JP4627035B2 - 立体有孔シート及びその製造方法 - Google Patents
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本発明の立体有孔シートの製造方法によれば、前記立体有孔シートを効率的に製造することができる。
図1には本発明の一実施形態の立体有孔シート(以下、単に立体有孔シートともいう)の斜視図が示されており、図2には図1に示す立体有孔シートを畝部が突出する側から見た平面図が示されており、図3には、図1に示す立体有孔シートを、その厚み方向と平行な平面で切断した断面図が示されている。
多数本の畝部2は、それぞれ、立体有孔シート1の一方向に延びており、互いに平行に形成されている。畝部2は、立体有孔シート1における、畝部2の長手方向に直交する方向(以下、X方向ともいう)に一定間隔で形成されている。また、開孔31は、相隣接する畝部2,2間に存する溝部3に形成されており、立体有孔シート1における、畝部2の長手方向と平行な方向(以下、Y方向ともいう)に一定間隔で形成されている。
立体有孔シート1を構成する材料としては、従来公知の各種のシート材を用いることができ、例えば、不織布やフィルム、また、不織布や繊維ウエブとフィルムを積層した複合シート等を特に制限なく用いることができる。
不織布としては、カード法により製造された熱融着繊維ウエブを熱風処理して得られるエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を、立体有孔シートの具体的な目的や用途に応じて適宜選択することができる。これらの不織布における繊維の結合手段に特に制限はなく、例えば、バインダーによる結合や熱融着による結合を用いることができる。また、繊維の結合に代えて、スパンレース不織布等のように繊維の機械的な絡合を利用してもよい。立体有孔シートに、滑らかな肌触りや、柔らかさを顕著に実現するためには、不織布として、カード法により得られた熱融着繊維ウエブを熱風処理し、強固な圧縮を与えずに不織布化したエアスルー不織布が最も好適に用いられる。
複合シートとしては、不織布又は繊維ウエブとフィルムとの積層シート等が挙げられる。積層シートは、不織布又は繊維ウエブを一層のみ含むものでも2層以上含むものであっても良く、また、フィルムを一層のみ含むものでも2層以上含むものであっても良い。
光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボード〔MATROX社METEOR2-MC/4〕を用いて、立体有孔シート1の裏面1B側の画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフト(ver.4.21)によって開孔の部分を二値化処理する。二値化処理された画像から円相当径を求めこれを開孔径とする。また二値化処理された部分の面積を全画像の面積で除すことで開孔率(%)を求める。開孔径の測定が困難な場合は、画面上で開孔の部分を塗りつぶす等の補助的な処理を行う。
本実施形態の立体有孔シート1における畝部2は、X方向における畝部2の断面形状は、図3に示すように、不織布の表裏面の何れもが、表面1A側に向けて凸状に湾曲している。また、X方向における溝部3の断面形状は、不織布の表裏面の何れもが、裏面1B側に凸状をなしている。
従って、畝部2の幅方向中央部を、溝部2の長手方向に沿って見たときに、低部22の最も低い位置においても、溝部3の上面31Aの位置より高い位置にある。
高部21と低部22との高低差T1(高部21の最も高い部分の高さと低部の幅方向中央部における最も低い部分の高さとの高低差、図3(b)参照)の、高部21の高さT2〔高部21の最も高い部分の高さ、図3(b)参照〕に対する比(T1/T2)は、畝部2及び立体有孔シート1の折れ曲がり易さの向上、畝部による液の拡散方向の制御等の観点から、0.2〜1.0が好ましく、より好ましくは0.5〜0.9である。
同様の観点から、前記高低差T1の、立体有孔シートの厚みT〔図3(b)参照)〕に対する比(T1/T)は、0.2〜0.9が好ましく、より好ましくは0.3〜0.7である。立体有孔シートの厚みTは、0.5〜5mmが好ましく、より好ましくは1〜3mmである。
そのため、例えば、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、畝部が折れ曲がって潰れ、硬い構造体を形成することによる着用時の不快感を防止できる。
また、そのように立体有孔シート1が畝部2の長手方向に曲がり易いため、畝部2が延びる方向を吸収性物品の長手方向と一致させた場合であっても、吸収性物品の着用時に、着用者の前後方向の肌の湾曲に柔軟に追従し沿うことができるため、着用感の悪化や吸収性能の低下も防止することができる。
また、立体有孔シート1を、吸収性物品の表面シートとして用い、その吸収性物品を、該畝部2が折り畳まれるように折り畳んで包装袋に収納したり、吸収性物品の個装体とした場合においても、吸収性物品を取り出して拡げると、畝部の倒れやいびつな潰れが殆どなく、そのため、見た目が綺麗であり、また、畝部による液の拡散方向の制御も確実に行うことができる。
更に、畝部2の低部22を介して、空気が立体有孔シートのX方向にも流通し易くなるため、ムレ防止性能も向上する。
また、低部22の長さL2は0.5mm以上であることが好ましく、1〜4mmであることが好ましい。
高部21の長さL1と低部22の長さL2とを測定する際の高部21と低部22との境界は、高部21の最も高い部分の高さと畝部2の幅方向中央部における低部22の最も低い位置の高さとの中間の高さ(両者合計の1/2の高さ)の位置とする。
また、Y方向の開孔31のピッチ(例えば開孔の中心点間の間隔)は、1〜10 mm、特に2〜4mmであることが好ましい。
不織布の坪量は、15〜50g/m2、特に20〜30g/m2であることが、立体有孔シート1全体としての風合い、地合い、開孔性の点から好ましい。
本実施形態の製造方法で用いた立体有孔シートの製造装置は、図4及び図5に示すような、第1のロール51と第2のロール55とを備えている。
第2のロール55は、第1のロール51における穿孔ピン52aと相対向する周面を有するスペーサー部56と、周面に凸部57aと凹部57bとが交互に形成された歯車状の噛合部57とを、軸長方向に交互に有している。第2ロールにおけるスペーサー部56と噛合部57とは、共通する軸芯55Sの周りを一体となって回転する。
第1ロール51の噛合部53と第2ロール55の噛合部57とは、図4及び図5(a)に示すように、歯車状に噛み合うように形成されている。第1ロール51及び第2ロール55は、図5中の矢印方向に駆動され、第1ロール51の個々の穿孔ピン52aは、第1ロール51の回転に伴って、第2のロール55における噛合部57同士間に周期的に挿入される。第2のロール55の前記スペーサー部56は、第2のロール55における噛合部57同士間に穿孔ピン52aを挿入可能な空間を形成する。
このようにして本実施形態の製造方法によれば、立体有孔シート1を、容易に連続生産することができる。尚、図4中、符号Pは、不織布10’を挿入する位置を示している。
また、溝部3を形成するのに高温、高圧のエンボス加工が必要ないので、全体として柔らかな立体有孔シートを製造することができる。更に、スパンレースによる柄付けや一般的なエンボス加工に比べて、シート厚に対して高さの高い畝部を形成することができる。
しかも、高部21と低部22とを有する畝部の形成と開孔の形成とを同時に行うことができ、工程の簡略化や製造設備の小型化が可能であり、吸収性物品の製造ラインに組み込むことも容易である。
図6(a)に示す立体有孔シート1Aにおける開孔31は、溝部3における、高部21の真横の位置と低部22の真横の位置との両方に形成されている。
図6(b)に示す立体有孔シート1Bにおける開孔31は、溝部3における、高部21の真横の位置に複数形成されており、低部22の真横の位置には形成されていない。
図6(c)に示す立体有孔シート1Cにおける開孔31は、低部22の真横の位置に形成されており、高部21の真横の位置には形成されていない。立体有孔シート1Cにおける開孔31は、一つの低部22に対して一つ形成されている。
また、
例えば上述した立体有孔シート1A又は1Bのように低部22の隣りに開孔31があると、液体が、畝2の特に低部22を乗り越えるのを防止し、乗り越えた場合にも液を取り込み易い。また、低部22の隣りに開孔31があると、曲げ性が一層向上する。
また、溝部3に形成された開孔31の数と該溝部の両側に位置する畝部2それぞれにおける高部21の数との比(前者:後者)は、液拡散方向の制御と折れ曲がりの点から、1:1〜5:1であることが好ましく、1:1〜1:3であることがより好ましい。開孔31の数と高部21の数との比は、立体有孔シートのY方向で上記範囲で変化していても良い。
例えば、隣接する畝部の高部21は、横一列に並んでいなくても良く、例えば、隣り合う畝部で半ピッチ分ずれていても良い。また、隣接する溝部3の開孔31は、横一列に並んでいなくても良く、例えば、隣り合う溝部で半ピッチ分ずれていても良い。また、溝部3に形成する開孔31は、その両側に位置する溝部の一方についてみれば、高部21の真横に位置し、他方についてみれば、低部22の真横に位置するものであっても良い。また、畝部毎に、低部22のピッチを異ならせたり、溝部毎に、開孔のピッチを異ならせたりしても良い。
一枚の立体有孔シートに形成する、高部21と低部22とを有する畝部2の本数は、2本以上であれば特に制限されないが、4〜25本程度であることが好ましい。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
表面シートとして用いる場合、畝部と開孔を、表面シート全面にではなく、吸収性物品の側部のみまたは中央部のみに部分的に設けることもできる。
また、表面シート以外として用いることもでき、例えば、表面シートの下方で吸収体の上方に位置されるセカンドシート等に用いることもできる。これらの場合には、畝部2を有する側を表面シート側として用いる。また、吸収体と裏面シートの間に位置させたり、吸収体の中間層として用いることもできる。
また、不織布は、単層のものに限られず、多層構造のものであっても良い。また、不織布と樹脂フィルムとの積層体等を原料シートとして用いることもできる。
2 畝部
21 高部(相対的に高さの高い部分)
22 低部(相対的に高さの低い部分)
3 溝部
31 開孔
Claims (4)
- 不織布からなり、複数本の畝部が形成され、相隣接する畝部間の溝部に開孔が形成されており、前記畝部は、該畝部の長手方向に、相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが交互に形成されている立体有孔シートであって、
前記畝部における前記相対的に高さの高い部位及び前記相対的に高さの低い部位並びに前記溝部が、連続する同一の不織布からなり、前記相対的に高さの高い部位と前記相対的に高さの低い部位とで該不織布の厚みが同じである、立体有孔シート。 - 前記開孔が、その両側に位置する一対の畝部それぞれにおける、前記相対的に高さの高い部位の真横に位置している、請求項1記載の立体有孔シート。
- 前記相対的に高さの低い部位より前記相対的に高さの高い部位の方が、前記畝部の長手方向における長さが長い、請求項1又は2記載の立体有孔シート。
- 請求項1記載の立体有孔シートの製造方法であって、
周面に穿孔ピンが多数突設された穿孔部と、周面に凸部と凹部とが交互に形成された歯車状の噛合部とを軸長方向に交互に有する第1のロールと、第1のロールにおける穿孔ピンと相対向する周面を有するスペーサー部と、第1のロールの噛合部と噛み合う歯車状の噛合部とを軸長方向に交互に有する第2のロールとの間に、原料シートを導入し、該原料シートに、相対的に高さの高い部位と相対的に高さの低い部位とが交互に形成された畝部を形成すると同時に該畝部間の開孔を形成する、立体有孔シートの製造方法。
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