JP6542571B2 - 一体成型用不織布及びこれより形成されるプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント - Google Patents

一体成型用不織布及びこれより形成されるプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント Download PDF

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Description

本発明は、大風量の空気が通風する室内空調や空冷用エアー供給システムに搭載されるエアフィルターエレメントに関するものであり、特に、圧力損失が低く、安定して大風量の空気を通風でき、且つ、安価であるプリーツ−フランジ一体成型のフィルターエレメントに関するものである。
以前より、不織布はフィルター用の材料として広く用いられてきた。例えば、特許文献1には、自動車用エンジン等の内燃機関の吸気系等のような各種流体よりゴミを取り除く目的で使用され、複数の波状袋部よりなる濾過部と、該濾過部の外周縁に配設したツバ部とを有し、且つ、上記濾過部及びツバ部の基材が不織布から構成されるフィルターが開示されている。特許文献1の実施例には、前記波状袋部とツバ部とが一体となったフィルターも開示されているが、その製法は、成形型を準備し、該成形型の上にポリエステル繊維を積層した後、高圧水流を吹き付けることによって繊維を絡み合わせ、繊維間を機械的に結合するというものである。しかし成形型内で繊維を絡合させると、部分的に絡合度合にムラが生じてしまい、大風量の空気を通風した際に、フィルターが変形したり、ツバ部が破損するといった問題が生じていた。
このようなフィルターの変形を抑える方法として、例えば、特許文献2〜3には、底部周縁部が成型枠体で構成されたバケツ型成型フィルター等が提案されている。しかし成型枠体はポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を主体する射出成型物であるため、特許文献2〜3に開示されるフィルターエレメントは不織布からなるものと比較すると高価であり、またプリーツ部と底部を別々に製造する必要があるため、製造工程が増えるといったデメリットがある。
フィルターエレメントをより安価に製造する方法としては、特許文献4に示されるように、ポリエステルスパンボンド不織布を成型金型にセットし、圧力をかけて熱プレス成型をした後、フランジ部を打抜いて一体成型のフィルターを得る方法等が考えられる。しかしエアフィルターのように、複数の山谷構造を有するプリーツ加工されたフィルターを一体成型で製造する場合、溶融した繊維が成型金型内で流れてしまい、プリーツが破れたり、繊維間の細孔が拡大するといった問題が生じていた。
特開平8−24546号公報 特開2005−125179号公報 特開2007−268417号公報 特開平7−144105号公報
この様な状況下、本発明は、軽量で、大風量の空気を通風してもフィルターが変形することがなく、プリーツ部とフランジ部を一体成型により製造してもプリーツが破れたり、繊維間の細孔が拡大するといった問題を回避できる不織布を提供することを本発明の課題として掲げた。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、融点が20℃以上離れた第1及び第2の熱融着性繊維をそれぞれ所定量以上含み、且つ、これら第1及び第2の熱融着性繊維で不織布を構成する繊維の交点が融着されている不織布であれば、成型時の熱によってプリーツが破れたり、繊維間の細孔が拡大するといった課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の点に要旨を有する。
[1]第1の熱融着性繊維と、前記第1の熱融着性繊維よりも20℃以上高い融点を有する第2の熱融着性繊維とを含み、
全ての繊維100重量%中、前記第1の熱融着性繊維の含有率が15重量%以上であり、前記第2の熱融着性繊維の含有率が30重量%以上であり、
これら第1及び第2の熱融着性繊維がいずれも繊維の交点で融着していることを特徴とする一体成型用不織布。
[2]更に、非熱融着性繊維を含む[1]に記載の一体成型用不織布。
[3]前記第2の熱融着性繊維が、15dtex以上40dtex以下の第2の熱融着性太繊維と、1dtex以上15dtex未満の第2の熱融着性細繊維とからなる[1]または[2]に記載の一体成型用不織布。
[4]全ての繊維100重量%中、15dtex以上の繊維の含有率が10重量%以上である[1]〜[3]のいずれかに記載の一体成型用不織布。
[5]全ての繊維100重量%中、5dtex以下の繊維の含有率が30重量%以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の一体成型用不織布。
[6]目付が30〜150g/m2であり、JIS L1913(2010) 6.8.1 フラジール形法に基づき測定される通気度が600cc/cm2/sec以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の一体成型用不織布。
[7]ニードルの単位面積当たりの打ち込み本数が50本/cm2以下であり、
MD方向及びCD方向の引張強度が40N/50mm以上300N/50mm以下である[1]〜[6]のいずれかに記載の一体成型用不織布。
[8]嵩密度が0.45g/cm3以下である[1]〜[7]のいずれかに記載の一体成型用不織布。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載の一体成型用不織布を、規則的に折り返して山部と谷部が連続するプリーツ部を形成する癖付工程、
前記工程で得られた予備成形体を、前記予備成形体のプリーツ部に対応する連続した山部と谷部とを有するプリーツ加工面、プリーツ部の山谷の連続方向に接続する第1フランジ形成面、及びプリーツ部の山谷の尾根方向に接続する第2フランジ形成面とを有する雄雌一対の金型に挟み、前記第1の熱融着性繊維の融点以上、前記第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度で加熱する成型工程、
を含む方法により得られることを特徴とするプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント。
[10][1]〜[8]のいずれかに記載の一体成型用不織布からなり、前記不織布の折り曲げ加工によって立体化された一体成型フィルターエレメントであって、
規則的に山部と谷部とが連続するプリーツ部と、
前記山谷の連続方向で前記プリーツ部と接続する第1フランジ部と、
前記山谷の尾根方向で前記プリーツ部と接続する第2フランジ部と
を有することを特徴とするプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント。
本発明によれば、熱成型時に破れや細孔の拡大が生じ難くい不織布が得られる。また本発明の不織布によれば、大風量の空気が通風する室内空調や空冷用エアー供給システムに搭載されるエアフィルターエレメントに適用しても、圧力損失が低く、安定して大風量の空気を通風でき、且つ、安価なプリーツ−フランジ一体成型のフィルターエレメントとなる。
図1は、不織布における繊維の融着状態を示す模式図である。 図2は、プリーツの癖付けをした予備成形体を、金型で成型するときの概略図である。 図3は、プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントの一例を示す概略斜視図である。
<不織布>
1.熱融着性繊維
本発明に係る不織布は、第1の熱融着性繊維と、前記第1の熱融着性繊維よりも20℃以上高い融点を有する第2の熱融着性繊維とを含み、全ての繊維100重量%中、前記第1の熱融着性繊維の含有率が15重量%以上であり、前記第2の熱融着性繊維の含有率が30重量%以上であり、これら第1及び第2の熱融着性繊維がいずれも繊維の交点で融着していることを特徴とする。
図1(A)は、第1の熱融着性繊維1と非熱融着性繊維3とからなる不織布における繊維の融着状態を示す模式図である。図1(A)に示すように、第1の熱融着性繊維1と非熱融着性繊維3とからなる不織布では、不織布を形成する際に第1の熱融着性繊維1を溶融・固化すると、図中に丸で示す交点Aで繊維同士が融着される。しかしこのサーマルボンド不織布を用いて一体成型すると、成型時の加熱により再び第1の熱融着性繊維1が溶融するため、前記交点Aでの融着がとれ、全ての交点が移動可能な状態となる。そうすると成型時に繊維が流れやすくなり、繊維間の細孔が拡大し穴が形成されてしまうなど、フィルターに求められる性能が十分に発揮されない虞がある。
ところが本発明のように、熱融着性繊維として、前記第1の熱融着性繊維よりも20℃以上高い融点を有する第2の熱融着性繊維を用いることで、上記の問題は解決される。図1(B)は、第1の熱融着性繊維1、第2の熱融着性繊維2、及び非熱融着性繊維3とからなる不織布における繊維の融着状態を示す模式図である。図1(B)に示すように、更に第2の熱融着性繊維2を含む不織布においては、不織布を形成する際の加熱により、第1の熱融着性繊維1と第2の熱融着性繊維の両方を溶融・固化しておくことで、第1の熱融着性繊維1が繊維と融着することで形成される交点A(図中の丸印)、及び、第2の熱融着性繊維2が繊維と融着することで形成される交点B(図中の三角印)で繊維同士が融着される。そうすると、成型時の加熱により再び第1の熱融着性繊維1が溶融しても、交点A(丸印)での融着がとれるだけで、第2の熱融着性繊維2との交点B(三角印)は融着したままの状態となるため、成型時の金型に対する追従性と、繊維の流れやすさとのバランスを調整することが可能となり、これにより、成型時に繊維が流れて細孔が拡大するといった問題は解消される。
そして第1の熱融着性繊維1及び第2の熱融着性繊維2の機能のバランスを調整するため、本発明の不織布では、各繊維の含有率も適切な範囲に調整されている。各繊維の配合量を調整することにより、フィルター使用時の形態安定性も良好なものとなる。
第1の熱融着性繊維と第2の熱融着性繊維との融点の差は、20℃以上であり、より好ましくは25℃以上であり、上限は特に限定されないが、100℃以下が好ましく、80℃以下であってもよく、50℃以下であってもよい。融点の差が20℃未満であると、成型時に、第2の熱融着性繊維の接点まで変形しやすくなるため、プリーツの形状及び細孔の拡大を抑制することが難しくなる。
より具体的には、第1の熱融着性繊維の融点は、90℃以上が好ましく、より好ましくは110℃以上であり、更に好ましくは150℃以上であり、190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、160℃以下であってもよい。
また第2の熱融着性繊維の融点は、150℃以上が好ましく、より好ましくは170℃以上であり、更に好ましくは190℃以上であり、特に好ましくは200℃超であり、230℃以下が好ましく、210℃以下が更に好ましく、195℃以下であってもよい。第2の熱融着性繊維の融点が150℃未満になると、サーマルボンド時に繊維同士が十分に融着されず、成型時にプリーツの破れや細孔の拡大などの問題を抑制することが難しくなる。またフィルターに大風量を通したときにフランジ部も変形しやすくなるため好ましくない。
第1の熱融着性繊維の含有率は、全ての繊維100重量%中、15重量%以上であり、より好ましくは20重量%以上であり、更に好ましくは25重量%以上であり、30重量%以上であってもよい。上限は70重量%以下であり、60重量%以下が好ましく、より好ましくは45重量%以下であり、更に好ましくは35重量%以下である。含有率が前記範囲内であれば、金型に対する追従性のよい不織布が得られやすくなるため好ましい。
第2の熱融着性繊維の含有率は、全ての繊維100重量%中、30重量%以上であり、より好ましくは45重量%以上であり、更に好ましくは60重量%以上である。上限は85重量%以下であり、より好ましくは75重量%以下であり、55重量%以下であってもよく、35重量%以下であってもよい。30重量%未満になると、第2熱融着性繊維による融着点の数が十分でなく、大風量を通した場合にプリーツが変形しやすくなるため好ましくない。また、フランジ部の強度も得難くなるため好ましくない。
本発明の不織布には、第1の熱融着性繊維及び第2の熱融着性繊維として、いずれも融点等の特性が異なる2種以上の繊維が複数含まれていてもよい。すなわち、第1及び第2の熱融着性繊維は群の概念で捉えることもできる(なお、この群には第1及び第2の熱融着性繊維がそれぞれ1種だけで使用されるような概念も含まれる)。これら第1及び第2の熱融着性繊維を複数用いるときは、第1の熱融着性繊維群のうち最も高い融点と、第2の熱融着性繊維群のうち最も低い融点との差が20℃以上であるとする。
このように第1及び第2の熱融着性繊維を群として捉えた場合、融点に応じて、不織布に含まれる熱融着性繊維の第1及び第2の熱融着性繊維への分類方法は複数考えられる。例えば、不織布に、融点がそれぞれ190℃、189℃、130℃、129℃である4種類の熱融着性繊維が使用されていた場合、繊維の分類方法は、(i)190℃/189℃、130℃及び129℃、(ii)190℃及び189℃/130℃及び129℃、(iii)190℃、189℃及び130℃/129℃、というように複数存在する。本発明に係る不織布には、少なくとも1つの分類において、第1の熱融着性繊維と第2の熱融着性繊維との融点の差が20℃以上の要件を満足する不織布が(上記例の場合は、分類(ii)が本要件を満足)、全て包含されるものする。
代表的な第1及び第2の熱融着性繊維の組み合わせとしては、例えば、第1の熱融着性繊維の融点が150〜180℃であり、第2の熱融着性繊維の融点が190〜210℃(より好ましくは、200℃超210℃以下)である分類1;第1の熱融着性繊維の融点が90〜160℃であり、第2の熱融着性繊維の融点が150〜195℃である分類2;等が挙げられる。中でも、分類1がより好ましい。
不織布には更に、第1及び第2の熱融着性繊維に分類されない第3の熱融着性繊維が含まれていてもよい。本発明では、全ての熱融着性繊維100重量%中、第1及び第2の熱融着性繊維の含有率は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましく、特に好ましくは100重量%である。
熱融着性繊維としては、融点の異なる複数の樹脂を組み合わせた芯鞘構造、偏心構造、あるいはサイドバイサイド構造を有する複合繊維;変性ポリエステル繊維;変性ポリアミド繊維;変性ポリプロピレン繊維等の変性ポリオレフィン繊維等が使用できる。前記複合繊維に使用される樹脂の組み合わせには、ポリエチレン−ポリプロピレン、ポリプロピレン−変性ポリプロピレン等のポリオレフィン系の組み合わせの他、ポリエチレン−ポリエステル、ポリエステル−変性ポリエステル、ナイロン−変性ナイロン等が挙げられる。また融点によっては、単一の樹脂からなる熱融着性繊維も使用できる。中でも、生産性がよく入手が容易であることから、芯鞘構造を有する複合繊維が好ましい。
芯成分は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;等が挙げられるが、中でもポリエステル系樹脂が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。鞘成分は、低融点成分として共重合ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、例えば、イソフタール酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール等が例示できる。熱融着性繊維としては、成型温度等を考慮して、最適な融点のものを用いるとよい。
第1、第2及び第3の熱融着性繊維の繊維長は、短繊維であれば特に限定されず、例えば、300mm以下が好ましく、より好ましくは100mm以下であり、また10mm以上が好ましく、より好ましくは20mm以上である。
第1、第2及び第3の熱融着性繊維の繊度は、1dtex以上が好ましく、より好ましくは1.5dtex以上であり、更に好ましくは2dtex以上であり、40dtex以下が好ましく、より好ましくは30dtex以下であり、更に好ましくは25dtex以下である。なお繊度の異なる複数の熱融着性繊維を含む場合には、各繊度の熱融着性繊維の割合(重量基準)を考慮した加重平均によって、熱融着性繊維の繊度を求める。
特に第2の熱融着性繊維は、15dtex以上40dtex以下(より好ましくは15dtex以上32dtex以下であり、更に好ましくは18dtex以上25dtex以下)の第2の熱融着性太繊維と、1dtex以上15dtex未満(より好ましくは2dtex以上10dtex以下であり、更に好ましくは3dtex以上6dtex以下)の第2の熱融着性細繊維とを組み合わせて使用することが好ましい。前記太繊維は基材の骨格となり、フィルターに適度な剛性を与えることができるため、大風量の空気を通風してもフィルターが変形しにくくなるため好ましい。また前記細繊維はサーマルボンド時に溶融しやすいため、確実に繊維の交点を留めることができる。
第2の熱融着性太繊維の割合は、第2の熱融着性太繊維と第2の熱融着性細繊維の合計に対して、例えば、15重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは40重量%以上であり、100重量%以下が好ましく、より好ましくは75重量%以下であり、55重量%以下であってもよく、50重量%以下であってもよい。太繊維と細繊維をバランス良く含むことで、適度な剛性を有しながら繊維同士が十分に融着された不織布が得られやすくなる。
一方、第1の熱融着性繊維は、溶融しやすいように細径であることが好ましく、1dtex以上10dtex以下が好ましく、より好ましくは2dtex以上7dtex以下であり、更に好ましくは3dtex以上6dtex以下である。
これら熱融着性繊維の繊度は、サーマルボンド前の繊度を指す。例えば、芯鞘構造を有する熱融着性繊維の場合には、通常、芯と鞘の重量比は30:70〜70:30(より好ましくは40:60〜60:40、更に好ましくはほぼ50:50)であり、サーマルボンド後の熱融着性繊維の繊度はサーマルボンド前の繊度に対して、通常0.3〜1倍である。サーマルボンド後の熱融着性繊維の繊度は、例えば、0.4dtex以上が好ましく、より好ましくは0.6dtex以上であり、更に好ましくは0.8dtex以上であり、36dtex以下が好ましく、より好ましくは27dtex以下であり、更に好ましくは25dtex以下である。
熱融着性繊維の割合は、全ての繊維100重量%中、20重量%以上が好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは60重量%以上であり、特に好ましくは70重量%以上であり、100重量%が好ましく、90重量%以下であってもよく、85重量%以下であってもよい。不織布中の熱融着性繊維以外の繊維は、例えば、後述する非熱融着性繊維である。低目付であり、適度な剛性を有する不織布を得るには、熱融着性繊維の配合率が高い方が好ましい。
2.非熱融着性繊維
本発明の不織布には、熱融着性繊維以外の繊維が適宜含まれていてもよい。好ましく組み合わせられる繊維としては、繊維の交点を熱融着しない非熱融着性繊維が挙げられる。前記非熱融着性繊維としては、例えば、綿、麻、毛、絹等の天然繊維;レーヨン、ポリノジック、キュプラ、レヨセル等の再生繊維;アセテート繊維、トリアセテート繊維等の半合成繊維;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維;ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート繊維等のポリエステル繊維;ポリアクリロニトリル繊維、ポリアクリロニトリル−塩化ビニル共重合体繊維等のアクリル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維等のポリビニルアルコール系繊維;ポリ塩化ビニル繊維、ビニリデン繊維、ポリクラール繊維等のポリ塩化ビニル系繊維;ポリウレタン繊維等の合成繊維;ポリエチレンオキサイド繊維、ポリプロピレンオキサイド繊維等のポリエーテル系繊維等が例示できる。中でも、不織布に適度な剛性を付与できることから、ポリエステル繊維(より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート繊維)が含まれていることが望ましい。
非熱融着性繊維の繊度は、例えば、4dtex以上が好ましく、より好ましくは5dtex以上であり、更に好ましくは6dtex以上であり、40dtex以下が好ましく、より好ましくは30dtex以下であり、更に好ましくは20dtex以下である。なお繊度の異なる複数の非熱融着性繊維を含む時には、各繊度の非熱融着性繊維の割合(重量基準)を考慮した加重平均によって、非熱融着性繊維の繊度を求める。
非熱融着性繊維の繊維長は、短繊維が好ましく、例えば、300mm以下、好ましくは100mm以下であり、また10mm以上、好ましくは20mm以上の範囲から適宜選択できる。
非熱融着性繊維の融点は特に限定されないが、第1、第2、及び第3の熱融着性繊維よりも高いことが好ましく、例えば、230℃超が好ましく、より好ましくは240℃以上であり、更に好ましくは250℃以上であり、また400℃以下が好ましく、350℃以下が更に好ましい。
熱融着性繊維、及び必要に応じて使用される非熱融着性繊維は、共通の樹脂から構成される繊維(特に化学繊維)であるのが好ましい。共通の樹脂とは、一の樹脂とその変性樹脂とを含み、例えば、一の樹脂がポリエステル樹脂である場合、その共通の樹脂の範囲には、ポリエステル樹脂と変性ポリエステル樹脂とが含まれる。共通の樹脂を使用することで、フィルターの廃棄が容易となる。
また不織布は着色されていてもよい。着色の方法は特に限定されないが、形成された不織布を染料及び/または顔料を含むバインダー樹脂等で処理して着色する方法;不織布を構成する繊維として原着繊維(紡糸前の原液の段階で顔料や染料などの着色剤を混合することにより着色された原糸)を用いて不織布を着色する方法;等が例示できる。
3.不織布の特性
熱融着性繊維、及び必要に応じて使用される非熱融着性繊維は、混綿し、カーディングし、クロスラッピングすることで繊維ウエブにされる。繊維ウエブを形成した時の全繊維の加重平均繊度は、例えば、6dtex以上が好ましく、より好ましくは7dtex以上であり、更に好ましくは8dtex以上であり、例えば、20dtex以下が好ましく、より好ましくは17dtex以下であり、更に好ましくは15dtex以下である。
不織布を構成する全ての繊維100重量%中、15dtex以上の繊維の含有率は10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは30重量%以上であり、更に好ましくは40重量%以上であり、また70重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましく、50重量%以下であってもよい。15dtex以上の繊維の含有率が低くなると、フィルターの剛性が不十分で、適度な硬さが得られにくくなるため好ましくない。
不織布を構成する全ての繊維100重量%中、5dtex以下の繊維の含有率は30重量%以上であることが好ましく、より好ましくは40重量%以上であり、更に好ましくは50重量%以上であり、また85重量%以下が好ましく、より好ましくは80重量%以下であり、75重量%以下であってもよい。5dtex以下の繊維の含有率が低くなると、成型後のフィルター性能が得にくくなるため好ましくない。
不織布の目付は、軽量化の観点から、30〜150g/m2が好ましく、より好ましくは50〜100g/m2であり、更に好ましくは50〜80g/m2である。目付が小さいと、繊維量が不十分となり、成型時にプリーツの変形や細孔の拡大を招く虞がある。また目付が大きいと、通気度が低くなり、圧力損失が高くなるため好ましくない。
不織布の厚さは、0.1mm以上が好ましく、より好ましくは0.2mm以上であり、更に好ましくは0.25mm以上であり、0.7mm以下が好ましく、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは0.4mm以下である。
不織布の成型性向上の観点から、不織布の嵩密度は、0.45g/cm3以下が好ましく、0.4g/cm3以下がより好ましく、更に好ましくは0.35g/cm3以下であり、より更に好ましくは0.3g/cm3以下であり、特に好ましくは0.25g/cm3以下であり、0.1g/cm3以上が好ましく、0.15g/cm3以上であってもよい。また嵩密度の値が低くなる程、成型時に細孔が形成されにくくなるため好ましい。
JIS L1913(2010) 6.8.1 フラジール形法に基づき測定される不織布の通気度は、600cc/cm2/sec以上が好ましく、より好ましくは800cc/cm2/sec以上であり、更に好ましくは1000cc/cm2/sec以上であり、上限は特に限定されないが、例えば、1500cc/cm2/sec以下である。通気度が低すぎると、通風時の圧力損失により、プリーツ形状が変形する虞があるため好ましくない。
不織布のMD方向(タテ方向;製造工程における不織布の流れ方向)及び不織布のCD方向(ヨコ方向;MD方向に直交する方向)の引張強度は、40N/50mm以上が好ましく、より好ましくは50N/50mm以上であり、更に好ましくは60N/50mm以上であり、上限は限定されないが、300N/50mm以下が好ましく、200N/50mm以下が好ましく、100N/50mm以下であってもよい。
4.不織布の製造方法
本発明の不織布は、
不織布を構成する繊維を混綿、カーディング及びラッピングにより繊維ウエブを形成する工程と、
前工程で形成された繊維ウエブにニードルパンチ加工を施す工程と、
前工程で得られたニードルパンチ不織布を、第2の熱融着性繊維の融点−5℃以上の温度に加熱することで、溶融した第1及び第2の熱融着性繊維によって繊維同士を融着することにより熱融着する(サーマルボンドする)工程と
を含む。繊維ウエブにニードルパンチ加工を施すことにより、不織布を構成する繊維を十分に絡合させ、必要な繊維同士の交点を形成することができる。そして、その後実施される熱融着(サーマルボンド)工程では、ニードルパンチ不織布中の繊維同士の交点を、溶融した第1及び第2の熱融着性繊維で融着する。但し、ニードルパンチ工程は、熱融着繊維及び非熱融着繊維同士が十分に絡合されており、実施する必要のない場合は、行われなくても良い。以下、各工程について詳述する。
4−1.ニードルパンチ
金型への追従性を良くするためにニードルの単位面積当たりの打ち込み本数(針密度)は、例えば、50本/cm2以下が好ましく、より好ましくは40本/cm2以下であり、更に好ましくは30本/cm2以下であり、通常5本/cm2以上であり、10本/cm2以上が好ましい。
針深さは特に限定されないが、繊維を十分に交絡させるために、例えば、3mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上であり、更に好ましくは7mm以上であり、また15mm以下が好ましく、より好ましくは12mm以下である。
ニードルパンチによる交絡は、繊維ウエブの片側またはその両面から実施してもよい。ニードルパンチの針太さは、例えば、0.78mm以下が好ましく、より好ましくは0.75mm以下であり、更に好ましくは0.70mm以下であり、0.35mm以上が好ましく、より好ましくは0.40mm以上であり、更に好ましくは0.45mm以上である。
なお針太さと針番手の関係は、一般的に、28番手(0.78mm)、30番手(0.75mm)、32番手(0.70mm)、42番手(0.45mm)、44番手(0.40mm)、46番手(0.35mm)として知られているが、これに限定されるものではない。
4−2.サーマルボンド
サーマルボンド工程では、ニードルパンチ不織布を、第2の熱融着性繊維の融点−5℃以上の温度に加熱することで、溶融した第1及び第2の熱融着性繊維によって繊維同士を融着(接合)する。第1の熱融着性繊維だけでなく、第2の熱融着性繊維も融着しておくことで、成型時の加熱により再び第1の熱融着性繊維が溶融しても、図1(B)に示すように、交点A(丸印)での融着がとれるだけで、第2の熱融着性繊維との交点B(三角印)は融着したままの状態となるため、成型時におけるプリーツの破れや穴あきを抑制することが可能となる。加熱温度の上限は特に限定されないが、不織布に任意成分である非熱融着性繊維が含まれるときには、前記非熱融着性繊維の融点未満であることが望ましい。
サーマルボンド時の加熱温度は、例えば、100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上であり、例えば、220℃以下が好ましく、より好ましくは200℃以下である。
また加熱時間は、例えば、10秒以上が好ましく、より好ましくは20秒以上であり、更に好ましくは30秒以上であり、例えば、5分以下が好ましく、より好ましくは3分以下であり、更に好ましくは2分以下である。
本発明では、第1及び第2の熱融着性繊維を、段階的に熱融着してもよい。例えば、不織布を、第1の熱融着性繊維の融点以上第2の熱融着性繊維の融点未満で加熱し、第1の熱融着性繊維を溶融した後(サーマルボンドI工程)、更に第2の熱融着性繊維の融点−5℃以上の温度で加熱することにより、第1及び第2の熱融着性繊維を溶融する(サーマルボンドII工程)方法等が挙げられる。特にサーマルボンドII工程で、溶融した第2の熱融着性繊維により交点が十分に融着されていないと、成型時に繊維同士の交点が自由に動いてしまうため、プリーツに破れが生じたり、繊維が流れてしまうため注意が必要である。
サーマルボンドI工程における不織布の加熱方法は特に限定されず、熱風による加熱方法、加熱ロール間に不織布を通す加熱方法等が挙げられる。中でも本工程では、熱風による加熱方法が好ましい。熱風を用いることにより、不織布内部に存在する第1の熱融着性繊維まで均一に溶解でき、第1の熱融着性繊維により、不織布全体に亘って繊維同士を交点で固定することが可能となる。
サーマルボンドI工程での加熱温度は100℃以上が好ましく、より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上であり、200℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以下である。
サーマルボンドII工程における不織布の加熱方法も特に限定されず、熱風による加熱方法、加熱ロール間に不織布を通す加熱方法等が挙げられる。成型時には、不織布表面の繊維が、直接金型に接触するため、成型時に繊維が流れるといった不具合は、特に不織布表面で顕著である。そのため、より確実に不織布表面において第2の熱融着性繊維を融着しておくべく、本工程では、加熱ロール間に不織布を通す加熱方法が好ましい。
サーマルボンドII工程での加熱温度は140℃以上が好ましく、より好ましくは175℃以上であり、更に好ましくは185℃以上である。加熱温度の上限は特に限定されないが、不織布に任意成分である非熱融着性繊維が含まれるときには、前記非熱融着性繊維の融点未満であり、より好ましくは220℃以下であり、更に好ましくは210℃以下である。サーマルボンドの効果の違いにより、特に、サーマルボンド工程IIでの加熱温度は、サーマルボンド工程Iでの加熱温度より高いことが望ましい。
すなわち本発明の不織布は、不織布を構成する繊維が第1及び/または第2の熱融着性繊維により繊維同士の交点が融着され、且つ、不織布内部に比べて不織布表面の方が、第2の熱融着性繊維によって融着された繊維の交点の数が多い構造になりやすくなる。
またフィルター材としての機能向上を図るために、不織布には難燃加工、帯電防止加工、消臭加工、抗菌加工等を行ってもよく、前記加工は、例えば、バインダー樹脂に、難燃剤、帯電防止剤、消臭剤、抗菌剤等を加え、得られた加工液を不織布にコーティングまたは前記加工液に不織布をディッピングする等により実施できる。
<プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント及びその製造方法>
本発明の不織布は、一体成型用に用いられる。特に、気相中のダストを捕集するプリーツ部と、フィルターエレメント部材を枠などに固定するフランジ部を備えたプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントは、例えば、
本発明の不織布を、規則的に折り返して山部と谷部が連続するプリーツ部を形成する癖付工程、
前記工程で得られた予備成形体を、前記予備成形体のプリーツ部に対応する連続した山部と谷部とを有するプリーツ加工面、プリーツ部の山谷の連続方向に接続する第1フランジ形成面、及びプリーツ部の山谷の尾根方向に接続する第2フランジ形成面とを有する雄雌一対の金型に挟み、前記第1の熱融着性繊維の融点以上、前記第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度で加熱する成型工程、
とを含む方法により製造される。
<癖付工程>
後述する成型工程において、金型に対する不織布の追従性を高めるため、本発明では予め、不織布を、規則的に折り返して山部と谷部が連続するプリーツ部を形成する癖付工程を実施することが望ましい。
プリーツ折り返しの幅やプリーツの高さ等は特に限定されず、成型品であるプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントの用途に応じて適宜調整するとよいが、例えば、プリーツにおける織り幅は5〜20mm(より好ましくは7〜15mm)、高さは4〜15mm(より好ましくは5〜10mm)が好ましい。
プリーツの形態を安定させるために、癖付け工程では、折り返したプリーツを熱プレス等で固定しておくことが望ましい。癖付温度は、前記第1の熱融着性繊維の融点−5℃以下が好ましく、具体的には120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
<成型工程>
続く成型工程を、図2を用いながら説明する。図2はプリーツの癖付けをした予備成形体を、金型で成型するときの概略図である。図2では、前記工程で得られた予備成形体11を、雄雌一対の金型12及び13に挟み、前記第1の熱融着性繊維の融点以上、前記第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度で加熱する。
使用する金型12及び13は、前記予備成形体のプリーツ部に対応する連続した山部と谷部とを有するプリーツ加工面12a及び13a、プリーツ部の山谷の連続方向に接続する第1フランジ形成面12b及び13b、及びプリーツ部の山谷の尾根方向に接続する第2フランジ形成面12c及び13cとを有するものである。図2中において、予備成形体11が一点鎖線で囲まれたエリアは、プリーツ加工面12a及び13aと予備成形体とが直接接触する面を示すものである。
成型工程では、前記工程で得られた予備成形体11を枠止めにセットし、加熱した雄雌一対の金型12及び13で、成型金型のプリーツ加工面12a及び13aの山部と谷部が、予備成形体11のプリーツ部の山部と谷部が噛みあうようにして挟み、圧力をかけて熱プレス成型をする。第1フランジ部14bは、プリーツ部14aの構成に使用されなかった長尺方向の余分な不織布が2〜3枚積層され、これが熱融着することで形成される。そのため、予備成形体11を成型金型にセットするときには、この第1フランジ部14bにおける不織布の重なりを考慮して、山谷の連続方向の端部を2〜3回折り返し、不織布が3〜4枚重ねられた積層構造20にするとよい。
成型金型は、前記第1の熱融着性繊維の融点以上、前記第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度に調整することが好ましく、より好ましくは癖付温度以上であり、具体的には160℃以上190℃以下が好ましく、180℃以上190℃以下が更に好ましい。第1の熱融着性繊維の融点以上で成型することにより、成型時の不織布の変形歪みが吸収され、プリーツの破れや細孔の拡大を抑えることができる。また第2の熱融着性繊維による繊維交点の融着が離れないように、第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度に調整することが望ましい。なお成型金型の温度は、具体的には、フランジ形成面12b、13b、12c及び13cの温度をいい、プリーツ加工面12a及び13aの温度は、必要により適宜調整するとよい。
成型加熱時間(熱プレスで圧力をかける時間)は、1〜15秒が好ましく、3〜10秒がより好ましい。
このような成型条件により、図3に示すような、前記不織布からなり、前記不織布の折り曲げ加工によって立体化されたプリーツ−フランジ一体成型のフィルターエレメント15であって、規則的に山部と谷部とが連続するプリーツ部14aと、前記山谷の連続方向で前記プリーツ部と接続する第1フランジ部14bと、前記山谷の尾根方向で前記プリーツ部と接続する第2フランジ部14cとを有する点にある。すなわち、予備成形体の山谷の連続方向の端部に存在する余分な不織布により、第1フランジ部14bが形成され、山谷の尾根方向で余分な不織布が重なり合うことで、尾根方向の側面が閉じられ、プリーツ部14aと接続した第2フランジ部14cが形成される。
熱プレスによる加熱成型後、プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントのフランジ部は適宜打ち抜き等により整形するとよい。
<用途>
このようにして得られたプリーツ−フランジ一体成型のフィルターエレメントは、大風量の空気が通風する室内空調や空冷用エアー供給システムに搭載されるエアフィルターエレメントとして好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例での測定は、以下に記載の測定方法を用いる。
(1)目付;JIS L1913(2010) 6.2法に準じ、成型加工前の不織布を20cm×20cmの大きさで切り出し、その重量を測定して、1m2当たりの重量に換算して求めた。
(2)厚さ;JIS L1913(2010) 6.1.1 A法に準じ、試験片にかける圧力を2g/cm2として測定した。
(3)通気度;JIS L1913(2010) 6.8.1 フラジール形法に準じて測定した。
(4)引張強度;JIS L1913(2010) 6.3法に準じて測定した。
(5)融点;示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業株式会社製「DSC210」)を用いて測定を行い、最大融解吸熱ピーク温度を融点とした。データ処理には、セイコー電子工業株式会社製「SSC5000」を用いた。
ただし、示差走査熱量分析装置で融解吸熱ピークを確認できないときは、加熱プレート上に試料を載置し、徐々に昇温して融点成分で結合した結合点が外れるときのプレート温度を融点(目視)とした。
〔測定条件〕
試料:10mg,昇温速度:10℃/min
(6)嵩密度
不織布の嵩密度(g/cm3)は、目付(g/m2)を厚さ(mm)で除し、単位を換算して求めた。
(7)プリーツ形状
プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントにおけるプリーツラインの形状を、以下の項目に従って評価した。
◎:プリーツラインの変形なく、特異なふくらみもない
○:プリーツラインに少し変形あるが、特異なふくらみなし
△:プリーツラインに部分的に変形あるが、特異なふくらみなし
×:プリーツラインに変形があり、少し特異なふくらみも見られる
(8)細孔形状
フランジ部とプリーツ部の境界における細孔形状を、以下の項目に従って評価した。
◎:熱成型時に不織布細孔の拡大変形しない
○:熱成型時に不織布細孔に少し小さな拡大部がみられる
△:熱成型時に不織布細孔に小さな拡大部が散見される
×:熱成型時に不織布細孔の拡大が特定部位にみられる
(9)総合評価
プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントでの、プリーツ形状及び細孔形状の評価に基づき、総合的に評価した。
◎:形状変形はなく問題なし
○:形状変形が少しあるが問題なし
△:形状変形が見られるが問題なし
×:形状変形が見られ問題あり
実施例及び比較例で用いた繊維は以下の通りである。
実施例1
(1)不織布の製造
複合熱融着性繊維A30重量%、複合熱融着性繊維B40重量%、及び複合熱融着性繊維C30重量%をそれぞれ計量し、混綿、カーディング、ラッピングした繊維ウエブを、針本数25本/cm2、針深さ10mmの条件でニードルパンチ処理を行った。
その後、熱風温度180℃においてホットエアー処理することにより、複合熱融着性繊維を溶融させて不織布を構成する繊維を接着させた後、200℃に加熱した一対の加熱ロールに通して更に接着処理を行い、冷却後の不織布を巻きとった。得られた不織布の特性を表2に示す。
(2)成型加工
得られた不織布を用いて、プリーツ加工を行い、図2に示すように、金型としては、プリーツ織り幅Lが10mm、プリーツ高さHが7mmとなるように調整された雄雌一対の金型を用いた。
金型にセットする前に、不織布には、前工程としてプリーツ癖付工程を実施した。この工程ではプリーツ織り幅10mmでプリーツ加工を行い、プリーツのひだを固定するために、110℃で熱板セットを行った。
続く成型工程では、プリーツが癖付けられた不織布を、成型金型の間に挟み、一対の金型でこの不織布に圧力をかけて成型を行った。不織布をセットするときには、側面における不織布の重なりを考慮して、山谷の連続方向の端部を2回折り返し、不織布の3枚重ね構造とした。成型時の金型温度は190℃であり、加熱時間は6秒とした。冷却した後型抜きして、プリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメントを得た。得られたフィルターエレメントの評価は表に示す通りである。
実施例2〜6、比較例1〜3
不織布を構成する繊維の種類を、表に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして不織布を作製した。
実施例5では、使用した繊維の種類に合わせて、熱風温度、加熱ロール温度、プリーツ癖付温度及び成型金型温度を変更した。
実施例6では、不織布製造時の加熱ロールの圧力を調整して薄地の不織布を製造した。
実施例及び比較例の評価結果に基づけば、本発明の不織布では、プリーツラインにほとんど変形がなく、また熱成型時に不織布細孔の拡大変形も少ないため、総合評価の点で優れた結果が得られている。これより本発明の不織布は、特に一体成型用に好ましく適用できることが分かる。
1:第1の熱融着性繊維、2:第2の熱融着性繊維、3:非熱融着性繊維
A:第1の熱融着性繊維が繊維と融着することで形成される交点
B:第2の熱融着性繊維が繊維と融着することで形成される交点
11:予備成形体
12:雌側の金型、13:雄側の金型
12a、13a:プリーツ加工面
12b、13b:第1フランジ形成面
12c、13c:第2フランジ形成面
14a:プリーツ部
14b:第1フランジ部
14c:第2フランジ部
15:プリーツ−フランジ一体成型のフィルターエレメント
20:積層構造

Claims (9)

  1. 第1の熱融着性繊維と、前記第1の熱融着性繊維よりも20℃以上高い融点を有する第2の熱融着性繊維とを含み、
    全ての繊維100重量%中、前記第1の熱融着性繊維の含有率が15重量%以上であり、前記第2の熱融着性繊維の含有率が30重量%以上であり、
    これら第1及び第2の熱融着性繊維がいずれも繊維の交点で融着しており、
    全ての繊維100重量%中、5dtex以下の繊維の含有率が30重量%以上であることを特徴とする一体成型用不織布。
  2. 更に、非熱融着性繊維を含む請求項1に記載の一体成型用不織布。
  3. 前記第2の熱融着性繊維が、15dtex以上40dtex以下の第2の熱融着性太繊維と、1dtex以上15dtex未満の第2の熱融着性細繊維とからなる請求項1または2に記載の一体成型用不織布。
  4. 全ての繊維100重量%中、15dtex以上の繊維の含有率が10重量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の一体成型用不織布。
  5. 目付が30〜150g/m2であり、JIS L1913(2010) 6.8.1 フラジール形法に基づき測定される通気度が600cc/cm2/sec以上である請求項1〜のいずれか1項に記載の一体成型用不織布。
  6. ニードルの単位面積当たりの打ち込み本数が50本/cm2以下であり、
    MD方向及びCD方向の引張強度が40N/50mm以上300N/50mm以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の一体成型用不織布。
  7. 嵩密度が0.45g/cm3以下である請求項1〜のいずれか1項に記載の一体成型用不織布。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の一体成型用不織布を、規則的に折り返して山部と谷部が連続するプリーツ部を形成する癖付工程、
    前記工程で得られた予備成形体を、前記予備成形体のプリーツ部に対応する連続した山部と谷部とを有するプリーツ加工面、プリーツ部の山谷の連続方向に接続する第1フランジ形成面、及びプリーツ部の山谷の尾根方向に接続する第2フランジ形成面とを有する雄雌一対の金型に挟み、前記第1の熱融着性繊維の融点以上、前記第2の熱融着性繊維の融点より10℃以上低い温度で加熱する成型工程、
    を含む方法により得られることを特徴とするプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の一体成型用不織布からなり、前記不織布の折り曲げ加工によって立体化された一体成型フィルターエレメントであって、
    規則的に山部と谷部とが連続するプリーツ部と、
    前記山谷の連続方向で前記プリーツ部と接続する第1フランジ部と、
    前記山谷の尾根方向で前記プリーツ部と接続する第2フランジ部と
    を有することを特徴とするプリーツ−フランジ一体成型フィルターエレメント。
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