JP2019021376A - 端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法 - Google Patents

端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法 Download PDF

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栄輝 齋藤
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Abstract

【課題】芯線に対する凝着量のばらつきを抑制すること。【解決手段】圧着端子1の電線接続部12は、電線50の端部の芯線51に圧着された芯線圧着部12Aを有し、芯線圧着部12Aにおける底部14は、外壁面側の被支持面14bの一部を内壁面側に凹ませた凹部18Aと、凹部18Aの凹みによって内壁面から電線50の端部の芯線51に向けて突出させた凸部18Bと、を有し、凹部18Aは、第1芯線圧着部12A1側で凹ませた第1凹部18A1と、第2芯線圧着部12A2側で第1凹部18A1よりも更に凹ませた第2凹部18A2と、を有し、凸部18Bは、第1芯線圧着部12A1側で第1凹部18A1の凹みによって突出させた第1凸部18B1と、第2芯線圧着部12A2側で第2凹部18A2の凹みによって第1凸部18B1よりも更に突出させた第2凸部18B2と、を有すること。【選択図】図10

Description

本発明は、端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法に関する。
従来、電線と電気的に接続される電線接続部を備えた圧着端子が知られている。その電線接続部は、底部と底部の両端の2つのバレル片部とに区画されており、互いに近づく第1金型と第2金型とによって挟み込まれつつ2つのバレル片部で電線を巻き込みながら、その電線に圧着されていく。その圧着に際して、電線接続部は、底部が第1金型の支持面に支持され、かつ、2つのバレル片部が第2金型の加圧面で加圧されながら、電線に加締められる。圧着端子と電線は、その圧着加工を終えることで端子付き電線となる。端子付き電線においては、その電線接続部の端部から電線が引き出されている。この種の端子付き電線については、例えば、下記の特許文献1から5に開示されている。
特開2015−179635号公報 特開2010−15915号公報 特開2009−301839号公報 特開平8−222343号公報 特開2016−105425号公報
ところで、電線接続部は、電線の端部の剥き出しの芯線に圧着される芯線圧着部と、電線の端部の被覆に圧着される被覆圧着部と、を有している。この電線接続部においては、被覆の有無に伴う電線径の相違によって、被覆圧着部よりも芯線圧着部の方で一対のバレル片部が大きく押し潰される。よって、芯線圧着部においては、そのように大きく押し潰される芯線の先端側よりも被覆圧着部側で、被覆圧着部側に向かうに連れて底部と一対のバレル片部との間隔が拡がっていく。従って、芯線圧着部においては、芯線の先端側と被覆圧着部寄りとを比較すると、芯線の先端側に対して被覆圧着部寄りの方で圧着力が低いので、芯線の先端側よりも被覆圧着部寄りの方で芯線に対する凝着量が少なくなっている可能性がある。
そこで、本発明は、芯線に対する凝着量のばらつきを抑え得る端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、本発明に係る端子付き電線は、端部にて芯線が剥き出しとなった電線と、前記電線の前記端部に圧着させることで前記芯線に対して物理的且つ電気的に接続された圧着端子と、を備え、前記圧着端子は、前記電線の前記端部が載置された内壁面側の載置面及び外壁面側の被支持面を有する底部、並びに、前記底部の幅方向における両端から延出させ、前記電線の前記端部に巻き付けられた一対のバレル片部を有する電線接続部を備え、前記電線接続部は、前記底部及び前記一対のバレル片部が前記電線の前記端部の前記芯線に圧着された芯線圧着部と、前記底部及び前記一対のバレル片部が前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部と、を有し、前記電線接続部は、前記芯線圧着部における前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔よりも、前記被覆圧着部における前記被覆の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げた状態で、前記電線の前記端部に圧着された部位であり、前記芯線圧着部における前記底部は、前記被支持面の一部を前記内壁面側に凹ませた凹部と、前記凹部の凹みによって前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部と、を有し、前記芯線圧着部は、前記芯線の先端側に圧着された第1芯線圧着部と、前記第1芯線圧着部と前記被覆圧着部との間で、前記第1芯線圧着部側から前記被覆圧着部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部との間隔を拡げながら前記一対のバレル片部が前記芯線に巻き付けられた第2芯線圧着部と、を有し、前記凹部は、前記第1芯線圧着部側で凹ませた第1凹部と、前記第2芯線圧着部側で前記第1凹部よりも更に凹ませた第2凹部と、を有し、前記凸部は、前記第1芯線圧着部側で前記第1凹部の凹みによって突出させた第1凸部と、前記第2芯線圧着部側で前記第2凹部の凹みによって前記第1凸部よりも更に突出させた第2凸部と、を有することを特徴としている。
ここで、前記凹部及び前記凸部は、前記電線の前記圧着端子からの引き出し方向に沿って延在させることが望ましい。
また、上記目的を達成する為、本発明に係る端子圧着装置は、底部及び一対のバレル片部を有する圧着端子の前記底部の外壁面側の被支持面を支持する第1金型と、前記底部及び前記一対のバレル片部で囲まれた空間部に電線の端部を入り込ませた状態で前記第1金型との間隔を縮めていきながら前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を巻き付けることで、前記電線の前記端部の剥き出しとなった芯線に圧着された芯線圧着部及び前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部を形成する第2金型と、を備え、前記第1金型は、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を支持する第1支持面と、前記被覆圧着部の前記底部の前記被支持面を支持する第2支持面と、前記第1支持面から前記第2金型に向けて突出させた凸状押圧部と、を備え、前記凸状押圧部は、前記芯線圧着部の前記底部における前記被支持面の一部が前記底部の内壁面側に凹まされた凹部に挿入し、前記第2金型との間隔を縮めながら前記凹部の壁面を押圧変形させることで、前記芯線圧着部の前記底部に、前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部を形成し、前記第2金型は、前記第1支持面に対向配置され、かつ、前記電線の前記端部の前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させる芯線加圧部と、前記第2支持面に対向配置され、かつ、前記電線の前記端部の前記被覆に前記一対のバレル片部を圧着させる被覆加圧部と、を有し、前記芯線加圧部と前記被覆加圧部は、前記第1金型と前記第2金型との間の相対移動方向における前記芯線加圧部と前記第1支持面との間隔が、前記相対移動方向における前記被覆加圧部と前記第2支持面との間隔よりも狭まるように配置し、前記芯線加圧部は、前記芯線の先端側に前記一対のバレル片部を圧着させる第1芯線加圧部と、前記第1芯線加圧部と前記被覆加圧部との間で、前記第1芯線加圧部側から前記被覆加圧部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げながら前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させる第2芯線加圧部と、を有し、前記凸状押圧部は、前記第1芯線加圧部に対向配置された位置で突出させた第1押圧部と、前記第2芯線加圧部に対向配置された位置で前記第1押圧部よりも更に突出させた第2押圧部と、を有することを特徴としている。
また、上記目的を達成する為、本発明に係る端子付き電線の製造方法は、底部及び一対のバレル片部を有する圧着端子の前記底部の外壁面側の被支持面を第1金型で支持する端子支持工程と、前記底部及び前記一対のバレル片部で囲まれた空間部に電線の端部を入り込ませた状態で前記第1金型と第2金型との間隔を縮めていきながら前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を巻き付けることで、前記電線の前記端部の剥き出しとなった芯線に圧着された芯線圧着部及び前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部を形成する圧着工程と、を有し、前記端子支持工程では、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1金型の第1支持面で支持すると共に、前記被覆圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1金型の第2支持面で支持し、かつ、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1支持面で支持する際に、前記芯線圧着部の前記底部における前記被支持面の一部が前記底部の内壁面側に凹まされた凹部に対して、前記第1支持面から前記第2金型に向けて突出させた凸状押圧部を挿入し、前記圧着工程では、前記第1支持面に対向配置された前記第2金型の第1芯線加圧部で前記電線の前記端部の前記芯線の先端側に前記一対のバレル片部を圧着させ、かつ、前記第2支持面に対向配置された前記第2金型の被覆加圧部で前記電線の前記端部の前記被覆に前記一対のバレル片部を圧着させ、かつ、前記第1芯線加圧部と前記被覆加圧部との間にて前記第1支持面に対向配置された前記第2金型の第2芯線加圧部で、前記第1芯線加圧部側から前記被覆加圧部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げながら前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させ、前記圧着工程では、前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を圧着しながら前記凸状押圧部で前記凹部の壁面を押圧変形させることによって、前記芯線圧着部の前記底部に、前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部を形成し、前記圧着工程では、前記凹部及び前記凸部を形成する際に、前記第1芯線加圧部に対向配置された前記凸状押圧部の第1押圧部で前記凹部の壁面を押圧することで、前記凹部の第1凹部を形成すると共に前記第1凹部の凹みによって突出させた前記凸部の第1凸部を形成し、かつ、前記第2芯線加圧部に対向配置された前記凸状押圧部の第2押圧部で前記凹部の壁面を押圧することで、前記第1凹部よりも更に凹ませた前記凹部の第2凹部を形成すると共に前記第2凹部の凹みによって前記第1凸部よりも更に突出させた前記凸部の第2凸部を形成することを特徴としている。
本発明に係る端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法は、凸状押圧部の第1押圧部と第2押圧部との間に上記の如き段差を設けているので、圧着完了後に、第1凸部及び一対のバレル片部の間隔と第2凸部及び一対のバレル片部の間隔との差を縮めることができる。従って、本発明に係る端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法は、凸部と一対のバレル片部との間での圧着力のばらつきを抑えることができるので、芯線圧着部の芯線に対する凝着量のばらつきを抑えることができる。よって、この端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子の電線に対する圧着力を確保して、圧着端子と電線の電気的な接続状態を所望のものに保つことができる。
図1は、実施形態の圧着完了前の端子付き電線を示す斜視図である。 図2は、実施形態の圧着端子を示す側面図であり、電線接続部がU字状に形成された状態を表している。 図3は、実施形態の圧着完了後の端子付き電線を示す斜視図である。 図4は、実施形態の圧着完了後の端子付き電線を別角度から見た斜視図である。 図5は、実施形態の圧着完了後の端子付き電線を示す側面図である。 図6は、実施形態の圧着完了後の端子付き電線を示す底面図である。 図7は、電線接続部がU字状に形成される前の圧着端子を示す斜視図である。 図8は、電線接続部がU字状に形成される前の圧着端子を示す上面図である。 図9は、電線接続部がU字状に形成される前の圧着端子の別形態を示す上面図である。 図10は、図3のX−X線で切った電線接続部の断面図である。 図11は、端子連鎖体について説明する図である。 図12は、実施形態の端子圧着装置について説明する図である。 図13は、第1及び第2の金型について説明する斜視図である。 図14は、凸状押圧部について説明する斜視図である。 図15は、図14のY−Y線断面図である。 図16は、図10のA部拡大図である。 図17は、圧着工程の一部を説明する図である。 図18は、従来の圧着端子の圧着完了後の状態を示す図である。 図19は、凸状押圧部の変形形態について説明する斜視図である。 図20は、図19のY−Y線断面図である。 図21は、図16に相当する断面図であって、凹部及び凸部の変形形態について説明する図である。
以下に、本発明に係る端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る端子付き電線、端子圧着装置及び端子付き電線の製造方法の実施形態の1つを図1から図21に基づいて説明する。
図1から図8の符号1は、本実施形態の圧着端子を示す。この圧着端子1は、電線50(図1及び図3から図6)に対して電気的に接続され、この電線50と一体になった状態のままで相手方端子(図示略)に対して電気的に接続されるものである。ここで、電線50は、その端部にて芯線51が剥き出しになっている(図1)。この電線50は、その端部において、芯線51を所定の長さ露出させるべく、例えば、その長さ分だけ被覆52を剥いて取り除いている。芯線51は、複数本の素線の集合体であってもよく、同軸ケーブルの如き単線であってもよい。圧着端子1は、電線50の端部に圧着させることで、露出している芯線51との間で物理的且つ電気的に接続される。この圧着端子1と電線50の端部との接続は、後述する第1金型112の支持部(第1支持面112A1、第2支持面112B1)と第2金型113の加圧部(芯線加圧部113A1、被覆加圧部113B1)との間での圧着加工によって為される。以下においては、図3から図6に示す圧着端子1と電線50の連結体を「端子付き電線50A」と称する。
この圧着端子1は、少なくとも端子金具10を備える(図1から図8)。本実施形態では端子金具10のみで構成されたものを例に挙げて説明するが、圧着端子1は、例えば、図9に示すように、止水部材20を備えていてもよい。その止水部材20とは、圧着加工の完了後(以下、「圧着完了後」という。)に芯線51に対して水等の液体を接触させないようにするための止水用の部材である。この止水部材20は、端子金具10に貼付され、圧着端子1の電線50への圧着加工と共に変形することで、剥き出しの芯線51の周囲を覆う。また、この止水部材20は、その変形によって、後述するオーバラップ領域での第1バレル片部15と第2バレル片部16との間にも介在する。
端子金具10は、圧着端子1における主体部分である。この端子金具10は、金属等の導電性材料で成形する。ここでは、導電性の金属の板材(例えば銅板)を母材とし、この母材をプレス成形することによって、相手方端子や電線50との接続が可能な所定の形状へと形成する。この端子金具10は、図1から図9に示すように、相手方端子に対して電気的に接続される端子接続部11と、電線50の端部に対して電気的に接続される電線接続部12と、を有する。端子接続部11と電線接続部12は、これらの間に介在させた連結部13によって連結されている。
端子金具10は、雄端子であってもよく、雌端子であってもよい。端子接続部11は、端子金具10が雄端子の場合、雄型に形成され、端子金具10が雌端子の場合、雌型に形成される。本実施形態では、雌端子を例として挙げている。
ここで、この圧着端子1においては、相手方端子との間の挿抜方向(接続方向や離脱方向)を長手方向とし、これを第1方向Lと定義する。また、この圧着端子1においては、その第1方向Lに対する直交方向の内、プレス成形前の母材の平面に沿う方向を幅方向とし、これを第2方向Wと定義する。その第2方向Wは、この圧着端子1の後述する並列配置方向でもある。また、この圧着端子1においては、その第1方向Lと第2方向Wとに各々直交する方向を高さ方向とし、これを第3方向Hと定義する。
電線接続部12は、先ずは1枚の板状に形成されており(図7及び図8)、電線50との接続直前の状態としてのU字状に形成される(図1)。このU字状に形成された電線接続部12は、電線50の端部が内壁面側に載せ置かれた状態で当該電線50に巻き付けることによって、この電線50の端部に圧着され、剥き出しの芯線51に接触する。電線接続部12は、このような内壁面側に載置された電線50の端部に対する圧着加工に伴って、その電線50の端部の芯線51に対して電気的に接続される。この電線接続部12は、後述するように底部14と一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)とを有しており、その底部14に載置された電線50の端部に対して一対のバレル片部が巻き付けられている。一対のバレル片部は、各々が互いに電線50の端部に対して重ねて巻き付けられる。
この電線接続部12は、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとを有する(図2から図9)。この電線接続部12では、第1方向Lにおいて、芯線圧着部12Aの領域と被覆圧着部12Bの領域とに区画することができる。芯線圧着部12Aとは、圧着対象の電線50の端部の中の剥き出しの芯線51に圧着された部位のことである。その芯線51には、後述する底部14と一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)における芯線圧着部12Aに対応させた部分が圧着される。この芯線圧着部12Aは、連結部13に連接している。被覆圧着部12Bとは、圧着対象の電線50の端部の中の被覆52に圧着された部位のことである。その被覆52には、底部14と一対のバレル片部における被覆圧着部12Bに対応させた部分が圧着される。
更に、この電線接続部12は、底部14と一対のバレル片部(第1バレル片部15の領域と第2バレル片部16)とを有する(図1及び図8から図9)。この電線接続部12では、第2方向Wにおいて、底部14の領域と第1バレル片部15の領域と第2バレル片部16の領域とに区画することができる。この電線接続部12は、圧着加工に際して、底部14及び一対のバレル片部で囲まれたU字状の内方の空間部に電線の端部を入り込ませる。
底部14は、U字状の電線接続部12の底壁となる部位である。この底部14は、内壁面側に、圧着加工に際して電線50の端部が載置される載置面14aを有する(図8から図10)。また、この底部14は、その圧着加工に際して、後述する第1金型112の支持部(第1支持面112A1、第2支持面112B1)に載置され、その支持部で支持される。この底部14は、外壁面側に、圧着加工に際して支持部に支持される被支持面14bを有する(図2、図4及び図10)。
第1バレル片部15と第2バレル片部16は、各々、底部14における電線50の端部の軸線に対する交差方向(つまり、第2方向W)の両端から延出させた片体である。この例示の第1バレル片部15と第2バレル片部16は、それぞれに芯線圧着部12Aから被覆圧着部12Bに渡って連なる1枚の片体として形成している。故に、U字状の電線接続部12においては、底部14に載置された電線50の端部を囲うように、底部14の両端から第1バレル片部15と第2バレル片部16とが延在している。この第1バレル片部15と第2バレル片部16は、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとで電線50の端部の芯線51と被覆52とに各々圧着させる。この第1バレル片部15と第2バレル片部16は、圧着加工に際して、各々、後述する第2金型113の加圧部(芯線加圧部113A1、被覆加圧部113B1)で支持部(第1支持面112A1、第2支持面112B1)に向けて加圧されながら、電線50の端部に圧着されていく。この第1バレル片部15と第2バレル片部16は、圧着加工に際して、第2金型113の加圧部からの加圧力で電線50の端部に巻き付けられていく。
第1バレル片部15と第2バレル片部16は、底部14側の根元から先端15a,16aの端面までの距離が各々同じ長さに形成されたものであってもよく、その距離が一方に対して他方が長くなるように形成されたものであってもよい。この第1バレル片部15と第2バレル片部16は、互いに重なり合いながら電線50の端部に巻き付けていく。
この例示では、第2バレル片部16を第1バレル片部15よりも長くしている。故に、電線接続部12においては、圧着完了後に、第1バレル片部15と第2バレル片部16とが重なり合っている領域(以下、「オーバラップ領域」という。)が形成される(図示略)。オーバラップ領域とは、具体的に、圧着完了後に第1バレル片部15の外壁面と第2バレル片部16の内壁面とが互いに対向している領域のことである。つまり、この電線接続部12においては、第1バレル片部15が内側で電線50の端部に巻き付けられるバレル片部となり、第2バレル片部16が外側で電線50の端部に巻き付けられるバレル片部となる。従って、圧着加工の際には、第1バレル片部15が電線50の端部の外周面に巻き付けられ、この状態の電線50の端部と第1バレル片部15とを外周面側から覆うように第2バレル片部16が巻き付けられる。電線接続部12においては、このようにして第1バレル片部15と第2バレル片部16が電線50の端部に加締められている。
ここで、圧着加工前の電線接続部12は、底部14及び一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)でU字状に形成されている。故に、圧着加工前の電線接続部12は、そのU字状の内方に空間部を有し、かつ、それぞれの先端15a,16aの端面間に開口を有している。電線50の端部は、圧着加工を行う際に、その電線接続部12のU字の開口から内方の空間部に挿入される。電線接続部12は、その空間部に電線50の端部を入り込ませた状態で第1金型112と第2金型113との間隔を縮めていきながら電線50の端部に対して一対のバレル片部を巻き付けることで、その電線50の端部に圧着させる。電線接続部12においては、その一対のバレル片部の巻き付けに伴って、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとが形成される。従って、電線接続部12は、電線50の端部が挿入されやすくなるように、底部14側から開口側(先端15a,16a側)に向かうにつれて第1バレル片部15と第2バレル片部16の間隔が広くなっている。
電線接続部12には、その内壁面(電線50の端部を覆う側の壁面)に、圧着した芯線51を保持するための芯線保持領域(以下、「セレーション領域」という。)17が設けられている(図7から図9)。セレーション領域17は、凹部又は凸部として形成された複数のセレーション17aによって構成されている。セレーション領域17は、それぞれのセレーション17aで電線接続部12と芯線51との間の接触面積を増やすことで、その間の密着強度を高めたり、その間の電気的な接続状態を向上させたりする。セレーション領域17は、電線接続部12の内壁面の内、剥き出しの芯線51に対して巻き付ける部分に少なくとも配置する。このセレーション領域17は、複数の凹状のセレーション17aで構成してもよく、複数の凸状のセレーション17aで構成してもよく、複数の凹状のセレーション17aと複数の凸状のセレーション17aの組み合わせで構成してもよい。この例示のセレーション領域17は、複数の凹状のセレーション17aで芯線51を全体的に覆うように形成する。
芯線圧着部12Aにおける底部14は、被支持面14bの一部を内壁面側に凹ませた凹部18A(図4、図6及び図8から図10)と、この凹部18Aの凹みによって内壁面から電線50の端部の芯線51に向けて突出させた凸部18B(図7から図10)と、を有している。その凹部18Aと凸部18Bは、電線50の圧着端子1からの引き出し方向に沿って延在させる。
先に示したように、電線接続部12の底部14は、後述する第1金型112の支持部(第1支持面112A1、第2支持面112B1)で支持される。凹部18Aは、例えば、その支持部での電線接続部12の位置決めを図ったり、その支持部での電線接続部12の支持姿勢を保持したりするために利用する。よって、この凹部18Aは、第1金型112の支持部に設けた後述する凸状押圧部112aが挿入される。凹部18Aの壁面には、圧着加工の際に第1金型112と第2金型113との間隔が縮まることで、凸状押圧部112aからの押圧力が作用する。凹部18Aは、その押圧力によって、凸状押圧部112aの形状に応じた形に変形する。
凸部18Bは、電線50の端部の芯線51を一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)との間で挟持することができる。この凸部18Bは、凹部18Aが形成された際に内壁面から突出する。例えば、この凸部18Bは、圧着加工の際の凹部18Aの変形に連動して、凸状押圧部112aの形状に応じた形に変形する。よって、この凸部18Bは、圧着加工の進行と共に一対のバレル片部との間で電線50の端部の芯線51を押圧することになるので、圧着完了後の圧着力を高めるために利用することができる。
芯線圧着部12Aの底部14においては、その凸部18Bを除いた場所にセレーション17aを形成する。
この圧着端子1においては、母材に対するプレス成形工程を経て、平板状の電線接続部12を有する端子金具10が成形される(図7及び図8)。この圧着端子1は、複数個並べられた連鎖体(以下、「端子連鎖体」という。)30として形成されている(図11)。端子連鎖体30とは、各々が同一方向を向いた状態で並列に等間隔で配置され且つ連鎖状に繋がれた複数の圧着端子1の集合体のことをいう。端子連鎖体30においては、全ての圧着端子1における一方の端部が連結片31によって繋がれている。連結片31は、例えば矩形の板状に成形され、全ての圧着端子1の電線接続部12に対して所定の間隔を空けて配置される。その電線接続部12の底部14と連結片31は、圧着端子1毎に例えば矩形の板状の繋ぎ部32を介して繋がれている。連結片31には、端子連鎖体30を端子圧着装置100の圧着位置まで送るための貫通孔(以下、「端子送り孔」という。)31aが端子連鎖体30の送り方向に沿って等間隔に形成されている。このように形成された端子連鎖体30は、リール状に巻き取られた状態で端子圧着装置100(図12)に配置される(図示略)。その端子圧着装置100では、U字状に折り曲げられている電線接続部12が電線50の端部に圧着される。また、端子圧着装置100では、その圧着工程と同時に、圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す端子切断工程が行われる。
端子圧着装置100について説明する。
端子圧着装置100は、図12に示すように、所定の圧着位置まで圧着端子1を供給する端子供給装置101と、その圧着位置で圧着端子1を電線50の端部に圧着する圧着装置102と、端子供給装置101及び圧着装置102を動作させるための駆動装置103と、を備える。端子供給装置101と圧着装置102は、この技術分野においてアプリケータと称される装置である。
端子供給装置101は、リール状に巻き取られている端子連鎖体30の外周側における先頭の圧着端子1を引き出して、順次圧着位置まで供給する。この端子供給装置101は、その先頭の圧着端子1の電線50の端部への圧着と端子連鎖体30からの切断とを終えた後、新たに先頭となった圧着端子1を圧着位置まで供給する。この端子供給装置101では、その動作が圧着加工と切断加工を行う度に順次繰り返される。
この端子供給装置101は、この技術分野において周知の構成を有しており、連結片31の端子送り孔31aに挿入される端子送り部材101aと、駆動装置103の動力によって端子送り部材101aを駆動させる動力伝達機構101bと、を備える。動力伝達機構101bは、圧着装置102の圧着動作(後述するラム114A等の上下動)に連動するリンク機構として構成する。この例示の端子供給装置101は、圧着装置102の圧着動作に連動して、端子送り部材101aを上下方向及び左右方向に駆動させることによって、圧着端子1を圧着位置まで供給する。
圧着装置102は、供給された圧着端子1の電線50の端部への圧着と、この圧着端子1の端子連鎖体30からの切り離しと、を行う。このため、この圧着装置102は、圧着機110と端子切断機120とを備える。
圧着機110は、圧着位置まで供給された圧着端子1を電線50の端部に加締めることによって、この圧着端子1を電線50の端部に圧着させる装置である。この例示の圧着機110は、圧着端子1における第1バレル片部15と第2バレル片部16とを電線50における先端の芯線51と被覆52とに各々加締めることによって、この圧着端子1を電線50に圧着させる。この圧着機110は、フレーム111と、互いに対を成す第1金型112及び第2金型113と、動力伝達機構114と、を備える。
フレーム111は、基台111Aと、アンビル支持体111Bと、動力伝達機構114の支持体(以下、「伝達部支持体」という。)111Cと、を備える。基台111Aは、例えば、端子圧着装置100を載せ置く載置台(図示略)の上に固定される。アンビル支持体111Bと伝達部支持体111Cは、基台111Aの上に固定される。伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bに対して後方(図12の紙面右方)かつ上方(図12の紙面上方)に配置する。具体的に、この伝達部支持体111Cは、アンビル支持体111Bの後方で基台111Aから上方に向けて立設された立設部111C1と、この立設部111C1の上部に保持されたラム支持部111C2と、を有する。ラム支持部111C2は、後述するラム114Aを支持する支持部であり、アンビル支持体111Bの上方に所定の間隔を空けて配置する。
第1金型112と第2金型113は、上下方向に間隔を空けて配置され、その間に配置された圧着端子1と電線50の端部とを挟み込んでいくことで圧着端子1を電線50の端部に圧着させる圧着成形型である(図13)。第1金型112は、2つの下型が形成されたものであり、その下型として第1アンビル112Aと第2アンビル112Bとを有する。第2金型113は、2つの上型が形成されたものであり、その上型として第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bとを有する。第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aは、上下方向で互いに対向させて配置されており、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の芯線圧着部12Aを先端の芯線51に圧着させる。また、第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bは、上下方向で互いに対向させて配置されており、その相互間の間隔を狭めていくことによって、U字状の被覆圧着部12Bを被覆52に圧着させる。
駆動装置103は、その動力を動力伝達機構114に伝えることによって、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとの間及び第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとの間の間隔を調整する。圧着加工を行う際には、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとの間及び第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとの間を狭めていく。一方、圧着加工を終えた際には、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとの間及び第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとの間を広げる。この例示では、第2金型113を第1金型112に対して上下動させることによって、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを同時に第1アンビル112Aと第2アンビル112Bに対して上下動させる。但し、第1アンビル112Aと第2アンビル112Bと第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは個別に成形された成形体であってもよく、この場合、駆動装置103と動力伝達機構114は、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを別々に上下動させるように構成してもよい。この例示では、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aにより芯線圧着部12Aの圧着が始まった後に、第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bによる被覆圧着部12Bの圧着が始まる。
本実施形態の動力伝達機構114は、駆動装置103から出力された動力を第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bに伝えるものである。この動力伝達機構114は、図12に示すように、ラム114Aと、ラムボルト114Bと、シャンク114Cと、を備える。
ラム114Aは、ラム支持部111C2に対して上下動自在に支持された可動部材である。このラム114Aには、第2金型113が固定されている。このため、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C2に対して上下動することができる。例えば、このラム114Aは、方体状に成形している。このラム114Aには、雌螺子部(図示略)が形成されている。その雌螺子部は、ラム114Aの内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成する。
ラムボルト114Bは、ラム114Aの雌螺子部に螺合される雄螺子部(図示略)を有する。このため、このラムボルト114Bは、ラム114Aと一体になってラム支持部111C2に対して上下動することができる。また、このラムボルト114Bは、その雄螺子部の上方に配置されたボルト頭部114B1を有する。そのボルト頭部114B1には、雌螺子部(図示略)が形成されている。その雌螺子部は、ボルト頭部114B1の内方から上端面に向けて形成された上下方向の穴の内周面に形成する。
シャンク114Cは、円柱状の中空部材であり、それぞれの端部に雄螺子部114C1と接続部(図示略)とを有する。このシャンク114Cの雄螺子部114C1は、中空部材の下側に形成されており、ラムボルト114Bのボルト頭部114B1の雌螺子部に螺合される。このため、シャンク114Cは、ラム114Aやラムボルト114Bと一体になってラム支持部111C2に対して上下動することができる。接続部は、駆動装置103に接続される。
駆動装置103は、駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力を上下方向の動力に変換する動力変換機構(図示略)と、を有する。シャンク114Cの接続部は、その動力変換機構の出力軸に連結されている。このため、第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bは、駆動装置103の出力(動力変換機構の出力)によって、ラム114Aとラムボルト114Bとシャンク114Cと一体になってラム支持部111C2に対して上下動する。駆動源としては、電動機などの電動アクチュエータ、油圧シリンダなどの油圧アクチュエータ、エアシリンダなどの空気圧アクチュエータ等が適用可能である。
ここで、第1金型112に対する第2金型113の上下方向における相対位置は、ボルト頭部114B1の雌螺子部とシャンク114Cの雄螺子部114C1のねじ込み量を調整することによって、変化させることができる。つまり、この圧着機110は、そのねじ込み量の調整によって、第1アンビル112Aに対する第1クリンパ113Aの上下方向における相対位置と第2アンビル112Bに対する第2クリンパ113Bの上下方向における相対位置とを変化させることができる。ナット114Dは、ラムボルト114Bの上方でシャンク114Cの雄螺子部114C1に螺合させており、ボルト頭部114B1の雌螺子部と共に所謂ロックナットの機能を成す。このため、このナット114Dは、上記の相対位置の調整完了後にラムボルト114B側へと締め付けることによって、その相対位置に第1クリンパ113Aと第2クリンパ113Bを固定することができる。
第1金型112は、圧着位置で圧着端子1の底部14の被支持面14bを支持する支持部を有している。その支持部は、被支持面14bを面で支えることが可能な支持面として形成されている。この第1金型112は、その支持部として、第1支持面112A1と第2支持面112B1とを備える(図13)。第1支持面112A1は、芯線圧着部12Aの底部14の被支持面14bが載置されることによって、この被支持面14bを支持する。第2支持面112B1は、被覆圧着部12Bの底部14の被支持面14bが載置されることによって、この被支持面14bを支持する。
第1アンビル112Aと第2アンビル112Bにおいては、下方に向けて凹ませた凹状面がそれぞれの上側の先端に形成されている。第1アンビル112Aにおいては、その凹状面を第1支持面112A1として利用する。また、第2アンビル112Bにおいては、その凹状面を第2支持面112B1として利用する。第1支持面112A1と第2支持面112B1は、U字状の芯線圧着部12AとU字状の被覆圧着部12Bのそれぞれの底部14の形状に合わせて各々弧状に形成される。第1金型112は、第1支持面112A1と第2支持面112B1とを上方に露出させた状態でアンビル支持体111Bに支持される。
底部14を下側にして供給されてきた圧着端子1は、底部14の被支持面14bを第1金型112で支持する端子支持工程に移る。その端子支持工程では、圧着端子1が圧着位置まで供給された際に、芯線圧着部12Aの底部14の被支持面14bを第1アンビル112Aの上端の第1支持面112A1で支持すると共に、被覆圧着部12Bの底部14の被支持面14bを第2アンビル112Bの上端の第2支持面112B1で支持する。
第1金型112は、第1支持面112A1に、この第1支持面112A1から第2金型113に向けて突出させた凸状押圧部112aを備える(図13)。凸状押圧部112aは、凹部18Aに挿入される部位であり、電線50の圧着端子1からの引き出し方向に沿って延在させている。この凸状押圧部112aは、芯線圧着部12Aの底部14の被支持面14bが第1アンビル112Aの第1支持面112A1で支持されているときに、その底部14に形成された凹部18Aに挿入する。つまり、端子支持工程では、その被支持面14bを第1支持面112A1で支持する際に、凹部18Aに対して凸状押圧部112aを挿入する。凸状押圧部112aは、凹部18Aに挿入されている状態で、第2金型113との間隔を縮めながら凹部18Aの壁面を押圧変形させることで、芯線圧着部12Aの底部14に凸部18Bを形成する。
端子圧着装置100においては、そのような端子支持工程が行われた後、圧着端子1の電線50への圧着工程に移る。圧着工程では、底部14及び一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)で囲まれた空間部に電線50の端部を入り込ませた状態で第1金型112と第2金型113との間隔を縮めていきながら、第1金型112と第2金型113とで底部14及び一対のバレル片部を挟み込む。圧着工程では、その第1金型112と第2金型113との間隔を縮めていきながら電線50の端部に対して一対のバレル片部を巻き付けることで、芯線51に圧着された芯線圧着部12Aと被覆52に圧着された被覆圧着部12Bとを形成する。
第2金型113は、底部14及び一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)で囲まれた空間部に電線50の端部を入り込ませた状態で第1金型112との間隔を縮めていく。この第2金型113は、第1金型112との間隔を縮めていきながら、第1金型112との間で底部14及び一対のバレル片部を挟み込み、電線50の端部に対して一対のバレル片部を巻き付ける。この第2金型113は、電線50の端部に対して一対のバレル片部を巻き付けることで、芯線51に圧着された芯線圧着部12Aと被覆52に圧着された被覆圧着部12Bとを形成する。
第1クリンパ113Aには、電線50の端部の剥き出しとなった芯線51に一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)を圧着させる芯線加圧部113A1が形成されている(図13)。また、この第1クリンパ113Aには、電線50の端部の被覆52に一対のバレル片部を圧着させる被覆加圧部113B1が形成されている(図13)。芯線加圧部113A1と被覆加圧部113B1は、各々、上方に向けて凹ませた凹状を成している。
芯線加圧部113A1は、第1アンビル112Aの第1支持面112A1に対して上下方向で対向配置される。この芯線加圧部113A1は、その第1支持面112A1に支持された芯線圧着部12Aを芯線51に圧着させる。被覆加圧部113B1は、第2アンビル112Bの第2支持面112B1に対して上下方向で対向配置される。この被覆加圧部113B1は、その第2支持面112B1に支持された被覆圧着部12Bを被覆52に圧着させる。芯線加圧部113A1と被覆加圧部113B1は、各々、圧着加工を行う際に、第1バレル片部15と第2バレル片部16に接触しつつ、第1バレル片部15と第2バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく。
芯線加圧部113A1と被覆加圧部113B1は、第1金型112と第2金型113との間の相対移動方向における芯線加圧部113A1と第1支持面112A1との間隔が、その相対移動方向における被覆加圧部113B1と第2支持面112B1との間隔よりも狭まるように配置する。これにより、電線接続部12は、芯線圧着部12Aにおける芯線51の挟み方向での底部14と一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)との間隔よりも、被覆圧着部12Bにおける被覆52の挟み方向での底部14と一対のバレル片部との間隔を拡げた状態で、電線50の端部に圧着される。よって、芯線加圧部113A1は、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間を滑らかに繋ぐように、第1芯線加圧部113A11と第2芯線加圧部113A12とを有している(図13)。
第1芯線加圧部113A11は、第1アンビル112Aの第1支持面112A1に対して上下方向で対向配置し、芯線51の先端側に一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)を圧着させるものとして形成する。よって、この第1芯線加圧部113A11は、第1支持面112A1の中でも第2支持面112B1側とは逆側に対向配置されている。一方、第2芯線加圧部113A12は、第1アンビル112Aの第1支持面112A1に対して上下方向で対向配置し、第1芯線加圧部113A11と被覆加圧部113B1との間に存在する芯線51に対して一対のバレル片部を圧着させるものとして形成する。よって、この第2芯線加圧部113A12は、第1支持面112A1の中でも第2支持面112B1側に、つまり、第1芯線加圧部113A11と被覆加圧部113B1との間にて第2支持面112B1に対向配置されている。この第2芯線加圧部113A12は、第1芯線加圧部113A11と被覆加圧部113B1との間で、第1芯線加圧部113A11側から被覆加圧部113B1側に向かうに連れて、芯線51の挟み方向での底部14と一対のバレル片部との間隔を拡げながら芯線51に一対のバレル片部を圧着させる。
このような芯線加圧部113A1によって、芯線圧着部12Aは、第1芯線加圧部113A11で圧着された第1芯線圧着部12A1と、第2芯線加圧部113A12で圧着された第2芯線圧着部12A2と、を有することになる(図3から図6及び図10)。第1芯線圧着部12A1では、一対のバレル片部が芯線51の先端側に圧着されている。第2芯線圧着部12A2では、一対のバレル片部が芯線51の先端側と被覆52との間の芯線51に対して圧着されている。この第2芯線圧着部12A2は、第1芯線圧着部12A1と被覆圧着部12Bとの間で、第1芯線圧着部12A1側から被覆圧着部12B側に向かうに連れて、芯線51の挟み方向での底部14との間隔を拡げながら一対のバレル片部が芯線51に巻き付けられている。よって、圧着完了後の電線接続部12においては、芯線圧着部12Aと被覆圧着部12Bとの間が滑らかに繋がれている。
第1芯線加圧部113A11と第2芯線加圧部113A12と被覆加圧部113B1は、各々、圧着加工を行う際に、第1バレル片部15と第2バレル片部16に接触しつつ、第1バレル片部15と第2バレル片部16を電線50の端部に巻き付けながら加締めていく加圧面115,116,117を有している(図13)。それぞれの加圧面115,116,117は、その加締め動作を行えるように形成する。例えば、加圧面115は、互いに対向する第1及び第2の壁面115a,115bと、第1及び第2の壁面115a,115bの上端を繋ぐ弧状の第3壁面115cと、を有する。これと同じように、加圧面116は、互いに対向する第1及び第2の壁面116a,116bと、第1及び第2の壁面116a,116bの上端を繋ぐ弧状の第3壁面116cと、を有する。また、加圧面117は、互いに対向する第1及び第2の壁面117a,117bと、第1及び第2の壁面117a,117bの上端を弧状の繋ぐ第3壁面117cと、を有する。それぞれの加圧面115,116,117においては、各々の第3壁面115c,116c,117cで第1芯線圧着部12A1と第2芯線圧着部12A2と被覆圧着部12Bの一対のバレル片部側の圧着形状が形作られる。
圧着工程では、第1芯線加圧部113A11で芯線51の先端側に一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)を圧着させることによって、第1芯線圧着部12A1が形成される。更に、圧着工程では、第1芯線圧着部12A1の形成工程と同等のタイミングにおいて、第2芯線加圧部113A12で、第1芯線加圧部113A11側から被覆加圧部113B1側に向かうに連れて、芯線51の挟み方向での底部14と一対のバレル片部との間隔を拡げながら芯線51に一対のバレル片部を圧着させることによって、第2芯線圧着部12A2が形成される。また、更に、圧着工程では、その芯線圧着部12Aの形成工程と同等のタイミングにおいて、被覆加圧部113B1で被覆52に一対のバレル片部を圧着させることによって、被覆圧着部12Bが形成される。
この圧着工程では、先の端子支持工程で凸状押圧部112aが芯線圧着部12Aの凹部18Aに挿入されている状態なので、電線50の端部に対して一対のバレル片部を圧着しながら、凸状押圧部112aで凹部18Aの壁面が押圧される。よって、この圧着工程では、凸状押圧部112aで凹部18Aの壁面を変形させることによって、芯線圧着部12Aの底部14に凸部18Bを形成する。
先に示したように、その凹部18Aと凸部18Bは、凸状押圧部112aの形状に応じた形となる。そこで、本実施形態では、凸状押圧部112aを次のような形状に形成している。
本実施形態の凸状押圧部112aは、第1芯線加圧部113A11に対向配置された第1押圧部112a1と、第2芯線加圧部113A12に対向配置された第2押圧部112a2と、を有する(図14及び図15)。第1押圧部112a1は、凹部18Aの第1芯線圧着部12A1側に挿入され、この凹部18Aの第1芯線圧着部12A1側の壁面を圧着加工の際に押圧する。第2押圧部112a2は、凹部18Aの第2芯線圧着部12A2側に挿入され、この凹部18Aの第2芯線圧着部12A2側の壁面を圧着加工の際に押圧する。よって、凹部18Aと凸部18Bは、第1芯線圧着部12A1と第2芯線圧着部12A2とに渡って形成される。凹部18Aは、第1押圧部112a1によって形成された第1凹部18A1と、第2押圧部112a2によって形成された第2凹部18A2と、を有する(図4、図6、図10及び図16)。また、凸部18Bは、第1押圧部112a1によって形成された第1凸部18B1と、第2押圧部112a2によって形成された第2凸部18B2と、を有する(図7、図10及び図16)。
ここで、先に示したように、第2芯線圧着部12A2においては、第1芯線圧着部12A1側から被覆圧着部12B側に向かうに連れて、芯線51の挟み方向での底部14との間隔を拡げながら一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)が芯線51に巻き付けられている。故に、芯線51の挟み方向での凸部18Bと一対のバレル片部との間隔は、第1凸部18B1と一対のバレル片部との間隔に比べて、第2凸部18B2と一対のバレル片部との間隔の方が大きくなる可能性がある。
そこで、本実施形態の凸状押圧部112aは、第1芯線加圧部113A11に対向配置された第1押圧部112a1を突出させ、かつ、第2芯線加圧部113A12に対向配置された第2押圧部112a2を第1押圧部112a1よりも更に突出させている。つまり、本実施形態の凸状押圧部112aにおいては、第1押圧部112a1の第1支持面112A1からの突出量に比べて、第2押圧部112a2の第1支持面112A1からの突出量を大きくしている。ここでは、第1金型112と第2金型113の相対移動方向において、第2押圧部112a2と第2芯線加圧部113A12の加圧面116の第3壁面116cとの間隔が、第1押圧部112a1と第1芯線加圧部113A11の加圧面115の第3壁面115cとの間隔に近づくように、第2押圧部112a2を突出させる。
その凸状押圧部112aの形状によって、圧着工程では、凹部18A及び凸部18Bを形成する際に、第1押圧部112a1で凹部18Aの壁面を押圧することで、その凹部18Aの第1凹部18A1を形成すると共に、第1凹部18A1の凹みによって突出させた凸部18Bの第1凸部18B1を形成する。更に、圧着工程では、凹部18A及び凸部18Bを形成する際に、第2押圧部112a2で凹部18Aの壁面を押圧することで、第1凹部18A1よりも更に凹ませた凹部18Aの第2凹部18A2を形成すると共に、第2凹部18A2の凹みによって第1凸部18B1よりも更に突出させた凸部18Bの第2凸部18B2を形成する。これにより、凹部18Aは、第1芯線圧着部12A1側で第1押圧部112a1によって凹ませた第1凹部18A1と、第2芯線圧着部12A2側で第2押圧部112a2によって第1凹部18A1よりも更に凹ませた第2凹部18A2と、を有することになる。また、凸部18Bは、第1芯線圧着部12A1側で第1凹部18A1の凹みによって突出させた第1凸部18B1と、第2芯線圧着部12A2側で第2凹部18A2の凹みによって第1凸部18B1よりも更に突出させた第2凸部18B2と、を有することになる。故に、芯線51の挟み方向での凸部18Bと一対のバレル片部との間においては、第1凸部18B1及び一対のバレル片部の間隔D1と第2凸部18B2及び一対のバレル片部の間隔D2との差を縮めることができる(図16)。従って、芯線圧着部12Aにおいては、凸部18Bと一対のバレル片部との間での圧着力のばらつきを抑えることができるので、芯線51に対する凝着量のばらつきを抑えることができる。
例えば、本実施形態の凸状押圧部112aは、電線50の圧着端子1からの引き出し方向に対する直交断面において、少なくとも芯線加圧部113A1に対向配置されている部分が弧状に形成されている。第1押圧部112a1と第2押圧部112a2は、それぞれの弧状部分が同等の形状であってもよく、それぞれの弧状部分が異なる曲率のものであってもよい。第1押圧部112a1は、弧状部分と第1支持面112A1とが同等の間隔で配置されるように形成されている。また、ここでは、第2押圧部112a2においても、弧状部分と第1支持面112A1とが同等の間隔で配置されるように形成されている。その際、間隔D2においては、間隔D1よりも狭い部分が生じる可能性がある。しかしながら、このような場合でも、その凸状押圧部112aは、間隔D1と間隔D2との差を縮めることができるので、凸部18Bと一対のバレル片部との間での圧着力のばらつきを抑え、芯線圧着部12Aの芯線51に対する凝着量のばらつきを抑えることができる。
また、第2押圧部112a2については、加圧面116の第3壁面116cとの間隔が均等になるように、第1支持面112A1からの突出量を第1押圧部112a1側から徐々に大きくしていってもよい。この場合には、間隔D1と間隔D2との差を更に縮めることができるので、凸部18Bと一対のバレル片部との間での圧着力のばらつきの更なる抑制が図れ、芯線圧着部12Aの芯線51に対する凝着量のばらつきをより抑えることができる。
端子切断機120は、圧着位置まで供給された圧着端子1の繋ぎ部32を2つの端子切断部で挟み込んで切断するものである。この端子切断機120は、その圧着端子1の連結片31からの切り離しを圧着工程の進行と同時に行う。端子切断機120は、第2アンビル112Bよりも前側(図12の紙面左側)に配置する。端子切断機120は、この技術分野において周知のものであり、例えば端子切断体121と押下部材122と弾性部材123とを備える(図17)。
端子切断体121は、方体状に成形され、第2アンビル112Bの前面(一方の端面112b)に沿って上下方向に摺動し得るように配置される。この端子切断体121は、その第2アンビル112Bの端面112bに沿って摺動する摺接面121aを有している。この端子切断体121には、その摺接面121aから内方に向けてスリット121bが形成されている。スリット121bは、圧着対象の圧着端子1が圧着位置まで供給されてきた際に、この圧着端子1と繋がる繋ぎ部32の一部を突出させた状態で連結片31が挿入される内部空間である。ここでは、そのスリット121bへの連結片31等の挿入が可能な位置を端子切断体121の上下方向における初期位置とする。繋ぎ部32における電線接続部12側の端部は、スリット121bの摺接面121a側(つまり圧着端子1側)の開口を介して、スリット121bの内部から突出させる。端子切断体121においては、その開口における上側のエッジ部(以下、「開口エッジ」という。)121cが一方の端子切断部として利用される。
押下部材122は、ラム114Aに固定されており、ラム114Aと一体になって上下動する。この押下部材122は、端子切断体121の上方に配置され、下降と共に端子切断体121を押し下げる。押下部材122は、方体状に成形される。弾性部材123は、端子切断体121に対して上方への付勢力を加えるものであり、バネ部材等から成る。この弾性部材123は、押下部材122からの押下力が解除されたときに、端子切断体121を上下方向における初期位置に戻す。
この端子切断機120においては、圧着加工時の第2金型113の下降と共に押下部材122が下降し、端子切断体121を押し下げる。この端子切断機120においては、端子切断体121が下降することによって、スリット121bの開口エッジ121cと第2アンビル112Bにおける他方の端子切断部としての上面エッジ112c(図17)との間に繋ぎ部32を挟み込む。この端子切断機120においては、その開口エッジ121cと上面エッジ112cとが鋏の如き作用を為す。従って、この端子切断機120においては、端子切断体121が更に押し下げられることによって、開口エッジ121cと上面エッジ112cとで繋ぎ部32を切断し、圧着端子1を端子連鎖体30から切り離す。
以上示したように、本実施形態の端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、凸状押圧部112aの第1押圧部112a1と第2押圧部112a2との間に上記の如き段差を設けているので、圧着完了後に、第1凸部18B1及び一対のバレル片部(第1バレル片部15、第2バレル片部16)の間隔D1と第2凸部18B2及び一対のバレル片部の間隔D2との差を縮めることができる。従って、本実施形態の端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、凸部18Bと一対のバレル片部との間での圧着力のばらつきを抑えることができるので、芯線圧着部12Aの芯線51に対する凝着量のばらつきを抑えることができる。よって、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子1の電線50に対する圧着力を確保して、圧着端子1と電線50の電気的な接続状態を所望のものに保つことができる。
ところで、電線接続部12は、圧着加工に際して、第1及び第2の支持面112A1,112B1と加圧面115,116,117とで囲われており、力の逃げ道が自らの軸線方向(電線50の引き出し方向)しか残っていないので、その方向に伸長してしまう可能性がある。例えば、この端子圧着装置100においては、第1アンビル112Aと第1クリンパ113Aとによる芯線圧着部12Aの圧着が先に始まり、その後、第2アンビル112Bと第2クリンパ113Bとによる被覆圧着部12Bの圧着が始まる。従って、電線接続部12は、その圧着加工の進行と共に、端部12a(図17)側が電線50の引き出し方向に向けて伸長してしまう可能性がある。その端部12aとは、圧着完了後に電線50が引き出される側の端部のことである。このような電線接続部12の伸長は、圧着端子1の軸線方向における体格の大型化を招き、圧着端子1の筐体(図示略)への収容性を低下させてしまう虞がある。
また、電線接続部12は、その端部12a側の伸長によって、端部12a側が第2アンビル112Bの端面112bから飛び出してしまう可能性がある(図18)。底部14においては、飛び出した端部12a側を第2アンビル112Bの第2支持面112B1で支えることができなくなる。ここで、端子圧着装置100においては、切断した繋ぎ部32が圧着端子1側に極力残らないように、第1クリンパ113Aの前面(一方の端面113a)に対して、第2アンビル112Bの端面112bと端子切断体121の摺接面121aとを端子接続部11側にオフセットさせておくこともある。この場合には、電線接続部12において、そもそも底部14の端部12a側が第2アンビル112Bの第2支持面112B1で支えられていない。底部14の端部12a側は、第2支持面112B1で支えられていなければ、圧着加工の進行と共に、第2アンビル112Bの端面112bに沿って飛び出してしまう可能性がある(図18のB部)。このような底部14の部分的な飛び出しは、圧着端子1の軸線方向に対する交差方向での体格の大型化を招き、圧着端子1の筐体への収容性を低下させてしまう虞がある。よって、電線接続部12は、電線50の引き出し方向への伸長を極力抑えることが望ましい。
凸状押圧部112aは、そのような電線接続部12の伸長を抑えるべく、次のような形状に形成することが望ましい。ここでは、第1押圧部112a1を次のように形成している。
ここでの第1押圧部112a1は、第2支持面112B1側とは逆側の端部112a11を、凸状押圧部112aの突出方向に向かうに連れて第2支持面112B1側(つまり、第2押圧部112a2側)に傾斜させている(図19及び図20)。その端部112a11は、凹部18Aの第1凹部18A1を形成する際に、凹部18Aの第1凹部18A1の被覆圧着部12B側とは逆側の端部18A11を外壁面側から内壁面側に向かうに連れて被覆圧着部12B側(つまり、第2凹部18A2側)に傾斜させる(図21)。また、この端部112a11は、凸部18Bの第1凸部18B1を形成する際に、凸部18Bの第1凸部18B1の被覆圧着部12B側とは逆側の端部18B11を外壁面側から内壁面側に向かうに連れて被覆圧着部12B側(つまり、第2凸部18B2側)に傾斜させる(図21)。即ち、この場合の圧着工程では、凹部18A及び凸部18Bを形成する際に、その端部112a11を有する凸状押圧部112aで凹部18Aの壁面を押圧することによって、凹部18A及び凸部18Bのそれぞれの端部18A11,18B11を外壁面側から内壁面側に向かうに連れて被覆圧着部12B側に傾斜させる。
それぞれの端部18A11,18B11が成す肉厚は、傾斜させた端部112a11で形成されたものと傾斜無しの従来の端部112a11(凸状押圧部112aの突出方向に迫り上がった壁面を有するもの)で形成されたものとを比較すると、従来よりも厚みを増やすことができる。つまり、その傾斜させた端部112a11で形成された凹部18A及び凸部18Bでは、それぞれの端部18A11,18B11が成す肉厚を、端部18A11,18B11以外の第1凹部18A1及び第1凸部18B1が成す肉厚並びに第2凹部18A2及び第2凸部18B2が成す肉厚に近づけることができる。従って、芯線圧着部12Aにおいては、圧着加工に際して、従来よりも軸線方向に伸び難くなっている。よって、端子付き電線50Aにおいては、圧着完了後の芯線圧着部12Aの伸び量の低減が可能なので、圧着端子1の電線50に対する圧着力を確保しつつ、圧着完了後の圧着端子1の伸び量を低減させることができる。ここでは、端部12a側の電線50の引き出し方向に向けた伸長を抑えることができる。
このように、この場合の端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着完了後の芯線圧着部12Aの伸び量の低減が可能であり、圧着端子1の電線50に対する圧着力を確保しつつ、圧着完了後の圧着端子1の伸び量を低減させることができる。また、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着完了後の芯線圧着部12Aの伸び量の低減が可能なので、圧着加工を終えた際に、第2アンビル112Bの端面112bに沿った底部14の端部12a側の飛び出しを抑えることができる。このように、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子1の体格の大型化を抑えることができる。従って、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子1を筐体に収容する際の収容性が向上し、これに伴い、その筐体への圧着端子1の収容作業性も向上させることができる。また、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子1の電線50に対する圧着力を確保しつつ、圧着端子1の体格の大型化を抑えることができる。つまり、この端子付き電線50A、端子圧着装置100及び端子付き電線の製造方法は、圧着端子1の電線50に対する圧着力を確保して、圧着端子1と電線50の電気的な接続状態を所望のものに保ちながらも、圧着端子1の体格の大型化を抑えることができ、これに付随して、圧着端子1の筐体に対しての収容性や収容作業性を向上させることができる。
1 圧着端子
10 端子金具
11 端子接続部
12 電線接続部
12A 芯線圧着部
12A1 第1芯線圧着部
12A2 第2芯線圧着部
12B 被覆圧着部
14 底部
14a 載置面
14b 被支持面
15 第1バレル片部
16 第2バレル片部
17a セレーション
18A 凹部
18A1 第1凹部
18A11 端部
18A2 第2凹部
18B 凸部
18B1 第1凸部
18B11 端部
18B2 第2凸部
50 電線
50A 端子付き電線
51 芯線
52 被覆
100 端子圧着装置
112 第1金型
112A1 第1支持面
112B1 第2支持面
112a 凸状押圧部
112a1 第1押圧部
112a11 端部
112a2 第2押圧部
113 第2金型
113A1 芯線加圧部
113A11 第1芯線加圧部
113A12 第2芯線加圧部
113B1 被覆加圧部
D1,D2 間隔

Claims (4)

  1. 端部にて芯線が剥き出しとなった電線と、
    前記電線の前記端部に圧着させることで前記芯線に対して物理的且つ電気的に接続された圧着端子と、
    を備え、
    前記圧着端子は、前記電線の前記端部が載置された内壁面側の載置面及び外壁面側の被支持面を有する底部、並びに、前記底部の幅方向における両端から延出させ、前記電線の前記端部に巻き付けられた一対のバレル片部を有する電線接続部を備え、
    前記電線接続部は、前記底部及び前記一対のバレル片部が前記電線の前記端部の前記芯線に圧着された芯線圧着部と、前記底部及び前記一対のバレル片部が前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部と、を有し、
    前記電線接続部は、前記芯線圧着部における前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔よりも、前記被覆圧着部における前記被覆の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げた状態で、前記電線の前記端部に圧着された部位であり、
    前記芯線圧着部における前記底部は、前記被支持面の一部を前記内壁面側に凹ませた凹部と、前記凹部の凹みによって前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部と、を有し、
    前記芯線圧着部は、前記芯線の先端側に圧着された第1芯線圧着部と、前記第1芯線圧着部と前記被覆圧着部との間で、前記第1芯線圧着部側から前記被覆圧着部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部との間隔を拡げながら前記一対のバレル片部が前記芯線に巻き付けられた第2芯線圧着部と、を有し、
    前記凹部は、前記第1芯線圧着部側で凹ませた第1凹部と、前記第2芯線圧着部側で前記第1凹部よりも更に凹ませた第2凹部と、を有し、
    前記凸部は、前記第1芯線圧着部側で前記第1凹部の凹みによって突出させた第1凸部と、前記第2芯線圧着部側で前記第2凹部の凹みによって前記第1凸部よりも更に突出させた第2凸部と、を有することを特徴とした端子付き電線。
  2. 前記凹部及び前記凸部は、前記電線の前記圧着端子からの引き出し方向に沿って延在させることを特徴とした請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 底部及び一対のバレル片部を有する圧着端子の前記底部の外壁面側の被支持面を支持する第1金型と、
    前記底部及び前記一対のバレル片部で囲まれた空間部に電線の端部を入り込ませた状態で前記第1金型との間隔を縮めていきながら前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を巻き付けることで、前記電線の前記端部の剥き出しとなった芯線に圧着された芯線圧着部及び前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部を形成する第2金型と、
    を備え、
    前記第1金型は、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を支持する第1支持面と、前記被覆圧着部の前記底部の前記被支持面を支持する第2支持面と、前記第1支持面から前記第2金型に向けて突出させた凸状押圧部と、を備え、
    前記凸状押圧部は、前記芯線圧着部の前記底部における前記被支持面の一部が前記底部の内壁面側に凹まされた凹部に挿入し、前記第2金型との間隔を縮めながら前記凹部の壁面を押圧変形させることで、前記芯線圧着部の前記底部に、前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部を形成し、
    前記第2金型は、前記第1支持面に対向配置され、かつ、前記電線の前記端部の前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させる芯線加圧部と、前記第2支持面に対向配置され、かつ、前記電線の前記端部の前記被覆に前記一対のバレル片部を圧着させる被覆加圧部と、を有し、
    前記芯線加圧部と前記被覆加圧部は、前記第1金型と前記第2金型との間の相対移動方向における前記芯線加圧部と前記第1支持面との間隔が、前記相対移動方向における前記被覆加圧部と前記第2支持面との間隔よりも狭まるように配置し、
    前記芯線加圧部は、前記芯線の先端側に前記一対のバレル片部を圧着させる第1芯線加圧部と、前記第1芯線加圧部と前記被覆加圧部との間で、前記第1芯線加圧部側から前記被覆加圧部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げながら前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させる第2芯線加圧部と、を有し、
    前記凸状押圧部は、前記第1芯線加圧部に対向配置された位置で突出させた第1押圧部と、前記第2芯線加圧部に対向配置された位置で前記第1押圧部よりも更に突出させた第2押圧部と、を有することを特徴とした端子圧着装置。
  4. 底部及び一対のバレル片部を有する圧着端子の前記底部の外壁面側の被支持面を第1金型で支持する端子支持工程と、
    前記底部及び前記一対のバレル片部で囲まれた空間部に電線の端部を入り込ませた状態で前記第1金型と第2金型との間隔を縮めていきながら前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を巻き付けることで、前記電線の前記端部の剥き出しとなった芯線に圧着された芯線圧着部及び前記電線の前記端部の被覆に圧着された被覆圧着部を形成する圧着工程と、
    を有し、
    前記端子支持工程では、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1金型の第1支持面で支持すると共に、前記被覆圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1金型の第2支持面で支持し、かつ、前記芯線圧着部の前記底部の前記被支持面を前記第1支持面で支持する際に、前記芯線圧着部の前記底部における前記被支持面の一部が前記底部の内壁面側に凹まされた凹部に対して、前記第1支持面から前記第2金型に向けて突出させた凸状押圧部を挿入し、
    前記圧着工程では、前記第1支持面に対向配置された前記第2金型の第1芯線加圧部で前記電線の前記端部の前記芯線の先端側に前記一対のバレル片部を圧着させ、かつ、前記第2支持面に対向配置された前記第2金型の被覆加圧部で前記電線の前記端部の前記被覆に前記一対のバレル片部を圧着させ、かつ、前記第1芯線加圧部と前記被覆加圧部との間にて前記第1支持面に対向配置された前記第2金型の第2芯線加圧部で、前記第1芯線加圧部側から前記被覆加圧部側に向かうに連れて、前記芯線の挟み方向での前記底部と前記一対のバレル片部との間隔を拡げながら前記芯線に前記一対のバレル片部を圧着させ、
    前記圧着工程では、前記電線の前記端部に対して前記一対のバレル片部を圧着しながら前記凸状押圧部で前記凹部の壁面を押圧変形させることによって、前記芯線圧着部の前記底部に、前記内壁面から前記電線の前記端部の前記芯線に向けて突出させた凸部を形成し、
    前記圧着工程では、前記凹部及び前記凸部を形成する際に、前記第1芯線加圧部に対向配置された前記凸状押圧部の第1押圧部で前記凹部の壁面を押圧することで、前記凹部の第1凹部を形成すると共に前記第1凹部の凹みによって突出させた前記凸部の第1凸部を形成し、かつ、前記第2芯線加圧部に対向配置された前記凸状押圧部の第2押圧部で前記凹部の壁面を押圧することで、前記第1凹部よりも更に凹ませた前記凹部の第2凹部を形成すると共に前記第2凹部の凹みによって前記第1凸部よりも更に突出させた前記凸部の第2凸部を形成することを特徴とした端子付き電線の製造方法。
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