JP7297692B2 - フォトマスクブランク、フォトマスクの製造方法、および表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、パターンの精密度を向上させることを目的として、位相反転膜104が、同一のエッチング溶液にエッチング可能な互いに異なる組成の膜からなり、異なる組成の各膜がそれぞれ1回以上積層された少なくとも2層以上の多層膜又は連続膜の形態で形成してなる位相反転ブランクマスク及びフォトマスクが開示されている。
そして、遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素とを含有する遮光膜を備えたバイナリマスクブランクにおいて、ウェットエッチングによって遮光膜に遮光パターンを形成する際にも、同様の問題があった。
本発明者らは、上述の構成により透明基板との界面での浸み込みが抑制される理由を以下のように推察している。パターン形成用薄膜をXPSで測定すると、その測定の特性として、XPSの測定によって規定された透明基板との界面から30nmまでの領域において、薄膜の組成に傾斜の生じた組成傾斜領域が現れる。パターン形成用薄膜中の遷移金属とケイ素はターゲット由来の成分であり、その組成比はターゲットの組成比とほぼ同様となる。一方、パターン形成用薄膜中の酸素と窒素は、いずれもガス起因の成分である。パターン形成用薄膜中に取り込めるガスの量には限りがあるため、取り込まれる窒素の量が増えると酸素の量が減ることになると思われる。そして、酸素はウェットエッチングのエッチングレートを速くする元素であるのに対し、窒素はウェットエッチングのエッチングレートを遅くする元素である。このため、パターン形成用薄膜の特性において、酸素に対する窒素の比率(N/O)が重要となる。XPSの測定によって規定された透明基板との界面から30nm以内の領域において、酸素に対する窒素の比率(N/O)が極大値を有するパターン形成用薄膜であれば、透明基板との界面近傍において適度にエッチングレートが遅くなり、浸み込みが抑制されて喰われの発生を抑制できると推察される。
なお、これらの推察は、現段階での知見に基づくものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
本発明は、以上のような鋭意検討の結果なされたものであり、以下の構成を有する。
透明基板上にパターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、フォトマスクを形成するための原版であり、前記フォトマスクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングすることにより得られる、前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクであって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素とを含有し、XPSにより分析して得られる前記酸素の含有率が1原子%以上70原子%以下であって、かつ、前記透明基板と前記パターン形成用薄膜の界面を、前記XPSにより分析して得られる前記パターン形成用薄膜に含まれる遷移金属の含有率が0原子%の位置と定義したときに、前記界面から前記パターン形成用薄膜の表面に向かって30nm以内の領域において、酸素に対する窒素の比率が極大値を有することを特徴とするフォトマスクブランク。
前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする構成1記載のフォトマスクブランク。
前記酸素の含有率は、5原子%以上70原子%以下であることを特徴とする構成1または2記載のフォトマスクブランク。
(構成4)
前記窒素の含有率は、35原子%以上60原子%以下であることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
(構成5)
前記パターン形成用薄膜は、柱状構造を有することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
前記パターン形成用薄膜は、露光光の代表波長に対して透過率が1%以上80%以下、位相差が160°以上200°以下の光学特性を備えた位相シフト膜であることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
前記パターン形成用薄膜上に、該パターン形成用薄膜に対してエッチング選択性が異なるエッチングマスク膜を備えていることを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
前記エッチングマスク膜は、クロムを含有し、実質的にケイ素を含まない材料からなることを特徴とする構成7記載のフォトマスクブランク。
構成1から6のいずれかに記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記パターン形成用薄膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に前記転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
構成7または8に記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして、前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記パターン形成用薄膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に前記転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
構成9または10に記載のフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを露光装置のマスクステージに載置し、前記フォトマスク上に形成された前記転写パターンを、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に露光転写する露光工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
実施の形態1.2.
実施の形態1、2では、位相シフトマスクブランクについて説明する。実施の形態1の位相シフトマスクブランクは、エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版である。また、実施の形態2の位相シフトマスクブランクは、レジスト膜に所望のパターンが形成されたレジスト膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフト膜を形成するための原版である。
図1に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30と、位相シフト膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
図2は実施の形態2にかかる位相シフトマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。
図2に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30とを備える。
以下、実施の形態1および実施の形態2の位相シフトマスクブランク10を構成する透明基板20、位相シフト膜30およびエッチングマスク膜40について説明する。
遷移金属シリサイド系材料としては、例えば、遷移金属シリサイドの酸化窒化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化炭化物が挙げられる。また、遷移金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましい。
また、位相シフト膜30には、上述した酸素、窒素の他に、膜応力の低減やウェットエッチングレートを制御する目的で、炭素やヘリウム等の他の軽元素成分を含有してもよい。
位相シフト膜30は、透明基板20側から入射する光に対する反射率(以下、裏面反射率と記載する場合がある)を調整する機能と、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能とを有する。
位相シフト膜30は、スパッタリング法により形成することができる。
位相シフト膜30の透過率は、位相シフト膜30に含まれる遷移金属とケイ素の原子比率で調節することができる。位相シフト膜30の透過率を上記透過率とするために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:1以上1:15以下となるように構成している。位相シフト膜30の耐薬性(洗浄耐性)を高めるために、遷移金属とケイ素の原子比率は、1:2以上1:15以下が好ましく、さらに好ましくは、1:4以上1:10以下がさらに望ましい。
透過率は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
また、位相シフト膜30に含まれる窒素や酸素の軽元素については、位相シフト膜30の膜厚方向において均一に含まれていても、また、段階的または連続的に、増加または減少していてもよい。なお、上記窒素の含有率および酸素の含有率は、位相シフト膜30の膜厚の50%以上の領域において、上述した所定の含有率となっていることが好ましい。
また、位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30は、柱状構造を有することが好ましい。柱状構造は、位相シフト膜30を断面SEM観察により確認することができる。すなわち、柱状構造とは、位相シフト膜30を構成する遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素を含有する遷移金属シリサイド化合物の粒子が、位相シフト膜30の膜厚方向(上記粒子が堆積する方向)に向かって伸びる柱状の粒子構造を有する状態をいう。位相シフト膜30を柱状構造とすることにより、位相シフト膜30をウェットエッチングの際のサイドエッチングを効果的に抑制し、パターン断面形状をさらに良好なものにすることができる。なお、柱状構造の好ましい形態としては、膜厚方向に伸びる柱状の粒子が、膜厚方向に不規則に形成されているのが好ましい。さらに好ましくは、位相シフト膜30の柱状の粒子は膜厚方向の長さが不揃いな状態であるのが好ましい。そして、位相シフト膜30において、柱状の粒子よりも相対的に密度の低い疎の部分(以下、単に「疎の部分」という)は、膜厚方向において連続的に形成されていることが好ましい。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
光学濃度は、分光光度計もしくはODメーターなどを用いて測定することができる。
そして、位相シフトマスクブランク10は、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が、3.0以下であるように構成していることが好ましい。この界面は、位相シフトマスクブランク10をX線光電子分光法により組成分析を行ったときに、位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置とする。また、ここでいう上記組成傾斜領域は、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40の界面(位相シフト膜30からエッチングマスク膜40に向かって遷移金属の割合が減少し、初めて遷移金属の含有率が0原子%となる位置)と、エッチングマスク膜40から位相シフト膜30に向かってクロムの割合が減少し、初めてクロムの含有率が0原子%となる位置までの領域をいう。
位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率は、3.0以下であることが好ましく、2.8以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましく、2.0以下であることがより一層好ましい。なお、位相シフト膜30と組成傾斜領域との膜質連続性の観点から、上記ケイ素に対する酸素の含有比率は、0.3以上であることが好ましく、さらに好ましくは、0.5以上であることが好ましい。
以下、各工程を詳細に説明する。
先ず、透明基板20を成膜室内に導入する前に、スパッタリング法でターゲットから粒子を飛び出させて、ターゲットの表面状態を薄膜形成工程時の表面状態に近づける、エージング工程を行う。この実施の形態1および2におけるエージング工程では、スパッタ効率の高い貴ガス(アルゴン等)に加えて窒素ガスを成膜室内に導入し、その貴ガスと窒素ガスのプラズマをターゲットの表面に衝突させてターゲットの表面を構成する各原子を弾き飛ばすことでターゲットの表面をクリーニングする。そして、成膜室内に貴ガスと窒素ガスが残留するようにしておく。
次に、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2-TiO2ガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
位相シフト膜30の成膜は、位相シフト膜30を構成する材料の主成分となる遷移金属とケイ素を含むスパッタターゲット、又は遷移金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気と、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれる少なくとも酸素と窒素を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
位相シフト膜30の組成及び厚さは、位相シフト膜30が上記の位相差及び透過率となるように調整される。位相シフト膜30の組成は、スパッタターゲットを構成する元素の含有比率(例えば、遷移金属の含有率とケイ素の含有率との比)、スパッタガスの組成及び流量などにより制御することができる。位相シフト膜30の厚さは、スパッタパワー、スパッタリング時間などにより制御することができる。また、スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、基板の搬送速度によっても、位相シフト膜30の厚さを制御することができる。このように、位相シフト膜30の酸素の含有率が1原子%以上70原子%以下となるように制御を行う。
遷移金属と、ケイ素と、酸素とを含有する遷移金属シリサイド材料からなる位相シフト膜30を形成した後の位相シフト膜30の表面は酸化されやすく、遷移金属の酸化物が生成されやすい。遷移金属の酸化物の存在によるエッチング液による浸み込みを抑制するため、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程を行う。
位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程としては、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法、アッシング等のドライ処理で表面処理する方法などが挙げられる。
後述するエッチングマスク膜形成工程の後、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面に組成傾斜領域が形成され、該組成傾斜領域で、酸素の割合が、深さ方向に向かって段階的および/または連続的に増加している領域を含み、さらに、位相シフト膜30と、エッチングマスク膜40との界面から10nmの深さの領域にわたるケイ素に対する酸素の含有比率が3.0以下となれば、どのような表面処理工程を行っても構わない。
例えば、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法においては、酸性またはアルカリ性の水溶液の濃度、温度、時間を適宜調整することにより、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整することができる。酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法としては、透明基板20上に位相シフト膜30が形成された位相シフト膜付き基板を、上記水溶液に浸漬する方法や、位相シフト膜30上に上記水溶液を接触させる方法などが挙げられる。この表面処理工程は、エッチングマスク膜40との界面での断面形状を良好にする観点で行われることが好ましいが、必須の工程ではない。
このようにして、実施の形態2の位相シフトマスクブランク10が得られる。実施の形態1の位相シフトマスクブランク10の製造には、以下のエッチングマスク膜形成工程をさらに行う。
位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を行った後、スパッタリング法により、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。
このようにして、位相シフトマスクブランク10が得られる。
エッチングマスク膜40の成膜は、クロム又はクロム化合物(酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等)を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。
このようにして、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10が得られる。
実施の形態3、4では、位相シフトマスク100の製造方法について説明する。
図3に示す位相シフトマスクの製造方法は、図1に示す位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスクを製造する方法であり、以下の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、第1のレジスト膜パターン50を形成し(第1のレジスト膜パターン形成工程)、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をウェットエッチングして、位相シフト膜30上に第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成する工程(第1のエッチングマスク膜パターン形成工程)と、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、位相シフト膜30をウェットエッチングして透明基板20上に位相シフト膜パターン30aを形成する工程(位相シフト膜パターン形成工程)と、を含む。そして、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程とをさらに含む。
以下、実施の形態3および4にかかる位相シフトマスクの製造工程の各工程を詳細に説明する。
1.第1のレジスト膜パターン形成工程
第1のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30に形成するパターンである。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図3(a)に示されるように、エッチングマスク膜40上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
第1のエッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含有し、実質的にケイ素を含まないクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、図3(b)に示されるように、第1のレジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、第1のレジスト膜パターン50を剥離せずに、次の位相シフト膜パターン形成工程を行ってもよい。
第1の位相シフト膜パターン形成工程では、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、図3(c)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。位相シフト膜30をエッチングするエッチング液は、位相シフト膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと塩化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
ウェットエッチングは、位相シフト膜パターン30aの断面形状を良好にするために、位相シフト膜パターン30aにおいて透明基板20が露出するまでの時間(ジャストエッチングタイム)よりも長い時間(オーバーエッチングタイム)で行うことが好ましい。オーバーエッチングタイムとしては、透明基板20への影響等を考慮すると、ジャストエッチングタイムに、そのジャストエッチングタイムの10%の時間を加えた時間内とすることが好ましい。
第2のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うレジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30にパターンが形成されている領域の外周領域を遮光する遮光帯パターン、及び位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンである。なお、レジスト膜に描画するパターンは、露光光に対する位相シフト膜30の透過率によっては、位相シフト膜パターン30aの中央部を遮光する遮光帯パターンがないパターンの場合もある。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図3(d)に示されるように、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に第2のレジスト膜パターン60を形成する。
第2のエッチングマスク膜パターン形成工程では、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングして、図3(e)に示されるように、第2のエッチングマスク膜パターン40bを形成する。第1のエッチングマスク膜パターン40aは、クロム(Cr)を含有し、実質的にケイ素を含まないクロム系材料から形成される。第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングするエッチング液は、第1のエッチングマスク膜パターン40aを選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第2のレジスト膜パターン60を剥離する。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
なお、上記説明ではエッチングマスク膜40が、露光光の透過を遮る機能を有する場合について説明したが、エッチングマスク膜40が単に、位相シフト膜30をエッチングする際のハードマスクの機能のみを有する場合においては、上記説明において、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程は行われず、位相シフト膜パターン形成工程の後、第1のエッチングマスク膜パターンを剥離して、位相シフトマスク100を作製する。
1.レジスト膜パターン形成工程
レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態2の位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、実施の形態3で説明したのと同様である。なお、必要に応じてレジスト膜を形成する前に、位相シフト膜30と密着性を良好にするため、位相シフト膜30に表面改質処理を行なうようにしても構わない。上述と同様に、レジスト膜を形成した後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図4(a)に示されるように、位相シフト膜30上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
2.位相シフト膜パターン形成工程
位相シフト膜パターン形成工程では、第1のレジスト膜パターン50をマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、図4(b)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aや位相シフト膜30をエッチングするエッチング液やオーバーエッチングタイムは、実施の形態3で説明したのと同様である。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第1のレジスト膜パターン50を剥離する(図4(c))。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
この実施の形態4の位相シフトマスクの製造方法によれば、実施の形態2の位相シフトマスクブランクを用いるため、ウェットエッチング液による基板へのダメージを起因とした透明基板の透過率の低下がなく、エッチングタイムを短くでき、断面形状が良好な位相シフト膜パターンを形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる。このように製造された位相シフトマスクは、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応することができる。
実施の形態5では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、上述した位相シフトマスクブランク10を用いて製造された位相シフトマスク100を用い、または上述した位相シフトマスク100の製造方法によって製造された位相シフトマスク100を用いる工程(マスク載置工程)と、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程(パターン転写工程)とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
載置工程では、実施の形態3で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
パターン転写工程では、位相シフトマスク100に露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、365nm~436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm~436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、先ず、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内において、透明基板20を搬入する前に、窒素(N2)とアルゴン(Ar)の混合ガスを導入しながら、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に6.0kWのスパッタパワーを印加して、60分間エージング工程を行った。
その後、合成石英ガラス基板を、主表面を下側に向けてトレイ(図示せず)に搭載し、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内に搬入した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.7Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスと、ヘリウム(He)ガスで構成される不活性ガスと、反応性ガスである一酸化窒素ガス(NO)と、の混合ガス(Ar:18sccm、N2:15sccm、He:50sccm、NO:4sccm)を導入した。この成膜条件により、透明基板20上にモリブデンシリサイドの酸化窒化物からなる位相シフト膜30(膜厚:135nm)を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、位相シフト膜30につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.24GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量および位相差変化量がともに小さく、高い耐薬性、耐洗浄性を有していた。
また、図11は、実施例1、2、比較例1の位相シフトマスクブランクに対するXPSによる基板界面からの距離とN/Oの比率を示す図である。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスク100を製造するため、先ず、位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ホール径が1.5μmのホールパターンのレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンを剥離した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に、遮光帯を形成するための第2のレジスト膜パターン60を形成した。
その後、第2のレジスト膜パターン60を剥離した。
このため、実施例1の位相シフトマスク100を露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例2の位相シフトマスクブランク10を製造するため、先ず、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内において、透明基板20を搬入する前に、実施例1と同じ条件で、エージング工程を行った。そして、透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.9Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスと、ヘリウム(He)ガスで構成される不活性ガス(Ar:18sccm、N2:13sccm、He:50sccm)を導入した。この成膜条件により、透明基板20上にモリブデンシリサイドの酸化窒化物からなる位相シフト膜30(膜厚:141nm)を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、位相シフト膜30につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.22GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量および位相差変化量がともに小さく、高い耐薬性と耐洗浄性を有していた。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスク100を製造した。なお、ウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチングタイムで行った。
得られた位相シフトマスク100の断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図7の断面写真は、実施例2の位相シフトマスクの製造工程において、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、モリブデンシリサイドエッチング液により位相シフト膜30をウェットエッチング(110%のオーバーエッチング)して、位相シフト膜パターン30aを形成した後の断面写真である。
このため、実施例2の位相シフトマスク100を露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
比較例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、先ず、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内において、透明基板を搬入する前に、エージング工程を行った。ただし、エージング工程において導入するガスをアルゴン(Ar)ガスのみとし、時間を30分間とした。エージング工程における他の条件については、実施例1、2と同じ設定とした。そして、実施例1と同じ条件で、透明基板上に、位相シフト膜とエッチングマスク膜とを成膜した。
このようにして、透明基板上に、位相シフト膜とエッチングマスク膜とが形成された位相シフトマスクブランクを得た。なお、位相シフト膜の膜厚は、135nmであった。
また、位相シフト膜につき、UltraFLAT 200M(Corning TROPEL社製)を用いて平坦度変化を測定し、膜応力を算出したところ、0.24GPaであった。この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量および位相差変化量がともに小さく、高い耐薬性と耐洗浄性を有していた。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。
得られた位相シフトマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図10の断面写真は、比較例1の位相シフトマスクの製造工程において、第1のエッチングマスク膜パターンをマスクにして、モリブデンシリサイドエッチング液により位相シフト膜をウェットエッチング(110%のオーバーエッチング)して、位相シフト膜パターンを形成し、レジスト膜パターンを剥離した後の断面写真である。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例3の位相シフトマスクブランク10を製造するため、先ず、インライン型スパッタリング装置のチャンバー内において、透明基板20を搬入する前に、実施例1と同じ条件で、エージング工程を行った。実施例3においては、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲットにモリブデン:ケイ素=8:92のものを使用した。そして、透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.7Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスと、ヘリウム(He)ガスで構成される不活性ガスと、反応性ガスである一酸化窒素ガス(NO)と、の混合ガス(Ar:18sccm、N2:15sccm、He:50sccm、NO:4sccm)を導入した。この成膜条件により、透明基板20上にモリブデンシリサイドの酸化窒化物からなる位相シフト膜30(膜厚:153nm)を形成した。
次に、透明基板20に位相シフト膜30を形成した後、位相シフト膜30の表面処理をせずに、実施例1と同様に、位相シフト膜30上に、CrN層とCrC層とCrCON層の積層構造のエッチングマスク膜40を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、この位相シフト膜30は、位相シフトマスクの洗浄で使用される薬液(硫酸過水、アンモニア過水、オゾン水)に対する、透過率変化量および位相差変化量がともに小さく、高い耐薬性と耐洗浄性を有していた。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、島津製作所社製の分光光度計SolidSpec-3700により、膜面反射率および光学濃度を測定した。位相シフトマスクブランク10(エッチングマスク膜40)の膜面反射率は8.3%(波長:436nm)、光学濃度ODは4.0(波長:436nm)であった。このエッチングマスク膜40は、膜表面での反射率が低い遮光膜として機能することが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランク10について、X線光電子分光法(XPS)による深さ方向の組成分析を行った。
その結果、図8に示すとおり、実施例1と同様の傾向を示しており、位相シフトマスクブランク10に対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、位相シフト膜30と透明基板20との界面(位相シフト膜30に含まれるモリブデンの含有率が0原子%となる位置)から位相シフト膜30の表面に向かって30nm以内の領域(組成傾斜領域)において、酸素の含有率は、透明基板20との界面から急激に減少し、その後、ほぼ一定となる。一方、窒素の含有率は、透明基板20との界面から急激に増加し、その後、わずかに減少していた。すなわち、図12に示されるように、実施例3においては、N/Oの比率が、透明基板20との界面から22.7nmの距離、すなわち、30nm以内の領域において、極大値を有していることが分かった。
また、得られた位相シフトマスクブランク10の転写パターン形成領域の中央の位置において、80000倍の倍率で断面SEM(走査電子顕微鏡)観察を行った結果、位相シフト膜30は、柱状構造を有していることが確認できた。すなわち、位相シフト膜30を構成するモリブデンシリサイド化合物の粒子が、位相シフト膜30の膜厚方向に向かって伸びる柱状の粒子構造を有していることが確認できた。そして位相シフト膜30の柱状の粒子構造は、膜厚方向の柱状の粒子が不規則に形成されており、かつ、柱状の粒子の膜厚方向の長さも不揃いな状態であることが確認できた。また、位相シフト膜30の疎の部分は、膜厚方向において連続的に形成されていることも確認できた。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスク100を製造した。なお、ウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチングタイムで行った。
得られた位相シフトマスク100の断面を走査型電子顕微鏡により観察した。図9の断面写真は、実施例3の位相シフトマスクの製造工程において、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、モリブデンシリサイドエッチング液により位相シフト膜30をウェットエッチング(110%のオーバーエッチング)して、位相シフト膜パターン30aを形成した後の断面写真である。
図9に示されるように、実施例3の位相シフトマスク100に形成された位相シフト膜パターン30aは、位相シフト効果を十分に発揮できる垂直に近い断面形状を有していた。また、位相シフト膜パターン30aには、エッチングマスク膜パターン40bとの界面と、透明基板20との界面とのいずれにも浸み込みは見られなかった。また、裾幅が小さく、面内のCDバラツキが65nmと小さい位相シフト膜パターン30aを有していた。詳細には、位相シフト膜パターン30aの断面は、位相シフト膜パターン30aの上面、下面および側面から構成される。この位相シフト膜パターン30aの断面において、上面と側面とが接する部位(上辺)と、側面と下面が接する部位(下辺)とのなす角度は、81度であった。そのため、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、優れた位相シフト効果を有する位相シフトマスク100が得られた。
このため、実施例3の位相シフトマスク100を露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
また、上述の実施例では、表示装置製造用の位相シフトマスクブランクや、表示装置製造用の位相シフトマスクの例を説明したが、これに限られない。本発明の位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクは、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用等にも適用できる。
また、上述の実施例では、透明基板のサイズが、8092サイズ(800mm×920mm×10mm)の例を説明したが、これに限られない。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクの場合、大型(Large Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが、300mm以上である。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、330mm×450mm以上2280mm×3130mm以下である。
また、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用の位相シフトマスクブランクの場合、小型(Small Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが9インチ以下である。上記用途の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、63.1mm×63.1mm以上228.6mm×228.6mm以下である。通常、半導体製造用、MEMS製造用は、6025サイズ(152mm×152mm)や5009サイズ(126.6mm×126.6mm)が使用され、プリント基板用は、7012サイズ(177.4mm×177.4mm)や、9012サイズ(228.6mm×228.6mm)が使用される。
30…位相シフト膜(パターン形成用薄膜)、
30a…位相シフト膜パターン(転写パターン)、40…エッチングマスク膜、
40a…第1のエッチングマスク膜パターン、
40b…第2のエッチングマスク膜パターン、50…第1のレジスト膜パターン、
60…第2のレジスト膜パターン、100…位相シフトマスク(フォトマスク)
Claims (11)
- 透明基板上にパターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、フォトマスクを形成するための原版であり、前記フォトマスクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングすることにより得られる、前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクであって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素とを含有し、XPSにより分析して得られる前記酸素の含有率が1原子%以上70原子%以下であって、かつ、前記透明基板と前記パターン形成用薄膜の界面を、前記XPSにより分析して得られる前記パターン形成用薄膜に含まれる遷移金属の含有率が0原子%の位置と定義したときに、前記界面から前記パターン形成用薄膜の表面に向かって30nm以内の領域において、酸素に対する窒素の比率が極大値を有することを特徴とするフォトマスクブランク。 - 前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする請求項1記載のフォトマスクブランク。
- 前記酸素の含有率は、5原子%以上70原子%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のフォトマスクブランク。
- 前記窒素の含有率は、35原子%以上60原子%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜は、柱状構造を有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜は、露光光の代表波長に対して透過率が1%以上80%以下、位相差が160°以上200°以下の光学特性を備えた位相シフト膜であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜上に、該パターン形成用薄膜に対してエッチング選択性が異なるエッチングマスク膜を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記エッチングマスク膜は、クロムを含有し、実質的にケイ素を含まない材料からなることを特徴とする請求項7記載のフォトマスクブランク。
- 請求項1から6のいずれかに記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記パターン形成用薄膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に前記転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項7または8に記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして、前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記パターン形成用薄膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に前記転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項9または10に記載のフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを露光装置のマスクステージに載置し、前記フォトマスク上に形成された前記転写パターンを、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に露光転写する露光工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
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