成型機の圧空用空気を圧空ボックス導入するようにし、更に圧空ボックス内の天井には電熱ヒーター内蔵のスチール製多孔板を設け、この多孔板を通じて加熱空気が賦形体裏面に向けて排出されるようにした。なお、圧空ボックスには0.15MPaの排気弁を設置してあり一定圧を保ちながら排気がなされ、また外部から新たに0.7MPaの圧縮空気を導き分散ノズルを通じて賦形体をブロウ冷却できるようにした。 なお、上記多孔板は導入気体の再加熱と同時に赤外線照射の働きもする。同板の赤外線放射率は約0.75で成形型上面までの距離は約100mmである。また成形型該表面の放射率は約0.95である。
この装置を用いパターンAの成形を行うこととし、実施例1と同じ成形材料を同じようにして予熱し、予に背後層154℃(表面は145℃)に調整した上記成形型の上に移動させ、高温空気により5秒間真空圧空賦形を行い次いで圧空ボックスを上昇させながら5秒間冷却空気を高速ブロウして真空を解除し離型した。この成形で圧空賦形中のボックス内空気の温度は328℃に到達し、また表面(界面)温度は186℃に達した後146℃に冷却されて離型されている。この成形では10秒間という短時間で効果的な熱処理を伴う成形が可能となっている。 この成形品は透明で少なくとも130℃の耐熱性があった。なお、上記の高温気体は400℃設定の気体加熱装置を経由し上記400℃多孔板を通じて供給したもので、噴出前の空気は約400℃に加熱されている。一方、この高温多孔盤から強い赤外線照射もなされている。
更に連続成形を近似的に模して、上記成形品を成形型に真空固定し、上記で使用した温度設定の加熱空気によるブロウと冷却空気ブロウの繰り返しテストを行った。その結果、3秒加熱1秒待ち5秒冷却1秒待ちという合計10秒のサイクルで、最初から定常状態の安定した温度軌跡で背後層温度も一定した値を示した。なおこのときの表面温度の最高温度は180℃、最低温度は145℃となっており上記と同様の熱処理成形が可能であると認められる。
(実施例3)
実施例2に用いた成形型を用いCPETの結晶化熱処理を伴う熱成形を行った。成形材料には0.5mm厚の東洋紡製のCPET熱成形用シートを用い、成形型本体(背後層に相当)を128℃に予熱しておいて、加熱空気により10秒間圧空賦形し即時離型して成形品を得た。なお成形直前の型表面温度は122℃、圧空内温度は270℃、到達界面温度は166℃であった。成形品は美麗で少なくとも160℃の耐熱変形性があった。
しかし離型後の表面温度回復は遅く、60秒経過後も完全には元の温度にはならなかった。
そこで型温度(背後層温度)を低くし連続成形の中で迅速な温度回復の定常状態を構築をすべく試験を行った。試験は実際の連続生産の状態を近似的に模して、上記成形品を成形型に真空固定したまま、上記の加熱気体ブロウと、表面(界面)温度回復待ちの繰り返しテストを行った。その結果10秒加熱、5秒待ちというサイクルは、成形型温度を115℃としたとき約5分で定常状態に達した。その時の界面最高温度は165℃、回復温度は138℃であったので上記の成形状態の熱履歴を再現できている。
本発明の成形型を用い、パターンBの成形方法により、定法である金型移行をすることなく能率的にCPETの結晶化熱処理を伴う成形を行うことができることを確認した。
なお、同材料シートにて、予め結晶化最速の温度である165℃という高温に調整した本成形型で通常の真空賦形を行いそのまま離型しても耐熱性のある成形品が得られたが、このものは「あばた状」の外観のものものとなり良好なものではなく、本発明の成形型を用いる低温から昇温する効用が確認された。
なお、CPET成形において、高温気体も冷却気体も使用するパターンAも問題なく実施できることを別途確認している。
(実施例4)
実施例1と同形状、同寸法のものを表2に示す構成にて製作した。先ず、成形表層より0.3mm削り込んだ寸法の背後層(本体)をアルミ材で切削加工により製作し、これを加熱プレートに乗せて真空圧空成型機に装着して165℃に加熱し、内面にエポキシ系接着剤を薄く塗布し、これに対して結晶核剤作用物質を含んだ結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、いわゆるCPET用シート(東洋紡製、厚み0.5mm)を真空圧空成形して一体化した。なお、真空圧空は60分間続け、成形材料の結晶化と接着剤の固化を十分に行った。なお当然ながら必要な場所には真空孔を設けた。なお、完成した表面層の厚さは全体的に約0.3mmであった。
この成型型を用い、実施例2と同様にしてパターンA法の各種テストを行いその有効性を確認した。
(実施例5)
実施例1と同形状、同寸法のも表に示す構成にて製作した。 先ず、成形表層より0.15mm削り込んだ寸法の背後層(本体)をアルミ材(A5052)で切削加工により製作し、次いでこれにPEEK粉体の懸濁液を塗布して80℃で乾燥の後380℃に加熱してPEEK樹脂層を形成させるという作業を繰り返すことにより、厚み0.1mmの表面層を形成させた。 なお当然ながら必要な部位には真空孔を設けた。
この成型型を用い、実施例2と同様にしてパターンA法の各種テストを行いその有効性を確認した。
(実施例6)
食品を乗せて圧力釜に入れて蒸気加熱可能な外寸600×800mmの方形で深さ60mmの箱形の業務用大型食品トレーの製造のためのキャビ型を製作した。なお、トレー内部は長手方向5区分、巾方向2区分の高さ30mmの中仕切りを有するものであった。用いる成形材料として1〜2mm程度の比較的厚肉の延伸PETを用い、高温気体供給装置のない通常の熱成形装置でパターンCの方法で成形することを構想してキャビ型を設計を行った。
表面層は、軽量で機械加工性が良く又温度の分散性の良いアルミニウムA5052を用い、底部外面が平面で底部側壁共に厚み25mmの箱形とし、内部には厚み15mm高さ30mmの山形の中仕切りを形成させたものとした。又底部には真空の導気孔を這わせた。このものは無垢材のフライス加工で製作した。この表面層を純銅材の厚さ20mm平板の上に乗せ、同じ銅材を側面に貼り付けて背後層とし成形型を組み立てた。なお、底部には20KWのアルミ鋳込みの電熱ヒーターを貼り付けた。
この成型型を用い、実施例1とほぼ同様にしてパターンC法の各種テストを行いその有効性を確認した。
(実施例7)
内径60mm、深さ40mmの丸形容器状の窪みを有し、外径100mmで高さ60mmのキャビティのベースは、炭化珪素素材を石膏モールドに詰め込んで型どりし、これを焼成することにより製作したものを用いた。 このベースにCeramacast575(Aremcp Product社製)(アルミナベース)を塗布して焼成し0.3mmの表面層を形成させることにより表2の構成のものを製作した。なお、この表面層の形成に際しては、塗布過剰部分は硬化の不十分なうちに研磨除去した。 また当然ながら必要な部位には真空孔を設けた。
この成型型を用い、実施例2とほぼ同様にしてパターンA法の各種テストを行いその有効性を確認した。
(実施例8)
実施例1と同形状、同寸法のも表に示す構成にて製作した。先ず、成形表層より10mm削り込んだ寸法の背後層(本体)をアルミ材(A5052)で切削加工により製作し、一方表面層はセミックのマコール材(コーニング社)を旋盤研磨加工にて製作し、表面層を入れ子にして両者を組み合わせた。なお熱膨張率の違いを考慮し僅かにゆるめの嵌め合いとし、間には弾力性を保持できる熱伝導性のシンク剤ペーストを挟みこみ、また両者を互いに固定する構造とした。 なお当然ながら必要な場所には真空孔を設けた。
この成型型を用い、実施例2とほぼ同様にしてパターンA法の各種テストを行いその有効性を確認した。
実施例9
実施例1と同形状、同寸法のも表に示す構成にて製作した。先ず、成形表層より5mm削り込んだ寸法の背後層(本体)をアルミ材(A5052)で切削加工により製作し、これにグラファイトシート(大塚電機株式会社製、SS400、厚み0.4mm)をエポキシ接着剤を介して敷き込み(カップのエッジ及び嵌合部の温度を周辺と均一化するように)、次いで予め作成しておいたシリコーン製マスター型と組み合わせアルミ含有エポキシ樹脂(日新樹脂CEP−7)を注型して一体品を作成した。 なお、各表層材がアルミ層に強固に固定されるように、足高に多数配置した皿ビスネジを包み込むようにエポキシを注型し、また当然ながら必要な場所には真空孔を設けた。
この成型型を用い、実施例2とほぼ同様にしてパターンA法の各種テストを行いその有効性を確認した。
Figure 0005484195
(本成形型を用いる効用)
本発明の機構の成形型を用いる熱成形には下記のような効用がある。
(1)加熱気体又は赤外線による賦形体の加熱、あるいは気体に賦形体の冷却を伴う熱性成形の繰り返し連続生産において、即時あるいは早期に安定状態を実現でき、効率良く高速で生産できる。
(2)背後層温度の調整により最短サイクルを容易に実現でき、その調整が容易に短時間に行うことができる。すなわち、成形材料の材質や厚み、成形品の形状、高温気体の温度や接触の条件、冷却気体の温度や接触条件等により加熱プロセス、冷却プロセス等の時間が大きく変わるが、表面(境界)温度サイクル等をモニターしながら、背後層温度を上下させることにより加熱時間と冷却時間のバランスをとりサイクル時間を最短にすることができる。
(3)気体流接触による加熱冷却では、各部位の表面(境界)温度には大きなバラツキが発生し連続成形ではバラツキが蓄積して大きくなるがこれを解消し、あるいは軽減することができる。
(4)一つの成形型で、AからCパターン(混合パターン、変形バーン含む)まで任意の成形パターンまで、成型材料、製品設計、成形装置に合わせ任意に選ぶことができる。
(5) 連続成形開始後、短時間に定常状態を実現し時間ロス、成形不良品を最短にすることができる。
(6)気体加熱装置、あるいは気体冷却機構を有しない成形機でも、高速の熱処理成形が実現できる。
1 成形型本体 2 成形用表面層 3 真空孔
4 導気孔 5 熱媒通路

Claims (6)

  1. 熱成形用表面層及びこれに隣接する背後層を有する熱成形用成形型であって、
    該表面層は熱浸透率(kJ/ 1/2 K)が0.01〜25の材料により形成されると共に下式 (1):
    α 1/2 ×10 >t>G ・・・・・(1)
    (式中,t;表面層の厚み(mm)、α;温度伝達率( /s)、F;30、G;0.04)
    で表される厚みを有し、かつ前記背後層はその熱浸透率が5以上で且つ前記表面層より大きい材料から構成されていることを特徴とする熱成形用成形型。
  2. 該表面層の厚みtの計算係数のF値が15、又はG値が0.06である請求項1に記載の熱成型用成形型
  3. 該表面層の熱浸透率が0.3〜10である請求項1または2に記載の熱成型用成形型。
  4. 該背後層に熱の供給及び又は排出を行う機構を設け、該表面層の温度制御を行うようにした請求項1〜3のいずれかに記載の熱成形用成形型。
  5. 該表面層として、金属、合成樹脂、合成樹脂複合材料、セラミックスの中のいずれかの材料を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の熱成型用成形型。
  6. 該表面層の表面または表面下12mmまでの位置に少なくとも1個の温度計測プローブを配して温度計測を行うようにした請求項1〜5のいずれかに記載の熱成形用成形型。
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