JP6544300B2 - ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク、その製造方法、及びハーフトーン位相シフト型フォトマスク - Google Patents

ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク、その製造方法、及びハーフトーン位相シフト型フォトマスク Download PDF

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Description

本発明は、半導体集積回路等の製造などに適用されるハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク、その製造方法、及びハーフトーン位相シフト型フォトマスクに関する。
フォトマスク技術においては、微細化が進むにつれて、露光波長よりもパターン幅が小さくなり、OPC(Optical Proximity Correction)、変形照明、液浸露光、位相シフト法等のRET(Resolution Enhancement Technology)、二重露光などの高解像度技術を用いるようになってきている。特に、位相シフト法では、従来は、透過率の6%前後のハーフトーン位相シフト膜が用いられてきたが、パターン幅がより細い場合、例えば、ハーフピッチが50nm以下のパターンを、フォトリソグラフィにより形成する場合においては、より高いコントラスト比を得るために、高透過率のものが必要となってきており、位相差が180°程度で、透過率が9%以上40%以下のものが求められる。
特開2006−78953号公報 特開2003−280168号公報
高透過率のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについては、ケイ素及び窒素、又はケイ素、酸素及び窒素からなるハーフトーン位相シフト膜を有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクが検討されており、このハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクでは、膜の薄膜化や洗浄耐性の向上が期待できる。しかし、このハーフトーン位相シフト膜には、フッ素系ドライエッチングによるエッチングレートが遅くなる、欠陥修正が極端に難しくなるなど、フォトマスクブランクからフォトマスクへの加工性においてデメリットがある。
フォトマスクブランクの加工性は、ハーフトーン位相シフト膜に遷移金属を添加することで改善されるが、遷移金属を添加すると、膜の透過率が低下する傾向があるため、高透過率のハーフトーン位相シフト膜とするためには、窒素のみならず、酸素もある程度添加する必要がある。しかし、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる高透過率のハーフトーン位相シフト膜を単層膜として形成した場合、膜応力が高くなってしまうという問題がある。膜応力は、フォトマスクブランクからフォトマスクへ加工した後に解放されるため、高い膜応力は、形成される膜パターンの位置精度の低下をもたらす。特に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜する際に常用されるスパッタリングにより、ハーフトーン位相シフト膜を単層膜として成膜した場合、所定の膜組成に合わせて、チャンバー内の反応性ガスの導入量が常に多い状態でスパッタリングすることになるため、膜応力の低減に有効とされるチャンバー内圧力を低くして成膜することが難しく、チャンバー内圧力などの成膜条件の調整で膜応力を低く抑えることは、極めて困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる膜で構成された高透過率のハーフトーン位相シフト膜を有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクにおいて、所定の位相差が確保され、低応力で、かつ加工性に優れたハーフトーン位相シフト膜を備えるハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク、その製造方法、及びハーフトーン位相シフト型フォトマスクを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる膜で構成された高透過率のハーフトーン位相シフト膜を有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクにおいて、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなるハーフトーン位相シフト膜を、酸素含有率が低い応力緩和層と、酸素含有率が高い位相差調整層とからなる2層以上の複層の膜で構成することで、露光光に対する高い透過率と所定の位相シフト量とを備え、かつ加工精度が高いハーフトーン位相シフト膜となること、このような複層の膜で構成したハーフトーン位相シフト膜の場合、応力緩和層の透過率が、露光光の波長より長波長側、典型的には赤外光において低くなる傾向があり、応力緩和層において、フラッシュランプアニールなどの光アニール処理において、照射光の吸収効率が高まることから、応力緩和層と位相差調整層とからなる複層構成のハーフトーン位相シフト膜が、光アニール処理による膜応力の低減において有利であることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、以下のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法、及びハーフトーン位相シフト型フォトマスクを提供する。
請求項1:
透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜とを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクであって、
上記ハーフトーン位相シフト膜が、
遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であることを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項2:
上記ハーフトーン位相シフト膜が、透明基板に接して形成されていることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項3:
最も透明基板側に形成されている層が、上記応力緩和層であることを特徴とする請求項2記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項4:
上記ハーフトーン位相シフト膜が3層以上で構成され、各々の位相差調整層が、いずれかの応力緩和層に接するように積層されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項5:
上記遷移金属の含有量が5原子%以上10原子%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項6:
上記遷移金属が、モリブデンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項7:
上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が9%以上12%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項8:
上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が15%以上30%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項9:
被加工基板にハーフピッチ50nm以下のパターンを形成するフォトリソグラフィにおいて、上記被加工基板上に形成したフォトレジスト膜に、波長200nm以下の露光光で上記パターンを転写するパターン露光に用いるハーフトーン位相シフト型フォトマスク用であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
請求項10:
透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜とを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを製造する方法であって、
透明基板上に、
遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であるハーフトーン位相シフト膜を形成する工程
を含むことを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
請求項11:
上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が9%以上12%以下であり、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜に、赤外線を含む光をパルス照射する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
請求項12:
上記赤外線を含む光をパルス照射する工程の前に、更に、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜を、250℃以上600℃以下で2時間以上保持して熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項11記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
請求項13:
上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が15%以上30%以下であり、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜を、250℃以上600℃以下で2時間以上保持して熱処理する工程を含み、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜に、赤外線を含む光をパルス照射する工程を含まないことを特徴とする請求項10記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
請求項14:
透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜のパターンとを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクであって、
上記ハーフトーン位相シフト膜が、
遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であることを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスク。

本発明によれば、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる膜で構成された高透過率のハーフトーン位相シフト膜を有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクにおいて、所定の位相差が確保され、低応力で、かつ加工性に優れたハーフトーン位相シフト膜を備えるハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク及びハーフトーン位相シフト型フォトマスクを提供することができ、フォトリソグラフィにおける、更なるパターンの微細化と高精度化の要求に適合したパターン露光が可能である。
実験例1のハーフトーン位相シフト膜の酸素含有率とΔTIRとの関係を示すグラフである。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクは、石英基板などの透明基板と、透明基板上に形成された遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる膜で構成されたハーフトーン位相シフト膜とを有する。
本発明のハーフトーン位相シフト膜は、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)などの波長200nm以下の光(露光光)に対し、透過率が9%以上で、40%以下、特に30%以下であり、遷移金属を含有する従来のハーフトーン位相シフト膜と比べて、高透過率のものを対象とする。透過率が40%を超えるものは、膜応力が高く、また、後述する熱処理を実施しても、応力の低減効果が十分には得られない。
また、本発明のハーフトーン位相シフト膜の位相差は、位相シフト膜の部分(位相シフト部)と、位相シフト膜のない部分との隣接部において、それぞれを通過する露光光の位相差によって露光光が干渉して、コントラストを増大させることができる位相差であればよく、位相差は150°以上200°以下とすればよい。一般的な位相シフト膜では、位相差を略180°に設定するが、上述したコントラスト増大の観点からは、位相差は略180°に限定されず、位相差を180°より小さく又は大きくすることができる。例えば、位相差を180°より小さくすれば、薄膜化に有効である。なお、より高いコントラストが得られる点からは、位相差は、180°に近い方が効果的であることは言うまでもなく、160°以上、特に175°以上で、190°以下、特に185°以下であることが好ましく、とりわけ略180°であることが好ましい。
本発明のハーフトーン位相シフト膜は、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層の2種の層からなる複層構造の膜、即ち、2層以上で構成された膜である。層の数の上限は、特に限定されるものではないが、通常4層以下である。
応力緩和層は、複層を構成する層の中で、酸素の含有率が最も低い層であり、位相差調整層は、応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上、好ましくは5原子%以上、より好ましくは10原子%以上、更に好ましくは15原子%以上高い層である。即ち、複層を構成する層のうち、酸素の含有率が最も低い層が応力緩和層であり、それ以外の層が、応力緩和層より酸素の含有率が高い位相差調整層である。ハーフトーン位相シフト膜を、応力緩和層と位相差調整層とからなる複層で構成することにより、単層構造のハーフトーン位相シフト膜と比べて、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜応力を低減することができ、ハーフトーン位相シフト膜を膜パターンに加工する際の加工精度がより向上する。
応力緩和層は1層でも2層以上でもよいが、応力緩和層を2層以上とする場合は、各々の応力緩和層の酸素の含有率は同じとする必要がある。この場合、各々の応力緩和層の遷移金属、ケイ素及び窒素の含有率は全てが異なっていてもよいが、一部又は全部が同じであることが好ましい。また、応力緩和層が2層以上の場合、各々の厚さは同じであっても、異なっていてもよい。一方、位相差調整層を2層以上とする場合は、各々の位相差調整層の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素の含有率は全てが異なっていてもよく、また、一部又は全部が同じであってもよい。また、位相差調整層が2層以上の場合、各々の厚さは同じであっても、異なっていてもよい。
本発明のハーフトーン位相シフト膜は、透明基板上に、例えば、遮光膜、反射防止膜などの光学膜、エッチングマスク膜、エッチングストッパ膜等の加工補助膜、導電膜などの他の膜を介して形成されていてもよいが、他の膜を介さずに透明基板に接して形成されていることが好ましい。また、ハーフトーン位相シフト膜の透明基板から離間する側には、遮光膜、反射防止膜などの光学膜、エッチングマスク膜、エッチングストッパ膜等の加工補助膜、導電膜、レジスト膜などを形成してもよい。
ハーフトーン位相シフト膜を構成する応力緩和層と位相差調整層のなかでは、応力緩和層(応力緩和層が1層の場合はその層、2層以上の場合はいずれかの層)が最も透明基板側に形成されていること、特に、透明基板に接して形成されていることが好ましい。応力緩和層を透明基板と接するように配置すれば、透明基板に起因する透明基板と接する部分の膜応力を効率的に緩和して、単層構造のハーフトーン位相シフト膜と比べて、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜応力をより低減することができ、ハーフトーン位相シフト膜を膜パターンに加工する際の加工精度がより向上する。
このようなハーフトーン位相シフト膜として具体的には、透明基板側から順に、応力緩和層と位相差調整層とが形成された2層構造のハーフトーン位相シフト膜、透明基板側から順に、応力緩和層と2層の位相差調整層とが形成された3層構造のハーフトーン位相シフト膜、透明基板側から順に、応力緩和層と位相差調整層と応力緩和層とが形成された3層構造のハーフトーン位相シフト膜などが挙げられる。応力緩和層が透明基板に接して形成されているハーフトーン位相シフト膜は、透過率、位相差及び膜厚が同じ単層構造のハーフトーン位相シフト膜と比べて膜応力がより低く、また、後述する熱処理や赤外線を含む光をパルス照射する処理による膜応力の低減効果が高いため、特に有効である。また、ハーフトーン位相シフト膜を構成する応力緩和層と位相差調整層において、応力緩和層を最も表面側(基板から離間する側)に形成すること、特に2層構造においては、基板側から順に位相差調整層、応力緩和層とすることによって、ハーフトーン位相シフト膜の表面側からの反射率を高くすることができ、欠陥検出感度を上げることができる。
また、ハーフトーン位相シフト膜を3層以上で構成する場合は、各々の位相差調整層(位相差調整層が1層の場合はその層、2層以上の場合は全ての層)が、いずれかの応力緩和層に接するように積層すること、特に、応力緩和層と位相差調整層とを交互に積層することが好ましい。位相差調整層を応力緩和層に接するように積層すれば、応力緩和層と比べて膜応力が高い位相差調整層の膜応力を効率的に緩和して、単層構造のハーフトーン位相シフト膜と比べて、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜応力をより低減することができ、ハーフトーン位相シフト膜を膜パターンに加工する際の加工精度がより向上する。
このようなハーフトーン位相シフト膜として具体的には、透明基板側から順に、位相差調整層と応力緩和層と位相差調整層とが形成された3層構造のハーフトーン位相シフト膜、透明基板側から順に、応力緩和層と2層の位相差調整層と応力緩和層とが形成された4層構造のハーフトーン位相シフト膜、透明基板側から、位相差調整層と応力緩和層とが、位相差調整層又は応力緩和層から順に交互に形成された4層構造のハーフトーン位相シフト膜などが挙げられる。透明基板側から順に、位相差調整層と応力緩和層と位相差調整層とが形成された3層構造のハーフトーン位相シフト膜などの、応力緩和層と位相差調整層とが交互に積層されたハーフトーン位相シフト膜は、透過率、位相差及び膜厚が同じ単層構造のハーフトーン位相シフト膜と比べて膜応力がより低く、また、後述する熱処理や赤外線を含む光をパルス照射する処理による膜応力の低減効果が高いため、特に有効である。
本発明のハーフトーン位相シフト膜は、遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる膜、即ち、遷移金属ケイ素酸化窒化物の膜であるが、これら以外の元素を不純物量で含むものを排除するものではない。ハーフトーン位相シフト膜は、透過率が9%以上の高透過率のハーフトーン位相シフト膜とし、かつその加工性を確保するために、遷移金属の平均含有率を3原子%以上、好ましくは5原子%以上とする。また、遷移金属の平均含有率は、10原子%以下、特に8原子%以下、とりわけ7原子%以下であることが好ましい。遷移金属の平均含有率が10原子%を超えると、膜の洗浄耐性や、露光光の照射耐性に劣る場合がある。
一方、ハーフトーン位相シフト膜のケイ素の平均含有率は30原子%以上、特に33原子%以上で、45原子%以下、特に40原子%以下、酸素の平均含有率は10原子%以上、特に12原子%以上で、45原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。なお、窒素の平均含有率は、実質的に残部である。ここで、ハーフトーン位相シフト膜中の平均含有率は、ハーフトーン位相シフト膜を構成する全ての層中に含まれる原子の全量に対する各々の元素の総量の比率(百分率)に相当する。
ハーフトーン位相シフト膜を構成する各々の層の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素の含有率は、遷移金属及びケイ素については、応力緩和層及び位相差調整層のいずれの場合も、遷移金属は3原子%以上、特に5原子%以上で、10原子%以下、特に7原子%以下、ケイ素は30原子%以上、特に33原子%以上で、45原子%以下、特に40原子%以下であることが好ましい。一方、酸素の含有率は、応力緩和層の場合は、5原子%以上、特に10原子%以上で、35原子%以下、特に30原子%以下、とりわけ20原子%以下であることが好ましく、位相差調整層の場合は、7原子%以上、特に12原子%以上で、60原子%以下、特に50原子%以下、とりわけ40原子%以下であることが好ましい。なお、この場合も窒素の含有率は、実質的に残部である。
本発明においては、位相差調整層に対して、酸素の含有率が2原子%以上低い応力緩和層が適用され、これによりハーフトーン位相シフト膜の膜応力の低減のために、応力緩和層を有効に機能させることができるが、ハーフトーン位相シフト膜中の酸素の平均含有率が26原子%以上の場合、特に、ハーフトーン位相シフト膜を構成する複層の全ての層の酸素の含有率が26原子%以上の場合は、多量の酸素の含有が膜応力の増大により大きく影響するため、応力緩和層と位相差調整層との間の酸素の含有率の差を10原子%以上、特に15原子%以上に設定することが好ましい。
応力緩和層の膜厚(応力緩和層が2層以上の場合は、それらの合計の膜厚)は、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜厚に対して薄すぎる場合には、応力緩和層による膜応力の十分な低減が見込めず、一方、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜厚に対して厚すぎる場合には、所定の高透過率を確保するために、位相差調整層の酸素の含有率をより高くする必要が生じて、かえって膜応力が高くなる場合や、酸素の含有率が低い応力緩和層の割合が高いため、ハーフトーン位相シフト膜全体における酸素の含有率が十分に上げられず、所定の透過率を確保できなくなる場合がある。そのため、ハーフトーン位相シフト膜全体の膜厚に対して、応力緩和層の膜厚は5%以上、特に10%以上で、50%以下、特に30%以下とすることが好ましい。
本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクは、透明基板上に、上述した応力緩和層と位相差調整層とからなるハーフトーン位相シフト膜と、透明基板とハーフトーン位相シフト膜との間、及びハーフトーン位相シフト膜の透明基板と離間する側の一方又は双方に必要に応じて形成される他の膜とを、フォトマスクブランクにおける公知の方法で成膜することにより製造することができる。
ハーフトーン位相シフト膜は、反応性スパッタリングにより成膜することが好適である。具体的には、スパッタチャンバー内に透明基板を収容し、ターゲットとして、遷移金属ターゲット、遷移金属ケイ素ターゲット、ケイ素ターゲットなど、スパッタガスとして、酸素ガス(O2)、窒素ガス(N2)、酸化窒素ガス(N2O、NO2)等の反応性ガス、アルゴンガス(Ar)等の希ガスなどを用い、成膜する応力緩和層又は位相差調整層の組成に応じて、ターゲットに印加する電力及びスパッタガスの流量を調整して、スパッタリングすることにより成膜することができる。そして、応力緩和層及び位相差調整層の所望の順と所定の層数に応じて、スパッタリング条件を順次変更し、各々の層の厚さに応じてスパッタリング時間を設定すれば、応力緩和層と位相差調整層とからなる複層構成のハーフトーン位相シフト膜を成膜することができる。なお、スパッタリング圧力は0.01Pa以上0.5Pa以下とすることが好ましい。
透明基板上に成膜したハーフトーン位相シフト膜には、250℃以上、特に300℃以上で、600℃以下、特に500℃以下の温度で、2時間以上、好ましくは4時間以上保持する熱処理を施すことが好ましい。熱処理することにより、ハーフトーン位相シフト膜の膜応力を低減させることができる。この熱処理の方法としては、電気炉等の熱処理炉などの中に、ハーフトーン位相シフト膜を形成した透明基板を収容して、所定温度で所定時間加熱する方法などが挙げられる。熱処理は、ハーフトーン位相シフト膜の透明基板と離間する側に他の膜が形成されていない状態で実施しても、ハーフトーン位相シフト膜の透明基板と離間する側に他の膜を形成した後に実施してもよい。なお、熱処理時間の上限は、特に限定されるものではないが、膜応力の低減効果と生産性とを考慮すれば、通常6時間以下である。
また、透明基板上に成膜したハーフトーン位相シフト膜には、赤外線を含む光をパルス照射する処理を施すことも好適である。赤外線を含む光をパルス照射することにより、ハーフトーン位相シフト膜の膜応力を低減させることができる。このパルス照射処理は、上述した熱処理と組み合わせて実施すると効果的であり、パルス照射処理を実施する前に、熱処理を実施しておくと、膜応力の低減に最も効果的である。パルス照射処理は、ハーフトーン位相シフト膜の透明基板と離間する側に他の膜を形成した後に実施することも可能であるが、ハーフトーン位相シフト膜に、ハーフトーン位相シフト膜の透明基板と離間する側に他の膜が形成されていない状態で実施した方が、光をハーフトーン位相シフト膜に直接照射できるので好ましい。
赤外線を含む光をパルス照射するための光源としては、フラッシュランプが好適である。フラッシュランプは、短時間発光する連続した幅の広い波長領域をもつ光源で、例えばキセノン等のガスをガラス等の光を通す材料でできた管に封入し、これに高電圧をパルス状に印加することによって発生する光を光源としたランプである。パルス照射処理により膜に与えるエネルギーは、膜の組成によって異なるが、累積で15J/cm2以上、特に20J/cm2以上で、35J/cm2以下、特に30J/cm2以下とすることが好ましい。
赤外線を含む光をパルス照射する処理は、特に、透過率が9%以上12%以下の範囲のハーフトーン位相シフト膜に効果的である。一方、透過率が12%を超えるハーフトーン位相シフト膜では、照射エネルギー当たりの膜応力の低減効果が小さくなり、それを補うために大量のエネルギーを照射すれば、経済的に不利であり、また、照射装置内での装置由来の材質の混入による汚染や、膜質の変化などの弊害も懸念されるため、透過率が12%を超えるハーフトーン位相シフト膜、特に、透過率が15%以上で、40%以下、特に30%以下のハーフトーン位相シフト膜には、熱処理を実施し、赤外線を含む光をパルス照射する処理は実施しないことが好ましい。
本発明のハーフトーン位相シフト膜を構成する遷移金属、即ち、応力緩和層及び位相差調整層を構成する遷移金属、及びハーフトーン位相シフト膜の成膜に用いるターゲットを構成する遷移金属として具体的には、モリブデン、ジルコニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、クロム、タンタルなどが挙げられ、これらの遷移金属から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、なかでも、モリブデンを用いることが特に好ましい。
本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクは、透明基板上に、上述した応力緩和層と位相差調整層とからなるハーフトーン位相シフト膜のパターンが形成されたものであり、本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクから、ハーフトーン位相シフト膜を、フォトマスクブランクの膜のパターニングに適用される公知の方法でパターニングすることにより製造することができる。具体的には、例えば、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク上に、必要に応じてレジスト膜を成膜し、レジスト膜を常法によりパターニングした後、得られたレジスト膜パターンをエッチングマスクとして、その下方の膜を、ドライエッチングによりパターニングし、更に、必要に応じて、レジスト膜パターンや、先に形成された膜パターンをエッチングマスクとして、その下方の膜や透明基板を、順にドライエッチングによりパターニングし、不要な膜を除去することにより製造することができる。ドライエッチングは、膜の組成に応じて、塩素系ドライエッチング、フッ素系ドライエッチングなどから選択すればよいが、本発明のハーフトーン位相シフト膜のドライエッチングには、通常、フッ素系ドライエッチングが適用される。
本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクから製造されるハーフトーン位相シフト型フォトマスクは、被加工基板にハーフピッチ50nm以下、特に30nm以下、とりわけ20nm以下のパターンを形成するフォトリソグラフィにおいて、被加工基板上に形成したフォトレジスト膜に、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)などの波長200nm以下の露光光でパターンを転写するパターン露光において、特に有効である。
本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクから製造されたハーフトーン位相シフト型フォトマスクを用いたパターン露光では、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクを用い、ハーフトーン位相シフト膜のパターンを含むフォトマスクパターンに、露光光を照射して、被加工基板上に形成したフォトマスクパターンの露光対象であるフォトレジスト膜に、フォトマスクパターンを転写する。露光光の照射は、ドライ条件による露光でも、液浸露光でもよいが、本発明のハーフトーン位相シフト型フォトマスクは、実生産において比較的短時間に累積照射エネルギー量が上がってしまう、液浸露光により300mm以上のウェハーを被加工基板として、フォトマスクパターンを露光する際に、特に有効である。
以下、実験例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
[実験例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を65sccmで固定し、酸素ガスの流量を、各々、0sccm、3sccm、6sccm、10sccm、15sccmとして、露光光(ArFエキシマレーザ(波長193nm)、以下同じ)に対する位相差が177°となるように、5種のMoSiONからなるハーフトーン位相シフト膜を成膜した。
得られた各々のハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIR(Total Indicator Reading)を、フラットネステスタ(UltraFlat Type−G、Corning Tropel社製)により測定(以下のTIRの測定において同じ)し、事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)により膜応力を評価した。各々の条件で成膜したハーフトーン位相シフト膜の酸素含有率とΔTIRとの関係を図1に示す。図1に示されるように、酸素の含有率が低い膜ほど、単位位相差当たりの膜応力は低くなる。
[実施例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を65sccmで固定し、酸素ガスの流量を、各々6.6sccm、13.6sccm、17.6sccmとして、透明基板側から順に、応力緩和層(厚さ28nm)、第1の位相差調整層(厚さ43nm)及び第2の位相差調整層(厚さ42nm)のMoSiONからなる3層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.30μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.25μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置LA3020F(大日本スクリーン製造(株)製、以下の例において同じ)を用いて、照射エネルギーが29.1J/cm2となる照射条件(予めカロリーメータにより測定して決定、以下の照射条件において同じ)で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.24μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は30%、位相差は177°であり、膜厚は113nmであった。応力緩和層中のモリブデン含有率は4.2原子%、ケイ素含有率は35.9原子%、酸素含有率は31.8原子%、窒素含有率は28.1原子%、第1の位相差調整層中のモリブデン含有率は3.5原子%、ケイ素含有率は32.6原子%、酸素含有率は49.1原子%、窒素含有率は14.8原子%、第2の位相差調整層中のモリブデン含有率は3.2原子%、ケイ素含有率は31.5原子%、酸素含有率は57.1原子%、窒素含有率は8.2原子%であった。また、ハーフトーン位相シフト膜全体の平均として、モリブデン含有率が3.6原子%、ケイ素含有率が33.0原子%、酸素含有率が47.8原子%、窒素含有率が15.6原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
[比較例1]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を65sccm、酸素ガスの流量を15sccmとして、MoSiONからなる単層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.37μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.32μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが29.1J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.32μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は30%、位相差は177°であり、膜厚は114nmであった。また、ハーフトーン位相シフト膜中のモリブデン含有率は3.5原子%、ケイ素含有率は33.6原子%、酸素含有率は47.5原子%、窒素含有率は15.4原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
実施例1と比較例1とを対比すると、透過率及び位相差は同じ、膜厚も同程度であるが、成膜後のΔTIR、熱処理後のΔTIR及びパルス照射処理後のΔTIRのいずれにおいても、実施例1のハーフトーン位相シフト膜の方が優位であり、高透過率のハーフトーン位相シフト膜として、酸素含有率が低い応力緩和層と酸素含有率が高い位相差調整層との複層からなる膜が、膜応力の低減に有効であることがわかる。
[実施例2]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を65sccmで固定し、酸素ガスの流量を、各々6sccm、1sccm、5sccmとして、透明基板側から順に、第1の位相差調整層(厚さ35nm)、応力緩和層(厚さ11nm)及び第2の位相差調整層(厚さ35nm)のMoSiONからなる3層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.16μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.11μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが29.1J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.09μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は15%、位相差は180°であり、膜厚は81nmであった。第1の位相差調整層中のモリブデン含有率は4.5原子%、ケイ素含有率は37.0原子%、酸素含有率は25.3原子%、窒素含有率は33.2原子%、応力緩和層中のモリブデン含有率は5.2原子%、ケイ素含有率は39.9原子%、酸素含有率は8.2原子%、窒素含有率は46.7原子%、第2の位相差調整層中のモリブデン含有率は4.8原子%、ケイ素含有率は37.6原子%、酸素含有率は21.0原子%、窒素含有率は36.6原子%であった。また、ハーフトーン位相シフト膜全体の平均として、モリブデン含有率が4.7原子%、ケイ素含有率が37.7原子%、酸素含有率が21.1原子%、窒素含有率が36.5原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
[比較例2]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を65sccm、酸素ガスの流量を6.5sccmとして、MoSiONからなる単層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.21μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.15μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが29.1J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.14μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は15%、位相差は180°であり、膜厚は81nmであった。また、ハーフトーン位相シフト膜中のモリブデン含有率は4.8原子%、ケイ素含有率は37.8原子%、酸素含有率は21.1原子%、窒素含有率は36.3原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
実施例2と比較例2とを対比すると、透過率、位相差及び膜厚は同じであるが、成膜後のΔTIR、熱処理後のΔTIR及びパルス照射処理後のΔTIRのいずれにおいても、実施例2のハーフトーン位相シフト膜の方が優位であり、高透過率のハーフトーン位相シフト膜として、酸素含有率が低い応力緩和層と酸素含有率が高い位相差調整層との複層からなる膜が、膜応力の低減に有効であることがわかる。
[実施例3]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を58sccmで固定し、酸素ガスの流量を、各々3.5sccm、4.5sccmとして、透明基板側から順に、応力緩和層(厚さ37nm)及び位相差調整層(厚さ38nm)のMoSiONからなる2層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.23μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.18μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが26.8J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は+0.01μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は12%、位相差は177°であり、膜厚は75nmであった。また、応力緩和層中のモリブデン含有率は5.0原子%、ケイ素含有率は38.2原子%、酸素含有率は13.8原子%、窒素含有率は43.0原子%、位相差調整層中のモリブデン含有率は5.4原子%、ケイ素含有率は38.2原子%、酸素含有率は15.8原子%、窒素含有率は40.6原子%であった。また、ハーフトーン位相シフト膜全体の平均として、モリブデン含有率が5.2原子%、ケイ素含有率が38.2原子%、酸素含有率が14.9原子%、窒素含有率が41.7原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
[比較例3]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を300W、Siターゲットに印加する電力を1,700W、アルゴンガスの流量を18sccm、窒素ガスの流量を58sccm、酸素ガスの流量を4.2sccmとして、MoSiONからなる単層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.25μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.20μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが26.8J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.03μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は12%、位相差は177°であり、膜厚は75nmであった。また、ハーフトーン位相シフト膜中のモリブデン含有率は5.3原子%、ケイ素含有率は38.3原子%、酸素含有率は15.6原子%、窒素含有率は40.8原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
実施例3と比較例3とを対比すると、透過率、位相差及び膜厚は同じであるが、成膜後のΔTIR、熱処理後のΔTIR及びパルス照射処理後のΔTIRのいずれにおいても、実施例3のハーフトーン位相シフト膜の方が優位であり、高透過率のハーフトーン位相シフト膜として、酸素含有率が低い応力緩和層と酸素含有率が高い位相差調整層との複層からなる膜が、膜応力の低減に有効であること、また、この場合、赤外線を含む光のパルス照射で、より少ない照射エネルギー量で膜応力が低減できており、膜応力の低減に特に効果的であることがわかる。
[実施例4]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を400W、Siターゲットに印加する電力を1,600W、アルゴンガスの流量を17sccm、窒素ガスの流量を55sccmで固定し、酸素ガスの流量を、各々3.6sccm、4.6sccmとして、透明基板側から順に、応力緩和層(厚さ21nm)及び位相差調整層(厚さ54nm)のMoSiONからなる2層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.28μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.21μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが23.4J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は+0.01μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は9%、位相差は177°であり、膜厚は75nmであった。また、応力緩和層中のモリブデン含有率は6.3原子%、ケイ素含有率は38.3原子%、酸素含有率は13.0原子%、窒素含有率は42.4原子%、位相差調整層中のモリブデン含有率は7.0原子%、ケイ素含有率は38.2原子%、酸素含有率は15.0原子%、窒素含有率は39.8原子%であった。また、ハーフトーン位相シフト膜全体の平均として、モリブデン含有率が6.8原子%、ケイ素含有率が38.3原子%、酸素含有率が14.2原子%、窒素含有率が40.7原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
[比較例4]
スパッタ装置のチャンバー内に、152mm角、厚さ6.35mmの6025石英基板を収容し、スパッタターゲットとしてMoSiターゲットとSiターゲット、スパッタガスとしてアルゴンガス、窒素ガス及び酸素ガスを用い、MoSiターゲットに印加する電力を400W、Siターゲットに印加する電力を1,600W、アルゴンガスの流量を17sccm、窒素ガスの流量を55sccm、酸素ガスの流量を4.4sccmとして、MoSiONからなる単層構造のハーフトーン位相シフト膜を成膜した。得られたハーフトーン位相シフト膜について、成膜後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、成膜後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.31μmであった。
次に、ハーフトーン位相シフト膜を成膜した透明基板に対し、熱処理炉にて300℃で6時間の熱処理を施し、熱処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、熱処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.24μmであった。
更に、熱処理後のハーフトーン位相シフト膜に対し、フラッシュランプアニール装置を用いて、実施例1と同様にして、照射エネルギーが23.4J/cm2となる照射条件で、赤外線を含む光をパルス照射処理して、ハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを得た。得られたハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクについて、パルス照射処理後のTIRを測定した。事前に測定しておいた成膜前の(即ち、石英基板の)TIRの値から、パルス照射処理後のTIRの値を引いた差(ΔTIR)は−0.04μmであった。
ハーフトーン位相シフト膜の露光光に対する透過率は9%、位相差は177°であり、膜厚は75nmであった。また、ハーフトーン位相シフト膜中のモリブデン含有率は6.8原子%、ケイ素含有率は37.2原子%、酸素含有率は14.3原子%、窒素含有率は41.7原子%であった。成膜条件、膜組成、照射エネルギー量、ΔTIR、膜厚、透過率及び位相差を表1に示す。
実施例4と比較例4とを対比すると、透過率、位相差及び膜厚は同じであるが、成膜後のΔTIR、熱処理後のΔTIR及びパルス照射処理後のΔTIRのいずれにおいても、実施例4のハーフトーン位相シフト膜の方が優位であり、高透過率のハーフトーン位相シフト膜として、酸素含有率が低い応力緩和層と酸素含有率が高い位相差調整層との複層からなる膜が、膜応力の低減に有効であること、また、この場合、赤外線を含む光のパルス照射で、より少ない照射エネルギー量で膜応力が低減できており、膜応力の低減に特に効果的であることがわかる。
Figure 0006544300

Claims (14)

  1. 透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜とを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクであって、
    上記ハーフトーン位相シフト膜が、
    遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
    遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
    1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
    上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であることを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  2. 上記ハーフトーン位相シフト膜が、透明基板に接して形成されていることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  3. 最も透明基板側に形成されている層が、上記応力緩和層であることを特徴とする請求項2記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  4. 上記ハーフトーン位相シフト膜が3層以上で構成され、各々の位相差調整層が、いずれかの応力緩和層に接するように積層されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  5. 上記遷移金属の含有量が5原子%以上10原子%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  6. 上記遷移金属が、モリブデンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  7. 上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が9%以上12%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  8. 上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が15%以上30%以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  9. 被加工基板にハーフピッチ50nm以下のパターンを形成するフォトリソグラフィにおいて、上記被加工基板上に形成したフォトレジスト膜に、波長200nm以下の露光光で上記パターンを転写するパターン露光に用いるハーフトーン位相シフト型フォトマスク用であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランク。
  10. 透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜とを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクを製造する方法であって、
    透明基板上に、
    遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
    遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
    1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
    上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であるハーフトーン位相シフト膜を形成する工程
    を含むことを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
  11. 上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が9%以上12%以下であり、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜に、赤外線を含む光をパルス照射する工程を含むことを特徴とする請求項10記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
  12. 上記赤外線を含む光をパルス照射する工程の前に、更に、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜を、250℃以上600℃以下で2時間以上保持して熱処理する工程を含むことを特徴とする請求項11記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
  13. 上記ハーフトーン位相シフト膜の透過率が15%以上30%以下であり、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜を、250℃以上600℃以下で2時間以上保持して熱処理する工程を含み、透明基板上に形成された上記ハーフトーン位相シフト膜に、赤外線を含む光をパルス照射する工程を含まないことを特徴とする請求項10記載のハーフトーン位相シフト型フォトマスクブランクの製造方法。
  14. 透明基板と、該透明基板上に形成された、波長200nm以下の光に対し、透過率が9%以上40%以下、位相差が150°以上200°以下であるハーフトーン位相シフト膜のパターンとを有するハーフトーン位相シフト型フォトマスクであって、
    上記ハーフトーン位相シフト膜が、
    遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなり、
    遷移金属の平均含有率が3原子%以上であり、かつ
    1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる応力緩和層と、1層又は2層以上の遷移金属、ケイ素、酸素及び窒素からなる位相差調整層とからなる複層で構成され、
    上記応力緩和層が、酸素の含有率が3原子%以上、かつ酸素の含有率が最も低い層であり、上記位相差調整層が、酸素の含有率が5原子%以上、かつ上記応力緩和層よりも酸素の含有率が2原子%以上高い層であることを特徴とするハーフトーン位相シフト型フォトマスク。
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