JP6998188B2 - フィルター補強材、濾材、成形品 - Google Patents

フィルター補強材、濾材、成形品 Download PDF

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Description

本発明は、濾材に用いられる補強材に関するものであり、特に、複数のプリーツが形成される濾材に適した補強材である。
従来より、フィルターの高性能化を目的として、ダストを捕集する集塵部と、更にフィルター補強材を備えた濾材が提供されている。
例えば、濾過性能の向上を図るため、前記集塵部として、ポリプロピレン繊維等の各種極細繊維を集積させてなるメルトブロー不織布が採用されることがある。この場合、不織布を構成する繊維が細いため、集塵部の強度や剛性が低く、これを補うためにフィルター補強材が更に積層される。
また、脱臭、消臭、抗菌等の機能を濾材に付加するため、濾材に粒状の活性炭等の機能剤を担持させることがある。この場合、機能剤のみでは、集塵部から機能剤が脱落してしまうため、フィルター補強材を更に積層し、集塵部とフィルター補強材の間に機能剤を挟むことがある。
このようなフィルター補強材としては、織物、編物、ネット、不織布等の繊維製品が広く使用されている。特に不織布は、織物、編物、ネット等と比べると、比較的細かな空隙を持っていることから通気性がよく、プレフィルターとしての機能も発揮する。一般的に、不織布製のフィルター補強材としては、スパンボンドタイプ、レジンボンドタイプ(特許文献1)、サーマルボンドタイプ(特許文献2)等が採用されている。
特開2009-185396号公報 特開2008-231597号公報
近年でも、濾材に対しては、高機能化、多様化、小型化等の性能向上に関する要請があり、加えてプリーツ時の加工性の向上も要求されているため、性能面と加工面の両面からの改善が求められている。
性能面では、濾材が水に濡れたときに、濾材の強度を維持でき、且つ、プリーツ形状の変化を小さくできるフィルター補強材は未だ提供されていなかった。例えば、自動車のキャビンフィルターのように、雨水等により被水する可能性のある濾材は、被水した状態でも、腰強力が高く、プリーツ形状の変化を小さくできれば、濾材のライフを長くできる。しかし本発明者が検討したところ、例えば、特許文献1に記載されるフィルター補強材では、被水時の性能を十分に改善するには至らないことが分かった。
またプリーツ加工は、ロータリー式、レシプロ式等、様々な方法で実施されるところ、特に高速での加工に優れたロータリー式にも適用可能なフィルター補強材は提供されていなかった。ロータリー式のプリーツ加工機では癖付工程が実施されるものの、例えば、特許文献2に記載されるフィルター補強材では、癖付部分ではない濾材部分が先に折れ曲がってしまい、綺麗な癖がつかない。加えて本発明者が検討したところ、特許文献2に記載されるフィルター補強材では、プリーツ加工時のヒートセットにおいて、プリーツの形を十分に固定できなかったため、形成されたプリーツのピッチ・高さが不揃いとなり、プリーツ加工性の点で改善が必要なことが分かった。
そこで本発明は、被水時の腰強力が高く、プリーツの形状変化が小さい上、プリーツの癖付性及びプリーツ加工性に優れたフィルター補強材を提供することを課題として掲げる。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、前記繊維シートが、公定水分率が1.5%以上の親水性繊維と、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、前記繊維シートが、式(1)を満たすフィルター補強材であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
0.50≦Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}≦3.50 …式(1)
[式(1)中、Mkは繊維シート中の第k繊維の含有率(%)、Ykは繊維シート中の第k繊維の公定水分率(%)、nは繊維シート中の繊維の種類の総数を表す。]
更に本発明者は、繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、前記繊維シートが、ビニロン繊維及びレーヨン繊維から選ばれる少なくとも一方の親水性繊維と、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維の含有率が0~55質量%、レーヨン繊維の含有率が0~27質量%、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率が5~65質量%であるフィルター補強材であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の点に要旨を有する。
[1] 繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、
前記繊維シートは、
公定水分率が1.5%以上の親水性繊維と、
熱接着性繊維(A)と、
前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、
前記繊維シートが、式(1)を満たすことを特徴とするフィルター補強材。
0.50≦Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}≦3.50 …式(1)
[式(1)中、Mkは繊維シート中の第k繊維の含有率(%)、Ykは繊維シート中の第k繊維の公定水分率(%)、nは繊維シート中の繊維の種類の総数を表す。]
[2] 前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、前記親水性繊維の含有率が、5質量%以上65質量%以下である[1]に記載のフィルター補強材。
[3] 公定水分率が6.0%以上の親水性繊維の含有率が、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、27質量%以下である[1]または[2]に記載のフィルター補強材。
[4] 繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、
前記繊維シートは、
ビニロン繊維及びレーヨン繊維から選ばれる少なくとも一方の親水性繊維と、
熱接着性繊維(A)と、
前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、
前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維の含有率が0~55質量%、レーヨン繊維の含有率が0~27質量%、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率が5~65質量%であることを特徴とするフィルター補強材。
[5] 前記親水性繊維の繊度が、1.0dtex以上17dtex以下である[1]~[4]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[6] 前記熱接着性繊維(B)の含有量が、前記熱接着性繊維(A)の含有量に対し、質量基準で、0.8倍以上4.0倍以下である[1]~[5]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[7] 前記繊維シートに含まれる繊維と前記バインダー樹脂の単位面積あたりの質量比が、繊維:バインダー樹脂で15:85~60:40である[1]~[6]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[8] 前記熱接着性繊維(A)の融点が、80℃以上180℃以下であり、
前記熱接着性繊維(B)の融点が、130℃以上200℃以下である[1]~[7]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[9] 目付が20g/m2以上120g/m2以下であり、厚さが1.2mm未満である[1]~[8]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[10] 前記繊維シートでの繊維配列が、ランダムウェブ、パラレルウェブ、またはクロスウェブである[1]~[9]のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
[11] 繊維シートから構成される集塵部と、
[1]~[10]のいずれか1項に記載のフィルター補強材と、を有する濾材。
[12] 前記フィルター補強材が複数のプリーツを有する[11]に記載の濾材。
[13] [12]に記載の濾材を有する成形品。
本発明によれば、被水時の腰強力が高く、プリーツの形状変化が小さい上、プリーツの癖付性及びプリーツ加工性に優れたフィルター補強材が提供される。
本願は、繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、前記繊維シートは、公定水分率が1.5%以上の親水性繊維と、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、前記繊維シートが、式(1)を満たすことを特徴とするフィルター補強材を包含する。
0.50≦Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}≦3.50 …式(1)
[式(1)中、Mkは繊維シート中の第k繊維の含有率(%)、Ykは繊維シート中の第k繊維の公定水分率(%)、nは繊維シート中の繊維の種類の総数を表す。]
本発明に係るフィルター補強材は、繊維シートにバインダー樹脂が固定されているため、フィルター補強材の剛性が高まると共に、プリーツの癖付工程において、癖付部分のバインダー樹脂が破壊されることにより、プリーツの癖(スジ)が明瞭となる。加えて、Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値を所望の範囲内に調整することにより、被水時の腰強力を高くしながら、プリーツ癖付性・プリーツ加工性に優れたフィルター補強材が得られる。
Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}で表される値は、0.50以上、好ましくは0.80以上、より好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.2以上、3.50以下、好ましくは3.10以下、より好ましくは2.50以下、更に好ましくは2.20以下である。Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値が前記範囲を下回ると、繊維シート中の繊維とバインダー樹脂との馴染みが悪くなり、バインダー樹脂が不均一に付着し、プリーツ癖付性が悪くなる虞がある。また、Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値が前記範囲を上回ると、濾材が被水すると繊維シートが水を多量に含んでしまい、フィルター補強材の剛性が低下して、プリーツ形状を維持できなくなる虞がある。
なお本明細書において、公定水分率は、JIS L 0105 4.1(2006)に基づき定められる値である。本発明に係るフィルター補強材には、親水剤等の処理剤で加工された繊維も使用できるが、公定水分率の評価に際しては、親水剤等の処理剤を除いた繊維そのものの公定水分率を評価するものとする。
またMkは、質量基準での繊維シート中の第k繊維の含有率(%)を表す。
更に、nは繊維シート中の繊維の種類の総数を表し、「繊維シート中の繊維の種類の総数」には、公定水分率が1.5%以上の親水性繊維、熱接着性繊維(A)、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)、及び繊維シートを構成する繊維100質量%中の含有率が10質量%以上の繊維(Z)(詳細は後述;公定水分率が1.5%以上の親水性繊維、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)を除く繊維を表す)の繊維の種類の総数をいう。
<1.親水性繊維>
本発明に係るフィルター補強材を構成する繊維シートには、公定水分率が1.5%以上の親水性繊維が含まれる。繊維シートに親水性繊維が含まれることで、繊維シートにバインダー樹脂加工を施す際に、バインダー樹脂のピックアップ量を多くでき、且つ、バインダー樹脂と親水性繊維の馴染みが良いため、繊維シートにバインダー樹脂を均一に固定することが可能となる。これにより、フィルター補強材の被水時の腰強力が高くなると共に、濾材のプリーツ癖付性も良好なものとなる。一方、親水性繊維は吸水性が高いため、濾材が被水すると親水性繊維は水を含んでしまい、フィルター補強材の剛性が極端に低下して、プリーツ形状を維持できなくなるという課題もある。
親水性繊維とは、公定水分率が1.5%以上の繊維である。公定水分率が1.5%以上の親水性繊維としては、ポリアクリルニトリル繊維(公定水分率:2.0%、Tg:105℃)、ナイロン繊維(公定水分率:4.5%、Tg:40℃)、ビニロン繊維(公定水分率:5.0%、Tg:85℃)、アセテート(公定水分率:6.5%)、綿(公定水分率:8.5%)、レーヨン繊維(公定水分率:11.0%)、またはこれらの改質繊維等が例示され、これらの繊維及びここに例示する以外の繊維の公定水分率は、例えば、JIS L 0105 4.1(2006)にもまとめられている。
なお本明細書において、JIS L 0105 4.1(2006)に示されていない繊維の公定水分率は、次式から求められる値を「公定水分率」として用いることとする。
公定水分率(%)={(W-W’)/W’}×100
[上記式中、
Wは、温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量(g)であり、
W’は、繊維絶乾時の質量(g)である。
温度20℃、湿度65%RHの環境下における繊維の質量Wは、温度20℃、湿度65%RHの環境下に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味する。
繊維絶乾時の質量W’は、105℃に設定した乾燥機中に繊維を放置し、一定の質量になった時の質量を意味する。]
親水性繊維の公定水分率は、1.5%以上、好ましくは2.5%以上、より好ましくは3.0%以上、更に好ましくは4.0%以上であり、好ましくは15.0%以下、より好ましくは14.0%以下、更に好ましくは13.0%以下である。公定水分率が前記範囲を下回ると、親水性繊維とバインダー樹脂との馴染みが悪くなり、バインダー樹脂が不均一に付着し、プリーツ癖付性が悪くなる虞がある。また親水性繊維の公定水分率が極端に高いと、被水時にフィルター補強材の腰強力が低下する虞がある。
繊維シートを構成する繊維100質量%中、親水性繊維の含有率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、好ましくは65質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。親水性繊維の含有率が前記範囲内であれば、被水時の腰強力が高く、プリーツ癖付性・加工性を良好にできるフィルター補強材が得られるため好ましい。
なお、公定水分率が高い親水性繊維の含有率が上がると、Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値が高くなり、被水時の腰強力が下がり、被水時に形状変化しやすくなるため、例えば、公定水分率が6.0%以上(好ましくは15.0%以下)の親水性繊維の含有率は、繊維シートを構成する繊維100質量%中、好ましくは27質量%以下、より好ましくは22質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
また濾材を高剛性にするために、親水性繊維としてはガラス転移温度(Tg)が高い繊維を使用することが望ましい。こうした観点から、親水性繊維のガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは60℃以上、上限は特に限定されないが、一般的には150℃以下である。
また濾材やフィルター補強材に難燃性が要求されることもあるため、親水性繊維は、自己消火性を有する繊維、難燃性を有する繊維、または難燃剤(例えば、非ハロゲン系のリン系難燃剤)と相性のよい繊維であってもよい。
公定水分率、ガラス転移温度、難燃性などを考慮すると、繊維シートには、親水性繊維として、少なくともビニロン繊維またはレーヨン繊維のいずれか一方が含まれていることが好ましい。ビニロン繊維は、公定水分率・ガラス転移温度の値が共に高く、フィルター補強材の被水時の腰強力向上に寄与する上、更にリン系難燃剤により炭化しフィルター補強材を難燃化できるため好ましい。またレーヨン繊維であれば、プリーツの癖が明瞭になるため好ましい。
すなわち本願は、繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、前記繊維シートが、ビニロン繊維及びレーヨン繊維から選ばれる少なくとも一方の親水性繊維と、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維の含有率が0~55質量%、レーヨン繊維の含有率が0~27質量%、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率が5~65質量%であることを特徴とするフィルター補強材も包含する。
前記繊維シートにビニロン繊維が含まれる場合、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維の含有率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは55質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。ビニロン繊維の含有率が高くなるほど、濾材が高強度となりながら適度な伸度をもちあわせることにより、プリーツ加工時(例えば、癖付け時やリプリーツ時)に破れにくくなる。
前記繊維シートにレーヨン繊維が含まれる場合、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、レーヨン繊維の含有率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは27質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは23質量%以下である。レーヨン繊維の含有率が高くなるほど、濾材を薄く硬く仕上げられて濾材が高密度・高剛性となり、特に被水していない通常時にプリーツ形状を維持して低通気抵抗となる。
前記繊維シートがビニロン繊維とレーヨン繊維の両方を含む場合、ビニロン繊維とレーヨン繊維の比率(ビニロン繊維:レーヨン繊維)は、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは20:80~80:20、更に好ましくは45:55~30:70である。前記範囲内であれば、レーヨン繊維とビニロン繊維を組み合わせることでプリーツ加工性と成形品の性能(特に通気抵抗)をバランスよく両立できる。
前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、好ましくは65質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率が前記範囲内であれば、被水時の腰強力が高く、プリーツ癖付性・加工性を良好にできるフィルター補強材が得られるため好ましい。
繊維シート中の親水性繊維の繊維本数が多くなるほど、バインダー樹脂とのなじみがよくなり、被水時の腰強力が向上することが期待できる。従って、親水性繊維の繊度は、好ましくは17dtex以下、より好ましくは15dtex以下、更に好ましくは8dtex以下であり、下限は特に限定されないが、好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは1.2dtex以上、更に好ましくは1.5dtex以上である。
親水性繊維は、長繊維でも短繊維でもよいが、好ましくは短繊維である。親水性繊維の繊維長は、好ましくは1~100mm、より好ましくは20~80mm、更に好ましくは30~70mmである。
繊維シートに含まれる親水性繊維は、それぞれ同一種であっても、異なる2種以上であってもよい。
<2.熱接着性繊維>
本発明に係るフィルター補強材を構成する繊維シートには、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)が含まれる。熱接着性繊維(A)・(B)2種類が含まれることにより、フィルター補強材が薄く、被水時の腰強力が高くなると共に、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性も良好なものとなる。
熱接着性繊維(A)の融点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは95℃以上、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは130℃未満である。熱接着性繊維(A)は、融点が低いため、低温の熱処理でも容易に溶融できる。溶融した熱接着性繊維(A)を含む繊維シートは容易に変形できるため、この性質により、熱接着性繊維(A)はフィルター補強材の厚さの調整に寄与する。またフィルター補強材は、薄くなる程、プリーツの襞同士の接触により生じる構造圧損を抑えることが可能となる。こうしたことから、本発明では、熱接着性繊維(A)は、フィルター補強材の薄地化のために用いる。また熱接着性繊維(A)は、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性の向上にも寄与する。プリーツの癖付工程において、癖付部分のバインダー樹脂が破壊されるが、熱接着性繊維(A)が含まれることで、フィルター補強材全体が高剛性であるため、バインダー樹脂が破壊されることで形成された癖付部分とフィルター補強材全体の間に大きな剛性差が生じる。この大きな剛性差により、リプリーツ工程では癖付部分が優先的に折れ曲がるため、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性が向上する。
熱接着性繊維(B)の融点は、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、更に好ましくは140℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは164℃以下である。熱接着性繊維として、融点に差がない(具体的には、融点の差が0~10℃未満)熱接着性繊維を使用すると、プリーツ加工時のヒートセットにおいて、繊維シートに含まれる熱接着性繊維がほぼ全量溶融してしまい、溶融した熱接着性繊維により、プリーツの襞同士が面接着する場合がある。しかし、熱接着性繊維(A)と、該熱接着性繊維(A)よりも融点が10℃以上高い熱接着性繊維(B)を組み合わせれば、ヒートセット時に熱接着性繊維(B)が溶融しない温度に設定することにより、こうしたプリーツの襞同士の面接着を抑制でき、プリーツ加工性が良好なものとなる。
熱接着性繊維(B)の融点は、熱接着性繊維(A)よりも、好ましくは15℃以上60℃以下、より好ましくは20℃以上55℃以下、更に好ましくは25℃以上50℃以下高い融点を有することが望ましい。熱接着性繊維(B)と熱接着性繊維(A)の融点差が大きくなるほど、ヒートセット時のプリーツの襞同士の面接着を抑制しやすくなる。
熱接着性繊維(A)・(B)としては、不織布の製造に通常使用されるものであればよく、例えば、融点の異なる複数の樹脂を組み合わせた芯鞘構造、偏心構造、あるいはサイドバイサイド構造を有する複合繊維;変性ポリエステル繊維;変性ポリアミド繊維;変性ポリプロピレン繊維等の変性ポリオレフィン繊維;等がそれぞれ使用できる。前記複合繊維に使用される樹脂の組み合わせには、ポリエチレン-ポリプロピレン、ポリプロピレン-変性ポリプロピレン等のポリオレフィン系の組み合わせ、ポリエチレン-ポリエステル、ポリエステル-変性ポリエステル、ナイロン-変性ナイロン等が挙げられる。また融点によっては、単一の樹脂からなる熱接着性繊維(A)・(B)も使用できる。なお、熱接着性繊維(A)・(B)が複合繊維のときは、接着成分(通常、最も融点が低い熱可塑性樹脂)の融点が、熱接着性繊維(A)・(B)それぞれの融点に相当する。
中でも、熱接着性繊維(A)・(B)は、それぞれ芯鞘構造を有する複合繊維が好ましい。芯鞘構造を有する複合繊維は、芯成分に比べて鞘成分の方が溶融しやすい。そのため、熱接着性繊維(A)・(B)が熱溶融すると、鞘成分が繊維シート中の繊維同士を接着固化し、芯成分は繊維の形態を残す。芯成分が繊維の形態を残すことにより、芯成分が繊維シートの骨格として機能して、フィルター補強材に剛性を付与することが可能となる。
芯成分は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂;等が挙げられるが、中でもポリエステル系樹脂が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
鞘成分は、変性ポリエステルまたは共重合ポリエステルが好ましい。前記ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、例えば、イソフタル酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール等が例示できる。
通常、芯と鞘の質量比は30:70~70:30であり、より好ましくは40:60~60:40、更に好ましくは45:55~55:45である。
融点や繊度の種類が豊富であり、剛性(高Tg)及び耐熱性に優れることから、熱接着性繊維(A)・(B)は、ポリエステル系樹脂からなる芯鞘構造を有する複合繊維であることが好ましい。
熱接着性繊維(A)・(B)の繊度は、それぞれ、好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは2.0dtex以上、更に好ましくは3.0dtex以上、好ましくは40dtex以下、より好ましくは20dtex以下、更に好ましくは10dtex以下である。熱接着性繊維(A)・(B)の繊度は、濾材の使用環境における処理風量やダスト捕集性能を考慮して選定するとよい。例えば、熱接着性繊維(A)・(B)の繊度が小さくなる程(例えば、5.0dtex以下)、質量あたりの熱接着性繊維(A)・(B)の繊維本数が増えるため、繊維間の接着強力が上がり、フィルター補強材を高強度・高剛性化でき、被水時の腰強力も高くなる傾向にある。一方、熱接着性繊維(A)・(B)の繊度が大きくなる程(例えば、5.0dtex超)、熱接着性繊維(A)・(B)が繊維シートの骨格としても機能するため、フィルター補強材の曲げ剛性を大きくすることが可能となる。なお、これら熱接着性繊維(A)・(B)の繊度は、熱処理前の繊度を指す。例えば、熱処理後の熱接着性繊維(A)・(B)の繊度は熱処理前の繊度に対して、通常0.3~1倍である。
熱接着性繊維(A)・(B)は、長繊維でも短繊維でもよいが、好ましくは短繊維である。熱接着性繊維(A)・(B)の繊維長は、それぞれ、好ましくは1~100mm、より好ましくは20~80mm、更に好ましくは30~70mmである。
繊維シートに含まれる熱接着性繊維(A)・(B)は、それぞれ同一種であっても、異なる2種以上であってもよい。
また後述するように、本発明では繊維シートに熱処理を行うことによりフィルター補強材を製造する。この熱処理により、熱接着性繊維(A)・(B)も同時に熱溶融させるため、フィルター補強材中には、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の一部又は全部が溶融固化した状態で存在することとなる。熱溶融後の熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)は、例えば、繊維シート中の繊維の交絡点を固定した状態で固化していることもある。また熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)は、繊維シート中で、該繊維全体が溶融固化した状態で存在していてもよいし、芯鞘の熱接着性繊維を用いる場合には、芯成分が繊維の形態を留め、鞘成分で繊維シート中の繊維が交絡点で接着された状態で存在していてもよい。
熱接着性繊維(A)・(B)の公定水分率は特に限定されないが、一般的に熱接着性繊維は疎水性であるため、熱接着性繊維(A)・(B)の公定水分率は、それぞれ、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1.2%以下、更に好ましくは1.0%以下、より更に好ましくは0.6%以下であり、下限は特に限定されないが、通常0.0%以上である。
熱接着性繊維(A)の含有率は、繊維シートを構成する繊維100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは32質量%以下である。熱接着性繊維(A)の含有率が高くなる程、低温の熱処理でも繊維シートを容易に変形できるため、フィルター補強材を薄く仕上げやすくなる。また、熱接着性繊維(A)の含有率が高くなる程、濾材が高剛性となるためプリーツ癖付性も良好にできる。
また熱接着性繊維(B)の含有率は、繊維シートを構成する繊維100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは62質量%以下である。プリーツ加工時のヒートセットでは、好ましくは熱接着性繊維(B)の融点よりも低い温度で熱処理されるため、熱接着性繊維(B)の含有率が高くなる程、プリーツ加工時に繊維シートが変形し難くなることにより、濾材のプリーツ加工性が良好なものとなる。
また熱接着性繊維(B)の含有量は、熱接着性繊維(A)の含有量に対し、質量基準で、好ましくは0.8倍以上、より好ましくは1.1倍以上、更に好ましくは1.3倍以上、好ましくは4.0倍以下、より好ましくは3.5倍以下、更に好ましくは3.0倍以下である。熱接着性繊維(A)に対する熱接着性繊維(B)の含有量が多くなる程、プリーツ加工時のヒートセットにおいて、プリーツの襞同士が溶融した熱接着性繊維により面接着することを抑制できる。一方、熱接着性繊維(A)に対する熱接着性繊維(B)の含有量が少なくなる程、相対的に熱接着性繊維(A)の含有量が増大するため、フィルター補強材を薄くしたり、プリーツ癖付性を良好にできる。
熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有率は、繊維シートを構成する繊維100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有率が高くなるにつれ、薄く、被水時の腰強力が高い上、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性が良好なフィルター補強材を得やすくなる。
親水性繊維、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有率は、繊維シートを構成する繊維100質量%中、好ましくは15質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、特に好ましく90質量%以上であり、好ましくは100質量%以下であり、95質量%以下であってもよい。親水性繊維、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有率が前記範囲内であれば、被水時の腰強力が高く、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性に優れたフィルター補強材を得やすくなる。
また、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有量は、親水性繊維の含有量に対し、質量基準で、好ましくは0.8倍以上、より好ましくは1.5倍以上、更に好ましくは2.0倍以上、好ましくは12倍以下、より好ましくは11倍以下、更に好ましくは10倍以下である。熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)の含有量を前記範囲内に調整することで、被水時の腰強力が高く、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性に優れたフィルター補強材を得やすくなる。
<3.その他の繊維>
繊維シートには、前述した公定水分率が1.5%以上の親水性繊維、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)を除く繊維(Z)が含まれていてもよい。前記繊維(Z)としては、一般的に不織布に使用される繊維が適宜採用でき、例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリアリレート等のポリエステル繊維;ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維;等が例示でき、これらの繊維を1種、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。繊維(Z)の繊度は特に限定されず、例えば、1~40dtexである。
<4.繊維シート>
濾材の高性能化を目的として、本発明に係るフィルター補強材には薄さや目の細かさが求められることがある。フィルター補強材が薄地であれば、構造圧損を下げたり、ユニット中の濾過面積を増加させることが可能となる。また、フィルター補強材の目が細ければ、粒径の小さな粒状活性炭等の機能剤の脱落が抑制されるため、機能性に優れた濾材が提供される。こうした観点から、繊維シートに含まれる繊維の平均繊度は、好ましくは1.0dtex以上、より好ましくは1.2dtex以上、更に好ましくは1.5dtex以上、好ましくは17dtex以下、より好ましくは15dtex以下、更に好ましくは8.0dtex以下である。なお本明細書において「平均繊度」は、繊維シートが繊度の異なる複数の繊維を含むときには、各繊度の繊維の割合(重量基準)を考慮した加重平均によって求めることとする。
繊維シートの目付は、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは15g/m2以上、更に好ましくは25g/m2以上、好ましくは60g/m2以下、より好ましくは45g/m2以下、更に好ましくは35g/m2以下である。繊維シートの目付が増える程、被水時の腰強力が高いフィルター補強材となる。
<5.バインダー樹脂>
本発明に係るフィルター補強材では、繊維シートにバインダー樹脂が固定されているため、フィルター補強材の剛性が高まる。また、プリーツの癖付工程において、癖付部分のバインダー樹脂が破壊されることにより、プリーツの癖(スジ)が明瞭となる。更に、バインダー樹脂を固定することは、フィルター補強材の加工性の点からも有用である。粒状活性炭のような濾材に圧力負荷をかける機能剤と積層一体化してもなお、濾材が折れない程度の高い剛性を有し、且つ、被水時における腰強力も大きなフィルター補強材を得るには、例えば、繊維シートにバインダー樹脂を固定しなくても、熱接着性繊維からなる繊維シートをフィルター補強材とすることも考えられる。しかし熱接着性繊維からなるフィルター補強材には[1]~[2]の問題がある。具体的には、[1]熱接着性繊維からなるフィルター補強材では、繊維シートに含まれる熱接着性繊維が溶融・固化することにより、フィルター補強材を折り曲げることが難しくなる。特にロータリー式でプリーツ加工を行う場合には、癖付時の圧力により、癖付部分の剛性の方が癖付されていない濾材部分よりも高くなる傾向にあるため、リプリーツ工程では癖付部分よりも濾材部分の方が先に折れ曲がってしまい、プリーツ加工性が悪くなる。[2]また、熱接着性繊維からなるフィルター補強材では、プリーツ加工時のヒートセットにおいて熱接着性繊維が再溶融してしまい、形成したプリーツの襞同士が面接着し、独立したプリーツ形状を維持できなくなる。しかしながら、本発明のように、繊維シートにバインダー樹脂を固定することにより、プリーツ加工性や襞同士の面接着のないフィルター補強材が得られる。
バインダー樹脂としては、一般的に不織布に使用されるバインダー樹脂が適宜採用でき、例えば、種類が豊富で適度な硬さを付与するポリアクリル酸エステル、アクリル-スチレン共重合体等のアクリル系樹脂;ポリエステル系樹脂;等が例示され、中でも親水性繊維との馴染みが良いことからアクリル系樹脂が好ましい。
バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。バインダー樹脂のガラス転移温度が前記範囲内であれば、折れ曲げ易く加工性に優れ、適度な剛性を有する被水時の腰強力が良好なフィルター補強材となる。
またガラス転移温度が異なる2種以上のバインダー樹脂を組み合わせてもよく、ガラス転移温度が低いバインダー樹脂(以降、「バインダー樹脂(L)」と称す)、ガラス転移温度が高いバインダー樹脂(以降、「バインダー樹脂(H)」と称す)としたときに、バインダー樹脂(H)のガラス転移温度は、バインダー樹脂(L)のガラス転移温度よりも、好ましくは5℃以上(好ましくは50℃以下)、より好ましくは10℃以上(より好ましくは40℃以下)、更に好ましくは15℃以上(更に好ましくは35℃以下)高いことが好ましい。ガラス転移温度が異なるバインダー樹脂を組み合わせることにより、フィルター補強材に柔らかさ(プリーツ癖付性及びプリーツ加工性に寄与)と適度な剛性(被水時の腰強力向上に寄与)を付与することができる。
こうした観点から、バインダー樹脂(L)のガラス転移温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。
またバインダー樹脂(H)のガラス転移温度は、好ましくは45℃超、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
ガラス転移温度が異なる2種以上のバインダー樹脂を組み合わせる場合、バインダー樹脂(L)とバインダー樹脂(H)の固形分比率(バインダー樹脂(L):バインダー樹脂(H))は、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは10:90~80:20、更に好ましくは15:85~45:55である。バインダー樹脂(H)の比率が上がるにつれ、被水時の腰強力の向上が期待される。
繊維シートに含まれる繊維とバインダー樹脂の単位面積あたりの質量比(繊維:バインダー樹脂)は、好ましくは15:85~60:40、より好ましくは20:80~55:45、更に好ましくは25:75~50:50である。バインダー樹脂の質量比が下がり、相対的に繊維シートの質量比が上がりすぎると、プリーツ加工時のヒートセットにおいてプリーツの襞同士が面接着したり、プリーツ形状を維持できる程の剛性を保てない虞があり、独立したプリーツ形状を形成できない場合がある。
なお繊維シートに含まれる繊維とバインダー樹脂の単位面積あたりの質量比は、例えば、繊維シートの目付と、バインダー樹脂の単位面積あたりの質量から求めることができる。
バインダー樹脂の単位面積あたりの質量(目付)は、好ましくは15g/m2以上、より好ましくは20g/m2以上、更に好ましくは30g/m2以上、好ましくは80g/m2以下、より好ましくは65g/m2以下、更に好ましくは50g/m2以下である。バインダー樹脂の単位面積あたりの質量が大きくなる程、通気抵抗が上昇するものの、フィルター補強材は薄くなりプリーツ加工性が向上する。
<6.フィルター補強材>
フィルター補強材の目付は、好ましくは20g/m2以上、より好ましくは30g/m2以上、更に好ましくは40g/m2以上、好ましくは120g/m2以下、より好ましくは110g/m2以下、更に好ましくは100g/m2以下である。目付が大きくなる程、被水時の腰強力が高くなる傾向にある。一方で、目付が大きすぎると、通気量が低下し抵抗が大きくなるため好ましくない。
フィルター補強材は、薄くなる程、プリーツの襞同士の接触により生じる構造圧損を抑えることが可能となり、更にプリーツの襞数を増やすことができるため好ましい。こうした観点から、フィルター補強材の厚さは、好ましくは1.2mm未満、より好ましくは1.1mm以下、更に好ましくは1.0mm以下であり、下限は特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上である。フィルター補強材が厚くなる程、被水時の腰強力が高くなる傾向にある。一方で、フィルター補強材が厚すぎると、通気量が低下し抵抗が大きくなるため好ましくない。
フィルター補強材の密度は、好ましくは0.07g/cm3以上、より好ましくは0.08g/cm3以上、更に好ましくは0.09g/cm3以上、好ましくは0.25g/cm3以下、より好ましくは0.22g/cm3以下、更に好ましくは0.20g/cm3以下である。密度が高くなる程、フィルター補強材の被水時の腰強力が高くなる傾向にあり、様々な使用環境でもフィルター補強材の形状を維持しやすくなる。
被水時の濾材の形状変化を抑えるため、被水時におけるフィルター補強材の腰強力は高いほど好ましい。例えば、フィルター補強材の被水時の腰強力は、好ましくは0.20N以上、より好ましくは0.30N以上、更に好ましくは0.40N以上、好ましくは1.80N以下、より好ましくは1.60N以下、更に好ましくは1.50N以下である。被水時の腰強力が前記範囲を下回ると、被水時に濾材が変形しやすくなり、例えば、プリーツの襞が折れたり、プリーツの襞同士が接触して通気抵抗が上昇する場合がある。
<7.フィルター補強材の製造方法>
本発明に係るフィルター補強材の製造方法は、
公定水分率が1.5%以上の親水性繊維と、熱接着性繊維(A)と、前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含む繊維シートを製造する工程、
繊維シートにバインダー樹脂加工する工程、及び
熱接着性繊維(B)の融点以上の温度で繊維シートを加熱する工程、を有する。
以下、各工程について詳述する。
本発明において、繊維シートとは、好ましくは繊維ウェブまたは不織布(すなわち交絡等によって繊維ウェブの繊維間が結合されたもの)である。繊維シートの製造工程では、親水性繊維、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)を含む繊維シート構成繊維を混綿した後、繊維ウェブを形成するとよい。繊維シートでの繊維配列は、繊維がランダムに配列するランダムウェブ(セミランダムを含む)、カード機の紡出方向に繊維が配列するパラレルウェブ、パラレルウェブをクロスに重ねたクロスウェブ等のいずれでもよいが、加工性の良さから、濾材をプリーツ加工していく方向と繊維配向を揃えることが好ましいため、繊維シートでの繊維配列は、ランダムウェブ(セミランダムを含む)またはパラレルウェブが好ましい。繊維ウェブは、単層或いは複数積層するとよい。
また形成された繊維ウェブには、ニードルパンチ、ウォーターパンチ等の機械的絡合法による交絡を行い、繊維同士の交絡を進めてもよい。
バインダー樹脂加工では、含浸、噴霧、コーティング等の種々の方法により、前述したバインダー樹脂を繊維シートに固定する。このとき、フィルター補強材に種々の機能を付加するため、バインダー樹脂の溶液または分散体に、脱臭剤、消臭剤、抗菌剤、難燃剤、抗ウィルス剤、芳香剤、着色剤等の機能剤を加えるとよい。また、フィルター補強材の剛性を上げるためにバインダー樹脂を多く塗布する場合は、バインダー樹脂加工を2回以上実施することも可能である。
繊維シートには熱接着性繊維(A)・(B)が含まれているため、熱接着性繊維(B)の融点以上の温度で繊維シートを加熱することにより、熱接着性繊維(A)及び熱接着性繊維(B)が溶融し、繊維シートを構成する繊維交点を固着することができる。これにより、繊維シートの被水時の腰強力が増大するため好ましい。熱接着性繊維(B)の融点以上とは、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、更に好ましくは140℃以上、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。
熱接着性繊維(B)の融点以上の温度で繊維シートを加熱する工程は、バインダー樹脂加工の前或いは後のいずれで行ってもよいが、バインダー樹脂加工後に実施することで、バインダー樹脂の乾燥工程を兼ねることができ簡便である。
また繊維シートには熱接着性繊維(A)・(B)が含まれているため、熱接着性繊維(A)の融点または熱接着性繊維(B)の融点以上に加熱した板間またはロール間に繊維シートを通すカレンダー工程を実施してもよい。カレンダー工程により、熱接着性繊維(A)及び/又は熱接着性繊維(B)を溶融させて、濾材を薄くより高密度にすることができる。カレンダー工程は、バインダー樹脂加工の前或いは後のいずれで行ってもよい。カレンダー工程での加熱温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上、更に好ましくは140℃以上、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下、更に好ましくは210℃以下である。
こうして得られたフィルター補強材には、更に、脱臭剤、消臭剤、抗菌剤、難燃剤、抗ウィルス剤、芳香剤、着色剤等の機能剤を含むバインダー樹脂を更に塗布してもよい。塗布量としては、フィルター補強材自体が高剛性であるため、追加で塗布するバインダー樹脂は、機能剤を保持できる程度でよい。
<8.用途>
本発明に係るフィルター補強材は、主に濾材用の補強材として用いられ、特に、複数のプリーツを有する濾材用の補強材として好適である。
このような濾材としては、不織布から構成される集塵部と、前述したフィルター補強材と、を有するものが好ましい。集塵部を構成する不織布は特に限定されないが、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等が例示され、該不織布には高捕集効率を目的とするエクレトレット加工がされていてもよい。
更に、脱臭、消臭、抗菌等の機能を濾材に付加するため、機能剤(例えば、粒状や繊維状の活性炭等)を濾材に担持させてもよい。機能剤の脱落を防止するため、機能剤は、集塵部とフィルター補強材の間に積層されることが望ましい。このとき、フィルター補強材は、空気が濾材に流入していく方向からみて、濾材の上流側或いは下流側のいずれに配置されてもよいが、一般的には、集塵部の不織布よりもフィルター補強材は目が粗いため、フィルター補強材を濾材の上流側に配置し、プレフィルターとしても機能させることが好ましい。
一つの濾材において、集塵部、フィルター補強材及び機能剤層の数は1又は2以上であってもよいが、フィルター補強材自体に適度な剛性が付与されているため、フィルター補強材は濾材の片面(好ましくは、上流側)にのみ用いても実使用には十分に耐えられる。
集塵部、フィルター補強材及び必要に応じて用いられる機能剤は、積層後、一体化される。これらの接着手段としては、呉羽テック社製「ダイナック(登録商標)」に代表される熱融着性不織布を介する方法;接着パウダーを介する方法;ホットメルト樹脂系接着剤や、イソシアネート系、アクリル系、合成ゴム系等のエマルジョン接着剤等の接着剤を塗布する方法;等が例示される。
濾材をより薄く仕上げる観点から、積層後は、積層体全面を加熱しながら一体化するとよい。このときの加熱温度は、好ましくは熱接着性繊維(A)の融点以上熱接着性繊維(B)の融点以下である。
濾材は、更に意匠層等を有していてもよい。
こうして得られる濾材は、好ましくは、自動車、空調機、空気清浄機等に搭載されるエアフィルター用の濾材として用いられ、より好ましくは雨水がかかりやすいキャビンフィルター用の濾材である。
濾過面積を増やすために、濾材は複数のプリーツを有することが望ましい。プリーツ加工は、ロータリー式、レシプロ式等、種々の方法で実施できる。プリーツ形成後のヒートセットは、好ましくは熱接着性繊維(A)の融点以上熱接着性繊維(B)の融点以下で実施することが望ましい。加熱温度を前記範囲内に制御することで、熱接着性繊維(A)のみを再溶融させてプリーツの形を固定すると共に、熱接着性繊維(B)を溶融させないことで、プリーツの襞同士が面接着することを抑制する。
本発明のフィルター補強材は、ロータリー式のプリーツ加工機にも好ましく適用できる。ロータリー式のプリーツ加工機は、プリーツの高さやピッチを安定的なものにするために、癖付工程を実施した後に、襞形成工程を実施し、その後ヒートセットする。癖付工程では、プリーツの山・谷に相当する部分に圧力をかけて折れ曲がりやすくしておく。そして、癖付工程からそのまま実施される襞形成工程では、濾材の供給速度を癖付工程から大きく落とすことにより、癖付部分に沿うようにして濾材を撓ませ、襞を形成していく。この方法は、高速でのプリーツ加工を可能にするため、生産性の観点からは特に好ましい。本発明のフィルター補強材には、2種類の熱接着性繊維が含まれ、更にバインダー樹脂加工が施されているため、癖付部分と癖付がされていない濾材部分の剛性差が大きく、襞形成工程で明確なプリーツを形成することができる。この効果は、従来品にはない優れたものである。
本発明は更に、複数のプリーツが形成された濾材を有する成形品も包含する。成形品としては、フィルターエレメント等が好ましく例示される。プリーツ形状を固定するため、プリーツの山部の稜線と交差する2つの端面は枠材または補強材等により固定されることが望ましい。また複数のプリーツを有する濾材の外周には、枠材からなる枠体が設けられていてもよい。前記枠体の形状は特に限定されないが、円形、矩形等、用途に応じて適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例及び比較例で採用した評価は以下の通りである。
(1)目付:JIS L1913 6.2に準ず。
(2)厚さ:JIS L1913 6.1.1A法に準じ、試験片にかける圧力を2g/cmとする。
(3)密度:目付/厚さを単位換算する。
(4)被水時の腰強力:試料として、タテ80mm×ヨコ65mmにカットしたフィルター補強材を用いる。試料の採取に際しては、試料のタテ及びヨコが、それぞれ繊維シートの機械方向(MD)及び幅方向(CD)方向と一致するようにする。カットした試料を常温の水中に10分間浸漬させた後、該試料のタテ方向が垂直方向と一致するようにして10分間吊り下げることにより余分な水分を除去する。その後、試料がタテ40mm×ヨコ65mmのサイズとなるようにタテ方向の両端より半分の位置で該試料を山折りに折り曲げる。折り曲げた試料の山部を上にした状態で、タテ40mm×ヨコ65mmの矩形の枠に、前記試料のタテ方向とヨコ方向が、それぞれ枠のタテ方向とヨコ方向に一致するようにセットする。一方、引張試験機の上部つかみ部には、先端がφ10mmの圧縮治具を取り付ける。前記圧縮治具を該試料の山部のヨコ方向の中心に押し当て、50mm/分の速度で下方へ移動させた。そのときの荷重を測定し、測定された最大値を被水時の腰強力とする。
(5)被水時の形状変化:後述する「(6)プリーツ癖付性」及び「(7)プリーツ加工性」が○または△であった水準のプリーツエアフィルターを、汎用の枠材に取り付け成形品とする。成形品の空気流入側から風速1.5m/sで通風しながら水100ccを1分間成形品に噴霧する。1分間通風後のプリーツ形状の変化を目視で観察する。
○:プリーツ形状が維持されている。
×:プリーツの折れやプリーツの襞同士の接触があり、プリーツ形状が維持されていない。
(6)プリーツ癖付性:ポリプロピレン製のエレクトレットメルトブロー不織布(目付:15g/m)、粒状活性炭(目付:50g/m)、接着パウダー(目付:20g/m)、及び実施例・比較例で製造されたフィルター補強材を、この順で積層した積層体を、130℃で貼り合わせてエアフィルター用濾材を得る。次いで、ヒートセット温度を130℃に設定したロータリー式のプリーツ癖付機にてエアフィルター用濾材にプリーツ加工を施す。得られたプリーツエアフィルターを、下記の基準に基づき評価する。
○:プリーツの癖(スジ)がしっかりと目視で確認され、癖付けされた部分でのみエアフィルター用濾材が折れる。
×:プリーツの癖(スジ)が目視で確認できない部分がある、或いは、癖付けされた部分以外でエアフィルター用濾材が折れる。
(7)プリーツ加工性:(6)プリーツ癖付性で得られたプリーツエアフィルターにおいて、プリーツの襞同士が面接着しているかどうか、及びプリーツのピッチ・高さが揃っているかどうか、を目視で観察する。
○:プリーツの襞同士が面接着しておらず、プリーツのピッチ・高さが揃っている。
△:プリーツの襞同士がやや面接着しているか、プリーツのピッチ・高さがやや不揃いであるか、或いはこれらの両方である。
×:プリーツの襞同士が面接着しているか、プリーツのピッチ・高さが不揃いであるか、或いはこれらの両方である。
(8)総評価:「(5)被水時の形状変化」、「(6)プリーツ癖付性」及び「(7)プリーツ加工性」の3つの評価から、フィルター補強材がプリーツエアフィルター用の補強材として適しているか総合的に評価した。
○:プリーツエアフィルターとして好適である。
×:プリーツエアフィルターとして適さない。
実施例1~6、比較例1~5
ビニロン繊維30質量%、熱接着性繊維(A)(芯鞘構造、芯部:ポリエチレンテレフタレート、鞘部:融点110℃の変性ポリエステル)20質量%、熱接着性繊維(B)(芯鞘構造、芯部:ポリエチレンテレフタレート、鞘部:融点150℃の変性ポリエステル)50質量%をそれぞれ計量・混綿して、ランダムウェブを形成した。
次いで、ガラス転移温度が35℃のアクリル系樹脂(L)と、ガラス転移温度が60℃のアクリル系樹脂(H)を、固形分換算でアクリル系樹脂(L):アクリル系樹脂(H)=30:70で含むバインダー樹脂浴に、得られたランダムウェブを含浸してバインダー樹脂を適量塗布した後、150℃で45秒間熱風乾燥し、更に160℃に加熱した板間に繊維シートを通してカレンダー工程を行うことによりフィルター補強材を製造した。
実施例2~6、比較例1~4では、表2に示すように条件を適宜変更したこと以外は実施例1と同様にしてフィルター補強材を製造した。
また比較例5では、バインダー樹脂加工を行わず、得られた繊維シートを150℃で45秒間熱処理し、更に160℃に加熱した板間に繊維シートを通してカレンダー工程を行うことによりフィルター補強材を製造した。
フィルター補強材の特性を表2に示す。また実施例1~6、比較例1~5で使用した繊維の特性を表1にまとめる。
Figure 0006998188000001
Figure 0006998188000002
実施例1~6では、被水時の腰強力が高く、被水時の形状変化・プリーツ癖付性・プリーツ加工性に優れたフィルター補強材が得られた。
比較例1では、Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値が高く、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の合計含有率が70質量%と高いため、被水時に濾材が水を多量に含んでしまい、フィルター補強材の剛性が低下して、プリーツ形状を維持できなくなった。
比較例2では、Σk=1 n{(Mk×Yk)/100}の値が低く、親水性繊維としてビニロン繊維及びレーヨン繊維が含まれていないため、繊維シート中の繊維とバインダー樹脂との馴染みが悪くなり、バインダー樹脂が不均一に付着し、プリーツ癖付性が悪くなった。
比較例3のフィルター補強材は、熱接着性繊維(B)を含まないため、プリーツ加工時のヒートセットにおいて、繊維シートに含まれる熱接着性繊維がほぼ全量溶融してしまい、溶融した熱接着性繊維により、プリーツの襞同士が面接着し、プリーツ加工性が悪くなった。
比較例4のフィルター補強材は、熱接着性繊維(A)を含まないため、フィルター補強材を薄くできなかった。更にはプリーツ加工時のヒートセットにおいて、プリーツの形を十分に固定できなかったため、形成されたプリーツのピッチ・高さが不揃いとなり、プリーツ癖付性及びプリーツ加工性は十分ではなかった。また熱接着性繊維(A)・(B)を含まないことから、フィルター補強材の剛性が十分ではなく、被水時の腰強力が低下した。
比較例5のフィルター補強材は、熱接着性繊維(A)から構成されるため、剛性があり被水時の腰強力は高かったものの、バインダー樹脂で固定されていないため、癖付部分と濾材部分の剛性差が小さく、エアフィルター用濾材の癖付部分以外に折れが発生した。また該フィルター補強材は、熱接着性繊維(B)、バインダー樹脂を含まないため、プリーツ加工時のヒートセットにおいて、プリーツの襞同士が面接着した。

Claims (13)

  1. 繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、
    前記繊維シートは、
    公定水分率が1.5%以上の親水性繊維と、
    熱接着性繊維(A)と、
    前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、
    前記親水性繊維は繊維長が30~100mmであって、
    前記繊維シートが、式(1)を満たすことを特徴とするフィルター補強材。
    0.50≦Σk=1 {(M×Y)/100}≦2.50 …式(1)
    [式(1)中、Mは繊維シート中の第k繊維の含有率(%)、Yは繊維シート中の第k繊維の公定水分率(%)、nは繊維シート中の繊維の種類の総数を表す。]
  2. 前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、前記親水性繊維の含有率が、5質量%以上65質量%以下である請求項1に記載のフィルター補強材。
  3. 公定水分率が6.0%以上の親水性繊維の含有率が、前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、27質量%以下である請求項1または2に記載のフィルター補強材。
  4. 繊維シートにバインダー樹脂が固定されたフィルター補強材であって、
    前記繊維シートは、
    ビニロン繊維及びレーヨン繊維から選ばれる少なくとも一方の親水性繊維と、
    熱接着性繊維(A)と、
    前記熱接着性繊維(A)よりも10℃以上高い融点を有する熱接着性繊維(B)と、を含み、かつパルプを含まず、
    前記繊維シートを構成する繊維100質量%中、ビニロン繊維の含有率が0~55質量%、レーヨン繊維の含有率が0~27質量%、ビニロン繊維及びレーヨン繊維の含有率が5~45質量%であり、
    前記親水性繊維は繊維長が30~100mmであることを特徴とするフィルター補強材。
  5. 前記親水性繊維の繊度が、1.0dtex以上17dtex以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  6. 前記熱接着性繊維(B)の含有量が、前記熱接着性繊維(A)の含有量に対し、質量基準で、0.8倍以上4.0倍以下である請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  7. 前記繊維シートに含まれる繊維と前記バインダー樹脂の単位面積あたりの質量比が、繊維:バインダー樹脂で15:85~60:40である請求項1~6のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  8. 前記熱接着性繊維(A)の融点が、80℃以上180℃以下であり、
    前記熱接着性繊維(B)の融点が、130℃以上200℃以下である請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  9. 目付が20g/m2以上120g/m2以下であり、厚さが1.2mm未満である請求項1~8のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  10. 前記繊維シートでの繊維配列が、ランダムウェブ、パラレルウェブ、またはクロスウェブである請求項1~9のいずれか1項に記載のフィルター補強材。
  11. 繊維シートから構成される集塵部と、
    請求項1~10のいずれか1項に記載のフィルター補強材と、を有する濾材。
  12. 前記フィルター補強材が複数のプリーツを有する請求項11に記載の濾材。
  13. 請求項12に記載の濾材を有する成形品。
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