JP5057396B2 - 内容物の視認性に優れた包装用不織布シート - Google Patents
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Description
あるいは、いわし節、かつお節などの魚節や、昆布類などのダシを収納したバッグを、ダシの素として容器に入れ、熱湯中で煮出す味付けスープとしても活用されている。これらのバッグを用いると、使用者は直接粉末を扱う必要がなく、しかも抽出作業のあとに茶葉ガラやダシガラを抽出液から分離する作業も不要なので、調理作業性を向上できる。
さらに、表面凹凸状の不織布も提案されている(特許文献3:特開2006−241625号公報)。この不織布は、セルロース系繊維からウェブが形成され、熱融着性繊維を含まないエアレイド不織布が複数枚積層されたエアレイド不織布積層体が熱エンボス加工により、熱エンボス部で互いに熱融着されている、というものである。しかしながら、この不織布は、熱圧エンボス(部分熱圧着)により凹凸を付与しているので、凹部(陥没部)は繊維密度が大であり,仮に本発明の抽出用途に適用したとしても,抽出性能が大きく悪化する欠点があり、しかも本発明が意図する視認性についてはなんらの記載もない。
ここで、不織布シートの構成成分である熱接着性合成繊維としては、好ましくは熱接着性複合繊維である。
また、陥没部は、ほぼ球状、または楕円球状であり、球状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径が1〜5mmで、深さが0.1〜2mmであることが好ましい。
さらに、本発明の不織布シートは、全体目付けが同一で、低目付けの陥没部を有しない厚さが均一のエアレイド不織布に対して透明度がプラス5%以上の差を有するものが好ましい。
次に、本発明は、所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、局部的に突起を設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返す、上記内容物の視認性に優れた包装用不織布シートの製造方法に関する。
本発明の不織布シートは、熱接着性合成繊維を主成分とし、目付が15〜150g/m2のエアレイド不織布から構成されている。
ここで、「主成分とする」とは、熱接着性合成繊維が70重量%以上、好ましくは85重量%以上であることを指称し、30重量%以下程度、後記する他の繊維やパルプが含まれていてもよい。
なお、本発明の不織布シートは、熱接着性合成繊維を主成分とするものであり、該熱接着性合成繊維100重量%使いのもののほか、例えば熱接着性合成繊維+パルプ繊維、あるいは、熱接着性合成繊維+パルプ繊維+ケミカルバインダーなどからなる一層以上のエアレイド不織布から構成されていてもよい。
特に、シートの表裏層は、熱接着性合成繊維のみからなることが好ましく、また、内層にはパルプ繊維が混合されていてもよい。
本発明の不織布シートは、総目付が、15〜150g/m2、好ましくは20〜100g/m2である。15g/m2未満では、微細な内容物の粉漏れが生じやすくなるばかりか、不織布強力が低下して、不織布製造工程性や商品としての取扱い性など実用上の問題を生じやすい。一方、150g/m2を超えると、シートが硬くなり、取り扱いが難しいうえに、茶葉の抽出が困難なうえ、内容物の視認性に欠ける。
すなわち、所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、局部的に合成樹脂などによる突起を設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返す。
例えば、第2回以降のウェブの堆積は、同様にして、上記堆積シートの上に堆積させる。
次に、この熱接着性合成繊維が充分その接着効果を発揮する温度に全体を加熱処理して、本発明の不織布を得ることができる。接着効果を十分発揮させるには、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度での加熱処理が必要である。
ここで、これらのケミカルバインダー樹脂の成分としては、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリアクリル酸エステル系、合成ゴム系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、熱硬化型樹脂系などを挙げることができる。
これらのケミカルバインダー樹脂の使用量は、通常、固形分換算で、2〜20g/m2、好ましくは4〜10g/m2であり、合成繊維やパルプ繊維の結合や各層の剥離を生じない範囲で決められる。
エアレイドウェブの繊維間結合を付与する熱処理において、熱接着性合成繊維の接着成分の融点よりも5〜20℃高い温度を加える必要があるので、これらの合成樹脂塊を形成する樹脂は、この温度よりも高い耐熱温度のものが必要となる。耐熱温度は、140℃以上であり、好ましくは160℃以上である。
さらに、突起(陥没部に相当する)の大きさは、得られる不織布シートの陥没部に対応する大きさにより、適宜、設定される。本発明の不織布シートは、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度でこの繊維ウェブを全体に加熱処理して得られるが、上記熱接着性合成繊維はやや熱収縮を生じることが多いので、陥没部は加熱処理によってやや小さくなる傾向がある。従って、陥没部の深さや大きさを所望のものにするには、捕集用ネット上に形成するべき樹脂塊(突起)の高さや大きさをあらかじめやや大きめに設定することが好ましい。例えば、好ましくは陥没部のサイズと樹脂塊(突起)のサイズの比は1/1.05〜1.5の範囲である。これは、使用する熱接着性合成繊維の熱特性、加熱処理の方法、条件によって異なる。
なお、合成樹脂塊などの突起の形状は、ほぼ球状や楕円状のほか、直線状、曲線状、格子状、網目状、あるいは文字や何らかのマーク、ロゴを表すものであってもよい。
さらに、例えば、この上に、1層あるいは2層の上記したような繊維ウェブを形成すれば、二層、あるいは三層の繊維ウェブが得られる。
次に、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度でこの繊維ウェブを全体に加熱処理して、本発明の不織布シートを得ることができる。
この加熱処理の具体例としては、熱風処理が挙げられる。例えば、この繊維間結合を形成するための熱風処理としては、熱接着性複合繊維の低融点成分(芯鞘型複合繊維の鞘成分、あるいはサイドバイサイド型複合繊維の低融点側成分)の融点以上の温度が必要である。しかしながら、低融点成分の融点よりも30℃以上高い場合、あるいは高融点成分(芯鞘型複合繊維の芯成分、あるいはサイドバイサイド型複合繊維の高融点成分)の融点以上の場合は、繊維の熱収縮が大きくなり易く、地合いの悪化を招くので好ましくない。従って、熱風処理温度は、通常、110〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
本発明の不織布シートは、上記のように、非陥没部においては高目付けなので該シートの強度を保持することができ、低目付け部を形成する陥没部は、透けてみえやすく、視認性が向上するうえに、茶葉などの抽出性にも優れたものとなる。
この表面積の比をこの数値範囲にするには、樹脂塊の設計を適正化すればよい。
上記陥没部のサイズは、上記合成樹脂塊(突起)のサイズを変更したり、繊維ウェブの熱処理条件を変えることにより、容易に調整することができる。
さらに、本発明の趣旨の範囲であれば、陥没部が一定形状でなくても構わなく、文字、あるいは何らかのパターンやロゴを表していても良い。
実施例中、透明度、引張強度、厚さは、次のようにして測定した。
<透明度>
高速分光光度計(マクベス社製、MS−2020PL)を用いて、反射率を測定した。白板Lw0値、黒板Lb0値の差を求めて基準とし、試料のLw値とLb値から、下記式により透明性を求めた。
透明度(%)=〔ΔL/ΔL0〕×100
ただし、ΔL0=Lw0−Lb0、ΔL=Lw−Lbである。
<引張強度>
JIS L1096に準拠。ただし、幅25mm、つかみ間隔100mm、引張速度100mm/分
<厚さ>
JIS L1096に準拠。ただし、測定荷重=0.7kPa
図2に示されているような形状となるよう、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の捕集用ネットに、市販の2液混合型エポキシ樹脂(コニシ(株)製、ボンド・クイック5#16123)を用いてドット状の樹脂塊を形成した。この樹脂塊のサイズは、直径が2mm、高さが0.6mmであった。
次に、芯がポリプロピレン(PP)で、鞘がポリエチレン(PE)からなる熱接着性複合繊維(繊度1dt、長さ5mm、チッソポリプロ繊維(株)製)を、エアレイド法で目付15g/m2となるよう、このネット上に捕集した。さらにこの上に、芯PET/鞘PEからなる熱接着性複合繊維(帝人ファイバー(株)製、2.2dt×5mm)を目付け13g/m2となるようエアレイド法で積層した。次いで、この全体目付け28g/m2のエアレイド2層ウェブを熱風オーブンで143℃で加熱し繊維間結合を生じさせ、非陥没の高目付け部の厚さが0.7mmであり、陥没部の深さが0.4mmである不織布シートを得た。
このシートの陥没した低目付け部と非陥没の高目付け部を小さいポンチで打抜いて実測したところ、両者の繊維密度の比は1/0.9であり、目付けの比が1/2.0であった。表面積の比は、陥没した低目付け部の直径と個数から面積比を計算したところ、1/4.1であった。
得られたシートを用い、細繊度(1dt)の層が内側となるよう、タテ5cm×ヨコ5cmの大きさの封筒型に折り、これに煎茶の葉1.2gを入れて、端部をヒートシール法で製袋した。
このようにして製袋したティーバッグを湯飲みに入れて、80℃の湯を注ぎ、煎茶を抽出した。内部の煎茶の葉が湯の流れで流動する状態が良く視認でき、使用感が良好であった。しかも、粉漏れや袋破れ、シール剥離もなく、抽出物は濃さ、香り、味ともに良好であった。
樹脂塊を形成してないPET製捕集ネット(実施例1に使用した原ネット)の上に、実施例1と同様な方法で、エアレイド不織布を作製した。目付け28g/m2、厚さ0.6mmの全体均一なシートであった。
このシートを用い、実施例1と同様に煎茶入りティーバッグを製袋し、湯飲みに入れて、80℃の湯を注ぎ、煎茶を抽出したが、内部の煎茶の葉が湯の流れで流動する状態は良く視認できなかった。
実施例1と同じ樹脂塊を形成したPET製捕集ネットをキャリアシートに用い、まずこの上に、芯がポリエチレンテレフタレート(PET)で、鞘が融点150℃のイソフタル酸共重合ポリエステルからなる熱接着性複合繊維(繊度1.7dt、長さ5mm、帝人ファイバー(株)製)を14g/m2となるよう、エアレイド法で繊維ウェブを形成した。さらにこの上に、上記と同じで繊度2.2dtの熱接着性複合繊維(長さ5mm、帝人ファイバー(株)製)を14g/m2となるよう、エアレイド法で積層した。次いで、この全体目付け28g/m2のエアレイド2層ウェブを熱風オーブンで159℃で加熱し繊維間結合を生じさせてから、さらに線圧10kgf/cmの一対の常温金属ローラーでカレンダー仕上げした。陥没した低目付け部と非陥没の高目付け部を片面に有し、非陥没の高目付け部の厚さが0.5mmで、陥没部の深さが0.3mmの,不織布シートを得た。
得られたシートの陥没した低目付け部と非陥没の高目付け部を小さいポンチで打抜いて実測したところ、陥没した低目付け部と非陥没の高目付け部の繊維密度の比は1/1.05であり、目付けの比が1/2.2であった。表面積の比は、陥没した低目付け部の直径と個数から面積比を計算したところ、1/4であった。
得られたシートを用い、細繊度(1.7dt)の層が内側となるよう、タテ5×ヨコ5×高さ6.5cmの大きさのテトラバッグに折り、これに紅茶の葉2gを入れて、端部をヒートシール法で製袋した。
このようにして製袋したティーバッグをカップに入れて、90℃の湯を注ぎ、紅茶を抽出した。内部の紅茶の葉が湯の流れで流動する状態が良く視認でき、使用感が良好であった。しかも粉漏れや袋破れ、シール剥離もなく、抽出物は濃さ、香り、味ともに良好であった。
樹脂塊を形成してないPET製捕集ネット(実施例1に使用した原ネット)を用いる以外は、すべて実施例2と同様にした。目付け28g/m2、厚さ0.4mmの全体均一な不織布シートを得た。
このシートを用い、実施例2と同様に紅茶入りティーバッグを製袋し、カップに入れて90℃の湯を注ぎ、紅茶を抽出したが、内部の紅茶の葉が湯の流れで流動する状態は良く視認できなかった。
Claims (7)
- 単糸繊度が0.5〜20dtex、繊維長が1〜15mmの熱接着性合成繊維を主成分とし、全体目付けが15〜150g/m2であるエアレイド不織布からなり、片面に複数の低目付けの陥没部と高目付けの非陥没部を有し、陥没部と非陥没部の繊維密度の比が1/0.8〜1.2であり、陥没部と非陥没部の目付けの比が1/1.2〜10であり、陥没部と非陥没部の表面積の比が1/1.5〜10であり、しかも陥没部が球状、または楕円球状であり、球状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径が1〜5mmで、深さが0.1〜2mmであって、さらに該熱接着性合成繊維が熱接着されてなる、内容物の視認性に優れた包装用不織布シート。
- 熱接着性合成繊維が熱接着性複合繊維からなる、請求項1記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シート。
- 全体目付けが同一で、低目付けの陥没部を有しない厚さが均一のエアレイド不織布に対して透明度がプラス5%以上の差を有する、請求項1または2記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シート。
- 袋状に成形して内容物を収納して用いる用途用である、請求項1〜3いずれかに記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シート。
- さらに、カレンダー処理されてなる、請求項1〜4いずれかに記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シート。
- 所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、局部的に突起を設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返したのち、熱接着性合成繊維の接着成分の融点よりも5〜20℃高い温度で加熱処理する、請求項1〜4いずれかに記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シートの製造方法。
- 所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、局部的に突起を設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返したのち、熱接着性合成繊維の接着成分の融点よりも5〜20℃高い温度で加熱処理し、さらに温度が常温〜100℃、線圧が2〜30kgf/cmでカレンダー処理する、請求項5記載の内容物の視認性に優れた包装用不織布シートの製造方法。
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