JP2005316512A - 位相シフトマスクブランクの製造方法、位相シフトマスクの製造方法、及びパターン転写方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明基板上に、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法であって、透明基板上に、70〜95mol%のシリコンと、金属とを含んだターゲットを窒素を含む雰囲気中でスパッタリングすることにより、窒素、金属及びシリコンとを含み、圧縮応力を有する光半透過膜を形成した後、光半透過膜を、該光半透過膜上に形成されるレジスト膜のベーク温度よりも高い温度で熱処理して、光半透過膜の内部応力を低減する。
【選択図】 なし
Description
位相シフトマスクは、光強度情報と位相情報とを併有するマスクであり、レベンソン(Levenson)型、補助パターン型、自己整合型(エッジ強調型)などの各種タイプが知られている。これらの位相シフトマスクは、光強度情報しか有しない従来のフォトマスクに比べ、構成が複雑で製造にも高度の技術を要する。
このハーフトーン型の位相シフトマスクは、光半透過部が、露光光を実質的に遮断する遮光機能と、光の位相をシフト(通常は反転)させる位相シフト機能との二つの機能を兼ね備えることになるので、遮光膜パターンと位相シフト膜パターンを別々に形成する必要がなく、構成が単純で製造も容易であるという特徴を有している。
この位相シフトマスクは、光半透過部を、モリブデンなどの金属、シリコン、及び酸素を主たる構成要素とする物質からなる薄膜で構成したものである。具体的には、この物質は、例えば、酸素、モリブデン及びシリコンを含む物質(MoSiO系材料と略す)、あるいは、酸素、窒素、モリブデン及びシリコンを含む物質(MoSiON系材料と略す)である。
さらに、耐酸性、耐光性、導電性等の特性を向上させた光半透過部を有する位相シフトマスクについて、本願出願人は先に出願を行っている(特許第2966369号公報)。この位相シフトマスクは、光半透過部を、モリブデンなどの金属、シリコン、及び窒素を主たる構成要素とする物質からなる薄膜で構成したものである。具体的には、この物質は、例えば窒素、モリブデン及びシリコンを含む物質(MoSiN系材料と略す)である。
すなわち、上述したように、位相シフトマスクの光半透過部の膜材料の設計において、位相角及び透過率の調節は、構成要素の含有量を選択することによって行い、その際に透過率は酸素及び/又は窒素の含有量を設定することによって調整を行う。しかしながら、MoSiN系材料を用いた場合は、窒素のみで透過率を調整しなくてはならないために、所望の透過率を得るための透過率の微調整が難しい場合があった。そこで、さらに酸素を加える方法も考えられるが、酸素を加えると透過率の変化率が大きく、微調整が難しいばかりか、耐薬品性、露光光に対する耐光性の面で窒素のみの場合に比べて劣ってしまうという懸念もある。
また、マスクの洗浄液に対する耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)についても、露光波長の短波長化に伴い要求が厳しくなり、従来よりも高い耐薬品性が要求されている。
さらに、最近では、パターンの微細加工がさらに進んでいるため、光半透過膜の内部応力が問題視され始めている。しかしながら、所定の透過率と位相角を得るために組成を調整した場合、必ずしも絶対値の低い内部応力の膜が得られないという問題点があった。
前記透明基板上に、窒素、金属及びシリコンを主たる構成要素とする薄膜を少なくとも1層含む光半透過膜を形成した後、該光半透過膜を150℃以上で熱処理を行うことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
前記透明基板上に、酸素及び/又は窒素、及びシリコンを含む薄膜を少なくとも1層含む光半透過膜を形成した後、該光半透過膜を380℃以上で熱処理を行うことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
前記透明基板上に圧縮応力を有する薄膜を少なくとも1層含む一層又は多層の薄膜を形成した後、前記一層又は多層の薄膜の成膜前後における平面度変化量が0.5μm以下となるように熱処理を行うことを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
前記透明基板上に、光半透過膜のパターンを形成した後、該光半透過膜のパターンを150℃以上で熱処理を行うことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法。
本発明の位相シフトマスクブランクの製造方法は、前記透明基板上に、窒素、金属及びシリコンを主たる構成要素とする薄膜からなる光半透過膜を形成した後、この光半透過膜の熱処理を行うことで、光半透過膜の耐薬品性の向上、露光光に対する耐光性の向上、透過率の微調整、及び内部応力の低減を図ることができる。
このように酸素を含まない薄膜で光半透過部を構成することで、酸素を含む場合に比べ、耐酸性が向上し、放電が安定化するが、これだけでは十分とは言えない。
そこで、上記の光半透過膜又は光半透過部を形成した後、150℃以上で熱処理を行う。熱処理温度が150℃よりも低いと、耐薬品性の向上、及び内部応力を低減する上で効果的ではない。熱処理温度は、好ましくは200℃以上、さらに好ましくは250℃以上であり、300℃以上、350℃以上、380℃以上がより好ましい。即ち、温度を高くすれば高くするほど、耐薬品性は向上し、内部応力は低減されるが、透過率の変化量も増加する。従って、目的の透過率変化に応じて熱処理温度を設定することが好ましい。また、耐薬品性の向上及び内部応力の低減効果を優先させる場合は、あらかじめ熱処理による透過率の変化量を見込んだ膜設計を行い、熱処理により所望の透過率及び所望の耐薬品性と内部応力を得るようにしてもよい。例えば、内部応力の改善を目的とする場合、380℃以上であれば熱処理温前に比べ平面度変化量で0.3μm以上改善することができ、550℃以上であれば熱処理温前に比べ0.6μm以上改善することができる。なお、あまり温度を高くすると、温度の上昇及び下降の時間が長くなるため、生産性が悪化するという問題がある。そのため、熱処理温度は700℃以下であることが好ましい。熱処理時間は、光半透過膜全体に熱が到達する時間であればよく、例えば1分以上で充分である。
熱処理する雰囲気は、酸素等の反応性雰囲気を含まないことが好ましい。反応性雰囲気を含むと、熱処理により膜厚方向の組成が変化してしまうからである。従って、好ましい雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスである。
なお、この熱処理は、透明基板上に光半透過膜を形成した後(ブランクの状態)で行ってもよく、また光透過膜をパターニングした後(マスクの状態)で行ってもよい。但し、微細パターンを高温で熱処理すると、パターン形状が悪化してしまう恐れがある。なお、ブランクの状態で行うことにより、その後のレジストのべーク工程(200℃以下、例えば約180℃)における膜質変動を抑制する効果もある。そのような効果を得ようとする場合は、レジストのベーク温度よりも高い温度(例えば200℃以上)で熱処理することが好ましい。
なお、光半透過膜としては、単層構造のものや、例えば低透過率層と高透過率層とを2層又はそれ以上積層し位相角及び透過率が所望の値となるように設計された多層構造のものが含まれる。多層構造の場合、多層構造中の少なくとも1層が、酸素及び/又は窒素、及びシリコンを含む薄膜又は圧縮応力を有する薄膜である場合、本発明の内部応力低減効果は得られる。
即ち、酸素及び/又は窒素、及びシリコンを含む薄膜、特に酸素及び/又は窒素、金属及びシリコンとから実質的になる薄膜、又は、酸素及び/又は窒素、及びシリコンとから実質的になる薄膜、即ち、SiN、SiON、SiOがマトリックスとして存在する膜は、圧縮応力を有し、成膜条件によってはそれが顕著に現れてしまう。そのため、成膜の後工程において、応力改善効果が実用的レベルとなる380℃以上に熱処理することによって内部応力の改善を図ったものである。
なお、光半透過膜としては、単層構造のものや、例えば低透過率層と高透過率層とを2層又はそれ以上積層し位相角及び透過率が所望の値となるように設計された多層構造のものが含まれる。多層構造の場合、多層構造中の少なくとも1層が、酸素及び/又は窒素、及びシリコンを含む薄膜又は圧縮応力を有する薄膜である場合、本発明の内部応力低減効果は得られる。
また、パターンを形成するための薄膜とは、フォトマスクにおける例えば、遮光膜(クロム又はクロムに酸素、窒素、炭素等を含むクロム化合物、その他のクロム化合物等)及びハーフトーン型位相シフトマスク(金属とケイ素に酸素及び/又は窒素を含む材料、酸化クロム、フッ化クロム等)における光半透過膜等を含む。このようなフォトマスクにおいて、成膜工程後の熱処理により平面度変化量で0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下とすることによって、微細パターン加工に相応しいフォトマスクを得ることができる。即ち、半導体の微細化に伴い、リソグラフィーに用いる光源の短波長化、露光装置のレンズの高NA化が進んでいるが、露光装置のレンズの高NA化と焦点深度の確保は相反する関係にあるため、焦点深度を確保するためにフォトマスクの高い平面度が要求されており、本発明によるフォトマスクはこのような要求を満足させることができる。ここで、平面度変化量とは、薄膜が形成されていない透明基板に対する薄膜形成後における透明基板の平面度変化量であり、基板の端部(例えば3mmの範囲)を除外した範囲内の基板の平均面からの最高点と最低点における高さの差で定義する。この場合、材料あるいは成膜方法の選定により薄膜が圧縮応力を有することによって、熱処理により内部応力低減の効果が得られる。
酸素及び/又は窒素、及びシリコンを含む薄膜を少なくとも1層含む光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクについては、この光半透過膜を380℃以上で熱処理を行うことにより、熱処理前に比べ平坦度変化量で0.3μm以上改善することができる。
通常よく用いられる金属はモリブデンであるが、モリブデンは上記金属の中で特に、透過率の制御性と金属とケイ素を含有するスパッタリングターゲットを用いた場合夕一ゲット密度が大きく、膜中のパーティクルを少なくすることができるという点において優れている。チタン、バナジウム、ニオブはアルカリ溶液に対する耐久性に優れているが、ターゲット密度においてモリブデンに若干劣っている。タンタルはアルカリ溶液に対する耐久性及びタ一ゲット密度において優れているが、透過率の制御性においてモリブデンに若干劣っている。タングステンはモリブデンとよく似た性質を持っているが、スパッタリング時の放電特性においてモリブデンより若干劣っている。ニッケルとパラジウムは、光学特性、及びアルカリ溶液に対する耐久性の面では優れているが、ドライエッチングがやや困難である。ジルコニウムは、アルカリ溶液に対する耐久性に優れているが、ターゲット密度においてモリブデンに劣っており、かつドライエッチングがやや困難である。
これらのことを考慮すると現在のところモリブデンが最も好ましい。
本発明では、例えば、モリブデンシリサイドの窒化物、タンタルシリサイドの窒化物、タングステンシリサイドの窒化物、チタンシリサイドの窒化物、あるいは、これらの物質の一種以上と窒化ケイ素及び/又は金属窒化物との混合物などと称される物質も、光半透過膜又は光半透過部を構成する物質として含む。
また、本発明では、例えば、窒化モリブデンシリサイド(MoSiN)、窒化タンタルシリサイド(TaSiN)、窒化タングステンシリサイド(WSiN)、窒化チタンシリサイド(TiSiN)等の従来一般的に表記されている物質も、光半透過部を構成する物質として含む。
d=(φ/360)×[λ/(n−1)] (1)
式(1)における位相シフト量φは、180°であることが解像度向上の観点から最も望ましいが、実用的には160°〜200°程度であってもよい。
この際、光半透過部の表面から一定深さの領域(表面層)における膜組成が、洗浄性や導電性などに影響を与えるため重要である。
シリコンの含有率は、主として透過率に影響を与える。
シリコンの含有率が30原子%未満であると高透過率が得られにくくなり、60原子%を越えると石英基板等とのエッチング選択性が低下する。この観点から、シリコンの含有率は、40〜50原子%とすることがより好ましい。
金属及びシリコンの比率は、主として耐酸性、耐光性に影響を与える。
金属及びシリコンの比率が1.5未満であると耐酸性が悪くなり、19.0を越えると抵抗が高くなる。この観点から、金属及びシリコンの比率は、金属:シリコン=1:2.0〜12.0とすることがより好ましい。
窒素の含有率は、シリコンと同様に主として透過率及びエッチング特性に影響を与える。
窒素の含有率が30原子%未満であると高透過率が得られにくくなり、60原子%を越えるとエッチングレートが極端に速くなるためCDコントロールが難しくなる。
これは、ターゲット中のシリコン含有量が95mol%より多いと、DCスパッタリングにおいては、ターゲット表面上(エロージョン部)に電圧をかけにくくなる(電気が通りにくくなる)ため、放電が不安定となり、また70mol%より少ないと、高光透過率の光半透過部を構成する膜が得られないからである。
なお、成膜時の放電安定性は膜質にも影響し、放電安定性に優れると良好な膜質の光半透過部が得られる。
ArFエキシマレーザー用の場合、スパッタリングターゲット中のシリコン含有量は、88〜95mol%が好ましい。例えば、Si:Mo=88:12〜95:5が好ましく、Si:Mo=92:8付近がより好ましい。
光半透過膜に金属及びシリコンと窒素及び酸素が含まれる場合は、窒素と酸素の合計量を50〜70原子%とすることが好ましい。50原子%未満であると高透過率が得られにくく、70原子%を超えるのは化学量論的に困難であると考えられる。
その場合、高透過率層としては、窒素、金属及びシリコンを主たる構成要素とする酸素を含まない材料からなるのものや、酸素及び/又は窒素、金属及びシリコンを主たる構成成分とする材料からなるのもや、酸素及び/又は窒素、及びシリコンを主たる構成成分とする材料からなるのもが挙げられる。また、低透過率層としては、クロム、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン等の一種又は二種以上の合金からなる金属膜、又はこれらの金属の酸化物、窒化物、酸窒化物、シリサイド等が挙げられる。
(式1) T×(1−R)×exp(−4πk1d/λ)>0.03
式1における各変数の内容は以下の通りである。
T:露光波長における透明基板の透過率、
R:露光波長における光半透過部の反射率、
k1:透明性を有する材料の露光波長における消衰係数(extinction coefficient)、
d:露光波長における位相角を180°にした場合の膜厚、
d≒λ/2/(n−1)、
λ:露光波長、
n:露光波長における光半透過部の屈折率。
(式2) k2>k1
式2における各変数の内容は以下の通りである。
k1:透明性を有する材料の露光波長における消衰係数、
k2:遮光性を有する材料の露光波長における消衰係数。
以下、実施例にもとづき本発明をさらに詳細に説明する。
ブランクの製造
モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10%:90%、圧力:0.2Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、透明基板上に窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiN)の薄膜(膜厚約670オングストローム)を形成して、ArFエキシマレーザー(波長193nm)用位相シフトマスクブランクを得た(実施例1、2、3)。
また、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=20:80mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2=10%:90%、圧力:0.2Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、透明基板上に窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiN)の薄膜(膜厚約935オングストローム)を形成して、KrFエキシマレーザー(波長248nm)用位相シフトマスクブランクを得た(実施例4、5、6)。
図3より光半透過膜の膜組成(全体の平均値)は、Moが5.7原子%、Siが37.3原子%、Nが57.0原子%であった。ESCA分析結果では、光半透過膜の石英基板側と、表面側でOが検出されている。光半透過膜の表面側は成膜後に酸化されたものであり、基板側はSiO2のOが界面で検出されたものである。このように酸化された場合、この酸化された部分における窒素の含有率が相対的に減少する。本発明で特徴付けている各組成の値は膜方向における表面側と基板側を除く膜の主要部分で考えているものである。
参考のため、図4に酸化窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiON)からなる光半透過膜のESCA分析結果を示す。
なお、膜厚は対象とする露光波長における位相角が約180°になるように調整した。
また、光半透過膜の膜厚測定のため、成膜前の基板にあらかじめマスキングを行い、成膜後にマスキングを除去する方法にて段差を作製し、触針式段差膜厚計(ランクテーラーホブソン(株)社製:クリステップ)を用いて表1における光半透過膜の膜厚を測定した。
表1において、屈折率は測定された位相角と膜厚より下記式(2)を用いて求めた。
n=[(φ×λ)/360×d]+1 (2)
式(2)において、nは光半透過部の平均屈折率、φは光半透過部の位相角、λは対象とする露光波長、dは光半透過部の膜厚である。
実施例1、2、3では、対象とする露光波長が193nmであるため、位相角は位相差測定機((レーザーテック(株)社製:MPM−193)を用いて測定した。
実施例4、5、6では、対象とする露光波長が248nmであるため、位相角は位相差測定機(レーザーテック(株)社製:MPM−248)を用いて測定した。
上記のようにして光半透過膜を形成した透明基板について、表1に示すように熱処理温度を変化させ熱処理を行った。
この際、図5に示すような縦型炉を用いて熱処理を行った。
この縦型炉は石英チューブ1を有しており、石英チューブ1の内部には石英ボート2、及び石英ボートb2には被処理物である光半透過膜を形成した透明基板3が配置されている。石英チューブ1は外周に配置されたヒーター4により加熱されている。光半透過膜を形成した透明基板3は石英チューブ1からの輻射熱により加熱される。ヒーター4の出力は石英チューブ1内に配置された熱電対5の温度により制御されている。
石英チューブ1にはガス導入口6を介して、窒素などの不満性ガスが導入されており、導入されたガスは排気口7を介して、石英チューブ外へ排気される。窒素などの不活性ガスを導入することにより、光半透過膜の表面が酸化されることを防止している。特に400℃以上の熱処理を行うときに、石英チューブ内のガス置換を行わない場合(大気中の熱処理)には、光半透過膜表面が酸化され、位相角が熱処理前に比べて低下する。
また、石英チューブ内にガスを循環させることにより、石英チューブ1の熱が効率よく光半透過膜を形成した透明基板3に伝導し、チューブ内の温度を均一にする効果が得られる。
なお、光半透過膜の透過率は大気を100%の基準とし、分光光度計((株)日立製作所社製:U−4000)を用いて測定した。
また、光半透過膜の耐酸性は、熱濃硫酸(H2SO4:96%、温度:100℃)中に120分間濠漬した前後の位相角変化で評価した。負の値は位相角が減少したことを表している。
光半透過膜の耐アルカリ性は、アンモニア過水(29%NH3:30%H2O2:H2O=1:2:10(体積比)、温度:25℃)中に120分間浸漬した前後の位相角変化で評価した。負の値は位相角が減少したことを表している。
光半透過膜の内部応力の大きさは、光半透過膜形成前後における透明基板の平面度変化で評価した。透明基板としては、1辺の長さが152mmの正方形であり、厚みが6.35mmである合成石英を用いた。基板の平面度は、基板の端3mmを除外した146mm角の範囲について測定し、基板の平均面からの最高点と最低点における高さの差で定義した。透明基板の平面度は干渉計(TROPEL社製:FlatMaster200)を用いて測定した。なお、本発明における光半透過膜は圧縮応力を有している場合が多いため、光半透過膜形成面が凸側に変形する。このような場合において膜の内部応力を精度よく測定するためには、光半透過膜形成面が凸形状である透明基板を用いて、光半透過膜形成前後の平面度を測定することが好ましい。平面度変化が正の値であることは、膜の内部応力が圧縮であることを表している。
上記位相シフトマスクブランクの窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiN)からなる薄膜上に、レジスト膜を形成し、パターン露光、現像によりレジストパターンを形成した。次いで、エッチング(SF6+Heガスによるドライエッチング)により、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる薄膜の露出部分を除去し、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる薄膜のパターン(ホール、ドット等)を得た。レジスト剥離後、100℃の98%硫酸(H2SO4)に15分間浸漬して硫酸洗浄し、純水等でリンスして、ArFエキシマレーザー用の位相シフトマスク、及びKrFエキシマレーザー用の位相シフトマスクを得た。
その結果、良好なパターン断面形状が得られ、パターンの側壁も滑らかであった。
ブランクの製造
モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)と酸素(O2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2:O2=20%:50%:30%、圧力:0.1Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、透明基板上に酸窒化されたモリブデン及びシリコン(MoSiON)の薄膜(膜厚約880オングストローム)を形成して、膜組成Mo:Si:O:N=5:30:39:26のArFエキシマレーザー(波長193nm)用位相シフトマスクブランクを得た。
熱処理
上記のようにして光半透過膜を形成した透明基板について、表3に示すように熱処理温度を変化させて、実施例1〜6と同様の方法で熱処理を行った。
表3に、透過率、熱処理前後における平面度変化量を示す。
ブランクの製造
モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=8:92mol%)を用い、アルゴン(Ar)ガス雰囲気(圧力:0.1Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、透明基板上にモリブデン及びシリコン(MoSi)の薄膜(膜厚約80オングストローム)を第1層として形成した。続いて、シリコン(Si)のターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)と酸素(O2)との混合ガス雰囲気(Ar:N2:O2=10%:60%:30%、圧力:0.1Pa)で、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、酸窒化されたシリコン(SiON)の薄膜(膜厚約860オングストローム)を第2層として形成した。
実施例9〜10における第2層の膜組成はSi:O:N=32:53:15原子%であり、第1層のMoSi薄膜との組合せで、F2エキシマレーザー(波長157nm)用の位相シフトマスクブランクとして、最適な光学特性を有するように第1層の膜組成を調整した。
熱処理
上記のようにして光半透過膜を形成した透明基板について、表4に示すように熱処理温度を変化させて、実施例1〜8と同様の方法で熱処理を行った。
表4に、透過率、熱処理前後における平面度変化量を示す。
例えば、DCスパッタリングの代わりに、RFスパッタリングによって、光半透過膜を形成してもよい。なお、RFスパッタリングにおいては、ターゲット近傍のプラズマ空間がDCスパッタリングと比較して大きいため、ターゲット近傍部分の内壁から光半透過部を構成する膜中に混入するパーティクルが多くなり、DCスパッタリングを行った場合に比べて欠陥が多くなる等の理由により、DCスパッタリングを行うことが好ましい。
また、反応性スパッタの代わりに、金属、シリコン及び窒素を含むターゲットを用いたスパッタリングによって、光半透過膜を形成してもよい。なお、反応性スパッタの方が、高密度のターゲットを使用でき、比較的放電が安定であるためパーティクルが少ない。
また、実施例において、Arガスの代わりに、ヘリウム、ネオン、キセノン等の他の不活性ガスを用いてもよい。
さらに、実施例において、Moの代わりに、Ta、W、Ti、Cr等の金属を用いてもよい。
以上説明したように本発明によれば、所定の位相角及び透過率を有し、耐薬品性、耐光性、及び内部応力などの膜特性に優れた光半透過膜又は光半透過部を有する位相シフトマスクブランクの製造方法又は位相シフトマスクの製造方法を提供できる。
200 光透過部
300 光半透過部
300a 光半透過膜
Claims (6)
- 透明基板上に、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法であって、
前記透明基板上に、70〜95mol%のシリコンと、金属とを含んだターゲットを窒素を含む雰囲気中でスパッタリングすることにより、窒素、金属及びシリコンとを含み、圧縮応力を有する光半透過膜を形成した後、
前記光半透過膜を、該光半透過膜上に形成されるレジスト膜のベーク温度よりも高い温度で熱処理して、前記光半透過膜の内部応力を低減することを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。 - 透明基板上に、光半透過膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法であって、
低透過率層と高透過率層とを2層又はそれ以上積層し位相角及び透過率が所望の値となるように設計された多層構造からなり、前記多層構造中の少なくとも1層が、酸素及び/又は窒素、及びシリコンとから実質的になり、圧縮応力を有する前記光半透過膜を形成した後、
前記光半透過膜を、該光半透過膜上に形成されるレジスト膜のベーク温度よりも高い温度で熱処理して、前記光半透過膜の内部応力を低減することを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。 - 前記光半透過膜を380℃以上で熱処理することを特徴とする請求項1又は2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
- 前記金属がモリブデンであることを特徴とする請求項1に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクの製造方法で製造されたハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける前記光半透過膜をパターニングすることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法。
- 請求項5に記載のハーフトーン型位相シフトマスクの製造方法で製造されたハーフトーン型位相シフトマスクを用いてパターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
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