以下に、本発明の実施形態に係る端子付き電線、端子付き電線の製造方法、および端子圧着装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1から図21を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、端子付き電線、端子付き電線の製造方法、および端子圧着装置に関する。なお、図13には、図9のXIII−XIII断面が示されている。図15には、図14のXV−XV断面が示されている。図18には、図17のXVIII−XVIII断面が示されている。
まず、本実施形態に係る圧着端子1について説明する。図1等に示す圧着端子1は、電線50に対して圧着される端子である。圧着端子1は、電線50と一体になった状態で相手側端子(図示略)に対して電気的に接続される。圧着対象の電線50は、端部の被覆52が取り除かれて芯線51が所定の長さ露出している。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルのような単線であってもよい。圧着端子1は、電線50の端部に圧着されることで、露出している芯線51に対して電気的に接続される。
圧着端子1は、端子金具10および止水部材20を有する。端子金具10は、圧着端子1の主体部分である。端子金具10は、母材としての導電性の金属板(例えば銅板、銅合金板)から形成される。端子金具10は、母材に対する打ち抜き加工や折り曲げ加工等により、相手側端子や電線50との接続が可能な所定の形状に形成される。端子金具10は、端子接続部11および電線接続部12を有する。端子接続部11は、相手側端子に対して電気的に接続される部分である。電線接続部12は、電線50に対して圧着される部分であり、芯線51に対して電気的に接続される。端子接続部11と電線接続部12との間には、連結部13が設けられている。言い換えると、端子接続部11と電線接続部12とは連結部13を介して連結されている。連結部13は、端子接続部11の側壁11a,11aと、電線接続部12の側壁であるバレル片部15,16とを繋ぐ側壁13a,13aを有する。一方の側壁13aは、一方の側壁11aと第一バレル片部15とを繋ぎ、他方の側壁13aは、他方の側壁11aと第二バレル片部16とを繋ぐ。側壁13aの高さは、バレル片部15,16や側壁11aの高さよりも低くなっている。より詳しくは、側壁13aの高さは、端子接続部11から電線接続部12へ向かうに従って低くなっている。
端子金具10は、雄端子であっても雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子である場合、雄型に成型され、端子金具10が雌端子である場合、雌型に成型される。
圧着端子1の説明において、相手側端子との接続方向、すなわち相手側端子との挿入方向を第一方向Lと称する。第一方向Lは、圧着端子1の長手方向である。圧着端子1の並列配置方向を第二方向Wと称する。並列配置方向は、後述するように端子連鎖体30において圧着端子1が並列配置される方向であり、圧着端子1の幅方向である。圧着端子1において、第一方向Lおよび第二方向Wの何れとも直交する方向を第三方向Hと称する。第三方向Hは、圧着端子1の高さ方向である。
成型工程において、圧着端子1は、平板な板状に成型され、この状態から、端子接続部成形工程において、端子接続部11が図1に示すように筒状に形成される。端子接続部成形工程では、端子接続部11に対する折り曲げ加工等がなされる。本実施形態の端子接続部11は、断面形状が矩形の筒形状に形成される。電線接続部12は、電線接続部成形工程において、断面形状がU字状となるように成型される。電線接続部成形工程では、電線接続部12に対する折り曲げ加工等がなされる。また、電線接続部12には、貼付工程において、止水部材20が貼付けられる。貼付工程は、電線接続部成形工程よりも前に実行されても、電線接続部成形工程の後で実行されてもよい。
図1および図6に示すように、電線接続部12は、底部14、第一バレル片部15、および第二バレル片部16を有する。底部14は、U字状に形成された電線接続部12の底壁となる部位である。底部14には、圧着加工の際に電線50の端部が載置される。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、U字状に形成された電線接続部12の側壁となる部位である。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14における第二方向Wの端部につながっている。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14の幅方向の端部から、幅方向と交差する方向に向けて突出している。U字状に形成された電線接続部12では、底部14に電線50の端部が載置されると、第一バレル片部15および第二バレル片部16が第二方向Wの両側から電線50を囲む。
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、底部14側の根元から先端15a,16aの端面までの長さが互いに等しくてもよく、一方の長さが他方の長さよりも長くてもよい。本実施形態の圧着端子1では、第一バレル片部15における根元から先端15aまでの長さよりも、第二バレル片部16における根元から先端16aまでの長さが長い。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、例えば、互いに重なり合いながら電線50に対して巻き付けられる。本実施形態では、第一バレル片部15の外側に第二バレル片部16が重なる。なお、第一バレル片部15および第二バレル片部16は、所謂Bクリンプと称する加締めがなされてもよい。Bクリンプでは、第一バレル片部15および第二バレル片部16のそれぞれが底部14側に向けて折り曲げられて先端15a,16aが電線50に向けて押しつけられるように加締められる。本実施形態の圧着端子1には、後述する止水部材20が設けられることから、前者の加締め処理が採用される。
電線50の端部は、電線接続部12のU字の開口部、すなわち先端15a,16aの隙間からU字状の内側の空間に挿入される。電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすいように形成されている。具体的には、電線接続部12は、底部14側から先端15a,16aの端面へ向かうにつれて第一バレル片部15と第二バレル片部16との第二方向Wの間隔が広がっている。
第一バレル片部15および第二バレル片部16は、図2乃至図6に示すように、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間に連結圧着部12Cが介在している。第一バレル片部15および第二バレル片部16は、それぞれ圧着部12A,12C,12Bがこの順序で第一方向Lに沿って連続している一枚の片部である。
芯線圧着部12Aは、電線50の先端の芯線51に対して圧着される部位である。芯線圧着部12Aは、各バレル片部15,16における最も連結部13寄りの部位である。被覆圧着部12Bは、被覆52の端部に対して圧着される部位である。被覆圧着部12Bは、各バレル片部15,16における最も連結部13側から遠い側に位置する部位である。連結圧着部12Cは、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを繋ぐ部位である。連結圧着部12Cは、電線50における芯線51と被覆52との境界部分に対して圧着される。電線接続部12は、電線50に対して圧着されることで芯線51および被覆52を一体に覆う。
図5および図6に示すように、電線接続部12の内壁面、すなわち電線50を覆う側の壁面には、セレーション領域17が設けられている。セレーション領域17は、芯線51を保持する芯線保持領域である。セレーション領域17は、電線接続部12の内壁面において、芯線51に対して巻き付けられる部分を含む領域である。セレーション領域17には、複数の凹部、複数の凸部、または凹部と凸部の組み合わせが配置される。凹部や凸部は、電線接続部12と芯線51との接触面積を増やし、両者の密着強度を高める。本実施形態のセレーション領域17は、矩形の領域であり、第一方向Lの互いに異なる位置に複数の凹部17aが形成されている。
ここで、芯線51と、芯線51に対して圧着された電線接続部12との間に水が浸入してしまうことは好ましくない。例えば、芯線51の金属材料と電線接続部12の金属材料とがイオン化傾向の大きさの異なるものである場合、腐食の可能性がある。一例として、芯線51の材料がアルミニウム、電線接続部12の材料が銅である場合、芯線51が腐食してしまう可能性がある。本実施形態の圧着端子1には止水部材20が設けられている。止水部材20は、電線接続部12と芯線51との間への水の浸入を抑制する。
止水部材20は、例えば、アクリル系粘着剤等の粘着剤を主とするシート状に形成された部材である。本実施形態の止水部材20としては、シート状の不織布に粘着剤を染み込ませて形成された粘着シートであって、両面に粘着効果を有するものが用いられる。
止水部材20は、例えば、図5に示す平板状の電線接続部12の内壁面に対して貼付けられる。止水部材20は、図6に示すように、所定形状に形成されており、第一止水部21、第二止水部22、および第三止水部23を有する。第一止水部21は、圧着完了後に第一バレル片部15と第二バレル片部16とが重なり合う部分を止水する。つまり、第一止水部21は、互いに重なり合う第一バレル片部15と第二バレル片部16との間に挟み込まれてバレル片部15,16の間に止水領域を形成する。本実施形態の第一止水部21は、第二バレル片部16に配置されており、第一方向Lに沿って延在している。
第二止水部22は、芯線51の先端よりも端子接続部11側を止水する。第二止水部22は、電線接続部12における端子接続部11側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第二止水部22の少なくとも一部は、芯線51が載置される領域に設けられることが望ましい。第二止水部22は、例えば、重なり合うバレル片部15,16の間に挟み込まれることにより、バレル片部15,16の隙間に止水領域を形成する。第二止水部22は、圧着工程において互いに重なり合うことにより、芯線51の先端よりも端子接続部11側の隙間を塞ぐこともできる。第二止水部22は、電線接続部12と芯線51との間への端子接続部11側からの浸水を抑制する。
第三止水部23は、電線接続部12と被覆52との隙間からの水の浸入を抑制する。第三止水部23は、電線接続部12における端子接続部11側と反対側の端部に配置されており、第二方向Wに沿って延在している。第三止水部23は、被覆52と電線接続部12との間に挟み込まれることにより、被覆52と電線接続部12との間に止水領域を形成する。
以上示した端子金具10は、母材となる一枚の金属板に対するプレス工程を経て、図5に示す平板状の電線接続部12を有する形態に加工される。その後の貼付工程において、その平板状の電線接続部12に止水部材20が貼付される。しかる後、この端子金具10は、折り曲げ工程において、端子接続部11が形成され、かつ、U字状の電線接続部12が形成される。
本実施形態では、プレス工程や折り曲げ工程によって、図7に示す端子連鎖体30が形成される。端子連鎖体30は、複数の圧着端子1が連鎖したものであり、一枚の金属板から形成される。端子圧着装置100には、端子連鎖体30が供給される。端子圧着装置100は、端子連鎖体30に対して圧着工程および端子切断工程を実行する。圧着工程は、端子連鎖体30の圧着端子1を電線50に対して加締めて圧着させる工程である。端子切断工程は、電線50に対して加締められた圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す工程である。
端子連鎖体30は、圧着端子1の集合体である。端子連鎖体30は、連結片31、複数の圧着端子1、および複数の繋ぎ部32を有する。連結片31、圧着端子1、および繋ぎ部32は、同一の母材から形成されており、一体である。端子連鎖体30において、それぞれの圧着端子1は同一方向を向いており、かつ等間隔で並列に配置されている。端子連鎖体30では、各圧着端子1の一方の端部が連結片31によって互いに繋がれている。連結片31の形状は、例えば、矩形の細長い板状である。連結片31は、第二方向Wに沿って延在している。電線接続部12は、繋ぎ部32を介して連結片31とつながっている。より詳しくは、繋ぎ部32は、底部14における端子接続部11側とは反対側の端部を連結片31に繋いでいる。
連結片31には、複数の端子送り孔31aが形成されている。端子送り孔31aは、端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔で配置されている。端子送り孔31aは、連結片31を板厚方向に貫通している貫通孔である。端子送り孔31aによって、後述する圧着装置102に対する圧着端子1の位置決めがなされる。端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100に対してセットされる。
図8に示すように、端子圧着装置100は、端子供給装置101、圧着装置102、および駆動装置103を有する。端子圧着装置100は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。端子供給装置101は、所定の圧着位置に圧着端子1を供給する装置である。圧着装置102は、所定の圧着位置で電線50に対して圧着端子1を圧着する装置である。駆動装置103は、端子供給装置101および圧着装置102を動作させる装置である。
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30を外周側から順次引き出す。端子供給装置101は、引き出した端子連鎖体30の圧着端子1を先頭側から順に圧着位置に供給する。端子供給装置101は、先頭の圧着端子1が電線50に対して圧着され、かつ連結片31から切り離されると、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置に供給する。端子供給装置101は、一つの圧着端子1の圧着工程および端子切断工程が完了する毎に供給動作を行って次の圧着端子1を圧着位置に供給する。
端子供給装置101は、端子送り部材101aおよび動力伝達機構101bを有する。端子送り部材101aは、連結片31の端子送り孔31aに挿入される突起部を有する。端子送り部材101aは、端子送り孔31aに突起部が挿入された状態で端子連鎖体30を送り方向に移動させる。動力伝達機構101bは、圧着装置102による圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動して端子送り部材101aを動作させる。端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向および送り方向に移動させることによって圧着端子1を圧着位置に供給する。
圧着装置102は、供給された圧着端子1を電線50に圧着させる圧着工程と、この圧着端子1を連結片31から切り離す端子切断工程とを実行する。圧着装置102は、圧着機110および端子切断機構120を有する。
圧着機110は、圧着端子1を電線50の端部に加締めることにより、圧着端子1を電線50に圧着させる装置である。本実施形態の圧着機110は、圧着端子1の第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の芯線51および被覆52に対して巻き付けるように加締めることで圧着端子1を電線50に圧着させる。圧着機110は、フレーム111、第一金型112、第二金型113、および動力伝達機構114を有する。
フレーム111は、基台111A、アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dを有する。基台111Aは、端子圧着装置100の土台をなす部材である。基台111Aは、端子圧着装置100が載置される載置台に対して固定される。アンビル支持体111B、伝達部支持体111C、および支持台111Dは、基台111Aの上に固定される。
伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(図8の紙面右方)かつ上方(図8の紙面上方)に配置される。より具体的には、伝達部支持体111Cは、立設部111C1およびラム支持部111C2を有する。立設部111C1は、アンビル支持体111Bの後方に配置されており、基台111Aから上方に向けて立設されている。ラム支持部111C2は、立設部111C1の上部に保持されている。ラム支持部111C2は、後述するラム114Aを支持する支持部である。ラム支持部111C2は、アンビル支持体111Bの上方に、アンビル支持体111Bとの間に所定の間隔をあけて配置されている。支持台111Dは、圧着端子1の端子接続部11を支持する台である。支持台111Dの上面の高さ位置は、第一金型112の上面の高さ位置と略同様の位置である。
第一金型112と第二金型113とは対をなしている。第一金型112と第二金型113とは上下方向において間隔をあけて配置されている。第一金型112および第二金型113は、図10に示すように圧着端子1および電線50を間に挟み込むことで、圧着端子1を電線50に対して圧着させる。第一金型112は、圧着端子1を下方から支持する金型である。第一金型112は、二つの下型が形成されたものであり、第一の下型としての第一アンビル112Aおよび第二の下型としての第二アンビル112Bを有する。第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとは、例えば、一体に成形される。第二金型113は、第一金型112に対して上方に配置されている。第二金型113は、二つの上型が形成されたものであり、第一の上型としての第一クリンパ113Aおよび第二の上型としての第二クリンパ113Bを有する。
第一アンビル112Aと第一クリンパ113Aとは上下方向において互いに対向している。第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、芯線圧着部12Aを圧着させる。すなわち、第一アンビル112Aおよび第一クリンパ113Aは、その相互間の間隔を狭めていくことにより、U字状の芯線圧着部12Aを電線50の芯線51に対して巻き付け、芯線51に圧着させる。
第二アンビル112Bと第二クリンパ113Bとは上下方向において互いに対向している。第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、被覆圧着部12Bを圧着させる。すなわち、第二アンビル112Bおよび第二クリンパ113Bは、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に対して巻き付け、被覆52に圧着させる。
駆動装置103は、動力を動力伝達機構114に伝えることによって、圧着工程では第一金型112と第二金型113との間隔を狭め、電線接続部12を電線50に対して圧着させる。一方、駆動装置103は、圧着工程が完了すると第一金型112と第二金型113との間隔を広げる。本実施形態の圧着装置102では、第二金型113が第一金型112に対して上下動することにより、一対の金型112,113の間隔が変化する。
なお、第一金型112において、第一アンビル112Aと第二アンビル112Bとが別体とされ、第二金型113において第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとが別体とされてもよい。この場合、駆動装置103および動力伝達機構114は、第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bとを別々に上下動させるように構成されてもよい。
動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bに伝達する。図8に示すように、動力伝達機構114は、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cを有する。
ラム114Aは、ラム支持部111C2に対して上下動自在に支持された可動部材である。ラム114Aには、第二金型113が固定されている。このため、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C2に対して上下動する。ラム114Aの形状は、例えば、方体状である。ラム114Aには、雌ネジ部(図示略)が形成されている。その雌ネジ部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
ラムボルト114Bは、雄ネジ部(図示略)を有し、この雄ネジ部がラム114Aの雌ネジ部に螺合されている。このため、ラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C2に対して上下動する。また、ラムボルト114Bは、その雄ネジ部の上方に配置されたボルト頭部114B1を有する。ボルト頭部114B1には、雌ネジ部(図示略)が形成されている。ボルト頭部114B1の雌ネジ部は、ボルト頭部114B1の内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成されている。
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄ネジ部114C1と接続部(図示略)とを有する。シャンク114Cの雄ネジ部114C1は、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114B1の雌ネジ部に螺合されている。従って、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111C2に対して上下動する。シャンク114Cの接続部は、駆動装置103に接続される。
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。従って、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114A、ラムボルト114B、およびシャンク114Cと一体になってラム支持部111C2に対して上下動する。駆動装置103の駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
第一アンビル112Aに対する第一クリンパ113Aの上下方向における相対位置、および第二アンビル112Bに対する第二クリンパ113Bの上下方向における相対位置は、ボルト頭部114B1の雌ネジ部とシャンク114Cの雄ネジ部114C1のねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄ネジ部114C1に螺合されている。従って、ナット114Dは、ボルト頭部114B1の雌ネジ部と共に所謂ロックナットの機能を成す。ナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けられることによって、その相対位置に第一クリンパ113Aと第二クリンパ113Bを固定することができる。
図10に示すように、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bには、それぞれの上側の先端に、下方に向けて凹ませた凹状面112A1,112B1が形成されている。それぞれの凹状面112A1,112B1は、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて、断面形状が弧状となるように形成されている。この圧着機110においては、それぞれの凹状面112A1,112B1が圧着位置となる。底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、芯線圧着部12Aの底部14が第一アンビル112Aの凹状面112A1に載置され、被覆圧着部12Bの底部14が第二アンビル112Bの凹状面112B1に載置される。第一金型112は、凹状面112A1,112B1を上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bによって支持されている。
図10に示すように、第一クリンパ113Aおよび第二クリンパ113Bには、それぞれに、上方に向けて凹ませた凹状部113A1,113B1が形成されている。各凹状部113A1,113B1は、第一アンビル112Aおよび第二アンビル112Bのそれぞれの凹状面112A1,112B1に対して上下方向で対向させて配置されている。各凹状部113A1,113B1は、第一及び第二の壁面115,116と、第三壁面117と、を有する。第一壁面115と第二壁面116とは第二方向Wにおいて互いに対向している。第三壁面117は、第一及び第二の壁面115,116の上端を繋いでいる。各凹状部113A1,113B1は、第一から第三の壁面115,116,117を第一バレル片部15および第二バレル片部16に接触させつつ、第一バレル片部15および第二バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。各凹状部113A1,113B1は、このような加締め動作を行えるように形成されている。
圧着機110で圧着加工された圧着端子1は、端子切断機構120によって連結片31から切り離される。端子切断機構120は、圧着位置に供給された圧着端子1の繋ぎ部32を二つの端子切断部で挟み込んで切断するものであり、その切り離しを圧着工程の進行と連動して行う。図8に示すように、端子切断機構120は、第二アンビル112Bよりも前側(図8の紙面左側)に配置されている。端子切断機構120は、端子切断体121、押下部材122、および弾性部材123を備える。
端子切断体121は、方体状に成形され、第二アンビル112Bの前面に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。端子切断体121には、図11および図12に示すように、第二アンビル112Bとの摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、端子連鎖体30の連結片31の通路である。圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1と繋がる繋ぎ部32の一部がスリット121bから突出する。圧着位置に供給された圧着端子1は、第一金型112によって下方から支持されている。
端子切断体121は、第一金型112および圧着端子1に対して相対的に上下動しながら繋ぎ部32を切断する。ここでは、スリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。図13に示すように、繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口を介して、スリット121bから突出する。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。他方の端子切断部は、第二アンビル112Bの上面エッジ112aである。
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降していって端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形されている。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等からなる。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
この端子切断機構120においては、圧着加工時の第二金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第二アンビル112Bの上面エッジ112a(図13)との間に繋ぎ部32が挟み込まれる。この端子切断機構120においては、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが鋏の如き作用を為し、繋ぎ部32に対して剪断力を加える。端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112aとが繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を連結片31から切り離す。尚、切断性を高めるため、開口エッジ121cは、摺接面121a上で上面エッジ112aに対して傾斜させている。
図13に示すように、圧着対象となる電線50は、端子切断体121と押下部材122との間における所定の位置に配置される。電線50は、具体的に、端子切断体121の上面121dに載置される。このため、端子切断体121の上部と押下部材122の下部の内の少なくとも一方には、その間で電線50が押し潰されないように、電線50の逃げのための空間が設けられている。
ここで、所定の位置とは、圧着加工前の電線50の端部を平板状の電線接続部12の底部14の上方に存在させる位置である。また、所定の位置は、圧着加工の開始と共に押し下げられた芯線51の先端が芯線圧着部12Aからはみ出さないように、この芯線51を芯線圧着部12Aの底部14に載置させることが可能な位置のことである。芯線51が圧着加工に伴って軸線方向に伸び、芯線51の先端位置が軸線方向に沿って移動することがある。所定の位置は、その伸びも考慮に入れて決めることが望ましい。
一方、電線50は、その端部(先端の芯線51や被覆52)が第二金型113で電線接続部12の内壁面側に押し下げられる。このため、何ら保持されていないと、端子切断体121の上面121dから電線50が浮き上がり、先端の芯線51や被覆52が電線接続部12の底部14に載置されていない状態で圧着されてしまう虞がある。このため、本実施形態の端子圧着装置100には、端子切断体121の上部との間で電線50を所定の位置に保持し、圧着加工中における電線接続部12に対する電線50の端部の位置ズレを抑える電線保持機構が設けられている。
電線保持機構は、電線載置部としての端子切断体121の上面121dに載置された電線50を当該上面121dに向けて押さえ付けて保持する電線押さえ118を備える(図13)。電線押さえ118は、端子切断体121の上方で、かつ、第二金型113と押下部材122との間に配置される。端子切断体121の上面121dと電線押さえ118の下面との間には、電線50の被覆52を保持する空間(以下、「電線保持空間」という。)118Aが形成される。電線保持空間118Aは、圧着工程における端子切断体121の上面121dからの電線50の浮き上がりを抑え、電線接続部12に対する先端の芯線51や被覆52の位置ズレを抑制する。電線押さえ118は、端子切断体121の上面121dに対して上下動可能なものであり、下降していくことによって、端子切断体121の上部との間に電線保持空間118Aを形成する。電線押さえ118は、例えば、ラム114Aに固定され、このラム114Aと一体になって上下動する。電線50は、電線押さえ118の下降と共に形成された電線保持空間118Aに保持される。
以上のように構成された端子圧着装置100によって、芯線51に対する芯線圧着部12Aの圧着がなされる際は、芯線圧着部12Aが高い圧力で芯線51に対して押圧される。押圧力が掛かった芯線51や芯線圧着部12A、止水部材20は、第一方向Lに沿って伸びる。圧着工程において、押圧された芯線51が伸びて芯線圧着部12Aから外部にはみ出してしまったり、押圧された止水部材20が芯線圧着部12Aから外部に大きくはみ出してしまったりする可能性がある。その結果、圧着端子1においてシール性の低下や電気性能の低下が発生するおそれがある。また、止水部材20が芯線圧着部12Aからはみ出し過ぎると、止水部材20が第二金型113に付着してしまうことがある。その結果、シール性の低下を招いたり、第二金型113からの圧着端子1の取り出しがスムーズに行われなくなったりする可能性がある。
本実施形態の端子圧着装置100は、以下に説明するように、芯線圧着部12Aからの芯線51や止水部材20のはみ出しを抑制できる構成を有している。図15に示すように、本実施形態の第二金型113において、凹状部113A1は、拡径部113Cを有する。拡径部113Cは、凹状部113A1における第二クリンパ113B側とは反対側の端部に設けられている。つまり、拡径部113Cは、圧着対象の芯線51の先端側の端部に設けられる。
拡径部113Cでは、拡径部113Cよりも基端側の部分113Dと比較して凹状部113A1と第一金型112とによって囲まれる空間の断面積が大きい。なお、ここでいう「断面積」は、第一方向Lと直交する断面の断面積である。基端側の部分113Dは、凹状部113A1における拡径部113Cよりも第二クリンパ113B側の部分である。拡径部113Cでは、基端側の部分113Dと比較して、第三壁面117が上方に向けて広がっている。より具体的には、第一クリンパ113Aの第三壁面117は、第二クリンパ113Bから遠い側の端部に段部117Aを有する。段部117Aは、第一クリンパ113Aの第三壁面117における他の部分よりも、一段上方に位置している。第三壁面117の高さ位置は、段部117Aに向けて段状に変化している。図14に示すように、段部117Aは、第三壁面117の他の部分と同様に、平面視における形状が円弧形状となっている。
拡径部113Cでは、基端側の部分113Dよりも、凹状部113A1と第一金型112とで囲まれる空間の断面積が大きくなっている。なお、この断面積の大小関係は、第三方向Hにおける第二金型113の位置が同じ場合で比べた大小関係である。拡径部113Cは、例えば、第二金型113が少なくとも下死点にあるときに上記の大小関係が成立するように形成される。下死点は、第二金型113が上下動する範囲の下端位置である。第二金型113が下死点にある場合に、第三方向Hにおいて第一金型112と第二金型113とが最も接近する。
本実施形態の第二金型113によれば、芯線圧着部12Aを電線50の芯線51に対して圧着する際に、拡径部113Cによる押圧力が基端側の部分113Dによる押圧力よりも低くなる。また、拡径部113Cが芯線51を圧縮する圧縮率は、基端側の部分113Dが芯線51を圧縮する圧縮率よりも低くなる。これにより、芯線圧着部12Aからの芯線51のはみ出しや止水部材20のはみ出し過ぎが抑制される。本実施形態の拡径部113Cは、第一方向Lにおける第三止水部23に対応する範囲に設けられている。すなわち、凹状部113A1において、第三止水部23を圧縮する位置に拡径部113Cが設けられている。これにより、止水部材20の過剰なはみ出し、例えば第二金型113に付着してしまうほどのはみ出しが好適に抑制される。
本実施形態の拡径部113Cは、第三壁面117を上方に向けて拡大することにより構成されている。第一金型112の凹状面112A1から第三壁面117までの高さは、基端側の部分113Dでは低く、拡径部113Cでは相対的に高くなっている。一方、第一壁面115と第二壁面116との第二方向Wの間隔は、拡径部113Cと基端側の部分113Dとで等しい。つまり、拡径部113Cは、基端側の部分113Dと比較して、圧着後の芯線圧着部12Aおよび芯線51の扁平率を小さくするように形成されている。拡径部113Cによって圧着された芯線圧着部12Aの扁平率が小さいことで、芯線51や止水部材20が芯線圧着部12Aから外部にはみ出してしまいにくい。
図16には、本実施形態の第二金型113によって電線50に対して圧着された電線接続部12が示されている。図17には、圧着された電線接続部12の縦断面が示されている。図17には、第二方向Wと直交する断面であって、かつ電線50の中心線に沿った断面が示されている。予め止水部材20が貼り付けられている電線接続部12が電線50に対して圧着されることにより、端子付き電線2が製造される。止水部材20は、圧着工程において圧縮されることで互いに粘着し合い、芯線圧着部12Aの端部開口を閉塞する。また、止水部材20は、芯線51の先端部を覆い、芯線圧着部12Aの内部空間への水の浸入を規制する。なお、電線50と電線接続部12との間で圧縮された止水部材20の一部が端子接続部11側へ押し出された場合、この押し出された止水部材20は芯線51の先端部を覆い、芯線圧着部12Aの開口を閉塞することができる。
図16に示すように、本実施形態に係る圧着後の芯線圧着部12Aは、端子接続部11側の端部に拡径部12Dを有する。拡径部12Dの断面積(例えば、拡径部12Dの最外径によって囲まれる面積)は、芯線圧着部12Aにおける基端側の部分12Eの断面積(例えば、基端側の部分12Eの最外径によって囲まれる面積)よりも大きい。この断面積の差は、第二金型113の拡径部113Cの形状と基端側の部分113Dの形状との違いに応じたものである。拡径部12Dと基端側の部分12Eとの主な違いは、高さ寸法、すなわち第三方向Hの長さである。拡径部12Dの高さは、基端側の部分12Eの高さよりも高い。なお、拡径部12Dの幅と基端側の部分12Eの幅は同様である。
図20には、比較例に係る芯線圧着部の縦断面が示されている。比較例の芯線圧着部12Aを圧着する第二金型は、本実施形態の第二金型113とは異なり、拡径部113Cが設けられていない。比較例の芯線圧着部12Aでは、圧着後に止水部材20および芯線51が芯線圧着部12Aから外部に大きくはみ出してしまっている。これは、芯線圧着部12Aの先端部が他の部分と同様に大きく圧縮されたことによる。止水部材20が大きくはみ出してしまうことにより、止水性能が低下したり、止水部材20が第二金型113に付着してしまったりする。これに対して、本実施形態の第二金型113によって圧着された芯線圧着部12Aでは、図17に示すように止水部材20および芯線51が芯線圧着部12Aの外部に大きくはみ出してはいない。止水部材20は、芯線圧着部12Aからわずかにはみ出しているものの、第二金型113に付着するほどはみ出してはいない。止水部材20は、芯線51の先端を覆い、かつ芯線51と芯線圧着部12Aとの隙間をシールしている。よって、本実施形態の端子圧着装置100は、芯線圧着部12Aにおけるシール性の低下や電気性能の低下を抑制することができる。また、本実施形態の端子圧着装置100は、止水部材20が第二金型113に付着してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態の第二金型113によれば、以下に説明するように、芯線圧着部12Aにおける電気性能の向上を図ることができる。図21には、比較例の芯線圧着部12Aの端部が示されている。図21には、図20の芯線圧着部12Aの端部を第一方向Lから見た図が示されている。比較例の芯線圧着部12Aでは、第一バレル片部15の先端15aが第二バレル片部16の内側面や底部14に当接してしまっている。圧着の途中で第一バレル片部15の先端15aが内壁面に当接してしまうことで、第一バレル片部15の更なる変形が規制されやすい。その結果、第一バレル片部15と第二バレル片部16とが適切に重なり合いにくい。
一方、本実施形態に係る芯線圧着部12Aでは、図19に示すように、圧着が完了した時点で第一バレル片部15の先端15aが内壁面に当接していない。圧着完了後において、第一バレル片部15の先端15aが底部14から離間している。拡径部113Cは、第一バレル片部15の先端15aを底部14に当接させることなく芯線51に対して圧着させるように形成されている。第一バレル片部15が底部14に当接しないことで、圧着の途中で第一バレル片部15の変形が規制されにくい。第一バレル片部15および第二バレル片部16がそれぞれ内側に向けて倒れ込みながら重なり合っていく際に、バレル片部15,16の変形が阻害されにくいことで、十分なラップ量やラップ幅が確保される。よって、本実施形態に係る端子圧着装置100は、圧着後の芯線圧着部12Aの電気性能を向上させることができる。
図22から図28を参照して、実施形態の第2実施例について説明する。図22は、実施形態の第2実施例に係る第二金型の正面図、図23は、実施形態の第2実施例に係る第二金型の斜視図、図24は、実施形態の第2実施例に係る第二金型の断面図、図25は、実施形態の第2実施例に係る第一金型の斜視図、図26は、実施形態の第2実施例に係る端子付き電線の斜視図、図27は、実施形態の第2実施例に係る端子付き電線の断面図、図28は、実施形態の第2実施例に係る端子付き電線の他の断面図である。図24には、図22のXXIV−XXIV断面が示されている。図27には、図26のXXVII−XXVII断面が示されている。図28には、図26のXXVIII−XXVIII断面が示されている。
実施形態の第2実施例では、第二金型113の拡径部113Cが平面部117A1を有する。平面部117A1は、図22および図24に示すように、第三方向Hにおいて第一金型112と対向する平面である。平面部117A1は、例えば、第二方向Wと平行な面である。平面部117A1は、第一方向Lと平行であってもよい。第2実施例の平面部117A1は、第一方向Lおよび第二方向Wのそれぞれと平行な面である。従って、平面部117A1は、第二金型113の移動方向に対して直交する面である。
図22に示すように、平面部117A1は、第三壁面117の一部である。第三壁面117の段部117Aは、平面部117A1、第一湾曲部117A2、および第二湾曲部117A3を有する。第一湾曲部117A2は、平面部117A1と第一壁面115とをつないでいる。第二湾曲部117A3は、平面部117A1と第二壁面116とをつないでいる。第一湾曲部117A2および第二湾曲部117A3は、それぞれ凹状の湾曲面である。第一方向Lから見た場合の湾曲部117A2、117A3の湾曲形状は、例えば、円弧形状である。図23に示すように、平面部117A1、第一湾曲部117A2、および第二湾曲部117A3は、それぞれ第一方向Lに沿って基端側の部分113Dに向けて延在している。
図25に示すように、第2実施例の第一金型112は、突起112Cを有する。突起112Cは、第一アンビル112Aの凹状面112A1から突出している。突起112Cは、凹状面112A1における第二方向Wの中央部に設けられている。突起112Cは、第一方向Lに沿って延在している。第一方向Lにおける突起112Cの範囲は、電線50の芯線51が配置される範囲に対応している。突起112Cは、電線50の芯線51に対する圧縮率を高めることで、芯線51と芯線圧着部12Aとの凝着を促進する。
図24に示すように、第一方向Lにおいて、拡径部113Cは、突起112Cよりも前側に位置している。第二金型113の説明において、「前側」は、第二クリンパ113Bから見た第一クリンパ113A側を示し、「後側」は、第一クリンパ113Aから見た第二クリンパ113B側を示す。この前側および後側は、後述する圧着端子1の前側および後側と対応している。第一方向Lにおいて、拡径部113Cが延在する範囲R1は、突起112Cが延在する範囲R2から前側に所定の距離だけ離れている。この距離は、突起112Cによる凝着促進の効果が低下しないように定められている。第三壁面117において、拡径部113Cの後端部は、基端側の部分113Dとつながる傾斜部117A4となっている。
図26から図28には、第2実施例に係る第一金型112および第二金型113によって製造された端子付き電線2が示されている。電線接続部12において、芯線圧着部12Aは、拡径部12Dおよび基端側の部分12Eを有する。拡径部12Dは、第二金型113の拡径部113Cによって圧着された部分である。基端側の部分12Eは、第二金型113の基端側の部分113Dによって圧着された部分である。芯線圧着部12Aには、第一クリンパ113Aの凹状部113A1の形状が転写されている。言い換えると、端子付き電線2における芯線圧着部12Aの形状は、凹状部113A1の形状に応じた形状である。
図26から図28に示すように、拡径部12Dは、平坦部12Fを有する。平坦部12Fは、図27に示すように、第三方向Hにおいて底部14と対向している。平坦部12Fの外側面12F1は、第二方向Wと平行である。外側面12F1の形状は、第一金型112の平面部117A1の形状に対応している。図28に示すように、外側面12F1は、第一方向Lと平行である。つまり、第2実施例の端子付き電線2において、外側面12F1は、第三方向Hと直交する平面である。
図28に示すように、底部14には、凹部14aが形成されている。凹部14aは、第一金型112の突起112Cによって形成されたものである。凹部14aは、基端側の部分12Eに形成されている。凹部14aは、芯線51側に向けて凹んでいる。凹部14aは、第一方向Lに沿って延在する溝である。拡径部12Dは、第一方向Lにおいて凹部14aから離間している。拡径部12Dは、凹部14aの前端よりも前側に位置している。止水部材20は、芯線51の先端51aを覆い、かつ芯線圧着部12Aにおける連結部13側の開口を閉塞している。拡径部12Dは、止水部材20を収容する。
第二金型113において、拡径部113Cに平面部117A1が設けられていることで、以下に説明するように、圧着工程における電線接続部12の伸びが抑制される。平面部117A1が設けられることで、拡径部113Cの断面積を大きくすることが可能である。つまり、圧着時において、第一金型112と拡径部113Cとで囲まれる領域の断面積を大きくすることができる。図22に示すように、段部117Aの形状は、実質的に矩形となっている。段部117Aの形状に対応して、芯線圧着部12Aの拡径部12Dの断面形状は、図27に示すように、実質的に矩形の形状である。
より詳しくは、拡径部12Dは、側壁部12D2および湾曲形状の角部12D1を有する。一対の側壁部12D2,12D2は、底部14から平坦部12Fに向けて第三方向Hに延在している。角部12D1は、平坦部12Fと側壁部12D2とを繋いでいる。一対の側壁部12D2,12D2は、第二方向Wにおいて互いに対向しており、実質的に平行である。つまり、拡径部12Dは、第三方向Hの下端から上端まで略第二方向Wの寸法が一定である。従って、同じ端子高さH1に対して拡径部12Dの断面積が最大化される。なお、端子高さH1は、圧着後の圧着端子1における第三方向Hの寸法、すなわちクリンプ高さである。
圧着工程において、拡径部12Dの角部12D1に体積が吸収される。角部12D1に体積が吸収されることで、前側に向けての電線接続部12の伸び量が低減される。その結果、圧着端子1の長さ寸法のバラツキが抑制される。また、拡径部12Dの断面積を最大化しつつ端子高さH1が抑えられることで、拡径部12Dと基端側の部分12Eとの間に生じる段差が最小化される。従って、拡径部12Dの後端部に形成される傾斜部12J(図28参照)の傾斜角度が緩やかとなり、止水性能の低下が発生しにくくなる。
拡径部12Dの断面積が大きいことで、圧着工程において、第一方向Lへ向けての電線接続部12や芯線51の伸び量が低減される。芯線51の伸び量が低減されることで、止水部材20による止水性能の低下が抑制される。また、電線接続部12の伸び量が小さくなることで、圧着工程における電線接続部12の伸び量のバラツキが小さくなる。その結果、端子付き電線2において、固着性や抵抗値などの性能が安定する。また、芯線51の伸び量が低減されることで、芯線51の強度低下が生じにくい。
また、電線接続部12の伸び量が低減されることで、圧着後の圧着端子1の小型化が可能となる。例えば、コネクタの小型化が要求される場合、圧着端子1を収容する端子収容部の奥行き寸法が短くされることがある。その結果、圧着後の圧着端子1に対して長さ寸法の短縮が求められることが考えられる。第2実施例の端子付き電線の製造方法は、拡径部113Cが平面部117A1を有している第二金型113によって電線接続部12を電線50に対して圧着させる。これにより、圧着端子1の長さ寸法の短縮を図ることができる。
また、第2実施例の第二金型113では、拡径部113Cは、第一方向Lにおいて突起112Cから離間して配置されている。よって、拡径部113Cは、突起112Cによる凝着促進の効果に影響を与えにくい。従って、第2実施例の第二金型113は、端子付き電線2における電気的な性能の確保と圧着端子1の長さ寸法の安定化とを両立させることができる。
更に、第2実施例の第二金型113は、図24に示すように、繋ぎ部117Bおよび傾斜部117Cを有する。繋ぎ部117Bおよび傾斜部117Cは、第二クリンパ113Bの凹状部113B1に設けられている。繋ぎ部117Bおよび傾斜部117Cは、第三壁面117の一部である。繋ぎ部117Bは、傾斜部117Cよりも第一方向Lの前側に位置している。繋ぎ部117Bは、第三壁面117の連結部117Dと傾斜部117Cとを繋いでいる。連結部117Dは、電線接続部12の連結圧着部12Cを圧着する部分である。連結部117Dは、第一方向Lに沿って第一クリンパ113A側から第二クリンパ113B側へ向かうに従って第一金型112から遠ざかるように傾斜している。
傾斜部117Cは、第一方向Lに沿って第一クリンパ113Aから離れるに従って第一金型112に近づくように傾斜している。つまり、傾斜部117Cと第一金型112の凹状面112B1との第三方向Hの間隔H2は、第一方向Lに沿って第一クリンパ113Aから遠ざかるに従って小さくなる。第三方向Hの間隔H2は、例えば、第一方向Lに沿って一定の割合で変化する。第2実施例において、傾斜部117Cは、凹状部113B1の後端まで延在している。言い換えると、第三壁面117において、繋ぎ部117Bよりも後側の部分は全て傾斜部117Cである。なお、第2実施例の第二金型113において、繋ぎ部117Bの湾曲形状と傾斜部117Cの湾曲形状とは共通である。
傾斜部117Cが設けられていることで、被覆圧着部12Bに対する圧縮率は、第一方向Lに沿って第一クリンパ113Aから遠ざかるに従って高くなる。つまり、傾斜部117Cは、後側へ向かうに従って、高い押圧力で被覆圧着部12Bを圧縮する。
図26および図28に示すように、端子付き電線2の被覆圧着部12Bは、テーパ部12Gおよび繋ぎ部12Hを有する。テーパ部12Gは、第二金型113の傾斜部117Cによって圧着された部分である。繋ぎ部12Hは、第二金型113の繋ぎ部117Bによって圧着された部分である。
繋ぎ部12Hは、連結圧着部12Cとつながっている。テーパ部12Gは、繋ぎ部12Hよりも第一方向Lの後側に位置している。圧着端子1の説明において、「前側」は、被覆圧着部12Bから見た芯線圧着部12A側であり、「後側」は、芯線圧着部12Aから見た被覆圧着部12B側である。テーパ部12Gでは、前側から後側へ向かうに従って端子高さH3が低くなる。端子高さH3は、底部14の外側面から被覆圧着部12Bの外側面までの第三方向Hの距離である。一方、繋ぎ部12Hでは、第一方向Lに沿って端子高さH3は変動しない。繋ぎ部12Hにおいては、第一方向Lの位置にかかわらず、端子高さH3は実質的に一定である。従って、図28の断面図において、繋ぎ部12Hは、底部14と平行である。
図28のような第二方向Wと直交する断面において、テーパ部12Gの端子高さH3は、前側から後側へ向けて徐々に減少している。端子高さH3は、例えば、第一方向Lに沿って一定の割合で変化する。被覆圧着部12Bにテーパ部12Gが形成されていることで、被覆圧着部12Bにおける圧着強度が増加する。言い換えると、被覆圧着部12Bにおいて、後側へ向かうに従って端子高さH3が低くなることで、被覆圧着部12Bが電線50を保持する保持力が高くなる。
傾斜部117Cを有する第二金型113によって被覆圧着部12Bが圧着されることで、被覆圧着部12Bの伸びが抑制される。圧着工程において、第二金型113は、被覆圧着部12Bにおける後側の部分に対して、前側の部分に対する押圧力よりも大きな押圧力を加える。これにより、被覆圧着部12Bの伸びが抑制される。また、図24に示すように、傾斜部117Cと凹状面112B1との間隔H2は、第一方向Lに沿って後側へ向かうに従って狭くなる。言い換えると、傾斜部117Cと凹状面112B1とで囲まれる空間の断面積は、第一方向Lに沿って後側へ向かうに従って狭くなる。よって、圧着工程において被覆圧着部12Bが後側へ向けて伸びようとしても、その伸びが抑制される。
また、傾斜部117Cの傾斜方向は、後側へ向かう被覆圧着部12Bの伸びを抑制する方向である。傾斜部117Cは、後側へ向けて伸びようとする被覆圧着部12Bに対して、前側へ向かう反力を作用させる。つまり、傾斜部117Cは、摩擦力によって被覆圧着部12Bの伸びを抑制するだけでなく、前側へ向かう反力によって被覆圧着部12Bの伸びを抑制する。このように、第2実施例の第二金型113は、第一方向Lの後側へ向かう被覆圧着部12Bの伸びを抑制することができる。
また、上記のように第2実施例の第二金型113によって圧着された被覆圧着部12Bはテーパ部12Gを有する。被覆圧着部12Bにテーパ部12Gが形成された圧着端子1は、圧着工程において被覆圧着部12Bの伸びが抑制されたことを示している。つまり、第2実施例の第二金型113、当該第二金型113による端子付き電線の製造方法、および端子付き電線2は、被覆圧着部12Bの伸びが抑制されるという共通の効果を有する。
また、繋ぎ部12Hを有する端子付き電線2は、止水性能の低下が生じにくい。繋ぎ部12Hが設けられておらず、連結圧着部12Cとテーパ部12Gとが直接つながっている端子付き電線を比較例とする。比較例の端子付き電線では、連結圧着部12Cとテーパ部12Gとの繋ぎ部でバレル片部15,16が急角度で折れ曲がる。その結果、第一バレル片部15と第二バレル片部16との間に隙間が生じて止水性能の低下を招きやすくなる。これに対して、第2実施例の被覆圧着部12Bは、繋ぎ部12Hを有していることで、バレル片部15,16の折れ角が小さな角度となる。その結果、第2実施例の端子付き電線2では、止水性能の低下が抑制される。
以上説明したように、本実施形態に係る端子付き電線2は、電線50と、電線50の芯線51および被覆52に対して巻き付けられて圧着された電線接続部12を有する圧着端子1と、を有する。電線接続部12における芯線51の先端側の端部には、拡径部12Dがある。拡径部12Dは、芯線51の先端部を覆い、かつ芯線51と電線接続部12との隙間をシールする止水部材20が収容される。拡径部12Dの断面積は、拡径部12Dよりも芯線51の基端側の部分12Eの断面積よりも大きい。本実施形態の端子圧着装置100によって圧着された圧着端子1は、拡径部12Dが形成されることで、電線接続部12の伸び量が小さくなる結果、圧着端子1の長さのバラツキが抑制される。その結果、本実施形態に係る端子付き電線2は、性能の低下を抑制できるという効果を奏する。
また、本実施形態の電線接続部12において、芯線51に対して圧着された部分の底部14は、芯線51側に凹んだ凹部14aを有する。拡径部12Dは、電線50の軸方向において凹部14aから離間している。凹部14aは、第一金型112の突起112Cによって形成されたものである。凹部14aが形成されることで、芯線51と芯線圧着部12Aとの凝着が促進される。更に、拡径部12Dが凹部14aから離間した部分に形成されることで、凹部14aによる凝着促進の効果が低下しにくい。
また、本実施形態の端子付き電線2において、拡径部12Dは、圧着端子1の高さ方向において底部14と対向し、かつ外側面12F1が底部14の幅方向と平行である平坦部12Fを有する。平坦部12Fを有する拡径部12Dは、平坦部12Fを有していない場合と比較して断面積が大きくなる。よって、本実施形態の拡径部12Dは、電線接続部12の伸び量を低減し、圧着端子1の長さのバラツキを抑制することができる。
また、拡径部12Dは、底部14から平坦部12Fに向けて高さ方向に延在する側壁部12D2と、平坦部12Fと側壁部12D2とをつなぐ湾曲形状の角部12D1とを有する。このような拡径部12Dは、断面形状が略矩形となる。従って、端子幅および端子高さの増加を抑制しつつ拡径部12Dの断面積を最大化することが可能である。
また、本実施形態の端子付き電線の製造方法は、圧着工程を含む。圧着工程は、第一金型112と、凹状部113A1,113B1を有する第二金型113との間に圧着端子1の電線接続部12および電線50を挟み込んで電線50の芯線51および被覆52に対して電線接続部12を巻き付けて圧着させる工程である。
本実施形態の端子付き電線の製造方法では、圧着工程において、拡径部113Cを有する第二金型113によって電線接続部12が電線50に対して圧着される。拡径部113Cは、凹状部113A1における芯線51の先端51a側に位置している。拡径部113Cは、第一金型112と対向する平面部117A1を有する。平面部117A1を有する第二金型113によって電線接続部12に対する圧着がなされることで、電線接続部12には平坦部12Fを有する拡径部12Dが形成される。その結果、拡径部12Dの断面積が大きくなり、圧着端子1の長さのバラツキが抑制される。
本実施形態の端子圧着装置100は、第一金型112と、第二金型113とを有する。第一金型112は、凹状面112A1,112B1によって圧着端子1の電線接続部12を支持する下型である。第二金型113は、凹状部113A1,113A2を有する。凹状部113A1,113A2は、第一金型112との間に電線接続部12および電線50を挟み込んで電線50の芯線51および被覆52に対して電線接続部12を巻き付けて圧着させる上型である。
凹状部113A1における芯線51の先端側の端部には拡径部113Cが設けられている。拡径部113Cでは、拡径部113Cよりも芯線51の基端側の部分113Dと比較して、凹状部113A1と第一金型112とによって囲まれる空間の断面積が大きい。従って、本実施形態の端子圧着装置100は、芯線圧着部12Aを芯線51に対して圧着させる際に、芯線51の先端側の端部における圧縮の度合いを他の部分における圧縮の度合いよりも低くする。
よって、本実施形態の端子圧着装置100は、芯線圧着部12Aからの芯線51のはみ出しや止水部材20のはみ出し過ぎを抑制することができる。拡径部113Cにおける圧縮の度合いが低いことで、圧着完了後に芯線51と芯線圧着部12Aとの間に十分な量の止水部材20を介在させることができる。また、拡径部113Cにおいて断面積が大きくされていることで、電線50に対して巻き付けられる際の第一バレル片部15と第二バレル片部16との干渉が抑制される。また、拡径部113Cが設けられていることで、電線接続部12の伸び量が低減される。その結果、圧着端子1の長さのバラツキが抑制される。
また、拡径部113Cでは、芯線51の基端側の部分113Dと比較して、凹状部113A1が第一金型112とは反対側に向けて凹んでいる。第三壁面117には、第一金型112とは反対側に向けて凹んだ段部117Aが設けられている。段部117Aは、圧着時における逃がし構造となっており、圧縮された芯線圧着部12Aや芯線51の逃げを許容する。凹状部113A1が第一金型112とは反対側に向けて凹んでいることで、芯線圧着部12Aからの芯線51のはみ出しや止水部材20のはみ出し過ぎを適切に抑制することができる。また、凹状部113A1が第一金型112とは反対側に向けて凹んでいることで、圧着端子1の長さのバラツキが抑制される。
なお、電線50の芯線51の材料はアルミニウムには限定されない。芯線51は、例えば、銅や銅合金であってもよく、その他の導電性を有する金属等であってもよい。圧着端子1の材料は、銅や銅合金には限定されず、その他の導電性を有する金属等であってもよい。
第2実施例のテーパ部12Gの位置および形状は、例示した位置および形状には限定されない。例えば、テーパ部12Gよりも後側に端子高さH3が変動しない部分が設けられてもよい。図28に示す断面において、テーパ部12Gの形状は、直線状でなくてもよい。例えば、テーパ部12Gの断面形状は、底部14側に向けて湾曲した形状や、底部14側とは反対側に向けて湾曲した形状であってもよい。また、テーパ部12Gは、第一方向Lの途中で屈曲していてもよい。例えば、テーパ部12Gの断面形状は、V字形状であってもよい。
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。図29は、実施形態の第1変形例に係る第二金型の正面図、図30は、実施形態の第1変形例に係る第二金型の断面図、図31は、圧着時の動作について説明する図である。図30には、図29のXXX−XXX断面が示されている。第1変形例の第二金型113において、上記実施形態の第二金型113と異なる点は、第一壁面115および第二壁面116の前端の形状が湾曲形状とされている点である。第1変形例に係る第二金型113は、連結部13の削れが発生することを抑制する。
図29および図30に示すように、第一壁面115および第二壁面116の前端には、それぞれ湾曲部115a,116aが設けられている。湾曲部115a,116aは、第二金型113の前面113Fにつながっている。前面113Fは、第二金型113における第一クリンパ113A側の端面である。湾曲部115a,116aの一端115b,116bにおける接線方向は、第一方向Lである。湾曲部115a,115bの他端115c,116cにおける接線方向は、第二方向Wである。つまり、湾曲部115a,115bは、両端にエッジが生じないように形成されている。
図31に示すように、圧着工程において、第一壁面115は第一バレル片部15を第二バレル片部16側に向けて押圧し、第二壁面116は第二バレル片部16を第一バレル片部15側に向けて押圧する。ここで、第1変形例の第一壁面115および第二壁面116は、それぞれ湾曲部115a,116aを有する。湾曲部115a,116aは、連結部13の側壁13aに接触したとしても側壁13aを傷つけにくい。よって、第1変形例の第二金型113は、連結部13の強度の低下を抑制することができる。
第二金型113に湾曲部115a,116aが設けられていない場合、端子接続部11の幅Wd1が大きいほど、第二金型113の前端が側壁13aにダメージを与えやすくなる。また、連結部13の長さL1が短縮されるほど、第二金型113の前端が側壁13aにダメージを与えやすくなる。これに対して、第1変形例の第二金型113は、湾曲部115a,116aを有している。第1変形例の第二金型113は、側壁13aに対するダメージを抑えつつ幅Wd1を大きくすることや、側壁13aに対するダメージを抑えつつ連結部13の長さL1を短縮することを可能とする。
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。圧着後の電線接続部12から止水部材20がはみ出していなくてもよい。止水部材20は、芯線51の先端を覆い、かつ芯線51と電線接続部12との間を適切にシールしていれば、電線接続部12からはみ出していなくてもよい。
拡径部113Cの形状は、例示したものには限定されない。例えば、拡径部113Cは、芯線51の先端側へ向かうに従って、凹状部113A1と第一金型112とによって囲まれる空間の断面積が徐々に大きくなるように形成されてもよい。これとは逆に、拡径部113Cは、芯線51の先端側へ向かうに従って、凹状部113A1と第一金型112とによって囲まれる空間の断面積が徐々に小さくなるように形成されてもよい。
また、拡径部113Cにおいて、第三壁面117には、複数段の段部117Aが設けられてもよい。この場合、凹状部113A1と第一金型112とによって囲まれる空間の断面積が第一方向Lに沿って段階的に増加していくことが望ましい。正面視における段部117Aの形状は、円弧形状には限定されない。段部117Aの形状は、例えば多角形状であってもよい。
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。