以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
[実施例1]
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置100の模式的な断面図である。本実施例の画像形成装置100は、中間転写方式及びインライン方式を採用した電子写真方式のフルカラープリンターである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKの4つの画像形成部を有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像を形成する。これら4つの画像形成部PY、PM、PC、PKは、一定の間隔をおいて一列に配置されている。
なお、本実施例では、第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKの構成及び動作は、現像工程で使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部Pには、像担持体として、ドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1が設けられている。画像形成部Pにおいて、感光ドラム1の周囲には、次の各機器が配置されている。まず、帯電手段としての帯電ローラ2が配置されている。また、露光手段としての露光装置(レーザースキャナー)3が配置されている。また、現像手段としての現像装置4が配置されている。また、1次転写手段としてのローラ状の1次転写部材である1次転写ローラ5が配置されている。また、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。
感光ドラム1は、図中矢印R1方向に所定の周速度(表面移動速度)で回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1は、アルミニウム製のドラム状の基体上に感光層を有する、負帯電性の有機感光体ドラムである。感光ドラム1の周速度(表面移動速度)は、画像形成装置100のプロセススピードに相当する。
回転する感光ドラム1の表面は、帯電ローラ2によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電させられる。このとき、帯電ローラ2には、図示しない帯電電圧供給手段としての帯電電源(高圧電源)によって所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。帯電ローラ2は、感光ドラム1に所定の圧接力で接触している。
帯電処理された感光ドラム1の表面は、露光装置3によって露光される。これにより、感光ドラム1上に画像情報に応じて静電像(静電潜像)が形成される。露光装置3は、画像情報に対応したレーザー光を出力し、感光ドラム1の表面を走査露光する。
感光ドラム1上に形成された静電像は、現像装置4によって現像剤としてのトナーで現像される。これにより、感光ドラム1上にトナー像が形成される。本実施例では、現像装置4は、接触現像方式のものである。現像装置4は、現像剤担持体として、感光ドラム1に接触する現像ローラ41を有する。感光ドラム1上に形成された静電像は、現像ローラ41と感光ドラム1との接触部(現像部)において、現像ローラ41によって搬送されたトナーによってトナー像として現像される。このとき、現像ローラ41には、図示しない現像電圧供給手段としての現像電源(高圧電源)により所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。本実施例では、現像装置4は、反転現像方式によりトナー像を形成する。つまり、一様に帯電処理された後に露光されることによって電位の絶対値が低下した感光ドラム1上の露光部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーが付着する。第1、第2、第3、第4の画像形成部PY、PM、PC、PKの現像装置4Y、4M、4C、4Kには、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが収納されている。本実施例では、いずれの色のトナーも、粒径が6μm、正規の帯電極性が負極性のトナーである。なお、本実施例では、各現像装置4Y、4M、4C、4Kの現像ローラ41は、現像当接離間機構160(図17)によって、感光ドラム1と当接した状態又は離間した状態に独立して切り替えることが可能である。以下、現像ローラ41の感光ドラム1に対する当接状態又は離間状態を、現像部の当接状態又は離間状態として説明することがある。
全ての画像形成部PY、PM、PC、PKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向するように、移動可能な中間転写体として、無端状のベルト(回転部材)で構成された中間転写ベルト8が配置されている。中間転写ベルト8は、複数の支持部材としての駆動ローラ9、テンションローラ10の2つの張架ローラに張架されている。中間転写ベルト8は、駆動ローラ9に回転駆動力が伝達されることで、図中矢印R2方向に回転(周回移動)する。本実施例では、中間転写ベルト8は、感光ドラム1の周速度と略同一の周速度(表面移動速度)で回転駆動される。中間転写ベルト8としては、樹脂の単層を無端ベルト状に構成し、体積抵抗率1×1010Ω・cm程度に電気抵抗を調整したものを好適に用いることができる。上記樹脂としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PVdF(弗化ビニリデン樹脂)、ETFE(四弗化エチレン−エチレン共重合樹脂)、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネートなどの樹脂を用いることができる。あるいは、中間転写ベルト8としては、上述のような樹脂からなる基層の表面に、例えばアクリル樹脂などのコート層を設けて多層構成としたものを無端ベルト状にしたものを好適に用いることができる。
中間転写ベルト8の内周面側において、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと対向する位置に、上述の1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kが配置されている。1次転写ローラ5は、中間転写ベルト8を介して感光ドラム1に向けて付勢(押圧)されて、中間転写ベルト8と感光ドラム1とが接触する1次転写部(1次転写ニップ)N1を形成する。つまり、1次転写ローラ5は、1次転写部N1において、中間転写ベルト8を介して感光ドラム1に当接する。また、1次転写ローラ5は、中間転写ベルト8の移動に従動して回転する。なお、本実施例では、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kは、1次転写当接離間機構170(図17)によって、感光ドラム1と当接した状態又は離間した状態に独立して切り替えることが可能である。1次転写ローラ5が感光ドラム1から離間されると、対応する位置の中間転写ベルト8が感光ドラム1から離間される。以下、1次転写ローラ5(対応する位置の中間転写ベルト8)の感光ドラム1に対する当接状態又は離間状態を、1次転写部N1の当接状態又は離間状態として説明することがある。1次転写ローラ5としては、ポリウレタンゴムやEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン)、NBR(ニトリルブタジエンゴム)などから成るスポンジゴムなどの弾性部材で構成されたものを好適に用いることができる。1次転写ローラ5には、1次転写電圧供給手段としての1次転写電源(高圧電源)E1(図17)が接続されている。
感光ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写部N1において、1次転写ローラ5の作用により、回転している中間転写ベルト8上に転写(1次転写)される。このとき、1次転写ローラ5には、1次転写電源E1から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である1次転写電圧(1次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム1Y、1M、1C、1Kに形成された各色のトナー像が、各1次転写部N1Y、N1M、N1C、N1Kにおいて、順次重ね合わせるようにして中間転写ベルト8上に転写される。
中間転写ベルト8の外周面側において、駆動ローラ9と対向する位置には、2次転写手段としてのローラ状の2次転写部材である2次転写ローラ11が配置されている。2次転写ローラ11は、中間転写ベルト8を介して駆動ローラ9に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト8と2次転写ローラ11とが接触する2次転写部(2次転写ニップ)N2を形成する。つまり、2次転写ローラ11は、中間転写ベルト8を介して駆動ローラ9と当接する。なお、本実施例では、2次転写ローラ11は、2次転写当接離間機構180(図17)によって、中間転写ベルト8と当接した状態又は離間した状態に切り替えることが可能である。以下、2次転写ローラ11の中間転写ベルト8に対する当接状態又は離間状態を、2次転写部N2の当接状態又は離間状態として説明することがある。2次転写ローラ11には、2次転写電圧供給手段としての2次転写電源E2(図17)が接続されている。
中間転写ベルト8上に形成されたトナー像は、2次転写部N2において、2次転写ローラ11の作用により、中間転写ベルト8と2次転写ローラ11とで挟持搬送されて2次転写部N2を通過する転写材Sに転写(2次転写)される。このとき、2次転写ローラ11には、2次転写電源E2から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である2次転写電圧(2次転写バイアス)が印加される。
記録用紙などの転写材Sは、転写材収容部13に収容されており、転写材搬送部12の給送ローラ14、搬送ローラ対15などによって送り出される。転写材Sの搬送方向において2次転写部N2の上流側には、転写材収容部13から供給された転写材Sと中間転写ベルト8上の画像との同期をとるためのレジストローラ16が配置されている。そして、転写材Sは、レジストローラ16によって所定のタイミングで2次転写部N2に供給される。
転写材Sの搬送方向において2次転写部N2の下流側には、定着手段としての定着装置17が設けられている。定着装置17は、加熱手段を内蔵した定着ローラ17aと、定着ローラ17aに圧接する加圧ローラ17bと、を有する。2次転写部N2においてトナー像が転写された転写材Sは、定着装置17へと搬送される。定着装置17は、未定着トナーを担持した転写材Sを定着ローラ17aと加圧ローラ17bとで挟持搬送することで、トナー像を溶融して転写材S上に定着させる。その後、転写材Sは、排出ローラ対18によって、画像形成装置100の装置本体110の外部に排出される。
一方、1次転写後に感光ドラム1上に残ったトナー(1次転写残トナー)は、ドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1上から除去されて回収される。ドラムクリーニング装置6は、クリーニング部材としての弾性体で形成された板状部材(弾性ブレード)であるクリーニングブレード61と、回収トナー容器62と、を有する。そして、ドラムクリーニング装置6は、このクリーニングブレード61によって、回転する感光ドラム1上からトナーを掻き取り、回収トナー容器62に回収する。また、中間転写ベルト8の外周面側において、テンションローラ10と対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置20が配置されている。2次転写後に中間転写ベルト8上に残ったトナー(2次転写残トナー)は、ベルトクリーニング装置20によって中間転写ベルト8上から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置20の構成及び動作の詳細については後述する。
なお、本実施例では、各画像形成部Pにおいて、感光ドラム1と、感光ドラムに作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像装置4及びドラムクリーニング装置6とは、一体的に装置本体110に対して着脱可能なプロセスカートリッジ7を構成している。
また、本実施例では、感光ドラム1、駆動ローラ9、テンションローラ10は、電気的に接地されている。
2.ベルトクリーニング装置
本実施例では、ベルトクリーニング装置20にハイブリッドクリーニング方式が採用されている。つまり、ベルトクリーニング装置20は、中間転写ベルト8の移動方向において上流側にクリーニングブレード21を有し、下流側に導電性ブラシ23を有する。クリーニングブレード21は、中間転写体の移動方向において2次転写部よりも下流かつ1次転写部よりも上流で中間転写体に当接し中間転写体上のトナーを掻き取るクリーニング部材の一例である。また、導電性ブラシ23は、中間転写体の移動方向において当接部よりも下流かつ1次転写部よりも上流で中間転写体に接触し中間転写体上のトナーを帯電させるトナー帯電部材の一例である。ベルトクリーニング装置20は、クリーニングブレード21によって、移動する中間転写ベルト8上からトナーの大半を掻き取り、回収トナー容器22に回収する。そして、クリーニングブレード21をすり抜けた微量のトナー(すり抜けトナー)を、導電性ブラシ23によって帯電させて、その後画像形成部Pの感光ドラム1に静電的に転移させて回収する。以下、詳細に説明する。
図2は、本実施例におけるベルトクリーニング装置20の近傍を示す模式図である。ベルトクリーニング装置20は、クリーニング部材として、中間転写ベルト8に当接して中間転写ベルト8上のトナーを掻き取るブレード状の部材(当接部材)であるクリーニングブレード21を有する。また、ベルトクリーニング装置20は、トナー帯電部材として、中間転写ベルト8に接触して中間転写ベルト8上のトナーを帯電させるブラシ状の部材(接触部材)である導電性ブラシ23を有する。クリーニングブレード21は、中間転写ベルト8の移動方向において、2次転写部N2よりも下流側、かつ、第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yよりも上流側において中間転写ベルト8に当接するように配置される。導電性ブラシ23は、中間転写ベルト8の移動方向において、クリーニングブレード21よりも下流側、かつ、第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yよりも上流側において中間転写ベルト8に接触するように配置される。クリーニングブレード21及び導電性ブラシ23は、それぞれ中間転写ベルト8を介してテンションローラ10に向けて付勢(押圧)されている。
クリーニングブレード21は、弾性材料で形成された板状部材である。本実施例では、クリーニングブレード21は、弾性材料としてのウレタンゴムで形成されている。より具体的には、本実施例では、クリーニングブレード21は、長手方向の長さが232mm、該長手方向と略直交する短手方向の長さが12mm、厚さが2mmの板状部材である。クリーニングブレード21は、その長手方向が中間転写ベルト8の移動方向と略直交する方向に沿って配置される。そして、クリーニングブレード21は、長手方向の全域で、短手方向の自由端側が、中間転写ベルト8の移動方向の上流を向くようにして中間転写ベルト8に当接する。クリーニングブレード21は、その自由端における中間転写ベルト8側のエッジ部が中間転写ベルト8の表面に接触する(更にそのエッジ部から固定端側の所定範囲の面が接触していてもよい)。クリーニングブレード21は、良好なクリーニング性を得ると共に、必要以上の加圧力によりブレードやベルトにダメージを与えないために、好ましくは0.4〜0.8N/cm、より好ましくは0.55〜0.67N/cmの線圧で中間転写ベルト8に当接する。ここで、クリーニングブレード21の線圧とは、クリーニングブレード21の単位長さ当たりの、中間転写ベルト8に対するクリーニングブレード21の当接圧である。この線圧は、中間転写ベルト8に荷重変換器を取り付けておき、中間転写ベルト8の表面にクリーニングブレード21を押し付け、その荷重を測定することで求めることができる。
導電性ブラシ23は、導電性材料で形成されたブラシ状部材である。本実施例では、導電性ブラシ23の材料はナイロンであり、繊度は7デシテックス、パイル長さは3mm、ブラシ幅(中間転写ベルト8の移動方向に沿う方向の幅)は5mm、電気抵抗値は1.0×106Ωに設定されている。導電性ブラシ23には、トナー帯電電圧供給手段としてのトナー帯電電源(高圧電源)E3が接続されている。導電性ブラシ23によって中間転写ベルト8上のトナーを帯電させる際に、導電性ブラシ23には、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧であるトナー帯電電圧(トナー帯電バイアス)が印加される。導電性ブラシ23に印加されるトナー帯電電圧は、導電性ブラシ23の材料や画像形成装置100が使用される環境(温度、湿度)などによって異なる。トナー帯電電圧については後述して更に説明する。
3.静電クリーニング
次に、本実施例における中間転写ベルト8上のトナーのクリーニング方法について更に詳しく説明する。
2次転写残トナーなどの中間転写ベルト8上のトナーは、その大半がクリーニングブレード21によって中間転写ベルト8上から機械的に掻き取られ、回収トナー容器22へ回収される(図2中のA)。一方、中間転写ベルト8の表面には、製造時の原因や異物などの付着により微小な凹凸が存在することがある。この微小な凹凸がある部分は、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との密着性が十分でなくなるため、クリーニングブレード21を通過するすり抜けるトナー(すり抜けトナー)が発生しやすい(図2中のB)。また、すり抜けトナーは、クリーニングブレード21と中間転写ベルト8との摺擦により、帯電電荷(トリボ)の極性がトナーの正規の帯電極性である負極性になりやすいという特徴がある。すり抜けトナーを中間転写ベルト8に付着したままの状態にしておくと、クリーニング不良による画像不良の原因となる。
そのため、本実施例では、中間転写ベルト8の移動方向においてクリーニングブレード21の下流側に配置された導電性ブラシ23ですり抜けトナーを帯電させ、画像形成部Pの感光ドラム1に静電的に転移させて回収する。本実施例では、中間転写ベルト8上のすり抜けトナーは、導電性ブラシ23を通過する際に、トナー帯電電源60により導電性ブラシ23に正極性の直流電圧が印加されることにより、トナーの正規の帯電極性と逆極性である正極性に帯電させられる。これにより、すり抜けトナーには、静電クリーニングを実現するのに適した正電荷が付与される(図2中のC)。つまり、導電性ブラシ23によって帯電させられたすり抜けトナーは、本実施例では、第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yにおいて、中間転写ベルト8から感光ドラム1Yに静電的に転移させられる。このとき、第1の画像形成部PYの1次転写ローラ5Yには、トナーの正規の帯電極性とは逆極性である正極性の直流電圧が印加されている。こうして、本実施例では、すり抜けトナーは、感光ドラム1Yから中間転写ベルト8へのトナー像の1次転写と同時に、中間転写ベルト8から感光ドラム1Yへと転移させることができる。その後、感光ドラム1Yに転移したトナーは、ドラムクリーニング装置6Yによって感光ドラム1Y上から除去されて回収される。
ここで、静電クリーニングに適した正電荷を略均一にすり抜けトナーに付与するために必要な電圧値は、前述したクリーニング不良とネガゴーストとのバランスから両者を満足する領域に設定される。ネガゴーストとは、帯電させられたトナーの電荷の絶対値が大きすぎることで、そのトナーが感光ドラム1上のトナー像のトナーを引き連れて感光ドラム1へと回収され、形成中の画像に前画像に対応する部分の濃度差が現れる現象である。本実施例では、静電クリーニングの実行中に導電性ブラシ23に印加する電圧(トナー帯電電圧)V1は、+1.25〜+1.75[kV]であることが好ましい。
なお、中間転写ベルト8上のトナーを帯電させるトナー帯電部材としては、ローラ状の部材(導電性ローラ)を用いることもできる。ただし、中間転写ベルト8の表面の凹凸に柔軟に追従する点で、ブラシ状の部材(導電性ブラシ)の方がより好ましい。
4.制御態様
図17は、画像形成装置100の要部の概略制御態様を示すブロック図である。本実施例では、画像形成装置100に設けられた制御部150が、画像形成装置100の各部を統括的に制御する。制御部150は、演算処理を行う中心的素子である制御手段としてのCPU151、記憶素子であるROM、RAMなどの記憶手段としてのメモリー152などを有して構成される。RAMには、センサの検知結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。制御部150には、画像形成装置100における各制御対象が接続されている。例えば、制御部150には、現像当接離間機構160、1次転写当接離間機構170、2次転写当接離間機構180、1次転写電源E1、2次転写電源E3、トナー帯電電源E3などが接続されている。そして、制御部150は、本実施例との関係で言えば、これらの各制御対象を制御して、詳しくは後述する清掃工程などを実行させる。
ここで、画像形成装置100は、一の開始指示により開始される、単数又は複数の転写材Sに画像を形成して出力する一連の動作であるプリントジョブ(単に「ジョブ」ともいう。)を行う。プリントジョブは、一般に、画像形成工程(印字工程)、前回転工程、複数の転写材Sに画像を形成する場合の紙間工程、及び後回転工程を有する。画像形成工程は、実際に転写材Sに形成して出力する画像の静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写や2次転写を行う期間であり、画像形成時とはこの期間のことをいう。より詳細には、これら静電像の形成、トナー像の形成、トナー像の1次転写や2次転写の各工程を行う位置で、画像形成時のタイミングは異なる。前回転工程は、開始指示が入力されてから実際に画像を形成し始めるまでの、画像形成工程の前の準備動作を行う期間である。紙間工程は、複数の転写材Sに対して画像形成工程を連続して行う際(連続画像形成)の転写材Sと転写材Sとの間に対応する期間である。後回転工程は、画像形成工程の後の整理動作(準備動作)を行う期間である。非画像形成時とは、画像形成時以外の期間であって、上記前回転工程、紙間工程、後回転工程、更には画像形成装置100の電源投入時又はスリープ状態からの復帰時の準備動作である前多回転工程時などが含まれる。また、プリントジョブの終了時とは、上記後回転工程を行う期間のことをいう。
5.清掃工程
次に、図3を参照して、本実施例における導電性ブラシ23の清掃工程について説明する。
図3(a)は、清掃工程で導電性ブラシ23に印加する電圧の変化を示すチャート図である。本実施例では、清掃工程において、導電性ブラシ23に印加する電圧のOFF/ONを繰り返すことが行われる。より具体的には、図3(a)に示すように、導電性ブラシ23に印加する電圧をOFFとし、その150[msec]後にONとし、その75[msec]後に再びOFFとすることを所定回数繰り返す。本実施例では、清掃工程において導電性ブラシ23に印加する電圧のOFF/ONを繰り返す際に印加する電圧(清掃電圧)V2は、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(トナー帯電電圧V1と同極性)である正極性の直流電圧である。つまり、本実施例では、清掃工程において、導電性ブラシ23にトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することと、その電圧をOFFすることとが交互に繰り返される。また、本実施例では、清掃電圧V2は、トナー帯電電圧V1と同極性で、かつ、絶対値がトナー帯電電圧V1よりも小さい。より具体的には、本実施例では、清掃電圧V2は+200[V]である。この清掃電圧V2のOFF/ONの繰り返し回数については後述する。
導電性ブラシ23に印加する電圧をOFFすることで、導電性ブラシ23に静電的に付着していた負極性のトナーが、導電性ブラシ23から中間転写ベルト8に吐き出される。導電性ブラシ23に印加する電圧のOFF/ONを繰り返すことで、導電性ブラシ23に付着していたトナーに静電的な振動を与え、導電性ブラシ23から中間転写ベルト8へのトナーの吐き出しの効果を向上させることができる。
なお、本実施例では、清掃工程において、導電性ブラシ23に印加する電圧をOFF、すわなち、0[V]とした。しかし、これに限定されるものではなく、清掃工程において、トナー帯電電圧V1とは逆極性、すなわち、負極性の電圧を導電性ブラシ23に印加してもよい。この場合、清掃工程において、導電性ブラシ23にトナーの正規の帯電極性とは逆極性の電圧を印加することと、トナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加することとが交互に繰り返されることとなる。これにより、さらにトナーの吐き出しの効果を向上させることが可能である。
本実施例では、プリントジョブの終了時に清掃工程が実行される。すなわち、本実施例では、清掃工程は、プリントジョブの後回転工程において実行される。図3(b)は、本実施例における清掃工程を実行するタイミングを示すタイミングチャート図である。プリントジョブの最後の画像が2次転写部N2を通過すると、1次転写部N1及び2次転写部N2の離間動作が開始される。1次転写部N1及び2次転写部N2の当接状態から離間状態への切り替えが終了するタイミングに合わせて、導電性ブラシ23に印加されているトナー帯電電圧V1がOFFとされる。その後、清掃電圧V2のOFF/ONの繰り返しが開始される。なお、本実施例では、全ての画像形成部Pの1次転写部N1及び2次転写部N2の当接状態から離間状態への切り替え動作は、実質的に同時に開始され、実質的に同時に完了する。
ここで、トナー帯電電圧V1がOFFとされるタイミングは、1次転写部N1及び2次転写部N2の当接状態から離間状態への切り替えが終了するタイミングより所定の時間t1[msec]だけ早いタイミングとしている。この時間t1は、中間転写ベルト8が、導電性ブラシ23の位置から第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yに移動するのに要する時間である。すなわち、トナー帯電電圧V1がOFFとされることで中間転写ベルト8に吐き出されたトナーが、第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yに到達したときには、第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yが離間されている。そのため、中間転写ベルト8に吐き出されたトナーが第1の画像形成部PYの感光ドラム1Yに転移されることはない。これは、次のような現象を抑制するためである。つまり、導電性ブラシ23から吐き出された中間転写ベルト8上のトナーには、転写材Sとの接触によって発生した紙粉が含まれることがある。そして、その紙粉に含まれる墳料が混ざったトナーを長期にわたって感光ドラム1に回収させ続けると、例えば墳料が感光ドラム1の表面に付着したり、墳料によって感光ドラム1の表面が傷ついたりして、画像不良が発生する場合がある。
第1の画像形成部PYの1次転写部N1Yと同様に、他の画像形成部PM、PC、PKの1次転写部N1M、N1C、N1K、及び2次転写部N2も離間されている。そのため、導電性ブラシ23から吐き出されたトナーは、中間転写ベルト8の移動によって搬送されてベルトクリーニング装置20に到達し、クリーニングブレード21により中間転写ベルト8上から掻き取られて回収トナー容器22に回収される。
本実施例では、清掃工程において清掃電圧V2をOFF/ONすることを所定回数繰り返した後、導電性ブラシ23に印加する電圧は、抑制電圧V3に切り替えられ、維持される。本実施例では、抑制電圧V3は、清掃電圧V2と同じ+200[V]である。導電性ブラシ23に印加する電圧を抑制電圧V3に切り替え、維持することで、中間転写ベルト8にトナーが吐き出されなくなる。
なお、本実施例では、トナー帯電電圧V1のOFFから、抑制電圧V3のONまでの時間を、清掃工程の所要時間Tと呼ぶ。
導電性ブラシ23に印加する電圧を抑制電圧V3への切り替えから、所定の時間t2[msec]だけ経過した後に、中間転写ベルト8が停止される。この時間t2は、中間転写ベルト8が、導電性ブラシ23の位置から2次転写部N2に移動するのに要する時間である。すなわち、中間転写ベルト8上の、中間転写ベルト8の移動方向におけるベルトクリーニング装置20から2次転写部N2までの領域には導電性ブラシ23から吐き出されたトナーが無い状態で、中間転写ベルト8が停止される。これは、次のプリントジョブの開始時に、導電性ブラシ23から吐き出されたトナーが2次転写ローラ11に付着し、転写材Sの裏に転移することで発生する、転写材Sの裏汚れを抑制するためである。なお、中間転写ベルト8上の、中間転写ベルト8の移動方向における2次転写部N2からベルトクリーニング装置20までの領域には、導電性ブラシ23から吐き出されたトナーが残ることがある。このトナーは、次のプリントジョブの開始時にベルトクリーニング装置20に到達し、クリーニングブレード21により中間転写ベルト8上から掻き取られて回収トナー容器22に回収される。
そして、中間転写ベルト8の停止から所定の時間t3[msec]だけ経過した後に、導電性ブラシ23に印加されている抑制電圧V3がOFFとされる。この時間t3は、中間転写ベルト8の停止指示後、慣性で中間転写ベルト8が駆動されている時間を見込んだマージンである。本実施例では、この時間t3は1000[msec]である。
このような構成とすることで、より確実に、中間転写ベルト8上のベルトクリーニング装置20から2次転写部N2までの領域には導電性ブラシ23から吐き出されたトナーが無い状態で中間転写ベルト8が停止される。よって、より確実に転写材Sの裏汚れを抑制できる。
6.清掃モード
本実施例の画像形成装置100は、導電性ブラシ23の汚れ度合いに応じて適切なタイミングで清掃工程を実行するために、清掃工程を所要時間Tが異なる4つの清掃モードで実行可能である。図4を参照して、それぞれの清掃モードについて説明する。
なお、ここでは、便宜上、全てのプリントジョブの終了時に所要時間T(0を含む)の清掃工程を実行するものとし、この所要時間T(0を含む)が導電性ブラシ23の汚れ度合に応じて選択されるものとして説明する。ただし、所要時間Tが0の場合には、実際には清掃工程は実行されないため、上記清掃モードは、終了時の動作が異なる複数のプリントジョブモードと考えてもよい。
第1のモード(「モードA」とも呼ぶ。)では、清掃工程の所要時間Taは0[msec]である。この場合、図4(a)に示すように、プリントジョブの最後の画像の2次転写が終了した後に、1次転写部N1及び2次転写部N2が離間されると、中間転写ベルト8の駆動が停止される。モードAにおいても、トナー帯電電圧V1がOFFとされるタイミングは、中間転写ベルト8の停止から所定の時間t3[msec]だけ経過した後である。
第2、第3、第4のモード(それぞれ「モードB」、「モードC」、「モードD」とも呼ぶ。)では、図4(b)に示すように、それぞれ所要時間Tb、Tc、Td(≠0[msec])の清掃工程が実行される。モードB、モードC、モードDの動作は、それぞれ清掃工程の所要時間Tb、Tc、Tdが異なることを除いて前述のとおりである。
モードA、モードB、モードC、モードDのそれぞれにおける、清掃電圧V2のOFF/ONの繰り返し回数と、清掃工程の所要時間Tを表1に示す。
7.清掃モードの選択
次に、本実施例における清掃モードの選択方法について説明する。
ここでは、上述のように、画像形成装置100がプリント指示を受けて起動し、単一又は複数の転写材Sに画像を形成して出力する一連のプリント動作を行い、画像形成装置100の動作が停止するまでの1サイクルを1プリントジョブと呼ぶ。そして、上記画像形成装置100の起動と停止との間に画像が形成されて出力された転写材Sの枚数を、1プリントジョブにおける画像形成枚数と呼ぶ。概略図を図5に示す。
本実施例では、プリントジョブにおける画像形成枚数と相関する値(第1の指標値)と、形成した画像の画素数の累積値と相関する値(第2の指標値)と、に基づいて、プリントジョブの終了時に行う清掃工程の清掃モードが選択される。これら第1、第2の指標値は、それぞれ画像形成によるトナーの使用量に関連する複数の指標値の一例である。本実施例では、画像形成装置100は、プリントジョブにおける画像形成枚数と相関する値として、プリントジョブにおける画像形成枚数を計数する第1の計数手段としての枚数カウンターC1を有する。本実施例では、制御部150のCPU151がプリントジョブにおいて画像を形成するごとに画像形成枚数を計数し、メモリー152に積算して記憶させる。すなわち、本実施例では、CPU151とメモリー152が枚数カウンターC1として機能する。また、本実施例では、画像形成装置100は、形成した画像の画素数の累積値と相関する値として、プリントジョブにおける印字率を計数する第2の計数手段としての印字率カウンターC2を有する。本実施例では、CPU151が、後述する画像コントローラから取得されたピクセルカウントに基づいて印字率を算出し、メモリー152に積算して記憶させる。すなわち、本実施例では、CPU151とメモリー152が印字率カウンターC2として機能する。なお、詳しくは後述するように、形成した画像の印字率の積算値は、形成した画像の画素数の累積値と相関する。
更に説明すると、本実施例では、CPU151は、枚数カウンターC1のカウント値に基づいて、清掃工程の所要時間Tに対応した第1インデックス値X1を決定する。第1インデックス値X1は、0、1、2、3のいずれかであり、値が大きいほど所要時間Tが長い清掃工程に対応する。また、本実施例では、CPU151は、印字率カウンターC2のカウント値に基づいて、清掃工程の所要時間Tに対応した第2インデックス値X2を決定する。第2インデックス値X2も、0、1、2、3のいずれかであり、値が大きいほど所要時間Tが長い清掃工程に対応する。CPU151は、枚数カウンターC1、印字率カウンターC2ともに値が大きくなるほど、導電性ブラシ23へのトナー付着が多いと判断し、第1、第2インデックス値X1、X2をより大きい値に決定する。そして、CPU151は、第1インデックス値X1と第2インデックス値X2との比較を行い、大きい方の値を選択インデックス値Xとして決定し、この選択インデックス値Xに基づいて清掃工程の所要時間Tを決定し、清掃モードを選択する。
このように、本実施例では、導電性ブラシ23へのトナー付着量に対する、1プリントジョブにおける画像形成枚数による影響度と、画像の印字率による影響度とが比較される。そして、より影響度が高いと判断された項目に基づいて、清掃工程の所要時間Tが決定され、清掃モードが選択される。
ここで、図6及び図7を参照して、ピクセルカウント及び印字率について説明する。図6に示すように、画像形成装置100に設けられた画像コントローラ153は、ホストコンピュータなどの画像形成装置100と通信可能に接続された機器から送信された画像データを受信する。画像コントローラ153は、受信した画像データに基づいて、静電像を形成するための信号処理を行い、露光装置3に画素信号を送信する。露光装置3は、受信した画素信号に基づいて、高速で回転するポリゴンミラーに対してレーザーダイオードからレーザー光を照射する。そして、ポリゴンミラーにより反射されたレーザー光が感光ドラム1の表面に照射され、静電像が形成される。このとき、画像コントローラ153において、レーザーダイオードの点灯時間が求められ、画像ごとに累積点灯時間からピクセルカウント(点灯した画素の総数)が求められる。求められたピクセルカウントは、CPU151がメモリー152に記憶させる。そして、CPU151は、次のようにして、プリントジョブの画像1枚ごとに、ピクセルカウントから印字率を算出し、メモリー152に積算して記憶させる。
印字率は、画像形成領域(感光ドラム1上のトナー像を形成することが可能な領域)中に占める画像パターンの割合であり、下記式(1)で定義される。
印字率[%]=[(画像形成パターン中の各色のピクセルカウントの総和)/(画像形成領域の全画素数)]×100 ・・・(1)
例えば、図7(a)に示すような10画素×10画素の画像領域に、図7(b)に示す画像パターンを形成した場合、各色の画像パターンは図7(c)のようになる。この場合の印字率は、下記式(2)のように計算される。
印字率=[{50(画像パターン(Y)の画像数)+50(画像パターン(M)の画像数)+50(画像パターン(C)の画像数)+25(画像パターン(K)の画像数)}/{100(画像形成領域の全画素数)}]×100=175[%] ・・・(2)
8.清掃モードの選択手順
次に、図8を参照して、本実施例における清掃モードの選択手順について更に詳しく説明する。
・Step1:
CPU151は、プリントジョブを開始させる。
・Step2:
CPU151は、プリントジョブにおいて画像の2次転写が終了したタイミングで、枚数カウンターC1のカウント値に1を加える。また、CPU151は、当該画像の印字率を印字率カウンターC2のカウント値に加える。
・Step3:
CPU151は、当該画像がプリントジョブの最後の画像である場合、処理をStep4に進める。一方、CPU151は、当該画像がプリントジョブの最後の画像でない場合、処理をStep2に戻し、次の画像の2次転写終了を待つ。
・Step4:
CPU151は、枚数カウンターC1のカウント値に基づき、第1インデックス値X1を決定する。表2に、枚数カウンターC1のカウント値と、第1インデックス値X1及び対応する清掃モードとの関係を示す。
表2に示すように、1プリントジョブにおける画像形成枚数が多いほど、清掃工程の所要時間Tが長い清掃モードが選択される。
・Step5:
CPU151は、印字率カウンターC2のカウント値に基づき、第2インデックス値X2を決定する。表3に、印字率カウンターC2のカウント値と、第2インデックス値X2及び対応する清掃モードとの関係を示す。
表3に示すように、印字率の積算値が大きいほど(すなわち、ピクセルカウントの積算値が大きいほど)、清掃工程の所要時間Tが長い清掃モードが選択される。なお、印字率の計算において、小数点以下の値は切り上げされている。
・Step6:
CPU151は、第1インデックス値X1と第2インデックス値X2とを比較し、大きいほうの値を選択インデックス値Xとして決定する。
・Step7:
CPU151は、選択インデックス値Xの値に基づき、実行する清掃モードを決定する。表4に、選択インデックス値Xと、実行する清掃モードとの関係を示す。
・Step8:
CPU151は、モードB、モードC、モードDを選択した場合には、印字率カウンターC2のカウント値を0にする。
・Step9:
CPU151は、Step8で決定された清掃モードで清掃工程を実行させる。なお、上述のように、モードAが選択された場合には、実際には清掃工程は実行されない。
・Step10
CPU151は、枚数カウンターC1、第1インデックス値X1、第2インデックス値X2、選択インデックス値Xを0に戻し、プリントジョブを終了させる。
このように、画像形成装置100は、電源E3を制御してトナー帯電部材23から中間転写体8にトナーを転移させる清掃工程を、一の開始指示により単数又は複数の転写材Pに画像を形成するジョブの終了時に実行させることのできる制御部150を有する。そして、制御部150は、一のジョブにおいて形成する画像の数と相関する第1の指標値と、前回の清掃工程の実行後に形成した画像の画素数の累積値と相関する第2の指標値と、に基づいて、その一のジョブの終了時に清掃工程を実行するか否かを制御する。本実施例では、第1の指標値は、ジョブにおける画像形成枚数の計数値である。ただし、これに限定されるものではなく、例えば感光ドラム1の回転数、回転時間など、ジョブにおいて形成する画像の数と相関する値であればよい。また、本実施例では、第2の指標値は、形成した画像の印字率の計数値である。ただし、これに限定されるものではなく、例えば露光装置3の点灯時間の計数値、画素数の計数値など、形成した画像の画素数の累積値と相関する値であればよい。特に、本実施例では、制御部150は、第1の指標値が所定の第1の閾値よりも大きい場合、又は第2の指標値が第2の閾値よりも大きい場合に、清掃工程を実行させる(Step4、5)。
また、制御部150は、一のジョブにおいて形成する画像の数と相関する第1の指標値と、前回の清掃工程の実行後に形成した画像の画素数の累積値と相関する第2の指標値と、に基づいて、その一のジョブの終了時に実行させる清掃工程の所要時間を制御する。特に、本実施例では、制御部150は、第1の指標値が第1の閾値よりも大きい場合に第1の閾値以下の場合よりも清掃工程の所要時間を長くすることができるようになっている(Step4)。また、制御部150は、第2の指標値が第2の閾値よりも大きい場合に第2の閾値以下の場合よりも清掃工程の所要時間を長くすることができるようになっている(Step5)。そして、制御部150は、第1、第2の指標値と第1、第2の閾値との比較により判断される清掃工程の所要時間のうち長い方の所要時間で清掃工程を実行させる(Step6、7)。
9.効果
9−1.転写材の裏汚れ
まず、転写材Sの裏汚れについて説明する。図9は、プリントジョブの開始時に導電性ブラシ23から中間転写ベルト8上に吐き出された単位面積当たりのトナー量と、転写材Sの裏汚れ量との関係を示す図である。ここでは、プリントジョブの開始時に導電性ブラシ23から中間転写ベルト8上に吐き出されたトナーが2次転写部N2を通過する際に、2次転写ローラ11にはトナーの正規の帯電極性と同極性の電圧を印加した。これにより、2次転写ローラ11へのトナーの付着量を抑制することができるものの、2次転写ローラ11へのトナーの付着を完全に防止することは難しい。2次転写ローラ11に付着したトナーは、転写材Sの2次転写ローラ11と接触する面(所謂、転写材Sの裏面)に付着し、転写材Sの裏汚れが発生する。
なお、転写材Sの裏汚れ量は、転写材Sの反射光量の低下率として、下記式(3)で定義される。反射光量の測定は、東京電色製の白色光度計TC−6DS/Aを用い、転写材Sとしてはキヤノン製CS−814を用いて行った。
裏汚れ量[%]={(裏汚れ非発生部での反射光量−裏汚れ発生部の反射光量)/裏汚れ非発生部での反射光量}×100 ・・・(3)
転写材Sの裏汚れ量が大きいと転写材Sの裏汚れのレベルが悪く、2%以下ではほとんど汚れを確認できず、1%以下では全く目視による汚れを確認できないレベルである。中間転写ベルト8上の単位面積当たりのトナー量と転写材Sの裏汚れ量とには相関があり、トナー量が単位面積当たり0.08mg/cm2以上では、転写材Sの裏汚れ量が2%以上となる。これは、中間転写ベルト8上の単位面積当たりのトナー被覆率が増え、2次転写ローラ11と接触するトナー量が多くなることで付着量が増えるからである。表5は、単位面積当たりのトナー量を変えて、転写材Sの裏汚れ量を評価した結果である。転写材Sとしてはキヤノン製CS−814を用いた。また、転写材Sの裏汚れ量は、1%以下であれば全く汚れを視認できないレベル(表5中◎)、1%より大きく2%以下であればほとんど汚れを視認できないレベル(表5中○)、2%より大きければ汚れを視認できるレベル(表5中×)として評価した。
転写材Sの裏汚れを抑制するためには、中間転写ベルト8の起動時にその起動ショックにより吐き出される導電性ブラシ23に付着したトナーの量を、0.08[mg/cm2]以下とすることが望まれる。すなわち、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に付着しているトナーの量を0.08[mg/cm2]以下とすることが望まれる。本実施例では、より確実に転写材Sの裏汚れを抑制するために、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に付着しているトナーの量を0.02[mg/cm2]以下にするように清掃工程を実行する。
9−2.導電性ブラシへのトナー付着
次に、導電性ブラシ23へのトナーの蓄積について説明する。プリントジョブにおいて連続画像形成を行うと、徐々に導電性ブラシ23にトナーが蓄積していく。この蓄積していくトナーは、導電性ブラシ23によって正極性に帯電させることができずに負極性に帯電しているトナーや、電荷を有していないトナーなどが多い。本発明者らの実験によれば、転写材Sとしてキヤノン製CS−814を用い、印字率5%の画像を連続プリントした場合の、画像1枚当たりのトナー蓄積量は0.014[mg/cm2]であった。また、導電性ブラシ23に蓄積できるトナーの最大量は、導電性ブラシ23の繊度、パイル長さなどによって変化する。本実施例で使用している導電性ブラシ23に蓄積できるトナーの最大量は、8.8[mg/cm2]であった。
・モードA:
まず、1プリントジョブにおける画像形成枚数が5枚、画像の印字率が5%の場合について説明する。このプリントジョブの終了時には、C1=5であるのでX1=0となり、C2=25[%]であるのでX2=0となる。したがって、X=0となり、清掃モードとしてモードAが選択される(すなわち、清掃工程は実行されない)。この場合、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量は、最大で0.014[mg/cm2]×5=0.07[mg/cm2]である。そのため、次のプリントジョブでの中間転写ベルト8の起動時に、そのショックにより吐き出される導電性ブラシ23に付着したトナーの量は0.08[mg/cm2]以下となるため、転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。
なお、本実施例では、導電性ブラシ23に蓄積されたトナーは、中間転写ベルト8の起動時に吐き出される。そのため、図10に示すように、印字率が5[%]以下で画像形成枚数が5枚以下のプリントジョブが繰り返された場合でも、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量が0.07[mg/cm2]を超えることはない。そのため、印字率が5[%]以下で画像形成枚数が5枚以下のプリントジョブが繰り返される場合、清掃工程を実行しなくても、継続して転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。このように、モードAが選択された後の中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23に蓄積されていたトナーが実質的に全て吐き出される構成の場合、次のようにしてもよい。つまり、モードAが選択された場合でも、図8のStep8において印字率カウンターC2のカウント値を0にリセットしてもよい。ただし、中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23から吐き出されるトナー量は、種々の条件で変わることがある(実施例2参照)。そのため、より確実に転写材Sの裏汚れを抑制するために、本実施例ではモードAが選択された場合には、図8のStep8で印字率カウンターC2のカウント値を0にリセットしない構成とした。また、モードAが選択された後の中間転写ベルト8の起動時に、導電性ブラシ23に蓄積されているトナーの一部が吐き出される構成の場合には、次のようにしてもよい。すなわち、モードAが選択された場合に、中間転写ベルト8の起動時に吐き出されるトナー量に対応する所定のカウント数を、図8のStep8で印字率カウンターC2のカウント値から減ずる構成としてもよい。
・モードB:
次に、1プリントジョブにおける画像形成枚数が10枚、画像の印字率が5%の場合について説明する。このプリントジョブの終了時には、C1=10であるのでX1=1となり、C2=50[%]であるのでX2=1となる。したがって、X=1となり、清掃モードとしてモードBが選択される。この場合、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量は、最大で0.014[mg/cm2]×10=0.14[mg/cm2]である。ここで、モードBの清掃工程が実行される(すなわち、清掃電圧V2のOFF/ONが10回繰り返される)。このときの導電性ブラシ23のトナー蓄積量の推移を図11に示す。同図に示すように、清掃工程後の導電性ブラシ23のトナー蓄積量が0.02[mg/cm2]以下に抑えられるので、転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。
・モードC:
次に、1プリントジョブにおける画像形成枚数が50枚、画像の印字率が5%の場合について説明する。このプリントジョブの終了時には、C1=50であるのでX1=2となり、C2=250[%]であるのでX2=2となる。したがって、X=2となり、清掃モードとしてモードCが選択される。この場合、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量は、最大で0.014[mg/cm2]×50=0.70[mg/cm2]である。ここで、モードCの清掃工程が実行される(すなわち、清掃電圧V2のOFF/ONが20回繰り返される)。このときの導電性ブラシ23のトナー蓄積量の推移を図12(a)、(b)に示す。同図に示すように、清掃工程後の導電性ブラシ23のトナー蓄積量が0.02[mg/cm2]以下に抑えられるので、転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。なお、図12(b)は、図12(a)の一部を拡大したものである。
・モードD
次に、1プリントジョブにおける画像形成枚数が628枚、画像の印字率が5%の場合について説明する。このプリントジョブの終了時には、C1=628であるのでX1=3となり、C2=3140[%]であるのでX2=3となる。したがって、X=3となり、清掃モードとしてモードDが選択される。この場合、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量は、最大量である0.014[mg/cm2]×628=8.80[mg/cm2]まで到達する可能性がある。ここで、モードDの清掃工程が実行される(すなわち、清掃電圧V2のOFF/ONが30回繰り返される)。このときの導電性ブラシ23のトナー蓄積量の推移を図13(a)、(b)に示す。同図に示すように、清掃工程後の導電性ブラシ23のトナー蓄積量が0.02[mg/cm2]以下に抑えられるので、転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。なお、図13(b)は、図13(a)の一部を拡大したものである。
また、前述のように、本実施例では、導電性ブラシ23に蓄積されるトナー量の最大値は8.80[mg/cm2]である。そして、本実施例では、1プリントジョブで印字率が5[%]の画像を628枚形成すると、導電性ブラシ23に蓄積されるトナー量は最大値に到達する可能性がある。1プリントジョブで印字率が5[%]の画像が629枚以上形成された場合は、最大値以上のトナーが蓄積されないため、プリントジョブ終了時に導電性ブラシ23に蓄積されたトナー量は8.80[mg/cm2]のままである。したがって、モードDの清掃工程で清掃可能であるので、モードDよりも所要時間Tの長い清掃工程は不要である。
9−3.印字率(ピクセルカウント)に基づく補正
次に、画像の印字率が高い場合について説明する。例えば、画像の印字率が50[%]であった場合、印字率が5[%]の場合に比べ画像形成に使用するトナーの量が10倍になるので、2次転写残トナーの量及びブラシに蓄積されるトナーの量もそれぞれ印字率が5[%]の場合の10倍となる。したがって、1プリントジョブにおける画像形成枚数が5枚、画像の印字率が50[%]の場合、プリントジョブ終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量は0.07[mg/cm2]×10=0.70[mg/cm2]である。そのため、このまま清掃工程を行わなければ、転写材Sの裏汚れが発生してしまう。
そこで、本実施例では、上述のように、画像の印字率の積算値(印字率カウンターC2のカウント値)に応じて、選択されるブラシ清掃モードが変更される(図8のStep5)。なお、表3に示した印字率カウンターC2の閾値は、表2に示した枚数カウンターC1の閾値に印字率の5[%]を乗じたものになっている。
一例として、1プリントジョブにおける画像形成枚数が6枚、画像の印字率が25[%]の場合について説明する。この場合、X1=1である。印字率25[%]の画像を6枚形成するので印字率の積算値は25[%]×6=150[%]であり、X2=2となる。したがって、X1とX2とのうちの大きい方(最大値)が選択されてX=2となり、清掃モードとしてモードCが選択される。
以上説明した本実施例における清掃モードの選択方法における枚数カウンターC1及び印字率カウンターC2のカウント値と、対応する清掃モードとの関係をまとめると表6に示すようになる。
本実施例では、上述の清掃モードの選択方法によって、画像形成枚数や形成する画像の印字率によらず、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量を0.08[mg/cm2]以下に抑えることができる。したがって、次のプリントジョブでの中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23からトナーが吐き出されても、転写材Sの裏汚れが発生しないか又は視認できないレベルに抑えられる。
以上、本実施例によれば、画像形成枚数や形成する画像の印字率によらず、プリントジョブの終了時に導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量を十分に抑えることができる。したがって、次のプリントジョブでの中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23からトナーが吐き出されても、転写材Sの裏汚れを十分に抑制することができる。また、本実施例によれば、これを必要最小限の清掃工程の実行により達成することができるので、清掃工程によるダウンタイム(画像を出力できない期間)を低減でき、また中間転写ベルト8の寿命の低下を抑制することができる。
また、導電性ブラシ23を清掃するために、ピクセルカウントの積算値が所定値以上になった場合に、プリントジョブの画像形成を中断して清掃工程を実行し、導電性ブラシ23のトナー付着量を一定以下に保つ構成とすることが考えられる。しかし、この構成では、プリントジョブの途中で清掃工程が実行されるため、プリントジョブの終了までの間に清掃工程分の待ち時間が生じてしまう。これに対して、本実施例によれば、導電性ブラシ23の清掃工程をプリントジョブの終了時に行うため、そのプリントジョブにおける連続画像形成中に清掃工程のための待ち時間は生じない。
また、裏汚れを抑制するために、プリントジョブの開始時に、2次転写部N2を離間状態として、導電性ブラシ23から吐き出されたトナーが2次転写部N2を通過するまで待ってから、2次転写部N2を当接状態として画像形成を開始することが考えられる。しかし、この構成は、FPOT(First Print Out Time)が遅くなるため望ましくない。これに対して、本実施例によれば、中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23からトナーが吐き出されても転写材Sの裏汚れを十分に抑制することができるので、画像形成の開始を、吐き出されたトナーが2次転写部N2を通過するまで待つ必要はない。そのため、FPOTが遅くなることを抑制することができる。
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.概要
本実施例では、画像形成装置100は、第3の計数手段として、清掃工程が実行された後に行われたプリントジョブの数(第3の指標値)を計数するジョブカウンターC3を更に有する。本実施例では、制御部150のCPU151が、清掃工程が実行された後に行われたプリントジョブを計数し、メモリー152に積算して記憶させる。すなわち、本実施例では、CPU151とメモリー152がジョブカウンターC3として機能する。そして、本実施例では、CPU151は、枚数カウンターC1、印字率カウンターC2及びジョブカウンターC3のカウント値に基づいて、清掃モードの選択を行う。
2.清掃モードの選択手順
次に、図14を参照して、本実施例における清掃モードの選択手順について更に詳しく説明する。なお、実施例1における図8に示す手順と同じ動作を行う処理には同じStep番号を付し、詳しい説明は省略する。
・Step1:
実施例1と同じである。
・Step1’:
CPU151は、ジョブカウンターC3のカウント値に1を加える。
・Step2〜Step6
実施例1と同じである。
・Step6’
CPU151は、X=0の場合は、C3を参照し、C3の値が4以上であればX=1とする。一方、CPU151は、C3の値が3以下であれば、X=0のままとする。
・Step7:
実施例1と同じである。
・Step8’:
CPU151は、モードB、モードC、モードDを選択した場合には、印字率カウンターC2及びジョブカウンターC3のカウント値を0にする。
・Step9〜Step10:
実施例1と同じである。
このように、本実施例では、制御部150は、第1、第2の指標値に加えて、前回の清掃工程の実行後に行われたジョブの数と相関する第3の指標値に基づいて、一のジョブの終了時に清掃工程を実行するか否かを制御する。特に、制御部150は、第1の指標値が第1の閾値よりも大きい場合、第2の指標値が第2の閾値よりも大きい場合、又は第1、第2の指標値がそれぞれ第1、第2の閾値以下であるが第3の指標値が第3の閾値以上の場合に、清掃工程を実行させる。
3.動作例
一例として、画像の印字率が1%、画像形成枚数が5枚のプリントジョブを繰り返した場合について説明する。
1回目のプリントジョブでは、C1=5であるのでX1=0となり、C2=5[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。また、C3=1であるのでX=0のままであり、清掃モードとしてモードAが選択され、清掃工程は実行されない。
2回目、3回目のプリントジョブでも、C1=5であるのでX1=0となり、C2=10、15[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。また、C3=2、3であるのでX=0のままであり、清掃モードとしてモードAが選択され、清掃工程は実行されない。
4回目のプリントジョブでも、C1=5であるのでX1=0となり、C2=20[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。ここで、C3=4となるため、Xの値は0から1に置き換えられる。したがって、清掃モードとしてモードBが選択され、清掃工程が実行される。また、清掃工程後に、C2及びC3の値は0に戻される。
5回目のプリントジョブでは、C1=5であるのでX1=0となり、C2=5[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。また、C3=1となるためX=0のままであり、清掃モードとしてモードAが選択され、清掃工程は実行されない。以降は上記と同じ動作が繰り返される。
4.効果
トナーが劣化していない場合、トナーの表面にある外添剤のスペーサー効果により、導電性ブラシ23にトナーが付着しても、そのトナーは導電性ブラシ23から取れやすい。そのため、例えば上述のように画像の印字率が1%、画像形成枚数が5枚のプリントジョブを繰り返した場合、導電性ブラシ23に蓄積されたトナーは、中間転写ベルト8の起動時に実質的に全て吐き出される。しかしながら、トナーが劣化しトナーの表面の外添剤が減少すると、スペーサー効果が弱くなることで、導電性ブラシ23にトナーが付着すると、そのトナーは導電性ブラシ23から取れにくくなる。そのため、例えば画像の印字率が1%、画像形成枚数が5枚のプリントジョブを繰り返した場合であっても、導電性ブラシ23に蓄積されたトナーの一部が、中間転写ベルト8の起動時に導電性ブラシ23から吐き出されずに蓄積してしまうことがある。そして、プリントジョブを繰り返すことで、導電性ブラシ23に蓄積されるトナーは徐々に増えていく。
表7に示す実験結果は、次のようにして得られたものである。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーとして全て劣化したものを用いて、画像の印字率が5[%]、印字枚数が5枚のプリントジョブを繰り返した。そして、その時のプリントジョブ開始前後の導電性ブラシ23に蓄積されているトナー量を測定した。
表7からわかるように、プリントジョブが4回終了したときにトナー蓄積量が0.08[mg/cm2]を超えた。そこで、本実施例では、上述のように、プリントジョブが4回繰り返されたところでモードBを選択し、清掃工程を実行する。これにより、プリントジョブの終了時の蓄積トナー量が0.02[mg/cm2]以下に抑えられるので、転写材Sの裏汚れは十分に抑制される。
以上、本実施例によれば、画像形成枚数が少ないプリントジョブの繰り返しにより徐々に導電性ブラシ23にトナーが蓄積する場合であっても、これを必要最小限の清掃工程の実行により除去して、転写材Sの裏汚れを十分に抑制することができる。
[実施例3]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
1.概要
実施例1及び2では、プリントジョブの終了時に清掃工程が行われたが、本実施例ではプリントジョブ以外の画像形成装置100の動作時にも清掃工程が行われる。つまり、画像形成装置100では、その性能を維持するため、プリントジョブ以外にも濃度制御など様々な補助動作(調整動作)が必要に応じて行われる。本実施例では、補助動作の1つであるトナーパージ動作の実行時に並行して清掃工程が行われる。トナーパージ動作とは、ドラムクリーニング装置6のクリーニングブレード61の摩耗を防ぐために、クリーニングブレード61にトナーを供給する動作である。
2.トナーパージ動作
図15を参照して、本実施例におけるトナーパージ動作について説明する。画像形成装置100がトナーパージ動作の実行指示信号を受け取ると、感光ドラム1の駆動が開始される。トナーパージ動作は、例えば累積の画像形成枚数などに基づいて、定期的に非画像形成時の所定のタイミングで実行される。なお、プリントジョブに引き続いてトナーパージ動作が行われる場合に、プリントジョブの終了時に感光ドラム1が停止されず、プリントジョブと連続してトナーパージ動作が行われる構成とすることも可能である。
感光ドラム1が駆動されると現像当接離間機構160(図17)の駆動モータが起動され、第1の画像形成部PYから第4の画像形成部PKまで順次現像部が当接状態とされていく。第4の画像形成部PKが現像部が当接状態とされると、再び現像当接離間機構160の駆動モータが起動され、第1の画像形成部PYから第4の画像形成部PKまで順次現像部が離間状態とされていく。各画像形成部Pにおいて現像部が当接状態とされている期間に、露光装置3のレーザーが発光され、静電像の形成及びその静電像の現像が行われる。なお、このときの静電像の形成では、レーザー光の出力としては例えば最大値が用いられる。
トナーパージ動作中、全ての画像形成部Pの1次転写部N1は常に離間状態とされている。よって、各感光ドラム1に現像されたトナー像は、中間転写ベルト8に転写されることなく、ドラムクリーニング装置6のクリーニングブレード61に供給される。
そして、第4の画像形成部PKで現像部が離間状態とされると、全ての画像形成部Pの感光ドラム1の駆動が停止され、トナーパージ動作が終了する。
3.トナーパージ動作中の清掃工程
図15を参照して、トナーパージ動作中の清掃工程について説明する。本実施例では、全ての画像形成部Pの感光ドラム1の駆動開始と同時に、中間転写ベルト8の駆動が開始され、清掃工程、すなわち、導電性ブラシ23に印加される清掃電圧V2のOFF/ONの繰り返しが開始される。清掃工程は実施例1で説明したものと同様であるので詳しい説明は省略する。
中間転写ベルト8の駆動及び停止は、全ての画像形成部Pの感光ドラム1の駆動停止と同期して行われる。清掃工程は、実施例1で説明したのと同様、中間転写ベルト8が停止するタイミングのt2[msec]前まで行われる。その後、導電性ブラシ23に印加される電圧は抑制電圧V3に切り替えられ、実施例1で説明したのと同様、中間転写ベルト8が停止するタイミングのt3[msec]後まで維持される。
前述のように、トナーパージ動作中は1次転写部N1が離間されている。そのため、実施例1で説明したのと同様、導電性ブラシ23から中間転写ベルト8上に吐き出されたトナーは、ベルトクリーニング装置20に到達し、クリーニングブレード21により中間転写ベルト8上から掻き取られて回収トナー容器22に回収される。すなわち、トナーパージ動作と清掃工程とを並行して行っても、前述した墳料の感光ドラム1の表面への付着や、墳料により感光ドラム1の表面が傷つくことで発生する画像不良の懸念はない。
本実施例では、トナーパージ動作において感光ドラム1が駆動されている時間は8250[msec]であった。すなわち、清掃工程の所要時間Tを8250[msec]とすることができ、導電性ブラシ23に印加される清掃電圧V2のOFF/ONは36回繰り返される。
4.プリントジョブの終了時に行う清掃工程の清掃モードの選択方法
図16を参照して、本実施例におけるプリントジョブの終了時に行う清掃工程の清掃モードの選択方法について説明する。なお、ここでは、プリントジョブの終了時に行う清掃工程の清掃モードの選択手順自体は、図14に示す実施例2で説明した手順に従うものとする。ただし、図8に示す実施例1で説明した手順に従ってもよい。
・Step100:
CPU151は、トナーパージ動作が行われた場合、印字率カウンターC2及びジョブカウンターC3のカウント値を0に変更する。一方、CPU151は、トナーパージ動作が行われなかった場合は、C2及びC3のカウント値を変更しない。
前述のように、トナーパージ動作では導電性ブラシ23に印加される清掃電圧V2のOFF/ONは36回繰り返される。すなわち、トナーパージ動作中の清掃工程では、実施例1、2で説明した所要時間Tが最も長い清掃モードの清掃工程よりも長い間(多くの回数)清掃電圧V2のOFF/ONが行われる。したがって、十分に導電性ブラシ23の清掃が行われているため、印字率カウンターC2及びジョブカウンターC3のカウント値は0にリセットすることが可能である。
・Step1:
CPU151は、次のプリントジョブを開始させる。プリントジョブの開始以降の動作は、実施例2と同じである。
以上の動作により、プリントジョブの終了時に行う清掃工程の清掃モードが選択される。
このように、本実施例では、制御部150は、ジョブの終了時以外の画像形成装置100の調整動作時に清掃工程を実行させることができ、調整動作時に清掃工程を実行させた場合は、第2の指標値、第3の指標値を減じて補正する。典型的には、調整動作時に実行される清掃工程の所要時間は、ジョブの終了時に実行される清掃工程の所要時間のうち最も長い所要時間よりも長い。
5.動作例
一例として、画像の印字率が1%、画像形成枚数が5枚のプリントジョブを繰り返し、3回目のプリントジョブ後にトナーパージが実行された場合について説明する。
1回目、2回目、3回目のプリントジョブでは、C1=5であるのでX1=0となり、C2=5、10、15[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。また、C3=1、2、3であるのでX=0のままであり、清掃モードとしてモードAが選択され、清掃工程は実行されない。また、3回目のプリントジョブ後にトナーパージが実行されたので、ここでC2及びC3の値は0に戻される。
4回目、5回目、6回目のプリントジョブでは、C1=5であるのでX1=0となり、C2=5、10、15[%]であるのでX2=0となり、X=0となる。また、C3=1、2、3であるのでX=0のままであり、清掃モードとしてモードAが選択され、清掃工程は実行されない。
7回目のプリントジョブでは、C3=4となるためXの値は0から1に置き換えられる。したがって、清掃モードとしてモードBが選択され、清掃工程が実行される。また、清掃工程後に、C2及びC3の値は0に戻される。
5.効果
本実施例によれば、清掃工程をトナーパージ動作と並行して行う。これにより、プリントジョブの終了時に清掃工程を実行する頻度を低減することができる。したがって、プリントジョブの終了時のダウンタイムを低減することができる。
なお、本実施例では、ブラシ清掃工程をトナーパージと並行して行う構成としたが、濃度制御など、プリントジョブ以外の画像形成装置の動作(調整動作)と並行して清掃工程を行う構成としてもよい。
また、本実施例ではトナーパージ動作中の清掃工程が十分長いため、図16のStep100においてC2及びC3のカウント値を0に変更する構成とした。しかし、トナーパージ動作中の清掃工程が十分に長く行えない場合などには、トナーパージ動作中の清掃工程で導電性ブラシ23から吐き出されるトナー量に対応する所定のカウント数をC2やC3から減ずる構成としてもよい。
[その他]
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。
例えば、上述の実施例では、トナー帯電部材で帯電処理された2次転写残トナーは、中間転写体の移動方向において最上流の画像形成部において転写同時回収で回収される場合を例に説明した。しかし、これに限定されるものではなく、トナー帯電部材で帯電処理された2次転写残トナーの全部又は一部が、中間転写体の移動方向において最上流の画像形成部よりも下流の画像形成部において転写同時回収で回収されるようになっていてもよい。
また、上述の実施例では、画像形成装置は、インライン方式の画像形成装置を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1つの像担持体に対して複数の現像装置を有し、該像担持体に順次に形成されるトナー像を中間転写体に順次に転写して画像を形成する、いわゆる、1ドラム方式の画像形成装置にも本発明を適用することができ、上述と同様の効果が得られる。
また、上述の実施例では、清掃工程において、トナー帯電部材に印加する電圧のOFF/ON(あるいは負極性/正極性の切り替え)を繰り返したが、これに限定されるものではない。例えば、所望によりトナー帯電部材に印加する電圧をOFF(あるいはトナー帯電電圧とは逆極性)とした状態を一定期間(所要時間)維持することで、トナーを中間転写体に吐き出すようにしてもよい。